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特許7458709プロセスカートリッジおよび画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】プロセスカートリッジおよび画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/18 20060101AFI20240325BHJP
   G03G 15/08 20060101ALI20240325BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240325BHJP
【FI】
G03G21/18 110
G03G21/18 128
G03G15/08 229
G03G15/00 651
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019033356
(22)【出願日】2019-02-26
(65)【公開番号】P2020139989
(43)【公開日】2020-09-03
【審査請求日】2022-02-24
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】宗次 広幸
(72)【発明者】
【氏名】原田 悠子
【審査官】三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-071225(JP,A)
【文献】特開平07-181837(JP,A)
【文献】特開2000-019800(JP,A)
【文献】特開平07-311536(JP,A)
【文献】特開昭63-118759(JP,A)
【文献】特開2012-194303(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/18
G03G 15/08
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体を保持する第1枠体と、
画像形成時に前記現像剤担持体の表面に作用される表面であって、外力によって前記現像剤担持体が変形して前記現像剤担持体の前記表面に接触し得る大きさの微少隙間を空けて前記現像剤担持体の前記表面と対向する表面を有し、前記現像剤担持体から供給される現像剤によって現像された現像剤像を担持する回転可能な像担持体と、
前記像担持体を保持すると共に、把持部が備えられる第2枠体と、
を備え、前記第1枠体と前記第2枠体を結合させて一体的に構成されるプロセスカートリッジであって、
前記現像剤担持体と前記像担持体の前記微少隙間に介在して配置され、前記現像剤担持体の表面と前記像担持体の表面の接触を防止するシート部材を有し、前記シート部材は、
前記像担持体の回転軸線方向と直交し前記像担持体と前記現像剤担持体が並ぶ方向と交差する第1交差方向に延びており、
前記把持部は、前記シート部材の一端を取り付けて固定させる取付部を有し、前記像担持体の回転軸線方向に見た場合に、
前記第1交差方向における前記シート部材の前記一端とは反対の他端は、前記把持部より前記像担持体に近い位置にあり、
前記他端は、前記微少隙間に介在している第1部分と、前記微少隙間に介在していない第2部分であって、前記第1交差方向と平行且つ前記一端から前記他端に向かう直線方向に関して前記第1部分よりも下流側に配置されている第2部分と、を含むことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項2】
前記像担持体の回転軸線方向に見た場合に、前記シート部材は、前記第1枠体と前記第2枠体との間に形成された隙間を通過して前記現像剤担持体と前記像担持体の間に介在するように配置されていることを特徴とする請求項1に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項3】
前記現像剤担持体は、前記回転軸線方向に関する両端部に前記像担持体と当接することで前記像担持体の表面と前記現像剤担持体の表面との間に微少隙間を形成可能な間隔保持部材を前記回転軸線方向に関する両端部に備え、
前記シート部材は、前記微少隙間を介して前記現像剤担持体と前記像担持体の間に介在するように配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項4】
前記シート部材は、前記回転軸線方向に関して、前記間隔保持部材が配置されている前記両端部の近傍には設けられていないことを特徴とする請求項3に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項5】
現像剤を収容する現像剤収容室と、前記像担持体の表面に残留した現像剤を回収可能なクリーニング部材と、を備え、
前記シート部材は、前記現像剤担持体と接触する第1面と、前記第1面とは反対の面であって前記像担持体と接触する第2面と、を有し、
前記回転軸線方向に見た場合に、前記シート部材を介して、前記第1面側に前記現像剤収容室が設けられ、前記第2面側に前記クリーニング部材が設けられていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項6】
前記第1枠体は前記第2枠体に対して回動可能な状態で連結されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項7】
前記把持部は、前記第1交差方向における、前記シート部材の位置を位置決めする第1位置決め部を備える、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項8】
前記把持部は、前記像担持体の長手方向における、前記シート部材の位置を位置決めする第2位置決め部を備える、ことを特徴とする請求項7に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項9】
