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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】ワーク供給装置及びバリせん断システム
(51)【国際特許分類】
   B21D 28/00 20060101AFI20240325BHJP
   B21J 13/10 20060101ALI20240325BHJP
   B30B 15/02 20060101ALI20240325BHJP
   B21D 43/00 20060101ALI20240325BHJP
【FI】
B21D28/00 A
B21J13/10 Z
B30B15/02 L
B21D43/00 F
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019209318
(22)【出願日】2019-11-20
(65)【公開番号】P2021079409
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-10-03
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2019年8月26日及び2019年9月20日に内覧会にて公開
(73)【特許権者】
【識別番号】000161909
【氏名又は名称】京都機械工具株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】鍛冶 英行
(72)【発明者】
【氏名】並川 貴大
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭49-083346(JP,U)
【文献】特開昭63-072437(JP,A)
【文献】特開2003-326326(JP,A)
【文献】特開昭60-231543(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 28/00
B21J 13/10
B30B 15/02
B21D 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱間鍛造により高温のワークを形成する鍛造装置と、ダイ及びパンチを備え、前記ダイ及び前記パンチをそれぞれ待機位置から相対移動させることにより、前記ダイに載置された前記ワークからバリをせん断するせん断装置とを備える鍛造製品製造システムに用いられるものであって、
熱間鍛造により形成された高温の前記ワークが載置された前記ダイを検知するセンサと、
前記ダイを、前記ワークが載置される載置位置と前記待機位置との間で移動させる移動機構とを備え、
前記移動機構が、前記センサの検知信号に基づき前記ダイを前記待機位置に位置決めするように構成されていることを特徴とするワーク供給装置。
【請求項2】
前記載置位置は、前記鍛造装置のオペレータが当該鍛造装置で形成されたワークを取り出す取出位置から移動することなく当該ワークを載置できる範囲に設定されている請求項1記載のワーク供給装置。
【請求項3】
前記移動機構が、前記ダイを前記載置位置から前記待機位置へ移動させる場合に、当該ダイの前記ワークが載置される載置面を上方に向けた状態で移動させるように構成されている請求項1又は2のいずれかに記載のワーク供給装置。
【請求項4】
鍛造装置で熱間鍛造により形成された高温のワークからバリをせん断するバリせん断システムであって、
ダイ及びパンチを備え、前記ダイ及び前記パンチをそれぞれ待機位置から相対移動させることにより、前記ダイに載置された前記ワークからバリをせん断するせん断装置と、
熱間鍛造により形成された高温の前記ワークが載置された前記ダイを検知するセンサと、
前記ダイを、前記ワークが載置される載置位置と前記待機位置との間で移動させる移動機構を備えたワーク供給装置とを具備し、
前記移動機構が、前記センサの検知信号に基づき前記ダイを前記待機位置に位置決めするように構成されていることを特徴とするバリせん断システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク供給装置及びバリせん断システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
鍛造製品の製造システムとして、バリ付のワーク(以下、ワークともいう)を形成する鍛造装置と、当該ワークをダイにセットしパンチで打ち抜いてバリをせん断するせん断装置と、を2台並べて設置したものがある。
【0003】
前記製造システムでは、二人のオペレータを配置し、一方のオペレータが鍛造装置におけるワークの取り出し作業を行い、他方のオペレータが一方のオペレータからワークを受け取り、せん断装置に対するワークのセット作業を行うようになっている。これは、前記各装置がある程度離間して設置されていることから、一人のオペレータが前記両作業を行おうとすると、当該装置間を往復しなければならず、製造効率が低下するからである。
