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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】固体撮像素子
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20240322BHJP
【FI】
H01L27/146 A
H01L27/146 D
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022126968
(22)【出願日】2022-08-09
(65)【公開番号】P2023123331
(43)【公開日】2023-09-05
【審査請求日】2022-08-09
(31)【優先権主張番号】17/679,708
(32)【優先日】2022-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507296388
【氏名又は名称】采▲ぎょく▼科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】VisEra Technologies Company Limited
【住所又は居所原語表記】No.12,Dusing Rd.1, Hsinchu Science Park,Hsin-Chu City,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100105946
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 富彦
(72)【発明者】
【氏名】曾 品嘉
(72)【発明者】
【氏名】張 育淇
【審査官】小山 満
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-086888(JP,A)
【文献】特開2003-060179(JP,A)
【文献】特開2020-086408(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0148422(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0194474(US,A1)
【文献】特開2022-058101(JP,A)
【文献】特開2010-205994(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0273910(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0239431(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第108470740(CN,A)
【文献】国際公開第2013/046972(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/159561(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光電変換ユニット、
前記複数の光電変換ユニットの間に配置された分離構造、
前記分離構造から横に延伸するように、各前記複数の光電変換ユニットの所定の深さに埋め込まれ、入射光の光路が長くなるように、入射光の光路を変える変調構造、および
前記複数の光電変換ユニットの上に配置された保護層を含む固体撮像素子であって、
前記固体撮像素子の上面からは、前記複数の光電変換ユニットと前記変調構造はモザイクパターンを形成しており、前記変調構造の1つの面積と前記モザイクパターンの対応する1つの面積との比は、約0.1~約0.9の間である固体撮像素子。
【請求項2】
前記変調構造の屈折率は、前記複数の光電変換ユニットの屈折率と異なり、前記固体撮像素子の上面からは、前記変調構造がアレイを形成している請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項3】
前記変調構造は、前記複数の光電変換ユニットの上部または底部に配置される請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項4】
前記変調構造の厚さは、m×λ/2nに等しく、mは正の整数であり、λは感知される光の波長であり、nは前記変調構造の屈折率である請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項5】
前記固体撮像素子の上面からは、前記変調構造は周期的な配置にある請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項6】
前記固体撮像素子の上面からは、前記変調構造は非周期的な構造を形成している請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項7】
