(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】情報提供システム及び情報提供方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240325BHJP
G06Q 30/0241 20230101ALI20240325BHJP
【FI】
G06Q50/10 ZJM
G06Q30/0241
(21)【出願番号】P 2019521964
(86)(22)【出願日】2018-03-12
(86)【国際出願番号】 JP2018009473
(87)【国際公開番号】W WO2018220939
(87)【国際公開日】2018-12-06
【審査請求日】2020-11-18
【審判番号】
【審判請求日】2022-11-30
(31)【優先権主張番号】P 2017106985
(32)【優先日】2017-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】303053563
【氏名又は名称】株式会社N.ジェン
(74)【代理人】
【識別番号】100099612
【氏名又は名称】菊池 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100064469
【氏名又は名称】菊池 新一
(74)【代理人】
【識別番号】100073450
【氏名又は名称】松本 英俊
(72)【発明者】
【氏名】中山 竜
【合議体】
【審判長】佐藤 智康
【審判官】梶尾 誠哉
【審判官】松尾 俊介
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-9652(JP,A)
【文献】特開2015-222880(JP,A)
【文献】特開2001-243376(JP,A)
【文献】特開2014-78070(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
広告、案内、説明、ニュース、災害情報その他の提供情報が蓄積されたサーバーと、所定のロケーションに設置され前記サーバーに接続されて前記サーバーにより前記ロケーションが特定されると共に前記所定のロケーションに応じた前記提供情報を前記サーバーから受信して提供する複数の情報提供端末と、前記複数の情報提供端末のうちの少なくとも一つと無線通信することができるユーザー端末とを備えた情報提供システムであって、前記複数の情報提供端末は、各々自らの識別情報を常時発信する識別情報発信手段を備え、前記ユーザー端末に対しては自ら直接前記提供情報の送信は行うことなく前記識別情報発信手段により前記識別情報のみを送信し、前記ユーザー端末は、前記情報提供端末が発信する前記識別情報を受信して前記サーバーに受信した前記識別情報を送信し、前記サーバーは前記ユーザー端末から送信された前記識別情報により前記ユーザー端末の現在位置に対応する前記ロケーションに設置された前記情報提供端末を特定した上で、前記特定された情報提供端末が提供すべき前記提供情報を前記ユーザー端末に送信
し、前記ユーザー端末は、前記ユーザー端末と前記情報提供端末との距離に応じて、Bluetooth(登録商標)又はWi-Fi(登録商標)により、前記識別情報を受信することを特徴とする情報提供システム。
【請求項2】
請求項1に記載された情報提供システムであって、前記所定のロケーションに設置される情報提供端末は、スマートフォン又はタブレット端末等の汎用的なモバイル情報端末又は前記モバイル情報端末とモニターとの組合せからなることを特徴とする情報提供システム。
【請求項3】
請求項1
又は請求項2のいずれか記載された情報提供システムであって、前記サーバーは、少なくとも、前記ユーザー端末の現在位置に対応する前記ロケーションに設置された前記情報提供端末として複数の前記情報提供端末が特定された場合には、前記特定された複数の情報提供端末の位置情報を前記ユーザー端末に送信し、前記ユーザー端末により選択処理された前記情報提供端末が提供すべき前記提供情報を前記ユーザー端末に送信することを特徴とする情報提供システム。
【請求項4】
請求項1乃至請求項
3のいずれかに記載された情報提供システムであって、前記サーバーと前記ユーザー端末とは、LTE(Long Term Evolution)その他の携帯高速通信により通信することを特徴とする情報提供システム。
【請求項5】
請求項1乃至請求項
4のいずれかに記載された情報提供システムであって、前記ユーザー端末は、コード等の情報を読み取ることなく、前記ユーザー端末のシェイク操作又はタップ操作により、前記サーバーとの通信又は前記情報提供端末からの前記識別情報の受信を開始することを特徴とする情報提供システム。
【請求項6】
広告、案内、説明、ニュース、災害情報その他の提供情報をサーバーに蓄積し、前記サーバーに接続される複数の情報提供端末を所定のロケーションに設置し、前記サーバーにより前記情報提供端末の前記ロケーションを特定する共に前記複数の情報提供端末により前記情報提供端末が設置された前記ロケーションに応じた前記提供情報を前記サーバーから受信して提供し、前記所定のロケーションに位置するユーザー端末により前記サーバーに蓄積された提供情報を表示する情報提供方法であって、前記複数の情報提供端末により、ユーザー端末に対しては前記提供情報の送信は行うことなく前記複数の情報提供端末が備える識別情報発信手段により各々自らの識別情報のみを常時送信し、前記ユーザー端末により、前記情報提供端末が発信する前記識別情報を受信して前記サーバーに受信した前記識別情報を送信し、前記サーバーにより前記ユーザー端末から送信された前記識別情報から前記ユーザー端末の現在位置に対応する前記ロケーションに設置された前記情報提供端末を特定した上で、前記サーバーから前記特定された前記情報提供端末が提供すべき前記提供情報を前記ユーザー端末に送信
し、前記ユーザー端末と前記情報提供端末との距離に応じて、Bluetooth(登録商標)又はWi-Fi(登録商標)により、前記ユーザー端末に前記識別情報を受信させることを特徴とする情報提供方法。
【請求項7】
請求項
6に記載された情報提供方法であって、前記所定のロケーションに設置される情報提供端末として、スマートフォン又はタブレット端末等の汎用的なモバイル情報端末又は前記モバイル情報端末とモニターとの組合せを使用することを特徴とする情報提供方法。
【請求項8】
請求項
