(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】電子機器、制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240325BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240325BHJP
H04N 23/63 20230101ALI20240325BHJP
H04N 23/65 20230101ALI20240325BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20240325BHJP
G03B 17/56 20210101ALI20240325BHJP
【FI】
H02J7/00 X
H02J7/00 302A
H01M10/48 P
H04N23/63
H04N23/65
G03B17/02
G03B17/56 Z
(21)【出願番号】P 2019217927
(22)【出願日】2019-12-02
【審査請求日】2022-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】千島 悠輝
(72)【発明者】
【氏名】阿部 享充
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/097572(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/022169(WO,A1)
【文献】特開2011-227820(JP,A)
【文献】特開2004-7954(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H01M 10/48
H04N 23/63
H04N 23/65
G03B 17/02
G03B 17/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池パックから供給される電力により動作することが可能な電子機器であって、
前記電池パックの電池残量が所定値以下であり、且つ、前記電子機器が所定の動作を実行している場合には、前記所定の動作の実行を終了するための制御を行い、前記所定の動作の実行が終了した場合には、前記電池パックの電池残量が前記所定値以下でないときよりも前記電子機器を低消費電力で動作させるための制御を行う制御手段と、
前記電池パックの電池残量が
前記所定値以下であり、且つ、前記電池パックの電池残量が前記所定値以下でないときよりも前記電子機器が低消費電力で動作する状態である場合であって、所定の条件が満たされた場合に、前記電池パックの電池残量に関する情報を通知する第1の通知手段と、
を有し、
前記制御手段は、前記第1の通知手段による通知がなされた後に、前記電池パックの電池残量が前記所定値以下でないときよりも前記電池パック
の消費電力
が抑制されるように前記電池パックを動作させるための制御を行
うことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記所定の動作の実行が終了されると、前記電池パックの電池残量に関する情報を通知する第2の通知手段をさらに有し、
前記制御手段は、前記第2の通知手段による通知がなされた後に、前記電池パックの電池残量が前記所定値以下でないときよりも前記電子機器を低消費電力で動作させるための制御を行うことを特徴とする請求項
1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記所定の動作は、前記電子機器に対する第1の操作が行われてから第2の操作が行われるまでの間、継続する動作であることを特徴とする請求項
1または
2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記所定の条件は、前記電池パックの電池残量が所定値以下であることをユーザに通知するための情報をユーザが知ることができる位置にユーザがいるとみなせる条件であることを特徴とする請求項1から
3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記所定の条件は、前記電子機器の所定の操作部に対して所定の操作が行われた場合に満たされたと判定されることを特徴とする請求項1から
3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
撮像手段を有することを特徴とする請求項1から
5のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
操作部材と、
表示手段と
、を有し、
前記
第1の通知手段は、前記電池パックの電池残量に関する情報を前記表示手段に表示し、