前記固体撮像素子の上面からは、前記変調構造の形状は、三角形、長方形、正方形、または台形を含み、前記変調構造は、少なくとも2つの異なる形状を有しているか、または前記変調構造は、2つの隣接する前記モザイクパターンで異なる形状を有している請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項8】
前記固体撮像素子の上面からは、前記モザイクパターンは碁盤格子のようなパターンを形成している請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項9】
前記固体撮像素子の上面からは、前記変調構造は、複数のクロスパターンを形成している請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項10】
前記固体撮像素子の上面からは、前記変調構造は、少なくとも2つの異なる形状を有している請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項11】
前記固体撮像素子の上面からは、前記複数の光電変換ユニットの前記変調構造は互いに同じ方向に延在しているか、または前記複数の光電変換ユニットの前記変調構造は、互いに垂直になる方向に延在している請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項12】
前記固体撮像素子の上面からは、前記変調構造の1つの面積と前記モザイクパターンの対応する1つの面積との比は、約0.5であるか、または前記変調構造の1つの面積と前記モザイクパターンの対応する1つの面積との比は変えられる請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項13】
前記保護層の底部に配置され、前記分離構造に対応する金属グリッド、
前記保護層の上に配置され、それぞれが前記複数の光電変換ユニットの1つに対応する集光構造、および
前記複数の光電変換ユニットの下に配置された反射層をさらに含む請求項1に記載の固体撮像素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イメージセンサに関するものであり、特に、光電変換ユニットに埋め込まれた変調構造を含む固体撮像素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
固体撮像素子(例えば、電荷結合素子(CCD)イメージセンサ、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)イメージセンサなど)は、デジタル静止画カメラ、デジタルビデオカメラなどの様々な撮像装置に広く用いられている。固体撮像素子の光検知部は、各画素に対応するように形成され、信号電荷が光検知部で受光した受光量に応じて発生される。また、光検知部で発生した信号電荷が伝達されて増幅されることにより、画像信号が得られる。
【0003】
固体撮像素子が、より長い波長(例えば、650nm以上)を有する光を感知するように用いられるとき、光電変換ユニット(例えば、フォトダイオード)の空乏領域は非常に深くなければならない。また、入射光(より長い波長を有する)は、対応する光電変換ユニットを真っ直ぐに上下に移動する。従って、感知される入射光の光路の長さが十分でなく、入射光は、光電変換ユニットによって電子に完全に変換されることができず、これにより、固体撮像素子の光電変換ユニットからの画像信号の品質が満足できない可能性がある。従って、固体撮像素子の設計および製造には、依然としてさまざまな課題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光電変換ユニットからの画像信号の品質が向上された固体撮像素子の設計および製造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のいくつかの実施形態では、固体撮像素子は、光電変換ユニットに埋め込まれた変調構造を含み、光電変換素子の厚さを増すことなく、入射光の光路を変えることができ(より長くなるように)、これにより、固体撮像素子の光電変換ユニットからの画像信号の品質を向上させることができる。
【0006】
本開示のいくつかの実施形態によれば、固体撮像素子が提供される。固体撮像素子は、光電変換ユニットおよび光電変換ユニットに埋め込まれた変調構造を含む。固体撮像素子は、光電変換ユニットと光電変換ユニットの上に配置された保護層との間に配置された分離構造も含む。固体撮像素子の上面からは、光電変換ユニットと変調構造はモザイクパターンを形成しており、1つの変調構造の面積と対応するモザイクパターンの面積との比は、約0.1~約0.9の間である。
【0007】