6又は請求項7のいずれか記載された情報提供方法であって、前記サーバーにより、少なくとも、前記ユーザー端末の現在位置に対応する前記ロケーションに設置された前記情報提供端末として複数の前記情報提供端末が特定された場合には、前記サーバーにより、前記特定された複数の情報提供端末の位置情報を前記ユーザー端末に送信し、前記ユーザー端末により選択処理された前記情報提供端末が提供すべき前記提供情報を前記ユーザー端末に送信することを特徴とする情報提供方法。
【請求項9】
請求項
6乃至請求項
8のいずれかに記載された情報提供方法であって、前記サーバーと前記ユーザー端末とを、LTE(Long Term Evolution)その他の携帯高速通信により通信させることを特徴とする情報提供方法。
【請求項10】
請求項
6乃至請求項
9のいずれかに記載された情報提供方法であって、コード等の情報を読み取ることなく、前記ユーザー端末をシェイク操作又はタップ操作することにより、前記ユーザー端末に前記サーバーとの通信又は前記情報提供端末からの前記識別情報の受信を開始させることを特徴とする情報提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、街頭に設置されて広告等の情報を提供するデジタルサイネージや美術館や博物館等で展示品の説明等を提供する案内装置等の情報提供端末(メディア端末)を備えた情報提供システム及び情報提供方法の改良に関し、特に、情報提供端末の負荷を軽減して簡易に軽快な情報提供を可能にすると共に、簡易な操作でユーザーの端末にも広告等の情報を共有させることを可能とすることに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、街頭に設置されて広告等の情報を提供するデジタルサイネージは、一般に、提供すべき広告等の情報(コンテンツ)がサーバーに記録され、このサーバーから情報の提供を受けたデジタルサイネージが、そのディスプレイやスピーカー等を通じて、映像や音声等のコンテンツを提供する。
【0003】
この場合において、更に、ユーザーが、そのコンテンツである提供情報を自らの携帯端末等でも視聴等したい場合、従来は、ユーザー自らが、デジタルサイネージやポスター等のその他の広告媒体に表示されたQRコード(登録商標)等の接続情報を、自らの携帯端末等で読み取った上で、接続のための操作を行う手段が一般的であった。また、デジタルサイネージに設置されたNFC(Near Field Communication)を利用して、ユーザーが自らの端末をデジタルサイネージにかざすことにより、デジタルサイネージが提供する提供情報をユーザー端末にて受信させることも行われていた。
【0004】
しかし、ユーザーに、コード等の読取操作と接続操作という複数の操作やユーザー端末をかざす等の操作を強いるのは、ユーザーにとっては手間が多いため、利便性に欠けることから、そのような操作をしてまで広告情報を入手しようとは思わず、その結果、折角情報を提示しても、貴重な広告の機会を失うおそれがあった。また、ユーザーが手間であるとは考えなくても、街頭で、このような読取やかざす等の行為をしていること自体を見られたくないという心理が働いたり、あるいは、周囲に当該情報を入手しようとしていることを知られたくないと思う場合には、入手作業自体をあきらめてしまうケースもある。更には、何より、ユーザーが周囲にあるデジタルサイネージの存在を認識していなければ、情報を共有することができない上に、デジタルサイネージの存在を視認可能な範囲で認識はしていても、至近距離にまで近づく必要があり、視認可能だが遠距離にあるデジタルサイネージや、例えば、ビルの壁面の上方に設置された大型ディスプレイのようにそもそも接近が不可能な場合には対応ができない問題もあった。
【0005】
一方、この街頭等に設置されたデジタルサイネージが、ユーザーの端末に広告等の提供情報を送信することにより、ユーザー端末に広告等を提供することも提案されている(例えば、特許文献1乃至4参照)。しかし、デジタルサイネージ等の情報提供端末から直接に、ユーザーの携帯端末等に、広告としての画像や動画等の比較的大きな提供情報(コンテンツ)を送信すると、デジタルサイネージに大きな負荷が掛かり、サーバーとの通信を含め各種通信速度の低下等の通信状態に影響を与えるおそれがある。また、デジタルサイネージとユーザー端末との接続の方法は、専ら無線通信となるが、オープンネットワークであると、セキュリティ上も問題が生じるおそれがあった。これらの問題を回避するためには、その負荷に耐えうるだけの高性能のデジタルサイネージ装置を設置する必要があり、その結果、デジタルサイネージ装置自体の製造コストが上昇する問題があった。また、この方法では、ポスターや看板、パネル等の電子情報として情報を提供するものではない広告メディア媒体の場合には適用できない問題もあった。
【0006】
更には、従来のデジタルサイネージは、専ら、大きなディスプレイを備えた大掛かりな装置であることが一般的であったため、大きな設置スペースを要し、そのスペースの確保が容易ではない問題があると共に、設置コストも高騰し、多数の箇所に簡易に設置することが困難である問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2017-33183号公報
【文献】特開2016-143297号公報
【文献】特開2014-191608号公報
【文献】特開2014-203414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、上記の問題点に鑑み、デジタルサイネージ等の情報提供端末の負荷を軽減することにより、軽快な情報提供を実現すると共に、情報提供端末を簡易に、かつ、低コストで設置することを可能として、多くの箇所での広告等の情報提供の機会を確保した上で、更に簡易な操作でユーザーの端末にも広告等の情報を共有させることができる情報提供システム及び情報提供方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1.情報提供システム)
