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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】可搬型浄水製造装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 35/02 20060101AFI20240325BHJP
   B01D 29/50 20060101ALI20240325BHJP
   B01D 39/20 20060101ALI20240325BHJP
【FI】
B01D35/02 K
B01D29/24 C
B01D39/20 D
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020551107
(86)(22)【出願日】2019-10-04
(86)【国際出願番号】 JP2019039277
(87)【国際公開番号】W WO2020071531
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-07-22
(31)【優先権主張番号】P 2018188974
(32)【優先日】2018-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】599044456
【氏名又は名称】萩ガラス工房有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090985
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100093506
【弁理士】
【氏名又は名称】小野寺 洋二
(74)【代理人】
【識別番号】100206302
【弁理士】
【氏名又は名称】落志 雅美
(72)【発明者】
【氏名】藤田 洪太郎
【審査官】本間 友孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-087534(JP,A)
【文献】特開平11-244847(JP,A)
【文献】登録実用新案第3045234(JP,U)
【文献】特開平07-241445(JP,A)
【文献】特開平11-093265(JP,A)
【文献】特開2002-128072(JP,A)
【文献】特開2018-118711(JP,A)
【文献】特開2004-089800(JP,A)
【文献】特開平08-290043(JP,A)
【文献】特開2012-030194(JP,A)
【文献】特開2015-223547(JP,A)
【文献】登録実用新案第3215590(JP,U)
【文献】特開2014-073460(JP,A)
【文献】特開2017-113735(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 23/00-35/04、35/08-37/08
C02F 1/00、 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
濾過材の交換を不要とした人力駆動の可搬型浄水製造装置であって、
複数の支柱の両端に固定された底板と天板を有し、前記底板と前記天板の間に濾過材を形成する複数の濾過エレメントを設置してユニット化した濾過部本体を有し
前記濾過エレメントは、端部を支持具で支持した多数本のセラミック中空細管からなるセラミック中空細管集合体の両端部に、前記セラミック中空細管集合体を構成するセラミック中空細管よりも高い水密性を備えた固定材を備え、前記セラミック中空細管集合体の端面における前記セラミック中空細管の外縁同士で形成される中空の隙間を前記固定材で封止してなり、かつ、前記濾過エレメントは、複数のセラミック中空細管を断面が三角形状に形成された6個のセラミック中空細管集合体を三角形の各2面同士を貼り合わせた6角柱としたフィルター集合体であり、
前記濾過エレメントは、前記支持具により端部を支持された前記セラミック中空細管集合体と、前記フィルター集合体を収容する容器とで構成され、
保管時には前記濾過部本体を浄水作業補助部品と共に収納し、使用時には前記濾過部本体の載置板となる蓋体を有した単一箱体として複数個を安定して積み重ね可能とした筐体で構成され、
前記筐体は、前記濾過部本体と前記浄水作業補助部品を収納するものであり、
前記蓋体は、保管時には前記筐体内に収納されている前記濾過部本体と前記浄水作業補助部品の収納状態を当該筐体を開放することなく目視点検可能で、使用時には前記濾過部本体を前記筐体から取り出して載置することで、前記濾過部本体を地上から離して衛生面と操作の利便性を確保すると共に、前記濾過部本体の重量に耐える透明な板体から成り、
前記筐体の対向する外縁部に、搬送時と濾過部本体の取り出し時の便に供する手持ち部材を設けてなることを特徴とする可搬型浄水製造装置。
【請求項2】
記浄水作業補助部品は、人力ポンプ、ストレーナ及び通水路を形成するためのホース群であることを特徴とする請求項1に記載の可搬型浄水製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型浄水器に係り、特に移動・運搬及び取り扱いが容易で保管安全性が高く、かつ濾過材の交換を不要とした人力駆動の可搬型浄水製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ポンプ駆動のためのエネルギー確保ができない被災地、あるいは野外などの電源確保が不可能な状況でのクリーンな飲料水の確保は、生存のための最重要な事項である。
