(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】トナー
(51)【国際特許分類】
G03G 9/087 20060101AFI20240325BHJP
【FI】
G03G9/087 331
G03G9/087 325
(21)【出願番号】P 2019223368
(22)【出願日】2019-12-11
【審査請求日】2022-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110870
【氏名又は名称】山口 芳広
(74)【代理人】
【識別番号】100096828
【氏名又は名称】渡辺 敬介
(72)【発明者】
【氏名】高橋 徹
(72)【発明者】
【氏名】菅原 庸好
(72)【発明者】
【氏名】細井 一人
(72)【発明者】
【氏名】北村 伸
(72)【発明者】
【氏名】佐野 仁思
(72)【発明者】
【氏名】大山 一成
(72)【発明者】
【氏名】西村 悠
(72)【発明者】
【氏名】辻本 大祐
(72)【発明者】
【氏名】石上 恒
【審査官】塚田 剛士
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-122341(JP,A)
【文献】特開2003-156884(JP,A)
【文献】特開2019-035879(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 9/00 - 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
結着樹脂及び極性を有するユニットを有するビニル系樹脂を有するトナー粒子を含有するトナーであって、
該結着樹脂は下記一般式(1)で表されるシリコーンユニットを有する変性ポリエステルを含有し、該極性を有するユニットが、スルホン酸、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、オキシカルボン酸、オキシカルボン酸塩、4級アンモニウム塩の少なくともいずれかであることを特徴とするトナー。
【化1】
(式中、R
1およびR
2は、それぞれ独立して水素、メチル基または、フェニル基を表す。nは10以上80以下の数を表す。)
【請求項2】
該極性を有するユニットを有するビニル系樹脂は、該極性を有するユニットを1.0質量%以上20.0質量%以下含有する請求項1に記載のトナー。
【請求項3】
該極性を有するユニットを有するビニル系樹脂は、重量平均分子量が1.0×10
4以上1.0×10
5以下である請求項1又は2に記載のトナー。
【請求項4】
該トナーは、結着樹脂100質量部当たり、該極性を有するユニットを有するビニル系樹脂を0.1質量部以上5.0質量部以下含有する請求項1~3のいずれか一項に記載のトナー。
【請求項5】
該極性を有するユニットが、スルホン酸、スルホン酸塩、スルホン酸エステルの少なくともいずれかである請求項1~4のいずれか一項に記載のトナー。
【請求項6】
該変性ポリエステルは、シリコーンユニットを0.5質量%以上5質量%以下含有する請求項1~5のいずれか一項に記載のトナー。
【請求項7】
該シリコーンユニットは、前記一般式(1)中、R
1およびR
2がいずれもメチル基である請求項1~6のいずれか一項に記載のトナー。
【請求項8】
該結着樹脂が、該変性ポリエステルを50質量%以上(ただし、50質量%である場合を除く)含有する請求項1~7のいずれか一項に記載のトナー。
【請求項9】
該極性を有するユニットが、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ユニットである請求項1~8のいずれか一項に記載のトナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法、及び静電記録法などに用いられる静電荷像を現像するためのトナーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真方式のフルカラー複写機が広く普及し、印刷市場への適用も始まっている。印刷市場では、幅広いメディア(紙種)に対応しながら、高速、高画質、高生産性が要求されるようになってきている。例えば、厚紙から薄紙へ紙種が変更されても、紙種に合わせたプロセススピードの変更や定着器の加熱設定温度の変更を行わずに印刷が継続可能な、メディア等速性が求められている。メディア等速に対応していくために、トナーには低温から高温まで幅広い定着温度範囲で適正に定着を完了することが求められるようになってきている。
特許文献1では、シリコーンオイルをグラフトしたポリエステル樹脂を含有するトナーを用いることで、離型性を向上させ耐高温オフセット性を向上したトナーが開示されている。
一方で、印刷市場においては印刷物の使用用途は多岐にわたっている。パッケージ印刷や厚紙への印刷に対して画像を折り曲げても画像破壊が起こらないような高い耐久性が要求されている。
特許文献2では、分子間凝集力を高めて、耐折り曲げ性を向上させる為に、酢酸ビニル樹脂とスチレンアクリル系樹脂を用いたトナーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-87127号公報
【文献】特開2018-180172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のトナーは、トナーの耐高温オフセット性は改善されているが、添加剤としてシリコーンオイルをグラフトしたポリエステル樹脂を用いている為、近年求められている薄紙の高温分離性に対しては更なる改善が必要であった。更に、耐折り曲げ性に関してはシリコーンユニットにより分子間凝集力が低下する為、特に厚紙を用いた場合、定着画像の耐折り曲げ性が不十分となり、改善の余地があった。また、特許文献2のトナーは、分子間凝集力を高めて耐折り曲げ性は向上しているが、分子間凝集力を高める為に、低温から軟化する高分子量体を用いている為、高温における定着部材への付着力が高まり、薄紙の高温分離性に対しては改善の必要があった。
本発明は上述した課題を解決するためになされるものであり、その目的は、更なるの薄紙の高温分離性向上と共に、厚紙における定着画像の耐折り曲げ性が良化したトナーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、結着樹脂及び極性を有するユニットを有するビニル系樹脂を有するトナー粒子を含有するトナーであって、
該結着樹脂は下記一般式(1)で表されるシリコーンユニットを有する変性ポリエステルを含有し、該極性を有するユニットが、スルホン酸、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、オキシカルボン酸、オキシカルボン酸塩、4級アンモニウム塩の少なくともいずれかであることを特徴とするトナーに関する。
【0006】
【化1】
(式中、R
1およびR
2は、それぞれ独立して水素、メチル基または、フェニル基を表す。nは10以上80以下の数を表す。)
