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特許7458650泳者のモーションの能力測定基準を系統的に表すためのシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】泳者のモーションの能力測定基準を系統的に表すためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/16 20200101AFI20240325BHJP
   A63B 71/06 20060101ALI20240325BHJP
【FI】
G01L5/16
A63B71/06 J
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021508033
(86)(22)【出願日】2019-04-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-30
(86)【国際出願番号】 AU2019050370
(87)【国際公開番号】W WO2019204876
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2022-04-22
(31)【優先権主張番号】2018901377
(32)【優先日】2018-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】521470940
【氏名又は名称】オムニバス 157 プロプリエタリー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ファタラー
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ポタス
(72)【発明者】
【氏名】スチュアート メイ
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0128808(US,A1)
【文献】特表2017-527007(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0210975(US,A1)
【文献】特開2010-22740(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 5/16
A63B 69/00-69/40、
71/00-71/16
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザのモーションの能力測定基準を系統的に表すためのシステムであって、
少なくとも1つの圧力センサと、慣性測定ユニット(IMU)と、前記少なくとも1つの圧力センサ及び前記IMUと通信するマイクロプロセッサと、前記マイクロプロセッサ、前記少なくとも1つの圧力センサ、及び前記IMUを収容する少なくとも1つの筐体と、を含むウェアラブルセンサデバイスと、
前記マイクロプロセッサを介して前記少なくとも1つの圧力センサ及び前記IMUの両方から入力データを受信するために前記ウェアラブルセンサデバイスと通信する外部ユニットと、
前記少なくとも1つの圧力センサ及び前記IMUの両方からの前記入力データを組み合わせるように構成された処理ユニットと、を備え、
当該組み合わされた入力データが、少なくとも1つの力の大きさ及び少なくとも1つの力の方向を推測するために用いられ、
前記少なくとも1つの力の大きさ及び前記少なくとも1つの力の方向が処理されて前記能力測定基準を提供し、
前進方向にある力の大きさの割合を評価することによって前記能力測定基準が算出される、システム。
【請求項2】
前記前進方向にある力の大きさの割合を評価することが、前記少なくとも1つの圧力センサからの圧力データを前記IMUからの慣性データで増強することを含む、請求項に記載のシステム。
【請求項3】
ユーザのモーションの能力測定基準を系統的に表すためのシステムであって、
少なくとも1つの圧力センサと、慣性測定ユニット(IMU)と、前記少なくとも1つの圧力センサ及び前記IMUと通信するマイクロプロセッサと、前記マイクロプロセッサ、前記少なくとも1つの圧力センサ、及び前記IMUを収容する少なくとも1つの筐体と、を含むウェアラブルセンサデバイスと、
前記マイクロプロセッサを介して前記少なくとも1つの圧力センサ及び前記IMUの両方から入力データを受信するために前記ウェアラブルセンサデバイスと通信する外部ユニットと、
前記少なくとも1つの圧力センサ及び前記IMUの両方からの前記入力データを組み合わせるように構成された処理ユニットと、を備え、
当該組み合わされた入力データが、少なくとも1つの力の大きさ及び少なくとも1つの力の方向を推測するために用いられ、
前記少なくとも1つの力の大きさ及び前記少なくとも1つの力の方向が処理されて前記能力測定基準を提供し、
全てのグローバル軸にわたって総インパルスを乗算した時間間隔の逆数を評価することによって前記能力測定基準が算出される、システム。
【請求項4】
ユーザのモーションの能力測定基準を系統的に表すためのシステムであって、
少なくとも1つの圧力センサと、慣性測定ユニット(IMU)と、前記少なくとも1つの圧力センサ及び前記IMUと通信するマイクロプロセッサと、前記マイクロプロセッサ、前記少なくとも1つの圧力センサ、及び前記IMUを収容する少なくとも1つの筐体と、を含むウェアラブルセンサデバイスと、
前記マイクロプロセッサを介して前記少なくとも1つの圧力センサ及び前記IMUの両方から入力データを受信するために前記ウェアラブルセンサデバイスと通信する外部ユニットと、
前記少なくとも1つの圧力センサ及び前記IMUの両方からの前記入力データを組み合わせるように構成された処理ユニットと、を備え、
当該組み合わされた入力データが、少なくとも1つの力の大きさ及び少なくとも1つの力の方向を推測するために用いられ、
前記少なくとも1つの力の大きさ及び前記少なくとも1つの力の方向が処理されて前記能力測定基準を提供し、
抗力及び第1の押し上げ力から、又は、抗力、第1の押し上げ力及び第2の押し上げ力から、前記少なくとも1つの力の大きさ又は前記少なくとも1つの力の方向が算出される、システム。
【請求項5】
前記ウェアラブルセンサデバイスが少なくとも2つの圧力センサを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記ウェアラブルセンサデバイスが前記ユーザの手に着用され又は前記ユーザの手のひらに巻き付けられるように適合されている、請求項に記載のシステム。
【請求項7】
前進方向を案出するために前記IMUからの慣性データ又は磁気データが少なくとも部分的に用いられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記IMUが、加速度計、ジャイロスコープ、及び磁力計からなる群からの1つ以上を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記ウェアラブルセンサデバイスが複数のIMUを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記モーションが水上競技モーションであり、前記水上競技モーションが水泳ストロークである、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
ユーザのモーションの能力測定基準を系統的に表すためのシステムであって、
少なくとも1つの圧力センサと、慣性測定ユニット(IMU)と、前記少なくとも1つの圧力センサ及び前記IMUと通信するマイクロプロセッサと、前記マイクロプロセッサ、前記少なくとも1つの圧力センサ、及び前記IMUを収容する少なくとも1つの筐体と、を含むウェアラブルセンサデバイスと、
前記マイクロプロセッサを介して前記少なくとも1つの圧力センサ及び前記IMUの両方から入力データを受信するために前記ウェアラブルセンサデバイスと通信する外部ユニットと、
前記少なくとも1つの圧力センサ及び前記IMUの両方からの前記入力データを組み合わせるように構成された処理ユニットと、を備え、
当該組み合わされた入力データが、少なくとも1つの力の大きさ及び少なくとも1つの力の方向を推測するために用いられ、
前記少なくとも1つの力の大きさ及び前記少なくとも1つの力の方向が処理されて前記能力測定基準を提供し、
前記ユーザのモーション力をグラフィック的に表示するためのディスプレイをさらに備え、前記ユーザのモーション力が360°極座標プロットで表示される、システム。
【請求項12】
ユーザのモーションの能力測定基準を系統的に表すためのシステムであって、
少なくとも1つの圧力センサと、慣性測定ユニット(IMU)と、前記少なくとも1つの圧力センサ及び前記IMUと通信するマイクロプロセッサと、前記マイクロプロセッサ、前記少なくとも1つの圧力センサ、及び前記IMUを収容する少なくとも1つの筐体と、を含むウェアラブルセンサデバイスと、
前記マイクロプロセッサを介して前記少なくとも1つの圧力センサ及び前記IMUの両方から入力データを受信するために前記ウェアラブルセンサデバイスと通信する外部ユニットと、
前記少なくとも1つの圧力センサ及び前記IMUの両方からの前記入力データを組み合わせるように構成された処理ユニットと、を備え、
当該組み合わされた入力データが、少なくとも1つの力の大きさ及び少なくとも1つの力の方向を推測するために用いられ、
前記少なくとも1つの力の大きさ及び前記少なくとも1つの力の方向が処理されて前記能力測定基準を提供し、
前記処理ユニットが、
(a)理想的なリグ設定から取られた複数の入力変数に基づいて力のモデルを生成し、
(b)前記入力変数と相関する入力データであって、前記IMUから受信したデータを含む入力データを前記ウェアラブルセンサデバイスから受信し、
(c)当該ウェアラブルセンサデバイス入力データを前記力のモデルに適用することに基づいて力の推定値を算出し、
(d)前記力の推定値に基づいて前記モーションの能力測定基準を算出する
ように構成されている、システム。
【請求項13】
前記(d)が、前進方向の動きを入力することと、前記前進方向の動きに対して前記力の推定値を回転させることと、前記前進方向の動きにおける前記力の推定値の一部分を算出することと、を含み、前記能力測定基準が、前記前進方向の動きにおける前記力の推定値の前記一部分に基づく、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記モデルが1つ以上の統計的モデリング技術を用いて作成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記(b)の後に、特定のユーザ変数を前記力のモデルに入力する、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記特定のユーザ変数が、手のサイズ、指の広がり、及びカッピングの程度を含む群のうちの1つ以上を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記処理ユニットが、
前記ユーザ上に配置された少なくとも1つの圧力センサ及び慣性測定ユニット(IMU)の両方から方位データを受信し、
前記方位データを校正及び/又はフィルタリングし、
当該校正及び/又はフィルタリングされた方位データに基づいて前記ユーザ上の少なくとも1つのモーション力を推定し、
前記ユーザの前進方向座標系を推定し、当該推定された少なくとも1つのモーション力を前記座標系内へと回転させ、
360°プロットを提供し、前記プロットを複数(n個)のビン内にセグメント化し、
当該推定され回転させられた少なくとも1つのモーション力に対して、選択された平面内の対応するモーション力の方向を算出し、
前記対応するモーション力の方向に基づいて、前記推定され回転させられた少なくとも1つのモーション力を適切なビンに蓄積してグラフィックデータを生成し、
前記グラフィックデータを線グラフとしてプロットし、
前記線グラフを360°極座標プロットグラフに変換することによって前記ユーザのモーション力を計算して表示するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
前記ウェアラブルセンサデバイスが、前記能力測定基準を算出するときに静水圧の影響が取り除かれるように配置された2つ以上の圧力センサを含む、請求項に記載のシステム。
【請求項19】
ユーザのモーションの能力測定基準を系統的に表すためのシステムであって、
少なくとも1つの圧力センサと、慣性測定ユニット(IMU)と、前記少なくとも1つの圧力センサ及び前記IMUと通信するマイクロプロセッサと、前記マイクロプロセッサ、前記少なくとも1つの圧力センサ、及び前記IMUを収容する少なくとも1つの筐体と、を含むウェアラブルセンサデバイスと、
前記マイクロプロセッサを介して前記少なくとも1つの圧力センサ及び前記IMUの両方から入力データを受信するために前記ウェアラブルセンサデバイスと通信する外部ユニットと、
前記少なくとも1つの圧力センサ及び前記IMUの両方からの前記入力データを組み合わせるように構成された処理ユニットと、を備え、
当該組み合わされた入力データが、少なくとも1つの力の大きさ及び少なくとも1つの力の方向を推測するために用いられ、
前記少なくとも1つの力の大きさ及び前記少なくとも1つの力の方向が処理されて前記能力測定基準を提供し、
