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特許7458663エアコンプレッサ用ドレントラップ並びにエアコンプレッサ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】エアコンプレッサ用ドレントラップ並びにエアコンプレッサ
(51)【国際特許分類】
   F04B 49/02 20060101AFI20240325BHJP
   F04B 41/02 20060101ALI20240325BHJP
【FI】
F04B49/02 331D
F04B41/02 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022126027
(22)【出願日】2022-08-08
(65)【公開番号】P2024022729
(43)【公開日】2024-02-21
【審査請求日】2022-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000154521
【氏名又は名称】株式会社フクハラ
(74)【代理人】
【識別番号】100129056
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 信雄
(72)【発明者】
【氏名】福原 祥文
(72)【発明者】
【氏名】福井 弘幸
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-247036(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 49/02
F04B 41/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアタンクを備えるエアコンプレッサ用ドレントラップであって、
エアタンクのドレン排出孔にドレン排出管を介して接続され、
電磁バルブとドレン排出口とを備え、
制御部と、タイマとを持ち、
該制御部は、前記エアコンプレッサの圧力開閉器の動作の有無を検知し、
該タイマは、該エアコンプレッサの圧力開閉器の動作時間を測定し、
該制御部は、該タイマの値が規定の時間以上になった際、該電磁バルブを開き、
その後、該圧力開閉器の動作が停止した際、該電磁バルブを閉じ、
エアコンプレッサの状態に応じて電磁バルブを制御し、
該ドレン排出口よりドレン及び空気を排出することを特徴とするエアコンプレッサ用ドレントラップ。
【請求項2】
前記電磁バルブは、通電時に閉じるものであり、
前記電磁バルブの制御線は、前記エアコンプレッサの電源と同列の電源に接続され、
該制御線と該エアコンプレッサの電源は、元電源スイッチによって、同時にオンオフされることを特徴とする請求項1に記載のエアコンプレッサ用ドレントラップ。
【請求項3】
前記ドレン排出の一部及び前記電磁バルブは、密閉された1つの筐体内に配置されていることを特徴とする請求項2に記載のエアコンプレッサ用ドレントラップ。
【請求項4】
前記請求項1乃至のいずれか1つに記載のエアコンプレッサ用ドレントラップを備えて成ることを特徴とするエアコンプレッサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドレントラップに関し、詳しくは、エアコンプレッサの起動時の負荷を軽減するエアコンプレッサ用ドレントラップ並びに該ドレントラップを備えたエアコンプレッサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、圧縮空気の生成手段の一つとして、エアコンプレッサが用いられている。エアコンプレッサの本体である圧縮機と下流の空気タンクの間には逆止弁がある。往復動式では、吐出空気弁にその機能を持たせている。
逆止弁がうまく働いていないと、空気タンク側の圧力が背圧として、圧縮室内に入り、翌朝一番等のエアコンプレッサの起動時に、過負荷となり、ヒューズ、サーマルスイッチ等の安全装置が作動し、運転できなくなることがあった。
また、エアコンプレッサのドレンを定期的に排出することが迂遠であることも指摘されていた。
そこで、エアコンプレッサ起動時の異常を回避しつつ、ドレンを定期的に排出する技術が求められていた。
【0003】
