(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】軟弱地盤補強用施工装置及び工法
(51)【国際特許分類】
E02D 3/12 20060101AFI20240322BHJP
【FI】
E02D3/12 102
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023107469
(22)【出願日】2023-06-29
【審査請求日】2023-06-30
(31)【優先権主張番号】202210999244.X
(32)【優先日】2022-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520509627
【氏名又は名称】中鉄三局集団有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】523249467
【氏名又は名称】中鉄三局集団第四工程有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】523249478
【氏名又は名称】沈陽建築大学
(73)【特許権者】
【識別番号】523249489
【氏名又は名称】北京国華鉄隧基礎工程有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100166729
【氏名又は名称】武田 幸子
(72)【発明者】
【氏名】李 暁権
(72)【発明者】
【氏名】朱 利
(72)【発明者】
【氏名】高 文憲
(72)【発明者】
【氏名】曹 彦華
(72)【発明者】
【氏名】呉 鳳元
(72)【発明者】
【氏名】侯 邦
(72)【発明者】
【氏名】周 広鉄
(72)【発明者】
【氏名】張 博
(72)【発明者】
【氏名】于 占東
(72)【発明者】
【氏名】馬 騰
(72)【発明者】
【氏名】鄭 資軍
(72)【発明者】
【氏名】満 鉄連
(72)【発明者】
【氏名】朱 睿チ
(72)【発明者】
【氏名】郭 皓
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特許第3125033(JP,B2)
【文献】特公昭63-53329(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 1/00-3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟弱地盤補強用施工装置であって、
ドリルパイプ(1)を含み、
前記ドリルパイプ(1)には中心軸線方向に円形チャンネルが設けられ、前記ドリルパイプ(1)には掘削方向に沿ってノズル(2)と撹拌部が設けられており、
前記装置が掘削すると、前記撹拌部は周囲圧力下で
前記ドリルパイプ(1)の外壁に密着し、
前記装置が
掘削方向の逆方向へ移動すると、前記撹拌部は周囲圧力下で密着状態から展開状態に変化し、前記ノズル(2)は
前記ドリルパイプ(1)の
前記撹拌部の前後に設けられ、かつ円形チャンネルに連通し、
前記撹拌部は、それぞれの一端が
前記ドリルパイプ(1)に回転可能に接続された複数のブレードを含み
、
前記ブレードは、一体構造とされている、第1ロッド部と
前記第1ロッド部の端部に垂直な第2ロッド部とを含み、
前記第1ロッド部は
前記ドリルパイプ(1)に回転可能に接続され、
前記第1ロッド部と
前記第2ロッド部とが垂直に接続されて形成されるコーナは
前記ドリルパイプ(1)における溝本体と嵌合して掘削方向への
前記ブレードの回転に対する制限構造となり、
前記コーナは
前記ドリルパイプ(1)の掘削方向に近い側に位置し、
前記撹拌部は、掘削方向に沿って順次設けられた第1撹拌部(5)と第2撹拌部(6)を含み、第1撹拌部(5)の撹拌半径が第2撹拌部(6)の撹拌半径よりも小さく、第1撹拌部(5)と第2撹拌部(6)の
前記ブレードは千鳥状に設けられ、
支持保護構造をさらに含み、
前記支持保護構造は、
