(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】ヒドロキシステロイド17-βデヒドロゲナーゼ13(HSD17B13)バリアント及びその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/53 20060101AFI20240325BHJP
C12Q 1/6869 20180101ALI20240325BHJP
C12Q 1/6883 20180101ALI20240325BHJP
C12Q 1/686 20180101ALI20240325BHJP
C12Q 1/6827 20180101ALI20240325BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240325BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20240325BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240325BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240325BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240325BHJP
C12N 9/04 20060101ALI20240325BHJP
C12Q 1/6851 20180101ALI20240325BHJP
【FI】
C12N15/53 ZNA
C12Q1/6869 Z
C12Q1/6883 Z
C12Q1/686 Z
C12Q1/6827 Z
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12N9/04 Z
C12Q1/6851 Z
(21)【出願番号】P 2019539795
(86)(22)【出願日】2018-01-19
(86)【国際出願番号】 US2018014357
(87)【国際公開番号】W WO2018136702
(87)【国際公開日】2018-07-26
【審査請求日】2021-01-18
(32)【優先日】2017-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】597160510
【氏名又は名称】リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】REGENERON PHARMACEUTICALS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】アブル-フスン、ノウラ エス.
(72)【発明者】
【氏名】ゴッテスマン、オムリ
(72)【発明者】
【氏名】リー、アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】チェン、シーピン
(72)【発明者】
【氏名】シン、ユーロン
(72)【発明者】
【氏名】グロマダ、ジェスパー
(72)【発明者】
【氏名】デューイ、フレデリック イー.
(72)【発明者】
【氏名】バラス、アリス
(72)【発明者】
【氏名】シュルディナー、アラン
【審査官】太田 雄三
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-512803(JP,A)
【文献】国際公開第2013/190075(WO,A2)
【文献】Endocr J.,2014年05月01日,61(7),p. 683-689
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00
C12Q 1/68
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
HSD17B13遺伝子の連続するヌクレオチドを含む核酸分子であって、HSD17B13アイソフォームタンパク質の発現に使用するための核酸分子において、前記連続するヌクレオチドが、配列番号2によって表される配列を含むとともに配列番号2の12666位に対応する位置にチミンを有する、核酸分子。
【請求項2】
HSD17B13アイソフォームDの配列番号42によって表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子。
【請求項3】
前記核酸分子は、そのヌクレオチド配列が配列番号6によって表されるRNAであるか、またはそのヌクレオチド配列が配列番号24によって表されるそのcDNAであるか、あるいは、前記核酸分子はそのヌクレオチド配列が配列番号15によって表されるmRNAであるか、またはそのヌクレオチド配列が配列番号33によって表されるそのcDNAである、請求項2に記載の核酸分子。
【請求項4】
前記核酸分子は、そのヌクレオチド配列が配列番号6によって表されるRNAであるか、またはそのヌクレオチド配列が配列番号24によって表されるそのcDNAである、請求項2に記載の核酸分子。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の核酸分子を含むベクター。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか一項に記載の核酸分子を含む細胞。
【請求項7】
配列番号2の12666位に対応する位置を含む領域で、HSD17B13遺伝子もしくはその相補体に特異的にハイブリダイズされることができるものである15~50ヌクレオチドを含む核酸分子であって、配列番号2の12666位に対応する位置にチミンを有するHSD17B13遺伝子またはその相補体に特異的にハイブリダイズする核酸分子において、
前記核酸分子は、プライマーまたはプローブとして有用である、核酸分子。
【請求項8】
前記核酸分子は、そのヌクレオチド配列が配列番号6によって表されるRNA、またはそのヌクレオチド配列が配列番号24によって表されるそのcDNAに特異的にハイブリダイズされることができるものである、あるいは、前記核酸分子は、そのヌクレオチド配列が配列番号15によって表されるmRNA、またはそのヌクレオチド配列が配列番号33によって表されるそのcDNA、またはその相補体に特異的にハイブリダイズされることができるものである、請求項7に記載の核酸分子。
【請求項9】
前記核酸分子は、そのヌクレオチド配列が配列番号6によって表されるRNA、またはそのヌクレオチド配列が配列番号24によって表されるそのcDNAに特異的にハイブリダイズされることができるものである、請求項7に記載の核酸分子。
【請求項10】
前記核酸分子は、異種核酸に連結されているか、または異種標識を含む、請求項7~9のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項11】
請求項7~10のいずれか一項に記載の核酸分子を含むベクター。
【請求項12】
請求項7~10のいずれか一項に記載の核酸分子を含む細胞。
【請求項13】
前記核酸分子は、配列番号6に従うヌクレオチド配列を有するHSD17B13転写産物Dにハイブリダイズすることができるものである、請求項7に記載の核酸分子。
【請求項14】
前記核酸分子は、配列番号24に従うヌクレオチド配列を有するHSD17B13転写産物Dにハイブリダイズすることができるものである、請求項7に記載の核酸分子。
【請求項15】
前記核酸分子は、配列番号15に従うヌクレオチド配列を有するHSD17B13転写産物Dにハイブリダイズすることができるものである、請求項7に記載の核酸分子。
【請求項16】
前記核酸分子は、配列番号33に従うヌクレオチド配列を有するHSD17B13転写産物Dにハイブリダイズすることができるものである、請求項7に記載の核酸分子。
【請求項17】
ヒト対象におけるバリアントHSD17B13遺伝子の検出方法であって、前記ヒト対象から採取した生体試料に対してアッセイを行うことを含むかまたはそのことからなり、前記アッセイによって、野生型HSD17B13遺伝子の配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間にチミンが挿入されているか、またはバリアントHSD17B13遺伝子の配列番号2の12666位に対応する位置にチミンが存在するか判断し、前記チミンの存在によって、バリアントHSD17B13遺伝子が示される検出方法。
【請求項18】
ヒト対象におけるHSD17B13転写産物Dの存在の検出方法であって、前記ヒト対象から採取した生体試料に対してアッセイを行うことを含むかまたはそのことからなり、前記アッセイによって、前記生体試料におけるHSD17B13転写産物Dの存在を判断する検出方法。
【請求項19】
ヒト対象におけるHSD17B13アイソフォームDの存在の検出方法であって、前記ヒト対象から採取した生体試料に対してアッセイを行うことを含むかまたはそのことからなり、前記アッセイによって、前記生体試料におけるHSD17B13アイソフォームDの存在を判断する検出方法。
【請求項20】
ヒト対象が肝疾患を発症する感受性またはリスクの判断方法であって、
a)前記ヒト対象から採取した生体試料に対してアッセイを行うことであって、前記アッセイによって、野生型HSD17B13遺伝子の配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間にチミンが挿入されているか、またはバリアントHSD17B13遺伝子の配列番号2の12666位に対応する位置にチミンが存在するか判断することと、
b)野生型HSD17B13遺伝子の配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間にチミンが挿入されている場合、もしくはバリアントHSD17B13遺伝子の配列番号2の12666位に対応する位置にチミンが存在する場合に、肝疾患を発症するリスクが低下している者として、前記ヒト対象を分類すること、または野生型HSD17B13遺伝子の配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間にチミンが挿入されていない場合、もしくはバリアントHSD17B13遺伝子の配列番号2の12666位に対応する位置にチミンが存在しない場合に、肝疾患を発症するリスクが上昇している者として、前記ヒト対象を分類することと、
を含むか、あるいはそれらからなる判断方法。
【請求項21】
ヒト対象が肝疾患を発症する感受性またはリスクの判断方法であって、
a)前記ヒト対象から採取した生体試料に対してアッセイを行うことであって、前記アッセイによって、前記生体試料におけるHSD17B13転写産物Dの存在を判断することと、
b)HSD17B13転写産物Dが、前記生体試料に存在する場合に、肝疾患を発症するリスクが低下している者として、前記ヒト対象を分類すること、もしくはHSD17B13転写産物Dが、前記生体試料に存在しない場合に、肝疾患を発症するリスクが上昇している者として、そのヒト対象を分類することと、
を含むか、またはそれらからなる判断方法。
【請求項22】
ヒト対象が肝疾患を発症する感受性またはリスクの判断方法であって、
a)HSD17B13アイソフォームDが、前記ヒト対象から採取した生体試料に存在するか検出することと、
b)HSD17B13アイソフォームDが、前記生体試料において検出された場合に、肝疾患を発症するリスクが低下している者として、前記ヒト対象を分類すること、もしくはHSD17B13アイソフォームDが、前記生体試料において検出されなかった場合に、肝疾患を発症するリスクが低下している者として、前記ヒト対象を分類することと、
を含むか、またはそれらからなる判断方法。
【請求項23】
ヒト対象の、臨床的にさらに進行した段階の脂肪肝疾患に進行するリスクの判断方法であって、
a)前記ヒト対象から採取した生体試料に対してアッセイを行うことであって、前記アッセイによって、野生型HSD17B13遺伝子の配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間にチミンが挿入されているか、またはバリアントHSD17B13遺伝子の配列番号2の12666位に対応する位置にチミンが存在するか判断することと、
b)野生型HSD17B13遺伝子の配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間にチミンが挿入されている場合、もしくはバリアントHSD17B13遺伝子の配列番号2の12666位に対応する位置にチミンが存在する場合に、臨床的にさらに進行した段階の脂肪肝疾患に進行するリスクが低下している者として、前記ヒト対象を分類すること、または野生型HSD17B13遺伝子の配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間にチミンが挿入されていない場合、もしくはバリアントHSD17B13遺伝子の配列番号2の12666位に対応する位置にチミンが存在しない場合に、臨床的にさらに進行した段階の脂肪肝疾患に進行するリスクが上昇している者として、前記ヒト対象を分類することと、
を含むか、あるいはそれらからなる判断方法。
【請求項24】
ヒト対象の、臨床的にさらに進行した段階の脂肪肝疾患に進行するリスクの判断方法であって、
a)前記ヒト対象から採取した生体試料に対してアッセイを行うことであって、前記アッセイによって、前記生体試料におけるHSD17B13転写産物Dの存在を判断することと、
b)HSD17B13転写産物Dが、前記生体試料に存在する場合に、臨床的にさらに進行した段階の脂肪肝疾患に進行するリスクが低下している者として、前記ヒト対象を分類すること、もしくはHSD17B13転写産物Dが、前記生体試料に存在しない場合に、臨床的にさらに進行した段階の脂肪肝疾患に進行するリスクが上昇している者として、前記ヒト対象を分類することと、
を含むか、またはそれらからなる判断方法。
【請求項25】
ヒト対象の、臨床的にさらに進行した段階の脂肪肝疾患に進行するリスクの判断方法であって、
a)HSD17B13アイソフォームDが、前記ヒト対象から採取した生体試料に存在するか検出することと、
b)HSD17B13アイソフォームDが、前記生体試料において検出された場合に、臨床的にさらに進行した段階の肝疾患に進行するリスクが低下している者として、前記ヒト対象を分類することと、
を含むかまたはそれらからなる判断方法。
【請求項26】
前記核酸分子が、異種標識に連結もしくは融合されている、請求項1、7~10および13~16のいずれか一項に記載の核酸分子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願には、2018年1月18日に作成した18923800802SEQという名称の147キロバイトのサイズのテキストファイルとして電子的に提出した配列表が含まれる。この配列表は、参照により、本明細書に援用される。
【0002】
本開示は広くは、遺伝学の分野に関するものである。さらに詳細には、本開示は、例えば肝疾患と関連のあるヒドロキシステロイド17-βデヒドロゲナーゼ13(HSD17B13)における遺伝子の改変とポリペプチドバリアントに関するものである。
【背景技術】
【0003】
本明細書全体を通じて、様々な参照文献(特許、特許出願、アクセッション番号、技術論文及び学術論文を含む)が引用されている。各参照文献は、参照により、その全体が、あらゆる目的で、本明細書に援用される。
【0004】
慢性肝疾患と肝硬変は、米国において主要な罹患原因及び死因であり、2014年における死亡数は38,170件に及んでいる(総死亡数の1.5%)(非特許文献1)。米国において、肝硬変の病因として特に多いのは、アルコール性肝疾患、慢性C型肝炎及び非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)であり、2004~2013年では、肝移植を待っている患者の約80%をこれらの3つが占めていた(非特許文献2)。米国におけるNAFLDの推定存在率は19~46パーセントであり(非特許文献3~5)、おそらくは、NAFLDの主な危険因子である肥満率の上昇と連動して(非特許文献6)、時間の経過とともに上昇している(非特許文献7)。C型肝炎の治療は大きく進歩しているが(非特許文献8~9)、現時点では、アルコール性または非アルコール性肝疾患及び肝硬変に対するエビデンスベースの治療は存在しない。
【0005】
過去のゲノムワイド関連性解析(GWAS)によって、慢性肝疾患と関連のある遺伝子とバリアントが限られた数、同定されている。これまでで最も明確に立証された遺伝的関連性は、パタチン様ホスホリパーゼドメイン含有3遺伝子における共通のミスセンスバリアントに対するものであり(PNPLA3 p.Ile148Met、rs738409)、このバリアントはまず、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)リスクの上昇と関連することが分かり(非特許文献10~11)、その後、疾患重症度(非特許文献12~13)と進行(非特許文献14)と関連のあることが分かった。トランスメンブレン6スーパーファミリーメンバー2(TM6SF2)遺伝子の変化も、NAFLDリスクを上昇させることが示されている(非特許文献15~17)。これらの2つのタンパク質の正常な機能は、充分には分かっていないが、両方とも、肝細胞脂質の代謝に関与することが提議されている。PNPLA3とTM6SF2のバリアントが、肝疾患リスクの上昇に寄与する仕組みは、まだ明らかになっていない。GWASによって、臨床で頻繁に測定する肝細胞傷害と肝脂肪蓄積の量的マーカーである血清中アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)及びアスパルテートアミノトランスフェラーゼ(AST)と関連のあるいくつかの遺伝因子も特定されている(非特許文献18~19)。これまで、慢性肝疾患に対する保護的な遺伝的バリアントが示されたことはない。他の状態における保護的な遺伝的バリアント(心血管疾患リスクを軽減する、PCSK9の機能欠損バリアントなど)が、新たな種類の治療剤の開発につながってきた。
【0006】
慢性肝疾患の発症と進行の根底にある遺伝因子を明らかにすれば、リスクの層別化を進めて、新規治療策の土台を築くことができる。肝疾患に関して、リスクの層別化を進めて、新規療法を生み出すには、根底にある遺伝因子への理解を深める必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】Kochanek et al.,Natl.Vital Stat.Rep.,2016,65,1-122
【文献】Wong et al.,Gastroenterology,2015,148,547-555
【文献】Browning et al.,Hepatology,2004,40,1387-1395
【文献】Lazo et al.,Am.J.Epidemiol.,2013,178,38-45
【文献】Williams et al.,Gastroenterology,2011,140,124-131
【文献】Cohen et al.,Science,2011,332,1519-1523
【文献】Younossi et al.,Clin.Gastroenterol.Hepatol.,2011,9,524-530 e1;quiz e60,2011
【文献】Morgan et al.,Ann.Intern.Med.,2013,158,329-337
【文献】van der Meer et al.,J.Amer.Med.Assoc.,2012,308,2584-2593
【文献】Romeo et al.,Nat.Genet.,2008,40,1461-1465
【文献】Speliotes et al.,PLoS Genet.,2011,7:e1001324
【文献】Rotman et al.,Hepatology,2010,52,894-903
【文献】Sookoian et al.,J.Lipid Res.,2009,50,2111-2116
【文献】Trepo et al.,J.Hepatol.,2016,doi:10.1016/j.jhep.2016.03.011
【文献】Kozlitina et al.,Nat.Genet.,2014,46,352-356
【文献】Liu et al.,Nat.Commun.,2014,5,4309
【文献】Sookoian et al.,Hepatology,2015,61,515-525
【文献】Chambers et al.,Nat.Genet.,2011,43,1131-1138
【文献】Yuan et al.,Am.J.Hum.Genet.,2008,83,520-528
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、HSD17B13の生物学的現象の理解を助けるとともに、肝疾患の対象の診断と治療を容易にすることになる新規HSD17B13バリアントを提供する。
本開示は、バリアントHSD17B13 rs72613567遺伝子、バリアントHSD17B13転写産物及びバリアントHSD17B13タンパク質アイソフォームに関連する核酸分子、ポリペプチド、プローブ、プライマー、組成物及び方法を提供する。
【0009】
本開示は、バリアントHSD17B13タンパク質アイソフォームをコードする核酸分子も提供する。いくつかの実施形態では、その核酸分子は、バリアントHSD17B13タンパク質のアイソフォームC、アイソフォームD、アイソフォームF、アイソフォームGまたはアイソフォームHをコードする。いくつかの実施形態では、その核酸分子は、バリアントHSD17B13タンパク質アイソフォームDをコードする。
【0010】
本開示は、HSD17B13遺伝子の少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含むかまたはそれらからなる核酸分子であって、その連続するヌクレオチドが、配列番号2における対応配列と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であり、配列番号2の12666位に対応する位置にチミンを有する核酸分子も提供する。
【0011】
本開示は、HSD17B13アイソフォームDのアミノ酸配列(配列番号42)と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または100%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むかまたはそれらからなる核酸分子も提供する。いくつかの実施形態では、その核酸分子は、HSD17B13アイソフォームDのアミノ酸配列(配列番号42)を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むかまたはその配列からなる。いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子は、HSD17B13転写産物Dのヌクレオチド配列(配列番号6、15、24または33)と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または100%同一であるヌクレオチド配列を含むかまたはその配列からなる。いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子は、RNAであり、配列番号6を含むかもしくは配列番号6からなるか、または配列番号24を含むかもしくは配列番号24からなるそのcDNAであり、あるいは、この核酸分子は、mRNAであり、配列番号15を含むかもしくは配列番号15からなるか、または配列番号33を含むかもしくは配列番号33からなるそのcDNAである。
【0012】
本開示は、バリアントHSD17B13 rs72613567遺伝子またはHSD17B13転写産物における変化部またはその変化部の近くにハイブリダイズする核酸分子(変化部特異的プローブまたは変化部特異的プライマーのようなプローブ及びプライマーなど)も提供する。
【0013】
本開示は、配列番号2の12666位に対応する位置を含む領域で、バリアントHSD17B13遺伝子もしくはその相補体に特異的にハイブリダイズする約5ヌクレオチドから最大で約50ヌクレオチドを含むか、またはそれらからなる核酸分子であって、配列番号2の12666位に対応する位置にチミンを有するバリアントHSD17B13遺伝子またはその相補体に特異的にハイブリダイズする核酸分子も提供する。
【0014】
本開示は、バリアントHSD17B13転写産物Dに特異的にハイブリダイズする約5ヌクレオチドから最大で約50ヌクレオチドを含むかまたはそれらからなる核酸分子であって、i)配列番号6、15、24もしくは33のヌクレオチド配列と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%もしくは100%同一であるヌクレオチド配列、またはii)i)のヌクレオチド配列の相補体に特異的にハイブリダイズする核酸分子も提供する。
【0015】
本開示は、i)配列番号6、15、24もしくは33のヌクレオチド配列と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%もしくは100%同一であるヌクレオチド配列またはその相補体に特異的にハイブリダイズする核酸分子、ii)転写産物Dのエキソン2に特異的にハイブリダイズする核酸分子、及び/またはiii)転写産物Dのエキソン3とエキソン4を架橋する領域に特異的にハイブリダイズする核酸分子を含む約5ヌクレオチドから最大で約50ヌクレオチドを含むか、あるいはそれらからなる核酸分子も提供する。いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子は、配列番号6を含むかもしくは配列番号6からなるRNA分子、または配列番号24を含むかもしくは配列番号24からなるそのcDNAに特異的にハイブリダイズするか、あるいは、その核酸分子は、配列番号15を含むかもしくは配列番号15からなるmRNA、配列番号33を含むかもしくは配列番号33からなるそのcDNA、またはそれらの相補体に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子は、異種核酸に連結されているか、または異種標識を含む。
【0016】
本開示は、これらの核酸分子のいずれかを含むベクターも提供する。
本開示は、これらの核酸分子のいずれかを含む細胞も提供する。
本開示は、これらのベクターのいずれかを含む細胞も提供する。
【0017】
本開示は、これらの核酸分子のいずれかを含む組成物も提供する。
本開示は、これらのベクターのいずれかを含む組成物も提供する。
本開示は、これらの細胞のいずれかを含む組成物も提供する。
【0018】
本開示は、バリアントHSD17B13遺伝子もしくは転写産物を検出したり、ヒト対象が肝疾患を発症する感受性もしくはリスクを判断したり、またはヒト対象の、臨床的にさらに進行した段階の脂肪肝疾患に進行するリスクを割り出したりするための、これらの核酸分子のいずれかの使用も提供する。
【0019】
本開示は、それぞれ異なるバリアントHSD17B13タンパク質アイソフォームと対応するポリペプチドも提供する。
本開示は、HSD17B13アイソフォームDのアミノ酸配列(配列番号42)と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または100%同一であるアミノ酸配列を含むかまたはその配列からなるポリペプチドも提供する。いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドは、配列番号42のアミノ酸配列を含むかまたはその配列からなる。いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドは、異種分子に連結されている。
【0020】
本開示は、これらのポリペプチドのいずれかを含む組成物も提供する。
本開示は、バリアントHSD17B13 rs72613567遺伝子、バリアントHSD17B13転写産物(転写産物Dなど)及びバリアントHSD17B13アイソフォーム(アイソフォームDなど)の検出方法も提供する。
【0021】
本開示は、ヒト対象におけるバリアントHSD17B13遺伝子の検出方法であって、ヒト対象から採取した生体試料に対してアッセイを行うことを含み、そのアッセイによって、野生型HSD17B13遺伝子の配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間にチミンが挿入されているか、またはバリアントHSD17B13遺伝子の配列番号2の12666位に対応する位置にチミンが存在するかを判断し、チミンの存在によって、バリアントHSD17B13遺伝子が示される方法も提供する。いくつかの実施形態では、このアッセイは、HSD17B13遺伝子の部分のうち、配列番号1の12665位と12666位に対応する位置を含むか、または配列番号2の12666位に対応する位置を含む部分をシークエンシングすることを含む。いくつかの実施形態では、このアッセイは、i)HSD17B13遺伝子の領域のうち、野生型HSD17B13遺伝子の配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の50ヌクレオチド以内、またはバリアントHSD17B13遺伝子の配列番号2の12666位に対応する位置の50ヌクレオチド以内である領域にハイブリダイズするプライマーと、生体試料とを接触させることと、ii)野生型HSD17B13遺伝子の配列番号1の12665位と12666位に対応する位置、またはバリアントHSD17B13遺伝子の配列番号2の12666位に対応する位置を少なくとも通るように、そのプライマーを伸長させることと、iii)そのプライマーの伸長産物において、野生型HSD17B13遺伝子の配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間にチミンが挿入されているか、またはバリアントHSD17B13遺伝子の配列番号2の12666位に対応する位置にチミンが存在するか判断することを含むか、またはこれらからなる。いくつかの実施形態では、この方法は、そのヒト対象が、バリアントHSD17B13遺伝子においてホモ型であるか判断することをさらに含む。
