(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】無線通信ネットワークの第1および第2の装置、第1および第2の装置を動作させるための方法
(51)【国際特許分類】
H04W 72/21 20230101AFI20240322BHJP
H04W 72/23 20230101ALI20240322BHJP
H04W 16/28 20090101ALI20240322BHJP
【FI】
H04W72/21
H04W72/23
H04W16/28
(21)【出願番号】P 2022574143
(86)(22)【出願日】2020-06-01
(86)【国際出願番号】 EP2020065105
(87)【国際公開番号】W WO2021244725
(87)【国際公開日】2021-12-09
【審査請求日】2023-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】515076873
【氏名又は名称】ノキア テクノロジーズ オサケユイチア
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100176418
【氏名又は名称】工藤 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】デゲル マサ
(72)【発明者】
【氏名】ラドゥ キース サリヤ ジャヤシンゲ
【審査官】望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0257884(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W4/00-H04W99/00
H04B7/24-H04B7/26
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロセッサと、コンピュータプログラムコードを含む少なくとも1つのメモリと、少なくとも1つの通信モジュールと、を備える装置(100)であって、前記少なくとも1つのメモリおよびコンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサおよび前記少なくとも1つの通信モジュールによって、前記装置(100)に少なくとも、
複数のアップリンクハンドリングルール(UHR)のうちの少なくとも1つを特徴付ける情報を受信すること(104)
であって、前記複数のアップリンクハンドリングルール(UHR)の少なくとも一部はそれぞれ異なる空間情報に関連付けられる、受信すること(104)と、
複数のアップリンク制御情報(UCI)を決定すること(106)であって、前記複数の決定されたアップリンク制御情報(UCI)は少なくとも1つのアップリンク無線リソースに関連付けられる、決定すること(106)と、
前記複数の決定されたアップリンク制御情報(UCI)に関連付けられた空間情報に応じて前記複数のアップリンクハンドリングルール(UHR)のうちの1つを選択すること(108)と、
前記選択されたアップリンクハンドリングルール(UHR)に基づいて前記複数の決定されたアップリンク制御情報(UCI)をアップリンク制御信号(UCS)にマッピングすること(110)と、
前記少なくとも1つの関連付けられた無線リソースを介して前記アップリンク制御信号(UCS)を送信すること(112)と、
を実行させるように構成される、装置(100)。
【請求項2】
前記空間情報は、
物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)の空間的関係、
アップリンク/ダウンリンク送信設定表示(TCI)、
アップリンク/ダウンリンク参照信号リソースインジケータ、
送受信点(TRP)識別子、
ユーザ機器パネル識別子、
空間フィルタ識別子、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項
1に記載の装置(100)。
【請求項3】
前記アップリンクハンドリングルール(UHR)のうちの少なくとも1つはアップリンク制御情報(UCI)多重化ルールを示し、前記マッピングすること(110)は、前記選択されたアップリンクハンドリングルール(UHR)によって示される前記多重化ルールに基づいて前記複数の決定されたアップリンク制御情報(UCI)を前記アップリンク制御信号(UCS)に多重化することを含む、請求項1に記載の装置(100)。
【請求項4】
前記複数のアップリンクハンドリングルール(UHR)のうちの少なくとも1つは、
符号化レート、
アップリンク制御情報(UCI)のタイプの多重化の禁止または許可、
アップリンク制御情報(UCI)のタイプの優先順序、
周波数ホッピング、
復調参照信号設定、
変調、および、
少なくとも1つの物理アップリンク制御チャネルフォーマット設定に含まれるパラメータのうちの少なくとも1つ、
のうちの少なくとも1つに関連するパラメータを含む、請求項1に記載の装置(100)。
【請求項5】
少なくとも1つのプロセッサと、コンピュータプログラムコードを含む少なくとも1つのメモリと、少なくとも1つの通信モジュールと、を備える装置(200)であって、前記少なくとも1つのメモリおよびコンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサおよび前記少なくとも1つの通信モジュールによって、前記装置(200)に少なくとも、
複数のアップリンクハンドリングルール(UHR)のうちの少なくとも1つを特徴付ける情報を決定すること(202)
であって、前記複数のアップリンクハンドリングルール(UHR)の少なくとも一部はそれぞれ異なる空間情報に関連付けられる、決定すること(202)と、
複数のアップリンクハンドリングルール(UHR)のうちの少なくとも1つを特徴付ける前記情報を送信すること(204)と、
アップリンク制御信号(UCS)を受信すること(212)と、
選択されたアップリンクハンドリングルール(UHR)の識別情報を受信すること(230)と、
前記
選択されたアップリンクハンドリングルール(UHR)
に基づいて前記受信されたアップリンク制御信号(UCS)を複数のアップリンク制御情報(UCI)にデマッピングすること(214)と、
を実行させるように構成される、装置(200)。
【請求項6】
前記アップリンクハンドリングルール(UHR)のうちの少なくとも1つは、
