(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】平坦に折り畳まれ、折り畳まれた部位の押圧によって広げられたとき円筒形状の上端を有する使い捨て折り畳み紙カップ
(51)【国際特許分類】
B65D 3/02 20060101AFI20240322BHJP
【FI】
B65D3/02 A
(21)【出願番号】P 2023510388
(86)(22)【出願日】2021-07-07
(86)【国際出願番号】 KR2021008615
(87)【国際公開番号】W WO2022035056
(87)【国際公開日】2022-02-17
【審査請求日】2023-03-20
(31)【優先権主張番号】10-2020-0101827
(32)【優先日】2020-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】523049029
【氏名又は名称】ソン サングン
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100137143
【氏名又は名称】玉串 幸久
(72)【発明者】
【氏名】ソン サングン
【審査官】田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1401814(KR,B1)
【文献】国際公開第2012/030040(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0033961(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0117503(KR,A)
【文献】特開2001-206384(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 3/02
B65D 3/06
A47G 19/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦に折り畳まれ、折り畳まれた部位の押圧によって広げられたとき円筒形状の上端を有する使い捨て折り畳み紙カップであって、
内面がカップ本体被覆層(10b)でコーティングされたコーティング紙からなり、広げると円筒形になり、両側部を折り畳み線(11、11’)で折り畳むと平坦面になるカップ本体(10)と、
前記カップ本体(10)の前記折り畳み線(11、11’)の高さ方向の中央部分を押圧したときに、前記折り畳み線(11、11’)のそれぞれに左右対称に広がる楕円形の窪み部(13、13’)を形成し、前記カップ本体(10)の上下端から離間した前記楕円形の窪み部(13、13’)を分割する湾曲線(12a、12’a)と、
前記カップ本体(10)の下端部の内側のカップ本体被覆層(10b)と融着するように表面に形成された底シート被覆層(20b)を有するコーティング紙である底シート(20)であって、上に凸の横方向中央折り線(21)に沿って前記底シートを折り畳みつつ両端部が互いに一次融着され、折り畳まれたカップ本体(10)の底縁と融着して底部融着帯(20d)を形成する底シート(20)と、
前記底部融着帯(20d)と前記折り畳み線(11、11’)が交わる部分に形成される融着柱(20e)であって、前記底シート(20)の端部が前記折り畳み線(11、11’)を基準とする前面と背面との間に挿入された状態で、前記底シート(20)が前記底部融着帯(20d)の融着された高さよりも高いが前記湾曲線(12、12’)の下端よりも低い柱状に形成され、前記底シート(20)の端部が三側面で融着する融着柱(20e)と、を備えているもの。
【請求項2】
平坦に折り畳まれ、折り畳まれた部位の押圧によって広げられたとき円筒形状の上端を有する、請求項1に記載の使い捨て折り畳み紙カップにおいて、
広げられた前記窪み部(13、13’)の短軸(C1)が、前記短軸(C1)の中央湾曲線(15)に交わる前記湾曲線(12a)と、前記湾曲線(12a)に対向する窪み部(13’)との間の間隔(B1)より大きいもの。
【請求項3】
平坦に折り畳まれ、折り畳まれた部位の押圧によって広げられたとき円筒形状の上端を有する、請求項2に記載の使い捨て折り畳み紙カップにおいて、
補助湾曲線(15-1、15-2)が、前記湾曲線(15)の上側部及び下側部に追加されているもの。
【請求項4】
平坦に折り畳まれ、折り畳まれた部位の押圧によって広げられたとき円筒形状の上端を有する、請求項1に記載の使い捨て折り畳み紙カップにおいて、
前記底シート(20)の底部と前記カップ本体(10)のそれぞれに、底部融着帯(20d)と、上部の両端から中央部に向かって下向き湾曲し前記底部融着帯(20d)から離間する湾曲融着線(20c)と、が形成され、