前記制御手段は、前記第1の通知手段による通知がなされた後に、前記操作部材に
対して所定の操作
が行われたことを検出すると
、シャットダウンコマンドを前記電池パックに送信することを特徴とする
請求項1に記載の電子機器。
【請求項8】
前記電子機器はカメラであり、
前記所定の動作は、タイムラプス撮影、動画撮影、インターバル撮影、および、動画の再生のいずれかを含
むことを特徴とする請求項
1に記載の電子機器。
【請求項9】
電池パックから供給される電力により動作することが可能な電子機器の制御方法であって、
前記電池パックの電池残量が所定値以下であり、且つ、前記電子機器が所定の動作を実行している場合には、前記所定の動作の実行を終了するための制御を行い、前記所定の動作の実行が終了した場合には、前記電池パックの電池残量が前記所定値以下でないときよりも前記電子機器を低消費電力で動作させるための制御を行うステップと、
前記電池パックの電池残量が
前記所定値以下であり、且つ、前記電池パックの電池残量が前記所定値以下でないときよりも前記電子機器が低消費電力で動作する状態である場合であって、所定の条件が満たされた場合に、前記電池パックの電池残量に関する情報を通知するステップと、
前記通知がなされた後に、前記電池パックの電池残量が前記所定値以下でないときよりも前記電池パック
の消費電力
が抑制されるように前記電池パックを動作させるための制御を行うステップと
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項10】
電池パックから供給される電力により動作することが可能な電子機器のコンピュータに、
前記電池パックの電池残量が所定値以下であり、且つ、前記電子機器が所定の動作を実行している場合には、前記所定の動作の実行を終了するための制御を行い、前記所定の動作の実行が終了した場合には、前記電池パックの電池残量が前記所定値以下でないときよりも前記電子機器を低消費電力で動作させるための制御を行うステップと、
前記電池パックの電池残量が
前記所定値以下であり、且つ、前記電池パックの電池残量が前記所定値以下でないときよりも前記電子機器が低消費電力で動作する状態である場合であって、所定の条件が満たされた場合に、前記電池パックの電池残量に関する情報を通知するステップと、
前記通知がなされた後に、前記電池パックの電池残量が前記所定値以下でないときよりも前記電池パック
の消費電力
が抑制されるように前記電池パックを動作させるための制御を行うステップと
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パックからの電力で動作可能な電子機器およびその制御方法並びにプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電池パックの電池残量が閾値以下であると判定したときに、電池パックのマイコンをシャットダウンするためのコマンドを電子機器から電池パックに送信する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されている方法では、電池パックの電池残量が閾値以下であると電子機器が判定した場合、電子機器は、電池パックのマイコンをシャットダウンする。電池パックのマイコンがシャットダウンされると、電池パックから電子機器への電力の供給が遮断されるため、電子機器の動作は停止する。例えば、ユーザが電子機器から離れている間に電池パックの電池残量が閾値以下になると、電子機器が電池パックのマイコンがシャットダウンしてしまい、電子機器の動作は停止する。このような状況で電子機器のところに戻ったユーザは、電子機器の動作が停止した理由を迅速に把握することが容易ではない。このように、特許文献1に記載されている方法では、なぜ電子機器の動作が停止しているのかをユーザが迅速に把握することが容易ではないという点で電子機器の利便性がよくないという課題がある。
【0005】
そこで、本発明は、電子パックからの電力で動作する電子機器の利便性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電子機器は、電池パックから供給される電力により動作することが可能な電子機器であって、前記電池パックの電池残量が所定値以下であり、且つ、前記電子機器が所定の動作を実行している場合には、前記所定の動作の実行を終了するための制御を行い、前記所定の動作の実行が終了した場合には、前記電池パックの電池残量が前記所定値以下でないときよりも前記電子機器を低消費電力で動作させるための制御を行う制御手段と、前記電池パックの電池残量が前記所定値以下であり、且つ、前記電池パックの電池残量が前記所定値以下でないときよりも前記電子機器が低消費電力で動作する状態である場合であって、所定の条件が満たされた場合に、前記電池パックの電池残量に関する情報を通知する第1の通知手段と、を有し、前記制御手段は、前記第1の通知手段による通知がなされた後に、前記電池パックの電池残量が前記所定値以下でないときよりも前記電池パックの消費電力が抑制されるように前記電池パックを動作させるための制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電子パックからの電力で動作する電子機器の利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】電池パック100および電子機器200の構成要素を説明するためのブロック図である。
