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特許7458472プラズマ閉込めシステムおよび使用するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】プラズマ閉込めシステムおよび使用するための方法
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/06 20060101AFI20240322BHJP
   H05H 1/04 20060101ALI20240322BHJP
   G21B 1/05 20060101ALI20240322BHJP
   G21B 1/11 20060101ALN20240322BHJP
【FI】
H05H1/06
H05H1/04
G21B1/05
G21B1/11 Z
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022209618
(22)【出願日】2022-12-27
(62)【分割の表示】P 2019566613の分割
【原出願日】2018-06-07
(65)【公開番号】P2023030156
(43)【公開日】2023-03-07
【審査請求日】2023-01-25
(31)【優先権主張番号】62/516,508
(32)【優先日】2017-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517075883
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ ワシントン
【氏名又は名称原語表記】University of Washington
(73)【特許権者】
【識別番号】508318650
【氏名又は名称】ローレンス・リバモア・ナショナル・セキュリティ・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Lawrence Livermore National Security, LLC
【住所又は居所原語表記】Lawrence Livermore National Laboratory, 7000 East Avenue, L-703, Livermore, CA 94551-9234, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】シュムラク,ユリ
(72)【発明者】
【氏名】マクリーン,ハリー エス.
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン,ブライアン エー.
【審査官】小林 幹
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-517085(JP,A)
【文献】特開昭61-274292(JP,A)
【文献】特表平01-503020(JP,A)
【文献】米国特許第04244782(US,A)
【文献】U. Shumiak et al.,High energy density Z-pinch plasmas using flow stabilization,AIP Conference Proceedings,米国,AIP Publishing,2015年02月17日,Vol. 1639,pp. 76-79
【文献】Harry S. McLean et al.,Development of a Compact Fusion Device based on the Flow Z-Pinch,2016 ARPA-e Annual Review,米国,ARPA-e,2015年08月11日,pp. 1-36,https://arpa-e.energy.gov/sites/default/files/MCLEAN_Reduced_2016.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/00-1/54
G21B 1/00ー3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ閉込めシステムであって、
導電性材料を含む外側電極と、
前記導電性材料が液体状態であるとき、前記外側電極を横切るように前記導電性材料を循環させるように構成されたポンプシステムと、
内側電極と、
前記内側電極と前記外側電極の間に電圧を印加して、前記内側電極と前記外側電極の間にせん断軸方向流れを有するZピンチプラズマを確立させるように構成された電源と、を備え、
前記内側電極の第1の端部が、前記外側電極の第1の端部と前記外側電極の第2の端部との間にあり、
前記内側電極及び前記外側電極が、当該プラズマ閉込めシステムの長手方向軸に対して半径方向に対称性を有する、プラズマ閉込めシステム。
【請求項2】
前記導電性材料は、合金を含む、請求項1に記載のプラズマ閉込めシステム。
【請求項3】
前記内側電極は、炭素系材料、あるいはステンレス鋼、モリブデン、タングステンまたは銅のうちの1つ又は複数を含む、請求項1または2に記載のプラズマ閉込めシステム。
【請求項4】
前記内側電極の前記第1の端部と、前記内側電極の前記第1の端部と反対側の前記内側電極の第2の端部との間に軸方向に位置決めされた1つまたは複数のガスの出入り口をさらに備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のプラズマ閉込めシステム。
【請求項5】
前記内側電極と、前記外側電極の前記第2の端部との間にセラミックの絶縁体をさらに備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のプラズマ閉込めシステム。
【請求項6】
前記内側電極及び前記外側電極は、同軸である、請求項1~5のいずれか一項に記載のプラズマ閉込めシステム。
【請求項7】
前記外側電極は、前記内側電極が占める体積の大部分を取り囲む、請求項1~6のいずれか一項に記載のプラズマ閉込めシステム。
【請求項8】
前記外側電極は、前記内側電極を実質的に取り囲む、請求項1~7のいずれか一項に記載のプラズマ閉込めシステム。
【請求項9】
前記内側電極及び前記外側電極は各々、実質的に円筒形の本体を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載のプラズマ閉込めシステム。
【請求項10】
前記外側電極の前記第1の端部は、前記外側電極の前記第2の端部の反対側にある、請求項1~9のいずれか一項に記載のプラズマ閉込めシステム。
【請求項11】
実質的に環状の断面を有する加速領域が、前記内側電極と前記外側電極との間で半径方向に体積を形成する、請求項1~10のいずれか一項に記載のプラズマ閉込めシステム。
