(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】感温プローブ
(51)【国際特許分類】
G01K 1/16 20060101AFI20240325BHJP
【FI】
G01K1/16
(21)【出願番号】P 2019218547
(22)【出願日】2019-12-03
【審査請求日】2022-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅原 広格
(72)【発明者】
【氏名】久保 博
(72)【発明者】
【氏名】大高 稿兵
(72)【発明者】
【氏名】佐野 拓真
【審査官】松山 紗希
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-154626(JP,U)
【文献】特開昭63-046701(JP,A)
【文献】国際公開第2019/159221(WO,A1)
【文献】特表2008-520972(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00-19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容空間を区画している非金属製の熱伝導部材と、
前記収容空間内に配置されている感温素子と、
前記収容空間において前記感温素子を包囲する部分を有しており、前記感温素子を前記熱伝導部材に固定している結合部材と、
前記感温素子と電気的に接続されている導電性の芯線と、
前記芯線の一部を包囲している絶縁性の被覆と、
少なくとも前記被覆と前記熱伝導部材に跨る領域に設けられている絶縁性のコーティング層と、
を備えて
おり、
前記熱伝導部材の全体が前記コーティング層に覆われている、
感温プローブ。
【請求項2】
収容空間を区画している非金属製の熱伝導部材と、
前記収容空間内に配置されている感温素子と、
前記収容空間において前記感温素子を包囲する部分を有しており、前記感温素子を前記熱伝導部材に固定している結合部材と、
前記感温素子と電気的に接続されている導電性の芯線と、
前記芯線の一部を包囲している絶縁性の被覆と、
少なくとも前記被覆と前記熱伝導部材に跨る領域に設けられている絶縁性のコーティング層と、
を備えており、
前記コーティング層と前記被覆の少なくとも一方にスケール標識が設けられている
、
感温プローブ。
【請求項3】
前記熱伝導部材の熱伝導率は、前記結合部材の熱伝導率よりも高い、
請求項1
または2に記載の感温プローブ。
【請求項4】
前記感温素子と電気的に接続されている導電性の芯線と、
前記芯線の一部を包囲している絶縁性の被覆と、
を備えており、
前記被覆の熱伝導率は、前記結合部材の熱伝導率よりも低い、
請求項1
から3のいずれか一項に記載の感温プローブ。
【請求項5】
前記被覆と前記熱伝導部材は、前記結合部材を介して結合されている、
請求項
1から
4のいずれか一項に記載の感温プローブ。
【請求項6】
収容空間を区画している非金属製の熱伝導部材と、
前記収容空間内に配置されている感温素子と、
前記収容空間において前記感温素子を包囲する部分を有しており、前記感温素子を前記熱伝導部材に固定している結合部材と、
を備えており、
前記熱伝導部材の外部と前記収容空間を連通する孔が形成されており、
前記結合部材は、前記孔に充填された部分を有している
、
感温プローブ。
【請求項7】
収容空間を区画している非金属製の熱伝導部材と、
前記収容空間内に配置されている感温素子と、
前記収容空間において前記感温素子を包囲する部分を有しており、前記感温素子を前記熱伝導部材に固定している結合部材と、
前記感温素子と電気的に接続されている導電性の芯線と、
前記芯線の一部を包囲している絶縁性の被覆と、
を備えており、
前記熱伝導部材は、前記収容空間に連通する開口が形成されている端部を有しており、
前記芯線と前記被覆の境界は、前記端部と前記感温素子の間に位置している
、
感温プローブ。
【請求項8】
前記境界は、前記収容空間内に位置している、
請求項
7に記載の感温プローブ。
【請求項9】
前記被覆は、前記境界を形成している第一被覆、および前記熱伝導部材と結合されている第二被覆を含んでいる、
請求項
7または
8に記載の感温プローブ。
【請求項10】
前記第一被覆の一部を包囲するとともに前記第二被覆に包囲された部分を有している導電性のシールドを備えている、
請求項
9に記載の感温プローブ。
【請求項11】
前記第一被覆の一部と前記シールドの一部を包囲するとともに、前記第二被覆に包囲された部分を有している絶縁性の第三被覆を備えている、
