(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】電動パーキング機構
(51)【国際特許分類】
B60T 1/06 20060101AFI20240322BHJP
F16H 63/34 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
B60T1/06 G
F16H63/34
(21)【出願番号】P 2022539236
(86)(22)【出願日】2020-01-10
(86)【国際出願番号】 CN2020071267
(87)【国際公開番号】W WO2021128494
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-07-13
(31)【優先権主張番号】201911364191.9
(32)【優先日】2019-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】511268454
【氏名又は名称】ジン-ジン エレクトリック テクノロジーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(74)【代理人】
【氏名又は名称】池本 理絵
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジャンウェン
(72)【発明者】
【氏名】スン,ラン
(72)【発明者】
【氏名】ジン,リナ
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-056484(JP,A)
【文献】国際公開第2018/232121(WO,A1)
【文献】特表2016-511382(JP,A)
【文献】特開2011-098677(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0346004(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110425277(CN,A)
【文献】中国実用新案第208951285(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 1/06
F16H 63/34-63/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動パーキング機構であって、
パーキングカムアセンブリ、ポールアセンブリ及びパーキングギアを含み、
前記パーキングカムアセンブリは、パーキングガイド軸及びパーキングカムを含み、前記パーキングカムが前記パーキングガイド軸に外装されており、前記パーキングカムの一側には、周方向に弧状の突起が設けられており、
前記ポールアセンブリは、ポール、ポール軸を含み、前記ポールの上部が、前記パーキングカムにおける前記弧状の突起が設けられた側に接触可能であり、前記ポール軸が前記ポールの一側に設けられており、前記ポールが前記ポール軸周りに回転可能であり、
前記パーキングギアについては、前記ポールアセンブリが、前記パーキングカムの回転に伴って、前記パーキングギアにパーキングインする第一の位置、及び、前記パーキングギアからパーキングアウトする第二の位置にそれぞれ位置することに応じて、前記パーキングギアが固定又は回転可能であ
り、
前記パーキングカムの突起部には、前記パーキングガイド軸の軸方向に沿って延びた周方向輪郭が設けられており、前記弧状の突起が前記周方向輪郭の外辺側に設けられており、かつ、前記パーキングカムアセンブリが、軸方向位置規制ブロック、パーキングカム位置規制プレートを更に含み、
前記パーキングカム位置規制プレートが前記パーキングガイド軸に固定されており、前記軸方向位置規制ブロックが前記パーキングガイド軸に締まりばめして外装されており、前記パーキングカムが、前記軸方向位置規制ブロックと前記パーキングカム位置規制プレートとの間の前記パーキングガイド軸に外装されており、前記パーキングカム位置規制プレートは、前記パーキングカムを回転させることが可能である、ことを特徴とする電動パーキング機構。
【請求項2】