【請求項12】
前記電源は、前記外側電極内に円筒形の体積として形成された堆積領域において前記Zピンチプラズマを維持するように構成される、請求項1~11のいずれか一項に記載のプラズマ閉込めシステム。
【請求項13】
前記プラズマ閉込めシステム内のベース圧力が10-5トール~10-8トールの範囲内になるように、前記プラズマ閉込めシステムの外に空気を送出するように構成されたポンプをさらに備える、請求項1~12のいずれか一項に記載のプラズマ閉込めシステム。
【請求項14】
前記せん断軸方向流れは、前記長手方向軸に対して半径方向にせん断される、請求項1~13のいずれか一項に記載のプラズマ閉込めシステム
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載のプラズマ閉込めシステムを作動させるための方法であって、
前記電源を介して、前記内側電極と前記外側電極の間に前記電圧を印加することと、
前記導電性材料の第1の液体部分を前記プラズマ閉込めシステムの外に移動させることと、を含む、プラズマ閉込めシステムを作動させるための方法。
【請求項16】
前記内側電極と前記外側電極の間に印加される前記電圧は、2kV~30kVの範囲である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記Zピンチプラズマは、900eV~50,000eVの間のイオン温度を呈する、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記Zピンチプラズマは、500eVを超える電子温度を呈する、請求項15~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記Zピンチプラズマは、少なくとも10μsの間、安定を示す、請求項15~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記Zピンチプラズマは、0.1mm~5mmの間の半径を有する、請求項15~19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年6月7日に提出された、米国仮特許出願第62/516,508号の利益を主張しており、その内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれている。
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
【0002】
本発明は、エネルギー省(DOE)によって授与された許可番号DE-AR0000571の下に政府の支援により作成された。政府は、本発明に特定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
そうでないことが本明細書で指摘されなければ、このセクションに記載される題材は、本出願における特許請求の範囲に対する従来技術ではなく、このセクションに含まれるものによって従来技術であると認められるわけでもない。
【0004】
核融合は、2つの原子核を結合するプロセスである。鉄より少ない原子数を有する元素の2つの原子核が融合されたとき、エネルギーが放出される。エネルギーの放出は、反応物と融合反応の生成物との質量のわずかな差によるものであり、ΔE=Δmc2によって決められる。エネルギーの放出はまた、反応原子核の間の、反発する静電力に打ち勝つ反応原子核同士の引きつけ合う強力な核力にも左右される。
【0005】
最も低いプラズマ温度を必要とする融合反応は、ジュウテリウム(1つのプロトンと1つの中性子を含む水素原子核)とトリチウム(1つのプロトンと2つの中性子を含む水素原子核)との間に起きる。この反応は、ヘリウム-4原子核と、中性子を生み出す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
核融合を達成するための1つの手法は、原子炉室の内部でガスを含有する融合反応物を活性化させることである。活性化されたガスは、イオン化を通してプラズマになる。融合するのに十分な温度と密度を有する状態を達成するためにはこのプラズマを閉じ込める必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様は、プラズマ閉込めシステムの長手方向軸の上に配置された丸められた第1の端部を有する内側電極と、内側電極を少なくとも部分的に取り囲む外側電極とを含むプラズマ閉込めシステムである。外側電極は、固体導電シェルと、固体伝導シェル上に配置され、プラズマ閉込めシステムの長手方向軸の上に配置された導電性材料とを含む。導電性材料は、1大気圧で170℃~800℃の範囲内の溶融点を有する。
【0008】
本開示の第2の態様は、プラズマ閉込めシステムを作動させるための方法である。プラズマ閉込めシステムは、プラズマ閉込めシステムの長手方向軸の上に配置された丸められた第1の端部を有する内側電極と、内側電極を少なくとも部分的に取り囲む外側電極とを含む。方法は、プラズマ閉込めシステムにガスを流し込むことと、電源を介して、内側電極と外側電極との間に電圧を印加し、これによりガスの少なくとも一部を(i)外側電極の固体伝導シェル上に配置され、プラズマ閉込めシステムの長手方向軸の上に配置された導電性材料と(ii)内側電極の丸められた第1の端部との間を流れるZピンチプラズマに変換することとを含む。導電性材料は、1大気圧で170℃~800℃の範囲内の溶融点を有する。方法はまた、導電性材料の第1の液体部分をプラズマ閉込めシステムから外に移動させることも含む。導電性材料の第1の液体部分は、Zピンチプラズマの反応生成物を介して加熱される。
【0009】
本開示の第3の態様は、内側電極と、内側電極を少なくとも部分的に取り囲む中間電極と、中間電極を少なくとも部分的に取り囲む外側電極とを含むプラズマ閉込めシステムである。外側電極は、固体伝導シェルと、固体伝導シェル上に配置された導電性材料とを含む。導電性材料は、1大気圧で180℃~800℃の範囲内の溶融点を有する。
【0010】
本開示の第4の態様は、プラズマ閉込めシステムを作動させるための方法である。プラズマ閉込めシステムは、内側電極と、内側電極を少なくとも部分的に取り囲む中間電極と、中間電極を少なくとも部分的に取り囲む外側電極とを含む。方法は、内側電極と中間電極との間の加速領域にガスを流し込むことと、第1の電源を介して、内側電極と中間電極との間に電圧を印加し、これによりガスの少なくとも一部を、実質的に環状の断面を有するプラズマに変換することとを含み、プラズマは、加速領域の中を軸方向に内側電極の第1の端部および外側電極の第1の端部に向かって流れる。方法はまた、第2の電源を介して、内側電極と外側電極との間に電圧を印加して、(i)外側電極の固体伝導シェル上に配置された導電性材料と(ii)内側電極の第1の端部との間を流れるZピンチプラズマを確立することを含む。導電性材料は、1大気圧で180℃~800℃の範囲内の溶融点を有する。方法はまた、導電性材料の第1の液体部分をプラズマ閉込めシステムから外に移動させることも含む。導電性材料の第1の液体部分は、Zピンチプラズマの反応生成物を介して加熱される。