前記ブレードの掘削方向側に設けられた支持板(8)、止め板(7)と、
前記ブレードの上昇方向側に設けられたホルダ(3)と、を含み、
前記ホルダ(3)は
前記ブレードの自由端に対応しており、自由端に支持されて
前記ブレードを係止し、
前記ホルダ(3)は底面が
前記ブレードの端部の形状に合わせる凹溝構造であり、翼状の止め板(7)は2組あり、1組の止め板(7)は、
前記ドリルパイプ(1)における、第2撹拌部(6)の
前記ホルダ(3)から離れた側に位置する外壁の同一円周に均等に分布しており、
前記装置が掘削方向の逆方向へ移動する過程で第2撹拌部(6)の位置を制限するために使用され、もう1組の止め板(7)は、
前記ドリルパイプ(1)における、第1撹拌部(5)の
前記ホルダ(3)から離れた側に位置する外壁の同一円周に均等に分布しており、
前記装置が掘削方向の逆方向へ移動する過程で第1撹拌部(5)の位置を制限するために使用され、
前記ドリルパイプ(1)における溝本体は
前記装置が掘削方向の逆方向へ移動する過程で
前記ブレードの位置を制限する役割を果たし、止め板(7)は
前記装置が掘削方向の逆方向へ移動する過程で
前記ブレードを支持・保護する役割を果たすことを特徴とする軟弱地盤補強用施工装置。
【請求項2】
前記第1撹拌部(5)は、前記ドリルパイプ(1)の外壁の同一円周に均等に分布している複数のブレードを含み、前記第2撹拌部(6)は、前記ドリルパイプ(1)の外壁の別の位置の同一円周に均等に分布している複数のブレードを含み、前記複数のブレードの数が
いずれも2個以上であることを特徴とする請求項1に記載の軟弱地盤補強用施工装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の軟弱地盤補強用施工装置によって行われる軟弱地盤補強工法であって、
軟弱土を位置決め、
前記軟弱土に対し、垂直に開掘を必要とせずに水平に方向を特定し、撹拌して補強することによって、軟弱地盤の非開削遠距離の予備補強を実現することを特徴とする軟弱地盤補強工法。
【請求項4】
前記軟弱地盤補強用施工装置を指向性掘削機(14)
に接続し、
掘削を行い、ビルドアップ段(15)
の制作作業と水平補強段(16)
の制作作業とを行い、前記ビルドアップ段(15)の制作作業は、傾斜方向に前記軟弱地盤へアプローチするための作業であり、前記水平補強段(16)の制作作業は、前記軟弱地盤を水平に補強するための作業であり、
掘削の過程で、土圧抵抗により
前記撹拌部は
前記ドリルパイプ(1)に密着
する状態において、方向転換
し、
所定の方向を確定し、設計位置まで掘削する、掘削ステップS1と、
前記装置を掘削方向の逆方向へ移動させ、土圧抵抗により
前記撹拌部は展開状態になり、グラウト注入と撹拌を同期して行い、セメントスラリーを地層と十分に撹拌して融合させ、円筒状杭(19)を形成する、上昇、グラウト注入、撹拌のステップS2と、
軟弱地盤の補強が完了するまでステップS1及びステップS2を繰り返すステップS3と、を含むことを特徴とする請求項3に記載の軟弱地盤補強工法。
【請求項5】
前記ビルドアップ段(15)
の長さと
前記水平補強段(16)
の長さとの比が1:1.5であ
ることを特徴とする請求項4に記載の軟弱地盤補強工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟弱地盤の予備補強の技術分野に属し、具体的には、軟弱地盤補強用施工装置及び工法に関する。
【背景技術】
【0002】
地盤が非耐荷重地盤である場合、地盤の予備補強が必要であり、また、地盤周辺に建物がそびえ立っている場合や、地下工事が存在する場合には、地盤補強工事が困難になる。そのため、地下鉄、複合廊下等の地下工事を施工する際に、地盤に地層沈下、崩壊等の危害を生じさせ、地下工事施設、配管等を破壊するとともに、経済的損失や人命被害をもたらすことを防止するために、軟弱地盤に対して必要十分な補強対策を行う必要がある。
【0003】