本発明は、上記の課題を解決するための第1の手段として、広告、案内、説明、ニュース、災害情報その他の提供情報が蓄積されたサーバーと、所定のロケーションに設置されサーバーに接続されてサーバーによりロケーションが特定されると共に所定のロケーションに応じた提供情報をサーバーから受信して提供する複数の情報提供端末と、複数の情報提供端末のうちの少なくとも一つと無線通信することができるユーザー端末とを備えた情報提供システムであって、複数の情報提供端末は、各々自らの識別情報を常時発信する識別情報発信手段を備え、ユーザー端末に対しては自ら直接提供情報の送信は行うことなく識別情報発信手段により識別情報のみを送信し、ユーザー端末は、情報提供端末が発信する識別情報を受信してサーバーに受信した識別情報を送信し、サーバーはユーザー端末から送信された識別情報によりユーザー端末の現在位置に対応するロケーションに設置された情報提供端末を特定した上で、この特定された情報提供端末が提供すべき提供情報をユーザー端末に送信し、ユーザー端末は、ユーザー端末と情報提供端末との距離に応じて、Bluetooth(登録商標)又はWi-Fi(登録商標)により、識別情報を受信することを特徴とする情報提供システムを提供するものである。
【0010】
本発明は、上記の課題を解決するための第2の手段として、上記第1の解決手段において、所定のロケーションに設置される情報提供端末は、スマートフォン又はタブレット端末等の汎用的なモバイル情報端末又はモバイル情報端末とモニターとの組合せからなることを特徴とする情報提供システムを提供するものである。
【0011】
本発明は、上記の課題を解決するための第3の手段として、上記第1又は第2のいずれかの解決手段において、サーバーは、少なくとも、ユーザー端末の現在位置に対応するロケーションに設置された情報提供端末として複数の情報提供端末が特定された場合には、特定された複数の情報提供端末の位置情報をユーザー端末に送信し、ユーザー端末により選択処理された情報提供端末が提供すべき提供情報をユーザー端末に送信することを特徴とする情報提供システムを提供するものである。
【0012】
本発明は、上記の課題を解決するための第4の手段として、上記第1乃至第3のいずれかの解決手段において、サーバーとユーザー端末とは、LTE(Long Term Evolution)その他の携帯高速通信により通信することを特徴とする情報提供システムを提供するものである。
【0013】
本発明は、上記の課題を解決するための第5の手段として、上記第1乃至第6のいずれかの解決手段において、ユーザー端末は、コード等の情報を読み取ることなく、ユーザー端末のシェイク操作又はタップ操作により、サーバーとの通信又は情報提供端末からの識別情報の受信を開始することを特徴とする情報提供システムを提供するものである。
【0014】
(2.情報提供方法)
また、本発明は、上記第1乃至第5の情報提供システムを使用した下記の情報提供方法をも提供するものである。具体的には、本発明は、上記の課題を解決するための第6の手段として、広告、案内、説明、ニュース、災害情報その他の提供情報をサーバーに蓄積し、このサーバーに接続される複数の情報提供端末を所定のロケーションに設置し、サーバーにより情報提供端末のロケーションを特定する共に複数の情報提供端末により情報提供端末が設置されたロケーションに応じた提供情報をサーバーから受信して提供し、所定のロケーションに位置するユーザー端末によりサーバーに蓄積された提供情報を表示する情報提供方法であって、複数の情報提供端末により、ユーザー端末に対しては提供情報の送信は行うことなく複数の情報提供端末が備える識別情報発信手段により各々自らの識別情報のみを常時送信し、ユーザー端末により、情報提供端末が発信する識別情報を受信してサーバーに受信した識別情報を送信し、サーバーによりユーザー端末から送信された識別情報からユーザー端末の現在位置に対応するロケーションに設置された情報提供端末を特定した上で、サーバーから特定された情報提供端末が提供すべき提供情報をユーザー端末に送信し、ユーザー端末と情報提供端末との距離に応じて、Bluetooth(登録商標)又はWi-Fi(登録商標)により、ユーザー端末に識別情報を受信させることを特徴とする情報提供方法を提供するものである。
【0015】
本発明は、上記の課題を解決するための第7の手段として、上記第6の解決手段において、所定のロケーションに設置される情報提供端末として、スマートフォン又はタブレット端末等の汎用的なモバイル情報端末又はモバイル情報端末とモニターとの組合せを使用することを特徴とする情報提供方法を提供するものである。
【0016】
本発明は、上記の課題を解決するための第8の手段として、上記第6又は第7のいずれかの解決手段において、サーバーにより、少なくとも、ユーザー端末の現在位置に対応するロケーションに設置された情報提供端末として複数の情報提供端末が特定された場合には、サーバーにより、特定された複数の情報提供端末の位置情報をユーザー端末に送信し、ユーザー端末により選択処理された情報提供端末が提供すべき提供情報をユーザー端末に送信することを特徴とする情報提供方法を提供するものである。
【0017】
本発明は、上記の課題を解決するための第9の手段として、上記第6乃至第8のいずれかの解決手段において、サーバーとユーザー端末とを、LTE(Long Term Evolution)その他の携帯高速通信により通信させることを特徴とする情報提供方法を提供するものである。
【0018】
本発明は、上記の課題を解決するための第10の手段として、上記第6乃至第9のいずれかの解決手段において、コード等の情報を読み取ることなく、ユーザー端末をシェイク操作又はタップ操作することにより、ユーザー端末にサーバーとの通信又は情報提供端末からの識別情報の受信を開始させることを特徴とする情報提供方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、上記のように、サーバーによりユーザー端末の現在位置に対応するロケーションに設置された情報提供端末を特定した上で、この情報提供端末(デジタルサイネージ等)からではなく、サーバーから当該特定された情報提供端末が提供すべき提供情報をユーザー端末に送信するため、デジタルサイネージ等の情報提供端末からはユーザー端末に広告その他の提供情報を送信する必要がないので、情報提供端末に提供情報の送信による負荷を掛けることがなく、サーバーとの通信や情報の表示等に際し充分なデータの処理速度を確保することができる一方、ユーザー端末は、サーバーとの間で快適な通信速度等で広告等の提供情報を受信することができる実益がある。
【0020】