【0011】
「実質的に」または「およそ」という用語が本明細書で使用される場合、それは、説明される特徴、パラメータまたは値を正確に達成する必要はないが、例えば、公差、測定誤差、測定精度の限界および当業者に知られる他の要因を含めたずれや変動が、その特徴が与えることが意図された作用を妨げることのない量で生じる可能性があることを意味している。本明細書に開示される一部の例では、「実質的に」または「およそ」は、説明される値の+/-5%の範囲内を意味している。
【0012】
このような、ならびに他の態様、利点および代替形態は、必要に応じて添付の図面を参照して以下の詳細な記載を読むことによって当業者に明らかになるであろう。さらに、この概要および他の記載ならびにここに提供される図面は、単なる例として本発明を例示することが意図されており、したがってその多くの変形形態も可能であることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一例の実施形態によるプラズマ閉込めシステムの概略断面図である。
図2】一例の実施形態によるプラズマ閉込めシステムの概略断面図である。
図3】一例の実施形態による、プラズマ閉込めシステムを作動させるための方法のブロック図である。
図4】一例の実施形態による、プラズマ閉込めシステムおよび作動のための方法のいくつかの態様を例示する図である。
図5】一例の実施形態による、プラズマ閉込めシステムおよび作動のための方法のいくつかの態様を例示する図である。
図6】一例の実施形態による、プラズマ閉込めシステムおよび作動のための方法のいくつかの態様を例示する図である。
図7】一例の実施形態による、プラズマ閉込めシステムおよび作動のための方法のいくつかの態様を例示する図である。
図8】一例の実施形態による、プラズマ閉込めシステムおよび作動のための方法のいくつかの態様を例示する図である。
図9】一例の実施形態による、プラズマ閉込めシステムおよび作動のための方法のいくつかの態様を例示する図である。
図10】一例の実施形態による、プラズマ閉込めシステムを作動させるための方法のブロック図である。
図11】一例の実施形態による、プラズマ閉込めシステムおよび作動のための方法のいくつかの態様を例示する図である。
図12】一例の実施形態による、プラズマ閉込めシステムおよび作動のための方法のいくつかの態様を例示する図である。
図13】一例の実施形態による、プラズマ閉込めシステムおよび作動のための方法のいくつかの態様を例示する図である。
図14】一例の実施形態による、プラズマ閉込めシステムおよび作動のための方法のいくつかの態様を例示する図である。
図15】一例の実施形態による、プラズマ閉込めシステムおよび作動のための方法のいくつかの態様を例示する図である。
図16】一例の実施形態による、プラズマ閉込めシステムおよび作動のための方法のいくつかの態様を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
プラズマ閉込めシステムおよびその使用のための方法の種々の実施形態が本明細書に開示される。開示される実施形態は、既存のシステムおよび方法と比較したとき、向上したプラズマ安定性、より強固なせん断プラズマ流れ、より小さいZピンチプラズマ半径、より高い磁場および/またはより高いプラズマ温度を促進し得る。開示される実施形態の一部は、プラズマ加速とプラズマ圧縮の独立した制御も同様に呈示する。
【0015】
開示される実施形態の一部の付加的な特徴は、そこに配置された(例えばプラズマ閉込めシステムの長手方向軸の上に配置された)液体電極材料を有する1つまたは複数の電極を含む。液体電極材料は、プラズマ放電から熱を吸収し移動させ、中性子遮へい体を提供し、追加のトリチウムを増殖し、追加の真空汲み出し(排気)を実現し、トリチウム回収媒体を提供することができる。液体電極材料の使用は、例えばプラズマ放電の熱によって生じる(固体)電極の損傷などの問題を軽減するのに役立つ場合がある。液体電極材料が真空チャンバ内のその流れに対して方位角成分および/または軸方向成分を有するように、真空チャンバ(例えば堰付きの壁を横切るように)の中で液体電極材料を循環させることもできる。
【0016】
図1は、プラズマ閉込めシステム100の概略側面図である。プラズマ閉込めシステム100は、プラズマ閉込めシステム100の長手方向軸106(例えば円筒対称の軸)の上に配置された丸められた第1の端部104を有する内側電極102を含む。プラズマ閉込めシステム100はまた、内側電極102を少なくとも部分的に取り囲む外側電極も含む。外側電極は、固体伝導シェル108と、固体伝導シェル108上に配置され、プラズマ閉込めシステム100の長手方向軸106の上に配置された導電性材料110とを含む。導電性材料110は、1大気圧で170℃~800℃(例えば180℃~550℃)の範囲内の溶融点を有する。種々の例では、導電性材料110は、共融合金、合金またはリチウム、鉛またはスズのうちの1つまたは複数の混合物の形態を採る場合がある。
【0017】
内側電極102は一般に、実質的に円筒形の本体を有する導電性のシェル(例えばステンレス鋼、モリブデン、タングステンまたは銅のうちの1つまたは複数で形成された)の形態を採る。内側電極102は、第1の端部104(例えば丸められた端部)と、対向する第2の端部126(例えば実質的にディスク形状の端部)とを含む。第1の端部104は、例えばグラファイトまたはカーボンファイバなどの炭素系材料、あるいはステンレス鋼、モリブデン、タングステンまたは銅のうちの1つまたは複数で形成することができる。いくつかの実施形態において、内側電極102は、1大気圧で180°~800°(例えば180°~550°)の範囲内の溶融点を有する導電性材料を含むコーティングをその外面上に有する。種々の例では、導電性材料は、共融合金、合金、あるいはリチウム、鉛またはスズのうちの1つまたは複数の混合物の形態を採る場合がある。あるいは導電性材料は、元素として存在するのリチウム、鉛またはスズの形態を採る場合もある。
【0018】