近年は、災害時に水や電力を確保するために、防災拠点となる施設に食料や発電機、浄水装置などの防災機器を備蓄しておき、災害時にそこから防災機器を持ち出して被災地区に搬送するようにしている。
【0003】
浄水の需要地となる場所では、電力が喪失して電気駆動の浄水器が使用できない場合が多い。さらに、防災拠点から浄水需要地に浄水装置を運搬しても、その稼働(運転)にはある程度の経験や知識が求められる。また、特許文献1や特許文献2に開示されたような、人力駆動で可搬型の浄水器も提案されている。
【0004】
被災者に浄水を提供することは災害対策の最も重要な事項である。
しかしながら、既存の浄水装置はサイズ、重量共に簡単に搬送することが困難なものが多く、その操作も簡単なものだけではない。
特許文献1は、足踏み式のダイヤフラムポンプで汲み上げた源水を活性炭フィルターとUF膜フィルターで浄化する携帯浄水器を開示する。また、特許文献1には、「フィルターの出水側から純水を注入することで逆洗浄することができる」との記載がある。
【0005】
特許文献2は、自転車の荷台に設置し、そのペダルの回転でポンプを回転して源水を汲み上げ、濾過ユニット(濾過エレメント:フィルター)で浄水とする移動式造水機を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実用新案登録第3120876号公報
【文献】特開2008-86934号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の浄水製造装置は、概して大型で重量が大きく、人ひとりでは扱いが困難なものがあり、簡単に搬送して一般人でも稼働させることができるものは希である。
小型で可搬型浄水装置とされる機器もあるが、浄水需要のある設置位置までの搬送は容易であるとしても、平時における防災拠点での保管の容易性、効率のよい保管スペースの利用に関しては、改良の余地がある。
本発明の目的は、小型・軽量で、多数個の積み重ね保管ができ、災害発生時には、浄水を必要とする場所まで容易に搬送できると共に、濾過材の交換を不要とした可搬型浄水製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本願に係る第1の発明は、下記(1)乃至(4)に記載した構成としたことを特徴とする。すなわち、本発明は、保管安全性が高く、小型・軽量で、かつ濾過材(濾過エレメント)の交換を不要とした人力駆動の可搬型浄水製造装置であって、その代表的構成を対応する実施例の構成に付した符号と共に記載する。
【0009】
(1)複数の支柱64の両端に固定された底板62と天板63を有し、前記底板62と前記天板63の間に濾過材を形成する複数の濾過エレメント10、20を設置した濾過部本体60と、
保管時には、前記濾過部本体60を浄水作業補助部品と共に収納し、使用時には前記濾過部本体60を運転する際の載置板(土台)となる蓋体53を有する筐体50で構成した。
濾過部本体60を構成する支柱は木材でもよいが、アルミ合金製が好適である。また、底板62と天板63も木材、強化ガラス板、強化プラスチック板、金属板やこれらの複合板の何れかでよいが、筐体50への出し入れ時に破損し難い強度の材料で形成する。
筐体50は、木材あるいはガラス繊維や樹脂繊維などを補強材として添加した強化プラスチック、もしくはアルミ合金等の軽量金属、これら材料の複合板等の構造材で形成される。この筐体50自体は必ずしも透明である必要はないが筐体の側面からも内容物が視認できる方が好適である。そして、濾過部本体60を収納した状態で人ひとりでも持ち上げられる程度の重量と強度を持たせる。
【0010】
(2)前記浄水作業補助部品は、人力ポンプ31、ストレーナ32及びこれらを接続して通水路を形成するためのホース群45である。人力ポンプ31は足踏みポンプや手動ポンプで、電力の供給あるいは内燃機関による駆動を要しないポンプである。このような人力ポンプには、一般人などの比較的小さな力でも運転できる所謂ダイヤフラムポンプを用いるのが好ましい。
【0011】
(3)前記蓋体53は強化ガラスあるいは透明繊維等を加えた上記と同様の強化プラスチック厚板等の透明板で構成され、保管時に前記筐体50に収納されている前記濾過部本体60と前記浄水作業補助部品の収納状態を目視可能とし、かつ使用時の前記濾過部本体60の重量に耐えうる部材とした。
【0012】
(4)前記筐体50の対向する外縁部あるいは外面の任意位置に、搬送の便に供する手持ち部材52を設けた。この手持ち部材52は当該筐体50の平行する各上辺に設けるのが好ましく、前記濾過部本体60を収納した状態で一人が両手で、あるいは左右各一人により容易に持ち上げて所要の場所に移動を可能とした。手持ち部材52は図示した形状の、所謂把手に限らず、蓋体53近傍に設けた穴に通した紐状体、搬送時に取り付ける鈎状部材、等が含まれる。
【0013】
また、本願に係る第2の発明は、下記(5)乃至(10)に記載した構成としたもので、上記第1の発明と同様に、安全性が高く、小型・軽量で、かつ濾過材の交換を不要とした人力駆動の可搬型浄水製造装置であって、その代表的構成を対応する実施例の構成に付した符号と共に記載する。具体的な手段、細部については前記第1の発明と大方で共通する。
【0014】
(5)複数の支柱の両端に固定された底板62と天板63を有し、前記底板と前記天板の間に濾過材を形成する複数の濾過エレメント10,20を設置した濾過部本体60と、
前記濾過部本体60を収納する下部筐体70aと、前記下部筐体70aに分離可能に積層固定して浄水作業補助部品31,32を収納する上部筐体70bと、前記下部筐体70aの側壁の一部に固定した引き回し用の伸縮ハンドル75と、前記下部筐体70aの底部に取り付けた複数のホイール74とからなる筐体70と、で構成した。
