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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】オンライン試験システム
(51)【国際特許分類】
   G09B 5/06 20060101AFI20240325BHJP
   G06Q 50/20 20120101ALI20240325BHJP
【FI】
G09B5/06
G06Q50/20
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021125425
(22)【出願日】2021-07-30
(65)【公開番号】P2022031184
(43)【公開日】2022-02-18
【審査請求日】2022-08-22
(31)【優先権主張番号】P 2020132945
(32)【優先日】2020-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 発行日:令和2年4月28日 刊行物:一般財団法人全日本情報学習振興協会ホームページ掲載事項(「オンライン・ライブ検定試験」ページの掲載情報)発行日:令和2年6月10日 刊行物:一般財団法人全日本情報学習振興協会ホームページ掲載事項(「オンライン試験 受験の手引き」ページの掲載情報)発行日:令和2年4月28日 刊行物:一般財団法人全日本情報学習振興協会ホームページ掲載事項(「オンライン検定Q&A」ページの掲載情報)発行日:令和2年4月28日 刊行物:一般財団法人全日本情報学習振興協会ホームページ掲載事項(「パソコン・WebカメラQ&A」ページの掲載情報)発行日:令和2年7月13日 刊行物:一般財団法人全日本情報学習振興協会ホームページ掲載事項(「オンライン・検定システム構築支援」ページの掲載情報)
(73)【特許権者】
【識別番号】505179904
【氏名又は名称】一般財団法人全日本情報学習振興協会
(74)【代理人】
【識別番号】100218062
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 悠樹
(72)【発明者】
【氏名】牧野 常夫
【審査官】三田村 陽平
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-258364(JP,A)
【文献】特開2003-208086(JP,A)
【文献】特開2003-091231(JP,A)
【文献】特開2001-290412(JP,A)
【文献】特開2003-066821(JP,A)
【文献】特開2006-099031(JP,A)
【文献】特開2005-033570(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 1/00- 9/56
G09B 17/00-19/26
G06Q 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークに接続されたサーバーと、前記通信ネットワークを介して前記サーバーに接続する試験主催者端末装置と、前記通信ネットワークを介して前記サーバーに接続可能な受験者端末装置とを備えたオンライン試験システムであって、
前記サーバーは、受験者データベースと、試験問題データベースと、解答データベースと、監視情報データベースと、前記受験者端末装置とのアクセスを制御するアクセス制御部を備え、
前記受験者データベースは、受験者証明写真フォルダを備え、
前記試験主催者端末装置は、少なくともモニターと入力装置を備え、
前記受験者端末装置は、少なくともモニターと、入力装置と、スピーカーと、WEBカメラを備えており、
受験者による前記受験者端末装置を用いたWEBブラウザからの受験者情報の入力に基づいて、前記サーバーにアクセス可能にログインするログインステップと、
前記受験者端末装置を用いたWEBブラウザからのログイン後、かつ試験開始前に、前記受験者により前記受験者端末装置のWEBカメラで撮影した証明写真画像データをサーバーに送信し、前記受験者証明写真フォルダに保存する証明写真保存ステップと、
前記受験者端末装置のWEBカメラの画像を前記サーバーに送信して、サーバーの監視情報データベースに保存する監視画像保存ステップと、
試験の開始から終了までの間、WEBブラウザを介した前記受験者の操作により、サーバーの試験問題データベース内の所定の試験問題ファイルを表示する試験問題表示ステップと、
前記受験者端末装置を用いてWEBブラウザから入力された解答データを前記解答データベースに保存する、解答保存ステップを含むことを特徴とするオンライン試験システム。
【請求項2】
前記受験者端末装置には、WEBカメラが少なくとも一台以上接続され、その少なくとも一台が広角WEBカメラであることを特徴とする請求項1に記載のオンライン試験システム。
【請求項3】
前記試験問題表示ステップにおいて、試験主催者からの認証コードの告知及び該認証コードの入力により試験が開始されることを特徴とする請求項1又は2に記載のオンライン試験システム。
