(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】網判定装置、網判定方法、網判定プログラム、及び接続網情報提供システム
(51)【国際特許分類】
H04M 1/24 20060101AFI20240325BHJP
【FI】
H04M1/24 Z
(21)【出願番号】P 2023222280
(22)【出願日】2023-12-28
【審査請求日】2024-01-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501032951
【氏名又は名称】株式会社クローバー・ネットワーク・コム
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】川上 泰則
(72)【発明者】
【氏名】大石 光
(72)【発明者】
【氏名】高橋 圭一郎
【審査官】石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-090490(JP,A)
【文献】特開2017-212730(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M1/00
1/24-3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発側固定IMS網に接続されている電話端末と着側IMS網に接続されている電話端末とのうちの少なくとも一方に前記発側固定IMS網を介して接続される網判定装置であり、
調査対象の電話端末に対するINVITEリクエストにSDPパラメータを付与して前記発側固定IMS網に前記INVITEリクエストを送信するとともに前記発側固定IMS網を介して応答メッセージを受信するメッセージ交換制御部と、
前記応答メッセージに応じて前記調査対象の前記電話端末が接続されている網を判定する接続網判定部と、を備え、
前記メッセージ交換制御部が、
ネットワークプロトコルがIPv6、メディア種別がマルチメディア、メディアのトランスポートプロトコルがRTP/AVPFのみ、並びに音声コーデックがG.711 μ-lawを含むと
記述されているNGN網用のSDPパラメータを含むINVITEリクエストを送信し、
次に、ネットワークプロトコルがIPv4、メディア種別がaudioのみ、メディアのトランスポートプロトコルがRTP/AVPのみ、並びに音声コーデックがG.711 μ-law及びG.722を含むと
記述されている固定電話網用のSDPパラメータを含むINVITEリクエストを送信し、
前記接続網判定部が、
前記NGN網用のSDPパラメータを含む前記INVITEリクエストに対する前記応答メッセージにおけるレスポンスのコード、前記固定電話網用のSDPパラメータを含む前記INVITEリクエストに対する前記応答メッセージにおけるレスポンスのコード、及び当該網判定装置が接続されているホームゲートウェイによって変換される前のtag情報の組合せに基づいて前記電話端末が接続されている網を判定する、
ことを特徴とする網判定装置。
【請求項2】
前記接続網判定部が、前記NGN網用のSDPパラメータを含む前記INVITEリクエストに対する前記応答メッセージがコード488 Not Acceptable Hereであり且つwarn-codeが302であるとともに前記tag情報がメタル収容装置に関するto-tag値である場合に、前記調査対象の前記電話端末はメタル収容装置に接続されていると判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の網判定装置。
【請求項3】
前記接続網判定部が、前記NGN網用のSDPパラメータを含む前記INVITEリクエストに対する前記応答メッセージがコード488 Not Acceptable Hereであり且つwarn-codeが300、304、又は305であるとともに前記tag情報が前記発側固定IMS網に関するto-tag値であり、さらに、前記固定電話網用のSDPパラメータを含む前記INVITEリクエストに対する応答メッセージがコード180 Ringingレスポンスであるとともに前記tag情報が前記着側IMS網としての着側固定VoIP網に関するto-tag値である場合に、前記調査対象の前記電話端末はVoIP網に接続されていると判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の網判定装置。
【請求項4】
前記接続網判定部が、前記NGN網用のSDPパラメータを含む前記INVITEリクエストに対する前記応答メッセージがコード488 Not Acceptable Hereでwarn-codeが300、304、及び305のうちのいずれかであり且つ前記tag情報が前記発側固定IMS網に関するto-tag値でない、或いは、前記固定電話網用のSDPパラメータを含む前記INVITEリクエストに対する前記応答メッセージがコード180 Ringingレスポンスであり且つ前記tag情報が前記着側IMS網としての着側固定VoIP網に関するto-tag値でない場合に、前記調査対象の前記電話端末はNGN網に接続されていると判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の網判定装置。
【請求項5】
発側固定IMS網に接続されている電話端末と着側IMS網に接続されている電話端末とのうちの少なくとも一方に前記発側固定IMS網を介して接続される装置を用いて、調査対象となる電話端末が接続されている網を判定する網判定方法であり、
前記装置が、
調査対象の電話端末に対するINVITEリクエストにSDPパラメータを付与して前記発側固定IMS網に前記INVITEリクエストを送信するステップと、
前記発側固定IMS網を介して応答メッセージを受信するステップと、
前記応答メッセージに応じて前記調査対象の前記電話端末が接続されている網を判定するステップと、を含み、
前記INVITEリクエストを送信する前記ステップとして、
ネットワークプロトコルがIPv6、メディア種別がマルチメディア、メディアのトランスポートプロトコルがRTP/AVPFのみ、並びに音声コーデックがG.711 μ-lawを含むと
記述されているNGN網用のSDPパラメータを含むINVITEリクエストを送信し、
次に、ネットワークプロトコルがIPv4、メディア種別がaudioのみ、メディアのトランスポートプロトコルがRTP/AVPのみ、並びに音声コーデックがG.711 μ-law及びG.722を含むと
記述されている固定電話網用のSDPパラメータを含むINVITEリクエストを送信し、
前記網を判定する前記ステップにおいて、
前記NGN網用のSDPパラメータを含む前記INVITEリクエストに対する前記応答メッセージにおけるレスポンスのコード、前記固定電話網用のSDPパラメータを含む前記INVITEリクエストに対する前記応答メッセージにおけるレスポンスのコード、及び前記装置が接続されているホームゲートウェイによって変換される前のtag情報の組合せに基づいて前記電話端末が接続されている網を判定する、
ことを特徴とする網判定方法。
【請求項6】
前記網を判定する前記ステップにおいて、前記NGN網用のSDPパラメータを含む前記INVITEリクエストに対する前記応答メッセージがコード488 Not Acceptable Hereであり且つwarn-codeが302であるとともに前記tag情報がメタル収容装置に関するto-tag値である場合に、前記調査対象の前記電話端末はメタル収容装置に接続されていると判定する、
ことを特徴とする請求項5に記載の網判定方法。
【請求項7】
前記網を判定する前記ステップにおいて、前記NGN網用のSDPパラメータを含む前記INVITEリクエストに対する前記応答メッセージがコード488 Not Acceptable Hereであり且つwarn-codeが300、304、又は305であるとともに前記tag情報が前記発側固定IMS網に関するto-tag値であり、さらに、前記固定電話網用のSDPパラメータを含む前記INVITEリクエストに対する応答メッセージがコード180 Ringingレスポンスであるとともに前記tag情報が前記着側IMS網としての着側固定VoIP網に関するto-tag値である場合に、前記調査対象の前記電話端末はVoIP網に接続されていると判定する、
ことを特徴とする請求項5に記載の網判定方法。
【請求項8】
前記網を判定する前記ステップにおいて、前記NGN網用のSDPパラメータを含む前記INVITEリクエストに対する前記応答メッセージがコード488 Not Acceptable Hereでwarn-codeが300、304、及び305のうちのいずれかであり且つ前記tag情報が前記発側固定IMS網に関するto-tag値でない、或いは、前記固定電話網用のSDPパラメータを含む前記INVITEリクエストに対する前記応答メッセージがコード180 Ringingレスポンスであり且つ前記tag情報が前記着側IMS網としての着側固定VoIP網に関するto-tag値でない場合に、前記調査対象の前記電話端末はNGN網に接続されていると判定する、
ことを特徴とする請求項5に記載の網判定方法。
【請求項9】
発側固定IMS網に接続されている電話端末と着側IMS網に接続されている電話端末とのうちの少なくとも一方に前記発側固定IMS網を介して接続されるコンピューターに、
調査対象の電話端末に対するINVITEリクエストにSDPパラメータを付与して前記発側固定IMS網に前記INVITEリクエストを送信する処理と、
前記発側固定IMS網を介して応答メッセージを受信する処理と、
前記応答メッセージに応じて前記調査対象の前記電話端末が接続されている網を判定する処理と、を少なくとも実行させ、
前記INVITEリクエストを送信する前記処理において、
ネットワークプロトコルがIPv6、メディア種別がマルチメディア、メディアのトランスポートプロトコルがRTP/AVPFのみ、並びに音声コーデックがG.711 μ-lawを含むと
記述されているNGN網用のSDPパラメータを含むINVITEリクエストを送信し、
次に、ネットワークプロトコルがIPv4、メディア種別がaudioのみ、メディアのトランスポートプロトコルがRTP/AVPのみ、並びに音声コーデックがG.711 μ-law及びG.722を含むと
記述されている固定電話網用のSDPパラメータを含むINVITEリクエストを送信し、
前記網を判定する前記処理において、
前記NGN網用のSDPパラメータを含む前記INVITEリクエストに対する前記応答メッセージにおけるレスポンスのコード、前記固定電話網用のSDPパラメータを含む前記INVITEリクエストに対する前記応答メッセージにおけるレスポンスのコード、及び前記コンピューターが接続されているホームゲートウェイによって変換される前のtag情報の組合せに基づいて前記電話端末が接続されている網を判定する、
ことを特徴とする網判定プログラム。
【請求項10】
前記網を判定する前記
処理において、前記NGN網用のSDPパラメータを含む前記INVITEリクエストに対する前記応答メッセージがコード488 Not Acceptable Hereであり且つwarn-codeが302であるとともに前記tag情報がメタル収容装置に関するto-tag値である場合に、前記調査対象の前記電話端末はメタル収容装置に接続されていると判定する、
ことを特徴とする請求項9に記載の網判定プログラム。
【請求項11】
前記網を判定する前記
