(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】逆洗方向転換ユニット
(51)【国際特許分類】
B01D 46/66 20220101AFI20240325BHJP
【FI】
B01D46/66
(21)【出願番号】P 2022193793
(22)【出願日】2022-12-02
【審査請求日】2022-12-06
(31)【優先権主張番号】P 2021198969
(32)【優先日】2021-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】598040639
【氏名又は名称】株式会社 ワイ・エム・エス
(74)【代理人】
【識別番号】100129207
【氏名又は名称】中越 貴宣
(72)【発明者】
【氏名】荒井 竹志
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-321970(JP,A)
【文献】特開平04-090817(JP,A)
【文献】特開2019-181317(JP,A)
【文献】中国実用新案第215962597(CN,U)
【文献】中国実用新案第208193913(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D46/00-46/90
A47L9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉塵発生源と集塵装置と
の間に配設される逆洗方向転換ユニットであって、
筒状本体と、
前記筒状本体の前記粉塵発生源側に配設される導入側連結部と、
前記筒状本体の前記集塵装置側に配設される排出側連結部と、
凹溝が周状に形成され、該凹溝の内面側を前記排出側連結部側に向けた状態で前記筒状本体の内周面に沿って配設される反転部材と、
を含んで構成され、
前記排出側連結部が、前記筒状本体側から前記集塵装置側に向かって縮径したテーパー状をなすことを特徴とする逆洗方向転換ユニット。
【請求項2】
前記反転部材に係る前記凹溝の内側端縁部から、前記排出側連結部の方向に向かって隔壁部が延設されていることを特徴とする請求項1に記載の逆洗方向転換ユニット。
【請求項3】
粉塵発生源と集塵装置と
の間に配設される逆洗方向転換ユニットであって、
筒状本体と、
前記筒状本体の前記粉塵発生源側に配設される導入側連結部と、
前記筒状本体の前記集塵装置側に配設される排出側連結部と、
前記導入側連結部の中央部に形成された導入口から前記排出側連結部の方向に向かって突設される隔壁筒と、
を含んで構成され、
前記排出側連結部が、前記筒状本体側から前記集塵装置側に向かって縮径したテーパー状をなし、
前記筒状本体の内周面と、前記導入側連結部の内壁面と、前記隔壁筒の外周面とで凹溝が周状に形成されることを特徴とする逆洗方向転換ユニット。
【請求項4】
前記筒状本体内において、一端開口縁を前記凹溝内に位置させ、他端開口縁を前記排出側連結部側に位置させた状態で配設される分流筒を備えることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の逆洗方向転換ユニット。
【請求項5】
前記分流筒が、前記一端開口縁側から前記他端開口縁側に向かって縮径するテーパー状をなすことを特徴とする請求項4に記載の逆洗方向転換ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集塵装置が備えるフィルタの逆洗時に好適な逆洗方向転換ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置や精密加工機械等において発生する粉塵は、集塵パイプ等で連結された集塵装置によって集塵されるのが一般的である。この集塵装置内には集塵用フィルタが配設されているが、集塵用フィルタは粉塵による目詰まりを起こし、集塵効率が低下するため、定期的に逆洗による粉塵除去作業が行われる。
【0003】
そして、従来から、集塵装置における逆洗方法に関する技術が多数開示されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。特許文献1に開示された濾過式集塵設備における粉塵の逆噴防止方法は、粉塵発生源まで配したダクトを介して吸引口から吸引した含塵空気をフィルタで濾過させる濾過式集塵機に、前記フィルタにその下流側から高圧空気を短時間噴射することで付着した粉塵を払い落とす逆洗装置を備えた濾過式集塵設備において、前記逆洗用高圧空気の噴射時に吸引口側流路内に生じる含塵空気の逆流に対し高圧空気を対向噴射させるようにしたことを特徴とする。
【0004】