前記湾曲融着線(20c)の両端が前記湾曲線(12a、12’a)に一致し、前記湾曲線(12a、12’a)と、前記湾曲融着線(20c)および前記湾曲線(12、12’a)が交わる点での垂直線と、の間において、前記窪み部(13、13’)に補助湾曲線(12a-1、12a-2)が追加されているもの。
【請求項5】
平坦に折り畳まれ、折り畳まれた部位の押圧によって広げられたとき円筒形状の上端を有する、請求項1に記載の使い捨て折り畳み紙カップにおいて、
前記カップ本体(10)の上端に、使用者の唇が切れないようにする滑らかな凹凸部(19)が形成されているもの。
【請求項6】
平坦に折り畳まれ、折り畳まれた部位の押圧によって広げられたとき円筒形状の上端を有する、請求項1に記載の使い捨て折り畳み紙カップにおいて、
前記カップ本体(10)の内底部で融着された底シート(20)が、長手方向中央部において連続して形成された複数の山部(20a)と谷部(20b)を有して、前記カップ本体(10)の内底部への摩擦力が低減されており、これにより、前記カップ本体(10)への挿入が容易になり、融着時に押し伸ばされた前記山部と前記谷部により前記底シート(20)が前記カップ本体(10)の内壁に密着するもの。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平坦に折り畳まれ、折り畳まれた部位が押圧されて広げられたときに上端が円筒形状を有する使い捨て折り畳み紙カップに関する。
【背景技術】
【0002】
紙コップは、自動販売機、オフィス、家庭、屋外で広く使用されており、大量生産が可能であり、取り扱いが容易であり、資源の再利用が可能であるという幾つかの利点を有している。
【0003】
しかしながら、そのような使い捨て紙カップは、上部が広く下部が狭いという共通のカップ形状である。そのため、従来の使い捨て紙コップは、連続的に重ねて挿入しても、紙コップの元々の形に起因する体積負担がある。
【0004】
そのような問題を解決するため、韓国特許第10-1114236号には、立てて使用することができる折り畳み紙カップが開示されている。韓国特許第10-1114236号では、
図1は、折り畳み紙カップの折り畳み状態を示す斜視図であり、
図2は、
図1の折り畳み紙カップの広げられた状態を示す斜視図であり、
図3は、広げられた状態にある
図1の折り畳み紙カップの底面を示す拡大斜視図であり、
図4は、広げられた状態にある
図1の折り畳み紙カップの分解斜視図であり、
図5は、
図1の折り畳み紙カップの展開図である。
【0005】
図に示されているように、折り畳みカップは、カップ本体10と、一面にポリエチレンがコーティングされた紙製の底シート20と、を含む。カップ本体10は、コーティングされた内面を有し、底シート20は、コーティングされた外面を有する。さらに、カップ本体10は、折り畳まれた状態から広げられた際に、広げられた状態をそのまま維持する必要があるため、カップ本体10は底シート20よりも厚く、底シート20は折り畳みや広がりを容易にするために比較的薄くて柔らかいものとなっている。
【0006】
カップ本体10は、長方形状の紙が裁断された状態での中央の中心線に対して両側に折り畳まれる折り畳み線11及び11’を含む。折り畳み線11、11’は、押圧動作によって形成されてもよく、点線状に形成されてもよい。また、折り畳み線11、11’の両側には、曲率を有する湾曲線12、12’が対称的に楕円形に形成されているので、折り畳み線11、11’と湾曲線12、12’とにより形成される窪み部13、13’が両側で形成されている。湾曲線12、12’の両端部に対してカップ本体10の上側の端部及び下側の端部の屈曲部に形成された屈曲点14、14’は、楕円形に広げられたたカップ本体10の上側の端部及び下側の端部が折り畳み状態に戻る力を抑制し弱める役割を果たし、広げられたカップ本体10は屈曲点14、14’により、そのままの状態に保たれる。
【0007】
窪み部13、13’に垂直な折り畳み線11、11’に対して水平なラインに曲げ線15が形成されている。カップを使用するとき、曲げ線15によって曲面となる窪み部13、13’の中央部を曲げると、折り畳み状態への復帰力を抑制することができる。また、カップ本体10の内側下端部に融着された底シート20は、矩形状に切断されて、中央部を水平に横断する中央折り線21と、両側部に垂直に形成された両側折り線22、22’とを形成するように形成されている。底シート20を半分にして、コーティング面が外側に位置するように中央折り線21に沿って折り畳んだ状態では、両側端部が互いに接着され、その後、