前記パーキングカム位置規制プレートは、少なくとも、間隔を置いて設けられた第一のブレード部及び第二のブレード部を含み、前記第一のブレード部及び第二のブレード部が前記突起部の両側にそれぞれ設けられており、前記第一のブレード部における前記突起部に向いた側には、第一のばね柱が設けられており、前記突起部には、対応する第二のばね柱が設けられており、前記第一のばね柱及び前記第二のばね柱には、ばねが外装されており、前記第二のブレード部には、前記突起部の他側に当接する湾曲爪が形成されている、ことを特徴とする請求項
1に記載の電動パーキング機構。
【請求項3】
前記パーキングガイド軸は、一端が平軸であり、他端が丸軸であり、前記パーキングガイド軸がギアボックスの筐体を貫通し、前記パーキングガイド軸の平軸端が、前記パーキングガイド軸を回転させるパーキングモータに接続されている、ことを特徴とする請求項
1に記載の電動パーキング機構。
【請求項4】
前記パーキングカムアセンブリは、スラストベアリングを更に含み、前記スラストベアリングが前記パーキングガイド軸に外装されており、かつ、前記スラストベアリングの外縁がギアボックスの左側筐体に締まりばめして固定されている、ことを特徴とする請求項
1に記載の電動パーキング機構。
【請求項5】
前記ポールアセンブリは、ローラ、ローラピン、ねじりばねを更に含み、
前記ポールの上部に凹溝が設けられており、前記ローラが前記ローラピンを介して前記凹溝内に固定されており、前記ローラが前記パーキングカムに接触し、前記ポールの下部には、前記パーキングギアと噛合可能なバンプが設けられており、前記ポールの一側が前記ポール軸に外装されており、前記ポール軸がギアボックスの両側の筐体に固定されており、前記ポールが前記ポール軸周りに回転可能であり、前記ねじりばねは、一端がギアボックスの筐体に固定され、他端が前記ポールに固定されていることで、前記ポールが前記パーキングカムに予め押し付けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の電動パーキング機構。
【請求項6】
前記電動パーキング機構は、機械式のロック解除装置を更に含み、前記機械式のロック解除装置が弾性部材及びアクチュエータを含み、前記アクチュエータが前記パーキングガイド軸を駆動して軸方向に沿って移動させることで、前記パーキングカムと前記ポールの上部が、それぞれ、前記弧状の突起、又は、前記弧状の突起の軸方向における前記パーキングカムの一側に当接する、ことを特徴とする請求項1から
5のいずれか一項に記載の電動パーキング機構。
【請求項7】
前記アクチュエータは、プルワイヤ又はプルロッドであり、前記プルワイヤ又は前記プルロッドは、一端が前記パーキングガイド軸の一端に接続され、他端が運転室内の制御部材に接続されており、前記プルロッド又は前記プルワイヤが前記パーキングガイド軸の軸方向の移動に軸方向力を提供する、ことを特徴とする請求項
6に記載の電動パーキング機構。
【請求項8】
前記弾性部材は、ばねパックであり、前記ばねパックが前記パーキングカムアセンブリ
とギアボックスの右側筐体との間に設けられており、かつ、前記弾性部材は、取付時に付勢力が予め付与されている、ことを特徴とする請求項
6に記載の電動パーキング機構。
【請求項9】
前記ギアボックスの右側筐体の内側には、前記パーキングガイド軸を収容するガイド溝が設けられており、前記ガイド溝内には、前記パーキングガイド軸をシールするためのシールリングが設けられている、ことを特徴とする請求項
8に記載の電動パーキング機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーキング制御の分野に関し、具体的に、電動パーキング機構に関する。
【背景技術】
【0002】
ギアボックスの電動パーキング機構は、自動車を路上や坂道に駐車する際に、車両が滑走したり後方に下がったりしてしまうのを防ぐ機構である。現在、多数の新エネルギー車両においてギアボックスの電動パーキング機構は、構造上の柔軟性が不十分で、製品のライフサイクルが限られており、しかも、機械式のロック解除機構がパーキングモータのウォームに設けられており、パーキングモータの電源が失われたた場合、このようなロック解除方式では、機械式のロック解除を実施するために、運転者が車両の下で操作しなければならず、安全性が低く、快適性が悪い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記問題に鑑みて、本発明は、上記の問題を解決又は部分的に解決するための電動パーキング機構を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明の技術案は、以下のように実現される。