前記の特許文献1に開示された濾過式集塵設備における粉塵の逆噴防止方法によると、逆洗用高圧空気の噴射時に吸引口側流路内に生じる含塵空気の逆流に対し高圧空気を対向噴射させる方法を採用したことで、高圧空気によって逆流した含塵空気と衝突した時点でこの含塵空気の進行を阻止し、ダクトの継目や集塵フードからの含塵空気の逆噴を阻止することができ、これにより、環境汚染や作業者の作業上の障害を無くすことができるという効果が得られる、と記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、ファンが生成する所定の集塵風量の吸引によって含塵空気をフィルタの一方面から他方面に通して該フィルタでダストを捕捉して除去する集塵装置において、前記フィルタからダストを払落とす集塵装置のダスト払落し方法であって、前記フィルタのダスト払落し条件が成立したとき、前記ファンによる集塵風量を定格風量の50%以下に低下させるステップと、低下した集塵風量による吸引を行ないながら、前記フィルタの他方面側に加圧エアを供給し、前記フィルタに付着したダストを前記フィルタの一方面から除去するステップと、を備えていることを特徴とする集塵装置のダスト払落し方法が開示されている。
【0006】
前記の構成を備える特許文献2に開示された集塵装置のダスト払落し方法によると、ダスト払落し効率を高い状態に維持しつつ、集塵装置前段にダストが逆流しない集塵装置のダスト払落し方法が提供される、と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平4-90817号公報
【文献】特開2019-181317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一般的には、逆洗時における逆洗方向の空気の流れによって集塵方向の空気の流れが相殺される。そして、逆洗を行うタイミングで集塵方向の空気の流れが一時停止した状態となったり、半導体装置や精密加工機械等といった粉塵発生源の方向への逆洗エアの逆流が発生したり、集塵パイプ内に発生する圧力変動によって粉塵発生源の方向へ逆洗圧力が伝播したりすると、半導体装置や精密加工機械等における加工精度に重大な影響を与えることとなる。従って、半導体装置や精密加工機械等の作動中は加工精度に影響が及ばないように逆洗を停止させているのが現状である。しかし、逆洗を停止すると当然ながら集塵用フィルタの目詰まりが、逆洗ありの場合に比較して早い時期で発生するため、集塵用フィルタの交換サイクルが短くなる。また、クリーンルーム内での集塵用フィルタ交換は非常に手間がかかるため、集塵方向の空気の流れを一定に維持した状態で、逆洗エアによる逆洗圧力の伝播を極力なくし、加工精度に影響を及ぼすことがない逆洗方法が求められている。
【0009】
その点、特許文献1に開示された濾過式集塵設備における粉塵の逆噴防止方法によると、含塵空気の逆流に対して高圧空気を対向噴射させることによって、ダクトの継目や集塵フードからの含塵空気の逆噴の阻止を図っている。
【0010】
また、特許文献2に開示された集塵装置のダスト払落し方法によると、ファンによる集塵風量を定格風量の50%以下に低下させ、低下した集塵風量による吸引を行ないながらフィルタの他方面側に加圧エアを供給することによって、集塵装置前段へのダストの逆流阻止を図っている。
【0011】
しかし、これら特許文献1や特許文献2に開示された方法を実現するためには、装置構成の複雑化を招くとともに、単に逆洗方向に逆洗エアを送り込むだけの制御方法では実現できず、装置の制御自体も複雑となる。
【0012】
また、特許文献1に開示された方法では、高圧空気を対向噴射させるとフィルタ前後の圧力差が無くなって、逆洗効果が著しく低下するおそれがある。また、陰圧と陽圧の相殺現象によって集塵機内部の内圧が高くなると、ダクトを流れる含塵空気の停止、逆流が発生するおそれがあり、ひいてはダクトの継目や集塵フードから含塵空気が噴出して、作業環境を汚染するおそれがある。
【0013】
そこで本願発明者は、以上の問題点に鑑み、非常に簡単な構造であって、半導体装置や精密加工機械等の粉塵発生源と集塵装置とを連結する集塵パイプに介在させるのみで、集塵方向の空気の流れを一定に維持した状態で、逆洗時における逆洗エアの噴出によって発生する逆洗圧力の伝播を極力なくし、粉塵発生源への逆流を簡単に阻止することができる逆洗方向転換ユニットを提供するべく鋭意検討を重ねた結果、本発明に至ったのである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
即ち、本発明は、粉塵発生源と集塵装置とを連結する集塵パイプ等に配設される逆洗方向転換ユニットであって、筒状本体と、前記筒状本体の前記粉塵発生源側に配設される導入側連結部と、前記筒状本体の前記集塵装置側に配設される排出側連結部と、凹溝が周状に形成され、該凹溝の内面側を前記排出側連結部側に向けた状態で前記筒状本体の内周面に沿って配設される反転部材と、を含んで構成され、前記排出側連結部が、前記筒状本体側から前記集塵装置側に向かって縮径したテーパー状をなすことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の逆洗方向転換ユニットにおいて、前記反転部材に係る前記凹溝の内側端縁部から、前記排出側連結部の方向に向かって隔壁部が延設されていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、粉塵発生源と集塵装置とを連結する集塵パイプ等に配設される逆洗方向転換ユニットであって、筒状本体と、前記筒状本体の前記粉塵発生源側に配設される導入側連結部と、前記筒状本体の前記集塵装置側に配設される排出側連結部と、前記導入側連結部の中央部に形成された導入口から前記排出側連結部の方向に向かって突設される隔壁筒と、を含んで構成され、前記排出側連結部が、前記筒状本体側から前記集塵装置側に向かって縮径したテーパー状をなし、前記筒状本体の内周面と、前記導入側連結部の内壁面と、前記隔壁筒の外周面とで凹溝が周状に形成されることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の逆洗方向転換ユニットにおいて、前記筒状本体内において、一端開口縁を前記凹溝内に位置させ、他端開口縁を前記排出側連結部側に位置させた状態で配設される分流筒を備えることを特徴とする。
