(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】リアルタイム付加製造プロセス検査
(51)【国際特許分類】
B29C 64/393 20170101AFI20240325BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20240325BHJP
B29C 64/241 20170101ALI20240325BHJP
B29C 64/10 20170101ALI20240325BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20240325BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20240325BHJP
G01N 23/04 20180101ALI20240325BHJP
G01N 23/18 20180101ALI20240325BHJP
G01N 23/083 20180101ALI20240325BHJP
【FI】
B29C64/393
B33Y50/02
B29C64/241
B29C64/10
B33Y10/00
B33Y30/00
G01N23/04
G01N23/18
G01N23/083
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019226594
(22)【出願日】2019-12-16
【審査請求日】2022-12-15
(32)【優先日】2019-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【氏名又は名称】黒田 晋平
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】モルテザ・サファイ
【審査官】今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/143137(WO,A1)
【文献】特開平01-135331(JP,A)
【文献】特開昭61-184987(JP,A)
【文献】国際公開第2017/087571(WO,A1)
【文献】特開2007-017304(JP,A)
【文献】特開2018-108730(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00 - 64/40
G01N 23/04
G01N 23/18
G01N 23/083
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
造形チャンバ(460)の側面に隣接して前記造形チャンバ(460)の外側に設けられたX線管(410)と、
前記X線管(410)と前記造形チャンバ(460)との間に設けられた開口(420)であって、前記X線管(410)および前記開口(420)は、前記造形チャンバ(460)に対して前記X線管(410)および前記開口(420)を移動させるように配置されたX線管アクチュエータ(405)に取り付けられている、開口(420)と、
前記X線管(410)から前記造形チャンバ(460)の反対の側面に、前記造形チャンバ(460)の外側に設けられた線形X線検出器アレイ(440)であって、前記線形X線検出器アレイ(440)は、前記造形チャンバ(460)に対して前記線形X線検出器アレイ(440)を移動させるように配置された線形X線検出器アレイアクチュエータ(406)に取り付けられている、線形X線検出器アレイ(440)と、
コンピュータ(450)および画像分析器(456)であって、実行されるとき、前記画像分析器(456)に、前記線形X線検出器アレイ(440)から受信した信号からX線画像を形成させる命令を格納した1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体を有するメモリシステムを備えるコンピュータ(450)および画像分析器(456)と、
を備え
、
前記X線管アクチュエータ(405)は、前記X線管(410)を直線的に移動させるように配置されており、前記線形X線検出器アレイアクチュエータ(406)は、前記線形X線検出器アレイ(440)を直線的に、および前記X線管(410)と同期して移動させるように配置されている、付加製造用検査システム(401)。
【請求項2】
前記造形チャンバ(460)内の物体は静止している、請求項1に記載の付加製造用検査システム(401)。
【請求項3】
前記X線管アクチュエータ(405)および前記線形X線検出器アレイアクチュエータ(406)の移動速度は、X線パルス幅に依存する、請求項1または2に記載の付加製造用検査システム(401)。
【請求項4】
複雑な部分の製造の後に前記X線画像が形成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の付加製造用検査システム(401)。
【請求項5】
前記画像分析器(456)は、前記X線画像を欠陥のない物体のX線画像と比較する、請求項1から4のいずれか一項に記載の付加製造用検査システム(401)。
【請求項6】
前記比較は、パターン認識を使用して行われる、請求項5に記載の付加製造用検査システム(401)。
【請求項7】
造形チャンバ(460)の側面に隣接して前記造形チャンバ(460)の外側に設けられたX線管(410)と、
前記X線管(410)と前記造形チャンバ(460)との間に設けられた開口(420)であって、前記X線管(410)および前記開口(420)は、前記造形チャンバ(460)に対して前記X線管(410)および前記開口(420)を移動させるように配置されたX線管アクチュエータ(405)に取り付けられている、開口(420)と、
前記X線管(410)から前記造形チャンバ(460)の反対の側面に、前記造形チャンバ(460)の外側に設けられた線形X線検出器アレイ(440)であって、前記線形X線検出器アレイ(440)は、前記造形チャンバ(460)に対して前記線形X線検出器アレイ(440)を移動させるように配置された線形X線検出器アレイアクチュエータ(406)に取り付けられている、線形X線検出器アレイ(440)と、
コンピュータ(450)および画像分析器(456)であって、実行されるとき、前記画像分析器(456)に、前記線形X線検出器アレイ(440)から受信した信号からX線画像を形成させる命令を格納した1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体を有するメモリシステムを備えるコンピュータ(450)および画像分析器(456)と、
を備え、
前記X線管アクチュエータ(405)および前記線形X線検出器アレイアクチュエータ(406)の一方は回転するように配置され、前記X線管アクチュエータ(405)および前記線形X線検出器アレイアクチュエータ(406)の他方は
、前記X線管アクチュエータ(405)および前記線形X線検出器アレイアクチュエータ(406)の一方の回転と一致するように円弧状に移動するように配置されている、
付加製造用検査システム(401)。
【請求項8】
前記造形チャンバ(460)内の物体は静止している、請求項7に記載の付加製造用検査システム(401)。
【請求項9】
前記X線管アクチュエータ(405)および前記線形X線検出器アレイアクチュエータ(406)の移動速度は、X線パルス幅に依存する、請求項7または8に記載の付加製造用検査システム(401)。
【請求項10】
複雑な部分の製造の後に前記X線画像が形成される、請求項7から9のいずれか一項に記載の付加製造用検査システム(401)。
【請求項11】
前記画像分析器(456)は、前記X線画像を欠陥のない物体のX線画像と比較する、請求項7から10のいずれか一項に記載の付加製造用検査システム(401)。
【請求項12】
前記比較は、パターン認識を使用して行われる、請求項11に記載の付加製造用検査システム(401)。
【請求項13】
付加製造中に欠陥を検出するための方法(500)であって、
時間T
1において造形チャンバ(460)内の物体(499)の付加製造を一時停止するステップであって、T
1は時間T
0の後で時間T
Fの前であり、時間T
0は形成中の前記物体(499)の付加製造の開始であり、時間T
Fは前記造形チャンバ(460)内の形成中の前記物体(499)の付加製造の完了である、ステップと、
X線管(410)および線形X線検出器アレイ(440)を直線的かつ同期して移動させるステップであって、前記X線管(410)および前記線形X線検出器アレイ(440)は前記造形チャンバ(460)の外側に設けられている、ステップと、
前記X線管(410)から線形開口(420)を通じて形成中の前記物体(499)にX線パルスを向けて、形成中の前記物体(499)を走査するステップと、
前記X線パルスが形成中の前記物体(499)を走査した後で、前記線形X線検出器アレイ(440)によって前記X線パルスを検出するステップと、
