(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】粉体貯蔵装置
(51)【国際特許分類】
B65G 65/48 20060101AFI20240325BHJP
B65G 65/46 20060101ALN20240325BHJP
【FI】
B65G65/48 F
B65G65/48 D
B65G65/48 C
B65G65/46 C
(21)【出願番号】P 2021161802
(22)【出願日】2021-09-30
【審査請求日】2023-05-30
(73)【特許権者】
【識別番号】594035323
【氏名又は名称】昭和鋼機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144749
【氏名又は名称】小林 正英
(74)【代理人】
【識別番号】100076369
【氏名又は名称】小林 正治
(72)【発明者】
【氏名】辻 孝太郎
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-094787(JP,U)
【文献】特開昭61-115875(JP,A)
【文献】特開昭60-087121(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 65/30-65/48
B65B 37/00-39/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体を貯蔵する粉体貯蔵装置において、
前記粉体を貯蔵するタンク本体と、当該タンク本体内で前記粉体を搬送する搬送手段と、当該搬送手段内が負圧であるか否かを判定する判定手段を備え、
前記搬送手段は通気口と当該通気口を開閉する開閉手段を備え、
前記判定手段によって前記搬送手段内が負圧であると判定されると前記開閉手段が開く、
ことを特徴とする粉体貯蔵装置。
【請求項2】
請求項1記載の粉体貯蔵装置において、
搬送手段又は当該搬送手段内の粉体の状態を測定する状態測定手段を備え、
判定手段は、前記状態測定手段での測定結果に基づいて前記搬送手段内が負圧であるか否かを判定する、
ことを特徴とする粉体貯蔵装置。
【請求項3】
請求項2記載の粉体貯蔵装置において、
搬送手段は、ケースと当該ケース内で粉体を搬送する粉体搬送体と当該粉体搬送体を駆動するモータを備え、
状態測定手段として、前記搬送手段のケース内の圧力を測定する圧力測定手段、前記搬送手段のモータの電流値を検知する電流計又は/及び前記搬送手段のケース内の粉体の圧密度を測定する圧密度センサを備えた、
ことを特徴とする粉体貯蔵装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の粉体貯蔵装置において、
搬送手段は、第一の搬送部と当該第一の搬送部に連結された第二の搬送部を備え、
通気口及び開閉手段が、前記第一の搬送部のケースと前記第二の搬送部のケースの双方又はいずれか一方に設けられた、
ことを特徴とする粉体貯蔵装置。
【請求項5】
請求項4記載の粉体貯蔵装置において、
第一の搬送部と第二の搬送部が第一の連結体で連結され、
通気口及び開閉手段が前記第一の連結体に設けられた、
ことを特徴とする粉体貯蔵装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5記載の粉体貯蔵装置において、
第二の搬送部は、第一の搬送部での粉体の搬送方向と異なる方向に粉体を搬送できる角度で当該第一の搬送部に連結された、
ことを特徴とする粉体貯蔵装置。
【請求項7】
請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の粉体貯蔵装置において、
第一の搬送部は横型搬送部であり、
第二の搬送部は前記横型搬送部に連結された竪型搬送部である、
ことを特徴とする粉体貯蔵装置。
【請求項8】
請求項7記載の粉体貯蔵装置において、
竪型搬送部を二本以上備え、
前記二本以上の竪型搬送部は第二の連結体で連結され、
通気口及び開閉手段が前記第二の連結体に設けられた、
ことを特徴とする粉体貯蔵装置。
【請求項9】
請求項7又は請求項8記載の粉体貯蔵装置において、
横型搬送部を二本以上備え、
前記二本以上の横型搬送部は第三の連結体で連結され、
通気口及び開閉手段が前記第三の連結体に設けられた、
ことを特徴とする粉体貯蔵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セメント等の粉体を貯蔵する粉体貯蔵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