前記第1位置決め部を構成する平面と、前記第2位置決め部を構成する平面は、互いに直交するように配置されている、ことを特徴とする請求項8に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項10】
前記把持部は、前記長手方向および前記第1交差方向で規定された平面と交差する第2交差方向に貫通する貫通孔部を備え、
前記取付部は、前記貫通孔部の周囲に設けられている、ことを特徴とする請求項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項11】
前記シート部材の前記一端が、前記貫通孔部を覆うように前記把持部に取り付けられている、ことを特徴とする請求項10に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項12】
前記把持部は、基部と、前記基部に平行となるように前記長手方向に沿って延びる握り部と、前記握り部と前記基部を連結する連結部と、を備え、
前記貫通孔部は、前記基部、前記握り部、および、前記連結部によって包囲されている、ことを特徴とする請求項10または11に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項13】
前記現像剤担持体は、前記第1枠体に回転可能に支持されている、ことを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項14】
前記像担持体は、前記第2枠体に回転可能に支持されている、ことを特徴とする請求項1~13のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項15】
前記長手方向において、前記シート部材の幅は、前記現像剤担持体の全長の半分以下である、ことを特徴とする請求項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項16】
前記シート部材は、前記長手方向において、前記現像剤担持体の中央部に配置されている、ことを特徴とする請求項15に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項17】
前記プロセスカートリッジは、画像形成装置の装置本体に対して着脱可能である、ことを特徴とする請求項1~16のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジと、
前記像担持体に担持される前記現像剤像を転写する転写手段と、
を備える、ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセスカートリッジおよび画像形成装置に関する。特に、電子写真画像形成装置および電子写真画像形成装置に使用されるプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、感光体ドラムと現像ローラを備えたプロセスカートリッジの輸送や保管時において、当接された感光体ドラムと現像ローラの表面どうしが振動(衝撃)による損傷を防ぐために、保護シートを設ける構成がある。例えば、特許文献1の発明では、プロセスカートリッジに設けられている、感光体ドラムと現像ローラの表面どうしの間に、保護シートが介在されて配置されている。
【0003】
なお、特許文献1の構成では、感光体ドラムと現像ローラの間に介在された保護シートは、画像形成動作を行う(即ち、使用する)前に、画像形成装置の駆動を受けて自動的に感光体ドラムと現像ローラの間から抜かれて収容される。
【0004】
一方、感光体ドラムと現像ローラの間に介在する保護シートを、予めプロセスカートリッジの枠体に固定し、画像形成動作を行う前に、ユーザが手動で取り除く方法も存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-47596
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のような従来構成では、自動的に保護シートを除去する構成が必要である。
【0007】
また、保護シートを枠体に固定し、ユーザが手動で取り除く方法の場合においては、プロセスカートリッジを使用する前に、保護シートの取り外しを喚起する「注意ラベル」をプロセスカートリッジ枠体の外表面に取り付ける工程が生じる場合がある。これにより、作業工程や部品などを増やすためにコストが増大する恐れがある。
【0008】
本発明は、上記の問題に鑑みて、運送時などに発生する振動による像担持体表面の損傷を抑制でき、且つ、低コストで生産可能なプロセスカートリッジおよび画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のプロセスカートリッジは、現像剤を担持する現像剤担持体と、前記現像剤担持体を保持する第1枠体と、画像形成時に前記現像剤担持体の表面に作用される表面であって、外力によって前記現像剤担持体が変形して前記現像担持体の前記表面に接触し得る大きさの微少隙間を空けて前記現像担持体の前記表面と対向する表面を有し、前記現像剤担持体から供給される現像剤によって現像された現像剤像を担持する回転可能な像担持体と、前記像担持体を保持すると共に、把持部が備えられる第2枠体と、を備え、前記第1枠体と前記第2枠体を結合させて一体的に構成されるプロセスカートリッジであって、前記現像剤担持体と前記像担持体の前記微少隙間に介在して配置され、前記現像剤担持体の表面と前記像担持体の表面の接触を防止するシート部材を有し、前記シート部材は、前記像担持体の回転軸線方向と直交し前記像担持体と前記現像剤担持体が並ぶ方向と交差する第1交差方向に延びており、前記把持部は、前記シート部材の一端を取り付けて固定させる取付部を有し、前記像担持体の回転軸線方向に見た場合に、前記第1交差方向における前記シート部材の前記一端とは反対の他端は、前記把持部より前記像担持体に近い位置にあり、且つ、前記他端は、前記微少隙間に介在している第1部分と、前記微少隙間に介在していない第2部分であって、前記第1交差方向と平行且つ前記一端から前記他端に向かう直線方向に関して、前記第1部分よりも下流側に配置されている第2部分と、を含むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の画像形成装置は、