いくつかの実施形態では、変調構造の屈折率は、光電変換ユニットの屈折率と異なり、固体撮像素子の上面からは、変調構造がアレイを形成している
【0008】
いくつかの実施形態では、変調構造は、光電変換ユニットの上部または底部に配置される。
【0009】
いくつかの実施形態では、変調構造の厚さは、m×λ/2nに等しく、mは正の整数であり、λは感知される光の波長であり、nは変調構造の屈折率である。
【0010】
いくつかの実施形態では、固体撮像素子の上面からは、変調構造は周期的な配置にある。
【0011】
いくつかの実施形態では、固体撮像素子の上面からは、変調構造の形状は、三角形、長方形、正方形、または台形を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、固体撮像素子の上面からは、変調構造は、少なくとも2つの異なる形状を有している。
【0013】
いくつかの実施形態では、固体撮像素子の上面からは、変調構造は、非周期的な構造を形成している。
【0014】
いくつかの実施形態では、固体撮像素子の上面からは、変調構造は、2つの隣接するモザイクパターンで異なる形状を有している。
【0015】
いくつかの実施形態では、固体撮像素子の上面からは、モザイクパターンは碁盤格子のようなパターンを形成している。
【0016】
いくつかの実施形態では、固体撮像素子の上面からは、変調構造は、複数のクロスパターンを形成している。
【0017】
いくつかの実施形態では、固体撮像素子の上面からは、変調構造は、少なくとも2つの異なる形状を有している。
【0018】
いくつかの実施形態では、固体撮像素子の上面からは、変調構造は同じ方向に延在している。
【0019】
いくつかの実施形態では、固体撮像素子の上面からは、変調構造は、2つの垂直方向に延在している。
【0020】
いくつかの実施形態では、固体撮像素子の上面からは、1つの変調構造の面積と対応するモザイクパターンの面積との比は、約0.5である
【0021】
いくつかの実施形態では、固体撮像素子の上面からは、1つの変調構造の面積と対応するモザイクパターンの面積との比は変えられる。
【0022】
いくつかの実施形態では、固体撮像素子は、保護層の底部に配置され、分離構造に対応する金属グリッドをさらに含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、固体撮像素子は、保護層の上に配置された集光構造をさらに含む。各集光構造は、光電変換ユニットの1つに対応する。
【0024】
いくつかの実施形態では、固体撮像素子は、光電変換ユニットの下に配置された反射層をさらに含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、変調構造は、光電変換ユニットの異なる深さに配置される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明は、添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明から、より完全に理解することができる。業界の標準的な慣行に従って、さまざまな特徴が縮尺どおりに描かれていない。実際、さまざまな特徴の寸法は、説明を明確にするために、任意に拡大または縮小されている。
図1図1は、本開示のいくつかの実施形態による、固体撮像素子の一部を示す断面図である。
図2図2は、本開示のいくつかの実施形態による、固体撮像素子100の一部の上面図からの光電変換ユニットおよび変調構造の配置を示している。
図3A図3Aは、本開示のいくつかの他の実施形態による、固体撮像素子の一部を示す断面図である。
図3B図3Bは、本開示のいくつかの他の実施形態による、固体撮像素子の一部を示す断面図である。
図3C図3Cは、本開示のいくつかの他の実施形態による、固体撮像素子の一部を示す断面図である。
図4A図4Aは、本開示のいくつかの他の実施形態による、固体撮像素子の一部の上面図からの光電変換ユニットおよび変調構造の配置を示している。
図4B図4Bは、本開示のいくつかの他の実施形態による、固体撮像素子の一部の上面図からの光電変換ユニットおよび変調構造の配置を示している。
図5図5は、本開示のいくつかの実施形態による、固体撮像素子の一部を示す断面図である。
図6図6は、本開示のいくつかの実施形態による、固体撮像素子の一部の上面図からの光電変換ユニットおよび変調構造の配置を示している。
図7図7は、本開示のいくつかの他の実施形態による、固体撮像素子104の一部の上面図からの光電変換ユニットおよび変調構造の配置を示している。
図8図8は、本開示のいくつかの他の実施形態による、固体撮像素子の一部の上面図からの光電変換ユニットおよび変調構造の配置を示している。
図9図9は、本開示のいくつかの他の実施形態による、固体撮像素子の一部の上面図からの光電変換ユニットおよび変調構造の配置を示している。