また、本発明によれば、上記のように、情報提供端末は、ユーザー端末へは広告等の提供情報を送信しないため、簡素な構成とすることが可能となり、簡易にかつ低コストで設置することができる結果、様々な多くのロケーションに設置することができるので、広告等の情報提供の機会を多く確保することができ、情報提供の実効性を挙げることができ、例えば、ポスターや看板、説明パネルや案内パネル等の有体物媒体の裏面その他の近傍に情報提供端末を設置することにより、これまでディスプレイや送信手段を備えたデジタルメディアによらなければ同期して共有することができなかった電子情報である広告等の提供情報を、媒体の種類を問わず、紙媒体の広告等にも対応して、電子情報としてユーザー端末に提供することができ、ポスターや看板、パネル等は勿論、これまでに設置されていたデジタルサイネージ等の既存の広告メディアに設置上の大きな変更を加えることなく、簡便に電子情報としての提供情報を提供することができる実益がある。
【0021】
本発明によれば、上記のように、複数の情報提供端末が備える識別情報発信手段により複数の情報提供端末各々自らの識別情報を発信し、ユーザー端末により、この情報提供端末が発信する識別情報を受信してサーバーに当該識別情報を送信し、ユーザー端末から送信された識別情報からユーザー端末の現在位置に対応するロケーションに設置された情報提供端末を特定することができるため、情報提供端末は、この自らの識別情報のみを発信すればその機能を発揮することができるため、簡易な構成で、かつ、低コストで製造、設置することができる実益がある。
【0022】
本発明によれば、上記のように、無線通信により情報提供端末の識別情報発信手段が発する識別情報をユーザー端末に受信させることができ、具体的には、この無線通信として、Bluetooth(登録商標)又はWi-Fi(登録商標)を使用することにより、近年のモバイル端末等が通常備える機能をそのまま利用して、識別情報を発信することができるので、例えば、小型で、比較的安価なモバイル通信端末やその他の小型の通信ノード等を、情報提供端末として使用することができ、簡易に、かつ、低コストで、情報提供システムを構築することができる実益があり、情報提供端末の設置者(設置箇所の責任者)にも、大きな負担を掛けることがないため、抵抗なく情報提供端末を設置することができるため、より多くの広告等の情報提供の機会を確保することができる実益がある。即ち、情報提供端末は、ユーザーへの情報の発信としては自らの識別情報をこれらの無線通信により常時発信しているのみであり、これを近傍に存在するユーザー端末が受信して処理が開始されるものであり、通信に大きな負担が掛かることはない。この場合、より具体的には、例えば、情報提供端末から、5メートル以内の距離にあるユーザー端末にはBluetooth(登録商標)により、また、5メートル以上25メートル以内の距離にあるユーザー端末に対しては、Wi-Fi(登録商標)により、識別情報を受信させることができ、距離や通信強度に応じた適切な通信を行うことができる。
【0023】
また、本発明によれば、上記のように、サーバーは、少なくとも、ユーザー端末の現在位置に対応するロケーションに設置された情報提供端末として複数の情報提供端末が特定された場合には、当該複数の情報提供端末の位置情報をユーザー端末に送信し、このユーザー端末により選択処理された当該情報提供端末が提供すべき提供情報をユーザー端末に送信するため、ユーザー端末の周辺に複数の情報提供端末が存在していても、ユーザーが情報提供端末の存在や位置を認識した上で、現在位置するロケーションにおいて有用と思われる所望の適切な提供情報を受信することができる実益がある。
【0024】
一方、本発明によれば、上記のように、サーバーとユーザー端末とは、LTE(Long Term Evolution:以下「LTE」と称する。)その他の携帯高速通信により通信しているため、ユーザーは、特に専用機器を購入等することなく、一般的なモバイル端末をそのままユーザー端末として使用することができる上に、ユーザー端末が無線LANに接続できる環境下に位置していなくても、高速通信により快適な速度での情報提供を受けることができる実益がある。
【0025】
加えて、本発明によれば、上記のように、例えば、ユーザー端末に一度専用のアプリケーションをインストールするだけで、ユーザー端末は、その都度コード等の情報を読み取ることなく、ユーザー端末のシェイク操作又はタップ操作により、サーバーとの通信又は情報提供端末からの識別情報の受信を開始することができるため、簡易な操作で提供情報(コンテンツ)を入手することができ、情報の提供に抵抗がなくなり、ユーザーがより多くの広告その他の提供情報に触れる機会を確保することができる実益がある。
【0026】
本発明によれば、上記の通り、情報提供端末として、モバイル情報端末を使用することができるため、簡易に、かつ、低コストで設置することができる一方、例えば、映像や音声の出力端子を備えるモバイル情報端末にモニターを組み合わせて使用することもでき、大型のディスプレイを用意するだけで、本格的なデジタルサイネージとしてのニーズにも応えることができる実益がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の情報提供システムの構成概念図である。
【
図2】本発明において、サーバーにより情報提供端末への提供情報を設定する状態のフローチャート図である。
【
図3】本発明の情報提供システムを使用した情報提供方法による提供情報の提供手順のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明すると、
図1は、本発明の情報提供システム10の概略構成を示し、この情報提供システム10は、
図1に示すように、広告その他の提供情報が蓄積されたサーバー12と、所定のロケーションに設置されサーバー12に接続されてサーバー12によりロケーションが特定されると共に当該ロケーションに応じた提供情報をサーバー12から受信して提供する複数の情報提供端末14と、所定のロケーションに位置し複数の情報提供端末14のうち当該ロケーションに設置された情報提供端末14が提供する提供情報と同じ提供情報を表示することができるユーザー端末16とを備えている。
【0029】
(1.提供情報の種類及び情報提供端末の設置箇所)
本発明の情報提供システム10により提供すべき提供情報としては、例えば、広告や、案内、説明、また、緊急時等の必要に応じて、ニュース速報や災害情報等を提供情報として提供することができる。従って、これらの提供情報を所定のロケーションにおいて表示等して提供する情報提供端末14を設置して適用することができる場面としては、例えば、街頭におけるデジタルサイネージ(電子広告媒体)による広告や、美術館、博物館、水族館等における展示品の説明、また、デパートやショッピングセンターにおける店舗案内、更には、観光スポットにおける観光案内等を挙げることができる。但し、情報の種類やロケーションに特に限定はなく、広く発信すべき情報や人々が集まる様々なロケーションに適用することができる。また、これらの提供情報は、本発明においては、電子情報である映像、画像、音声データや、これらの組合せとして提供することができる。
