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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】用紙束揃え装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 31/38 20060101AFI20240325BHJP
   B42C 19/08 20060101ALI20240325BHJP
   B65H 5/22 20060101ALI20240325BHJP
   B65H 5/16 20060101ALI20240325BHJP
【FI】
B65H31/38
B42C19/08
B65H5/22 A
B65H5/16
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019202139
(22)【出願日】2019-11-07
(65)【公開番号】P2021075351
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-08-12
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000113403
【氏名又は名称】ホリゾン・インターナショナル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】岡本 光平
(72)【発明者】
【氏名】福田 繁伸
(72)【発明者】
【氏名】脇本 茂
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-207464(JP,A)
【文献】特開平07-089258(JP,A)
【文献】特開2012-006716(JP,A)
【文献】特開2009-184793(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/38
B42C 19/08
B65H 5/22
B65H 5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙束の搬送路を有するフレームを備え、
前記搬送路は、前記用紙束の一方の面を支持する傾斜した第1の搬送面と、前記第1の搬送面の下端縁から前記第1の搬送面に直角にのび、当該用紙束の一側面を支持する傾斜した第2の搬送面と、からなり、さらに、
前記フレームに設けられ、前記用紙束を前記搬送路に沿って搬送する搬送機構と、
前記フレームに設けられ、前記第2の搬送面に開口した少なくとも1つのエア吹出口に少なくとも1本のダクトを介して接続された少なくとも1つの送風機と、
前記搬送機構により前記搬送路に沿って搬送される前記用紙束が前記少なくとも1つのエア吹出口を通過するタイミングに合わせて、前記少なくとも1つのエア吹出口からのエアの吹き出しの開始および停止を切り替えるエア吹出制御機構と、
前記フレームに設けられ、前記搬送機構により前記用紙束が搬送される状態で、前記搬送路の前記第1または前記第2の搬送面またはその両方を振動させる振動機構と、を備えたものであることを特徴とする用紙束揃え装置。
【請求項2】
用紙束の搬送路を有するフレームを備え、
前記搬送路は、前記用紙束の一方の面を支持する傾斜した第1の搬送面と、前記第1の搬送面の下端縁から前記第1の搬送面に直角にのび、当該用紙束の一側面を支持する傾斜した第2の搬送面と、からなり、さらに、
前記フレームに設けられ、前記用紙束を前記搬送路に沿って搬送する搬送機構と、
前記フレームに設けられ、前記第2の搬送面に開口した少なくとも1つのエア吹出口に少なくとも1本のダクトを介して接続された少なくとも1つの送風機と、
前記用紙束が前記少なくとも1つのエア吹出口を通過するタイミングに合わせて、前記少なくとも1つのエア吹出口からのエアの吹き出しの開始および停止を切り替えるエア吹出制御機構と、
前記フレームに設けられ、前記搬送路の前記第1または前記第2の搬送面またはその両方を振動させる振動機構と、を備え、
前記エア吹出制御機構は、さらに、前記用紙束が前記少なくとも1つのエア吹出口を通過するタイミングに合わせて、前記少なくとも1つのエア吹出口から吹き出すエアの風量を制御することを特徴とする用紙束揃え装置。
【請求項3】
前記エア吹出制御機構は、