水泳に関する前記能力測定基準を算出するときに、前記圧力センサ及び前記IMUからの入力データの組み合わせが泳者のストロークのセグメント化及びフェーズを識別させる、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザのモーションの能力測定基準を系統的に表すためのシステム及び方法に関し、特に水上競技、具体的には水泳における応用のためのそのようなシステム及び方法に関する。本発明は、ストローク技能を集合的にモニタリングするためのウェアラブルデバイス及び関連するソフトウェアを含む。いくつかの実施形態は、特に上記応用を参照してここに説明されるが、本発明は、そのような使用分野に限定されず、より広い文脈で適用可能であることが理解されるはずである。
【背景技術】
【0002】
明細書全体にわたる背景技術の議論は、そのような技術が広く知られていること又はその分野における一般的知識の一部を形成していることの承認として見なされるべきではない。
【0003】
スポーツ能力をモニタリングするためのウェアラブルアクセサリがプロの競技者の間でよく知られており、一般的である。最近では、スポーツ能力をモニタリングするためのより安価なウェアラブルデバイスの出現により、そのような能力モニタリングが一般人にももたらされてきている。従来、入力や労力に関する洞察ではなく、結果のみに関する洞察を提供するストップウォッチ、ストローク数カウント、及び心拍数モニタリング等の基本的なツールしか利用可能ではなかった。
【0004】
水上競技をより具体的に見ると、全ての技能レベルの水上競技の競技者にとって、彼らの水泳能力に関する情報を測定及び収集することがますます一般的になっている。泳者及び/又は泳者のコーチは、収集した情報を用いて弱点の領域を評価し、水泳のラップタイムを短縮することを目的として能力を向上させることができる。
【0005】
水泳は本質的に複雑なモーションである。能力は、競技者が生成する身体システム上の抵抗力及び推進力に依存する。抵抗力は、競技者の前進方向と反対に作用する種々の形態の抗力(摩擦、圧力、及び波の抗力等)を含み、通常はフォーム及び技能に依存する。腕、足、及び全身のモーションによる推進力は、競技者がどの方向に労力を発揮しているのかに応じて、種々の方法で作用する。しかし、最終的には、前進方向における労力の成分のみが、競技者の希望の方向に競技者を前進させる。
【0006】
競技者が行った労力をベクトルとして定量的に測定することにより、それが力、パワー、圧力、又は何らかの他の関連する測定基準であるかどうかにかかわらず、真の能力及び労力効率の測定基準を導き出すことができ、これは、全ての方向における競技者の総出力労力を、泳者の希望の方向にのみ泳者を推進する労力に関連付けるものである。泳者に彼/彼女の技能をよりよく知らせることができる効率に関連する他の能力測定基準は、速度、ストロークレート、時間、及びストロークあたりの距離等の利用可能な他の測定基準と比較した場合、総労力の測定基準、及び希望の方向のみにおける労力から導き出すことができる。
【0007】
推進力、抵抗力、及び上述したような測定基準をモニタリング及び分析することにより、泳者は、抵抗力を最小化すると共に推進力の大きさ及び方向を増加及び最適化することによって、速度を増加させることができる。
【0008】
推進力を測定するための種々の既知技術が存在する。これらは、泳者にロープを取り付けること、ビデオシステムを用いること、制御された流水路を用いること、及びプール外機械を含む。このような既知のシステムは、簡単には持ち運ぶことができず、コストがかかり、また多くの場合、操作するのに訓練を受けた専門家を必要とする。これらのシステムは、通常、生体力学研究者向けに調整されている。従って、これらの設備は、通常、エリート競技者向けの最新鋭のトレーニングセンターにのみ設置されてそこで使用される。
【0009】
推進力を測定するための他の既知技術は、上述した設備の制限に悩まされることのないウェアラブルパーソナルデバイスを用いることを含む。これらの方法では、泳者の手のレベルで発生する推進力を評価するために、泳者の手の上での圧力センサの使用が検討される。
【0010】
水泳に関与する動力学及び運動学は非常に複雑である。殆どのコーチは、技能に関する泳者のミスを視覚的に特定できる(労力と時間がかかり、大きな間違いのみについて定性的なフィードバックを提供するだけではある)が、より微妙な技能のミスは特定するのが難しい可能性があり、前述の設備のいくつかが必要になる場合がある。これらの設備が扱いにくく高価であるだけでなく、捕捉データを分析して理解するのに通常は生体力学研究者を必要とするので、コーチがこれらの設備の使用を適用することはまれである。
【0011】
既知のデバイスは、手の周りの多数の圧力センサを用いて力の大きさの推定値を得ることに重点を置いて、手の上の圧力センサを用いて力を推定する。場合によっては、既知のデバイスは、個別のセンサを用いて方向をモニタリングすることもある。
【0012】
<関連技術の説明>
米国特許第4,654,010号は、泳者の手に装着された圧力変換器を利用する、水泳技能を測定するための方法及びデバイスを開示している。システムは、泳者の手のひらと手の甲の間の圧力差を測定する。データは時間に対してプロットされ、曲線の下の面積は水泳の「有効性」の測定値を与える。これは本質的には、時間の経過に伴う持続的な力出力の尺度であり、前進方向に関連する水泳の有効性を定量化するものではない。
【0013】
米国特許第5,663,897号は、水泳中に着用することができる手装着デバイス上で水泳能力及び水泳ストローク効率を測定する方法及び装置を開示している。能力及び効率の測定基準は、ストロークレート、サイクルタイム、距離、及び速度を含むが、これらに限定されない。その発明は、ストロークのカウントを可能にする回路の一部である力応答性膜の使用を開示している。その発明は、泳者によって生成される力の連続的なスカラー又はベクトルの測定値は開示していない。
【0014】
米国特許第6,183,396号は、泳者の手に取り付けられるように設計された手のひらプレートを開示している。プレートには、支持力、腕サイクル数、生成された力、消費カロリー、水温、及びパルスを算出することができるマイクロプロセッサに信号を送信する少なくとも1つの圧力センサが備えられており、上記の支持力等は全て読み出し画面上に表示することができる。その発明は、生成された力の方向の測定値は開示していない。
【0015】
米国特許出願第2010/0210975号は、水泳を含む種々の活動の能力をモニタリングするためのシステム及び方法を開示している。その発明は、活動の能力の特性又はその活動が行われる環境の特性を感知するための、一次デバイスあるいは随意的な追加の二次デバイス又は第三者デバイスを含む。圧力センサを用いて泳者の身体にかかる力の大きさ又は方向を算出することについての直接的な開示はない。
【0016】
米国特許第8,406,085号は、手首、手、及び足に配置された多数のセンサユニットを含む水泳デバイスを開示している。手首ユニットは少なくとも1つの圧力センサを含み、手/足ユニットは、指又は足の親指の第1体節に着用されるキャップに取り付けられた少なくとも1つの圧力センサを含む。その発明の目的は、経過時間を測定し、1セッションにおけるラップ数をカウントすることである。その発明は、ユーザに対する圧力情報の提示を開示しているが、慣性センサ又は位置センサを有していないので、圧力の方向情報は提供しない。
【0017】
米国特許出願第2014/0277628号は、特に泳者のターン、遠泳、又は水泳スタイルの決定に用いることができる1つ以上のモーション敏感センサを備える方法及びデバイスを開示している。泳者が行った労力の測定値の開示はない。
【0018】
クドウらの「非定常流条件で手モデルに作用する流体力の予測」(Kudo et al "Prediction of fluid forces acting on a hand model in unsteady flow conditions" Journal of Biomechanics 41.5 (2008): 1131-1136)は、非定常流水泳条件で人間の手に作用する流体力を予測する方法について論じている。機械的システムを用いて、水中で手モデルを回転させる。手にかかる力が測定され、高次の多項式を介して、何点かで手に取り付けられた12個の圧力トランスデューサと相関させられた。
【0019】
米国特許出願第2017/0043212号は、泳者の手の指又は手のひらにフィットする小さなパドルデバイスであって、コンピュータソフトウェアを介して競技者のモーションに対するリアルタイム測定及び分析を提供するパドルデバイスを含むシステムを開示している。しかし、このデバイスは、圧力センサ、及び測定された力の要素に入れられるべき方向データの両方の使用は開示していない。
【0020】
米国特許出願第2017/0128808号は、泳者の手又はパドルの周りに結び付けられた力感知ウェアラブルデバイスであって、水に働く力を測定する力感知ウェアラブルデバイスを含むシステムを開示している。しかし、この製品もまた、圧力センサ、及び測定された力の要素に入れられるべき方向データの両方の使用は開示していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
使用に便利で且つ正確なデータを提供するデバイスを用いてスポーツ能力をモニタリングすることが望ましい。本発明の目的は、先行技術の不利な点の少なくとも1つを克服又は改善すること、あるいは有用な代替を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の第1の態様によると、ユーザのモーションの能力測定基準を系統的に表すためのシステムであって、
少なくとも1つの圧力センサと、慣性測定ユニット(IMU)と、少なくとも1つの圧力センサ及びIMUと通信するマイクロプロセッサと、マイクロプロセッサ、少なくとも1つの圧力センサ、及びIMUを収容する少なくとも1つの筐体と、を含むウェアラブルセンサデバイスと、
マイクロプロセッサを介して少なくとも1つの圧力センサ及びIMUの両方から入力データを受信するためにウェアラブルセンサデバイスと通信する外部ユニットと、を備え、
少なくとも1つの圧力センサ及びIMUの両方からの入力データが組み合わされ、組み合わされた入力データが、少なくとも1つの力の大きさ又は少なくとも1つの力の方向を推測するために用いられ、少なくとも1つの力の大きさ及び少なくとも1つの力の方向が処理されて能力測定基準を提供する、システムが提供される。
【0023】
一実施形態では、少なくとも1つの力の大きさ及び少なくとも1つの力の方向の両方を推測するために、組み合わされた入力データが用いられる。更なる実施形態では、少なくとも1つの圧力センサ及びIMUの両方からの入力データを組み合わせることは、外部ユニットによって実施される。
【0024】
代替的実施形態では、少なくとも1つの圧力センサ及びIMUの両方からの入力データを組み合わせることは、マイクロプロセッサによって実施される。別の実施形態では、少なくとも1つの圧力センサ及びIMUの両方からの入力データを組み合わせることは、外部ユニット又はマイクロプロセッサによって実施される。
【0025】
一実施形態では、前進方向にある力の大きさの割合を評価することによって能力測定基準が算出される。更なる実施形態では、前進方向にある力の大きさの割合を評価することは、少なくとも1つの圧力センサからの圧力データをIMUからの慣性データで増強することを含む。
【0026】
別の実施形態では、全てのグローバル軸にわたって総インパルスを乗算した時間間隔の逆数を評価することによって能力測定基準が算出される。更なる実施形態では、全てのグローバル軸にわたって総インパルスを乗算した時間間隔の逆数を評価すること並びに正規化及びスケーリングを適用することによって能力測定基準が算出される。
【0027】
一実施形態では、抗力及び第1の押し上げ力から少なくとも1つの力の大きさ又は少なくとも1つの力の方向が算出される。
【0028】
一実施形態では、抗力及び第1の押し上げ力から少なくとも1つの力の大きさ及び少なくとも1つの力の方向が各々算出される。
【0029】
一実施形態では、抗力、第1の押し上げ力、及び第2の押し上げ力から少なくとも1つの力の大きさ又は少なくとも1つの力の方向が算出される。別の実施形態では、抗力、第1の押し上げ力、及び第2の押し上げ力から少なくとも1つの力の大きさ及び少なくとも1つの力の方向が各々算出される。
【0030】
一実施形態では、ウェアラブルセンサデバイスは少なくとも2つの圧力センサを含む。更なる実施形態では、ウェアラブルセンサデバイスは、ユーザの手に着用されるように適合されている。別の更なる実施形態では、ウェアラブルセンサデバイスは、ユーザの手のひらに巻き付けられるように適合されている。別の実施形態では、ウェアラブルセンサデバイスは、ユーザの手に着用され又はユーザの手のひらに巻き付けられるように適合されている。一実施形態では、少なくとも2つの圧力センサは、使用中に、手のひら及び手の甲側に隣接して配置される。代替的実施形態では、少なくとも2つの圧力センサは、使用中に、ウェアラブルセンサデバイスの直交表面上に配置される。代替的実施形態では、ウェアラブルセンサデバイスは、外向きの外面を含み、少なくとも2つの圧力センサは、使用中に、上記外面の反対側の外向き面上に配置される。
【0031】
一実施形態では、ウェアラブルセンサデバイスは、少なくとも4つの圧力センサを含む。
【0032】