前記プロセスカートリッジと、
前記像担持体に担持される前記現像剤像を転写する転写手段と、を備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のプロセスカートリッジまたは画像形成装置によれば、運送時などに発生する振動による像担持体表面の損傷を抑制でき、且つ、低コストで生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】(a)本発明の実施例に係るプロセスカートリッジの斜視概念図; (b)プロセスカートリッジの把持部に保護シートを取り付けた状態を示す概念図; (c)保護シートが取り付けられた状態のプロセスカートリッジの断面概念図
図2】本発明の実施例に係るプロセスカートリッジが使用される画像形成装置の断面概念図
図3】本発明の実施例に係るプロセスカートリッジの断面概念図(保護シートを取り除いた状態)
図4】本発明の実施例に係るプロセスカートリッジの組立て前の部品の斜視概念図(駆動側視点)
図5】本発明の実施例に係るプロセスカートリッジの組立て前の部品の斜視概念図(非駆動側視点)
図6】(a)、(b)本発明の実施例に係るプロセスカートリッジが画像形成装置に装着された後、位置決めされる前の断面概念図
図7】(a)、(b)本発明の実施例に係るプロセスカートリッジが画像形成装置に装着され且つ位置決めされた後の断面概念図
図8】(a)本発明の実施例に係るプロセスカートリッジがユーザによって把持された状態を示す断面概念図; (b)ユーザによって把持された状態のプロセスカートリッジの斜視概念図
図9】(a)本発明の実施例に係るプロセスカートリッジが画像形成装置に装着されて出荷される際の(同梱)状態を示す断面概念図; (b)プロセスカートリッジが出荷される際の(個装)状態を示す断面概念図
図10図1(c)に示すW-W位置のプロセスカートリッジの断面概念図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、画像形成装置、若しくは、画像形成装置の一部を構成するプロセスカートリッジのいずれかの形態としても実施可能である。
【0014】
以下、本発明に係る電子写真画像形成装置を図面に則して説明する。なお、以下に説明する実施例は、例示的に本発明を説明するものであって、以下に記載される構成部品の寸法、材質、形状、その相対位置関係などは、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれに限定するものではない。
【0015】
ここで、電子写真画像形成装置とは、電子写真画像形成方式を用いて記録媒体に画像を形成するものである。そして、電子写真画像形成装置の例としては、例えば、電子写真複写機、電子写真プリンタ(例えば、レーザビームプリンタ、LEDプリンタ等)、ファクシミリ装置及びワードプロセッサ等が含まれる。
【0016】
また、画像形成装置の一部を構成するプロセスカートリッジとは、帯電手段、現像手段またはクリーニング手段と電子写真感光体ドラムとを一体的にカートリッジ化し、このカートリッジを電子写真画像形成装置の本体に対して着脱可能とするものである。また、帯電手段、現像手段、クリーニング手段の少なくとも1つと電子写真感光体ドラムとを一体的にカートリッジ化して電子写真画像形成装置の本体に着脱可能とするものである。更に、少なくとも現像手段と電子写真感光体ドラムとを一体的にカートリッジ化して電子写真画像形成装置の本体に着脱可能とするものである。
【0017】
以下、本発明の実施を例(以下、本実施例と称する)に係る電子写真画像形成装置(以下、画像形成装置)の構成、および、画像形成プロセスについて、図面に基づいて説明する。
【0018】
なお、本実施例では、電子写真感光体ドラムの回転軸線方向を長手方向とする。
【0019】
また、長手方向において、画像形成装置本体から電子写真感光ドラムが駆動力を受ける側を駆動側とし、その反対側を非駆動側とする。
【0020】
図2および図3を用いて全体構成および画像形成プロセスについて説明する。なお、図2は、本発明の実施例に係るプロセスカートリッジが使用される画像形成装置の断面概念図である。また、図3は、本発明の実施例に係るプロセスカートリッジの断面概念図(保護シートを取り除いた状態)である。
【0021】
具体的には、図2は、本発明の一実施の形態である電子写真画像形成装置A0の装置本体(電子写真画像形成装置本体、画像形成装置本体)A及びプロセスカートリッジ(以下、カートリッジBと記載する)の断面を示している。また、図3は、カートリッジBの断面を示している。
【0022】
ここで、装置本体Aとは、電子写真画像形成装置A0からカートリッジBを除いた部分である。
【0023】
<画像形成装置の全体構成>
次に、画像形成装置の全体構成について説明する。
【0024】
図2に示す電子写真画像形成装置(画像形成装置)は、カートリッジBを装置本体Aに着脱自在とした電子写真技術を利用したレーザビームプリンタである。カートリッジBが装置本体Aに装着されたとき、カートリッジBの像担持体としての電子写真感光体ドラム62に潜像を形成するための露光装置3(レーザスキャナユニット)が配置される。また、カートリッジBの下側に画像形成対象となる記録媒体(以下、シート材PAと記載する)を収納したシートトレイ4が配置されている。電子写真感光体ドラム62は、電子写真画像形成用に用いられる感光体(電子写真感光体)である。
【0025】