前記少なくとも1つのエア吹出口に対向する配置で前記ダクトに設けられ、前記第2の搬送面の幅方向または長さ方向に運動し得るシャッタ板を備え、前記シャッタ板には開口部が設けられ、前記開口部は、前記シャッタ板の運動方向の一端側から他端側に向けて面積が徐々に変化するように形成され、
前記エア吹出制御機構は、さらに、
前記第2の搬送面の下側において前記フレームに取り付けられ、前記第2の搬送面に平行にかつ前記第2の搬送面の幅方向または長さ方向にのびる少なくとも1本のスライドガイドを備え、前記シャッタ板が前記少なくとも1本のスライドガイドにスライド可能に取り付けられ、
前記エア吹出制御機構は、さらに、
前記フレームに設けられ、前記シャッタ板を、前記用紙束が前記搬送路上を移動する間に、前記運動方向の一端側から前記運動方向の他端側に向けて、前記シャッタ板が前記少なくとも1つのエア吹出口を閉鎖する第1の閉鎖位置から、前記シャッタ板が前記少なくとも1つのエア吹出口を開放し、かつ前記少なくとも1つのエア吹出口の開放面積を徐々に変
化させる開放位置を経て、前記少なくとも1つのエア吹出口を閉鎖する第2の閉鎖位置までスライド運動させるシャッタ板駆動機構を備えていることを特徴とする請求項2に記載の用紙束揃え装置。
【請求項4】
前記シャッタ板の前記開口部は、前記シャッタ板の前記運動方向の一端側から他端側に向けて面積が徐々に増大するように形成され、前記シャッタ板は、前記開放位置において、前記少なくとも1つのエア吹出口を徐々に開放することを特徴とする請求項3に記載の用紙束揃え装置。
【請求項5】
前記シャッタ板駆動機構は、
前記シャッタ板の下面に固定され、前記少なくとも1本のスライドガイドに平行にのびるラックと、
前記シャッタ板の下方において前記フレームに取り付けられたモータと、を有し、前記モータの駆動軸は、前記シャッタ板に向けて前記シャッタ板に対し垂直にのび、
前記シャッタ板駆動機構は、さらに、
前記モータの駆動軸に固定されるとともに、前記ラックに係合したピニオンを有していることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の用紙束揃え装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つのエア吹出口は、
前記第2の搬送面の入口側において前記第2の搬送面の幅方向にのびるスリット状の第1のエア吹出口と、
前記第1のエア吹出口における前記第1の搬送面に近い方の端から搬送方向に間隔をあけて、前記第1のエア吹出口に対し直角に前記第2の搬送面の出口に向けてのびるスリット状の第2のエア吹出口と、からなっていることを特徴とする請求項3~請求項5のいずれかに記載の用紙束揃え装置。
【請求項7】
前記シャッタ板は前記第2の搬送面の幅方向にスライド運動可能とされ、
前記シャッタ板の前記開口部は、
前記第1のエア吹出口に対応する第1の開口と、
前記第2のエア吹出口に対応する第2の開口と、からなり、
前記第1の開口は、前記第1のエア吹出口に平行にのび、少なくとも前記第1のエア吹出口の長さに等しい長さおよび少なくとも前記第1のエア吹出口の幅に等しい幅を有するスリット形状をなし、
前記第1の開口は、前記第2の搬送面の長さ方向において、前記第1のエア吹出口と整合するように配置され、
前記第2の開口は、
前記第1の開口における前記運動方向の他端側の端縁と一直線上に配置されて、少なくとも前記第2のエア吹出口の長さに等しい長さのびる第1の開口縁と、
前記第1の開口縁における前記第1の開口に近い方の端から、前記第1の開口縁に直角に前記運動方向の他端側から前記運動方向の一端側に向けて、前記第1の開口よりも短い長さのびる第2の開口縁と、
前記第2の開口縁における前記運動方向の一端側の端と、前記第1の開口縁における前記第1の開口から遠い方の端とを接続する階段状の第3の開口縁と、を有し、
前記第1の開口縁は、前記第2の搬送面の長さ方向において、前記第2のエア吹出口と整合するように配置されていることを特徴とする請求項6に記載の用紙束揃え装置。
【請求項8】
前記フレームに設けられ、前記用紙束を搬送方向または前記搬送方向に直角な方向またはその両方に突き揃える突き揃えガイドをさらに備えたものであることを特徴とする請求項1~請求項7のいずれかに記載の用紙束揃え装置。
【請求項9】
用紙束揃え装置であって、
用紙束を搬送路に沿って搬送する搬送機構と、
