(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】貝表面の付着物を除去及び分離する貝表面掃除選別装置
(51)【国際特許分類】
A01K 61/54 20170101AFI20240325BHJP
【FI】
A01K61/54
(21)【出願番号】P 2020147226
(22)【出願日】2020-09-02
【審査請求日】2023-06-19
(73)【特許権者】
【識別番号】300021002
【氏名又は名称】株式会社森機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000316
【氏名又は名称】弁理士法人ピー・エス・ディ
(72)【発明者】
【氏名】森 光典
【審査官】磯田 真美
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-329083(JP,A)
【文献】実開昭56-154891(JP,U)
【文献】実開昭58-111027(JP,U)
【文献】登録実用新案第3003617(JP,U)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0068402(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第107593864(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 61/00 - 63/10
B08B 1/00 - 1/54
B08B 5/00 - 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貝の表面の付着物を除去し、除去された付着物と貝とを選別する貝表面掃除選別装置であって、
回転する芯体と、該芯体の表面に概ねら旋状に植えられた可撓性の複数のブラシ部材とを有
し、前記複数のブラシ部材の先端全体によって構成される面が円筒形状を有する、ブラシスクリューと、
前記複数のブラシ部材の一部に対向する位置に配置された内表面と、複数の貫通孔とを有し、前記内表面は、前記複数のブラシ部材の前記一部の先端全体によって構成される面の形状に対応する
略U字の横断面形状を有する、選別板と
を備え、
前記ブラシスクリューと前記選別板とは、前記複数のブラシ部材が前記内表面上の貝を前記内表面に押し付ける位置関係で配置されている、
貝表面掃除選別装置。
【請求項2】
前記ブラシスクリューと前記選別板との前記位置関係は、前記複数のブラシ部材の前記先端が前記内表面から離れた状態と前記内表面に接触した状態との間で調整可能である、請求項1に記載の貝表面掃除選別装置。
【請求項3】
前記選別板は、可撓性の板状体を曲げて形成されたものである、請求項1又は請求項2に記載の貝表面掃除選別装置。
【請求項4】
前記選別板を前記複数の貫通孔の大きさが異なる別の選別板に交換可能である、請求項1から請求項
3までのいずれか1項に記載の貝表面掃除選別装置。
【請求項5】
前記ブラシスクリュー及び前記選別板の上方に散水部をさらに備える、請求項1から請求項
4までのいずれか一項に記載の貝表面掃除選別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貝の表面に付着した付着物を除去するとともに、除去された付着物を貝から分離することができる貝表面掃除選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
養殖貝の殻の表面には、その養殖過程において様々な異物が付着する。養殖貝の付着物として、例えば、泥汚れ、昆布やわかめなどの海藻類、カサネカンザやシフジツボなどの生物が挙げられる。これらの付着物は、養殖貝の成長阻害や商品価値低下を防止するために、定期的に除去する必要がある。
【0003】
ホタテ貝の養殖においては、成長の過程で大きさごとの選別と貝表面の付着物の掃除や洗浄とを繰り返す。付着物の掃除や洗浄は、ホタテ貝が成長して掃除や洗浄に耐え得る程度に貝殻が丈夫になった段階(通常、7cm~8cmより大きいサイズ)で行われることが前提となっている。出願人は、このような成長段階における付着物の掃除や洗浄を行うための装置として、特許文献1や特許文献2に記載される装置を提案している。また、ホタテ貝に高圧水を当てて、貝表面の掃除や洗浄を行う方法も用いられている。