【
図2】電子機器200で行われる処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0010】
[実施形態1]
図1は、電池パック100および電子機器200の構成要素を説明するためのブロック図である。なお、
図1では、電池パック100および電子機器200の構成要素の一部を示す。
【0011】
まず、
図1を参照して、電池パック100の構成要素を説明する。
【0012】
電池パック100は、電子機器200に電力を供給するために、電子機器200に取り付けられる。電池パック100は、電池セル101を有する。電池セル101は、充電可能な電池セルである。電池セル101は、例えば、リチウムイオン電池セルである。電池セル101は1つまたは複数の電池セルから構成される。電池セル101が複数の電池セルから構成される場合、複数の電池セルの接続形態は、直列接続、並列接続、これらの組み合わせのいずれであってもよい。
【0013】
電池パック100は、+端子102aと-端子102bとを有する。電池パック100と電子機器200との間で行われる充放電は、+端子102aおよび-端子102bを介して行われる。電池パック100は、電流検出部104を有する。電流検出部104は、電池セル101から充放電される電流を検出する。電流検出部104は、例えば、電池セル101から充放電される電流を検出する回路を有する。
【0014】
電池パック100は、通信部107と端子108とを有する。通信部107は、電子機器200と通信を行う。通信部107は、例えば、電子機器200との通信処理を行う回路を有する。端子108は、通信用の端子である。電池パック100の電子機器200との通信は、端子108を介して行われる。
【0015】
電池パック100は、制御部105を有する。制御部105は、例えば、マイクロコンピュータおよびメモリを有する。制御部105のマイクロコンピュータは、メモリに記憶されているプログラムを実行することにより、電池パック100の動作を制御することができる。制御部105はさらに、残量検出部109およびシャットダウン部110を有する。
【0016】
電池パック100は、FET(Field effect transistor)106を有する。FET106は、電池セル101内の電力の供給経路に配置される。当該電力の供給経路は、電池セル101から電子機器200に放電される際に流れる電流の経路と、電子機器200から電池セル101に充電される際に流れる電流の経路とを含む。FET106は、1つ以上の充電用FETと、1つ以上の放電用FETとを有する。
【0017】
残量検出部109は、電池パック100の電池残量を検出する。残量検出部109は、例えば、クーロンカウンタを有する。クーロンカウンタは、充電時の電流の積算値と放電時の電流の積算値とを計算する。充電時の電流と放電時の電流は、電流検出部104により検出される。クーロンカウンタは、放電時の電流の積算値から充電時の電流の積算値を減算することにより、電池パック100の電池残量を計算する。なお、残量検出部109が電池パック100の電池残量を検出する手法は、このような手法に限定されない。例えば、残量検出部109は、充電時の電池セル101の端子電圧と、放電時の電池セル101の端子電圧とに基づいて、電池パック100の電池残量を検出してもよい。
【0018】
シャットダウン部110は、FET106をオフ状態またはオン状態にする。制御部105が通信部107を介して電子機器200からシャットダウンコマンドを受信すると、シャットダウン部110は、制御部105をシャットダウン状態に移行させるために、FET106をオフ状態にする。
【0019】
シャットダウン部110がFET106をオフ状態にすることにより、電池セル101から制御部105および電子機器200への電力の供給経路が電気的に遮断される。また、シャットダウン部110がFET106をオフ状態にすることにより、制御部105の動作が停止する。このため、電池パック100での電力消費を抑制できる。よって、電池セル101が深放電の状態になる時期を遅延させることができる。なお、深放電の状態とは、電池パック100の電池残量が0%の状態が長期間継続する状態をいう。