更に、装置本体Aには、シート材PAの搬送方向Dに沿って、ピックアップローラ5a、給送ローラ対5b、転写ガイド6、転写ローラ7、搬送ガイド8、定着装置9、排出ローラ対10、排出トレイ11等が順次配置されている。なお、定着装置9は、加熱ローラ9a及び加圧ローラ9bにより構成されている。
【0026】
<画像形成プロセス>
次に、画像形成プロセスの概略を説明する。
【0027】
プリントスタート信号に基づいて、電子写真感光体ドラム(以下、感光体ドラム62あるいは、単にドラム62と記載する)は矢印R方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。
【0028】
バイアス電圧が印加された帯電ローラ(帯電部材)66は、ドラム62の外周面(6201)に接触し、ドラム62の外周面を一様均一に帯電する(図3参照)。
【0029】
露光装置3は、画像情報に応じたレーザー光Lを出力する。そのレーザー光LはカートリッジBのクリーニング枠体(第2枠体)71に設けられたレーザー開口71hを通り、ドラム62の外周面を走査露光する。これにより、ドラム62の外周面には画像情報に対応した静電潜像が形成される。
【0030】
一方、図3に示すように、現像装置としての現像ユニット20において、トナー室29内のトナーTは、搬送部材(撹拌部材)43の回転によって撹拌、搬送され、トナー供給室28に送り出される。
【0031】
トナーTは、マグネットローラ34(固定磁石)の磁力により、現像ローラ32の外周面(3201)に担持される。現像ローラ32は、ドラム62に形成された潜像を現像するために、現像剤(トナーT)をその表面に担持する現像剤担持体である。
【0032】
トナーTは、現像ブレード42によって摩擦帯電されつつ、現像剤担持体としての現像ローラ32周面上での層厚が規制される。
【0033】
そのトナーTは、静電潜像に応じてドラム62へ供給され、潜像を現像する。これにより、潜像はトナー像として可視像化される。ドラム62はその表面に潜像や、トナーで形成される像(トナー像、現像剤像)を担持する像担持体である。また、図2に示すように、レーザー光Lの出力タイミングとあわせて、ピックアップローラ5a、給送ローラ対5bによって、装置本体Aの下部に収納されたシート材PAがシートトレイ4から送り出される。そして、そのシート材PAが転写ガイド6を経由して、ドラム62と転写ローラ7との間の転写位置へ搬送される。この転写位置において、トナー像はドラム62からシート材PAに順次転写されていく。
【0034】
トナー像が転写されたシート材PAは、ドラム62から分離されて搬送ガイド8に沿って定着装置9に搬送される。そしてシート材PAは、定着装置9を構成する加熱ローラ9aと加圧ローラ9bとのニップ部を通過する。このニップ部で加圧・加熱定着処理が行われてトナー像はシート材PAに定着される。トナー像の定着処理を受けたシート材PAは、排出ローラ対10まで搬送され、排出トレイ11に排出される。
【0035】
一方、図3に示すように、転写後のドラム62は、クリーニングブレード77により外周面上の残留トナーが除去されて、再び、画像形成プロセスに使用される。ドラム62から除去されたトナークリーニングユニット60の廃トナー室71bに貯蔵される。クリーニングユニット60は感光体ドラム62を有する感光体ドラムユニットである。
【0036】
上記において、帯電ローラ66、現像ローラ32、転写ローラ7、クリーニングブレード77がドラム62に作用するプロセス手段である。
【0037】
<カートリッジ>
次に、カートリッジBの全体構成について図3図4図5を用いて説明する。
【0038】
なお、図4は、本発明の実施例に係るプロセスカートリッジの組立て前の部品の斜視概念図(駆動側視点)である。また、図5は、本発明の実施例に係るプロセスカートリッジの組立て前の部品の斜視概念図(非駆動側視点)である。
【0039】
具体的には、図4および図5は、カートリッジBの構成を説明する斜視図を示している。なお、本実施例においては各部品を結合する際のビスに関しては省略して説明する。
【0040】
カートリッジBは、クリーニングユニット(感光体保持ユニット、ドラム保持ユニット、像担持体保持ユニット、第1ユニット)60と、現像ユニット(現像剤担持体保持ユニット、第2ユニット)20を有する。
【0041】
図3に示すように、クリーニングユニット60は、ドラム62と、帯電ローラ66と、クリーニング部材77と、これらを支持するクリーニング枠体71を有する。ドラム62は、駆動側において、駆動側に設けられた駆動側ドラムフランジ63がドラム軸受73の穴部73aにより回転可能に支持される(図4参照)。広義には、ドラム軸受73とクリーニング枠体71を総称してクリーニング枠体と呼ぶこともできる。
【0042】
非駆動側において、図5に示すように、クリーニング枠体71に設けられた穴部71cに圧入されたドラム軸78によって、非駆動側ドラムフランジの穴部(不図示)を回転可能に支持される構成となっている。
【0043】
各ドラムフランジは軸受部によって回転可能に支持される被軸受部である。
【0044】
図3に示すように、クリーニングユニット60において、帯電ローラ66、クリーニング部材77は、それぞれドラム62の外周面に接触して配置される。
【0045】
クリーニング部材77は、弾性材料としてのゴムで形成されたブレード状の弾性部材であるゴムブレード77aと、ゴムブレードを支持する支持部材77bと、を有する。ゴムブレード77aは、ドラム62の回転方向に対してカウンター方向にドラム62に当接している。即ち、ゴムブレード77aは、その先端部がドラム62の回転方向の上流側を向くようにドラム62に当接している。
【0046】
クリーニング部材77によってドラム62の表面から除去された廃トナーは、クリーニング枠体71とクリーニング部材77によって形成された廃トナー室71bに溜められる。
【0047】