シーケンスに適用するためのいくつかの位相回転のセット、および、
アップリンクシーケンスに適用するための順序付けられた位相回転のセットの方向、
のうちの少なくとも1つを含み、前記装置(200)は、
測定されたチャネル状況に応じて部分的範囲および/または前記方向を決定すること(202;220)
を実行するように構成される、請求項
5に記載の装置(200)。
【請求項7】
前記複数のアップリンクハンドリングルール(UHR)のうちの1つの少なくとも1つのパラメータを変更するための変更要求(cr)を送信すること(222)
を実行するようにさらに構成される、請求項
5に記載の装置(200)。
【請求項8】
装置(100)を動作させるための方法であって、少なくとも、
複数のアップリンクハンドリングルール(UHR)のうちの少なくとも1つを特徴付ける情報を受信すること(104)
であって、前記複数のアップリンクハンドリングルール(UHR)の少なくとも一部はそれぞれ異なる空間情報に関連付けられる、受信すること(104)と、
複数のアップリンク制御情報(UCI)を決定すること(106)であって、前記複数の決定されたアップリンク制御情報(UCI)は少なくとも1つのアップリンク無線リソースに関連付けられる、決定すること(106)と、
前記複数の決定されたアップリンク制御情報(UCI)に関連付けられた空間情報に応じて前記複数のアップリンクハンドリングルール(UHR)のうちの1つを選択すること(108)と、
前記選択されたアップリンクハンドリングルール(UHR)に基づいて前記複数の決定されたアップリンク制御情報(UCI)をアップリンク制御信号(UCS)にマッピングすること(110)と、
前記少なくとも1つの関連付けられた無線リソースを介して前記アップリンク制御信号(UCS)を送信すること(112)と、
を含む、方法。
【請求項9】
前記空間情報は、
物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)の空間的関係、
アップリンク/ダウンリンク送信設定表示(TCI)、
アップリンク/ダウンリンク参照信号リソースインジケータ、
送受信点(TRP)識別子、
ユーザ機器パネル識別子、
空間フィルタ識別子、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記アップリンクハンドリングルール(UHR)のうちの少なくとも1つはアップリンク制御情報(UCI)多重化ルールを示し、前記マッピングすること(110)は、前記選択されたアップリンクハンドリングルール(UHR)によって示される前記多重化ルールに基づいて前記複数の決定されたアップリンク制御情報(UCI)を前記アップリンク制御信号(UCS)に多重化することを含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項11】
前記アップリンクハンドリングルール(UHR)のうちの少なくとも1つは、
符号化レート、
アップリンク制御情報(UCI)のタイプの多重化の禁止または許可、
アップリンク制御情報(UCI)のタイプの優先順序、
周波数ホッピング、
復調参照信号設定、
変調、および、
少なくとも1つの物理アップリンク制御チャネルフォーマット設定に含まれるパラメータのうちの少なくとも1つ、
のうちの少なくとも1つに関連するパラメータを含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項12】
装置(200)を動作させるための方法であって、少なくとも、
複数のアップリンクハンドリングルール(UHR)のうちの少なくとも1つを特徴付ける情報を決定すること(202)
であって、前記複数のアップリンクハンドリングルール(UHR)の少なくとも一部はそれぞれ異なる空間情報に関連付けられる、決定すること(202)と、
複数のアップリンクハンドリングルール(UHR)のうちの少なくとも1つを特徴付ける前記情報を送信すること(204)と、
アップリンク制御信号(UCS)を受信すること(212)と、
選択されたアップリンクハンドリングルール(UHR)の識別情報を受信すること(230)と、
前記選択されたアップリンクハンドリングルール(UHR)
に基づいて前記受信されたアップリンク制御信号(UCS)を複数のアップリンク制御情報(UCI)にデマッピングすること(214)と、
を含む、方法。
【請求項13】
前記アップリンクハンドリングルール(UHR)のうちの少なくとも1つは、
シーケンスに適用するためのいくつかの位相回転のセット、および、
アップリンクシーケンスに適用するための順序付けられた位相回転のセットの方向、
のうちの少なくとも1つを含み、前記方法は、
測定されたチャネル状況に応じて部分的範囲および/または前記方向を決定すること(202;220)
をさらに含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
前記複数のアップリンクハンドリングルール(UHR)のうちの1つの少なくとも1つのパラメータを変更するための変更要求(cr)を送信すること(222)
をさらに含む、請求項
12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
様々な例示的な実施形態は、無線通信ネットワークの機能強化に関する。
【背景技術】
【0002】
PUCCHを介して送信されるアップリンク制御情報は、HARQ確認応答、スケジューリング要求、およびチャネル状態情報レポートを含む。
【発明の概要】
【0003】
本説明の第1の態様は、少なくとも1つのプロセッサと、コンピュータプログラムコードを含む少なくとも1つのメモリと、少なくとも1つの通信モジュールと、を備える装置であって、少なくとも1つのメモリおよびコンピュータプログラムコードは、少なくとも1つのプロセッサおよび少なくとも1つの通信モジュールによって、装置に少なくとも、複数のアップリンクハンドリングルールのうちの少なくとも1つを特徴付ける情報を受信することと、複数のアップリンク制御情報を決定することであって、決定されたアップリンク制御情報(UCI)は少なくとも1つのアップリンク無線リソースに関連付けられる、決定することと、複数のアップリンクハンドリングルールのうちの1つを選択することと、選択されたアップリンクハンドリングルールに基づいて複数の決定されたアップリンク制御情報をアップリンク制御信号にマッピングすることと、少なくとも1つの関連付けられた無線リソースを介してアップリンク制御信号を送信することと、を実行させるように構成される、装置を対象とする。