処理において、前記NGN網用のSDPパラメータを含む前記INVITEリクエストに対する前記応答メッセージがコード488 Not Acceptable Hereであり且つwarn-codeが300、304、又は305であるとともに前記tag情報が前記発側固定IMS網に関するto-tag値であり、さらに、前記固定電話網用のSDPパラメータを含む前記INVITEリクエストに対する応答メッセージがコード180 Ringingレスポンスであるとともに前記tag情報が前記着側IMS網としての着側固定VoIP網に関するto-tag値である場合に、前記調査対象の前記電話端末はVoIP網に接続されていると判定する、
ことを特徴とする請求項9に記載の網判定プログラム。
【請求項12】
前記網を判定する前記
処理において、前記NGN網用のSDPパラメータを含む前記INVITEリクエストに対する前記応答メッセージがコード488 Not Acceptable Hereでwarn-codeが300、304、及び305のうちのいずれかであり且つ前記tag情報が前記発側固定IMS網に関するto-tag値でない、或いは、前記固定電話網用のSDPパラメータを含む前記INVITEリクエストに対する前記応答メッセージがコード180 Ringingレスポンスであり且つ前記tag情報が前記着側IMS網としての着側固定VoIP網に関するto-tag値でない場合に、前記調査対象の前記電話端末はNGN網に接続されていると判定する、
ことを特徴とする請求項9に記載の網判定プログラム。
【請求項13】
請求項1から4のうちのいずれか1項に記載の網判定装置と、
ユーザ端末と、を有し、
前記網判定装置が、前記ユーザ端末から電話端末についての接続網情報提供要求を受信すると、前記接続網情報提供要求があった前記ユーザ端末に前記接続網判定部が判定した前記電話端末の接続網をIP網経由で送信する網インタフェース部を備える、
ことを特徴とする接続網情報提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着信側の電話端末が接続されている網を判定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
着信側の電話端末の電話番号情報を判定する従来の技術として、複数の端末とインターネット網を介して接続されるコンピュータサーバを用いた電話番号情報の判定装置であって、複数の電話番号の使用履歴情報を記憶するデータベースと、端末から認証情報を受信し認証手段がログインを許可することを条件として、端末から検索情報として電話番号を受付ける検索情報受付手段と、検索情報受付手段が受付けた電話番号を用いてデータベースを検索し、電話番号履歴情報の中に加入状態から欠番状態へ遷移する複数の履歴が存在するか電話番号のフィールドの欠番変化を解析し、および/または、電話番号履歴情報の中に欠番状態から加入状態へ遷移する複数の履歴が存在するか電話番号のフィールドの有効変化を解析し、電話番号履歴情報の未蓄積履歴、電話番号履歴情報の直近調査記録が欠番履歴、直近調査記録より一つ前の調査記録が欠番履歴、電話番号履歴情報の中に存在する複数の通話停止履歴、を参照して、検索情報の電話番号に対して所定の加入者番号と判定する履歴判定情報を生成し、この履歴判定情報を端末へインターネット網を介して表示させるシステム制御手段と、を備える電話番号情報の判定装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、PSTNマイグレーション(PSTN:Public Switched Telephone Networks;公衆交換電話網)により、発側のIMS網(IMS:IP Multimedia Subsystem)と着側のIMS網との相互接続の方式が、公衆交換電話網(PSTN)経由の相互接続方式からIP-IP接続(IP:Internet Protocol)の相互接続方式へと切り替わる。
【0005】
ここで、公衆交換電話網(PSTN)経由の相互接続方式からIP-IP接続の相互接続方式への切り替わりについては移行期間がある。このため、例えば着側のIMS網に接続されている電話端末の電話番号の使用状況を的確に把握するためには、移行期間において特に、発側固定IMS網と着側固定IMS網若しくは着側移動IMS網とのIP-IP接続が開始された否か(言い換えると、IP-IP接続の相互接続方式へと切り替わったか否か)を着側固定IMS網や着側移動IMS網ごとに判定する必要がある。
【0006】
また、公衆交換電話網(PSTN)からNGN(Next Generation Network)への移行に伴い、事業者間相互接続インタフェースが共通線信号方式のSS7(Signaling System No.7)からIP方式のSIP(Session Initiation Protocol)に変更される。このため、発信側の端末からSIPの特定メッセージがIMS網、NGN網、及びVoIP網(VoIP:Voice over Internet Protocol)に対して到達することになる。
【0007】
なお、IMSとは、これまで固定網や移動体通信などで行われていたサービスをIP化し、融合したマルチメディアサービスなどを実現するための規格であり、その規格に沿って作られたシステムとして移動体通信システムやNGNがある。
【0008】
そして、着信側の端末、機器が接続されている通信網の種別により、送信側の端末、機器と着信側の端末、機器との間における通信の確立の仕方が異なる。このため、或る電話番号の端末、機器が接続されている通信網の種別を予め判定しておくことができれば、例えば電話端末の電話番号について使用状況の調査を実施する際に有用な情報となる。
【0009】
そこで本発明は、1つの側面では、公衆交換電話網(PSTN)経由の相互接続方式からIP-IP接続の相互接続方式への移行後に着信側の電話端末が接続されている網を判定することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明に係る網判定装置は、発側固定IMS網に接続されている電話端末と着側IMS網に接続されている電話端末とのうちの少なくとも一方に前記発側固定IMS網を介して接続される網判定装置であり、調査対象の電話端末に対するINVITEリクエストにSDPパラメータを付与して前記発側固定IMS網に前記INVITEリクエストを送信するとともに前記発側固定IMS網を介して応答メッセージを受信するメッセージ交換制御部と、前記応答メッセージに応じて前記調査対象の前記電話端末が接続されている網を判定する接続網判定部と、を備え、前記メッセージ交換制御部が、ネットワークプロトコルがIPv6、メディア種別がマルチメディア、メディアのトランスポートプロトコルがRTP/AVPFのみ、並びに音声コーデックがG.711 μ-lawを含むとされているNGN網用のSDPパラメータを含むINVITEリクエストを送信し、次に、ネットワークプロトコルがIPv4、メディア種別がaudioのみ、メディアのトランスポートプロトコルがRTP/AVPのみ、並びに音声コーデックがG.711 μ-law及びG.722を含むとされている固定電話網用のSDPパラメータを含むINVITEリクエストを送信し、前記接続網判定部が、前記NGN網用のSDPパラメータを含む前記INVITEリクエストに対する前記応答メッセージにおけるレスポンスのコード、前記固定電話網用のSDPパラメータを含む前記INVITEリクエストに対する前記応答メッセージにおけるレスポンスのコード、及び当該網判定装置が接続されているホームゲートウェイによって変換される前のtag情報の組合せに基づいて前記電話端末が接続されている網を判定する、ようにしてもよい。
【0011】
本発明に係る網判定装置は、前記接続網判定部が、前記NGN網用のSDPパラメータを含む前記INVITEリクエストに対する前記応答メッセージがコード488 Not Acceptable Hereであり且つwarn-codeが302であるとともに前記tag情報がメタル収容装置に関するto-tag値である場合に、前記調査対象の前記電話端末はメタル収容装置に接続されていると判定する、ようにしてもよい。
【0012】
本発明に係る網判定装置は、前記接続網判定部が、前記NGN網用のSDPパラメータを含む前記INVITEリクエストに対する前記応答メッセージがコード488 Not Acceptable Hereであり且つwarn-codeが300、304、又は305であるとともに前記tag情報が前記発側固定IMS網に関するto-tag値であり、さらに、前記固定電話網用のSDPパラメータを含む前記INVITEリクエストに対する応答メッセージがコード180 Ringingレスポンスであるとともに前記tag情報が前記着側IMS網としての着側固定VoIP網に関するto-tag値である場合に、前記調査対象の前記電話端末はVoIP網に接続されていると判定する、ようにしてもよい。
【0013】
本発明に係る網判定装置は、前記接続網判定部が、前記NGN網用のSDPパラメータを含む前記INVITEリクエストに対する前記応答メッセージがコード488 Not Acceptable Hereでwarn-codeが300、304、及び305のうちのいずれかであり且つ前記tag情報が前記発側固定IMS網に関するto-tag値でない、或いは、前記固定電話網用のSDPパラメータを含む前記INVITEリクエストに対する前記応答メッセージがコード180 Ringingレスポンスであり且つ前記tag情報が前記着側IMS網としての着側固定VoIP網に関するto-tag値でない場合に、前記調査対象の前記電話端末はNGN網に接続されていると判定する、ようにしてもよい。
【0014】
また、本発明に係る網判定方法は、発側固定IMS網に接続されている電話端末と着側IMS網に接続されている電話端末とのうちの少なくとも一方に前記発側固定IMS網を介して接続される装置を用いて、調査対象となる電話端末が接続されている網を判定する網判定方法であり、前記装置が、調査対象の電話端末に対するINVITEリクエストにSDPパラメータを付与して前記発側固定IMS網に前記INVITEリクエストを送信するステップと、前記発側固定IMS網を介して応答メッセージを受信するステップと、前記応答メッセージに応じて前記調査対象の前記電話端末が接続されている網を判定するステップと、を含み、前記INVITEリクエストを送信する前記ステップとして、ネットワークプロトコルがIPv6、メディア種別がマルチメディア、メディアのトランスポートプロトコルがRTP/AVPFのみ、並びに音声コーデックがG.711 μ-lawを含むとされているNGN網用のSDPパラメータを含むINVITEリクエストを送信し、次に、ネットワークプロトコルがIPv4、メディア種別がaudioのみ、メディアのトランスポートプロトコルがRTP/AVPのみ、並びに音声コーデックがG.711 μ-law及びG.722を含むとされている固定電話網用のSDPパラメータを含むINVITEリクエストを送信し、前記網を判定する前記ステップにおいて、前記NGN網用のSDPパラメータを含む前記INVITEリクエストに対する前記応答メッセージにおけるレスポンスのコード、前記固定電話網用のSDPパラメータを含む前記INVITEリクエストに対する前記応答メッセージにおけるレスポンスのコード、及び前記装置が接続されているホームゲートウェイによって変換される前のtag情報の組合せに基づいて前記電話端末が接続されている網を判定する、ようにしてもよい。
【0015】
本発明に係る網判定方法は、前記網を判定する前記ステップにおいて、前記NGN網用のSDPパラメータを含む前記INVITEリクエストに対する前記応答メッセージがコード488 Not Acceptable Hereであり且つwarn-codeが302であるとともに前記tag情報がメタル収容装置に関するto-tag値である場合に、前記調査対象の前記電話端末はメタル収容装置に接続されていると判定する、ようにしてもよい。