一実施形態では、ウェアラブルセンサデバイスは、ユーザの手首に着用されるように適合されている。代替的実施形態では、ウェアラブルセンサデバイスは、ユーザの足に着用されるように適合されている。代替的実施形態では、ウェアラブルセンサデバイスは、ユーザの胴に着用されるように適合されている。代替的実施形態では、ウェアラブルセンサデバイスは、ユーザの背中に着用されるように適合されている。代替的実施形態では、ウェアラブルセンサデバイスは、ユーザの腰に着用されるように適合されている。代替的実施形態では、ウェアラブルセンサデバイスは、ユーザの頭に着用されるように適合されている。代替的実施形態では、ウェアラブルセンサデバイスは、ユーザの手首、足、胴、背中、腰、及び頭の群からの少なくとも1つに着用されるように適合されている。
【0033】
一実施形態では、前進方向を案出するためにIMUからの慣性データが少なくとも部分的に用いられる。
【0034】
一実施形態では、外部ユニットはスマートフォンである、一実施形態では、スマートフォンは、入力データを分析して能力測定基準を生成するためのソフトウェアを含む。更なる実施形態では、ウェアラブルセンサデバイスは、スマートフォンと無線通信する。別の更なる実施形態では、ウェアラブルセンサデバイスはブルートゥース(登録商標)トランシーバを含み、無線通信はブルートゥース(登録商標)を経由する。別の更なる実施形態では、ブルートゥース(登録商標)トランシーバはANT+ハードウェアを含み、無線通信もまた、ANT+プロトコルによるものである。
【0035】
一実施形態では、ウェアラブルセンサデバイスの少なくとも1つの筐体内に外部ユニットが収容される。代替的実施形態では、外部ユニットは、ウェアラブルセンサデバイスとは別個であり且つスマートウォッチ、コンピュータ、及び外部ウェアラブルトレーニングエイドを含む群のうちの1つである。
【0036】
一実施形態では、IMUは、加速度計、ジャイロスコープ、及び磁力計からなる群からの1つ以上を含む。別の実施形態では、IMUは、加速度計、ジャイロスコープ、及び磁力計を含む。
【0037】
一実施形態では、ウェアラブルセンサデバイスは複数のIMUを含む。
【0038】
一実施形態では、ウェアラブルセンサデバイスはデジタルディスプレイを含む。更なる実施形態では、ディスプレイは、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイである。
【0039】
一実施形態では、システムは、身体の異なる部分に着用される複数のウェアラブルセンサデバイスを含む。更なる実施形態では、複数のウェアラブルセンサデバイスは互いに無線通信する。
【0040】
一実施形態では、ウェアラブルセンサデバイスは複数の筐体を含み、各筐体は、マイクロプロセッサ、少なくとも1つの圧力センサ、及びIMUのうちの1つ以上を収容する。更なる実施形態では、ウェアラブルセンサデバイスは複数の圧力センサを含み、複数の圧力センサの各々は、複数の筐体のうちの独立した1つに収容される。別の更なる実施形態では、複数の筐体はユーザ上の異なる位置に装着される。
【0041】
一実施形態では、モーションは水上競技モーションである。より好ましい実施形態では、水上競技モーションは水泳ストロークである。
【0042】
一実施形態では、筐体は実質的に防水のものである。
【0043】
更なる実施形態では、システムは、ユーザのモーション力をグラフィック的に表示するためのディスプレイを含み、ユーザのモーション力は360°極座標プロットで表示される。
【0044】
本発明の第2の態様によると、ユーザのモーションの能力測定基準を系統的に表すための方法であって、
(a)理想的なリグ設定から取られた複数の入力変数に基づいて力のモデルを作成することと、
(b)モーションに係わっている間の使用のために、ウェアラブルセンサデバイスをユーザ上に配置することと、
(c)入力変数と相関する入力データをウェアラブルセンサデバイスから受信することと、
(d)ウェアラブルセンサデバイス入力データを力のモデルに適用することに基づいて力の推定値を算出することと、
(e)力の推定値に基づいてモーションの能力測定基準を算出することと、を備える方法が提供される。
【0045】
一実施形態では、方法の計算はマイクロプロセッサ上で行われてよい。代替的には、方法の計算は外部ユニット上で行われてよい。更なる実施形態では、方法の計算はマイクロプロセッサ又は外部ユニット上で行われてよい。一実施形態では、受信された入力データは慣性測定ユニット(IMU)データを含み、能力測定基準は力の推定値及びIMUデータに基づく。
【0046】
一実施形態では、(e)のステップは、前進方向の動きを入力することと、前進方向の動きに対して力の推定値を回転させることと、前進方向の動きにおける力の推定値の一部分を算出することと、を含み、能力測定基準は、前進方向の動きにおける力の推定値の一部分に基づく。
【0047】
一実施形態では、モデルは1つ以上の統計的モデリング技術を用いて作成される。更なる実施形態では、1つ以上の統計的モデリング技術は、回帰分析モデリングを含む。別の更なる実施形態では、回帰分析モデリングは、線形回帰モデル、多重線形回帰モデル、多項式回帰モデル、非線形回帰モデル、及びノンパラメトリック回帰モデルからなる群のうちの1つ以上を含む。
【0048】
一実施形態では、1つ以上の統計的モデリング技術は、決定木回帰、K最近傍アルゴリズム、人工ニューラルネットワーク、及びサポートベクトル機械からなる群のうちの1つ以上を含む。
【0049】
一実施形態では、(c)のステップの後に、特定のユーザ変数を力のモデルに入力する更なるステップを含む。更なる実施形態では、特定のユーザ変数は、手のサイズ、指の広がり、及びカッピングの程度を含む群のうちの1つ以上を含む。
【0050】
本発明の第3の態様によると、水泳ストロークの能力測定基準を系統的に表すためのシステムであって、
少なくとも1つの圧力センサと、慣性測定ユニット(IMU)と、少なくとも1つの圧力センサ及びIMUと通信するマイクロプロセッサと、マイクロプロセッサ、少なくとも1つの圧力センサ、及びIMUを収容する防水筐体と、を含む防水ウェアラブルセンサデバイスと、
マイクロプロセッサを介して少なくとも1つの圧力センサ及び(IMU)の両方から入力データを受信するためにウェアラブルセンサデバイスと通信する外部ユニットと、を備え、入力データが、少なくとも1つの力の大きさ又は少なくとも1つの力の方向を推測するために用いられ、入力データが処理されて能力測定基準を提供する、システムが提供される。
【0051】
一実施形態では、少なくとも1つの力の大きさ及び少なくとも1つの力の方向の両方を推測するために、組み合わされた入力データが用いられる。更なる実施形態では、少なくとも1つの圧力センサ及びIMUの両方からの入力データを組み合わせることは、外部ユニットによって実施される。
【0052】
代替的実施形態では、少なくとも1つの圧力センサ及びIMUの両方からの入力データを組み合わせることは、マイクロプロセッサによって実施される。
【0053】
一実施形態では、前進方向にある力の大きさの割合を評価することによって能力測定基準が算出される。更なる実施形態では、前進方向にある力の大きさの割合を評価することは、少なくとも1つの圧力センサからの圧力データをIMUからの慣性データで増強することを含む。
【0054】
一実施形態では、抗力及び第1の押し上げ力から少なくとも1つの力の大きさ又は少なくとも1つの力の方向が算出される。
【0055】
一実施形態では、抗力及び第1の押し上げ力から少なくとも1つの力の大きさ及び少なくとも1つの力の方向が各々算出される。
【0056】
一実施形態では、抗力、第1の押し上げ力、及び第2の押し上げ力から少なくとも1つの力の大きさ又は少なくとも1つの力の方向が算出される。別の実施形態では、抗力、第1の押し上げ力、及び第2の押し上げ力から少なくとも1つの力の大きさ及び少なくとも1つの力の方向が各々算出される。
【0057】
一実施形態では、ウェアラブルセンサデバイスは少なくとも2つの圧力センサを含む。更なる実施形態では、ウェアラブルセンサデバイスは、ユーザの手に着用されるように適合されている。別の更なる実施形態では、ウェアラブルセンサデバイスは、ユーザの手のひらに巻き付けられるように適合されている。一実施形態では、少なくとも2つの圧力センサは、使用中に、手のひら及び手の甲側に隣接して配置される。代替的実施形態では、少なくとも2つの圧力センサは、使用中に、ウェアラブルセンサデバイスの直交表面上に配置される。代替的実施形態では、ウェアラブルセンサデバイスは、外向きの外面を含み、少なくとも2つの圧力センサは、使用中に、上記外面の反対側の外向き面上に配置される。
【0058】
一実施形態では、ウェアラブルセンサデバイスは、少なくとも4つの圧力センサを含む。
【0059】
一実施形態では、ウェアラブルセンサデバイスは、ユーザの手首に着用されるように適合されている。代替的実施形態では、ウェアラブルセンサデバイスは、ユーザの足に着用されるように適合されている。代替的実施形態では、ウェアラブルセンサデバイスは、ユーザの胴に着用されるように適合されている。代替的実施形態では、ウェアラブルセンサデバイスは、ユーザの背中に着用されるように適合されている。代替的実施形態では、ウェアラブルセンサデバイスは、ユーザの腰に着用されるように適合されている。代替的実施形態では、ウェアラブルセンサデバイスは、ユーザの頭に着用されるように適合されている。
【0060】
一実施形態では、前進方向を案出するためにIMUからの慣性データが少なくとも部分的に用いられる。別の実施形態では、前進方向を案出するためにIMUからの磁気データが少なくとも部分的に用いられる。更なる実施形態では、前進方向を案出するために慣性データ及び磁気データの組み合わせが少なくとも部分的に用いられてよい。
【0061】
一実施形態では、外部ユニットはスマートフォンである、一実施形態では、スマートフォンは、入力データを分析して能力測定基準を生成するためのソフトウェアを含む。更なる実施形態では、ウェアラブルセンサデバイスは、スマートフォンと無線通信する。別の更なる実施形態では、ウェアラブルセンサデバイスはブルートゥース(登録商標)トランシーバを含み、無線通信はブルートゥース(登録商標)を経由する。別の更なる実施形態では、ブルートゥース(登録商標)トランシーバはANT+ハードウェアを含み、無線通信もまた、ANT+プロトコルによるものである。
【0062】
一実施形態では、ウェアラブルセンサデバイスの少なくとも1つの筐体内に外部ユニットが収容される。代替的実施形態では、外部ユニットは、ウェアラブルセンサデバイスとは別個であり且つスマートウォッチ、コンピュータ、タブレット、及び外部ウェアラブルトレーニングエイドを含む群のうちの1つである。
【0063】
一実施形態では、IMUは、加速度計、ジャイロスコープ、及び磁力計からなる群からの1つ以上を含む。別の実施形態では、IMUは、加速度計、ジャイロスコープ、及び磁力計を含む。
【0064】
一実施形態では、ウェアラブルセンサデバイスは複数のIMUを含む。
【0065】
一実施形態では、ウェアラブルセンサデバイスはデジタルディスプレイを含む。更なる実施形態では、ディスプレイは、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイである。
【0066】
一実施形態では、システムは、身体の異なる部分に着用される複数のウェアラブルセンサデバイスを含む。更なる実施形態では、複数のウェアラブルセンサデバイスは互いに無線通信する。
【0067】
一実施形態では、ウェアラブルセンサデバイスは複数の筐体を含み、各筐体は、マイクロプロセッサ、少なくとも1つの圧力センサ、及びIMUのうちの1つ以上を収容する。更なる実施形態では、ウェアラブルセンサデバイスは複数の圧力センサを含み、複数の圧力センサの各々は、複数の筐体のうちの独立した1つに収容される。別の更なる実施形態では、複数の筐体はユーザ上の異なる位置に装着される。
【0068】
本発明の第4の態様によると、ユーザのモーション力を算出及び表示するための方法であって、
ユーザ上に配置された少なくとも1つの圧力センサ及び慣性測定ユニット(IMU)の両方から方位データを受信するステップと、
方位データを校正及び/又はフィルタリングするステップと、
校正及び/又はフィルタリングされた方位データに基づいてユーザ上の少なくとも1つのモーション力を推定するステップと、
ユーザの前進方向座標系を推定し、推定された少なくとも1つのモーション力を座標系内へと回転させるステップと、
360°プロットを提供し、プロットを複数(n個)のビン内ににセグメント化するステップと、
推定され回転させられた少なくとも1つのモーション力に対して、選択された平面内の対応するモーション力の方向を算出するステップと、
対応するモーション力の方向に基づいて、推定され回転させられた少なくとも1つのモーション力を適切なビンに蓄積してグラフィックデータを生成するステップと、
グラフィックデータを線グラフとしてプロットするステップと、
線グラフを360°極座標プロットグラフに変換することによってユーザのモーション力を表示するステップと、を備える方法が提供される。
【0069】
一実施形態では、複数のモーションが同時にプロットされる。一実施形態では、複数のモーションの各々に対して、複数の圧力センサのうちの1つと複数のIMUのうちの1つとから方位データが受信される。一実施形態では、複数の圧力センサの各々と複数のIMUとのうちの少なくとも2つがユーザ上の2つの異なる位置に配置される。
【0070】
本発明の第5の態様によると、ユーザのモーション力を表示するためのシステムであって、
少なくとも1つの圧力センサと、慣性測定ユニット(IMU)と、少なくとも1つの圧力センサ及びIMUと通信するマイクロプロセッサと、マイクロプロセッサ、少なくとも1つの圧力センサ、及びIMUを収容する少なくとも1つの筐体と、を含むウェアラブルセンサデバイスと、
