(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
B05C 5/00 20060101AFI20240325BHJP
B05C 9/14 20060101ALI20240325BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240325BHJP
F26B 3/28 20060101ALI20240325BHJP
F26B 3/04 20060101ALI20240325BHJP
F26B 15/12 20060101ALI20240325BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B05C9/14
B41J2/01 125
B41J2/01 127
F26B3/28
F26B3/04
F26B15/12 A
(21)【出願番号】P 2019198258
(22)【出願日】2019-10-31
【審査請求日】2022-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】305021292
【氏名又は名称】第一実業ビスウィル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001531
【氏名又は名称】弁理士法人タス・マイスター
(74)【代理人】
【識別番号】100104662
【氏名又は名称】村上 智司
(72)【発明者】
【氏名】橋口 幸平
(72)【発明者】
【氏名】稲岡 力
【審査官】市村 脩平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/194761(WO,A1)
【文献】特開2017-046922(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C5/00-21/00
B41J2/01-2/215
A61J1/00-19/06
F26B1/00-25/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を搬送面に沿って搬送する搬送機構と、
前記搬送機構の搬送面と対向するように配設された印刷ヘッドを有し、前記搬送機構の搬送面に沿って搬送される前記対象物の表面に、前記印刷ヘッドによって印刷を施す印刷機構と、
前記搬送機構の搬送方向において、前記印刷ヘッドより下流側に、前記搬送機構の搬送面と対向するように配設されたレーザ光照射ヘッドを有し、前記搬送機構の搬送面に対して該レーザ光照射ヘッドからレーザ光を照射するレーザ光照射機構と、
加圧気体を供給する加圧気体供給機構を備え、
前記レーザ光照射機構は、前記レーザ光照射ヘッドと、レーザ光を発生させるレーザ発振器と、レーザ光を伝送する伝送路を有し、一端が前記レーザ発振器に接続され、他端が前記レーザ光照射ヘッドに接続された伝送ケーブルとを備え、
前記レーザ光照射ヘッドは、レーザ光の光路となる
筒状の空間であって、前記伝送ケーブルの他端が接続される部位とは反対側の部位に開口する空間を有するとともに、該開口部が前記搬送機構の搬送面と対向するように配設され、
前記加圧気体供給機構は、前記レーザ光照射ヘッドの
前記空間を形成する内周面に開口する環状の吐出口から、前記空間内に前記加圧気体を供給するように構成され、前記空間内に供給された加圧気体は前記開口部から吐出されるように構成されていることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記加圧気体供給機構は、0.15~0.3MPaの圧力の加圧気体を前記レーザ光照射ヘッドに供給するように構成されていることを特徴とする請求項
1記載の印刷装置。
【請求項3】
前記レーザ光照射機構は、100W/min以上の出力を備えていることを特徴とする請求項1
又は2記載