【0016】
本発明に係る網判定方法は、前記網を判定する前記ステップにおいて、前記NGN網用のSDPパラメータを含む前記INVITEリクエストに対する前記応答メッセージがコード488 Not Acceptable Hereであり且つwarn-codeが300、304、又は305であるとともに前記tag情報が前記発側固定IMS網に関するto-tag値であり、さらに、前記固定電話網用のSDPパラメータを含む前記INVITEリクエストに対する応答メッセージがコード180 Ringingレスポンスであるとともに前記tag情報が前記着側IMS網としての着側固定VoIP網に関するto-tag値である場合に、前記調査対象の前記電話端末はVoIP網に接続されていると判定する、ようにしてもよい。
【0017】
本発明に係る網判定方法は、前記網を判定する前記ステップにおいて、前記NGN網用のSDPパラメータを含む前記INVITEリクエストに対する前記応答メッセージがコード488 Not Acceptable Hereでwarn-codeが300、304、及び305のうちのいずれかあり且つ前記tag情報が前記発側固定IMS網に関するto-tag値でない、或いは、前記固定電話網用のSDPパラメータを含む前記INVITEリクエストに対する前記応答メッセージがコード180 Ringingレスポンスであり且つ前記tag情報が前記着側IMS網としての着側固定VoIP網に関するto-tag値でない場合に、前記調査対象の前記電話端末はNGN網に接続されていると判定する、ようにしてもよい。
【0018】
また、本発明に係る網判定プログラムは、発側固定IMS網に接続されている電話端末と着側IMS網に接続されている電話端末とのうちの少なくとも一方に前記発側固定IMS網を介して接続されるコンピューターに、調査対象の電話端末に対するINVITEリクエストにSDPパラメータを付与して前記発側固定IMS網に前記INVITEリクエストを送信する処理と、前記発側固定IMS網を介して応答メッセージを受信する処理と、前記応答メッセージに応じて前記調査対象の前記電話端末が接続されている網を判定する処理と、を少なくとも実行させ、前記INVITEリクエストを送信する前記処理において、ネットワークプロトコルがIPv6、メディア種別がマルチメディア、メディアのトランスポートプロトコルがRTP/AVPFのみ、並びに音声コーデックがG.711 μ-lawを含むとされているNGN網用のSDPパラメータを含むINVITEリクエストを送信し、次に、ネットワークプロトコルがIPv4、メディア種別がaudioのみ、メディアのトランスポートプロトコルがRTP/AVPのみ、並びに音声コーデックがG.711 μ-law及びG.722を含むとされている固定電話網用のSDPパラメータを含むINVITEリクエストを送信し、前記網を判定する前記処理において、前記NGN網用のSDPパラメータを含む前記INVITEリクエストに対する前記応答メッセージにおけるレスポンスのコード、前記固定電話網用のSDPパラメータを含む前記INVITEリクエストに対する前記応答メッセージにおけるレスポンスのコード、及び前記コンピューターが接続されているホームゲートウェイによって変換される前のtag情報の組合せに基づいて前記電話端末が接続されている網を判定する、ようにしてもよい。
【0019】
本発明に係る網判定プログラムは、前記網を判定する前記ステップにおいて、前記NGN網用のSDPパラメータを含む前記INVITEリクエストに対する前記応答メッセージがコード488 Not Acceptable Hereであり且つwarn-codeが302であるとともに前記tag情報がメタル収容装置に関するto-tag値である場合に、前記調査対象の前記電話端末はメタル収容装置に接続されていると判定する、ようにしてもよい。
【0020】
本発明に係る網判定プログラムは、前記網を判定する前記ステップにおいて、前記NGN網用のSDPパラメータを含む前記INVITEリクエストに対する前記応答メッセージがコード488 Not Acceptable Hereであり且つwarn-codeが300、304、又は305であるとともに前記tag情報が前記発側固定IMS網に関するto-tag値であり、さらに、前記固定電話網用のSDPパラメータを含む前記INVITEリクエストに対する応答メッセージがコード180 Ringingレスポンスであるとともに前記tag情報が前記着側IMS網としての着側固定VoIP網に関するto-tag値である場合に、前記調査対象の前記電話端末はVoIP網に接続されていると判定する、ようにしてもよい。
【0021】
本発明に係る網判定プログラムは、前記網を判定する前記ステップにおいて、前記NGN網用のSDPパラメータを含む前記INVITEリクエストに対する前記応答メッセージがコード488 Not Acceptable Hereでwarn-codeが300、304、及び305のうちのいずれかであり且つ前記tag情報が前記発側固定IMS網に関するto-tag値でない、或いは、前記固定電話網用のSDPパラメータを含む前記INVITEリクエストに対する前記応答メッセージがコード180 Ringingレスポンスであり且つ前記tag情報が前記着側IMS網としての着側固定VoIP網に関するto-tag値でない場合に、前記調査対象の前記電話端末はNGN網に接続されていると判定する、ようにしてもよい。
【0022】
また、本発明に係る接続網情報提供システムは、上記に記載の網判定装置と、ユーザ端末と、を有し、前記網判定装置が、前記ユーザ端末から電話端末についての接続網情報提供要求を受信すると、前記接続網情報提供要求があった前記ユーザ端末に前記接続網判定部が判定した前記電話端末の接続網をIP網経由で送信する網インタフェース部を備える、ようにしてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、1つの側面では、公衆交換電話網(PSTN)経由の相互接続方式からIP-IP接続の相互接続方式への移行後に着信側の電話端末が接続されている網を判定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施の形態に係る網判定装置の網接続形態を示す概略図である。
【
図2】
図1におけるホームゲートウェイと光回線終端装置との間で伝送されるパケットの情報の例を示す図である。
【
図3】
図1における公衆交換電話網経由の相互接続方式のtag情報の内容を説明する図である。
【
図4】
図1におけるIP-IP接続の相互接続方式のtag情報の内容を説明する図である。
【
図5】事業者間IMS相互接続がIP-IP接続の相互接続方式へと切り替わっている場合の着信側の機器の接続の態様を説明する図である。
【
図6】
図1の網判定装置の構成を示すブロック図である。
【
図7】
図1の網判定装置における処理手順を示すフロー図である。
【
図8】本発明の実施の形態に係る接続網情報提供システムのシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照しながら説明する。
【0026】
(網接続形態)
図1は、本発明に係る網判定装置の具体的な構成態様の一例としての、実施の形態に係る網判定装置10の網接続形態を示す概略図である。
【0027】
網判定装置10は、固定型の電話端末(具体的には、IP電話端末)として機能する機器であり、ホームゲートウェイ(HGW:Home GateWay)51及び光回線終端装置(ONU:Optical Netowork Unit)52を介して発側固定IMS網20に接続されている。具体的には、網判定装置10の側にホームゲートウェイ51が配置され、発側固定IMS網20の側に光回線終端装置52が配置されている。
【0028】
発側固定IMS網20は、NGN網である。発側固定IMS網20はSIPサーバ21を備え、当該SIPサーバ21によって発側固定IMS網20の動作が管理、制御される。
【0029】
網判定装置10とホームゲートウェイ51との間、及び、ホームゲートウェイ51と光回線終端装置52との間は、それぞれ、UNI(User Network Interface:ユーザ網インタフェース)接続が担保される。ホームゲートウェイ51と光回線終端装置52との間のUNI接続を「UNI-1」と称し、また、網判定装置10とホームゲートウェイ51との間のUNI接続を「UNI-2」と称する。
【0030】
ホームゲートウェイ51及び光回線終端装置52が介在する網判定装置10と発側固定IMS網20との間では、SIP信号方式(別言すると、SIPプロトコル)に則り、網判定装置10から発信される特定のSIPメッセージ(詳細については後述する)が発側固定IMS網20へと送信される。
【0031】
網判定装置10は、着信側の電話端末の電話番号として、着側のIMS網に接続されている電話端末の電話番号をダイヤル発信する。言い換えると、網判定装置10は、着側のIMS網に接続されている電話端末との通信を行う(又は、電話端末との通信の確立を試みる)。
【0032】
着側のIMS網は、具体的には、固定型の電話端末が接続されている固定IMS網、及び、移動型の電話端末(例えば、携帯電話)が接続されている移動IMS網である。本発明の説明ではこれら着側の固定IMS網及び移動IMS網のことをまとめて「着側IMS網」と称する(尚、符号は30)。
【0033】
着側IMS網30はSIPサーバ31を備え、当該SIPサーバ31によって着側IMS網30の動作が管理、制御される。
図1に示す例では着側IMS網30は1つのみ図示されているが、着側IMS網30は、実際には、通信事業者ごとに構築され(即ち、複数の網が構築され)、各々が管理運営するSIPサーバ31を介して、各々の網ごと(具体的には、着側の固定IMS網や移動IMS網ごと;言い換えると、契約事業者ごと)に電話端末が接続されている。
【0034】
発側固定IMS網20及び着側IMS網30(具体的には、固定IMS網、移動IMS網)は通信事業者ごとに構築され(即ち、複数の網が構築され)、発側固定IMS網20と着側IMS網30との接続は即ち事業者間IMS相互接続である。
【0035】
網判定装置10と着側IMS網30との間の通信態様(言い換えると、通信仕様)は、公衆交換電話網(PSTN)経由の相互接続方式からIP-IP接続の相互接続方式への切り替えの移行期間においては、事業者間相互接続インタフェースについて、既存の共通線信号方式のSS7(Signaling System No.7)と新設のIP方式のSIPとの2つが同時に存在する。
【0036】
具体的には、事業者間相互接続インタフェースが共通線信号方式のSS7である通信経路は、発側固定IMS網20と着側IMS網30とが公衆交換電話網(PSTN)40を経由して接続される。これは、発側固定IMS網20の通信事業者と着側IMS網30の通信事業者との事業者間IMS相互接続が、IP-IP接続の相互接続方式に未だ切り替わっておらず、公衆交換電話網経由の相互接続方式のままである状態に対応する。
【0037】
発側固定IMS網20と公衆交換電話網40とは、発側固定IMS網20側の公衆交換電話網ゲートウェイ(PSTN-GW)22と公衆交換電話網40側の公衆交換電話網ゲートウェイ(PSTN-GW)41とを介して、SS7のISUP信号方式(ISUP:Integrated Services for digital network User Part)で相互に接続される。
【0038】
公衆交換電話網40と着側IMS網30とは、公衆交換電話網40側のゲートウェイ(GW)42と着側IMS網30側のゲートウェイ(GW)32とを介して、SS7のISUP信号方式で相互に接続される。
【0039】