【0020】
以上のようにしてFET106がオフ状態にされた後、電池パック100が充電器に接続され、充電器から制御部105に電力が供給されると、制御部105は、FET106をオン状態にする。これにより、電池パック100の電池セル101は充電器により充電される。
【0021】
次に、
図1を参照して、電子機器200の構成要素を説明する。電子機器200は、デジタルカメラとして動作する電子機器である。電子機器200は、デジタルカメラとして動作する電子機器であれば、スマートフォン、携帯端末またはパーソナルコンピュータであってもよい。
【0022】
電子機器200は、電池パック100から供給される電力で動作することが可能な機器である。電子機器200は、負荷201を有する。負荷201は、電子機器200の機能の少なくとも一つを実現するための負荷である。負荷201には、例えば、撮像ユニット201a、画像処理回路201bおよび操作部201cが含まれる。
【0023】
撮像ユニット201aは、被写体を撮像し、撮像された被写体のデジタル画像データを生成するユニットである。撮像ユニット201aは、例えば、レンズユニット、シャッタ、撮像素子およびA/D変換回路を有する。被写体の光学像は、レンズユニットおよびシャッタを介して撮像素子上で結像される。撮像素子は、撮像素子で結像された光学像からアナログ画像信号を生成し、生成したアナログ画像信号をA/D変換回路に供給する。A/D変換回路は、A/D変換処理により、アナログ画像信号からデジタル画像データを生成する。画像処理回路201bは、撮像ユニット201aで生成されたデジタル画像データに対して一つまたは複数の画像処理を行う。操作部201cは、電子機器200を操作するための操作部材を有するユーザインタフェースである。操作部材には、例えば、電源ボタン(または電源スイッチ)、モード切り替えスイッチ、撮影ボタンなどが含まれる。なお、負荷201は、撮像ユニット201a、画像処理回路201bおよび操作部201cを含むものに限定されない。負荷201は、撮像ユニット201a、画像処理回路201bまたは操作部201cを含むものであってもよい。
【0024】
電子機器200は、+端子202aと-端子202bとを有する。電子機器200に電池パック100が取り付けられる際に、+端子202aは、電池パック100の+端子102aと電気的に接続され、-端子202bは、電池パック100の-端子102bと電気的に接続される。
【0025】
電子機器200は、制御部204を有する。制御部204は、例えば、マイクロコンピュータおよびメモリを有する。制御部204のマイクロコンピュータは、メモリに記憶されているプログラムを実行することにより、電子機器200の動作を制御することができる。
【0026】
電子機器200は、通信部205と端子206とを有する。通信部205は、電池パック100と通信を行う。通信部205は、例えば、電池パック100との通信処理を行う回路を有する。端子206は、通信用の端子である。電子機器200に電池パック100が取り付けられる際に、端子206は、電池パック100の端子108に電気的に接続される。電子機器200の電池パック100との通信は、端子206を介して行われる。
【0027】
電子機器200は、表示部207を有する。表示部207は、例えば、液晶ディスプレイを有する。表示部207は、例えば、プレビュー画像や、ユーザに通知するための情報を表示する。また、表示部207は、グラフィカルユーザインターフェースとして機能する。
【0028】
電池パック100の制御部105は、残量検出部109で検出した電池パック100の電池残量を示す情報を、通信部107を介して電子機器200に送信する。電子機器200の制御部204は、電池パック100の電池残量を示す情報を通信部205を介して受信することにより、電池パック100の電池残量を知ることができる。制御部204は、電池パック100の電池残量が所定値以下になると、電池パック100の電池残量が電子機器200を駆動させるのに必要な量でないと判定する。
【0029】
通常のシーケンスでは、制御部204は、電池パック100の電池残量が所定値以下になると、電子機器200の撮影動作を終了させる。その際、制御部204は、電池パック100の電池残量が所定値以下であることをユーザに通知するための通知情報を表示部207に表示させる。当該通知情報は、電池パック100を交換すること、電池パック100を充電すること、電子機器200にACアダプタを接続することなどをユーザに促すための情報を含むものであってよい。従って、当該通知情報には、例えば、電池パックの交換が必要なことをユーザに通知するための情報を含めることができる。制御部204は、当該通知情報の表示を所定時間継続した後に当該通知情報の表示を終了させる。そして、制御部204は、通信部205を介して電池パック100にシャットダウンコマンドを送信する。電池パック100の制御部105が通信部107を介して電子機器200からシャットダウンコマンドを受信すると、シャットダウン部110は、制御部105をシャットダウン状態に移行させるために、FET106をオフ状態にする。FET106がオフ状態にされることで、電池セル101から制御部105および電子機器200への電力の供給経路が電気的に遮断される。その結果、制御部204もシャットダウン状態となり、電子機器200の動作は停止する。