図10図10は、本開示のいくつかの他の実施形態による、固体撮像素子の一部の上面図からの光電変換ユニットおよび変調構造の配置を示している。
図11図11は、本開示のいくつかの他の実施形態による、固体撮像素子の一部の上面図からの光電変換ユニットおよび変調構造の配置を示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次の開示では、異なる特徴を実施するために、多くの異なる実施形態または実施例を提供する。本開示を簡潔に説明するために、複数の要素および複数の配列の特定の実施形態が以下に述べられる。これらはもちろん単に例示するためであり、それに限定するという意図はない。例えば、下記の開示において、第1の特徴が第2の特徴の上に形成されるということは、第1と第2の特徴が直接接触して形成される複数の実施形態を含むことができ、且つ第1と第2の特徴が直接接触しないように、付加的な特徴が第1と第2の特徴間に形成される複数の実施形態を含むこともできる。
【0028】
追加のステップが、例示された方法の前、間、または後に実施されてもよく、例示された方法のその他の実施形態では、いくつかのステップが置き換えられるか、または省略されてもよい。
【0029】
さらに、「下の方」、「下方」、「下部」、「上」、「上方」、「上部」およびこれらに類する語のような、空間的に相対的な用語は、図において1つの要素または特徴の、別の(複数の)要素と(複数の)特徴との関係を記述するための説明を簡潔にするために用いられる。空間的に相対的な用語は、図に記載された方向に加えて、使用または操作する装置の異なる方向を包含することを意図している。装置は、他に方向づけされてもよく(90度回転、または他の方向に)、ここで用いられる空間的に相対的な記述は、同様にそれに応じて解釈され得る。
【0030】
本開示では、「約」、「およそ」、および「実質的に」という用語は、一般的に、記載されている値の+/-20%を意味し、より一般的に、記載されている値の+/-10%を意味し、より一般的に、記載されている値の+/-5%を意味し、より一般的に、記載されている値の+/-3%を意味し、より一般的に、記載されている値の+/-2%を意味し、より一般的に、記載されている値の+/-1%を意味し、さらにより一般的に、記載されている値の+/-0.5%を意味する。本開示で記載されている値は、近似値である。即ち、「約」、「およそ」、および「実質的に」という用語の具体的な説明がないとき、記載されている値は、「約」、「およそ」、および「実質的に」の意味を含む。
【0031】
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術的及び科学的用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。さらに、一般的に使用される辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈における意味と一致する意味を有するものと解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されていない限り、理想化された又は過度に形式的な意味で解釈されない。
【0032】
本開示は、以下の実施形態において同じ構成要素の符号または文字を繰り返し用いる可能性がある。繰り返し用いる目的は、簡易化した、明確な説明を提供するためのもので、説明される様々な実施形態および/または構成の関係を限定するものではない。
【0033】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による、固体撮像素子100の一部を示す断面図である。固体撮像素子100は、相補型金属酸化膜半導体(Complementary Metal-oxide Semiconductor; CMOS)イメージセンサまたは電荷結合素子(Charge Coupled Device; CCD)イメージセンサで形成されることができるが、本開示はこれらに限定されるものではない。固体撮像素子100のいくつかの構成要素は、簡潔にするために、図1では省略されていることに留意されたい。
【0034】
図1に示すように、いくつかの実施形態では、固体撮像素子100は、半導体基板10を含む。半導体基板10は、ウェハまたはチップであってもよい。例えば、半導体基板10はシリコーンを含むことができるが、本開示はこれに限定されない。
【0035】
図1に示すように、いくつかの実施形態では、半導体基板10は、複数の光電変換ユニット11を有する。例えば、光電変換ユニット11は、イオン注入プロセスおよび/または拡散プロセスなどのプロセスによって形成され得る。さらに、光電変換ユニット11は、トランジスタ、フォトダイオード、PINダイオードおよび/または発光ダイオードを形成するように構成され得るが、本開示はこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、光電変換ユニット11は、アレイ構造を形成する。