僻地や傾斜地など、コンクリート輸送車の往来が困難な工事現場では、サービスタンクと呼ばれる移動式の貯蔵装置が使用される。移動式の貯蔵装置として、粉体収納用のタンク本体と、粉体を搬送する搬送手段を備えた移動式の粉体貯蔵装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
前記特許文献1の粉体貯蔵装置は、搬送手段として、横型コンベアとその横型コンベアに縦向きに連結された竪型コンベアを備えている。横型コンベアの上方には、セメントを横型コンベアに誘導するためのホッパーが設けられている。タンク本体内に供給されたセメントは、ホッパーを介して横型コンベア内に投入され、横型コンベアを通って竪型コンベアに搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の粉体貯蔵装置では、セメントバルク車によってセメントがタンク本体内に圧送されるが、搬送手段内に搬送能力を超える量のセメントが流れ込むと、モータが過負荷状態となり、サーマル異常を起こして搬送手段が停止してしまうことがあった。
【0006】
サーマル異常によって搬送手段が停止した場合、搬送手段のモータが定格電流値以下まで回復するのを待ってから再起動させる必要があるため、問題の解消までに時間がかかり、装置全体の搬送能力が低下するという難点がある。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、搬送手段のモータが過負荷状態になるのをできるだけ回避して、モータが過負荷状態になることに起因する搬送手段の動作の停止を抑止することのできる粉体貯蔵装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明者が、搬送手段のモータが過負荷状態になる原因について鋭意検討した結果、搬送手段内にセメントが充満して搬送手段内が負圧になったときに、搬送手段のモータが過負荷状態になることを発見し、本発明の粉体貯蔵装置を開発するに至った。本発明の粉体貯蔵装置は粉体を貯蔵する装置であって、粉体を貯蔵するタンク本体と、タンク本体内で粉体を搬送する搬送手段と、搬送手段内が負圧であるか否かを判定する判定手段を備え、搬送手段は通気口と通気口を開閉する開閉手段を備え、判定手段によって搬送手段内が負圧であると判定されると、開閉手段が開くようにしたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の粉体貯蔵装置は、搬送手段内が負圧であると判定されたときに開閉手段が開くように構成されているため、負圧時に通気口から搬送手段内に外気が吸引されることで、搬送手段の内部が負圧状態から解消され、モータが過負荷状態になることに起因する搬送手段の動作の停止を抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の粉体貯蔵装置の一例を示す概要説明図。
【
図3】(a)は開閉手段の設置位置の一例を示す説明図、(b)は(a)のIIIb-IIIb矢視図、(c)は(a)のIIIc-IIIc矢視図。
【
図4】(a)は判定手段の一例を示すブロック図、(b)は電流計の一例を示す説明図。
【
図5】(a)は横型搬送部を二本備えた搬送手段の一例を示す説明図、(b)は竪型搬送部を二本備えた搬送手段の一例を示す説明図、(c)は横型搬送部と竪型搬送部を二本ずつ備えた搬送手段の一例を示す説明図。
【
図6】(a)は竪型搬送部が横型搬送部に対して傾斜して設けられた場合の一例を示す説明図、(b)は竪型搬送部が横型搬送部に対して傾斜して設けられた場合の他例を示す説明図、(c)は横型搬送部を粉体の搬送方向先方に向けて上り傾斜にした場合の一例を示す説明図、(d)は横型搬送部を粉体の搬送方向先方に向けて下り傾斜にした場合の他例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態)
本発明の粉体貯蔵装置の実施形態の一例を、図面を参照して説明する。本発明の粉体貯蔵装置は、工業原料や農産物、飼料といった各種粉体の貯蔵に用いることができるが、ここでは、セメントを貯蔵する場合を一例として説明する。なお、本願における粉体には粒径による制限はなく、表現上、粒体や粉粒体と称されるものも含まれる。
【0012】
一例として
図1に示す粉体貯蔵装置は、セメントを貯蔵するタンク本体10と、タンク本体10内でセメントを搬送する搬送手段20と、搬送手段20内が負圧であるか否かを判定する判定手段30(