【0022】
本開示は、ヒト対象におけるHSD17B13転写産物Dの存在の検出方法であって、その対象から採取した生体試料に対してアッセイを行うことを含み、そのアッセイによって、その生体試料におけるHSD17B13転写産物Dの存在を判断する方法も提供する。いくつかの実施形態では、このアッセイは、HSD17B13転写産物Dの核酸配列もしくはその相補体に特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマーもしくはプローブと、生体試料とを接触させることと、ハイブリダイズが行われたかを判断することを含むか、またはこれらからなる。いくつかの実施形態では、この方法は、i)配列番号6、15、24もしくは33のヌクレオチド配列と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%もしくは100%同一であるヌクレオチド配列、またはその相補体に特異的にハイブリダイズする核酸分子、ii)転写産物Dのエキソン2に特異的にハイブリダイズする核酸分子、及び/またはiii)転写産物Dのエキソン3とエキソン4を架橋する領域に特異的にハイブリダイズする核酸分子を含むか、あるいはこれらからなる約5ヌクレオチドから最大で約50ヌクレオチドを含むかまたはこれらからなる核酸分子を用いることによって、転写産物Dを特異的に検出することをさらに含むか、あるいはこのことからなる。いくつかの実施形態では、HSD17B13転写産物Dは、配列番号6、15、24もしくは33と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または100%同一であるヌクレオチド配列を含むか、またはその配列からなる。いくつかの実施形態では、その1つ以上のプライマーまたはプローブは、配列番号6、配列番号15、配列番号24及び/または配列番号33に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、このアッセイは、転写産物A、B、C、E、F、F’、G及び/またはHの1つ以上に特異的にハイブリダイズするが、転写産物Dに特異的にハイブリダイズしないプライマーまたはプローブを用いることと、ハイブリダイズが行われなかったことを判断することをさらに含む。いくつかの実施形態では、このアッセイは、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)を含む。いくつかの実施形態では、このアッセイは、シークエンシングを含む。
【0023】
本開示は、ヒト対象におけるHSD17B13アイソフォームDの存在の検出方法であって、そのヒト対象から採取した生体試料に対してアッセイを行うことを含み、そのアッセイによって、その生体試料におけるHSD17B13アイソフォームDの存在を判断する方法も提供する。いくつかの実施形態では、HSD17B13アイソフォームDは、配列番号42と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または100%同一であるアミノ酸配列を含むかまたはその配列からなる。いくつかの実施形態では、このアッセイは、シークエンシングを含む。
【0024】
本開示は、対象から得た試料に、バリアントHSD17B13 rs72613567遺伝子、バリアントHSD17B13転写産物(転写産物Dなど)及びバリアントHSD17B13アイソフォーム(アイソフォームDなど)が存在するか判断することによって、肝疾患を発症することに対する対象の感受性を判断する方法及び/または肝疾患の対象を診断する方法も提供する。
【0025】
本開示は、ヒト対象が肝疾患を発症する感受性またはリスクの判断方法であって、a)そのヒト対象から採取した生体試料に対してアッセイを行うことであって、そのアッセイによって、HSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間にチミンが挿入されているか、またはバリアントHSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号2の12666位に対応する位置にチミンが存在するかを判断することと、b)野生型HSD17B13遺伝子の配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間にチミンが挿入されている場合、もしくはバリアントHSD17B13遺伝子の配列番号2の12666位に対応する位置にチミンが存在する場合に、肝疾患を発症するリスクが低下している者として、そのヒト対象を分類すること、またはHSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間にチミンが挿入されていない場合、もしくはバリアントHSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号2の12666位に対応する位置にチミンが存在しない場合に、肝疾患を発症するリスクが上昇している者として、そのヒト対象を分類することを含むか、あるいはこれらからなる方法も提供する。いくつかの実施形態では、その肝疾患は、慢性肝疾患である。いくつかの実施形態では、その肝疾患は、脂肪肝疾患、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、アルコール性脂肪肝疾患、肝硬変、ウイルス性肝炎、肝細胞癌、単純性脂肪肝、脂肪肝炎、線維症及び非アルコール性脂肪肝炎(NASH)からなる群から選択されている。いくつかの実施形態では、このアッセイは、i)HSD17B13遺伝子の領域であって、HSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号1の12665位と12666位に対応する位置または配列番号2の12666位に対応する位置の50ヌクレオチド以内である領域にハイブリダイズするプライマーと、生体試料とを接触させることと、ii)HSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号1の12665位と12666位に対応する位置または配列番号2の12666位に対応する位置を少なくとも通るように、そのプライマーを伸長させることと、iii)そのプライマーの伸長産物において、野生型HSD17B13遺伝子の配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間にチミンが挿入されているか、もしくはバリアントHSD17B13遺伝子の配列番号2の12666位に対応する位置にチミンが存在するか判断することを含むか、またはこれらからなる。いくつかの実施形態では、このアッセイは、ストリンジェント条件下で、配列番号2の12666位に対応する位置にチミンを有するバリアントHSD17B13遺伝子に特異的にハイブリダイズするとともに、対応する野生型HSD17B13遺伝子にハイブリダイズしないプライマーもしくはプローブと、生体試料とを接触させることと、ハイブリダイズが行われたか判断することを含むか、またはこれらからなる。いくつかの実施形態では、このバリアントHSD17B13遺伝子は、シークエンシングによって検出する。いくつかの実施形態では、この方法は、そのヒト対象が、バリアントHSD17B13遺伝子においてホモ型であるか判断することをさらに含む。
【0026】
本開示は、ヒト対象が肝疾患を発症する感受性またはリスクの判断方法であって、a)そのヒト対象から採取した生体試料に対してアッセイを行うことであって、そのアッセイによって、その生体試料におけるHSD17B13転写産物Dの存在を判断することと、b)HSD17B13転写産物Dが、その生体試料に存在する場合に、肝疾患を発症するリスクが低下している者として、そのヒト対象を分類すること、もしくはHSD17B13転写産物Dが、その生体試料に存在しない場合に、肝疾患を発症するリスクが上昇している者として、そのヒト対象を分類することを含むか、またはこれらからなる方法も提供する。いくつかの実施形態では、HSD17B13転写産物Dは、配列番号6、15、24もしくは33と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%もしくは100%同一であるヌクレオチド配列を含むか、またはその配列からなる。いくつかの実施形態では、このHSD17B13転写産物Dは、RNAであり、配列番号6を含むかもしくは配列番号6からなるか、または配列番号24を含むかもしくは配列番号24からなるそのcDNAであり、あるいは、このHSD17B13転写産物Dは、mRNAであり、配列番号15を含むかもしくは配列番号15からなるか、または配列番号33を含むかもしくは配列番号33からなるそのcDNAである。いくつかの実施形態では、このアッセイによって、生体試料におけるHSD17B13転写産物Dの発現レベルを判断し、野生型HSD17B13アレルにおいてホモ型であるコントロールのヒト対象から得たコントロール試料と比べて、HSD17B13転写産物Dの発現レベルが上昇していることによって、肝疾患を発症するリスクが低下していることが示され、このコントロール試料と比べて、HSD17B13転写産物Dの発現レベルが同じであるかまたは低下していることによって、肝疾患を発症するリスクが上昇していることが示される。いくつかの実施形態では、その肝疾患は、慢性肝疾患である。いくつかの実施形態では、その肝疾患は、脂肪肝疾患、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、アルコール性脂肪肝疾患、肝硬変、ウイルス性肝炎、肝細胞癌、単純性脂肪肝、脂肪肝炎、線維症及び非アルコール性脂肪肝炎(NASH)からなる群から選択されている。いくつかの実施形態では、このアッセイは、HSD17B13転写産物Dの核酸配列もしくはその相補体に特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマーまたはプローブと、生体試料とを接触させることと、ハイブリダイズが行われたか判断することを含むか、またはこれらからなる。いくつかの実施形態では、この方法は、i)配列番号6、15、24もしくは33のヌクレオチド配列と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%もしくは100%同一であるヌクレオチド配列またはその相補体に特異的にハイブリダイズする核酸分子、ii)転写産物Dのエキソン2に特異的にハイブリダイズする核酸分子、及び/またはiii)転写産物Dのエキソン3とエキソン4を架橋する領域に特異的にハイブリダイズする核酸分子を含む約5ヌクレオチドから最大で約50ヌクレオチドを含む核酸分子を用いることによって、転写産物Dを特異的に検出することをさらに含む。いくつかの実施形態では、HSD17B13転写産物Dは、配列番号6、15、24もしくは33と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%もしくは100%同一であるヌクレオチド配列を含むか、またはその配列からなる。いくつかの実施形態では、その1つ以上のプライマーまたはプローブは、配列番号6、配列番号15、配列番号24及び/または配列番号33に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、このアッセイは、転写産物A、B、C、E、F、F’、G及び/またはHの1つ以上に特異的にハイブリダイズするが、転写産物Dに特異的にハイブリダイズしないプライマーまたはプローブを用いることと、ハイブリダイズが行われなかったことを判断することをさらに含む。いくつかの実施形態では、このアッセイは、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)または定量RT-PCR(qRT-PCR)を含む。いくつかの実施形態では、このアッセイは、シークエンシングを含む。
【0027】
本開示は、ヒト対象が肝疾患を発症する感受性またはリスクの判断方法であって、a)HSD17B13アイソフォームDが、そのヒト対象から採取した生体試料に存在するか検出することと、b)HSD17B13アイソフォームDが、その生体試料において検出された場合に、肝疾患を発症するリスクが低下している者として、そのヒト対象を分類するか、もしくはHSD17B13アイソフォームDが、その生体試料において検出されなかった場合に、肝疾患を発症するリスクが低下している者として、そのヒト対象を分類することを含むか、またはこれらからなる方法も提供する。いくつかの実施形態では、HSD17B13アイソフォームDは、配列番号42と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%もしくは100%同一であるアミノ酸配列を含むか、またはその配列からなる。いくつかの実施形態では、その肝疾患は、慢性肝疾患である。いくつかの実施形態では、その肝疾患は、脂肪肝疾患、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、アルコール性脂肪肝疾患、肝硬変、ウイルス性肝炎、肝細胞癌、単純性脂肪肝、脂肪肝炎、線維症及び非アルコール性脂肪肝炎(NASH)からなる群から選択されている。いくつかの実施形態では、その検出作業(detecting)は、シークエンシングを含む。
【0028】
本開示は、ヒト対象の、臨床的にさらに進行した段階の脂肪肝疾患に進行するリスクの判断方法であって、a)そのヒト対象から採取した生体試料に対してアッセイを行うことであって、そのアッセイによって、野生型HSD17B13遺伝子の配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間にチミンが挿入されているか、またはバリアントHSD17B13遺伝子の配列番号2の12666位に対応する位置にチミンが存在するか判断することと、b)野生型HSD17B13遺伝子の配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間にチミンが挿入されている場合、もしくはバリアントHSD17B13遺伝子の配列番号2の12666位に対応する位置にチミンが存在する場合に、臨床的にさらに進行した段階の脂肪肝疾患に進行するリスクが低下している者として、そのヒト対象を分類するか、またはHSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間にチミンが挿入されていない場合、もしくはバリアントHSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号2の12666位に対応する位置にチミンが存在しない場合に、臨床的にさらに進行した段階の脂肪肝疾患に進行するリスクが上昇している者として、そのヒト対象を分類することを含むか、あるいはこれらからなる方法も提供する。いくつかの実施形態では、このアッセイは、i)HSD17B13遺伝子の領域であって、HSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号1の12665位と12666位に対応する位置または配列番号2の12666位に対応する位置の50ヌクレオチド以内である領域にハイブリダイズするプライマーと、生体試料とを接触させることと、ii)HSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号1の12665位と12666位に対応する位置または配列番号2の12666位に対応する位置を少なくとも通るように、そのプライマーを伸長させることと、iii)そのプライマーの伸長産物において、野生型HSD17B13遺伝子の配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間にチミンが挿入されているか、もしくはバリアントHSD17B13遺伝子の配列番号2の12666位に対応する位置にチミンが存在するか判断することを含むか、またはこれらからなる。いくつかの実施形態では、このアッセイは、ストリンジェント条件下で、配列番号2の12666位に対応する位置にチミンを有するバリアントHSD17B13遺伝子に特異的にハイブリダイズするとともに、対応する野生型HSD17B13遺伝子に特異的にハイブリダイズしないプライマーもしくはプローブと、生体試料とを接触させることと、ハイブリダイズが行われたか判断することを含むか、またはこれらからなる。いくつかの実施形態では、このバリアントHSD17B13遺伝子は、シークエンシングによって検出する。いくつかの実施形態では、この方法は、そのヒト対象が、バリアントHSD17B13遺伝子においてホモ型であるか判断することをさらに含む。
【0029】
本開示は、ヒト対象の、臨床的にさらに進行した段階の脂肪肝疾患に進行するリスクの判断方法であって、a)そのヒト対象から採取した生体試料に対してアッセイを行うことであって、そのアッセイによって、その生体試料におけるHSD17B13転写産物Dの存在を判断することと、b)HSD17B13転写産物Dが、その生体試料に存在する場合に、臨床的にさらに進行した段階の脂肪肝疾患に進行するリスクが低下している者として、そのヒト対象を分類するか、もしくはHSD17B13転写産物Dが、その生体試料に存在しない場合に、臨床的にさらに進行した段階の脂肪肝疾患に進行するリスクが上昇している者として、そのヒト対象を分類することを含むか、またはこれらからなる方法も提供する。いくつかの実施形態では、HSD17B13転写産物Dは、配列番号6、15、24もしくは33と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または100%同一であるヌクレオチド配列を含むか、またはその配列からなる。いくつかの実施形態では、このHSD17B13転写産物Dは、RNAであり、配列番号6を含むかもしくは配列番号6からなるか、または配列番号24を含むかもしくは配列番号24からなるそのcDNAであり、あるいは、このHSD17B13転写産物Dは、mRNAであり、配列番号15を含むかもしくは配列番号15からなるか、または配列番号33を含むかもしくは配列番号33からなるそのcDNAである。いくつかの実施形態では、そのアッセイによって、その生体試料におけるHSD17B13転写産物Dの発現レベルを判断し、野生型HSD17B13アレルにおいてホモ型であるコントロールのヒト対象から得たコントロール試料と比べて、HSD17B13転写産物Dの発現レベルが上昇していることによって、臨床的にさらに進行した段階の脂肪肝疾患に進行するリスクが低下していることが示され、このコントロール試料と比べて、HSD17B13転写産物Dの発現レベルが同じであるかまたは低下していることによって、臨床的にさらに進行した段階の脂肪肝疾患に進行するリスクが上昇していることが示される。いくつかの実施形態では、このアッセイは、HSD17B13転写産物Dの核酸配列もしくはその相補体に特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマーまたはプローブと、生体試料とを接触させることと、ハイブリダイズが行われたかを判断することを含むか、またはこれらからなる。いくつかの実施形態では、この方法は、i)配列番号6、15、24もしくは33のヌクレオチド配列と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%もしくは100%同一であるヌクレオチド配列、またはその相補体に特異的にハイブリダイズする核酸分子、ii)転写産物Dのエキソン2に特異的にハイブリダイズする核酸分子、及び/またはiii)転写産物Dのエキソン3とエキソン4を架橋する領域に特異的にハイブリダイズする核酸分子を含む約5ヌクレオチドから最大で約50ヌクレオチドを含む核酸分子を用いることによって、転写産物Dを特異的に検出することをさらに含む。いくつかの実施形態では、その1つ以上のプライマーまたはプローブは、配列番号6、配列番号15、配列番号24及び/または配列番号33に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、このアッセイは、転写産物A、B、C、E、F、F’、G及び/またはHの1つ以上に特異的にハイブリダイズするが、転写産物Dに特異的にハイブリダイズしないプライマーまたはプローブを用いることと、ハイブリダイズが行われなかったことを判断することをさらに含む。いくつかの実施形態では、このアッセイは、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)または定量RT-PCR(qRT-PCR)を含む。いくつかの実施形態では、このアッセイは、シークエンシングを含む。
【0030】
本開示は、ヒト対象の、臨床的にさらに進行した段階の脂肪肝疾患に進行するリスクの判断方法であって、a)HSD17B13アイソフォームDが、そのヒト対象から採取した生体試料に存在するか検出することと、b)HSD17B13アイソフォームDが、その生体試料において検出された場合に、臨床的にさらに進行した段階の肝疾患に進行するリスクが低下している者として、そのヒト対象を分類することを含む方法も提供する。いくつかの実施形態では、HSD17B13アイソフォームDは、配列番号42と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、その検出作業は、シークエンシングを含む。
【0031】
添付の図面は、本明細書に援用されるとともに、本明細書の一部を構成するが、いくつかの態様を図示するとともに、説明と併せて、本開示の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1A】GHS発見コホートにおけるシングルヌクレオチドバリアントと、血清中トランスアミナーゼレベルとの関連性のマンハッタンプロット(左)と分位点-分位点プロット(右)を示しており、P<1.0×10
-7で、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルと有意に関連付けられた遺伝子のバリアントが示されている。
【
図1B】GHS発見コホートにおけるシングルヌクレオチドバリアントと、血清中トランスアミナーゼレベルとの関連性のマンハッタンプロット(左)と分位点-分位点プロット(右)を示しており、P<1.0×10
-7で、アスパルテートアミノトランスフェラーゼ(AST)レベルと有意に関連付けられた遺伝子のバリアントが示されている。エキソームワイドな分位点-分位点プロットとジェノミックコントロールのλ値によって示されているように、関連性解析を充分に較正した。
【
図2A】HSD17B13 rs72613567:TAが、アルコール性肝疾患及び非アルコール性肝疾患の表現型のリスクの低下と関連することを示している。HSD17B13 rs72613567は、アレル量依存的に、非アルコール性肝疾患、アルコール性肝疾患、肝硬変及び肝細胞癌のオッズ比の低下と関連付けられた。これらのオッズ比は、年齢、年齢の二乗、性別、BMI及び祖先系統の主成分で調整して、ロジスティック回帰を用いて算出した。ヘテロ型キャリアの遺伝子型のオッズ比(Het OR)とホモ型キャリアの遺伝子型のオッズ比(Hom OR)も示されている。
【
図2B】HSD17B13 rs72613567:TAが、アルコール性肝疾患及び非アルコール性肝疾患の表現型のリスクの低下と関連することを示している。Dallas Liver Studyにおいて、HSD17B13 rs72613567は、アレル量依存的に、すべての肝疾患のオッズ比の低下と関連付けられた。肝疾患のサブタイプ全体にわたって、同様のアレル量依存的作用が観察された。オッズ比は、年齢、年齢の二乗、性別、BMI及び自己申告の民族性で調整して、ロジスティック回帰を用いて算出した。
【
図3A】HSD17B13 rs72613567:TAが、単純性脂肪肝から脂肪肝炎及び線維症に進行するリスクの低下と関連することを示している。GHS肥満外科手術コホートから得た、肝臓生検標本のある2,391人の個体における、病理組織学的に特徴付けた肝疾患の存在率であって、HSD17B13 rs72613567遺伝子型ごとの存在率である。正常な肝臓の存在率には、遺伝子型による違いがないようであった(比率のトレンドに関するカイ二乗検定によるP=0.5)が、各TAアレルでは、NASHの存在率は低下し(P=1.6×10
-4)、単純性脂肪肝の存在率は上昇した(P=1.1×10
-3)。
【
図3B】HSD17B13 rs72613567:TAが、単純性脂肪肝から脂肪肝炎及び線維症に進行するリスクの低下と関連することを示している。GHS肥満外科手術コホートにおいて、HSD17B13 rs72613567は、ヘテロ型TAキャリアでは、NASHのオッズ比の13%低下と、線維症のオッズ比の13%低下、ホモ型TAキャリアでは、NASHのオッズ比の52%低下と、線維症のオッズ比の61%低下と関連付けられた。オッズ比は、年齢、年齢の二乗、性別、BMI及び祖先系統の主成分で調整して、ロジスティック回帰を用いて算出した。ヘテロ型キャリアの遺伝子型のオッズ比(Het OR)とホモ型キャリアの遺伝子型のオッズ比(Hom OR)も示されている。
【
図4A】新規HSD17B13転写産物の発現、細胞内局在及び酵素活性を示している。
図4Aは、HSD17B13 rs72613567スプライスバリアントの参照ホモ型(T/T)キャリア、バリアントヘテロ型(T/TA)キャリア及びバリアントホモ型(TA/TA)キャリアにおけるHSD17B13転写産物A及びDの発現量である。HSD17B13遺伝子のコード領域が、縦型長方形で示されており、非翻訳領域が太い線として示されており、イントロンが、細い線として示されている。転写産物Dにおけるアステリスクは、rs72613567由来の、Aの挿入を示している。mRNA発現量は、FPKMの単位(100万マッピングリード当たりの転写産物の1キロベース当たりの断片数)で示されている。
図4Bは、新鮮な凍結ヒト肝臓とHEK293細胞試料から得たHSD17B13のウエスタンブロットである。ヒト肝臓試料は、HSD17B13 rs72613567スプライスバリアントの参照ホモ型(T/T)キャリア、バリアントヘテロ型(T/TA)キャリア及びバリアントホモ型(TA/TA)キャリアから得たものである。細胞試料は、タグが付加されていないHSD17B13転写産物A及びDを過剰発現するHEK293細胞から得たものであり、HSD17B13転写産物Dは、HSD17B13 IsoAよりも低分子量のトランケート型タンパク質IsoDに翻訳された。
図4Cでは、HSD17B13 IsoDタンパク質レベルが、ヒト肝臓試料(左)と細胞試料(右)の両方において、IsoAタンパク質レベルよりも低かった。アクチンに対して正規化したタンパク質レベルを棒グラフで示した。**P<0.001、*P<0.05であった。
図4Dでは、HSD17B13アイソフォームA及びDのいずれも、脂肪滴膜に局在化していた。HSD17B13転写産物AまたはDを安定的に過剰発現するHepG2をBODIPYで標識し、脂肪滴を示すようにし、抗Mycで標識して、HSD17B13の局在を示すようにした。いずれの図も、同じ程度まで拡大されており、スケールバーは、10μmを示している。挿入図は、元の画像の4倍拡大図を表している。
図4Eは、17-βエストラジオール(エストラジオール)、ロイコトリエンB4(LTB4)及び13-ヒドロキシオクタデカジエン酸(13(S)-HODE)に対するHSD17B13アイソフォームA及びDの酵素活性である。HSD17B13アイソフォームDでは、アイソフォームAの酵素活性値の10%未満の酵素活性が見られた。
図4Fでは、HSD17B13アイソフォームDをHEK293細胞で過剰発現させたところ、培養培地で測定したときに、エストラジオール(基質)のエストロン(生成物物)への変換は、あまり見られなかったが、過剰発現させたHSD17B13アイソフォームAでは、活発な変換が見られた。
【
図5A】GHS発見コホートにおけるHSD17B13の周辺領域でのアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルの領域関連プロットを示している。
【
図5B】GHS発見コホートにおけるHSD17B13の周辺領域でのアスパルテートアミノトランスフェラーゼ(AST)レベルの領域関連プロットを示している。ひし形は、スプライスバリアントrs72613567を示しており、各円は、シングルヌクレオチドバリアントを示しており、円の色は、そのバリアントとrs72613567との連鎖不均衡を示しており(DiscovEHRコホートで算出したr
2)、線は、HapMapにおける推定組み換え率を示しており、下のパネルは、その座位における各遺伝子の相対位置と転写鎖を示している。隣接遺伝子HSD17B11では、ALTまたはASTと、コーディングまたはスプライス領域バリアントとの間に、有意な関連性は見られなかった(最も有意性の高いP値:ALTでは1.4×10
-1、ASTでは4.3×10
-2)。
【
図6A】
図6Aは、HSD17B13スプライスバリアントの参照ホモ型アレル(T/T)キャリア、バリアントヘテロ型アレル(T/TA)キャリア、バリアントホモ型アレル(TA/TA)キャリアにおけるHSD17B13転写産物AのmRNA発現量を示している。
図6Bは、HSD17B13スプライスバリアントの参照ホモ型アレル(T/T)キャリア、バリアントヘテロ型アレル(T/TA)キャリア、バリアントホモ型アレル(TA/TA)キャリアにおけるHSD17B13転写産物BのmRNA発現量を示している。
