(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】原稿読取装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/191 20060101AFI20240325BHJP
H04N 1/04 20060101ALI20240325BHJP
【FI】
H04N1/191
H04N1/04 D
(21)【出願番号】P 2019210870
(22)【出願日】2019-11-21
【審査請求日】2022-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】冨樫 和寛
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-147087(JP,A)
【文献】特開2010-226529(JP,A)
【文献】特開2006-319607(JP,A)
【文献】特開2005-124141(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/191
H04N 1/04
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の画像を読み取る原稿読取装置において、
RGBの画像信号を出力することが可能なカラーラインセンサを有し、
前記カラーラインセンサで読み取った複数の色成分データであるカラー画像データを出力するカラー読取モードと、
前記カラーラインセンサで読み取った1色の成分データであるモノクロ画像データを出力するモノクロ読取モードとを有する読取手段と、
前記読取手段から出力されたカラー画像データの複数の色成分データを合成してモノクロ画像データである1色の成分データを生成する生成手段と、
複数の色成分データであるカラー画像データを送信するカラー送信モードと、1色の成分データであるモノクロ画像データを送信するモノクロ送信モードとを有する画像データ送信手段と、
前記生成手段および前記画像データ送信手段を制御する制御手段と
、を有し、
前記制御手段は、
第1動作モードにおいては、前記読取手段を前記カラー読取モードで動作させ、
前記生成手段によりモノクロ画像データを生成させ、前記画像データ送信手段を前記モノクロ送信モードで動作させ、
第2動作モードにおいては、前記読取手段を前記モノクロ読取モードで動作させ、
前記生成手段によるモノクロ画像データの生成を行わせず、前記画像データ送信手段を前記モノクロ送信モードで動作させ、
第3動作モードにおいては、前記読取手段を前記カラー読取モードで動作させ、
前記生成手段によるモノクロ画像データの生成を行わせず、前記画像データ送信手段を前記カラー送信モードで動作させる
ことを特徴とする原稿読取装置。
【請求項2】
前記読取手段は、複数のラインセンサを有するカラーラインセンサおよびアナログフロントエンド回路とを有することを特徴とする請求項1記載の原稿読取装置。
【請求項3】
前記第1動作モードと前記第2動作モードは読取解像度の設定に応じて選択されることを特徴とする請求項1または2記載の原稿読取装置。
【請求項4】
ユーザーの指示に基づき、前記第1動作モードと前記第2動作モードは選択されることを特徴とする請求項1または2記載の原稿読取装置。
【請求項5】
前記第1動作モードにおいては、前記カラーラインセンサは複数色のセンサで読み取りを行い、前記第2動作モードにおいては、前記カラーラインセンサは1色のセンサで読み取りを行うことを特徴とする請求項1に記載の原稿読取装置。
【請求項6】
前記読取手段から出力されたカラー画像データにおける色ずれを補正する補正手段と、を備え、
前記制御手段は、
第1動作モードにおいては、前記補正手段により補正を行わせ、
第2動作モードにおいては、前記補正手段による補正を行わせず、
第3動作モードにおいては、前記補正手段により補正を行わせることを特徴とする請求項1に記載の原稿読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は原稿の画像を読み取る原稿読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読み取り装置では原稿をカラーで読み取るためにR(赤)、G(緑)、B(青)のカラーフィルタが塗布されたラインセンサが使用される。原稿を単色のモノクロモードで読み取るために、Gのラインセンサだけを動作させて読み取りを行ったり、RGB3色のラインセンサとは別のモノクロ読み専用のラインセンサを1本追加したりした構成がある。
【0003】