公衆交換電話網40側のゲートウェイ42と着側IMS網30側のゲートウェイ32とは、これらの回線網どうしを接続させる相互接続点であるSTM-POI(Synchronous Transfer Mode-Point Of Interface)43を介して相互に接続される。
【0040】
一方、事業者間相互接続インタフェースがIP方式のSIPである通信経路は、発側固定IMS網20と着側IMS網30とが直接接続される。これは、発側固定IMS網20の通信事業者と着側IMS網30の通信事業者との事業者間IMS相互接続が、公衆交換電話網経由の相互接続方式からIP-IP接続の相互接続方式へと既に切り替わっている状態に対応する。
【0041】
発側固定IMS網20と着側IMS網30とは、具体的には、発側固定IMS網20側のIBCF(Inter-connection Border Control Function)23と着側IMS網30側のIBCF33とを介して、IP方式のSIP信号方式で相互に接続される。
【0042】
発側固定IMS網20側のIBCF23と着側IMS網30側のIBCF33とは、これらの回線網どうしを接続させる相互接続点であるIP-POI(Internet Protocol-Point Of Interface)34を介して相互に接続される。
【0043】
そして、公衆交換電話網(PSTN)経由の相互接続方式からIP-IP接続の相互接続方式への切り替えの移行期間においては、回線網どうしを接続させる相互接続点としてSTM-POI43とIP-POI34とが同時に存在する。STM-POI43はSS7のISUP信号方式に対応し、IP-POI34はIP方式のSIP信号方式に対応している。
【0044】
公衆交換電話網(PSTN)経由の相互接続方式では、発信側の機器(ここでは、網判定装置10)から発呼されたIP方式のSIP信号は、発側固定IMS網20から公衆交換電話網40を経由する際にSS7のISUP信号に変換され、これによって公衆交換電話網40と着側IMS網30との間ではSS7のISUP信号が伝送されて、着側IMS網30においてISDN信号(ISDN:Integrated Services Digital Network)にインターワークされる。発呼は、具体的には、電話番号のダイヤル発信である。
【0045】
一方、IP-IP接続の相互接続方式では、発信側の機器(ここでは、網判定装置10)からIP方式のSIP信号が発呼されると、発側固定IMS網20と着側IMS網30との間でそのままIP方式のSIP信号が伝送されて、着側IMS網30においてもSIP信号のまま処理される。
【0046】
(tag情報)
網判定装置10の側に配置されている(言い換えると、網判定装置10が接続されている)ホームゲートウェイ51と発側固定IMS網20の側に配置されている光回線終端装置52との間(即ち、UNI接続:UNI-1)に、情報取得装置60が配設される。
【0047】
情報取得装置60は、ホームゲートウェイ51と光回線終端装置52との間(即ち、UNI接続:UNI-1)の回線に接続されて、ホームゲートウェイ51と光回線終端装置52との間で伝送されるIP方式のSIP信号の内容(具体的には、パケットの情報)を取得(別言すると、キャプチャ)する。
【0048】
ホームゲートウェイ51と光回線終端装置52との間(即ち、UNI接続:UNI-1)を追加に配設される情報取得装置60によって取得される、発信側の機器(ここでは、網判定装置10)からIP方式のSIP信号が発呼された際に着側IMS網30側から伝送されるパケットの情報(言い換えると、返り値;尚、SIP信号である)は、ホームゲートウェイ51によって変換されていないパケットの情報である。すなわち、情報取得装置60は、ホームゲートウェイ51によって変換される前の、着側IMS網30に関連する情報を取得することができる。
【0049】
なお、網判定装置10とホームゲートウェイ51との間(即ち、UNI接続:UNI-2)で伝送される、発信側の機器(ここでは、網判定装置10)からIP方式のSIP信号が発呼された際に着側IMS網30側から伝送されるパケットの情報(返り値;尚、SIP信号である)は、ホームゲートウェイ51によって変換されたパケットの情報である。このため、網判定装置10とホームゲートウェイ51との間では、着側IMS網30に関連する情報を取得することができない。
【0050】
図2は、ホームゲートウェイ51と光回線終端装置52との間で伝送される、発信側の機器(ここでは、網判定装置10)からIP方式のSIP信号が発呼された際に着側IMS網30側から伝送されるパケットの情報(返り値;尚、SIP信号である)の例である。なお、
図2中の「example3」及び「example4」は通信事業者の名称に相当する(仮想の通信事業者の名称にしている)。
【0051】
図2中の枠2aの部分(具体的には、「SIP from tag:・・・」)は、発信側のホームゲートウェイ51の情報を表している。
【0052】
図2中の枠2bの部分(具体的には、「SIP to tag:・・・」)は、発側固定IMS網20側の公衆交換電話網ゲートウェイ22又はIBCF23の情報を表している。
【0053】
ホームゲートウェイ51と光回線終端装置52との間で伝送されるIP方式のSIP信号の内容(具体的には、パケットの情報)における「SIP from tag:・・・」及び「SIP to tag:・・・」のことを「tag情報」と称する。
【0054】
SIPにおけるtag情報は、発信側と着信側とで取り交わされる信号の一連であるコールセッションを識別するための情報である。tag情報は、発信側(From)及び着信側(To)のユーザエージェントで必ず生成され、その値はグローバル環境下では一意であり、ユーザエージェント各々に固有のアルゴリズムによって生成される。
【0055】
ここで、
図3に示すように、発側固定IMS網20の通信事業者と着側IMS網30の通信事業者との事業者間IMS相互接続が、IP-IP接続の相互接続方式に未だ切り替わっておらず、公衆交換電話網経由の相互接続方式のままである場合には、ホームゲートウェイ51と光回線終端装置52との間(即ち、UNI接続:UNI-1)で伝送される、発信側の機器(ここでは、網判定装置10)からIP方式のSIP信号が発呼された際に着側IMS網30側から伝送されるIP方式のSIP信号の内容から取得されるtag情報(尚、ホームゲートウェイ51によって変換されていないパケットの情報である)では、「SIP from tag:」の値として発信側のホームゲートウェイ51の情報が取得されるとともに、「SIP to tag:」の値として発側固定IMS網20側の公衆交換電話網ゲートウェイ22の情報が取得される。
【0056】
また、
図4に示すように、発側固定IMS網20の通信事業者と着側IMS網30の通信事業者との事業者間IMS相互接続が、公衆交換電話網経由の相互接続方式からIP-IP接続の相互接続方式へと既に切り替わっている場合には、ホームゲートウェイ51と光回線終端装置52との間(即ち、UNI接続:UNI-1)で伝送される、発信側の機器(ここでは、網判定装置10)からIP方式のSIP信号が発呼された際に着側IMS網30側から伝送されるIP方式のSIP信号の内容から取得されるtag情報(尚、ホームゲートウェイ51によって変換されていないパケットの情報である)では、「SIP from tag:」の値として発信側のホームゲートウェイ51の情報が取得されるとともに、「SIP to tag:」の値として発側固定IMS網20側のIBCF23の情報が取得される。
【0057】
そして、着側IMS網30が着側固定IMS網であるときも着側移動IMS網であるときも、発側固定IMS網20の通信事業者と着側IMS網30の通信事業者との事業者間IMS相互接続が、IP-IP接続の相互接続方式に未だ切り替わっておらず、公衆交換電話網経由の相互接続方式のままである場合には、「SIP to tag:」の値が数字のみの文字列によって構成される。
【0058】
例えば
図2に示す例では、枠2bの部分のように、「SIP to tag:」に続く値が「999486462」のように数字のみの文字列によって構成される。この場合は、発側固定IMS網20の通信事業者と着側IMS網30の通信事業者との事業者間IMS相互接続は、IP-IP接続の相互接続方式に未だ切り替わっておらず、公衆交換電話網経由の相互接続方式のままであると判定される。
【0059】
これに対し、着側IMS網30が着側固定IMS網であるときも着側移動IMS網であるときも、発側固定IMS網20の通信事業者と着側IMS網30の通信事業者との事業者間IMS相互接続が、公衆交換電話網経由の相互接続方式からIP-IP接続の相互接続方式へと既に切り替わっている場合には、「SIP to tag:」の値が例えばアルファベット2文字などのプレフィクスから始まる文字列によって構成される。
【0060】
図2に示す例において、枠2bの部分について、「SIP to tag:」に続く値が例えば「gK04c0b838」のようにアルファベット2文字のプレフィクス「gK」から始まる文字列によって構成される場合には、発側固定IMS網20の通信事業者と着側IMS網30の通信事業者との事業者間IMS相互接続が、公衆交換電話網経由の相互接続方式からIP-IP接続の相互接続方式へと既に切り替わっていると判定される。
【0061】
なお、事業者間IMS相互接続がIP-IP接続の相互接続方式へと既に切り替わっている場合の「SIP to tag:」に続く値の特徴は、アルファベット2文字のプレフィクスから始まる態様には限定されない。「SIP to tag:」に続く値が、数字のみの文字列でない場合、例えば、アルファベットなど数字以外の文字や記号等を含む場合には、事業者間IMS相互接続がIP-IP接続の相互接続方式へと既に切り替わっていると判定される。
【0062】
(接続方式の判定)
着信側の電話端末(具体的には、固定型の電話端末)が接続されている網の種別を判定する場合は、まず、網判定装置10が、発側固定IMS網20を介して、調査対象の電話番号に対してIP方式のSIP信号を発呼する。
【0063】
次に、情報取得装置60が、ホームゲートウェイ51と光回線終端装置52との間(即ち、UNI接続:UNI-1)で伝送される、発信側の機器(ここでは、網判定装置10)からIP方式のSIP信号が発呼された際に着側IMS網30側から伝送されるIP方式のSIP信号の内容(言い換えると、セッション;具体的には、パケットの情報)を取得(別言すると、キャプチャ)する。
【0064】
情報取得装置60は、少なくとも、tag情報の「SIP to tag:」に続く値を取得する。
【0065】
そして、情報取得装置60は、「SIP to tag:」に続く値が所定の特徴(例えば、アルファベット2文字のプレフィクスから始まる文字列である、又は、数字以外の文字や記号等を含む文字列であるなど)を備えている場合に、事業者間IMS相互接続が公衆交換電話網経由の相互接続方式からIP-IP接続の相互接続方式へと切り替わっていると判定する。
【0066】
情報取得装置60は、また、調査対象の或る電話番号に対して時系列で複数回にわたって発呼して、発呼ごとに、ホームゲートウェイ51と光回線終端装置52との間(即ち、UNI接続:UNI-1)で伝送されるIP方式のSIP信号の内容(少なくとも、tag情報の「SIP to tag:」に続く値)を取得し、「SIP to tag:」に続く値を時系列で比較するようにしてもよい。そして、「SIP to tag:」に続く値が変化したときに、事業者間IMS相互接続が公衆交換電話網経由の相互接続方式からIP-IP接続の相互接続方式へと切り替わっていると判定するようにしてもよい。
【0067】