また、図3に示すように、クリーニング枠体71から廃トナーが漏れることを防止するためのスクイシート65が、ドラム62に当接するようにクリーニング枠体71の縁部に設けられている。
【0048】
帯電ローラ66は、クリーニング枠体71の長手方向における両端部において、帯電ローラ軸受67を介し、クリーニングユニット60に回転可能に取り付けられている。
【0049】
なお、クリーニング枠体71の長手方向(カートリッジBの長手方向)は、ドラム62の回転軸線方向L10(長手方向)が延びる方向(軸線方向L10)と略平行である。そのため以下、特に断りなく単に長手方向あるいは単に軸線方向といった場合には、ドラム62の軸線方向を意図する。
【0050】
帯電ローラ66は、帯電ローラ軸受67が付勢部材68によりドラム62に向けて加圧されることでドラム62に圧接されている。帯電ローラ66は、ドラム62の回転に従動回転する。
【0051】
図3に示すように、現像ユニット20は、現像ローラ32と、現像ローラ32を支持する現像枠体(現像容器)23と、現像ブレード42等を有する。現像ローラ32は、両端に設けられた軸受部材26(図4)、27(図5)により回転可能に現像枠体23に取り付けられている。
【0052】
また、現像ローラ32内にはマグネットローラ34が設けられている。現像ユニット20において、現像ローラ32上のトナー層を規制するための現像ブレード42が配置されている。図4図5に示すように、現像ローラ32には間隔保持部材38が現像ローラ32の両端部に取り付けられており、間隔保持部材38とドラム62が当接することで、現像ローラ32はドラム62と微少隙間をもって保持される。また、図3に示すように、現像ユニット20からトナーが漏れることを防止するための吹き出し防止シート33が、現像ローラ32に当接するように底部材22の縁部に設けられている。更に、現像枠体23と底部材22によって形成されたトナー室29には、搬送部材43が設けられている。搬送部材43は、トナー室29に収容されたトナーを撹拌すると共に、トナー供給室28へトナーを搬送する。
【0053】
図4図5に示すように、カートリッジBはクリーニングユニット60と現像ユニット20を合体(結合)して構成される。
【0054】
なお、結合の際には、まずクリーニング枠体71の駆動側の第1吊り穴71iに対する軸受部材26の現像第1支持ボス26aの中心と、非駆動側の第2吊り穴71jに対する軸受部材27の現像第2支持ボス27aの中心を合わせる。具体的には、現像ユニット20を矢印G方向に移動させることで、第1吊り穴71i、第2吊り穴71jに現像第1支持ボス26a、現像第2支持ボス27aが嵌合する。これにより、クリーニングユニット60に対して現像ユニット20が移動可能に連結される。より詳細にいうと、クリーニングユニット60に対して現像ユニット20が回転移動可能(回動可能)に連結される。即ち、ドラム62に対して現像ローラ32が接離可能な状態で連結される。この後、ドラム軸受73をクリーニングユニット60に組み付けることによってカートリッジBを構成する。
【0055】
本実施例においては駆動側付勢部材46L(図5)、非駆動側付勢部材46R(図4)は圧縮バネで形成されている。これらバネの付勢力により、駆動側付勢部材46Lと非駆動側付勢部材46Rが、現像ユニット20をクリーニングユニット60に付勢させることで現像ローラ32をドラム62の方向へ確実に押し付けるよう構成する。さらに、現像ローラ32の両端部に取り付けられた間隔保持部材38を備えている。即ち、ドラム62と現像ローラ32が間隔保持部材38を介して所定の接触圧で接触することで、現像ローラ32はドラム62から所定の間隔をもって保持され、それぞれの相対位置が決まる。
【0056】
<把持部>
次に、図8(a、b)を用いて本実施例のカートリッジBの把持部について説明する。
【0057】
図8(a)は、本発明の実施例に係るプロセスカートリッジがユーザによって把持された状態を示す断面概念図である。また、図8(b)は、ユーザによって把持された状態のプロセスカートリッジの斜視概念図である。
【0058】
図8(a、b)において、クリーニング枠体71と現像枠体23(第1枠体)の間には、カートリッジBの外部から感光体ドラム62に通じる隙間S1を有する。隙間S1は感光体ドラム62の回転軸線方向L10に交差(直交)する第1の方向L1(第1交差方向)に延びて形成されている。第1の方向L1と、感光体ドラム62の回転軸線方向(L10)の双方を含む平面P3に直交する方向を第2の方向L2(第2交差方向)とする。図8(a)の矢印L2方向を上側、逆方向を下側とし、図8(a)の矢印L1方向をカートリッジ装着側(装着側)、逆方向をカートリッジ引き抜き側(引き抜き側)とする。
【0059】
また、図8(a、b)に示すように、クリーニング枠体71(第2枠体)に貫通孔部85を設けた把持部80を形成している。貫通孔部85は、断面が略棒状の握り部86と、握り部86と廃トナー室71b等を構成するクリーニング枠体71の主要部71gを構成する基部80Aとを連結する、駆動側中継部87(連結部)と非駆動側中継部88(連結部)で囲まれて構成されている。
【0060】
具体的に、本実施例では、把持部は、基部(80A)と、基部に平行となるように長手方向に沿って延びる握り部(86)と、握り部と基部を連結する連結部(87、88)と、を備える。また、貫通孔部は、基部、握り部、および、連結部によって包囲されている。
【0061】
次に、ユーザによるカートリッジBの取り扱いについて説明する。
【0062】
ユーザがカートリッジBを把持する方法は以下に示す通りである。
【0063】
図8(b)に示すように、把持部80の具体的な掴み方としては、人差し指Y2、中指Y3、薬指Y4、小指Y5を貫通孔部85に通し、握り部86を握り(図8(a)参照)、親指Y1を、現像枠体23の壁面23bに押し当てる。このように把持した状態で、ユーザは装着軌跡に合わせた、適正なカートリッジBの装着角度に調整しながら、装置本体AにカートリッジBを装着することができる。前述したカートリッジBの把持方法は一例である。