このような画像読み取り装置がモノクロモードで原稿を読み取る場合、Gのラインセンサまたはモノクロ読み専用のラインセンサを使用してモノクロ画像データを生成する。よって、読み取った画像データにはR(赤)とB(青)の色情報が欠落する。そのため、このような画像読み取り装置のモノクロ読みでは所望の画像データが得られない場合がある。
【0004】
例えば、原稿画像内に黄色の絵柄があった場合、黄色部分の輝度値は大きくなり、後段の画像処理部での二値化処理にて白に変換されてしまう場合がある。その結果、黄色い絵柄部分は白飛びし、黄色がうまく再現されないといった問題が生じる場合がある。読み取りに使用するラインセンサのフィルタ分光特性、原稿を照明する光源の発光スペクトルによっては原稿上の薄い青の絵柄の再現性が低下してしまう場合もある。
【0005】
特許文献1にはマルチファンクション複写機でのモノクロ画像生成方法が記載されている。具体的には、ファックス送信を宛先に含む送信ジョブが設定された場合、原稿読み取りがモノクロモード指定されていても、G(緑)のラインセンサ単色による読み取りは実施せず、カラーモードによる読み取りを行う。そして、色空間変換手段によって読み取ったカラー画像データをモノクロ画像データに変換し、モノクロ画像データを生成するといった手法が提案されている。
【0006】
このように、モノクロモードが設定された場合に、原稿をカラーモードで読み取ることによって、R(赤)とB(青)の色情報の欠落がなくなり、再現性の低下を改善することができると述べている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1のマルチファンクション複写機は、スキャナーからデバイスI/Fを通じてController Unit内のスキャナー画像処理部に画像データを伝送する。伝送する画像データがカラーの場合、モノクロ画像データに対して伝送すべき量が多くなる。そのため、画像データの伝送構成によっては、原稿1枚分の画像データを伝送するのに、モノクロ単色の画像データに対して時間がかかってしまう。したがって、特許文献1のマルチファンクション複写機は、原稿の再現性など画質向上は期待できるものの、読み取り速度(読み取り生産性ともいう)がモノクロ読み取り時より低下してしまうという問題があった。
【0009】
本発明は、原稿の画像を読み取りカラー画像データを出力する時より、原稿の画像を読み取りモノクロ画像データを出力する時の方が読取生産性を高くするとともに、モノクロ画像データを出力する時に、画質を優先するモードと読取生産性を優先するモードとを備えることによりユーザーの用途に応じた読み取り動作を提供可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明の原稿読取装置は、RGBの画像信号を出力することが可能なカラーラインセンサを有し、前記カラーラインセンサで読み取った複数の色成分データであるカラー画像データを出力するカラー読取モードと、前記カラーラインセンサで読み取った1色の成分データであるモノクロ画像データを出力するモノクロ読取モードとを有する読取手段と、前記読取手段から出力されたカラー画像データの複数の色成分データを合成してモノクロ画像データである1色の成分データを生成する生成手段と、複数の色成分データであるカラー画像データを送信するカラー送信モードと、1色の成分データであるモノクロ画像データを送信するモノクロ送信モードとを有する画像データ送信手段と、前記生成手段および前記画像データ送信手段を制御する制御手段と、を有し、前記制御手段は、第1動作モードにおいては、前記読取手段を前記カラー読取モードで動作させ、前記生成手段によりモノクロ画像データを生成させ、前記画像データ送信手段を前記モノクロ送信モードで動作させ、第2動作モードにおいては、前記読取手段を前記モノクロ読取モードで動作させ、前記生成手段によるモノクロ画像データの生成を行わせず、前記画像データ送信手段を前記モノクロ送信モードで動作させ、第3動作モードにおいては、前記読取手段を前記カラー読取モードで動作させ、前記生成手段によるモノクロ画像データの生成を行わせず、前記画像データ送信手段を前記カラー送信モードで動作させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、原稿の画像を読み取りカラー画像データを出力する時より、原稿の画像を読み取りモノクロ画像データを出力する時の方が読取生産性を高くするとともに、モノクロ画像データを出力する時に、画質を優先するモードと読取生産性を優先するモードとを備えることによりユーザーの用途に応じた読み取り動作を提供可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施例に係る原稿読み取り装置を説明する図である。