請求項
10に記載の感温プローブ。
【請求項12】
前記第一被覆は、フッ素樹脂を含んでいる、
請求項
9から
11のいずれか一項に記載の感温プローブ。
【請求項13】
前記芯線と前記感温素子は、低温はんだにより接合されている、
請求項
7から
12のいずれか一項に記載の感温プローブ。
【請求項14】
収容空間を区画している非金属製の熱伝導部材と、
前記収容空間内に配置されている感温素子と、
前記収容空間において前記感温素子を包囲する部分を有しており、前記感温素子を前記熱伝導部材に固定している結合部材と、
前記感温素子と電気的に接続されている導電性の芯線と、
前記芯線の一部を包囲している絶縁性の被覆と、
を備えており、
前記被覆の外径と前記熱伝導部材の外径は一致している
、
感温プローブ。
【請求項15】
前記熱伝導部材の少なくとも一部を包囲する金属製のケースを備えている、
請求項1から
14のいずれか一項に記載の感温プローブ。
【請求項16】
収容空間を区画している非金属製の熱伝導部材と、
前記収容空間内に配置されている感温素子と、
前記収容空間において前記感温素子を包囲する部分を有しており、前記感温素子を前記熱伝導部材に固定している結合部材と、
前記感温素子と電気的に接続されている導電性の芯線と、
前記芯線の一部を包囲している絶縁性の被覆と、
を備えており、
前記熱伝導部材は、
前記被覆の一部を覆うとともに前記芯線の径方向に第一の幅を有する第一部分と、
前記芯線の径方向に前記第一の幅よりも大きな第二の幅を有する第二部分と、
を有しており、
前記感温素子は、前記第二部分に包囲されるように配置されている
、
感温プローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感温プローブに関連する。特に本発明は、被検者の体温を測定するために使用される医療用の感温プローブに関連する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、この種の感温プローブの一例としての温度計測装置を開示している。この温度計測装置は、感温素子を包囲するように接しているセラミックス製のキャップを備えている。キャップは、温度計測装置の外表面の一部を形成している。温度計測装置の外表面を対象に接触させると、対象の熱がキャップを介して感温素子に伝達される。感温素子は、温度変化に対して抵抗値などの特性が変化する。この特性変化に対応する信号が取得されることにより、対象の温度が測定されうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、対象の温度変化に対する感温素子の応答性の要求を満足しつつ、環境温度が感温素子に及ぼす影響を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための一態様は、感温プローブであって、
収容空間を区画している非金属製の熱伝導部材と、
前記収容空間内に配置されている感温素子と、
前記収容空間において前記感温素子を包囲する部分を有しており、前記感温素子を前記熱伝導部材に固定している結合部材と、
を備えている。
【0006】
本願の発明者は、検討を重ねた結果、熱伝導部材に感温素子を固定するための結合部材で収容空間内に配置された感温素子を敢えて包囲するという構成を採用した。熱伝導部材と感温素子の間に結合部材が介在することにより、対象の温度変化に対する感温素子の応答性を満足のゆくレベルに維持しつつ、環境温度が感温素子に及ぼす影響を抑制することに成功した。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態に係る感温プローブの外観を示している。
【
図2】
図1の感温プローブの内部構成の第一の例を示している。
【
図3】
図1の感温プローブの内部構成の第二の例を示している。
【
図4】
図1の感温プローブの内部構成の第三の例を示している。
【
図5】
図1の感温プローブの内部構成の第四の例を示している。
【
図6】
図1の感温プローブの内部構成の第五の例を示している。
【
図7】
図1の感温プローブの内部構成の第六の例を示している。
【
図8】
図1の感温プローブの内部構成の第七の例を示している。
【
図9】
図1の感温プローブの内部構成の第八の例を示している。
【
図10】
図1の感温プローブの内部構成の第九の例を示している。
【
図11】
図10における矢印XIの方向から見た感温プローブの外観を例示している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