【0030】
(2.サーバー)
サーバー12は、
図1に示すように、提供情報を蓄積するデータベース12Aと、必要に応じて電子情報である提供情報を適切な提供形式に変換する図示しない動画変換手段と、システム全体を制御する制御手段12Bとを備える。このサーバー12は、
図1に示すように、情報提供端末14及びユーザー端末16との間では、LTE(又は4G)その他の携帯(移動体)高速通信規格により接続される。
【0031】
このサーバー12の制御手段12Bは、各ロケーションに設置された複数の情報提供端末14を、情報提供端末14毎に付与された、例えば、ロケーション情報(設置されている位置の情報)等を含む識別情報によって認識し、制御や管理をする。具体的には、サーバー12は、各情報提供端末14に、設置されたロケーションに応じて当該情報提供端末14において提供すべき提供情報を送信すると共に当該提供情報の再生や表示のタイミングや回数等を設定する。また、これらの提供情報等は、所定の期間の経過後等の必要に応じて、適宜更新して、常にアップトゥーデートな提供情報を提供することができる。
【0032】
このサーバー12は、ユーザー端末16が現在位置するロケーションを認識して、この認識したロケーションに対応するロケーションに設置された情報提供端末14を特定した上で、この特定された情報提供端末14が提供すべき提供情報をユーザー端末16に送信する。即ち、本発明においては、情報提供端末14からではなく、サーバー12から当該特定された情報提供端末14が提供すべき提供情報をユーザー端末16に送信するため、デジタルサイネージ等の情報提供端末14からはユーザー端末16に広告その他の提供情報を送信する必要がないので、情報提供端末14に提供情報の送信による負荷を掛けることがなく、サーバー12との通信や情報の表示等に際し充分なデータの処理速度を確保することができる一方、ユーザー端末16は、サーバー12との間でLTE等により快適な通信速度等で広告等の提供情報を受信することが可能となる。
【0033】
(3.情報提供端末)
一方、上述したように、街頭や美術館、観光スポット等に設置される情報提供端末14としては、具体的には、例えば、広告情報であればデジタルサイネージや、展示品の説明情報であれば美術館等に設置される説明機器、店舗案内等であれば案内機器等の比較的大型のディスプレイを備えた専用機器を、設置するか、あるいは、柱や壁面等の構造物に埋め込んで、使用することもできるが、特に、本発明においては、必ずしも、このような専用機器に限られず、
図1に示すように、例えば、スマートフォンやタブレット端末のような汎用的な小型のモバイル情報端末を使用することができる。
【0034】
これは、本発明においては、情報提供端末14は、ユーザー端末16へは広告等の提供情報を送信しないため、簡素な構成とすることが可能となるからである。これにより、簡易にかつ低コストで設置することができる結果、様々な多くのロケーションに設置することができるので、広告等の情報提供の機会を多く確保することができ、情報提供の実効性を挙げることができる。
【0035】
のみならず、このように比較的小型で簡易に準備することができる情報提供端末14とすることができる結果、特筆すべきは、例えば、ポスターや看板、あるいは、説明パネルや案内パネル等の有体物媒体のメディアの裏面その他の近傍に情報提供端末14を設置することにより、これまでディスプレイや送信手段を備えたデジタルメディアによらなければ同期して共有することができなかった電子情報である広告等の提供情報を、媒体の種類を問わず、紙媒体の広告等にも対応して、電子情報としてユーザー端末16に提供することができる点である。この結果、ポスターや看板、パネル等は勿論、これまでに設置されていたデジタルサイネージ等の既存のメディアに設置上の大きな変更を加えることなく、簡便に電子情報としての提供情報を提供することができる。
【0036】
また、本発明における情報提供端末14は、このようにして専用機器や既存のメディアに変更を加えることなく簡易に適用できるのは勿論のこと、新たに設置する場合においても、単に、提供情報を受信するだけではなく、
図1に示すように、例えば、HDMI(登録商標)等の映像や音声の出力端子を備えるモバイル情報端末にモニター15を組み合わせて使用することもでき、大型のモニター15を用意するだけで、単に提供情報を受信するだけではなく、本格的なデジタルサイネージとしてのニーズにも応えることができる。即ち、情報提供端末14は、様々なロケーションにおいて、自らは直接にユーザー端末16に対して提供情報の送信は行わないものの、まずは、一般的なデジタルサイネージや案内機器等と同様に、とあるロケーションにおいて有用な情報が存在していることをユーザーに対して認知させる役割を持つ。
【0037】
また、これらの複数の情報提供端末14は、各々少なくとも自らの識別情報を発信する図示しない識別情報発信手段を備えている。各情報提供端末14は、この識別情報発信手段により、いわば放送のように、常時、周囲に一方的に自らの識別情報を発信し、この発信された識別情報を情報提供端末14の周辺に位置するユーザー端末16が受信することにより、とある情報提供端末14とその周辺に位置するユーザー端末16とが関連づけられる。
【0038】
ユーザー端末16は、この情報提供端末14が発信する識別情報を受信してサーバー12に当該識別情報を送信し、サーバー12はこのユーザー端末16から送信された識別情報によりユーザー端末16の現在位置に対応するロケーションに設置された情報提供端末14を特定する。即ち、情報提供端末14は、少なくとも、この自らの識別情報のみを発信すれば、必ずしも提供情報自体をユーザー端末16に送信しなくても、その機能を発揮することができるため、上述したように、各種電子情報の処理に大きな負荷を要せず、スマートフォン等のモバイル情報端末によって対応できる簡易な構成で、かつ、低コストで製造、設置することができる。
【0039】