【
図2】原稿読み取り装置111とその後段に配置されるメインコントローラユニットの画像処理部を説明するブロック図である。
【
図3】実施例における画像データ伝送のタイミングチャートを示す図である。
【
図4】実施例における原稿読み取り装置の制御フローを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に図面を参照して、本発明にかかる実施例について詳細に説明する。
【0014】
図1は実施例1に係る原稿読み取り装置の構成を説明する図である。原稿搬送装置100は、原稿トレイ101に載置された原稿を読み取り位置に向け搬送する。
【0015】
ユーザーにより原稿読み取り開始が指示されると、ピックアップローラー102は原稿トレイ101上の原稿束の上面の原稿に接するように図中矢印の方向に下降する。そして、回転しているピックアップローラー102により、上面の原稿は分離ローラー103に向けて搬送される。
【0016】
分離ローラー103は、ピックアップローラー102により搬送されてきた原稿を1枚ずつ原稿搬送パス内に引き込んでいく。分離ローラー103により分離された原稿は、停止しているレジローラー104に当接し、原稿にループが形成される。原稿にループが形成されることにより、原稿先端をレジローラー104と平行にそろえることができ、原稿の傾きを補正することができる。レジセンサ105は、レジローラー104の上流近傍に配置されている。原稿がレジセンサ105で検知されるあと、原稿にループを形成させるだけの時間が経過した後、停止しているレジローラー104を回転させる。そして、レジローラー104によって傾きが補正された原稿をリードローラー106に搬送する。
【0017】
リードローラー106は原稿を所定の読み取り速度で搬送すべく回転しており、原稿を流し読み取りガラス115a上の原稿読み取り位置に搬送する。
【0018】
リードローラー106の下流に設けられているリードセンサ107は原稿の読み取り開始タイミングを生成するためのセンサである。リードセンサ107が原稿を検知したタイミングから所定時間後に原稿読み取りが開始される。
【0019】
原稿読み取り装置111は、原稿台ガラス113に載置された原稿を読み取る原稿読み取り装置である。原稿読み取り装置1111は、原稿台ガラス113の下を図中の矢印の方向に移動可能である原稿読み取りユニット112aを有する。原稿読み取りユニット112aは、ラインセンサ、反射ミラー、結像レンズ、光源を内蔵した一体型のユニットである。原稿読み取りユニット112aは原稿読み取り装置内をモーター(図示せず)の駆動により図中の矢印の方向に移動し、原稿台ガラス113上の原稿を読み取る。基準白板114aは原稿台ガラス113に貼り付けられており、シェーディング補正係数を生成するために読み取られるものである。
【0020】
リードローラー106により搬送されてきた原稿は、流し読みガラス115a上を通過する際に、流し読み取りガラス115aの下に停止している原稿読み取りユニットにより読み取られる。いわゆる原稿流し読みが行われる。
【0021】
原稿搬送装置100内にも原稿読み取りユニット112bが設けられている。
【0022】
原稿読み取り装置111の構成と同様に基準白板114b、流し読みガラス115bを有しており、搬送されてきた原稿が流し読みガラス115b上を通過する際に搬送されてきた原稿を読み取る。原稿読み取りユニット112aは原稿の一方の面(表面とする)を読み取り、原稿読み取りユニット112bは原稿のもう一方の面(裏面とする)を読み取る。
【0023】
原稿読み取りユニット112a、112bによって読み取られた原稿は排紙ローラー108により、排紙トレイ108上に排紙される。なお、ピックアップローラー102、分離ローラー103、レジローラー104、排紙ローラー108は図示しないモーターにより駆動される。
【0024】
原稿トレイ101に載置された原稿の読み取り開始が指示されると、原稿読み取り装置111の原稿読み取りユニット112aは基準白板114aを読み取るために基準白板114下方に移動する。原稿照明用光源を点灯させ、基準白板114aを照射して基準白板114bを読み取り、シェーディング補正係数を生成する。その後、原稿読み取りユニット112aは流し読みガラス115aの下に移動する。原稿搬送装置100の原稿読み取りユニット112bも同様に、基準白板114bを読み取り、シェーディグ補正係数を生成する。その後、搬送されてくる原稿を原稿読み取りユニット112a、112bを用いて読み取る。原稿読み取りユニット112a、112bから出力される画像データは生成されたシェーディング補正係数を使用してシェーディング補正される。
【0025】