【0018】
更に、本発明の逆洗方向転換ユニットにおいて、前記分流筒が、前記一端開口縁側から前記他端開口縁側に向かって縮径するテーパー状をなすことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の逆洗方向転換ユニットによると、非常に簡単な構造でありながら、半導体装置や精密加工機械等の粉塵発生源と集塵装置とを連結する集塵パイプ等に介在させるのみで、逆洗時における粉塵の逆流を簡単に阻止することができる。特に、逆洗時において集塵方向に高圧空気を噴射させたり、集塵風量の調整をしたりする必要がなく、集塵作業を継続しつつ、逆洗時における逆洗圧力の伝播を極力なくし、粉塵発生源への逆流を簡単に阻止することができる。
【0020】
また、従来の集塵装置の構成に変更を加える必要がなく、特殊な制御を行う必要もないため、低コストで粉塵の逆流を阻止することができる。
【0021】
更に、本発明の逆洗方向転換ユニットにおいて、排出側連結部が、筒状本体側から集塵装置側に向かって縮径したテーパー状をなすことによって、粉塵を含む逆洗エアが筒状本体内に流入した際に、コアンダ効果によって排出側連結部の内面に沿って筒状本体の内周面の方向に誘導されるため、逆洗時における逆洗圧力の伝播を低減し、粉塵を含む逆洗エアの逆流阻止効果の向上が図られる。
【0022】
また、本発明の逆洗方向転換ユニットにおいて、反転部材に係る凹溝の内側端縁部から、排出側連結部の方向に向かって隔壁部が延設されることによって、逆洗時における逆洗圧力の伝播の低減効果、粉塵を含む逆洗エアの逆流阻止効果が得られるとともに、粉塵発生源から筒状本体内に流入する、集塵方向に流れる粉塵を含む空気(以下「集塵エア」という。)が反転部材に係る挿通孔を通過する際、隔壁部の形成によって挿通孔の距離が長くなるため、集塵エアの整流効果の向上が図られ、よりスムーズに排出側連結部の方向へ集塵エアを送り出すことができる。
【0023】
更にまた、本発明の逆洗方向転換ユニットにおいて、反転部材に代えて、導入側連結部の中央部に形成された導入口から排出側連結部の方向に向かって隔壁筒を突設し、筒状本体の内周面と、導入側連結部の内壁面と、隔壁筒の外周面とで凹溝を周状に形成することによって、逆洗時における逆洗圧力の伝播の低減効果、粉塵を含む逆洗エアの逆流阻止効果が得られるとともに、筒状本体内に反転部材を別途、配設する必要がなく、本発明の逆洗方向転換ユニットをより簡単に構成することができ、逆洗方向転換ユニットの低コスト化を図ることができる。
【0024】
また、本発明の逆洗方向転換ユニットにおいて、筒状本体内の所定の位置に分流筒を配設することによって、粉塵発生源からの集塵エアはスムーズに排出側連結部の方向へ流すことができるとともに、逆洗時には、筒状本体の内周面側に誘導される逆洗エアと、粉塵発生源側から流れてくる集塵エアとがぶつかりにくくなり、逆洗エアと集塵エアとを分流することができるため、逆洗エアをよりスムーズに筒状本体の内周面側に誘導することができ、集塵エアの流れを一定に維持した状態で、逆洗圧力の伝播を低減し、粉塵を含む逆洗エアの逆流阻止効果の向上が図られる。
【0025】
更に、本発明の逆洗方向転換ユニットに係る分流筒が、凹溝内に位置させた一端開口縁側から、排出側連結部側に位置させた他端開口縁側に向かって縮径するテーパー状をなすことによって、集塵エアをよりスムーズに排出側連結部の方向へ送り出すことができるとともに、逆洗時において筒状本体内に流入した粉塵を含む逆洗エアも、筒状本体の内周面側に一段とスムーズに誘導することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態に係る逆洗方向転換ユニットを配設した装置構成全体を示す概略側面図である。
【
図2】(a)は
図1に示した逆洗方向転換ユニットの側面図、(b)は分解側面図である。
【
図3】
図1に示した逆洗方向転換ユニットにおいて、(a)は集塵時の空気の流れ、(b)は逆洗時の空気の流れを示した端面模式図である。
【
図4】本発明の他の実施形態に係る逆洗方向転換ユニットの端面模式図であって、(a)は集塵時の空気の流れ、(b)は逆洗時の空気の流れを示す。
【
図5】本発明の他の実施形態に係る逆洗方向転換ユニットの端面模式図である。
【
図6】(a)及び(b)はそれぞれ本発明の他の実施形態に係る逆洗方向転換ユニットにおける逆洗時の空気の流れを示した端面模式図である。
【
図7】(a)及び(b)はそれぞれ本発明の他の実施形態に係る逆洗方向転換ユニットにおける逆洗時の空気の流れを示した端面模式図である。
【
図8】(a)及び(b)はそれぞれ本発明の他の実施形態に係る逆洗方向転換ユニットにおける逆洗時の空気の流れを示した端面模式図である。