の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷対象物を搬送面に沿って搬送しながら、その表面に印刷を施す印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記印刷装置を備えた複合システムとして、従来、特開2015-166053号公報に開示された複合システムが知られている。この複合システムは、搬送面に沿って対象物を搬送する搬送機構と、搬送機構によって搬送される対象物の表面を撮像する撮像機構と、撮像機構によって撮像された対象物表面の画像を基に、該対象物の良否を検査する検査機構と、撮像機構によって搬送された対象物表面の画像を基に、該対象物の表面に印刷を施す印刷機構とから構成され、印刷機構は、撮像機構よりも搬送方向下流側に配設されており、検査機構によって検査され、良品と判断された対象物に印刷を施すように構成されている。
【0003】
この複合処理システムによれば、搬送機構によって搬送される対象物の表面が撮像機構によって撮像され、ついで、撮像された対象物表面の画像を基にして当該対象物の良否が検査される。そして、検査によって良品と判断された対象物の表面に印刷機構によって印刷が施される。
【0004】
このように、この複合処理システムでは、対象物の表面に印刷を施す前に、予め対象物が良品であるか否かを検査し、良品と判断された対象物にのみ印刷を施すようにしているので、不良品に対して印刷を施すといった無駄がなくなり、この結果、インクの浪費を抑えることができ、これによりコストの低減を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記の印刷に用いられるインクには水溶性のインクや溶剤系のインクなど各種のものがあるが、対象物に塗布された後、乾燥されるまでに時間を要する物が殆どである。
【0007】
したがって、インク塗布後の対象物が前記搬送機構によって搬送される際に、当該対象物から未乾燥のインクが搬送機構に付着し、更に、当該搬送機構によって搬送される他の対象物に当該インクが付着するという不都合を生じる。また、インク塗布後の対象物を回収した際に、当該対象物同士が接触すると、対象物に塗布されたインクが他の対象物に転写されるといった不都合を生じる。
【0008】
本発明は以上の実情に鑑みなされたものであって、対象物にインクを塗布した後、可及的速やかに、当該インクを乾燥させることができる印刷装置の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明は、
対象物を搬送面に沿って搬送する搬送機構と、
前記搬送機構の搬送面と対向するように配設された印刷ヘッドを有し、前記搬送機構の搬送面に沿って搬送される前記対象物の表面に、前記印刷ヘッドによって印刷を施す印刷機構とを備えるとともに、
前記搬送機構の搬送方向において、前記印刷ヘッドより下流側に、前記搬送機構の搬送面と対向するように配設されたレーザ光照射ヘッドを有し、前記搬送機構の搬送面に対して該レーザ光照射ヘッドからレーザ光を照射するレーザ光照射機構を備えた印刷装置に係る。
【0010】
この印刷装置によれば、対象物が搬送機構の搬送面に沿って搬送され、その搬送過程で、印刷機構の印刷ヘッドから吐出されるインクによって印刷が施される。そして、印刷が施された対象物は、当該印刷機構の印刷ヘッドより下流側に設けられたレーザ光照射ヘッドと対向する位置に達したとき、印刷の施された表面に、レーザ光照射ヘッドから出射されたレーザ光が照射され、このレーザ光のエネルギーによりインクが昇温して乾燥される。
【0011】
このように、この印刷装置によれば、印刷ヘッドから吐出され、対象物の印刷面に塗布されたインクを、レーザ光照射ヘッドから照射されるレーザ光によって乾燥させることができるので、搬送中に対象物のインクが搬送機構に付着し、この搬送機構を介して他の対象物にインクが付着するといった不都合が生じるのを抑制することができる。また、対象物を回収した際に、当該対象物同士が接触することによって、相互にインクが転写されるといった不都合が生じるのを抑制することができる。
【0012】
尚、上記印刷装置において、前記レーザ光照射機構は、前記レーザ光照射ヘッドと、レーザ光を発生させるレーザ発振器と、レーザ光を伝送する伝送路を有し、一端が前記レーザ発振器に接続され、他端が前記レーザ光照射ヘッドに接続された伝送ケーブルとを備えた構成とすることができる。
【0013】
このような構成のレーザ光照射機構は、レーザ光を発生させるレーザ発振器と、レーザ光を照射するレーザ光照射ヘッドとが分離されているので、前記印刷ヘッドの下流側に配設されるレーザ光照射ヘッドをコンパクトな構成とすることができ、この結果、その取扱いを容易なものとすることができる。