【0030】
実施形態1では、電子機器200の制御部204は、電池パック100の電池残量が所定値以下であるときに、電子機器200が所定の動作を行っている場合、通常のシーケンスと異なる動作を行う。所定の動作は、例えば、電子機器200に対して第1の操作が行われてから、電子機器200に対して第2の操作が行われるまでの間、継続する動作である。第1の操作は、例えば、当該動作の開始を指示するための操作である。第2の操作は、例えば、当該動作の終了を指示するための操作である。このような動作として、例えば、タイムラプス撮影、動画撮影またはインターバル撮影のように、長時間の撮影を行う動作がある。また、このような動作として、例えば、露光時間を長時間(例えば1秒以上の時間)として撮影を行う動作がある。また、このような動作として、動画の再生を行う動作がある。
【0031】
次に、
図2を参照して、電子機器200で行われる処理を説明する。
図2を参照して説明する処理は、制御部204のマイクロコンピュータが、メモリに記憶されているプログラムを実行することによって制御される。
図2のフローチャートは、電子機器200の電源ボタン(または電源スイッチ)がオン状態にされた後、所定時間ごとに実行される。
【0032】
ステップS201において、制御部204は、電池パック100の電池残量が所定値以下であるか否かを判定する。電池パック100の電池残量が所定値以下であるか否かの判定は、電池パック100から電子機器200に送信される、電池パック100の電池残量を示す情報に基づいて行われる。電池パック100の電池残量が所定値以下でないと判定した場合、
図2のフローチャートは終了する。電池パック100の電池残量が所定値以下であると判定した場合、制御部204は、ステップS202に進む。
【0033】
ステップS202において、制御部204は、電子機器200が所定の動作を実行しているか否かを判定する。所定の動作については、前述した通りである。電子機器200が所定の動作を実行していると判定した場合、制御部204は、ステップS203に進む。電子機器200が所定の動作とは異なる動作を実行していると判定した場合、制御部204は、ステップS209に進む。
【0034】
ステップS203において、制御部204は、電子機器200が実行している所定の動作を終了させる。
【0035】
ステップS204において、制御部204は、電池パック100の電池残量が所定値以下であることをユーザに通知するための通知情報を表示部207に表示させる。制御部204は、当該通知情報の表示を開始してから所定時間が経過すると、当該通知情報の表示を終了させる。なお、当該通知情報には、例えば、電池パックの交換が必要なことをユーザに通知するための情報を含めることができる。また、当該通知情報には、電池パック100の電池残量が所定値以下であることを理由として電子機器200の動作を終了させたことをユーザに通知するための情報を含めることができる。
【0036】
ステップS205において、制御部204は、電子機器200を低消費電力状態(またはスリープ状態)に移行させる。低消費電力状態では、電池パック100から電子機器200への電力の供給経路は遮断されない。低消費電力状態では、電池パック100の電池残量が所定値以下でないときよりも低消費電力で電子機器200は動作する。低消費電力状態では、電源ボタン(または電源スイッチ)が操作されなくても、電源ボタン(または電源スイッチ)以外の操作部材が操作されることで電子機器200の再起動が可能である。
【0037】
ステップS206において、制御部204は、所定の条件が満たされたか否かを判定する。実施形態1において、所定の条件とは、表示部207が表示する通知情報をユーザが知ることができる位置にユーザがいるとみなせる条件であるものとする。所定の条件は、例えば、操作部201cの任意の操作部材に対して所定の操作が行われたと制御部204が判定した場合に満たされる。所定の条件は、例えば、電子機器200が持ち上げられたまたは所定の方向に移動したと制御部204が判定した場合にも満たされる。所定の条件が満たされたと判定した場合、制御部204は、ステップS207に進む。所定の条件が満たされてないと判定した場合、制御部204は、ステップS206の処理を繰り返す。
【0038】