検出された前記X線パルスに基づいて形成中の前記物体(499)のX線画像を作成するステップと、
を備える方法(500)。
【請求項14】
形成中の前記物体(499)の前記X線画像を分析して欠陥の存在を判断するステップと、
前記欠陥の前記存在に基づいて、時間T
Fの前に、形成中の前記物体(499)の付加製造を停止するステップと、
をさらに備える、請求項
13に記載の方法(500)。
【請求項15】
時間T
2において造形チャンバ(460)内の物体(499)の付加製造を一時停止するステップであって、時間T
2は時間T
1の後で時間T
Fの前である、ステップと、
時間T
2において、前記線形開口(420)および前記線形X線検出器(440)を直線的かつ同期して移動させながら、前記造形チャンバ(460)の内部で形成中の前記物体(499)に第2のX線パルスを向けるステップと、
前記第2のX線パルスと形成中の前記物体(499)との相互作用の後で、前記線形X線検出器アレイ(440)によって、前記第2のX線パルスを検出するステップと、
検出された前記第2のX線パルスに基づいて、形成中の前記物体(499)の第2のX線画像を作成するステップと、
をさらに備える、請求項
13または
14に記載の方法(500)。
【請求項16】
前記造形チャンバ(460)内の前記物体(499)は静止している、請求項13から15のいずれか一項に記載の方法(500)。
【請求項17】
前記X線管(410)および前記線形X線検出器アレイ(440)の移動速度は、X線パルス幅に依存する、請求項13から16のいずれか一項に記載の方法(500)。
【請求項18】
複雑な部分の製造の後に前記X線画像が形成される、請求項13から17のいずれか一項に記載の方法(500)。
【請求項19】
画像分析器(456)によって前記X線画像を欠陥のない物体のX線画像と比較するステップをさらに備える、請求項13から18のいずれか一項に記載の方法(500)。
【請求項20】
前記比較は、パターン認識を使用して行われる、請求項19に記載の方法(500)。
【請求項21】
付加製造中に欠陥を検出するための方法(500)であって、
時間T
1において造形チャンバ(460)内の物体(499)の付加製造を一時停止するステップであって、T
1は時間T
0の後で時間T
Fの前であり、時間T
0は形成中の前記物体(499)の付加製造の開始であり、時間T
Fは前記造形チャンバ(460)内の形成中の前記物体(499)の付加製造の完了である、ステップと、
X線管(410)および線形X線検出器アレイ(440)のうちの一方を回転させるステップと、
前記線形X線検出器アレイ(440)と前記X線管(410)との間の距離を維持するように
、前記X線管(410)および前記線形X線検出器アレイ(440)のうちの一方の回転と一致するように前記X線管(410)および前記線形X線検出器アレイ(440)のうちの他方を円弧状に移動させるステップであって、前記X線管(410)および前記線形X線検出器アレイ(440)は前記造形チャンバ(460)の外側に設けられている、ステップと、
前記X線管(410)から線形開口(420)を通じて形成中の前記物体(499)にX線パルスを向けて、形成中の前記物体(499)を走査するステップと、
前記X線パルスが形成中の前記物体(499)を走査した後で、前記線形X線検出器アレイ(440)によって前記X線パルスを検出するステップと、
検出された前記X線パルスに基づいて形成中の前記物体(499)のX線画像を作成するステップと、
を備える方法(500)。
【請求項22】
形成中の前記物体(499)の前記X線画像を分析して欠陥の存在を判断するステップと、
前記欠陥の前記存在に基づいて、時間T
Fの前に、形成中の前記物体(499)の付加製造を停止するステップと、
をさらに備える、請求項
21に記載の方法(500)。
【請求項23】
前記造形チャンバ(460)内の前記物体(499)は静止している、請求項21または22に記載の方法(500)。
【請求項24】
前記X線管(410)および前記線形X線検出器アレイ(440)の移動速度は、X線パルス幅に依存する、請求項21から23のいずれか一項に記載の方法(500)。
【請求項25】
複雑な部分の製造の後に前記X線画像が形成される、請求項21から24のいずれか一項に記載の方法(500)。
【請求項26】
画像分析器(456)によって前記X線画像を欠陥のない物体のX線画像と比較するステップをさらに備える、請求項21から25のいずれか一項に記載の方法(500)。
【請求項27】
前記比較は、パターン認識を使用して行われる、請求項26に記載の方法(500)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、付加製造の方法およびシステムに関し、より具体的には、付加製造中のリアルタイム検査の方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
付加製造は、三次元(3D)印刷とも呼ばれ、材料を1層ずつ堆積してこれらを溶融することによって三次元の物体を「印刷」する、多くの方法を包含する。技術は進歩し、今や複雑な産業用最終用途部品を製造できるようになった。付加製造技術は、とりわけ、指向性エネルギー堆積、結合剤噴射、材料押出、粉体床溶融、シート積層、材料噴射、および液槽光重合を含む。たとえば、指向性エネルギー堆積は、粉末金属層などの材料の層を正確に堆積する。堆積中、レーザーまたは電子ビームが粉末金属を熱溶融する。粉末金属層を正確に堆積することを繰り返してこれらを溶融することによって、造形チャンバ内で所望の3D物体または部品を製造することができる。
【0003】
付加製造は完成した最終用途部品を製造するために使用できるので、機械加工、鋳造、および射出成形の重要な代替手段になった。最も要求の厳しい用途向けに、金属、複合材、およびポリマー部品を製造するために使用することができる。あらゆる製造プロセスと同様に、空所、隙間、および空隙などの望ましくない内部欠陥が、製造中に生じる場合があり得る。しかしながら、これらの欠陥の検出は、付加製造プロセスの完了を待たなければならない。コンピュータ断層撮影または超音波技術などの非破壊的な方法を使用すれば、付加製造によって製造された完成品の欠陥を検出することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本教示によれば、付加製造中に欠陥を検出するための方法が提供される。方法は、時間T1において造形チャンバ内の物体の付加製造を一時停止するステップを含み、T1は時間T0の後で時間TFの前であり、時間T0は形成中の物体の付加製造の開始であり、時間TFは造形チャンバ内の形成中の物体の付加製造の完了である。方法は、造形チャンバ内で物体を回転させるステップと、X線管から線形開口を通じて造形チャンバ内の形成中かつ回転中の物体にX線パルスを向けるステップと、をさらに含む。次いで線形X線検出器アレイは、形成中かつ回転中の物体とのX線パルスの相互作用の後でX線パルスを検出する。方法は、検出されたX線パルスに基づいて形成中の物体のX線画像を作成するステップを、さらに含む。
【0005】
本教示によれば、付加製造中に欠陥を検出するための方法は、形成中の物体のX線画像を分析して欠陥の存在を判断するステップと、欠陥の存在に基づいて、時間TFの前に、形成中の物体の付加製造を停止するステップと、をさらに含むことができる。
【0006】
本教示によれば、付加製造中に欠陥を検出するための方法は、形成中の物体のX線画像を分析して欠陥が存在しないと判断するステップと、形成中の物体の付加製造を再開するステップと、をさらに含むことができる。
【0007】
本教示によれば、付加製造中に欠陥を検出するための方法は、時間T2において造形チャンバ内の物体の付加製造を一時停止するステップをさらに含むことができ、時間T2は時間T1の後で時間TFの前である。次いで、時間T2において、形成中の物体を回転させながら、造形チャンバの内部で形成中の物体に第2のX線パルスを向ける。方法は、形成中の物体との第2のX線パルスの相互作用の後で、線形X線検出器アレイによって、第2のX線パルスを検出するステップと、検出された第2のX線パルスに基づいて、形成中の物体の第2のX線画像を作成するステップと、をさらに含むことができる。
【0008】
本教示によれば、付加製造中に欠陥を検出するための方法は、時間TNにおいて造形チャンバ内の物体の付加製造を一時停止するステップであって、時間TNは時間T2の後で時間TFの前であり、Nは2よりも大きい整数である、ステップと、時間TNにおいて、形成中の物体を回転させながら、造形チャンバの内部で形成中の物体にN番目のX線パルスを向けるステップと、をさらに含むことができる。方法はまた、形成中の物体とのN番目のX線パルスの相互作用の後で、線形X線検出器アレイによって、N番目のX線パルスを検出するステップと、検出されたN番目のX線パルスに基づいて、形成中の物体の別のX線画像を作成するステップと、を含むこともできる。