図4(a))を主要構成として備えている。本願において、負圧とは、搬送手段20内の空気の圧力がその外の空気の圧力よりも低いことをいう。この実施形態について言えば、後述する横ケース21a内の空気の圧力が、タンク本体10やタンク本体10の外側の空気の圧力(大気圧)よりも低いことをいう。
【0013】
この実施形態のタンク本体10は、内部に貯蔵空間を備えた縦長の円筒状の中空容器である。タンク本体10の周面には導入口11と排出口12が開口され、導入口11には貯蔵空間内にセメントを送り込むための供給管11aが、排出口12には貯蔵空間内のセメントを外部に排出するための排出管12aが接続されている。なお、排出管12aの他端側はタンク本体10の近傍に設置されたバッチャープラント40に接続されている。
【0014】
タンク本体10にセメントを供給するときは、セメントを積載したバルク車(図示しない)の圧送ホースを供給管11aに接続し、バルク車内のセメントを圧送ホース及び供給管11aを介してタンク本体10内へ圧送する。
【0015】
一方、タンク本体10からセメントを排出するときは、搬送手段20で搬送したセメントを図示しない計量器等で計量し、必要量のセメントを、排出管12aを介してタンク本体10外に排出する。この実施形態では、排出されたセメントはバッチャープラント40内で骨材や水等の他の材料と混合され、コンクリートやモルタルが作られる。
【0016】
タンク本体10の内部には、搬送手段20として、床面の近傍に、床面に対して平行に配置された横型搬送部(第一の搬送部)21と、横型搬送部21に対して垂直に連結された竪型搬送部(第二の搬送部)22が設けられている。横型搬送部21の上方には、セメントを横型搬送部21に誘導するためのホッパー23が設けられている。
【0017】
前記横型搬送部21は、セメントを水平方向に搬送するためのものである。
図2に示すように、この実施形態の横型搬送部21は、ケーシング(以下「横ケース」という)21aと横ケース21a内に配置された有軸スクリュー(以下「横スクリュー」という)21bと、横スクリュー21bを回転させるモータ(以下「横モータ」という)21cを備えた有軸スクリューコンベアである。横モータ21cと横スクリュー21bの間にはギヤボックス(横ギヤボックス)21dが設けられ、横スクリュー21bの回転数やトルク、回転方向等を調整できるようにしてある。
【0018】
横ケース21aの上面側には二つの投入口が設けられ、各投入口にはホッパー23から供給されるセメントを横ケース21a内に誘導するための筒状の誘導管21eが接続されている。タンク本体10内に圧送されたセメントはホッパー23及び各誘導管21eを介して横ケース21a内に投入される。
【0019】
前記竪型搬送部22は、セメントを横型搬送部21とは異なる方向(この実施形態では、垂直方向)に搬送するためのものである。
図2に示すように、この実施形態の竪型搬送部22は、ケーシング(以下「竪ケース」という)22aと、竪ケース22a内に配置された有軸スクリュー(以下「竪スクリュー」という)22bと、竪スクリュー22bを回転させるモータ(以下「竪モータ」という)22cを備えた有軸スクリューコンベアである。竪モータ22cと竪スクリュー22bの間にはギヤボックス(竪ギヤボックス)22dが設けられ、竪スクリュー22bの回転数やトルク、回転方向等を調整できるようにしてある。
【0020】
図3(c)に示すように、この実施形態の横型搬送部21と竪型搬送部22は、横ケース21aと竪ケース22a同士が連通するように、第一の連結体(以下「竪横ケース連結体」という)24aで連結されている。
図3(a)に示すように、横型搬送部21で第一の方向(図示する例では図中右方向)に搬送されたセメントは、竪横ケース連結体24aを介して竪型搬送部22に移動し、竪型搬送部22によって第一の方向とは異なる第二の方向(図示する例では図中上方向)に搬送される。
【0021】
図3(b)に示すように、この実施形態の横型搬送部21には外気を取り込むための通気口21fが開口され、その通気口21fには通気口21fを開閉するための開閉手段25が接続されている。
【0022】
この実施形態の開閉手段25は、通気口21fに接続された開閉弁管25aと、開閉弁管25aに接続された逆止弁25bと、逆止弁25bに接続された開閉弁25cを備えている。一例として、開閉弁管25aにはエルボパイプを、逆止弁25bにはチャッキ弁(チャッキバルブ)を、開閉弁25cには電磁弁を用いることができる。開閉弁管25aや逆止弁25b、開閉弁25cはこれ以外であってもよい。
【0023】