この場合、情報提供端末14からの識別情報の発信(ユーザー端末16での受信)は、無線LAN等の無線通信、特に、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)等のBluetooth(登録商標)又はWi-Fi(登録商標)を利用することができる。これにより、近年のモバイル端末等が通常備える機能をそのまま利用して、識別情報を発信することができるので、
図1に示すように、例えば、スマートフォン等の小型で、比較的安価なモバイル通信端末やその他の小型の通信ノード等を、情報提供端末14として使用することができ、簡易に、かつ、低コストで、情報提供システム10を構築することができる。
【0040】
一方、これにより、情報提供端末14を、大掛かりな設置工事等を要することなく簡易に、かつ、低コストで設置することができるため、情報提供端末14の設置者(設置箇所の責任者)にも、大きな負担を掛けることがないため、抵抗なく情報提供端末14を設置することができるため、より多くの広告等の情報提供の機会を確保することができる。即ち、情報提供端末14は、ユーザーへの情報の発信としては自らの識別情報をこれらの無線通信により常時発信しているのみであり、これを近傍に存在するユーザー端末16が受信して処理が開始されるものであり、通信に大きな負担が掛かることはない。
【0041】
この場合、ユーザー端末16は、ユーザー端末16と情報提供端末14との距離に応じて、Bluetooth(登録商標)又はWi-Fi(登録商標)により、識別情報を受信することができ、より具体的には、例えば、情報提供端末14から、5メートル以内の距離にあるユーザー端末16にはBluetooth(登録商標)により、また、5メートル以上25メートル以内の距離にあるユーザー端末16に対しては、Wi-Fi(登録商標)により、識別情報を受信させることができ、距離や通信強度に応じた適切な通信を行うことができる。
【0042】
(4.ユーザー端末)
このユーザー端末16としては、
図1に示すように、一般的に普及し、各ユーザー自身が所有乃至は使用しているスマートフォンやタブレットPC等のモバイル情報端末を、そのままユーザー端末として使用することができる。即ち、スマートフォン等のユーザー端末16は、通常のモバイル通信と同様、その固有の通信機能であるLTEその他の携帯高速通信により、サーバー12との間で通信を行うことができる。
【0043】
このため、ユーザーは、特に専用機器を購入等することなく、一般的なモバイル端末をそのままユーザー端末16として使用することができる上に、ユーザー端末16が無線LANに接続できる環境下に位置していなくても、高速通信により快適な速度での情報提供を受けることができる。
【0044】
また、このユーザー端末16は、その固有の機能として、自らの位置を特定するためのGPS機能を有している。従って、サーバー12は、このユーザー端末16が発するGPS情報に基づき当該ユーザー端末16が現在位置するロケーションを認識することもできる。これにより、特に、サーバー12は、いずれにせよ、ユーザー端末16が現在位置するロケーションを認識する必要があるが、ユーザー端末16の周囲に、情報提供端末14が存在せず、上述したBluetooth(登録商標)等の無線通信によっては、ユーザー端末16が識別情報を受信することができない場合であっても、対応するためである。
【0045】
即ち、このGPS情報によりサーバー12は、ユーザー端末16が、例えば、情報提供端末14が発信するBluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)が到達しない距離(具体的には、25メートル超)にあっても、周辺に位置する情報提供端末14を特定して、この特定された情報提供端末14が提供すべき提供情報と同じ提供情報を当該ユーザー端末16に送信することができる。これにより、ユーザーが情報提供端末14の存在や位置を具体的に認識していない状態からでも、提供情報を共有することが可能となり、情報の提供者にとっては、貴重な広告等の機会を逃すことがない一方、ユーザーにとっても現在位置において有用な情報の提供を情報提供端末14の存在を意識することなく確実に受けることができる。
【0046】
この場合、サーバー12は、ユーザー端末16が現在位置するロケーションから、例えば、2km圏内に存在する情報提供端末14を、その識別情報によって特定するように設定することができる。これは、移動に数時間を要するようなロケーションの情報の提供を受けても、ユーザーにとっては必ずしも有用とはいえず、むしろ、リアルタイムで必要な提供情報としては、視認可能な範囲又は徒歩でも十数分程度の距離あるロケーションの情報といえるのが一般的だからである。但し、この距離に特に限定はなく、他の距離に設定することもできるし、また、距離の設定自体をすることなく広範な情報を提供することもできる。更には、ユーザー端末16において、捕捉すべき距離を任意に又は選択的に設定することができる仕様とすることもできる。これにより、例えば、ユーザー自身が、現在位置の周囲にどのようなスポットが存在するかを知らなくても、周囲に存在する観光施設や商業施設、レジャー施設等に関する情報を入手することもできる。なお、このGPS情報に基づくユーザー端末16が現在位置するロケーションの認識は、情報提供端末14が上述した識別情報を発信する機能を有していない場合においても、適用することができる。
【0047】
更に、このユーザー端末16には、情報提供システム10の運用による情報提供方法の実施に際しては、ユーザー端末16に、専用のアプリケーションをインストールすることにより、対応することができる。そして、本発明の情報提供システム10による情報の提供は、上述したように、このユーザー端末16と情報提供端末14とを関連づけることからサービスの提供が始まるが、このアプリケーションにより、ユーザー端末16は、情報提供端末14の存在に関する情報を取得することができる。
【0048】
具体的には、ユーザー端末16をシェイク又はタップすることにより、近辺に存在する情報提供端末14の識別情報の受信を開始するか、又は、受信できない場合には、自らのGPS情報をサーバー12に認識させる作業を開始するように設定することができる。これにより、例えば、ユーザー端末16に一度専用のアプリケーションをインストールするだけで、ユーザーは、その都度コード等の情報を読み取ることなく、簡単なユーザー端末のシェイク操作又はタップ操作をするという簡易な操作を行うだけで提供情報(コンテンツ)を入手することができるので、情報の提供に抵抗がなくなり、ユーザーがより多くの広告その他の提供情報に触れる機会を確保することができる。
【0049】