【請求項4】
合格した場合に発行される合格証に、前記証明写真保存ステップにおいて保存された前記証明写真画像データの顔写真画像を表示することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のオンライン試験システム。
【請求項5】
前記監視画像保存ステップにおいて、前記受験者端末装置のWEBカメラの画像を前記サーバーの監視情報データベースに保存するとともに、前記WEBカメラの画像を前記サーバーに接続された前記試験主催者端末装置のモニターに表示して監視することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のオンライン試験システム。
【請求項6】
前記監視画像保存ステップにおいて、予め設定した時間間隔毎に、前記受験者端末装置のWEBカメラの画像を前記サーバーに送信して、前記監視情報データベースに保存することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のオンライン試験システム。
【請求項7】
前記ログイン後、試験の開始前に試験前説明画面を表示させるとともに、試験終了後に試験後説明画面を表示させることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のオンライン試験システム。
【請求項8】
試験の開始から試験終了までの残り時間が前記受験者端末装置のモニターに表示され、カウントダウンされることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のオンライン試験システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オンライン試験システムに関するものであり、詳しくは、オンライン試験時における受験者の監視機能を備えたオンライン試験システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、各種検定試験や認定試験の実施において、受験者が所定の会場に足を運び試験を受ける従来の受験方式とは別に、インターネット環境のもと、受験者側の環境で受験を可能とするオンライン試験が実施されるようになってきている。また、このようなオンライン試験をより容易かつ安定した環境で行うための提案が種々なされている(例えば特許文献1~3を参照)。
【0003】
一方、上記オンライン試験においては、監督者が受験者個々の試験環境を確認することが困難であるため、容易にカンニング等の不正行為を行うことが可能となり、厳正な検定試験や認定試験をオンライン試験により行うことが困難であるという問題がある。そして、このように問題に関しては、従来より提案されているオンライン試験システムにおいても解決されていないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5021113号公報
【文献】特許第3736753号公報
【文献】特許第6681485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、オンライン試験における受験者の監視を簡便かつ確実に行うことができ、さらに、受験者の替え玉受験を防止することが可能なオンライン試験システムを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、以下に示すオンライン試験システムが提供される。
【0007】
第1に、通信ネットワークに接続されたサーバーと、前記サーバーに接続可能な試験主催者端末装置と、前記通信ネットワークを介して前記サーバーに接続可能な受験者端末装置とを備えたオンライン試験システムであって、
前記サーバーは、受験者データベースと、試験問題データベースと、解答データベースと、監視情報データベースと、前記受験者端末装置とのアクセスを制御するアクセス制御部を備え、
前記試験主催者端末装置は、少なくともモニターと入力装置を備え、
前記受験者端末装置は、少なくともモニターと、入力装置と、スピーカーと、WEBカメラを備えており、
受験者による前記受験者端末装置からの受験者情報の入力に基づいて、前記サーバーにアクセス可能にログインするログインステップと、
前記受験者端末装置のWEBカメラの画像を前記サーバーに送信して、サーバーの監視情報データベースに保存する監視画像保存ステップと、
試験の開始から終了までの間、前記受験者の操作により、サーバーの試験問題データベース内の所定の試験問題ファイルを表示する試験問題表示ステップと、
前記受験者端末装置から入力された解答データを前記解答データベースに保存する、解答保存ステップを含むことを特徴とする。
【0008】
第2に、前記第1の発明のオンライン試験システムにおいて、前記受験者端末装置には、WEBカメラが少なくとも一台以上接続され、その少なくとも一台が広角WEBカメラであることが好ましく考慮される。
【0009】