この実施形態の開閉弁25cは、平時は閉じており、判定手段30によって搬送手段20内が負圧であると判定されたときに自動的に開くようにしてある。具体的には、この実施形態では、判定手段30によって横ケース21a内が負圧であると判定されたときに、開閉弁25cが開くようにしてある。
【0024】
ここで示す開閉手段25の構成は一例であり、開閉手段25の構成はこれ以外であってもよい。たとえば、通気口21fに接続される直管パイプと、その直管パイプに接続される電磁弁を備えたものを用いることができる。この場合、電磁弁の先には布製フィルタやメタルフィルタ等のフィルタを設けることもできる。フィルタを設けることで、虫や飛散物等の横ケース21a内への侵入を防止することができる。フィルタは必要に応じて設ければよく、不要な場合は省略することができる。
【0025】
この実施形態では、通気口21fが横ケース21aの上方部に設けられているが、通気口21fはこれ以外の位置に設けることもできる。ただし、通気口21fをセメントがたまりやすい部分に設けると、非吸引時に開閉弁管25aにセメントが詰まるおそれがあるため、通気口21fは、セメントがたまりにくい位置、換言すれば、空隙が確保されやすい位置に設けるのが好ましい。このことは、通気口21fを横ケース21a以外に設ける場合も同様である。
【0026】
前記判定手段30は、状態測定手段31での測定情報に基づいて、搬送手段20(この実施形態では横ケース21a)内が負圧であるか否かを判定する部分である。ここでいう状態測定手段31は、搬送手段20の状態や搬送手段20内の粉体(この実施形態ではセメント)の状態を測定するための手段であり、搬送手段20内が負圧であるか否かを判定するための情報(判定材料)を取得する手段である。
【0027】
ここでいう搬送手段20の状態には、たとえば、竪モータ22cや横モータ21cの電流、竪モータ22c内や横モータ21c内の圧力等が、搬送手段20内のセメントの状態には、横ケース21a内のセメントの圧密度等が含まれる。いずれも、搬送手段20内が負圧であるか否かを判定するにあたって利用される情報である。
【0028】
この実施形態の判定手段30は、状態測定手段31として竪モータ22cの電流値を測定する電流計31a(
図4(b))を備えている。この実施形態では、竪モータ22cの電流値がどの程度の場合に横ケース21a内の圧力が負圧になるかを予めデータ化しておき、そのデータに基づいて閾値(以下「弁開基準値X1」という)を設定してある。弁開基準値X1としては、たとえば、定格電流値や定格電流値よりも低い電流値を設定することができる。定格電流値よりも低い電流値を弁開基準値X1として設定した場合、定格電流値を弁開基準値X1として設定した場合よりも、竪モータ22cが過負荷状態になることをより効果的に抑止することができる。弁開基準値X1はこれ以外の値であってもよい。
【0029】
この方法では、横ケース21a内の圧力を直接測定するのではなく、竪モータ22cの電流値が予め設定された弁開基準値X1に達したときに、横ケース21a内の圧力が負圧になっているものと判定し、そのタイミングで開閉弁25cが自動的に開くようにしてある。なお、
図4(b)に示すように、この実施形態では、開いた開閉弁25cが閉じるための閾値(以下「弁閉基準値X2」という)を予め設定してあり、竪モータ22cの電流値がこの弁閉基準値X2以下になったときに、開いた開閉弁25cが自動的に閉じられるようにしてある。
【0030】
図4(a)に示すように、この実施形態では、状態測定手段31である電流計31aで竪モータ22cの電流値が継続的に測定され、測定値が予め設定された弁開基準値X1に達したと判定手段30で判定されると、ホールド回路32が働いて閾値に達した状態が保持され、横スクリュー21bが停止し、開閉弁25cが開く。これにより、通気口21fから横ケース21a内に外気が吸い込まれ、横ケース21a内の負圧状態が解消される。
【0031】
外気を取り込むための手段がない従来の粉体貯蔵装置では、負圧状態が一定時間以上続くとセメントが詰まり、モータが過負荷状態となって動作が停止してしまうが、この実施形態の粉体貯蔵装置では、セメントが詰まる前に開閉弁25cが開き、横ケース21a内に外気が吸い込まれるため、竪モータ22cが過負荷状態となることや搬送手段20が停止することを確実に防止することができる。
【0032】
なお、竪モータ22cが過負荷状態となり、サーマル異常を起こして搬送手段20が停止するという課題について鋭意検討した結果、本件発明者は、セメントが充満して横型搬送部21内が負圧になったときに、竪型搬送部22のモータが過負荷状態になることを発見したことから、空気圧縮機やブロアーなどによって機械的に空気を搬送手段20内に供給することによって横型搬送部21内の負圧状態を解消できないかと考え、横型搬送部21内に機械的に空気を供給する方法についての検討を行った。