【0005】
本発明では、電動パーキング機構が提供されており、前記電動パーキング機構は、パーキングカムアセンブリ、ポールアセンブリ及びパーキングギアを含み、
前記パーキングカムアセンブリは、パーキングガイド軸及びパーキングカムを含み、前記パーキングカムが前記パーキングガイド軸に外装されており、前記パーキングカムの一側には、周方向に弧状の突起が設けられており、
前記ポールアセンブリは、ポール、ポール軸を含み、前記ポールの上部が、前記パーキングカムにおける前記弧状の突起が設けられた側に接触可能であり、前記ポール軸が前記ポールの一側に設けられており、前記ポールが前記ポール軸周りに回転可能であり、
前記パーキングギアについては、前記ポールアセンブリが、前記パーキングカムの回転に伴って、前記パーキングギアにパーキングインする第一の位置、及び、前記パーキングギアからパーキングアウトする第二の位置にそれぞれ位置することに応じて、前記パーキングギアが固定又は回転可能である。
【0006】
さらに、前記パーキングカムの突起部には、前記パーキングガイド軸の軸方向に沿って延びた周方向輪郭が設けられており、前記弧状の突起が前記周方向輪郭の外辺側に設けられており、かつ、前記パーキングカムアセンブリが、軸方向位置規制ブロック、パーキングカム位置規制プレートを更に含み、
前記パーキングカム位置規制プレートが前記パーキングガイド軸に固定されており、前記軸方向位置規制ブロックが前記パーキングガイド軸に締まりばめして外装されており、前記パーキングカムが、前記軸方向位置規制ブロックと前記パーキングカム位置規制プレートとの間の前記パーキングガイド軸に外装されており、前記パーキングカム位置規制プレートは、前記パーキングカムを回転させることが可能である。
【0007】
さらに、前記パーキングカム位置規制プレートは、少なくとも、間隔を置いて設けられた第一のブレード部及び第二のブレード部を含み、前記第一のブレード部及び第二のブレード部が前記突起部の両側にそれぞれ設けられており、前記第一のブレード部における前記突起部に向いた側には、第一のばね柱が設けられており、前記突起部には、対応する第二のばね柱が設けられており、前記第一のばね柱及び前記第二のばね柱には、ばねが外装されており、前記第二のブレード部には、前記突起部の他側に当接する湾曲爪が形成されている。
【0008】
さらに、前記パーキングガイド軸は、一端が平軸であり、他端が丸軸であり、前記パーキングガイド軸がギアボックスの筐体を貫通し、前記パーキングガイド軸の平軸端が、前記パーキングガイド軸を回転させるパーキングモータに接続されている。
【0009】
さらに、前記パーキングカムアセンブリは、スラストベアリングを更に含み、前記スラストベアリングが前記パーキングガイド軸に外装されており、かつ、前記スラストベアリングの外縁がギアボックスの左側筐体に締まりばめして固定されている。
【0010】
さらに、前記ポールアセンブリは、ローラ、ローラピン、ねじりばねを更に含み、前記ポールの上部に凹溝が設けられており、前記ローラが前記ローラピンを介して前記凹溝内に固定されており、前記ローラが前記パーキングカムに接触し、前記ポールの下部には、前記パーキングギアと噛合可能なバンプが設けられており、前記ポールの一側が前記ポール軸に外装されており、前記ポール軸がギアボックスの両側の筐体に固定されており、前記ポールが前記ポール軸周りに回転可能であり、前記ねじりばねは、一端がギアボックスの筐体に固定され、他端が前記ポールに固定されていることで、前記ポールが前記パーキングカムに予め押し付けられる。
【0011】
さらに、前記電動パーキング機構は、機械式のロック解除装置を更に含み、前記機械式のロック解除装置が弾性部材及びアクチュエータを含み、前記アクチュエータが前記パーキングガイド軸を駆動して軸方向に沿って移動させることで、前記パーキングカムと前記ポールの上部が、それぞれ、前記弧状の突起、又は、前記弧状の突起の軸方向における前記パーキングカムの一側に当接する。