第3に、前記第1又は第2の発明のオンライン試験システムにおいて、前記試験問題表示ステップにおいて、試験主催者からの認証コードの告知及び該認証コードの入力により試験が開始されることが好ましく考慮される。
【0010】
第4に、前記第1から第3の発明のオンライン試験システムにおいて、前記受験者データベースは、受験者証明写真フォルダを備え、前記受験者端末装置からの前記ログイン後、かつ試験開始前に、前記受験者により前記受験者端末装置のWEBカメラで撮影した証明写真画像データをサーバーに送信し、前記受験者証明写真フォルダに保存する証明写真保存ステップを含み、
合格した場合に発行される合格証に、前記証明写真画像データの顔写真画像を表示することが好ましく考慮される。
【0011】
第5に、前記第1から第4の発明のオンライン試験システムにおいて、前記監視画像保存ステップにおいて、前記受験者端末装置のWEBカメラの画像を前記サーバーの監視情報データベースに保存するとともに、前記WEBカメラの画像を前記サーバーに接続された前記試験主催者端末装置のモニターに表示して監視することが好ましく考慮される。
【0012】
第6に、前記第1から第5の発明のオンライン試験システムにおいて、前記監視画像保存ステップにおいて、予め設定した時間間隔毎に、前記受験者端末装置のWEBカメラの画像を前記サーバーに送信して、前記監視情報データベースに保存することが好ましく考慮される。
【0013】
第7に、前記第1から第6の発明のオンライン試験システムにおいて、前記ログイン後、試験の開始前に試験前説明画面を表示させるとともに、試験終了後に試験後説明画面を表示させることが好ましく考慮される。
【0014】
第8に、前記第1から第7の発明のオンライン試験システムにおいて、試験の開始から試験終了までの残り時間が前記受験者端末装置のモニターに表示され、カウントダウンされることが好ましく考慮される。
【発明の効果】
【0015】
本発明のオンライン試験システムによれば、オンライン試験における受験者の監視を簡便かつ確実に行うことができ、さらに、受験者の替え玉受験を防止することが可能なオンライン試験システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明のオンライン試験システムの全体構成を示す模式図である。
図2】本発明のオンライン試験システムにおける、受験者端末装置及び試験主催者端末装置とサーバーとのデータのやり取りの一実施形態を示すブロック図である。
図3】本発明のオンライン試験システムにおける受験者の操作の一実施形態を示すフローチャートである。
図4】WEB試験システムのログイン画面の一実施形態を示す概略図である。
図5】試験メニュー画面の一実施形態を示す概略図である。
図6】マイク及びカメラの利用許可確認画面の一実施形態を示す概略図である。
図7】WEBカメラの動作確認画面の一実施形態を示す概略図である。
図8】証明写真の撮影画面の一実施形態を示す概略図である。
図9】受験上の注意事項の表示画面の一実施形態を示す概略図である。
図10】試験説明のための動画配信画面の一実施形態を示す概略図である。
図11】試験問題の表示画面の一実施形態を示す概略図である。
図12】選択式試験における解答欄の一実施形態を示す概略図である。
図13】選択式試験における次問題表示の操作を示す概略図である。
図14】解答状況確認表の一実施形態を示す概略図である。
図15】全ての問題の解答が終了した状態の画面の一実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るオンライン試験システムの実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明のオンライン試験システムの一実施形態の全体構成を示す模式図であり、図2は受験者端末装置及び試験主催者端末装置とサーバーとのデータのやり取りの一実施形態を示すブロック図である。本発明のオンライン試験システムは、基本的な構成として、図1に示すように、通信ネットワークに接続されたサーバーと、サーバーに接続可能な試験主催者端末装置と、通信ネットワークを介してサーバーに接続可能な受験者端末装置から構成されるオンライン試験システムである。以下に各々の構成及び機能について詳述する。
【0019】
<サーバー>
本実施形態のオンライン試験システムにおけるサーバーは、通信ネットワーク(以下、インターネットともいう)に接続され、試験主催者端末装置及び、インターネットに接続された複数の受験者端末装置とのアクセスが可能となっている。
また、本実施形態のサーバーは、図1図2に示すように、受験者データベース、試験マスタデータベース、試験問題データベース、監視情報データベース、解答データベース及び、受験者端末装置とのアクセスを制御するアクセス制御部を有している。
【0020】
(受験者データベース)
受験者データベースには、少なくとも受験者名、受験対象試験(試験種別)、接続用ID(受験番号)、パスワード、受験者証明写真フォルダが設定されている。上記の受験者項目の中でも受験対象試験は、後述する試験マスタデータベースにおいて、受験者が受験する試験に紐づけされるキーとして用いられる。