前記搬送機構により前記搬送路に沿って搬送される前記用紙束が前記搬送路に設けられた用紙搬送面に開口した少なくとも1つのエア吹出口を通過するタイミングに合わせて、前記少なくとも1つのエア吹出口からのエアの吹き出しの開始および停止を切り替えるエア吹出制御機構と、
前記搬送機構により前記用紙束が搬送される状態で、前記搬送路の前記用紙搬送面を振動させる振動機構と、を備え、
前記エア吹出制御機構は、前記搬送機構により搬送される前記用紙束の先端が前記エア吹出口に到達したとき前記エア吹出口からのエアの吹き出しを開始することを特徴とする用紙束揃え装置。
【請求項10】
前記エア吹出制御機構は、前記用紙束の前記用紙束揃え装置からの搬出が開始される前に前記エア吹出口からのエアの吹き出しを停止することを特徴とする請求項9に記載の用紙束揃え装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙束を揃える装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
製本工程においては、用紙を集積して用紙束を形成し、用紙束を揃えた後、製本や断裁等の処理を行う場合がある。
【0003】
例えば、無線綴じ製本においては、用紙搬出装置(プリンタ、コピー機および丁合機等)から順次搬出された用紙が、用紙搬出装置の用紙集積部においてまたは用紙搬出装置の後段に接続された集積装置によって集積されて、用紙束を形成し、用紙束は揃えられた状態で製本機のクランパに供給される。そして、クランパに把持された用紙束は、クランパによって製本機の各製本処理ユニット間を搬送され、搬送の間に製本される(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この場合、用紙搬出装置から搬出された用紙は静電気を帯びていて互いに密着しやすく、手作業で用紙束を揃えるのは非常に効率が悪いことから、通常は、用紙を集積して形成した用紙束を用紙束揃え装置によって揃えた後、製本機のクランパに供給している。
【0005】
従来の用紙束揃え装置としては、例えば、特許文献2に記載されたものがある。
特許文献2に記載された用紙束揃え装置は、台枠と、台枠上に設置された支持フレームと、支持フレームの上部前面に設けられた受枠を備えている。受枠は、用紙束の直交する端面を傾斜状にして支持する2つの斜面部、および用紙束の裏面に対向する背面部を形成する。
【0006】
また、用紙束揃え装置は、受枠を振動させる加振手段と、受枠の斜面部から用紙束の端面に向けてエアを吹き付ける送風手段を有している。
加振手段は振動モータを有し、駆動モータの回転軸は偏心輪を介して受枠の背面部に結合されている。送風手段は、斜面部の裏側に形成された空気室と、空気室にエアを供給するためのブロアモータと、ブロアモータおよび空気室間にのびる送風管を有し、斜面部には、空気室と連通する複数のスリット状噴気口が形成されている。
【0007】
また、台枠にはフットスイッチが設けられ、支持フレームには操作盤が設けられている。操作盤には、用紙束揃え装置の運転を手動と自動に切り換えるための切換スイッチと、自動運転時の各手段の動作時間を設定するタイマ調整ダイヤルと、風量調整ダイヤルが設けられている。
【0008】
そして、用紙束揃え装置の手動運転時は、フットスイッチがON状態にある間、加振手段および送風手段が全て動作する一方、フットスイッチがOFF状態のときは、加振手段および送風手段が全て停止する。
用紙束揃え装置の自動運転時は、所定時間だけ加振手段および送風手段が全て動作するモード、または所定時間だけ送風手段のみが動作するモードの2つの設定モードがある。
【0009】
通常、用紙束揃え装置は手動運転され、このとき、まず、用紙束が受枠内に配置され、送風手段のエア量が、用紙束を構成する用紙のサイズ、紙質、枚数および密着度等に応じて調節された後、フットスイッチが作業者の足によって踏まれて用紙束揃え装置の運転が開始され、その間に、受枠が振動しつつ、噴気口から用紙束の端面にイオンを含むエアが吹き付けられ、それによって、用紙束は捌かれ、用紙束の側面が揃えられる。その後、作業者の足がフットスイッチから離されて用紙束揃え装置の運転が停止される。
【0010】
しかしながら、この用紙束揃え装置を用いた場合には、用紙搬出装置(または用紙集積装置)と用紙束揃え装置との間、および用紙束揃え装置と製本機(クランパ)との間に作業者を配置して用紙束を手作業で搬送する必要があり、そのため、生産効率が非常に悪いという問題があった。
