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  • 特許-アルミホイール用意匠カバー 図1
  • 特許-アルミホイール用意匠カバー 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】アルミホイール用意匠カバー
(51)【国際特許分類】
   B60B 7/16 20060101AFI20240325BHJP
   B60B 7/06 20060101ALI20240325BHJP
   B60B 7/02 20060101ALI20240325BHJP
【FI】
B60B7/16 C
B60B7/06 C
B60B7/06 N
B60B7/02 H
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2024007995
(22)【出願日】2024-01-23
(62)【分割の表示】P 2023505997の分割
【原出願日】2023-01-26
【審査請求日】2024-02-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523029755
【氏名又は名称】ユニオンクリエイト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100151208
【弁理士】
【氏名又は名称】植田 吉伸
(72)【発明者】
【氏名】若村 亮
【審査官】池田 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-187504(JP,A)
【文献】国際公開第2011/158824(WO,A1)
【文献】中国実用新案第217603146(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第111911014(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60B 1/00 - 3/18
B60B 7/00 - 7/20
F16B 23/00 ; 41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被固定対象物に固定対象物を装着して複数の螺子部材で被固定対象物と固定対象物とを締結する際の盗難防止機構であって、
前記複数の螺子部材は、
右方向に回すと進み一定のトルク以上で回転が規制されてそれ以上回すと頭部が外れ、左方向に回すと後退する右螺子部と、
左方向に回すと進み一定のトルク以上で回転が規制されてそれ以上回すと頭部が外れ、右方向に回すと後退する左螺子部と、
を有することを特徴とする固定対象物の盗難防止機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミホイール用意匠カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用タイヤのホイールの意匠性を高めるためにホイルカバーが開発されている。本発明に関連する技術として、例えば、特許文献1には、アルミホイールの意匠面にあらかじめ窪みを形成し、前記意匠面のうち前記窪みに加飾用部材を装着して、前記アルミホイールと一体化したデザインを構成することにより、意匠性を向上させた加飾アルミホイールであって、前記アルミホイールは、断面がほぼM 字型で該M 字の幅方向中央に平坦な面をもつスポーク部を有し、前記アルミホイールの意匠面のうちスポーク部には前記M 字型の幅方向中央部の凹みからなる前記窪みを形成し、前記窪みは前記M 字の幅方向中央の平坦面からなる底面を有するとともに前記意匠面に開口しており、前記窪みの底面と前記加飾用部材の裏面との間には空間が存在していて前記加飾用部材が前記窪みの底面から浮かして前記窪みに取付けられている加飾アルミホイールが開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、外側面を有し該外側面の一部で少なくともスポーク部位を含む面に外側面から後退した窪みを有する軽合金ホイールと、前記軽合金ホイールとは別体で製作され前記窪みに交換可能に装着される加飾用部材と、からなり、前記軽合金ホイールと前記加飾用部材とは協働して意匠面を構成し、前記加飾用部材は前記意匠面の一部を形成しており、前記軽合金ホイールと前記加飾用部材とは、加飾用部材の内周部と外周部で、互いに取外し可能に固定され、加飾用部材の固定には、前記加飾用部材に固定されたボルトを前記軽合金ホイールに形成されたボルト穴に通してボルトにナットをねじ込むことにより固定する第1の固定手段と、前記加飾用部材に設けられた係合爪を前記軽合金ホイールに係合させることにより固定する第2 の固定手段と、の少なくとも一つが用いられている、加飾軽合金ホイールが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-306396号公報