現在、中国の軟弱地盤の補強は常に追跡注入工法と深層撹拌補強工法を採用している。追跡注入工法は、土層の粒子間の隙間にセメントを注入し、充填して緻密化することで土体を補強することである。深層撹拌工法による補強は、撹拌機の撹拌翼を回転させることにより石灰やセメント等の固化材と軟弱土とを撹拌混合して、補強することである。具体的には、中国港湾建設が出版した「深層セメント撹拌杭制御技術の改良及び応用」が参考になる。この2種類の軟弱地盤の補強は、一般的な地質環境条件で最も直接的で簡単で有効な方式であり、しかも低コストで、施工の工期が短いが、適用範囲は限られており、いずれも地面に垂直に穴を開ける形式を採用し、必要な場合には短距離の開掘も行うが、穴を開けるのは比較的困難で、理想的な効果を達成することは難しく、施工には補強範囲内の地上構造物を取り除いたり、道路を占用したり、地下パイプラインを移動したりする必要があり、交通と周辺住民の生活に迷惑をもたらすと同時に、前期工事の費用を大幅に増加させる。
【0004】
そのため、開掘を必要とせずに水平に方向を特定する撹拌装置を設計することにより、垂直に穴を開けることができない建築物(構造物)、配管を移動するのに不便な(又は道路を占有することができない)道路下の軟弱地盤の補強を解決することは、当分野において解決すべき技術的課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来技術に存在する上記の技術的課題の少なくとも1つを解決するために、軟弱地盤補強用施工装置及び工法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は下記技術案によって達成される。軟弱地盤補強用施工装置であって、ドリルパイプを含み、ドリルパイプには中心軸線方向に円形チャンネルが設けられ、ドリルパイプには掘削方向に沿ってノズルと撹拌部が設けられており、装置が掘削すると、撹拌部は周囲圧力下でドリルパイプの外壁に密着し、装置が上昇すると、撹拌部は周囲圧力下で密着状態から展開状態に変化し、ノズルはドリルパイプの撹拌部の前後に設けられ、かつ円形チャンネルに連通する。
【0007】
好ましくは、撹拌部は、それぞれの一端がドリルパイプに回転可能に接続された複数のブレードを含み、かつ、掘削方向へのブレードの回転に対する制限構造を設けている。
【0008】
好ましくは、ブレードは、一体構造とされている、第1ロッド部と第1ロッド部の端部に垂直な第2ロッド部とを含み、第1ロッド部はドリルパイプに回転可能に接続され、第1ロッド部と第2ロッド部とが垂直に接続されて形成されるコーナは掘削方向への回転のブレードに対する制限構造となる。
【0009】
好ましくは、施工装置は、支持保護構造をさらに含み、支持保護構造は、ブレードの掘削方向側に設けられた支持板、止め板を含む。
【0010】
好ましくは、支持保護構造は、ブレードの上昇方向側に設けられたホルダをさらに含み、ホルダはブレードの自由端に対応しており、自由端に支持される。
【0011】
好ましくは、複数のブレードはドリルパイプの外壁の同一円周に均等に分布しており、ブレードの数が2個以上である。
【0012】
好ましくは、撹拌部は、掘削方向に沿って順次設けられた第1撹拌部と第2撹拌部を含み、第1撹拌部の撹拌半径が第2撹拌部の撹拌半径よりも小さく、第1撹拌部と第2撹拌部のブレードは千鳥状に設けられる。
【0013】
本発明はまた、前記軟弱地盤補強用施工装置によって行われる軟弱地盤補強工法であって、軟弱土を位置決め、非開掘誘導式水平ドリル工法によって撹拌して補強することによって、軟弱地盤の非開削遠距離の予備補強を実現し、
軟弱地盤補強用施工装置を指向性掘削機に水平に接続し、ビルドアップ段と水平補強段の掘削を行い、
掘削の過程で、土圧抵抗により撹拌部はドリルパイプに密着し、方向転換案内を受け、設計位置まで掘削する、掘削ステップS1と、
ドリルパイプを上昇させ、土圧抵抗により撹拌部は展開状態になり、グラウト注入と撹拌を同期して行い、セメントスラリーを地層と十分に撹拌して融合させ、円筒状杭を形成する、上昇、グラウト注入、撹拌のステップS2と、