【0011】
この場合、この従来の用紙束揃え装置と、用紙搬出装置(または集積装置)および製本機とを搬送装置によって接続し、搬送装置を用いて用紙束の受け渡しを行うことも考えられる。
しかし、用紙束が用紙束揃え装置に進入する前にエアの吹き出しを開始すると、用紙束が予想外に乱れて、うまく揃えられないことがある。一方、送風手段のON/OFFの切り替えとエアの吹き出しの開始と停止の切り替えにはタイムラグがあるので、用紙束の進入時に送風手段をONし、その後OFFすると、用紙束を短時間しか捌けず、処理の効率が低下する。
【0012】
すなわち、送風手段のON/OFFを切り替えて、一定量のエアの吹き出しと吹き出しの停止を切り替えるだけでは、用紙束の高速で、安定した整列処理を行うことはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】特開2010-274501号公報
【文献】特開2004-1984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、本発明の課題は、上流側および下流側の用紙処理装置と1つの処理ラインを形成するとともに、用紙束の整列処理を高速かつ安定的に行える用紙束揃え装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、本発明によれば、用紙束の搬送路を有するフレームを備え、前記搬送路は、前記用紙束の一方の面を支持する傾斜した第1の搬送面と、前記第1の搬送面の下端縁から前記第1の搬送面に直角にのび、当該用紙束の一側面を支持する傾斜した第2の搬送面と、からなり、さらに、前記フレームに設けられ、前記用紙束を前記搬送路に沿って搬送する搬送機構と、前記フレームに設けられ、前記第2の搬送面に開口した少なくとも1つのエア吹出口に少なくとも1本のダクトを介して接続された少なくとも1つの送風機と、前記搬送機構により前記搬送路に沿って搬送される前記用紙束が前記少なくとも1つのエア吹出口を通過するタイミングに合わせて、前記少なくとも1つのエア吹出口からのエアの吹き出しの開始および停止を切り替えるエア吹出制御機構と、前記フレームに設けられ、前記搬送機構により前記用紙束が搬送される状態で、前記搬送路の前記第1または前記第2の搬送面またはその両方を振動させる振動機構と、を備えたものであることを特徴とする用紙束揃え装置が提供される。
【0016】
本発明の好ましい実施例によれば、前記エア吹出制御機構は、さらに、前記用紙束が前記少なくとも1つのエア吹出口を通過するタイミングに合わせて、前記少なくとも1つのエア吹出口から吹き出すエアの風量を制御する。
【0017】
本発明の別の好ましい実施例によれば、前記エア吹出制御機構は、前記少なくとも1つのエア吹出口に対向する配置で前記ダクトに設けられ、前記第2の搬送面の幅方向または長さ方向に運動し得るシャッタ板を備え、前記シャッタ板には開口部が設けられ、前記開口部は、前記シャッタ板の前記運動方向の一端側から他端側に向けて面積が徐々に変化するように形成され、前記エア吹出制御機構は、さらに、前記第2の搬送面の下側において前記フレームに取り付けられ、前記第2の搬送面に平行にかつ前記第2の搬送面の幅方向または長さ方向にのびる少なくとも1本のスライドガイドを備え、前記シャッタ板が前記少なくとも1本のスライドガイドにスライド可能に取り付けられ、前記エア吹出制御機構は、さらに、前記フレームに設けられ、前記シャッタ板を、用紙束が前記搬送路上を移動する間に、前記運動方向の一端側から前記運動方向の他端側に向けて、前記シャッタ板が前記少なくとも1つのエア吹出口を閉鎖する第1の閉鎖位置から、前記シャッタ板が前記少なくとも1つのエア吹出口を開放し、かつ前記少なくとも1つのエア吹出口の開放面積を徐々に変化させる開放位置を経て、前記少なくとも1つのエア吹出口を閉鎖する第2の閉鎖位置までスライド運動させるシャッタ板駆動機構を備えている。
【0018】
本発明のさらに別の好ましい実施例によれば、前記シャッタ板の前記開口部は、前記シャッタ板の前記運動方向の一端側から他端側に向けて面積が徐々に増大するように形成され、前記シャッタ板は、前記開放位置において、前記少なくとも1つのエア吹出口を徐々に開放する。
【0019】