【
図9】本発明の他の実施形態に係る逆洗方向転換ユニットにおける逆洗時の空気の流れを示した端面模式図である。
【
図10】本発明の他の実施形態に係る逆洗方向転換ユニットにおける逆洗時の空気の流れを示した端面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の逆洗方向転換ユニットの一実施形態について、図面に基づいて詳述する。
図1は、本発明の一実施形態に係る逆洗方向転換ユニット10が配設された装置構成全体を示す概略側面図、
図2(a)は
図1に示した本実施形態に係る逆洗方向転換ユニット10の拡大側面図、
図2(b)は本実施形態の逆洗方向転換ユニット10の分解側面図である。これらの図に示すように、本実施形態の逆洗方向転換ユニット10は、半導体装置や精密加工機械等の粉塵発生源Aと集塵装置Bとを連結する集塵パイプC等に配設される。
【0028】
本実施形態の逆洗方向転換ユニット10は、筒状本体11と、筒状本体11の粉塵発生源A側に配設される導入側連結部12と、筒状本体11の集塵装置B側に配設される排出側連結部13と、反転部材15と、分流筒16とを含んで構成される。
【0029】
本実施形態の逆洗方向転換ユニット10に係る筒状本体11の外形状は円筒形を成している。なお、筒状本体11の縦方向断面形状は円形に限定されず、楕円形や多角形等、何れであってもよいが、円形や楕円形であれば、逆洗時において筒状本体内に流入する粉塵を含む逆洗エアが、筒状本体11の内周面側に拡散され易くなるため、より好ましい。
【0030】
また、本実施形態の逆洗方向転換ユニット10に係る筒状本体11の粉塵発生源A側には、導入側連結部12が配設され、筒状本体11の集塵装置B側には、排出側連結部13が配設されている。つまり、本実施形態の逆洗方向転換ユニット10に係る筒状本体11が、粉塵発生源A側の集塵パイプCに導入側連結部12によって接続され、集塵装置B側の集塵パイプCに排出側連結部13によって接続されている。なお、本実施形態の逆洗方向転換ユニット10においては、筒状本体11、導入側連結部12及び排出側連結部13が別々に構成されているが、これらが一体に構成されてもよい。
【0031】
ここで、本実施形態の逆洗方向転換ユニット10に係る排出側連結部13は、筒状本体11側から集塵装置B側に向かって縮径したテーパー状をなすことを特徴とする。本実施形態に係る排出側連結部13をこのようなテーパー状に形成することによって、粉塵を含む逆洗エアが集塵装置B側から筒状本体11内に流入した際に、コアンダ効果によって排出側連結部13の内面に沿って筒状本体11の内周面11a側に拡散され易くなる。なお、本実施形態の逆洗方向転換ユニット10に係る導入側連結部12も、筒状本体11側から粉塵発生源A側に向かって縮径したテーパー状をなしているが、導入側連結部12については必ずしもテーパー状に形成しなくてもよく、平板状に形成されてもよい。導入側連結部12が平板状に形成された態様については後述する。
【0032】
本実施形態の逆洗方向転換ユニット10に係る反転部材15は、凹溝14が筒状本体11の内周面11aに沿って周状に形成され、この凹溝14の内面14a側を排出側連結部13側に向けた状態で配設されている。本実施形態の逆洗方向転換ユニット10に係る筒状本体11は円筒形を成しているため、凹溝14を、中央部に挿通孔14bが形成されるように筒状本体11の内周面11aに沿って円形状に形成することによって、反転部材15が正面視で円形ドーナツ状を成すこととなる。このように、反転部材15に係る凹溝14は、筒状本体11の内周面11aに沿って周状に形成されるものであって、例えば筒状本体11の外形状が楕円筒状(縦方向断面形状が楕円形)であれば、反転部材15の正面視は中央部に挿通孔14bが形成された楕円形ドーナツ状を成し、筒状本体11の外形状が四角筒状(縦方向断面形状が四角形)であれば、反転部材15の正面視は中央部に挿通孔14bが形成された四角形状を成す。
【0033】
そして、本実施形態の逆洗方向転換ユニット10に係る反転部材15は、筒状本体11の内周面11aに当接した状態で配設されている。つまり、反転部材15に係る凹溝14の外周縁と、筒状本体11の内周面11aとの間には隙間がないように、反転部材15に係る凹溝14の外周縁を筒状本体11の内周面11aに接合させている。従って、粉塵発生源A側の集塵パイプCと集塵装置B側の集塵パイプCとは、反転部材15が備える挿通孔14bによって連通されることとなる。
【0034】
ここで、本実施形態における反転部材15に係る凹溝14の断面形状(溝形状)は半円形を成しているが、本発明における反転部材に係る凹溝の断面形状は半円形に限定されず、U字状、コ字状、V字状等であってもよい。本発明に係る凹溝は、筒状本体内に流入した逆洗エアの流れを反対方向に転換させる機能を発揮できるものであれば、その断面形状は特に限定されるものではない。
【0035】
本実施形態の逆洗方向転換ユニット10に係る分流筒16は、粉塵発生源Aから集塵装置Bの方向、即ち集塵方向に流れる粉塵を含む集塵エアと、逆洗時に集塵装置Bから粉塵発生源Aの方向に瞬間的に流れる逆洗エアとをぶつかりにくくし、集塵エアと逆洗エアの分流をよりスムーズにするために、筒状本体11内に配設されている。具体的には、この分流筒16に係る一端開口縁16aを、反転部材15に係る凹溝14内に位置させ、分流筒16に係る他端開口縁16bを排出側連結部13側(集塵装置B側)に位置させた状態で、筒状本体11内に配設されている。