このような問題に対して、従来からも様々な技術が提案されている。例えば、エアタンク内の残留空気を排出する技術(特許文献1参照)が提案され、公知技術となっている。より詳しくは、エアタンクの内部に残留している圧縮エアを大気中に放出可能な電磁切換弁を配設し、エアコンプレッサの起動・停止を行うための駆動スイッチを設け、オフによりエアコンプレッサ停止信号を受けたときは、電磁切換弁を開いてエアタンクの内部に残留している圧縮エアを大気中に放出し、エアコンプレッサの再起動時には、エアタンクの内部に残圧がないようにすることが記載されている。
しかしながら、ドレンの排出については記載されておらず、本発明の課題を解決していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-213777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、エアコンプレッサの起動異常という問題点に鑑み、エアコンプレッサの状態に応じてタンク内のドレン及び空気を排出して減圧を図ることで、起動時の圧縮機への負荷を軽減しつつ、タンク内のドレンを定期的に排出し得るドレントラップ並びに該ドレントラップを備えたエアコンプレッサを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るエアコンプレッサ用ドレントラップは、エアタンクのドレン排出孔に接続され、電磁バルブとドレン排出口とを備え、エアコンプレッサの状態に応じて電磁バルブを制御し、ドレン排出口よりドレン及び空気を排出する手段を採る。
【0007】
また、本発明は、前記電磁バルブが通電時に閉じるものであり、前記電磁バルブの制御線は、前記エアコンプレッサの電源と同列の電源に接続され、該制御線と該エアコンプレッサの電源は、元電源スイッチによって、同時にオンオフされる手段を採る。
【0008】
さらに、本発明は、前記ドレン排出口の一部及び電磁バルブが、密閉された1つの筐体内に配置されている手段を採る。
【0009】
またさらに、本発明は、制御部と、タイマとを持ち、該制御部は、前記エアコンプレッサの圧力開閉器の動作の有無を検知し、該タイマは、該エアコンプレッサの圧力開閉器の動作時間を測定し、該制御部は、該タイマの値が規定の時間以上になった際、前記電磁バルブを開き、その後、該圧力開閉器の動作が停止した際、前記電磁バルブを閉じる手段を採る。
【0010】
さらにまた、本発明に係るエアコンプレッサは、前記エアコンプレッサ用ドレントラップを備えて成る手段を採る。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るエアコンプレッサ用ドレントラップ並びにエアコンプレッサによれば、所定のタイミングでエアタンクのドレン排出口を開くことで、タンク内のドレン及び空気を排出し、タンク内を減圧することが出来るので、起動時の圧縮機への負荷を軽減しつつ、タンク内のドレンを定期的に排出することが出来、エアコンプレッサの性能維持に資するものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係るエアコンプレッサ用ドレントラップの実施形態を示す模式図である。
図2】本発明に係るエアコンプレッサ用ドレントラップの他の実施形態を示す模式図である。
図3】本発明に係るエアコンプレッサ用ドレントラップの他の実施形態を示す模式図である。
図4】本発明に係るエアコンプレッサ用ドレントラップの圧縮部を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係るエアコンプレッサ用ドレントラップ並びにエアコンプレッサは、エアコンプレッサ起動異常を回避する減圧処理とエアタンク内のドレン排出を同時に行うことが可能なドレントラップをエアタンクに備えたことを最大の特徴とする。
以下、本発明に係るエアコンプレッサ用ドレントラップ並びにエアコンプレッサの実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0014】
なお、以下に示されるエアコンプレッサ用ドレントラップ並びにエアコンプレッサの全体構成及び各部の構成は、下記に述べる実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、即ち、同一の作用効果を発揮できる形状や寸法等の範囲内で適宜変更することができるものである。
【実施例1】
【0015】
図1に従って、本発明を説明する。図1(a)は、エアコンプレッサでの作業中の動作を表す模式図である。図1(b)は、エアコンプレッサでの作業終了時の動作を表す模式図である。
