(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】高電圧駆動装置
(51)【国際特許分類】
H01J 1/90 20060101AFI20240322BHJP
H01J 37/248 20060101ALI20240322BHJP
H01J 35/16 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
H01J1/90
H01J37/248
H01J35/16
(21)【出願番号】P 2022092837
(22)【出願日】2022-06-08
【審査請求日】2022-07-04
(31)【優先権主張番号】10-2021-0074869
(32)【優先日】2021-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0057608
(32)【優先日】2022-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】596180076
【氏名又は名称】韓國電子通信研究院
【氏名又は名称原語表記】Electronics and Telecommunications Research Institute
【住所又は居所原語表記】218,Gajeong-ro Yuseong-gu Daejeon 34129,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宋 潤 鎬
(72)【発明者】
【氏名】李 ジョン 雄
(72)【発明者】
【氏名】姜 俊 泰
(72)【発明者】
【氏名】金 成 俊
(72)【発明者】
【氏名】金 栽 佑
(72)【発明者】
【氏名】朴 ソ ラ
(72)【発明者】
【氏名】尹 起 男
(72)【発明者】
【氏名】鄭 珍 宇
(72)【発明者】
【氏名】崔 盛 フン
【審査官】後藤 慎平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/014370(WO,A1)
【文献】特公昭29-002533(JP,B1)
【文献】国際公開第2012/091062(WO,A1)
【文献】米国特許第04396861(US,A)
【文献】国際公開第2016/117628(WO,A1)
【文献】特開2013-004216(JP,A)
【文献】特開平10-268096(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 1/90
H01J 37/00-37/36
H01J 35/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジング内に提供される負極、正極、及び絶縁構造体と、を含み、
前記負極、及び前記正極は、前記絶縁構造体を介して離隔し、
前記絶縁構造体は、
前記負極と隣接するように配置される第1固体絶縁体と、
前記正極と隣接するように配置される第2固体絶縁体と、を含み、
前記第1固体絶縁体の第1体積比抵抗は、前記第2固体絶縁体の第2体積比抵抗より小さく、
前記負極の一面は、前記第1固体絶縁体と接触する第1領域と、前記第1固体絶縁体と離隔する第2領域と、を含
み、
前記第1固体絶縁体、及び前記第2固体絶縁体は、同一のセラミック物質、及び前記セラミック物質にドーピングされた不純物を含む、ことを特徴とする高電圧駆動装置。
【請求項2】
前記正極、及び前記負極の間には10kV以上の電圧が印加される、ことを特徴とする請求項1に記載の高電圧駆動装置。
【請求項3】
前記ハウジングの内部は、真空雰囲気又はガス雰囲気である、ことを特徴とする請求項1に記載の高電圧駆動装置。
【請求項4】
前記第1固体絶縁体、及び前記第2固体絶縁体は、アルミナ(Al
2O
3)、及び前記アルミナにドーピングされたチタニア(TiO
2)を含む、ことを特徴とする請求項
1に記載の高電圧駆動装置。
【請求項5】
前記第2固体絶縁体は、前記正極と接触する、ことを特徴とする請求項1に記載の高電圧駆動装置。
【請求項6】
ハウジングと、
前記ハウジング内に提供される第1電極、第2電極、及び絶縁構造体と、を含み、
前記第1電極、及び前記第2電極は、前記絶縁構造体を介して離隔し、
前記絶縁構造体は、
前記第1電極、及び前記第2電極と隣接するように配置される一対の第1固体絶縁体と、
前記第1固体絶縁体の間に配置される第2固体絶縁体と、を含み、