【0036】
また、本実施形態に係る分流筒16は、分流筒16に係る一端開口縁16aを反転部材15に係る凹溝14内に位置させた状態で、接合ブラケット17によって反転部材15に接合されている。筒状本体11内における分流筒16の配設方法は特に限定されないが、本実施形態のように、筒状本体11に接合された反転部材15に接合ブラケット17等を用いて接合固定することによって、分流筒16を簡単に位置決め固定をすることができる。
【0037】
なお、本発明に係る分流筒の形状は特に限定されず、集塵エアと逆洗エアとの分流機能が発揮できるものであれば、円筒形や楕円筒形、多角筒形等、何れであってもよいが、基本的には筒状本体及び反転部材の縦方向断面形状に合わせて分流筒の形状が選択されることとなる。
【0038】
つまり、本実施形態に係る分流筒16は、筒状本体11の外形状に合わせて円筒形を成すとともに、この分流筒16に係る一端開口縁16a側から他端開口縁16b側に向かって縮径するテーパー状を成している。本発明に係る分流筒は単なる円筒形であってもよいが、分流筒16のようにテーパー状を成すことによって、集塵エアと逆洗エアとの分流効果をより一層、高めることができるとともに、逆洗エアを筒状本体の内周面側に一段とスムーズに誘導することができる。
【0039】
以上の構成を含んで成る本実施形態の逆洗方向転換ユニット10を、
図1に示すように、粉塵発生源Aと集塵装置Bとを連結する集塵パイプCに介在させる。粉塵発生源Aとなる半導体装置等の作動中に集塵装置Bによる集塵作業を行うと、集塵装置Bの吸引によって粉塵発生源Aで発生する粉塵を含む集塵エアXが、粉塵発生源Aから集塵パイプCを介して逆洗方向転換ユニット10へ流入する。
図3(a)に示すように、粉塵発生源A側から逆洗方向転換ユニット10へ流入した集塵エアXは、導入側連結部12を介して筒状本体11内に流入し、筒状本体11内に配設されている反転部材15に係る挿通孔14bを通過し、排出側連結部13から集塵装置B側の集塵パイプCへと流れ、集塵装置Bで回収されることとなる。
【0040】
そして、集塵装置Bが備える集塵フィルタの逆洗時には、半導体装置等の粉塵発生源Aは作動させたままで集塵装置Bによる集塵作業も継続した状態、つまり集塵エアXの流れを維持した状態で、逆洗エアYを瞬間的に噴出させる。このとき、本実施形態の逆洗方向転換ユニット10が配設されていない状態では、逆洗時における逆洗圧力が集塵装置Bから粉塵発生源Aへと伝播し、半導体装置等の加工精度に重大な影響を及ぼすことになる。
【0041】
しかし、粉塵発生源Aと集塵装置Bとの間に本実施形態の逆洗方向転換ユニット10が配設されているため、粉塵を含む逆洗エアYは、
図3(b)に示すように、逆洗方向転換ユニット10に係る排出側連結部13を介して筒状本体11内に流入する。このとき、粉塵発生源A側からは、筒状本体11内に配設されている反転部材15に係る挿通孔14bを通過して集塵エアが流れてきているが、排出側連結部13を介して筒状本体11内に流入した逆洗エアYは、コアンダ効果によってテーパー状を成す排出側連結部13の内面に沿って筒状本体11の内周面11a側に拡散されていく。更に、本実施形態では、筒状本体11内に分流筒16が配設されているため、筒状本体11の内周面11a側に誘導される逆洗エアYと、粉塵発生源A側から流れてくる集塵エアXとがぶつかりにくくなり、逆洗エアYがよりスムーズに筒状本体11の内周面11a側に誘導される。そして、筒状本体11の内周面11aの方向に誘導された逆洗エアYは、反転部材15に係る凹溝14にぶつかって流れ方向が反対方向に変更され、反転部材15に係る挿通孔14bを通過する集塵エアXと合流し、分流筒16内を通って排出側連結部13側へと誘導されることとなる。
【0042】
特に、本実施形態の逆洗方向転換ユニット10に係る分流筒16は、筒状本体11の外形状に合わせて円筒形を成すとともに、この分流筒16に係る一端開口縁16a側から他端開口縁16b側に向かって縮径するテーパー状を成しているため、前述のとおり、排出側連結部13を介して筒状本体11内に流入した逆洗エアYと集塵エアXとをぶつかりにくくして、逆洗エアYをよりスムーズに筒状本体11の内周面11aの方向に誘導することができる。
【0043】
以上のように、本実施形態の逆洗方向転換ユニット10によると、非常に簡単な構造でありながら、半導体装置や精密加工機械等の粉塵発生源Aと集塵装置Bとを連結する集塵パイプCに介在させるのみで、逆洗時における粉塵の逆流を簡単に阻止することができる。特に、逆洗時において集塵方向に高圧空気を噴射させたり、集塵風量の調整をしたりする必要がなく、集塵作業を継続しつつ、逆洗時における逆洗圧力の伝播を極力なくし、粉塵発生源Aへの粉塵の逆流を簡単に阻止することができる。
【0044】
また、従来の集塵装置Bの構成に変更を加える必要がなく、特殊な制御を行う必要もないため、低コストで粉塵の逆流を阻止することができる。
【0045】