【0004】
ところで、ホタテ貝の耳吊り養殖においては、耳吊り用の穴をホタテ貝に自動的に穿孔する自動穿孔機が普及している。耳吊り作業が行われるのは3月から6月頃であり、この時期のホタテ貝の大きさは5cmから7cm程度である。耳吊り作業が行われるホタテ貝は、前年の夏頃に採苗され、その年の10月頃には2cmから3cm程度の大きさになる。従来はこの程度の大きさのホタテ貝には、カサネカンザシやシフジツボなどの付着物が少なく、掃除を行う必要がなかった。ところが、近年、耳吊り作業前における生物の付着状況から、2cmから3cm程度の大きさになったときのホタテ貝に生物が付着するようになっていることが推測されている。付着物は、付着したときには肉眼でようやく確認できる程度であるが、耳吊り作業を行う時期には、ホタテ貝を自動穿孔機に投入できない大きさまで成長する。成長したカサネカンザシやフジツボは、貝の表面に強固に付着しており、除去することは容易ではない。
【0005】
漁業者は、耳吊りの前に、付着物を小型の鉈や小刀を用いて手作業で削り落とす作業を行っているが、耳吊りを必要とするホタテ貝の数が数百万枚にもおよぶ漁業者もおり、極めて労力を要する作業となっている。特許文献1や特許文献2に提案される装置や高圧水による方法を用いて貝表面の付着物の掃除や洗浄を行うことも考えられるが、これらの装置や方法は、7cm以上の大きさの貝を対象とするものであり、耳吊り作業を行う時期のホタテ貝に使用することは想定されていない。また、小さい貝は、殻が薄く、小さな力が加わっただけでも簡単にひびが入るため、これらの装置又は方法を無理に使用すると、ホタテ貝の殻が破損して商品価値が下落するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-233494号公報
【文献】特開2015-202089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、成長した時点では除去することが困難になるカサネカンザシやフジツボなどの強固な付着物を、貝に付着した後の初期の時点で貝殻に損傷を与えることなく除去し、貝から選別することができる貝表面掃除選別装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、貝の表面の付着物を除去し、除去された付着物と貝とを選別する貝表面掃除選別装置を提供する。貝表面掃除選別装置は、ブラシスクリューと、ブラシスクリューの側面に対向して配置された選別板とを備える。ブラシスクリューは、回転する芯体と、該芯体の表面に概ねら旋状に植えられた可撓性の複数のブラシ部材とを有する。選別板は、複数のブラシ部材の一部に対向する位置に配置された内表面と、複数の貫通孔とを有し、内表面の形状は、複数のブラシ部材の一部の先端全体によって構成される面の形状に対応する。例えば、円柱形状の芯体に植えられた同じ長さの複数のブラシ部材の先端全体によって構成される面の形状は、円筒形状であり、選別板の内表面は、円筒形状の一部に対応する略U字の横断面形状を有するものとすることができる。ブラシスクリューと選別板とは、複数のブラシ部材が内表面上の貝に損傷を与えることなく貝を内表面に押し付ける位置関係で配置されている。
【0009】
一実施形態において、ブラシスクリューと選別板との位置関係は、複数のブラシ部材の先端が内表面から離れた状態と内表面に接触した状態との間で調整可能であることが好ましい。
【0010】
一実施形態において、選別板は可撓性の板状体を曲げて形成されたものであることが好ましい。一実施形態においては、選別板を複数の貫通孔の大きさが異なる別の選別板に交換可能である。
【0011】
一実施形態において、貝表面掃除選別装置は、ブラシスクリュー及び選別板の上方に散水部をさらに備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、殻が弱く柔らかな時期に貝に付着して、殻を共有しながら成長し、大きくなると剥離が困難になるカサネカンザシやフジツボなどの付着物を、付着の初期段階で除去し、貝と分離することができる。付着物の除去及び分離は連続的に行うことができるため、大量の貝の処理が可能である。また、選別板を簡単に交換することができるため、付着物及び貝の大きさに合わせた作業が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態による貝表面掃除選別装置の全体構成を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態による貝表面掃除選別装置の分解組立図である。