【0036】
図1に示される、いくつかの実施形態では、半導体基板10は、光電変換ユニット11の間に配置された複数の分離構造13を有する。例えば、分離構造13は、ディープトレンチアイソレーション(DTI)構造であることができる。分離構造13は、エッチングプロセスを用いて半導体基板10に形成されてトレンチを形成し、トレンチを絶縁材料または誘電体材料で充填することができるが、本開示はこれらに限定されない。言い換えれば、半導体基板10内の光電変換ユニット11は、分離構造13によって互いに分離される。
【0037】
図1に示されるように、固体撮像素子100は、光電変換ユニット11に埋め込まれた変調構造15を含む。例えば、変調構造15は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、または他の適切な絶縁材料を含むことができ、堆積プロセスによって形成されることができるが、本開示はこれらに限定されない。蒸着プロセスは、例えば、スピンオンコーティング、化学蒸着(CVD)、流動性化学蒸着(FCVD)、プラズマ強化化学蒸着(PECVD)、物理蒸着(PVD)、またはその他の蒸着技術である。
【0038】
いくつかの実施形態では、変調構造15の屈折率は、光電変換ユニット11の屈折率と異なり、これにより、変調構造15は、対応する光変換ユニット11に入射する入射光の光路を変えることができる。
【0039】
変調構造15は、光電変換ユニット11の任意の深さに配置されることができ、実際の必要に応じて調整されることができる。図1に示された実施形態では、 変調構造15は、光電変換ユニット11の同じ深さに配置されるが、本開示はこれに限定されない。いくつかの実施形態では、変調構造15の厚さT15は、m×λ/2nに等しく、mは正の整数であり、λは感知される光の波長であり、nは変調構造15の屈折率である。
【0040】
図2は、本開示のいくつかの実施形態による、固体撮像素子100の一部の上面図からの光電変換ユニット11および変調構造15の配置を示している。例えば、図1は、図2の線A-A’に沿った固体撮像素子100の一部を示す断面図であることができるが、本開示はこれに限定されない。
【0041】
図2に示されるように、固体撮像素子100の上面図からは、光電変換ユニット11および変調構造15は、複数のモザイクパターンMPを形成しており、モザイクパターンMPは、破線枠で図2に示されている。例えば、図2は、4×4画素アレイとして形成される16個のモザイクパターンMPを示しているが、本開示はこれに限定されない。
【0042】
同様に、いくつかの実施形態では、固体撮像素子100の上面図からは、変調構造15はアレイを形成している。図2に示された実施形態では、変調構造15は周期的な配置にあるが、本開示はこれに限定されない。いくつかの他の実施形態では、変調構造15は非周期的配置にある。
【0043】
いくつかの実施形態では、固体撮像素100の上面図からは、変調構造15の面積と対応するモザイクパターンMPの面積との比は、約0.1から約0.9の間である。例えば、図2の全てのモザイクパターンMPでは、変調構造15の面積とモザイクパターンMPの面積との比は、約0.5であるが、本開示はこれに限定されない。言い換えれば、図1に示されるように、変調構造15の幅W15と対応する光電変換ユニット11の幅W11との比は、固体撮像素子100の断面図では約0.5である。
【0044】
図2に示されるように、いくつかの実施形態では、固体撮像素子100の上面図からは、各変調構造15は、長方形として形成されている。言い換えれば、いくつかの実施形態では、固体撮像素子100の上面図からは、変調構造15は同じ方向(例えば、図2のY方向)に延在しているが、本開示はこれに限定されない。いくつかの実施形態では、固体撮像素子100の上面図からは、変調構造15の形状は、三角形、長方形、正方形、または台形を含んでいる。
【0045】
図1に示されるように、固体撮像素子100は、光電変換ユニット11(半導体基板10)上に配置された保護層20を含む。例えば、保護層20は、分離構造13と同一または類似の材料を含むことができるが、本開示はこれに限定されない。さらに、保護層20は、蒸着プロセスによって光電変換ユニット11上に形成されてもよい。蒸着プロセスの例は上述で説明されており、ここでは繰り返さない。
【0046】
図1に示されるように、いくつかの実施形態では、固体撮像素子100は、保護層20の底部に配置された金属グリッド22を含む。より詳細には、金属グリッド22は、分離構造13に対応する。例えば、図1に示されるように、金属グリッド22は、複数の金属グリッドセグメント22Sを有し(または分割されてもよく)、金属グリッドセグメント22Sの中心軸C22は、対応する分離構造13の中心軸C13とオーバーラップすることができるが、本開示は、これに限定されない。金属グリッドセグメント22Sの中心軸C22は、対応する分離構造13の中心軸C13に対してシフトを有することができる。