【0004】
利用可能な複数のアップリンクハンドリングルールに従って、PUCCH送信のマルチレベルの信頼性制御が確立される。PUCCH上で多重化されるUCIの信頼性およびロバスト性が向上する。具体的には、提案したメカニズムにより、サービングTRP/ビームおよび関連するチャネル状況に応じて、関連するパラメータを含む、PUCCH上でのUCI多重化のルールを効率的かつ動的に制御することが可能になる。これにより、優れた適応性と、マルチTRPおよびビームベースの動作のためにPUCCH上で多重化されるUCIの信頼性の制御およびロバスト性とがもたらされる。UCI送信のロバスト性が高まると、これはSR、HARQ-ACK、BFR要求、およびCSIのより良好な信頼性を示唆するので、多くのレベルでシステムパフォーマンスが向上する。
【0005】
有利な例によれば、複数のアップリンクハンドリングルールの少なくとも一部はそれぞれ異なる空間情報に関連付けられる。この装置は、決定されたアップリンク制御情報に関連付けられた空間情報に応じて複数のアップリンクハンドリングルールのうちの1つを選択することを実行するようにさらに構成される。
【0006】
たとえば、UCI受信エンティティを示す空間情報は、無線ビームの2次元または3次元の送信方向を示す方向インジケータにマッピングされる。他の例では、空間情報は、無線ビームの2次元または3次元の送信方向を示す方向インジケータである。
【0007】
有利なことに、空間ダイバーシティを活用するために、空間情報の意味でのアップリンク制御情報の送信の宛先/方向が考慮され得る。利用可能なアップリンク無線リソースのサブセットを考慮することにより、無線リソース空間が活用される。具体的には、マルチTRPシナリオは、たとえば、送信品質を向上させるために送信用のUEビーム選択を行うことができるので有益である。UCI多重化はTRP/ビームごとに設定されるので、これにより、一部のビーム上の、または一部のTRPに向けたPUCCH上でのUCI送信のためのリソースのオーバープロビジョニングが回避され、より良好なリソース効率がもたらされる。
【0008】
たとえば、HARQ-ACKは特定のワイヤレスエンティティから受信されたデータへの応答であり、このエンティティは空間情報を示す。
【0009】
有利な例によれば、空間情報は、物理アップリンク制御チャネルPUCCHの空間的関係、アップリンク/ダウンリンク送信設定表示TCI、アップリンク/ダウンリンク参照信号リソースインジケータ、たとえば、SRSリソースインジケータSRI、送受信点TRP識別子、たとえば、CORESETプールインデックスまたはCORESETインデックス、ユーザ機器パネル識別子、および空間フィルタ識別子、のうちの少なくとも1つを含む。
【0010】
有利な例によれば、少なくとも1つの選択されたアップリンクハンドリングルールはアップリンク制御情報(UCI)多重化ルールを含む。
【0011】
有利な例によれば、アップリンクハンドリングルールのうちの少なくとも1つは、符号化レート、アップリンク制御情報のタイプの多重化の禁止または許可、アップリンク制御情報UCIのタイプの優先順序、周波数ホッピング、DMRS設定、変調、および、少なくとも1つのPUCCHフォーマット設定に含まれるパラメータのうちの少なくとも1つ、のうちの少なくとも1つに関連するパラメータを含む。
【0012】
有利な例によれば、アップリンクハンドリングルールのうちの少なくとも1つは、シーケンスに適用するためのいくつかの位相回転のセット、および、アップリンクシーケンスに適用するための順序付けられた位相回転のセットの方向、のうちの少なくとも1つを含む。
【0013】
たとえば範囲の部分的範囲という意味でのセットをアップリンクシーケンスに適用することにより、この装置は、アップリンクシーケンスへの適用時にいくつかの位相回転に制限される。特に、範囲の下限/閾値をチャネル状況に合わせて設定することができる。たとえば、チャネル状況が良好な場合は下限を低くすることができ、チャネル状況が悪い場合は下限が引き上げられる。
【0014】
方向を適用することにより、経時的なダイバーシティが生成される。このダイバーシティは、ある方向を他の方向よりも優先させることによってさらに活用することができる。
【0015】
有利な例によれば、この装置は、関連付けられたアップリンクハンドリングルールのセット内で、および/または関連付けられたアップリンクハンドリングルールの方向に、位相回転をアップリンクシーケンスに適用して、複数の決定されたアップリンク制御情報をアップリンク制御信号にマッピングすることを実行するようにさらに構成される。
【0016】
有利なことに、この多重化により、それぞれの位相回転をアップリンクシーケンスに適用することによって、受信される多重化された信号を現在のチャネル状態に合わせて設定することができるようになる。
【0017】
有利な例によれば、この装置は、複数のアップリンクハンドリングルールのうちの1つの少なくとも1つのパラメータを変更するための変更要求を受信することと、少なくとも1つのパラメータを変更することと、を実行するようにさらに構成される。
【0018】
有利なことに、ネットワークは、変化するチャネル状況に適応するために、多重化ルールを変更することができる。変更されたパラメータは、改善されたアップリンク制御情報の送受信を提供する。
【0019】
有利な例によれば、この装置は、アップリンク制御信号の送信のためのアップリンクチャネルのチャネル状態を決定することと、決定されたチャネル状態に応じて複数のアップリンクハンドリングルールのうちの1つを選択することと、を実行するように構成される。
【0020】
有利なことに、ダウンリンクが混雑しているシナリオでは、この装置はネットワークと比較してチャネル状況についてより多くのタイムリーな知識を有し得る。
【0021】
有利な例によれば、この装置は、選択されたアップリンクハンドリングルールの識別情報を送信することを実行するように構成される。
【0022】
有利なことに、ネットワークは、適用されたアップリンクハンドリングルールについて通知される。選択されたアップリンクハンドリングルールを決定するためのネットワーク構内での労力が削減される。
【0023】