プラズマ閉込めシステム100は、内側電極102を長手方向軸106に沿ってプラズマ閉込めシステム100の中に、またはそこから外に移動させるように構成された送り機構112(例えば電気機械システム)をさらに含む。作動中、内側電極102は、プラズマ放電によって腐食する可能性があり、内側電極102とプラズマ閉込めシステム100の他の構成要素との間に相対的な空間を維持するために、内側電極102を送り込むように送り機構112を作動させることができる。
【0019】
プラズマ閉込めシステム100は、プラズマ閉込めシステム100の作動中、内側電極102を冷却するように構成された冷却システム114(例えば熱交換器)をさらに含む。
【0020】
外側電極は一般に、実質的に円筒形の本体を有する導電性の(例えばステンレス鋼)のシェルの形態を採る。外側電極の固体伝導シェル108は、固体伝導外側シェル132と、固体伝導外側シェル132の中に配置され、固体伝導外側シェル132と接触する固体内側シェル134(導電性材料、またはシリコンカーバイドなどの高い抵抗性材料で形成された)とを含む。より具体的には、固体内側シェル134は、プラズマ閉込めシステム100の長手方向軸106を少なくとも部分的に取り巻く(例えば内側電極102を部分的に取り巻く)軸方向の壁136と、軸方向の壁136を固体伝導外側シェル132に結合する半径方向の壁138とを含む。
【0021】
外側電極は、第1の端部120と、対向する第2の端部122とを含む。内側電極102の丸められた第1の端部104は、外側電極の第1の端部120(例えば実質的にディスク形状の端部)と外側電極の第2の端部122(例えば実質的に環状の端部)との間にある。半径方向の壁138と外側電極の第1の端部120は、プラズマ閉込めシステム100内にプール領域140を形成する。プール領域140は、プラズマ閉込めシステム100の中にあるかなりの量の(例えば液体の)導電性材料110のための貯蔵槽として機能する。示されるように、導電性材料110はまた、以下でより詳細に考察するように、ポンプ150および/またはポンプ156によって軸方向の壁136の端部148を横切るように循環させることもできる。
【0022】
外側電極は、(すなわち固体伝導シェル108および導電性材料110)は、内側電極102のほとんどを取り囲む。内側電極102と外側電極は、同軸であってよく、長手方向軸106に対して半径方向の対称性を有してよい。
【0023】
プラズマ閉込めシステム100はまた、熱交換器142と、熱交換器142からプール領域140に導電性材料110を誘導するように構成された第1の出入り口144と、プール領域140から熱交換器142に導電性材料110を誘導するように構成された第2の出入り口146とを含む。熱交換器142は、第2の出入り口146を通して、プラズマ閉込めシステム100内で加熱された導電性材料110を受け取り、導電性材料110から熱を抜き取り、プラズマ閉込めシステム100の中で起こる融合反応によって再び加熱されるように、第1の出入り口144を通して導電性材料110をプール領域140に戻るように移動させる(例えばポンプで汲み上げる)ように構成される。図1では、第1の出入り口144は、第2の出入り口146より上に示されているが、他の例では、第2の出入り口146が第1の出入り口144より上である場合もある。当業者は、種々の例において、出入り口144と146は様々な相対的な位置を有する場合があることを認識するであろう。
【0024】
上記で指摘したように、軸方向の壁136は、外側電極の第2の端部122に面する端部148を含む。プラズマ閉込めシステム100はまた、プール領域140から、軸方向の壁136の外側であり半径方向の壁138によってプール領域140から隔てられた領域152に導電性材料110を移動させるように構成された第1のポンプ150も含む。第1のポンプ150は、軸方向の壁136の端部148を横切って軸方向の壁136の内側の領域154に導電性材料110を移動させるように構成される。
【0025】
プラズマ閉込めシステム100はまた、プール領域140から、軸方向の壁136の外側にあり半径方向の壁138によってプール領域140から隔てられた領域152に導電性材料110を移動させるように構成された第2のポンプ156も含む。
【0026】
プラズマ閉込めシステム100はまた、プラズマ閉込めシステム100の中のベース圧力が10-5~10-8トールの範囲内になるように、プラズマ閉込めシステム100の外に空気を汲み出すように構成されたポンプ170(例えばターボ分子ポンプ)も含む。
【0027】
プラズマ閉込めシステム100はまた、ガス源128(例えば加圧されたガスタンク)から、半径方向に内側電極102と外側電極との間にある加速領域121にガス(例えばトリチウム、ジュウテリウム、ヘリウム-3、水素、ホウ素含有ガスまたはボラン)を誘導するように構成された1つまたは複数のガスの出入り口116も含む。加速領域121は、内側電極102および固体伝導シェル108の形状によって画定された実質的に環状の断面を有する。図1に示されるように、1つまたは複数のガスの出入り口116は、内側電極102の第1の端部104と内側電極102の第2の端部126との間に軸方向に位置決めされる。
【0028】
プラズマ閉込めシステム100はまた、内側電極102と外側電極(固体伝導シェル108)との間に電圧を印加するように構成された電源118も含む。電源118は一般に、例えば500kJまで、または3~4MJまでの蓄積が可能なコンデンサバンクの形態を採る。電源118の正端子は、内側電極102に結合される場合、または代替として外側電極(例えば固体伝導シェル108)に結合される場合もある。
【0029】
プラズマ閉込めシステム100は、内側電極102の第1の端部104と外側電極の第1の端部120との間で外側電極の範囲内に堆積領域124を含む。プラズマ閉込めシステム100は、以下に記載するように堆積領域124の中でZピンチプラズマを維持するように構成されている。
【0030】
プラズマ閉込めシステム100はまた、内側電極102と外側電極との間の電気的な隔離を維持するために、外側電極(例えば固体伝導シェル108)の第2の端部122と内側電極102との間に絶縁体117を含む。絶縁体117(例えばセラミック材料)は一般に、環状の断面を有する。
【0031】
図2は、プラズマ閉込めシステム200の概略断面図である。プラズマ閉込めシステム200は、以下に記載される違いがあるが、プラズマ閉込めシステム100の特徴のうちのいくつかを有することができる。プラズマ閉込めシステム100とプラズマ閉込めシステム200の1つの違いは、以下に記載するようにプラズマ閉込めシステム200の一部としての中間電極205の存在である。
【0032】
