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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】ポートキャップ及びグローブボックス
(51)【国際特許分類】
   G21F 7/053 20060101AFI20240325BHJP
   G21F 7/04 20060101ALI20240325BHJP
【FI】
G21F7/053
G21F7/04
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020069715
(22)【出願日】2020-04-08
(65)【公開番号】P2021165700
(43)【公開日】2021-10-14
【審査請求日】2023-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】505374783
【氏名又は名称】国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
(73)【特許権者】
【識別番号】591045976
【氏名又は名称】株式会社コクゴ
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 泰久
(72)【発明者】
【氏名】平野 宏志
(72)【発明者】
【氏名】柴沼 智博
(72)【発明者】
【氏名】吉田 将冬
(72)【発明者】
【氏名】永井 佑哉
(72)【発明者】
【氏名】塙 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】周治 愛之
(72)【発明者】
【氏名】會田 貴洋
(72)【発明者】
【氏名】南 明則
【審査官】大門 清
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2002/0187080(US,A1)
【文献】実開昭57-028400(JP,U)
【文献】特開2004-286674(JP,A)
【文献】実開平06-057585(JP,U)
【文献】特表2016-509227(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 7/053
G21F 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グローブボックスの側面パネルに形成された取付開口に取り付けられるフランジ形状の取付部、及び前記取付部の内周面から前記グローブボックスの外側に向けて突出する筒体を有するポート本体と、
先端部が前記筒体を通じて前記グローブボックスの内部空間に進入し、基端部が前記筒体の外周面側に折り返されたグローブと、
折り返された前記グローブの基端部と前記筒体の外周面との間を封止するOリングと、
前記Oリングより前記側面パネルに近い位置において、折り返された前記グローブの基端部と前記筒体の外周面との間を封止するクランプリングとを備えるグローブポートに取り付けられるポートキャップであって、
前記グローブの内側から前記筒体に圧入される内筒と、
前記筒体の外側を覆う外筒と、
前記内筒及び前記外筒の端部同士を接続するフランジとを備え、
前記内筒の外周面側の先端は、R面取りされ、
前記外筒の肉厚は、前記内筒の肉厚より薄いことを特徴とするポートキャップ。
【請求項2】
請求項に記載のポートキャップにおいて、
前記内筒の内周面は、平滑な円筒形状であることを特徴とするポートキャップ。
【請求項3】
内部空間を有する箱型のグローブボックス本体と、
前記グローブボックス本体の側面を構成する側面パネルに取り付けられたグローブポートと、
前記グローブポートに取り付けられたポートキャップとを備えるグローブボックスにおいて、
前記グローブポートは、
前記側面パネルに形成された取付開口に取り付けられるフランジ形状の取付部、及び前記取付部の内周面から前記グローブボックスの外側に向けて突出する筒体を有するポート本体と、
先端部が前記筒体を通じて前記グローブボックスの内部空間に進入し、基端部が前記筒体の外周面側に折り返されたグローブと、
折り返された前記グローブの基端部と前記筒体の外周面との間を封止するOリングと、
前記Oリングより前記側面パネルに近い位置において、折り返された前記グローブの基端部と前記筒体の外周面との間を封止するクランプリングとを備え、
前記ポートキャップは、
前記グローブの内側から前記筒体に圧入される内筒と、
前記筒体の外側を覆う外筒と、
前記内筒及び前記外筒の端部同士を接続するフランジとを備え、
前記内筒の外周面側の先端は、R面取りされ、
前記取付部の前記側面パネルに直交する断面は、
前記筒体の内周面に連なる直線部分と、
前記グローブボックスの内部空間に露出され且つ前記側面パネルと平行な平行部分と、
前記直線部分及び前記平行部分の間において、R面取りされたR部分とで構成され、
前記内筒の先端は、前記直線部分及び前記R部分の境界と、前記平行部分との間に位置していることを特徴とするグローブボックス。