【0012】
さらに、前記アクチュエータは、プルワイヤ又はプルロッドであり、前記プルワイヤ又は前記プルロッドは、一端が前記パーキングガイド軸の一端に接続され、他端が運転室内の制御部材に接続されており、前記プルロッド又は前記プルワイヤが前記パーキングガイド軸の軸方向の移動に軸方向力を提供する。
【0013】
さらに、前記弾性部材は、ばねパックであり、前記ばねパックが前記パーキングカムアセンブリと前記ギアボックスの右側筐体との間に設けられており、かつ、前記弾性部材は、取付時に付勢力が予め付与されている。
【0014】
さらに、前記ギアボックスの右側筐体の内側には、前記パーキングガイド軸を収容するガイド溝が設けられており、前記ガイド溝内には、前記パーキングガイド軸をシールするためのシールリングが設けられている。
【発明の効果】
【0015】
上記電動パーキング機構を用いると、以下の利点を有する。
【0016】
上記のパーキングカムアセンブリ、ポールアセンブリの特定の構造によれば、電動パーキング機構の接続及び駆動過程の柔軟性が保証され、これにより、電動パーキング機構の操作性及び使用寿命が向上し、また、上記電動パーキング機構によって、パーキングモータへの電力の供給が断たれた場合における緊急時の機械式のロック解除機能を提供でき、パーキングガイド軸がギアボックス外のプルロッド又はプルワイヤに接続されていることで、運転者が運転室内で機械式のロック解除を実現でき、電動パーキング機構によって、電源からの動力なしで純粋に機械的に運転室内でのロック解除を実現でき、運転者が車から降りて操作する必要がなく、安全性能が高くて、操作の快適性が良い。
【0017】
上記の説明は、本発明の技術案の概要に過ぎず、本発明の技術手段をより明らかに理解して、それらを明細書の内容に従って実施することができるように、また、本発明の上記および他の目的、特徴および利点をより理解し易くするために、以下、特に、本発明の具体的な実施形態を例示する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施例における電動パーキング機構の構造を示す模式図である。
【
図2】本発明の一実施例におけるパーキングイン状態時の電動パーキング機構の断面を示す模式図である。
【
図3】本発明の一実施例における機械式のロック解除後の電動パーキング機構の断面を示す模式図である。
【
図4】本発明の一実施例におけるパーキングイン状態時のパーキングカム及びポールの構造を示す模式図である。
【
図5】本発明の一実施例における機械式のロック解除後のパーキングカム及びポールの構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の好ましい実施形態の詳細な説明を読むことにより、様々な他の利点及びメリットが当業者にとって明らかになる。図面は、好ましい実施形態を例示するためのものだけであり、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。また、図面全体において、同じ部品には同じ参照符号が付されている。
【0020】
以下、図面を参照して本発明の例示的な実施例をさらに詳しく説明する。本発明の例示的な実施例が図面に示されているが、本発明は、様々な形態で実現されてもよく、ここに記載の実施例によって限定されないことを理解すべきである。むしろ、これらの実施例は、本発明がよりよく理解され、本発明の範囲が当業者に完全に伝えられるように提供される。
【0021】
図1は、本発明の一実施例における電動パーキング機構の構造を示す模式図、
図2は、本発明の一実施例におけるパーキングイン状態時の電動パーキング機構の断面を示す模式図、
図3は、本発明の一実施例における機械式のロック解除後の電動パーキング機構の断面を示す模式図、
図4は、本発明の一実施例におけるパーキングイン状態時のパーキングカム及びポールの構造を示す模式図、
図5は、本発明の一実施例における機械式のロック解除後のパーキングカム及びポールの構造を示す模式図である。
【0022】
図1に示すように、本発明の一実施例では、電動パーキング機構が提案されており、電動パーキング機構は、パーキングカムアセンブリ、ポールアセンブリ及びパーキングギア11を含む。
【0023】