【0047】
さらに、金属グリッド22は、金(Au)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)など、それらの合金、またはそれらの組み合わせを含むことができるが、本開示はこれらに限定されない。
【0048】
図1に示されるように、固体撮像素子100は、保護層20の上に配置された集光構造30を含む。集光構造30は、ガラス、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン、他の任意の適用可能な材料、またはそれらの組み合わせを含むことができるが、本開示はこれらに限定されない。例えば、集光構造30は、フォトレジストリフロー法、ホットエンボス法、任意の他の適用可能な方法、またはそれらの組み合わせによって形成されることができる。さらに、集光構造30を形成するステップは、スピンコーティングプロセス、リソグラフィプロセス、エッチングプロセス、他の任意の適用可能なプロセス、またはそれらの組み合わせを含むことができるが、本開示はそれに限定されない。
【0049】
図1に示されるように、いくつかの実施形態では、各集光構造30は、光電変換ユニット11の1つに対応するが、本開示はそれに限定されない。いくつかの他の実施形態では、各集光構造30は、2つ以上の光電変換ユニット11に対応する。
【0050】
集光構造30は、マイクロレンズであることができる。例えば、マイクロレンズは、半凸レンズまたは凸レンズを含むことができるが、本開示はこれらに限定されない。集光構造30は、マイクロピラミッド構造(例えば、円錐、四角錐など)、またはマイクロ台形構造(例えば、円錐台、四角錐台など)であってもよい。あるいは、集光構造40は、屈折率勾配(gradient-index)構造であってもよい。
【0051】
図1に示されるように、固体撮像素子100は、光電変換ユニット11の下に配置された反射層40を含む。例えば、反射層は、金(Au)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)など、それらの合金、またはそれらの組み合わせなどの金属を含むことができるが、本開示はこれらに限定されない。同様に、反射層40は、物理蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)、原子層堆積(ALD)、蒸着、スパッタリングなど、またはそれらの組み合わせによって形成されることができる。
【0052】
図1に示されるように、入射光(即ち、透過光TL)が、本開示の実施形態による、固体撮像素子100の光電変換ユニット11に入射するとき、光電変換ユニット11に埋め込まれた変調構造15は、光電変換ユニット11の厚さを増すことなく、入射光の光路(透過光TLと反射光RLの経路を含む)を変えることができる(より長くなるように)。
【0053】
例えば、入射光がより長い波長(例えば、約920nmから約960nm)を有するとき、本開示の実施形態による固体撮像素子100の光電変換効率は、従来の固体撮像素子(変調構造15を含まない)と比較して10%以上増加することができ(光変換効率を正規化する(normalize))、反射率は、例えば1%から15%に低下する可能性がある(反射率を正規化する)。従って、固体撮像素子100の光電変換ユニット11からの画像信号の品質は、光電変換ユニット11の厚さを増やすことなく、向上させることができる。
【0054】
図3A図3B、および図3Cは、本開示の他のいくつかの実施形態による、固体撮像素子100の一部を示す断面図である。例えば、図3A図3B、および図3Cは、図2の線A-A’に沿った固体撮像素子100の一部を示す断面図であることができる。即ち、図3A図3B、または図3Cは、図2に示された固体撮像素子100の断面図として、図1に置き換えることができる。
【0055】
図3Aに示すように、いくつかの実施形態では、変調構造15は、光電変換ユニット11の上部に配置されている。図3Bに示すように、いくつかの実施形態では、変調構造15は、光電変換ユニット11の底部に配置される。図3Aおよび図3Bに示される実施形態では、光電変換ユニット11の上部または底部に変調構造15を形成することは、プロセスステップ(工程)を減少し、プロセス時間(工程所要時間)をさらに減少することができる。
【0056】
図3Cに示すように、いくつかの実施形態では、変調構造15は、光電変換ユニット11の異なる深さに配置される。変調構造15の厚さおよび位置は、実際の必要に応じて調整されることができる。
【0057】