添付の図面を参照しつつ、実施形態の例を以下詳細に説明する。説明に用いる各図面においては、各部材を認識可能な大きさとするために、縮尺が適宜変更されている。
【0009】
図1は、一実施形態に係る感温プローブ1の外観を示している。感温プローブ1は、本体部2と感温部3を備えている。本体部2は、細長い外観を呈している。本体部2は、柔軟性を有している。感温部3は、本体部2の長手方向における一端部に設けられている。本体部2の長手方向における他端部は、不図示の温度測定装置に接続される。
【0010】
感温プローブ1は、感温部3が温度の測定対象に接触するように使用される。例えば、本体部2が被検者の直腸や食道に挿入され、感温部3が所望の部位に位置決めされる。
【0011】
図2は、感温プローブ1の内部構成の第一の例を一部断面視で示している。感温部3は、熱伝導部材31、感温素子32、および結合部材33を備えている。
【0012】
熱伝導部材31は、非金属製である。熱伝導部材31を形成する材料の例としては、アルミナ、炭化ケイ素、窒化ケイ素などのファインセラミックス材料や、当該ファインセラミックス材料、ダイヤモンド、サファイヤなどをフィラーとして含有する樹脂材料などが挙げられる。熱伝導部材31は、収容空間34を区画している。
【0013】
感温素子32は、温度変化に対して抵抗値などの特性が変化する素子である。感温素子32の例としては、サーミスタ、熱電対、測温抵抗体が挙げられる。感温素子32は、収容空間34内に配置されている。
【0014】
結合部材33は、収容空間34内において感温素子32を包囲する部分を有している。換言すると、結合部材33は、熱伝導部材31の熱を感温素子32に伝導するように結合する部材である。結合部材33の例としては、エポキシ樹脂が挙げられる。
【0015】
本願の発明者は、検討を重ねた結果、熱伝導部材31に感温素子32を固定するための結合部材33で収容空間34内に配置された感温素子32を敢えて包囲するという構成を採用した。熱伝導部材31と感温素子32の間に結合部材33が介在することにより、対象の温度変化に対する感温素子32の応答性を満足のゆくレベルに維持しつつ、環境温度が感温素子32に及ぼす影響を抑制することに成功した。
【0016】
具体的には、熱伝導部材31の熱伝導率は、結合部材33の熱伝導率よりも高くなるように選定されうる。
【0017】
本体部2は、芯線21を備えている。芯線21は、感温素子32と電気的に接続されている。芯線21の例としては、錫めっき軟銅線が挙げられる。芯線21は、本体部2の長手方向に沿ってその内部を延びており、不図示のコネクタを介して温度測定装置に接続される。これにより、芯線21は、感温素子32と温度測定装置を電気的に接続する。
【0018】
本体部2は、被覆22を備えている。被覆22は、芯線21の一部を包囲している。被覆22は、絶縁性を有している。被覆22は、例えばPVC(ポリ塩化ビニル)樹脂により形成されうる。
【0019】
被覆22の熱伝導率は、結合部材33の熱伝導率よりも低くなるように選定されうる。この関係は、主に環境温度が感温素子32に及ぼす影響の抑制に寄与しうる。
【0020】
感温プローブ1は、コーティング層4を備えうる。コーティング層4は、絶縁性を有している。コーティング層4は、例えばPVC(ポリ塩化ビニル)樹脂により形成されうる。コーティング層4は、被覆22と熱伝導部材31に跨る領域に設けられている。
【0021】
このような構成によれば、感温プローブ1の使用時における被覆22と熱伝導部材31の分離が防止されるだけでなく、感温プローブ1が被検者の測定部位に対して摺接する際の抵抗を低減できる。
【0022】
図3は、感温プローブ1の内部構成の第二の例を一部断面視で示している。本例においては、熱伝導部材31の全体がコーティング層4に覆われている。
【0023】
このような構成によれば、感温プローブ1の被検者に対する摺接抵抗をさらに低減できる。特にコーティング層4が被覆22と同じ素材により形成される場合、感温プローブ1の被検者への摺接時に被覆22と熱伝導部材31の素材の違いに起因して与えうる違和感を抑制できる。
【0024】
図4は、感温プローブ1の内部構成の第三の例を一部断面視で示している。本例においては、被覆22と熱伝導部材31は、結合部材33を介して結合されている。これにより、被覆22と熱伝導部材31の結合が強固になり、感温プローブ1の使用時における被覆22と熱伝導部材31の分離がより確実に防止されうる。
【0025】
本例においても、感温プローブ1は、
図2に示される第一の例または
図3に示される第二の例と同様にコーティング層4を備えうる。