【0021】
また、受験者データベースの各項目は、上記の項目以外にもシステムの仕様に応じて適宜設定することができる。具体的な他の項目として、例えば、受験者住所、受験者電話番号、受験者メールアドレス等の項目を例示することができる。
【0022】
なお、受験者データベースに対する上記受験者情報の入力は、通常、試験主催者側が試験実施に必要なデータである氏名、受験対象試験、接続用ID(受験番号)、パスワード等を入力するが、受験者の個人情報等に関する上記以外の項目のデータに関しては、試験主催者の管理するWEBページの受験者登録画面から、受験者本人が直接入力できるようにすることもできる。
【0023】
(試験マスタデータベース)
試験マスタデータベースは、複数の試験を管理するデータベースであり、試験種類、制限時間、試験実施日、試験実施時間、認証コード等の項目が設定されている。これらの項目には予め試験主催者によりデータが入力される。なお、受験者データベースの受験対象試験は、試験マスタデータベースの試験種類と紐づけされている。
【0024】
また、認証コードは各試験毎に付与されて、試験の直前に受験者に告知される試験開始のキーとなるコードであり、受験者からの認証コードの入力により対応試験が実施可能な状態となる。
【0025】
(試験問題データベース)
試験問題データベースは、実際に受験者が解答する試験問題が格納されているデータベースであり、試験種類、試験実施回、試験問題フォルダ等の項目が設定されている。試験問題フォルダには、試験主催者が作成した試験問題が保存されており、実施する試験問題の各々には認証コードが付され、試験マスタデータベース内の認証コードと紐付けされている。そして、受験者が受験する試験の認証コードを入力することにより、受験者端末装置で試験問題フォルダ内の一致する試験問題を表示させることが可能となる。
【0026】
(解答データベース)
解答データベースは、試験問題に対して、受験者が解答した解答データが保存されるデータベースであり、試験主催者は、受験者が入力した解答データと当該解答データベース内の正解解答とを照合して、合否の判断を行うことができる。また、ソフトウエアにより、受験者が入力した解答データと解答データベース内の正解解答とを自動的に照合して合否の判断を行うようにすることもできる。なお、この場合の合否の判断の設定等は、試験主催者によりサーバーの合否設定画面により設定することができる。
【0027】
(監視情報データベース)
監視情報データベースには、少なくとも各受験者毎に作成された監視画像フォルダを備えており、各監視画像フォルダには、各受験者端末装置に接続されたWEBカメラから送信された画像データが格納される。サーバーが受信した画像データには、受験者の受験番号情報が付されており、各受験者と画像データが紐付けされている。上記画像データとしては、静止画をはじめ、動画、音声付き動画等が例示される。
【0028】
(アクセス制御部)
アクセス制御部は、サーバーに対する受験者端末装置のアクセス、ログインに際し、適正なアクセスのみを認証して、ログインを許可するための制御部である。具体的には、受験者端末装置からサーバーにアクセスする際に、適正な接続用IDとパスワードを入力したときのみアクセスを許可する機能を有している。
【0029】
<試験主催者端末装置>
試験主催者端末装置は、少なくともモニターと入力装置を備えており、サーバーにアクセスして、サーバー内の試験情報、試験問題、受験者情報の追加、修正、削除を行うことができる。また、試験中に監視情報データベース内の各受験者毎から送信された画像データを閲覧し、受験者を監視することができる。
また、試験主催者端末装置においては、担当者毎のサーバーへのアクセスを制限するために適正な接続用IDとパスワードを入力したときのみアクセスを許可されるように設定することもできる。試験主催者端末装置としては、通常のパソコンを用いることができる。
【0030】
<受験者端末装置>
受験者端末装置は、少なくともモニター、入力装置、スピーカー、WEBカメラが接続されており、入力装置からの受験者による適正な接続用ID(受験番号)とパスワードの入力により、オンライン試験システムへのアクセス、ログインが許可される。入力装置としてはキーボードやマウスを例示することができる。また、モニターとスピーカーは、試験の注意事項の視聴や、音声による問題が出題される試験に用いられる。さらに、試験内容に応じて受験者の声を送信可能なマイクを接続することもできる。モニターとしては、通常のパソコンの液晶モニターを用いることができる。また、受験者端末装置は、基本的には通常のパソコンを用いることとするが、試験主催者が許可する場合には、スマートフォン、タブレット端末等を用いることができる。
【0031】
受験者端末装置に接続されるWEBカメラは、試験中の受験者を撮影するために設けられるものであり、カンニング等の不正行為を監視するためのものである。従って、WEBカメラは、受験者の手元や、視線等が撮影可能な場所に設置する必要があり、これらは試験主催者から詳細に指示される。
【0032】