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、更なる薄紙の高温分離性向上と共に、厚紙における定着画像の耐折り曲げ性が良化したトナーを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明者らは、薄紙の高温分離性と厚紙における定着画像の耐折り曲げ性の更なる向上を目的として、鋭意検討した結果、下記一般式(1)で表されるシリコーンユニットを有する変性ポリエステルを含有する結着樹脂と極性を有するユニットを有するビニル系樹脂とを含有するトナーを用いることで、従来にない優れた高温分離性と耐折り曲げ性が得られることを見出した。
【0009】
【化2】
(式中、R
1およびR
2は、それぞれ独立して水素、メチル基または、フェニル基を表す。nは10以上80以下の数を表す。)
【0010】
本発明の効果が得られた理由は以下のように考えている。
【0011】
本発明における変性ポリエステルは、極性が高いポリエステルユニットと極性が低いシリコーンユニットが化学的に結合した樹脂であることを特徴とする。
【0012】
極性が低いシリコーンユニットを有することで、結着樹脂の表面自由エネルギーを効果的に下げることができ、高温分離性が向上する。しかしながら、シリコーンユニットを有する樹脂を用いた場合、特に厚紙における定着画像の耐折り曲げ性が悪化することが本発明者らの検討により分かった。これは、シリコーンユニットが存在することで内部凝集エネルギーも同時に低下することで、分子間凝集力が低下した為と考えられる。
【0013】
一方で、極性を有するユニットを有するビニル系樹脂は、該極性を有するユニットが、スルホン酸、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、オキシカルボン酸、オキシカルボン酸塩、4級アンモニウム塩の少なくともいずれかであることを特徴とする。すなわち、極性が高い官能基と極性が低いビニル系ユニットを有する樹脂である。
【0014】
上記変性ポリエステルと極性を有するビニル系樹脂を含有するトナーを用いることで、従来にない高温分離性と耐折り曲げ性が向上する。
【0015】
いずれも極性の高いユニットと極性の低いユニットを有する樹脂であり、お互いに極性の近いユニット同士が親和性を有する。その結果、分子間の絡み合いが発生して分子間凝集力が高くなり、耐折り曲げ性が向上したと考えられる。一方で、シリコーンユニットを有する変性ポリエステルを用いると、定着画像の表面自由エネルギーは低い状態を維持できると考えられる。極性を有するビニル系樹脂は、分子内で絡み合いに効果を発揮することで、従来にない高温分離性と耐折り曲げ性を得るに至った。
【0016】
本発明のトナーに使用される結着樹脂について説明する。
【0017】
本発明のトナーに使用される結着樹脂は、変性ポリエステルを含有することが必要である。本発明において、「変性ポリエステルを含有する」とは、例えば、変性ポリエステルとその他の樹脂を2種以上含有した結着樹脂が含まれる。その他の樹脂としては、ポリエステル樹脂、ビニル系共重合樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、これら2種以上の樹脂ユニットが化学的に結合したハイブリッド樹脂等が挙げられる。
【0018】
本発明において、結着樹脂中、変性ポリエステルを50質量%以上含有することが好ましい。変性ポリエステルが結着樹脂の主成分であることにより、上述した極性を有するユニットを有するビニル系樹脂との相互作用を効果的に得ることが可能となる。
【0019】
上記変性ポリエステルのポリエステルユニットを構成する成分について詳述する。なお、以下の成分は種類や用途に応じて種々のものを一種又は二種以上用いることができる。
【0020】
ポリエステルユニットを構成する2価の酸成分としては、以下のジカルボン酸又はその誘導体が挙げられる。フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸のようなベンゼンジカルボン酸類又はその無水物若しくはその低級アルキルエステル;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸のようなアルキルジカルボン酸類又はその無水物若しくはその低級アルキルエステル;炭素数の平均値が1以上50以下のアルケニルコハク酸類又はアルキルコハク酸類、又はその無水物若しくはその低級アルキルエステル;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸のような不飽和ジカルボン酸類又はその無水物若しくはその低級アルキルエステル。
【0021】
一方、ポリエステルユニットを構成する2価のアルコール成分としては、以下のものが挙げられる。エチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、水素化ビスフェノールA、式(I-1)で表されるビスフェノール及びその誘導体:及び式(I-2)で示されるジオール類。
【0022】
【化3】
(式中、Rはエチレン又はプロピレン基であり、x、yはそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x+yの平均値は0以上10以下である。)
【0023】
【化4】
(式中、R’はエチレン又はプロピレン基であり、x’、y’はそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x’+y’の平均値は0以上10以下である。)
【0024】
本発明で使用される、ポリエステルユニットの構成成分は、上述の2価のカルボン酸化合物及び2価のアルコール化合物以外に、3価以上のカルボン酸化合物、3価以上のアルコール化合物を構成成分として含有してもよい。
【0025】
3価以上のカルボン酸化合物としては、特に制限されないが、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。また、3価以上のアルコール化合物としては、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリン等が挙げられる。
【0026】
本発明で使用される、ポリエステルユニットの構成成分は、上述した化合物以外に、1価のカルボン酸化合物及び1価のアルコール化合物を構成成分として含有してもよい。具体的には、1価のカルボン酸化合物としては、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸などが挙げられ、また、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸、テトラコンタン酸、ペンタコンタン酸などが挙げられる。
【0027】
また、1価のアルコール化合物としては、ベヘニルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、テトラコンタノールなどが挙げられる。
【0028】
前記変性ポリエステルのシリコーンユニットを構成する成分について詳述する。なお、以下の成分は種類や用途に応じて種々のものを一種又は二種以上用いることができる。
【0029】
本発明におけるシリコーンユニットは、下記一般式(1)で表されるシリコーンユニットを有することを特徴とする。
【0030】
【化5】
(式中、R
1およびR
2は、それぞれ独立して水素、メチル基または、フェニル基を表す。nは10以上80以下の数を表す。)
【0031】