更に、本実施形態の逆洗方向転換ユニット10においては、少なくとも排出側連結部13が、筒状本体11側から集塵装置B側に向かって縮径したテーパー状をなすことによって、粉塵を含む逆洗エアYが筒状本体11内に流入した際に、コアンダ効果によって排出側連結部13の内面に沿って筒状本体11の内周面11a側に拡散され易くなるため、逆洗時における逆洗圧力の伝播を一段と低減し、粉塵を含む逆洗エアYの逆流阻止効果の更なる向上が図られる。
【0046】
また、本実施形態の逆洗方向転換ユニット10に係る分流筒16は、反転部材15に係る凹溝14内に位置させた一端開口縁16a側から、排出側連結部13側に位置させた他端開口縁16b側に向かって縮径するテーパー状をなすことによって、粉塵発生源Aから集塵装置Bへ集塵方向に流れる集塵エアXはスムーズに流れる。そして逆洗時において、排出側連結部13側から筒状本体11内に瞬間的に流入し、テーパー状を成す排出側連結部13によって筒状本体11の内周面11a側に誘導される逆洗エアYは、分流筒16によって集塵エアXとぶつかりにくい状態で筒状本体11の内周面11a側にスムーズに誘導されるため、集塵エアXの流れを一定に維持した状態で、逆洗時における逆洗圧力の伝播をより低減し、粉塵発生源Aへの粉塵の逆流の阻止効果の更なる向上が図られる。
【0047】
以上、本実施形態の逆洗方向転換ユニット10について詳述したが、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、前記実施形態の逆洗方向転換ユニット10に係る導入側連結部12は、粉塵発生源A側から筒状本体11側に向かって拡径したテーパー状を成しているが、集塵エアXの流入側における本発明の逆洗方向転換ユニットに係る導入側連結部はテーパー状に限定されない。
図4に示した本発明の他の実施形態に係る逆洗方向転換ユニット10aは、前述した実施形態に係る逆洗方向転換ユニット10と同様、筒状本体11と、テーパー状を成す排出側連結部13と、筒状本体11内に配設された反転部材15と、テーパー状を成す分流筒16とを含んで構成されている。
【0048】
そして、本実施形態の逆洗方向転換ユニット10aに係る導入側連結部12aは、粉塵発生源A側の集塵パイプCに逆洗方向転換ユニット10aを連結するためアダプタとして配設されており、前述の実施形態の逆洗方向変換ユニット10に係る導入側連結部12のようなテーパー状ではなく、平板状の板部材と集塵パイプCへの連結管とで形成されている。つまり、粉塵発生源A側に配設される導入側連結部12aは、単に粉塵発生源A側の集塵パイプCに、逆洗方向転換ユニット10aに係る筒状本体11を連結することができ、粉塵発生源Aから流入する集塵エアXをスムーズに集塵装置B側へ排出することができれば、導入側連結部12aの形状は特に限定されるものではない。
【0049】
本実施形態の逆洗方向転換ユニット10aによっても、前述の実施形態の逆洗方向転換ユニット10と同様に、粉塵発生源Aから流入する集塵エアXは、筒状本体11内に配設された反転部材15が備える挿通孔14bを通過し、排出側連結部13から集塵装置B側の集塵パイプCへと流れ、集塵装置Bで回収されることとなる。
【0050】
そして、集塵装置Bが備える集塵フィルタの逆洗時には、半導体装置等の粉塵発生源Aは作動させたままで、集塵エアXの流れを維持した状態で逆洗エアYを瞬間的に噴出させる。すると、粉塵を含む逆洗エアYは、
図4(b)に示すように、逆洗方向転換ユニット10aに係る排出側連結部13を介して筒状本体11内に流入する。このとき、粉塵発生源A側からは、筒状本体11内に配設されている反転部材15に係る挿通孔14bを通過して集塵エアXが流れてきているため、排出側連結部13を介して筒状本体11内に流入した逆洗エアYは、テーパー状を成す排出側連結部13の内面に沿って、筒状本体11内に配設された分流筒16の外側を筒状本体11の内周面11aの方向に誘導される。そして、筒状本体11の内周面11aの方向に誘導された逆洗エアYは、反転部材15に係る凹溝14にぶつかって流れ方向が反対方向に転換され、反転部材15に係る挿通孔14bを通過する集塵エアXと合流して、排出側連結部13側へと誘導されることとなる。
【0051】
以上のとおり、本実施形態の逆洗方向転換ユニット10aにおいても、前記実施形態の逆洗方向転換ユニット10と同様の効果が得られる。また、本実施形態の逆洗方向転換ユニット10aに係る排出側連結部13及び分流筒16もテーパー状を成しているため、排出側連結部13を介して筒状本体11内に流入した逆洗エアYは、筒状本体11の内周面11a側に拡散され易くなるとともに、テーパー状の分流筒16によって集塵エアXとぶつかりにくいため、よりスムーズに逆洗エアYを筒状本体11の内周面11aの方向に誘導することができる。
【0052】
以上、本発明の逆洗方向転換ユニットの実施形態について詳述したが、更に他の実施形態によっても本発明の効果を得ることができる。例えば、