図6Cは、HSD17B13スプライスバリアントの参照ホモ型アレル(T/T)キャリア、バリアントヘテロ型アレル(T/TA)キャリア、バリアントホモ型アレル(TA/TA)キャリアにおけるHSD17B13転写産物CのmRNA発現量を示している。
図6Dは、HSD17B13スプライスバリアントの参照ホモ型アレル(T/T)キャリア、バリアントヘテロ型アレル(T/TA)キャリア、バリアントホモ型アレル(TA/TA)キャリアにおけるHSD17B13転写産物DのmRNA発現量を示している。
図6Eは、HSD17B13スプライスバリアントの参照ホモ型アレル(T/T)キャリア、バリアントヘテロ型アレル(T/TA)キャリア、バリアントホモ型アレル(TA/TA)キャリアにおけるHSD17B13転写産物EのmRNA発現量を示している。
図6Fは、HSD17B13スプライスバリアントの参照ホモ型アレル(T/T)キャリア、バリアントヘテロ型アレル(T/TA)キャリア、バリアントホモ型アレル(TA/TA)キャリアにおけるHSD17B13転写産物FのmRNA発現量を示している。
図6Gは、HSD17B13スプライスバリアントの参照ホモ型アレル(T/T)キャリア、バリアントヘテロ型アレル(T/TA)キャリア、バリアントホモ型アレル(TA/TA)キャリアにおけるHSD17B13転写産物GのmRNA発現量を示している。
図6Hは、HSD17B13スプライスバリアントの参照ホモ型アレル(T/T)キャリア、バリアントヘテロ型アレル(T/TA)キャリア、変異ホモ型アレル(TA/TA)キャリアにおけるHSD17B13転写産物HのmRNA発現量を示している。各転写産物は、対応する遺伝子モデルとともに図示されている。遺伝子モデルのコード領域は、縦型長方形で示されており、非翻訳領域は、太い線として示されており、イントロンは、細い線として示されており、アステリスクは、rs72613567由来の、Aの挿入を示している。転写産物の発現量は、ボックスプロットによって示されているように、HSD17B13の遺伝子型によって異なっている。mRNA発現量は、FPKM単位(100万マッピングリード当たりの転写産物の1キロベース当たりの断片数)で示されている。
【
図7A】同定したすべてのHSD17B13アイソフォーム(A~H)のタンパク質配列アラインメントを示している。
【
図7B】同定したすべてのHSD17B13アイソフォーム(A~H)のタンパク質配列アラインメントを示している。
【
図8A】HSD17B13アイソフォームDタンパク質は、分子量が低く、HEK293細胞で過剰発現させると、不安定であることが示されている。
図8Aでは、HSD17B13転写産物A(IsoA)及びD(IsoD)を過剰発現するHEK293細胞由来のHSD17B13のRT-PCRによって、HSD17B13 IsoD RNAレベルが、IsoA RNAレベルよりも高かったことが示された。
図8Bでは、同じ細胞株由来のウエスタンブロットによって、HSD17B13転写産物Dが、HSD17B13転写産物Aと比べて低分子量のトランケート型タンパク質に翻訳されたことが示された。
図8Cでは、RNAレベルは、IsoDの方がIsoAよりも高かったが、HSD17B13 IsoDタンパク質レベルは、IsoAタンパク質レベルよりも低かった。HSD17B13タンパク質レベルは、アクチンに対して正規化した。*P<0.05。
【
図9】HepG2安定細胞株由来の単離脂肪滴(LD)に対するHSD17B13アイソフォームA及びアイソフォームDの局在パターンが似ていることを示している。ADRPとTIP47を脂肪滴マーカーとして用いた。LAMP1はリソソーム区画のマーカーとして、カルレティキュリンは小胞体区画のマーカーとして、COX IVはミトコンドリア区画のマーカーとして用いた。GAPDHは細胞質マーカーとして含め、アクチンは細胞骨格マーカーとして用いた。この実験は、HepG2細胞で2回繰り返したものであり、図は、これら2回のランのうちの代表的なものである。PNS=各除去後画分、TM=全膜である。
【
図10A】HSD17B13転写産物AまたはDを過剰発現するHepG2細胞において、オレイン酸によってトリグリセリド量が増加したことを示している。
図10Aは、HSD17B13転写産物Aを発現するHepG2細胞株と、HSD17B13転写産物Dを発現するHepG2細胞株の両方における脂肪滴で、同程度までオレイン酸処置したものである。細胞をBODIPYで標識して、脂肪滴を示すようにし、抗Mycで標識して、HSD17B13局在を示すようにした。スケールバーは10μmを示しており、いずれの画像においても、挿入図は、元の画像の4倍拡大図を表している。
図10Bは、コントロール(GFP過剰発現細胞)、HSD17B13転写産物A細胞株及びHSD17B13転写産物D細胞株において、漸増濃度のオレイン酸による処置によって、トリグリセリド(TG)量が同程度に増加した。
図10Cでは、上記の細胞株において、HSD17B13転写産物A及びDのRNAレベルは、同程度であった。RNAレベルは、100万マッピングリード当たりの転写産物の1キロベース当たりのリード数(RPKM)で示されている。
図10Dは、HSD17B13転写産物A及びDを過剰発現するHepG2細胞由来のウエスタンブロットである。HSD17B13転写産物Dは、HSD17B13転写産物Aと比べて低分子量のトランケート型タンパク質に翻訳された。
図10Eでは、HSD17B13 IsoDタンパク質レベルは、IsoAタンパク質レベルよりも低かった。タンパク質レベルは、アクチンに対して正規化した。**P<0.01。
【
図11】精製組み換えHSD17B13タンパク質を用いたエストラジオールのK
mとV
maxの値を示している。K
mとV
maxを求めるために、5分~180分の時点における0.2μM~200μMの用量範囲の17β-エストラジオールと、500μMのNAD
+及び228nMのHSD17B13によって、アッセイを行った。続いて、ミカエリス・メンテンモデルとPrismというソフトウェア(GraphPad Software,USA)を用いて、V
maxとK
mを求めた。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本開示のさらなる利点は、以下の説明に部分的に示すとともに、その説明から一部が明らかになるか、または本明細書に開示されている実施形態を実施することによって認識することができる。本開示の利点は、添付の請求項に具体的に示されている要素と組み合わせによって認識及び実現される。上記の一般的な説明と下記の詳細な説明は、例示と説明に過ぎないことと、特許請求されているような実施形態を制限するものではないことのいずれも理解されたい。
【0034】
本明細書と請求項にわたって、本開示の態様に関連する様々な用語が用いられている。別段に示されていない限り、このような用語には、当該技術分野における通常の意味を付与するものとする。具体的に定義されているその他の用語は、本明細書に示されている定義と一致する形で解釈するものとする。
【0035】
別段に明示的な定めのない限り、本明細書に示されているいずれの方法または態様も、その工程を特定の順序で行う必要があるものとして解釈するようには意図されていない。したがって、工程を特定の順序に限定すべきことが、請求項または説明において、方法クレームによって具体的に定められていない場合には、いかなる点においても、順序を定めるようには意図されていない。このことは、工程もしくは作業フローの手筈に関する論理事項、文法構成もしくは句読法に由来する一般的意味、または本明細書に記載されている態様の数もしくは種類を含め、あらゆる考え得る非明示的な解釈基準についても同様である。
【0036】
本明細書で使用する場合、文脈上明らかに別段に示されている場合を除き、「a」、「an」及び「the」という単数形には、複数の言及物が含まれる。
本明細書で使用する場合、「対象」及び「患者」という用語は、同義的に用いられている。対象としては、哺乳類動物を含むいずれかの動物を挙げてよい。哺乳類動物としては、家畜(例えば、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジなど)、ペット(例えば、イヌ、ネコなど)、実験動物(例えば、マウス、ラット、ウサギなど)、及びヒト以外の霊長類動物(例えば、サル、猿人類など)が挙げられるが、これらに限らない。いくつかの実施形態では、対象はヒトである。
【0037】
本明細書で使用する場合、「核酸」、「核酸分子」、「ヌクレオチド配列」、「ポリヌクレオチド」または「オリゴヌクレオチド」は、いずれかの長さのヌクレオチドのポリマー形態を含むことができ、DNA及び/またはRNAを含んでよく、一本鎖、二本鎖または多重鎖であることができる。核酸の一方の鎖は、その相補体ともいう。
【0038】
本開示全体を通じて、「含む」という用語は、特定的な実施形態では、所望に応じて、「なる」または「~から本質的になる」と置き換えてもよい。
本明細書で使用する場合、「~に対応する」という語句またはその文法上の変形表現は、特定のアミノ酸またはヌクレオチドの配列または位置の番号の関連で用いるときには、その特定のアミノ酸またはヌクレオチドの配列を所定の参照配列と比べたときの、その参照配列の番号を指す(例えば、本発明における参照配列は、(野生型または完全長)HSD17B13の核酸分子またはポリペプチドである)。換言すると、特定のポリマーの残基(例えば、アミノ酸もしくはヌクレオチド)の番号または残基(例えば、アミノ酸もしくはヌクレオチド)の位置は、その特定のアミノ酸またはヌクレオチド配列におけるその残基の実際の位置番号によってではなく、参照配列を基準に割り当てられている。例えば、特定のアミノ酸配列は、ギャップを導入して、2つの配列間の残基一致度を最適化することによって、参照配列にアラインメントできる。これらのケースでは、ギャップが存在していても、その特定のアミノ酸またはヌクレオチドの配列における残基の番号付けは、その配列をアラインメントした参照配列を基準に行う。
【0039】
例えば、HSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間(または配列番号2の12666位に対応する位置)にチミンが挿入されている核酸分子は、対象とする特定のHSD17B13核酸と、配列番号1及び/または配列番号2のヌクレオチド配列との間で配列アラインメントを行うことによって特定できる。配列アラインメントを行うのに用いることができる計算アルゴリズムには、様々なものがある。例えば、NCBI BLASTというアルゴリズム(Altschul et al.,1997,Nucleic acid molecules Res.,25,3389-3402)またはCLUSTALWというソフトウェア(Sievers et al.,2014,Methods Mol.Biol.,1079,105-116)を用いることによって、配列アラインメントを行ってよい。しかしながら、配列は、手動でアラインメントすることもできる。
【0040】
本開示によれば、HSD17B13の特定の変化は、肝疾患を発症するリスクの低下と関連があることが観察されている。罹患血縁者において、肝疾患を発症するリスクが低下している表現型を持った状態で分離したHSD17B13遺伝子バリアントが、本開示に従って特定されている。例えば、HSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号1の12665位と12666位(または配列番号2の12666位)に対応する位置にチミンを挿入させる遺伝子変化は、そのような変化を持つヒトにおいて、肝疾患を発症するリスクが低下している可能性があることを示すことが観察されている。したがって、このチミンの挿入が見られないヒト対象、すなわち、肝疾患を発症するリスクが上昇しているか、または肝疾患を罹患している可能性のある対象に治療を行って肝疾患を阻害したり、その症状を軽減したり、及び/または症状の発現を抑えたりするようにしてよい。したがって、本開示は、組み換えバリアントHSD17B13核酸分子(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNAを含む)と、組み換えバリアントHSD17B13ポリペプチドを提供する。加えて、本開示は、対象においてこのようなバリアントを特定することを活用して、その対象が肝疾患を発症するリスクを特定もしくは層別化するか、または肝疾患を罹患しているとして対象を診断して、リスクのある対象または活動性疾患の対象を治療できるようにする方法を提供する。
【0041】
本発明で提供するのは、アラニントランスアミナーゼ及びアスパルテートトランスアミナーゼのレベルの低下と、慢性肝疾患(非アルコール性脂肪肝疾患、アルコール性脂肪肝疾患、肝硬変及び肝細胞癌を含む)のリスクの低下と、単純性脂肪肝から、臨床的にさらに進行した段階の慢性肝疾患への進行の緩和と関連のあることが分かったHSD17B13バリアントである。また、本発明で提供するのは、このバリアントと関連のあるHSD17B13遺伝子転写産物のうち、これまで同定されていなかった転写産物である。
【0042】
本発明では、HSD17B13のバリアントに関連する核酸分子とポリペプチドと、これらの核酸分子とポリペプチドを含む細胞を提供する。また、提供するのは、ゲノムDNAを含む生体試料におけるHSD17B13 rs72613567バリアント遺伝子の存在の検出方法と、RNAまたはRNAに由来するcDNA、mRNAまたはmRNAに由来するcDNAを含む生体試料におけるHSD17B13転写産物C、D、E、F、F’、G及びH(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA)のうちのいずれか1つ、特には転写産物D(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA)の存在またはレベルの検出方法と、タンパク質を含む生体試料におけるHSD17B13タンパク質C、D、E、F、F’、GまたはHのうちのいずれか1つ、特にはDの存在またはレベルの検出方法である。また、提供するのは、対象が肝疾患を発症する感受性またはリスクの判断方法である。また、提供するのは、肝疾患であるか、または肝疾患を発症するリスクのある対象の診断方法である。また、提供するのは、対象の、臨床的にさらに進行した段階の脂肪肝疾患に進行するリスクの判断方法である。また、提供するのは、組み換えHSD17B13遺伝子またはHSD17B13タンパク質をコードする核酸を発現させるための発現ベクターの使用を通じて、細胞を改変する方法である。
【0043】
本開示は、HSD17B13(ヒドロキシステロイド17-βデヒドロゲナーゼ13、17-β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ13、17β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ-13、17β-HSD13、短鎖デヒドロゲナーゼ/レダクターゼ9、SCDR9、HMFN0376、NIIL497及びSDR16C3としても知られている)のバリアントに関連する核酸分子とポリペプチドを提供する。ヒトHSD17B13遺伝子は、長さがおよそ19kbであり、7つのエキソンと6つのイントロンを含み、ゲノムにおいて4q22.1に位置する。例示的なヒトHSD17B13タンパク質配列には、UniProt Accession No.Q7Z5P4(それぞれ、Q7Z5P4-1及びQ7Z5P4-2)、ならびにNCBI Reference Sequence No.NP_835236及びNP_001129702が割り当てられている。例示的なヒトHSD17B13核酸分子には、NCBI Reference Sequence No.NM_178135及びNM_001136230が割り当てられている。
【0044】
特に、提供するのは、イントロン6のドナースプライス部位に隣接してアデニンが挿入されているHSD17B13のスプライスバリアント(rs72613567)である。このアデニンは、染色体のフォワード(プラス)鎖上の挿入体であり、染色体のリバース(マイナス)鎖上のチミンの挿入に対応する。ヒトHSD17B13遺伝子は、逆方向に転写されるので、このヌクレオチド挿入は、配列番号1に示されている例示的な野生型HSD17B13遺伝子配列に対して、配列番号2に示されている例示的なバリアントHSD17B13 rs72613567配列におけるチミンの挿入として反映される。したがって、この挿入は、配列番号1における12665位と12666位の間または配列番号2における12666位に挿入されたチミンとして言及されている。
【0045】
2つの転写産物(転写産物A(配列番号21)及び転写産物B(配列番号22))が、野生型HSD17B13遺伝子を有する対象において発現されることが以前特定された。転写産物Aは、HSD17B13遺伝子の7つのエキソンをすべて含み、転写産物Bでは、エキソン2がスキップされている。転写産物Aは、野生型の対象において優性な転写産物である。しかしながら、本発明で提供するのは、発現するHSD17B13転写産物のうち、これまで特定されたことのない6つの追加のHSD17B13転写産物(配列番号23の転写産物C、配列番号24の転写産物D、配列番号25の転写産物E、配列番号26の転写産物F、配列番号28の転写産物G及び配列番号29の転写産物H)である。転写産物Cでは、転写産物Aと比べると、エキソン6がスキップされている。転写産物Dでは、転写産物Aと比べると、エキソン6の3’にグアニンが挿入されていることにより、エキソン7におけるフレームシフトと、エキソン7の早期トランケーションが生じている。転写産物Eでは、転写産物Aと比べると、エキソン3とエキソン4の間に、追加のエキソンが存在している。HSD17B13 rs72613567バリアントキャリアにおいてのみ発現する転写産物Fでは、転写産物Aを比べると、エキソン6からのイントロン6への読み過ごし部(read-through)が見られる。転写産物Gでは、転写産物Aと比べると、エキソン2がスキップされており、エキソン6の3’にグアニンが挿入されていることにより、エキソン7におけるフレームシフトと、エキソン7の早期トランケーションが生じている。転写産物Hでは、転写産物Aと比べると、エキソン3とエキソン4の間に、追加のエキソンが存在しており、エキソン6の3’にグアニンが挿入されていることにより、エキソン7におけるフレームシフトと、エキソン7の早期トランケーションが生じている。HSD17B13 rs72613567バリアントキャリアでは、転写産物C、D、F、G及びHが優性であり、HSD17B13 rs72613567バリアントのキャリアにおいては、転写産物Dが最も豊富な転写産物である。また、本発明で提供するのは、これまで同定されたことのない追加のHSD17B13転写産物であって、低レベルで発現する1つの転写産物(F’、配列番号27)である。転写産物Fのように、転写産物F’では、転写産物Aと比べると、エキソン6からイントロン6への読み過ごし部が見られるが、転写産物Fとは対照的に、この読み過ごし部では、HSD17B13 rs72613567バリアント遺伝子に存在するチミンの挿入が含まれない。
【0046】
添付の配列表に列挙されているヌクレオチド配列とアミノ酸配列は、ヌクレオチド塩基の標準的な略記と、アミノ酸の3文字表記を用いて示されている。ヌクレオチド配列では、配列の5’末端から3’末端の方に(すなわち、各配列において左から右に)進む標準的なしきたりに従っている。各ヌクレオチド配列の一本鎖のみが示されているが、いずれも、示されている鎖を参照することによって、相補鎖が含まれていることが分かるはずである。アミノ酸配列では、配列のアミノ末端からカルボキシ末端まで(すなわち、各配列において左から右に)進む標準的なしきたりに従っている。
【0047】
配列番号1は、野生型HSD17B13ゲノム配列(Human Genome Assembly GRCh38)である。野生型HSD17B13遺伝子を持つ対象でよく見られる転写産物には、転写産物A、転写産物B、転写産物E及び転写産物F’が含まれる。
【0048】
配列番号2は、HSD17B13ゲノム配列バリアント(Human Genome Assembly GRCh38、rs72613567、chr4:87310241~87310240でのTの挿入、12666位でのTの挿入)である。バリアントrs72613567 HSD17B13遺伝子を持つ対象でよく見られる転写産物には、転写産物C、転写産物D、転写産物F、転写産物G及び転写産物Hが含まれる。
【0049】
配列番号53は、内因性HSD17B13プロモーターである(転写開始部位(TSS)の499~100上流)。
本明細書で使用する場合、「転写産物」という用語は、この用語が使われている文脈によって別段に示されていない限り、下記の表に開示されているRNAもしくはmRNA分子、またはこれらに由来する対応するcDNA分子のうちのいずれかの1つ以上を意味する。各種の転写産物の配列識別子名は、下記の表に列挙されている。RNA転写産物は、そのcDNA対応物とともに示されており、mRNA転写産物は、そのcDNA対応物とともに示されている。
【0050】
【0051】
したがって、本明細書で使用する場合、文脈によって別段に示されていない限り、「転写産物A」という用語は、配列番号3、配列番号12、配列番号21及び/または配列番号30のうちのいずれか1つ以上を意味し、「転写産物B」は、配列番号4、配列番号13、配列番号22及び/または配列番号31のうちのいずれか1つ以上を意味し、「転写産物C」は、配列番号5、配列番号14、配列番号23及び/または配列番号32のうちのいずれか1つ以上を意味し、「転写産物D」は、ii)配列番号6、配列番号15、配列番号24及び/または配列番号33のうちのいずれか1つ以上を意味し、「転写産物E」は、配列番号7、配列番号16、配列番号25及び/または配列番号34のうちのいずれか1つ以上を意味し、「転写産物F」は、配列番号8、配列番号17、配列番号26及び/または配列番号35のうちのいずれか1つ以上を意味し、「転写産物F’」は、配列番号9、配列番号18、配列番号27及び/または配列番号36のうちのいずれか1つ以上を意味し、「転写産物G」は、配列番号10、配列番号19、配列番号28及び/または配列番号37のうちのいずれか1つ以上を意味し、「転写産物H」は、配列番号11、配列番号20、配列番号29及び/または配列番号38のうちのいずれか1つ以上を意味する。
【0052】
転写産物ごとに、HSD17B13遺伝子におけるエキソンのヌクレオチド位置が下に示されている。
野生型HSD17B13遺伝子においてホモ型である対象でよく見られるHSD17B13転写産物のエキソンの、配列番号1におけるヌクレオチド位置
【0053】
【0054】
*エキソン6からイントロン6への読み過ごし部を含む。読み過ごし部=12665~13501位
rs72613567 HSD17B13バリアント遺伝子(12666位にTが挿入されている)においてホモ型である対象でよく見られるHSD17B13転写産物のエキソンの、配列番号2におけるヌクレオチド位置
【0055】
【0056】
∧転写産物Aと比べると、3’末端に追加の残基12665を含む。
*エキソン6からイントロン6への読み過ごし部を含む。読み過ごし部=12665~13502位
対応するHSD17B13アイソフォームタンパク質には、i)アイソフォームA(配列番号39、エキソン1によってコードされる領域=1~70、エキソン2によってコードされる領域=71~106、エキソン3によってコードされる領域=107~150、エキソン4によってコードされる領域=151~185、エキソン5によってコードされる領域=186~232、エキソン6v1によってコードされる領域=233~271、エキソン7によってコードされる領域=272~300)、ii)タンパク質アイソフォームB(配列番号40、エキソン1によってコードされる領域=1~70、エキソン2=スキップされている、エキソン3によってコードされる領域=71~114、エキソン4によってコードされる領域=115~149、エキソン5によってコードされる領域=150~196、エキソン6v1によってコードされる領域=197~235、エキソン7によってコードされる領域=236~264)、iii)タンパク質アイソフォームC(配列番号41、エキソン1によってコードされる領域=1~70、エキソン2によってコードされる領域=71~106、エキソン3によってコードされる領域=107~150、エキソン4によってコードされる領域=151~185、エキソン5によってコードされる領域=186~232、エキソン6=スキップされている、エキソン7によってコードされる領域=233~261)、iv)タンパク質アイソフォームD(配列番号42、エキソン1によってコードされる領域=1~70、エキソン2によってコードされる領域=71~106、エキソン3によってコードされる領域=107~150、エキソン4によってコードされる領域=151~185、エキソン5によってコードされる領域=186~232、エキソン6v2によってコードされる領域=233~271、エキソン7によってコードされる領域=272~274)、v)タンパク質アイソフォームE(配列番号43、エキソン1によってコードされる領域=1~70、エキソン2によってコードされる領域=71~106、エキソン3によってコードされる領域=107~150、エキソン3’によってコードされる領域=151~174、エキソン4によってコードされる領域=175~209、エキソン5によってコードされる領域=210~256、エキソン6v1によってコードされる領域=257~295、エキソン7によってコードされる領域=296~324)、vi)タンパク質アイソフォームF(配列番号44、エキソン1によってコードされる領域=1~70、エキソン2によってコードされる領域=71~106、エキソン3によってコードされる領域=107~150、エキソン4によってコードされる領域=151~185、エキソン5によってコードされる領域=186~232、エキソン6v3によってコードされる領域=233~284、イントロン6への読み過ごし部によってコードされる領域=272~284)、vii)タンパク質アイソフォームF’(配列番号45、エキソン1によってコードされる領域=1~70、エキソン2によってコードされる領域=71~106、エキソン3によってコードされる領域=107~150、エキソン4によってコードされる領域=151~185、エキソン5によってコードされる領域=186~232、エキソン6v4によってコードされる領域=233~271)、viii)タンパク質アイソフォームG(配列番号46、エキソン1によってコードされる領域=1~70、エキソン2=スキップされている、エキソン3によってコードされる領域=71~114、エキソン4によってコードされる領域=115~149、エキソン5によってコードされる領域=150~196、エキソン6v2によってコードされる領域=197~235、エキソン7によってコードされる領域=236~238)、及びix)タンパク質アイソフォームH(配列番号47、エキソン1によってコードされる領域=1~70、エキソン2によってコードされる領域=71~106、エキソン3によってコードされる領域=107~150、エキソン3’によってコードされる領域=151~174、エキソン4によってコードされる領域=175~209、エキソン5によってコードされる領域=210~256、エキソン6v2によってコードされる領域=257~295、エキソン7によってコードされる領域=296~298)が含まれる。
【0057】
本明細書の別の箇所でさらに詳細に説明されているように、バリアントHSD17B13 rs72613567は、アラニントランスアミナーゼ及びアスパルテートトランスアミナーゼのレベルの低下と、慢性肝疾患(非アルコール性脂肪肝疾患、アルコール性脂肪肝疾患、肝硬変及び肝細胞癌を含む)のリスクの低下と関連がある。バリアントHSD17B13 rs72613567は、単純性脂肪肝から、臨床的にさらに進行した段階の慢性肝疾患への進行の緩和とも関連がある。
【0058】
本明細書で開示するのは、バリアントHSD17B13核酸分子(バリアントHSD17B13遺伝子及びバリアントHSD17B13転写産物を含む)である。また、開示するのは、ストリンジェント条件または適度な条件で、本明細書に開示されている核酸分子のいずれかとハイブリダイズする核酸分子である。このような核酸分子は、例えば、HSD17B13バリアントタンパク質を発現させるのに、またはプライマー、プローブ、アンチセンスRNA、shRNA及びsiRNAとして有用であることができ、これらはそれぞれ、本明細書の別の箇所でさらに詳細に説明されている。本明細書に記載されている実施形態のいずれにおいても、本開示の核酸分子及び/またはポリペプチドは、単離核酸分子または単離ポリペプチドであることができる。
【0059】
本開示は、HSD17B13遺伝子の少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含むかまたはそれらからなる核酸分子であって、その連続するヌクレオチドが、配列番号2における対応配列と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であり、配列番号2の12666位に対応する位置にチミンを有する核酸分子を提供する。いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子は、HSD17B13遺伝子の少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含むかまたはそれらからなり、その連続するヌクレオチドは、配列番号2における対応配列と少なくとも約90%同一であり、配列番号2の12666位に対応する位置にチミンを有する。
【0060】