パーキングカムアセンブリは、パーキングガイド軸6及びパーキングカム2を含み、パーキングカム2がパーキングガイド軸6に外装されており、パーキングカム2の一側には、周方向に弧状の突起が設けられており、ポールアセンブリがパーキングカム2における弧状の突起に当接しているかどうかに応じて、ポールアセンブリは、パーキングカム2の回転に伴って、パーキングギア11にパーキングインする第一の位置、及び、パーキングギア11からパーキングアウトする第二の位置にそれぞれ位置する。
【0024】
ポールアセンブリは、ポール10、ポール軸12を含み、ポール10の上部がパーキングカム2に接触可能であり、ポール軸12がポール10の一側に設けられており、ポール10がポール軸12周りに回転可能である。
【0025】
パーキングギア11は、パーキングカム2の回転、及び、ポール軸12周りのポール10の回転に伴って、固定状態又は回転可能状態の2つの状態にそれぞれされることにより、駐車又は走行が実現される。
【0026】
以上をまとめて、本発明の当該実施例は、パーキングガイド軸6の回転によってパーキングカム2を回転させ、パーキングカム2に弧状の突起が設けられており、弧状の突起がポールアセンブリに接触すると、弧状の突起が、ポールアセンブリを押し下げて、パーキングギア11にパーキングインする第一の位置に位置させ、弧状の突起がポールアセンブリと分離すると、ポールアセンブリが、パーキングギア11と分離し、パーキングギア11からパーキングアウトする第二の位置に位置し、これにより、車両の柔軟な駐車が実現され、比較的良好な駐車に対する効果が得られる。
【0027】
一実施例において、パーキングカム2の突起部には、パーキングガイド軸6の軸方向に沿って延びた周方向輪郭が設けられ、弧状の突起が周方向輪郭の外辺側に設けられており、パーキングカム2における周方向輪郭がパーキングポールアセンブリに接触すると、パーキングポールアセンブリが、パーキングギア11からパーキングアウトする第二の位置に位置し、周方向輪郭がパーキングポールアセンブリの位置を制限する役割を果たし、パーキングポールアセンブリを一定の範囲内で動くようにする。且つ、パーキングカムアセンブリが、軸方向位置規制ブロック3、パーキングカム位置規制プレート4を更に含み、パーキングカム位置規制プレート4がパーキングガイド軸6に固定されており、軸方向位置規制ブロック3がパーキングガイド軸6に締まりばめして外装されており、パーキングカム2が軸方向位置規制ブロック3とパーキングカム位置規制プレート4との間のパーキングガイド軸6に外装されており、パーキングカム位置規制プレート4は、パーキングカム2を回転させることが可能である。軸方向位置規制ブロック3がパーキングカム2の位置を制限し、パーキングカム2が軸方向位置規制ブロック3とパーキングカム位置規制プレート4との間のパーキングガイド軸6上で柔軟に回転可能である。
【0028】
一実施例において、
図1に示すように、パーキングカム位置規制プレート4は、少なくとも、間隔を置いて設けられた第一のブレード部及び第二のブレード部を含み、第一のブレード部及び第二のブレード部が突起部の両側にそれぞれ設けられており、第一のブレード部における突起部に向いた側には、第一のばね柱が設けられており、突起部には、対応する第二のばね柱が設けられており、第一のばね柱及び第二のばね柱には、ばね5が外装されており、第二のブレード部には、突起部の他側に当接する湾曲爪が形成されている。パーキングイン状態からパーキングアウト状態に移行すると、パーキングガイド軸6が反時計回りに回転することにより、パーキング位置規制プレート4を反時計回りに回転させ、パーキング位置規制プレート4における湾曲爪がパーキングカム2に当接することで、さらにパーキングカム2を反時計回りに回転させ、このとき、弧状の突起がポールアセンブリと分離し、周方向輪郭がポールアセンブリと接触し、ポールアセンブリがパーキングギア11と分離し、パーキングアウト動作が実現される。パーキングアウト状態からパーキングイン状態に移行すると、パーキングガイド軸6が時計回りに回転することにより、パーキング位置規制プレート4を時計回りに回転させ、パーキング位置規制プレート4における第一のばね柱がばね5を押し下げて、ばね5の力の作用でパーキングカム2が時計回りに回転し、このとき、周方向輪郭がポールアセンブリと分離し、弧状の突起がポールアセンブリと接触し、ポールアセンブリが押し下げられてパーキングギア11と噛み合い、パーキングイン動作が実現される。パーキングカム2とポール10とのパーキングイン状態での位置関係については、