【0014】
また、前記印刷装置は、更に、加圧気体を供給する加圧気体供給機構を備え、
前記レーザ光照射ヘッドは、レーザ光の光路となる空間であって、前記伝送ケーブルの他端が接続される部位とは反対側の部位に開口する空間を有するとともに、該開口部が前記搬送機構の搬送面と対向するように配設され、
前記加圧気体供給機構は、前記レーザ光照射ヘッドの前記空間内に前記加圧気体を供給するように構成された態様を採ることができる。
【0015】
このレーザ光照射ヘッドによれば、対象物がレーザ光照射ヘッドと対向する位置に到達したとき、印刷の施された表面に、レーザ光照射ヘッドから出射されたレーザ光が照射されるとともに、当該レーザ光照射ヘッドから加圧気体が吐出されるので、印刷面に塗布されたインクがレーザ光によって乾燥されるとともに、昇温したインクから生じる蒸気を加圧気体によって積極的に逃がすことができ、その結果として、インクを乾燥することができる。したがって、この印刷装置によれば、対象物に塗布されたインクをより迅速に乾燥させることができ、インクの転写をより効果的に防止することができる。
【0016】
前記加圧気体供給機構から前記レーザ光照射ヘッドに供給される加圧気体の圧力は、0.15~0.3MPaの圧力であるのが好ましい。この範囲の圧力の加圧気体をレーザ光照射ヘッドに供給することで、印刷面に塗布されたインクをより迅速に乾燥させることができる。
【0017】
また、前記レーザ光照射機構は、100W/min以上の強度のレーザ光を出力するように構成されているのが好ましい。この強度のレーザ光を用いることによっても、印刷面に塗布されたインクをより迅速に乾燥させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る印刷装置によれば、印刷ヘッドから吐出され、対象物の印刷面に塗布されたインクを、レーザ光照射ヘッドから照射されるレーザ光によって乾燥させることができるので、搬送中に対象物のインクが搬送機構に付着し、この搬送機構を介して他の対象物にインクが付着するといった不都合が生じるのを抑制することができる。また、対象物を回収した際に、当該対象物同士が接触することによって、相互にインクが転写されるといった不都合が生じるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係る印刷・検査装置の全体構成を示した正面図である。
【
図2】本実施形態に係るレーザ光照射ヘッドを示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の具体的な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。本例の印刷・検査装置1は、印刷機能と検査機能とを備えた装置であり、
図1に示すように、供給機構3と、直線搬送機構10と、回転搬送機構11と、レーザ光照射機構15と、加圧気体供給機構24と、直線搬送機構10の上方に、その搬送方向に沿って順次配設される検出器12,3D検査ユニット13,印刷ユニット14及び表面検査ユニット35と、回転搬送機構11の外周側に、その搬送方向に沿って順次配設される検出器36,3D検査ユニット37,印刷ユニット38,表面検査ユニット39及び選別ユニット40とを備えて構成される。
【0021】
尚、
図1では、図の複雑さを回避するために図示を省略しているが、前記印刷・検査装置1は上記の他に制御装置及び画像処理装置を備えている。この制御装置(図示せず)は、前記供給機構3、直線搬送機構10、回転搬送機構11、レーザ光照射機構15、加圧気体供給機構24、3D検査ユニット13,37、印刷ユニット14,38、表面検査ユニット35,39及び選別ユニット40に設けられた各動作部の作動を制御する。また、画像処理装置45は、前記3D検査ユニット13,37及び表面検査ユニット35,39によって撮像された画像を処理して、その良否の判定を行う。
【0022】
また、本例の対象物Tとしては、錠剤やカプセルなどの医薬品を例示することができるが、これらに限定されるものではなく、表面に印刷を施すあらゆる物品が含まれる。
【0023】