【0009】
本教示によれば、付加製造中に欠陥を検出する別の方法が提供される。方法は、時間T1において造形チャンバ内の物体の付加製造を一時停止するステップを含み、T1は時間T0の後で時間TFの前であり、時間T0は形成中の物体の付加製造の開始であり、時間TFは造形チャンバ内の形成中の物体の付加製造の完了である。造形チャンバ内の物体は、線形開口および線形X線検出器に垂直な方向へ直線的に移動することができ、線形開口および線形X線検出器は造形チャンバの外側に設けられている。X線パルスは、X線管から線形開口を通じて形成中の物体に向けられ、形成中の物体を走査するために造形チャンバの内部を移動することができる。X線パルスは、X線パルスが形成中の物体を走査した後に、線形X線検出器アレイによって検出されることが可能である。そして、検出されたX線パルスに基づいて、形成中の物体のX線画像が作成され得る。
【0010】
本教示によれば、付加製造用検査システムが提供される。検査システムは、アクチュエータであって、アクチュエータは付加製造によって形成中の物体を支持するために造形チャンバ内に配置されている、アクチュエータと、ターンテーブルの側面に隣接して造形チャンバの外側に設けられたX線管と、X線管と造形チャンバとの間に設けられた線形開口と、X線管からターンテーブルの反対の側面に、造形チャンバの外側に設けられた線形X線検出器アレイとを含む。付加製造用検査システムは、コンピュータと、実行されるとき、画像分析器に、線形X線検出器アレイから受信した信号からX線画像を形成させる命令を格納した1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体を有するメモリシステムを備える画像分析器と、をさらに含む。
【0011】
本教示によれば、別の付加製造用検査システムが提供される。検査システムは、造形チャンバの側面に隣接して外側に設けられたX線管と、X線管と造形チャンバとの間に設けられた開口であって、X線管および開口は、造形チャンバに対してX線管および開口を移動させるように配置されたX線管アクチュエータに取り付けられている、開口と、X線管から造形チャンバの反対の側面に、造形チャンバの外側に設けられた線形X線検出器アレイであって、線形X線検出器アレイは、造形チャンバに対して線形X線検出器アレイを移動させるように配置された線形X線検出器アレイアクチュエータに取り付けられている、線形X線検出器アレイとを含む。付加製造用検査システムは、コンピュータと、実行されるとき、画像分析器に、線形X線検出器アレイから受信した信号からX線画像を形成させる命令を格納した1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体を有するメモリシステムを備える画像分析器と、をさらに含む。
【0012】
本教示によれば、付加製造中に欠陥を検出する別の方法が提供される。方法は、時間T1において造形チャンバ内の物体の付加製造を一時停止するステップを含み、T1は時間T0の後で時間TFの前であり、時間T0は形成中の物体の付加製造の開始であり、時間TFは造形チャンバ内の形成中の物体の付加製造の完了である。方法は、X線管および線形X線検出器アレイを直線的かつ同期して移動させるステップであって、X線管および線形X線検出器アレイは造形チャンバの外側に設けられている、ステップをさらに含む。次いで、X線パルスは、形成中の物体を走査するために、X線管から線形開口を通じて形成中の物体に向けられ得る。X線パルスは、X線パルスが形成中の物体を走査した後に、線形X線検出器アレイによって検出されることが可能であり、形成中の物体のX線画像は、検出されたX線パルスに基づいて作成され得る。
【0013】
本教示によれば、付加製造中に欠陥を検出する別の方法が提供される。方法は、時間T1において造形チャンバ内の物体の付加製造を一時停止するステップを含み、T1は時間T0の後で時間TFの前であり、時間T0は形成中の物体の付加製造の開始であり、時間TFは造形チャンバ内の形成中の物体の付加製造の完了である。方法は、X線管および線形X線検出器アレイのうちの一方を回転させるステップと、線形X線検出器アレイとX線管との間の距離を維持するようにX線管および線形X線検出器アレイのうちの他方を円弧状に移動させるステップであって、X線管および線形X線検出器アレイは造形チャンバの外側に設けられている、ステップと、をさらに含む。X線パルスは、形成中の物体を走査するために、X線管から線形開口を通じて形成中の物体に向けられ得る。X線パルスは、X線パルスが形成中の物体を走査した後に、線形X線検出器アレイによって検出されることが可能であり、形成中の物体のX線画像は、検出されたX線パルスに基づいて作成され得る。
【0014】
上記の一般的な説明および以下の詳細な説明は、単に例示的かつ説明的であり、説明されるように本開示を限定するものではないことが、理解されるべきである。
【0015】
本明細書に組み込まれてその一部を構成する添付図面は、本開示を解説するものであり、説明と共に、本開示の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本開示による、物体の付加製造中の物体のリアルタイム検査のためのシステムを概略的に示す図である。
【
図2】本開示による、物体の付加製造中の物体のリアルタイム検査の方法で実行される動作を示す図である。
【
図3】本開示による、指向性エネルギー堆積による金属物体の付加製造中の金属物体のリアルタイム検査のためのシステムを概略的に示す図である。
【
図4】本開示による、指向性エネルギー堆積による金属物体の付加製造中の金属物体のリアルタイム検査のための別のシステムを概略的に示す図である。
【
図5】本開示による、物体の付加製造中の物体のリアルタイム検査の方法で実行される動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示の例示的な実施を詳細に参照するが、その例は添付図面に示されている。可能な限り、図面全体を通じて、同じまたは類似の部分を指すために同じ参照番号が使用される。以下の説明では、その一部を形成する添付図面が参照されるが、そこには本開示が実践され得る特定の例示的実施が実例として示されている。これらの実施は、当業者が本開示を実践できるように十分詳細に説明されており、他の実施も利用できること、ならびに本開示の範囲から逸脱することなく変更がなされ得ることは、理解されるべきである。したがって、以下の説明は単なる例示である。
【0018】
現在、付加製造された物体は、検査される前に製造を完了して造形チャンバから取り出されなければならない。しかしながら、内部欠陥を有する物体の製造を継続することは、時間、材料、およびお金の無駄である。しかしながら、検査のために製造の完了前に造形チャンバから物体を取り出すことは困難であり、時間がかかる。造形チャンバ内に不活性雰囲気または真空を必要とするものなど、いくつかの付加製造方法では、物体に修復不可能な損傷を与えずに完成前に物体を取り出すことはできない。さらに、造形チャンバは、付加製造中の目視検査さえも妨害する可能性のある煙、粒子、および液体を含む可能性がある。本開示の実施により、付加製造によって製造される際に物体をリアルタイムで非破壊的に検査するシステムおよび方法の必要性に対処する。
【0019】
開示されるX線ベースのシステムおよび方法は、付加製造によって、物体が製造される際に、リアルタイムで物体内の欠陥を非破壊的に検出することができる。検査は、たとえば真空、不活性ガス、または高温環境など、造形チャンバの中の環境を変更または中断する必要性を伴わずに実現することができる。X線ベースなので、開示されるシステムおよび方法は、使用される造形チャンバのタイプおよびサイズまたは付加製造技術のタイプによって制限されない。また、開示されるシステムおよび方法は、造形チャンバ内に存在し得る煙、粒子、または液体の影響を受けない。付加製造中の欠陥のリアルタイム検出は、付加製造プロセスの完了まで待つのではなく、欠陥を検出すると直ちにプロセスを停止または修正することによって、時間、材料、およびお金を節約することができる。
【0020】
図1は、本開示による、付加製造中に使用され得る検査システム100を示す。検査システム100は、X線管110、開口120、アクチュエータ130、線形X線検出器アレイ140、コンピュータ150、コントローラー154、および画像分析器156を含むことができる。
【0021】