図5に示した本発明の実施形態に係る逆洗方向転換ユニット10bは、前記実施形態の逆洗方向転換ユニット10aに係る反転部材15及び分流筒16の配設位置を導入側連結部12a側に位置させている。このように、反転部材15を導入側連結部12a側に近接して配設するとともに、反転部材15の配設位置に合わせて分流筒16を配設することによっても、前記実施形態に係る逆洗方向転換ユニット10、10aと同様の効果が得られる。つまり、筒状本体11内における反転部材15の配設位置は特に限定されるものではないが、排出側連結部13側よりも導入側連結部12a側に配設することによって、排出側連結部13を介して筒状本体11内に流入した逆洗エアYを、テーパー状を成す排出側連結部13の内面に沿って、筒状本体11の内周面11aの方向によりスムーズに誘導することができる。
【0053】
また、
図6(a)に示した本発明の実施形態に係る逆洗方向転換ユニット10cは、前記実施形態の逆洗方向転換ユニット10aと略同様の構成を備えるが、分流筒16が配設されていない。分流筒16は、筒状本体11内において集塵エアXと逆洗エアYとをぶつかりにくくして、これらの分流をスムーズにする効果が得られる。しかし、排出側連結部13がテーパー状を成していることによって、排出側連結部13を介して筒状本体11内に流入した逆洗エアYは、排出側連結部13の内面に沿って筒状本体11の内周面11aの方向に誘導することができるため、必ずしも分流筒16を配設しなくても本発明の効果を得ることができる。
【0054】
つまり、粉塵発生源Aから流入する集塵エアXは、筒状本体11内に配設された反転部材15が備える挿通孔14bを通過し、排出側連結部13から集塵装置B側の集塵パイプCへと流れ、集塵装置Bで回収される。一方の逆洗時には、集塵エアXの流れを維持した状態で逆洗エアYを瞬間的に噴出させると、粉塵を含む逆洗エアYは、逆洗方向転換ユニット10cに係る排出側連結部13を介して筒状本体11内に流入する。このとき、粉塵発生源A側からは、反転部材15に係る挿通孔14bを通過して集塵エアXが流れてきているが、排出側連結部13を介して筒状本体11内に流入した逆洗エアYは、テーパー状を成す排出側連結部13の内面に沿って筒状本体11の内周面11aの方向に誘導される。そして、筒状本体11の内周面11aの方向に誘導された逆洗エアYは、反転部材15に係る凹溝14にぶつかって流れ方向が反転され、反転部材15に係る挿通孔14bを通過する集塵エアXと合流して、排出側連結部13側へと誘導されることとなる。従って、集塵エアXの流れを一定に維持した状態で、逆洗時における逆洗圧力の伝播をより低減し、粉塵発生源Aへの粉塵の逆流の阻止効果が十分に得られる。
【0055】
また、
図6(b)に示した本発明の実施形態に係る逆洗方向転換ユニット10dは、
図6(a)に示した実施形態の逆洗方向転換ユニット10cに係る反転部材15を導入側連結部12a側に近接して配置している。このような構成であっても、逆洗時において、排出側連結部13を介して筒状本体11内に流入した逆洗エアYは、テーパー状を成す排出側連結部13の内面に沿って筒状本体11の内周面11aの方向に誘導される。そして、筒状本体11の内周面11aに沿って導入側連結部12aの方向に誘導された逆洗エアYは、反転部材15に係る凹溝14にぶつかって流れ方向が反転され、反転部材15に係る挿通孔14bを通過する集塵エアXと合流して、排出側連結部13側へと誘導されることとなる。従って、集塵エアXの流れを一定に維持した状態で、逆洗時における逆洗圧力の伝播をより低減し、粉塵発生源Aへの粉塵の逆流の阻止効果が十分に得られる。
【0056】
更に、
図7(a)に示した本発明の実施形態に係る逆洗方向転換ユニット10eは、基本的には
図6(a)に示した実施形態の逆洗方向転換ユニット10cと同様の構成を備えるが、本実施形態における反転部材25に係る凹溝14の断面形状はコ字状を成している。前記実施形態の逆洗方向転換ユニット10cにおける反転部材15に係る凹溝14の断面形状は半円状を成しているが、本実施形態に係る反転部材25のように、凹溝14の断面形状をコ字状に形成しても、前記実施形態の逆洗方向転換ユニット10cと同様の効果を得ることができる。つまり、本発明の逆洗方向転換ユニットにおける反転部材に係る凹溝の断面形状は特に限定されず、半円形やコ字状の他、U字状、V字状等であってもよい。
【0057】
また、
図7(b)に示した本発明の実施形態に係る逆洗方向転換ユニット10fは、
図7(a)に示した実施形態の逆洗方向転換ユニット10eに係る反転部材25を導入側連結部12a側に近接して配置している。このような構成であっても、前記実施形態に係る逆洗方向転換ユニット10d、10eと同様の効果が得られ、集塵エアXの流れを一定に維持した状態で、逆洗時における逆洗圧力の伝播をより低減し、粉塵発生源Aへの粉塵の逆流の阻止効果が十分に得られる。
【0058】
また更に、
図8(a)及び
図8(b)に示した本発明の実施形態に係る逆洗方向転換ユニット10g、10hは、
図6(a)に示した実施形態の逆洗方向転換ユニット10c及び
図7(a)に示した実施形態の逆洗方向転換ユニット10eのそれぞれにおける筒状本体11が、その長手方向に延長された筒状本体21を備える。これら長尺の筒状本体21を備える本実施形態の逆洗方向転換ユニット10g、10hによっても、前記実施形態の逆洗方向転換ユニット10c、10eと同様の効果が得られるとともに、筒状本体21内の長手方向の距離が延長されることによって、逆洗時における逆洗圧力の伝播を一段と低減し、粉塵発生源Aへの粉塵の逆流の阻止効果の更なる向上が図られる。
【0059】
また、