また、WEBカメラは、通常、広角WEBカメラを所定の位置に一台設置するが、複数台設置させることもでき、これらのうちの少なくとも一台は広角WEBカメラであることが好ましい。広角WEBカメラを用いることにより、受験者の全体像を撮影することができ、WEBカメラの設置台数を少なく抑えることができるとともに、確実な監視を容易に行うことができる。
【0033】
また、WEBカメラは、通常、パソコンのモニター上部に固定されるが、ヘッドセットに固定することもでき、より受験者の目線に近い範囲の画像を撮影、送信することもできる。なお、WEBカメラの撮影設定は試験主催者によりサーバー側で設定が行われ、その設定に従って撮影された画像がサーバーへ送信されて監視情報データベースに格納される。具体的な設定条件としては、例えば、10秒~30秒間隔で画像及び音声をサーバーに自動送信する設定を例示することができる。
【0034】
以下に、本実施形態のオンライン試験システムによる試験実施の一実施形態について図面を用いて詳述する。図3は、受験者が試験を実施する際に行う操作の一実施形態を示すフローチャートである。
【0035】
なお、受験者は、試験の実施に先立って、受験者端末装置にWEBカメラ、スピーカー、マイク等を接続し、それらを試験主催者の指示に従って所定の位置に配置しておく。そして、試験実施の前日までに試験主催者が公開する「動作確認サイト」で受験者端末装置の動作を確認しておく。また、受験者には、主催者より受験票等のかたちで予め各個人の受験対象試験、接続用ID(受験番号)、パスワードが通知される。
【0036】
本実施形態のオンライン試験システムでは、以下のログインステップ、監視画像確認ステップ、証明写真保存ステップ、試験問題表示ステップ、監視画像保存ステップ及び解答保存ステップを有しており、基本的に上記の各ステップの順番で進行する。
【0037】
(ログインステップ)
受験者はまず、受験の本番までに受験準備として、受験者端末装置から試験主催者の指定するWEBブラウザを介してWEB試験システムにアクセスし、図4に示す画面を表示させる。次に、予め通知されている、試験毎に付与される接続用ID(受験番号)とパスワードを画面に入力してオンライン試験システムにログインする。
【0038】
オンライン試験システムにログインすると、図5に示す試験メニューが表示される。画面に表示された接続用ID(受験番号)、氏名等の情報に間違いないことを確認するとともに、WEBカメラ、マイク、スピーカー等の接続、準備ができていることを確認して「受験」のボタンをクリックする。また、ログインすると、図6に示すマイク及びカメラの利用許可を確認するウインドウが表示されるので、マイク及びカメラの接続を確認した後「許可」をクリックする。なお、受験者が接続用ID(受験番号)とパスワードを入力してオンライン試験システムにログインすることにより、受験登録した試験を選択したこととなる。
【0039】
(監視画像確認ステップ)
「受験」ボタンをクリックすると、図7に示すように画面の右上にWEBカメラの映す映像のプレビュー画面が現れ、WEBカメラが正常に動作していることが確認できる。これにより、WEBカメラによる試験中の監視が実行可能であることが確認される。
【0040】
(証明写真保存ステップ)
次に、本人確認のための証明写真の撮影を行う。図8に示す画面の「撮影する」ボタンがシャッターとなっており、カメラの正面に向かって「撮影する」をクリックすることにより証明写真の撮影が完了する。撮影は複数回可能であるため、できるだけ受験者の顔がはっきりと大きく映るように撮影する。撮影が終了したら、「撮影する」ボタンの右にある「アップロード」ボタンをクリックすることによりサーバーの受験者データベース内の証明写真データフォルダ内に保存される。なお、この証明写真は、試験に合格した場合に発行される合格証に印刷、表示されるため、仮に他人が本人に成りすまして受験する所謂替え玉受験を行った場合でも、証明写真の確認により受験した人物が特定されるため、不正を防止することができる。なお、上記(ログインステップ)から(証明写真保存ステップ)までのステップは、試験当日前に完了させておくことが望ましい。
【0041】
(試験問題表示ステップ)
試験の当日、上記ログインステップの手順でログインすると、図9図10に示す試験説明のための動画配信画面が表示され、受験上の注意、禁止事項などが表示される。
【0042】
試験説明の終わりに「認証コード」のアナウンスがあり、指示に従って「認証コード」を入力して試験開始のアナウンスを待つ。ここで、「認証コード」は試験開始のキーとなるコードであり、「認証コード」の入力により受験者は試験を開始することが可能な状態となる。
【0043】
試験開始のアナウンスの後、図10に示す「認証コード」欄に認証コードを入力し、「試験開始」ボタンをクリックすることにより試験問題を表示させることができる。なお、試験開始のアナウンスから1分が経過しても「試験開始」ボタンがクリックされない場合は失格となる。「試験開始」ボタンをクリックすると、図11に示すような試験問題の第1問が表示され、試験時間の残り時間が画面中央の上部に表示される。そして、残り時間の表示は試験の終了に向けてカウントダウンされる。