プラズマ閉込めシステム200は、内側電極202と、内側電極202を少なくとも部分的に取り囲む中間電極205(例えば実質的に環状の電極)と、中間電極205を少なくとも部分的に取り囲む外側電極とを含む。外側電極は、固体伝導シェル208と、固体伝導シェル208上に(例えば長手方向軸206上に)配置された導電性材料210とを含む。導電性材料210は、1大気圧で180℃~800℃(例えば180℃~550℃)の範囲内の溶融点を有する。種々の例では、導電性材料210は、共融合金、合金、あるいはリチウム、鉛またはスズのうちの1つまたは複数の混合物の形態を採る場合がある。
【0033】
内側電極202は一般に、実質的に円筒形の本体を有する導電性のシェル(例えばステンレス鋼、モリブデン、タングステンまたは銅のうちの1つまたは複数で形成された)の形態を採る。内側電極202は、第1の端部204(例えば丸められた端部)と、対向する第2の端部226(例えば実質的にディスク形状の端部)とを含む。第1の端部204は、例えばグラファイトまたはカーボンファイバなどの炭素系材料、あるいはステンレス鋼、モリブデン、タングステンまたは銅のうちの1つまたは複数で形成される場合がある。いくつかの実施形態において、内側電極202は、1大気圧で180°~800°(例えば180°~550°)の範囲内の溶融点を有する導電性材料を含むコーティングをその外面上に有する。種々の例では、導電性材料は、共融合金、合金あるいはリチウム、鉛またはスズのうちの1つまたは複数の混合物の形態を採る場合がある。
【0034】
中間電極205は、外側電極の第1の端部220と外側電極の第2の端部222との間に第1の端部227(例えば実質的に環状の端部)を含む。中間電極205はまた、実質的に環状の対向する第2の端部223も含む。
【0035】
プラズマ閉込めシステム200は、内側電極202を長手方向軸206に沿ってプラズマ閉込めシステム200内に、またはそこから外に移動させるように構成された送り機構212(例えば電気機械システム)をさらに含む。作動中、内側電極202は、プラズマ放電によって腐食する可能性があり、内側電極202とプラズマ閉込めシステム200の他の構成要素との間に相対的な空間を維持するために、内側電極202を送り込むように送り機構212を作動させることができる。
【0036】
プラズマ閉込めシステム200は、プラズマ閉込めシステム200の作動中、内側電極202を冷却するように構成された冷却システム214(例えば熱交換器)をさらに含む。
【0037】
外側電極は一般に、実質的に円筒形の本体を有する導電性の(例えばステンレス鋼)シェルの形態を採る。外側電極の固体伝導シェル208は、固体伝導外側シェル232と、固体伝導外側シェル232上に配置され、固体伝導外側シェル232と接触する固体内側シェル234(例えば導電性材料、またはシリコンカーバイドなど高い抵抗性の材料で形成された)とを含む。より具体的には、固体内側シェル234は、プラズマ閉込めシステム200の長手方向の軸206を少なくとも部分的に取り巻く(例えば内側電極202を部分的に取り巻く)軸方向の壁236と、軸方向の壁236を固体伝導外側シェル232に結合する半径方向の壁238とを含む。
【0038】
外側電極は、第1の端部220と、対向する第2の端部222とを含む。内側電極202の丸められた第1の端部204は、外側電極の第1の端部220(例えば実質的にディスク形状の端部)と外側電極の第2の端部222(例えば実質的に円形または環状の端部)との間にある。半径方向の壁238と外側電極の第1の端部220は、プラズマ閉込めシステム200の内部にプール領域240を形成する。プール領域240は、プラズマ閉込めシステム200の中にあるかなりの量の(例えば液体の)導電性材料210のための貯蔵槽として機能する。示されるように、導電性材料210はまた、以下でより詳細に考察するように、ポンプ250および/またはポンプ256によって軸方向の壁236の端部248を横切るように循環させることもできる。
【0039】
外側電極は、(すなわち固体伝導シェル208および導電性材料210)は、内側電極202のほとんどを取り囲む。内側電極202と外側電極は、同軸であってよく、長手方向軸206に対して半径方向の対称性を有してよい。
【0040】
プラズマ閉込めシステム200はまた、熱交換器242と、熱交換器242からプール領域240に導電性材料210を誘導するように構成された第1の出入り口244と、プール領域240から熱交換器242に導電性材料210を誘導するように構成された第2の出入り口246とを含む。熱交換器242は、第2の出入り口246を通して、プラズマ閉込めシステム200内で加熱された導電性材料210を受け取り、導電性材料210から熱を抜き取り、プラズマ閉込めシステム200の中で起こる融合反応によって再び加熱されるように、第1の出入り口244を通して導電性材料210をプール領域240に戻るように移動させる(例えばポンプで汲み上げる)ように構成される。図2では、第1の出入り口244は、第2の出入り口246より上に示されているが、他の例では、第2の出入り口246が第1の出入り口244より上である場合もある。当業者は、種々の例において、出入り口244と246は様々な相対的な位置を有する場合があることを認識するであろう。
【0041】
上記で指摘したように、軸方向の壁236は、外側電極の第2の端部222に面する端部248を含む。プラズマ閉込めシステム200はまた、プール領域240から、軸方向の壁236の外側であり半径方向の壁238によってプール領域240から隔てられた領域252に導電性材料210を移動させるように構成された第1のポンプ250も含む。第1のポンプ250は、軸方向の壁236の端部248を横切って軸方向の壁236の内側の領域254に導電性材料210を移動させるように構成される。
【0042】
プラズマ閉込めシステム200はまた、プール領域240から、軸方向の壁236の外側にあり半径方向の壁238によってプール領域240から隔てられた領域252に導電性材料210を移動させるように構成された第2のポンプ256も含む。
【0043】
プラズマ閉込めシステム200はまた、プラズマ閉込めシステム200の中のベース圧力が10-5~10-8トールの範囲内になるように、プラズマ閉込めシステム200の外に空気を汲み出すように構成されたポンプ270(例えばターボ分子ポンプ)も含む。
【0044】
プラズマ閉込めシステム200はまた、ガス源228(例えば加圧されたガスタンク)から、半径方向に内側電極202と中間電極205との間にある加速領域218にガス(例えばトリチウム、ジュウテリウム、ヘリウム-3、水素、ホウ素含有ガスまたはボラン)を誘導するように構成された1つまたは複数のガスの出入り口216も含む。加速領域218は、内側電極202および中間電極205の形状によって画定された実質的に環状の断面を有する。図2に示されるように、1つまたは複数のガスの出入り口216は、内側電極202の第1の端部204と内側電極102の第2の端部226との間に軸方向に位置決めされる。