また、事業者間IMS相互接続が公衆交換電話網経由の相互接続方式からIP-IP接続の相互接続方式へと切り替わっている場合に、「SIP to tag:」の値は、前述のとおりユーザエージェント各々に固有のアルゴリズムによって一意に生成されるので、着側の端末、機器が同一の網に接続されている場合には同じような特徴(例えば、アルファベット2文字のプレフィクスから始まる文字列である、又は、数字以外の文字や記号等を含む文字列であるなど)を備える。したがって、複数の電話番号について「SIP to tag:」の値の特徴が同一である場合は、これら複数の電話番号に係る着側の端末、機器の接続の態様(例えば、着側の端末、機器が接続されている網)は同一であるといえる。
【0068】
一方、複数の電話番号について「SIP to tag:」の値の特徴が相互に異なる場合は、これら複数の電話番号に係る着側の端末、機器の接続の態様は相互に異なるといえ、延いては、着側の端末、機器の契約事業者が相互に異なるといえる。
【0069】
(着信側の機器の接続の態様)
固定型の電話端末の電話番号である「0ABJ番号」について、固定電話の番号ポータビリティ(LNP)により、事業者間IMS相互接続が公衆交換電話網経由の相互接続方式からIP-IP接続の相互接続方式へと切り替わっている場合に、発側固定IMS網20、NGN網30A、VoIP網30B、及びメタル収容装置70のうちのいずれに接続されている固定型の電話端末の電話番号であるかは不明である(
図5参照)。なお、
図5に示す例では発側固定IMS網20側のIBCF23は1台のみ図示されているが、発側固定IMS網20側のIBCF23は複数台の場合もありうる。
【0070】
ここで、SIPでは、リアルタイム通信を行うためにメディア情報を含むパケットの符号化方式やパケットの宛先等のアドレスについて端末間でネゴシエーションを行う必要がある。このネゴシエーションのために必要になるのがSDP(Session Description Protocol)と呼ばれる記述言語であり、TTC標準のRFC4566に定義されている(TTC:Telecommunication Technology Committee;一般社団法人情報通信技術委員会)。
【0071】
具体的には、SIPでセッションを確立するためには、まず、発信側がSIPメッセージにメディア情報を記述したリクエストを送信し、着信側がその中から対応可能なメディアを選択したレスポンスを返信することで、通信に使用するメディア情報を発信側と着信側とで共有する。
【0072】
セッションを開始するためにSIPメッセージにメディア情報を記述して送信することをオファーといい、それに対して対応可能なメディア情報を返信することをアンサーという。このオファー/アンサーモデルについてはTTC標準のRFC3264に定義されている。さらに、IMSにおけるSDPメディアネゴシエーション手順については、TTC標準のJJ-90.26に規定されている。
【0073】
網判定装置10は、発側固定IMS網20経由で固定型の電話端末へとINVITE(招待)メソッドのSDPオファー(「INVITEリクエスト」と称する)を送信する際、そのSDPパラメータに所定のSDPパラメータを記述して送信する。
【0074】
INVITEリクエストを送信する際に当該INVITEリクエストに含められるSDPパラメータは、ネットワークプロトコル(別言すると、インターネットプロトコル、IPバージョン)、メディア種別、メディアのトランスポートプロトコル、及び音声コーデックである。
【0075】
INVITEリクエストに対して、発信側と着信側との間における通信の確立に関係する機器は、当該のINVITEリクエストに含まれているSDPパラメータと自身が使用可能なSDPパラメータとを比較し、比較の結果(即ち、SDPパラメータの一致/不一致の状況)に応じて、応答メッセージとしてSIPセッションにおける所定コードのレスポンスを返信する。IMS相互接続におけるINVITEメソッドによる、発信側の機器と着信側の固定型の電話端末との間に纏わる動作の基本シーケンスは、例えば、TTC標準のJJ-90.30、TTC標準のJJ-90.26、及びTTC標準のTR-1088に規定されている。
【0076】
そして、着信側の固定型の電話端末が発側固定IMS網20、NGN網30A、VoIP網30B、及びメタル収容装置70のうちのいずれに接続されているかでSDPパラメータの内容が異なる。このため、或る電話番号の固定型の電話端末が発側固定IMS網20、NGN網30A、VoIP網30B、及びメタル収容装置70のうちのいずれに接続されているかを予め判定すると、例えば固定型の電話端末の電話番号について使用状況の調査を実施する際に有用な情報となる。
【0077】
なお、NGN網30AとVoIP網30Bとは、事業者間IMS相互接続がIP-IP接続の相互接続方式へと切り替わっている着側固定IMS網である。
【0078】
網判定装置10と発側固定IMS網20との間は、UNI接続が担保される。そして、網判定装置10と発側固定IMS網20との間では、SIP信号方式(別言すると、SIPプロトコル)に則り、網判定装置10から発信される特定のSIPメッセージ(詳細については後述する)が発側固定IMS網20へと送信される。
【0079】
発側固定IMS網20(尚、NGN網である)とNGN網30Aとは、IP-IP接続によるIMS事業者間の相互接続共通インタフェースであるNNI(Network-Network Interface)によって相互接続されている。発側固定IMS網20とNGN網30Aとの間のNNIは、SIPのSDPパラメータのネットワークプロトコル(別言すると、インターネットプロトコル、IPバージョン)についてIPv6に対応している。なお、NNIは、TTC標準のJJ-90.30に規定されている。
【0080】
発側固定IMS網20とVoIP網30Bとは、IP-IP接続によるIMS事業者間の相互接続共通インタフェースであるNNI(Network-Network Interface)によって相互接続されている。発側固定IMS網20とVoIP網30Bとの間のNNIは、SIPのSDPパラメータのネットワークプロトコル(別言すると、インターネットプロトコル、IPバージョン)についてIPv4に対応している。本発明の要点の1つは、IPv4に対応している一方でIPv6には対応していないことを利用して、着側固定IMS網の網判定(即ち、或る電話番号の固定型の電話端末が発側固定IMS網20、NGN網30A、VoIP網30B、及びメタル収容装置70のうちのいずれに接続されているかを予め判定する)を実施することである。
【0081】
また、発側固定IMS網20に接続されているメタル収容装置70は、既存のメタルケーブルに接続されている固定電話に係る加入者交換機である。すなわち、メタル収容装置70に接続されているメタルIP電話端末は、事業者間IMS相互接続が公衆交換電話網経由の相互接続方式からIP-IP接続の相互接続方式へと移行した後も既存のメタルケーブルを継続利用して、既存のメタルケーブルに接続されている固定電話の受け皿として提供される電話端末のことである。そして、既存のメタルケーブルとともに、加入者交換機がメタル収容装置として継続利用される。
【0082】
発側固定IMS網20とメタル収容装置70との間は、ISUP(Integrated Services for digital network User Part)信号方式による接続が担保される。ISUPプロトコルに関し、SIP-TTC ISUP信号方式相互接続に関する技術仕様は、TTC標準のJFIETF-RFC3398に規定されている。また、ISUP情報のカプセル化に関する技術情報は、TTC仕様書のTS-1025に規定されている。
【0083】
(網判定装置)
図6は、実施の形態に係る網判定装置10の構成を示すブロック図である。
【0084】
網判定装置10は、網インタフェース部11と、メッセージ交換制御部12と、接続網判定部13と、接続網履歴生成部14と、接続網履歴データベース15と、を含む。
【0085】
網インタフェース部11は、網判定装置10がSIPプロトコルに準拠した通信を行うための通信インタフェースを担う。
【0086】
メッセージ交換制御部12は、調査対象の電話番号の電話端末へとSDPパラメータを含むINVITEリクエストを送信し、また、着信側の機器からメッセージ(例えば、SIPセッションにおける所定コードのレスポンス)を受信する。
【0087】
接続網判定部13は、メッセージ交換制御部12を介して受信したメッセージ(例えば、SIPセッションにおける所定コードのレスポンス)に応じて、着信側の調査対象の電話番号の電話端末が発側固定IMS網20、NGN網30A、VoIP網30B、及びメタル収容装置70のうちのいずれに接続されているかを判定し、また、調査対象の電話番号の有効性(言い換えると、電話番号の使用状況)を判定する。なお、本発明では、メタル収容装置70を、着信側の調査対象の電話番号の電話端末が接続されている網(「接続網」と称する)の種別の1つであるとして扱う。
【0088】
接続網履歴生成部14は、接続網判定部13での判定結果のそれぞれに判定日時を示すタイムスタンプを付与して記録媒体上に時系列に記録することにより、接続網履歴データベース15を構築する。
【0089】
接続網履歴データベース15のデータ構造(言い換えると、収録データ項目)は特定の構造や項目には限定されないものの、接続網履歴データベース15に格納される、調査対象の電話番号の電話端末が接続されている網に関する接続網履歴情報は、例えば、1回の調査ごと(言い換えると、INVITEリクエストの送信ごと)の、調査対象である「電話番号」と、接続網の種別の判定結果と、着信側との通信の確立に関係する機器から返信される「SIPセッションにおけるコード」と、「調査年月日」(即ち、タイムスタンプ)と、の組合せを含んでよい。接続網履歴情報は、「実在/欠番の判定結果」をさらに含んでもよい。
【0090】
そして、例えば電話番号「03-XXXX-XXXX」について網判定装置10によって当該の電話番号の電話端末が接続されている網の種別の判定が実行されると、接続網履歴データベース15に、接続網判定部13による判定ごとに、判定結果が順次記録され、接続網履歴情報として蓄積される。
【0091】
なお、接続網履歴データベース15は、例えば、半導体メモリ、ハードディスク、或いは、DVD(Digital Versatile Disc)等の光メモリなどの大容量記録媒体に実装されてよい。
【0092】
網判定装置10は、所定のプログラム(尚、実施の形態に係る網判定プログラムを含む)が記録されたメモリ(図示していない)を内蔵するマイクロプロセッサ、又は所定のプログラムが記録されたメモリ(図示していない)が外付けされたマイクロプロセッサと、通信制御を含む周辺制御を行うLSI(Large Scale Integration)と、を含んで構成される。
【0093】
そして、メモリ(図示していない)に記録された所定のプログラム(尚、実施の形態に係る網判定プログラムを含む)をマイクロプロセッサが逐次読み出して実行することにより、網インタフェース部11、メッセージ交換制御部12、接続網判定部13、及び接続網履歴生成部14のそれぞれが構成され、網判定装置10としての所定の機能が実現される。
【0094】
(接続網の種別の判定)
図7は、実施の形態に係る網判定装置10における処理手順を示すフロー図である。
【0095】
