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特許7458584クランクケース換気システム用オイルリターンバルブ
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  • 特許-クランクケース換気システム用オイルリターンバルブ 図1
  • 特許-クランクケース換気システム用オイルリターンバルブ 図2
  • 特許-クランクケース換気システム用オイルリターンバルブ 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】クランクケース換気システム用オイルリターンバルブ
(51)【国際特許分類】
   F01M 13/04 20060101AFI20240325BHJP
   F01M 13/00 20060101ALI20240325BHJP
【FI】
F01M13/04 F
F01M13/00 H
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021570267
(86)(22)【出願日】2020-05-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-26
(86)【国際出願番号】 EP2020000095
(87)【国際公開番号】W WO2020253979
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2023-03-29
(31)【優先権主張番号】102019004377.4
(32)【優先日】2019-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】592007771
【氏名又は名称】ドイツ アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100092277
【弁理士】
【氏名又は名称】越場 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100155446
【弁理士】
【氏名又は名称】越場 洋
(72)【発明者】
【氏名】クロスターベルク,ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】スリワ,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】ウェルナ-,トマス
【審査官】家喜 健太
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第19632931(DE,A1)
【文献】特表2008-531925(JP,A)
【文献】特開2009-293499(JP,A)
【文献】特開2000-087720(JP,A)
【文献】特開平09-236054(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03009620(EP,A1)
【文献】独国特許出願公開第102011008537(DE,A1)
【文献】実開昭59-154814(JP,U)
【文献】特開平11-350934(JP,A)
【文献】特開2003-120250(JP,A)
【文献】特開平10-030423(JP,A)
【文献】特表2001-510524(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01M 1/06
F01M 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランクケース(3)の第2のボア(9)とそれに連続するクランクケース(3)の第1のボア(10)とで形成されるステップ(段付き)ボアと、上記第2のボア(9)の所で終わるクランクケース(3)の第3のボア(8)とを有し、
第3のボア(8)の長手軸線は第1のボア(10)の長手軸線とは互いに離れて配置されており、さらに、
第1のボア(10)内に配置される少なくとも1つのバルブチューブ(2)と、このバルブチューブ(2)が貫通するバルブシリンダー(1)とを有し、
上記バルブチューブ(2)と第1のボア(10)のボア壁との間に環状チャンバが形成され、バルブシリンダー(1)はオイル戻り流れ路を閉じるように第2のボア(9)内に位置する、
ことを特徴とするクランクケース(3)中に配置される、燃焼エンジンのクランクケース換気システム用のオイルリターンバルブ。
【請求項2】
油分離器(15)からの入口を有す請求項1に記載オイルリターンバルブ。
【請求項3】
クランクケース(3)および/またはクランクチャンバー(14)への戻り流れを有する請求項1または2に記載オイルリターンバルブ。
【請求項4】
バルブチューブ(2)がバルブシリンダ(1)の中心に配置されている請求項1~3のいずれか一項に記載オイルリターンバルブ。
【請求項5】
バルブチューブ(2)がボールバルブとして少なくとも1つのボール(4)を有す請求項1~のいずれか一項に記載オイルリターンバルブ。
【請求項6】
バルブチューブ(2)がクランクケース(3)に形成されたボア(10中に配置され、リターンオイルを受け取るための環状ギャップが作成され請求項1~のいずれか一項に記載オイルリターンバルブ。
【請求項7】
バルブチューブ(2)が少なくとも1つのダイヤフラムバルブを有する請求項1~のいずれか一項に記載オイルリターンバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼エンジンのクランクケース換気システム用のオイルリターンバルブ、特にハイドロスタティック(静圧)オイルリターンバルブに関するものでる。
【背景技術】
【0002】
このようなオイルリターンバルブは[特許文献1](ドイツ出願公開第DE202007011585U1号公報)で公知である。
また、ポンプの排気フィルターで分離されたオイルをポンプのオイル供給側に戻す方法は[特許文献2](ドイツ出願公開第DE1403999A1号公報)に開示されている。
さらに、クランクケース換気用オイル回路のチェックバルブは[特許文献3](ドイツ出願公開第DE102013212104A1号公報)に示されている。
【0003】
オイルセパレータで分離されたオイルを戻す場合、通常はブローバイガスがクランクケースの内部からリターンラインに通過するのを防ぐためのバルブインサートが必要である。このバルブ機構はリターンラインの端にあるサイフォン状のラインプロファイル、ボールチェックまたはダイアフラムバルブ、その他の実施形態によって構造的に実装できる。