軟弱地盤の補強が完了するまでステップS1及びS2を繰り返すステップS3と、を含む工法を提供する。
【0014】
好ましくは、ビルドアップ段の掘削長さと水平補強段の掘削長さとの比が1:1.5であり、ビルドアップ段の傾きが1~2°である。
【0015】
施工の過程で、スラリー固化材を高圧で軟弱地盤中に吹き付け、撹拌部の回転により、固化材と軟弱地盤とをその場で強制的に撹拌混合する。固化材は、原位置での軟弱土を軟質から硬質に変化させ、一体性に優れ、水の安定性が高く、支持力の高い杭を形成する。この杭と杭間土との相互作用により、天然軟弱地盤よりも支持力が大幅に向上した複合地盤が形成される。
【0016】
本発明に係る施工方法は、地盤環境の適切な位置を選択し、掘削機を用いて穴を水平に掘削し、位置・方向決め技術を利用してグラウトを水平に注入し、その後撹拌して杭を形成することにより、軟弱土層の予備補強を実現することができ、地盤の自己安定能力を高め、地盤の不均一な沈下を低減し、工程中にグラウトによる詰まりを効果的に防止することができ、制御性が強く、杭を形成することが容易かつ迅速であり、また、材料を節約し、人的・物的コストを削減し、プロセスを簡略化し、施工を容易にし、工期を短縮し、建築物(構造物)の撤去や市営配管の移動を回避し、先行資金の投入と使用を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の実施例又は従来技術の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下に実施例で使用する必要がある図面を簡単に説明する。明らかに、以下に説明する図面は本発明の一部の実施例にすぎず、当業者にとって創造的な労力を払うことなく、これらの図面から他の図面を得ることができる。
【
図6】傾斜切羽面のパイロットビットでの構造概略図である。
【
図7】傾斜切羽面のパイロットビットでの断面図である。
【
図9】撹拌部ブレードの第2ロッド部の、コーナから離れた部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施例における技術的解決手段を、図面を参照して明確かつ完全に説明するが、明らかに、説明される実施例は本発明の一部の実施例にすぎず、全ての実施例ではない。本発明の実施例に基づいて、当業者が創造的な作業を行わないことを前提にして得た他のすべての実施例は、本発明の特許範囲に属する。
【0019】
本明細書に添付された図面によって示される構造、比率、サイズ等は、当業者が理解し、読むためにのみ明細書に開示された内容に適合するものであり、本発明が実施可能な限定条件を限定するものではなく、したがって、技術的に実質的な意味がなく、構造の修飾、比率関係の変更やサイズの調整は、本発明が生み出すことができる効果及び達成可能な目的に影響を与えることなく、本明細書で開示された技術的内容がカバーできる範囲内に留まり、なお、本明細書では、第1及び第2のような関係用語は、1つのエンティティと他のいくつかのエンティティとを区別するためにのみ使用され、これらのエンティティの間にそのような実際の関係又は順序が存在することを必ずしも要求又は示唆するものではない。
【0020】
本発明による実施例では、
図1に示すように、軟弱地盤補強用施工装置は、ドリルパイプ1を含み、ドリルパイプ1には中心軸線方向に円形チャンネルが設けられ、ドリルパイプ1には掘削方向に沿ってノズル2と撹拌部が設けられ、装置が掘削すると、撹拌部は周囲圧力下でドリルパイプ1の外壁に密着し、装置が上昇すると、撹拌部は周囲圧力下で密着状態から展開状態に変化し、ノズル2はドリルパイプ1の撹拌部の前後に設けられ、かつ円形チャンネルに連通する。
【0021】
図4、