本開示は、HSD17B13アイソフォームDのアミノ酸配列(配列番号42)と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%もしくは100%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むか、またはその配列からなる核酸分子を提供する。いくつかの実施形態では、この核酸分子は、HSD17B13アイソフォームDのアミノ酸配列(配列番号42)と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むかまたはその配列からなる。いくつかの実施形態では、この核酸分子は、HSD17B13アイソフォームDのアミノ酸配列(配列番号42)を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むかまたはその配列からなる。いくつかの実施形態では、これらの核酸分子は、274個のアミノ酸を有するポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、これらの核酸分子は、C末端のVal-Ser-Serを有するポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、これらの核酸分子は、本明細書に記載されている肝疾患のいずれかを発症するリスクの低下、または臨床的にさらに進行した段階の脂肪肝疾患に進行するリスクの低下と関連のあるポリペプチドをコードする。
【0061】
本開示は、HSD17B13遺伝子の少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含むとともに、HSD17B13 rs72613567バリアント遺伝子(配列番号2)の12666位に対応する位置にチミンを有する(または12666位と12667位に対応する位置にチミンを有する)核酸分子を提供する。すなわち、本明細書で開示するのは、HSD17B13遺伝子の少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含むとともに、野生型HSD17B13遺伝子(配列番号1)の12665位と12666位に対応するヌクレオチドの間にチミンが挿入されている核酸分子である。このような核酸分子は、例えば、HSD17B13バリアントの転写産物及びアイソフォームタンパク質を発現させるのに有用であることができる。
【0062】
HSD17B13遺伝子は、いずれかの生物から得たHSD17B13遺伝子であることができる。例えば、HSD17B13遺伝子は、ヒトHSD17B13遺伝子、または別の生物(ヒト以外の哺乳類動物、齧歯類動物、マウスもしくはラットなど)に由来するオルソログであることができる。ある集団内の遺伝子配列は、多型(一塩基多型など)により変動し得ることが分かっている。本明細書に示されている例は、例示的な配列に過ぎない。他の配列も可能である。一例として、上記の少なくとも15個の連続するヌクレオチドは、HSD17B13 rs72613567バリアント(配列番号2)における対応配列(配列番号2の12666位または12666位と12667位を含む)と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であることができる。いくつかの実施形態では、上記の少なくとも15個の連続するヌクレオチドは、HSD17B13 rs72613567バリアント(配列番号2)における対応配列(配列番号2の12666位または12666位と12667位を含む)と少なくとも約90%同一であることができる。いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子は、配列番号2の12666位または12666位と12667位を含め、配列番号2の少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、上記の少なくとも15個の連続するヌクレオチドは、野生型HSD17B13遺伝子(配列番号1)における対応配列(配列番号1の12665位と12666位を含む)と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であることができ、チミンが、配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間に存在する。いくつかの実施形態では、上記の少なくとも15個の連続するヌクレオチドは、野生型HSD17B13遺伝子(配列番号1)における対応配列(配列番号1の12665位と12666位を含む)と少なくとも約90%同一であることができ、チミンが、配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間に存在する。いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子は、配列番号1の12665位と12666位を含め、配列番号1の少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含み、チミンが、配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間に存在する。
【0063】
いくつかのケースでは、本発明の単離核酸分子は、HSD17B13ミニ遺伝子であって、対応する野生型HSD17B13遺伝子と比べると、その遺伝子の非必須セグメントが1つ以上欠失しているHSD17B13ミニ遺伝子を含むことができる。一例として、この欠失セグメントは、1つ以上のイントロン配列を含む。いくつかの実施形態では、このHSD17B13ミニ遺伝子は、例えば、HSD17B13転写産物Dのエキソン1~7に対応するエキソンと、配列番号2におけるイントロン6に対応するイントロンを含むことができる。いくつかの実施形態では、HSD17B13ミニ遺伝子は、配列番号2のエキソン1~7とイントロン6を含んでよい。ミニ遺伝子は、本明細書の別の箇所でさらに詳細に説明されている。
【0064】
本開示は、RNA転写産物(転写産物A、転写産物B、転写産物C、転写産物D、転写産物E、転写産物F、転写産物F’、転写産物G及び転写産物Hなど)もしくはそれらの対応するcDNA、またはmRNA転写産物(転写産物A、転写産物B、転写産物C、転写産物D、転写産物E、転写産物F、転写産物F’、転写産物G及び転写産物Hなど)もしくはそれらの対応するcDNAのすべてまたは一部に対応する核酸分子を提供する。
【0065】
本開示は、RNA転写産物(転写産物C、転写産物D、転写産物E、転写産物F、転写産物F’、転写産物G及び転写産物Hなど)もしくはそれらの対応するcDNA、またはmRNA転写産物(転写産物C、転写産物D、転写産物E、転写産物F、転写産物F’、転写産物G及び転写産物Hなど)もしくはそれらの対応するcDNAのすべてまたは一部に対応する核酸分子を提供する。
【0066】
本開示は、RNA転写産物(転写産物C、転写産物D、転写産物F、転写産物G及び転写産物Hなど)もしくはそれらの対応するcDNA、またはmRNA転写産物(転写産物C、転写産物D、転写産物F、転写産物G及び転写産物Hなど)もしくはそれらの対応するcDNAのすべてまたは一部に対応する核酸分子を提供する。
【0067】
本開示は、RNA転写産物Dもしくは対応するcDNA、またはmRNA転写産物Dもしくは対応するcDNAのすべてまたは一部に対応する核酸分子を提供する。
このような単離核酸分子は、例えば、HSD17B13バリアントの転写産物とタンパク質を発現させるのに有用であることができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子は、HSD17B13転写産物D(配列番号6、15、24もしくは33)のヌクレオチド配列と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%もしくは100%同一であるヌクレオチド配列を含むか、またはその配列からなる。いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子は、RNAであり、配列番号6を含むかもしくは配列番号6からなるか、または配列番号24を含むかもしくは配列番号24からなるそのcDNAであり、あるいは、この核酸分子は、mRNAであり、配列番号15を含むかもしくは配列番号15からなるか、または配列番号33を含むかもしくは配列番号33からなるそのcDNAである。
【0069】
HSD17B13転写産物D、転写産物G及び転写産物Hは、転写産物Aと比べて、エキソン6の3’末端にグアニンの挿入を含むことによって、エキソン7におけるフレームシフトと、エキソン7によってコードされるHSD17B13タンパク質の領域の早期トランケーションが生じる。したがって、本発明で提供するのは、転写産物D、G及びH(またはその断片もしくはホモログ)に存在するセグメントであって、転写産物A(またはその断片もしくはホモログ)に存在しないセグメント(例えば、少なくとも15個の連続するヌクレオチド)を含む核酸分子である。また、本発明で提供するのは、転写産物D(またはその断片もしくはホモログ)に存在するセグメントであって、転写産物A(またはその断片もしくはホモログ)に存在しないセグメント(例えば、少なくとも15個の連続するヌクレオチド)を含む核酸分子である。このような領域は、転写産物の配列を比較することによって、容易に特定できる。例えば、本発明で提供するのは、HSD17B13タンパク質のすべてまたは一部をコードする少なくとも15個の連続するヌクレオチド(例えば、少なくとも20個の連続するヌクレオチドもしくは少なくとも30個の連続するヌクレオチド)を含むか、またはそれらからなる核酸分子であって、その連続するヌクレオチドのセグメント(例えば、少なくとも5個の連続するヌクレオチド、少なくとも10個の連続するヌクレオチドまたは少なくとも15個の連続するヌクレオチド)が、転写産物D、転写産物Gまたは転写産物Hのエキソン6とエキソン7の境界に広がる領域と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であり、そのセグメントが、転写産物Dのエキソン6の3’末端における878位の残基に対応する残基に、グアニンを含む(すなわち、エキソン7の開始点におけるグアニンに加えて、転写産物Aと比べて、エキソン6の3’末端にグアニンが挿入されている)か、転写産物Gのエキソン6の3’末端における770位の残基に対応する残基に、グアニンを含む(すなわち、エキソン7の開始点におけるグアニンに加えて、転写産物Bと比べて、エキソン6の3’末端にグアニンが挿入されている)か、または転写産物Hのエキソン6の3’末端における950位の残基に対応する残基に、グアニンを含む(すなわち、エキソン7の開始点におけるグアニンに加えて、転写産物Eと比べて、エキソン6の3’末端にグアニンが挿入されている)核酸分子である。このような核酸は、挿入されているグアニンを、HSD17B13転写産物における他の特徴(例えば、エキソン7の開始点におけるグアニン、転写産物Fにおけるイントロン6への読み過ごし部、または転写産物Cにおける欠失エキソン6)と区別するために、エキソン6とエキソン7のそれぞれにおける充分な数のヌクレオチドを含むことになるのが分かる。
【0070】
一例として、本開示の核酸分子は、転写産物Dの少なくとも15個の連続するヌクレオチド(例えば、少なくとも20個の連続するヌクレオチドもしくは少なくとも30個の連続するヌクレオチド)であって、エキソン6とエキソン7の境界に広がり、転写産物Dのエキソン6とエキソン7を任意に含み、転写産物Dの配列全体を任意に含むヌクレオチドを含むか、またはそれらからなることができる。
【0071】
いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子は、転写産物D(またはその断片もしくはホモログ)に存在するセグメントであって、転写産物G(またはその断片もしくはホモログ)に存在しないセグメントをさらに含み、この核酸分子は、転写産物D(またはその断片もしくはホモログ)に存在するセグメントであって、転写産物H(またはその断片もしくはホモログ)に存在しないセグメントをさらに含む。このような領域は、転写産物の配列を比較することによって、容易に特定できる。例えば、このような核酸分子は、転写産物Hと区別するために、転写産物Dのエキソン3とエキソン4の境界に広がる領域と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%同一である連続するヌクレオチド(例えば、少なくとも5個の連続するヌクレオチド、少なくとも10個の連続するヌクレオチドもしくは少なくとも15個の連続するヌクレオチド)のセグメントを含むか、またはそのセグメントからなることができる。同様に、このような核酸分子は、転写産物Gと区別するために、転写産物Dのエキソン2内の領域、転写産物Dのエキソン1とエキソン2の境界に広がる領域もしくは転写産物Dのエキソン2とエキソン3の境界に広がる領域と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%同一である連続するヌクレオチド(例えば、少なくとも5個の連続するヌクレオチド、少なくとも10個の連続するヌクレオチドもしくは少なくとも15個の連続するヌクレオチド)のセグメントを含むか、またはそのセグメントからなることができる。いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子は、転写産物Dに示されている配列と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%同一である配列を含むか、またはその配列からなることができ、アイソフォームDに示されている配列を含むHSD17B13アイソフォームタンパク質をコードする。転写産物Dのように、転写産物Hは、転写産物Aと比べると、エキソン6の3’にグアニンの挿入を含む。転写産物Hは、転写産物Aと転写産物Dと比べると、エキソン3とエキソン4との間に追加のエキソン(エキソン3’)をさらに含む。したがって、本発明で提供するのは、上記のような核酸分子であって、転写産物D、G及びH(またはそれらの断片もしくはホモログ)に存在するセグメントであって、転写産物A(またはその断片もしくはホモログ)に存在しないセグメントを含むが、転写産物H(またはその断片もしくはホモログ)のセグメントであって、転写産物D(またはその断片もしくはホモログ)に存在しないセグメント(例えば、少なくとも15個の連続するヌクレオチド)をさらに含む核酸分子である。このような領域は、転写産物の配列を比較することによって、容易に特定できる。例えば、本発明で提供するのは、転写産物Dに関して説明したような核酸分子であって、その連続するヌクレオチドのセグメント(例えば、少なくとも5個の連続するヌクレオチド、少なくとも10個の連続するヌクレオチドまたは少なくとも15個の連続するヌクレオチド)が、転写産物Hのエキソン3’内の領域、転写産物Hのエキソン3とエキソン3’の境界に広がる領域または転写産物Hのエキソン3’とエキソン4の境界に広がる領域と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一である核酸分子である。このような核酸分子は、HSD17B13転写産物における他の特徴(例えば、エキソン3とエキソン4の境界)と区別するために、エキソン3とエキソン3’のそれぞれまたはエキソン3’とエキソン4のそれぞれにおける充分な数のヌクレオチドを含むことになるのが分かる。例えば、エキソン3’の領域は、エキソン3’全体を含むことができる。任意に、本開示の核酸分子は、転写産物Hに示されている配列と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%同一である配列を含むか、またはその配列からなることができ、アイソフォームHを含むHSD17B13タンパク質をコードする。
【0072】
一例として、核酸分子は、エキソン3’内の領域、エキソン3とエキソン3’の境界に広がる領域もしくはエキソン3’とエキソン4の境界に広がる領域を含め、転写産物Hの少なくとも15個の連続するヌクレオチド(例えば、少なくとも20個の連続するヌクレオチドもしくは少なくとも30個の連続するヌクレオチド)を含むか、またはそれらからなることができ、転写産物Hのエキソン3’全体を任意に含むとともに、転写産物Hの配列全体を任意に含む。
【0073】
転写産物Dのように、転写産物Gは、転写産物Aと比べると、エキソン6の3’にグアニンの挿入を含む。しかしながら、これに加えて、転写産物Gは、転写産物Aと転写産物Dと比べると、エキソン2が欠失している(すなわち、転写産物Gは、転写産物Aと転写産物Dに存在しない、エキソン1とエキソン3の境界を含む)。したがって、本発明で提供するのは、転写産物D、G及びH(またはそれらの断片もしくはホモログ)に存在するセグメントであって、転写産物A(またはその断片もしくはホモログ)に存在しないセグメントを含むか、あるいはそのセグメントからなるが、転写産物G(またはその断片もしくはホモログ)に由来するセグメントであって、転写産物D(またはその断片もしくはホモログ)に存在しないセグメント(例えば、少なくとも15個の連続するヌクレオチド)をさらに含む、上記のような核酸分子である。このような領域は、転写産物の配列を比較することによって、容易に特定できる。例えば、本発明で提供するのは、転写産物Dに関して説明した核酸分子であって、その連続するヌクレオチドのセグメント(例えば、少なくとも5個の連続するヌクレオチド、少なくとも10個の連続するヌクレオチドまたは少なくとも15個の連続するヌクレオチド)が、転写産物Gのエキソン1とエキソン3の境界に広がる領域と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一である核酸分子である。このような核酸分子は、HSD17B13転写産物における他の特徴(例えば、エキソン1とエキソン2の境界またはエキソン2とエキソン3の境界)と区別するために、エキソン1とエキソン3のそれぞれにおける充分な数のヌクレオチドを含むことになるのが分かる。例えば、その領域は、転写産物Gのエキソン1とエキソン3の全体を含むことができる。任意に、本開示の核酸分子は、転写産物Gに示されている配列と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%同一である配列を含むか、またはその配列からなり、アイソフォームGに示されている配列を含むHSD17B13タンパク質をコードする。
【0074】
一例として、本開示の核酸分子は、エキソン1とエキソン3の境界に広がる領域を含め、転写産物Gの少なくとも15個の連続するヌクレオチド(例えば、少なくとも20個の連続するヌクレオチドもしくは少なくとも30個の連続するヌクレオチド)を含むか、またはそれらからなることができ、転写産物Gのエキソン1とエキソン3を任意に含み、転写産物Gの配列全体を任意に含む。
【0075】
また、本発明で提供するのは、転写産物E(またはその断片もしくはホモログ)に存在するセグメント(例えば、少なくとも15個の連続するヌクレオチド)であって、転写産物A(またはその断片もしくはホモログ)に存在しないセグメントを含むか、あるいはそのセグメントからなる核酸分子である。このような領域は、転写産物の配列を比較することによって、容易に特定できる。転写産物Eは、転写産物Aと比べると、エキソン3とエキソン4との間に追加のエキソンを含む。したがって、本発明で提供するのは、HSD17B13タンパク質のすべてもしくは一部をコードする少なくとも15個の連続するヌクレオチド(例えば、少なくとも20個の連続するヌクレオチドもしくは少なくとも30個の連続するヌクレオチド)を含むか、またはそれらからなる核酸分子であって、その連続するヌクレオチドのセグメント(例えば、少なくとも5個の連続するヌクレオチド、少なくとも10個の連続するヌクレオチドまたは少なくとも15個の連続するヌクレオチド)が、転写産物Eのエキソン3’内の領域、転写産物Eのエキソン3とエキソン3’の境界に広がる領域または転写産物Eのエキソン3’とエキソン4の境界に広がる領域と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一である核酸分子である。このような核酸分子は、HSD17B13転写産物における他の特徴(例えば、エキソン3とエキソン4の境界)と区別するために、エキソン3とエキソン3’のそれぞれまたはエキソン3’とエキソン4のそれぞれにおける充分な数のヌクレオチドを含むことになるのが分かる。例えば、エキソン3’の領域は、エキソン3’全体を含むことができる。任意に、本開示の核酸分子は、転写産物E(またはその断片もしくはホモログ)由来のセグメントであって、転写産物H(またはその断片もしくはホモログ)に存在しないセグメント(例えば、少なくとも15個の連続するヌクレオチド)をさらに含む。このような領域は、転写産物の配列を比較することによって、容易に特定できる。例えば、本発明で提供するのは、上記のような核酸分子であって、その連続するヌクレオチドのセグメント(例えば、少なくとも5個の連続するヌクレオチド、少なくとも10個の連続するヌクレオチドまたは少なくとも15個の連続するヌクレオチド)が、転写産物Eのエキソン6とエキソン7の境界に広がる領域と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一である核酸分子である。このような核酸分子は、HSD17B13転写産物における他の特徴(特には、転写産物Hのエキソン6の3’末端における追加のグアニン)と区別するために、エキソン6とエキソン7のそれぞれにおける充分な数のヌクレオチドを含むことになるのが分かる。例えば、その領域は、転写産物Eのエキソン6とエキソン7の全体を含むことができる。任意に、本開示の単離核酸は、転写産物Eに示されている配列と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%同一である配列を含むか、またはその配列からなり、アイソフォームEに示されている配列を含むHSD17B13タンパク質をコードする。
【0076】
一例として、本開示の核酸分子は、エキソン3’内の領域、エキソン3とエキソン3’の境界に広がる領域もしくはエキソン3’とエキソン4との境界に広がる領域を含め、転写産物Eの少なくとも15個の連続するヌクレオチド(例えば、少なくとも20個の連続するヌクレオチドもしくは少なくとも30個の連続するヌクレオチド)を含むか、またはそれらからなることができ、転写産物Eのエキソン3’全体を任意に含み、転写産物Eの配列全体を任意に含む。
【0077】
また、本発明で提供するのは、転写産物F(またはその断片もしくはホモログ)に存在するセグメントであって、転写産物A(またはその断片もしくはホモログ)に存在しないセグメント(例えば、少なくとも15個の連続するヌクレオチド)を含むか、あるいはそのセグメントからなる核酸分子である。このような領域は、転写産物の配列を比較することによって、容易に特定できる。転写産物Fは、転写産物Aと比べると、エキソン6からイントロン6への読み過ごし部を含み、その読み過ごし部は、HSD17B13 rs72613567バリアント遺伝子に存在するチミンの挿入を含む。したがって、本発明で提供するのは、HSD17B13タンパク質のすべてもしくは一部をコードする少なくとも15個の連続するヌクレオチド(例えば、少なくとも20個の連続するヌクレオチドもしくは少なくとも30個の連続するヌクレオチド)を含むか、またはそれらからなる核酸分子であって、その連続するヌクレオチドのセグメント(例えば、少なくとも5個の連続するヌクレオチド、少なくとも10個の連続するヌクレオチドまたは少なくとも15個の連続するヌクレオチド)が、転写産物Fにおけるイントロン6への読み過ごし部内の領域、または転写産物Fにおけるイントロン6への読み過ごし部とエキソン6の残部との境界に広がる領域と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一である核酸分子である。このような核酸分子は、上記の読み過ごし部を、HSD17B13転写産物における他の特徴(例えば、他のHSD17B13転写産物のエキソン6とエキソン7の境界)と区別するために、上記の読み過ごし部における充分な数のヌクレオチドを含むことになるのが分かる。任意に、その連続するヌクレオチドは、転写産物Fに存在する配列であって、転写産物F’に存在しない配列(すなわち、チミンの挿入)を含む。転写産物F’も、転写産物Aと比べると、エキソン6からイントロン6への読み過ごし部を含むが、その読み過ごし部は、HSD17B13 rs72613567バリアント遺伝子に存在するチミンの挿入を含まない。例えば、その領域は、転写産物Fにおけるイントロン6への読み過ごし部全体であることができる。任意に、本開示の単離核酸分子は、転写産物Fに示されている配列と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%同一である配列を含むか、またはその配列からなり、タンパク質アイソフォームFに示されている配列を含むHSD17B13タンパク質をコードする。
【0078】
一例として、本開示の核酸分子は、イントロン6への読み過ごし部内の領域もしくはイントロン6への読み過ごし部とエキソン6の残部との境界に広がる領域を含め、転写産物Fの少なくとも15個の連続するヌクレオチド(例えば、少なくとも20個の連続するヌクレオチドもしくは少なくとも30個の連続するヌクレオチド)を含むか、またはそれらからなることができ、イントロン6への読み過ごし部全体を任意に含み、転写産物Fの配列全体を任意に含む。
【0079】
また、本発明で提供するのは、転写産物F’(またはその断片もしくはホモログ)に存在するセグメントであって、転写産物A(またはその断片もしくはホモログ)に存在しないセグメント(例えば、少なくとも15個の連続するヌクレオチド)を含むか、あるいはそのセグメントからなる核酸分子である。このような領域は、転写産物の配列を比較することによって、容易に特定できる。転写産物F’は、転写産物Aと比べると、エキソン6からイントロン6への読み過ごし部を含み、その読み過ごし部は、HSD17B13 rs72613567バリアント遺伝子に存在するチミンの挿入を含まない。したがって、本発明で提供するのは、HSD17B13タンパク質のすべてもしくは一部をコードする少なくとも15個の連続するヌクレオチド(例えば、少なくとも20個の連続するヌクレオチドもしくは少なくとも30個の連続するヌクレオチド)を含むか、またはそれらからなる核酸分子であって、その連続するヌクレオチドのセグメント(例えば、少なくとも5個の連続するヌクレオチド、少なくとも10個の連続するヌクレオチドまたは少なくとも15個の連続するヌクレオチド)が、転写産物F’におけるイントロン6への読み過ごし部内の領域、または転写産物F’におけるイントロン6への読み過ごし部とエキソン6の残部との境界に広がる領域と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一である核酸分子である。このような核酸分子は、その読み過ごし部を、HSD17B13転写産物における他の特徴(例えば、他のHSD17B13転写産物のエキソン6とエキソン7の境界)と区別するために、その読み過ごし部における充分な数のヌクレオチドを含むことになるのが分かる。任意に、その連続するヌクレオチドは、転写産物F’に存在する配列であって、転写産物Fに存在しない配列を含む。転写産物Fにおける読み過ごし部は、HSD17B13 rs72613567バリアント遺伝子に存在するチミンの挿入を含み、そのチミンの挿入は、転写産物F’における読み過ごし部には含まれない。例えば、その領域は、転写産物F’におけるイントロン6への読み過ごし部全体であることができる。任意に、本開示の単離核酸分子は、転写産物F’に示されている配列と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%同一である配列を含むか、またはその配列からなり、アイソフォームF’に示されている配列を含むか、その配列から本質的になるか、またはその配列からなるHSD17B13タンパク質をコードする。
【0080】
一例として、本開示の核酸分子は、イントロン6への読み過ごし部内の領域もしくはイントロン6への読み過ごし部とエキソン6の残部との境界に広がる領域を含め、転写産物F’の少なくとも15個の連続するヌクレオチド(例えば、少なくとも20個の連続するヌクレオチドもしくは少なくとも30個の連続するヌクレオチド)を含むか、またはそれらからなることができ、イントロン6への読み過ごし部全体を任意に含み、転写産物F’の配列全体を任意に含む。
【0081】
また、本発明で提供するのは、転写産物C(またはその断片もしくはホモログ)に存在するセグメントであって、転写産物A(またはその断片もしくはホモログ)に存在しないセグメント(例えば、少なくとも15個の連続するヌクレオチド)を含むか、あるいはそのセグメントからなる核酸分子である。このような領域は、転写産物の配列を比較することによって、容易に特定できる。転写産物Cは、転写産物Aと比べると、エキソン6が欠失している(すなわち、転写産物Cは、転写産物Aに存在しない、エキソン5とエキソン7の境界を含む)。したがって、本発明で提供するのは、HSD17B13タンパク質のすべてもしくは一部をコードする少なくとも15個の連続するヌクレオチド(例えば、少なくとも20個の連続するヌクレオチドもしくは少なくとも30個の連続するヌクレオチド)を含むか、またはそれらからなる核酸分子であって、その連続するヌクレオチドのセグメント(例えば、少なくとも5個の連続するヌクレオチド、少なくとも10個の連続するヌクレオチドまたは少なくとも15個の連続するヌクレオチド)が、転写産物Cのエキソン5とエキソン7の境界に広がる領域と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一である核酸分子である。このような核酸分子は、HSD17B13転写産物における他の特徴(例えば、他のHSD17B13転写産物のエキソン5とエキソン6の境界またはエキソン6とエキソン7の境界)と区別するために、エキソン5とエキソン7のそれぞれにおける充分な数のヌクレオチドを含むことになるのが分かる。例えば、その領域は、転写産物Cのエキソン5とエキソン7の全体を含むことができる。任意に、本発明の核酸分子は、転写産物Cに示されている配列と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%同一である配列を含むか、またはその配列からなり、アイソフォームCに示されている配列を含むHSD17B13タンパク質をコードする。