【
図3】本発明の一実施形態による貝表面掃除選別装置の動作及び作用を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下において、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態による貝表面掃除選別装置1の全体構成を示す斜視図である。
図2は、本発明の一実施形態による貝表面掃除選別装置1の分解組立図である。貝表面掃除選別装置1は、小さいサイズのホタテ貝の殻に付着した付着物を、殻に損傷を与えることなく殻の表面から除去するとともに、除去された付着物とホタテ貝とを選別することを可能にする装置である。
【0015】
[貝表面掃除選別装置の構成]
貝表面掃除選別装置1(以下、装置1という)は、フレーム10と、フレーム10の内空間に配置される、略U字の横断面形状を有する選別板20と、選別板20のU字形状の内側に配置されるブラシスクリュー30とを備える。フレーム10の一方の端部には駆動部40が配置されており、ブラシスクリュー30は、駆動部40からの駆動力によって回転する。駆動部40の上には、選別板20のU字形状の内側に投入されるホタテ貝を保持する貝投入ホッパ50が配置され、フレーム10の他方の端部には、付着物が除去されたホタテ貝の出口に貝出口スライダ60が配置される。フレーム10の上部には、選別板20のU字形状の内側に向けて水を放出する散水パイプ70が配置される。
【0016】
フレーム10は、平行な2本の上部桁11と、上部桁11の長さ方向に間隔を開けて配置された2本の選別板受け肋骨12とを有する。2本の選別板受け肋骨12は、略U字形状に成形されており、それぞれの一端が一方の上部桁11の下面に接続され、それぞれの他端が他方の上部桁11の下面に接続される。選別板受け肋骨12の内側に選別板20が載るようになっている。選別板受け肋骨12の数は、2本に限定されるものではなく、装置1の稼働時における選別板20の荷重を適切に受けることができる本数であればよい。
【0017】
2本の選別板受け肋骨12の各々には、そのU字形状の最も内側の位置に、周方向に間隔を開けて3つの孔が形成されており、その孔の各々には、選別板ガイド13が挿通される。3本の選別板ガイド13は、後述されるように選別板20を装置に挿入する際に選別板20を案内する。選別板受け肋骨12の各々に設けられる孔の数及び選別板ガイド13の数は、本実施形態の数に限定されるものではなく、選別板20の挿入時における案内に支障がなければ、3つより少なくても多くてもよい。フレーム10の上部桁11の各々には、下向きコの字型に形成された選別板押さえ具14が、上部桁11を覆うように複数のボルト14aによって取り付けられる。
【0018】
上部桁11の貝出口スライダ60側の端部には、前面板15が設けられ、前面板15の最上部に、上部桁11と直交する方向の横桁16が設けられる。横桁16には、ブラシスクリュー30を支持するための軸支持板17が取り付けられている。軸支持板17は、ブラシスクリュー30の軸32aが挿通される軸孔17aを有する。軸支持板17は、例えば横桁16との接続部分に長孔17bを設けておき、長孔17bにボルト(図示せず)を通して横桁16と接続することによって、軸孔17aの位置を上下に移動させることができるように構成されることが好ましい。横桁16にはさらに、散水パイプ70の取付板18が設けられる。フレーム10は、上部桁11及び前面板15を支持する4本の脚19を有する。
【0019】