この場合に、単一の情報提供端末14のみが特定された場合には、当該情報提供端末14が提供すべき提供情報をサーバー12からユーザー端末16へ送信することで対応することができるが、ユーザー端末16が複数の情報提供端末14の識別情報を同時に受信したり、又は、GPS情報に基づき判断した結果、サーバー12は、少なくとも、認識したロケーションに対応するロケーションに設置された情報提供端末14として複数の情報提供端末14が特定された場合には、当該複数の情報提供端末14の位置情報をユーザー端末16に送信し、これらの複数の情報提供端末14に関する情報をユーザー端末16にインストールされた専用のアプリケーションによって、地図上等に表示することによって、ユーザーに選択可能な状態とし、このユーザー端末16により選択処理された当該情報提供端末14が提供すべき提供情報をユーザー端末16に送信することができる。
【0050】
これにより、ユーザー端末16の周辺に複数の情報提供端末14が存在していても、ユーザーが情報提供端末14の存在や位置を認識した上で、現在位置するロケーションにおいて有用と思われる所望の適切な提供情報を受信することができる。具体的には、例えば、複数の美術品が展示されている美術館において、作品Aに設置された情報提供端末14と作品Bに設置された情報提供端末14の2つの情報提供端末14を認識した場合には、より近い位置に展示された作品に設置された情報提供端末14、あるいは、ユーザーがより接したいと思う作品に設置された情報提供端末14を選択することにより、当該作品に関する説明情報等を入手することができる。なお、この場合、このように選択可能とするほか、サーバー12において、例えば、識別情報の取得経緯(Bluetooth(登録商標)か、Wi-Fi(登録商標)か)等によって、ユーザー端末16と情報提供端末14との間の距離の遠近も判別することができる場合には、自動的によりユーザー端末16に近い情報提供端末14が提供すべき提供情報をユーザー端末16へ送信する設定とすることもできる。
【0051】
(5.情報提供方法その1-事前準備)
次に、上記の本発明の情報提供システム10を使用した情報提供方法について説明すると、まず、システム10の運用による提供方法の実施の前提として、情報提供端末14に専用のアプリケーションをインストールし、所定のロケーションに設置すると共に、情報提供端末14毎に、例えば、ロケーション情報(設置されている位置の情報)等を含む識別情報(アカウント)を付与する。サーバー12は、この識別情報によって各情報提供端末14を認識する。なお、この識別情報は、上述したように、情報提供端末14自体が周辺に発信する識別情報と同じものであっても、あるいは、これとは別にサーバー12での認識用に特別に付与された情報(の構成)であっても良く、後者の場合には、情報提供端末14自体が発信する識別情報と関連付けをしておく必要はある。
【0052】
また、ユーザー端末16についても、ユーザー端末16から、専用のサイトや、あるいは、インストールした専用のアプリケーションを通じて、サーバー12にアクセスして、ユーザー毎のアカウント情報を設定、登録する。いずれにせよ、情報提供端末14やユーザー端末16としては、上述したように、スマートフォン等の既存のモバイル端末を使用することができるので、事前準備に、大掛かりな手間やコストを要しない。
【0053】
一方、サーバー12側(システム10の運用側)においては、各情報提供端末14の設定作業として、
図2に示すように、ロケーション情報を含む識別情報に基づいて情報提供端末14のロケーションを地図上に表示することができる専用のサイトに接続した上で、コンテンツアップロード作業を選択し、これにより地図上に表示された複数の情報提供端末14の中から設定作業をすべき情報提供端末14を選択する。その後、設定作業をすべき情報提供端末14に、提供情報の名称や配信期間等の提供に必要な情報を入力氏、更に、当該提供情報の再生や表示の言語を選択する。
【0054】
この場合、近年のグローバル化への対応を考慮すると、提供情報の再生言語や表示言語としては、日本語だけではなく、英語やフランス語その他の複数の言語を設定することが望ましい。これにより、外国からの訪問者等にも適切に対応して、例えば、観光地に訪れた外国人への説明や案内、また、オリンピックその他の国際的なイベントの際にも、情報提供システム10の機能を最大限に発揮させることができる。一方、これに対応して、ユーザー端末16側においても、専用のアプリケーションにより、再生や表示の際の言語を設定できる仕組みとすることが望ましい。
【0055】
もっとも、全ての提供情報について、あらゆる言語での再生や表示を可能とする必要まではなく、需要等に応じて、言語毎に再生や表示可能な提供情報(コンテンツ)は異なっても良い。従って、次に、
図2に示すように、設定すべき当該情報提供端末14において、選択した言語によって再生や表示可能な提供情報を選択し、これを再生や表示すべき全ての言語について完了するまで繰り返し行う。次いで、再生や表示が可能な全ての言語について設定が完了したら、当該設定情報を該当する情報提供端末14へアップロードして設定作業を完了する。これを全ての情報提供端末14に対して行う。なお、提供情報や、その配信期間等の設定情報は、必要に応じて適宜更新することができる。これらのサーバー12及び少なくとも1つの情報提供端末14の設定が完了した段階でシステム10の運用を開始することができる。その後、新たに、情報提供端末14を設置する場合には、逐次設定作業を行い、管理、制御すべき情報提供端末14を追加して蓄積していく。
【0056】
(6.情報提供方法その2-情報の提供)
次に、ユーザーが、提供情報の提供(コンテンツの再生や表示)を受けるための手順について説明すると、
図3に示すように、ユーザー端末16に専用のアプリケーションがインストールされていなければ、まずは、このプリケーションをダウンロードしてインストールの上、専用のアプリケーションを起動させる。
【0057】
この状態で、ユーザーが、とあるロケーションにおいて、例えば、街頭で広告等の提供情報を再生や表示等しているデジタルサイネージである情報提供端末14を目にして当該提供情報を入手したいと思い、あるいは、現在位置において情報提供端末14の存在を認識していない場合でも、周囲に何か有用な情報がないかを知りたいと思い、広告等の提供情報を自らのユーザー端末16において再生又は表示したいと考えた場合、専用のアプリケーションでの設定により、