【0064】
<カートリッジの装着>
次にカートリッジBの装着について、図6(a、b)、図7(a、b)を用いて具体的に説明する。
【0065】
図6(a、b)は、本発明の実施例に係るプロセスカートリッジが画像形成装置に装着された後、位置決めされる前の断面概念図である。また、図7(a、b)は、本発明の実施例に係るプロセスカートリッジが画像形成装置に装着され且つ位置決めされた後の断面概念図である。
【0066】
具体的には、図6(a)は、カートリッジBの装着を説明するための画像形成装置A0の駆動側ガイド部の断面図であり、図6(b)はカートリッジBの装着を説明するための画像形成装置A0の非駆動側ガイド部の断面図である。図7(a)はカートリッジBの位置決めを説明するための画像形成装置A0の駆動側断面図である。図7(b)はカートリッジBの位置決めを説明するための画像形成装置A0の非駆動側断面図である。
【0067】
次に、カートリッジBの装着について説明する。
【0068】
図6(a)、図6(b)に示すように、第1駆動側板15は、ガイドとしてのガイドレール上15gとガイドレール15hとを有しており、非駆動側板16はガイドレール上16dとガイドレール16eとを有している。また、カートリッジBの駆動側に設けられたドラム軸受73は、被回転止め部73cを有している。
【0069】
なおカートリッジBの装着方向は、ドラム62の軸線と実質的に直交する方向(矢印C)である。
【0070】
またクリーニング枠体71は長手方向において非駆動側に第1の位置決め部としての被位置決め部71dと、第2の位置決め部としての被回転止め部71fとを有している。カートリッジBを装置本体Aのカートリッジ挿入口17から装着すると、カートリッジBの駆動側がカートリッジBの被回転止め部73cとが装置本体Aのガイドレール15hにガイドされる。カートリッジBの非駆動側はカートリッジBの被位置決め部71dと被回転止め部71fとが装置本体Aのガイドレール16dとガイドレール16eにガイドされる。これによって、カートリッジBは装置本体Aに装着される。
【0071】
次に、開閉扉13を閉じる状態を説明する。図6(a)、図6(b)、図7(a)、図7(b)に示すように、第1駆動側板15は、位置決めとしての位置決め部上15aと位置決め部下15bと回転止め部15cを有しており、非駆動側板16は、位置決め部16aと回転止め部上16cを有している。ドラム軸受73は、被位置決め部上(第1の被位置決め部、第1の突起、第1の張出部)73dと被位置決め部下(第2の被位置決め部、第2の突起、第2の張出部)73fとを有している。
【0072】
また、カートリッジ押圧部材1、2は、開閉扉13の軸方向両端に回転可能に取り付けられている。カートリッジ押圧バネ19、21は、それぞれ画像形成装置A0に設けられた前板の長手方向において両端に取り付けられている。ドラム軸受73は付勢力受け部としての被押圧部73eを有し、クリーニング枠体71は非駆動側にて被押圧部71oを有す(図3参照)。開閉扉13を閉じることにより、カートリッジBの被押圧部73e、71oが、装置本体Aのカートリッジ押圧バネ19、21によって付勢されたカートリッジ押圧部材1、2によって押圧される(図7参照)。
【0073】
これによって、駆動側においては、カートリッジBの被位置決め部上73dと被位置決め部下73fと回転止め部73cとがそれぞれ装置本体Aの位置決め部上15aと位置決め部下15bと回転止め部15cとに固定される。この結果、カートリッジBやドラム62が駆動側で位置決めされる。また、非駆動側において、カートリッジBの被位置決め部71dと被回転止め部71fとがそれぞれ装置本体Aの位置決め部16aと回転止め部16cとに固定される。これによって非駆動側にてカートリッジBやドラム62が位置決めされる。
【0074】
これまで、装置本体Aに対して、カートリッジBの位置を決める構成の一例として記載したが、位置決めとしての手段を限定する趣旨の記載ではない。カートリッジBの駆動側の被位置決め部73d、被回転止め部73f、及び、非駆動側の被位置決め部71d,被回転止め部71fに直接作用して、位置決め部それぞれを固定する構成でも良い。
【0075】
<保護シート>
次に、出荷されるカートリッジBに用いられる保護シート95(シート部材)について説明する。
【0076】
なお、カートリッジBは、販売形態によって、出荷時の構成が異なる。図9(a)、(b)に示す2種類の構成が一般的である。
【0077】
図9(a)は、本発明の実施例に係るプロセスカートリッジが画像形成装置に装着されて出荷される際の(同梱)状態を示す断面概念図である。また、図9(b)は、個装のプロセスカートリッジが出荷される際の状態を示す断面概念図である。
【0078】
具体的には、1つ目は、画像形成装置本体を購入したユーザが、設置後すぐに印刷できるように、カートリッジBが装置本体Aに装着された状態で販売される形態である。ここで、装置本体AにカートリッジBが装着された形態を本体同梱形態と呼ぶ。この本体同梱形態は、図9(a)に示すように、カートリッジBが装着された装置本体Aを緩衝材105と箱106等で梱包された状態で販売される。
【0079】
2つ目は、カートリッジBが単体で販売される形態である。この形態は、図9(b)に示すように、カートリッジB単体を緩衝材97と箱98等で梱包された状態で販売される。ここで、カートリッジBが単体で販売される形態を個装形態と呼ぶ。すなわち、カートリッジBは、生産されてから市場で販売されてユーザの手に届くまでに、個装形態、もしくは本体同梱形態で輸送されることがある。
【0080】
また、前述の通り、カートリッジBは、プロセス手段を感光体ドラム62に作用させることによって、画像を形成する。その為、製品の輸送や、ユーザの取り扱いによってプロセスカートリッジBに振動や衝撃が作用した場合でも、感光体ドラム62に傷、打痕、汚れなどがつかないように保護されることが望ましい。特に、図3に示すように、現像ローラ32は、ドラム62に対して近接した位置に配置され、金属材のパイプで形成されている。その為、カートリッジBに振動や衝撃が作用したときに、ドラム62に接触しやすく、ドラム62を傷付ける可能性がある。