X線管110は、造形チャンバ160に隣接して外側に位置している。X線管110は、たとえば、空港の手荷物検査に使用されるX線管であってもよい。X線管110のタイプは、付加製造中の物体、その組成、および使用されている付加製造技術のタイプに依存することができる。たとえば、X線管110は、ガラスまたはセラミックであってもよく、約100から約4000ワットの範囲の電力および約30から約450kVの範囲の電圧を有することができる。適切なX線管は、たとえばフィリップス(Phillips)、バリアン(Varian)、ゼネラル・エレクトリック(General Electric)によって製造されている。X線管110は、たとえば、X線管の温度を制御するために、冷却システム、たとえば循環水または閉サイクル冷却をさらに含む。
【0022】
開口120は、造形チャンバ160の内部で製造されている物体に向けられた視準された扇状ビームを提供するために、造形チャンバ160とX線管110との間に位置している。開口120は、鉛、鋼、およびタングステンを含むがこれらに限定されない、X線を遮断するいずれの材料で形成されてもよい。開口120は、造形チャンバ160内で製造中の物体に向けられた約1秒から約60秒のパルスを提供するために、コントローラー154によって制御される。開口120は、たとえば、鉛または鋼で形成された線形開口であってもよい。
【0023】
アクチュエータ130は、造形チャンバ160内に設けられ、製造中の物体を直接的または間接的に支持する。アクチュエータ130は、毎秒約1回転から10分あたり約1回転までの速度で、コントローラー154の制御下で回転する、ターンテーブルなどの回転アクチュエータであってもよい。これにより、X線パルスは製造中の物体の全容量と相互作用することができる。アクチュエータ130は、X線画像が造形チャンバ160内の形成中の物体の位置と相関できるように正確な位置を提供する光学エンコーダを有するモーター式ターンテーブルであってもよい。あるいは、アクチュエータ130は、たとえば、
図1に示されるように、ページ内へのおよびページから外への直線方向に製造中の物体を支持および移動させるリニアアクチュエータであってもよい。リニアアクチュエータは、X線パルスを製造中の物体の全容量と相互作用させるために、約100cm/秒から約1cm/分の速度でコントローラー154の制御下で移動することができる。たとえば、リニアアクチュエータは、物体の全容量がX線パルスによって走査されるように、製造中の物体を移動させることができる。
【0024】
線形X線検出器アレイ140は、アクチュエータ130上で製造中の物体を通過してこれと相互作用した後にX線パルスを検出するために、造形チャンバ160の外側に位置している。線形X線検出器アレイ140は、たとえば、少なくとも1列のX線感受性検出器からなる一次元X線検出器であってもよい。線形X線検出器アレイ140からのデータはデジタル化されてコンピュータ150に送信され、画像分析器156によって分析される。製造中の物体または検出器のいずれかを線形X線検出器アレイ140の長さに垂直な方向に移動させることによって、物体の二次元画像を作成することができる。
図1に示されるように、アクチュエータ130は、線形X線検出器アレイ140の長さ寸法に垂直な方向に製造中の物体を回転させるターンテーブルである。線形X線検出器アレイ140は、たとえば、上部に発光材料を有するシリコン(Si)または相補型金属酸化物半導体(CMOS)ベースの検出器であってもよい。発光材料は、X線を可視光に変換するために、たとえばCsI:Na、Gd
2O
2S、またはCaWO
4であり得る。アクチュエータ130がリニアアクチュエータである場合には、製造中の物体の全容量が線形X線パルスによって走査され、X線が製造中の物体と相互作用した後にX線が線形X線検出器アレイ140によって検出されるように、リニアアクチュエータはページ内へのおよびページから外への方向に製造中の物体を移動させる。
【0025】
検査システム100は、コンピュータ150、コントローラー154、および画像分析器156をさらに含む。コンピュータ150は、X線管110、開口120、アクチュエータ130、および線形X線検出器アレイ140に動作可能に接続されている。コンピュータ150は、プロセッサと、実行されるとき、X線管110、開口120、アクチュエータ130、および線形X線検出器アレイ140による動作を同期させる命令を格納した1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体を含むメモリシステムとを含む。具体的には、コンピュータ150は、コントローラー154を通じて、プロセッサおよびソフトウェアを介して、規則的な画像形状を維持するように線形X線検出器アレイ140の露光時間でアクチュエータ130の回転または直線運動を同期させる。これにより、X線画像が欠陥箇所を正確に特定するために形成中の物体の位置と相関できるように、正確な位置決めを提供する。これにより、付加製造プロセス中に不具合がいつ発生したかの正確な判断も可能になる。コントローラー154は、所望のパルス幅を有するX線パルスを提供するために開口120をさらに制御し、所望のエネルギーを提供するためにX線管110の動作を制御する。
【0026】
画像分析器156は、たとえば、線形X線検出器アレイ140から受信したデータからX線画像を作成するためのソフトウェアを含むことができる。画像分析器156は、X線画像内の欠陥を識別するソフトウェア、たとえば、X線画像を欠陥のないX線画像と比較するパターン認識ソフトウェアを、さらに含むことができる。たとえば、形成中の物体のX線画像を欠陥のない物体のX線画像と比較することで、パターン認識ソフトウェアは、形成中の物体のX線画像内の、計画外の空所または不一致などの異常または欠陥を識別することができる。当業者は、他のコンポーネントが検査システム100に含まれてもよいことを理解するだろう。たとえば、X線画像を取得、操作、分析、および表示するため、または造形材料の堆積および溶融を含む付加製造システムに関するハードウェアなどその他のデバイスを制御するために、他のソフトウェア/デバイスが使用され得る。
【0027】
図1に断面図で示される造形チャンバ160は一般に、付加製造システムの一部である。これは付加製造技術のタイプに依存する多くの形態を取ることができるが、一般には付加製造が行われる包囲体である。造形チャンバ160は、単純なガラスまたはポリマーの包囲体から、温度および/または圧力および/または大気含有量が厳しく制御される複雑な包囲体にまで及ぶことができる。開示されるシステムおよび方法の利点は、X線がほとんどの材料を透過できるので、造形チャンバのタイプに依存しないことである。
【0028】
図2は、本開示による、付加製造による製造中の物体の非破壊検査の方法200を示す。方法200は、本明細書では、
図3に示される金属粉末供給付加製造システム301に関連して説明される。金属粉末供給付加製造システムは、レーザークラッディング、指向性エネルギー堆積、およびレーザー金属蒸着システムとしても知られている。金属粉末供給システム301への言及は説明目的のためであること、ならびに開示されるシステムおよび方法は他のタイプの付加製造システムで使用されることも可能であって金属物体の付加製造に限定されるものではないことを当業者は理解するだろう。
【0029】
図2に示される方法200の210において、付加製造によって物体を形成するための材料の堆積および溶融が一時停止される。
図3は、造形チャンバ360、金属粉末フィーダ380、およびレーザービーム382を含む金属粉末供給付加製造システム301を示す。付加製造中に、金属粉末フィーダ380は金属粉末を堆積し、同時にレーザービーム382は、形成中の物体399の表面の金属粉末を1層ずつ溶融させる。金属粉末フィーダは、たとえば、4軸または5軸アームに搭載されたノズルを含むことができる。レーザーのタイプは、堆積されている粉末金属に依存し得る。指向性エネルギー堆積システムはしばしば不活性雰囲気を必要とするので、付加製造によって製造中の造形チャンバ360へのアクセスは制限される。
【0030】
金属粉末供給システム301による付加製造中の物体399のリアルタイム非破壊検査は、X線管310、線形開口320、アクチュエータ330、線形X線検出器アレイ340、コンピュータ350、コントローラー354、および画像分析器356を組み込むことによって実現することができる。付加製造システム、たとえば本明細書において説明目的のために使用される金属粉末供給システム301は、利用可能なコンピュータおよびコントローラーを既に含んでいてもよい。当業者は、X線管310、線形開口320、アクチュエータ330、および/または線形X線検出器アレイ340を組み込むために付加製造システムの既存のコンピュータおよびコントローラーにソフトウェアまたはハードウェアコンポーネントを追加する必要があるかも知れないことを理解するだろう。あるいは、付加製造システムのコンピュータおよびコントローラーとは別の、他のコンピュータおよびコントローラーが使用されることも可能である。
【0031】