【0004】
ところで、前記オペレータを補助するワーク供給装置として、前記特許文献1には、鍛造装置で形成されたワークを汎用ロボットによって把持してせん断装置のダイにセットするものが開示されている。
【0005】
しかし、前記鍛造装置で形成されるワークは、バリ形状が一定でなく、前記汎用ロボットによってワークを把持すると、ワーク毎にその把持姿勢が変化し、ワークをせん断装置のダイに正確にセットできない。
【0006】
すなわち、前記製造システムにおける前記各作業は、ワークのバリ形状を考慮して行う必要があり、オペレータの目に頼らざるを得ず、このため、二人のオペレータを配置せざるを得ないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】実公平06-044498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、製造システムのオペレータを削減することをたる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るワーク供給装置は、ワークを形成する成形装置と、ダイ及びパンチを備え、前記ダイ及び前記パンチをそれぞれ待機位置から相対移動させることにより、前記ダイに載置されたワークからバリをせん断するせん断装置とを備える成形製品製造システムに用いられるものであって、前記ダイを、前記ワークが載置される載置位置と前記待機位置との間で移動させる移動機構を備えていることを特徴とするものである。
【0010】
このような構成によれば、載置位置を成形装置の近傍に設定しておくことにより、ワーク供給装置によってダイを成形装置からワークを取り出すオペレータの近くまで移動させることができる。これにより、オペレータは、成形装置から離れることなく当該ワークをダイにセットできるようになる。よって、オペレータは、成形装置の近くにいながら当該成形装置と離間して設置されたせん断装置にワークを供給できるようになり、製造効率を低下させることなく、成形製品製造システムを一人で稼働できるようになる。
【0011】
また、本発明に係る具体的な実施態様としては、前記載置位置は、前記成形装置のオペレータが当該成形装置で形成されたワークを取り出す取出位置から移動することなく当該ワークを載置できる範囲に設定すればよい。
【0012】
また、前記移動機構が、前記ダイを前記載置位置から前記待機位置へ移動させる場合に、当該ダイの前記ワークが載置される載置面を上方に向けた状態で移動させるように構成されているものであってもよい。
【0013】
このような構成によれば、ダイに載置されたワークが移動中の位置ズレし難くなる。
【0014】
また、前記ダイを検知するセンサをさらに備え、前記移動機構が、前記センサの検知信号に基づき前記ダイを前記待機位置に位置決めするように構成されているものであってもよい。
【0015】
このような構成によれば、ダイをより正確に待機位置へ位置決めすることが可能となり、せん断機構に対するワークの位置決め精度を向上させることができる。また、センサで検知する対象がダイであるため、例えば、熱間鍛造で形成されたもののようにセンサで検知し難い高温のワークであっても、せん断機構に対して精度良く位置決めできる。
【0016】
また、本発明に係るバリせん断システムは、成形装置で形成されたワークからバリをせん断するバリせん断システムであって、ダイ及びパンチを備え、前記ダイ及び前記パンチをそれぞれ待機位置から相対移動させることにより、前記ダイに載置されたワークからバリをせん断するせん断装置と、前記ダイを、前記ワークが載置される載置位置と前記待機位置との間で移動させる移動機構を備えてワーク供給装置とを具備していることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るワーク供給装置によれば、成形製品製造システムのオペレータを削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1の実施形態に係るバリせん断システムを組み込んだ鍛造製品製造システムの全体構成を示す模式図である。
図2】第1の実施形態に係るせん断装置を模式的に示す分解斜視図である。
図3】第1の実施形態に係るバリせん断システムの動作を示す模式図である。
図4】第1の実施形態に係るバリせん断システムの動作を示す模式図である。
図5】第1の実施形態に係る制御部の機能を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明に係るバリせん断システムを図面に基づいて説明する。
【0020】
<第1の実施形態> 本実施形態に係るバリせん断システムは、鍛造製品を形成する鍛造製品製造システムに組み込まれて使用されるものである。そこで、以下においては、鍛造製品製造システムの全体構成を説明した上で、バリせん断システムの構成を説明する。