【0081】
そこで、本実施例においては、ドラム62と現像ローラ32が直接接触しないように、ドラム62と現像ローラ32の間に保護シート95を配置する。
【0082】
以下、プロセスカートリッジにおける保護シート95の取り付け位置について、図1(a~c)を用いて説明する。
【0083】
図1(a)は、本発明の実施例に係るプロセスカートリッジの斜視概念図である。図1(b)は、プロセスカートリッジの把持部に保護シートを取り付けた状態を示す概念図である。図1(c)は、保護シートが取り付けられた状態のプロセスカートリッジの断面概念図である。
【0084】
具体的には、図1(a)は、保護シート95の形状を示示している。図1(b)は、保護シート95が取り付けられたカートリッジBを示している。また、図1(c)は、保護シート95が取り付けられたカートリッジBを示している。
【0085】
本実施例における保護シート95は、材質が低密度ポリエチレンで、厚みは約0.1mmのシート材部である。図1(a)に示すように、保護シート95は、第1面95hと第2面95iと第3面95jと第4面95kで囲われた四角形の形状を基本として、ドラム62の回転軸L10方向の両端に凸形状の駆動側凸部95aと非駆動側凸部95bを備えている。さらに駆動側凸部95aには第5面95m、非駆動側凸部95bには第6面95nを備えている。そして、保護シート95の第2面95iを先端として、把持部80の貫通孔部85を通じて矢印L50方向に挿入する。ここで、クリーニング枠体71は、把持部80の近傍に第1規制部(第1位置決め部)としての第1突き当て面80h(平面P1)、及び第2突き当て面80i(平面P1)、第2規制部(第2位置決め部)としての第1内面80j(平面P2)、第2内面80k(平面P2)を備えている。
【0086】
図1(b)に示すように、カートリッジBに挿入した保護シート95は、クリーニング枠体71の第1突き当て面80hと保護シート95の第5面95m、第2突き当て面80iと第6面95nを接触させる。それにより、カートリッジBに対して、保護シート95の矢印L50方向の位置が決まる。
【0087】
また、カートリッジBに挿入された保護シート95は、クリーニング枠体71の第1内面80j、第2内面80kと、保護シート95の第1面95h、第3面95jがそれぞれ対向するように配置される。それにより、カートリッジBに対して、保護シート95のドラム62の回転軸L10方向の位置が決まる。
【0088】
この状態において、駆動側では、保護シート95の一端9501側に形成される駆動側凸部95aと、クリーニング枠体71の第1貼り付け面80m(取付部)とを、駆動側接着テープ100を用いて固定する。一方、非駆動側では、保護シート95の一端9501側に形成される非駆動側凸部95bと、クリーニング枠体71の第2貼り付け面80n(取付部)とを、非駆動側接着テープ101を用いて固定する。
【0089】
即ち、本実施例では、把持部80は、第1の方向L1(図8(a)参照)における保護シート95の一端(9501)を取り付けて固定させる取付部(80m、80n)を備える。なお、保護シート95の他端(9502)は、ドラム62と現像ローラ32の間の当接部(N1)において、ドラムと現像ローラの間に介在されている。これによって、保護シート95とカートリッジBは相対的に位置が決められた状態で固定される。すなわち、図1(c)に示すように、保護シート95の先端としての第2面95iの位置が決まり、確実にドラム62と現像ローラ32の間に保護シート95を介在させることができる。また、第1、2規制部を設けることにより、保護シートの取り付け精度が格段に向上し、組立て作業も容易になる。
【0090】
ここで、「クリーニング枠体71」に保護シート95の位置を規制(位置決め)するために、第1規制部と第2規制部を「現像枠体23(第1枠体)」に設けて保護シートを第1枠体に固定することも考えられる。しかし、ドラム62はクリーニング枠体71に支持される為、保護シート95はクリーニング枠体71(第2枠体)に位置決めされた方が、カートリッジBに振動や衝撃が作用した場合に、ドラム62と保護シート95の相対的な位置ずれ(摺擦)が抑えられる。
【0091】
すなわち、本発明の構成によれば、ドラム62と保護シート95の摺擦を低減することができ、保護シート95によるドラム62(周面)への損傷を確実に抑制できる。
【0092】
なお、本実施例では、把持部80は、長手方向において、クリーニング枠体71の中央部(C01)付近に配置されている。保護シート95が把持部の貫通孔部85を覆うように配置されるため、保護シート95も、長手方向において、現像ローラの中央部(C01)付近に配置されている。
【0093】
また、保護シート95は、カートリッジBが輸送される際の振動や衝撃による傷を防止する目的で配置しており、ユーザが実際に印刷するときには保護シート95を取り除く必要がある。前述の通り、本実施例における保護シート95は、カートリッジBの把持部80近傍に固定されている。その為、注意喚起ラベルを貼ることなく、ユーザに対して視認性が高いため、ユーザが保護シート95を取り除き忘れることを効果的に防止できる。
【0094】
ここで、ドラム62と現像ローラ32の間に保護シート95を介在させたときの作用について図10を用いて説明する。
【0095】
図10は、図1(c)に示すW-W位置のプロセスカートリッジの断面概念図である。
【0096】