本説明の第2の態様によれば、少なくとも1つのプロセッサと、コンピュータプログラムコードを含む少なくとも1つのメモリと、少なくとも1つの通信モジュールと、を備える装置であって、少なくとも1つのメモリおよびコンピュータプログラムコードは、少なくとも1つのプロセッサおよび少なくとも1つの通信モジュールによって、装置に少なくとも、複数のアップリンクハンドリングルールのうちの少なくとも1つを特徴付ける情報を決定することと、複数のアップリンクハンドリングルールのうちの少なくとも1つを特徴付ける情報を送信することと、アップリンク制御信号を受信することと、複数のアップリンクハンドリングルールのうちの1つに応じて受信されたアップリンク制御信号を複数のアップリンク制御情報にデマッピングすることと、を実行させるように構成される、装置が提供される。
【0024】
利用可能な複数のアップリンクハンドリングルールに従って、PUCCH送信のマルチレベルの信頼性制御が確立される。PUCCH上で多重化されるUCIの信頼性およびロバスト性が向上する。具体的には、提案したメカニズムにより、サービングTRP/ビームおよび関連するチャネル状況に応じて、関連するパラメータを含む、PUCCH上でのUCI多重化のルールを効率的かつ動的に制御することが可能になる。これにより、優れた適応性と、マルチTRPおよびビームベースの動作のためにPUCCH上で多重化されるUCIの信頼性の制御およびロバスト性とがもたらされる。UCI送信のロバスト性が高まると、これはSR、HARQ-ACK、BFR要求、およびCSIのより良好な信頼性を示唆するので、多くのレベルでシステムパフォーマンスが向上する。
【0025】
有利な例によれば、複数のアップリンクハンドリングルールの少なくとも一部はそれぞれ異なる空間情報に関連付けられる。
【0026】
有利なことに、空間ダイバーシティを利用するために、空間情報の意味でのアップリンク制御情報の送信の宛先/方向が考慮される。利用可能なアップリンク無線リソースのサブセットを考慮することにより、無線リソース空間が活用される。したがって、少なくとも空間情報は、送信されるために、複数のアップリンクハンドリングルールの少なくとも一部について決定される。
【0027】
有利な例によれば、アップリンクハンドリングルールのうちの少なくとも1つは、シーケンスに適用するためのいくつかの位相回転のセット、および、アップリンクシーケンスに適用するための順序付けられた位相回転のセットの方向、のうちの少なくとも1つを含み、この装置は、測定されたチャネル状況に応じてセットおよび/または方向を決定することを実行するように構成される。
【0028】
セットをアップリンクシーケンスに適用することにより、この装置は、アップリンクシーケンスに適用されるいくつかのシフトに制限される。特に、範囲の下限/閾値をチャネル状況に合わせて設定することができる。たとえば、チャネル状況が良好な場合は下限を低くすることができ、チャネル状況が悪い場合は下限を引き上げる必要がある。
【0029】
有利な例によれば、この装置は、複数のアップリンクハンドリングルールのうちの1つの少なくとも1つのパラメータを変更するための変更要求を送信することを実行するようにさらに構成される。
【0030】
有利なことに、ネットワークは、チャネル状況の変化に適応するために、多重化ルールを変更することができる。変更されたパラメータは、改善されたアップリンク制御情報の送受信を提供する。
【0031】
有利な例によれば、この装置は、選択されたアップリンクハンドリングルールの識別情報を受信することと、複数のアップリンクハンドリングルールのうちの選択された1つに応じて受信されたアップリンク制御信号を複数のアップリンク制御情報にデマッピングすることと、を実行するように構成される。
【0032】
有利なことに、ネットワークは、適用されたアップリンクハンドリングルールについて通知される。選択されたアップリンクハンドリングルールを決定するためのネットワーク構内での労力が削減され得る。
【0033】
有利な例によれば、この装置は複数の送受信点を備える。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図3】無線通信ネットワークを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、無線通信ネットワークの第1の装置100および第2の装置200を示している。一例によれば、第1の装置100はユーザ機器UEである。第2の装置200は、無線ネットワークインフラストラクチャノードである。第2の装置200は、少なくとも1つの送受信点TRPを含む。
【0036】
決定手段または処理モジュール202に従って、第2の装置200は、たとえば、チャネル測定値またはTRPネットワークの構成に応じて複数のアップリンクハンドリングルールUHRを設定する。決定手段または処理モジュール202に従って、第2の装置200は、空間情報に応じて複数のアップリンクハンドリングルールUHRを設定する。
【0037】
送信手段または送信モジュール204に従って、第2の装置200は、複数のアップリンクハンドリングルールUHRをシグナリングする。
【0038】
受信手段または受信モジュール104に従って、第1の装置100は、UCIを搬送する重複するPUCCHに関する複数のアップリンクハンドリングルールUHRのうちの少なくとも1つを特徴付ける情報を受信する。アップリンクハンドリングルールUHRは、第1の装置100上に少なくとも部分的に事前設定されて存在することができ、第2の装置200は、複数のアップリンクハンドリングルールUHRのうちの少なくとも1つ、たとえば、少なくとも一部、たとえば、各々を特徴付ける情報を提供することによって、アップリンクハンドリングルールUHRを設定することができる。アップリンクハンドリングルールUHRのうちの少なくとも1つを特徴付ける情報の受信は、1回の送信または複数回の送信を介して、異なるTRPからでも行うことができる。
【0039】
たとえば、複数のアップリンクハンドリングルールUHRのうちの少なくとも1つを特徴付ける情報は、空間情報を含む。
【0040】