方法200の210において、金属粉末フィーダ380は、たとえばレーザービーム382を供給するレーザーをオフにするか、または物体399からレーザービーム382をそらすことによって、金属粉末の堆積およびレーザービーム382による溶融を一時停止する。造形チャンバ360を開ける必要はなく、内部の環境を変える必要もなく、造形チャンバから物体399を取り出す必要もない。これにより、付加製造プロセスが一時停止する時間を最小限に抑えることができる。付加製造プロセスの一時停止は、たとえば、1つの層を形成してから次の層を形成するまでなど、短時間だけ、単に造形材料の堆積および溶融を停止することであり得る。付加製造プロセスをいつ一時停止するかは、製造中の物体のサイズおよび複雑さ、望まれる検査の数、および使用されている付加製造のタイプを含むがこれらに限定されない、いくつかの要因に基づいて決定することができる。たとえば、210での一時停止は、物体399の複雑な部分の製造の後、物体399の製造完了の前に行うことができる。
【0032】
方法200の220において、ターンテーブルなどのアクチュエータ330は、線形X線検出器アレイ340の長さ寸法に垂直な方向に物体399を回転させる。コントローラー354は、回転速度、ならびに回転の開始および停止を制御することができる。アクチュエータ330の回転は、X線が物体399と相互作用する前、最中、または後に開始することができる。回転速度は、物体399のサイズおよび/またはX線パルス幅に依存することができ、毎秒約1回転から10分あたり約1回転までの範囲であり得る。
【0033】
アクチュエータ330が線形開口であるとき、アクチュエータ330は、線形X線検出器アレイ340とX線管310との間で垂直な直線方向に物体399を移動させる。コントローラー354は、直線速度、ならびに直線運動の開始および停止を制御することができる。アクチュエータ330による形成中の物体399の移動は、X線が物体399と相互作用する前、最中、または後に開始することができる。移動速度は物体399のサイズおよび/またはX線パルス幅に依存することができ、約100cm/秒から約1cm/分の範囲であり得る。
【0034】
方法200の230において、X線パルスは物体399に向けられる。X線パルスは、時間T
1で発生することができる。時間T
1は時間T
0の後で時間T
Fの前であり、時間T
0は物体399の付加製造の開始、時間T
Fは造形チャンバ360の物体399の付加製造の完了である。
図3を参照すると、X線はX線管310によって生成される。線形開口320は、コントローラー354の制御下で、アクチュエータ330によって回転している状態の物体399と相互作用する平行な扇形X線パルスを提供する。X線パルスは、約1秒から約60秒のパルス持続時間および約50から約250keVのエネルギーを有することができる。電流は、約1から約20mAの範囲であり得る。X線パルス持続時間は、物体が回転または直線的に移動しているときに、X線が形成中の物体と相互作用できるようにする。パルス幅に影響を及ぼす要因は、形成中の物体のサイズ、および回転または直線運動の速度を含む。通常、物体が大きいかもしくは回転または移動が遅い方が、長いパルス幅を必要とする。X線パルスのエネルギーおよび電流は、検出される前にX線が形成中の物体および造形チャンバを透過できるように、形成中の物体のサイズおよび組成によって決定される。線形開口320は、幅の狭い視準された扇状ビームを提供する。視準された扇状ビームは、たとえば、製造が完了したときにその最大寸法で物体399を検査するのに十分な長さを、さらに有することができる。X線パルスの経路およびパルス形状は、X線パルス311として
図3に示されている。
【0035】
方法200の240において、X線パルス311は線形X線検出器アレイ340によって検出される。物体399を移動させるアクチュエータ330の速度およびX線パルス311のパルス幅により、線形X線検出器アレイ340は、物体399の全容量との相互作用の後にX線を検出することができる。たとえば、アクチュエータ330がターンテーブルであるとき、ターンテーブルは、X線パルス311が物体399と相互作用できるようにするために、物体399を半回転させることができる。本明細書で使用される際に、半回転とは、ターンテーブルまたは物体399に対して1回転の半分だけ物体399が回転することを指す。X線は物体399を完全に透過するので、半回転によってX線パルス311は物体399の全容量と相互作用できるようになる。別の例では、アクチュエータ330は、物体399を1回転以上回転させることができる。線形X線検出器アレイ340によって収集されたデータは、コンピュータ350に送信される。この時点で、コンピュータ350の指示下のコントローラー354は、アクチュエータ330の回転を停止させることができる。コントローラー354は、物体399が回転または直線運動の後に同じ位置になるように、ターンテーブルであれリニアアクチュエータであれ、アクチュエータ330を制御する。言い換えると、コントローラー354は、付加製造が継続できるように、金属粉末フィーダ380およびレーザービーム382に対して同じ位置に物体399を戻す。
【0036】
方法200の250において、線形X線検出器アレイ340によって検出されたX線に基づいて、X線画像が作成される。線形X線検出器アレイ340によって提供された信号を使用して、物体399の容量を表すX線画像を作成することができる。X線画像は、たとえば、画像分析器356によって作成されたデジタル画像であってもよい。X線画像は、方法200の260において、画像分析器356によって分析される。たとえば、画像分析器356は、物体399のX線画像を制御画像、たとえば欠陥のない物体のX線画像と比較するために、パターン認識を使用することができる。約1mm以上の欠陥を検出することができる。
【0037】
物体399に欠陥が検出された場合、270において付加製造を停止することができる。製造を完了する前に、この時点で付加製造プロセスを停止することで、時間、材料、および費用を節約することができる。
【0038】
物体399に欠陥が検出されなかった場合、方法200の280に示されるように、付加製造は、物体399の製造を再開することができる。
図3を参照すると、付加製造の再開は、コントローラー354の指示の下で、アクチュエータ330、たとえばターンテーブルが回転を停止しており、レーザービーム382が物体399の表面で金属粉末を溶融している間に金属粉末フィーダ380が金属粉末を堆積し始めることを意味する。当業者は、線形X線検出器アレイ340によるX線の検出後にいつでも製造を再開できることを理解するだろう。言い換えると、付加製造は、欠陥が存在するか否かの分析が完了する前に再開することができる。
【0039】
方法200の290において、物体399の製造は完了するまで継続できる。もう一度検査が望まれる場合、たとえば、T
2が時間T
1の後で時間T
Fの前である、時間T
2において、物体399の製造は再び一時停止し、
図2に示されるように方法200の210に戻ることができる。次いで、方法200の動作210から260は、必要に応じて、または製造が完了するまで繰り返すことができる。言い換えると、時間T
0とT
Fとの間およびT
2の後、X線を物体399に向け、何度でもX線画像を作成することができる。たとえば、時間T
2の後で時間T
Fの前に、X線を物体399に向け、時間T
NにおいてX線画像を作成することができ、時間T
Nは2より大きい整数である。より小さいかまたは複雑ではない形状では、1回だけの検査が望ましいかも知れない。より大きいかまたは複雑な形状および/または高額な造形材料で形成された物体では、たとえば時間T
1からT
10で10個のX線画像が形成されるように、10回にわたって付加製造プロセスを一時停止して物体を検査することができる。さらに、製造プロセス中に一時停止の各々がいつ行われるかもまた、必要に応じて決定することができる。たとえば、T
1(またはT
N)は、物体399の特に複雑な部分の製造の後に生じるように設定することができる。加えて、付加製造プロセスの複数回の一時停止および物体の検査のタイミングは、均一に離間する必要はなく、製造中のいつでも行うことができる。
【0040】
本明細書で開示されるように、方法200の一部または全ては、有利に自動化され得る。たとえば、付加製造プロセスの再開または停止は、たとえば、コンピュータ350、コントローラー354、および画像分析器356を使用して、オペレータなしで実現される。画像処理およびパターン認識ソフトウェアを使用して欠陥が存在するか否かを判断することで、結果の一貫性を高めることができる。しかしながら、必要に応じて、欠陥が存在するか否かの検査および/または判断を実行するために、熟練の技術者を使用することもできる。
【0041】
図4および