【0021】
本実施形態に係る鍛造製品製造システム100は、具体的には、図1に示すように、ワークWを形成する鍛造装置10と、鍛造装置10で形成されたワークWからバリBをせん断するバリせん断システムSと、を備えている。
【0022】
前記鍛造装置10は、型鍛造によってワークWを形成するものである。具体的には、鍛造装置10は、相対移動によって材料をプレス加工してワークWを成形する一対の成形型11を備えている。ここで、一対の成形型11は、例えば、下型11aと、下型11aに対して昇降可能な上型11bとである。
【0023】
前記下型11a及び前記上型11bは、互いに対向する対向面12を有しており、その対向面12の一部に材料を製品形状に成形するための成形面13が形成されている。
【0024】
そして、前記上型11bは、前記下型11aに対して僅かな隙間を空けて接近し、当該下型11aに載置された材料を押圧するようになっている。これにより、下型11aと上型11bとの間に挟まれた材料は、成形面13に挟まれた部分が製品形状に成形されると共に、成形面13からはみ出して対向面12に挟まれた部分が扁平状のバリBに成形されたワークWとなる。
【0025】
前記バリせん断システムSは、ワークWからバリBをせん断(トリミング)するせん断装置20と、鍛造装置10で形成されたワークWをせん断装置20に供給するワーク供給装置30と、せん断装置20及びワーク供給装置30を制御する制御部Cと、を備えている。
【0026】
前記せん断装置20は、図2に示すように、ワークWが載置されるダイ21と、ダイ21を支持する支持台22と、ダイ21に対して昇降可能なパンチ23と、を備えている。そして、せん断装置20は、パンチ23を昇降させてダイ21と係合させることにより、ダイ21に載置されたワークWからバリBをせん断するように構成されている。よって、ダイ21及びパンチ23が、ワークWからバリBをせん断するせん断機構Tを構成している。
【0027】
前記ダイ21は、具体的には、ワークWが載置される載置面21sを有する矩形プレート状のものである。また、ダイ21は、当該ダイ21の載置面21sに対してワークWを位置決めする位置決め構造21cを備えている。位置決め構造21cは、例えば、ダイ21の載置面21sから当該載置面21sの反対面へ貫通する貫通孔21hを備えている。そして、貫通孔21hは、ワークWのバリBから突出した製品となる部分が嵌り込む形状に形成されている。これにより、本実施形態では、ワークWが、ダイ21の載置面21sにバリBを載置すると共に、ダイ21の貫通孔21hに製品となる部分を嵌め込むことにより、ダイ21の載置面21sに対して位置決めされる。
【0028】
前記支持台22は、その上面に設定されたダイ待機位置D(図3(a)参照)にダイ21を支持するものである。支持台22は、具体的には、その上面にダイWをダイ待機位置Dに位置決めするための枠体24を備えている。枠体24は、ダイ21ががたなく嵌り込む形状に形成されている。よって、ダイ21は、枠体24内に嵌め込まれることにより、ダイ待機位置Dに位置付けられるようになっている。また、支持台22には、その上面にダイ待機位置Dに位置付けられたダイ21の貫通孔21hと連通する収容凹部25が形成されている。
【0029】
前記パンチ23は、具体的には、ダイ21の貫通孔21hにクリアランスを設けて嵌り込む柱状のものである。そして、パンチ23は、ダイ待機位置Dに配置されたダイ21の貫通孔21hの上方に設定されたパンチ待機位置P1(図3(a)参照)と、ダイ21の貫通孔21hに嵌り込んだ位置であるせん断位置P2(図3(b)参照)との間で移動可能(昇降可能)に構成されている。よって、パンチ23は、パンチ待機位置Pからせん断位置Tへ直線的に移動(降下)することにより、ダイ待機位置Xに配置されたダイ21の貫通孔21hに嵌合し、当該ダイ21に載置されたワークWからバリBをせん断するように構成されている。
【0030】
ここで、せん断装置20は、鍛造装置10と離間して設置されている。具体的には、せん断装置20は、オペレータHが成形型11からワークWを取り出す取出位置α(図1参照)から手を伸ばしてもダイ待機位置Dに設置されたダイ21に届かない位置に設置されている。
【0031】
前記ワーク供給装置30は、鍛造装置10とせん断装置20との間に介在し、鍛造装置10で形成されたワークWをせん断装置20へ供給するものである。具体的には、ワーク供給装置30は、ダイ21を移動させる移動機構31を備えている。
【0032】