【0082】
一例として、本開示の核酸分子は、エキソン5とエキソン7との境界に広がる領域を含め、転写産物Cの少なくとも15個の連続するヌクレオチド(例えば、少なくとも20個の連続するヌクレオチドもしくは少なくとも30個の連続するヌクレオチド)を含むか、またはそれらからなることができ、転写産物Cのエキソン5とエキソン7の全体を任意に含み、転写産物Cの配列全体を任意に含む。
【0083】
いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子は、HSD17B13転写産物の全配列よりも少ないヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子は、特定の転写産物の少なくとも約5個、少なくとも約8個、少なくとも約10個、少なくとも約12個、少なくとも約15個、少なくとも約20個、少なくとも約25個、少なくとも約30個、少なくとも約35個、少なくとも約40個、少なくとも約45個、少なくとも約50個、少なくとも約60個、少なくとも約70個、少なくとも約80個、少なくとも約90個、少なくとも約100個、少なくとも約200個、少なくとも約300個、少なくとも約400個、少なくとも約500個もしくは少なくとも約600個の連続するヌクレオチドを含むか、またはそれらからなる。いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子は、特定の転写産物の少なくとも約200~少なくとも約500個の連続するヌクレオチドを含むかまたはそれらからなる。この点では、長い核酸分子の方が短い核酸分子よりも好ましい。いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子は、特定の転写産物の少なくとも約50個、少なくとも約60個、少なくとも約70個、少なくとも約80個、少なくとも約90個、少なくとも約100個、少なくとも約200個、少なくとも約300個、少なくとも約400個もしくは少なくとも約500個の連続するヌクレオチドを含むか、またはそれらからなる。この点では、長い核酸分子の方が短い核酸分子よりも好ましい。
【0084】
いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子は、例えば、プライマー及びプローブとして有用であることができる。
本開示は、配列番号2の12666位に対応する位置を含む領域で、HSD17B13遺伝子もしくはその相補体に特異的にハイブリダイズする約5ヌクレオチドから最大で約50ヌクレオチドを含むか、またはそれらからなる核酸分子であって、配列番号2の12666位に対応する位置にチミンを有するHSD17B13遺伝子またはその相補体に特異的にハイブリダイズする核酸分子を提供する。
【0085】
本開示は、バリアントHSD17B13転写産物Dに特異的にハイブリダイズする約5ヌクレオチドから最大で約50ヌクレオチドを含むかまたはそれらからなる核酸分子であって、i)配列番号6、15、24もしくは33のヌクレオチド配列と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%もしくは100%同一であるヌクレオチド配列、またはii)i)のヌクレオチド配列の相補体に特異的にハイブリダイズする核酸分子を提供する。いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子は、バリアントHSD17B13転写産物Dに特異的にハイブリダイズする約5個のヌクレオチドから最大で約50個のヌクレオチドを含むかまたはそれらからなり、この核酸分子は、i)配列番号6、15、24もしくは33のヌクレオチド配列と少なくとも約90%同一であるヌクレオチド配列、またはii)i)のヌクレオチド配列の相補体に特異的にハイブリダイズする。
【0086】
本開示は、i)配列番号6、15、24もしくは33のヌクレオチド配列と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%もしくは100%同一である(すなわち、少なくとも約90%同一である)ヌクレオチド配列、またはその相補体、ii)転写産物D(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくは、RNAもしくはRNAに由来するcDNA)のエキソン2に特異的にハイブリダイズする核酸分子、及び/またはiii)転写産物D(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のエキソン3とエキソン4を架橋する領域に特異的にハイブリダイズする核酸分子を含むか、あるいはそれらからなる約5ヌクレオチドから最大で約50ヌクレオチドを含むかまたはそれらからなる核酸分子を提供する。いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子は、配列番号6を含むかもしくは配列番号6からなるRNA分子、または配列番号24を含むかもしくは配列番号24からなるそのcDNAに特異的にハイブリダイズするか、あるいは、その核酸分子は、配列番号15を含むかもしくは配列番号15からなるmRNA、配列番号33を含むかもしくは配列番号33からなるそのcDNA、またはそれらの相補体に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子は、異種核酸に連結されているか、または異種標識を含む。
【0087】
いくつかの実施形態では、このような核酸分子は、少なくとも約5個、少なくとも約8個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個、少なくとも約15個、少なくとも約16個、少なくとも約17個、少なくとも約18個、少なくとも約19個、少なくとも約20個、少なくとも約21個、少なくとも約22個、少なくとも約23個、少なくとも約24個、少なくとも約25個、少なくとも約30個、少なくとも約35個、少なくとも約40個、少なくとも約45個、少なくとも約50個、少なくとも約55個、少なくとも約60個、少なくとも約65個、少なくとも約70個、少なくとも約75個、少なくとも約80個、少なくとも約85個、少なくとも約90個、少なくとも約95個、少なくとも約100個、少なくとも約200個、少なくとも約300個、少なくとも約400個、少なくとも約500個、少なくとも約600個、少なくとも約700個、少なくとも約800個、少なくとも約900個、少なくとも約1000個、少なくとも約2000個、少なくとも約3000個、少なくとも約4000個、少なくとも約5000個、少なくとも約6000個、少なくとも約7000個、少なくとも約8000個、少なくとも約9000個、少なくとも約10000個、少なくとも約11000個もしくは少なくとも約11500個を含むか、またはそれらからなる。いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子は、少なくとも15個のヌクレオチドを含むかまたはそれらからなる。いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子は、少なくとも15個のヌクレオチド~少なくとも約35個のヌクレオチドを含むかまたはそれらからなる。いくつかの実施形態では、このような核酸分子は、ストリンジェント条件下で、バリアントHSD17B13ゲノムDNA、バリアントHSD17B13ミニ遺伝子、バリアントHSD17B13 RNA(もしくはRNAに由来するcDNA)またはバリアントHSD17B13 mRNA(もしくはmRNAに由来するcDNA)にハイブリダイズする。このような核酸分子は、本明細書に記載または例示されているように、例えば、プローブ、プライマー、変化部特異的プローブまたは変化部特異的プライマーとして用いてよい。
【0088】
また、本明細書で開示するのは、HSD17B13 rs72613567バリアント(配列番号2)の12666位もしくは12666位と12667位に対応する位置を含むセグメント、またはその位置の1000ヌクレオチド、500ヌクレオチド、400ヌクレオチド、300ヌクレオチド、200ヌクレオチド、100ヌクレオチド、50ヌクレオチド、45ヌクレオチド、40ヌクレオチド、35ヌクレオチド、30ヌクレオチド、25ヌクレオチド、20ヌクレオチド、15ヌクレオチド、10ヌクレオチドもしくは5ヌクレオチド以内であるセグメントにおいて、HSD17B13遺伝子(例えば、HSD17B13ミニ遺伝子)にハイブリダイズする少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含むか、あるいはそれらからなる核酸分子である。このような核酸分子は、例えば、プライマーまたはプローブとして有用であることができる。
【0089】
いくつかの実施形態では、上記の少なくとも15個の連続するヌクレオチドは、HSD17B13遺伝子またはHSD17B13ミニ遺伝子のセグメントであって、HSD17B13 rs72613567バリアント(配列番号2)における対応配列と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%同一であり(または少なくとも約90%同一であり)、配列番号2の12666位に対応する位置にチミンを有するセグメントにハイブリダイズできる。いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子は、配列番号2の少なくとも15個の連続するヌクレオチドにハイブリダイズできる。いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子は、配列番号2における12666位もしくは12666位と12667位、または配列番号2における12666位もしくは12666位と12667位に対応する位置を含むセグメントにハイブリダイズする。
【0090】
いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子がハイブリダイズできるセグメントは例えば、バリアントHSD17B13タンパク質アイソフォームをコードする核酸分子の少なくとも20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、55個、60個、65個、70個、75個、80個、75個、90個、95個、100個、200個、300個、400個、500個、600個、700個、800個、900個、1000個または2000個の連続するヌクレオチドを含むことができる。いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子がハイブリダイズできるセグメントは例えば、バリアントHSD17B13タンパク質アイソフォームをコードする核酸の最大で20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、55個、60個、65個、70個、75個、80個、75個、90個、95個、100個、200個、300個、400個、500個、600個、700個、800個、900個または1000個の連続するヌクレオチドであることができる。いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子は例えば、バリアントHSD17B13遺伝子の少なくとも1000個、2000個、3000個、4000個、5000個、6000個、7000個、8000個、9000個、10000個、11000個、12000個、13000個、14000個、15000個、16000個、17000個、18000個または19000個の連続するヌクレオチドを含むことができる。いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子がハイブリダイズできるセグメントは例えば、バリアントHSD17B13遺伝子の最大で20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、55個、60個、65個、70個、75個、80個、75個、90個、95個、100個、200個、300個、400個、500個、600個、700個、800個、900個または1000個の連続するヌクレオチドであることができる。いくつかの実施形態では、このセグメントは、約15~100ヌクレオチド長または約15~35ヌクレオチド長であることができる。
【0091】
また、提供するのは、RNA転写産物(転写産物A、転写産物B、転写産物C、転写産物D、転写産物E、転写産物F、転写産物F’、転写産物G及び転写産物Hなど)もしくはその対応するcDNA、またはmRNA転写産物(転写産物A、転写産物B、転写産物C、転写産物D、転写産物E、転写産物F、転写産物F’、転写産物G及び転写産物Hなど)もしくはその対応するcDNAのセグメントにハイブリダイズする核酸分子である。
【0092】
また、提供するのは、RNA転写産物(転写産物C、転写産物D、転写産物E、転写産物F、転写産物F’、転写産物G及び転写産物Hなど)もしくはその対応するcDNA、またはmRNA転写産物(転写産物C、転写産物D、転写産物E、転写産物F、転写産物F’、転写産物G及び転写産物Hなど)もしくはその対応するcDNAのセグメントにハイブリダイズする核酸分子である。
【0093】
また、提供するのは、RNA転写産物(転写産物C、転写産物D、転写産物F、転写産物G及び転写産物Hなど)もしくはその対応するcDNA、またはmRNA転写産物(転写産物C、転写産物D、転写産物F、転写産物G及び転写産物Hなど)もしくはその対応するcDNAのセグメントにハイブリダイズする核酸分子である。
【0094】
また、提供するのは、RNA転写産物Dもしくは対応するcDNA、またはmRNA転写産物Dもしくは対応するcDNAのセグメントにハイブリダイズする核酸分子である。
本発明で提供するのは、転写産物D、G及びH(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいはそれらの断片またはホモログに存在するセグメントであって、転写産物A(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいはその断片またはホモログに存在しないセグメントにハイブリダイズする領域(例えば、少なくとも15個の連続するヌクレオチド)を含むか、あるいはその領域からなる核酸分子である。このような領域は、転写産物の配列を比較することによって、容易に特定できる。例えば、本発明で提供するのは、HSD17B13タンパク質をコードする核酸の少なくとも15個の連続するヌクレオチドにハイブリダイズする核酸分子であって、その連続するヌクレオチドが、転写産物D(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のエキソン6とエキソン7の境界に広がる領域と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または100%同一である(すなわち、少なくとも約90%同一である)セグメント(例えば、少なくとも5個の連続するヌクレオチド、少なくとも10個の連続するヌクレオチドまたは少なくとも15個の連続するヌクレオチド)を含むか、あるいはそのセグメントからなり、そのセグメントが、転写産物D(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のエキソン6の3’末端における878位の残基に対応する残基に、グアニンを含む(すなわち、エキソン7の開始点におけるグアニンに加えて、転写産物Aと比べて、エキソン6の3’末端にグアニンが挿入されている)核酸分子である。あるいは、本発明で提供するのは、HSD17B13タンパク質をコードする核酸のセグメントの少なくとも15個の連続するヌクレオチドにハイブリダイズする核酸分子であって、その連続するヌクレオチドが、転写産物Gのエキソン6とエキソン7の境界に広がる領域と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%もしくは100%同一である(すなわち、少なくとも約90%同一である)セグメント(例えば、少なくとも5個の連続するヌクレオチド、少なくとも10個の連続するヌクレオチドもしくは少なくとも15個の連続するヌクレオチド)を含むか、またはそのセグメントからなり、そのセグメントが、転写産物G(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のエキソン6の3’末端における770位の残基に対応する残基にグアニンを含む(すなわち、エキソン7の開始点におけるグアニンに加えて、転写産物Bと比べて、エキソン6の3’末端にグアニンが挿入されている)核酸分子である。あるいは、本発明で提供するのは、HSD17B13タンパク質をコードする核酸の少なくとも15個の連続するヌクレオチドにハイブリダイズする核酸分子であって、その連続するヌクレオチドが、転写産物H(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のエキソン6とエキソン7の境界に広がる領域と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または100%同一である(すなわち、少なくとも約90%同一である)セグメント(例えば、少なくとも5個の連続するヌクレオチド、少なくとも10個の連続するヌクレオチドまたは少なくとも15個の連続するヌクレオチド)を含むか、あるいはそのセグメントからなり、そのセグメントが、転写産物Hのエキソン6の3’末端における950位の残基に対応する残基にグアニンを含む(すなわち、エキソン7の開始点におけるグアニンに加えて、転写産物Eと比べて、エキソン6の3’末端にグアニンが挿入されている)核酸分子である。このような核酸分子は、挿入されているグアニンを、HSD17B13転写産物における他の特徴(例えば、転写産物Fにおけるイントロン6への読み過ごし部、または転写産物Cにおけるエキソン6の欠失)と区別するために、エキソン6とエキソン7のそれぞれにおける充分な数のヌクレオチドにハイブリダイズするように設計することになることが分かる。
【0095】
一例として、そのセグメントは、転写産物D(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)の領域のうち、エキソン6とエキソン7の境界に広がる領域(すなわち、転写産物Dの878位の残基におけるグアニンを含む領域)を含むか、あるいはその領域からなることができる。別の例として、そのセグメントは、転写産物G(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)の領域のうち、エキソン6とエキソン7の境界に広がる領域(すなわち、転写産物Gの770位の残基におけるグアニンを含む領域)を含むか、あるいはその領域からなることができる。別の例として、そのセグメントは、転写産物H(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)の領域のうち、エキソン6とエキソン7の境界に広がる領域(すなわち、転写産物Hの950位の残基におけるグアニンを含む領域)を含むか、あるいはその領域からなることができる。
【0096】
いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子はさらに、転写産物D(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいはその断片またはホモログに存在するセグメントであって、転写産物G(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいはその断片またはホモログに存在しないセグメントにハイブリダイズする領域(例えば、15個の連続するヌクレオチド)を含むか、あるいはその領域からなり、この核酸分子はさらに、転写産物D(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいはその断片またはホモログに存在するセグメントであって、転写産物H(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいはその断片またはホモログに存在しないセグメントにハイブリダイズする領域を含むか、あるいはその領域からなる。このようなセグメントは、転写産物の配列を比較することによって、容易に特定できる。例えば、転写産物D(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいはその断片またはホモログに存在するセグメントであって、転写産物H(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいはその断片またはホモログに存在しないセグメント(例えば、少なくとも5個の連続するヌクレオチド、少なくとも10個の連続するヌクレオチドまたは少なくとも15個の連続するヌクレオチド)は、転写産物Hと区別するために、転写産物D(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のエキソン3とエキソン4の境界に広がる領域と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一である(すなわち、少なくとも約90%同一である)ことができる。同様に、転写産物D(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいはその断片またはホモログに存在するセグメントであって、転写産物G(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいはその断片またはホモログに存在しないセグメント(例えば、少なくとも5個の連続するヌクレオチド、少なくとも10個の連続するヌクレオチドまたは少なくとも15個の連続するヌクレオチド)は、転写産物Gと区別するために、転写産物D(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のエキソン2内の領域、転写産物D(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のエキソン1とエキソン2の境界に広がる領域、あるいは転写産物D(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のエキソン2とエキソン3の境界に広がる領域と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一である(すなわち、少なくとも約90%同一である)ことができる。
【0097】
本発明で提供するのは、上記のような核酸分子であって、転写産物D、G及びH(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいはそれらの断片またはホモログに存在するセグメントであって、転写産物A(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいはその断片またはホモログに存在しないセグメントにハイブリダイズする領域を含むかまたはその領域からなるが、転写産物H(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいはその断片またはホモログに存在するセグメントであって、転写産物D(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいはその断片またはホモログに存在しないセグメントにハイブリダイズする領域(例えば、少なくとも15個の連続するヌクレオチド)をさらに含む核酸分子である。このような領域は、転写産物の配列を比較することによって、容易に特定できる。例えば、そのセグメントは、転写産物H(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のエキソン3’内の領域(例えば、少なくとも5個の連続するヌクレオチド、少なくとも10個の連続するヌクレオチドまたは少なくとも15個の連続するヌクレオチド)、転写産物H(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のエキソン3とエキソン3’の境界に広がる領域、あるいは転写産物H(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のエキソン3’とエキソン4の境界に広がる領域と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または100%同一である(すなわち、少なくとも約90%同一である)ことができる。このような核酸分子は、HSD17B13転写産物における他の特徴(例えば、エキソン3とエキソン4の境界)と区別するために、エキソン3とエキソン3’のそれぞれまたはエキソン3’とエキソン4のそれぞれにおける充分な数のヌクレオチドにハイブリダイズするように設計することになることが分かる。一例として、そのセグメントは、転写産物H(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)の領域のうち、エキソン3’内の領域、エキソン3とエキソン3’の境界に広がる領域またはエキソン3’とエキソン4の境界に広がる領域を含むか、あるいはその領域からなることができる。
【0098】
本発明で提供するのは、上記のような核酸分子であって、転写産物D、G及びH(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいはそれらの断片またはホモログに存在するセグメントであって、転写産物A(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいはその断片またはホモログに存在しないセグメントにハイブリダイズする領域を含むか、あるいはその領域からなるが、転写産物G(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいはその断片またはホモログに存在するセグメントであって、転写産物D(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいはその断片またはホモログに存在しないセグメントにハイブリダイズする領域(例えば、少なくとも15個の連続するヌクレオチド)をさらに含む核酸分子である。このような領域は、転写産物の配列を比較することによって、容易に特定できる。例えば、そのセグメントは、転写産物G(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のエキソン1とエキソン3の境界に広がる領域(例えば、少なくとも5個の連続するヌクレオチド、少なくとも10個の連続するヌクレオチドまたは少なくとも15個の連続するヌクレオチド)と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または100%同一である(すなわち、少なくとも約90%同一である)ことができる。このような核酸分子は、HSD17B13転写産物における他の特徴(例えば、エキソン1とエキソン2の境界またはエキソン2とエキソン3の境界)と区別するために、エキソン1とエキソン3のそれぞれにおける充分な数のヌクレオチドにハイブリダイズするように設計することになることが分かる。一例として、そのセグメントは、転写産物G(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)の領域のうち、エキソン1とエキソン3の境界に広がる領域を含むか、あるいはその領域からなることができる。
【0099】
また、提供するのは、HSD17B13タンパク質をコードする核酸のセグメントであって、転写産物E(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいはその断片またはホモログに存在するが、転写産物A(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいはその断片またはホモログに存在しないセグメントにハイブリダイズする領域(例えば、少なくとも15個の連続するヌクレオチド)を含むか、あるいはその領域からなる核酸分子である。このような領域は、転写産物の配列を比較することによって、容易に特定できる。転写産物Eは、転写産物Aと比べると、エキソン3とエキソン4との間に追加のエキソンを含む。したがって、本発明で提供するのは、HSD17B13タンパク質をコードする核酸の少なくとも15個の連続するヌクレオチドにハイブリダイズする核酸分子であって、その連続するヌクレオチドが、転写産物E(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のエキソン3’内の領域(例えば、少なくとも5個の連続するヌクレオチド、少なくとも10個の連続するヌクレオチドまたは少なくとも15個の連続するヌクレオチド)、転写産物E(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のエキソン3とエキソン3’の境界に広がる領域、あるいは転写産物E(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のエキソン3’とエキソン4の境界に広がる領域と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または100%同一である(すなわち、少なくとも約90%同一である)セグメントを含むか、あるいはそのセグメントからなる核酸分子である。このような核酸分子は、HSD17B13転写産物における他の特徴(例えば、エキソン3とエキソン4の境界)と区別するために、エキソン3とエキソン3’のそれぞれまたはエキソン3’とエキソン4のそれぞれにおける充分な数のヌクレオチドにハイブリダイズするように設計することになることが分かる。一例として、そのセグメントは、転写産物E(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)の領域のうち、エキソン3’内の領域、転写産物E(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)の領域のうち、エキソン3とエキソン3’の境界に広がる領域、あるいはエキソン3’とエキソン4の境界に広がる領域(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)を含むか、あるいはその領域からなることができる。