図5は、本開示による、付加製造中のリアルタイム検査に使用される別の検査システムおよび方法を示す。形成中の物体を回転させる代わりに、ここでは形成中の物体は静止しており、X線管および線形X線検出器アレイの一方または両方が移動する。以前のように、検査システムおよび方法は、金属粉末供給システム401を参照して説明される。金属粉末供給システム401は、造形チャンバ460、製造スタンド430、金属粉末フィーダ480、およびレーザービーム482を含む。金属粉末フィーダ480は、たとえば、4軸または5軸アームに搭載されたノズルを含むことができる。レーザーのタイプは、堆積されている粉末金属に依存し得る。指向性エネルギー堆積システムはしばしば不活性雰囲気を必要とするので、付加製造によって製造中の造形チャンバ460へのアクセスは制限される。X線管410、開口420、線形X線検出器アレイ440、コンピュータ450、コントローラー454、および画像分析器456が、金属粉末供給システム401に組み込まれ得る。X線管410によって提供されるX線パルスの経路およびパルス形状は、X線パルス411として
図4に示されている。加えて、X線管410および開口420の一方または両方を移動させるために、X線管アクチュエータ405を使用することができる。そして、線形X線検出器アレイ440を移動させるために線形X線検出器アレイアクチュエータ406を使用することができる。
【0042】
このシステムでは、製造スタンド430は静止したままであり、製造中の物体499を支持することができる。たとえば、X線管410および線形X線検出器アレイ440はいずれも直線的に移動することができる。あるいは、X線管410および線形X線検出器アレイ440の一方が回転し、両者の間で同じ相対距離を維持するように他方が円弧状に移動することも可能である。静止した製造スタンドに対してX線管および線形X線検出器アレイを移動させることで、金属粉末フィーダ480およびレーザービーム482の位置に対する製造中の物体499の相対位置の変化を最小限に抑えることができるので、付加製造プロセスの乱れを減少させることができる。
【0043】
X線管410および線形X線検出器アレイ440の一方または両方の直線、円弧、または回転運動を容易にするために、アクチュエータを使用することができる。たとえば、X線管410および開口420の両方を、たとえば
図4に示されるページ内へおよびページから外へ直線的に移動させるX線管アクチュエータ405に、X線管410を取り付けることができる。同様に、やはりたとえば
図4のページ内へのおよびページから外へのX線管410および開口420の移動と同期して、直線的に移動する線形X線検出器アレイアクチュエータ406に、線形X線検出器アレイ440を取り付けることができる。あるいは、線形X線検出器アレイアクチュエータ406は、X線管410および開口420の両方を円弧状に移動させるX線管アクチュエータ405の運動と一致するように、線形X線検出器アレイ440を回転させることができる。別の代替形態では、線形X線検出器アレイアクチュエータ406は、X線管410および開口420の両方を回転させるX線管アクチュエータ405の回転と一致するように、線形X線検出器アレイ440を円弧状に移動させることができる。X線管410および線形X線検出器アレイ440の一方を回転させて他方を円弧状に移動させることで、両者の間の距離を維持することができる。
【0044】
図4を参照すると、付加製造中の検査は、
図5に示されるように進行できる。付加製造中のリアルタイム検査の方法500は、
図2に示される方法200と類似である。この場合、コントローラー454は、速度、ならびにX線管アクチュエータ405および線形X線検出器アレイアクチュエータ406の両方の運動の開始および停止も制御することができる。コントローラー454はまた、製造中の物体499の全容量を走査するために、これらの運動と同期する。一方または両方のアクチュエータの移動速度は、製造中の物体499のサイズおよび/またはX線パルス幅に依存することができ、約100cm/秒から約1cm/分の範囲であり得る。
【0045】
方法500は、本明細書では、
図4に示される金属粉末供給付加製造システム401に関連して説明される。金属粉末供給システム401への言及は説明目的のためであること、ならびに開示されるシステムおよび方法は他のタイプの付加製造システムで使用されることも可能であって金属物体の付加製造に限定されるものではないことを当業者は理解するだろう。
【0046】
図5に示される方法500の510において、付加製造によって物体を形成するための材料の堆積および溶融は、たとえば金属粉末の堆積を停止し、レーザービーム482を供給するレーザーをオフにするか、または物体499からレーザービーム482をそらすことによって、一時停止する。造形チャンバ460を開ける必要はなく、内部の環境を変える必要もなく、造形チャンバから物体499を取り出す必要もない。これにより、付加製造プロセスが一時停止する時間を最小限に抑えることができる。
【0047】
方法500の520では、X線管アクチュエータ405および線形X線検出器アレイアクチュエータ406は、たとえば
図4のページ内へおよびページから外へ、直線的に、X線管410および線形X線検出器アレイ440をそれぞれ移動させることができる。コントローラー454は、製造中の物体499がX線パルス411によって走査され、その後線形X線検出器アレイ440によって検出されるように、直線運動を同期させる。X線管アクチュエータ405はまた、X線管410および線形X線検出器アレイ440と同期して開口420を移動させる。
【0048】
あるいは、方法500の520において、X線管アクチュエータ405および線形X線検出器アレイアクチュエータ406の一方は、X線管410および線形X線検出器アレイ440の一方を回転させることができ、X線管アクチュエータ405および線形X線検出器アレイアクチュエータ406の他方は円弧状に移動することができる。これにより、X線管410と線形X線検出器アレイ440との間の距離を維持することができる。X線管アクチュエータ405はまた、X線管410および線形X線検出器アレイ440と同期して開口420を移動させる。コントローラー454は、製造中の物体499がX線パルス411によって走査され、その後線形X線検出器アレイ440によって検出されるように、開口420、X線管410、および線形X線検出器アレイ440の運動を同期させる。
【0049】
方法500の530において、X線パルスは、X線管アクチュエータ405がX線管410および開口420を移動させ、線形X線検出器アレイアクチュエータ406は線形X線検出器アレイ440を移動させるのと同時に物体499に向けられる。このようにして、物体499は、X線管および線形X線検出器アレイの一方または両方が直線的に、円弧状に移動、または回転する際に、X線パルスによって走査される。X線パルスは、時間T
1で発生することができる。時間T
1は時間T
0の後で時間T
Fの前であり、時間T
0は物体499の付加製造の開始、時間T
Fは造形チャンバ460の物体499の付加製造の完了である。
図4を参照すると、X線はX線管410によって生成される。線形開口420は、コントローラー454の制御下で、物体499と相互作用する平行な扇形X線パルスを提供する。X線パルスは、約1秒から約60秒のパルス持続時間および約50から約250keVのエネルギーを有することができる。電流は、約1から約20mAの範囲であり得る。X線パルス持続時間は、X線管および/または線形X線検出器アレイが直線的にまたは円弧状に移動しているときに、X線が形成中の物体と相互作用できるようにする。視準された扇状ビームは、たとえば、製造が完了したときにその最大寸法で物体499を検査するのに十分な長さを、さらに有することができる。
【0050】
方法500の540において、X線パルス411は線形X線検出器アレイ440によって検出される。物体499を移動させるアクチュエータ405および406の速度およびX線パルス411のパルス幅により、線形X線検出器アレイ440は、物体499の全容量との相互作用の後にX線を検出することができる。言い換えると、物体499の全容量の走査は、アクチュエータ405および406のパルス幅および速度を制御することによって実現することができる。線形X線検出器アレイ440によって収集されたデータは、コンピュータ450に送信される。この時点で、コンピュータ450の指示下のコントローラー454は、アクチュエータ405および406の移動を停止させることができる。
【0051】
方法500の550において、線形X線検出器アレイ440によって検出されたX線に基づいて、X線画像が作成される。線形X線検出器アレイ440によって提供された信号を使用して、物体499の容量を表すX線画像を作成することができる。X線画像は、たとえば、画像分析器456によって作成されたデジタル画像であってもよい。X線画像は、方法500の560において、画像分析器456によって分析される。たとえば、画像分析器456は、物体499のX線画像を制御画像、たとえば欠陥のない物体のX線画像と比較するために、パターン認識を使用することができる。約1mm以上の欠陥を検出することができる。