【請求項4】
請求項に記載のグローブボックスにおいて、
前記外筒の内径寸法は、前記筒体に取り付けられた前記Oリングの直径より大きいことを特徴とするグローブボックス。
【請求項5】
請求項3または4に記載のグローブボックスにおいて、
前記クランプリングは、帯状のベルトと、前記筒体の外周面に巻回された前記ベルトを締め付ける締付金具とで構成され、
前記外筒は、前記ベルトを覆う位置まで延設されていることを特徴とするグローブボックス。
【請求項6】
請求項に記載のグローブボックスにおいて、
前記外筒には、前記締付金具に対応する位置に切り欠きが形成されていることを特徴とするグローブボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グローブボックスのI型またはII型のグローブポートの先端に装着されるポートキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、グローブボックス本体の内部に手を入れて作業するためのグローブを、GB本体の側面に取り付けるためのグローブポートが知られている。また、グローブポートの先端には、キャップが装着されることがある(例えば、特許文献1、2を参照)。
【0003】
さらに、グローブポートは、側面パネルの外側に突出した筒体の外周面にグローブを固定するI型またはII型と、筒体の内周面の側面パネルに近い位置にグローブを固定するIII型とに大別される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平08-050197号公報
【文献】特開2004-286674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
I型またはII型のグローブポートは、ポート本体とグローブとの間に生じる隙間に、異物が侵入する可能性がある。そして、この隙間に異物が侵入した状態でグローブ作業を行うと、異物に摺接したグローブが損傷する可能性がある。しかしながら、特許文献1、2に開示されたキャップでは、ポート本体とグローブとの間に隙間が生じるのを適切に防止することはできない。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、I型またはII型のグローブポートに装着されることによって、ポート本体とグローブとを間に隙間が生じるのを適切に防止できるポートキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態に係るグローブボックスの側面パネルに形成された取付開口に取り付けられるフランジ形状の取付部、及び前記取付部の内周面から前記グローブボックスの外側に向けて突出する筒体を有するポート本体と、先端部が前記筒体を通じて前記グローブボックスの内部空間に進入し、基端部が前記筒体の外周面側に折り返されたグローブと、折り返された前記グローブの基端部と前記筒体の外周面との間を封止するOリングと、前記Oリングより前記側面パネルに近い位置において、折り返された前記グローブの基端部と前記筒体の外周面との間を封止するクランプリングとを備えるグローブポートに取り付けられるポートキャップであって、前記グローブの内側から前記筒体に圧入される内筒と、前記筒体の外側を覆う外筒と、前記内筒及び前記外筒の端部同士を接続するフランジとを備え、前記内筒の外周面側の先端は、R面取りされ、前記外筒の肉厚は、前記内筒の肉厚より薄いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、I型またはII型のグローブポートに装着されることによって、ポート本体とグローブとを間に隙間が生じるのを適切に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】グローブボックスの概略図である。
図2】グローブポートのグローブパネルに直交する断面図である。
図3】ポートキャップを前面側から見た斜視図である。
図4】ポートキャップの背面側から見た斜視図である。
図5】ポートキャップをグローブポートに装着した状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、グローブボックス1を説明する。なお、以下に記載する本発明の実施形態は、本発明を具体化する際の一例を示すものであって、本発明の範囲を実施形態の記載の範囲に限定するものではない。従って、本発明は、実施形態に種々の変更を加えて実施することができる。図1において、グローブパネル6(側面パネル)が設けられている側を「前方」と定義し、前方側からグローブボックス1を前方側から見て左右方向を定義するものとする。
【0011】
図1は、グローブボックス1の概略図である。グローブボックス1は、汚染物質(例えば、放射性物質、化学物質、細菌、ウィルスなど)を外部に漏洩させることなく、当該汚染物質に対する作業(例えば、検査、実験など)を行うための装置である。図1に示すように、グローブボックス1は、GB本体2(グローブボックス本体)と、土台3と、吸気フィルタ4と、排気フィルタ5とを主に備える。