図10に示すように、現像ローラ32は、長手方向の両端に設けられた軸受部材26、27により回転可能に現像枠体23に取り付けられている。この構成において、カートリッジBに振動や衝撃が作用した場合、現像ローラ32の回転軸線L70が、回転軸線L71になるように変形する。つまり、現像ローラ32の長手方向中央がドラム62に接触する方向に変形する。このとき、保護シート95がドラム62と現像ローラ32の間に介在させることによって、ドラム62と現像ローラ32が直接接触することを防止することができる。その結果、現像ローラ32がドラム62に接触することによってドラム62の表面に傷がつくことを防止できる。また、前述のような現像ローラ32の変形によると、保護シート95は現像ローラ32の長手方向における中央部にあれば傷防止の効果が得られる(たとえば図10の幅L51の範囲)。本実施例においては、保護シート95の幅L51と現像ローラの全長L52の関係は以下のようにしている。
【0097】
L51<L52/2
さらに、現像ローラ32の長手方向全域に保護シート95を配置した場合よりも、保護シート95の面積も小さくなるため、部品としても安価に抑えられる。
【0098】
以上説明した本実施例の効果は、前述したカートリッジBの個装形態であっても、本体同梱形態であっても同様の効果が得られる。
【0099】
また、本実施例においては、クリーニングユニット60に対して現像ユニット20が回転移動可能に連結された構成を示した。しかし、本体同梱形態の場合は、クリーニングユニット60と現像ユニット20が別体で連結されていない構成でも良い。それぞれのユニットを装置本体Aに装着した状態で、クリーニングユニット60と現像ユニット20が、本実施例で示した位置関係になるように装置本体Aに保持される構成であっても、保護シート95を備えた場合、同様の効果が得られる。
【0100】
また、本実施例に示した保護シート95やクリーニング枠体71、その他部品の形状や材質は本実施例に記載の内容に限られるものではなく、適宜最適化されるものである。
【0101】
本発明の構成を以下のように纏めることができる。
【0102】
本発明のプロセスカートリッジ(B)は、現像剤を担持する現像剤担持体(32)と、現像剤担持体を保持する第1枠体(23)と、像担持体(62)と、像担持体を保持すると共に把持部(80)が備えられる第2枠体(71)と、を備える。なお、現像剤担持体は、現像剤を担持するものである。像担持体は、画像形成時に現像剤担持体の表面(3201)と接触可能な表面(6201)を有し、現像剤担持体から供給される現像剤によって現像された現像剤を担持するものである。
【0103】
プロセスカートリッジは、第1枠体と第2枠体を結合させて一体的に構成されるものである。そして、プロセスカートリッジは、現像剤担持体と像担持体の間に介在して配置され、現像剤担持体の表面と像担持体の表面の接触を遮蔽するシート部材(95)を有する。また、プロセスカートリッジの把持部は、像担持体の長手方向(L10)と交差する第1交差方向(L1)における、シート部材の一端(9501)を取り付けて固定させる取付部(80m、80n)を有する。
【0104】
また、本発明のプロセスカートリッジでは、把持部は、第1交差方向(L1)における、シート部材の位置を位置決めする第1位置決め部(80h、80i)を備えることができる。
【0105】
また、本発明のプロセスカートリッジでは、把持部は、長手方向(L10)における、シート部材の位置を位置決めする第2位置決め部(80j、80k)を備えることができる。
【0106】
また、本発明のプロセスカートリッジでは、第1位置決め部を構成する平面(P1)と、第2位置決め部を構成する平面(P2)は、互いに直交するように配置されていることができる。
【0107】
また、本発明のプロセスカートリッジでは、把持部は、長手方向および第1交差方向で規定された平面(P3)と交差する第2交差方向(L2)に貫通する貫通孔部(85)を備え、取付部は、貫通孔部の周囲に設けられていることができる。
【0108】
また、本発明のプロセスカートリッジでは、シート部材の一端(9501)が、貫通孔部を覆うように把持部に取り付けられていることができる。
【0109】
また、本発明のプロセスカートリッジでは、把持部(80)は、基部(80A)と、基部に平行となるように長手方向に沿って延びる握り部(86)と、握り部と基部を連結する連結部(87、88)と、を備えることができる。また、貫通孔部は、基部、握り部、および、連結部によって包囲されていることができる。
【0110】
また、本発明のプロセスカートリッジでは、現像剤担持体は、第1枠体(23)に回転可能に支持されていることができる。
【0111】
また、本発明のプロセスカートリッジでは、像担持体は、第2枠体(71)に回転可能に支持されていることができる。
【0112】
また、本発明のプロセスカートリッジでは、長手方向において、シート部材の幅(L51)は、現像剤担持体の全長(L52)の半分以下とすることができる。
【0113】
また、本発明のプロセスカートリッジでは、シート部材は、現像剤担持体の中央部(C01)に配置されていることができる。
【0114】
本発明のプロセスカートリッジは、画像形成装置の装置本体(A)に対して着脱可能とすることができる。
【0115】
本発明の画像形成装置(A0)は、上記のプロセスカートリッジ(B)と、像担持体に担持される現像剤像を転写する転写手段(7)と、を備えることができる。
【符号の説明】
【0116】
23 現像枠体(第1枠体)
32 現像ローラ(現像剤担持体)
3201 現像ローラの外周面(現像剤担持体の表面)
62 ドラム(像担持体)
6201 ドラムの外周面(像担持体の表面)
71 クリーニング枠体(第2枠体)
80 把持部
80m、80n 第1、第2貼り付け面(取付部)
95 保護シート(シート部材)
9501 一端(シート部材の一端)
A0 画像形成装置
A 画像形成装置の装置本体
B カートリッジ(プロセスカートリッジ)
L10 ドラムの回転軸(線)方向(像担持体の長手方向)
L1 交差方向(第1交差方向)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10