【0004】
しかし、上記の樣な各変形例には、本発明の新しい解決方法に比べて以下の欠点がある。
パイプラインエンドにサイフォン:
サイフォンを実現するためにU字型のパイプラインエンドを使用するか、ダウンパイプをポット状容器に配置する必要があるが、既知の実施形態ではクランクケース内に比較的大きなスペースが必要になる。
ボールチェックバルブ
ボールのクランプが可能であること。
ダイヤフラム弁:
エラストマーで作られたダイヤフラムは高温度のオイルおよびオイル中の媒体と敏感に反応する。弁本体に挿入したときにダイヤフラムを損傷するリスクがあり、クランクケースにバルブを取り付ける場合と同様、高いリスクがある。ダイヤフラムのフィットに高い表面品質を必要とし、それはコストの増加につながる。
【0005】
上記の樣な各変形例の欠点は大型で高価である点にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】ドイツ出願公開第DE202007011585U1号公報
【文献】ドイツ出願公開第DE1403999A1号公報
【文献】ドイツ出願公開第DE102013212104A1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、スペースが最適化され、コスト効率に優れた内燃エンジンの換気システムのためのオイルリターンバルブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は請求項1の特徴を有する本発明によって達成される。
【0009】
本発明の解決方法によってクランクケース(KG)、シリンダクランクケース、シリンダヘッドおよび/またはその他のコンポーネントに組み込まれた、コスト効率が高く、スペースの最適化が可能であるという利点を有する、対応取付けおよび機能ボアを備えたハイドロスタティックオイルリターンバルブが提供される。
【0010】
以下、添付図面を参照して本発明の有利な実施形態手ある2つの実施例を用いてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】バルブインサートの図で、左:立上げ型、右:吊り下げ型。
図2】クランクケース内に設置した状態のバルブインサートの図。
図3】設置状態のバルブインサートの図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明はサイフォン原理に従って機能する([図2]参照)。ここでは、ボア8によって形成される第2のチャンバーの液面と比較した、ホール10の環状ギャップとバルブチューブ2とによって形成される第1のチャンバーの液面の上方圧力差によってゼロレベル7から液体のシフトが生じる。
【0013】
このサイフォンのミラーは静圧の法則に従ってゼロレベルからの範囲である。ここでは、クランクケース(KG)の圧力が油分離器よりも大きくな、圧力差で第1のチャンバー中の油レベルが低下し、オイルレベルはX1だけ低下する場合を考える。この場合、第2のチャンバーではオイルレベルがX2だけ上昇する。第1のチャンバー内の液体レベルが隔壁通路以下まで低下しない限り、第1のチャンバーの液体がクランクケースから油分離器への戻り流れ中へのガスの通過をブロックする。このガス移動が行われる限度圧力は上記の限界ケースでの液体カラムの高さx=x1+x2によって数学的に容易に決定できる。
【0014】
本発明の新しい解決方法の第1の特徴は、第1のチャンバーと第2のチャンバーが構造的に形成され、構成が単純である点にある。
【0015】
以下では、バルブインサート(Ventileinsatzes)の上向き配置(einer stehenden Anordnung)と吊下げ配置(hangenden Anordnung)の区別される。
【0016】
図2]はクランクケース3に上向き配置で搭載した場合を示す。第2のチャンバーはクランクケース3のオイルリターンホール(孔)8の一部として使用される。このホールは弁座の役目をするカウンタホール9の所で終わる。2つのホール9と10はステップボアを形成する。このステップボア中に[図1]に示すバルブインサートが挿入される。ここでは弁管(Ventilrohr)2がホール10のボアウォールと組み合わせて環状チャンバーを形成し、これがサイフォンの第1のチャンバーを形成する。サイフォンはバルブシリンダ1で終る。
【0017】
図3]は吊下げ式バルブインサートの取り付け例を示す。ここでは、バルブインサートをクランクケース3のホールに上から入れる。バルブチューブ2とボア12の間の環状ギャップが第1のチャンバーを形成する。この第1のチャンバは横方向の開口部を介してクランクチャンバ14に接続される。バルブチューブ2のキャビティが第2のチャンバを形成する。分離されたオイルはオイルセパレータによって上部から供給される。バルブチューブ2中にはボールは配置される。このボールはオイルレベル6の所に浮いてバルブ4として機能する。
【0018】
本発明の新しい解決方法の2番目の特徴は[図1]のバルブインサートが特にシンプルな設計である点にある。すなわち、円筒形バルブシリンダ1は円形ロッド材料からボアを形成することで低コストに製造できる。バルブチューブ2はロッド材料を所定長さに切断して製造でき、プレスまたははんだ付け等によってバルブシリンダ1に接続される。ホール9([図2]および[図3])への固定はプレスまたは接着によって行う。その他の可能性の1つとしては、バルブシリンダ1にスクリュキャップを使用し、ボアに挿入した後にバルブチューブ2を挿入し、その後、ネジで締め付ける方法がある。故障が発生した場合、クランクケース3に過剰な圧力が加えられてオイルセパレータへブローバイが送られるのを防ぐために、バルブシリンダ1またはバルブチューブ2に球状またはダイアフラムのバルブスタイルをオプションで使用することもできる。例えば、[図3]では、バルブチューブ2のバルブ本体としてボール4が使用されている。
【符号の説明】
【0019】
1 バルブシリンダー
2 バルブチューブ
3 クランクケース
4 ボール
5 オイルレベル1
6 オイルレベル2
7 ゼロレベル
第2のチャンバーボア
9 ボア
10 第1のチャンバーボア
11 レースウォール通路
12 ボア
13 図3第2のチャンバー
14 クランクチャンバー
15 油分離器からの入口
図1
図2
図3