前記供給機構3は、多数の対象物Tが投入されるホッパ4、このホッパ4の下端部から排出される対象物Tに振動を付与して前進させる振動フィーダ5、当該振動フィーダ5の搬送終端から排出される対象物Tを滑落させるシュート6、水平回転し、シュート6から供給された対象物Tを一列に整列して排出する整列テーブル7、及び垂直面内で矢示A方向に回転する円盤状の部材を有し、前記整列テーブル7から排出された対象物Tをこの円盤状の部材の外周面に吸着して矢示A方向に搬送する回転搬送機構8から構成される。
【0024】
この供給機構3は、ホッパ4に投入された多数の対象物Tを、振動フィーダ5,シュート6,整列テーブル7及び回転搬送機構8に経由させることにより、当該対象物Tを一列に整列させて回転搬送機構8から前記直線搬送機構10に順次受け渡す。
【0025】
前記直線搬送機構10は、回転搬送機構8の下方に配設され、水平方向に所定の間隔で平行に並設される無端環状の2本の搬送ベルトと、搬送ベルトの上側を往路とし、下側を復路として、往路を矢示B方向に回動させる駆動部と、前記搬送ベルト間に負圧を作用させる吸引ボックスとを備えて構成され、前記回転搬送機構8から移送された対象物Tを、負圧の作用によって搬送ベルト上に吸着して、搬送始端から搬送終端に向けて矢示B方向に搬送する。尚、搬送ベルトの往路側の上面が搬送面10aとなる。
【0026】
前記回転搬送機構11は、前記回転搬送機構8と同じ構成を備えるもので、前記直線搬送機構10の搬送終端の上方に配設され、垂直面内で矢示C方向に回転する円盤状の部材を備え、前記直線搬送機構10によって搬送された対象物Tを受け取り、当該円盤状の部材の外周面に吸着して矢示C方向に搬送する。
【0027】
前記3D検査ユニット14,37は、同じ構成を備えるもので、それぞれの検査位置(3D検査位置)において、対象物Tの表面に、光切断用の帯状のレーザ光を照射するレーザ光照射部と、レーザ光が照射された対象物Tの表面の画像を撮像する3D画像撮像カメラとを備えて構成される。
【0028】
前記レーザ光照射部はレーザ光の照射ラインが対象物Tの搬送方向と直交するように斜め上方から3D検査位置に向けてレーザ光を照射するように構成される。また、前記3D画像撮像カメラは、対象物Tの搬送方向において、前記レーザ光照射部とは反対側の斜め上方から、前記3D検査位置にある対象物Tの表面画像を撮像するように構成される。そして、この3D画像撮像カメラによって撮像された画像が前記画像処理装置(図示せず)に送信され、当該画像処理装置(図示せず)において、所謂光切断法に基づく処理が実行され、対象物T表面の三次元形状が検出されるとともに、その良否が判定され、判定結果が前記制御装置(図示せず)に送信される。
【0029】
前記印刷ユニット14,38も同じ構成を備えるもので、それぞれ設定された印刷位置において、前記印刷ユニット14は前記直線搬送機構10の搬送面10aと対向するように配設された印刷ヘッドを有し、前記印刷ユニット38は前記回転搬送機構11の搬送面11aと対向するように配設された印刷ヘッドを有する。そして、前記制御装置(図示せず)による制御の下で、対象物Tが各印刷位置に到達したとき、対応する印刷ヘッドからインクが吐出され、対象物Tの表面に印刷が施される。
【0030】
前記表面検査ユニット35,39も同じ構成を備えるもので、搬送される対象物Tの検査面(表面や側面)をそれぞれの検査位置(表面検査位置)において照明する照明部と、この表面検査位置に在るときの対象物Tの検査面の画像を撮像する表面画像撮像カメラとを備えて構成される。そして、この表面画像撮像カメラによって撮像された画像が前記画像処理装置(図示せず)に送信され、当該画像処理装置(図示せず)において、画像が解析されることによって、対象物Tの表面に存在する割れ、欠け、汚点といった表面性状の欠点が検出され、また、表面に施された印刷の良否が判別され、判定結果が前記制御装置(図示せず)に送信される。
【0031】
尚、前記検出器12によって対象物Tが検出されると、その検出信号が前記制御装置(図示せず)に送信され、前記直線搬送機構10の搬送速度から、当該直線搬送機構10における対象物Tの位置が当該制御装置(図示せず)によって認識される。同様に、前記検出器36によって対象物Tが検出されると、その検出信号が前記制御装置(図示せず)に送信され、前記回転搬送機構11の搬送速度から、当該回転搬送機構11における対象物Tの位置が当該制御装置(図示せず)によって認識される。