【0052】
物体499に欠陥が検出された場合、570において付加製造を停止することができる。製造を完了する前に、この時点で付加製造プロセスを停止することで、時間、材料、および費用を節約することができる。
【0053】
物体499に欠陥が検出されなかった場合、方法500の580に示されるように、付加製造は、物体499の製造を再開することができる。
図4を参照すると、付加製造の開始は、金属粉末フィーダ480が金属粉末の堆積を開始し、同時にレーザービーム482は、物体499の表面の金属粉末を溶融させることを意味する。当業者は、線形X線検出器アレイ440によるX線の検出後にいつでも製造を再開できることを理解するだろう。言い換えると、付加製造は、欠陥が存在するか否かの分析が完了する前に再開することができる。
【0054】
方法500の590において、物体499の製造は完了するまで継続できる。もう一度検査が望まれる場合、たとえば、T
2が時間T
1の後で時間T
Fの前である、時間T
2において、物体499の製造は再び一時停止し、
図5に示されるように方法500の510に戻ることができる。次いで、方法500の動作510から560は、必要に応じて、または製造が完了するまで繰り返すことができる。言い換えると、時間T
0とT
Fとの間およびT
2の後、X線を物体499に向け、何度でもX線画像を作成することができる。たとえば、時間T
2の後で時間T
Fの前に、X線を物体499に向け、時間T
NにおいてX線画像を作成することができ、時間T
Nは2より大きい整数である。より小さいかまたは複雑ではない形状では、1回だけの検査が望ましいかも知れない。より大きいかまたは複雑な形状および/または高額な造形材料で形成された物体では、たとえば時間T
1からT
10で10個のX線画像が形成されるように、10回にわたって付加製造プロセスを一時停止して物体を検査することができる。さらに、製造プロセス中に一時停止の各々がいつ行われるかもまた、必要に応じて決定することができる。たとえば、T
1(またはT
N)は、物体499の特に複雑な部分の製造の後に生じるように設定することができる。加えて、付加製造プロセスの複数回の一時停止および物体の検査のタイミングは、均一に離間する必要はなく、製造中のいつでも行うことができる。
【0055】
本明細書で開示されるように、方法500の一部または全ては、有利に自動化され得る。たとえば、付加製造プロセスの再開または停止は、たとえば、コンピュータ450、コントローラー454、および画像分析器456を使用して、オペレータなしで実現される。画像処理およびパターン認識ソフトウェアを使用して欠陥が存在するか否かを判断することで、結果の一貫性を高めることができる。しかしながら、必要に応じて、欠陥が存在するか否かの検査および/または判断を実行するために、熟練の技術者を使用することもできる。
【0056】
さらに、本開示は、以下の条項による例を備える。
条項1.付加製造中に欠陥を検出するための方法であって、時間T1において造形チャンバ内の物体の付加製造を一時停止するステップであって、T1は時間T0の後で時間TFの前であり、時間T0は形成中の物体の付加製造の開始であり、時間TFは造形チャンバ内の形成中の物体の付加製造の完了である、ステップと、造形チャンバ内で物体を回転させるステップと、X線管から線形開口を通じて造形チャンバ内の形成中かつ回転中の物体にX線パルスを向けるステップと、X線パルスと形成中かつ回転中の物体との相互作用の後で、線形X線検出器アレイによってX線パルスを検出するステップと、検出されたX線パルスに基づいて形成中の物体のX線画像を作成するステップと、を備える方法。
条項2.形成中の物体のX線画像を分析して欠陥の存在を判断するステップと、欠陥の存在に基づいて、時間TFの前に、形成中の物体の付加製造を停止するステップとをさらに備える、条項1に記載の方法。
条項3.時間T2において造形チャンバ内の物体の付加製造を一時停止するステップであって、時間T2は時間T1の後で時間TFの前である、ステップと、時間T2において、形成中の物体を回転させながら、造形チャンバの内部で形成中の物体に第2のX線パルスを向けるステップと、第2のX線パルスと形成中の物体との相互作用の後で、線形X線検出器アレイによって、第2のX線パルスを検出するステップと、検出された第2のX線パルスに基づいて、形成中の物体の第2のX線画像を作成するステップとをさらに備える、条項1または2に記載の方法。
条項4.形成中の物体の第2のX線画像を分析して欠陥の存在を判断するステップと、欠陥の存在に基づいて、時間TFの前に、形成中の物体の付加製造を停止するステップとをさらに備える、条項3に記載の方法。
条項5.形成中の物体のX線画像を分析して欠陥が存在しないと判断するステップと、形成中の物体の付加製造を再開するステップとをさらに備える、条項1から4のいずれか一項に記載の方法。
条項6.時間TNにおいて造形チャンバ内の物体の付加製造を一時停止するステップであって、時間TNは時間T2の後で時間TFの前であり、Nは2よりも大きい整数である、ステップと、時間TNにおいて、形成中の物体を回転させながら、造形チャンバの内部で形成中の物体にN番目のX線パルスを向けるステップと、形成中の物体とのN番目のX線パルスの相互作用の後で、線形X線検出器アレイによって、N番目のX線パルスを検出するステップと、検出されたN番目のX線パルスに基づいて、形成中の物体の別のX線画像を作成するステップとをさらに備える、条項3から5のいずれか一項に記載の方法。
条項7.造形チャンバ内で物体を回転させるステップは、ターンテーブルを使用して毎秒約1回転から10分あたり約1回転で物体を回転させるステップを備える、条項1から6のいずれか一項に記載の方法。
条項8.形成中の物体のX線画像を分析して欠陥の存在を判断するステップは、パターン認識を使用して欠陥の存在を判断するステップを備える、条項1から7のいずれか一項に記載の方法。
条項9.付加製造中に欠陥を検出するための方法であって、時間T1において造形チャンバ内の物体の付加製造を一時停止するステップであって、T1は時間T0の後で時間TFの前であり、時間T0は形成中の物体の付加製造の開始であり、時間TFは造形チャンバ内の形成中の物体の付加製造の完了である、ステップと、線形開口および線形X線検出器に垂直な方向に造形チャンバ内の物体を直線的に移動させるステップであって、線形開口および線形X線検出器は造形チャンバの外側に設けられている、ステップと、X線管から線形開口を通じて造形チャンバ内の形成中かつ移動中の物体にX線パルスを向けて、形成中の物体を走査するステップと、X線パルスが形成中の物体を走査した後で、線形X線検出器アレイによってX線パルスを検出するステップと、検出されたX線パルスに基づいて形成中の物体のX線画像を作成するステップと、を備える方法。
条項10.形成中の物体のX線画像を分析して欠陥の存在を判断するステップと、欠陥の存在に基づいて、時間TFの前に、形成中の物体の付加製造を停止するステップとをさらに備える、条項9に記載の方法。
条項11.時間T2において造形チャンバ内の物体の付加製造を一時停止するステップであって、時間T2は時間T1の後で時間TFの前である、ステップと、時間T2において、形成中の物体を直線的に移動させながら、造形チャンバの内部で形成中の物体に第2のX線パルスを向けるステップと、第2のX線パルスと形成中の物体との相互作用の後で、線形X線検出器アレイによって、第2のX線パルスを検出するステップと、検出された第2のX線パルスに基づいて、形成中の物体の第2のX線画像を作成するステップとをさらに備える、条項9または10に記載の方法。
条項12.造形チャンバ内の物体を直線的に移動させるステップは、リニアアクチュエータを使用して約100cm/秒から約1cm/分で物体を移動させるステップを備える、条項9から11のいずれか一項に記載の方法。
条項13.アクチュエータであって、アクチュエータは付加製造によって形成中の物体を支持するために造形チャンバ内に配置されている、アクチュエータと、アクチュエータの側面に隣接して造形チャンバの外側に設けられたX線管と、X線管と造形チャンバとの間に設けられた開口と、X線管からアクチュエータの反対の側面に、造形チャンバの外側に設けられた線形X線検出器アレイと、コンピュータ、および実行されるとき、画像分析器に、線形X線検出器アレイから受信した信号からX線画像を形成させる命令を格納した1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体を有するメモリシステムを備える画像分析器とを備える、付加製造用検査システム。
条項14.メモリシステムは、さらに、実行されるとき、画像分析器に、X線画像を制御画像と比較させる命令を格納した1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体を備える、条項13に記載の検査システム。