図4Aおよび図4Bは、本開示のいくつかの他の実施形態による、固体撮像素子100の一部の上面図からの光電変換ユニット11および変調構造15の配置を示している。例えば、図1図3A図3B、または図3Cは、図4Aの線B-B’または図4Bの線C-C’に沿った固体撮像素子100の一部を示す断面図であることができるが、本開示はそれらに限定されない。
【0058】
図4Aに示されるように、いくつかの実施形態では、固体撮像素子100の上面図からは、各変調構造15は三角形として形成されている。言い換えれば、変調構造15と対応する光電変換ユニット11との間の境界は、モザイクパターンMPの1つの対角線と重なる。図4Bに示すように、いくつかの実施形態では、固体撮像素子100の上面図からは、各変調構造15は、台形として形成されている。
【0059】
図5は、本開示のいくつかの実施形態による、固体撮像素子102の一部を示す断面図である。図6は、本開示のいくつかの実施形態による、固体撮像素子102の一部の上面図からの光電変換ユニット11および変調構造15の配置を示している。例えば、図5は、図6の線D-D’に沿った固体撮像素子102の一部を示す断面図であることができるが、本開示はそれに限定されない。
【0060】
図5および図6に示された固体撮像素子102は、図1および図2に示された固体撮像素子100と同様の構造を有している。図1および図2に示された固体撮像素子100との主な違いは、固体撮像素子102の上面図(例えば、図6)からは、各モザイクパターンMPでは、変調構造15の面積が、対応する光電変換ユニット11の面積より小さいことである。例えば、変調構造15の面積とモザイクパターンMPの面積との比は、図6の全てのモザイクパターンMPでは約0.33であるが、本開示はこれに限定されない。言い換えれば、図5に示されるように、変調構造15の幅W15と対応する光電変換ユニット11の幅W11との比は、固体撮像素子102の断面図では約0.33である。
【0061】
図7は、本開示のいくつかの他の実施形態による、固体撮像素子104の一部の上面図からの光電変換ユニット11および変調構造15の配置を示している。図7に示された固体撮像素子104の上面図からは、各モザイクパターンMPでは、変調構造15の面積は、対応する光電変換ユニット11の面積より大きい。例えば、変調構造15の面積とモザイクパターンMPの面積との比は、図7の全てのモザイクパターンMPでは約0.66であるが、本開示はこれに限定されない。
【0062】
図8は、本開示のいくつかの他の実施形態による、固体撮像素子106の一部の上面図からの光電変換ユニット11および変調構造15の配置を示している。いくつかの実施形態では、変調構造15は、少なくとも2つの異なるサイズを有する。例えば、図8に示されるように、変調構造15-1および変調構造15-2は、異なるサイズを有する。より詳細には、図8に示された固体撮像素子106の上面図からは、第1の列および第3の列の各モザイクパターンMPでは、変調構造15-1の面積は、対応する光電変換ユニット11の面積より小さく、第2の列および第4の列の各モザイクパターンMPでは、変調構造15-2の面積は、対応する光電変換ユニット11の面積より大きいが、本開示はこれらに限定されない。
【0063】
図9は、本開示のいくつかの他の実施形態による、固体撮像素子108の一部の上面図からの光電変換ユニット11および変調構造15の配置を示している。図9に示されるように、固体撮像素子108の上面からは、モザイクパターンMPは碁盤格子のようなパターン(checkerboard-like pattern)を形成している。より詳細には、各モザイクパターンMPに埋め込まれた2つの変調構造15があることができ、固体撮像素子108の上面図からは、2つの変調構造15は、正方形として形成され、対角線上に配置されることができるが、本開示はこれに限定されない。
【0064】
図10は、本開示のいくつかの他の実施形態による、固体撮像素子110の一部の上面図からの光電変換ユニット11および変調構造15の配置を示している。図10に示されるように、固体撮像素子110の上面図からは、変調構造15(またはモザイクパターンMP)は、複数のクロスパターンを形成している。より詳細には、各モザイクパターンMPに埋め込まれた2つの変調構造15があることができ、固体撮像素子110の上面図からは、同じモザイクパターンMPにある2つの変調構造15は、端点(tip)が互いに向き合った直角三角形として形成することができるが、本開示はこれに限定されない。
【0065】
図11は、本開示のいくつかの他の実施形態による、固体撮像素子112の一部の上面図からの光電変換ユニット11および変調構造15の配置を示している。いくつかの実施形態では、固体撮像素子112の上面図からは、変調構造15は、少なくとも2つの異なる形状を有している。さらに、いくつかの実施形態では、固体撮像素子112の上面図からは、変調構造15は、非周期的な構造を形成している。例えば、図11に示された固体撮像素子112の上面図のように、変調構造15-1、15-3は長方形として形成されることができ、変調構造15-2は直角三角形として形成されることができるが、本開示はこれらに限定されない。