【0045】
プラズマ閉込めシステム200はまた、内側電極102と中間電極205との間に電圧を印加するように構成された電源218も含む。電源218は一般に、例えば500kJまで、または3~4MJまでの蓄積が可能なコンデンサバンクの形態を採る。電源218の正端子は、内側電極102に結合される場合、または代替として中間電極205に結合される場合もある。
【0046】
プラズマ閉込めシステム200はまた、内側電極102と外側電極(例えば固体伝導シェル208)との間に電圧を印加するように構成された電源219も含む。電源219は一般に、例えば500kJまで、または3~4MJまでの蓄積が可能なコンデンサバンクの形態を採る。電源219の正端子は、内側電極102に結合される場合、または代替として外側電極(例えば固体伝導シェル208)に結合される場合もある。
【0047】
プラズマ閉込めシステム200は、内側電極202の第1の端部204と外側電極の第1の端部220との間で外側電極の範囲内に堆積領域224を含む。
プラズマ閉込めシステム200は、以下に記載するように堆積領域224の中でZピンチプラズマを維持するように構成されている。
【0048】
プラズマ閉込めシステム200はまた、内側電極202と中間電極205との間の電気的な隔離を維持するために、中間電極205の第2の端部223と内側電極202との間に絶縁体217を含む。絶縁体217(例えばセラミック材料)は一般に、環状の断面を有する。
【0049】
プラズマ閉込めシステム200はまた、固体伝導シェル208と中間電極205との間の電気的な隔離を維持するために、固体伝導シェル208と中間電極205との間にも絶縁体229を含む。絶縁体229(例えばセラミック材料)は一般に、環状の断面を有する。
【0050】
図3は、プラズマ閉込めシステム(例えばプラズマ閉込めシステム100)を作動させるための方法300のブロック図である。プラズマ閉込めシステムは、プラズマ閉込めシステムの長手方向軸の上に配置された丸められた第1の端部を有する内側電極と、内側電極を少なくとも部分的に取り囲む外側電極とを含む。図4図9は、以下に記載するように方法300の態様の一部を例示している。図4図9は、水平方向に位置合わせされたプラズマ閉込めシステム100の長手方向軸106を示しているが、実際には、長手方向軸106は一般に垂直方向に位置合わせされる。
【0051】
ブロック302において、方法300は、プラズマ閉込めシステムにガスを流し込むことを含む。
【0052】
図4に示されるように、例えば1つまたは複数のガスの出入り口116が、ガス310(例えばトリチウム、ジュウテリウム、ヘリウム-3、水素、ホウ素含有ガスまたはボランのうちの1つまたは複数)を、内側電極102と内側電極102を概ね取り囲む外側電極(例えば固体伝導シェル108)との間の加速領域121に誘導することができる。図4は、最初の量のガス310が加速領域121に進入するのを示しており、図5は、その後、追加の量のガス310が加速領域121に進入するのを示している。
【0053】
ガス310が流れた後、加速領域121の中の1つまたは複数のガスの出入り口116に隣接するガス圧は、電源118を介して内側電極102と外側電極(例えば固体伝導シェル108)との間の電圧が印加される前は1000から5800トール(例えば5450~5550トール)の範囲内であり得る。
【0054】
ブロック304において、方法300は、電源を介して、内側電極と外側電極との間に電圧を印加し、これにより、ガスの少なくとも一部を(i)外側電極の固体伝導シェルの上およびプラズマ閉込めシステムの長手方向軸の上に配置された導電性材料と(ii)内側電極の丸められた第1の端部との間を流れるZピンチプラズマに変換することを含む。導電性材料は、1大気圧で170℃~800℃(例えば180℃~550℃)の範囲内の溶融点を有する。
【0055】
例えば図6図9を参照すると、電源118は、内側電極102と外側電極(例えば固体伝導シェル108)との間に電圧を印加し、これによりガス310の少なくとも一部を(i)外側電極の固体伝導シェル108の上およびプラズマ閉込めシステム100の長手方向軸106上に配置された導電性材料110と(ii)内側電極102の丸められた第1の端部104との間を流れるZピンチプラズマ318に変換することができる。
【0056】
例えば電源118は、内部電極102と固体伝導シェル108との間に電圧を印加し、これによりガス310の少なくとも少なくとも一部を実質的に環状の断面を有するプラズマ316(図6図9を参照)に変換することができる。その独自の電流によって生成される磁場により、プラズマ316は、図6図9に順を追って示されるように、加速領域121内を軸方向に内側電極102の第1の端部104および外側電極の第1の端部120に向かって流れてよい。
【0057】
図8および図9に示されるように、プラズマ316が加速領域121を越えて移動する際、Zピンチプラズマ318が、堆積領域124内で、(i)外側電極の固体伝導シェル108上およびプラズマ閉込めシステム100の長手方向軸106上に配置された導電性材料110と(ii)内側電極102の丸められた第1の端部104との間に確立される。
【0058】
Zピンチプラズマ318は、せん断軸方向流れを呈し、0.1mmから5mmの間の半径、900~50,000eVの間のイオン温度、500eVを超える(例えば50,000eVまでの)電子温度、1x1023イオン/m3を超えるイオン数密度、1x1023電子/m3を超える電子数密度、8Tを超える磁場を有することができる、および/または少なくとも10μsの間安定している場合もある。
【0059】
ブロック306では、方法300は、導電性材料の第1の液体部分をプラズマ閉込めシステムから外に移動させることを含む。導電性材料の第1の液体部分は、Zピンチプラズマの反応生成物(例えば中性子および他の高エネルギー粒子)を介して加熱される。
【0060】
熱交換器142が、第2の出入口146を通して、プラズマ閉込めシステム100内で加熱される導電性材料110の一部を受け取り、導電性材料110から熱を抜き取り、プラズマ閉込めシステム100の中で起こる融合反応によって再び加熱されるように、第1の出入口144を通して導電性材料110をプール領域140に戻るように移動させる(例えばポンプで汲み上げる)ことができる。プラズマ閉込めシステム100内にプラズマ放電を形成する前に、導電性材料110は一般にプラズマ閉込めシステム100の中に配置された(例えば電気の)加熱要素を利用して液体状態になるように加熱される(例えば溶解される)。
【0061】