空間情報は、専用のビームなどの方向インジケータおよび/または専用のTRPなどの宛先インジケータを含み得る。空間情報の例には、物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)の空間的関係、アップリンク/ダウンリンク送信設定表示(TCI:transmission configuration indication)、アップリンク/ダウンリンク参照信号リソースインジケータ、たとえば、SRSリソースインジケータSRI、送受信点(TRP:transmission-reception point)識別子、たとえば、CORESETプールインデックスまたはCORESETインデックス、ユーザ機器パネル識別子、空間フィルタ識別子、のうちの少なくとも1つが含まれる。
【0041】
アップリンクハンドリングルールUHRのパラメータは、符号化レート、たとえば、maxCodeRate、アップリンク制御情報UCIのタイプの多重化の禁止または許可、たとえば、同時HARQ-ACK-CSI、アップリンク制御情報UCIのタイプの優先順位付けまたは優先順序、周波数ホッピング、たとえば、interslotFrequencyHopping、DMRS設定、たとえば、additionalDMRS、ならびに/あるいは変調、たとえば、pi2BPSKなど、のうちの少なくとも1つに関連するパラメータを含む。
【0042】
アップリンク制御情報UCIのタイプには、たとえば、ACK/NAK、スケジューリング要求、CSIなどが含まれる。
【0043】
一例によれば、アップリンク制御情報UCIのタイプの多重化の禁止または許可は、第1のタイプのUCIが多重化されることが許可され、第2のタイプのUCIが他のアップリンク制御情報UCIと多重化されることが許可されないことを含む。
【0044】
一例によれば、アップリンク制御情報UCIのタイプの優先順序は、第1のタイプのUCIが第2のタイプのUCIよりも優先されることを含む。したがって、第1のタイプの第1のUCIおよび第2のタイプの第2のUCIが決定され、アップリンク送信のための関連付けられた少なくとも1つの無線リソースが重複する場合、第1のUCIが送信され、第2のUCIの少なくとも一部がドロップされる。
【0045】
一例によれば、設定された/示された符号化レートを超えないようにビットをグループ化するためのルールが定義される。アップリンクハンドリングUHRルールのパラメータまたはUHRに関連するパラメータは、事前定義されたPUCCHフォーマットに関連するパラメータを含み得る。したがって、アップリンクハンドリングルールUHRは、アップリンク制御情報UCIのハンドリングに関連するパラメータを含む。
【0046】
当然ながら、2つのアップリンクハンドリングルールは、関連するパラメータの値において、もはや異なっていると見なされる。たとえば、2つのアップリンク多重化ルールは、(実質的に同じPUCCHフォーマットの)maxCodeRateの値が2つのルール間で異なることを除いて、実質的に同じであり得る。
【0047】
決定手段または処理モジュール106に従って、第1の装置100は、複数のアップリンク制御情報UCIを決定する。アップリンク制御情報UCIは、HARQ-ACK、SR、BFR要求、CSIのうちの少なくとも1つを含み得る。アップリンク制御情報UCIは、少なくとも1つのアップリンク無線リソースに関連付けられる。
【0048】
決定された複数のアップリンク制御情報UCIの少なくとも一部、たとえば、HARQ-ACKは、アップリンクハンドリングルールUHRを選択するための空間情報に関連付けられる。UCIの部分的なドロップさらには完全なドロップが必要な場合、どのUCIの内容をドロップすべきかを決定するためのアップリンクハンドリングルールは、UCIが、多重化されたUCIの送信先のTRPとは異なるTRPに関連する/向けたものであるか否かに依存するように設定される。たとえば、多重化されたUCIの送信が実行される先の1つのTRPに関連付けられたUCI多重化ルールを適用するときにドロップを行う必要があり、UCIの一部が他のTRP向けである場合、UEは後者、すなわち他のTRPに関連するUCIの内容をドロップするように構成することができる。
【0049】
選択手段または処理モジュール108に従って、第1の装置100は、複数のアップリンクハンドリングルールUHRのうちの1つを選択する。たとえば、アップリンクハンドリングルールは、専用のPUCCHリソースを介して送信される複数のアップリンク制御情報UCIのタイプおよび数に依存する。
【0050】
一例によれば、複数のアップリンクハンドリングルールUHRの少なくとも一部は、それぞれ異なる空間情報に関連付けられる。選択手段または処理モジュール108は、決定されたアップリンク制御情報UCIの空間情報に応じて複数のアップリンクハンドリングルールUHRのうちの1つを選択する。
【0051】
アップリンク制御情報UCIと空間情報との間の関連付けは、UCIを搬送するようにスケジューリング/設定されたPUCCHリソースなどのアップリンク無線リソースを介して提供され得る。換言すれば、たとえばスケジューリングされたアップリンク無線リソースは、第2の装置200の意味でのネットワークによって提供される空間情報(たとえば、PUCCHの空間的関係)を有する。
【0052】
たとえば、空間情報は、装置200によって提供されるDCIまたはMAC CEなどを介して装置100に送信される。アップリンク制御情報UCIおよび関連付けられた少なくとも1つのアップリンクリソースを決定すると、空間情報は第1の装置100で利用可能になる。したがって、空間情報は、決定されたアップリンク制御情報UCIに関連付けられる。たとえば、空間情報と決定されたアップリンク制御情報UCIとの間の関連付けは、UCIを搬送するように設定/スケジューリングされたPUCCHリソースを通じて行われる/それによって提供される。
【0053】
マッピング手段または処理モジュール110に従って、第1の装置100は、選択されたアップリンクハンドリングルールUHRに応じて複数の決定されたアップリンク制御情報UCIを専用のPUCCHリソース上で送信されるアップリンク制御信号UCSにマッピングまたは多重化する。
【0054】
ハンドリングルールに従うマッピングは、位相回転コンステレーション内の2点間の位相回転の設定された距離を維持するためのビットのドロップおよび/またはグループ化を含む。したがって、距離は設定された位相回転閾値以上に保たれる。
【0055】