【0012】
GB本体2は、内部空間を有する箱型である。本実施形態に係るGB本体2は、直方体形状の外形を呈する。また、GB本体2は、土台3に支持されている。さらに、GB本体2には、吸気フィルタ4を通じて空気が流入し、排気フィルタ5を通じて汚染物質が除去された空気が流出する。
【0013】
また、GB本体2の側壁には、グローブパネル6a、6b、6c(以下、これらを総称して、「グローブパネル6」と表記する。)と、搬出入ポート7とが設けられている。なお、GB本体2に設けられるグローブパネル6の数は特に限定されない。
【0014】
グローブパネル6は、GB本体2から汚染物質を漏洩させることなく、GB本体2内の汚染物質に対する作業を可能にするものである。具体的には、グローブパネル6には、厚み方向に貫通する取付開口8(図2参照)が形成されている。そして、取付開口8には、グローブポート10が取り付けられている。グローブパネル6に形成される取付開口8の数は特に限定されないが、一般的には1つのグローブパネル6に複数の取付開口8が設けられている。グローブポート10の詳細は、図2を参照して後述する。
【0015】
搬出入ポート7は、GB本体2から汚染物質を漏洩させることなく、GB本体2に物品(例えば、汚染物質、検査装置など)を搬入し、GB本体2から物品を搬出するためのポートである。
【0016】
図2は、グローブポート10のグローブパネル6に直交する断面図である。グローブポート10は、取付開口8からGB本体2の内部空間に向けて延びるグローブ12を、グローブパネル6に固定するものである。
【0017】
図2に示すように、グローブポート10は、ポート本体11と、グローブ12と、Oリング13a、13bと、クランプリング14とを主に備える。なお、図2に示すグローブポート10は、Oリング13a、13bが二重の所謂「II型」である。但し、本発明は、Oリングが一重の所謂「I型」にも適用することができる。
【0018】
ポート本体11は、フランジ形状の取付部15と、円筒形状の筒体16と、取付リング17とで構成される。取付部15は、筒体16の後端から径方向外側に突出する。筒体16は、取付部15の内周面から取付部15の厚み方向に突出する。取付リング17は、筒体16に外挿されて、パッキン15を挟んで取付部15と対面する。
【0019】
取付部15には、周方向に連続するパッキン15aが形成されている。GB本体2の内部空間から取付開口8を通じて筒体16を突出させると、取付開口8を画定するグローブパネル6の壁面がパッキン15aに進入する。GB本体2の外側から取付リング17を筒体16に外挿すると、グローブパネル6を挟んで取付部15及び取付リング17が対面する。そして、取付部15及び取付リング17をボルト(図示省略)で締結することによって、ポート本体11がグローブパネル6に固定される。このとき、筒体16は、GB本体2の外側(前方)に向けて突出する。
【0020】
また、図2に示す取付部15の断面(すなわち、グローブパネル6に直交する断面)は、筒体16の内周面に連なる直線部分15bと、GB本体2の内部空間に露出され且つグローブパネル6に平行な平行部分15cと、直線部分15b及び平行部分15cの間において、R面取りされたR部分15dとで構成される。
【0021】
取付部15を三次元的に見ると、直線部分15bは筒体16の内径寸法と同じ円筒形状であり、平行部分15cは円板形状であり、R部分15dはGB本体2の内部に向かって徐々に直径が大きくなる部分である。そして、取付部15の内面は、互いに直交する直線部分15b及び平行部分15cを、円弧形状のR部分15dで接続した形状である。
【0022】
筒体16は、円筒形状の外形を呈する。筒体16は、ポート本体11がグローブパネル6に取り付けられたときに、GB本体2の外側に向けて突出する。また、筒体16の外周面には、周方向に連続する円周溝16a、16bが形成されている。円周溝16a、16bは、筒体16の突出方向に離間した位置に形成されている。円周溝16a、16bには、Oリング13a、13bが嵌め込まれる。
【0023】
グローブ12は、作業員が手を入れてGB本体2内で作業をするためのものである。グローブ12は、先端部が5本の指の形で閉塞され、基端部が開口している。そして、グローブ12の先端部は、筒体16を通じてGB本体2の内部空間に進入する。また、グローブ12の基端部は、筒体16の前端で外周面側に折り返される。すなわち、折り返されたグローブ12の基端部は、筒体16の外周面を覆っている。
【0024】
Oリング13a、13bは、リング形状の部材である。Oリング13a、13bは、ゴムなどの弾性拡径が可能な材料で形成されている。自然状態のOリング13a、13bの直径は、円周溝16a、16bの直径より僅かに小さい。Oリング13a、13bは、弾性拡径された状態で、筒体16の外周面側に折り返されたグローブ12の上から円周溝16a、16bに嵌め込まれる。これにより、折り返されたグローブ12の基端部と筒体16の外周面との間が封止される。
【0025】