本発明のさらに別の好ましい実施例によれば、前記シャッタ板駆動機構は、前記シャッタ板の下面に固定され、前記少なくとも1本のスライドガイドに平行にのびるラックと、前記シャッタ板の下方において前記フレームに取り付けられたモータと、を有し、前記モータの駆動軸は、前記シャッタ板に向けて前記シャッタ板に対し垂直にのび、前記シャッタ板駆動機構は、さらに、前記モータの駆動軸に固定されるとともに、前記ラックに係合したピニオンを有している。
【0020】
本発明のさらに別の好ましい実施例によれば、前記少なくとも1つのエア吹出口は、前記第2の搬送面の入口側において前記第2の搬送面の幅方向にのびるスリット状の第1のエア吹出口と、前記第1のエア吹出口における前記第1の搬送面に近い方の端から搬送方向に間隔をあけて、前記第1のエア吹出口に対し直角に前記第2の搬送面の出口に向けてのびるスリット状の第2のエア吹出口と、からなっている。
【0021】
本発明のさらに別の好ましい実施例によれば、前記シャッタ板は前記第2の搬送面の幅方向にスライド運動可能とされ、前記シャッタ板の前記開口部は、前記第1のエア吹出口に対応する第1の開口と、前記第2のエア吹出口に対応する第2の開口と、からなり、前記第1の開口は、前記第1のエア吹出口に平行にのび、少なくとも前記第1のエア吹出口の長さに等しい長さおよび少なくとも前記第1のエア吹出口の幅に等しい幅を有するスリット形状をなし、前記第1の開口は、前記第2の搬送面の長さ方向において、前記第1のエア吹出口と整合するように配置され、前記第2の開口は、前記第1の開口における前記運動方向の他端側の端縁と一直線上に配置されて、少なくとも前記第2のエア吹出口の長さに等しい長さのびる第1の開口縁と、前記第1の開口縁における前記第1の開口に近い方の端から、前記第1の開口縁に直角に前記運動方向の他端側から前記運動方向の一端側に向けて、前記第1の開口よりも短い長さのびる第2の開口縁と、前記第2の開口縁における前記運動方向の一端側の端と、前記第1の開口縁における前記第1の開口から遠い方の端とを接続する階段状の第3の開口縁と、を有し、前記第1の開口縁は、前記第2の搬送面の長さ方向において、前記第2のエア吹出口と整合するように配置されている。
【0022】
本発明のさらに別の好ましい実施例によれば、前記用紙束揃え装置は、さらに、前記フレームに設けられ、用紙束を搬送方向または前記搬送方向に直角な方向またはその両方に突き揃える突き揃えガイドを備えている。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、用紙束を傾倒させた状態で搬送路に沿って搬送し、搬送の間または搬送の停止中またはその両方において用紙束を揃えることができる。
そして、本発明の用紙束揃え装置の搬送路を延長し、本発明の用紙束揃え装置を上流側および下流側の用紙処理装置のそれぞれと接続するとともに、本発明の用紙束揃え装置の搬送機構を用いて、用紙束を搬送するようにすれば、上流側の用紙処理装置、本発明の用紙束揃え装置および下流側の用紙処理装置からなる1つの処理ラインを容易に構築することができる。
【0024】
さらに、本発明によれば、用紙束揃え装置の運転中、搬送路(搬送面)を振動させた状態で、用紙束がエア吹出口を通過するタイミングに合わせて、エア吹出口からのエアの吹き出しの開始および停止を切り替える。
【0025】
そして、エア吹出口からのエアの吹き出しを、用紙束の先端が当該エア吹出口に到達した時点で開始し、その後、用紙束の整列処理が完了して、用紙束の用紙束揃え装置からの搬出を開始する前に、エアの吹き出しを停止する。
それによって、用紙束を適度に捌きながら振動させることができ、用紙束の整列処理が確実かつ安定的に行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の1実施例による用紙束揃え装置の概略構成を示す図であり、(A)は正面図であり、(B)は(A)のX-X線に沿った側断面図である。
図2図1の用紙束揃え装置の背面図である。
図3図1の用紙束揃え装置の、搬送路の第1の搬送面に沿った方向に見た平面図である。
図4図1の用紙束揃え装置のシャッタ板の動作を説明する図3に類似の図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の構成を好ましい実施例に基づいて説明する。