前記移動機構31は、具体的には、複数の関節を有するロボットアームであり、そのアームの先端にダイ21を保持している。そして、移動機構31は、ダイ21を、鍛造装置10からワークWを取り出すオペレータHがワークWを載置する載置位置X(図1参照)と、前記ダイ待機位置Dと、せん断機構Tによるせん断加工後にダイ21上に残存するバリBを除去するバリ除去位置Y(図4(a)参照)との間で移動可能に構成されている。また、移動機構31は、ダイ21を載置位置X、ダイ待機位置D、バリ除去位置Yの順番で移動させた後、再度載置位置Xに移動させるように構成されている。
【0033】
前記載置位置Xは、具体的には、オペレータHが成形型11からワークWを取り出す取出位置αから移動することなく、当該取出位置αで取り出したワークWを載置できる範囲に設定されている。ここで、取出位置αには、本実施形態のように、オペレータHが成形型11からワークWを取り出す位置だけでなく、鍛造装置10が成形型11からワークWを排出する排出機構を備えている場合には、オペレータHが排出機構で排出されたワークWを取り出す位置も含まれる。
【0034】
また、前記移動機構31は、ダイ21を載置位置Xからダイ待機位置Dへ移動させる場合に、ダイ21に載置されたワークWが脱落しないように、ダイ21の載置面21sを上方に向けた状態で移動させるように構成されている。さらに、前記移動機構31は、バリ除去位置Yに移動させたダイ21を傾けることにより、せん断加工後にダイ21上に残存したバリBを落下させて除去するように構成されている。
【0035】
前記制御部Cは、せん断装置20とワーク供給装置30とに接続されている。具体的には、制御部Cは、CPU、メモリ、AC/DCコンバータ、入力手段等を有した所謂コンピュータである。そして、制御部Cは、図5に示すように、前記メモリに格納されたバリせん断システム用プログラムに基づいて、ワーク供給制御部C1、せん断制御部C2、バリ除去制御部C3等としての機構を発揮するように構成されている。
【0036】
前記ワーク供給制御部C1は、ワーク供給装置30の移動機構31を制御し、せん断装置30にワークWを供給するものである。具体的には、ワーク供給制御部C1は、ワーク供給開始信号を受け付けた場合に、ダイ21を載置位置Xからダイ待機位置Dへ移動させた後、ワーク供給完了信号を送信する。
【0037】
ここで、前記ワーク供給開始信号は、例えば、バリせん断システムSに設けられた開始ボタン(図示せず)によって入力される。具体的には、ワーク供給開始信号は、オペレータHが、載置位置Xに配置されたダイ21に対してワークWを目視にて載置した後、開始ボタンを押圧することによって送信される。
【0038】
前記せん断制御部C2は、せん断装置30のせん断機構Tを制御し、ワークからバリをせん断するものである。具体的には、せん断制御部C2は、ワーク供給完了信号を受け付けた場合に、パンチ23をパンチ待機位置P1からせん断位置P2へ移動させた後、再度パンチ待機位置P1へ移動させ、その後、バリせん断完了信号を送信する。
【0039】
前記バリ除去制御部C3は、ワーク供給装置30の移動機構31を制御し、バリせん断完了後にダイ21に残存するバリBを除去するものである。具体的には、バリ除去制御部C3は、バリせん断完了信号を受け付けた場合に、ダイ21をダイ待機位置Dからバリ除去位置Yへ移動させた後、ダイ21を傾けてバリBを除去し、その後、バリ除去位置Yから載置位置Xへ移動させる。
【0040】
次に、本実施形態に係る鍛造製品製造システム100によって製品を製造する手順を説明する。なお、バリせん断システムSは、図1に示すように、初期状態において、ダイ21が載置位置Xに配置されると共に、パンチ23がパンチ待機位置P1に配置された状態になっている。
【0041】
先ず、オペレータHが、鍛造装置10によってバリ付のワークWを形成する。具体的には、オペレータHは、下型11aの上面に材料を載置した後、上型11bを降下させて下型11aに載置された材料に押し付ける。これにより、下型11a及び上型11bの間に挟まれた材料が、バリ付のワークWに成形される。
【0042】
次に、オペレータHは、図1に示すように、鍛造装置10の取出位置αに立ってワークWを取り出し、当該取出位置αから移動することなくワークWを載置位置Xに配置されたダイ21の載置面21sに載置する。ここで、オペレータHは、目視にてワークWの製品となる部分をダイ21の貫通孔21hに嵌め込むことにより、ダイ21に対してワークWを載置する。この後、オペレータHは、開始ボタンを押してワーク供給開始信号を送信する。
【0043】
次に、ワーク供給制御部C1は、ワーク供給開始信号を受け付けると、図3(a)に示すように、ワーク供給装置30の移動機構31を制御し、ダイ21を載置位置Xからダイ待機位置Dへと移動させる。この後、ワーク供給制御部C1は、ワーク供給完了信号を送信する。
【0044】
次に、せん断制御部C2は、ワーク供給完了信号を受け付けると、図3(b)に示すように、せん断装置20のせん断機構Tを制御し、ダイ21に載置されたワークWからバリBをせん断する。具体的には、せん断制御部C2は、パンチ23をパンチ待機位置P1からせん断位置P2へ移動させることにより、パンチ23とダイ21との嵌合によってワークWからバリBをせん断する。その後、せん断制御部C2は、パンチ23をせん断位置P2からパンチ待機位P1へ移動させ、バリせん断完了信号を送信する。