本発明は、ドレントラップ10についての発明であるが、エアコンプレッサ30の動作も含めて説明する。
システム全体は、ドレントラップ付エアコンプレッサ1であり、エアコンプレッサ30とドレントラップ10とから成る。
【0016】
エアコンプレッサ30は、一般的なレシプロ式エアコンプレッサである。
エアコンプレッサ30は、主に、圧縮部40、エアタンク50、モータ60、圧力開閉器70とから成る。
【0017】
圧縮部40は、大気中の空気を取り込み、圧縮する部分である。
圧縮部40は、主に圧縮室41とピストン44から成る。圧縮室41は、空気を圧縮する部屋であり、シリンダー構造である。ピストンが往復運動することで、空気を圧縮する。運動の動力は、モータ60から得ている。
大気中の空気が吸込弁42を通り、圧縮室41に入り、ピストン44により圧縮された空気が吐出弁(逆止弁)43を通り、エアタンク50に送られる。
【0018】
エアタンク50は、圧縮部40で造られた圧縮空気を蓄える部分である。蓄えられた空気は、エア吐出口52を通して、適宜エアドライバ、エアハンマ等に送られる。
圧縮部40が空気を吸い込む際に、一緒に大量の水蒸気も吸い込む。そのため、圧縮空気には多量の水分が含まれる。圧縮部40が空気を圧縮する際、断熱圧縮となり空気の温度も上昇するが、飽和した分は液体となり、ドレン53となる。
ドレン53は、エアタンク50の底部に滞留する。継続して滞留すると錆等の原因となるため、定期的に排出することが望ましい。
そのため、エアタンク50の底部には、ドレン排出孔51が設けてあり、コックが付いている。一般的には、作業終了後等、エアコンプレッサ30を使用しないときにコックを開き、エアタンク50内のドレン53を排出する。この時、エアタンク50内の圧縮空気も排出されるが、作業終了後なので問題ない。
本実施例では、ドレン排出孔51にドレントラップ10のドレン排出管11が接続され、ドレン53の排出の管理は、ドレントラップ10で行われる。
【0019】
モータ60は、圧縮部40のピストン44を往復運動させる動力を供給する部分である。電力により、所定の回転数の回転運動を発生させる。回転運動は、ベルト等を介して圧縮部40に伝わり、カム構造等によりピストン44の往復運動となる。
モータ60は、圧力開閉器70によって回転、停止を制御される。
【0020】
圧力開閉器70は、エアタンク50内の圧縮空気の圧力を一定に保つための部分である。
圧力開閉器70は、圧力検知部71、圧力スイッチ72から成る。圧力検知部71は、エアタンク50内の圧力を検出する部分である。電子式、機械式の両方がある。機械式の場合は、エアタンク50内の圧力により上下する構造である。
【0021】
圧力スイッチ72は、圧力検知部71の検知結果に応じて、モータ60への電力の供給、遮断を行うことで、モータ60の駆動、停止を制御する。
エアタンク50内の圧力が上限値以上の圧力になった場合、圧力検知部71は上に押し上げられ、それに応じて圧力スイッチ72がオフとなる(この状態を、圧力開閉器が動作する、圧力開閉器が開く、ともいう)。
モータ60への電力が遮断され、モータ60が停止する。すると、圧縮部40からエアタンク50への圧縮空気の補充がなくなり、エアタンク50内の圧力が上昇しなくなる。
【0022】
圧縮空気が使用される等によって、エアタンク50内の圧力が下限値以下となった場合、圧力検知部71は下がり、押し上げられる前の位置に戻る。それに応じて、圧力スイッチ72がオンとなる(この状態を、圧力開閉器が停止する、圧力開閉器が閉じる、ともいう)。
よって、モータ60への電力供給が再開され、モータ60が回転する。すると、圧縮部40からエアタンク50への圧縮空気の補充が再開され、エアタンク50内の圧力が上昇する。
このような動作によって、エアタンク50内の圧力は一定の範囲に保たれる。
【0023】
圧力スイッチ72の1次側線73は、電源線側に接続されている。エアコンプレッサ30の電源線が活電状態のときは、常に活電状態である。
圧力スイッチ72の2次側線74は、モータ60側に接続されている。圧力スイッチがオンとなると、モータ60が動作する。
【0024】
エアコンプレッサ30の動力は、電源線80、プラグ81を通して、コンセント90から得ている。複数のコンセント90は、1つの元電源スイッチ91にてオンオフされる。元電源スイッチ91は、作業終了等で部屋全体の電力を停止する際、オフとされる。
【0025】
ドレントラップ10は、エアタンク50に滞留したドレン53を適切に排出するための装置である。