マイクロプロセッサを介して少なくとも1つの圧力センサ及びIMUの両方から入力データを受信するためにウェアラブルセンサデバイスと通信する外部ユニットであって、少なくとも1つの圧力センサ及びIMUの両方からの入力データが組み合わされ、組み合わされた入力データが、少なくとも1つの力の大きさ又は少なくとも1つの力の方向を推測するために用いられ、少なくとも1つの力の大きさ及び少なくとも1つの力の方向が処理されてユーザのモーション力を提供する外部ユニットと、
ユーザのモーション力をグラフィック的に表示するためのディスプレイであって、ユーザのモーション力が360°極座標プロットで表示されるディスプレイと、を備えるシステムが提供される。
【0071】
一実施形態では、複数のモーションが同時にプロットされる。一実施形態では、システムは複数のウェアラブルセンサデバイスを含み、複数のモーションの各々に対して、複数のウェアラブルセンサデバイスのうちの1つから方位データが受信される。一実施形態では、複数のウェアラブルセンサデバイスのうちの少なくとも2つがユーザ上の2つの異なる位置に配置される。更なる実施形態では、少なくとも1つの筐体は実質的に防水のものである。
【0072】
本発明の第6の態様によると、ユーザのモーション力を表示するためのシステムであって、
少なくとも1つの圧力センサと、慣性測定ユニット(IMU)と、少なくとも1つの圧力センサ及びIMUと通信するマイクロプロセッサと、マイクロプロセッサ、少なくとも1つの圧力センサ、及びIMUを収容する少なくとも1つの筐体と、を含むウェアラブルセンサデバイスと、
マイクロプロセッサを介して少なくとも1つの圧力センサ及びIMUの両方から入力データを受信するためにウェアラブルセンサデバイスと通信する外部ユニットであって、少なくとも1つの圧力センサ及びIMUの両方からの入力データが組み合わされ、組み合わされた入力データが、少なくとも1つの力の大きさ又は少なくとも1つの力の方向を推測するために用いられ、少なくとも1つの力の大きさ及び少なくとも1つの力の方向が処理されてユーザのモーション力を提供する外部ユニットと、
図19A及び20Aに示されるプロットタイプに従いユーザのモーション力をグラフィック的に表示するためのディスプレイと、を備えるシステムが提供される。
【0073】
一実施形態では、一対のモーションが同時にプロットされる。一実施形態では、システムは一対のウェアラブルセンサデバイスを含み、一対のモーションの各々に対して、一対のウェアラブルセンサデバイスのうちのそれぞれ1つから方位データが受信される。一実施形態では、一対のウェアラブルセンサデバイスのそれぞれがユーザ上の2つの異なる位置に配置される。更なる実施形態では、少なくとも1つの筐体は実質的に防水のものである。
【0074】
本発明の第7の態様によると、各々が力の大きさ及び力の方向を有する複数の力に対して360°極座標プロットグラフを提供するための方法であって、
360°プロットを提供し、プロットを複数(n個)のビン内にセグメント化するステップと、
複数の力の各々に対して、各それぞれの力の方向に基づいて、選択された平面内の対応するモーション力の方向を算出するステップと、
モーション力の方向に基づいて、複数の力の各々に対する力の大きさを適切なビン内にに蓄積してグラフィックデータを生成するステップと、
グラフィックデータを線グラフとしてプロットするステップと、
線グラフを360°極座標プロットグラフに変換するステップと、を備える方法が提供される。
【0075】
一実施形態では、複数のモーションが同時にプロットされる。
【0076】
本明細書全体を通して、「1つの実施形態」、「いくつかの実施形態」、又は「一実施形態」への言及は、その実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、又は特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書全体を通して、種々の場所での「1つの実施形態において」、「いくつかの実施形態において」、又は「一実施形態において」という句の出現は、必ずしも全て同じ実施形態を参照するとは限らないが、そうであることもある。更に、1つ以上の実施形態では、本開示から当業者に明らかであろうように、特定の特徴、構造、又は特性が任意の適切な方法で組み合わされてよい。
【0077】
本発明のいずれかの態様によると、ユーザのモーションの能力測定基準を系統的に表すためのシステムであって、
少なくとも1つの圧力センサと、慣性測定ユニット(IMU)と、少なくとも1つの圧力センサ及びIMUと通信するマイクロプロセッサと、マイクロプロセッサ、少なくとも1つの圧力センサ、及びIMUを収容する少なくとも1つの筐体と、を含むウェアラブルセンサデバイスと、
マイクロプロセッサを介して少なくとも1つの圧力センサ及びIMUの両方から入力データを受信するためにウェアラブルセンサデバイスと通信する外部ユニットと、
少なくとも1つの圧力センサ及びIMUの両方からの入力データを組み合わせるように構成された処理ユニットと、を備え、
組み合わされた入力データが、少なくとも1つの力の大きさ又は少なくとも1つの力の方向を推測するために用いられ、
少なくとも1つの力の大きさ及び少なくとも1つの力の方向が処理されて能力測定基準を提供する、システムが提供される。
【0078】
更なる実施形態では、少なくとも1つの圧力センサ及びIMUの両方からの入力データを組み合わせるように構成された処理ユニットが、外部ユニット又はマイクロプロセッサの少なくとも一部を形成する。1つの実施形態では、処理ユニットはマイクロプロセッサの一部である。別の実施形態では、処理ユニットは外部ユニットの一部である。代替的実施形態では、処理ユニットは、マイクロプロセッサ及び/又は外部ユニットとは別個であるが、マイクロプロセッサ及び/又は外部ユニットと通信する。
【0079】
ここで用いられる場合、共通の対象を説明するための序数形容詞「第1」、「第2」、「第3」等の使用は、特に明記されない限り、単に同様の対象の異なる事例が参照されていることを示し、そのように説明された対象が、時間的に、空間的に、順位付けにおいて、又は任意の他の方法において所定の順序である必要があることを暗示するものではない。
【0080】
以下の特許請求の範囲及びここでの説明において、備えている(comprising)、備えられる(comprised of)、又は備える(which comprises)の用語の任意の1つは、少なくとも以下の要素/特徴を含むが、他のものを除外しないことを意味する開放された用語である。従って、特許請求の範囲で用いられる場合、備えているという用語は、その後に列挙される手段、要素、又はステップを限定するものとして解釈されるべきではない。例えば、A及びBを備えているデバイスという表現の範囲は、要素A及びBのみからなる(consisting only of)デバイスに限定されるべきではない。ここで用いられる場合、含んでいる(including)又は含む(which includes or that includes)の用語の任意の1つもまた、少なくとも以下の要素/特徴を含むが、他のものを除外しないことを意味する開放された用語である。従って、「含んでいる」は、「備えている」と同義であり、「備えている」を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0081】
本開示の好ましい実施形態は、添付の図面を参照して、例としてのみ以下に説明される。
図1図1は本発明のシステムの概念的ブロック図である。
図2A図2Aは使用中の図1のシステムのウェアラブルセンサデバイスの上面図である。
図2B図2B図2Aのウェアラブルセンサデバイスの右側面図である。
図2C図2C図2A及び2Bのウェアラブルセンサデバイスの底面図である。
図2D図2D図2A~2Cのウェアラブルセンサデバイスの左側面図である。
図3A図3Aは使用中の図1のシステムのウェアラブルセンサデバイスの代替的実施形態の上面図である。
図3B図3B図3Aのウェアラブルセンサデバイスの右側面図である。
図3C図3C図3A及び3Bのウェアラブルセンサデバイスの底面図である。
図3D図3D図3A~3Cのウェアラブルセンサデバイスの左側面図である。
図3E図3E図3A~3Dのウェアラブルセンサデバイスの右上正投影図であり、係合していない調節可能バンドを示している。
図4A図4Aは使用中の図1のシステムのウェアラブルセンサデバイスの代替的実施形態の底面図である。
図4B図4B図4Aのウェアラブルセンサデバイスの右側面図である。
図4C図4C図4A及び4Bのウェアラブルセンサデバイスの上面図である。
図5A図5Aは使用中の図1のシステムのウェアラブルセンサデバイスの代替的実施形態の底面図である。
図5B図5B図5Aのウェアラブルセンサデバイスの右側面図である。
図5C図5C図5A及び5Bのウェアラブルセンサデバイスの上面図である。
図6A図6Aは使用中の図1のシステムのウェアラブルセンサデバイスの代替的実施形態の上面図である。
図6B図6B図6Aのウェアラブルセンサデバイスの底面図である。
図6C図6Cは使用中でない図6A及び6Bのウェアラブルセンサデバイスの右上正投影図である。
図7A図7Aは使用中の図1のシステムのウェアラブルセンサデバイスの代替的実施形態の底面図である。
図7B図7B図7Aのウェアラブルセンサデバイスの右側面図である。
図7C図7C図7A及び7Bのウェアラブルセンサデバイスの上面図である。
図8図8図1のウェアラブルセンサデバイスの表示の複数バージョン例の図である。
図9図9図1のシステムの力モデルの主要構成要素を示すシステムの概念的ブロック図である。
図10図10はウェアラブルセンサデバイスのハードウェアの概念的ブロック図である。
図11図11はフィードバックアルゴリズムをグラフィック的に示すフローチャート図である。
図12図12はフィードバックアルゴリズムをグラフィック的に示すフローチャート図である。
図13図13図9の力モデルを含む図1のシステムの一般的なプロセスのフローチャート図である。
図14図14図1のシステムのユーザインターフェースの出力表示の一実施形態の図である。
図15図15図1のシステムのユーザインターフェースの出力表示の一実施形態の図である。
図16図16図1のシステムのユーザインターフェースの出力表示の一実施形態の図である。
図17A図17A図1のシステムのユーザインターフェースの出力ディスプレイに示される力プロファイルを示す図(その1)である。
図17B図17Bは、図1のシステムのユーザインターフェースの出力ディスプレイに示される力プロファイルを示す図(その1)である。
図18図18図1のシステムのユーザインターフェースの出力表示の一実施形態の図である。
図19A図19Aは、ユーザのモーションを示す円形プロット出力表示の一実施形態の図である。
図19B図19Bは、図19Aに示されるモーションの線形プロット出力の一実施形態の図である。
図20A図20Aは、異なる記録モーションを示す図19Aの円形プロット出力の代替バージョンである。
図20B図20Bは、図20Aに示されるモーションの線形プロット出力の一実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0082】
図1及び図3A~3Eを参照すると、ユーザ、好ましくは泳者のモーション、好ましくは水上競技モーション、より好ましくは水泳ストロークの能力測定基準を系統的に表すためのシステム100が提供される。システム100はウェアラブルセンサデバイス101を含み、ウェアラブルセンサデバイス101は、2つの圧力センサ201及び202と、9自由度(9-DOF)慣性測定ユニット(IMU)205と、圧力センサ201及び202並びにIMU205と通信するマイクロプロセッサ(図示せず)と、マイクロプロセッサ、圧力センサ201及び202並びにIMU205を収容する可撓性シリコーンバンド110の形態にある防水筐体と、を含む。
【0083】
システム100はまた、好ましくはスマートフォン111、タブレット112、スマートウォッチ若しくはウェアラブルデバイス(集合的に参照番号113によって表される)、又はパーソナルコンピュータの形態にある外部コンピュータユニット115を含み、外部コンピュータユニット115は、マイクロプロセッサを介して、圧力センサ201及び202とIMU205との両方からの入力データを受信し、随意的又は追加的にはそれらの入力データを組み合わせるために、デバイス101と通信する。圧力センサ201及び202とIMU205との両方からの入力データの組み合わせは、外部コンピュータユニット115又は任意の他の外部ユニットによって受信される前に、マイクロプロセッサ上で生じてよいことが理解されるはずである。代替的には、圧力センサ201及び202とIMU205との両方からの入力データの組み合わせは、外部コンピュータユニット115によって受信された後で、外部ユニット上で生じてよい。入力データは、少なくとも1つの力の大きさ及び少なくとも1つの力の方向を推測するために用いられ、またモーションの能力測定基準を提供するために用いられる。
【0084】
代替的実施形態では、システム100は、圧力センサ201及び202とIMU205との両方からの入力データを組み合わせるように構成された処理ユニット(図示せず)を更に含む。処理ユニットは、マイクロプロセッサ(図示せず)の少なくとも一部を形成していてよく、あるいはマイクロプロセッサに組み込まれていてよい。代替的には、処理ユニットは、外部コンピュータユニット115の少なくとも一部を形成していてよく、あるいは外部コンピュータユニット115に組み込まれていてよい。他の実施形態では、処理ユニットは、マイクロプロセッサ及び/又は外部コンピュータユニットから分離されていてよいが、マイクロプロセッサ及び/又は外部コンピュータユニットと通信してよい。