【0066】
さらに、いくつかの実施形態では、固体撮像素子112の上面図からは、変調構造15は、2つの隣接するモザイクパターンMPで異なる形状を有している。言い換えれば、いくつかの実施形態では、固体撮像素子112の上面図からは、変調構造15は、少なくとも2つの異なる形状を有して、非周期的な構造を形成しており、これにより、フレア(petal flare)を効果的に減少することができる。例えば、図11に示された固体撮像素子112の上面図として、(長方形として形成される)変調構造15-1は、モザイクパターンMP1に配置されることができ、(三角形として形成される)変調構造15-2は、隣接するモザイクパターンMP2に配置されることができるが、本開示はそれに限定されない。
【0067】
さらに、いくつかの実施形態では、固体撮像素子112の上面図からは、変調構造15は、2つの垂直方向に延在している。例えば、図11に示された固体画像センサ112の上面図として、各変調構造15-1はY方向に沿って延在し、各変調構造15-3はX方向に沿って延在するが、本開示はこれら限定されない。
【0068】
本開示のいくつかの実施形態によれば、固体撮像素子は、光電変換ユニットおよび光電変換ユニットに埋め込まれた変調構造を含む。固体撮像素子は、光電変換ユニットと光電変換ユニットの上に配置された保護層との間に配置された分離構造も含む。固体撮像素子の上面からは、光電変換ユニットと変調構造はモザイクパターンを形成しており、1つの変調構造の面積と対応するモザイクパターンの面積との比は、約0.1~約0.9の間である。
【0069】
要約すると、本開示の実施形態による固体撮像素子は、光電変換ユニットに埋め込まれた変調構造を含み、光電変換ユニットの厚さを増すことなく、入射光の光路を変えることができ(より長くなるように)、これにより、固体撮像素子の光電変換ユニットからの画像信号の品質を向上させることができる。
【0070】
上述の内容は、当業者が本開示の態様をよりよく理解できるように、いくつかの実施形態の特徴を概説している。当業者は、同じ目的を実行するため、および/または本明細書に導入される実施形態の同じ利点を達成するための他のプロセスおよび構造を設計または修正するための基礎として本開示を容易に使用できることを理解できる。当業者はまた、そのような同等の構造が本開示の精神および範囲から逸脱せず、且つそれらは、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書で様々な変更、置換、および代替を行うことができることを理解するべきである。従って、保護の範囲は請求項を通じて決定される必要がある。さらに、本開示のいくつかの実施形態が上記に開示されているが、それらは、本開示の範囲を限定することを意図していない。
【0071】
本明細書全体にわたる特徴、利点、または同様の用語への言及は、本開示で実現され得る全ての特徴および利点が、本開示の任意の単一の実施形態で実現されるべきまたは実現され得ることを意味するのではない。むしろ、特徴および利点に言及する用語は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、利点、または特性が本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味すると理解される。従って、本明細書全体にわたる特徴および利点、ならびに類似の用語の議論は、必ずしもそうではないが、同じ実施形態を指すことがある。
【0072】
さらに、1つまたは複数の実施形態では、本開示の説明された特徴、利点、および特性は、任意の適切な方法で組み合わせることとしてもよい。当業者は、本明細書の説明に基づいて、特定の実施形態の1つまたは複数の特定の特徴または利点なしに本開示を実施できることを認識するであろう。他の例では、本開示の全ての実施形態に存在しない可能性がある、追加の特徴および利点が特定の実施形態において認識され得る。
【符号の説明】
【0073】
100、102、104、106、108、110 固体撮像素子
10 半導体基板
11 電変換ユニット
13 分離構造
15、15-1、15-2、15-3 変調構造
20 保護層
22 金属グリッド
22S 金属グリッドセグメント
30 集光構造
40 反射層
C13 分離構造の中心軸
C22 金属グリッドセグメントの中心軸
MP、MP1、MP2 モザイクパターン
RL 反射光
W11 光電変換ユニットの幅
W15 変調構造の幅
T15 変調構造の厚さ
TL 透過光
A-A’、B-B’、C-C’ 線
X、Y、Z 座標軸

図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11