プラズマ閉込めシステム100は、内側電極102を長手方向軸106に沿ってプラズマ閉込めシステム100内に、またはそこから外に移動させることができる送り機構112(例えば電気機械システム)を含む。作動中、内側電極102は、プラズマ放電によって腐食する可能性があり、内側電極102とプラズマ閉込めシステム100の他の構成要素との間に相対的な空間を維持するために、内側電極102を送り込むように送り機構112を作動させることができる。
【0062】
加えて、ポンプ150および156は、導電性材料110を外側電極(例えば固体伝導シェル108)を横切るように移動させる、または循環させることができ、その結果、導電性材料110の異なる部分を使用して、経時的にZピンチプラズマ318から電流および/または熱を(例えば長手方向軸106において)吸収することができる。プラズマ閉込めシステム100の作動中、導電性材料110のほとんど、またはその全ては概ね、液体状態である。
【0063】
いくつかの実施形態において、ポンプ150および156は、外側電極を横切るように(例えば固体伝導シェル108を横切るように)移動された導電性材料110が、プラズマ閉込めシステム100の長手方向軸106に対して方位角方向に(例えばそのページの中へ、および/またはそのページから外に)、および/または軸方向に移動させられるように導電性材料110を移動させる。
【0064】
より具体的には、ポンプ150または156は、導電性材料110を、プール領域140から、軸方向の壁136の外側にあり半径方向の壁138によってプール領域140から隔てられた領域152に移動させることができる。加えて、ポンプ150または156は、導電性材料110を、軸方向の壁136の端部148を横切って軸方向の壁136の内側の領域154に移動させ、またプール領域140に向かって戻るように移動させることもできる。
【0065】
種々の実施形態において、内側電極102と外側電極(例えば固体伝導シェル108)との間に印加される電圧は、2kV~30kVの範囲内である。内側電極102と外側電極(例えば固体伝導シェル108)との間に印加される電圧は、30kV/mから500kV/mの範囲内で半径方向の電場を生じさせることができる。
【0066】
いくつかの実施形態において、Zピンチプラズマ318は、0.1mmから5mmの間の半径、900から50,000eVの間のイオン温度および500eVを超える(例えば50,000eVまでの)電子温度を有する。Zピンチプラズマ318は、1x1023イオン/m3を超えるイオン数密度、または1x1023電子/m3を超える電子数密度を有することができ、8Tを超える磁場を有するせん断流れを呈することができる。Zピンチプラズマ318は、少なくとも10μsの間安定を示す場合もある。
【0067】
いくつかの実施形態において、Zピンチプラズマ318の反応生成物は、中性子を含む。したがってプラズマ閉込めシステム100の作動中、中性子および導電性材料110の一部は、熱交換器142において回収するための追加のトリチウム燃料を生成するために消費される場合がある。導電性材料110の反応性質はまた、蒸気粒子を捕らえることによって、プラズマ閉込めシステム100内のベース圧力を低減させるような役割を果たす場合もある。
【0068】
一部の実施形態は、熱交換器142が導電性材料110を熱交換器142からプール領域140に移動させる速度を調節することによって、または導電性材料110がプール領域140から熱交換器142に移動する速度を調節することによって、固体伝導シェル108上の導電性材料110の厚さを制御することを含む。導電性材料110がプール領域140に流れ込む速度を上げることは大抵、固体伝導シェル108上の導電性材料110の厚さを拡大することになる。導電性材料110がプール領域140を出て熱交換器142へと流れる速度を上げることは大抵、固体伝導シェル108上の導電性材料110の厚さを縮小することになる。
【0069】
図10は、プラズマ閉込めシステム(例えばプラズマ閉込めシステム200)を作動させるための方法1000のブロック図である。プラズマ閉込めシステムは、内側電極と、内側電極を少なくとも部分的に取り囲む中間電極と、中間電極を少なくとも部分的に取り囲む外側電極とを含む。図11図16は、以下に記載するように、方法1000の態様の一部を例示している。図11図16は、水平方向に位置合わせされたプラズマ閉込めシステム200の長手方向軸206を示しているが、実際には長手方向軸206は一般に垂直方向に位置合わせされる。
【0070】
ブロック1002において、方法1000は、内側電極と中間電極との間の加速領域にガスを流し込むことを含む。
【0071】
図11に示されるように、例えば1つまたは複数のガスの出入り口216が、ガス310(例えばトリチウム、ジュウテリウム、ヘリウム-3、水素、ホウ素含有ガスまたはボランのうちの1つまたは複数)を、内側電極202と内側電極202を部分的に取り囲む中間電極205との間の加速領域221に誘導することができる。図11は、最初の量のガス310が加速領域221に進入するのを示しており、図12は、その後、追加の量のガス310が加速領域221に進入するのを示している。
【0072】
ガス310が流れた後、加速領域221の中の1つまたは複数のガスの出入り口216に隣接するガス圧は、電源218を介して内側電極102と中間電極205との間の電圧が印加される前は1000から5800トール(例えば5450~5550トール)の範囲内であり得る。
【0073】
ブロック1004において、方法1000は、第1の電源を介して、内側電極と中間電極との間に電圧を印加し、これによりガスの少なくとも一部を実質的に環状の断面を有するプラズマに変換し、プラズマは、加速領域の中を軸方向に内側電極の第1の端部および外側電極の第1の端部に向かって流れることを含む。
【0074】
図11図14を参照すると、例えば電源218は、内側電極202と中間電極205との間に電圧を印加し、それによりガス310の少なくとも一部を実質的に環状の断面を有するプラズマ316に変換することができる。プラズマ316は、加速領域221内を軸方向に、内側電極202の第1の端部204および外側電極の第1の端部220に向かって流れることができる。その独自の電流によって生成される磁場により、プラズマ316は、図11図14に順を追って示されるように、加速領域121内を軸方向に内側電極202の第1の端部204および外側電極の第1の端部220に向かって流れることができる。
【0075】
ブロック1006において、方法1000は、第2の電源を介して、内側電極と外側電極との間に電圧を印加することで(i)外側電極の固体伝導シェル上に配置された導電性材料と(ii)内側電極の第1の端部との間を流れるZピンチプラズマを確立することを含む。導電性材料は、1大気圧で180℃~800℃(例えば180℃~550℃)の範囲内の溶融点を有する。