図1は、本発明の1実施例による用紙束揃え装置の概略構成を示す図であり、図1(A)は正面図であり、図1(B)は図1(A)のX-X線に沿った側断面図である。また、図2は、図1の用紙束揃え装置の背面図であり、図3は、図1の用紙束揃え装置の、搬送路の第1の搬送面に沿った方向に見た平面図である。
【0028】
図1および図2に示すように、本発明による用紙束揃え装置は、用紙束Sの搬送路2を有するフレーム1を備えている。
搬送路2は、用紙束Sの一方の面を支持する傾斜した第1の搬送面2aと、第1の搬送面2aの下端縁から第1の搬送面2aに直角にのび、用紙束Sの一側面を支持する傾斜した第2の搬送面2bと、からなっている。
【0029】
なお、図1(A)および図2は、それぞれ、用紙束揃え装置を搬送路2の傾斜した第2の搬送面2bに沿って見た正面図および背面図として描かれている点に留意されたい。
【0030】
本発明の用紙束揃え装置は、フレーム1に設けられ、用紙束Sを搬送路2に沿って搬送する搬送機構3を備えている。
【0031】
この実施例では、搬送機構3は、搬送路2の両端において第2の搬送面2bの幅方向にのびる一対の回転軸(図示されない)と、各回転軸に取り付けられたスプロケット(図示されない)と、一対のスプロケット間に掛け渡されたエンドレスチェイン(図示されない)と、エンドレスチェインに取り付けられてエンドレスチェインの長さ方向に等間隔に配置された複数の搬送ピン3aと、一対の回転軸のうちの一方を駆動させる駆動機構(図示されない)とを有している。
なお、隣り合う搬送ピン3a間の間隔は搬送路2の長さに対応している。
【0032】
第1の搬送面2aには、搬送方向にのびるスリット4が形成され、搬送機構3の搬送ピン3aがスリット4を通って第1の搬送面2a上に突出している。
【0033】
そして、エンドレスチェインが回転駆動されるとともに、搬送ピン3aが用紙束Sを押し、それによって、用紙束Sは搬送路2に沿って搬送される。
【0034】
図3に示すように、第2の搬送面2bには、少なくとも1つのエア吹出口5が設けられている。
この実施例では、少なくとも1つのエア吹出口5は、第2の搬送面2bの入口側において第2の搬送面2bの幅方向にのびるスリット状の第1のエア吹出口5aと、第1のエア吹出口5aにおける第1の搬送面2aに近い方の端から搬送方向に間隔をあけて、第1のエア吹出口5aに対し直角に第2の搬送面2bの出口に向けてのびるスリット状の第2のエア吹出口5bとからなっている。
【0035】
本発明の用紙束揃え装置は、また、フレーム1に設けられ、第1および第2のエア吹出口5a、5bにダクト6a、6bを介して接続された送風機7a、7bを備えている。
【0036】
ダクト6a、6bには、第2の搬送面2bの幅方向に運動可能なシャッタ板8が、第1および第2のエア吹出口5a、5bに対向する配置で設けられている。
【0037】
また、平行な一対のスライドガイド9、9が第2の搬送面2bの下側においてフレームに取り付けられ、第2の搬送面2bに平行にかつ第2の搬送面2bの幅方向にのびている。そして、シャッタ板8が一対のスライドガイド9、9にスライド可能に取り付けられている。
【0038】
シャッタ板8は開口部10を有している。開口部10は、第1のエア吹出口5aに対応する第1の開口11と、第2のエア吹出口5bに対応する第2の開口12とからなっている。
【0039】
第1の開口11は、第1のエア吹出口5aに平行にのび、第1のエア吹出口5aの長さに等しい長さおよび第1のエア吹出口5aの幅よりも少し大きい幅を有するスリット形状をなしている。そして、第1の開口11は、第2の搬送面2bの長さ方向において、第1のエア吹出口5aと整合するように配置されている。
【0040】
第2の開口12は、第1の開口11における第1の搬送面2aに近い方の端縁11aと一直線上に配置されて、第2のエア吹出口5bの長さに等しい長さのびる第1の開口縁12aと、第1の開口縁12aにおける第1の開口11に近い方の端から、第1の開口縁12aに対し直角に第1の搬送面2aから遠ざかる向きに、第1の開口11よりも短い長さのびる第2の開口縁12bと、第2の開口縁12bにおける第1の搬送面2aから遠い方の端、および第1の開口縁12aにおける第1の開口11から遠い方の端を接続する階段状の第3の開口縁12cとを有している。
そして、第1の開口縁12aは、第2の搬送面2bの長さ方向において、第2のエア吹出口5bと整合するように配置されている。