【0015】
(6)前記浄水作業補助部品は、人力ポンプ31とストレーナ32及び通水路を形成するためのホース群45(41,42,43,44)である。
【0016】
(7)前記筐体70を構成する前記下部筐体70aと前記上部筐体70bの各側壁の一部又は全部が透明であり、保管時に前記筐体に収納された前記濾過部本体60と前記浄水作業補助部品31、32の収納状態を目視可能とした。この場合、筐体の構成材にABS樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレン等の透明硬質樹脂を用いると内部の収納状態を容易に視認可能となる。ABS樹脂は適宜のメッキができ、適宜面積の窓部分を残して不透明な筐体とすることもできる。
なお、アルミ合金やステンレスを用いた場合には、内部視認用の適宜の窓77,78を取り付ければよいが、強度を高めるために窓を取り付けなくてもよい。
【0017】
(8)前記下部筐体70aの底部に取り付けるホイール74に代えてキャスターを取り付けることができる。
【0018】
(9)前記濾過部本体60の天板63の対向縁に一対の本体把手54を設けた。この本体把手54を持って筐体からの出し入れを容易に行うことができる。
【0019】
(10)前記濾過部本体60の前記底板62に、前記伸縮ハンドル75に固定・解放可能とする本体ロック79を具備した。この本体ロック79は、例えば当該底板62の面に沿って回動軸により旋回可能に取り付けたフック状アームであり、前記底板62の面上で回動して前記伸縮ハンドル75の外周を包囲して係止し、蝶ネジなどで固定できるように構成されている。
【0020】
また、本発明は、下記に記載する濾過エレメント配置とそれらの使用方法にも特徴を有する。
すなわち、本発明を構成する濾過エレメントは複数であり、その一部又は半数を浄水動作とし、他の一部又は他の半数を逆洗浄対象とすることで、濾過エレメントの交換を不要とする。これにより、災害地や僻地などの濾過部品調達が困難な場所での使用に好適である。
【0021】
(11)前記濾過エレメントはN個(N≧2の整数)であり、その1又はM個(0<M≦N-1の整数)の稼働と休止を設定可能とする複数のバルブ(N=2の場合は、バルブ11~13、21~23、40)を備えた。後述の実施例では、解り易いようにするため、Nを2、Mを1とした。
【0022】
以下は本発明の浄水・逆洗浄部分の構成例で、上記第1の発明と第2の発明に共通する。上記と同様に、実施例に用いた符号を付して記述する。
【0023】
(12)前記複数の濾過エレメントの間の流水方向を前記複数のバルブにより相互逆向きに切換えて、浄水製造のために稼働状態にある濾過エレメントで製造した浄水で浄水動作を休止している濾過エレメントの逆洗浄を行う。
【0024】
(13)前記複数の開閉バルブを逆洗浄モードに切換える目安を確認するための圧力計33を前記人力ポンプ31の後段の通水路に設置した。
【0025】
前記濾過エレメントは、支持具により端部を支持された多数本のセラミック中空細管からなるフィルター集合体と、当該フィルター集合体を収容する中空容器とで構成した。
【0026】
なお、本発明は、上記の構成に限らず、本発明の特許請求の範囲に記載された技術思想の範囲内で種々の変形が可能である。
【発明の効果】
【0027】
上記第1の発明によれば、複数の支柱64の両端に固定された底板62と天板63の間に濾過材を構成する複数の濾過エレメント10、20を設置して濾過部本体60をユニット化する。この濾過部本体60を浄水作業補助部品(人力ポンプ、ストレーナ、ホース群)と共に蓋体53付きの筐体50に収納することで、外形が単一の箱体となる。これにより、保管時には複数の装置を安定して積み重ねることができ、取り扱いの安全性と保管スペースの効率が向上する。
【0028】
保管時における蓋体53を、前記濾過部本体60の使用時の載置部材(載置台)とすることで、浄水製造装置の操作利便性と衛生面を確保できる。蓋体53は筐体50の天面(開放端)開口の内辺に設けた適宜の段差(図示せず)と後述する載置保持部材61とで当該開口を封止する。
浄水製造装置の使用時には筐体50から蓋体53を取り外し、内部に収納されていた濾過部本体60を取り出した後、筐体50の解放部(天面)に蓋体53を被せ、その上に濾過部本体60を載置することで操作性のよい、かつ衛生的な浄水製造装置を提供できる。
【0029】
強化ガラスあるいは強化プラスチックの厚板等の濾過部本体60の重量に耐える透明板で構成した蓋体53は、浄水製造装置の保管時及び搬出時に筐体50に収納されている濾過部本体60と浄水作業補助部品の収納状態が目視点検可能となる。平時における点検時の利便性の向上にも供することができる。
【0030】
筐体50の対向する外縁部に設けた手持ち部材52は、搬送や本体取出しの際の利便性を提供する。この手持ち部材52は、所謂把手に限らず、前記したように蓋体53近傍に設けた穴に通した紐状体、搬送時に取り付ける鈎状部材、等を採用できる。
手持ち部材52は筐体50の平行する各上辺に設けるのを好適とするが、濾過部本体60を収納した状態でのバランスを考慮し、形状を変更し、あるいは筐体50の他の部分に設置することもできる。さらに筐体50の壁面に開口あるいは凹部を形成してもよい。
【0031】
濾過部本体に備えた複数の開閉バルブ11,12,21,22は、濾過エレメントを2個とした場合に、(1)浄水モード時は一方又は必要に応じて他方の濾過エレメント10、20での浄水動作に切換える。(2)洗浄モード(逆洗浄モード)時には、濾過エレメント10、20の間の通水路の流水方向を相互逆向きに切換えて、一方の濾過エレメント(例えば、濾過エレメント10)で製造した浄水で他方の濾過エレメント(例えば、濾過エレメント20)の逆洗浄を行う逆洗浄モードに切換える。