図9に示した本発明の実施形態に係る逆洗方向転換ユニット10iは、
図6(b)に示した実施形態の逆洗方向転換ユニット10dと略同様の構成を備えるが、本実施形態の逆洗方向転換ユニット10iに係る反転部材35は、この反転部材35に係る凹溝14の内側端縁部14c(
図6(b)参照)から、排出側連結部13の方向に向かって円筒状の隔壁部14dが延設されていることを特徴とする。本実施形態の逆洗方向転換ユニット10iが備える反転部材35のように、凹溝14の内側端縁部14cから、円筒状の隔壁部14dが延設されていることによって、粉塵発生源Aから筒状本体11内に流入する集塵エアXが反転部材35に係る挿通孔14bを通過する際、隔壁部14dの形成によって挿通孔14bの距離が長くなるため、集塵エアXの整流効果の向上が図られ、よりスムーズに排出側連結部13の方向へ集塵エアXを送り出すことができる。
【0060】
そして、逆洗時において、排出側連結部13を介して筒状本体11内に流入し、テーパー状を成す排出側連結部13の内面から筒状本体11の内周面11aに沿って導入側連結部12aの方向に誘導された逆洗エアYは、反転部材35に係る凹溝14にぶつかって流れ方向が反転されるが、流れ方向が反転された逆洗エアYを隔壁部14dによって排出側連結部13の方向へより一層誘導することができるため、逆洗時における逆洗圧力の伝播を低減し、粉塵発生源Aへの粉塵の逆流の阻止効果の更なる向上が図られる。
【0061】
なお、本実施形態の逆洗方向転換ユニット10iにおける隔壁部14dは、縦方向断面形状が円形状を成す筒状本体11及び反転部材35に合わせて円筒状を成しているが、隔壁部14dの外形状は、筒状本体11及び反転部材35に合わせて形成されることとなる。つまり、例えば筒状本体11及び反転部材35の縦方向断面形状が楕円形状であれば隔壁部14dも楕円筒状、筒状本体11及び反転部材35の縦方向断面形状が四角形であれば四角筒状というように、隔壁部14cは、筒状本体11及び反転部材35の形状に合わせた外形状を成すこととなる。
【0062】
更に他の実施形態として、
図10に示した本発明の実施形態に係る逆洗方向転換ユニット20は、
図7(b)に示した実施形態に係る逆洗方向転換ユニット10fの構成と類似するが、本実施形態の逆洗方向転換ユニット20は、円筒状の筒状本体11の粉塵発生源A側に配設される導入側連結部12aの中央部に形成されている筒状本体11内への導入口22から排出側連結部13の方向に向かって隔壁筒23が突設されている。
【0063】
そして、本実施形態の逆洗方向転換ユニット20では、筒状本体11の内周面11aと、導入側連結部12aの筒状本体11内における内壁面12bと、隔壁筒23の外周面23aとによって凹溝14が周状に形成されることを特徴とする。このように、筒状本体11の内周面11aと、導入側連結部12aの内壁面12bと、隔壁筒23の外周面23aとによって凹溝14を形成することによって、筒状本体11内に別途、反転部材を配設する必要がなく、本発明の逆洗方向転換ユニットをより簡単に構成することができ、逆洗方向転換ユニットの低コスト化を図ることができる。
【0064】
また、本実施形態の逆洗方向転換ユニット20によっても、前記実施形態に係る逆洗方向転換ユニット10f等と同様の効果は十分に得られる。つまり、逆洗時において、排出側連結部13を介して筒状本体11内に流入し、テーパー状を成す排出側連結部13の内面に沿って誘導され、筒状本体11の内周面11aに沿って導入側連結部12aの方向に誘導された逆洗エアYは、筒状本体11の内周面11aと、導入側連結部12aの内壁面12bと、隔壁筒23の外周面23aとによって形成された凹溝14にぶつかって流れ方向が反転され、隔壁筒23に係る挿通孔23bを通過する集塵エアXと合流して、排出側連結部13側へと誘導されることとなり、逆洗時における逆洗圧力の伝播を低減し、粉塵発生源Aへの粉塵の逆流の阻止効果の向上が図られる。
【0065】
なお、本実施形態の逆洗方向転換ユニット20では、導入側連結部12aが備える導入口22から隔壁筒23を筒状本体11内の方向へ突設することによって構成しているが、例えば、導入側連結部12aに係る集塵パイプCへの連結管と隔壁筒23とを一体とし、ドーナツ円盤状の板部材(中央部開口が導入口22となる)に、集塵パイプCへの連結管と隔壁筒23とを一体にした管状部材を挿通することによって構成してもよい。
【0066】
以上、本発明の逆洗方向転換ユニットの実施形態について詳述したが、本発明の逆洗方向転換ユニットの技術的思想を実質的に限定するものと解してはならない。本発明はその要旨を逸脱しない範囲で、当業者の創意と工夫により、適宜に改良、変更又は追加をしながら実施できる。
【符号の説明】
【0067】
10、10a~10i、20:逆洗方向転換ユニット
11、21:筒状本体
11a:筒状本体の内周面
12、12a:導入側連結部
12b:導入側連結部の内壁面
13:排出側連結部
14:凹溝
14a:凹溝の内面
14b、23b:挿通孔
14c:凹溝の内側端縁部
14d:隔壁部
15、25、35:反転部材
16:分流筒
16a:一端開口縁
16b:他端開口縁
17:接合ブラケット
22:導入口
23:隔壁筒
23a:隔壁筒の外周面
A:粉塵発生源
B:集塵装置
C:集塵パイプ
X:集塵エア
Y:逆洗エア