該シリコーンユニットは、前記一般式(1)中、R1およびR2がいずれもメチル基であることが好ましい。メチル基であることにより分子の立体障害が小さくなり、分子間の絡み合いを促進することができ、且つ表面自由エネルギーを効果的に下げられるため、耐折り曲げ性及び高温分離性がより良好となる。
【0032】
シリコーンユニットを構成する成分としては、一般式(1)の末端にポリエステルと化学的に反応する官能基を有するシリコーンオイルを用いることができる。ポリエステルと反応する官能基としては、ヒドロキシ基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基等が挙げられる。
【0033】
前記シリコーンオイルの末端の官能基は、ポリエステルとの反応性を制御する上で、官能基はヒドロキシ基またはカルボキシル基を用いることが好ましい。
【0034】
本発明におけるシリコーンオイルの官能基の価数は、1価、2価又は3価以上のシリコーンオイルを用いることができる。ポリエステルの主骨格にシリコーンユニットを導入することで、極性を有するユニットを有するビニル系樹脂との分子間の絡み合いを制御し、耐折り曲げ性が良好となることから、シリコーンオイルの両末端に官能基を有する2価のシリコーンオイルを用いることが好ましい。
【0035】
該変性ポリエステルは、シリコーンユニットを0.5質量%以上5質量%以下含有することが好ましい。シリコーンユニットの含有量が上記範囲内であることにより、定着画像の表面自由エネルギーを効果的に低減できると共に、ビニル系樹脂のビニルユニットとの親和性が高まり、分子間の絡み合いを効果的に得られるため、耐折り曲げ性及び高温分離性がより良好となる。
【0036】
本発明において、変性ポリエステルの製造方法については、特に制限されるものではなく、公知の方法を用いることができる。例えば、前述の2価のカルボン酸化合物および2価のアルコール化合物及び官能基を有するシリコーンオイルをエステル化反応又はエステル交換反応、及び縮合反応を経て重合し、ポリエステル樹脂を製造する。重合温度は、特に制限されないが、180℃以上290℃以下の範囲が好ましい。ポリエステル樹脂の重合に際しては、例えば、チタン系触媒、スズ系触媒、酢酸亜鉛、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウム等の重合触媒を用いることができる。
【0037】
本発明における変性ポリエステルの軟化点は、85℃以上150℃以下であることが好ましく、100℃以上150℃以下がより好ましい。変性ポリエステルの軟化点が上記範囲であることにより、定着画像の画像保存性が向上すると共に、低温定着性も良好となる。
【0038】
なお、軟化点は、以下のようにして測定される。樹脂の軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT-500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行う。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
【0039】
本発明においては、「流動特性評価装置 フローテスターCFT-500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化点とする。なお、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量Smaxと、流出が開始した時点におけるピストンの降下量Sminとの差の1/2を求める(これをXとする。X=(Smax-Smin)/2)。そして、流動曲線においてピストンの降下量がXとSminの和となるときの流動曲線の温度が、1/2法における溶融温度Tmである。
【0040】
測定試料は、約1.3gのサンプルを、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(例えば、NT-100H、エヌピーエーシステム社製)を用いて約10MPaで、約60秒間圧縮成型し、直径約8mmの円柱状としたものを用いる。
【0041】
CFT-500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
開始温度:50℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm2
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
【0042】
該極性を有するユニットを有するビニル系樹脂を製造するために用いられる極性基を含有する単量体としては、スチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-メタクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、メタクリルスルホン酸、又は下記構造を有するマレイン酸アミド誘導体、マレイミド誘導体、スチレン誘導体、スチレンスルホン酸ナトリウム、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム、メタクリルスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0043】
【0044】
また、極性基としてスルホン酸エステルを含有する重合体については、スルホン酸誘導体を単量体として重合した後にさらなる反応を行ってもよいし、単量体ユニットとしての前記スルホン酸誘導体を他のスルホン酸誘導体に変えてなる重合体であっても良い。例えばスルホン酸エステルを含有する単量体の重合によって形成された重合体であっても良く、又はスルホン酸、スルホン酸塩の少なくともいずれかを含有する単量体の重合によって形成された重合体をエステル化した重合体であってもよい。
【0045】
極性基としてオキシカルボン酸及びオキシカルボン酸塩を含有する重合体については、3-ビニルサリチル酸、4-ビニルサリチル酸、5-ビニルサリチル酸、6-ビニルサリチル酸、3-ビニル-5-イソプロピルサリチル酸、3-ビニル-5-t-ブチルサリチル酸、4-ビニル-6-t-ブチルサリチル酸、下記式(4)で示される1価の基aを有する重合体が例示でき、特に下記式(4)で示される1価の基aを有する重合体が好ましい。
【0046】
【化7】
(式中、R
1は、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数が1以上18以下のアルキル基、又は、炭素数が1以上18以下のアルコキシ基を示し、R
2は水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1以上18以下のアルキル基、又は、炭素数1以上18以下のアルコキシ基を示し、gは1以上3以下の整数であり、hは0以上3以下の整数である。)
【0047】
R1及びR2におけるアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基などが挙げられ、アルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等が挙げられる。
【0048】