なお、通常(浄水モード時)は一方の濾過エレメントが稼働中は他方を休止させるような使い方をするが双方を同時に稼働させることもできる。
【0032】
複数の濾過エレメントを設置して、その1又は複数で濾過を行い、浄水不要時には1又は複数の濾過エレメントの濾過によって得られた浄水で他の1又は複数の濾過エレメントの逆洗浄を行う構成としたことで濾過エレメントの交換が不要となる。
洗浄モード(逆洗浄モード)への切り替えの目安は、前記人力ポンプ31の後段の通水路に設置した圧力計33の示度を用いる。この切換の目安は、装置の浄水能力、濾過エレメントの吸入/吐出圧、通水路の水流抵抗など、設計段階で設定する。これらの開閉バルブに操作手順を指示する説明あるいは記号を付して置くことで、一般人でも確実かつ容易に操作できる。
【0033】
また、上記第2の発明によれば、上記第1の発明の効果に加えて、筐体としてトロリーバッグ構造体としたことで、小さな力で容易に牽引移動することができ、女子や子供、あるいは年配者でも簡単に移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の実施例1に係る可搬型浄水製造装置の稼働状態を示す模式図
図2】本発明の実施例1に係る可搬型浄水製造装置の収納状態を示す模式図
図3】本発明の実施例1に係る可搬型浄水製造装置の構成部材と共に示す模式図
図4】本発明の実施例1に係る可搬型浄水製造装置の浄水時のバルブ系統を示す模式図
図5】本発明の実施例1に係る可搬型浄水製造装置の逆洗浄時のバルブ系統を示す模式図
図6】本発明の実施例2に係る可搬型浄水製造装置を収容する筐体の正面俯瞰図
図7】本発明の実施例2に係る可搬型浄水製造装置の筐体を分離した状態を示す模式図
図8】本発明の実施例2に係る可搬型浄水製造装置の筐体への収納状態を示す模式図
図9】本発明の実施例2に係る可搬型浄水製造装置の稼働状態を示す模式図
図10】本発明の実施例2に係る可搬型浄水製造装置の濾過部本体を構成するバルブ周りの構成図
図11】本発明の実施例2に係る可搬型浄水製造装置の第1の濾過エレメント使用時の(a)バルブ開閉状態と(b)水流経路図
図12】本発明の実施例2に係る可搬型浄水製造装置の第2の濾過エレメント使用時の(a)バルブ開閉状態と(b)水流経路図
図13】本発明の実施例2に係る可搬型浄水製造装置の第1の濾過エレメント逆洗浄時の(a)バルブ開閉状態と(b)水流経路図
図14】本発明の実施例2に係る可搬型浄水製造装置の第2の濾過エレメント逆洗浄時の(a)バルブ開閉状態と(b)水流経路図
図15】本発明に係る可搬型浄水製造装置を筐体上に載置し、安定的に稼働させるための固定手段を説明する図で、(a)は筐体上に載置され、固定された状態の要部模式図、(b)は固定操作の様子を示す要部拡大図
図16】本発明に係る可搬型浄水製造装置の濾過エレメントを構成する濾過モジュールを示す斜視図
図17】本発明に係る可搬型浄水製造装置の濾過エレメントの機能を説明する模式図
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態について、実施例の図面を参照して詳細に説明する。以下の実施例では、人力ポンプ31を足踏みポンプ31、手持ち部材を把手52として説明する(説明の便宜上、同符号としてある)。
【実施例1】
【0036】
図1は本発明の実施例1に係る可搬型浄水製造装置の稼働状態を示す模式図であり、図2は本発明に係る可搬型浄水製造装置の収納状態を示す模式図である。
図1図2において、本実施例の可搬型浄水製造装置は、装置全体の保管箱である矩形の筐体50と、不使用時には筐体50に収納される濾過部本体60で主要部が構成される。この濾過部本体60には人力ポンプ31としての足踏みポンプ31、ストレーナ32、ホース群45(41乃至44)が付属する。符号34はペダルを示す。
【0037】
筐体50は、木材あるいは強化プラスチック、もしくはアルミ合金等の軽量金属、これらの複合板等の構造材で形成されるが、本実施例ではアルミ合金で構成した枠体と、天井面以外の面を構成する平板を除いてアルミ合金板で構成した。
底面板には厚手のアルミ合金板を用いた。枠体の下部には固定ギヤー(脚)51を取り付け、側面の対向する上部の外縁部に把手52が取り付けられており、搬送や本体取出しの際に用いる。この把手52は当該筐体50の平行する2つの側面の上辺に設けたが、濾過部本体60を収納した状態でのバランスを考慮し、形状を変更し、あるいは筐体50の他の部分に設置することもできる。
【0038】
筐体50の天井面には取り外し可能な蓋体53が当該天井面を覆うように設置されている。図1では、濾過部本体60の底板62の下に蓋体53が位置している。
この蓋体53の一辺(図1の裏面側)には濾過部本体載置保持部材61が取り付けられている。本実施例では、この濾過部本体載置保持部材61は2個設けてあるが、図には1個のみ示してある。
濾過部本体60の底板62は、この濾過部本体載置保持部材61と筐体50の全面上辺の段差(図示せず)で保持され、濾過部本体60を筐体50の上に載置固定される。
【0039】
濾過部本体60は、複数の支柱64の両端に固定された底板62と天板63の間に濾過材を形成する複数の濾過エレメント10、20を設置して濾過部本体60をユニット化する。
この濾過部本体60を浄水作業補助部品(足踏みポンプ、ストレーナ、ホース群)と共に蓋体付きの筐体50に収納することで、外形が単一の箱体となる。これにより、保管時には複数の装置を積み重ねることで、スペース効率が向上する。
【0040】