ドレントラップ10は、ドレン排出管11と、電磁バルブ20とから成る。
ドレン排出管11は、エアタンク50内のドレン53を外部に導く管である。管の中間部分には電磁バルブ20がある。管の一端は、ドレン排出孔51に接続されており、他端は、ドレン排出口12になる。
ドレン排出孔51のコックは開かれており、ドレン53は、電磁バルブ20によって止められている。
【0026】
電磁バルブ20は、ドレン53の排出を制御する部分である。バルブを開けることで、ドレンと空気を排出する。
電磁バルブとは、内蔵されたソレノイドに電流を流すことでプランジャを吸引し、電流を切ることでプランジャが離れる原理を利用して、バルブの開閉を行うものである。
本実施例では、電流を切った状態で、バルブが開く、所謂ノーマルオープン型を使用する。バルブを閉じている期間は、常に通電している。
電磁バルブ20は、電磁バルブ制御線21によって制御される。電磁バルブ制御線21は、エアコンプレッサ30とは別に独立したコンセント90に接続され、電源線の電力を得ている。
【0027】
図4に沿って、エアコンプレッサ30の起動時の不具合について説明する。
レシプロ型エアコンプレッサは、圧縮室41内のピストン44が上下運動を行うことで、大気中の空気を圧縮するものである。圧縮空気は、エアタンク50内に充填される。
図4(a)は、圧縮工程を示す図である。AからDへと過程を示している。
Aにおいて、ピストン44が下がり、吸込弁42を介して、大気中の空気が圧縮室41内に導かれる。
Bは、下死点であり、空気が最大限に取り込まれた状態である。
Cは、ピストン44が上昇に転じ、空気を圧縮し始める。吸込弁42は、閉じている。
Dは、空気圧縮が完了した時点で、圧縮空気は、吐出弁(逆止弁)43を通って、エアタンク50に送られる。
AからDの工程を繰り返すことで、空気の圧縮を継続して行う。
【0028】
次に、エアコンプレッサ30が停止している状態について、図4(b)に示す。一例として、ピストン44が下死点まで下がっている状態を示している。エアタンク50に圧縮空気が充填されたままの状態の場合、エアタンク50の圧縮空気の圧力は、背圧Hとして吐出弁(逆止弁)43にかかる。吐出弁(逆止弁)43は、圧縮室41内の空気をエアタンク50に送るための弁であり、逆止弁の機能もある。通常であれば、吐出弁(逆止弁)43により、エアタンク50側の空気が圧縮室41に入ることは無い。しかし、弁が、劣化等で、うまく働いていなかったり、隙間が出来ていたりすると、エアタンク50の圧縮空気が圧縮室41内に漏れ出すこととなる。
エアタンク50の圧縮空気が圧縮室41に漏れ出すことによって、圧縮室41内の圧力は、エアタンク50内の圧力に近くなっていく。
【0029】
その後、作業開始時等、最初にエアコンプレッサ30を起動する際、圧縮室41内には、高い圧力の圧縮空気が入った状態となっている。
本来、1気圧の空気をピストン44で押上て圧縮する工程で、1気圧より高い気圧の空気を圧縮することになるので、想定以上の力が必要になり、過負荷となって、ヒューズ、サーマルスイッチ等の安全装置が作動し、運転できなくなる(図4(c))。
このような不具合を回避するのが、本発明である。
【0030】
エアコンプレッサ30及びドレントラップ10の動作を説明する。エアコンプレッサ30、ドレントラップ10とも、独立した電源線を持ち、プラグ81を介して、コンセント90に接続され、電力供給されるものである。コンセント90は、同列の電源に接続され、1つの元電源スイッチ91で同時にオンオフ可能である。
作業中は、図1(a)にあるように、エアコンプレッサ30が稼働し、エアタンク50内に圧縮空気が充填されている。ドレントラップ10の電磁バルブ20には、プラグ81から電磁バルブ制御線21を介して電力が送られている。よって、電磁バルブ20は通電中であり、バルブは閉まっている。
エアタンク50の底部分には、圧縮空気中の水分がドレン53として、滞留している。
【0031】
一日の作業終了後、図1(b)にあるように、作業場の電源である元電源スイッチ91は切られる。すると、ドレントラップ10の電磁バルブ制御線21への通電が停止される。電磁バルブ20は停電状態となるので、バルブが開く。エアタンク50内のドレン53と空気は、ドレン排出孔51からドレン排出管11、電磁バルブ20を通り、ドレン排出口12からすべて排出され、エアタンク50の圧力はゼロとなる。
【0032】