クランプリング14は、帯状のベルト14aと、リング状にされたベルト14aを締め付ける締付金具14bとで構成される。ベルト14aは、Oリング13a、13bよりグローブパネル6に近い位置において、折り返されたグローブ12の上から筒体16の外周面に巻回される。そして、筒体16の外周面に沿ってリング状になったベルト14aを締付金具14bで締め付けることによって、折り返されたグローブ12の基端部と筒体16の外周面との間が封止される。
【0026】
クランプリング14が筒体16の外周面に取り付けられたとき、締付金具14bは、ベルト14aより径方向外側に突出する。すなわち、筒体16の外周面に取り付けられたクランプリング14は、周方向において、締付金具14bの位置のみが選択的に径方向外側に突出している。
【0027】
上記構成のグローブポート10によれば、図2に示すように、ポート本体11とグローブ12との間に隙間Gが形成される。そのため、GB本体2の内部に存在する異物が、この隙間Gに侵入する可能性がある。そして、隙間Gに異物が侵入した状態で、グローブ12に手を入れて作業を継続すると、異物に摺接したグローブ12が損傷する可能性がある。さらに、異物が汚染物資である場合、損傷したグローブ12を通じて汚染物質がグローブボックス1外に漏洩する可能性がある。
【0028】
そこで、本実施形態では、グローブポート10にポートキャップ20を装着する。図3は、ポートキャップ20を前面側から見た斜視図である。図4は、ポートキャップ20の背面側から見た斜視図である。図5は、ポートキャップ20をグローブポート10に装着した状態の断面図である。
【0029】
図3及び図4に示すように、ポートキャップ20は、内筒21と、外筒22と、フランジ23とで構成されている。ポートキャップ20は、ゴムなどの弾性変形能を有する材料で一体成形される。ポートキャップ20は、例えば、グローブ12と同じ材料で形成される。
【0030】
内筒21は、円筒形状の外形を呈する。内筒21の外形寸法は、筒体16の内径寸法と同一か僅かに大きく設定される。図5に示すように、内筒21は、グローブ12の内側から筒体16に圧入される。すなわち、ポートキャップ20がグローブポート10に取り付けられたとき、内筒21は、グローブ12をポート本体11の内周面に圧接する。
【0031】
また、グローブボックス1の前後方向(筒体16の突出方向)において、内筒21の先端(フランジ23との接続部分と反対側の端部)は、直線部分15b及びR部分15dの境界と、平行部分15cとの間に位置している。より詳細には、内筒21の先端は、直線部分15b及びR部分15dの境界と一致するのが望ましい。すなわち、内筒21は、筒体16の内周面及び取付部15の直線部分15bの全域に亘って、グローブ12をポート本体11に圧接する。
【0032】
また、内筒21の外周面側の先端は、R面取りされたR面21aとなっている。R面21aは、周方向に連続して形成されている。さらに、内筒21の内周面は、平滑な円筒形状である。「平滑」とは、内筒21の突出方向において、内周面の直径が同一の状態を指す。すなわち、内筒21の内周面には、突起や凹部が形成されていない。なお、顕微鏡で観察しなければ視認できない程度の微小な凹凸は、前述の突起や凹部に含まれない。
【0033】
外筒22は、円筒形状の外形を呈する。外筒22の内径寸法は、内筒21の外形寸法より大きい。また、内筒21及び外筒22は、同心円状に配置されている。そして、ポートキャップ20がグローブポート10に取り付けられたとき、外筒22は、内筒21を覆うように配置される。
【0034】
図5に示すように、ポートキャップ20がグローブポート10に取り付けられたとき、外筒22は、折り返されたグローブ12、Oリング13a、13b、及びクランプリング14が取り付けられた筒体16の外周面を覆う。すなわち、内筒21は筒体16に内挿され、外筒22は筒体16に外挿される。
【0035】
このとき、外筒22の内周面は、径方向において、円周溝16a、16bに取り付けられたOリング13a、13bから離間している。換言すれば、外筒22の内径寸法Wは、円周溝16a、16bに取り付けられたOリング13a、13bの直径Wより大きい。すなわち、グローブポート10に対してポートキャップ20を着脱するとき、外筒22は、Oリング13a、13bに接触せずに、筒体16に対して挿抜される。
【0036】
また、外筒22は、内筒21より突出量が少ない。換言すれば、外筒22の先端は、内筒21の先端よりフランジ23に近い側に位置している。そして、グローブポート10にポートキャップ20が取り付けられたとき、外筒22は、Oリング13a、13b及びクランプリング14のベルト14aを、径方向の外側から覆う。
【0037】
一方、外筒22の先端には、周方向の一部に切り欠き22aが形成されている。グローブポート10にポートキャップ20が取り付けられたとき、切り欠き22aは、クランプリング14の締付金具14bに対応する位置に配置される。すなわち、締付金具14bが切り欠き22aに進入することによって、締付金具14bが外筒22に干渉しない。
【0038】