図2は、原稿読み取りユニット112a、112bとスキャナー画像処理部204、その後段に配置されるメインコントローラーユニット212の画像処理部のブロックを表したものである。
【0026】
原稿読み取りユニット112a、112bは同じ内部構成をしており、カラーラインセンサ201a、201bとラインセンサ用のアナログフロントエンド回路202a、202bと画像データ送信回路203a、203bとを有する。ラーラインセンサ201a、201bは原稿を照明光源(図示なし)により照射して得られた原稿拡散光を受光、蓄積し、それに応じた複数の色成分信号(RGBのアナログ画像信号)を出力する。
【0027】
アナログフロントエンド回路202a、202bはラインセンサ201a、201bから出力されるRGBのアナログ画像信号をサンプリングするサンプルホールド回路、サンプルホールド回路出力をAD変換するAD変換器を有する。アナログフロントエンド回路202a、202bはラインセンサ201a、201bが出力する複数の色成分信号(RGBのアナログ画像信号)を複数の色成分データ(RGBのデジタル画像データ)に変換する。原稿読取ユニット112a、112bは、カラー読取モードおよびモノクロ読取モードで動作可能である。カラー読取モードの場合は、アナログフロントエンド回路202a、202bから複数の色成分データ(RGBのデジタルカラー画像データ)が出力される。モノクロ読取モードの場合は、アナログフロントエンド回路202a、202bから1色成分データのみ出力される。本実施の場合、カラーラインセンサ201a、201bはGセンサの出力であるG成分信号のみ出力する。そして、アナログフロントエンド回路202a、202bは、G色成分データのみをモノクロ画像データとして出力する。なお、モノクロ画像データとしてG色成分データでなくB色成分データを出力するようにしてもかまわない。
【0028】
本実施例のカラーラインセンサ201a、201bはRGB3系統の伝送路を使用してRGB成分信号を出力する。そして、カラーラインセンサ201a、201bはRGB3成分信号を出力するカラー読取モードとG成分信号のみを出力するモノクロ読取モードとを有する。カラー読取モードの場合は、RGB3系統の伝送路を使用してRGB3成分信号を出力する。モノクロ読取モードの場合は、G成分信号を3系統の伝送路を使用して出力する。このように、本実施例によれば、モノクロ読取モードにおける成分信号の出力にかかる時間を、カラー読取モードにおける成分信号の出力にかかる時間より短くすることができる。よって、モノクロ読取モードの読取生産性はカラー読取モードの読取生産性より高い。なお、本実施例では、モノクロ読取モードの場合は、G成分信号を3系統の伝送路を使用しているが、2系統のみ使用するようにしても構わない。
【0029】
アナログフロントエンド回路202a、202bが出力するデジタル画像データは画像データ送信回路203a、203bにより後段のスキャナー画像処理部204に送信される。画像データ送信回路203a、203bは、アナログフロントエンド回路202a、202bが出力するデジタル画像データを、送信に必要な伝送信号線の数を少なくすべくパラレル-シリアル変換し、シングルエンド信号からLVDS信号に変換して比較的長い距離を安定して伝送可能なようにしている。最近ではアナログフロントエンド回路202a、202bと画像データ送信回路203a、203bの機能、さらにはラインセンサ201a、201bを制御するためのタイミング信号を発生する回路を有し、それらをIC化したものが使用されることが多い。
【0030】
スキャナー画像処理部204の画像データ受信回路205a、205bは、画像データ送信回路203a、203bからの画像データを受信し、LVDS信号をシングルエンド信号に変換、シリアル-パラレル変換して出力する回路である。
【0031】
シェーディング補正回路206Ra、206Ga、206Ba、206Rb、206Gb、206Bbは、画像データ受信回路205a、205bから出力された画像データに対してシェーディング補正を行う回路であり、RGB3色分用意されている。モノクロ読み取り時の単色の場合は、3色分のうち例えば206Gaと206Gbのみを使用する。シェーディング補正係数を生成する役目もあり、シェーディング補正係数を保持しておくメモリも用意されている(図示せず)。
【0032】