前記第1固体絶縁体の各々の第1体積比抵抗又は第1誘電率は、前記第2固体絶縁体の第2体積比抵抗又は第2誘電率より低く、
前記第1電極の第1面は、前記第1電極に隣接する前記第1固体絶縁体と接触する第1領域と、前記第1電極に隣接する前記第1固体絶縁体と離隔する第2領域とを有し、
前記第2電極の第3面は、前記第2電極に隣接する前記第1固体絶縁体と接触する第3領域と、前記第2電極に隣接する前記第1固体絶縁体と離隔する第4領域とを含む、ことを特徴とする高電圧駆動装置。
【請求項7】
前記第1電極、及び前記第2電極と連結され、電源を供給する電源装置をさらに含み、
前記電源装置は、前記第1電極、及び前記第2電極の間の電場の方向を変化するように構成される、ことを特徴とする請求項
6に記載の高電圧駆動装置。
【請求項8】
前記ハウジングの内部は、真空雰囲気又はガス雰囲気であり、前記第1電極、及び前記第2電極の間には10kV以上の電圧が印加される、ことを特徴とする請求項
6に記載の高電圧駆動装置。
【請求項9】
前記第2固体絶縁体は、前記第1電極、及び前記第2電極と全て離隔する請求項
6に記載の高電圧駆動装置。
【請求項10】
前記第1固体絶縁体、及び前記第2固体絶縁体は、体積比抵抗又は誘電率が互いに異なるセラミック物質を含む、ことを特徴とする請求項
6に記載の高電圧駆動装置。
【請求項11】
前記第1固体絶縁体、及び前記第2固体絶縁体は、同一のセラミック物質、及び前記セラミック物質にドーピングされた不純物を含む、ことを特徴とする請求項
6に記載の高電圧駆動装置。
【請求項12】
前記第1固体絶縁体、及び前記第2固体絶縁体は、各々アルミナ(Al
2O
3)、及び前記アルミナにドーピングされたチタニア(TiO
2)を含む、ことを特徴とする請求項
6に記載の高電圧駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高電圧駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高電圧駆動装置は、例えばX線チューブ(x-ray tube)、真空遮断器(vacuum interruptor)、 電子顕微鏡、電力伝送線等の分野では2つの電極間に数十~数百kV以上の高電圧が印加され、2つの電極間にセラミックのような固体絶縁体、絶縁オイル、真空、又は気体を入れて2つの電極間の絶縁を維持している。特に、2つの電極間に固体絶縁体を挿入して絶縁する場合、構造が非常に簡単であり、安い費用で具現することができる長所を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明で解決しようとする課題は高電圧でも安定的に駆動する高電圧駆動装置の構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態による高電圧駆動装置はハウジング、及び前記ハウジング内に提供される負極、正極、及び絶縁構造体を含み、前記負極及び前記正極は前記絶縁構造体を介して離隔し、前記絶縁構造体は前記負極と隣接するように配置される第1固体絶縁体、及び前記正極と隣接するように配置される第2固体絶縁体を含み、前記第1固体絶縁体の第1体積比抵抗は、前記第2固体絶縁体の第2体積比抵抗より小さく、前記第1固体絶縁体は前記負極と接触することができる。
【0006】
一部の実施形態によれば、前記正極及び前記負極の間には10kV以上の電圧が印加されることができる。
【0007】
一部の実施形態によれば、前記ハウジングの内部は真空雰囲気又はガス雰囲気であり得る。
【0008】
一部の実施形態によれば、前記第1固体絶縁体及び前記第2固体絶縁体は、体積比抵抗が互いに異なるセラミック物質を含むことができる。
【0009】
一部の実施形態によれば、前記第1固体絶縁体、及び前記第2固体絶縁体は、各々アルミナ(Al2O3)、ジルコニア(ZrO2)、及びイットリア(Y2O3)の中のいずれか1つを含むことができる。
【0010】
一部の実施形態によれば、前記第1固体絶縁体、及び前記第2固体絶縁体は、同一のセラミック物質、及び前記セラミック物質にドーピングされた不純物を含み、前記第1固体絶縁体にドーピングされた不純物の濃度は、前記第2固体絶縁体にドーピングされた不純物の濃度より大きいことができる。
【0011】