さらに、外筒22の肉厚は、内筒21の肉厚より薄い。換言すれば、外筒22の剛性は、内筒21の剛性より低い。そのため、グローブポート10にポートキャップ20を取り付ける際に、外筒22が弾性変形することによって、筒体16の内側に内筒21をスムーズに圧入することができる。
【0039】
フランジ23は、中央に貫通孔が形成された円板形状の外形を呈する。フランジ23は、内筒21の基端と、外筒22の基端とを接続する。換言すれば、内周面が内筒21の基端に接続され、外周面が外筒22の基端に接続されている。そして、ローブポート10にポートキャップ20が取り付けられたとき、フランジ23は、筒体16の前端に当接する。また、フランジ23の肉厚は、内筒21の肉厚より薄く、外筒22の肉厚と同じである。
【0040】
上記の実施形態によれば、例えば以下の作用効果を奏する。
【0041】
図5に示すように、グローブポート10にポートキャップ20を取り付けた場合、ポート本体11とグローブ12との間に隙間G’は、図2に示す隙間Gより小さくなる。その結果、隙間G’への異物の侵入を有効に防止することができる。また、グローブ12の内側に内筒21が配置されるので、作業員の腕がグローブ12に直接触れることがない。その結果、仮にグローブ12が損傷したとしても、汚染物質が作業員の腕に触れるのを防止できる。
【0042】
そして、上記の実施形態によれば、内筒21の外周面側の先端をR面21aにすることによって、作業中にグローブ12が内筒21の先端に接触しても、グローブ12に局所的な応力が発生するのを防止できる。その結果、グローブ12の破損を防止できる。
【0043】
また、上記の実施形態によれば、外筒22の肉厚を内筒21より薄くした。これにより、ポート本体11に強固に固定される必要がある内筒21の剛性を高めることができる。一方、筒体16の外側を覆うことを目的とする外筒22の肉厚を薄くして剛性を下げることによって、筒体16に内筒21を圧入する作業が容易になる。
【0044】
また、上記の実施形態によれば、内筒21の内周面に大きな凹凸が存在しないので、グローブ12に挿抜される手が、内筒21の内周面に摺接することによるクロスコンタミネーションを防止することができる。
【0045】
また、II型のグローブポート10は、筒体16の外周面側にOリング13a、13bが露出している。そこで上記の実施形態によれば、外筒22とOリング13a、13bとの間に隙間を設けることによって、ポートキャップ20の着脱時にOリング13a、13bが外れて、汚染物質が漏洩するのを防止できる。
【0046】
また、上記の実施形態によれば、取付部15の直線部分15b及びR部分15dの境界まで内筒21を延設することによって、ポート本体11とグローブ12との間の隙間G’への異物の進入を防止することができる。
【0047】
但し、内筒21の突出長さが長すぎると、ポート本体11から突出した内筒21の外面に異物が付着する可能性がある。そのため、内筒21の先端は、取付部15の直線部分15b及びR部分15dの境界と、取付部15の平行部分15cとの間に位置するのが望ましく、境界部分に一致しているのが最も望ましい。
【0048】
そして、内筒21の基端にフランジ23を設けることによって、フランジ23が筒体16に当接する位置までしか内筒21を挿入することができない。その結果、内筒21の挿入しすぎを防止することができる。
【0049】
また、上記の実施形態によれば、Oリング13a、13b及びクランプリング14のベルト14aを外筒22で覆うことによって、外部からの衝撃(例えば、物がぶつかる等)からOリング13a、13b及びクランプリング14を保護することができる。
【0050】
一方、外筒22の突出量が大き過ぎると、グローブポート10からポートキャップ20を取り外した際に、内筒21及び外筒22の間の汚染検査がしにくくなる。そのため、外筒22の突出長さは、Oリング13a、13b及びクランプリング14のベルト14aを覆うことができる最小長さとするのが望ましい。
【0051】
さらに、上記の実施形態によれば、外筒22の締付金具14bに対応する位置に切り欠き22aを設けた。これにより、ポートキャップ20の左右方向のズレ(回転)を防止することができるので、内筒21とグローブ12とが摺接して、グローブ12が破損するのを防止することができる。
【0052】
以上、本発明の実施形態等について説明したが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
【符号の説明】
【0053】
1…グローブボックス、2…GB本体、3…土台、4…吸気フィルタ、5…排気フィルタ、6a,6b,6c…グローブパネル、7…搬出入ポート、8…取付開口、10…グローブポート、11…ポート本体、12…グローブ、13a,13b…Oリング、14…クランプリング、14a…ベルト、14b…締付金具、15…取付部、15a…パッキン、16a,16b…円周溝、15b…直線部分、15c…平行部分、15d…R部分、16…筒体、17…取付リング、20…ポートキャップ、21…内筒、21a…R面、22…外筒、22a…切り欠き、23…フランジ
図1
図2
図3
図4
図5