【0085】
<ウェアラブルデバイス>
特に図3A~3Eを参照すると、デバイス101は、手のひら211にぴったりと巻き付けられてユーザの手210に着用されるように適合されている。図示された実施形態は、左手210に着用されているものとして示されているが、同様に右手の対応する位置に着用可能である。デバイス101は、2つの圧力センサ301及び302を含む。図3Aに示されるように、圧力センサ301は、使用中に、圧力センサ301が手のひら211の実質的に中央に位置するように、デバイス101上に配置される。図3Dに示されるように、圧力センサ302は、使用中に、圧力センサ302が小指213に隣接する左手210の短縁側に位置するように、デバイス101上に配置される。IMU205(図3A~3Eには図示せず)は、IMU205からのデータの測定には影響を及ぼさないので、デバイス101の任意の部分上に配置され得ることが理解されるはずである。尚、この実施形態では、バンド110は、以下でより詳細に説明される調節可能バンド配置である。
【0086】
他の実施形態では、デバイス101は、3つ以上の圧力センサを含むことが理解されるはずである。特に図2A~2Dを参照すると、デバイス101の代替的実施形態は、参照番号201、202、203、及び204によって示される4つの圧力センサを含む。図2Aに示されるように、圧力センサ201は、使用中に、圧力センサ201が左手210の甲側212の実質的に中央に位置するように、デバイス101上に配置される。図2Cに示されるように、圧力センサ202は、使用中に、圧力センサ202が手のひら211の実質的に中央に位置するように、デバイス101上に配置される。図2Bに示されるように、圧力センサ203及びIMU205は、使用中に、圧力センサ203及びIMU205が人差し指214及び親指215に隣接する左手210の短縁側に位置するように、デバイス101上で互いに実質的に隣接して配置される。図2Dに示されるように、圧力センサ204は、使用中に、圧力センサ204が小指213に隣接する左手210の短縁側に位置するように、デバイス101上に配置される。上述したように、他の実施形態では、IMU205は、例えば、小指213に隣接する左手210の反対側の短縁上での使用中に、デバイス101の他の部分上に配置される。
【0087】
他の実施形態では、2つ又は4つ以外の個数の圧力センサが存在することが理解されるはずである。図3A~3Eの2つの圧力センサ構成は、調節可能バンドなしで図2A~2Dの実施形態にも適用可能であることが更に理解されるはずである。そのような実施形態では、デバイス101は、圧力センサ202及び204のみを含んでいてよい。別の実施形態では、デバイス101は、使用中にユーザの左手の手のひらの実質的に中央に位置する1つの圧力センサを含む。
【0088】
他の実施形態では、2つ以上の圧力センサは、使用中に手のひら、甲、遠位、近位、又は親指若しくは小指の近くの手のいずれかの短縁上に配置することができ、IMUは手のどこかに貼り付けることができる。他の実施形態では、複数の圧力センサは、使用中に遠位(指先に隣接)及び近位(手首に近い)を含む手及び指上の任意の位置に配置することができる。圧力センサの配置は、防水筐体の形状によってのみ制限されることが理解されるはずである。
【0089】
水泳に特有の実施形態では、それぞれ2組の圧力センサ及びIMUが、泳者の両手上に配置される。更に他の実施形態では、複数の圧力センサ及びIMUが、手首、腕の他の部分、肩、足、脚、胴、背中、腰、及び頭のうちの1つ以上を含む泳者の身体上に配置される。好ましい実施形態では、複数の圧力センサ及びIMUは無線通信する。他の実施形態では、複数の圧力センサ及びIMUは、互いに配線で接続される。
【0090】
尚、2つ以上の圧力センサの使用により、センサ対の差動信号を取ることによって、能力測定基準を算出することの一部として静水圧の影響を取り除くことが可能である。これら2つ以上の圧力センサは、使用中に手の互いに反対の側で対称的に配置され又は代替的には手の前面及び側面等に配置されるように配列することができる。好ましい4つの圧力センサの実施形態は、これらの構成の両方を網羅することが理解される。
【0091】
マイクロプロセッサは、ARMマイクロプロセッサの形態を取る。更に、デバイス101は、オンボード不揮発性メモリを含み、リチウムイオン充電式バッテリ(正電圧レギュレータを含む)によってパワーを供給される。デバイス101はまた、デバイス101と外部コンピュータユニット115の間の無線通信を可能にするためのトランシーバの形態で、ブルートゥース(登録商標)機能、より好ましくはブルートゥース(登録商標)低エネルギー(Bluetooth Low Energy)を含む。デバイス101は、心拍数モニター等の他の知覚ウェアラブルデバイス又は異なる肢に着用された別のデバイス101との通信に特に有用なANT+ハードウェアを含む。他の実施形態では、外部コンピュータユニット115の構成要素及び/又は機能は、デバイス101に組み込まれ、同じ筐体、この場合はバンド110内に収容される。
【0092】
図2Aの実施形態に最もよく示されるように、デバイス101は、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ220を含む。他の実施形態では、ディスプレイは、OLEDディスプレイ以外、例えば、液晶ディスプレイ(LDC)である。更に、図3A~3Eのものと同様の他の実施形態では、ディスプレイが含まれることが理解されるはずである。ディスプレイ220は、バッテリパワー等の一般的なデバイス情報を提供し、また効率フィードバックをユーザに提供する。ユーザは、どの測定基準がディスプレイ220上に表示されるべきか、従ってどの測定基準が水泳等の活動中に見られるべきかを選択的に設定することができる。図8を参照すると、ディスプレイ220によって表示される測定基準のいくつかの例が示されており、これらは、インパルス(IMPULSE)(この例では「42.0Ns」として表示)、ペース(PACE)(この例では「000.0s/100m」として表示)、抗力(DRAG)(この例では「23.0%」として表示)、効率(EFF.)(この例では「89.5%」として表示)、前進力(FORWARD FORCE)(この例では「000.0%」として表示)、及びピーク加速度(PEAK ACCEL.)(この例では「000.0m/s」として表示)を含む。
【0093】
他の実施形態では、異なる能力測定基準が利用可能であり、これらは以下のものを含むが、それらに限定されない。
・身体部分上の力(ニュートン単位)。
・効率(パーセンテージ)。
・各グローバル軸における力(ニュートン単位)。実施形態では、グローバル軸は、前進方向のモーション、即ち、ユーザのモーションの結果としての所望の方向の動きに関係している。他の実施形態では、グローバル軸は、泳者の身体の一部に関係している。
・生成されたパワー(ワット単位)。
・仕事量(ジュール単位)。
・各グローバル軸におけるインパルス(ニュートン秒単位)。
・エントリー、プル、プッシュ、エグジット、リカバリーを含むストロークの各部分において開示された任意の測定基準。
・ストローク長(メートル又はフィート単位)。
・ストロークレート(1分あたりのストローク数単位)。
・ラップタイム(秒又はミリ秒単位)。
・スプリットタイム(秒又はミリ秒単位)。
・ラップ数。
・ラップあたりのストローク数。
・ストロークタイプ(自由形、平泳ぎ、バタフライ、又は背泳ぎのいずれか)。
・速度又はペース(メートル/秒、秒/100メートル、又は帝国単位相当)。
・手/身体加速度(メートル/秒)。
・ストロークパス(3Dプロットとして表示)。
・ストローク全体での手の角度(図/プロットとして表示)。
・平均/中央値/ピーク力角度(度単位)。
【0094】
別の実施形態では、能力測定基準は、全てのグローバル軸における総インパルスで乗算された時間間隔の逆数を取ることから導出される逆インパルス秒であってよい。時間間隔は、ラップタイム又は他の適切な時間間隔であってよい。逆インパルス秒能力測定基準のいくつかの実施形態では、正規化及びスケーリングが、全てのグローバル軸における総インパルスで乗算されたラップタイムの逆数に適用されてよい。逆インパルス秒能力測定基準は、所定の期間の能力を反映する値を出力する。更に、ラップタイムとラップに沿った総インパルス(即ち、力の積分)の両方が低い場合に、最適値が与えられる場合がある。
【0095】
例えば、水泳等の水上競技との関連では、短いラップタイムは迅速に泳いでいることを示し、低いラップタイムでの低いインパルスは効率的に泳いでいることを意味する。インパルスが高く、ラップタイムが低い場合、水泳モーションが非効率的であると判断されてよい。更に、インパルスが低く、ラップタイムが高い場合、水泳モーションが効率的であると判断されてよいが、ユーザは十分なパワーを投入していない可能性がある。ラップタイムとインパルスの両方が高い場合、泳者が水泳モーションに多大な労力を費やしていると判断されてよいが、ユーザは結果を出していない。
【0096】
逆インパルス秒能力測定基準又はその任意の変形は、「iimps」と略称されることがあるが、任意の他の名前が用いられ得ることが理解されるはずである。
【0097】
更に、異なる実施形態では、上記測定基準は、代替的な測定単位を利用して提供されてよいことが理解されるはずである。
【0098】
更に、異なる実施形態では、上記測定基準は、ディスプレイ220又は外部コンピュータユニット115上で可視化され得ることが理解されるはずである。他の実施形態では、ある数字(図又はプロットを必要とするような数字)を超えてより複雑な表現を必要とする測定基準は、外部コンピュータユニット115上でのみ可視化され得る。しかし、ディスプレイ220の代替的実施形態は、より複雑な表現を表示することが可能である。
【0099】
図14~18を参照すると、特に力プロファイルを表示するために、いくつかのより複雑な表現が提供されている。
図14は、能力測定基準(この場合はパワー)を示すグラフィック的な力プロファイルの例を示しており、これは、ストロークを4つのフェーズ(エントリ1401、プル1402、プッシュ1403、エグジット1404)にセグメント化し、エントリの現在のパワー測定値を示し、それを泳者の60日間の平均と比較している。
図15は、ストローク、ラップ、セッション、又は任意の期間のうちの1つの要約を示すグラフィック的な力プロファイルの例を示している。このグラフ表示は、3つの軸に分解された力プロファイルの大きさを示している。数値は、ストロークのインパルス又は複数の平均を表している。
図16は、ある期間にわたる3つのストロークの力「漏れ」を示すグラフィック的な力プロファイルの例を示している。力「漏れ」は、上向き軸及び右向き軸に加えられる力である。
図17A及び17Bは、それぞれ、各方向に対して積分線グラフとして示される単一ストロークのグラフィック的な力プロファイルの例と、各方向に対して同じ軸上でプロットされた線グラフとして示される単一ストロークのグラフィック的な力プロファイルの例と、を示している。両図とも2つ以上のストロークを示すことができ、全期間を表示するためのアプリケーションパラダイムとして用いられる。
図18は、ラップ距離上でプロットされたインパルスストロークのグラフィック的な表現の例を示している。特に、ピーク力、ストロークあたりの距離、及びストロークあたりの時間を含む他の測定基準も同様の方法でプロットすることができる。
【0100】
更なる実施形態では、測定基準及び/又はデータは、捕捉された画像又は映像等の視覚媒体と同期して表示されてよい。同期は、関連データ上のタイムスタンプを利用及び/又は調整することによって制御されてよい。しかし、任意の適切な同期手段が用いられてよいことが理解されるはずである。同期されたデータは、同じディスプレイ又は別々のディスプレイ上で表示されてよい。データ及び視覚媒体は、同期して並べて表示されてよい。代替的実施形態では、同期されたデータは、映像にデータを重ねることによって表示されてよい。
【0101】
そのような力プロファイルの算出及び生成を以下で詳細に説明する。
【0102】
最後に、他の実施形態では、デバイス101は、汎用ボタンを含む。他の実施形態では、2つ以上の汎用ボタンが含まれる。実施形態では、ボタンは、バンド110と一体的に形成される。ユーザは、汎用ボタンを用いて測定基準の各々を切り替えることができる。
【0103】
IMU205は、加速度計、ジャイロスコープ、及び磁力計を含む。他の実施形態では、IMUは、加速度計、ジャイロスコープ、及び磁力計のうちの任意の1つ、又は加速度計、ジャイロスコープ、及び磁力計のうちの任意の2つの組み合わせを含む。
【0104】
更なる実施形態では、デバイス101は、複数のIMUを含む。異なる実施形態では、IMUの各々は、互いに同一又は異なり、あるいは同一及び異なるIMUの組み合わせのいずれかである。
【0105】
バンド110は、使用時の快適さのために設計された完全防水の可撓性シリコーン構造である。異なる実施形態では、バンド110は、泳者に応じて異なるサイズであり、しっかりしたフィッティングを確実にする調節機能のための手段を含む。例えば、バンド110は、異なるサイズのバンドが人口の大多数にフィットするように、いくつかの予め定義されたサイズ(「小」、「中」、及び「大」サイズとしてラベル付けされている)で製造される。
【0106】
図2A~2Dに示されるように、バンド110は、手の指の周りではなく、手のひらの周りに着用され、ぴったりとしたリング状に結び付けられる。このような手との係合は、指が遮られない状態にし、泳者がより良い「水に対する感触」を得ることを可能にするので、水泳にとって好ましい。また、自然な指の広がりは、指装着デバイスにより拘束され得る泳者ごとに異なる。更に、手のひらの比較的大きな表面積を考慮すると、かなり大きな圧力が手のひらにかかるため、手のひらは指よりも優れた感知位置である。