【0045】
なお、ワークWは、せん断加工されると、バリBがダイ21の載置面21sに載置されたままの状態となり、製品となる部分がダイ21の貫通孔21hを介して収容凹部25に収容されるようになっている。
【0046】
次に、バリ除去制御部C3は、バリせん断完了信号を受け付けると、ワーク供給装置30の移動機構31を制御し、ダイ21をダイ待機位置Dからバリ除去位置Yへ移動させた後、ダイ21を傾けることにより、せん断加工後にダイ21に残存したバリBを落下させてダストボックス(図示せず)に投入する。その後、バリ除去制御部C3は、ワーク供給装置30の移動機構31を制御し、ダイ21をバリ除去位置Yから載置位置Xへ移動させる。これにより、バリせん断システムSは、初期状態へ戻る。
【0047】
このような構成によれば、載置位置XをオペレータHが成形型11で形成されたワークWを取り出す取出位置αから移動することなく、当該取出位置αで取り出したワークWを載置できる範囲に設定しておくことにより、ワーク供給装置30によってダイ21を鍛造装置10の取出位置αにいるオペレータHの近くまで移動させることができる。これにより、オペレータHは、取出位置αから離れることなく当該ワークWをダイ21にセットできるようになる。よって、オペレータHは、鍛造装置10の近くにいながら当該鍛造装置10と離間して設置されたせん断装置20にワークWを供給できるようになり、製造効率を低下させることなく、成形製品製造システムを一人で稼働できるようになる。
【0048】
<その他の実施形態> 前記第1の実施形態においては、鍛造で形成されたワークWを例示したが、ワークWは、鍛造で形成されたものに限定されない。例えば、板金プレスや摩擦溶接等の成形装置で形成されたワークWからバリBをせん断する場合にも用いることができる。
【0049】
また、例えば、ワーク供給装置30が、ダイ21の位置や形状を検知するセンサをさらに備えるものであってもよい。この場合、ワーク供給装置30は、センサの検知信号に基づきダイ21を載置位置X、ダイ待機位置D、バリ除去位置Yに移動させるように構成することにより、各位置に対する位置決めの精度が向上する。また、ダイ21が、ワークWの熱によって熱膨張し、枠体に嵌らなくなった場合であっても、センサの検知信号に基づき、ダイ21をパンチに対して位置決めできる。なお、センサとしては、例えば、光電センサを用いることができる。
【0050】
また、前記第1の実施形態においては、ワーク供給装置30が、ダイ21を載置位置X、ダイ待機位置D、バリ除去位置Yの間で移動するように構成されている。しかし、ワーク供給装置30は、ダイ21を載置位置Xとダイ待機位置Dとの間で移動するように構成してもよい。この場合、せん断装置20として、ダイ待機位置Dに載置されたせん断加工後のダイ21から残存するバリBを除去するバリ除去機構を備えるものを用いればよい。
【0051】
また、前記第1の実施形態においては、せん断装置20が、ダイ21をダイ待機位置Dから移動させることなく、パンチ23をパンチ待機位置P1からせん断位置P2へ移動させる構成としたが、これに限定されない。例えば、せん断装置20が、パンチ23を移動させることなく、ダイ21をダイ待機位置Dからせん断位置へ移動させる構成としてもよく、また、ダイ21及びパンチ23を待機位置からせん断位置へ移動させる構成としてもよい。
【0052】
また、せん断装置20が、収容凹部から製品となる部分を外部へ搬出する搬出機構を有するものであってもよい。例えば、搬出機構は、収容凹部と、収容凹部から延びる滑走部と、滑走部の終端から落下する製品となる部分を受けるコンベアと、を備えるものである。
【0053】
また、鍛造装置10は、上型11a及び下型11bの対向面12に、成形面13の周囲に材料をバリ形状に成形するための第2の成形面を形成してもよい。この場合、上型11bは、下型11aと対向面12を密着し、当該下型11aに載置された材料を押圧する。そして、下型11aと上型11bとの間に挟まれた材料は、成形面13に挟まれた部分が製品形状に成形されると共に、第2の成形面に挟まれた部分が扁平状のバリBに成形される。
【0054】
その他、本発明は前記各実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0055】
100 鍛造製品製造システム
10 鍛造装置
11 成形型
H オペレータ
α 取出位置
TS バリせん断システム
20 せん断装置
21 ダイ
22 支持台
33 パンチ
T せん断機構
D ダイ待機位置
P1 パンチ待機位置
P2 せん断位置
30 ワーク供給装置
31 移動機構
X 載置位置
Y バリ除去位置
C 制御部

図1
図2
図3
図4
図5