【0041】
シャッタ板8の下面には、ラック13が固定されて、一対のスライドガイド9、9に平行にのびている。また、モータ14が、シャッタ板8の下方においてフレームに取り付けられている。モータ14の駆動軸は、シャッタ板8に向けてシャッタ板8に対し垂直にのびている。
【0042】
さらに、モータ14の駆動軸にピニオン15が固定され、ピニオン15はラック13に係合している。
そして、モータ14が正逆回転することによって、シャッタ板8は一対のスライドガイド9、9に沿って往復スライド運動する。
【0043】
ラック13、モータ14およびピニオン15は、シャッタ板8をスライド運動させるシャッタ板駆動機構17を構成する。
【0044】
図4は、シャッタ板8の動作を説明する図3に類似の図である。
図4に示すように、シャッタ板8は、用紙束Sがエア吹出口5を通過する間に、シャッタ板駆動機構17によって、第1の搬送面2aから遠い方の端側から第1の搬送面2aに近い方の端側に向けて、シャッタ板8がエア吹出口5を閉鎖する第1の閉鎖位置から、シャッタ板8がエア吹出口5を徐々に開放する開放位置を経て、エア吹出口5を閉鎖する第2の閉鎖位置までスライド運動せしめられる。
【0045】
シャッタ板8、シャッタ板8の開口部10、スライドガイド9およびシャッタ板駆動機構17は、用紙束Sがエア吹出口5を通過するタイミングに合わせて、エア吹出口5からのエアの吹き出しの開始/停止、およびエアの風量を制御するエア吹出制御機構16を構成する。
【0046】
本発明の用紙束揃え装置は、さらに、フレーム1に設けられ、搬送路2の第1の搬送面2aを振動させる振動機構16と、フレーム1に設けられ、用紙束Sを搬送方向に直角な方向に突き揃える突き揃えガイド19を備えている。
【0047】
突き揃えガイド19は搬送路2の第1の搬送面2a上において搬送方向にのび、第1の搬送面2aの裏側にはガイド移動機構20が配置されて、フレーム1に取り付けられている。また、第1の搬送面2aには、第1の搬送面2aの幅方向にのびる複数のスリット21が設けられ、突き揃えガイド19が、スリット21から突出する、ガイド移動機構20における第1の搬送面2aの幅方向に運動するリニアアクチュエータの先端に固定されている。
そして、突き揃えガイド19の位置が、処理すべき用紙束Sの高さに応じて予め調節される。
【0048】
次に、本発明の用紙束揃え装置の動作を説明する。
用紙束揃え装置の運転中、振動機構18が連続運転せしめられ、搬送路2および突き揃えガイド19は常時振動している。一方、送風機7a、7bは、用紙束揃え装置の運転中、連続運転せしめられるが、シャッタ板8が、用紙束Sがエア吹出口5に到達するまでは、第1の閉鎖位置にあり、よって、エア吹出口5からエアは吹き出していない。
【0049】
用紙束Sが搬送機構3(搬送ピン3a)によって搬送路2上を傾倒状態で搬送され、図4(A)に示すように、用紙束Sの先端が第1のエア吹出口5aに到達したとき、シャッタ板8が開放位置に移動し、第1のエア吹出口5からのエアの吹き出しが開始される(このとき、第2のエア吹出口5bはまだ閉鎖されている)。
その後、用紙束Sの先端が第2のエア吹出口5bに到達するまでの間、第1のエア吹出口5aの開放面積が徐々に増大し、それに伴って、吹出するエアの風量も徐々に増大する。
【0050】
用紙束Sの先端が第2のエア吹出口5bに到達したとき、第1のエア吹出口5aからのエアの吹き出しは継続している一方、第2のエア吹出口5bからのエアの吹き出しが開始される。その後は、用紙束Sの搬送が進行するにつれて、第1のエア吹出口5aからのエアの風量が徐々に増大するとともに、第2のエア吹出口5bからのエアの風量が徐々に増大する(図4(B)参照)。
【0051】
そして、用紙束Sの整列処理が完了して、用紙束Sの用紙束揃え装置からの搬出が開始される前に、シャッタ板8が開放位置から第2の閉鎖位置に移動し、それによって、エア吹出口5からのエアの吹き出しが停止せしめられる。
【0052】
こうして、本発明によれば、用紙束Sを傾倒させた状態で搬送路2に沿って搬送し、搬送の間または搬送の停止中またはその両方において用紙束Sを揃えることができる。
そして、本発明の用紙束揃え装置の搬送路2を延長し、用紙束揃え装置を上流側および下流側の用紙処理装置のそれぞれと接続するとともに、用紙束揃え装置の搬送機構3を用いて、用紙束Sを搬送するようにすれば、上流側の用紙処理装置、用紙束揃え装置および下流側の用紙処理装置からなる1つの処理ラインを容易に構築することができる。