【0107】
柔軟なシリコーン構造は、手の周りでの快適でぴったりとしたフィッティングを確実にするのに適合している。柔軟な材料と異なるバンドサイズの組み合わせは、デバイス101が使用中に脱落しないように手のひらの周りにぴったりとフィットするというデバイスに対する要求を満たす。
【0108】
図3A~3Eを参照すると、この実施形態では、バンド110は、調節機能付きの「万能サイズ」のバンドである。図3Eに最もよく示されるように、このバンドは、複数の開口311の1つと係合するバンド110の一端のピン310によって調節可能であり、ピン310と開口311の1つとの間に締まりばめが存在することで、バンド110を特定の望ましいサイズに設定する。
【0109】
主として水泳用に設計されたデバイス101の他の実施形態を以下に示す。
図4A~4Cは、全ての実施形態と同様に、3つの圧力センサ401、402、及び403とディスプレイ420とIMU(図示せず)とを備えたリング着用デバイスとしてのデバイス101を示しており、この実施形態は、泳者の左手の人差し指及び中指に着用するように適合されている。
図5A~5Cは、3つの圧力センサ501、502、及び503とディスプレイ520とIMU(図示せず)とを備えたグローブ状デバイスとしてのデバイス101を示しており、この実施形態は、泳者の左手に着用するように適合されており、それぞれ親指、手首、及び他の指の制約のない伸長を可能にするための3つの開口を有する。
図6A~6Cは、少なくとも2つの圧力センサ601及び602とディスプレイ620とIMU(図示せず)とを備えたパドル構成の一部としてのデバイス101を示しており、この実施形態は、泳者の左手のひらの周りにデバイス101によって結び付けられるパドル610であって、泳者の左手の中指609に補助ストラップ611によって結び付けられるパドル610を含む。
図7A~7Cは、3つの圧力センサ701、702、及び703とディスプレイ720とIMU(図示せず)とを備えた手首着用デバイスとしてデバイス101を示しており、この実施形態は、泳者の左手首710の周りに着用するように適合されている。
【0110】
次に図10を参照すると、デバイス101の一実施形態のアーキテクチャのより一般的な概略図が示されている。より具体的には、上述したセンサは、参照番号1001によって集合的に表され、加速度計、ジャイロスコープ、及び磁力計(上述したようにこれらはIMU205に集合的に含まれる)等のハードウェアと、圧力センサ201、202、203、及び204を集合的に代表する圧力センサと、を含む。センサ1001は、上述したマイクロプロセッサを代表するプロセッサコア1002に入力を提供し、プロセッサコア1002はメモリストレージモジュール1003及び通信モジュール1004と通信する。モジュール1004は、上述したブルートゥース(登録商標)トランシーバ及びANT+ハードウェアを代表する無線通信ハードウェアを含む。プロセッサコア1002はユーザインターフェース出力1005に入力を提供し、ユーザインターフェース出力1005は、視覚出力(ディスプレイ220等)、聴覚出力(ユーザが着用するヘッドセット又はヘッドホンを介して)、及びデバイス101のユーザに関与する触覚出力を含む。デバイス101には、プロセッサコア1002及び通信モジュール1004への入力を提供するユーザインターフェース入力1006(汎用ボタン等)も含まれる。最後に、デバイス101は、バッテリ1007及びパワー管理モジュール1008を含み、これらは協働してデバイス101にパワーを供給し、デバイス101のパワー効率を最適化するためのものである。
【0111】
<力のモデリング及び測定>
デバイス101から取られたデータが有用であるためには、データをソフトウェアモデルに適用して意味のある結果を系統的に表すことができるように、ソフトウェアモデリングが必要である。具体的には、抗力、第1の押し上げ力、及び第2の押し上げ力の推定値を提供するためには、3つの別々の力モデルが必要である。各力モデルは、最適な精度で力の推定値を提供するために作成され、次いでモデルをリアルタイムで用いて、ユーザが生成している対応する力を算出することができる。力の各モデルは、いくつかの入力変数、主にセンサデータを用いて同じ基本的な方法で作成される。従って、「モデル」への言及は、3つの別々の力モデルのいずれか又は任意の組み合わせに関連するものと解釈される。
【0112】
好ましい実施形態では、モデルは、機械的リグで取得される一連のテストデータを用いて確立され、機械的リグは、デバイス101に対してほぼ同じ形状並びに同じセンサ構成及び配置を有するリグ固定具にかかる力を測定するように構成される。作成されたモデルは次いでライブで用いられ、入力データは、テストデータの各データソースに対応する方法で、各データソース(圧力センサ又はIMU等)からモデルに供給される。つまり、特定の場所に位置する特定のセンサから取得したデータは、同じセンサから取得した「最適な精度の力の推定値」相当量と比較される。少なくとも1つの測定値(直接のもの又は導出されたものにかかわらず)が、圧力センサ201及び202のうちの少なくとも1つ及びIMU205の各々から取られる。力、圧力、慣性、及び位置の測定値の間には相関関係があるので、これら全ての要因を組み合わせることで、力の推定値の精度が向上する。モデルを作成するプロセスは、最も正確な力測定値をもたらす全ての入力変数の重みを導出することを含む。
【0113】
好ましい実施形態では、モデルは、回帰分析等の統計的モデリング技術を用いて作成される。回帰モデルは、特に、線形回帰モデル、多重線形回帰モデル、多項式回帰モデル、非線形回帰モデル、及びノンパラメトリック回帰モデルを含む。他の実施形態では、モデリング技術は、決定木回帰、K最近傍アルゴリズム、人工ニューラルネットワーク、及びサポートベクトル機械を含む。
【0114】
圧力センサ201及び202並びにIMU205から多くのタイプの変数データを得ることができ、これらは、圧力信号、差圧信号、線形加速度、線形速度、線形変位、角加速度、角速度、角位置、方位、迎え角、深さ、泳者の動きの方向、泳者の速度、前の時点での変数、又はそれらの任意の組み合わせを含む。更に、温度等の他の関連要因を追跡する他のセンサを含めることができ、これらの関連要因は、上記タイプの任意の変数データと組み合わせることもできる。
【0115】
水泳に関連して、IMU205からの入力データは、システム100が泳者の前進方向を推測することを可能にする。更に、IMU205の存在により、ストローク全体にわたり泳者の手の角度を検出し、ストローク全体にわたり泳者の手の変位を検出し、前進方向に対して生成された力を分解し、手の速度を算出し、身体の速度を推測するためのデータが提供される。更に、圧力センサ201及び202並びにIMU205からの入力データの組み合わせにより、システム100が泳者のストロークのセグメント化及びフェーズを識別することが可能になる。
【0116】
リグ固定具は、適切には、人間の左手の形状である。他の実施形態では、リグ固定具は、足等の人体構造の他の部分の形状を取る。この場合、泳者の足に対する靴下状形態要因等、デバイス101の全く異なる構成が用いられてよい。別の実施形態では、リグ固定具は人間の腕の形態をとり、デバイス101の構成は、腕の手首に装着されたバンドの形態要因等、この場合もやはり異なる。
【0117】
圧力センサ201、202、203、及び204から得られたデータ、即ち圧力差は、静水圧の影響を取り除くために用いられる(2つのセンサ間の深さの差を除く)。他の実施形態では、IMU205から得られたデータは、静水圧の影響を取り除くために用いられ、即ち、深さを算出するために加速度計の二重積分を介して用いられる。別の実施形態では、IMU205並びに圧力センサ201、202、203、及び204からのデータは、深さの状態推定値を作成するためにセンサフュージョンを通して組み合わせて用いることができ、深さの状態推定値は、圧力信号の静水圧成分を取り除くために用いられる。前述の実施形態に加えて、他の実施形態では、IMU205は、水中での手の方位に応じた異なるセンサ位置での異なる静水圧を把握するために用いることができる。
【0118】
一実施形態では、生の入力データは、モデルを通過させられるのに先立ちフィルタリングされる。これは、ハイパスフィルタ、ローパスフィルタ、バンドパスフィルタ、バターワースフィルタ、アルファベータフィルタ、及びカルマンフィルタ等の線形フィルタ、非線形フィルタ、及び周波数フィルタを単独で用いる形態又は組み合わせて用いる形態を取ることができる。このようなフィルタリングにより、よりクリーンなデータをモデルに提供して、より正確な結果を作成することが可能になる。より具体的には、フィルタリングのタイプとどのデータであるのかとに応じて(モデルからの力等の生データ又は推定状態等)、フィルタリングは、センサに固有の高周波ノイズを取り除き、精度に影響を与える可能性があるセンサの低周波バイアス(即ち、加速度計バイアス)を取り除き、他のアルゴリズム(即ち、ピーク検出用アルゴリズム)においてより正確な結果を得るためにデータをより秩序のある状態にし、視覚的に単純なデータを提供してユーザに提示する。
【0119】
いくつかの実施形態では、データがモデルに渡されるのに先立ち状態推定器が用いられ、状態は入力変数として力モデルに渡される。状態推定器は、いくつかの実施形態では、算出された力が他の状態を推定するために用いられる力モデルを進めることにも用いられる。状態推定器は、統計的ノイズを低減すると共に平均又は単一の測定のみよりも正確であろう選択された状態の推定値を作成する線形二次推定器又はカルマンフィルタの形態を取ることができるが、これに限定されない。状態は、圧力センサ201及び202からの測定値、IMU205からの測定値、又は任意の他の得られた測定値の他、新たな状態、例えば方位、泳者の方向及び速度を形成するために組み合わせることができる入力データの任意の組み合わせを含む。状態推定器はまた、モデルから生成された力出力をデバイス101の高次機能に関連する結果に対する状態として用いることもでき、そのような高次機能は、水泳方向、ストロークカウント、及び手の位置情報を含むが、これらに限定されない。
【0120】
一実施形態では、機械学習技術は、ストローク開始/終了のセグメント化、ストロークタイプの分類、ストロークフェーズの識別、及び水泳又は休息の分類に用いられる。別の実施形態では、発見的アルゴリズム又はファジー論理が用いられる。
【0121】
いくつかの実施形態では、発見的問題解決法、ファジー論理等が能力測定基準に適用され、次いでこれを用いて、テキスト、映像、又はオーディオの形態でコーチングフィードバックを系統的に表すことができる。そのような実施形態では、泳者のフォームは、彼らの能力を改善するのを支援するために、フラグを立てて泳者に提示することができる。特に、泳者に提供されるフィードバックは、技能に関するフィードバック、泳者の能力に役立つプール外での可能なエクササイズ、及び水泳に関する一般的な助言を含む。
【0122】
コーチングフィードバックが泳者にどのように提供されるかの例を図11~13のフローチャートに示す。
【0123】
図11を参照すると、泳者のキャッチ位置に関するフィードバックを提供するアルゴリズムが示されている。先ず、モーションの方向がIMU205からのデータから導出され、次いで、迎え角が姿勢(即ち、手/腕の形)とモーションの方向から算出される。泳者の個々のストロークが次いでセグメント化され、セグメントの種々の状態に基づいてキャッチ位置が識別される。最後に、キャッチ角度が取得され、90°未満の角度(早いキャッチ)、90°を超える角度(遅いキャッチ)、又は約90°の角度(正しいキャッチ)に基づいてフィードバックが提供されることになる。
【0124】
図12を参照すると、水にエントリする泳者のストロークの効率に関するフィードバックを提供するアルゴリズムが示されている。先ず、泳者の個々のストロークがセグメント化され、セグメントの種々の状態に基づいてエントリフェーズが識別される。上述したモデルからの力の推定値が積分されて泳者のストロークが水にエントリする際の総「仕事量」が算出され、この「仕事量」が閾値と比較される。「仕事量」が閾値よりも小さい場合(最小限のエネルギー消費)又は「仕事量」が閾値を超える場合(過剰なエネルギー消費)のフィードバックが提供されることになる。
【0125】
図13を参照すると、センサデータがどのようにフィードバックに変換されるのかを示すより一般的なフローチャートが示されている。即ち、センサデータ(圧力センサ201、202、203、及び204並びにIMU205からのデータ)は、力モデル、能力算出、ストローク及びフェーズの識別、並びに洞察の分類に入力される。更に、力モデルの出力もストローク及びフェーズの識別に入力され、能力算出並びにストローク及びフェーズの識別の出力も洞察の分類に入力され、これにより、ユーザインタフェース(UI)を介して泳者にフィードバックが提供される。
【0126】