図5に示すように、撹拌部は、掘削方向に沿って順次設けられた第1撹拌部5と第2撹拌部6を含み、第1撹拌部5の撹拌半径が第2撹拌部6の撹拌半径よりも小さく、第1撹拌部5は、ドリルパイプ1の外壁の同一円周に均等に分布している複数のブレードを含み、第2撹拌部6は、ドリルパイプ1の外壁の別の位置の同一円周に均等に分布している複数のブレードを含み、また、掘削方向へのブレードの回転に対する制限構造を設けており、第1撹拌部5と第2撹拌部6のブレードは千鳥状に設けられ、これにより、切削土壌をスラリーと十分に撹拌する目的を達成できる。
【0022】
ブレードは、一体構造とされている、第1ロッド部と第1ロッド部の端部に垂直な第2ロッド部とを含み、第1ロッド部はピン軸4によってドリルパイプ1に回転可能に接続され、第1ロッド部と第2ロッド部とが垂直に接続されて形成されるコーナはドリルパイプ1の溝本体と嵌合して掘削方向へのブレードの回転に対する制限構造を形成し、ここで、第1ロッド部と第2ロッド部で形成されるコーナは、ドリルパイプ1の掘削方向側に近い。
【0023】
本実施例では、
図9に示すように、撹拌部のブレードの第2ロッド部では、コーナから離れた部分の断面が六角形であり(また、この部分では、コーナから離れた方向において六角形断面の面積が徐々に小さくなる)、コーナに近い部分の断面が四角形である。第2ロッド部のコーナから離れた外端面は、相対中心点が対称である六角形であり、この六角形は、2つの直角辺と2つの直角辺を結ぶ2つの斜辺とを含み、2つの直角辺のうち2つの短辺間の距離が70mm、2つの長辺間の距離が50mmであり、第1撹拌部5のブレードの第2ロッド部の長さは279mmであり、第2撹拌部6のブレードの第2ロッド部の長さは454mmである。第1撹拌部5及び第2撹拌部6のブレードの数が2つ以上であり、これにより、撹拌効率及び十分性が確保される。
図2に示すように、ドリルパイプ1内に設けられた円形チャンネルはグラウト注入用のものである。
【0024】
施工装置の支持保護構造は、ブレードの掘削方向側に設けられた支持板8、止め板7と、ブレードの上昇方向側に設けられたホルダ3と、を含み、ホルダ3はブレードの自由端に対応しており、自由端に支持されてブレードを係止し、
図3に示すように、ホルダ3は底面がブレードの端部の形状に合わせる凹溝構造である。翼状の止め板7は2組あり、1組の止め板7はドリルパイプ1における、第2撹拌部6のホルダ3から離れた側に位置する外壁の同一円周に均等に分布しており、ドリル上昇過程で第2撹拌部6の位置を制限するために使用され、もう1組の止め板7は、ドリルパイプ1における、第1撹拌部5のホルダ3から離れた側に位置する外壁の同一円周に均等に分布しており、ドリル上昇過程で第1撹拌部5の位置を制限するために使用され、ドリルパイプ1における溝本体はドリル上昇過程でブレードの位置を制限する役割を果たし、止め板7はドリル上昇過程でブレードを支持・保護する役割を果たし、ブレードの受力点を増やし、ブレードのうち溝本体に対応する位置が局所的に受ける応力が大きすぎてブレードの破損をもたらすことを回避し、止め板7はブレードに1対1で対応する。
【0025】
図6、
図7に示すように、ドリルパイプ1の掘削方向の先端に案内装置を有し、案内装置は、ドリルパイプ1から離れた方向に沿って順次設けられた、スリーブ、ガイドセンサ9及び傾斜切羽面のパイロットビット10を含み、これにより、施工装置17は方向を変えて施工を水平方向に進むことを可能にする。
【0026】
図8に示すように、本発明はまた、軟弱地盤補強用施工装置によって行われる軟弱地盤補強工法であって、軟弱土を位置決め、非開掘誘導式水平ドリル工法によって撹拌して補強することによって、軟弱地盤の非開削遠距離の予備補強を実現し、
軟弱地盤補強用施工装置17を指向性掘削機14に水平に接続し、指向性掘削機14のメカニカルドリルの位置に取り付け、必要に応じてビルドアップ段15と水平補強段16の掘削を行い、
掘削の過程で、土圧抵抗により撹拌部はドリルパイプ1に密着し、方向転換案内(指向)を受け、設計位置(位置決め)まで掘削する、掘削ステップS1と、