画像データ面順次出力回路207以前の画像処理回路は原稿読み取りユニット112aと112bに対応して、原稿画像データ表裏2系統分用意されている。メインコントローラーユニット212の画像処理部213への画像伝送経路が1系統であるため、画像データ面順次出力回路207では表裏2系統の画像データを1系統に変換する。具体的には、画像データ面順次出力回路207は原稿読み取りユニット112aと112bとで読み取った画像データを表裏1面ごとに順次出力する。画像データ面順次出力回路207は、表面の画像データを出力しつつ、裏面画像データを画像メモリ208に保持し、そして、表面の画像データの出力が終了したら、画像メモリ208から裏面画像データを読み出しつつ、出力をする。
【0033】
RGBライン間補正回路209は、カラー読み取り時に使用される回路であり、カラーラインセンサ201a、201bのRGB各センサの実装位置のずれに起因して読み取り画像データに生じる副走査方向(原稿の搬送方向もしくは
図1の矢印方向)の色ずれを補正する回路である。
【0034】
RGBtoBW回路210は複数の色成分(RGB)データであるカラー画像データを1色成分データであるモノクロ画像データに変換する。変換処理が有効設定されたときに機能する処理回路であり、有効設定されるとRGBデータを設定した比率で合成し、モノクロ単色の画像データとして出力する。演算式は例えば(1)式で示すようなものである。
RGBtoBW回路出力=
(R係数*R輝度データ+G係数*G輝度データ+B係数*B輝度データ)
/32・・・(1)式
ただし、R係数+G係数+B係数=32とする。
【0035】
例えば、(1)式の係数をR係数=8、G係数=20、R係数=4と設定した場合、Rの割合が8/32=25%、Gの割合が20/32=62.5%、Bの割合が4/32=12.5%のモノクロ画像が取得される。Gのラインセンサのみを使用したモノクロ読み取りモードの場合はGの割合が100%になるが、カラー読み取りを実施して、RGBtoBW回路208でモノクロ画像を生成することにより、任意の割合でR成分、B成分を混合できる。よって、色再現性のよいモノクロ画像を取得できる。なお、カラー画像データからモノクロ単色の画像データを生成する方法は上記に限定するものではない。
【0036】
画像データ送信制御回路211はスキャナー画像処理部204から後段のメインコントローラーユニット212に送る際のデジタル画像データ出力を制御する回路である。画像データ送信制御回路211は、カラー送信モードとモノクロ送信モードとで動作可能である。カラー送信モードでは、カラー送信モードで動作し、RGB3系統の画像データ伝送路を使用してカラー画像データを送信する。モノクロ送信モードでは、3系統の伝送路のうち、1系統だけを使用すればいいが、画像データの伝送速度を速めるため、モノクロ画像データを例えば偶数画素(図中のBW1)、奇数画素(BW2)に分割し、2系統の伝送路を用いて送信する。なお、本実施ではンモノクロ送信モードにおいて2系統の伝送路を用いているが、3系統の伝送路を用いてもいい。
【0037】
スキャナー画像データ受信回路213はメインコントローラーユニット212に設けられた、画像データ送信制御回路211からの画像データを受信するI/F回路である。スキャナー用画像補正回路213は、読み取り画像データに対して、ガンマ補正や色変換等の処理を行う回路である。処理後の画像データは後段に送られて、ファクス送信用の画像処理やコピー用の画像処理などユーザーが選択した機能毎の処理が行われる。
【0038】
CPU215は原稿搬送装置100、原稿読み取り装置111を制御する。CPU216はメインコントローラーユニット212を制御する。CPU215とCPU216は信号線で接続されており、通信可能である。メインコントローラーユニット212のCPU216は装置全体のジョブの管理をしており、CPU215に対しては原稿の搬送や原稿画像の読み取り開始を指示する。さらにカラーやモノクロといった動作モードについても指示を出す。
【0039】
図3は原稿読み取りユニット112aと112bが原稿を読み取っている期間と画像データ送信制御回路211がメインコントローラーユニット212に対して画像データ信号を出力する期間を示したタイミングチャートである。
【0040】
図3(a)はカラー読取モードかつカラー送信モード時のタイミング例を示したものである。「原稿読み取りユニット112a」と「原稿読み取りユニット112b」それぞれの原稿読み取りタイミングを示している。横軸は時間を示している。原稿読み取りユニット112aは読み取りユニット112bに対して原稿搬送方向の上流側に配置されているので、原稿読み取り期間は原稿読み取りユニット112aの方が先行している。「画像データ送信制御回路211」は画像データ送信制御回路211が出力する画像データのタイミングを示している。原稿読み取りユニット112a、112bのそれぞれが読み取った画像データは画像データ面順次出力回路207によって表面、裏面と順番に、かつ、RGB3系統で出力される。
【0041】