次に図19A及び20Aを参照すると、円形プロットの2つの可能な出力が示されており(図19Aでは参照番号1900で示され、図20Aでは参照番号2000で示される)、これらはユーザの前進方向に関するユーザからの力の分布を示している。図19Aはかなり効率的なストロークを示しているのに対して、図20Aははるかに効率の悪いストロークを示している。より具体的には、それぞれ2つの網掛け領域1901及び1902並びに2001及び2002は泳者の左手と右手の力を示し、円形プロット表示の上部に向かう領域1901、1902、2001、及び2002の部分は逆方向の力(即ち、所望の前進方向と反対)を表し、円形プロット表示の下部に向かう領域1901、1902、2001、及び2002の部分は前進方向の力を表し、円形表示の左右方向に向かう領域1901、1902、2001、及び2002の部分は、前進方向に対してそれぞれ左右方向の力を表している。
【0127】
力モデルから推定された力は、前進方向に対する推進方向、横方向、及び垂直方向の力成分及びインパルス成分を提供する。最初にプロットを複数(n個)のビンにセグメント化することによって作成された円形の360°プロットにおいては、用いるビンが多いほど、結果はより正確になる。力モデルから出力された各推定力又はインパルスから、対応する力の方向が、選択された平面において、この場合には水平面において(即ち、泳者を上方から見下ろす視点から)算出される。推定された力又はインパルスの大きさは、適切なビン内にその対応する力又はインパルスの方向に基づいて蓄積されて、グラフィック的なデータを生成する。このデータは、先ず線グラフ(図19B及び20Bに示される)としてプロットされ、次いでこの線グラフが360°極座標プロットグラフ(それぞれ図19A及び20Aのグラフ)に変換される。その結果、360°極座標プロットグラフは、2D空間での実際の物理的モーションを表す。
【0128】
尚、先ず線形グラフをプロットし次いでこれを円形プロットに変換することにより、より少ないプロセッサ電力を用いて360°極座標プロットをより効率的に表示することができるという点で、技術的利点がもたらされる。より複雑な360°極座標プロットを生成する比較的複雑なプロットアルゴリズムを実行するためには、かなりのプロセッサ電力が必要とされるであろうことが、当業者によって理解されるはずである。しかし、かなり単純な線形プロットアルゴリズム及びそれに続く別の単純な変換アルゴリズムの発明者による利用は、他の方法では享受されないであろうプロセッサ効率を提供する。
【0129】
更に、図19A及び20A(図14~18と共に)における上述した情報は、ストローク中に力がどこに向けられているのかに関して泳者に直接的で瞬間的なフィードバックを提供し、従って、泳者は任意の誤った方向の力をどのように修正するのかを容易に理解することができる。
【0130】
機械的リグから作成されたモデルは、入力データが処理及び分析されるように外部コンピュータユニット115上で読み取り及び実行が可能であるソフトウェアの一部を形成し、効率が泳者に提供される。
【0131】
最後に、他の要因をモデルに手動で入力して、手のサイズ、指の広がり、及び手のカッピングの程度等の手の変数を含むより正確な能力測定基準を作成することができる。例えば、一実施形態では、異なる個別の手のサイズ(例えば、小、中、及び大のサイズの手、又は1が最小で10が最大である1から10までの手のサイズの数値スケール)をモデルに入力することができ、この場合、ユーザは彼/彼女の手のサイズに最も近いものを選択する。同様に、これは他の身体部分のモデリングにも適用することができる。
【0132】
一実施形態では、デバイス101は、そのような手の変数を直接測定することができるフレックスセンサ(又は同様の技術)であって、従ってシステムがより高い精度のために力モデルにおいてこれらの変数を自動的に把握することを可能にするフレックスセンサを備えたグローブの形状である。
【0133】
非常におおまかに見ると、能力測定基準は、前進方向における力の大きさの割合を評価することによって算出される。これは、少なくとも1つの圧力センサからの圧力データをIMUからの慣性データで増強することによって算出される。
【0134】
能力測定基準は、力モデルの1つから各々算出される抗力、第1の押し上げ力、及び第2の押し上げ力から導出される。
【0135】
図9は、力モデルの背後にあるプロセスを示す簡略化されたブロック図である。上述したように、センサデータ(参照番号901)は、力モデル(参照番号902)に供給され、及び/又はセンサデータを処理して導出データを得るためにモジュール(参照番号903)に供給され、導出データは次いで力モデル902に供給される。力モデルは、次いで力の推定値(参照番号904)を出力する。種々の実施形態では、導出データは、状態推定器及び二重積分器のうちの1つ以上を含むが、これらを含むことには限定されない。上述したように、これら3つの別々のモデルは、抗力、第1の押し上げ力、及び第2の押し上げ力を推定するために用いられ、「x」力、y力、及び「z」力として表すことができる。
【0136】
<結論>
本発明は、上記制限又は欠点のうちの1つ以上を克服及び/又は改善しようとするものである。
【0137】
システム100は、泳者、コーチ、及び生体力学研究者にとって理解可能で実施可能な、泳者によって発揮される流体力の正確で信頼性が高く有効な測定を提供する。水上競技モーションの力の推定値の精度、再現性、及び有効性を改善することは、複雑なプロセスである。力、圧力、及び加速度は関連する測定基準であるが、1つから他への算出に寄与する要因は無数にある。例えば、力は加速度と質量の乗算を通して算出することができる。加速度は加速度計又は位置センサから取得することができる一方で、質量は、単に水中を移動している対象の質量であるだけでなく、手が水と一緒に押す水の質量である「追加質量」でもある。これは、他の要因の中でも、手の角度、手のサイズ、及び指の外転の程度の関数である。同様に、圧力センサが用いられる場合、力は面積に圧力を乗じて算出され、対象は、選択された単一又は複数の圧点を必ずしも表していない圧力プロファイルを有する。対象全体の圧力は、対象の形状に応じて複雑さが増すのに従って不均一に変化する。圧力センサの数と位置によっては、例えば、手が非常に小さな「迎え角」で水中を移動している場合、手に作用する力の有益な推定値を確立するのに十分な情報がない場合がある。システム100は、これらの複雑さを前提として、力ベクトル推定値の精度、再現性、及び有効性を改善するためのシステム及び方法を特徴付けている。
【0138】
競技者、特にエリート競技者は、彼らの技能又は能力の微妙な変化が正確に測定、評価、及び検討され得るように、彼らのツールが正確で再現性があり有効であることに頼っている。特に水泳の能力の大幅な向上に貢献することができるのは、これらの小さな変化である。また、日々のセッション間、又は数か月から数年離れたセッション間でさえ、競技者の能力が確実に比較され得るようにするためには、それが必要である。異なる競技者のデータセットを比較する場合、精度、再現性、及び有効性も大きな役割を果たす。力のデータを生成するために説明した前述の方法を考慮すると、例えば手のサイズが異なる泳者の間には、把握するのが困難なより大きなばらつきがある可能性がある。データセットを、競技者にとって重要であり得る他の測定基準、例えばラップタイム及び消費カロリーと比較する場合にも、精度、再現性、及び有効性が不可欠である。
【0139】
いくつかの実施形態では、システム100は、デバイス101からの多数のセンサデータを用いて複雑な力モデルを確立するために、機械学習を採用する。作成されたモデルは、抗力及び押し上げ力を種々の手の速度及び角度での手の圧力と相関させる。力モデルは、精度を大幅に向上させると共に水泳モーションの流体力学的複雑さに対処するために、圧力センサに加えてIMUデータの使用を採用する。
【0140】
手の周りに配置された2つの圧力センサ(201及び202)の使用は、システム100が静水圧を補償することを可能にし、IMUのみの使用を含む方法よりも高い精度を保証する。
【0141】
既知の製品に対するシステム101の多くの利点があり、これらは以下を含む。
・手及び/又は前腕の戦略的な位置での使用において配置された、力の推定値に絡む多数の圧力センサの使用。流体流のこれらの追加的データポイントは、モデルの性能、従って精度を向上させるためにモデルにおいて用いられる。
・回帰、決定木、及びニューラルネットワークを含む高度な数学的モデリングの使用。流体力学は非常に非線形で複雑であるので、このような高度なモデルは、生成される力のより正確な推定値を提供する。
・ユーザ固有の変数(例えば、特に手のサイズ、指の広がり、カッピングの程度)を把握することができ、これによりユーザ間の力の推定値における精度向上、あるいはユーザが彼/彼女の手の形を変更した場合の精度向上が提供される。
・3軸の力の推定値(抗力、第1の押し上げ力、第2の押し上げ力)を算出するための、速度ベクトル及び方位から導出された迎え角の使用。全ての既知の既存の製品は、生成された合力の最大で30%を除外する可能性のある抗力のみを推定するので、上記により、はるかに高い力推定精度がもたらされる。
・力の推定における追加的な入力(即ち、特に迎え角、加速度、及び速度)としてのIMUデータの使用。このIMUデータ(及び導出された推定状態)は、圧力とは異なるパラダイムであり、モデルの性能を大幅に向上させる。
・手の異なる部分に装着された2つ以上の圧力センサの使用により、静水圧を補償するための入力データももたらされる。このような補償方法は、仮定(例えば、水の密度)に頼ると共に加速度ドリフトに起因する大きな誤差を生成するIMUデータを二重積分するよりもはるかに優れている。
・IMUデータを用いて泳者の前進方向を推測することは、有効な泳力を算出するのに不可欠である。
・IMUデータを用いてストローク全体での手の角度を検出することにより、泳者は手の方位をモニタリングし、泳者のストロークのこの態様を調整して水泳効率を高めることが可能になる。
・IMUデータを用いてストローク全体での手の変位を検出することにより、泳者は手の変位をモニタリングし、泳者のストロークのこの態様を調整して水泳効率を高めることが可能になる。
・IMUデータを用いて前進方向に対して生成された力を分解することは、有効な泳力を算出するのに不可欠である。
・IMUデータを用いて、手の速度を算出すると共に身体の速度を推測すること。これにより、生成されたパワーの算出が可能になる(力だけが算出される場合とは対照的に)。
・IMUデータ及び/又は圧力センサデータと共にモデルからの力のデータを用いるストロークセグメント化及びフェーズ識別。これにより、ユーザがストロークごと及びストローク内のレベルで洞察を生成することが支援される。
・デバイス上のディスプレイは、水泳中に即時のフィードバック(ユーザによって選択された測定基準についてのフィードバック)を提供し、トレーニングプログラムとのインターフェースを可能にする。
・汎用ボタンは、ディスプレイ上で異なる測定基準が循環されることを可能にし、例えば、泳者がトレーニングプログラムを選択することを可能にする。
・IMU205は、機能を起動するためのモーション又は動作を含むユーザインターフェイスの双方向性を可能にする。これらの機能は、「ダブルタップ」機能又は「レイズトゥウェイク(raise to wake)」モーション機能を含む。
・デバイス101は、指に着用されるのとは対照的に手のひらの周りに着用され、リング状に結び付けられる。この構成は、泳者の指が遮られない状態にし、泳者がより良い「水の感触」を得ることができるので、はるかに好ましい。更に、指の広がりも泳者間で異なり、この設計の影響は受けないであろう。最後に、手のひらの大きな表面積を考慮すると、指とは対照的に手のひらには大きな圧力がかかるので、手のひらは優れた検知位置でもある。
【0142】
正確さは、スポーツ活動において基本的なものであり、新たな測定基準が能力に関する微妙なフィードバックを提供すべきであるとすれば、正確さが不可欠である。システム100は、圧力センサデータと慣性測定ユニットからの慣性データの両方を用いることにより、高精度の力の推定値を提供する。
【0143】
本発明者らは、競合するデバイスの精度について多数の試験を実施した。これらのテストは、ここで論じた機械学習力モデリングの使用を含んでいた。先ず、競合他社のデバイスとモデリングに関して、以下のいくつかの仮定を行った。
・競合他社のデバイスは、力を算出するために使用中に手のひら上に配置される1つの圧力センサのみを有する。
・深さに起因する静水圧は完全に相殺されたものとする(これは競合他社のデバイスにとって最良のシナリオである)。
・力は、単純な「圧力=力/面積」の式又は同等の式を用いて算出されたものとする(即ち、切片のない1次多項式を用いる)。
【0144】
抗力の推定値についての競合デバイス(それらは単に力を圧力に相関させている)との比較の結果、システム100でのみ可能な技術であるより高次の多項式と共に2つのセンサ構成(手の前面及び甲に配置)が用いられた場合の顕著な改善が明らかになった。更に、押し上げ力推定についての競合デバイスとの比較の結果、2つのセンサ構成(手の前面及び甲に配置)の場合の更に顕著な改善が明らかになった。これは主として押し上げ力を考慮に入れていない競合製品に起因しており、この押し上げ力は、システム100においてここで説明したモデリング技術なしで推定することは極めて困難である。
【0145】
更に、動いている手又は腕によって生成される抗力は、押し上げ力よりも2~3倍大きいことが観察されており、これについてはタイヤーA.Mによる文献(Thayer A.M., (1990). Hand pressures as predictors of resultant and propulsive hand forces in swimming (Doctoral dissertation, The University of Iowa, 1990))を参照されたい。従って、押し上げ力を推定しないことに起因して、競合製品の精度は更に約30%低下する。
【0146】