【文献】特開2006-199295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のホイルカバーは、車両のタイヤが回転した際の振動を抑制するためにスポーク形状、ディッシュ形状などのアルミホールを模倣した回転対称のデザインに限定されるため、面白味に欠けることがある。
【0006】
本発明の目的は、回転非対称のデザインを採用しつつ、車両のタイヤが回転した際の振動を抑制することを可能とするアルミホイール用意匠カバーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る固定対象物の盗難防止機構は、被固定対象物に固定対象物を装着して複数の螺子部材で被固定対象物と固定対象物とを締結する際の盗難防止機構であって、前記複数の螺子部材は、右方向に回すと進み一定のトルク以上で回転が規制されてそれ以上回すと頭部が外れ、左方向に回すと後退する右螺子部と、左方向に回すと進み一定のトルク以上で回転が規制されてそれ以上回すと頭部が外れ、右方向に回すと後退する左螺子部と、 を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、回転非対称のデザインを採用しつつ、車両のタイヤが回転した際の振動を抑制することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る実施形態のアルミホイール用意匠カバーをアルミホイールに装着している様子を示す図である。
図2】本発明に係る実施形態のアルミホイール用意匠カバーのバリエーション展開品を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0013】
図1は、本発明に係る実施形態のアルミホイール用意匠カバー10をアルミホイール2に装着している様子を示す図である。図2は、本発明に係る実施形態のアルミホイール用意匠カバー10のバリエーション展開品を示す図である。
【0014】
アルミホイール用意匠カバー10は、自動車のタイヤのアルミホイール2に装着されるホイルカバーである。アルミホイール用意匠カバー10は、意匠カバー部12と、バランス調整用錘部16とを備えている。
【0015】
アルミホイール2は、リム部と、ハブ部と、リム部とハブ部とを連結する複数のスポーク部とを備えている。複数のスポーク部は、ここでは、3つで足りるものとして述べるが、もちろん、4本以上であってもよい。
【0016】
ハブ部には単一のハブ穴が形成されており、ハブ穴まわりにホイールを車軸のハブに固定するためのハブボルトが貫通する複数のボルト穴が形成されている。スポーク部間には飾り窓が形成されている。
【0017】
アルミホイール2は、回転対称の意匠を有する。回転対称の意匠として、スポーク形状、フィン形状、メッシュ形状、ディッシュ形状を備えている。なお、回転対称は、図形を特徴付ける対称性の一群である。nを2以上の整数とし、ある中心(2次元図形の場合)または軸(3次元図形の場合)の周りを (360/n) °回転させると自らと重なる性質を、n回対称、またはn相対称、(360/n) 度対称などという。例えば、n=3の場合、120°回転させると自らと重なる3回対称となる。
【0018】
また、アルミホイール2は、図1に示されるように、意匠カバー部12を装着して固定状態とするための3つの螺子穴3a,3b,3cを備えている。ここでは、3つの螺子穴3a,3b,3cであるものとして説明するが、もちろん、3つに限定されず、例えば、4つ以上であってもよい。
【0019】
スポーク形状とは、ホイールの中心から外側に向かうようにスポーク(ホイールの中心と外側を繋ぐ棒部材)を配置している形状である。スポーク形状は、開口部が広く放熱性が高く、強度や重量、バランスなども優れているので、アルミ製のホイールでもよく採用される。