図4を参照されたい。
【0029】
一実施例において、パーキングガイド軸6は、一端が平軸であり、他端が丸軸であり、パーキングガイド軸6がギアボックスの筐体を貫通し、パーキングガイド軸6の平軸端が、パーキングガイド軸6を回転させるパーキングモータに接続されている。当該実施例における平軸の設置により、パーキングモータの接続及び駆動が容易となる。勿論、平軸の設置が必須ではなく、パーキングモータとの取り外し可能な接続を実現できる構造であれば、いずれも本発明の保護範囲内に含まれる。
【0030】
一実施例において、パーキングカムアセンブリがスラストベアリング7を更に含み、スラストベアリング7がパーキングガイド軸6に外装されており、かつ、スラストベアリング7の外縁がギアボックスの左側筐体16に締まりばめして固定されている。スラストベアリング7の設置により、パーキングカムアセンブリが柔軟に回転できることを保証される。
【0031】
一実施例において、
図1に示すように、ポールアセンブリが、ローラ8、ローラピン9、ねじりばね13を更に含む。
【0032】
そのうち、ポール10とパーキングカム2との接続の信頼性を向上させ、ポール10の上部とパーキングカム2との接合部の摩擦力及び摩耗を低減し、その使用寿命を延ばすためには、ポール10の上部に凹溝が設けられており、ローラ8がローラピン9を介して凹溝内に固定されており、ローラ8がパーキングカム2に接触し、ポール10の下部には、パーキングギア11と噛合可能なバンプが設けられている。
【0033】
電動パーキング機構がパーキング状態にある場合、ポール10がパーキングカム2によって押し下げられて、ポール10の下部のバンプがパーキングギア11と噛み合い、パーキングが実現され、ポール10の一側がポール軸12に外装されており、ポール軸12がギアボックスの両側の筐体に固定されており、ポール10がポール軸12周りに回転可能であり、ねじりばね13は、一端がギアボックスの筐体に固定され、他端がポール10に固定されており、ねじりばね13は、取付時に一定の付勢力を持っているため、その付勢力によってポール10が常に持ち上げられていることで、ポール10がパーキングカム2に予め押し付けられる。ローラ8がローラピン9に沿って径方向に転がることが可能であり、パーキングカム2とポール10との間の摩擦力が減らされ、ローラ8がパーキングカム2における周方向輪郭又は弧状の突起に接触する。
【0034】
一実施例において、電動パーキング機構が、機械式のロック解除装置を更に含み、機械式のロック解除装置が、弾性部材1及びアクチュエータを含み、アクチュエータがパーキングガイド軸6の丸軸端に接続されており、アクチュエータが、パーキングガイド軸6を駆動して軸方向に移動させることで、パーキングカム2とポール10の上部が、それぞれ、弧状の突起、又は、弧状の突起の軸方向におけるパーキングカム2の一側に当接する。
【0035】
パーキングモータの電源が失われ、かつ電動パーキング機構がパーキング状態にある時、アクチュエータによってパーキングガイド軸6を軸方向に移動させることが可能であり、さらにパーキングカム2を軸方向に移動させて、パーキングカム2における弧状の突起をローラ8と分離させ、周方向輪郭をローラ8に接触させると、ねじりばね13の力の作用でポール10が持ち上げられて、ポール10の下部のバンプがパーキングギア11と分離し、パーキングアウトが実現され、こうして、車両に電力が供給されていない場合に、パーキング機構のロック解除を実現することが保証される。パーキングカム2とポール10との機械式のロック解除後の位置関係については、
図5を参照されたい。
【0036】
上記から分かるように、ポール10とパーキングカム2の周方向輪郭との当接関係によれば、パーキングギア11がパーキングインという固定状態にある場合、ポール10の上部がパーキングカム2の周方向輪郭の弧状の突起に当接し、パーキングモータが正常に作動する場合、ポール10の上部が弧状の突起と円周方向上の一側の周方向輪郭で当接し、機械式のロック解除装置によってロック解除された後、ポール10の上部が弧状の突起と軸方向上の一側の周方向輪郭で当接する。