一部の実施形態によれば、前記第1固体絶縁体、及び前記第2固体絶縁体は、アルミナ(Al2O3)、及び前記アルミナにドーピングされたチタニア(TiO2)を含み、前記第1固体絶縁体のアルミナにドーピングされたチタニアの濃度は2%以上であり、前記第2固体絶縁体のアルミナにドーピングされたチタニアの濃度は2%未満であり得る。
【0012】
一部の実施形態によれば、第2固体絶縁体は、前記正極と接触することができる。
【0013】
本発明の実施形態による高電圧駆動装置はハウジング、及び前記ハウジング内に提供される第1電極、第2電極、及び絶縁構造体を含み、前記第1電極、及び前記第2電極は、前記絶縁構造体を介して離隔し、前記絶縁構造体は、前記第1電極、及び前記第2電極と隣接するように配置される一対の第1固体絶縁体、及び前記第1固体絶縁体の間に配置される第2固体絶縁体を含み、前記第1固体絶縁体の各々の第1体積比抵抗又は第1誘電率は、前記第2固体絶縁体の第2体積比抵抗又は第2誘電率より低く、前記第1固体絶縁体は各々前記第1電極及び前記第2電極と各々接触することができる。
【0014】
一部の実施形態によれば、前記第1電極、及び前記第2電極と連結され、電源を供給する電源装置をさらに含み、前記電源装置は、前記第1電極、及び前記第2電極の間の電場の方向を変化するように構成されることができる。
【0015】
一部の実施形態によれば、前記ハウジングの内部は、真空雰囲気又はガス雰囲気であり、前記第1電極、及び前記第2電極の間には10kV以上の電圧が印加されることができる。
【0016】
一部の実施形態によれば、前記第2固体絶縁体は、前記第1電極、及び前記第2電極と全て離隔することができる。
【0017】
一部の実施形態によれば、前記第1固体絶縁体、及び前記第2固体絶縁体は、体積比抵抗又は誘電率が互いに異なるセラミック物質を含むことができる。
【0018】
一部の実施形態によれば、前記第1固体絶縁体、及び前記第2固体絶縁体は、同一のセラミック物質、及び前記セラミック物質にドーピングされた不純物を含み、前記第1固体絶縁体にドーピングされた不純物の濃度は前記第2固体絶縁体にドーピングされた不純物の濃度より大きいことができる。
【0019】
一部の実施形態によれば、前記第1固体絶縁体、及び前記第2固体絶縁体は各々アルミナ(Al2O3)、及び前記アルミナにドーピングされたチタニア(TiO2)を含み、前記第1固体絶縁体のアルミナにドーピングされたチタニアの濃度は2%以上であり、前記第2固体絶縁体のアルミナにドーピングされたチタニアの濃度は2%未満であり得る。
【発明の効果】
【0020】
本発明の概念によれば、負極には体積比抵抗(又は誘電率)が低い固体絶縁体を、正極には体積比抵抗(又は誘電率)が高い固体絶縁体を接するように構成することによって、高電圧駆動装置の絶縁特性が向上されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】高電圧駆動装置を概略的に示す断面図である。
【
図2】高電圧駆動装置を概略的に示す断面図である。
【
図3】本発明の概念による高電圧駆動装置の構造を示す断面図である。
【
図4】一部の実施形態による高電圧駆動装置の構造を示す断面図である。
【
図5】実施形態及び比較例の絶縁特性を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の構成及び効果を十分に理解するために、添付した図面を参照して本発明の望ましい実施形態を説明する。しかし、本発明は以下で開示する実施形態に限定されるのではなく、様々な形態に具現されることができ、多様な変更を加えることができる。本実施形態の説明を通じて本発明の開示が完全になるようにし、本発明が属する技術分野の通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供される。添付した図面で構成要素は説明の便宜のためにそのサイズが実際より拡大して示してあり、各構成要素の比率は誇張されるか、或いは縮小されることができる。
【0023】
図1及び
図2は高電圧駆動装置を概略的に示す断面図である。高電圧駆動装置は、例えばX線チューブ(x-ray tube)、真空遮断器(vacuum interruptor)、電子顕微鏡、電力伝送線であり得る。
【0024】
図1を参照すれば、高電圧駆動装置は第1電極10、第2電極20、及び絶縁構造体30、及びハウジング50を含むことができる。
第1電極10及び第2電極20はハウジング50外部の高電圧電源40と電気的に連結されることができる。
【0025】