【0100】
いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子はさらに、転写産物E(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいはその断片またはホモログに存在するセグメントであって、転写産物H(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいはその断片またはホモログに存在しないセグメントにハイブリダイズする領域(例えば、15個の連続するヌクレオチド)を含むか、あるいはその領域からなる。このようなセグメントは、転写産物の配列を比較することによって、容易に特定できる。例えば、転写産物E(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいはその断片またはホモログ存在するセグメントであって、転写産物H(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいはその断片もしくはホモログに存在しないセグメント(例えば、少なくとも5個の連続するヌクレオチド、少なくとも10個の連続するヌクレオチドまたは少なくとも15個の連続するヌクレオチド)は、転写産物Gと区別するために、転写産物E(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のエキソン6とエキソン7の境界に広がる領域と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一である(すなわち、少なくとも約90%同一である)ことができる。このような核酸分子は、HSD17B13転写産物における他の特徴(特には、転写産物Hのエキソン6の3’末端における追加のグアニン)と区別するために、エキソン6とエキソン7のそれぞれにおける充分な数のヌクレオチドにハイブリダイズするように設計することになることが分かる。
【0101】
また、HSD17B13タンパク質をコードする核酸のセグメントであって、転写産物F(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいはその断片またはホモログに存在するが、転写産物A(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいはその断片またはホモログに存在しないセグメントにハイブリダイズする領域(例えば、少なくとも15個の連続するヌクレオチド)を含むか、あるいはその領域からなる核酸分子も提供する。このような領域は、転写産物の配列を比較することによって、容易に特定できる。転写産物Fは、転写産物Aと比べると、エキソン6からイントロン6への読み過ごし部を含む。したがって、本発明で提供するのは、HSD17B13タンパク質をコードする核酸の少なくとも15個の連続するヌクレオチドにハイブリダイズする核酸分子であって、その連続するヌクレオチドが、転写産物F(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)におけるイントロン6への読み過ごし部内の領域、あるいは転写産物F(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)におけるイントロン6への読み過ごし部とエキソン6の残部との境界に広がる領域と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または100%同一である(すなわち、少なくとも約90%同一である)セグメント(例えば、少なくとも5個の連続するヌクレオチド、少なくとも10個の連続するヌクレオチドまたは少なくとも15個の連続するヌクレオチド)を含むか、あるいはそのセグメントからなる核酸分子である。このような核酸分子は、その読み過ごし部を、HSD17B13転写産物における他の特徴(例えば、他のHSD17B13転写産物におけるエキソン6とエキソン7の境界)と区別するために、その読み過ごし部における充分な数のヌクレオチドにハイブリダイズするように設計することになることが分かる。任意に、その連続するヌクレオチドは、転写産物F(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)に存在する配列であって、転写産物F’(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)に存在しない配列(すなわち、チミンの挿入)を含むか、あるいはその配列からなる。転写産物F’も、転写産物Aと比べると、エキソン6からイントロン6への読み過ごし部を含むが、その読み過ごし部は、HSD17B13 rs72613567バリアント遺伝子に存在するチミンの挿入を含まない。一例として、そのセグメントは、転写産物F(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)の領域であって、イントロン6への読み過ごし部内の領域、またはイントロン6への読み過ごし部とエキソン6の残部との境界に広がる領域を含むか、あるいはその領域からなることができる。
【0102】
また、提供するのは、HSD17B13タンパク質をコードする核酸のセグメントであって、転写産物F’(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいはその断片またはホモログに存在するが、転写産物A(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいはその断片またはホモログに存在しないセグメントにハイブリダイズする領域(例えば、少なくとも15個の連続するヌクレオチド)を含むか、あるいはその領域からなる核酸分子である。このような領域は、転写産物の配列を比較することによって、容易に特定できる。転写産物F’は、転写産物Aと比べると、エキソン6からイントロン6への読み過ごし部を含む。したがって、提供するのは、HSD17B13タンパク質をコードする核酸の少なくとも15個の連続するヌクレオチドにハイブリダイズする核酸分子であって、その連続するヌクレオチドが、転写産物F’(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)におけるイントロン6への読み過ごし部内の領域、あるいは転写産物F’(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)におけるイントロン6への読み過ごし部とエキソン6の残部との境界に広がる領域と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または100%同一である(すなわち、少なくとも約90%同一である)セグメント(例えば、少なくとも5個の連続するヌクレオチド、少なくとも10個の連続するヌクレオチドまたは少なくとも15個の連続するヌクレオチド)を含むか、あるいはそのセグメントからなる核酸分子である。このような核酸分子は、その読み過ごし部を、HSD17B13転写産物における他の特徴(例えば、他のHSD17B13転写産物におけるエキソン6とエキソン7の境界)と区別するために、その読み過ごし部における充分な数のヌクレオチドにハイブリダイズするように設計することになることが分かる。任意に、その連続するヌクレオチドは、転写産物F’(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)に存在する配列であって、転写産物F(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)に存在しない配列を含むか、あるいはその配列からなる。転写産物Fにおける読み過ごし部は、HSD17B13 rs72613567バリアント遺伝子に存在するチミンの挿入を含むが、転写産物F’における読み過ごし部は、このチミンの挿入を含まない。一例として、そのセグメントは、転写産物F’(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)の領域であって、イントロン6への読み過ごし部内の領域、またはイントロン6への読み過ごし部とエキソン6の残部との境界に広がる領域を含むか、あるいはその領域からなることができる。
【0103】
また、提供するのは、HSD17B13タンパク質をコードする核酸のセグメントであって、転写産物C(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいはその断片またはホモログに存在するが、転写産物A(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいはその断片またはホモログに存在しないセグメントにハイブリダイズする領域(例えば、少なくとも15個の連続するヌクレオチド)を含むか、あるいはその領域からなる核酸分子である。このような領域は、転写産物の配列を比較することによって、容易に特定できる。転写産物Cは、転写産物Aと比べると、エキソン6が欠失している(すなわち、転写産物Cは、転写産物Aに存在しない、エキソン5とエキソン7の境界を含む)。したがって、本発明で提供するのは、HSD17B13タンパク質をコードする核酸の少なくとも15個の連続するヌクレオチドにハイブリダイズする核酸分子であって、その連続するヌクレオチドが、転写産物C(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のエキソン5とエキソン7の境界に広がる領域と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または100%同一である(すなわち、少なくとも約90%同一である)セグメント(例えば、少なくとも5個の連続するヌクレオチド、少なくとも10個の連続するヌクレオチドまたは少なくとも15個の連続するヌクレオチド)を含むか、あるいはそのセグメントからなる核酸分子である。このような核酸分子は、HSD17B13転写産物における他の特徴(例えば、他のHSD17B13転写産物のエキソン5とエキソン6またはエキソン6とエキソン7の境界)と区別するために、エキソン5とエキソン7における充分な数のヌクレオチドにハイブリダイズするように設計することになることが分かる。一例として、そのセグメントは、転写産物C(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)の領域のうち、エキソン5とエキソン7の境界に広がる領域を含むか、あるいはその領域からなることができる。
【0104】
本開示は、本明細書に開示されているプローブのうちのいずれか1つ以上が結合されている基質を含む支持体も提供する。固体支持体は、分子(本明細書に開示されているプローブのいずれかなど)が会合できる固体状態の基質または支持体である。固体支持体の形態は、アレイである。固体支持体の別の形態は、アレイ検出器である。アレイ検出器は、複数の種類のプローブがアレイ状、グリッド状またはその他の組織化されたパターンで結合してある固体支持体である。
【0105】
固体支持体で用いる固体状態の基質としては、分子が結合できるいずれかの固体物質を挙げることができる。この物質としては、アクリルアミド、アガロース、セルロース、ニトロセルロース、ガラス、ポリスチレン、ポリエチレンビニルアセテート、ポリプロピレン、ポリメタクリレート、ポリエチレン、ポリエチレンオキシド、ポリシリケート、ポリカーボネート、テフロン、フルオロカーボン、ナイロン、シリコンゴム、ポリアンハイドライド、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリオルトエステル、ポリプロピルフメレート、コラーゲン、グリコサミノグリカン及びポリアミノ酸のような物質が挙げられる。固体状態の基質は、薄いフィルム、膜、ボトル、ディッシュ、繊維、織り繊維、成形ポリマー、粒子、ビーズ、微小粒子または組み合わせたものを含むいずれかの有用な形態であることができる。固体状態の基質と固体支持体は、多孔性であることも、非多孔性であることもできる。固体状態の基質の形態は、標準的な96ウェルタイプのようなマイクロタイターディッシュである。いくつかの実施形態では、1ウェル当たりに1つのアレイを通常含むマルチウェルスライドガラスを用いることができる。いくつかの実施形態では、支持体は、マイクロアレイである。
【0106】
本明細書に開示されている核酸分子は、RNA、DNAまたはRNAとDNAの両方を含むことができる。本開示の核酸分子は、ベクターなどにおけるように、異種ヌクレオチド配列に連結もしくは融合されていることも、または異種標識に連結もしくは融合されていることもできる。例えば、本明細書に開示されている核酸分子は、その核酸分子と異種ヌクレオチド配列とを含むベクターまたは外来ドナー配列内にあることができる。本開示の核酸分子は、蛍光標識のような異種標識に連結または融合されていることもできる。標識の他の例は、本明細書の他の箇所に開示されている。
【0107】
標識は、直接検出可能なもの(例えばフルオロフォア)であることも、間接的に検出可能なもの(例えば、ハプテン、酵素またはフルオロフォアクエンチャー)であることもできる。このような標識は、分光学的手段、光化学的手段、生化学的手段、免疫化学的手段または化学的手段によって検出可能であることができる。このような標識としては、例えば、放射線計測装置で測定できる放射性標識、分光光度計を用いて目視で観察または測定できる顔料、色素またはその他の色原体、スピンラベルアナライザーで測定できるスピンラベル、及び蛍光標識(例えばフルオロフォア)であって、好適な分子付加体の励起によって出力シグナルが生成され、その色素に吸収される光による励起によって可視化できるか、または標準的な蛍光光度計もしくはイメージングシステムによって測定できる蛍光標識が挙げられる。標識は、例えば、化学発光物質(シグナル化合物の化学修飾によって、出力シグナルが生成される)、金属含有物質、または酵素(無色の基質から着色生成物が形成されるなど、酵素に依存して二次的にシグナルが生成される)であることもできる。「標識」という用語は、「タグ」またはハプテン(コジュゲート分子に選択的に結合でき、結合後、基質を加えると、そのコジュゲート分子を利用して、検出可能なシグナルを生成させるようにする)を指すこともできる。例えば、ビオチンをタグとして使用した後、西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)のアビジンまたはストレプトアビジンコジュゲートを用いて、そのタグに結合させてから、熱量測定基質(例えば、テトラメチルベンジジン(TMB))または蛍光発生基質を用いて、HRPの存在を検出できる。精製を促すタグとして使用できる例示的な標識としては、myc、HA、FLAG、3XFLAG、6XHis、ポリヒスチジン、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、マルトース結合タンパク質、エピトープタグまたは免疫グロブリンのFc部分が挙げられるが、これらに限らない。多くの標識が知られており、例えば、粒子、フルオロフォア、ハプテン、酵素とそれらの熱量測定基質、蛍光発生基質及び化学発光基質、ならびにその他の標識が挙げられる。
【0108】
本開示の核酸分子は、改変核酸分子であることができ、例えば、ヌクレオチド、または非天然ヌクレオチドもしくは改変ヌクレオチド(ヌクレオチドアナログもしくはヌクレオチド置換体など)を含むことができる。このようなヌクレオチドとしては、改変された塩基、糖もしくはホスフェート基を含むか、またはその構造に非天然部分が導入されているヌクレオチドが挙げられる。非天然ヌクレオチドの例としては、ジデオキシヌクレオチド、ビオチン化ヌクレオチド、アミノ化ヌクレオチド、脱アミノ化ヌクレオチド、アルキル化ヌクレオチド、ベンジル化ヌクレオチド及びフルオロフォア標識ヌクレオチドが挙げられるが、これらに限らない。
【0109】
本明細書に開示されている核酸分子は、1つ以上のヌクレオチドアナログまたはヌクレオチド置換を含むこともできる。ヌクレオチドアナログは、塩基部分、糖部分またはホスフェート部分のいずれかに対する改変を含むヌクレオチドである。塩基部分に対する改変としては、A、C、G及びT/Uの天然の改変と合成の改変、ならびに異なるプリン塩基またはピリミジン塩基(例えば、プソイドウリジン、ウラシル-5-イル、ヒポキサンチン-9-イル(I)及び2-アミノアデニン-9-イルなど)が挙げられるが、これらに限らない。改変塩基としては、5-メチルシトシン(5-me-C)、5-ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2-アミノアデニン、アデニン及びグアニンの6-メチル及び他のアルキル誘導体、アデニン及びグアニンの2-プロピル及び他のアルキル誘導体、2-チオウラシル、2-チオチミン及び2-チオシトシン、5-ハロウラシル及びシトシン、5-プロピニルウラシル及びシトシン、6-アゾウラシル、シトシン及びチミン、5-ウラシル(プソイドウラシル)、4-チオウラシル、8-ハロ、8-アミノ、8-チオール、8-チオアルキル、8-ヒドロキシル及び他の8-置換アデニン及びグアニン、5-ハロ、特に、5-ブロモ、5-トリフルオロメチル及び他の5-置換ウラシル及びシトシン、7-メチルグアニン及び7-メチルアデニン、8-アザグアニン及び8-アザアデニン、7-デアザグアニン及び7-デアザアデニン、ならびに3-デアザグアニン及び3-デアザアデニンが挙げられるが、これらに限らない。特定のヌクレオチドアナログ、例えば、5-置換ピリミジン、6-アザピリミジン、ならびにN-2、N-6及びO-6置換プリンなど(2-アミノプロピルアデニン、5-プロピニルウラシル、5-プロピニルシトシン及び5-メチルシトシンが挙げられるが、これらに限らない)は、二重鎖形成の安定性を高めることができる。塩基の改変は、例えば、糖の改変(2’-O-メトキシエチルなど)と組み合わせて、二重鎖の安定性の向上のような特有の特性をもたらすことができることが多い。
【0110】
ヌクレオチドアナログは、糖部分の改変を含むこともできる。糖部分に対する改変としては、リボース及びデオキシリボースの天然の改変と、合成の改変が挙げられるが、これらに限らない。糖の改変としては、OH、F、O-アルキル、S-アルキル、N-アルキル、O-アルケニル、S-アルケニル、N-アルケニル、O-アルキニル、S-アルキニル、N-アルキニルまたはO-アルキル-O-アルキルという、2’位における改変が挙げられるが、これに限らず、これらのアルキル、アルケニル及びアルキニルは、置換または非置換のC1-10アルキルまたはC2-10アルケニル及びC2-10アルキニルであってよい。例示的な2’での糖の改変としては、-O[(CH2)nO]mCH3、-O(CH2)nOCH3、-O(CH2)nNH2、-O(CH2)nCH3、-O(CH2)n-ONH2及び-O(CH2)nON[(CH2)nCH3)]2(式中のnとmは、1~約10である)も挙げられるが、これらに限らない。
【0111】
2’位におけるその他の改変としては、C1-10アルキル、置換低級アルキル、アルカリール、アラルキル、O-アルカリール、O-アラルキル、SH、SCH3、OCN、Cl、Br、CN、CF3、OCF3、SOCH3、SO2CH3、ONO2、NO2、N3、NH2、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリール、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA切断基、レポーター基、インターカレーター、オリゴヌクレオチドの薬物動態特性を改善するための基、またはオリゴヌクレオチドの薬理学的特性を改善するための基、及び同様の特性を有するその他の置換基が挙げられるが、これらに限らない。糖の他の位置で、特には、3’末端ヌクレオチドまたは2’-5’結合オリゴヌクレオチドにおける糖の3’位と、5’末端ヌクレオチドの5’位で同様の改変が行われていてもよい。改変糖としては、架橋環酸素に、CH2及びSのような改変部を含む糖も挙げることができる。ヌクレオチド糖アナログは、ペントフラノシル糖の代わりに、シクロブチル部分のような糖模倣体も有することができる。
【0112】
ヌクレオチドアナログは、ホスフェート部分で改変されていることもできる。改変ホスフェート部分としては、2つのヌクレオチド間の結合に、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、メチル及びその他のアルキルホスホネート(3’-アルキレンホスホネート及びキラルホスホネートを含む)、ホスフィネート、ホスホルアミダート(3’-アミノホスホルアミダート及びアミノアルキルホスホルアミダートを含む)、チオノホスホルアミダート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、ならびにボラノホスフェートが含まれるように改変できる部分が挙げられるが、これらに限らない。2つのヌクレオチド間のこれらのホスフェート結合または改変ホスフェート結合は、3’-5’結合または2’-5’結合を介したものであることができ、その結合は、3’-5’から5’-3’または2’-5’から5’-2’のような極性の反転を含むことができる。様々な塩、混合塩及び遊離酸形態も含まれる。
【0113】
ヌクレオチド置換体としては、ホスフェート部分または糖部分が置き換えられているヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログも挙げられる。いくつかの実施形態では、ヌクレオチド置換体は、標準的なリン原子を含まなくてもよい。ホスフェートに対する置換部は、例えば、短鎖アルキルもしくはシクロアルキルインターヌクレオシド結合、ヘテロ原子とアルキルもしくはシクロアルキルが混合されているインターヌクレオシド結合、または1つ以上の短鎖ヘテロ原子もしくは複素環インターヌクレオシド結合であることができる。これらの置換部としては、モルホリノ結合(部分的に、ヌクレオシドの糖部分から形成されている)、シロキサン骨格、スルフィド、スルホキシド及びスルホン骨格、ホルムアセチル及びチオホルムアセチル骨格、メチレンホルムアセチル及びチオホルムアセチル骨格、アルケン含有骨格、スルファメート骨格、メチレンイミノ及びメチレンヒドラジノ骨格、スルホネート及びスルホンアミド骨格、アミド骨格、ならびに、N、O、S及びCH2という構成部分が混合されている他の部分を有する置換部が挙げられる。
【0114】
ヌクレオチド置換体では、ヌクレオチドの糖部分とホスフェート部分の両方が、例えばアミド型結合(アミノエチルグリシン)(PNA)によって置き換えられていることができるのも分かる。
【0115】
他のタイプの分子(コンジュゲート)をヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログに結合して、例えば、細胞取り込みを高めることも可能である。コンジュゲートは、ヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログに化学的に連結できる。このようなコンジュゲートとしては、例えば、脂質部分(コレステロール部分など)、コール酸、チオエーテル(ヘキシル-S-トリチルチオールなど)、チオコレステロール、脂肪族鎖(ドデカンジオールもしくはウンデシル残基など)、リン脂質(ジ-ヘキサデシル-rac-グリセロールもしくはトリエチルアンモニウム1,2-ジ-O-ヘキサデシル-rac-グリセロ-3-H-ホスホネートなど)、ポリアミンもしくはポリエチレングリコール鎖、アダマンタン酢酸、パルミチル部分、またはオクタデシルアミンもしくはヘキシルアミノ-カルボニル-オキシコレステロール部分が挙げられる。
【0116】
また、本明細書で開示するのは、本明細書に開示されている核酸分子によってコードされるポリペプチド、及び本明細書に開示されている核酸またはポリペプチドと、その単離核酸もしくはタンパク質の安定性を向上させる(例えば、分解生成物を閾値未満(初期の核酸もしくはタンパク質の0.5重量%未満など)に保つ期間を所定の保管条件下(例えば、-20℃、4℃もしくは周囲温度)で延長するか、またはインビボでの安定性を向上させる)担体とを含む組成物である。このような担体の非限定例としては、ポリ(乳酸)(PLA)マイクロスフィア、ポリ(D,L-乳酸-コグリコール酸)(PLGA)マイクロスフィア、リポソーム、ミセル、逆ミセル、脂質コクリエート及び脂質微小管が挙げられる。
【0117】
また、本発明で提供するのは、開示されている核酸分子と相互作用できる機能性ポリヌクレオチドである。機能性ポリヌクレオチドは、標的分子と結合したり、または特有の反応を触媒したりするなどの特有の機能を持つ核酸分子である。機能性ポリヌクレオチドの例としては、アンチセンス分子、アプタマー、リボザイム、三重鎖形成分子及びエクスターナルガイドシークエンスが挙げられるが、これらに限らない。機能性ポリヌクレオチドは、標的分子が有する特有の活性のエフェクター、インヒビター、モジュレーター及び刺激因子として作用でき、あるいは、機能性ポリヌクレオチドは、いずれかの他の分子とは無関係なデノボ活性を有することができる。
【0118】
アンチセンス分子は、カノニカルな塩基対形成または非カノニカルな塩基対形成のいずれかを通じて、標的核酸分子と相互作用するように設計されている。アンチセンス分子と標的分子との相互作用は、例えば、RNase Hの媒介による、RNA-DNAハイブリッドの分解を通じて、その標的分子の破壊を促すように設計されている。あるいは、アンチセンス分子は、転写または複製のように、標的分子において通常行われるプロセシング機能を妨げるように設計されている。アンチセンス分子は、標的分子の配列に基づいて設計できる。標的分子の領域のうち、最も接触可能な領域を特定することによって、アンチセンス効率を最適化する方法は、数多く存在する。例示的な方法としては、DMSとDEPCを用いたインビトロ選択実験とDNA改変試験が挙げられるが、これらに限らない。アンチセンス分子は概して、約10-6以下、約10-8以下、約10-10以下または約10-12以下の解離定数(kd)で、標的分子と結合する。アンチセンス分子の例としては、アンチセンスRNA、低分子干渉RNA(siRNA)及びショートヘアピンRNA(shRNA)が挙げられるが、これらに限らない。
【0119】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されている核酸分子、ゲノムDNA分子、ミニ遺伝子、RNA分子、mRNA分子またはcDNA分子のいずれも、精製されていることができ、例えば、少なくとも約90%の純度である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されている核酸分子のいずれも、精製されていることができ、例えば、少なくとも約95%の純度である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されている核酸分子のいずれも、精製されていることができ、例えば、少なくとも約99%の純度である。精製は、人間の手によって、人間が作成した精製技法を用いるものである。
【0120】
本開示は、本明細書に開示されている核酸分子のうちのいずれか1つ以上を含むベクターも提供する。いくつかの実施形態では、本開示のベクターは、本明細書に開示されている核酸分子のうちのいずれか1つ以上と、異種核酸とを含む。本開示のベクターは、核酸分子を輸送できるウイルスベクターまたは非ウイルスベクターであることができる。いくつかの実施形態では、本開示のベクターは、プラスミドまたはコスミドである。いくつかの実施形態では、本開示のベクターは、ウイルスベクターであって、追加のDNAセグメントをそのウイルスゲノムにライゲーションできるウイルスベクターである。いくつかの実施形態では、本開示のベクターは、そのベクターが導入される宿主細胞において、自己複製できる。いくつかの実施形態では、本開示のベクターは、宿主細胞に導入すると、宿主細胞のゲノムに組み込まれることができ、それによって、宿主ゲノムとともに複製される。さらに、特定のベクターは、そのベクターが機能的に連結される遺伝子の発現を誘導できる。このようなベクターは、本明細書では、「組み換え発現ベクター」または「発現ベクター」という。このようなベクターは、ターゲティングベクターであることもできる。