保管時には、筐体50の中に濾過部本体60を浄水作業補助部品(足踏みポンプ31、ストレーナ32、ホース群(ホース41乃至44))と共に収納し、蓋体53で蓋をする。
濾過部本体60の使用時には、蓋体53は濾過部本体60の載置台とする。
蓋体53と底板62は、図示しない適宜の係止部材で外れないようにロックされる。
バルブや浄水供給ホース(給水ホース)41の位置を高くして操作利便性が得られ、また濾過部本体60を地上から離すことで、衛生面を確保できる。
【0041】
複数の支柱64の両端に固定された底板62と天板63の間に前記濾過材を形成する第1の濾過エレメント10、第2の濾過エレメント20が設置されている。
天板63の上面には、第1の濾過エレメント10の浄水取出しバルブである出水バルブ(第1の出水バルブ)12、第2の濾過エレメント20の浄水取出しバルブである出水バルブ(第2の出水バルブ)22、及び浄水給水バルブ40が露出して設けられている。
【0042】
底板62と天板63の間で、第1の濾過エレメント10、第2の濾過エレメント20の各下部背面には、第1のドレインバルブ13、第2のドレインバルブ23が取り付けられている。
また、第1の濾過エレメント10、第2の濾過エレメント20の各上部背面には、第1の入水バルブ11(後述する図4図5参照)と第2の入水バルブ21(同じく図4図5参照)が取り付けられている。
第1の入水バルブ11と第2の入水バルブ21の連結部には、圧力計33が取り付けられて、源水の吸い上げ圧力を表示するようになっている。
【0043】
この可搬型浄水製造装置を浄水需要場所に設置し、各ホースの取り付けをした後、源水源であるプール、河川あるいは湖沼に源水ホース42の先端に取り付けたストレーナ32を沈設する。その状態で足踏みポンプを駆動することで源水を濾過エレメントに送り、浄水を給水ホース41から得ることができる。
【0044】
図3は、本発明の実施例1に係る可搬型浄水製造装置の構成部材と共に示す模式図である。
図1図2で説明したように、使用時には、筐体50の蓋体53を取り除いて、先ずはホース群45(41,42,43,44)を取り出す。
次に筐体50から濾過部本体60を引き上げ、先に取り除いて置いた蓋体53を筐体50の開放部に戻す。
この蓋体53の上に図の矢印Aに示したように濾過部本体60を乗せ、図示しない係止部材で底板62を蓋体53に固定する。
【0045】
そして、源水ホース42の一端を足踏みポンプ31の吸込み側につなぎ、足踏みポンプ31の吐出側を図示しない入水バルブの二分岐管14(後述する図4図5参照)に接続する。
図1では、この分岐管14は第1の濾過エレメント10と第2の濾過エレメント20の背面に設置され、源水路がそれぞれの濾過エレメント10の第1の入水バルブ11、濾過エレメント20の入水バルブ21に流入可能とされている。
【0046】
図4は、本発明の実施例に係る可搬型浄水製造装置の浄水時のバルブ系統を示す模式図で、一方の浄水エレメント10で浄水製造を行い、他方の浄水エレメント20は休止させている通常の使用モード時を示している。
ここでは、源水タンク30に貯留した源水をストレーナ32と源水ホース42を介して足踏みポンプ31で汲み上げる。
【0047】
図4において、この浄水モードでは、第1の入水バルブ11、第1の出水バルブ12は開とされ、第1のドレインバルブ13は閉とされている。
そして、第2の入水バルブ21、第2の出水バルブ22、第2のドレインバルブ23は閉とされ、浄水給水バルブ40は開とされている。
【0048】
このモードでは、図1で説明したストレーナ32を源水に投入して源水ホース42→足踏みポンプ31→ホース43→分岐管14→第1の入水バルブ11のルートを通して第1の濾過エレメント10に流入させる。
すなわち、浄水製造は第1の濾過エレメント10で行い、この間第2の濾過エレメント20は休止状態にされている。これにより、浄水給水バルブ40を通して給水ホース41から浄水が取り出される。
【0049】
図5は、本発明の実施例に係る可搬型浄水製造装置の逆洗浄時のバルブ系統を示す模式図で、第2の浄水エレメント20で浄水製造を行い、第1の浄水エレメント10を逆洗浄するモード(ここでは、逆洗浄モードと称する)を示している。
この逆洗浄モードは、第1の浄水エレメント10を図4で説明した浄水製造を所定の時間に亘って実行し、経験的に取得した稼働時間が経過した時点で、それまでの浄水動作で蓄積された残渣を清掃する動作(所謂、逆洗浄)モードである。
なお、上記のバルブ操作を第1と第2の濾過エレメントで切り換えることで、第2の濾過エレメントでの浄水製造期間中は第1の濾過エレメントを休止させて置くこともできる。
【0050】
この逆洗浄への切換えは、圧力計33の指針を参照して行う。圧力計33は人力ポンプ31の後段で、濾過エレメント10,20の前段に設置されている。浄水モードと逆洗浄モードの切り替え時点を決める圧力の設定は濾過材の浄化能力で事前設定するが、現地での稼働に応じて経験的に把握した圧力であってもよい。
【0051】
この逆洗浄モードでは、第1の入水バルブ11と第2のドレインバルブ23、及び浄水供給バルブ40を閉とし、第2の入水バルブ21、第2の出水バルブ22、第1の出水バルブ12、第1のドレインバルブ13を開としておく。ストレーナ32を源水に投入して源水ホース42→足踏みポンプ31→ホース43→分岐管14→第2の入水バルブ21のルートを通して第2の濾過エレメント20に源水を流入させる。
【0052】
第2の濾過エレメント20で製造された浄水は、第2の出水バルブ22→第1の出水バルブ12を通って第1の第1の濾過エレメント10に流入する。この浄水により、第1の浄水エレメント10の濾過材が洗浄される。洗浄を終えた水は、ドレインホース44から廃棄される。これにより、第1の濾過エレメント10は次の濾過動作に備えられる。