図3(b)はカラー読取モードかつモノクロ送信モード時のタイミング例を示したものである。「原稿読み取りユニット112a」と「原稿読み取りユニット112b」それぞれの原稿読み取りタイミングは
図3(a)と同じである。原稿読み取りユニット112a、112bのそれぞれが読み取った画像データは画像データ面順次出力回路207によって表面、裏面と順番に出力される。そして、RGBtoBW回路210によって単色のモノクロ画像データに変換され、画像データ送信制御回路211によって図中BW1とBW2で示したモノクロ2系統で出力される。上述したように、モノクロ画像データ出力時は伝送路を2系統使用するので、メインコントローラーユニット212への画像信号伝送期間が
図3(a)の半分となる。なお、モノクロ読取モードかつモノクロ送信モード時のタイミングも、
図3(b)に示すカラー読取モードかつモノクロ送信モード時のタイミングと同一である。
【0042】
本実施例と異なり、メインコントローラーユニット212側にRGBtoBW回路210がある場合は、モノクロ読み取りにおいても画像データ送信制御回路211の出力がRGB3系統の出力となる。つまり、タイミングは
図3(a)と同様になる。よって、画像データ送信制御回路211が画像データを出力し終えるまでの時間が長くなるため、原稿搬送装置100が次原稿の読み取り搬送を開始できなく、原稿紙間が大きく空き、その結果、時間当たりの原稿捌き枚数(原稿読み取り生産性)が上がらない。
【0043】
一方、本実施例によればメインコントローラーユニット212に伝送する前の、スキャナー画像処理部204内にRGBtoBW回路210を設けている。よって、画像データ送信制御回路211からスキャナー画像データ受信回路213への画像データの伝送はモノクロ画像データとなり、画像データ送信制御回路211の出力に2系統を使用することができる。よって、画像データを伝送し終えるまでの時間が短くすることができる。そのため、
図3(a)の場合に対して原稿搬送装置100が次原稿の読み取り搬送をすぐに開始できるので、紙間は小さくなり、読取生産性を向上させることができる。
【0044】
本実施例では、原稿をモノクロ読み取りするためのモードとして、2つのモードを有する。1つ目のモードは、カラー読取モードにより原稿を読み取り、RGBtoBW回路210によって単色のモノクロ画像データに変換し、モノクロ送信モードによりモノクロ画像データを送信するモードである。2つ目のモードはモノクロ読取モードにより原稿を読み取り、モノクロ送信モードによりモノクロ画像データを送信するモードである。
【0045】
1つ目のモードは、2つ目のモードに比較して、RとBの色情報の欠落がなくなり、高精度な再現性を実現することができる。2つ目のモードは、1つ目のモードに比較して、RとBの色情報が欠落するため、再現性が低減する可能性がある。一方で、モノクロ読取モードを使用するので1つ目のモードに比較して読み取り生産性が高い。
【0046】
本実施例では、CPU216は、読取ジョブに設定されている読取解像度に応じて、原稿をモノクロ読み取りする際のモードを決定する。例えば、読取解像度が600x600dpiの場合は2つ目のモードを選択し、読取解像度が300x300dpiの場合は1つ目のモードを選択する。
【0047】
また、本実施例では、ユーザーによってモードを指定することも可能である。ユーザーは操作部から原稿をモノクロ読み取りする際のモードとして速度優先モード、画質優先モード、自動を設定可能である。自動が設定されている場合、CPU216は、読取ジョブに設定されている読取解像度に応じて、1つ目のモードまたは2つ目のモードを選択する。速度優先モードが選択されている場合、CPU216は2つ目のモードを選択する。画質優先モードが選択されている場合、1つ目のモードを選択する。本実施例によれば、ユーザーの用途に応じて適切なモノクロ読み取りを実現することができる。
【0048】
図4は本実施例にかかる制御のフローを説明するための図である。ユーザーインターフェイス(図示なし)を介してユーザーによって、ファックス送信やコピーなどジョブの設定がなされると、メインコントローラーユニット212のCPU216から原稿搬送装置100と原稿読み取り装置111を制御するCPU215に対して、原稿読み取りジョブを開始するよう要求がなされ、その要求とともに読み取り条件が通知される(S400)。読み取り条件には、ラインセンサの読取モードと送信モードとが含まれている。S401以降はCPU216から要求を受けたCPU215が実行する処理ステップの説明である。
【0049】