【0121】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている様々な遺伝的バリアントによってコードされるタンパク質は、開示されている遺伝的バリアントをコードする核酸分子を発現ベクターに挿入して、その遺伝子が、転写調節配列及び翻訳調節配列のような発現調節配列に機能的に連結されるようにすることによって発現させる。発現ベクターとしては、プラスミド、コスミド、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、植物ウイルス(カリフラワーモザイクウイルス及びタバコモザイクウイルスなど)、酵母人工染色体(YAC)、エプスタインバー(EBV)由来エピソーム、ならびに当該技術分野知られているその他の発現ベクターが挙げられるが、これらに限らない。いくつかの実施形態では、開示されている遺伝的バリアントを含む核酸分子は、ベクターにライゲーションして、そのベクター内の転写調節配列と翻訳調節配列が、その遺伝的バリアントの転写と翻訳の調節という意図されている機能を果たすようにできる。
【0122】
本開示の組み換え発現ベクターは、開示されている遺伝的バリアントを含むヌクレオチド配列に加えて、例えば、レトロウイルスLTRに由来するプロモーター及び/またはエンハンサー、サイトメガロウイルス(CMV)に由来するプロモーター及び/またはエンハンサー(CMVプロモーター/エンハンサーなど)、シミアンウイルス40(SV40)に由来するプロモーター及び/またはエンハンサー(SV40プロモーター/エンハンサーなど)、アデノウイルスに由来するプロモーター及び/またはエンハンサー(例えばアデノウイルス主要後期プロモーター(AdMLP)など)、ポリオーマプロモーター及び強力哺乳類動物プロモーター(ネイティブ免疫グロブリン及びアクチンプロモーターなど)のように、宿主細胞でのその遺伝的バリアントの発現を調節する調節配列を有することができる。細菌細胞または真菌細胞(例えば酵母細胞)においてポリペプチドを発現させる方法も周知である。
【0123】
プロモーターは、例えば、構成的活性型プロモーター、条件的プロモーター、誘導性プロモーター、時間的制限型プロモーター(例えば発生的調節型プロモーター)または空間的制限型プロモーター(例えば、細胞特異的プロモーターもしくは組織特異的プロモーター)であることができる。
【0124】
本開示の組み換え発現ベクターは、開示されている遺伝的バリアントと調節配列とを含むヌクレオチド配列に加えて、宿主細胞におけるベクターの複製を調節する配列のような追加の配列と、選択可能なマーカー遺伝子を有することができる。例示的な選択可能なマーカー遺伝子としては、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)遺伝子(DHFR-宿主細胞において、メトトレキセートによる選択/増幅で用いるための遺伝子)、Neo遺伝子(G418による選択用)及びグルタメートシンターゼ(GS)遺伝子が挙げられるが、これらに限らない。
【0125】
本開示は、本開示の核酸分子を含むベクターを含め、本開示の核酸分子のうちのいずれか1つ以上及び/または本明細書で開示されているポリペプチドのうちのいずれか1つ以上を含む細胞(例えば組み換え宿主細胞)も提供する。この細胞は、インビトロ細胞、エキソビボ細胞またはインビボ細胞であることができる。核酸分子は、発現して、コードタンパク質が産生されるように、プロモーターとその他の調節配列に連結されていることができる。さらに、このような細胞の細胞株を提供する。
【0126】
いくつかの実施形態では、本開示の細胞は、全能性細胞または多能性細胞(例えば、胚性幹(ES)細胞(齧歯類動物ES細胞、マウスES細胞またはラットES細胞など))である。多能性及び/または全能性細胞は、例えば、ES細胞またはES様細胞(誘導多能性幹(iPS)細胞など)であることができる。本開示によれば、胚性幹細胞は、ヒト以外の胚性幹細胞であってよい。いくつかの実施形態では、本開示の細胞は、初代体細胞または初代体細胞ではない細胞である。このような細胞は、従来の技法によって単離でき、この細胞としては、例えば、体細胞、造血細胞、内皮細胞、上皮細胞、線維芽細胞、間葉細胞、角化細胞、メラニン細胞、単球、単核球、脂肪細胞、前駆脂肪細胞、ニューロン、グリア細胞、肝細胞、骨格筋芽細胞及び平滑筋細胞が挙げられる。例えば、初代細胞は、結合組織、筋肉組織、神経系組織または上皮組織に由来することができる。
【0127】
いくつかの実施形態では、本開示の細胞は、通常は無限に増殖しなくてもよいが、変異または改変により、通常の細胞老化が回避されており、その代わりに、分裂を継続して起こすことができる。このような変異または改変は、自然に起きるものであることも、意図的に誘導したものであることもできる。不死化細胞の例としては、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ヒト胎児腎細胞(例えばHEK293細胞)及びマウス胎児線維芽細胞(例えば3T3細胞)が挙げられるが、これらに限らない。いくつかの実施形態では、本開示の細胞は、肝細胞(例えばヒト肝細胞)のような分化細胞である。
【0128】
本開示の細胞は、いずれの供給源から得たものであることができる。例えば、本開示の細胞は、真核細胞、動物細胞、植物細胞または真菌(例えば酵母)細胞であることができる。このような細胞は、魚細胞またはトリ細胞であることができ、あるいは、このような細胞は、哺乳動物細胞(ヒト細胞、ヒト以外の哺乳動物細胞、齧歯類動物細胞、マウス細胞またはラット細胞など)であることができる。哺乳類動物としては、ヒト、ヒト以外の霊長類動物、サル、猿人類、ネコ、イヌ、ウマ、未去勢の雄牛、シカ、バイソン、ヒツジ、齧歯類動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、モルモット)、家畜(例えば、ウシ亜科の種(ウシ、去勢雄牛など)、ヒツジ類(ヒツジ、ヤギなど)、ブタ類(ブタ、イノシシなど)が挙げられるが、これらに限らない。トリとしては、ニワトリ、シチメンチョウ、ダチョウ、ガチョウ、アヒルなどが挙げられるが、これらに限らない。飼育動物と畜産動物も含まれる。「ヒト以外の動物」という用語には、ヒトは含まれない。いくつかの実施形態では、本開示の細胞は、ヒト細胞である。
【0129】
本開示は、バリアントHSD17B13遺伝子もしくはバリアントHSD17B13転写産物を検出するため、ヒト対象が肝疾患を発症する感受性もしくはリスクを判断するため、またはヒト対象の、臨床的にさらに進行した段階の脂肪肝疾患に進行するリスクを判断するためのプローブまたはプライマーとして、本明細書に記載されている核酸分子のいずれかの使用を提供する。
【0130】
本開示は、HSD17B13アイソフォームポリペプチドとその断片、特には、HSD17B13 rs72613567バリアントによって産生されるHSD17B13アイソフォームポリペプチドとその断片を提供する。
【0131】
本開示は、HSD17B13アイソフォームDのアミノ酸配列(配列番号42)と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%もしくは100%同一であるアミノ酸配列を含むか、またはその配列からなるポリペプチドを提供する。いくつかの実施形態では、このポリペプチドは、HSD17B13アイソフォームDのアミノ酸配列(配列番号42)と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含むかまたはその配列からなる。いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドは、配列番号42のアミノ酸配列を含むかまたはその配列からなる。いくつかの実施形態では、これらのポリペプチドは、274個のアミノ酸を有する。いくつかの実施形態では、これらのポリペプチドは、C末端にVal-Ser-Serを有する。いくつかの実施形態では、これらのポリペプチドは、本明細書に記載されている肝疾患のいずれかを発症するリスクの低下、または臨床的にさらに進行した段階の脂肪肝疾患に進行するリスクの低下と関連がある。
【0132】
いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドは、アイソフォームA、アイソフォームB、アイソフォームC、アイソフォームD、アイソフォームE、アイソフォームF、アイソフォームF’、アイソフォームGまたはアイソフォームHと少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%もしくは100%同一である(すなわち、少なくとも約90%同一である)アミノ酸配列を含むか、またはその配列からなる。いくつかの実施形態では、HSD17B13タンパク質は、アイソフォームA、アイソフォームB、アイソフォームC、アイソフォームD、アイソフォームE、アイソフォームF、アイソフォームF’、アイソフォームGまたはアイソフォームHである。
【0133】
いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドは、アイソフォームC、アイソフォームD、アイソフォームE、アイソフォームF、アイソフォームF’、アイソフォームGまたはアイソフォームHと少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%もしくは100%同一である(すなわち、少なくとも約90%同一である)アミノ酸配列を含むか、またはその配列からなる。いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドは、アイソフォームC、アイソフォームD、アイソフォームE、アイソフォームF、アイソフォームF’、アイソフォームGまたはアイソフォームHである。
【0134】
いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドは、アイソフォームC、アイソフォームD、アイソフォームF、アイソフォームGまたはアイソフォームHと少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%もしくは100%同一である(または少なくとも約90%)アミノ酸配列を含むか、またはその配列からなる。いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドは、アイソフォームC、アイソフォームD、アイソフォームF、アイソフォームGまたはアイソフォームHである。
【0135】
いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドは、アイソフォームDと少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%もしくは100%同一であるアミノ酸配列を含むか、またはその配列からなる。いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドは、アイソフォームDと少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含むかまたはその配列からなる。いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドは、アイソフォームDである。
【0136】
いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドは例えば、i)HSD17B13アイソフォームA、B、C、D、E、F、F’、GもしくはH、またはその断片、ii)HSD17B13アイソフォームC、D、E、F、F’、GもしくはH、またはその断片、iii)HSD17B13アイソフォームC、D、F、GもしくはH、またはその断片、あるいは、iv)HSD17B13アイソフォームDまたはその断片の少なくとも5個、6個、8個、10個、12個、14個、15個、16個、18個、20個、22個、24個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、60個、70個、80個、90個、100個、150個、200個、250個または300個の連続するアミノ酸を含むか、あるいはそれらからなる。集団内の遺伝子配列と、そのような遺伝子によってコードされるタンパク質は、一塩基多型のような多型により、変動し得ることが分かる。各HSD17B13アイソフォームに関して本明細書に示されている配列は、例示的な配列に過ぎない。他の配列も可能である。
【0137】
一例として、本開示のポリペプチドは、アイソフォームD、アイソフォームGまたはアイソフォームH(あるいはその断片またはホモログ)における、エキソン7によってコードされた領域であって、アイソフォームA(またはその断片もしくはホモログ)に存在しない領域の少なくとも一部を含むセグメントと少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または100%同一である(すなわち、少なくとも約90%同一である)セグメント(例えば、少なくとも8個の連続するアミノ酸)を含むか、あるいはそのセグメントからなることができる。このような領域は、アイソフォームの配列を比較することによって、容易に特定できる。アイソフォームD、G及びHにおける、エキソン7によってコードされた領域は、アイソフォームAにおける、エキソン7によってコードされた領域と比べると、フレームシフトとトランケーションが生じている。
【0138】
このようなポリペプチドはさらに、アイソフォームD(またはその断片もしくはホモログ)に存在するセグメントであって、アイソフォームG(またはその断片もしくはホモログ)に存在しないセグメントを含むかまたはそのセグメントからなることができ、アイソフォームD(またはその断片もしくはホモログ)に存在するセグメントであって、アイソフォームH(またはその断片もしくはホモログ)に存在しないセグメントをさらに含むことができる。このような領域は、アイソフォームの配列を比較することによって、容易に特定できる。例えば、このようなポリペプチドは、アイソフォームHと区別するために、アイソフォームDの、エキソン3とエキソン4によってコードされた領域の境界に広がるセグメントと少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%同一である(すなわち、少なくとも約90%同一である)連続するアミノ酸(例えば、少なくとも3個の連続するアミノ酸、少なくとも5個の連続するアミノ酸、少なくとも8個の連続するアミノ酸、少なくとも10個の連続するアミノ酸もしくは少なくとも15個の連続するアミノ酸)のセグメントを含むか、またはそのセグメントからなることができる。同様に、このようなポリペプチドは、アイソフォームGと区別するために、アイソフォームDにおける、エキソン2によってコードされた領域内のセグメント、アイソフォームDにおける、エキソン1とエキソン2によってコードされた領域の境界に広がるセグメント、もしくはアイソフォームDにおける、エキソン2とエキソン3によってコードされた領域の境界に広がるセグメントと少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%同一である(すなわち、少なくとも約90%同一である)連続するアミノ酸(例えば、少なくとも3個の連続するアミノ酸、少なくとも5個の連続するアミノ酸、少なくとも8個の連続するアミノ酸、少なくとも10個の連続するアミノ酸もしくは少なくとも15個の連続するアミノ酸)のセグメントを含むか、またはそのセグメントからなることができる。
【0139】
アイソフォームDと同様に、アイソフォームHにおける、エキソン7によってコードされた領域は、アイソフォームAと比べると、フレームシフトとトランケーションが生じている。しかしながら、これに加えて、アイソフォームHは、アイソフォームAとアイソフォームDと比べると、エキソン3とエキソン4との間の追加のエキソン(エキソン3’)によってコードされた領域を含む。したがって、このようなポリペプチドは、上記のように、アイソフォームD、G及びH(またはその断片もしくはホモログ)に存在するセグメントであって、アイソフォームA(またはその断片もしくはホモログ)に存在しないセグメントを含んでいるか、あるいはそのセグメントからなっていることができるが、さらに、アイソフォームH(またはその断片もしくはホモログ)由来のセグメントであって、アイソフォームD(またはその断片もしくはホモログ)に存在しないセグメント(例えば、少なくとも8個の連続するアミノ酸)を含んでいることができる。このような領域は、アイソフォームの配列を比較することによって、容易に特定できる。例えば、このようなポリペプチドは、アイソフォームHにおける、エキソン3’によってコードされた領域の少なくとも一部を含むセグメントと少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%もしくは100%同一である(すなわち、少なくとも約90%同一である)連続するアミノ酸(例えば、少なくとも3個の連続するアミノ酸、少なくとも5個の連続するアミノ酸、少なくとも8個の連続するアミノ酸、少なくとも10個の連続するアミノ酸もしくは少なくとも15個の連続するアミノ酸)のセグメントをさらに含むか、またはそのセグメントからなることができる。
【0140】
アイソフォームDと同様に、アイソフォームGにおける、エキソン7によってコードされた領域は、アイソフォームAと比べると、フレームシフトとトランケーションが生じている。しかしながら、これに加えて、アイソフォームGは、アイソフォームAとアイソフォームDと比べると、エキソン2によってコードされる領域が欠失しているので、アイソフォームAとアイソフォームDには存在しない、エキソン1とエキソン3の境界を含む。したがって、このようなポリペプチドは、上記のように、アイソフォームD、G及びH(またはその断片もしくはホモログ)に存在するセグメントであって、アイソフォームA(またはその断片もしくはホモログ)に存在しないセグメントを含んでいるか、あるいはそのセグメントからなっていることができるが、さらに、アイソフォームG(またはその断片もしくはホモログ)由来のセグメントであって、アイソフォームD(またはその断片もしくはホモログ)に存在しないセグメント(例えば、少なくとも8個の連続するアミノ酸)を含んでいることができる。このような領域は、アイソフォームの配列を比較することによって、容易に特定できる。例えば、このようなポリペプチドは、アイソフォームGにおける、エキソン1とエキソン3によってコードされた領域の境界に広がるセグメントと少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%もしくは100%同一である(すなわち、少なくとも約90%同一である)連続するアミノ酸(例えば、少なくとも3個の連続するアミノ酸、少なくとも5個の連続するアミノ酸、少なくとも8個の連続するアミノ酸、少なくとも10個の連続するアミノ酸もしくは少なくとも15個の連続するアミノ酸)のセグメントをさらに含むか、またはそのセグメントからなることができる。
【0141】
また、本発明で提供するのは、アイソフォームE(またはその断片もしくはホモログ)に存在するセグメントであって、アイソフォームA(またはその断片もしくはホモログ)に存在しないセグメント(例えば、少なくとも8個の連続するアミノ酸)を含むか、あるいはそのセグメントからなるポリペプチドである。アイソフォームEは、エキソン3とエキソン4との間の追加のエキソンであって、アイソフォームAに存在しないエキソン(エキソン3’)によってコードされた領域を含む。このような領域は、アイソフォームの配列を比較することによって、容易に特定できる。したがって、本開示のポリペプチドは、HSD17B13アイソフォームタンパク質の少なくとも5個、6個、8個、10個、12個、14個、15個、16個、18個、20個、22個、24個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、60個、70個、80個、90個、100個、150個、もしくは200個の連続するアミノ酸(例えば、HSD17B13タンパク質の少なくとも8個の連続するアミノ酸、少なくとも10個の連続するアミノ酸もしくは少なくとも15個の連続するアミノ酸)を含むか、またはそれらからなることができ、その連続するアミノ酸のセグメント(例えば、少なくとも3個の連続するアミノ酸、少なくとも5個の連続するアミノ酸、少なくとも8個の連続するアミノ酸、少なくとも10個の連続するアミノ酸または少なくとも15個の連続するアミノ酸)は、アイソフォームEまたはアイソフォームHにおける、エキソン3’によってコードされた領域の少なくとも一部を含むセグメントと少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または100%同一である(すなわち、少なくとも約90%同一である)。任意に、このようなポリペプチドは、アイソフォームE(またはその断片もしくはホモログ)由来のセグメントであって、アイソフォームH(またはその断片もしくはホモログ)に存在しないセグメント(例えば、少なくとも8個の連続するアミノ酸)をさらに含むか、あるいはそのセグメントからなることができる。このような領域は、アイソフォームの配列を比較することによって、容易に特定できる。例えば、このようなポリペプチドは、アイソフォームEのエキソン6とエキソン7によってコードされる領域の境界に広がるセグメントと少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または100%同一である(すなわち、少なくとも約90%同一である)連続するアミノ酸(例えば、少なくとも3個の連続するアミノ酸、少なくとも5個の連続するアミノ酸、少なくとも8個の連続するアミノ酸、少なくとも10個の連続するアミノ酸または少なくとも15個の連続するアミノ酸)のセグメントをさらに含むか、あるいはそのセグメントからなることができる。
【0142】
また、本発明で提供するのは、アイソフォームF(またはその断片もしくはホモログ)に存在するセグメントであって、アイソフォームA(またはその断片もしくはホモログ)に存在しないセグメント(例えば、少なくとも8個の連続するアミノ酸)を含むか、あるいはそのセグメントからなるポリペプチドである。アイソフォームFは、エキソン6からイントロン6への読み過ごし部によってコードされた領域であって、アイソフォームAに存在しない領域を含む。このような領域は、アイソフォームの配列を比較することによって、容易に特定できる。したがって、本開示のポリペプチドは、HSD17B13アイソフォームタンパク質の少なくとも5個、6個、8個、10個、12個、14個、15個、16個、18個、20個、22個、24個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、60個、70個、80個、90個、100個、150個もしくは200個の連続するアミノ酸(例えば、HSD17B13タンパク質の少なくとも8個の連続するアミノ酸、少なくとも10個の連続するアミノ酸もしくは少なくとも15個の連続するアミノ酸)を含むか、またはそれらからなることができ、その連続するアミノ酸のセグメント(例えば、少なくとも3個の連続するアミノ酸、少なくとも5個の連続するアミノ酸、少なくとも8個の連続するアミノ酸、少なくとも10個の連続するアミノ酸または少なくとも15個の連続するアミノ酸)は、アイソフォームFにおける、イントロン6への読み過ごし部によってコードされた領域の少なくとも一部を含むセグメントと少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または100%同一である(すなわち、少なくとも約90%同一である)。
【0143】
本発明で提供するのは、アイソフォームC(またはその断片もしくはホモログ)に存在するセグメントであって、アイソフォームA(またはその断片もしくはホモログ)に存在しないセグメント(例えば、少なくとも8個の連続するアミノ酸)を含むか、あるいはそのセグメントからなるポリペプチドである。アイソフォームCは、アイソフォームAと比べると、エキソン6によってコードされる領域が欠失しており、アイソフォームAに存在しない、エキソン5とエキソン7の境界を含む。このような領域は、アイソフォームの配列を比較することによって、容易に特定できる。したがって、本開示のポリペプチドは、HSD17B13タンパク質アイソフォームの少なくとも5個、6個、8個、10個、12個、14個、15個、16個、18個、20個、22個、24個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、60個、70個、80個、90個、100個、150個または200個の連続するアミノ酸(例えば、HSD17B13タンパク質の少なくとも8個の連続するアミノ酸、少なくとも10個の連続するアミノ酸または少なくとも15個の連続するアミノ酸)を含むことができ、その連続するアミノ酸のセグメント(例えば、少なくとも3個の連続するアミノ酸、少なくとも5個の連続するアミノ酸、少なくとも8個の連続するアミノ酸、少なくとも10個の連続するアミノ酸または少なくとも15個の連続するアミノ酸)は、アイソフォームCにおける、エキソン5とエキソン7によってコードされた領域の境界に広がるセグメントと少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または100%同一である(すなわち、少なくとも約90%同一である)。
【0144】
本明細書に開示されている単離ポリペプチドのいずれも、異種分子または異種標識に連結されていることができる。このような異種分子または標識の例は、本明細書の他の箇所に開示されている。例えば、この異種分子は、免疫グロブリンFcドメイン、本明細書の他の箇所に開示されているようなペプチドタグ、ポリ(エチレングリコール)、ポリシアル酸またはグリコール酸であることができる。
【0145】
本開示は、本明細書に開示されているポリペプチドまたはその断片のいずれかの作製方法も提供する。例えば、ポリペプチドまたはその断片は、そのポリペプチドまたはその断片をコードする核酸分子(例えば組み換え発現ベクター)を含む宿主細胞から産生させることができる。このような方法は、ポリペプチドまたはその断片を産生させるのに十分な条件下で、ポリペプチドまたはその断片をコードする核酸分子(例えば組み換え発現ベクター)を含む宿主細胞を培養することによって、そのポリペプチドまたはその断片を作製することを含むことができる。この核酸は、宿主細胞において活性なプロモーターに機能的に連結されていることができ、培養は、その核酸を発現させる条件下で行うことができる。このような方法は、その発現したポリペプチドまたはその断片を回収することさらに含むことができる。この回収は、ポリペプチドまたはその断片を精製することをさらに含むことができる。
【0146】
好適なタンパク質発現系の例としては、例えば、細菌細胞発現系(例えば、Escherichia coli、Lactococcus lactis)、酵母細胞発現系(例えば、Saccharomyces cerevisiae、Pichia pastoris)、昆虫細胞発現系(例えばバキュロウイルスの媒介によるタンパク質発現)及び哺乳動物細胞発現系のような宿主細胞が挙げられる。
【0147】
いくつかの実施形態では、この核酸分子は、タンパク質の精製を容易にするように、ポリペプチドまたはその断片とインフレームなタグをコードする。タグの例は、本明細書の他の箇所に開示されている。このようなタグは、例えば、パートナーリガンド(例えば、樹脂に固定したパートナーリガンド)に結合して、そのタグが付加されたタンパク質を他のすべてのタンパク質(例えば宿主細胞タンパク質)から単離できるようにできる。
【0148】
他の方法を用いて、ポリペプチドまたはその断片を作製することもできる。例えば、タンパク質化学の技法によって、2つ以上のペプチドまたはポリペプチドを連結し合うことができる。例えば、ペプチドまたはポリペプチドは、Fmoc(9-フルオレニルメチルオキシカルボニル)またはBoc(tert-ブチルオキシカルボニル)のいずれかの化学的物質を用いて化学合成できる。あるいは、ペプチドまたはポリペプチドは、本明細書に記載されているように、インビボで独立して合成できる。単離したら、これらの独立したペプチドまたはポリペプチドを連結して、同様のペプチド縮合反応を介して、ペプチドまたはその断片を形成してよい。
【0149】
いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドは、例えば、グリコシル化、アセチル化及びリン酸化のような発現後修飾部と、当該技術分野において知られているその他の修飾部(天然において生じるものと、天然では生じないものの両方)を有することができる。ポリペプチドは、タンパク質全体であっても、その部分配列であってもよい。
【0150】
本開示は、本明細書に開示されているポリペプチドのいずれかの作製方法であって、本明細書に開示されているポリペプチドまたはその相補体の1つ以上をコードできるポリヌクレオチドを含む核酸分子を含む組み換え発現ベクターを含む宿主細胞を培養することによって、そのポリペプチドを産生させることを含む方法も提供する。
【0151】
本明細書に開示されているポリペプチドは、天然のHSD17B13アイソフォームタンパク質のアミノ酸配列を含むことができ、あるいは、非天然の配列を含むことができる。一例では、この非天然の配列は、保存的アミノ酸置換による非天然の配列と異なることができる。例えば、配列は、保存的アミノ酸置換以外は、同一であることができる。
【0152】
本明細書に開示されているポリペプチドのいずれも、1つ以上の置換(保存的アミノ酸置換など)、挿入または欠失をさらに有することができる。挿入としては、例えば、アミノ末端融合またはカルボキシル末端融合と、1つまたは複数のアミノ酸残基の配列内挿入が挙げられる。既知の配列を有するDNAの所定の部位で置換を行う技法は周知である(例えば、M13プライマー変異誘発及びPCR変異誘発)。アミノ酸置換は典型的には、1つの残基の置換であるが、1度に、多くの異なる位置で置換したものであることができ、挿入は通常、約1~10個のアミノ酸残基の規模となり、欠失は、約1~30個の残基の範囲となる。欠失または挿入は、隣接する対で行うことができる(すなわち、2残基の欠失または2残基の挿入)。置換、欠失、挿入またはこれらのいずれかの組み合わせを組み合わせて、最終的なコンストラクトに到達するようにしてよい。いくつかの実施形態では、これらの変異によって、配列がリーディングフレーム外に配置されず、mRNAの二次構造をもたらすことができる相補領域が生じない。