【0037】
一実施例において、アクチュエータがプルワイヤ又はプルロッドであり、プルワイヤ又はプルロッドは、一端がパーキングガイド軸6の一端に接続され、他端が運転室内の制御部材に接続されており、プルロッド又はプルワイヤがパーキングガイド軸6の軸方向の移動に軸方向力を提供して、パーキングガイド軸6を丸軸端へと軸方向に移動させ、プルワイヤ又はプルロッドの他端が運転室内に設けられているため、運転者が運転室内でプルワイヤ又はプルロッドによってパーキング機構のロック解除を容易に実現できる。
【0038】
一実施例において、弾性部材1がばねパックであり、
図2及び
図3に示すように、ばねパックがパーキングカムアセンブリとギアボックスの右側筐体15との間に設けられており、かつ、弾性部材1は、取付時に付勢力が予め付与されている。弾性部材1は、付勢力の作用でギアボックスの右側筐体15に密着し、電動パーキング機構に対して機械式のロック解除を行うと、パーキングカムアセンブリがパーキングガイド軸6の丸軸端へと軸方向に移動して、弾性部材1がギアボックスの右側筐体15へさらに圧縮される。
【0039】
一実施例において、
図2及び
図3に示すように、ギアボックスの右側筐体15の内側に円筒形の突起が設けられており、当該円筒形の突起には、パーキングガイド軸6を収容するガイド溝が含まれており、ガイド溝内には、パーキングガイド軸6をシールするためのシールリング14が設けられている。パーキングガイド軸6の丸軸端がガイド溝内で軸方向に移動可能であり、機械式のロック解除が実現され、シールリング14は、ガイド溝内部のパーキングガイド軸6との接触箇所に設けられており、シールの役割を果たし、ほこりがギアボックスの筐体内に入るのを防いでいる。
【0040】
以上をまとめて、本発明では、電動パーキング機構が提供されており、電動パーキング機構が、パーキングカムアセンブリ、ポールアセンブリ及びパーキングギアを含み、パーキングカムアセンブリが、パーキングガイド軸及びパーキングカムを含み、パーキングカムがパーキングガイド軸に外装されており、パーキングカムの一側には、周方向に弧状の突起が設けられていることで、ポールアセンブリが、パーキングカムの回転に伴って、パーキングギアにパーキングインする第一の位置、及び、パーキングギアからパーキングアウトする第二の位置にそれぞれ位置し、ポールアセンブリがポール、ポール軸を含み、ポールの上部がパーキングカムに接触可能であり、ポール軸がポールの一側に設けられており、ポールがポール軸周りに回転可能である。本発明による電動パーキング機構は、柔軟な接触および駆動を実現できるとともに、パーキングモータへの電力の供給が断たれた場合における緊急時の機械式のロック解除機能を提供しており、パーキングガイド軸がギアボックス外のプルロッド又はプルワイヤに接続されているため、運転者が運転室内で機械式のロック解除を実現でき、当該電動パーキング機構によれば、電源からの動力なしで純粋に機械的に運転室内でのロック解除を実現でき、運転者が車から降りて操作する必要がなく、安全性能が高くて、操作の快適性が良い。
【0041】
上記したのは、あくまでも本発明の具体的な実施形態であり、本発明の保護範囲はそれに限定されない。当業者は、本発明によって開示される技術的範囲内で容易に想到し得る変更、置換又は改善は、何れも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
【0042】
ここで提供される明細書において、大量の具体的な細部が説明されている。しかしながら、本発明の実施例は、これらの具体的な細部なしで実施され得ることが理解されるであろう。本明細書に対する理解を曖昧にしないために、いくつかの実例においては、周知の方法、構造及び技術が詳細に示されていない。
【符号の説明】
【0043】
1…弾性部材、2…パーキングカム、3…軸方向位置規制ブロック、4…パーキングカム位置規制プレート、5…ばね、6…パーキングガイド軸、7…スラストベアリング、8…ローラ、9…ローラピン、10…ポール、11…パーキングギア、12…ポール軸、13…ねじりばね、14…シールリング、15…ギアボックスの右側筐体、16…ギアボックスの左側筐体