これらの2つの結果を組み合わせると、100Nストローク(タガキらの文献(Tagaki et al. (2002). Measurement of propulsion by the hand during competitive swimming (The Engineering of Sport 4, Blackwell Publishing) pp. 631-637))を参照)において、本システムは、約5.82N程度の誤差範囲を有するものと計算される。競合他社のデバイスに関する同じ計算においては、約34.63N程度の誤差範囲が生じ、この相違の主な要因は、押し上げ力測定がないことである。
【0147】
従って、比較によると、競合他社は、システム100の誤差よりも最大で600%大きい誤差を有する。
【0148】
<解釈>
本明細書全体を通して、「要素」という用語の使用は、単一の単位構成要素、又は特定の機能又は目的を実行するために組み合わされた構成要素の集合のいずれかを意味することが意図されている。
【0149】
特段の記述がない限り、以下の議論から明らかなように、「処理する」、「演算する」、「算出する」、「決定する」、「分析する」等の用語を用いる議論は、明細書全体を通して、電子的な量等の物理的な量として表されるデータを同様に物理的な量として表される他のデータに操作及び/又は変換するコンピュータ又はコンピューティングシステムあるいは同様の電子コンピューティングデバイスの動作及び/又は処理を参照することが理解される。
【0150】
同様に、「コントローラ」又は「プロセッサ」という用語は、例えば、レジスタ及び/又はメモリからの電子データを処理してその電子データを他の電子データ、例えばレジスタ及び/又はメモリに記憶されてよい他の電子データに変換する任意のデバイス又はデバイスの一部を参照する場合がある。「コンピュータ」又は「コンピューティング機械」あるいは「コンピューティングプラットフォーム」は、1つ以上のプロセッサを含んでいてよい。
【0151】
ここで説明された方法論は、1つの実施形態では、1つ以上のプロセッサによって実行される場合にここで説明された方法の少なくとも1つを実施する一連の命令を含むコンピュータ可読(機械可読とも称される)コードを受け入れる1つ以上のプロセッサによって実行可能である。採用されるべき動作を特定する一連の命令(シーケンシャル又はその他)を実行可能な任意のプロセッサが含まれる。従って、1つの例は、1つ以上のプロセッサを含む典型的な処理システムである。各プロセッサは、CPU、グラフィックス処理ユニット、及びプログラム可能なDSPユニットの1つ以上を含んでいてよい。処理システムは、更に、主RAM及び/又はスタティックRAM、及び/又はROMを含むメモリサブシステムを含んでいてよい。構成要素間の通信用にバスサブシステムが含まれていてよい。処理システムは、更に、ネットワークによって結合された複数のプロセッサを備えた分散処理システムであってよい。処理システムがディスプレイを必要とする場合、そのようなディスプレイ、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、又は陰極線管(CRT)ディスプレイが含まれていてよい。手動のデータ入力が必要な場合、処理システムはまた、キーボード等の英数字入力ユニット、マウス等のポインティング制御デバイス等のうちの1つ以上のような入力デバイスを含む。ここで用いられるメモリユニットという用語は、文脈から明らかである場合、及び特に明記しない限り、ディスクドライブユニット等のストレージシステムをも包含する。いくつかの構成における処理システムは、音声出力デバイス及びネットワークインタフェースデバイスを含んでいてよい。従って、メモリサブシステムは、1つ以上のプロセッサによって実行される場合に、ここで説明された方法の1つ以上を実行させる一連の命令を含むコンピュータ可読コード(例えば、ソフトウェア)を伝えるコンピュータ可読キャリア媒体を含む。尚、方法がいくつかの要素、例えばいくつかのステップを含む場合、特段の記述がない限り、そのような要素の順序付けは暗示されない。ソフトウェアは、ハードディスク内に存在していてよく、あるいはコンピュータシステムによるその実行中に完全に又は少なくとも部分的にRAM内及び/又はプロセッサ内に存在していてよい。従って、メモリ及びプロセッサはまた、コンピュータ可読コードを伝えるコンピュータ可読キャリア媒体を構成する。
【0152】
更に、コンピュータ可読キャリア媒体は、コンピュータプログラム製品を形成してよく又はコンピュータプログラム製品に含まれていてよい。
【0153】
代替的実施形態では、1つ以上のプロセッサは、スタンドアロンデバイスとして動作し、あるいはネットワーク化された展開において、他の単一又は複数のプロセッサに接続されていてよく、例えばネットワーク化されていてよく、1つ以上のプロセッサは、サーバユーザネットワーク環境内のサーバ又はユーザ機械の能力において動作してよく、あるいはピアツーピアの又は分散されたネットワーク環境内のピア機械として動作してよい。1つ以上のプロセッサは、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(STB)、携帯情報端末(PDA)、携帯電話、ウェブアプライアンス、ネットワークルータ、スイッチ、又はブリッジを形成してよく、あるいは任意の機械であって、その機械によって採用されるべき動作を特定する一連の命令(シーケンシャル又はその他)を実行可能な任意の機械を形成してよい。
【0154】
尚、いくつかの図は、コンピュータ可読コードを伝える単一のプロセッサ及び単一のメモリのみを示している一方で、当業者であれば、上述した構成要素の多くが含まれているが、発明の態様を曖昧にしないように明示的には示されておらず又は説明されていないことを理解するはずである。例えば、単一の機械のみが示されているが、「機械」という用語は、ここで説明された方法論の任意の1つ以上を実行するために一連の命令(又は複数の一連の命令)を個別に又は共同で実行する複数の機械の任意の集合を含むものとも解釈されるものとする。
【0155】
従って、ここで説明された方法の各々の1つの実施形態は、一連の命令、例えば、1つ以上のプロセッサ上、例えば、ウェブサーバ配置の一部である1つ以上のプロセッサ上での実行のためのコンピュータプログラムを伝えるコンピュータ可読キャリア媒体の形態にある。従って、当業者によって理解されるはずであるように、本発明の実施形態は、方法、特殊目的装置等の装置、データ処理システム等の装置、又はコンピュータ可読キャリア媒体、例えばコンピュータプログラム製品として具現化されてよい。コンピュータ可読キャリア媒体は、1つ以上のプロセッサ上で実行される場合にその1つ以上のプロセッサに方法を実装させる一連の命令を含むコンピュータ可読コードを伝える。従って、本発明の態様は、方法、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態、又はソフトウェアの態様とハードウェアの態様とを組み合わせた実施形態の形態を取ってよい。更に、本発明は、媒体において具現化されたコンピュータ可読プログラムコードを伝えるキャリア媒体(例えば、コンピュータ可読記憶媒体上のコンピュータプログラム製品)の形態を取ってよい。
【0156】
ソフトウェアは、更に、ネットワークインタフェースデバイスを介してネットワーク上で送信又は受信されてよい。キャリア媒体は、例示的な実施形態では単一の媒体であると示されているが、「キャリア媒体」という用語は、1つ以上の一連の命令を記憶する単一の媒体又は複数の媒体(例えば、集中型又は分散型データベース並びに/又は関連するキャッシュ及びサーバ)を含むものと解釈されるべきである。「キャリア媒体」という用語はまた、複数のプロセッサの1つ以上による実行のための一連の命令を記憶し、符号化し、又は伝えることが可能な任意の媒体であって、1つ以上のプロセッサに本発明の方法論の任意の1つ以上を実行させる任意の媒体を含むと解釈されるものとする。キャリア媒体は、不揮発性媒体、揮発性媒体、及び伝送媒体を含むがこれらに限定されない多くの形態を取ってよい。不揮発性媒体は、例えば、光ディスク、磁気ディスク、及び光磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、メインメモリ等の動的メモリを含む。伝送媒体は、同軸ケーブル、銅線、及び光ファイバを含み、これらはバスシステムを構成する線を含む。伝送媒体はまた、電波通信及び赤外線データ通信中に生成されるもの等、音響波又は光波の形態を取ってもよい。従って、「キャリア媒体」という用語は、限定はされないが、例えば、固体メモリ、光学媒体及び磁気媒体において具現化されたコンピュータ製品、1つ以上のプロセッサのうちの少なくとも1つのプロセッサによって検出可能な伝搬信号を有する媒体であって、実行される場合に方法を実装する一連の命令を表す媒体、1つ以上のプロセッサのうちの少なくとも1つのプロセッサによって検出可能な伝搬信号を有する搬送波であって、一連の命令を表す搬送波、並びに1つ以上のプロセッサのうちの少なくとも1つのプロセッサによって検出可能な伝搬信号を有するネットワークにおける伝送媒体であって、一連の命令を表す伝送媒体を含むものとして解釈されるものとする。
【0157】
論じられた方法のステップは、1つの実施形態では、ストレージに記憶された命令(コンピュータ可読コード)を実行する処理(即ち、コンピュータ)システムの適切なプロセッサ(又は複数のプロセッサ)によって実行されることが理解されるはずである。本発明が特定の実装又はプログラミング技術に限定されないこと、及び本発明がここで説明された機能を実装するための任意の適切な技術を用いて実装されてよいことも理解されるはずである。本発明は、特定のプログラミング言語又はオペレーティングシステムに限定されない。
【0158】
本開示の例示的な実施形態の上記説明において、本開示の種々の特徴は、本開示を簡素化すると共に発明の種々の態様の1つ以上の理解を支援する目的で、場合によっては単一の実施形態、図、又はそれらの説明においてグループ化されることが理解されるべきである。しかし、この方法の開示は、特許請求の範囲が各請求項に明示的に記載されているよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映しているものと解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、発明の態様は、単一の先行して開示された実施形態の全ての特徴よりも少ない特徴にある。従って、詳細な説明に続く特許請求の範囲は、この詳細な説明に明示的に組み込まれ、各請求項は、本開示の別個の実施形態として自立している。
【0159】
更に、ここで説明した幾つかの実施形態は、他の実施形態に含まれる幾つかの他でない特徴を含むが、当業者によって理解されるはずであるように、異なる実施形態の特徴の組合せは、本開示の範囲内にあり、また異なる実施形態を形成することが意図されている。例えば、以下の特許請求の範囲において、請求した任意の実施形態は、任意の組合せにおいて用いることができる。
【0160】
更に、いくつかの実施形態は、コンピュータシステムのプロセッサによって又はその機能を実施する他の手段によって実装することができる方法又は方法の要素の組み合わせとしてここで説明されている。従って、そのような方法又は方法の要素を実施するために必要な命令を有するプロセッサは、その方法又は方法の要素を実施するための手段を形成する。更に、装置の実施形態のここで説明された要素は、本発明を実施する目的でその要素によって実行される機能を実施するための手段の例である。
【0161】
ここで提供した説明では、多数の具体的な詳細が記載されている。しかし、本開示の実施形態は、これらの具体的な詳細なしで実施されてよいことが理解される。他の例では、本説明の理解を曖昧にしないために、周知の方法、構造、及び技術は詳細には示していない。
【0162】
尚、同様に、結合されたという用語は、特許請求の範囲で用いられる場合、直接接続のみに限定されるものと解釈されるべきではない。「結合された」及び「接続された」という用語並びにそれらの派生語が用いられることがある。これらの用語は、互いの同義語として意図されていないことが理解されるべきである。従って、デバイスBに結合されたデバイスAという表現の範囲は、デバイスAの出力がデバイスBの入力に直接接続されているデバイス又はシステムに限定されるべきではない。このことは、デバイスAの出力とBの入力の間には経路が存在し、その経路は他のデバイス又は手段を含む経路であってよいことを意味する。「結合された」とは、2つ以上の要素が直接的な物理的、電気的、又は光学的接触のいずれかであることを意味する場合があり、あるいは2つ以上の要素が互いに直接接触してはいないが、互いに協働又は相互作用することを意味する場合がある。
【0163】
従って、本開示の好ましい実施形態であると考えられているものが説明されてきた一方で、当業者であれば、本開示の精神から逸脱することなく、他の修正及び更なる修正がなされてよいことを認識するはずであり、本開示の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を主張することが意図されている。例えば、上述した方式は、用いられてよい手順の代表的なものにすぎない。ブロック図に対して機能が追加又は削除されてよく、また機能ブロック間で動作が交換されてよい。ステップは、本開示の範囲内で説明される方法に対して追加又は削除されてよい。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図18
図19A
図19B
図20A
図20B