【0020】
フィン形状とは、スポーク形状から派生したデザインでスポーク形状よりもスポークを細くし、本数を増やしたデザインである。繊細で美しい足もとを演出しやすく、スポークを細くすることでホイールを大きく魅せる効果もある。
【0021】
メッシュ形状とは、網目形状のようなスポークで構成されたデザインである。網目の細かさによって高級感や繊細さを演出できる。しかし、デザイン上、造形が複雑ということもあり手入れが大変というデメリットもある。
【0022】
ディッシュ形状とは、ディスクがディッシュ(皿)のような平面のデザインである。デザイン性が高く、迫力満点で重厚感ある。
【0023】
上記のようにホイール形状は様々タイプのものが創作されているが、車両のタイヤが回転した際の振動を抑制するために回転対称の意匠パータンであり、例えば、「愛」の文字のような形状をホイールにすることは極めて困難である。
【0024】
意匠カバー部12は、アルミホイール2に装着され、回転非対称の意匠を有する。意匠カバー部12は、車両のアルミホイール2の外側の意匠面を被覆する。なお、回転非対称とは、上述した回転対称ではない図形である。
【0025】
意匠カバー部12は、図1に示されるように、円環状のリング部材において中央部に左右に跨って設けられる回転非対称の図形(図1では三日月のような形状)が設けられている。
【0026】
意匠カバー部12は、螺子部材14が螺合するために、アルミホイール2の3つの螺子穴3a,3b,3cに対応して形成される3つの螺子穴13a,13b,13cを備える。
【0027】
アルミホイール2の3つの螺子穴3a,3b,3cと意匠カバー部12の螺子穴13a,13b,13cとが重なるように意匠カバー部12が配置された状態で、3つの螺子部材14は、螺子穴3a,3b,3c及び螺子穴13a,13b,13cを螺合することにより、意匠カバー部12は取り付けられた状態となる。
【0028】
バランス調整用錘部16は、回転非対称の意匠カバー部12をアルミホイール2に装着して、車両のタイヤを回転させた際の振動を抑制するように意匠カバー部12に設けられる。具体的には、意匠カバー部12に設けられる回転非対称の図形の重量バランスに応じて、車両のタイヤが回転したときの振動を抑制するように図形の裏側に所定の位置に設けられる錘である。
【0029】
ここで、意匠カバー部12は、アルミホイール2に装着した際に、他人から盗難されにくいように盗難防止機構が設けられている。盗難防止機構は、意匠カバー部12に設けられたセンサーによって取り外されたときに警告音がなるようなものであってもよいが、ここでは、3つの螺子部材14及び螺子穴3a,3b,3cを用いて実現している。
【0030】
3つの螺子部材14は、右螺子部14aと左螺子部14bとを備えている。盗難防止機構は、3つの螺子部材14のうち、右螺子部14a及び左螺子部14bをそれぞれ少なくとも1つ以上備えて構成される。
【0031】
右螺子部14aは、右方向に回すと進み一定のトルク以上で回転が規制されてそれ以上回すと頭部が外れ、左方向に回すと後退する右ネジである。
【0032】
右螺子部14aは、頭部15aと、横方向に突出する鍔部15cと、頭部15aと鍔部15cとを連結するくびれ部15bと、胴部15dとを備えている。なお、頭部15aには、螺子を回転させるための螺子山(例えば、図1に示されるように六角形)が形成されているが、鍔部15cには螺子山は存在しない。
【0033】
右螺子部14aは、図1に示されるように、頭部15aと鍔部15cの境界部分が胴部15dの径よりも小さい形状のくびれ部15bとなり、一定のトルク以上で右方向に回転した際にくびれ部15bが千切れてしまうような加工が施されている。
【0034】
左螺子部14bは、左方向に回すと進み一定のトルク以上で回転が規制されてそれ以上回すと頭部が外れ、右方向に回すと後退する左ネジである。一般的には右ネジが使用されているのに対し、左螺子部14bは、右ネジとは反対に左に回すと進むようにねじ切りされた部材である。
【0035】
左螺子部14bは、頭部16aと、横方向に突出する鍔部16cと、頭部16aと鍔部16cとを連結するくびれ部16bと、胴部16dとを備えている。なお、頭部16aには、螺子を回転させるための螺子山が形成されているが、鍔部16cには螺子山は存在しない。
【0036】