極性基として、4級アンモニウム塩を含有する重合体については、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートを重合開始剤の存在下に共重合させ、生じる共重合体をパラトルエンスルホン酸アルキルエステル、例えばパラトルエンスルホン酸メチル、パラトルエンスルホン酸エチル、パラトルエンスルホン酸プロピルなどで第4級化するか、或いは、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートを常法に従い予めアルキルハライド、例えばメチルクロライド、メチルブロマイド、エチルクロライド、エチルブロマイド、プロピルクロライド、プロピルブロマイド、ブチルクロライド、ブチルブロマイド等で第4級アンモニウムハライドに変え、その第4級アンモニウムハライドとスチレン及び/またはα-メチルスチレン及び必要により(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合させ、生ずる共重合体をパラトルエンスルホン酸と反応させることにより製造することができる。
【0049】
該極性を有するユニットはスルホン酸、スルホン酸塩、スルホン酸エステルの少なくともいずれかであることが好ましく、スルホン酸基を含有する(メタ)アクリルアミドがより好ましい。スルホン酸系化合物であることにより、変性ポリエステルのポリエステルユニットとの親和性が高まり、耐折り曲げ性及び高温分離性がより良好となる。
【0050】
該極性を有するユニットを有するビニル系樹脂は、上記単量体の単重合体であっても構わないが、上記単量体と他の単量体との共重合体であることが好ましい。上記単量体と共重合体をなす他の単量体としては、ビニル系芳香族炭化水素、(メタ)アクリル酸エステル等の重合性単量体が好ましく用いられる。より具体的には、以下に例示する単官能性重合性単量体と多官能性重合性単量体を用いることができる。
【0051】
単官能性重合性単量体としては、スチレン;α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、p-n-ブチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、p-n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレン、p-メトキシスチレン、p-フェニルスチレン等のスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、iso-プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、iso-ブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート、n-アミルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、n-ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2-ベンゾイルオキシエチルアクリレート等のアクリル酸エステル;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、iso-プロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、iso-ブチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、n-アミルメタクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、n-オクチルメタクリレート、n-ノニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニル等のビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトン等のビニルケトンが挙げられる。
【0052】
多官能性重合性単量体としては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、ジビニルエーテル等が挙げられる。
【0053】
該極性を有するユニットを有するビニル系樹脂は、極性を有するユニットを1.0質量%以上20.0質量%以下含有することが好ましく、2.0質量%以上10.0質量%以下含有することがより好ましい。該極性を有するユニットの含有量が上記範囲内であることにより、シリコーンユニットを有する変性ポリエステルのポリエステル部と分子間の親和性が向上して、効果的に分子間の絡み合いが発生し、耐折り曲げ性が向上すると共に、高温分離性を阻害する事なく効果を得ることができる。
【0054】
該トナーは、耐折り曲げ性と高温分離性を共に向上させる上で、結着樹脂100質量部当たり、該極性を有するユニットを有するビニル系樹脂を0.1質量部以上5.0質量部以下含有することが好ましく、0.5質量部以上3.0質量部以下含有することがより好ましい。
【0055】
トナー中の極性を有するユニットを有するビニル系樹脂の含有量は、キャピラリー電気泳動法などを用いて測定することができる。
【0056】
本発明における該極性を有するユニットを有するビニル系樹脂は、重量平均分子量が1.0×104以上1.0×105以下であることが好ましく、2.0×104以上5.0×104以下であることがより好ましい。該極性を有するユニットを有するビニル系樹脂の重量平均分子量が上記範囲内であることにより、シリコーンユニットを有する変性ポリエステルと効果的に分子間の絡み合いが発生して、分子間凝集力を高めることができ、耐折り曲げ性が向上すると共に、高温分離性を阻害することなく効果を得ることができる。
【0057】
該極性を有するユニットを有するビニル系樹脂の製造方法は、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、イオン重合等があるが、操作性などの面から溶液重合が好ましい。硫黄原子含有樹脂の分子量を満たすためには、製造において、単量体組成、開始剤量、反応温度、洗浄条件、乾燥条件を調整することによって調製できる
本発明のトナーは、磁性一成分トナー、非磁性一成分トナー、非磁性二成分トナーのいずれのトナーとしても使用できる。
【0058】
磁性一成分トナーとして用いる場合、着色剤としては、磁性酸化鉄粒子が好ましく用いられる。磁性一成分トナーに含まれる磁性酸化鉄粒子としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライトのような磁性酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む磁性酸化鉄;Fe,Co,Niのような金属、あるいは、これらの金属とAl,Co,Cu,Pb,Mg,Ni,Sn,Zn,Sb,Be,Bi,Cd,Ca,Mn,Se,Ti,W,Vのような金属との合金、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0059】
磁性酸化鉄粒子の含有量は、結着樹脂100質量部に対し、30質量部以上150質量部以下が好ましい。
【0060】
非磁性一成分トナー、及び非磁性二成分トナーとして用いる場合の着色剤としては、以下のものが挙げられる。
【0061】