この動作によって、エアタンク50の圧力がゼロであるので、逆止弁の機能が低下していても、エアコンプレッサ30の圧縮室41への背圧Hの影響を抑えられ、起動時の不具合を回避できる。
また、作業終了時に、必ずエアタンク50内のドレン53を排出できるので、ドレン53によるエアタンク50の錆等の恐れが無くなり、エアコンプレッサ30の性能維持に寄与するものである。
【0033】
ところで、一般的に、ドレン53や空気を排出する際、断熱膨張となり、エアタンク50内の温度が急激に下がり、ドレン排出口12が凍結し、排出に支障が出る場合があると言われている。
本発明では、電磁バルブ20を閉じている状態において、電磁バルブ20への通電が行われている。よって、電磁バルブ20内のソレノイド22が発熱し、電磁バルブ20は、ある程度加熱された状態である。すると、電磁バルブ20、及び、電磁バルブ20の周辺であるドレン排出管11についても、周囲よりも若干高温となっている。
従って、電磁バルブ20を開いて、ドレン53、空気を排出した際、予め、ドレン排出管11、ドレン排出口12が加温されることとなるので、ドレン排出管11、ドレン排出口12の凍結の可能性を低くすることが出来る。
【0034】
さらに、本実施例は、エアコンプレッサへの通電があるか否かという、エアコンプレッサの状態に応じて電磁バルブを制御していると言える。
【0035】
このように、本発明によれば、所定のタイミングで、エアタンクのドレン排出口を開くことで、タンク内のドレンと空気を排出し、タンク内を減圧することが出来るので、起動時の圧縮機への負荷を軽減しつつ、タンク内のドレンを定期的に排出することが出来、エアコンプレッサの性能維持に資するものである。
【実施例2】
【0036】
他の実施例について、図2に沿って説明する。実施例1と同様の部分は省略する。図2は、本実施例のドレントラップの模式図である。
実施例1において、電磁バルブ20のソレノイド22の発熱によって、ドレン53、空気を排出した際のドレン排出管11、ドレン排出口12の凍結の可能性を低くすることが出来ることを説明した。
しかしながら、ソレノイド22による発熱は、大気中に発散する量も多く、十分にドレン排出管11、ドレン排出口12を加熱できない場合もあった。
そこで、より効果的に、ドレン53、空気の排出時に排出口付近の凍結を防ぐ技術が求められていた。
【0037】
図2に示すように、ドレン排出管11の一部と電磁バルブ20は、密閉された1つの筐体16内に配置されている。
筐体16は、樹脂等で形成されると熱伝導率が低く望ましい。また、断熱材を含む構造であると好適である。
ドレン排出管11は、ドレン排出口12に近い部分まで、筐体16内に収容されている。
エアコンプレッサ30による作業中は、ドレントラップ10への電磁バルブ制御線21が通電中であり、それに応じて電磁バルブ20は閉じている。通電中であるので、ソレノイド22は若干発熱している。熱の一部は空気中に発散し、一部は電磁バルブ20本体及び電磁バルブ20が接続されたドレン排出管11に伝わる。
ドレントラップ10は、筐体16に覆われているので、空気中に発散した熱は筐体16内に留まり、筐体16内全体を加熱する。これにより、ドレン排出管11、ドレン排出口12等を周囲の空気から加熱することが出来る。
【0038】
このように、上記構成とすることで、電磁バルブ20を開いてドレン53と空気を排出した際におけるドレン排出管11、ドレン排出口12の凍結の可能性をより低くすることが出来る。
【実施例3】
【0039】
他の実施例について、図3に沿って説明する。実施例1と同様の部分は省略する。図3(a)は、本実施例のエアコンプレッサ30及びドレントラップ10の模式図である。図3(b)は、本実施例のタイミングチャートである。
実施例1により、作業開始時のエアコンプレッサ30の起動不良を軽減することが出来る。しかしながら、起動不良は、圧力開閉器70の動作状態によっても発生する可能性がある。
圧力開閉器70は、エアタンク50内の圧力を調整する部分である。エアタンク50内の圧力が規定よりも高くなった際、圧力スイッチ72を切ってモータ60を停止させ、新たに圧縮空気がエアタンク50に入らないようにするものである。
場合によっては、この停止状態が長時間続く。すると、エアタンク50の背圧が圧縮室41に入り、作業開始時の起動不具合と同様の不具合を発生させることになる。
そこで、圧力開閉器70の動作に伴うエアコンプレッサ30の再起動時の不具合を防ぐ技術が求められていた。
【0040】