選択手段または処理モジュール108に従って、第1の装置100は、空間情報に応じて(すなわち、基づいて)複数のアップリンクハンドリングルールUHRのうちの1つを選択する。たとえば、ネットワーク、具体的には第2の装置200は、空間情報ごとの、アップリンク情報を多重化して送信するためのパラメータを含む少なくとも1つのアップリンクハンドリングルールをUEに設定する。空間情報は、TRP、TRPのグループ、UEのビーム、UEのビームのグループのうちの少なくとも1つを示す。したがって、アップリンクハンドリングルールおよびそれに関連するパラメータは、TRP/ビームごとに異なり得る。一例では、複数のUEビームがそれぞれのTRPにマッピングされる。したがって、たとえば、特定のUEビームへのUCIのマッピングは、空間情報を介して行われる。
【0056】
一例によれば、少なくとも1つのアップリンクハンドリングルールは、1つまたは複数のTRPに関連付けられたPUCCHリソースのサブセットごとに設定され、選択可能である。この場合、1つまたは複数のTRPに関連付けられたPUCCHリソースは空間情報を表す。
【0057】
他の例では、設定されたビームのグループからの少なくとも1つのUEビームがPUCCH送信に使用されるように設定されている場合、空間情報を介してそのビームに関連付けられたアップリンクハンドリングルールがアクティブ化されると見なされ、アップリンク制御情報UCIの送信に使用される。
【0058】
送信手段または送信モジュール112に従って、第1の装置100は、専用のPUCCHリソースを介して、第2の装置200に向けて、または第2の装置200のTRPのうちの1つに向けて、アップリンク制御信号UCSを送信する。
【0059】
受信手段または受信モジュール212に従って、第2の装置200はアップリンク制御信号UCSを受信する。
【0060】
デマッピング手段または処理モジュール214に従って、第2の装置200は、複数のアップリンクハンドリングルールUHRのうちの1つに応じて、受信されたアップリンク制御信号UCSを複数のアップリンク制御情報UCIにデマッピングまたは逆多重化する。
【0061】
図2は、第1の装置100および第2の装置200を伴うシーケンス図を示している。第2の装置200は、2つの送受信点TRP200a、200bを含む。
図1の参照が行われる。第2の装置200は、gNBをさらに含むおよび/または表す。
【0062】
この例では、2つのサービングTRP200a、200bには、それらに対応するPUCCH送信のための異なるアップリンクハンドリングルールが設定される。TRP200a、200bを含むネットワークは、チャネル状況の相対的な変化に応じて、TRPごとにアップリンクハンドリングルールを動的に適応させる/制御する。装置200は上位レイヤを介して、第1の装置100であるUEに2つのTRP200a、200b用の異なるアップリンクハンドリングルールを設定する。換言すれば、アップリンクハンドリングルールはTRP固有である。第1の装置100であるUEがTRP200aに関連付けられたPUCCH上でUCIを多重化する必要がある場合、装置100はTRP200aに関連付けられたアップリンクハンドリングルールを適用する。そして、TRP200aに向けてUCI送信を実行する。
【0063】
一方、UEがTRP200bに関連付けられたPUCCH上でUCIを多重化する必要がある場合、UEはTRP200bに関連付けられたアップリンクハンドリングルールを適用する。そして、第1の装置100であるUEは、TRP200bに向けてUCI送信を実行する。添字「b」付きの参照符号106、108、110、112、212、および214が参照され、参照符号106、108、110、112、212、214に関する対応する説明が適用される。
【0064】
決定手段または処理モジュール202、220に従って、第2の装置200は、TRPとUEとの間などで測定されたチャネル状況に応じてセットおよび/または方向を決定および/または設定する。
【0065】
受信手段または受信モジュール104に従って、第1の装置100には、TRP200a、200bごとに少なくとも1つのアップリンクハンドリングルールUHRが設定される。
【0066】
送信手段または送信モジュール302に従って、第1の装置100はダウンリンクデータddを受信し、これに対して第1の装置100はHARQ-ACKを生成する。これらのHARQ-ACKは、決定手段または処理モジュール106で決定されたUCIを表す。
【0067】
決定手段または処理モジュール106に従って、第1の装置100は、TRP200aに関連付けられたPUCCH上でUCIを多重化する必要がある。決定手段または処理モジュール110に従って、第1の装置100は、TRP200aに関連付けられたアップリンクハンドリングルールUHRを適用する。
【0068】
決定手段または処理モジュール107に従って、第1の装置100は、アップリンク制御信号UCSの送信のためのアップリンクチャネルのチャネル状態を決定する。選択手段または処理モジュール108に従って、第1の装置100は、複数のアップリンク制御情報UCIおよび決定されたチャネル状態に応じて、複数のアップリンクハンドリングルールUHRのうちの1つを選択する。したがって、ネットワーク、たとえば第2の装置200が、優先順位付けを含む、UCI多重化ルールなどの2つ以上のアップリンクハンドリングルールをUEに設定する場合、UEがチャネル状況に基づいて、多重化パラメータおよび関連パラメータを含む最も適切なアップリンクハンドリングルールを選択できるようにすることができる。UEのアップリンクハンドリングルールは、TRP/ビーム間で共通にすることができ、またはTRP/ビームもしくはTRP/ビームのグループごとに設定することができる。実際に、ダウンリンクが混雑しているシナリオなどのいくつかのシナリオでは、UEはネットワークと比較してチャネル状況についてより多くのタイムリーな知識を有し得る。UEは何らかの専用のUCIを通じて、さらにはMAC CEを介して、関連するパラメータを含む選択されたUCI多重化ルールについてネットワークに通知し得る。
【0069】
送信手段または送信モジュール130に従って、第1の装置100は、選択されたアップリンクハンドリングルールUHRの識別情報IDを送信する。受信手段または受信モジュール230に従って、TRP200aは、選択されたアップリンクハンドリングルールUHRの識別情報を受信する。
【0070】
送信手段または送信モジュール112に従って、対応するアップリンク制御信号UCSがTRP200aに向けて送信される。
【0071】