黒色の顔料としては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラックが用いられ、また、マグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。
【0062】
イエロー色に好適な着色剤としては、顔料又は染料を用いることができる。顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,7,10,11,12、13、14、15、17、23、62、65、73、74、81、83、93、94、95、97、98、109、110、111、117、120、127、128、129、137、138、139、147、151、154、155、167、168、173、174、176、180、181、183、191、C.I.バットイエロー1,3,20が挙げられる。染料としては、C.I.ソルベントイエロー19、44、77、79、81、82、93、98、103、104、112、162等が挙げられる。これらのものを単独又は2以上のものを併用して用いる。
【0063】
シアン色に好適な着色剤としては、顔料又は染料を用いることができる。顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15;1、15;2、15;3、15;4、16、17、60、62、66等、C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー45が挙げられる。染料としては、C.I.ソルベントブルー25、36、60、70、93、95等が挙げられる。これらのものを単独又は2以上のものを併用して用いる。
【0064】
マゼンタ色に好適な着色剤としては、顔料又は染料を用いることができる。顔料としては、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,39,40,41,48,48;2、48;3、48;4、49,50,51,52,53,54,55,57,57;1、58,60,63,64,68,81,81;1、83,87,88,89,90,112,114,122,123,144、146,150,163,166、169、177、184,185,202,206,207,209,220、221、238、254等、C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1,2,10,13,15,23,29,35が挙げられる。マゼンタ用染料としては、C.I.ソルベントレッド1,3,8,23,24,25,27,30,49,52、58、63、81,82,83,84,100,109,111、121、122等、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8,13,14,21,27等、C.I.ディスパースバイオレット1等の油溶染料、C.I.ベーシックレッド1,2,9,12,13,14,15,17,18,22,23,24,27,29,32,34,35,36,37,38,39,40等、C.I.ベーシックバイオレット1,3,7,10,14,15,21,25,26,27,28等の塩基性染料等が挙げられる。これらのものを単独又は2以上のものを併用して用いる。
【0065】
着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対し、1質量部以上20質量部以下が好ましい。
【0066】
トナーに離型性を与えるために、離型剤(ワックス)を用いてもよい。本発明に用いられるワックスの一例としては、次のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、オレフィン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化型ワックス;カルナバワックス、ベヘン酸ベヘニル、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;及び脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステルを一部または全部を脱酸化したものなどが挙げられる。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’-ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’-ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m-キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’-ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系共重合モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシ基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
【0067】
本発明において特に好ましく用いられるワックスは、脂肪族炭化水素系ワックスである。例えば、アルキレンを高圧下でラジカル重合あるいは低圧下でチーグラー触媒、メタロセン触媒で重合した低分子量の炭化水素;石炭又は天然ガスから合成されるフィッシャートロプシュワックス;高分子量のオレフィンポリマーを熱分解して得られるオレフィンポリマー;一酸化炭素及び水素を含む合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分から得られる合成炭化水素ワックス、あるいはこれらを水素添加して得られる合成炭化水素ワックスがよい。さらにプレス発汗法、溶剤法、真空蒸留の利用や分別結晶方式により炭化水素ワックスの分別を行ったものが、より好ましく用いられる。特にアルキレンの重合によらない方法により合成されたワックスがその分子量分布からも好ましいものである。
【0068】
ワックスを添加するタイミングは、トナー製造時に添加してもよいし、結着樹脂の製造時に添加してもよい。また、これらワックスは、一種類を単独で使用してもよいし二種類以上を併用して使用してもよい。ワックスは、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下添加することが好ましい。
【0069】
本発明のトナーは、荷電制御剤として、既知の荷電制御剤を用いることができる。既知の荷電制御剤としては、アゾ系鉄化合物、アゾ系クロム化合物、アゾ系マンガン化合物、アゾ系コバルト化合物、アゾ系ジルコニウム化合物、カルボン酸誘導体のクロム化合物、カルボン酸誘導体の亜鉛化合物、カルボン酸誘導体のアルミ化合物、カルボン酸誘導体のジルコニウム化合物が挙げられる。前記カルボン酸誘導体は、芳香族ヒドロキシカルボン酸が好ましい。また、荷電制御樹脂も用いることもできる。必要に応じて一種類又は二種類以上の荷電制御剤を併用してもかまわない。荷電制御剤は結着樹脂100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下添加することが好ましい。
【0070】