【0053】
なお、浄水の供給需要が一段落した段階で、逆洗浄で清浄化された第1の濾過エレメント10の浄水で第2の濾過エレメント20の清浄化を上記と逆のバルブ設定で行うことができる。源水に余裕があり、清浄水の供給が一段落したような場合には、圧力計に頼らないで必要に応じて随時逆洗浄を行うこともできる。
【0054】
上記実施例1で説明した可搬型浄水製造装置は、小型・軽量で複数台の貯蔵が容易で、取り扱いが簡単、かつ容易に移動可能であり、濾過エレメントの交換が不要であるということから、災害時での迅速な対応、僻地等での飲料水確保に大きな寄与を期待できる。
【実施例2】
【0055】
図6は、本発明の実施例2に係る可搬型浄水製造装置を収容する筐体の正面俯瞰図である。また、図7は、本発明の実施例2に係る可搬型浄水製造装置の筐体を分離した状態を示す模式図で、筐体ロック72を開放し持ち上げ把手76を持って下部筐体70aから上部筐体70bを取り外してある。
図6図7において、本実施例の可搬型浄水製造装置は、付属の部品等と共に、箱型のトロリーバッグ(所謂、通称キャリーバッグ)形式の筐体70でコンパクトに収納されている。
図6に示されるように、この可搬型浄水製造装置の筐体70は下部筐体70aと上部筐体70bとからなり、両者は複数の上下筐体ロック(錠)71で連結・切り離し可能に連結されている。上部筐体70bは下部筐体70aの蓋の機能を有する。
【0056】
下部筐体70aの側壁には、伸縮ハンドル75が取り付けられている。本実施例では、下部筐体70aの背面側の側壁に、伸縮する2本の縦棒を備え、前記縦棒の頂端部を横断して固定する横棒(手掛け)を有する。よく市中で目にするトロリーバッグと同様のものである。
下部筐体70aと上部筐体70bは、積層境界の周りに設けた複数の上下筐体ロック71で切り離し自在に固定される。上部筐体70bの蓋体73は筐体ロック72で脱着自在となっている。
また、蓋体73には持ち上げ把手76が取り付けられており、蓋73を上部筐体70bの本体からの取り外しを容易にしている。この蓋73は、浄水作業の際に濾過部本体60を載置する作業台として機能する。
【0057】
そして、下部筐体70aの背面(伸縮ハンドル75が取り付けられている側面)には、自由回転するホイール74が取り付けられている。上記の伸縮ハンドル75を持って筐体70を背面側に若干倒した状態で、このホイール74が筐体70の荷重を支えて移動可能とする。ホイール74は自在キャスターでもよい。
【0058】
なお、筐体70を構成する下部筐体70aと上部筐体70bをアルミ合金、ステンレスあるいは不透明な樹脂材などで形成した場合、それらの内部に収納された濾過部本体60、および浄水保持部品が正しく収納されているか否かを目視確認するための窓78、77をそれぞれ設けるのが望ましい。窓の形状は図示したものに限らない。
【0059】
図8は、本発明の実施例2に係る可搬型浄水製造装置の筐体への収納状態を示す模式図で、同図は透視図である。
本実施例では、2本の濾過エレメントを使用している。筐体70を構成する下部筐体70aには、濾過部本体60を収容する。濾過部本体60は、底板62に支柱64で保持した天板63を有し、底板62と天板63との間の空間に第1の濾過エレメント10と第2の濾過エレメント20を設置してある。
【0060】
2本の濾過エレメント10と20は、複数のバルブとパイプで連結されている。符号33は給水の圧力を指示するための圧力計、44はドレインパイプでドレインホースと同じ符号を付してある。
この濾過部本体60は、天板63に取り付けた一対の本体把手54で持ち上げて移動できるようになっている。なお、下部筐体70aに収容した濾過部本体60は固定ベルト80で固定される。
【0061】
また、上部筐体70bには、人力ポンプ31、ストレーナ32、給水ホース41、源水ホース42、吸上げホース43、ドレインホース44などのホース群45を含む浄水作業補助部品を収容する。図示しないが、浄水作業補助部品には、掃除用の布や手袋、あるいは簡単な工具が含まれる。
【0062】
図9は、本発明の実施例2に係る可搬型浄水製造装置の稼働状態を示す模式図であり、下部筐体70aから取り出した濾過部本体60は上部筐体70bの上に載置されている。
上部筐体70bは、収容してあった浄水作業補助部品を取り出した後、下部筐体70aの上に戻されて筐体ロック72で一体化されている。濾過部本体60は後述する本体ロック79で伸縮ハンドル75に固定されている。図9では、伸縮ハンドルは図示を省略してある。
【0063】
この可搬型浄水製造装置を給水が必要な地区などに設置し、源水(池、河川、貯水槽など)に源水ホース42の一端に取り付けたストレーナ32を投入沈設する。源水ホース42の他端は人力ポンプ31の吸入パイプに接続する。
人力ポンプ31の吐出パイプと濾過部本体60の源水カプラ55(図10参照)の間を吸上げホース43で接続する。給水ホース41から浄水が供給される。
【0064】
図10は、本発明の実施例2に係る可搬型浄水製造装置の濾過部本体を構成するバルブ周りの構成図である。図10に示した濾過部本体60は、前記図8で説明したものと同じであり、同一符号は同一構成部材を示す。
【0065】
ここで、図8では記載しなかった符号について説明すると、11(11a,11b)と21(21a,21b)は第1と第2の入水バルブで、人力ポンプ31からの源水を第1の濾過エレメント10と第2の濾過エレメント20に導入あるいは遮断するバルブである。また、図11で示す13と23は第1と第2のドレインバルブである。そして、41は給水ホース(給水ホースを取り付ける管として図示)を示す。
【0066】