【0033】
検討の結果、横型搬送部21内に機械的に空気を供給する方法では、供給する空気量が足りない場合には横型搬送部21内の負圧状態が解消しにくく、供給する空気量が過剰な場合には横型搬送部21内のセメントが流動化して単位時間当たりの搬送量が減少する傾向があるなど、適正な供給量を特定するのが難しいという難点はあるものの、適正な量の空気を供給できる場合には、一定の負圧解消効果が得られることを確認した。
【0034】
また、本願発明者は、機械的に空気を供給する方法よりも簡単に横型搬送部21内の負圧状態を解消できる方法を見出すべく、更なる検討を行い、本実施形態の粉体貯蔵装置を開発するに至った。この実施形態の粉体貯蔵装置は、外気を吸引することによって横ケース21a内の負圧状態を解消するものであって、空気圧縮機やブロアーなどによって機械的に空気を供給するものではないため、吸気量は外気圧によって決まる。このため、機械的に空気を供給する場合のように空気の適正な供給量を特定する必要がなく、機械的に空気を供給する方法に比べて簡単に横ケース21a内の負圧状態を解消することができる。
【0035】
(その他の実施形態)
前記実施形態の構成は一例であり、本発明の粉体貯蔵装置は前記実施形態の構成に限定されるものではない。以下、本発明の粉体貯蔵装置の他の実施形態について説明する。なお、説明の繰り返しを避けるため、前記実施形態と共通する部分についての説明は省略する。
【0036】
前記実施形態では、竪モータ22cの電流値が予め設定した弁開基準値X1に達したときに横ケース21a内が負圧であると判定して、自動的に開閉弁25cが開くようにしているが、開閉弁25cはこれ以外の条件で開くようにすることもできる。
【0037】
たとえば、横ケース21a内のセメントの圧密度を測定する圧密度計(圧密度センサ)を設け、その圧密度計での測定値が予め設定した弁開基準値X1に達したときに、横ケース21a内の圧力が弁開基準値X1に達したと判定して、開閉弁25cが自動で開くようにすることができる。圧密度計はセメントの圧密度を計測できる任意の個所に設けることができる。
【0038】
前記実施形態では、竪モータ22cの電流値や横ケース21a内のセメントの圧密度に基づいて、横ケース21a内が負圧であるか否かを判定し、開閉弁25cが開くようにしているが、横ケース21a内の圧力を直接測定し、その測定値を予め設定された弁開基準値X1と比較することによって、横ケース21a内の圧力が負圧になっているか否かを判定することもできる。
【0039】
この場合、たとえば、横ケース21a内の圧力を測定する圧力計(図示しない)を設け、その圧力計での測定値が予め設定された弁開基準値X1に達したときに、開閉弁25cが自動で開くようにすることができる。圧力計は横ケース21a内の圧力を測定できる任意の個所に設けることができる。
【0040】
前記実施形態では、横ケース21aに通気口21fと開閉手段25を設ける場合を一例としているが、通気口21fと開閉手段25は、竪ケース22aや竪横ケース連結体24aに設けることもできる。このほか、通気口21fと開閉手段25は、横ケース21a、竪ケース22a及び竪横ケース連結体24aのいずれか二以上に設けることもできる。
【0041】
前記実施形態では、横型搬送部21と竪型搬送部22がそれぞれ一本ずつの場合を一例としているが、
図5(a)~(c)に示すように、横型搬送部21や竪型搬送部22は、それぞれ複数本ずつ設けることもできる。
【0042】
図5(a)は横型搬送部21を二本備えた搬送手段の一例を示すもの、
図5(b)は竪型搬送部22を二本備えた搬送手段の一例を示すもの、
図5(c)は横型搬送部21と竪型搬送部22を二本ずつ備えた搬送手段の一例を示すものである。横型搬送部21と竪型搬送部22は、それぞれ、二本より多くすることもできる。
【0043】
複数本の横型搬送部21は、それらの横ケース21a同士を直接又は第二の連結体(以下「横ケース連結体」という)24bを介して連結することができる。同様に、竪型搬送部22を複数本設ける場合も、それらの竪ケース22a同士を直接又は第三の連結体(以下「竪ケース連結体」という)24cを介して連結することができる。
【0044】
横型搬送部21を複数本設ける場合、竪型搬送部22に連結された横型搬送部21の横ケース21aに通気口21f及び開閉手段25を設けるほか、他の一若しくは二以上の横型搬送部21の横ケース21a又は一若しくは二以上の横ケース連結体24bに通気口21f及び開閉手段25を設けることもできる。