実行する処理としては第1動作モード、第2動作モードおよび第3動作モードがある。第1動作モードは、読取モードがカラー読取モードであり、RGBtoBW回路210を用いてモノクロ画像データを生成し、送信モードがモノクロ送信モードである。第2動作モードは、読取モードがモノクロ読取モードであり、送信モードがモノクロ送信モードである。第3動作モードは、読取モードがカラー読取モードであり、送信モードがカラー読取モードである。
【0050】
まず、CPU215は、メインコントローラーユニット212のCPU216からラインセンサの読取モードの設定を受ける(S401)。設定されたラインセンサの読取モードがモノクロ読取モードである場合(No)はS402へ移行する。CPU215は、ラインセンサ201a、201bとアナログフロントエンド202a、202bのモードをモノクロ設定する(S402)。CPU215はアナログフロントエンド202a、202b内にあるタイミング信号生成回路の動作設定を行い、ラインセンサ201a、201bのG(緑)だけを動作させるタイミング信号を発生させ、G(緑)のセンサを使用した読み取りを開始する。さらに、CPU215は、スキャナー画像処理部204内のRGBライン間補正部209の処理を無効にする(S403)。RGBライン間補正部209に入力されるモノクロ画像データは処理を施さず通過させる設定を行う。CPU215は、スキャナー画像処理部204内の画像データ送信制御回路211をモノクロ送信モードに設定する(S404)。CPU215はメインコントローラーユニット212への画像データ伝送路のうち2系統を使用して画像データを出力、伝送するよう画像データ送信制御回路211を設定する。
【0051】
一方、ステップS401において設定されたラインセンサの読取モードがカラー読取モードである場合(Yes)、S405に移行する。CPU215は、ラインセンサ201a、201bとアナログフロントエンド202a、202bのモードをカラー設定する(S405)。そして、CPU215は、スキャナー画像処理部204内のRGBライン間補正部209の処理を有効に設定する(S406)。ラインセンサがカラー読み取りする場合はRGBライン間補正処理が必要となるので、その設定を行う。次に、CPU215は、画像データ送信制御回路211をモノクロ送信モードに設定するかどうか判定する(S407)。ステップS400において、CPU216からモノクロ出力が指示されていた場合(Yes)はS408へ移行する。一方、モノクロ出力が指示されていない場合(No)、すなわちカラー出力が指示されている場合は、S409に移行する。
【0052】
CPU216からモノクロ出力が指示されていた場合、CPU215は、RGBtoBW回路210の処理を有効にし(S408)、ステップS404に移行する。つまり、カラー画像データからモノクロ画像データを生成する処理を有効にするととともに、RGB各色画像データを混合させる割合を設定し、適切な色再現性をもつモノクロ画像を出力するようにする。そしてS404に移行する。
【0053】
一方、CPU216からモノクロ出力が指示されていない場合、RGBtoBW回路210の処理を無効にする(S409)。RGBtoBW回路210の処理を無効にして、RGBtoBW回路に入力されるカラー画像データを変換せずに通過させる。そして、CPU215は、スキャナー画像処理部204内の画像データ送信制御回路211をカラー送信モードに設定し(S410)、ステップS411に移行する。カラー送信モードが設定された画像データ受信回路213は、画像データ伝送路を3本使用してRGBカラー画像データを伝送する。
【0054】
読取モード、送信モードなどの設定を終えたら、原稿読み取り前に行っておく必要のあるシェーディング補正係数の生成を行う(S411)。原稿読み取りユニット112a、112bで基準白板114a、114bを読み取って、シェーディング補正回路206a、206bにてシェーディング補正係数を生成し、メモリにシェーディング補正係数として保持する。そして、原稿読み取りジョブを開始する(S412)。原稿搬送装置100による原稿搬送を開始し、ここまでの処理ステップでの設定に基づいて原稿読み取りを実施する。
【0055】
以上説明したように、スキャナー画像処理部204にRGBtoBW回路210を設けたので、メインコントローラーユニット212に伝送する前に読み取ったカラー画像をモノクロ化し、モノクロ画像データを伝送することが可能なった。その結果、カラー画像データからモノクロ画像データを生成しているので、原稿の濃度再現性が優れ、かつ、画像データの伝送時間が従来のカラー画像データを伝送していた場合より短縮されているので、原稿の読み取り生産性が向上した原稿読み取り装置が実現できる。
【符号の説明】
【0056】
201a、201b カラーラインセンサ
210 RGBtoBW回路
211 画像データ送信制御回路