本発明のトナーは、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。キャリアとしては、通常のフェライト、マグネタイト等のキャリアや樹脂コートキャリアを使用することができる。また、樹脂中に磁性粉が分散されたバインダー型のキャリアコアも用いることができる。
【0071】
樹脂コートキャリアは、キャリアコア粒子とキャリアコア粒子表面を被覆(コート)する樹脂である被覆材からなる。被覆材に用いられる樹脂としては、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-メタクリル酸エステル共重合体等のスチレン-アクリル系樹脂;アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体等のアクリル系樹脂;ポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素含有樹脂;シリコーン樹脂;ポリエステル樹脂;ポリアミド樹脂;ポリビニルブチラール;アミノアクリレート樹脂が挙げられる。その他には、アイオモノマー樹脂やポリフェニレンサルファイド樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、単独又は複数を併用して用いることができる。
【0072】
本発明のトナーにおいては、帯電安定性、現像性、流動性、耐久性向上のために、シリカ微粉体をトナー粒子に外添することが好ましい。シリカ微粉体は、窒素吸着によるBET法による比表面積が30m2/g以上500m2/g以下であることが好ましく、50m2/g以上400m2/g以下であることがさらに好ましい。また、トナー粒子100質量部に対して、シリカ微粉体を0.01質量部以上8.00質量部以下用いることが好ましく、0.10質量部以上5.00質量部以下用いることがより好ましい。
【0073】
シリカ微粉体のBET比表面積は、例えば比表面積測定装置オートソーブ1(湯浅アイオニクス社製)、GEMINI2360/2375(マイクロメティリック社製)、トライスター3000(マイクロメティリック社製)を用いてシリカ微粉体の表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて算出することができる。
【0074】
シリカ微粉体は、必要に応じ、疎水化、摩擦帯電性コントロールの目的で未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシラン化合物又は、その他の有機ケイ素化合物のような処理剤で、あるいは種々の処理剤を併用して処理されていることも好ましい。
【0075】
さらに本発明のトナーには、必要に応じて他の外添剤を添加してもよい。このような外添剤としては、例えば、帯電補助剤、導電性付与剤、流動性付与剤、ケーキング防止剤、熱ローラ定着時の離型剤、滑剤、研磨剤等の働きをする樹脂微粒子や無機微粉体が挙げられる。帯電補助剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナなどの金属酸化物が挙げられる。滑剤としては、ポリフッ化エチレン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末が挙げられる。研磨剤としては、酸化セリウム粉末、炭化ケイ素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末が挙げられる。
【0076】
本発明におけるトナー粒子を製造する方法としては、特に限定されず、公知の方法によって製造することができる。例えば、粉砕法、乳化凝集法、懸濁重合法、溶解懸濁法などが挙げられる。
【0077】
粉砕法により製造されるトナー粒子は、例えば下記のようにして製造される。変性ポリエステル、極性を有するユニットを有するビニル系樹脂、着色剤及び必要に応じてその他の添加剤等を、ヘンシェルミキサー、ボールミルのような混合機により充分混合する。混合物を二軸混練押出機、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーのような熱混練機を用いて溶融混練する。その際、ワックス、磁性酸化鉄粒子及び含金属化合物を添加することもできる。溶融混練物を冷却固化した後、粉砕及び分級を行い、トナー粒子を得る。この際、微粉砕時の排気温度を調整することで、トナー粒子の平均円形度を制御することができる。さらに必要に応じて、トナー粒子と外添剤をヘンシェルミキサーのような混合機により混合し、トナーを得ることができる。
【0078】
混合機としては、以下のものが挙げられる。ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)。
【0079】
混練機としては、以下のものが挙げられる。KRCニーダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)。
【0080】
粉砕機としては、以下のものが挙げられる。カウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);IDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマックス(日曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボエ業社製);スーパーローター(日清エンジニアリング社製)。
【0081】
また、必要に応じて、粉砕後に、ハイブリタイゼーションシステム(奈良機械製作所製)、ノビルタ(ホソカワミクロン社製)、メカノフージョンシステム(ホソカワミクロン社製)、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)、イノマイザ(ホソカワミクロン社製)、シータコンポーザ(徳寿工作所社製)、メカノミル(岡田精工社製)、メテオレインボー MR Type(日本ニューマチック社製)を用いて、トナー粒子の表面処理を行い、トナー粒子の平均円形度を制御することもできる。
【0082】
分級機としては、以下のものが挙げられる。クラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラシファイアー(セイシン企業社製);ターボクラッシファイアー(日清エンジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボプレックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製);エルボージェット(日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチックエ業社製);YMマイクロカット(安川商事社製)。
【0083】
粗粒子をふるい分けるために用いられる篩い装置としては、以下のものが挙げられる。ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(ターボエ業社製);ミクロシフター(槙野産業社製);円形振動篩い。
【0084】
次に本発明に関わるトナー粒子の粒度分布の測定方法に関して記載する。
【0085】
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
【0086】