図4に示されるように折り畳まれる。折り畳まれた両側の端部は、カップ本体10の内側下端部に挿入され、カップ本体10と熱融着されて固定される。
【0008】
この場合、カップ本体10の内面がコーティング層によって被覆され、底シート20の外面がコーティング層によって被覆されているので、カップ本体10の内面と底シート20の外面とを重ね合わせ、底シート20に治具を挿入した状態で、熱又は高周波又は超音波を用いて両者を密着させる。そして、被覆層同士(例えば、ポリエチレン)が互いに融合して接着され、カップ本体10と底シート20とが水密状態で密着する。
【0009】
上述したように、底シート20がカップ本体10に融着すると、カップ本体10の折り畳み線11、11’及び底シート20の中央折り線21によって紙カップは平坦になる。使用者が指で両折り畳み線11、11’を同時に押すと、湾曲線12、12’によって窪み部13、13’が形成されて、カップ本体10の上下両端部が広がる。内側下端の底シート20の中央折り線21は、カップ本体10の広がろうとする力によって延ばされ、両側折り線22、22’はカップ本体10の下側部の形状に沿って、丸い底形状を形成するように曲がる。
【0010】
そのため、カップ本体10およびカップ本体10の下側に位置する底シート20は、一体となり、カップ本体10及び底シート20が一緒に折り畳まれて折り畳まれた状態となり、また一緒に広げられて、広がった状態となる。そして、広げられた状態においても広げられた状態が安定して維持される。そのような構成は、折り畳みカップが折り畳まれていないときに底シートが水平に広がるため、簡素な折り畳みカップより多くの容量を収容する。しかし、従来の紙カップには、幾つかの欠点がある。すなわち、折り畳まれていないときに水漏れが発生することがあり、また、折り畳み線の下端部が窪み部として作用するとき、カップ本体の底が持ち上げられて水平にならないため、カップ本体を立った状態で使用することが困難である。
【0011】
このような欠点を解決するために、底シートの両折り曲げ端部を融着し、融着された両端部をカップ本体に再び融着する二重融着法が、韓国特許第10-1401814号に開示されている。しかし、二重融着法には、折り畳まれていない状態でのカップ本体の上部が円形に形成されないため、折り畳み紙カップが広げられた後、折り畳まれていない部位が、使用中に外的衝撃によって折り畳まれてしまう戻り現象がしばしば起こる点で欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、底シートの長手方向両端が内側に折り込まれ、底シート被覆層同士が互いに融着され、融着された底シート被覆層を折り込み状態のカップ本体の内側下部で重ね合わせられ、カップ本体の被覆層と底シートの被覆層とが互いに融着され、底シート被覆層の両端部及び両端部の前後部が融着されて、カップ本体の折り曲げ線が三側面で融着する融着柱を有することにより、カップ本体と底シートとの境界部分における水漏れを防止し、広げられた時の支持力を補強して形状変形を防止する使い捨て折り畳み紙カップを提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、底シートの上部に湾曲融着線が位置し、湾曲融着線の両端が窪み部を形成する湾曲線に位置し、底部融着帯が互いに上下に離れた状態で融着され、それにより、折り畳まれていない時に湾曲融着線による衝撃吸収力によって初期衝撃を吸収し、広げられた時に湾曲融着線が湾曲線内で融着しないため底部両端の摩擦力及び復元力を低減することによって、折り畳まれていない状態を長時間維持する使い捨て折り畳み紙カップを提供することである。
【0014】
また、本発明の他の目的は、カップ本体の底面の中央部が持ち上がるように湾曲した底部が形成され、使用者が窪み部を押圧して折り紙コップを床面に立てたときに、折り畳み線部が持ち上がっても、湾曲した底部によって広げられた状態のカップ本体の底部が水平を維持する使い捨て折り紙コップを提供することにある。さらに、窪み部の短軸を、窪み部を形成する湾曲線間の間隔よりも大きくして、窪みの深さを深くしているので、広げられたときに窪み部が矩形状をなし、湾曲線がカップ本体の上端から離間しているのでカップ本体の上端が円形に形成され、使用者はどの場所でも口から中身をこぼすことなく飲むことができるようにする。
【0015】
本発明の他の目的は、カップ本体の上端部に滑らかな凹凸部を有し、それによって使用者の唇が切れることを防止することができる折り畳み紙カップを提供することである。
【0016】