【0053】
さらに、本発明によれば、用紙束揃え装置の運転中、搬送路2および突き揃えガイド19を振動させた状態で、用紙束Sがエア吹出口5を通過するタイミングに合わせて、エア吹出口5からのエアの吹き出しの開始/停止、およびエアの風量を制御する。
【0054】
そして、エア吹出口5からのエアの吹き出しを、用紙束Sの当該エア吹出口5への進入のタイミングに合わせて開始するとともに、エアの風量を、用紙束Sが当該エア吹出口5を通過する間に徐々に増大させ、その後、用紙束Sの整列処理が完了して、用紙束Sの用紙束揃え装置からの搬出を開始する前に、エアの吹き出しを停止する。
それによって、用紙束Sを確実かつ安定的に揃えることができる。
【0055】
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明の構成は上記実施例に限定されず、当業者が添付の特許請求の範囲に記載された構成の範囲内で種々の変形例を案出し得ることは言うまでもない。
【0056】
例えば、エア吹出口5の構成は、上記実施例に限定されず、用紙束Sのサイズ(縦、横および厚さ)や用紙の紙質等に鑑み、用紙束Sを効率的かつ安定的に捌くことができるように適当に決定される。
【0057】
また、シャッタ板8の開口部5の構成も上記実施例に限定されない。そして、開口部5は、シャッタ板8の運動方向の一端側から他端側に向けて面積が徐々に変化するように形成され、シャッタ板8が、当該一端側から当該他端側に向けて、シャッタ板8がエア吹出口5を閉鎖する第1の閉鎖位置から、シャッタ板8がエア吹出口5を開放し、かつエア吹出口の開放面積を徐々に変化させる開放位置を経て、エア吹出口5を閉鎖する第2の閉鎖位置までスライド運動し得るようになってさえおれば、適当な構成とし得る。
【0058】
よって、例えば、シャッタ板8の開口部5を、シャッタ板8の運動方向の一端側から他端側に向けて面積が徐々に増大した後、減少するように形成し、シャッタ板8が、開放位置において、エア吹出口5を開放し、かつ、エア吹出口5の開放面積を徐々に増大させた後、徐々に減少させるような構成としてもよい。
【0059】
上記実施例では、シャッタ板8が搬送路2の第2の搬送面2bの幅方向に運動せしめられるが、シャッタ板8が搬送路2の第2の搬送面2bの長さ方向に運動せしめられるようにしてもよい。
【0060】
また、シャッタ板駆動機構17の構成も上記実施例に限定されず、例えば、シャッタ板駆動機構17を、ボールねじとモータから構成することもできる。
【0061】
上記実施例では、エア吹出制御機構16として、シャッタ板8を使用したが、エア吹出制御機構16を1つまたは複数のバルブから構成することもできる。
この場合、エア吹出制御機構16を、用紙束Sがエア吹出口5を通過するタイミングに合わせて、エア吹出口5からのエアの吹き出しの開始/停止、およびエアの風量を制御するように構成し得るだけでなく、エア吹出制御機構16を、用紙束Sがエア吹出口5を通過するタイミングに合わせて、エア吹出口5からのエアの吹き出しの開始と停止の切り替えのみ行うように構成することもできる。
【0062】
後者の場合には、エア吹出口5からのエアの吹き出しを、用紙束Sの先端がエア吹出口5に到達した時点で開始し、その後、用紙束Sの整列処理が完了して、用紙束Sの用紙束揃え装置からの搬出を開始する前に、エアの吹き出しを停止する。
【0063】
また、用紙束Sを搬送方向に揃える突き揃えガイド19に代えて、または追加して、用紙束Sを搬送方向に直角な方向に揃える突き揃えガイドを備えることもできる。
【符号の説明】
【0064】
1 フレーム
2 搬送路
2a 第1の搬送面
2b 第2の搬送面
3 搬送機構
3a 搬送ピン
4 スリット
5 エア吹出口
5a 第1のエア吹出口
5b 第2のエア吹出口
6a、6b ダクト
7a、7b 送風機
8 シャッタ板
9 スライドガイド
10 開口部
11 第1の開口
11a 端縁
12 第2の開口
12a 第1の開口縁
12b 第2の開口縁
12c 第3の開口縁
13 ラック
14 モータ
15 ピニオン
16 エア吹出制御機構
17 シャッタ板駆動機構
18 振動機構
19 突き揃えガイド
20 ガイド移動機構
21 スリット
図1
図2
図3
図4