実施の形態に係る網判定装置10は、発側固定IMS網20に接続されている電話端末と着側IMS網30(30A、30B)に接続されている電話端末とのうちの少なくとも一方に発側固定IMS網20を介して接続される装置であり、調査対象の電話端末に対するINVITEリクエストにSDPパラメータを付与して発側固定IMS網20にINVITEリクエストを送信するとともに発側固定IMS網20を介して応答メッセージを受信するメッセージ交換制御部12と、応答メッセージに応じて調査対象の電話端末が接続されている網の種別を判定する接続網判定部13と、を備え、メッセージ交換制御部12が、ネットワークプロトコルがIPv6、メディア種別がマルチメディア、メディアのトランスポートプロトコルがRTP/AVPFのみ、並びに音声コーデックがG.711 μ-lawを含むとされているNGN網用のSDPパラメータを含むINVITEリクエストを送信し、次に、ネットワークプロトコルがIPv4、メディア種別がaudioのみ、メディアのトランスポートプロトコルがRTP/AVPのみ、並びに音声コーデックがG.711 μ-law及びG.722を含むとされている固定電話網用のSDPパラメータを含むINVITEリクエストを送信し、接続網判定部13が、NGN網用のSDPパラメータを含むINVITEリクエストに対する応答メッセージにおけるレスポンスのコード、固定電話網用のSDPパラメータを含むINVITEリクエストに対する応答メッセージにおけるレスポンスのコード、及び当該網判定装置10が接続されているホームゲートウェイ51によって変換される前のtag情報の組合せに基づいて電話端末が接続されている網の種別を判定する、ようにしている。
【0096】
本発明に係る網判定方法の具体的な構成態様の一例としての、実施の形態に係る網判定方法は、発側固定IMS網20に接続されている電話端末と着側IMS網30(30A、30B)に接続されている電話端末とのうちの少なくとも一方に発側固定IMS網20を介して接続される装置(具体的には、網判定装置10)を用いて、調査対象となる電話端末が接続されている網の種別を判定する網判定方法であり、装置(具体的には、網判定装置10)が、調査対象の電話端末に対するINVITEリクエストにSDPパラメータを付与して発側固定IMS網20にINVITEリクエストを送信するステップ(ステップS1、S3、S6)と、発側固定IMS網20を介して応答メッセージを受信するステップと、応答メッセージに応じて調査対象の電話端末が接続されている網の種別を判定するステップ(ステップS2、S5、S7)と、を含み、INVITEリクエストを送信するステップとして、ネットワークプロトコルがIPv6、メディア種別がマルチメディア、メディアのトランスポートプロトコルがRTP/AVPFのみ、並びに音声コーデックがG.711 μ-lawを含むとされているNGN網用のSDPパラメータを含むINVITEリクエストを送信し(ステップS1)、次に、ネットワークプロトコルがIPv4、メディア種別がaudioのみ、メディアのトランスポートプロトコルがRTP/AVPのみ、並びに音声コーデックがG.711 μ-law及びG.722を含むとされている固定電話網用のSDPパラメータを含むINVITEリクエストを送信し(ステップS3、S6)、網の種別を判定するステップ(ステップS2、S5、S7)において、NGN網用のSDPパラメータを含むINVITEリクエストに対する応答メッセージにおけるレスポンスのコード、固定電話網用のSDPパラメータを含むINVITEリクエストに対する応答メッセージにおけるレスポンスのコード、及び前記装置(具体的には、網判定装置10)が接続されているホームゲートウェイ51によって変換される前のtag情報の組合せに基づいて電話端末が接続されている網の種別を判定する、ようにしている。
【0097】
以下に説明する網判定方法は、例えば、コンピュータ(具体的には、網判定装置10)において網判定プログラムが実行されて当該プログラムに従って該当する各手順が実行されることによって実施されうる。
【0098】
網判定方法の説明では、
図5に示すような着信側の機器の接続の態様を想定する。なお、
図5における情報取得装置60は、具体的には、ホームゲートウェイ51(
図5には図示していない)と光回線終端装置52(
図5には図示していない)との間(即ち、UNI接続:UNI-1;
図1参照)の回線に接続されている。そして、情報取得装置60によって取得(別言すると、キャプチャ)される、ホームゲートウェイ51と光回線終端装置52との間で伝送されるIP方式のSIP信号の内容(具体的には、パケットの情報、tag情報)は、網判定装置10へと送信、入力される。
【0099】
網判定方法の説明では、情報取得装置60により、調査対象の電話番号の発呼ごとに取得される、ホームゲートウェイ51と光回線終端装置52との間で伝送されるIP方式のSIP信号の内容であるtag情報の「SIP to tag:」に続く値のことを「to-tag値」と称する。
【0100】
そして、接続網の種別の判定では、事前の検証により、to-tag値について下記のようにグループ分けが予め為されているものとする(言い換えると、下記のグループそれぞれに対応するto-tag値が予め取得されているものとする)。
〈Aグループ〉
・通信事業者Xの発側固定IMS網(NGN網)
〈Bグループ〉
・通信事業者Yの着側固定IMS網(NGN網)
・メタル収容装置
・通信事業者Xの発側固定IMS網以外の、
通信事業者Xの通信網(NGN網)及び通信事業者Yの通信網(NGN網)
〈Cグループ〉
・通信事業者Xの発側固定IMS網(NGN網)
〈Dグループ〉
・着側固定VoIP網(IP-IP接続)
【0101】
Aグループは、詳細には、発側固定IMS網20側のホームゲートウェイ(HGW;図示していない)から返信される、SIPセッションにおけるレスポンス(具体的には、to-tag値を含むパケットの情報)を参照して分類される。
【0102】
Bグループは、詳細には、通信事業者Yの着側固定IMS網(NGN網)に関するto-tag値、又はメタル収容装置に関するto-tag値に基づいて分類される。具体的には例えば、発側固定IMS網20に収容されているCA(Call Agent;図示していない)から返信される、SIPセッションにおけるレスポンス(具体的には、to-tag値を含むパケットの情報)を参照して分類されてもよい。なお、CAは、専用IP網と公衆交換電話網とのインターワークをつかさどり、SG(Signaling Gateway)とMG(Media Gateway)を制御する。
【0103】
Cグループは、詳細には、発側固定IMS網20のSIPサーバ21から返信される、SIPセッションにおけるレスポンス(具体的には、to-tag値を含むパケットの情報)を参照して分類される。
【0104】
Dグループは、詳細には、発側固定IMS網20側のIBCF23から返信される、SIPセッションにおけるレスポンス(具体的には、to-tag値を含むパケットの情報)を参照して分類される。
【0105】
上記のグループ分けを行うために、事前の検証において接続網の種別が判明している電話端末の電話番号(「試験用番号」と称する)をダイヤル発信して(別言すると、オファーして)、接続網の種別ごとのto-tag値を取得しておく。具体的には、試験用番号をダイヤル発信することにより、下記ア乃至オの情報を予め取得しておく。
ア)通信事業者Xの発側固定IMS網(NGN網)に関するto-tag値(具体的には、発側固定IMS網20側のホームゲートウェイ(HGW)から返信されるもの)
イ)通信事業者Yの着側固定IMS網(NGN網)に関するto-tag値
ウ)メタル収容装置に関するto-tag値
エ)通信事業者Xの発側固定IMS網(NGN網)に関するto-tag値(具体的には、発側固定IMS網20のSIPサーバ21から返信されるもの)
オ)着側固定VoIP網(IP-IP接続;尚、着側IMS網30としてのVoIP網30Bである)に関するto-tag値
【0106】
上記ア乃至オの情報が予め取得されていることにより、接続網の種別の判定の処理において調査対象の電話番号をダイヤル発信して情報取得装置60によって取得されたto-tag値が上記アの場合には、当該の電話番号の電話端末はAグループであると判断される。
【0107】
また、接続網の種別の判定の処理において調査対象の電話番号をダイヤル発信して情報取得装置60によって取得されたto-tag値が上記イ又はウの場合には、当該の電話番号の電話端末はBグループであると判断される。
【0108】
また、接続網の種別の判定の処理において調査対象の電話番号をダイヤル発信して情報取得装置60によって取得されたto-tag値が上記エの場合には、当該の電話番号の電話端末はCグループであると判断される。
【0109】
また、接続網の種別の判定の処理において調査対象の電話番号をダイヤル発信して情報取得装置60によって取得されたto-tag値が上記オの場合には、当該の電話番号の電話端末はDグループであると判断される。
【0110】
さらに、接続網の種別の判定の処理において調査対象の電話番号をダイヤル発信して情報取得装置60によって取得されたto-tag値が上記ア乃至オのいずれでもない場合には、当該の電話番号の電話端末はBグループであると判断される。
【0111】
「SIP to tag:」の値(即ち、to-tag値)は、前述のとおりユーザエージェント各々に固有のアルゴリズムによって一意に生成されるので、着側の端末、機器が同一の網に接続されている場合には同じような特徴(例えば、アルファベット2文字のプレフィクスから始まる文字列である、又は、数字以外の文字や記号等を含む文字列であるなど)を備える。このため、上記ア乃至オの情報は具体的には上記ア乃至オに関するto-tag値の特徴に関する情報である。そして、調査対象の電話番号をダイヤル発信して情報取得装置60によって取得されたto-tag値(具体的には、to-tag値の特徴)が上記ア乃至オのうちのいずれであるかの分類が行われ、分類結果に基づいて当該の電話番号の電話端末は上記Aグループ乃至Dグループのうちのいずれであるかの判断が行われる。
【0112】
着側固定VoIP網のto-tag値は、発側固定IMS網20側のIBCF23各々に固有の値である。
【0113】
接続網の種別ごとのto-tag値(延いては、上記ア乃至オの情報)は、試験用番号のダイヤル発信が定期的に行われて、最新の情報に適宜更新されるようにしてもよい。
【0114】
網判定装置10が端末間でネゴシエーションを行うためにINVITEリクエストを送信する際に当該INVITEリクエストに含められるSDPパラメータは、ネットワークプロトコル(別言すると、インターネットプロトコル、IPバージョン)、メディア種別、メディアのトランスポートプロトコル、及び音声コーデックである。
【0115】
接続網の種別の判定の処理手順として、網判定装置10のメッセージ交換制御部12は、まず、発側固定IMS網20を介して、調査対象の電話番号をダイヤル発信してオファーとしてINVITEリクエストを送信する(ステップS1)。
【0116】
このとき、INVITEリクエストに含められるSDPパラメータとして、下記が記述される。下記のSDPパラメータのことを「NGN網用SDP」と称する。
【0117】
<NGN網用SDP>
○ネットワークプロトコル(インターネットプロトコル、IPバージョン):IPv6
○メディア種別:マルチメディア
○メディアのトランスポートプロトコル:RTP/AVPFのみ
○音声コーデック:G.711 μ-lawを含む
【0118】
上記のNGN網用SDPについて、メディア種別の「マルチメディア」は、audio、Video、appli、及びimageのうちの少なくとも2種類が記述されていることを指す。また、音声コーデックの「G.711 μ-lawを含む」は、少なくともG.711 μ-lawが記述されていることを指す。
【0119】
これに対して、着信側との通信の確立に関係する機器から発側固定IMS網20を介して網判定装置10(具体的には、メッセージ交換制御部12)へとアンサーが返信される。
【0120】