【0026】
図5は、感温プローブ1の内部構成の第四の例を一部断面視で示している。本例においては、熱伝導部材31に孔31aが形成されている。孔31aは、熱伝導部材31の外部と収容空間34を連通するように形成されている。結合部材33は、孔31aを通じて収容空間34内に充填され、固化する。したがって、結合部材33の一部33aは、孔31aにも充填されている。
【0027】
このような構成によれば、感温プローブ1の使用中に結合部材33から熱伝導部材31が脱落することを防止する抜け止めの役割を、孔31a内に充填された結合部材33の一部33aに担わせることができる。
【0028】
本例においても、感温プローブ1は、
図2に示される第一の例または
図3に示される第二の例と同様にコーティング層4を備えうる。
【0029】
図6は、感温プローブ1の内部構成の第五の例を一部断面視で示している。熱伝導部材31は、収容空間34に連通する開口が形成されている端部31bを有している。本例においては、芯線21と被覆22の境界Bは、端部31bと感温素子32の間に位置している。
【0030】
具体的には、被覆22の先端部22a(感温素子32に近い側の端部)は、徐々に径が小さくなる形状とされている。他方、熱伝導部材31の端部31bと収容空間34の間には、感温素子32に向かって徐々に径が小さくなる孔31cが形成されている。被覆22の先端部22aは、熱伝導部材31の孔31cに挿入される。
【0031】
このような構成によれば、例えば
図4に示される第三の例と比較して、絶縁性を有する被覆22の沿面距離を大きくできる。したがって、感温素子32の外部との絶縁性が向上する。
【0032】
被覆22の沿面距離を大きくするという観点からは、破線で示されるように、芯線21と被覆22の境界Bは、収容空間34内に位置する程度まで感温素子32の近くに配置されてもよい。
【0033】
本例においては、芯線21と感温素子32は、低温はんだ5により接合されることが好ましい。この場合、境界Bと感温素子32との距離が短くても、はんだ付けの際に生じる熱によって被覆22が収縮変形することを防止できる。
【0034】
本例においても、感温プローブ1は、
図2に示される第一の例または
図3に示される第二の例と同様にコーティング層4を備えうる。また、
図5に示される第四の例と同様に熱伝導部材31に孔31aが形成されてもよい。
【0035】
図7は、感温プローブ1の内部構成の第六の例を一部断面視で示している。本例においては、被覆22は、第一被覆221と第二被覆222を含んでいる。
【0036】
第一被覆221は、芯線21の一部を包囲している。すなわち、第一被覆221は、芯線21との境界Bを形成している。境界Bは、収容空間34内に位置している。第一被覆221は、絶縁性を有している。
【0037】
第二被覆222は、第一被覆221の一部を包囲している。第二被覆222は、熱伝導部材31と結合されている。第二被覆222は、絶縁性を有している。第二被覆222は、例えばPVC(ポリ塩化ビニル)樹脂により形成されうる。
【0038】
このような構成によれば、例えば
図4に示される第三の例と比較して、絶縁性を有する被覆22の沿面距離を大きくできる。したがって、感温素子32の外部との絶縁性が向上する。
【0039】
本例においても、芯線21と感温素子32は、低温はんだ5により接合されることが好ましい。この場合、境界Bと感温素子32との距離が短くても、はんだ付けの際に生じる熱によって第一被覆221が収縮変形することを防止できる。
【0040】
本例においては、第一被覆221は、フッ素樹脂を含む材料により形成されることが好ましい。当該材料は耐熱性が高いので、芯線21と感温素子32のはんだ付けの際に生じる熱によって第一被覆221が収縮変形することをより確実に防止できる。
【0041】
本例においても、感温プローブ1は、
図2に示される第一の例または
図3に示される第二の例と同様にコーティング層4を備えうる。また、
図5に示される第四の例と同様に熱伝導部材31に孔31aが形成されてもよい。
【0042】
図8は、感温プローブ1の内部構成の第七の例を一部断面視で示している。本例においては、本体部2は、導電性のシールド23を備えている。シールド23は、例えば錫めっき軟銅線からなる編組シールドでありうる。シールド23は、収容空間34外にて第一被覆221の一部を包囲している。シールド23は、第二被覆222に覆われた部分を有している。
【0043】
このような構成によれば、本体部2の柔軟性を確保しつつも、感温プローブ1の強度と耐ノイズ性が向上する。
【0044】