図3に示すように、例えば、ユーザー端末16がスマートフォン等の掌で握れる大きさである場合にはシェイク操作をすることにより、また、タブレット端末等である場合にはタップ操作をすることにより、ユーザー端末16がデジタルサイネージや説明機器、案内機器等の情報提供端末14の識別情報を捕捉する作業を開始する。
【0058】
この場合に、ユーザー端末16の近傍に情報提供端末14が存在し、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)により、ユーザー端末16がとある情報提供端末14の識別情報を取得した場合には、ユーザー端末16は、その識別情報をサーバー12へLTE等の通信によりインターネットを介して送信し、サーバー12は、
図3に示すように、この送信された識別情報に基づいて、ユーザー端末16の現在位置に対応するロケーションに設置された情報提供端末14を特定した上で、サーバー12から、この特定された情報提供端末14が提供すべき提供情報をユーザー端末16に送信する。なお、この場合には、情報提供端末14が発信する識別情報によって、ユーザー端末16の現在位置に対応するロケーションに設置された情報提供端末14を特定するため、サーバー12側では、必ずしも、ユーザー端末16自体の現在位置に関する情報を取得する必要はない。
【0059】
一方、至近距離には情報提供端末14が存在せず、ユーザー端末16が、情報提供端末14の識別情報を取得できなかった場合には、
図3に示すように、ユーザー端末16は、自らの現在位置に関するGPS情報をサーバー12に送信し、サーバー12は、このユーザー端末16が発するGPS情報に基づき当該ユーザー端末16が現在位置するロケーションを認識して、この認識したロケーションに対応するロケーションに設置された情報提供端末14を特定して、この特定された情報提供端末14が提供すべき提供情報と同じ提供情報を当該ユーザー端末16に送信する。これにより、ユーザーが特定の情報提供端末14を認識することができていない状況であっても、提供情報の提供することが可能となる。
【0060】
なお、本発明においては、少なくとも、このGPS情報によるユーザー端末16の現在位置を認識することができれば、ユーザー端末16と情報提供端末14との距離が近くても遠くてもいずれにせよ提供情報を提供することができるため、設置や運用の手間やコスト、また、情報提供端末14の負荷や構成を考慮して、ユーザー端末16の現在位置に対応するロケーションに設置された情報提供端末14の特定を、このGPS情報に基づく処理のみに特化することも妨げられないし、又は、
図3に示すように、少なくともGPS情報によるユーザー端末16の現在位置の確認という過程を経ることを必須とすることも妨げられない。この場合には、情報提供端末14は、自らの識別情報を発信する機能をも省略することもでき、より簡易にかつ低コストで、情報提供システム10を構築することができるメリットもある。あるいは、情報提供端末14による識別情報の発信とGPS情報に基づく処理の両方の機能を有しつつ、維持しつつ、ユーザー端末16において、いずれかによる処理を選択、又はいずれかによる処理のみに限定するように設定することもできる。
【0061】
このようにして、サーバー12にて、ユーザー端末16の現在位置に対応するロケーションに設置された情報提供端末14を特定した結果、
図3に示すように、単一の情報提供端末14のみが特定された場合には、当該情報提供端末14が提供すべき提供情報をサーバー12からユーザー端末16へ送信し、その提供情報をユーザー端末16において、情報提供端末14と同期して共有し、再生や表示することができる。
【0062】
一方、いずれの方法によっても、サーバー12が、ユーザー端末16の現在位置に対応するロケーションに設置された情報提供端末14を認識することができなかった場合、即ち、周囲に情報提供端末14が存在しない場合には、提供できる提供情報が存在しないため、
図3に示すように、例えば、システムデフォルトとして初期設定された情報をユーザー端末16に送信するか、あるいは、周囲に情報提供端末14が存在しない旨の情報をユーザー端末16に送信して、再生又は表示させることができる。
【0063】
更に、サーバー12は、ユーザー端末16から複数の情報提供端末14の識別情報を同時に受信したり、又は、GPS情報に基づき判断した結果、少なくとも、ユーザー端末16の現在位置に対応するロケーションに設置された情報提供端末14として複数の情報提供端末14が特定された場合には、
図3に示すように、当該複数の情報提供端末14の位置情報をユーザー端末16に送信し、これらの複数の情報提供端末14に関する情報をユーザー端末16にインストールされた専用のアプリケーションによって、地図上等に表示することによって、ユーザーに選択可能な状態とし、このユーザー端末16により選択処理された当該情報提供端末14が提供すべき提供情報をユーザー端末16に送信することで対応することができる。
【0064】
このようにして、提供情報をサーバー12から受信したユーザー端末16において、受信した提供情報を再生又は表示して、ユーザーに提供することができる。この場合、提供譲歩(コンテンツ)の個別のデータをユーザー端末16に送信して取得させ、ユーザー端末16において、情報提供端末14とは無関係に再生又は表示させることもできるし、あるいは、特定された情報提供端末14提供情報を同時して共有させること、即ち、サーバー12から、情報提供端末14へのみならずユーザー端末16へも同期して提供情報を送信して、ユーザー端末16において情報提供端末14と同様に、提供情報を再生又は表示させることもできる。その他、ニュース速報やユーザー端末16の現在位置に応じて通知すべき緊急の災害情報等が発生すれば、当該情報についても、情報提供端末14における再生や表示と関連させて又は関連させることなく独自にサーバー12からユーザー端末16へ送信して、再生又は表示させることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、例えば、街頭におけるデジタルサイネージ(電子広告媒体)による広告や、美術館、博物館、水族館等における展示品の説明、また、デパートやショッピングセンターにおける店舗案内、更には、観光スポットにおける観光案内等に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0066】
10 情報提供システム
12 サーバー
12A データベース
12B 制御手段
14 情報提供端末
15 モニター
16 ユーザー端末