【0032】
前記レーザ光照射機構15は、前記印刷ユニット14の下流側において前記搬送面10aと対向するように配設された前記レーザ光照射ヘッド16、前記印刷ユニット38の下流側において前記搬送面11aと対向するように配設された前記レーザ光照射ヘッド26と、レーザ発振器22と、一端がレーザ発振器22に接続され、他端がレーザ光照射ヘッド16に接続される伝送ケーブル23aと、同じく一端がレーザ発振器22に接続され、他端がレーザ光照射ヘッド26に接続される伝送ケーブル23bとから構成される。
【0033】
レーザ発振器22は、レーザ光照射ヘッド16,26からそれぞれ照射されるレーザ光の強度が100W/min以上となるレーザ光を出力する。レーザ光は、その一例として取り扱いの容易さから半導体レーザを例示することができるが、これに限られるものではなく、公知の各種のレーザ光を適用することができる。
【0034】
前記伝送ケーブル23a,23bは、レーザ光を伝送する伝送路を有するもので、例えば、光ファイバから構成され、レーザ発振器22から出力されたレーザ光を受光して前記レーザ光照射ヘッド16,26にそれぞれ伝送する。
【0035】
前記レーザ光照射ヘッド16,26は同じ構成を備えるもので、
図2に示すような構造を備えている。尚、以下では、代表としてレーザ光照射ヘッド16について説明し、レーザ光照射ヘッド26の同じ構成物については括弧書きでその符号を付記する。
【0036】
図2に示すように、レーザ光照射ヘッド16(26)は、直線搬送機構10の搬送面10a(回転搬送機構11の搬送面11a)に対向するように設けられる第1本体17(27)と、この第1本体17(27)の前記搬送面10a(11a)と対向する面(対向面)とは反対側の面(背面)に接続された第2本体18(28)と、第2本体18(28)の背面の中央部に固設された接続管19(29)と、同じく第2本体18(28)の背面において、接続管19(29)を挟んでその両側に設けられた継手20(30)及び継手21(31)とから構成される。
【0037】
前記第1本体17(27)は、その中央部に、前記対向面と背面の双方に開口する貫通孔17a(27a)を有し、同様に第2本体18(28)も、前記貫通孔17a(27a)に連通する貫通孔18c(28c)を有する。また、この貫通孔18c(28c)に自身の貫通孔19a(29a)が連通するように、前記接続管19(29)が前記第2本体18(28)に固設されている。そして、この接続管19(29)の貫通孔19a(29a)に前記伝送ケーブル24a(24b)の他端が嵌入されている。
【0038】
斯くして、レーザ発振器22から伝送ケーブル24a(24b)を介して伝送されたレーザ光は、
図2に示すように、当該伝送ケーブル24a(24b)の他端部から出射され、第2本体18(28)の貫通孔18c(28c)及び第1本体17(27)の貫通孔17a(27a)を通して搬送面10a(11a)上に照射される。尚、伝送ケーブル24a(24b)の前記他端部には適宜レンズが配設されており、このレンズにより、搬送面10a(11a)上に照射されるレーザ光の集光径が適宜調整されている。
【0039】
また、前記第1本体17(27)と前記第2本体18(28)との接続部には、前記貫通孔18c(28c)の周囲に形成され、且つ前記貫通孔17a(27a)に開口する環状の空間17c(27c)が形成されており、更に、前記第2本体18(28)には、この空間17c(27c)と前記継手20(30)及び継手21(31)とに連通するように、それぞれ通路18a(28a)及び通路18b(28b)が形成されている。
【0040】
前記加圧気体供給機構24は、コンプレッサ25と、一端がこのコンプレッサ25に接続され、他端が前記レーザ光照射ヘッド16に接続される供給管25aと、同じく一端がコンプレッサ25に接続され、他端が前記レーザ光照射ヘッド26に接続される供給管25bとから構成される。供給管25aはその他端側が2つに分岐され、それぞれが前記レーザ光照射ヘッド16に設けられた継手20,21に接続されている。同様に、供給管25bはその他端側が2つに分岐され、それぞれが前記レーザ光照射ヘッド26に設けられた継手30,31に接続されている。
【0041】