デマッピング手段または処理モジュール214に従って、TRP200aは、複数のアップリンクハンドリングルールUHRのうちの選択された1つに応じて、受信されたアップリンク制御信号UCSを複数のアップリンク制御情報UCIにデマッピングまたは逆多重化する。
【0072】
一例によれば、UEは選択されたUCI多重化ルールについてネットワークに通知しないように構成され、その場合、ネットワークはUCI送信を受信するために異なる設定されたアップリンクハンドリングルールに関する複数の仮説に依存する。
【0073】
一例によれば、前向き(forward-looking)のシナリオでは、第2の装置200は、少なくとも1つのPUCCHリソースを複数の/グループのTRP200aおよび200bに対して共通になるように設定することを決定する。このケースでは、TRP200aおよび200bに個別のアップリンクハンドリングルールが設定されている場合、UEがそのようなリソースで多重化するUCIを有する場合には、UEは、たとえばより高い信頼性をもたらし得るアップリンクハンドリングルールUHRを使用するように構成することができる。たとえば、より低い最大符号化レート、より大きい位相回転閾値、またはより大きい送信電力を、それぞれのアップリンクハンドリングルールUHRを選択するための条件として使用することができる。
【0074】
たとえば、TRP200aのチャネル状況の突然の変化により、第2の装置200は、TRP200aのアップリンクハンドリングルールを動的に更新することを決定する。決定手段または処理モジュール220に従って、第2の装置200は、UEに更新を要求するために、変更要求crを決定する。送信手段または送信モジュール222に従って、第2の装置200は、複数のアップリンクハンドリングルールUHRのうちの1つの少なくとも1つのパラメータを変更するための変更要求crを送信する。この更新は、たとえば、DCIまたはMAC CEを通じて行うことができる。更新できるパラメータの中には、位相回転に関連する閾値または等価的に巡回シフトに関連する閾値、最大符号化レート、同時HARQ-ACK-CSIがある。
【0075】
受信手段または受信モジュール122に従って、第1の装置100は、複数のアップリンクハンドリングルールのうちの1つの少なくとも1つのパラメータを変更するための変更要求crを受信する。変更手段または処理モジュールに従って、第1の装置100は、少なくとも1つのパラメータを変更する。変更要求を介して、ネットワークは、たとえば、MAC CEおよび/またはダウンリンク制御情報DCIを通じて、少なくとも1つのハンドリングルールを動的かつ明示的に変更する/適応させることができる。これにより、ネットワークは、少なくともTRP/ビームまたはTRP/ビームのグループごとに、UCI多重化を動的に制御することが可能になる。
【0076】
以下では、アップリンクハンドリングルールを介して設定される巡回シフト操作/位相回転操作を例示する。
【0077】
特定の位相回転/巡回シフトを適用した後、シフトされたシーケンスは第2の装置200に向けて、具体的には少なくとも1つのTRPに向けて送信される。一例では、アップリンクハンドリングルールUHRは、アップリンクシーケンスに適用するための位相回転/巡回シフトの方向を少なくとも含む。
【0078】
PUCCHフォーマット0でのUCI送信など、位相回転/巡回シフトの方向の一例によれば、ネットワークは2つの異なるアップリンクハンドリングルールの形態で少なくとも2つの異なる位相回転コンステレーションをUEに設定する。1つのコンステレーションである第1のアップリンクハンドリングルールの少なくとも一部は、他のコンステレーションである第2のアップリンクハンドリングルールと比較して、特定のオフセットだけ時計回りまたは反時計回りにシフトされる。たとえば、異なるコンステレーションは、異なるビーム上でおよび/または異なるTRPに向けてPUCCHフォーマット0送信のシンボルにわたって、および/またはPUCCHフォーマット0の繰り返し/送信にわたって使用される。
【0079】
マッピング手段または処理モジュール110に従って、第1の装置100は、関連付けられたアップリンクハンドリングルールUHRのセット内で、および/または関連付けられたアップリンクハンドリングルールUHRの方向に、位相回転をアップリンクシーケンスに適用して、複数の決定されたアップリンク制御情報UCIをアップリンク制御信号UCSにマッピングする。
【0080】
UCI多重化/送信に位相回転/巡回シフトを適用することは、PUCCHフォーマット0などで有利である。換言すれば、関連付けられたアップリンクハンドリングルールは、位相回転に関連する閾値または等価的に巡回シフトに関連する閾値の定義を含む。PUCCHフォーマット0でのUCI多重化の場合、UEは、位相回転コンステレーション内の2点間の位相回転が定義された閾値よりも低くならないように注意する。一例では、ネットワークは、TRPおよびビームに共通の単一の位相回転閾値を設定し得る。
【0081】
たとえば、複数のTRP200a、200bに対して、異なる位相回転閾値/異なる位相回転閾値が、対応する遅延拡散プロファイルなどに応じて設定される。異なる巡回シフト閾値は、いくつかの位相回転の可能な範囲の前述のセットを表す。
【0082】
第1の閾値は2π/12に等しく、決定手段または処理モジュール202を介してTRP200a用のアップリンクハンドリングルールとして設定される。第2の閾値は2π/6に等しく、決定手段または処理モジュール202を介してTRP200b用に設定される。たとえばTRP200bに向けた、PUCCHフォーマット0での多重化されたUCIの送信の場合、位相回転コンステレーション内の2点間の位相回転の下限は2π/6より低くなってはならない。このため、第1の装置100は、TRP200bに関連付けられたPUCCHフォーマット0で2つのHARQ-ACKビット+SRを多重化することができず、この場合、何らかのビットのドロップまたはグループ化が必要になる。ここでの例では、第2の装置200は、たとえば上位レイヤを介して、2つのTRP200a、200bに対する、位相回転閾値などを含む異なるアップリンクハンドリングルールを第1の装置100に設定する。言い換えれば、アップリンクハンドリングルールUHRはTRP固有である。
【0083】