選別板受け肋骨12のU字形状の内側に、選別板20が配置される。選別板20は、上辺22から下方の一定範囲が上部桁11の側面と選別板押さえ具14の内面との間に挟まるように配置され、選別板受け肋骨12の内側に配置された状態では選別板受け肋骨12のU字形状に沿った形状となっている。選別板20は、予めU字形状に成形されたものとすることも、可撓性の平面板状体をU字形状に曲げて選別板受け肋骨12の内側に配置されるようにすることもできる。選別板20は、樹脂板(例えば、ポリ塩化ビニル樹脂板、ポリエチレン樹脂板など)、金属板(例えば、ステンレス板、銅板、亜鉛メッキ鋼板など)、樹脂又は金属の網状体などを、ホタテ貝に損傷を与えることなく適度な圧力を加えることが可能となるものであれば適宜用いることができるが、薄くて柔軟性のあるものであることがより好ましい。
【0020】
選別板20は、その内表面20aと外表面20bとを貫通するように形成された複数の貫通孔21を有する。形成された貫通孔21は、貝の表面から除去される付着物より大きく、付着物を除去するホタテ貝より小さいものであり、貫通孔21の形状は、特に限定されるものではなく、円形、四角形、ひし形などとすることができる。付着物及びホタテ貝の様々なサイズに対応することができるように、貫通孔21の大きさが異なる選別板20を複数枚、準備し、必要に応じて交換しながら使用することができる。
【0021】
U字形状の選別板20の内部には、ブラシスクリュー30が配置される。ブラシスクリュー30は、円柱形状の芯体31と、芯体31に植えられた複数のブラシ部材33とを備える。複数のブラシ部材33の各々は、芯体31の表面にら旋状に形成された複数のブラシ部材穴31aの各々に、芯体31の表面から離れる方向に概ね同じ長さで延びるように植えられている。したがって、複数のブラシ部材33は、全体として概ねら旋(スクリュー)形状を形成するとともに、複数のブラシ部材33の先端33a全体によって構成される面が、概ね円筒形状を形成する。芯体31は、ブラシスクリュー30をフレーム10に支持させるための軸32aを一方の端部に有し、駆動部40の回転軸43に連結される軸32bを他方の端部に有する。
【0022】
複数のブラシ部材33の各々は、直径1mm程度の樹脂糸を複数本まとめることによって構成されたものであることが好ましい。樹脂糸は、例えば、ナイロン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステルなどを材料とする樹脂糸を適宜用いることができ、またこれらに限定されるものではない。複数のブラシ部材33の各々の太さ(すなわち、複数本の樹脂糸をまとめた外径)は、装置1では、芯体31の植えられた根本の太さが約7mmであるが、これに限定されるものではない。複数のブラシ部材33の各々の長さは、ブラシ部材33の先端33aが選別板20の内表面20aに接触する程度であることが好ましいが、これに限定されるものではない。ブラシ部材33の材質、太さ及び長さは、後述されるようにブラシ部材33がホタテ貝に与える必要な押付力の大きさに応じて、最適な条件となるように選択される。
【0023】
フレーム10には、前面板15とは反対側の端部に駆動部40が取り付けられる。駆動部40は、モータ41と、モータ41の回転力を伝達する伝達部材42と、連結されたブラシスクリュー30の軸32bを回転させる回転軸43とを備える。回転軸43は、ブラシスクリュー30の軸32bに連結される。
【0024】
駆動部40の上には、選別板20の内側に投入されるホタテ貝を保持する貝投入ホッパ50が配置されることが好ましい。貝投入ホッパ50は、壁で囲まれた貝保持部51と、投入されるホタテ貝の出口52とを有する。フレーム10の他方の端部には、付着物が除去されたホタテ貝の出口に貝出口スライダ60が配置される。
【0025】
装置1は、散水パイプ70を備えることが好ましい。散水パイプ70は、横桁16に設けられた散水パイプ取付板18に取り付けられる。散水パイプ70には側面に複数の散水口71が設けられており、一方の端部の給水口72から供給された水又は海水が、複数の散水口71から選別板20の内側に向けて放出される。放出された水又は海水は、ホタテ貝から除去された付着物を選別板20の貫通孔21から下方に流出させる。
【0026】
[貝表面掃除選別の方法]
次に、装置1を用いて貝の表面の付着物を除去し、除去された付着物と貝とを選別する方法を説明する。
図3は、装置1の動作及び作用を説明するための模式図である。
付着物Fが付着したホタテ貝S1は、貝投入ホッパ50に供給され、貝投入ホッパ50から選別板20の内側に投入される(