【0044】
(監視画像保存ステップ)
ログインステップの後には、図9図10に示すように画面の右上にWEBカメラの映す映像のプレビュー画面が現れ、WEBカメラが正常に動作していることが確認できる。なお、ここに表示されるWEBカメラの映像は、試験中、サーバーの監視情報データベースに送信され保存されるとともに、試験主催者端末装置側で監視される。そのため、当該映像の表示がなされなくなった場合には、試験は無効となる。即ち、WEBカメラの映像により、オンライン試験における受験者の監視を簡便かつ確実に行うことができる。
【0045】
また、WEBカメラの映像を、例えば、OpenCV(https://opencv.org/)等のオープンソースコンピュータビジョン向けライブラリ及びAI機械学習ソフトウェアライブラリを用いて顔を認識し、視線、表情等を解析することにより、自動的に不正につながるような不適切な動作や表情を検出してアラームを点灯させることも実現可能である。
【0046】
(解答保存ステップ)
試験問題は選択式、筆記試験のいずれにも対応している。以下に選択式試験の場合について説明する。選択式試験では、問題に対する答えについて表示される1~5、A~E、また、図12に示すようなア~エの選択肢ボタンをクリックして解答すると、選択肢の右側の枠内に、選択した記号が表示される。なお、解答形式としては、自由記入欄を設けて文字入力による解答形式や、1つの設問に対する複数の解答形式等を設けることもできる。
【0047】
そして、次の問題に移行したとき、又は試験終了に伴い、解答が解答データベースに保存される。また、解答の変更は、他のボタンをクリックすることにより選択を変更することができ、同時に解答データベースに上書き保存される。そして、図13に示す「次の問題」のボタンをクリックすることにより試験を先に進めることができる。
【0048】
また、本実施形態の試験システムには「見直し」の機能があり、解答欄右側の「見直し」のチェックボックスにチェックを入れることで、確認したい問題にチェックを付けることができる。チェックを付けた問題は、「解答状況確認表」に赤色で表示されるので、見直し時にすぐに見つけて移動することが可能となる。
【0049】
また、試験画面の最下部には「解答状況確認表」があり、解答されている問題番号は灰色、未解答の問題番号は白色で表示される。見直しなどで解答していない問題がある場合は、任意の問題番号をクリックすることで、該当の問題に移動することができる。
【0050】
そして、図15に示すように、全ての問題の解答が終わったら試験時間の終了までそのままの状態で待機する。なお、全問解答後であってもWEBカメラの映像は送信されており、不正と思われる行動の監視を行うことができる。
【0051】
試験時間が終了すると終了画面へ自動的に移動する。終了画面では、合否発表の日程などの案内の動画が再生される。終了の案内を閲覧後、試験はすべて終了となり、終了の案内に従ってブラウザを閉じてログアウトし、試験が終了する。
【0052】
上記実施形態のオンライン試験システムによれば、監視画像保存ステップでのWEBカメラの動作確認からログアウトまで、WEBカメラの画像情報が監視情報データベースの監視情報フォルダに逐次保存され、かつ、試験主催者端末装置から閲覧できるため、これらの画像情報によりカンニング等の不正を監視することができる。
【0053】
以上、本発明を一実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更が可能である。
【0054】
例えば、上記実施形態では、試験主催者端末装置がインターネットを介してサーバーにアクセスし、サーバー内のデータの追加、修正、削除を行うようにしているが、試験主催者は、直接サーバーを操作してデータの追加、修正、削除を行うこともできる。
【0055】
また、上記実施形態では、受験者、試験主催者のサーバーへのアクセスはインターネットブラウザを用いて行っているが、試験専用のアプリケーションを用いて行うこともできる。
【0056】
また、上記実施形態では選択式試験について説明したが、本発明のオンライン試験システムにおいて、筆記式の問題に解答する場合には、受験者端末装置のキーボードから解答欄に直接入力して解答することができる。また、受験者端末装置にマイクを接続させて音声により解答させる問題を出題することもできる。
【0057】
さらに、上記実施形態では、受験者の監視を画像情報により行っているが、受験者端末装置にマイクを接続させて音声情報も画像情報と併せて保存することができる。これにより、さらに監視精度を向上させることができ、より厳正な試験をオンライン試験システムにより実施することが可能となる。
【0058】
上記の構成を有する本発明のオンライン試験システムによれば、受験者の監視を簡便かつ確実に行うことができ、さらに、受験者の替え玉受験を防止することが可能となり、厳正な試験に対しても用いることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15