条項15.アクチュエータの運動、開口によって提供されるX線パルスのパルス幅、および線形X線検出器アレイの露光時間を同期させるコントローラーをさらに備える、条項13または14に記載の検査システム。
条項16.X線管は、約100から約4000ワットの範囲の電力および約30から約450kVの範囲の電圧を有する、条項13から15のいずれか一項に記載の検査システム。
条項17.開口は、約1秒から約60秒の範囲のパルス持続時間を有する視準された扇状ビームを提供するように配置された線形開口を備える、条項13から16のいずれか一項に記載の検査システム。
条項18.アクチュエータは、毎秒約1回転から10分あたり約1回転の範囲の速度で回転することができるターンテーブルを備える、条項13から17のいずれか一項に記載の検査システム。
条項19.アクチュエータは、約10cm/秒から約1cm/分の範囲の速度で移動することができる線形開口を備える、条項13から17のいずれか一項に記載の検査システム。
条項20.造形チャンバの側面に隣接して外側に設けられたX線管と、X線管と造形チャンバとの間に設けられた開口であって、X線管および開口は、造形チャンバに対してX線管および開口を移動させるように配置されたX線管アクチュエータに取り付けられている、開口と、X線管から造形チャンバの反対の側面に、造形チャンバの外側に設けられた線形X線検出器アレイであって、線形X線検出器アレイは、造形チャンバに対して線形X線検出器アレイを移動させるように配置された線形X線検出器アレイアクチュエータに取り付けられている、線形X線検出器アレイと、コンピュータ、および実行されるとき、画像分析器に、線形X線検出器アレイから受信した信号からX線画像を形成させる命令を格納した1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体を有するメモリシステムを備える画像分析器とを備える、付加製造用検査システム。
条項21.X線管アクチュエータは、X線管を直線的に移動させるように配置されており、線形X線検出器アレイアクチュエータは、線形X線検出器アレイを直線的に、およびX線管と同期して移動させるように配置されている、条項20に記載の検査システム。
条項22.X線管アクチュエータおよび線形X線検出器アレイアクチュエータの一方は回転するように配置され、X線管アクチュエータおよび線形X線検出器アレイアクチュエータの他方は円弧状に移動するように配置されている、条項20または21に記載の検査システム。
条項23.付加製造中に欠陥を検出するための方法であって、時間T1において造形チャンバ内の物体の付加製造を一時停止するステップであって、T1は時間T0の後で時間TFの前であり、時間T0は形成中の物体の付加製造の開始であり、時間TFは造形チャンバ内の形成中の物体の付加製造の完了である、ステップと、X線管および線形X線検出器アレイを直線的かつ同期して移動させるステップであって、X線管および線形X線検出器アレイは造形チャンバの外側に設けられている、ステップと、X線管から線形開口を通じて形成中の物体にX線パルスを向けて、形成中の物体を走査するステップと、X線パルスが形成中の物体を走査した後で、線形X線検出器アレイによってX線パルスを検出するステップと、検出されたX線パルスに基づいて形成中の物体のX線画像を作成するステップと、を備える方法。
条項24.形成中の物体のX線画像を分析して欠陥の存在を判断するステップと、欠陥の存在に基づいて、時間TFの前に、形成中の物体の付加製造を停止するステップとをさらに備える、条項23に記載の方法。
条項25.時間T2において造形チャンバ内の物体の付加製造を一時停止するステップであって、時間T2は時間T1の後で時間TFの前である、ステップと、時間T2において、線形開口および線形X線検出器を直線的かつ同期して移動させながら、造形チャンバの内部で形成中の物体に第2のX線パルスを向けるステップと、第2のX線パルスと形成中の物体との相互作用の後で、線形X線検出器アレイによって、第2のX線パルスを検出するステップと、検出された第2のX線パルスに基づいて、形成中の物体の第2のX線画像を作成するステップとをさらに備える、条項23または24に記載の方法。
条項26.付加製造中に欠陥を検出するための方法であって、時間T1において造形チャンバ内の物体の付加製造を一時停止するステップであって、T1は時間T0の後で時間TFの前であり、時間T0は形成中の物体の付加製造の開始であり、時間TFは造形チャンバ内の形成中の物体の付加製造の完了である、ステップと、X線管および線形X線検出器アレイのうちの一方を回転させるステップと、線形X線検出器アレイとX線管との間の距離を維持するようにX線管および線形X線検出器アレイのうちの他方を円弧状に移動させるステップであって、X線管および線形X線検出器アレイは造形チャンバの外側に設けられている、ステップと、X線管から線形開口を通じて形成中の物体にX線パルスを向けて、形成中の物体を走査するステップと、X線パルスが形成中の物体を走査した後で、線形X線検出器アレイによってX線パルスを検出するステップと、検出されたX線パルスに基づいて形成中の物体のX線画像を作成するステップと、を備える方法。
条項27.形成中の物体のX線画像を分析して欠陥の存在を判断するステップと、欠陥の存在に基づいて、時間TFの前に、形成中の物体の付加製造を停止するステップとをさらに備える、条項26に記載の方法。
【0057】
本教示は1つ以上の実施に関して例示されてきたが、添付請求項の思想および範囲から逸脱することなく、例示された例に対して変更および/または修正を行うことができる。たとえば、プロセスは一連の動作またはイベントとして説明されているが、本教示がこのような動作またはイベントの順序によって限定されないことは、理解されるだろう。いくつかの動作は、本明細書に記載されるもののほかに、異なる順序で、および/または他の動作またはイベントと同時に行われてもよい。たとえば、方法のステップは、第1、第2、第3などとして説明されてきた。本明細書で使用される際に、これらの用語は、たとえば第1が第2の前に行われるなど、互いに対する相対的な順序のみを指す。また、全てのプロセスステップが、本教示の1つ以上の態様または実施に応じた方法論を実施する必要があるわけではない。構造コンポーネントおよび/またはプロセス段階を追加することができ、または構造コンポーネントおよび/またはプロセス段階を削除または修正できることが、理解されるだろう。さらに、本明細書に記載される動作の1つ以上は、1つ以上の別個の動作および/またはフェーズで実行されてもよい。さらにまた、詳細な説明または特許請求の範囲のいずれかで用語「含んでいる(including)」、「含む(includes)」、「有している(having)」、「有する(has)」、「有する(with)」、またはこれらの変形が使用される限り、このような用語は、用語「備えている(comprising)」と同様に包括的であるよう意図される。用語「少なくとも1つ」は、列挙されたアイテムのうちの1つ以上が選択され得ることを意味するために使用される。本明細書で使用される際に、たとえばAおよびBなどのアイテムのリストに対する用語「1つ以上」は、Aのみ、Bのみ、またはAおよびBを意味する。用語「少なくとも1つ」は、列挙されたアイテムのうちの1つ以上が選択され得ることを意味するために使用される。さらに、本明細書の説明および請求項において、互いに対して「on」である、2つの材料に対して使用される用語「on」は、材料間の少なくとも何らかの接触を意味し、一方で「over」は、材料が近接しているが、必須ではないものの接触の可能性がある1つ以上の追加の介在材料を有する可能性があることを意味する。「on
」も「over」も、本明細書で使用される際にいかなる指向性も暗示しない。用語「約」は、変更によって例示された実施に対するプロセスまたは構造の不一致が生じない限り、挙げられた値がある程度変更されてもよいことを示す。最後に、「例示的」は、説明が理想的であると暗示するのではなく、一例として使用されることを示す。本教示の他の実施は、明細書の検討および本明細書の開示の実践から、当業者にとって明らかとなるだろう。本明細書および例は単に例示的であると見なされることが意図され、本教示の真の範囲および思想は、以下の請求項によって示される。
【符号の説明】
【0058】
100 検査システム
110,310,410 X線管
120 開口
130,330 アクチュエータ
140,340,440 線形X線検出器アレイ
150,350,450 コンピュータ
154,354,454 コントローラー
156,356,456 画像分析器
160,360,460 造形チャンバ
301,401 金属粉末供給付加製造システム
311,411 X線パルス
380,480 金属粉末フィーダ
382,482 レーザービーム
399,499 物体
320,420 線形開口
405 X線管アクチュエータ
406 線形X線検出器アレイアクチュエータ
430 製造スタンド