高電圧電源40は第1電極10及び第2電極20の間の電場の方向を決定する。一例として、第1電極10は負極であり、第2電極20は正極であり得る。高電圧電源40は第1電極10としての負極、及び第2電極20としての正極の間に数十乃至数百kVの高電圧を印加することによって、強い強さの電場が誘導されることができる。
【0026】
ハウジング(housing)50は第1電極10としての負極、第2電極20としての正極、及び絶縁構造体30を囲む空間又はその形状であり得る。一例として、ハウジング50は真空チャンバー(vacuum chamber)又はガスが満たされたチャンバーであり得る。
【0027】
絶縁構造体30は固体絶縁体を含むことができる。絶縁構造体30は、一例としてセラミック物質を含むことができる。絶縁構造体30は第1電極10及び第2電極20の間を絶縁させることができる。絶縁構造体30は第1電極10としての負極、及び第2電極20としての正極と接触することができる。絶縁構造体30の形状は多様であることができる。一部の実施形態によれば、絶縁構造体30は
図2のように、中空の円筒形であるチューブ(tube)形状を有することができる。絶縁構造体30の内部30cは真空又はガス雰囲気であり得る。
【0028】
第1電極10としての負極と絶縁構造体30、真空(又はガス)が出会う三重点(triple point又はtriple junction)P1又は第1電極10としての負極の微細突出部TP(自然形成)で強い強さの電場によって1次電子(primary electron)1eが発生することができる。1次電子1eの一部は絶縁構造体30に衝突し、絶縁構造体30の表面で2次電子(secondary electron)2eが発生されることができる。2次電子2eの発生と同時に絶縁構造体30の表面にはチャージング領域(charging region)30cが発生することができる。チャージング領域30eが形成される場合、第1電極10としての負極と第2電極20としての正極との間の絶縁が正しく行われないことがあり得る。
【0029】
図3は本発明の概念による高電圧駆動装置の構造を示す断面図である。以下では、先に説明したのと同一である場合は重複する説明は省略する。
【0030】
本発明の概念による高電圧駆動装置は第1固体絶縁体31及び第2固体絶縁体32を含む絶縁構造体30を含むことができる。第1固体絶縁体31は負極と隣接するように配置されることができ、第2固体絶縁体32は第2電極20としての正極と隣接するように配置されることができる。第1固体絶縁体31は負極と接することができ、第2固体絶縁体32は第2電極20としての正極と接することができる。第1固体絶縁体31は第1体積比抵抗(volumetric resistivity)又は第1誘電率(permittivity)を有することができる。第2固体絶縁体32は第2体積比抵抗又は第2誘電率を有することができる。第1体積比抵抗は第2体積比抵抗より小さいことができる。第1誘電率は第2誘電率より小さいことができる。
【0031】
第1固体絶縁体31及び第2固体絶縁体32は抵抗比が互いに異なるセラミック物質を含むことができる。又は第1固体絶縁体31及び第2固体絶縁体32は同一のセラミック物質及びセラミック物質にドーピングされた不純物を含むことができ、第1固体絶縁体31にドーピングされた不純物の濃度は前記第2固体絶縁体にドーピングされた不純物の濃度より大きいことができる。
【0032】
第1固体絶縁体31及び第2固体絶縁体32はアルミナ(Al2O3)、ジルコニア(ZrO2)、及びイットリア(Y2O3)のようなセラミック物質を含むことができる。不純物は、一例としてチタニア(TiO2)であり得る。
【0033】
一例として、第1固体絶縁体31及び前記第2固体絶縁体32は各々アルミナ(Al2O3)及びアルミナにドーピングされたチタニア(TiO2)を含み、前記第1固体絶縁体31のアルミナにドーピングされたチタニアの濃度は2%以上であり、前記第2固体絶縁体32のアルミナにドーピングされたチタニアの濃度は2%未満であり得る。
【0034】
第1固体絶縁体31は1x1012Ω・cm未満の比抵抗を有することができ、第2固体絶縁体32は1x1012Ω・cm以上の比抵抗を有することができる。
【0035】