網判定装置10の接続網判定部13は、アンサーの内容がSIPセッションにおいてプロファイルの不一致を理由にオファーを受け入れないことを示すコード488 Not Acceptable Hereのエラー応答であり且つwarn-codeが302であり、さらにto-tag値がBグループであるか否かを判断する(ステップS2)。
【0121】
なお、コード488応答には、Warningヘッダが設定され、warn-codeが設定される。warn-codの302は、オファーに設定されたトランスポートプロトコルに対応していないことを示すコードであり、具体的には例えば、トランスポートプロトコルとしてRTP/AVPFが設定されたオファーを受信したが、受信側はRTP/AVPのみに対応している場合が該当する。なお、この場合のアンサーは、着信側との通信の確立に関係する機器としての発側固定IMS網20に収容されているCAからレスポンスされる。
【0122】
アンサーの内容がコード488 Not Acceptable Hereのエラー応答であり且つwarn-codeが302であるとともにto-tag値がBグループである場合(ステップS2:Yes)に、網判定装置10の接続網判定部13は処理手順をステップS3の処理へとすすめる。
【0123】
ここで、アンサーの内容がコード488 Not Acceptable Hereのエラー応答であり且つwarn-codeが302であるとともにto-tag値がBグループであることは、調査対象の電話番号の電話端末がメタル収容装置70に接続されているものの、INVITEリクエストがメタル収容装置70に到達できない状況に対応する。具体的には、発側固定IMS網20とメタル収容装置70との間では、SDPパラメータに関し、メディアのトランスポートプロトコルについてRTP/AVPFが許容されていないので、INVITEリクエストがメタル収容装置70に到達できない。
【0124】
すなわち、ステップS1の処理においてNGN網用SDPでINVITEリクエストを送信した際、調査対象の電話番号の電話端末がメタル収容装置70に接続されている場合は、アンサーの内容がコード488 Not Acceptable Hereのエラー応答であり且つwarn-codeが302であるとともにto-tag値はBグループとなる。
【0125】
そして、網判定装置10のメッセージ交換制御部12は、発側固定IMS網20を介して、調査対象の電話番号をダイヤル発信してオファーとしてINVITEリクエストを送信する(ステップS3)。
【0126】
このとき、INVITEリクエストに含められるSDPパラメータとして、下記が記述される。下記のSDPパラメータのことを「固定電話網用SDP」と称する。
【0127】
<固定電話網用SDP>
○ネットワークプロトコル(インターネットプロトコル、IPバージョン):IPv4
○メディア種別:audioのみ
○メディアのトランスポートプロトコル:RTP/AVPのみ
○音声コーデック:G.711 μ-law、及びG.722を含む
【0128】
上記の固定電話網用SDPについて、音声コーデックの「G.711 μ-law、及びG.722を含む」は、少なくともG.711 μ-lawとG.722とが記述されていることを指す。
【0129】
これに対して、着信側との通信の確立に関係する機器から発側固定IMS網20を介して網判定装置10(具体的には、メッセージ交換制御部12)へとアンサーが返信される。
【0130】
網判定装置10の接続網判定部13は、ステップS2の処理の結果(ステップS2:Yes)から、調査対象の電話番号の電話端末はメタル収容装置70に接続されていると判定する(ステップS4)。なお、ステップS3の処理におけるINVITEリクエスト(尚、SDPパラメータが固定電話網用SDPである)に対するアンサーの内容もto-tag値はBグループとなる。また、この場合、着信側の機器はメタルIP電話端末である。
【0131】
網判定装置10の接続網判定部13は、さらに、ステップS3の処理におけるINVITEリクエスト(尚、SDPパラメータが固定電話網用SDPである)に対するアンサーの内容が、SIPセッションにおいて着信音が鳴っていることを示すコード180 Ringingレスポンスである場合は調査対象の電話番号の電話端末が実在し且つ話中でない(即ち、調査対象の電話番号が実在する)と判定し、或いは、SIPセッションにおいて発信側からリクエストされたメディアリソースが見つからないことを示すコード404 Not Foundレスポンスである場合は調査対象の電話番号は欠番であると判定する。
【0132】
そして、網判定装置10の接続網判定部13は、当該の調査対象の電話番号に関する接続網の種別の判定の処理を終了する(END)。
【0133】
一方で、ステップS2の処理において判断の結果が「No」である場合に、網判定装置10の接続網判定部13は処理手順をステップS5の処理へとすすめる。
【0134】
そして、網判定装置10の接続網判定部13は、ステップS1の処理におけるINVITEリクエスト(尚、SDPパラメータがNGN網用SDPである)に対するアンサーの内容がSIPセッションにおいてプロファイルの不一致を理由にオファーを受け入れないことを示すコード488 Not Acceptable Hereのエラー応答であり且つwarn-codeが300、304、及び305のうちのいずれかであり、さらにto-tag値がCグループであるか否かを判断する(ステップS5)。
【0135】
なお、warn-codeの300は、オファーに設定されたIPバージョンに対応していないことを示すコードであり、具体的には例えば、IPv6が設定されたオファーを受信したが、受信側はIPv4のみに対応している場合が該当する。warn-codeの304は、オファーに設定されたメディア種別に対応していない、又は複数のm=行の中に対応していないm=行が設定されていること示すコードであり、具体的には例えば、Videoが設定されたオファーを受信したが、受信側はaudioのみに対応している場合が該当する。warn-codeの305は、オファーに設定された音声コーデックのうちのいずれかに対応していないことを示すコードであり、具体的には例えば、G.722が設定されたオファーを受信したが、受信側はG.711 μ-lawのみに対応している場合が該当する。
【0136】
アンサーの内容がコード488 Not Acceptable Hereのエラー応答であり且つwarn-codeが300、304、及び305のうちのいずれかであるとともにto-tag値がCグループである場合(ステップS5:Yes)に、網判定装置10の接続網判定部13は処理手順をステップS6の処理へとすすめる。
【0137】
ここで、ステップS1の処理におけるINVITEリクエスト(尚、SDPパラメータがNGN網用SDPである)に対するアンサーの内容がコード488 Not Acceptable Hereのエラー応答であり且つwarn-codeが300、304、又は305であるとともにto-tag値がCグループであることは、INVITEリクエストが発側固定IMS網20側のIBCF23を通過できない状況に対応する。具体的には、VoIP網30B側のIBCF33と接続している発側固定IMS網20側のIBCF23では、SDPパラメータに関し、ネットワークプロトコル(別言すると、インターネットプロトコル、IPバージョン)についてIPv6が許容されておらず、メディア種別についてaudioのみが許容されており、さらに、メディアのトランスポートプロトコルについてRTP/AVPFが許容されていないので、INVITEリクエストが発側固定IMS網20側のIBCF23を通過できない。
【0138】
そして、網判定装置10のメッセージ交換制御部12は、発側固定IMS網20を介して、調査対象の電話番号をダイヤル発信してオファーとしてINVITEリクエストを送信する(ステップS6)。
【0139】
このとき、INVITEリクエストに含められるSDPパラメータとして、上記の固定電話網用SDPが記述される。
【0140】
これに対して、着信側との通信の確立に関係する機器から発側固定IMS網20を介して網判定装置10(具体的には、メッセージ交換制御部12)へとアンサーが返信される。
【0141】
網判定装置10の接続網判定部13は、アンサーの内容がSIPセッションにおいて着信音が鳴っていることを示すコード180 Ringingレスポンスであり、さらにto-tag値がDグループであるか否かを判断する(ステップS7)。
【0142】
アンサーの内容がコード180 Ringingレスポンスであるとともにto-tag値がDグループである場合(ステップS7:Yes)に、網判定装置10の接続網判定部13は処理手順をステップS8の処理へとすすめる。
【0143】
そして、網判定装置10の接続網判定部13は、ステップS7の処理の結果(ステップS7:Yes)から、調査対象の電話番号の電話端末はVoIP網30Bに接続されていると判定する(ステップS8)。
【0144】
網判定装置10の接続網判定部13は、さらに、ステップS6の処理におけるINVITEリクエスト(尚、SDPパラメータが固定電話網用SDPである)に対するアンサーの内容が、SIPセッションにおいて着信音が鳴っていることを示すコード180 Ringingレスポンスである場合は調査対象の電話番号の電話端末が実在し且つ話中でない(即ち、調査対象の電話番号が実在する)と判定し、或いは、SIPセッションにおいて発信側からリクエストされたメディアリソースが見つからないことを示すコード404 Not Foundレスポンスである場合は調査対象の電話番号は欠番であると判定する。
【0145】
そして、網判定装置10の接続網判定部13は、当該の調査対象の電話番号に関する接続網の種別の判定の処理を終了する(END)。
【0146】
一方で、ステップS5の処理において判断の結果が「No」である場合に、具体的には、アンサーの内容がコード488 Not Acceptable Hereのエラー応答であり且つwarn-codeが300、304、及び305のうちのいずれかであるとともにto-tag値がAグループ若しくはBグループである場合に、網判定装置10の接続網判定部13は処理手順をステップS9の処理へとすすめる。
【0147】
なお、発側固定IMS網20は、SDPパラメータに関し、ネットワークプロトコル(別言すると、インターネットプロトコル、IPバージョン)についてIPv4に加えてIPv6が許容されており、メディア種別についてマルチメディアが許容されており、メディアのトランスポートプロトコルについてRTP/AVPFが許容されており、さらに、音声コーデックについて少なくともG.711 μ-lawが許容されているので、INVITEリクエストが発側固定IMS網20に接続されている電話端末へと到達することができる。
【0148】
また、発側固定IMS網20とNGN網30Aとの間では、SDPパラメータに関し、ネットワークプロトコル(別言すると、インターネットプロトコル、IPバージョン)についてIPv4に加えてIPv6が許容されており、メディア種別についてマルチメディアが許容されており、メディアのトランスポートプロトコルについてRTP/AVPFが許容されており、さらに、音声コーデックについて少なくともG.711 μ-lawが許容されているので、INVITEリクエストがNGN網30Aに接続されている電話端末へと到達することができる。
【0149】
そして上記の場合(即ち、ステップS5:No;尚、to-tag値がCグループはステップS5:Yesとなり除かれている)、to-tag値はAグループ(即ち、通信事業者Xの発側固定IMS網:NGN網に接続されている電話端末)又はBグループ(具体的には、通信事業者Yの着側固定IMS網:NGN網に接続されている電話端末)となる。