本発明のさらなる他の目的は、カップ本体と底シートの両端が融着柱を形成し、窪み部を形成する湾曲線が楕円形に形成され、窪み部とカップ本体の湾曲線が互いに離間し、折り畳み状態のカップ本体の折り畳み線周囲の窪み部を押圧した際に、窪み部の底部がラグビーボールのような楕円形状を形成して融着柱状の支持力を補強し、窪み部が長方形を形成して把持性能を高め、窪み部の上端部が円形を形成して、使用者が漏らすことなく便利に内容物を飲むことができる使い捨て折り紙コップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するため、本発明は、内面がカップ本体被覆層で被覆されたコーティング紙からなり、広げると円筒形になり、折り畳み線で両側部を折り畳むと平坦面になるカップ本体と、カップ本体の折り畳み線の高さ方向の中央部分を押すと、各折り畳み線に対して対称に広がる楕円形の窪み部を形成するとともに、カップ本体の上端と下端から離間した楕円形の窪み部を分割する湾曲線と、カップ本体の下端部の内側でカップ本体被覆層と融着するように表面に底シート被覆層が形成されたコーティング紙である底シートであって、底シートが上方に凸の横方向中央折り線に沿って折られた状態で両端部が互いに一次融着し、折られたカップ本体の底縁部と融着して底部融着帯を形成する底シートと、底部融着帯と折り畳み線とが交わる部分に形成され、底シートの端部が折り畳み線を基準とした前面及び背面間に挿入された状態で、底シートが底部融着帯の融着された高さより高く且つ湾曲線の下端より低くなる柱状に形成され、底シートの端部が三側面で融着する融着柱と、を含む使い捨て折り畳み紙カップである。
【0018】
本発明の実施形態によれば、前記広げられた窪み部の短軸が、前記短軸の中央湾曲線に交わる前記湾曲線と、前記湾曲線に対向する前記窪み部の湾曲線との間の間隔よりも大きい。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、補助湾曲線が、前記湾曲線の上側部及び下側部に追加されている。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、前記底シートの底部と前記カップ本体のそれぞれに、底部融着帯と、上部の両端から中央部に向かって下向き湾曲し前記底部融着帯から離間する湾曲融着線と、が形成される。前記湾曲融着線の両端が前記湾曲線に一致し、前記湾曲線と、前記湾曲融着線および前記湾曲線が交わる点での垂直線と、の間において、前記窪み部に補助湾曲線が追加されている。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、前記カップ本体の上端に、使用者の唇が切れないようにする滑らかな凹凸部が形成されている。
【0022】
本発明の実施形態によれば、前記カップ本体の内底部で融着された底シートが、長手方向中央部において連続して形成された複数の山部と谷部とを有して、前記カップ本体の内底部への摩擦力が低減されており、これにより、前記カップ本体への挿入が容易になり、融着時に押し伸ばされた前記山部と前記谷部により前記底シートが前記カップ本体の内壁に密着する。
【発明の効果】
【0023】
上述したように、底シートの長手方向両端部が内側に折り込まれて、底シート被覆層が互いに融着され、融着された底シート被覆層が、折り畳まれた状態のカップ本体の内側下部に重ね合わされ、カップ本体の被覆層と底シートの被覆層とが互いに融着され、底シート被覆層の両端部と、両端部の前部及び背面部とが互いに融着されて、カップ本体の折り畳み線が三側面で融着する融着柱が形成され、それにより、カップ本体と底シートの境界で内容物が漏れることを防止するとともに、広げられた時の支持力を補強して変形を防止することができる。
【0024】
本発明によれば、湾曲融着線が底シートの上部に位置し、湾曲融着線の両端が窪み部を形成する湾曲線に位置し、底部融着帯が上下に互いに離れた状態で融着され、それにより、広げられた時に湾曲融着線による衝撃吸収力によって初期衝撃を吸収し、広げられた時に湾曲融着線が湾曲線内で融着しないため底部の両端で摩擦力及び復元力を低減することによって広がり状態を長時間維持する。
【0025】
本発明によれば、カップ本体の底面中央部が持ち上がるように湾曲底が形成されるため、折れ曲がった紙カップが床面に立つよう使用者が窪み部を押したとき折り畳み線部が持ち上がっても、広げられた状態のカップ本体の底部が湾曲底により水平を保つ。さらに、窪み部の短軸が、窪み部を形成する湾曲線の間隔よりも大きくして、窪み深さを深くしているので、広げられた状態の窪み部が矩形状をなし、湾曲線がカップ本体の上端から離間しているのでカップ本体の上端が円状に形成され、ユーザはどの場所でも口から中身をこぼすことなく飲むことができる。