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー粒子約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナー粒子を分散した前記(5)電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
【実施例】
【0087】
以上、本発明の基本的な構成と特色について述べたが、以下、実施例に基づいて具体的に本願発明について説明する。しかしながら、本発明は何らこれに限定されるものではない。
【0088】
<結着樹脂1の製造例>
・ビスフェノールAエチレンオキサイド(2.2モル付加物): 50.0モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド(2.2モル付加物): 50.0モル部
・テレフタル酸: 90.0モル部
・無水トリメリット酸: 10.0モル部
上記ポリエステルユニットを構成するモノマー97質量部及び両末端にヒドロキシ基を有するシリコーンオイル(式(1)のR1,R2がメチル基;KF-6001、信越化学工業(株)製)3質量部を、チタンテトラブトキシド500ppmと共に5リットルオートクレーブに混合した。
【0089】
そこに、還流冷却器、水分分離装置、N2ガス導入管、温度計及び撹拌装置を付し、オートクレーブ内にN2ガスを導入しながら230℃で縮重合反応を行った。所望の軟化点になるように反応時間を調整し、反応終了後容器から取り出し、冷却、粉砕して結着樹脂1を得た。結着樹脂1のTmは130℃、Tgは55℃であった。
【0090】
<結着樹脂2~5の製造例>
表1に示すようにシリコーンオイルの添加量を変更し、反応時間を調整してTm、Tgを変更した以外は結着樹脂1の製造例に従い、結着樹脂2~5を得た。
【0091】
【0092】
<結着樹脂6の製造例>
シリコーンオイルの添加量を0に変更し、反応時間を調整してTm、Tgを変更した以外は結着樹脂1の製造例に従い、結着樹脂6を得た。Tmは150℃、Tgは65℃であった。
【0093】
<ビニル単量体の製造例>
2,4-ジヒドロキシ安息香酸18質量部をメタノール150質量部に溶解させ、炭酸カリウム36.9質量部を加えて65℃に加熱した。この反応液に4-(クロロメチル)スチレン18.7質量部とメタノール100質量部の混合液を滴下し、65℃にて3時間反応させた。反応液を冷却後、濾過し、濾液を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をpH2の水1500質量部に分散させ、酢酸エチルを加えて抽出した。その後、水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下、酢酸エチルを留去して析出物を得た。析出物をヘキサン洗浄後、トルエンと酢酸エチルにて再結晶することで精製し、前記式(4)で示される1価の基a相当の、式(5)に示すビニル単量体1を得た。
【0094】
【0095】
<極性を有するユニットを有するビニル系樹脂1の製造例>
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管の付いた2Lフラスコにトルエン100質量部、メタノール300質量部、スチレン480質量部、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸30質量部、アクリル酸-2-エチルヘキシル70質量部、メタクリル酸ベンジル20質量部、ラウリルパーオキサイド10質量部を仕込み、撹拌、窒素導入下65℃で10時間溶液重合し、内容物をフラスコから取り出し、40℃で96時間減圧乾燥後、ハンマーミルにて粗砕し、該粗砕物を更に40℃で48時間減圧乾燥し、極性を有するユニットを有するビニル系樹脂1を得た。得られた極性を有するユニットを有するビニル系樹脂の重量平均分子量は4.0×104であった。
【0096】
<極性を有するユニットを有するビニル系樹脂2~6の製造例>
表2に示すようにスチレン及び極性を有するユニットの部数を変更し、反応時間を調整して重量平均分子量を変更した以外はビニル系樹脂1の製造例に従い、ビニル系樹脂2~6を得た。
【0097】
【0098】
<極性を有するユニットを有するビニル系樹脂7の製造例>
撹拌機、温度計、窒素導入管、滴下装置及び減圧装置を備えた加圧可能な反応容器に、キシレン450質量部、スチレン92.0質量部、アクリル酸n-ブチル5.0質量部及びメタクリル酸ジメチルアミノエチル0.5質量部を添加して撹拌しながら反応温度が195℃になるまで加圧下で加熱した。重合開始剤である2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.8質量部を2-プロパノール20質量部で希釈した溶液を30分かけて滴下して5時間撹拌を継続した。更に2,2’-アゾビスイソブチロニトリル1.2質量部を2-プロパノール20質量部で希釈した溶液を30分かけて滴下して、更に5時間撹拌して195℃、0.4Mpaで高温加圧重合を終了した。
【0099】
得られた溶液重合体を冷却して、トルエン3.5質量部、エタノール5.0質量部、パラトルエンスルホン酸メチル0.7質量部を加え、70℃にて5時間撹拌下に造塩を行った後に冷却し、粉砕して4級アンモニウム塩を有するビニル系樹脂7を得た。重量平均分子量は5.0×103であった。
【0100】
<トナー1の製造>
・結着樹脂1 100質量部
・ビニル系樹脂1 2質量部
・フィッシャートロプシュワックス(融点:90℃) 6質量部
・C.I.ピグメントブルー 15:3 4質量部
上記材料をヘンシェルミキサーで予備混合した後、二軸混練押し出し機によって、160℃で溶融混練した。
【0101】
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗粉砕した後、ターボミルで微粉砕した。得られた微粉砕物を、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、重量平均粒径(D4)6.0μmの負摩擦帯電性のトナー粒子を得た。
【0102】
該トナー粒子100質量部に対して、疎水化処理したシリカ微粒子(BET法で測定した窒素吸着による比表面積が140m2/g)2.0質量部を外添混合し、目開き150μmのメッシュで篩い、トナー1を得た。
【0103】
<磁性コア粒子の製造例>
・Fe2O3 62.7質量部
・MnCO3 29.5質量部
・Mg(OH)2 6.8質量部
・SrCO3 1.0質量部
上記材料を上記組成比となるようにフェライト原材料を秤量した。その後、直径1/8インチのステンレスビーズを用いた乾式振動ミルで5時間粉砕及び混合した。得られた粉砕物をローラーコンパクターにて、約1mm角のペレットにした。
【0104】
このペレットを目開き3mmの振動篩にて粗粉を除去し、次いで目開き0.5mmの振動篩にて微粉を除去した後、バーナー式焼成炉を用いて、窒素雰囲気下(酸素濃度0.01体積%)、温度1000℃で4時間焼成し、仮焼フェライトを作製した。得られた仮焼フェライトの組成は、下記の通りであった。
(MnO)a(MgO)b(SrO)c(Fe2O3)d
上記式において、a=0.257、b=0.117、c=0.007、d=0.393
【0105】