本発明の概念によれば、第1電極10としての負極と第2電極20としての正極との間の数十乃至数百kV以上の高電圧は主に体積比抵抗(又は誘電率)が高い第2固体絶縁体32に印加されて、第1電極10としての負極と第2電極20としての正極との間を絶縁させることができる(体積絶縁)。第1固体絶縁体31は電気伝導度が高いので、三重点P1での電界を弱めて三重点P1での電子発生が抑制されることができる。また、第1電極10としての負極の微細突出部TPで発生した電子が第1固体絶縁体31と衝突しても、第1固体絶縁体31の表面のチャージング現象が抑制されることができる(表面絶縁)。したがって、本発明の概念によれば、第1固体絶縁体31及び第2固体絶縁体32を含む絶縁構造体30を含み、各々体積絶縁と表面絶縁の機能を遂行することによって、高電圧下でも高電圧駆動素子は優れた絶縁特性を有することができる。
【0036】
図4は一部の実施形態による高電圧駆動装置の構造を示す断面図である。以下では、先に説明したのと同一である場合は、重複する説明は省略する。
【0037】
図4を参照すれば、第1電極10及び第2電極20は各々負極及び正極で固定されなくともよい。高電圧電源40は第1電極10及び第2電極20の間に誘導される電場の方向を変更することができる。したがって、ある場合には第1電極10及び第2電極20は各々負極及び正極として機能し、他の場合には第1電極10及び第2電極20は各々正極及び負極として機能することができる。
【0038】
絶縁構造体30は一対の第1固体絶縁体31及びこれらの間に介在された第2固体絶縁体32を含むことができる。第1固体絶縁体31は各々第1電極10及び第2電極20と接することができる。したがって、第2電極20が負極として機能する場合にも第2電極20と第1固体絶縁体31と真空がなす三重点での電子発生が抑制されることができる。また、第2電極20の表面にもまた微細突出部があり得るので、微細突出部で発生された電子が第1固体絶縁体31と衝突する場合にも第1固体絶縁体31の表面のチャージング現象が抑制されることができる。第1固体絶縁体31の間に配置された第2固体絶縁体32は第1電極10と第2電極20との間を絶縁させることができる。
【0039】
[実施例]
アルミナ(Al2O3)にチタニア(TiO2)含量を2%及び3%に配合して、Al2O3-2%TiO2の固体絶縁体、及びAl2O3-3%TiO2のチューブ形状を有する固体絶縁体を形成した。Al2O3-3%TiO2の固体絶縁体は負極に接触するように配置し、Al2O3-2%TiO2の固体絶縁体は正極に接触するように配置した。
【0040】
[比較例]
実施形態とは異なり、Al2O3-3%TiO2の固体絶縁体を正極に接触するように配置し、Al2O3-2%TiO2の固体絶縁体は負極に接触するように配置した。
【0041】
試験例1:体積比抵抗測定
体積比抵抗を測定した結果、実施形態のAl2O3-2%TiO2の固体絶縁体の体積比抵抗及びAl2O3-3%TiO2の固体絶縁体の体積比抵抗は各々6.8x1012Ω・cmと高電圧7.1x109Ω・cmと測定された。
【0042】
試験例2:絶縁特性試験
実施形態及び比較例の各々の正極及び負極に電位の差を増加させつつ、これらの間の電流を測定した。
図5は実施形態及び比較例の絶縁特性を示したグラフである。
図5を参照すれば、実施形態は40kV以上の高電圧でも電流が概ね流れない優れた絶縁特性を示した反面に、比較例は10kV付近で絶縁が破壊される現象を示した。
【0043】
本発明の概念によれば、負極には体積比抵抗(又は誘電率)が低い固体絶縁体を、正極には体積比抵抗(又は誘電率)が高い固体絶縁体を接するように構成することによって、高電圧駆動装置の絶縁特性が向上されることができる。
【0044】
また、本発明の実施形態で使用する用語は特に定義されない限り、該当技術分野で通常の知識を有する者に通常的に公知された意味として解釈されることができる。添付した図面を参照して本発明の例示的な実施形態を説明することによって、本発明を詳細に説明した。
【0045】
以本発明はその技術的思想や必須の特徴を変形しなくとも他の具体的な形態に実施されることもできる。したがって、以上で記述した実施形態にはすべての面で例示的なことであり、限定的ではないと理解しなければならない。
【符号の説明】
【0046】
1e 1次電子
2e 2次電子
10 第1電極
20 第2電極
30 絶縁構造体
30c 絶縁構造体の内部
30e チャージング領域
31 第1固体絶縁体
32 第2固体絶縁体
40 高電圧電源
50 ハウジング
P1 三重点
TP 微細突出部