【0026】
本発明によれば、使い捨て折り畳み紙カップが、カップ本体の上端部に形成された滑らかな凹凸部を有するので、使用者の唇が切られることを防止できる。
【0027】
本発明によれば、カップ本体と底シートの両端が融着柱を形成し、窪み部を形成する湾曲線が楕円形に形成され、窪み部の湾曲線とカップ本体とが互いに離間しているため、折り畳み状態のカップ本体の折り畳み線周囲の窪み部が押圧された際に、窪み部の底部がラグビーボールのような楕円形状を形成して融着柱状の支持力を補強し、窪み部が矩形状を形成して把持性能を高めるとともに窪み部の上端部が円形を形成し、それにより、使用者が中身を漏らすことなく便利に飲むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】従来の折り畳み紙カップの折り畳み状態での斜視図である。
【0029】
【
図2】
図1の折り畳み紙カップの広げられた状態での斜視図である。
【0030】
【
図3】
図1の折り畳み紙カップの広げられた状態での底面斜視図である。
【0031】
【
図4】
図1の折り畳み紙カップの分解斜視図である。
【0032】
【0033】
【
図6】従来の折り畳み紙カップの折り畳み状態での斜視図である。
【0034】
【
図7】本発明に係る折り畳み紙カップの広げられた状態での底面斜視図である。
【0035】
【
図8】本発明の折り畳み紙カップの融着前の分解斜視図である。
【0036】
【0037】
【
図10】紙を一次的に折り畳んで本発明の底シートを製造する状態を示す斜視図である。
【0038】
【
図11】前記紙を二次的に折り畳んで本発明の底シートを融着して製造する状態を示す斜視図である。
【0039】
【
図12】本発明のカップ本体の湾曲した底部が水平である原理を示す図である。
【0040】
【
図13】窪み部が
図12のA-A線の状態まで押圧されていない状態を示す主要部分の拡大図である。
【0041】
【
図14】窪み部が
図12のB-B線の状態まで押圧された状態を示す主要部分の拡大図である。
【0042】
【
図15】本発明の一部分が切断された正面図である。
【0043】
最良の形態
本発明は、カップ本体であって、内面がカップ本体被覆層でコーティングされたコーティング紙からなり、広げると円筒形になり、両サイドを折り畳み線で折り畳むと平坦面を形成するカップ本体と、カップ本体の折り畳み線の高さ方向の中央部分を押すと、各折り畳み線に対して対称に広がる楕円形の窪み部を形成するとともに、カップ本体の上端と下端から離間した楕円形の窪み部を分割する湾曲線と、カップ本体の下端部の内側でカップ本体被覆層と融着するように表面に底シート被覆層が形成されたコーティング紙である底シートであって、底シートが上方に凸の横方向中央折り線に沿って折られた状態で両端部が互いに一次融着し、折られたカップ本体の底縁部と融着して底部融着帯を形成する底シートと、底部融着帯と折り畳み線とが交わる部分に形成され、底シートの端部が折り畳み線を基準とした前面及び背面間に挿入された状態で、底シートが底部融着帯の融着された高より高く且つ湾曲線の下端より低くなる柱状に形成され、底シートの端部が三側面で融着する融着柱と、を含む使い捨て折り畳みカップを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の実施の形態について、
図7から
図15を参照して詳細に説明する。
【0045】
カップ本体10は、内面がコーティングされたコーティング紙で作られ、折り畳まれた状態である。使用者が、互いに間隔をおいて配置された両折り畳み線11、11’を押圧して折り畳み状態にあるカップ本体10を広げると、楕円形の窪み部13、13’を形成する折り畳み線12、12’が形成される。窪み部13、13’が湾曲線12a、12’aを介して形成され、カップ本体10の内側下部において、水平方向に形成された中央折り線21によって上に凸となるように折り曲げられる。底シート被覆層20bで被覆されたコーティング紙からなる底シート20は、底シート基層20aの外面によってカップ本体10に融着される。
【0046】
図12及び
図15に示されるように、湾曲線12a、12’aと交わる底シート20から中央に向かって下方に湾曲した湾曲融着線20cが追加的に融着される。
【0047】