ドレントラップ10は、圧力開閉器70の動作に伴うモータ60の停止による再起動時の不具合を予防的に回避するものである。
ドレントラップ10は、ドレン排出管11と、電磁バルブ20と、制御部13と、タイマ15と、電源部14と、から成る。
ドレン排出管11は、実施例1と同様である。
電磁バルブ20は、実施例1と同様に、ドレン排出管11の中間に配置されている。電磁バルブ制御線21は、制御部13に接続され、開閉の制御は制御部13が行う。
【0041】
制御部13は、ドレントラップ10全体を制御する部分であり、電源部14からの電力で動作する。
圧力スイッチのモータ80側の線である2次側線74の電圧によって、圧力開閉器70の動作の有無を検知する。マグネットスイッチのある機種では、マグネットスイッチの2次側を2次側線74とし、マグネットスイッチのない機種では、2次側の電源ラインを2次側線74とする。
2次側線74は、圧力開閉器70が動作するとオフとなり、圧力開閉器70が停止するとオンとなる。
また、制御部13は、タイマ15の開始、停止を制御する。さらに、タイマ15の値を計測すると共に、電磁バルブ20の開閉を制御する。
【0042】
タイマ15は、時間をカウントする部分であり、少なくとも数時間の計測が可能である。
電源部14は、ドレントラップ10全体の電源である。電源線に接続された圧力スイッチの1次側線73から、電力を供給される。
電源部14は、電源電圧について、制御部13等で使用する電源電圧への変換も行う。
【0043】
図3(b)のタイミングチャートに沿って、本実施例の動作を説明する。
エアコンプレッサ30の起動後、エアタンク50内の圧力は上昇し続ける。圧力の上限に達した段階で圧力開閉器70が働き、モータ60への電力を停止する。
圧力開閉器70及びモータ60の動きは、エアコンプレッサの従来通りの動作である。
制御部13は、圧力開閉器70が動作し、2次側線74がオフになったことを検知し、タイマ15をスタートする(A)。よって、タイマ15の値は、圧力開閉器70の動作時間(モータのオフ時間)となる。
【0044】
制御部13は、タイマ15の値が規定値以上になったと判断したら、電磁バルブ20に対して、バルブを開ける指示を行う(B)。
規定値は、圧縮部40が停止してから再起動する際に、起動不良が発生する可能性が高い時間よりも十分短い時間を設定している。
つまり、停止時間を、不具合の発生する可能性のある時間よりも短くすることで、起動不良を未然に防ぐものである。
例えば、規定値は、起動不良が、起動停止から2時間以上で発生する可能性が高いのであれば、規定値を1時間とすることが考えられる。
バルブ開放によって、エアタンク50内の空気がドレン排出口12から排出される。
【0045】
空気の排出によって、エアタンク50内の気圧が下限値以下となると、圧力開閉器70が停止し、モータ60が再度動き始め、圧縮部40が起動する。この動作は、エアコンプレッサの従来通りの動作である。
制御部13は、2次側線74がオンになったことを検知し、タイマ15をクリアし、電磁バルブ20に対して、バルブを閉める動作を指示する(C)。
【0046】
この一連の動作によって、圧縮部の停止時間を一定以下にすることが出来、再起動時の起動不良を防ぐことが可能となる。
【0047】
尚、上記実施例1,2,3の発明は、予め、エアコンプレッサに備えても良い。そうすることによって、ドレントラップの配置等最適化することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明に係るエアコンプレッサ用ドレントラップ並びにエアコンプレッサは、エアコンプレッサの再起動時の不具合を回避するための技術であって、医療や機械、食品など圧縮空気を使用するあらゆる分野で採用することが可能であることから、産業上の利用可能性は大きいと解する。
【符号の説明】
【0049】
1 ドレントラップ付きエアコンプレッサ
10 ドレントラップ
11 ドレン排出管
12 ドレン排出口
13 制御部
14 電源部
15 タイマ
16 筐体
20 電磁バルブ
21 電磁バルブ制御線
22 ソレノイド
30 エアコンプレッサ
40 圧縮部
41 圧縮室
42 吸込弁
43 吐出弁(逆止弁)
44 ピストン
50 エアタンク
51 ドレン排出孔
52 エア吐出口
53 ドレン
60 モータ
70 圧力開閉器
71 圧力検知部
72 圧力スイッチ
73 1次側線
74 2次側線
80 電源線
81 プラグ
90 コンセント
91 元電源スイッチ

図1
図2
図3
図4