本実施例の可搬型浄水製造装置は、全ての濾過エレメント(実施例では2本)を同時に浄水動作させることはできる。しかし、それでは濾過エレメントの交換が不要とする本実施例の効果が出せなくなる。したがって、以下では、本実施例の特徴の一つである浄水モードと逆洗浄モードの切り替え動作について説明する。
【0067】
図11は、本発明の実施例2に係る可搬型浄水製造装置の第1の濾過エレメント使用時の(a)バルブ開閉状態と(b)水流経路図である。
この浄水モードでは、同図(a)の各バルブは次のようにセットする。
すなわち、第2の入水バルブ21、第2の出水バルブ22、および第2のドレインバルブ23は閉止とされる。第2の濾過エレメント20は休止状態にある。
【0068】
図11(b)に示したように、源水は吸上げホース43から源水カプラ55で第1の入水バルブ11(同図aでは11aと11b)を通って第1の濾過エレメント10に流入する。
濾過エレメント10で浄化された浄水は第1の出水バルブ12から浄水集水管24を経て浄水給水バルブ40に至り、この浄水給水バルブ40で給水ホース41から需要者に提供される。
【0069】
図12は、本発明の実施例2に係る可搬型浄水製造装置の第2の濾過エレメント使用時の(a)バルブ開閉状態と(b)水流経路図である。
この浄水モードでは、同図(a)の各バルブは次のようにセットする。
すなわち、第1の入水バルブ11、第1の出水バルブ12、および第1のドレインバルブ13は閉止とされる。第1の濾過エレメント10は休止状態にある。
【0070】
図12(b)に示したように、源水は吸上げホース43から源水カプラ55で第2の入水バルブ21(同図aでは21aと21b)を通って第2の濾過エレメント20に流入する。
濾過エレメント20で浄化された浄水は第2の出水バルブ22から浄水集水管24を経て浄水給水バルブ40に至り、この浄水給水バルブ40で給水ホース41から需要者に提供される。
【0071】
次に、濾過エレメントの逆洗浄モードについて、図13図14を参照して説明する。なお、前記図11図12及び後述する図13図14における符号79は本体ロックであり、濾過作業時において濾過部本体60を筐体70の伸縮ハンドルに固定する手段である。詳細は図15で後述する。
なお、逆洗浄モードは実施例に示す一方の濾過エレメントで処理して得られた浄水で他方の濾過エレメントを洗浄するモードである。
【0072】
図13は、本発明の実施例2に係る可搬型浄水製造装置の第1の濾過エレメント逆洗浄時の(a)バルブ開閉状態と(b)水流経路図である。この逆洗浄モードでは、同図(a)の各バルブは次のようにセットする。すなわち、第1の入水バルブ11(同図aでは11aと11b)、第2のドレインバルブ23、および浄水給水バルブ40は閉止され、第2の入水バルブ21、第2の出水バルブ22,第1の出水バルブ12、第1のドレインバルブ13は開放される。
【0073】
このバルブの開閉と閉止状態で、吸上げホース43から吸い上げられた源水は分離管14を通って第2の入水バルブ21から第2の濾過エレメント20に注水される。
第2の濾過エレメント20で浄化された浄水は第2の出水バルブ22、浄水集水管24、第1の出水バルブ12を通って第1の濾過エレメント10に注入され、当該第1の濾過エレメント10を洗浄する。洗浄を終えた水は第1のドレインバルブ13からドレインホース44で廃棄される。
【0074】
これにより、第1の濾過エレメント10は清浄化され、次の浄水に備えることになる。逆洗浄の開始、終了のタイミングは、圧力計の指示だけでなく、概ねの稼働時間、あるいは濾過エレメントの汚れ状態の目視で決定することもできる。
【0075】
図14は、本発明の実施例2に係る可搬型浄水製造装置の第2の濾過エレメント逆洗浄時の(a)バルブ開閉状態と(b)水流経路図である。この逆洗浄モードでは、同図(a)の各バルブは次のようにセットする。すなわち、第2の入水バルブ21(同図aでは21aと21b)、第1のドレインバルブ13、および浄水給水バルブ40は閉止され、第1の入水バルブ11、第1の出水バルブ12、第2の出水バルブ22、第2のドレインバルブ23は開放される。
【0076】
このバルブの開閉と閉止状態で、吸上げホース43から吸い上げられた源水は、分離管14を通って第1の入水バルブ11から第1の濾過エレメント10に注水される。
第1の濾過エレメント10で浄化された浄水は第1の出水バルブ12、浄水集水管24、第2の出水バルブ22を通って第2の濾過エレメント20に注入されて洗浄する。当該第2の濾過エレメント20の洗浄を終えた水は第2のドレインバルブ23からドレインホース44で廃棄される。
【0077】
これにより、第2の濾過エレメント20は清浄化され、次の浄水に備えることになる。
【0078】
図15は、本発明に係る可搬型浄水製造装置を筐体上に載置し、安定的に稼働させるための固定手段を説明する図で、(a)は筐体上に載置され、固定された状態の要部模式図、(b)は固定操作の様子を示す要部拡大図である。
図15(a)に示されたように、下部筐体70aから取り出した濾過部本体60は、下部筐体の上に積み上げて固定した上部筐体70bに載置される。濾過部本体60の底板62にはフック状アームの本体ロック79が設けてある。
【0079】
本実施例では、伸縮ハンドル75が2本の平行する縦棒で構成してあり、この2本の縦棒に横方向から回動して抱き付く形状の本体ロック79が回動軸81で取り付けてある。同図(b)は本体ロック79を回動軸81周りに回動させて、その半円状端部を伸縮ハンドル75に係合させる。然るのちに、底板側の端部を蝶ネジ82などで固定する。
これによって、濾過部本体60は筐体70に固定され、利用に便利な高さで浄水の提供が可能となる。
【0080】