また、底シート20の下端部分とカップ本体10の内面とは、湾曲融着線20cから離間して湾曲融着線20cの下方で追加融着され、底部融着帯20dが形成される。底部融着帯20dと折り畳み線11、11’とが交わる部位において、底シート20の両端部が折り畳み線11、11’を基準とした前面と背面との間に挿入される。底シート20の両端部は、3つの側面を有する融着柱20eが形成されるように融着される。底シート20の融着柱20eは、底部融着帯20dの融着された高さよりも高いが、湾曲線12、12’の下端よりも低い柱状を有している。
【0048】
中央折り線21によって形成された長手方向の両端面25、25’は、
図10に示されるように、所定の幅を有するように内側に折り込まれる。その後、
図11に示すように、両端面25、25’の底シート基層20aにコーティングされた底シート被覆層20bが互いに融着され、底シート20が形成される。
【0049】
カップ本体10の内底に融着された底シート20は、カップ本体10の内底との摩擦力を低減するために、その中央部に連続して形成された複数の山部20a及び谷部20bを有している。そのため、底シート20は、カップ本体10に容易に挿入され、融着される際に底シート20の山部20a及び谷部20bが押されて真っ直ぐになるので、カップ本体10の内壁と底シート20が接触状態で融着される。
【0050】
更に、底シート被覆層20bが底シート20の表面に露出しているので、
図13の原理に従い、
図15に示すように、上部が湾曲融着線20cを形成し、下部が底部融着帯20dを形成し、両端が融着柱20eを形成するように、底シート被覆層20bとカップ本体10の内面のカップ本体被覆層10bとが互いに融着している。従って、本発明に係る使い捨て折り畳み紙コップは、下側部での底部融着帯20d及び融着柱20eにより密封性を確保し、広げられた時に湾曲融着線20cによって形態維持機能と衝撃吸収機能を発揮し、それにより、広げられた後も融着柱の支持力により、広げられた状態を安定的に維持する。
【0051】
折り畳み線11に近い部位は、折り畳み状態の底シート20と同じ高さになるようにはカップ本体10が融着されないが、線状に融着される湾曲融着線20cと、下方に間隔を置いて帯状に融着される底部融着帯20dとに分けられ、上部と下部とで融着される。従って、紙カップは、支承力が弱くなるため窪み部13を押圧すると容易に広げられ、融着柱20eが強い支承力で支えるため、広げられた状態を維持することができる。
【0052】
折り畳み線11、11’間のカップ本体10の底部が切断されて、折り畳み線11、11’に対応する下端から折り畳み線11、11’間の中央に向かって上方に湾曲する湾曲底17が形成されている。底シート20と融着された後、
図9に示す切断線(c)を切断されると、湾曲底17が形成される。その理由は、折り畳み線11、11’付近の窪み部13、13’が押されて折り畳み線11、11’が持ち上げられることにより、湾曲底17が水平面となるからである。
【0053】
すなわち、折り畳み状態では、折り畳み線11、11’の間の湾曲底17の高さが、(
図12の実線で示す)広げられた状態の折り畳み線11、11’の持ち上げられた下端の高さと一致する。
【0054】
図9に示す底シート20を、底シート被覆層20bが表面となるように中央折り線21を基準として折り畳み、両端面25、25’を中央折り線21の両端部分に折り畳み、両端面25、25’を折り畳んだ状態で、
図11、13に示す外側の底シート被覆層20bを互いに融着させ、それにより、底シートを完成させている。さらに、複数の山部20f及び谷部20gが底シート20の幅方向の中央部に連続して形成されているので、底シート20の長さが強制的に短くなっている。したがって、カップ本体10への底シート20の挿入が容易となっている。
【0055】
図9に示すように、コーティングされた紙を長手方向に切断し、プレス加工を施して、折り畳み線11、11’と湾曲線12a、12’aとによりプレス溝型の窪み部13を形成し、中央部を縁部が重なるように折り曲げ、その後、両端部を融着することにより、折り畳み型のカップ本体10を形成する。
【0056】
図11に示すように底シートを折り畳んで縁部を融着するが、このとき、中央に複数の山部20fと谷部20gを有する底シート20の中央折り線21が上に位置するようにする。その後、
図8の状態でカップ本体10の間に底シートを位置させ、山部20fと谷部20gを有する底シート20がカップ本体10の内底に、両端が摩擦なく容易に重なり合うように設けられる。底シートとカップ本体を高周波で融着する際、山部20fと谷部20gが真っ直ぐな平らに矯正されるように押圧され、底シート20の端部はカップ本体10の折り畳み線11、11’に密着して融着される。
【0057】
図12及び