【0076】
図15および図16を参照すると、例えば、電源219は、内側電極202と外側電極(例えば固体伝導シェル208)との間に電圧を印加することで、(i)外側電極の固体伝導シェル208上に配置された導電性材料210と(ii)内側電極202の第1の端部204との間を流れるZピンチプラズマ318を確立することができる。導電性材料210は、1大気圧で180℃~800℃(例えば180℃~550℃)の範囲内の溶融点を有する。
【0077】
図15および図16に示されるように、プラズマ316が加速領域221を越えて移動する際、Zピンチプラズマ318が、堆積領域224内で、(i)外側電極の固体伝導シェル208上およびプラズマ閉込めシステム200の長手方向軸206上に配置された導電性材料210と(ii)内側電極202の丸められた第1の端部204との間に確立される。
【0078】
Zピンチプラズマ318は、せん断軸方向流れを呈し、0.1mmから5mmの間の半径、900~50,000eVの間のイオン温度、500eVを超える(例えば50,000eVまでの)電子温度、1x1023イオン/m3を超えるイオン数密度、1x1023電子/m3を超える電子数密度、8Tを超える磁場を有することができる、および/または少なくとも10μsの間安定している場合もある。
【0079】
ブロック1008において、方法1000は、導電性材料の第1の液体部分をプラズマ閉込めシステムから外に移動させることを含む。導電性材料の第1の液体部分は、Zピンチプラズマの反応生成物を介して加熱される。
【0080】
図2を参照すると、例えば、熱交換器242が、第2の出入口246を通して、プラズマ閉込めシステム200内で加熱される導電性材料210の一部を受け取り、導電性材料210から熱を抜き取り、プラズマ閉込めシステム200の中で起こる融合反応によって再び加熱されるように、第1の出入口244を通して導電性材料210をプール領域240に戻るように移動させる(例えばポンプで汲み上げる)ことができる。プラズマ閉込めシステム200内にプラズマ放電を形成する前に、導電性材料210は一般にプラズマ閉込めシステム200の中に配置された(例えば電気の)加熱要素を利用して液体状態になるように加熱される(例えば溶解される)。
【0081】
プラズマ閉込めシステム200は、内側電極202を、長手方向軸206に沿ってプラズマ閉込めシステム200内に、またはそこから外に移動させることができる送り機構212(例えば電気機械システム)を含む。作動中、内側電極202は、プラズマ放電によって腐食する可能性があり、内側電極202とプラズマ閉込めシステム200の他の構成要素との間に相対的な空間を維持するために、内側電極202を送り込むように送り機構212を作動させることができる。
【0082】
加えて、ポンプ250および256は、導電性材料210を外側電極(例えば固体伝導シェル208)を横切るように移動させる、または循環させることができ、その結果、導電性材料210の異なる部分を使用して、経時的にZピンチプラズマ318から電流および/または熱を(例えば長手方向軸106において)吸収することができる。プラズマ閉込めシステム200の作動中、導電性材料210のほとんど、またはその全ては概ね液体状態である。
【0083】
いくつかの実施形態において、ポンプ250および256は、外側電極を横切るように(例えば固体伝導シェル208を横切るように)移動される導電性材料210が、プラズマ閉込めシステム100の長手方向軸206に対して方位角方向に(例えばそのページ内へ、および/またはそのページから外に)、および/または軸方向に移動させられるように導電性材料210を移動させる。
【0084】
より具体的には、ポンプ250または256は、導電性材料210を、プール領域240から、軸方向の壁236の外側にあり半径方向の壁238によってプール領域240から隔てられた領域252に移動させることができる。加えて、ポンプ250または256は、導電性材料210を、軸方向の壁236の端部248を横切って軸方向の壁236の内側の領域254に移動させ、またプール領域240に向かって戻るように移動させることもできる。
【0085】
種々の実施形態において、内側電極202と外側電極(例えば固体伝導シェル108)との間、または内側電極202と中間電極205との間に印加される電圧は、2kV~30kVの範囲内である。印加される電圧は、30kV/mから500kV/mの範囲内で半径方向の電場を生じさせることができる。
【0086】
一実施形態において、Zピンチプラズマ318は、0.1mmから5mmの間の半径、900~50,000eVの間のイオン温度、および500eVを超える(例えば50,000eVまでの)電子温度を有する。Zピンチプラズマ318は、1x1023イオン/m3を超えるイオン数密度または1x1023電子/m3を超える電子数密度を有することができ、また8Tを超える磁場を有するせん断流れを呈する場合もある。Zピンチプラズマ318は、少なくとも10μsの間安定を示す場合もある。
【0087】
いくつかの実施形態において、Zピンチプラズマ318の反応生成物は、中性子を含む。したがってプラズマ閉込めシステム200の作動中、中性子および導電性材料210の一部は、熱交換器242において回収するための追加のトリチウム燃料を生成するために消費される場合がある。導電性材料210の反応性質はまた、蒸気粒子を捕らえることによって、プラズマ閉込めシステム200内のベース圧力を低減させるような役割を果たす場合もある。
【0088】
一部の実施形態は、熱交換器242が導電性材料210を熱交換器242からプール領域240に移動させる速度を調節することによって、または導電性材料210がプール領域240から熱交換器242に移動する速度を調節することによって、固体伝導シェル208上の導電性材料210の厚さを制御することを含む。導電性材料210がプール領域240に流れ込む速度を上げることは大抵、固体伝導シェル208上の導電性材料210の厚さを拡大することになる。導電性材料210がプール領域240を出て熱交換器242へと流れる速度を上げることは大抵、固体伝導シェル208上の導電性材料210の厚さを縮小することになる。
【0089】
種々の一例の態様および一例の実施形態を本明細書で開示してきたが、他の態様および実施形態が当業者には明らかであろう。本明細書に開示される種々の一例の態様および一例の実施形態は、例示の目的のためであり、限定することは意図されておらず、真の範囲および精神は以下の特許請求の範囲によって指摘されている。
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