第1の装置100が、TRP200aに関連付けられたPUCCHフォーマット0で2つのHARQ-ACKビット+SRを多重化する必要がある場合、第1の装置100は、処理モジュール110においてTRP200aに関連付けられたアップリンクハンドリングルールを適用する。ここでは第1の閾値が2π/12に等しいので、2つのHARQ-ACKビットおよびSRは多重化され、TRP200aに向けて送信される。この理由は、このケースでは、位相回転コンステレーション内の2点間の位相回転の下限が第1の閾値よりも低くならないためである。
【0084】
一方、第1の装置100であるUEがTRP200bに関連付けられたPUCCHフォーマット0で2つのHARQ-ACKビット+SRを多重化する必要がある場合、第1の装置100はTRP200bに関連付けられたアップリンクハンドリングルールを適用する。第2の閾値は2π/6に等しいので、2つのHARQ-ACKビットおよびSRを一緒に多重化することができず、その理由は、さもなければ、位相回転コンステレーション内の2点間の位相回転の下限が第2の閾値よりも低くなるためである。このため、そのような場合にドロップルールが対応するアップリンクハンドリングルールUHRを介して設定されて使用され、たとえば1つのHARQ-ACKビットがドロップされ得る。一例では、そのような場合にグループ化ルールが関連付けられたアップリンクハンドリングルールを介して設定されて使用され、たとえばHARQ-ACKビットが1つのHARQ-ACKビットにグループ化される。次いで、第1の装置100であるUEは、結果として得られたUCI、たとえば、1つのHARQ-ACKビット+SRを多重化し、対応するPUCCHをTRP200bに向けて送信する。
【0085】
一例によれば、UCIがTRP200bに向けて送信される前者の例では、ドロップが採用されている。どのUCIの内容をドロップすべきかを決定するためのアップリンクハンドリングルールは、UCIが、多重化されたUCIの送信先のTRPとは異なるTRPに関連する/向けたものであるか否かに依存するように設定される。上記の例で、TRP200bに向けて送信される2つのHARQ-ACKビット+SRのうち、1つのHARQ-ACKビットがTRP200a向けであり、残りの部分がTRP200b向けであると仮定する。したがって、この場合、TRP200a向けのHARQ-ACKビットはドロップされ、UEはSRを他方のHARQ-ACKビットと多重化する。
【0086】
一例によれば、TRP200aおよびTRP200bに共通にすることが許可されたPUCCHリソースでUCI多重化が行われるべきである場合、たとえば第2の閾値>第1の閾値であることが理由で、TRP200bの位相回転閾値である第2の閾値が使用される。一例によれば、適用されるアップリンクハンドリングルールの選択は、どのアップリンクハンドリングルールによって、送信されるUCIの負荷が高くなり得るかに依存する。
【0087】
一例によれば、ネットワーク、たとえば第2の装置200は、送信手段または送信モジュール222を介して、MAC CEおよび/またはダウンリンク制御情報DCIを通じて、少なくとも1つの位相回転閾値またはセットをアップリンクハンドリングルールのうちの1つの一部として動的に示す/更新する。
【0088】
図3は、第1の装置100であるUEと、TRP200aおよび200bとを含む無線通信ネットワークRCNを示している。第1の装置100は、無線ビームb#1、b#2の一方または両方でアップリンクハンドリングルールに応じてアップリンク制御情報を送信するために、少なくとも2つのビームb#1およびb#2を提供するように構成される。
【0089】
第1の無線デバイス100は、少なくとも1つのプロセッサP1と、コンピュータプログラムコードCPC1を含む少なくとも1つのメモリM1と、少なくとも1つのアンテナA1に結合された少なくとも1つの通信モジュールC1と、を含む。少なくとも1つのメモリM1およびコンピュータプログラムコードCPC1は、少なくとも1つのプロセッサP1および少なくとも1つの通信モジュールまたは通信手段C1によって、第1の無線デバイス100を少なくとも本説明に従って動作させるように構成される。
【0090】
TRP200a、200bは、少なくとも1つのプロセッサP2、P3と、コンピュータプログラムコードCPC2、CPC3を含む少なくとも1つのメモリM2、M3と、少なくとも1つのアンテナA2、A3に結合された少なくとも1つの通信モジュールまたは通信手段C2、C3と、を含む。少なくとも1つのメモリM2、M3およびコンピュータプログラムコードCPC2、CPC3は、少なくとも1つのプロセッサP2、P3および少なくとも1つの通信モジュールC2、C3によって、TRP200a、200bを少なくとも本説明に従って動作させるように構成される。第1の無線デバイス100は、信号をTRP200a、200bへのアップリンク方向に送信する。TRP200a、200bは、信号を第1の無線デバイス100への方向に送信する。
【0091】
本説明および/または図に見られ得る特定の略語をここで以下のように定義する。
5G 第5世代
BFR ビーム障害回復
BM ビーム管理
BPSK バイナリ位相シフトキーイング
CSI チャネル状態情報
CORESET 制御リソースセット
DCI ダウンリンク制御情報
DL ダウンリンク
DMRS 復調参照信号
gNB 5G/NR基地局
HARQ ハイブリッド自動再送要求
HARQ-ACK ハイブリッド自動再送要求確認応答
MAC メディアアクセス制御
MAC CE MAC制御エレメント
NR 新しい無線
PDCCH 物理ダウンリンク制御チャネル
PUCCH 物理アップリンク制御チャネル
RAN 無線アクセスネットワーク
RX 受信
SINR 信号対雑音干渉比
SR スケジューリング要求
SRS サウンディング参照信号
TRP 送受信点
TX 送信
UCI アップリンク制御情報
UE ユーザ機器
UL アップリンク
【0092】
添付の図面による一例を参照して本発明を説明してきたが、本発明はそれに限定されず、添付の特許請求の範囲内でいくつかの方法で変更できることは明らかである。したがって、全ての語句および表現は広く解釈されるべきであり、実施形態を限定するのではなく、例示することを意図している。技術が進歩するにつれて、本発明の概念を様々な方法で実施できることは、当業者には明らかであろう。さらに、説明した実施形態は、必須ではないが、様々な方法で他の実施形態と組み合わせられ得ることは、当業者には明らかである。