【0045】
同様に、竪型搬送部22を複数本設ける場合、横型搬送部21に連結された竪型搬送部22の竪ケース22aに通気口21f及び開閉手段25を設けるほか、他の一若しくは二以上の竪型搬送部22の竪ケース22a又は一若しくは二以上の竪ケース連結体24cに通気口21f及び開閉手段25を設けることもできる。
【0046】
いずれの場合も、セメントが開閉手段25の開閉弁管25aに充満しないように、各横ケース21aや各横ケース連結体24b又は各竪ケース22aや各竪ケース連結体24cのセメントがたまりにくい、換言すれば、空隙が確保されやすい横ケース21aや横ケース連結体24b又は竪ケース22aや竪ケース連結体24cの上方側に設けるのが好ましい。
【0047】
前記実施形態では、竪型搬送部22が横型搬送部21に対して垂直になるように設けられた場合を一例としているが、
図6(a)(b)に示すように、竪型搬送部22は横型搬送部21に対して垂直以外の角度で傾斜するようにすることもできる。
【0048】
図6(a)は、横型搬送部21と竪型搬送部22の間の角が鈍角になるように竪型搬送部22を傾斜させた場合の一例を示すもの、
図6(b)は横型搬送部21と竪型搬送部22の間の角が鋭角になるように竪型搬送部22を傾斜させた場合の一例を示すものである。竪型搬送部22の傾斜角度に制限はなく、セメントを横型搬送部21の搬送方向とは異なる方向に搬送できる向きで連結されていれば、図示した角度以外の角度であってもよい。
【0049】
前記実施形態では、横型搬送部21が床面に対して平行に設けられた場合を一例としているが、
図6(c)(d)に示すように、横型搬送部21は床面に対して平行とならないように傾斜をつけて設けることもできる。
【0050】
図6(c)は横型搬送部21をセメントの搬送方向先方に向けて上り傾斜となるように設けた場合の一例を示すもの、
図6(d)は横型搬送部21を同方向に下り傾斜となるように設けた場合の一例を示すものである。横型搬送部21の傾斜角度に制限はなく、セメントを搬送できる角度であれば、図示した角度以外の角度であってもよい。
【0051】
前記実施形態では、搬送手段20として横型搬送部21と竪型搬送部22の双方が設けられた場合を一例としているが、搬送手段は横型搬送部21と竪型搬送部22のいずれか一方だけとすることもできる。
【0052】
前記実施形態では、横型搬送部21及び竪型搬送部22が有軸スクリューコンベアの場合を一例としているが、横型搬送部21及び竪型搬送部22には無軸スクリューコンベアを用いることもできる。横型搬送部21と竪型搬送部22の双方又はいずれか一方として無軸スクリューコンベアを用いる場合、両者は竪横ケース連結体24aを介さずに、横ケース21aと竪ケース22a同士を直接連結することができる。このほか、横型搬送部21及び竪型搬送部22には、バケットコンベア等、スクリューコンベア以外のコンベアを用いることもできる。
【0053】
前記実施形態では、第一の搬送部が横型搬送部21であり、第二の搬送部が竪型搬送部22の場合を一例としているが、これは説明の便宜上そのようにしただけであり、第一搬送部を竪型搬送部22とし、第二搬送部を横型搬送部21とすることもできる。
【0054】
前記各実施形態の構成は一例であり、本発明の粉体貯蔵装置の構成は各実施形態の構成に限定されるものではない。本発明の粉体貯蔵装置は、所期の目的を達成できる範囲で、構成の追加や省略、入替え等の変更を加えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明の粉体貯蔵装置は、定置式の貯蔵装置として利用できるほか、移動式のサービスタンクとして特に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0056】
10 タンク本体
11 導入口
11a 供給管
12 排出口
12a 排出管
20 搬送手段
21 横型搬送部
21a 横ケース
21b 横スクリュー
21c 横モータ
21d 横ギヤボックス
21e 誘導管
21f 通気口
22 竪型搬送部
22a 竪ケース
22b 竪スクリュー
22c 竪モータ
22d 竪ギヤボックス
23 ホッパー
24a 竪横ケース連結体
24b 横ケース連結体
24c 竪ケース連結体
25 開閉手段
25a 開閉弁管
25b 逆止弁
25c 開閉弁
30 判定手段
31 状態測定手段
31a 電流計
32 ホールド回路
40 バッチャープラント
X1 弁開基準値
X2 弁閉基準値