左螺子部14bは、図1に示されるように、頭部16aと鍔部16cの境界部分が胴部15dの径よりも小さい形状のくびれ部16bとなり、一定のトルク以上で左方向に回転した際にくびれ部16bが千切れてしまうような加工が施されている。
【0037】
なお、右螺子部14aの頭部15aと左螺子部14bの頭部16aとは平面視で同じ形状を有しているため、平面から見たときに区別することができない。
【0038】
続いて、上記構成のアルミホイール用意匠カバー10の作用について説明する。ホイールはタイヤの内側からはめ込む車輪状のものであり、車両の動力をタイヤに伝え、車体の下部重量を抑えることでサスペンションの動きを高め、ハンドリング、ブレーキ性能、さらには乗り心地を向上させ走行性能を高める役割を果たす。
【0039】
ホイールは、高級感のあるものやスポーティーなものなど、さまざまなデザインのものが創作されているが、走行した際の振動を抑制するために回転対称のデザインが採用されているため、デザインを行う際の制約がある。このような課題に対し、アルミホイール用意匠カバー10は、顕著な効果を発揮する。
【0040】
アルミホイール用意匠カバー10によれば、意匠カバー部12の意匠を回転非対称とした場合であっても、車両が走行したときの振動を抑制するようにバランス調整用錘部16が設けられているため、様々なデザインを楽しむことが出来る。
【0041】
例えば、図2(c)に示されるように、「愛」の字をモチーフとしたものであってもよく、また、図2(d)に示されるような十字架であってもよい。もちろん、図2(a)(b)のようなデザインも採用することが出来る。
【0042】
このようにアルミホイール用意匠カバー10によれば、従来のスポーク形状のように回転対称のデザインに限定されないため、車両のユーザの好みに応じて様々なデザインを楽しむことができるという顕著な効果を奏する。
【0043】
アルミホイール用意匠カバー10によれば、様々なデザインを採用できるため、付加価値が高まる一方で盗難されてしまう可能性がある。このような盗難リスクに対してもアルミホイール用意匠カバー10は、顕著な効果を発揮する。
【0044】
アルミホイール用意匠カバー10によれば、3つの螺子部材14を用いて、螺子穴3a,3b,3c及び螺子穴13a,13b,13cを螺合する。ここで、1つ以上の右螺子部14aと、1つの左螺子部14bの組み合わせを用いて螺合する。
【0045】
一般的に、螺子は右ネジであるという認識があるため、アルミホイール用意匠カバー10を盗もうと試みる盗人は、3つの螺子部材14を左回転させて緩めようとする。しかしながら、1つ以上の右螺子部14aについては、左回転で緩めて取り外すことができるものの、左螺子部14bは一定のトルク以上で左回転させるとくびれ部16bが千切れて頭部16aが外れて鍔部16cのみが残る。
【0046】
例えば、螺子穴3a,3b,3c及び螺子穴13a,13b,13cのうち、左螺子部14bが螺子穴3b及び螺子穴13bに使用されていたときは、螺子穴3b及び螺子穴13bとは鍔部16cによって固定されているものの螺子山が形成されていないため、取り外すことができない。
【0047】
このため、盗人は焦ってアルミホイール用意匠カバー10の盗みを諦める。このように、複数の螺子穴のうち、いずれに左螺子部14bが締結されているのか外見上分からないため、盗難防止に寄与することができるという顕著な効果を奏する。
【符号の説明】
【0048】
2 アルミホイール、3a,3b,3c 螺子穴、10 アルミホイール用意匠カバー、12 意匠カバー部、13a,13b,13c 螺子穴、14 螺子部材、14a 右螺子部、14b 左螺子部、15a 頭部、15b くびれ部、15c 鍔部、15d 胴部、16 バランス調整用錘部、16a 頭部、16b くびれ部、16c 鍔部、16d胴部。
【要約】
【課題】回転非対称のデザインを採用しつつ、車両のタイヤが回転した際の振動を抑制することを可能とするアルミホイール用意匠カバーを提供することである。
【解決手段】アルミホイール用意匠カバー10は、回転対称の意匠を有するアルミホイール2に装着され、回転非対称の意匠を有する意匠カバー部12と、意匠カバー部12をアルミホイール2に装着して、車両のタイヤを回転させた際の振動を抑制するように意匠カバー部12に設けられるバランス調整用錘部16と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1


図1
図2