ステップS207において、制御部204は、電子機器200を低消費電力状態(またはスリープ状態)から通常状態に復帰させる。そして、制御部204は、再度、電池パック100の電池残量が所定値以下であることをユーザに通知するための通知情報を表示部207に表示させる。制御部204は、当該通知情報の表示を開始してから所定時間が経過すると、当該通知情報の表示を終了させる。なお、ステップS207で表示部207に表示される通知情報は、ステップS204で表示部207に表示される通知情報と同じである。
【0039】
ステップS208において、制御部204は、通信部205を介して電池パック100にシャットダウンコマンドを送信する。電池パック100の制御部105が通信部107を介して電子機器200からシャットダウンコマンドを受信すると、シャットダウン部110は、制御部105をシャットダウン状態に移行させるために、FET106をオフ状態にする。FET106がオフ状態にされることで、電池セル101から制御部105および電子機器200への電力の供給経路が電気的に遮断される。その結果、制御部204もシャットダウン状態となり、電子機器200の動作は停止する。
【0040】
ステップS209において、制御部204は、電子機器200が実行している動作(所定の動作とは異なる動作)を終了させる。例えば、電子機器200が撮影動作を実行中している場合、制御部204は、当該撮影動作を終了させる。電子機器200が実行している動作(所定の動作とは異なる動作)が終了した後、制御部204は、ステップS207に進む。
【0041】
以上のように、実施形態1では、制御部204は、電子機器200が所定の動作を行っている場合は、電池パック100にシャットダウンコマンドを送信せずに、電子機器200を低消費電力状態とする。その後、制御部204は、表示部207が表示する通知情報をユーザが知ることができる位置にユーザがいるとみなせる所定の条件が満たされたか否かを判定する。そして、所定の条件が満たされたと判定した場合、制御部204は、電池パック100の電池残量が所定値以下であることをユーザに通知するための通知情報を表示部207に表示させる。制御部204は、当該通知情報の表示をした後に、電池パック100にシャットダウンコマンドを送信する。これにより、ユーザが電子機器200から離れているときに、電池パック100の電池残量が所定値以下となって制御部204が所定の動作を終了した場合でも、ユーザは、所定の動作が終了した理由を知ることができる。その結果、電子パック100からの電力で動作する電子機器200の利便性を高めることができる。
【0042】
なお、ステップS204において、制御部204は、電池パック100の電池残量が所定値以下であることに加えて、シャットダウンの許可を指示するためのボタンを表示部207に表示させてもよい。このボタンがユーザにより押下されると、制御部204は、ステップS205~S207の処理を省略して、ステップS208の処理を行う。このようにすれば、表示部207が表示する通知情報をユーザが知ることができる位置にユーザがいる場合には、制御部204はシャットダウンコマンドをより迅速に電池パック100に送信することができる。
【0043】
[実施形態2]
実施形態1で説明した様々な機能、処理または方法は、パーソナルコンピュータ、マイクロコンピュータ、CPU(Central Processing Unit)またはマイクロプロセッサがプログラムを実行することによって実現することもできる。以下、実施形態2では、パーソナルコンピュータ、マイクロコンピュータ、CPU(Central Processing Unit)またはマイクロプロセッサを「コンピュータX」と呼ぶ。また、実施形態2では、コンピュータXを制御するためのプログラムであって、実施形態1で説明した様々な機能、処理または方法を実現するためのプログラムを「プログラムY」と呼ぶ。
【0044】
実施形態1で説明した様々な機能、処理または方法は、コンピュータXがプログラムYを実行することによって実現される。この場合において、プログラムYは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体を介してコンピュータXに供給される。実施形態2におけるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、ハードディスク装置、磁気記憶装置、光記憶装置、光磁気記憶装置、メモリカード、揮発性メモリ、不揮発性メモリなどの少なくとも一つを含む。実施形態2におけるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、non-transitoryな記憶媒体である。
【符号の説明】
【0045】
100:電池パック、200:電子機器、101:電池セル、105:制御部、106:FET、204:制御部