図15に示されるように、カップ本体10の内面と底シート20の表面とが、湾曲融着線20cが折り畳み線11、11’の間で下方に湾曲する形態になるようにさらに融着される。また、湾曲融着線20cの下方において、湾曲融着線20cから離間するように底部融着帯20dが形成される。底部融着帯20dと折り畳み線11、11’とが交わる部分において、折り畳み線11、11’を基準とした前面及び背面の間に底シート20の端部が挿入される。3つの側面を有する融着柱20eが形成されるように、底シート20の両端部が融着される。底シート20の融着柱20eは、底部融着帯20dの融着された高さよりも高いが、湾曲線12、12’の下端よりも低い柱状を有している。例えば、融着は高周波融着や超音波融着であってもよいが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0058】
図6、
図12及び
図15に示すように、カップ本体10に融着された底シート20を融着して、湾曲融着線20c、底部融着帯20d及び融着柱20eが形成され、底部融着帯20dの下面が切断されて湾曲底17が形成される。
【0059】
上記のように製造された使い捨て折り畳み紙コップを使用する場合、
図15に示す折り畳んだ状態で使用者が湾曲線15を押圧すると、窪み部13がカップ本体10の内側に向けてへこみ、
図7に示すように形成されたカップ形状が維持され、使用者は一般カップのように折り畳み紙カップを使用することができる。
【0060】
すなわち、折り畳み状態において、カップ本体10の底部は、
図12の点線状態のような湾曲底17を形成する。しかし、使用者が窪み部13、13’を押圧すると、屈曲線15及び補助湾曲線15-1、15-2が凹むように曲げられる。そのため、カップ本体10の上部が広がり、一般的なカップのように円形となる。このとき、折り畳み線11、11’の下端部が点線状態から実線状態に持ち上げられるため、広がった底面が平坦になり、使用者は一般的なコップのように床に立てた状態で折り畳み紙カップを使用することができる。
【0061】
この場合、カップ本体10の折り畳み線11、11’の下端部が三側面(前面、背面、横面)で底シート20と融着されているので、融着柱20eは、カップ本体10の底部を柱のようにしっかりと支えて変形を防止する。
【0062】
また、
図10及び
図11に示すように、紙カップを製造するために、両端面25、25’を内側に折り返して、底シート被覆層20bを互いに融着し、その後カップ本体10の内側の三側面において、カップ本体被覆層10bと底シート20の外面の底シート被覆層20bとが一体的に融着される(上部と下部とが互いに離間し、上部に湾曲線12a、12’aが、下部に底部融着帯20dが形成されるように融着される)。
図13及び
図14に示すように、窪み部13を押圧した場合、両端面25がカップ本体10の折り畳み線11、11’と前面及び背面の三側面とに同時に融着して融着柱20eが形成される。融着柱20eに融着されていない底シート20の縁部分において融着された底面25、25’は、
図14に示すようにカップ本体10に融着されておらず、反広がり力を受けないため、広げられた状態を維持し、また、底シート20の縁部分には水漏れがないため、一般的なコップと同様に折り畳み紙コップを使用することができる。
【0063】
また、窪み部13を区画する湾曲線12a、12’aの短軸C1が湾曲線間の間隔B1より大きいため、カップ本体10の湾曲線部分は、平面上でほぼ正方形状の曲げ角度と曲げ深さを形成する。従って、補助湾曲線12a-1、12’a-1が設けられ、急に押されたときに湾曲線12a、12’aが復元したり、破れたりすることを防止している。また、補助湾曲線12a-1、12’a-1を設けて湾曲線12a、12’aの復元や破れを防止しているので、湾曲線12a、12’aにのみ加わる押圧力が分散され、それにより、形状維持力を補強し、折り畳み紙カップに内容物が充填される際に作用する復元力を二重に分散して吸収してくれる。補助湾曲線12a-1、12’a-1は、湾曲融着線20cの両端垂直線間に位置し、垂直方向にかかる内圧を支持する。
【0064】
図15に示すように、カップ本体10の上端の縁部には、鋭くて平坦なブレード形状であるが凹凸部19が形成されている。凹凸部はブレード部を有していないため、使用者の唇が切れることを防止できる。また、凹凸部19によって内容物と使用者の唇との接触面積が小さくなるため、使用者がお湯を飲んだ場合でも、使用者の唇がやけどすることを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明による使い捨て折り畳み紙カップは、自動販売機、オフィス、家庭、屋外で広く使用することができ、使用者が容易に保管、使用することができる。