斯くして、コンプレッサ25から供給管25aを介してレーザ光照射ヘッド16に加圧気体(加圧空気)が供給され、供給された加圧空気は、前記レーザ光照射ヘッド16の通路18a,18b、空間17cを経て第1本体17の貫通孔17a内に流入し、この貫通孔17aの開口部から搬送面10aに向けて吐出される。同様に、コンプレッサ25から供給管25bを介してレーザ光照射ヘッド26に加圧空気が供給され、供給された加圧空気は、前記レーザ光照射ヘッド26の通路28a,28b、空間27cを経て第1本体27の貫通孔27a内に流入し、この貫通孔27aの開口部から搬送面11aに向けて吐出される。
【0042】
前記選別ユニット40は、前記画像処理装置(図示せず)による判定結果に従って前記制御装置(図示せず)により制御され、前記回転搬送機構11によって搬送された対象物Tを良品と不良品とに選別する。
【0043】
以上の構成を備えた本例の印刷・検査装置1によれば、まず、前記供給機構3のホッパ4に多数の対象物Tが投入され、このホッパ4から適量の対象物Tが順次振動フィーダ5供給される。そして、この振動フィーダ5に供給された対象物Tはシュート6及び整列テーブル7に順次経由することによって一列に整列され、この後、回転搬送機構8を経て前記直線搬送機構10に移送される。
【0044】
直線搬送機構10に順次移送される対象物Tは、その搬送面10aに沿って矢示B方向に搬送され、前記3D検査ユニット14の3D検査位置に到達したとき、3D画像撮像カメラによってその表面の画像が撮像され、撮像された画像に基づいて前記画像処理装置(図示せず)によりその三次元形状の良否が判定され、判定結果が前記制御装置(図示せず)に送信される。
【0045】
ついで、対象物Tが前記印刷ユニット14の印刷位置に到達すると、前記制御装置(図示せず)による制御の下で、前記印刷ユニット14の印刷ヘッドにより所定の印刷が当該対象物Tの表面に施される。そして、印刷が施された対象物Tは、当該印刷ヘッドより下流側に設けられたレーザ光照射ヘッド16と対向する位置に達したとき、印刷が施された表面に、レーザ光照射ヘッド16から出射されたレーザ光が照射され、このレーザ光のエネルギーによりインクが昇温して乾燥される。また、このレーザ光照射ヘッド16は、その下端の開口部から加圧空気を吐出しており、昇温したインクから生じる蒸気をこの加圧空気によって積極的に逃がすことができ、その結果として、インクを乾燥することができる。
【0046】
次に、対象物Tが前記表面検査ユニット35の表面検査位置に到達すると、表面画像撮像カメラによってその表面の画像が撮像され、撮像された画像に基づいて前記画像処理装置(図示せず)により対象物Tの表面性状の良否、及び印刷の良否が判定され、判定結果が前記制御装置(図示せず)に送信される。
【0047】
そして、前記直線搬送機構10によって搬送終端まで搬送されると、対象物Tは、前記回転搬送機構11に受け渡され、この回転搬送機構11によって、矢示C方向に搬送される。そして、対象物Tが3D検査ユニット37の3D検査位置に到達すると、その3D画像撮像カメラによってこの対象物Tの表面の画像が撮像され、撮像された画像に基づいて前記画像処理装置(図示せず)により当該対象物Tの三次元形状の良否が判定され、判定結果が前記制御装置(図示せず)に送信される。
【0048】
ついで、対象物Tが前記印刷ユニット38の印刷位置に到達すると、前記制御装置(図示せず)による制御の下で、前記印刷ユニット38の印刷ヘッドにより所定の印刷が当該対象物Tの表面に施される。そして、印刷が施された対象物Tは、当該印刷ヘッドより下流側に設けられたレーザ光照射ヘッド26と対向する位置に達したとき、印刷が施された表面に、レーザ光照射ヘッド26から出射されたレーザ光が照射され、このレーザ光のエネルギーによりインクが昇温して乾燥される。また、このレーザ光照射ヘッド26は、その下端の開口部から加圧空気を吐出しており、昇温したインクから生じる蒸気をこの加圧空気によって積極的に逃がすことができ、その結果として、インクを乾燥することができる。
【0049】
次に、対象物Tが前記表面検査ユニット39の表面検査位置に到達すると、その表面画像撮像カメラによってその表面の画像が撮像され、撮像された画像に基づいて前記画像処理装置(図示せず)により対象物Tの表面性状の良否、及び印刷の良否が判定され、判定結果が前記制御装置(図示せず)に送信される。