【0150】
付け加えると、ステップS1の処理においてNGN網用SDPでINVITEリクエストを送信した際、調査対象の電話番号の電話端末がNGN網30Aに接続されている場合は、アンサーの内容がコード488 Not Acceptable Hereのエラー応答であり且つwarn-codeが300、304、又は305であるとともにto-tag値はBグループとなる。
【0151】
さらに、ステップS7の処理において判断の結果が「No」である場合も、網判定装置10の接続網判定部13は処理手順をステップS9の処理へとすすめる。この場合、to-tag値はAグループとなっている。
【0152】
なお、ステップS1、S2、S5、及びS6の処理を経たうえでステップS7の処理において判断の結果が「No」になることは、調査対象の電話番号の電話端末が発側固定IMS網20に接続されている状況に対応する。そしてこの場合、to-tag値はAグループになる。
【0153】
具体的には、ステップS1の処理においてNGN網用SDPでINVITEリクエストを送信した際、調査対象の電話番号の電話端末が発側固定IMS網20(尚、NGN網である)にUNI接続されている場合は、アンサーの内容がコード488 Not Acceptable Hereのエラー応答であり且つwarn-codeが300、304、又は305であるとともにto-tag値はAグループ(ステップS5:No)又はCグループ(ステップS5:Yes)となる。また、調査対象の電話番号の電話端末がVoIP網30Bに接続されている場合は、アンサーの内容がコード488 Not Acceptable Hereのエラー応答であり且つwarn-codeが300であるとともにto-tag値はCグループ(ステップS5:Yes)となる。このため、warn-codeが300の場合、調査対象の電話番号の電話端末が発側固定IMS網20とVoIP網30Bとのうちのどちらに接続されているのか特定することができない。
【0154】
このようなケースにおいて、固定電話網用SDPでINVITEリクエストを更に送信する(ステップS6)ことにより、アンサーにおけるto-tag値が、Aグループの場合(ステップS7:No)には調査対象の電話番号の電話端末は発側固定IMS網20(尚、NGN網である)に接続されていると特定することができ、一方、Dグループの場合(ステップS7:Yes)には調査対象の電話番号の電話端末はVoIP網30Bに接続されていると特定することができる。なお、ステップS7の処理において判断の結果が「No」である場合は、具体的には、アンサーの内容がコード180 Ringingレスポンスであるとともにto-tag値がAグループである場合である。
【0155】
網判定装置10の接続網判定部13は、ステップS5の処理の結果(ステップS5:No)又はステップS7処理の結果(ステップS7:No)から、調査対象の電話番号の電話端末はNGN網30A又は発側固定IMS網20に接続されていると判定する(ステップS9)。
【0156】
網判定装置10の接続網判定部13は、さらに、ステップS1の処理におけるINVITEリクエスト(尚、SDPパラメータがNGN網用SDPである)に対するアンサーの内容が、SIPセッションにおいてプロファイルの不一致を理由にオファーを受け入れないことを示すコード488 Not Acceptable Hereのエラー応答である場合は調査対象の電話番号が実在すると判定し、或いは、SIPセッションにおいて発信側からリクエストされたメディアリソースが見つからないことを示すコード404 Not Foundレスポンスである場合には調査対象の電話番号は欠番であると判定する。
【0157】
なお、上述のとおりINVITEリクエストは発側固定IMS網20やNGN網30Aに接続されている電話端末へと到達することができるものの、当該電話端末がIPv6に対応していない場合には発側固定IMS網20と当該電話端末との間やNGN網30Aと当該電話端末との間のホームゲートウェイ(HGW)で拒否されるため、コード488 Not Acceptable Hereのエラー応答であり且つwarn-codeが300となる。したがって、ステップS9の処理において確認されるコード488のエラー応答は調査対象の電話番号の電話端末が実在することを意味する。
【0158】
そして、網判定装置10の接続網判定部13は、当該の調査対象の電話番号に関する接続網の種別の判定の処理を終了する(END)。
【0159】
(網判定プログラム)
本発明に係る網判定プログラムの具体的な構成態様の一例としての、実施の形態に係る網判定プログラムは、少なくとも着側IMS網30(30A、30B)に接続されている電話端末に発側固定IMS網20を介して接続される網判定装置10(
図1、
図6参照)に実装されるプログラムである。
【0160】
実施の形態に係る網判定プログラムは、発側固定IMS網20に接続されている電話端末と着側IMS網30(30A、30B)に接続されている電話端末とのうちの少なくとも一方に発側固定IMS網20を介して接続されるコンピューター(具体的には、網判定装置10)に、調査対象の電話端末に対するINVITEリクエストにSDPパラメータを付与して発側固定IMS網20にINVITEリクエストを送信する処理と、発側固定IMS網20を介して応答メッセージを受信する処理と、応答メッセージに応じて調査対象の電話端末が接続されている網を判定する処理と、を少なくとも実行させる、ようにしている。
【0161】
そして、実施の形態に係る網判定プログラムは、INVITEリクエストを送信する処理において、ネットワークプロトコルがIPv6、メディア種別がマルチメディア、メディアのトランスポートプロトコルがRTP/AVPFのみ、並びに音声コーデックがG.711 μ-lawを含むとされているNGN網用のSDPパラメータを含むINVITEリクエストを送信し、次に、ネットワークプロトコルがIPv4、メディア種別がaudioのみ、メディアのトランスポートプロトコルがRTP/AVPのみ、並びに音声コーデックがG.711 μ-law及びG.722を含むとされている固定電話網用のSDPパラメータを含むINVITEリクエストを送信し、また、網を判定する処理において、NGN網用のSDPパラメータを含むINVITEリクエストに対する応答メッセージにおけるレスポンスのコード、固定電話網用のSDPパラメータを含むINVITEリクエストに対する応答メッセージにおけるレスポンスのコード、及び前記コンピューター(具体的には、網判定装置10)が接続されているホームゲートウェイ51によって変換される前のtag情報の組合せに基づいて電話端末が接続されている網を判定する、ようにしている。
【0162】
(接続網情報提供システム)
図8は、本発明に係る接続網情報提供システムの具体的な構成態様の一例としての、実施の形態に係る接続網情報提供システム100のシステム構成図である。
【0163】
実施の形態に係る接続網情報提供システム100は、1以上のユーザ端末90と、ユーザ端末90とIP網80経由で接続されるとともに図示省略した網(例えば、発側固定IMS網20)と接続される網判定サーバ(具体的には、網判定装置10)と、を含む。
【0164】
実施の形態に係る接続網情報提供システム100は、網判定サーバ(具体的には、網判定装置10)と、ユーザ端末90と、を有し、網判定サーバ(具体的には、網判定装置10)が、ユーザ端末90から電話端末が接続されている網についての情報提供の要求(「接続網情報提供要求」と称する)を受信すると、接続網情報提供要求があったユーザ端末90に接続網判定部13が判定した電話端末が接続されている網の情報(具体的には、通信網の種別を含む接続網履歴情報)をIP網80経由で送信する網インタフェース部11を備える(
図6参照)、ようにしている。
【0165】
網判定サーバ(具体的には、網判定装置10)は、ユーザ端末90から調査対象の電話番号に関する接続網情報提供要求をIP網80経由で受信すると、調査対象の電話番号の電話端末が接続されている網の種別の判定結果のそれぞれに判定日時を示すタイムスタンプが付与されて時系列に記録された接続網履歴情報が格納されている記録媒体(具体的には、接続網履歴データベース15)を参照し、接続網情報提供要求があったユーザ端末90へとIP網80経由で接続網履歴情報を送信する。
【0166】
接続網履歴情報が格納されている記録媒体(具体的には、接続網履歴データベース15)は、必要なユーザに単独で配布されてもよい。接続網履歴情報が格納されている記録媒体(接続網履歴データベース15)は、例えば、通信事業者網に専用線経由で接続される網判定装置10により生成される、電話端末が接続されている網の種別が記録される記録媒体であり、配布先のシステムで検索用に使用されてもよい。
【0167】
接続網履歴情報が格納されている記録媒体(具体的には、接続網履歴データベース15)は、着信側の電話端末(具体的には、固定型の電話端末)が接続されている網の種別を判定した結果の集合体であり、例えば、判定結果のそれぞれに判定日時を示すタイムスタンプが付与されて時系列に記録されているものである。
【0168】
接続網履歴情報が格納されている記録媒体(具体的には、接続網履歴データベース15)の配布は、DVDやハードディスクに記録されたデータベースの態様での配布に限らず、通信回線を利用した配布も含まれる。
【0169】
(作用効果)
実施の形態に係る網判定装置10、網判定方法、網判定プログラム、及び接続網情報提供システムによれば、公衆交換電話網(PSTN)経由の相互接続方式からIP-IP接続の相互接続方式への移行後に着信側の電話端末が接続されている網を判定することが可能となる。
【0170】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成態様は上記の実施の形態に限定されるものではなく、上記の実施の形態に、本発明の要旨を逸脱しない範囲の変形や変更などが加えられた形態も本発明に含まれる。
【0171】
例えば、上記の実施の形態では調査対象の電話番号の電話端末が接続されている網の種別の判定に加えて調査対象の電話番号の実在/欠番を判定するようにしているが、本発明において調査対象の電話番号の実在/欠番の判定は必須の構成ではなく、調査対象の電話番号の実在/欠番の判定は行われないようにしてもよい。
【符号の説明】
【0172】
10 網判定装置
11 網インタフェース部
12 メッセージ交換制御部
13 接続網判定部
14 接続網履歴生成部
15 接続網履歴データベース
20 発側固定IMS網
21 SIPサーバ
22 公衆交換電話網ゲートウェイ(PSTN-GW)
23 IBCF
30 着側IMS網
30A NGN網
30B VoIP網
31 SIPサーバ
32 ゲートウェイ(GW)
33 IBCF
34 IP-POI
40 公衆交換電話網
41 公衆交換電話網ゲートウェイ(PSTN-GW)
42 ゲートウェイ(GW)
43 STM-POI
51 ホームゲートウェイ(HGW)
52 光回線終端装置
60 情報取得装置
70 メタル収容装置
80 IP網
90 ユーザ端末
100 接続網情報提供システム
【要約】
【課題】公衆交換電話網(PSTN)経由の相互接続方式からIP-IP接続の相互接続方式への移行後に着信側の電話端末が接続されている網を判定する。
【解決手段】NGN網用のSDPパラメータを含むINVITEリクエストに対する応答メッセージにおけるレスポンスのコード、固定電話網用のSDPパラメータを含むINVITEリクエストに対する応答メッセージにおけるレスポンスのコード、及び網判定装置10が接続されているホームゲートウェイ51によって変換される前のtag情報の組合せに基づいて電話端末が接続されている網の種別を判定する。
【選択図】
図1