図3(a))。投入されたホタテ貝S1は、選別板20の内表面20aに落下し、回転するブラシスクリュー30のら旋状に植えられた複数のブラシ部材33に押されることによって、徐々に貝出口スライダ60の方向に移動する(
図3(b))。
【0027】
選別板20の内表面20a上を移動するホタテ貝S2は、移動中に、ブラシ部材33と選別板20の内表面20aとの間に挟まれ、ブラシ部材33によって適度な圧力で選別板20に押し付けられる。このように押し付けられ、表裏の反転を繰り返しながら出口方向に移動することによって、ホタテ貝S2と、選別板20、貫通孔21、ブラシ部材33及び/又は他のホタテ貝S2との間の摩擦の効果で、付着した付着物Fがホタテ貝S2の殻から剥離される(
図3(b))、
図3(c))。
【0028】
ブラシスクリュー30のブラシ部材33と選別板20の内表面20aとの位置関係は、ホタテ貝S2に損傷を与えることなくブラシ部材33がホタテ貝S2を適度な押圧力で内表面20aに押し付けるように、定められている。具体的には、ブラシ部材33と内表面20aとの位置関係は、複数のブラシの先端33aが、内表面20aからわずかに離れて位置するか又は内表面20aに接触するように定められることが好ましい。ブラシ部材33の先端33aが内表面20aからわずかに離れて位置する場合、先端33aと内表面20aとの間にわずかな隙間があり、その隙間の大きさは、付着物Fを除去する対象であるホタテ貝S2の厚みより小さいことが好ましい。また、先端33aが内表面20aに接するというのは、先端33aと内表面20aとの間に隙間がないか、又はブラシ部材33がわずかに屈曲した状態で内表面20aに接触する場合も含む。なお、ブラシ部材33と選別板20の内表面20aとの位置関係は、ブラシ部材33の長さを適切なものにすることに加えて、ブラシスクリュー30を支持する軸支持板17の位置を上下に移動させることによっても、調整可能である。
【0029】
ブラシ部材33の先端33aと選別板20の内表面20aとの位置関係をこのように調整するとともに、選別板20の材質及びブラシ部材33の材質・太さを適切に選択することによって、ブラシ部材33と内表面20aとの間に挟まれたホタテ貝S2が、適度な押圧力で選別板20に押し付けられ、ホタテ貝S2に損傷を与えることなく付着物Fを効果的に除去することができる。
【0030】
ホタテ貝S2から除去された付着物Fは、散水パイプ70からの水又は海水によって流され、選別板20の貫通孔21から落下する。貫通孔21より大きいホタテ貝S2は、回転するブラシスクリュー30によって押されながら選別板20の端部まで移動した後、付着物Fが除去されたホタテ貝S3として、貝出口スライダ60を経由して排出される(
図3(c))。
【0031】
選別板20の交換は、以下のように行うことができる。まず、ボルト14aを緩めて選別板押さえ具14を浮かせる。それにより、上部桁11と選別板押さえ具14との間に挟まっている上辺22部分を動かすことができるようになるため、選別板20を、貝出口スライダ60の方向に引き出す。次に、別の選別板20を必要に応じてU字状に曲げ、選別板ガイド13に沿って貝投入ホッパ50の方向に挿入する。このとき、上辺22部分も、上部桁11と選別板押さえ具14との間に入れて挿入する。選別板20が所定の位置まで挿入されたら、ボルト14aを締めて選別板20を固定する。選別板20は、選別板受け肋骨12及び選別板ガイド13とブラシスクリュー30との間を移動するため、交換時にはブラシスクリュー30の取り外しや位置の調整が不要である。
【符号の説明】
【0032】
1 貝表面掃除選別装置
10 フレーム
11 上部桁
12 選別板受け肋骨
13 選別板ガイド
14 選別板押え具
14a ボルト
15 前面板
16 横桁
17 軸支持板
17a 軸孔
18 散水パイプ取付板
19 脚
20 選別板
20a 内表面
20b 外表面
21 貫通孔
22 上辺
30 ブラシスクリュー
31 芯体
31a ブラシ部材穴
32a、32b 軸
33 ブラシ部材
33a 先端
40 駆動部
41 モータ
42 伝達部材
43 回転軸
50 貝投入ホッパ
51 貝保持部
52 貝出口
60 貝出口スライダ
70 散水パイプ
71 散水口
72 給水口
S1、S2、S3 ホタテ貝
F 付着物