本例においても、感温プローブ1は、
図2に示される第一の例または
図3に示される第二の例と同様にコーティング層4を備えうる。また、
図5に示される第四の例と同様に熱伝導部材31に孔31aが形成されてもよい。
【0045】
図9は、感温プローブ1の内部構成の第八の例を一部断面視で示している。本例においては、被覆22は、第三被覆223をさらに含んでいる。第三被覆223は、第一被覆221とシールド23の一部を包囲している。第三被覆223は、第二被覆222に包囲された部分を有している。第三被覆223は、絶縁性を有している。第三被覆223は、例えば熱可塑性エラストマ樹脂から形成されうる。
【0046】
このような構成によれば、導電性のシールド23が設けられている構成においても、絶縁沿面距離を増大させることが可能である。したがって、感温素子32の外部との絶縁性が向上する。
【0047】
本例においても、感温プローブ1は、
図2に示される第一の例または
図3に示される第二の例と同様にコーティング層4を備えうる。また、
図5に示される第四の例と同様に熱伝導部材31に孔31aが形成されてもよい。
【0048】
図2から
図9を参照して説明した各例において、被覆22の外径と熱伝導部材31の外径は一致している。
【0049】
このような構成によれば、感温プローブ1の被検者への摺接時に被覆22と熱伝導部材31の不連続性に起因して与えうる違和感を抑制できる。また、コーティング層4が形成される場合においては、被覆22と熱伝導部材31がコーティング層4を介して滑らかに結合されうる。
【0050】
図1に示されるように、感温プローブ1は、スケール標識6を備えうる。スケール標識6は、被覆22とコーティング層4の少なくとも一方に設けられうる。
【0051】
このような構成によれば、感温プローブ1が被検者の食道や直腸に挿入される際に、その度合いを容易に認識できる。
【0052】
図1に破線で示されるように、感温プローブ1は、金属製のケース7を備えうる。ケース7は、熱伝導部材31の少なくとも一部を包囲するように設けられる。ケース7は、例えばステンレス鋼により形成されうる。
【0053】
このような構成によれば、被検者の体表面を測定するために感温プローブ1が使用されうる。具体的には、温度測定を所望する被検者の体表面部位にケース7を接触させる。当該部位の熱は、ケース7を介して感温部3に伝わり、感温素子32による温度検出に供される。
【0054】
図10は、感温プローブ1の内部構成の第九の例を一部断面視で示している。
図11は、
図10における矢印XIの方向から見た感温プローブ1の外観を例示している。本例においては、熱伝導部材31は、第一部分311と第二部分312を有している。
【0055】
第一部分311は、被覆22の外表面の少なくとも一部を覆っている。第一部分311は、芯線21の径方向に第一の幅W1を有している。第二部分312は、同方向に第二の幅W2を有している。第二の幅W2は、第一の幅W1よりも大きい。感温素子32は、第二部分312に包囲されている。
【0056】
熱伝導部材31において感温素子32を包囲している部分がより広い幅を有するように構成されているので、上述したケース7のような別部品を用いることなく、感温素子32への熱流入効率を高めることができる。他方、被覆22の外表面の一部が熱伝導部材31により覆われることにより、感温素子32から芯線21を通じて被覆22より流出しうる熱量を抑制できる。これにより、環境温度が感温素子32に及ぼす影響の抑制効果を高めることができる。
【0057】
第一の幅W1と第二の幅W2の関係が満足されていれば、
図10と
図11に例示される熱伝導部材31の形状は適宜に変更されうる。
【0058】
感温素子32への熱流入効率を高めるという観点からは、熱伝導部材31において芯線21の径方向に沿う幅が最大になる部分(
図10に一点鎖線で示される部分)を芯線21の延びる方向(矢印Eの方向)から見た断面が、感温素子32と交差していることが好ましい。
【0059】
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための例示にすぎない。上記の実施形態に係る構成は、本発明の趣旨を逸脱しなければ、適宜に変更・改良されうる。
【符号の説明】
【0060】
1:感温プローブ、21:芯線、22:被覆、221:第一被覆、222:第二被覆、223:第三被覆、23:シールド、31:熱伝導部材、31a:孔、31b:端部、32:感温素子、33:結合部材、34:収容空間、4:コーティング層、5:低温はんだ、6:スケール標識、7:ケース、B:芯線と被覆の境界