設計位置まで掘削した後、ドリルパイプ1を上昇させ、セメントスラリーを吹き付けて撹拌し、土圧抵抗により撹拌部は展開状態になり、グラウト注入と撹拌を同期して行い、セメントスラリーを地層と十分に撹拌して融合させ、水平円筒状杭19を形成する、上昇、グラウト注入、撹拌のステップS2と、
軟弱地盤の補強が完了するまでステップS1及びステップS2を繰り返すステップS3と、を含む工法を提供する。
【0027】
ステップS1では、掘削に先立って指向性掘削機14が配置される位置の雑多な盛土層11の地面について平坦化処理が行われ、指向性掘削機14は斜井案内型掘削機であり、入土角度が10~15°に制御され、また、化学セメントスラリーによる壁保護が行われ、無線傾斜計と案内装置は組み合わせられて使用され、角度と方向を制御して補正し、所望の位置に至った場合にのみ、ビットを調整して水平掘削を行うことができ、このように、全体的には穴を一括して形成することが確保される。
【0028】
ビルドアップ段15の掘削長さと水平補強段16の掘削長さとの比が1:1.5であり、ビルドアップ段15の傾きが1~2°である。水平補強段16を掘削してグラウトを注入するときに、軌跡の頂角が約90°であり、掘削方向はトンネル方向に平行し、既存のトンネルを補強する場合は、掘削方向はトンネルから2mの距離を持つ。
【0029】
ステップS2では、ドリル上昇過程で回転して撹拌し上昇しながら、セメントスラリーを吹き付け、噴出口の圧力が2MPa以上、セメントスラリーの流量が80~100L/min以上に制御される。グラウト注入撹拌を行うときに、セメントスラリーが噴出口に至ると、セメントスラリーを吹き付けて30s撹拌し、セメントと土壌を十分に撹拌し、次に、撹拌して上昇し、噴出停止面に至ると原位置で2min撹拌する。
【0030】
杭形成過程では、何らかの原因により吹き付けを停止してから施工を持続する場合、杭をオーバーラップして接合する必要があり、接合長さが0.5mよりも小さくなければならず、3h以上停止すれば、元の杭の傍に杭追加を行う必要があり、また、随時施工記録を検査し、杭形成の品質を評定し、不合格杭或いは異常な状況があれば、直ちに杭追加或いはその他の処理措置を取らなければならない。
【0031】
本発明は、市営建築物(構造物)13や、配管の移動が容易でない(又は道路を占有できない)道路の下の、広範囲かつ長距離の軟弱土層12地盤の補強分野に関し、特に、新設シールドトンネル18又は重要な地下建築物(構造物)13であって、かつ垂直方向の撹拌杭工法による軟弱土補強に適さない場合、補強軟弱土を位置決め、非開掘誘導式水平ドリル工法によって撹拌することによって、軟弱土層12地盤の非開削遠距離の予備補強を実現し、既設の建築物(構造物)13や新設シールドトンネル18などの施工の安全性及び安定性を確保する。
【0032】
本発明は、市営建築物(構造物)13の下、配管が複雑で移動しにくい市営道路の下方及び新設シールドトンネル18などの工事の下方にある、広範囲かつ長距離の軟弱土層12の地盤補強のための非開掘誘導式水平ドリル工法用の撹拌装置に適用することができ、人が密集する地域を避けて施工することができ、遠距離の掘削撹拌グラウト注入も可能であり、地下配管や地下工事を考慮する必要がなく、交通や近隣住民の日常生活を確保することができる。
【0033】
前記は本発明の好適な特定実施形態に過ぎず、本発明の特許範囲はこれらに限定されず、当業者であれば、本発明で開示された技術的範囲で容易に想到し得る変化又は置換はすべて本発明の特許範囲に含まれるものとする。したがって、本発明の特許範囲は前記特許請求の範囲による特許範囲に準じるべきである。
【符号の説明】
【0034】
1-ドリルパイプ
2-ノズル
3-ホルダ
4-ピン軸
5-第1撹拌部
6-第2撹拌部
7-止め板
8-支持板
9-ガイドセンサ
10-傾斜切羽面のパイロットビット
11-雑多な盛土層
12-軟弱土層
13-建築物(構造物)
14-指向性掘削機
15-ビルドアップ段
16-水平補強段
17-施工装置
18-シールドトンネル
19-円筒状杭