図16は、本発明に係る可搬型浄水製造装置の濾過エレメントを構成する濾過モジュールを示す斜視図であり、(a)は濾過エレメントを構成する濾過モジュールの一部を模式的に示す斜視図、(b)は濾過エレメントを構成する濾過モジュール全体の一例を示す斜視図である。
【0081】
濾過モジュール100は複数のセラミック中空細管101を互いに平行に配置し、一体に固定したセラミック中空細管集合体200を構成している。第1の濾過エレメントについても同様である。
【0082】
濾過モジュール100はセラミック中空細管集合体200の両端部に固定材102が配置される。固定材102はセラミック中空細管101よりも高い水密性を備えている。そして、セラミック中空細管集合体200の端面におけるセラミック中空細管101の外縁同士で形成される中空の隙間103(図17参照)が固定材102で封止されている。
【0083】
本実施例では、図16(a)に示すようにセラミック中空細管101を、断面が三角形状になるように構成されたセラミック中空細管集合体200を6個用意し、図16(b)に示すように三角形の各2面どうしを貼り合わせて6角柱とし、図17に示すように容器106に収容して、上記各実施例で説明した第1の濾過エレメント10、第2の濾過エレメント20を構成する。
【0084】
図17は、本発明の各実施例に使用される第1の濾過エレメントについての濾過状況の説明図である。第2の濾過エレメントについても同様である。
【0085】
図17において、源水は源水導入部107aから容器106に流入し、濾過モジュール100を構成する個々のセラミック中空細管101内に進入する。源水がセラミック中空細管101内を通過する際にセラミック中空細管101の多孔質壁面を通過できる水分子(以下、浄水)のみが隙間103に抽出される。
隙間103に抽出された浄水は、セラミック中空細管101同士の接触部分に形成される隙間を通って濾過モジュール100の外に排出され、容器106の浄水導出部107cから取り出される。
【0086】
図17の濾過エレメント10では、濾過モジュール100の長手方向両端部において、セラミック中空細管101同士の間に形成される中空状の隙間103が固定材102により封止されているので、容器106内に流入した源水が濾過モジュール100の胴部に形成される中空状の隙間103に流入するのを妨げている。
【0087】
固定材102、シール材105及び支持具104の外縁部と容器106の内壁との接触部分のシール性によって源水導入部107aから濾過モジュール100を構成するセラミック中空細管101の内部及び源水残部流出部107bで形成される流路と、セラミック中空細管101の外部から容器106の浄水導出部107cによって形成される浄水の流路とが分離される。
【0088】
上記した本発明の各実施例は、上記したセラミック中空細管101を用いた濾過モジュールを実装した濾過エレメントで内圧濾過方式として構成したが、外圧濾過方式とすることもできる。
また、セラミック中空細管101を用いた濾過モジュールに替えてRO膜フィルター、あるいは活性炭フィルターを濾材として用いることも可能である。
【0089】
また、本発明は実施例1、2で説明した2個の濾過エレメントを使用するものに限らず、N個(N≧2の整数)の濾過エレメントを用い、その1又はM個(0<M≦N-1の整数)の稼働と休止を設定可能とする複数のバルブ(N=2の場合は、バルブ11~13、21~23、40)を備えることで、様々な給水容量の可搬型浄水製造装置を構成できる。
なお、濾過エレメント自体の容量を大きく、あるいは小さくして給水能力と濾過エレメントの数を調整することもできる。
また、濾過エレメントの大きさにより全体の大きさを調整できるので、濾過エレメントをさらに小さくすることで、可搬型浄水製造装置全体を小型化して、大きな保管場所を必要としない軽量な構造とし、より可搬性を向上させ取り扱いしやすくすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
以上説明したように本発明は多孔質のセラミックス製の中空管体からなる濾材を集合させて一体にしてなるセラミックフィルター集合体を用いた濾過装置であるが、源水の浄水化に限らず、他の液体の濾過や分離にも利用可能である。
【符号の説明】
【0091】
10・・・第1の濾過エレメント
11(11a、11b)・・・第1の入水バルブ
12・・・第1の出水バルブ
13・・・第1のドレインバルブ
14・・・分離管
20・・・第2の濾過エレメント
21(21a、21b)・・・第2の入水バルブ
22・・・第2の出水バルブ
23・・・第2のドレインバルブ
24・・・浄水集水管
30・・・源水タンク
31・・・人力ポンプ(足踏みポンプ)
32・・・ストレーナ
33・・・圧力計
34・・・ペダル
40・・・浄水給水バルブ
41・・・給水ホース
42・・・源水ホース
43・・・吸上げホース
44・・・ドレインホース
45・・・ホース群
50・・・筐体
51・・・ギヤー
52・・・把手(手持ち部材)
53・・・蓋体
54・・・本体把手
55・・・源水カプラ
60・・・濾過部本体
61・・・濾過部本体載置保持部材
62・・・底板
63・・・天板
64・・・支柱
70・・・筐体(トロリーバッグ)
70a・・・下部筐体
70b・・・上部筐体
71・・・上下筐体ロック
72・・・筐体ロック
73・・・上部筐体の蓋体
74・・・ホイール
75・・・伸縮ハンドル
76・・・持ち上げ把手
77・・・窓(上部透明板)
78・・・窓(下部透明板)
79・・・本体ロック(フック状アーム)
80・・・固定ベルト
81・・・回動軸
82・・・蝶ネジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17