【0050】
そして、対象物Tが選別ユニット40に至ると、前記制御装置(図示せず)による制御の下で当該選別ユニット40が駆動され、前記画像処理装置(図示せず)によって良品と判断された対象物Tが、例えば、良品のバケット内に回収され、不良品と判断された対象物Tは不良品のバケット内に回収される。
【0051】
以上のように、本例の印刷・検査装置1によれば、印刷ユニット14,38の印刷ヘッドから吐出され、対象物Tの印刷面に塗布されたインクを、その下流側に設けたレーザ光照射ヘッド16,26から照射されるレーザ光、及び当該レーザ光照射ヘッド16,26から吐出される加圧空気流によって直ちに乾燥させることができるので、対象物Tに塗布されたインクが他の物体、例えば、表面検査ユニット35,39の構成物や、直線搬送機構10及び回転搬送機構11の構成物に付着するといった不都合が生じるのを抑制することができ、また、直線搬送機構10及び回転搬送機構11から対象物Tにインクが転写されるといった不都合が生じるのを抑制することができる。また、対象物Tを良品バケット内に回収した際に、当該対象物同士が接触することによって、相互にインクが転写されるといった不都合が生じるのを抑制することができる。
【0052】
因みに、平面形状が円形をし、且つ縦断面形状が楕円形をした錠剤を前記直線搬送機構10により搬送するとともに、前記印刷ユニット14により錠剤の表面に所定面積のべた塗りの印刷を施し、ついで、前記レーザ光照射ヘッド16を用いて錠剤の印刷面を乾燥させ、得られた錠剤(印刷錠剤)100個と、印刷を施していない錠剤(無印刷錠剤)100個とを同じ袋に入れて、この袋を10秒間振盪させて、無印刷錠剤へのインクの転写状態を観察した。その結果を
図3に示す。尚、レーザ光照射ヘッド16から出射されるレーザ光の出力を、0W/min、100W/min、150W/min、200W/minに変化させ、レーザ光照射ヘッド16に供給される加圧空気の圧力を0.15MPa、0.3MPa、0.45MPaに変化させた。
【0053】
図3から分かるように、前記加圧空気の圧力を0.15MPa~0.3MPaの範囲とすることで、インクの乾燥が促進され、また、レーザ光の出力を100W/min以上とすることでインクの乾燥が促進される。即ち、この範囲で、転写小及び転写無しの割合が多くなっており、実用的に十分受入れ可能な状態となっている。
【0054】
また、上記の印刷・検査装置1では、レーザ光を発生させるレーザ発振器22と、レーザ光を照射するレーザ光照射ヘッド16,26とが分離されているので、印刷ヘッドの下流側に配設されるレーザ光照射ヘッド16,26をコンパクトな構成とすることができ、この結果、その取扱いを容易なものとすることができる。
【0055】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明が採り得る具体的な態様は、何ら上例の態様に限定されるものではない。
【0056】
例えば、上例では、3D検査ユニット13,37、表面検査ユニット35,39及び選別ユニット40を設けたが、これに限られるものではなく、これらを設けないで、単に、印刷機能を有する印刷装置としても良く、或いは、3D検査ユニット13,37、及び表面検査ユニット35,39のいずれか一方を設けたものでも良い。
【0057】
また、上例では、対象物Tの両面に印刷を施すようにしたが、これに限られるものではなく、いずれか一方面にのみ印刷を施すようにしても良い。例えば、前記選別ユニット40を直線搬送機構11の搬送終端側に配設して、前記回転搬送機構11、検出器36、3D検査ユニット37、印刷ユニット38、レーザ光照射ヘッド26及び表面検査ユニット39を省略した態様を採用することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 印刷・検査装置
3 供給機構
10 直線搬送機構
10a 搬送面
11 回転搬送機構
11a 搬送面
13、37 3D検査ユニット
14、38 印刷ユニット
15 レーザ光照射機構
16、26 レーザ光照射ヘッド
22 レーザ発振器
23a、23b 伝送ケーブル
25 コンプレッサ
25a、25b 供給管
35、39 表面検査ユニット
40 選別ユニット
T 対象物