該仮焼フェライトをクラッシャーで0.3mm程度に粉砕した後に、直径1/8インチのジルコニアビーズを用い、仮焼フェライト100質量部に対し、水を30質量部加え、湿式ボールミルで1時間粉砕した。さらに、得られたスラリーを、直径1/16インチのアルミナビーズを用いた湿式ボールミルで4時間粉砕し、フェライトスラリー(仮焼フェライトの微粉砕品)を得た。
【0106】
該フェライトスラリーに、仮焼フェライト100質量部に対して、分散剤としてのポリカルボン酸アンモニウム1.0質量部、及び、バインダーとしてのポリビニルアルコール2.0質量部を添加し、スプレードライヤー(製造元:大川原化工機)で、球状粒子に造粒した。得られた粒子の粒度を調整した後、ロータリーキルンを用いて、650℃で2時間加熱し、分散剤やバインダーの有機成分を除去した。
【0107】
焼成雰囲気をコントロールするために、電気炉にて窒素雰囲気下(酸素濃度1.00体積%)で、室温から温度1300℃まで2時間で昇温し、その後、温度1150℃で4時間焼成した。その後、4時間をかけて、温度60℃まで降温し、窒素雰囲気から大気に戻し、温度40℃以下で取り出した。
【0108】
凝集した粒子を解砕した後に、磁力選鉱により低磁力品をカットし、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去し、体積分布基準の50%粒径(D50)が37.0μmの磁性コア粒子を得た。
【0109】
<被覆樹脂の製造例>
・シクロヘキシルメタクリレートモノマー 26.8%
・メチルメタクリレートモノマー 0.2%
・メチルメタクリレートマクロモノマー 8.4%
(片末端にメタクリロイル基を有する重量平均分子量5000のマクロモノマー)
・トルエン 31.3%
・メチルエチルケトン 31.3%
・アゾビスイソブチロニトリル 2.0%
上記材料のうち、シクロヘキシルメタクリレートモノマー、メチルメタクリレートモノマー、メチルメタクリレートマクロモノマー、トルエン、及びメチルエチルケトンを、還流冷却器、温度計、窒素導入管及び撹拌装置を取り付けた四つ口のセパラブルフラスコに入れた。セパラブルフラスコ内に、窒素ガスを導入して充分に窒素雰囲気にした後、80℃まで加温し、アゾビスイソブチロニトリルを添加し、5時間還流して重合させた。
【0110】
得られた反応物にヘキサンを注入して共重合体を沈殿析出させた。得られた沈殿物を濾別後、真空乾燥して樹脂を得た。
【0111】
30質量部の該樹脂を、トルエン40質量部及びメチルエチルケトン30質量部の混合溶媒に溶解して、樹脂溶液(固形分濃度30%)を得た。
【0112】
(被覆樹脂溶液の調製)
・樹脂溶液(固形分濃度30%) 33.3%
・トルエン 66.4%
・カーボンブラック(Regal330;キャボット社製) 0.3%
(一次粒子の個数平均粒径:25nm、窒素吸着比表面積:94m2/g、DBP吸油量:75ml/100g)
上記材料を、ペイントシェーカーに投入し、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、1時間分散を行った。得られた分散液を、5.0μmのメンブランフィルターで濾過を行い、被覆樹脂溶液を得た。
【0113】
(磁性キャリアの製造例)
常温で維持されている真空脱気型ニーダーに、被覆樹脂溶液及び磁性コア粒子を投入した(被覆樹脂溶液の投入量は、磁性コア粒子100質量部に対して、樹脂成分として2.5質量部)。
【0114】
投入後、回転速度30rpmで15分間撹拌し、溶媒が一定以上(80%)揮発した後、減圧混合しながら80℃まで昇温し、2時間かけてトルエンを留去した後に冷却した。
【0115】
得られた磁性キャリアを、磁力選鉱により低磁力品を分別し、開口70μmの篩を通した後、風力分級器で分級し、体積分布基準の50%粒径(D50)が38.2μmの磁性キャリアを得た。
【0116】
〔実施例1〕
<現像剤1の製造例>
トナー1と磁性キャリアを、磁性キャリア90質量部に対して、トナー1が10質量部になるように、V型混合機(V-10型:株式会社徳寿製作所)を用いて、0.5s-1、回転時間5minの条件で混合して現像剤1を調製した。得られた現像剤1を用いて以下の評価を行った。
【0117】
[薄紙の高温分離性の評価]
画像形成装置として、キヤノン製デジタル商業印刷用プリンターimageRUNNER ADVANCE C5051を用い、定着温度、プロセススピードを自由に設定できるように改造した。この改造機のシアン位置の現像器に現像剤1を入れ、静電潜像担持体または、紙上のトナーの載り量が所望になるように現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧VD、レーザーパワーを調整し、後述の評価を行った。
紙:CS-680(坪量68.0g/m2、厚さ92μm)
(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)
紙上のトナーの載り量:1.20mg/cm2
評価画像:上記A4用紙の先端余白5mmの位置に2cm×29cmの画像を配置
定着試験環境:高温高湿環境:温度30℃/湿度80%RH(以下「H/H」)
プロセススピードを450mm/secに設定し、定着温度を調節して定着画像を出力し、定着時に巻き付きが起こるかを目視で観測し、巻き付きが見られない上限の温度を定着分離可能温度とした。
(評価基準)
A:130℃以上の温度領域で定着が可能。
B:130℃より低く、125℃以上の温度領域で定着が可能。
C:125℃より低く、120℃以上の温度領域で定着が可能。
D:120℃より低く、115℃以上の温度領域で定着が可能。
【0118】
[厚紙の耐折り曲げ性]
定着可能下限温度から20℃高い温度を定着適正温度として設定し、カラー複写機・プリンター用普通紙 GF-C209(坪量209g/cm2、厚さ212μm)(キヤノンマーケティングジャパン(株)より販売)上に、A4片面にトナー載り量が0.90mg/cm2のベタ画像形成し、ベタ画像が形成された記録紙を十字に折り曲げた。折り曲げる条件は、折り曲げ部を平らな重りで4.9kPaの荷重をかけつつ、5往復移動させることとした。その後、折り曲げた画像部を4.9kPaの荷重をかけたシルボン紙で5往復摺擦し、目視観察にて折り曲げ部の評価を行った。評価結果を表4に示す。
A:トナーの剥がれが見られない。
B:一部のトナーの剥がれがみられる。
C:トナーの剥がれが見られる。
D:大部分のトナーの剥がれが見られる。
【0119】
以上の各評価項目において、現像剤1は全てA判定であった。
【0120】
〔実施例2~8〕
(トナー2~8の製造)
結着樹脂とビニル系樹脂の種類及び量を表3のように変更した以外は、トナー1の製造と同様にして、トナー2~8を得た。
【0121】
【0122】
(現像剤2~8の製造)
トナーを表4のように変更した以外は、現像剤1の製造と同様にして、現像剤2~8を得た。さらに、現像剤1と同様に評価を行った。評価結果を表4に示す。
【0123】
【0124】
〔比較例1~3〕
(トナー9~11の製造)
結着樹脂とビニル系樹脂の種類及び量を表5のように変更した以外は、トナー1の製造例と同様にして、トナー9~11を得た。
【0125】
【0126】
(現像剤9~11の製造)
トナーを表6のように変更した以外は、現像剤1の製造と同様にして、現像剤9~11を得た。さらに、現像剤1と同様に評価を行った。評価結果を表6に示す。
【0127】