【0153】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されているポリペプチドは、異種ポリペプチド、または異種分子もしくは標識に連結または融合されており、その例は、本明細書の他の箇所に数多く開示されている。例えば、本開示のタンパク質は、安定性を向上または低下させる異種ポリペプチドに融合できる。融合されたドメインまたは異種ポリペプチドは、ポリペプチドのN-末端、C-末端または内部に位置することができる。融合パートナーは、例えば、Tヘルパーエピトープをもたらすのを補助してもよく(免疫学的融合パートナー)、あるいはネイティブ組み換えポリペプチドよりも高い収率で、ポリペプチドを発現させるのを補助してもよい(発現エンハンサー)。特定の融合パートナーは、免疫学的パートナーと、発現を高める融合パートナーの両方である。ポリペプチドの溶解性を向上させたり、または所望の細胞内コンパートメントへのポリペプチドのターゲティングを促したりするように、他の融合パートナーを選択してもよい。いくつかの融合パートナーは、ポリペプチドの精製を促すアフィニティータグを含む。
【0154】
いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、異種分子に直接融合されているか、またはペプチドリンカーのようなリンカーを介して、異種分子に連結されている。例えば、ペプチドリンカー配列は、Gly、Asn及びSerの残基を含んでよい。リンカー配列では、他の中性付近のアミノ酸(Thr及びAlaなど)も用いてよい。リンカー配列は概して、例えば1~約50個のアミノ酸の長さであってよい。機能ドメインを分離したり、立体的干渉を防止したりするのに利用できる非必須N-末端アミノ酸領域を第1及び第2のポリペプチドが有するときには、リンカー配列は概ね不要である。
【0155】
いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドは、細胞透過ドメインに機能的に連結されている。例えば、細胞透過ドメインは、HIV-1 TATタンパク質、ヒトB型肝炎ウイルス由来のTLM細胞透過モチーフ、MPG、Pep-1、VP22、単純ヘルペスウイルス由来の細胞透過ペプチド、またはポリアルギニンペプチド配列に由来することができる。細胞透過ドメインは、タンパク質のN-末端、C-末端またはいずれかの位置に配置できる。
【0156】
いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドは、追跡または精製をしやすいように、蛍光タンパク質、精製タグまたはエピトープタグのような異種ポリペプチドに機能的に連結することができる。蛍光タンパク質の例としては、緑色蛍光タンパク質(例えば、GFP、GFP-2、tagGFP、turboGFP、eGFP、Emerald、Azami Green、Monomeric Azami Green、CopGFP、AceGFP、ZsGreenl)、黄色蛍光タンパク質(例えば、YFP、eYFP、Citrine、Venus、YPet、PhiYFP、ZsYellowl)、青色蛍光タンパク質(例えば、eBFP、eBFP2、Azurite、mKalamal、GFPuv、Sapphire、T-sapphire)、シアン蛍光タンパク質(例えば、eCFP、Cerulean、CyPet、AmCyanl、Midoriishi-Cyan)、赤色蛍光タンパク質(例えば、mKate、mKate2、mPlum、DsRed Monomer、mCherry、mRFP1、DsRed-Express、DsRed2、DsRed-Monomer、HcRed-Tandem、HcRedl、AsRed2、eqFP611、mRaspberry、mStrawberry、Jred)、オレンジ色蛍光タンパク質(例えば、mOrange、mKO、Kusabira-Orange、Monomeric Kusabira-Orange、mTangerine、tdTomato)及びいずれかの他の好適な蛍光タンパク質が挙げられるが、これらに限らない。タグの例としては、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、キチン結合タンパク質(CBP)、マルトース結合タンパク質、チオレドキシン(TRX)、ポリ(NANP)、タンデムアフィニティー精製(TAP)タグ、myc、AcV5、AU1、AU5、E、ECS、E2、FLAG、ヘマグルチニン(HA)、nus、Softag1、Softag3、Strep、SBP、Glu-Glu、HSV、KT3、S、S1、T7、V5、VSV-G、ヒスチジン(His)、ビオチンカルボキシルキャリアタンパク質(BCCP)及びカルモジュリンが挙げられるが、これらに限らない。いくつかの実施形態では、異種分子は、免疫グロブリンFcドメイン、ペプチドタグ、トランスダクションドメイン、ポリ(エチレングリコール)、ポリシアル酸またはグリコール酸である。
【0157】
いくつかの実施形態では、単離ポリペプチドは、非天然であるかまたは改変されたアミノ酸またはペプチドアナログを含む。例えば、D-アミノ酸、または天然のアミノ酸とは異なる機能性置換基を有するアミノ酸は、数多く存在する。天然のペプチドの逆の立体異性体と、ペプチドアナログの立体異性体が開示されている。
【0158】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、ペプチド模倣体であり、この模倣体は、ペプチドに似るように作製できるが、天然のペプチド結合を介して連結されているものではない。例えば、アミノ酸またはアミノ酸アナログの結合部としては、-CH2NH-、-CH2S-、-CH2-、-CH=CH-(シス及びトランス)、-COCH2-、-CH(OH)CH2-、ならびに-CHH2SO-が挙げられるが、これらに限らない。ペプチドアナログは、b-アラニン、gアミノ酪酸などのように、結合原子間に2個以上の原子を有することができる。
【0159】
いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドは、D-アミノ酸を含み、そのD-アミノ酸は、より安定したペプチドを生成する目的で用いることができる。Dアミノ酸は、ペプチダーゼによって認識されないからである。コンセンサス配列の1つ以上のアミノ酸を同じタイプのD-アミノ酸で系統的に置換すること(例えば、L-リシンをD-リシンに置換すること)を利用して、より安定したペプチドを生成できる。システイン残基を用いて、2つ以上のペプチドを合わせて環化または結合できる。
【0160】
本開示は、本明細書に開示されているポリペプチドのいずれかをコードする核酸分子も提供する。この分子には、ある特定のポリペプチド配列に関連するすべての縮重配列(1つの特定的なポリペプチド配列をコードする配列を有するすべての核酸分子と、開示されているバリアントとそのタンパク質配列の誘導体をコードするすべての核酸(縮重核酸を含む))が含まれる。したがって、特定の核酸配列をそれぞれ、本明細書に書き出すことはできないが、本明細書では実際には、開示されているポリペプチド配列を通じて、あらゆる配列が開示及び説明されている。
【0161】
核酸分子内のヌクレオチド配列またはポリペプチド内のアミノ酸配列の特定の領域間の同一率(%)(または相補率(%))は、BLASTプログラム(基本アラインメント検索ツール)とPowerBLASTプログラム(Altschul et al.,J.Mol.Biol.,1990,215,403-410、Zhang and Madden,Genome Res.,1997,7,649-656)を用いるか、または、デフォルト設定を用いて、Gapプログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package,Version 8 for Unix,Genetics Computer Group,University Research Park,Madison Wis.)(スミスとウォーターマンのアルゴリズム(Adv.Appl.Math.,1981,2,482-489)を使用するプログラム)を用いることによって、常法的に求めることができる。本明細書において、配列同一率(%)に言及している場合、配列同一率(%)は、低いよりも高い方が好ましい。
【0162】
本開示は、本明細書に開示されている核酸分子のうちのいずれか1つ以上及び/または本明細書に開示されているポリペプチドのうちのいずれか1つ以上と、担体及び/または賦形剤とを含む組成物も提供する。いくつかの実施形態では、この担体は、本開示の核酸分子及び/またはポリペプチドの安定性を向上させる(例えば、分解生成物を閾値未満(初期の核酸もしくはタンパク質の0.5重量%未満など)に保つ期間を所定の保管条件下(例えば、-20℃、4℃もしくは周囲温度)で延長するか、またはインビボでの安定性を向上させる)。担体の例としては、ポリ(乳酸)(PLA)マイクロスフィア、ポリ(D,L-乳酸-コグリコール酸)(PLGA)マイクロスフィア、リポソーム、ミセル、逆ミセル、脂質コクリエート及び脂質微小管が挙げられるが、これらに限らない。担体は、PBS、HBSSなどのような緩衝化塩溶液を含んでよい。
【0163】
本明細書に開示されている核酸分子とポリペプチドは、いずれかの手段によって、細胞に導入できる。非限定的なトランスフェクション方法としては、リポソーム、ナノ粒子、カルシウム、デンドリマー及びカチオン性ポリマー(DEAE-デキストランまたはポリエチレンイミンなど)を用いる化学ベースのトランスフェクション方法が挙げられる。ウイルスによる方法も、トランスフェクションに用いることができる(例えば、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レンチウイルス、レトロウイルスによるか、トランスフェクションによるか、脂質の媒介によるトランスフェクションによるか、またはヌクレオフェクションによる)。いくつかの実施形態では、ヌクレオフェクションは、LONZA(登録商標)NUCLEOFECTOR(商標)というシステムを用いて行う。細胞への核酸分子またはタンパク質の導入は、マイクロインジェクションによって行うこともできる。非化学的な方法としては、エレクトロポレーション、ソノポレーション、光学的トランスフェクション、粒子ベースのトランスフェクション(遺伝子銃の使用または磁気によるトランスフェクションを含む)、細胞内注入が挙げられる。細胞への核酸分子及びタンパク質の導入は、ハイドロダイナミック送達法(HDD)によって行うこともできる。いくつかの実施形態では、核酸またはタンパク質は、ポリ(乳酸)(PLA)マイクロスフィア、ポリ(D,L-乳酸-コグリコール酸)(PLGA)マイクロスフィア、リポソーム、ミセル、逆ミセル、脂質コクリエートまたは脂質微小管のような担体中で、細胞に導入できる。
【0164】
細胞への核酸分子またはタンパク質の導入は、1回またはある期間にわたって複数回行うことができる。例えば、この導入は、ある期間にわたって少なくとも2回、ある期間にわたって少なくとも3回、ある期間にわたって少なくとも4回、ある期間にわたって少なくとも5回、ある期間にわたって少なくとも6回、ある期間にわたって少なくとも7回、ある期間にわたって少なくとも8回、ある期間にわたって少なくとも9回、ある期間にわたって少なくとも10回、少なくとも11回、ある期間にわたって少なくとも12回、ある期間にわたって少なくとも13回、ある期間にわたって少なくとも14回、ある期間にわたって少なくとも15回、ある期間にわたって少なくとも16回、ある期間にわたって少なくとも17回、ある期間にわたって少なくとも18回、ある期間にわたって少なくとも19回またはある期間にわたって少なくとも20回行うことができる。
【0165】
本開示は、RNAもしくはRNAに由来するcDNAを含むか、またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNAを含む生体試料における、HSD17B13転写産物C、D、E、F、F’、G及びHのうちのいずれか1つまたはこれらの組み合わせ、特にはDの存在またはレベルを検出するため、あるいは、タンパク質を含む生体試料における、HSD17B13タンパク質アイソフォームC、D、E、F、F’、GもしくはHのいずれか1つまたはこれらの組み合わせ、特にはDの存在またはレベルを検出するために、ゲノムDNAを含む生体試料におけるバリアントHSD17B13 rs72613567遺伝子の存在を検出する方法を提供する。集団内の遺伝子配列と、その遺伝子によってコードされるRNA、mRNA及びタンパク質は、一塩基多型のような多型により、変動し得ることが分かる。本明細書に示されている配列のうち、HSD17B13遺伝子、各HSD17B13転写産物及びHSD17B13アイソフォームに関する配列は、HSD17B13遺伝子、各HSD17B13転写産物(RNA、mRNA、及びそれらに由来するcDNA)、ならびにHSD17B13アイソフォームに関する例示的な配列に過ぎない。HSD17B13遺伝子、各HSD17B13転写産物及びHSD17B13アイソフォームに関する他の配列も可能である。
【0166】
上記の生体試料は、対象のいずれかの細胞、組織または生体液に由来することができる。この試料は、骨髄試料、腫瘍生検標本、細針吸引生検標本、または体液(血液、歯肉溝滲出液、血漿、血清、リンパ、腹水、嚢胞液もしくは尿など)の試料のようないずれかの臨床的に関連する組織を含んでよい。いくつかのケースでは、この試料は、口腔スワブを含む。本明細書に開示されている方法で使用する試料は、アッセイ形態、検出方法の性質、及び試料として使用する組織、細胞または抽出物に基づき、変化することになる。
【0167】
生体試料には、用いるアッセイに応じて、異なる処理を行うことができる。例えば、HSD17B13 rs72613567バリアント核酸分子を検出するときには、試料のゲノムDNAを単離または濃縮するように設計した予備的な処理を用いることができる。この目的では、様々な既知の技法を用いてよい。HSD17B13転写産物C、D、E、F、GまたはHのmRNAレベルを検出するときには、様々な技法を用いて、生体試料のmRNAを濃縮できる。特定のHSD17B13 rs72613567バリアント核酸分子の存在またはレベルを検出するための様々な方法を用いることができる。
【0168】
本開示は、細胞または対象(ヒト対象など)におけるバリアントHSD17B13 rs72613567遺伝子の検出方法を提供する。
本開示は、ヒト対象におけるバリアントHSD17B13遺伝子の検出方法であって、そのヒト対象から採取した生体試料に対してアッセイを行うことを含むかまたはそのことからなり、そのアッセイによって、野生型HSD17B13遺伝子の配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間にチミンが挿入されているか、またはバリアントHSD17B13遺伝子の配列番号2の12666位に対応する位置にチミンが存在するかを判断し、前記チミンの存在によって、バリアントHSD17B13遺伝子が示される方法を提供する。いくつかの実施形態では、このアッセイは、HSD17B13遺伝子の部分のうち、配列番号1の12665位と12666位に対応する位置を含むか、もしくは配列番号2の12666位に対応する位置を含む部分をシークエンシングすることを含むか、またはそのことからなる。いくつかの実施形態では、このアッセイは、i)HSD17B13遺伝子の領域であって、HSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の50ヌクレオチド以内、もしくはHSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号2の12666位に対応する位置の50ヌクレオチド以内である領域にハイブリダイズするプライマーと、生体試料とを接触させることと、ii)HSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号1の12665位と12666位に対応する位置、もしくは配列番号2の12666位に対応する位置を少なくとも通るように、そのプライマーを伸長させることと、iii)そのプライマーの伸長産物において、野生型HSD17B13遺伝子の配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間にチミンが挿入されているか、もしくはバリアントHSD17B13遺伝子の配列番号2の12666位に対応する位置にチミンが存在するか判断することを含むか、またはそれらからなる。いくつかの実施形態では、この方法は、そのヒト対象が、バリアントHSD17B13遺伝子においてホモ型であるか判断することをさらに含む。
【0169】
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、例えば、HSD17B13遺伝子を含む生体試料を対象から採取することと、バリアントHSD17B13遺伝子の配列番号2の12666位に対応する位置が、チミンによって占められているか、もしくは野生型HSD17B13遺伝子の配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間に、チミンが挿入されていることを判断するアッセイをその生体試料に対して行うことを含むか、またはそれらからなる。HSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号2の12666位に対応する位置が、チミンによって占められていることを判断するとは、配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間にチミンが挿入されていることを判断できるように、配列番号1の12665位と12666位に対応する位置に挟まれている位置において、充分な数のヌクレオチドの種類を判断することを意味するのが分かる。このようなアッセイは、例えば、バリアントHSD17B13遺伝子の配列番号2の12666位(または野生型HSD17B13遺伝子の配列番号1の12665位と12666位)に対応する位置と、1つ以上の周辺の位置(例えば、バリアントHSD17B13遺伝子の配列番号2の12666位または野生型HSD17B13遺伝子の配列番号1の12665位と12666位の片側またはそれぞれの側に隣接する少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個の位置)にあるものを判断することを含むことができる。
【0170】
上記のような方法におけるアッセイは、例えば、配列番号2の12666位または12666位と12667位に対応する位置を含め、HSD17B13遺伝子の一部をシークエンシングすることを含むことができる。同様に、このアッセイは、配列番号1の12665位と12666位に対応する位置を含め、HSD17B13遺伝子の一部をシークエンシングすることを含むことができる。例として、この方法は、i)HSD17B13遺伝子のセグメントであって、HSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号2の12666位または12666位と12667位に対応する位置に近接しているセグメントにハイブリダイズするプライマー(変化部特異的プライマー)と、生体試料とを接触させることと、ii)HSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号2の12666位または12666位と12667位に対応する位置を少なくとも通るように、そのプライマーを伸長させることと、iii)そのプライマーの伸長産物において、HSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号2の12666位または12666位と12667位に対応する位置にあるものを判断することを含むことができる。別の例として、この方法は、i)HSD17B13遺伝子のセグメントであって、HSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号1の12665と12666に対応する位置に近接しているセグメントにハイブリダイズするプライマー(変化部特異的プライマーなど)と、生体試料とを接触させることと、ii)HSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号2の12665と12666に対応する位置を少なくとも通るように、そのプライマーを伸長させることと、iii)そのプライマーの伸長産物において、HSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間にチミンが存在するか判断することを含むことができる。いくつかの実施形態では、この変化部特異的プローブまたは変化部特異的プライマーは、特定のHSD17B13遺伝子もしくは転写産物(転写産物Dなど)と相補的であったり、及び/またはハイブリダイズもしくは特異的にハイブリダイズしたりするが、野生型HSD17B13遺伝子(配列番号1)にハイブリダイズもしくは特異的にハイブリダイズしないヌクレオチド配列を含むか、あるいはその配列からなる。本明細書で使用する場合、「近接している」とは、示されている特定の位置の約50ヌクレオチド以内、約45ヌクレオチド以内、約40ヌクレオチド以内、約35ヌクレオチド以内、約30ヌクレオチド以内、約25ヌクレオチド以内、約20ヌクレオチド以内、約15ヌクレオチド以内、約10ヌクレオチド以内または約5ヌクレオチド以内を意味する。
【0171】
あるいは、上記のような方法におけるアッセイは、(例えば、ストリンジェント条件下で)HSD17B13 rs72613567バリアントに特異的にハイブリダイズするが、対応する野生型HSD17B13配列と特異的にハイブリダイズしないプライマーまたはプローブと、生体試料とを接触させることと、ハイブリダイズが行われたか判断することとを含むことができる。
【0172】
本開示は、ヒト対象におけるHSD17B13転写産物の存在の検出方法を提供する。
本開示は、ヒト対象におけるHSD17B13転写産物D(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)の存在の検出方法であって、その対象から採取した生体試料に対してアッセイを行うことを含むかまたはそのことからなり、そのアッセイによって、その生体試料におけるHSD17B13転写産物Dの存在を判断する方法を提供する。いくつかの実施形態では、このアッセイは、HSD17B13転写産物D(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)の核酸配列、あるいはその相補体に特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマーまたはプローブと、生体試料とを接触させることと、ハイブリダイズが行われたか判断することを含むか、あるいはそれらからなる。いくつかの実施形態では、この方法は、i)配列番号6、15、24もしくは33のヌクレオチド配列、またはその相補体と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または100%同一である(すなわち、少なくとも約90%同一である)ヌクレオチド配列、ii)転写産物D(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のエキソン2に特異的にハイブリダイズする核酸分子、及び/またはiii)転写産物D(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のエキソン3とエキソン4を架橋する領域に特異的にハイブリダイズする核酸分子を含むか、あるいはそれらからなる約5ヌクレオチドから最大で約50ヌクレオチドを含むかまたはそれらからなる核酸分子を用いることによって、転写産物D(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)を特異的に検出することをさらに含む。いくつかの実施形態では、HSD17B13転写産物Dは、配列番号6、15、24もしくは33と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%もしくは100%同一である(すなわち、少なくとも約90%同一である)ヌクレオチド配列を含むか、またはその配列からなる。いくつかの実施形態では、その1つ以上のプライマーまたはプローブは、配列番号6、配列番号15、配列番号24及び/または配列番号33に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、このアッセイは、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)を含む。いくつかの実施形態では、このアッセイは、シークエンシングを含む。
【0173】
本開示は、細胞または対象(ヒト対象など)におけるHSD17B13転写産物C、D、E、F、F’、GまたはH(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のうちの1つ、あるいはこれらの組み合わせの存在の検出方法を提供する。このような方法は、例えば、RNAもしくはRNAに由来するcDNAを含むか、またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA含む生体試料を対象から採取することと、その対象における転写産物C、D、E、F、F’、GまたはH(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)の存在を判断するアッセイをその試料に対して行うことを含むか、あるいはそれらからなることができる。例えば、このようなアッセイは、転写産物C、D、E、F、F’、GまたはH(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のうちの1つ以上に存在する領域または領域の組み合わせであって、転写産物A及びB(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)に存在しない領域または領域の組み合わせ(例えば、転写産物C、D、E、F、F’、GまたはHのうちの1つ以上に特有である領域または領域の組み合わせ)を検出できる。このような領域は、特定の転写産物に特有であったり(例えば、転写産物C(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)に特有であったり)、または転写産物の組み合わせに特有であったり(例えば、転写産物D、G及びH(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)に特有であったり)してよい。このような領域は、転写産物A~Hの配列を比較することによって容易に特定でき、本明細書の他の箇所にさらに詳細に説明されている。
【0174】
一例として、このアッセイは、RNAシークエンシング(RNA-Seq)を含むことができる。別の例として、このアッセイは、1つ以上の配列(その組み合わせは、HSD17B13転写産物A、B、C、D、E、F、F’、G及びHの中でも、転写産物C、D、E、F、F’、GまたはH(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)の1つ、あるいはそれらの組み合わせに特有である(すなわち、転写産物A及びB(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)に存在しない)1つ以上の配列に特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマーまたはプローブと、生体試料とを接触させることと、ハイブリダイズが行われたか判断することを含むか、あるいはそれらからなることができる。任意に、このアッセイは、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)を含むことができる。上記のようなアッセイは、特定のHSD17B13転写産物またはHSD17B13転写産物の特定の組み合わせに対して特異的であることができる。例えば、転写産物D、G及びHはそれぞれ、転写産物A、B及びEと比べると、エキソン6の3’末端に挿入されている追加のグアニンを含み(転写産物Cは、エキソン6を含まない)、転写産物D、G及びHはそれぞれ、エキソン7を含むが、転写産物Fでは、エキソン6からイントロン6まで読み過ごされている。したがって、転写産物D(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のエキソン6とエキソン7の境界に広がる領域にハイブリダイズするプライマーまたはプローブは、転写産物D、G及びH(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)の組み合わせを特異的に検出できる。このようなプライマーまたはプローブは、挿入されているグアニンと、HSD17B13転写産物における他の特徴(例えば、転写産物F(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)におけるイントロン6への読み過ごし部、または転写産物C(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)における欠失エキソン6)とを区別するために、エキソン6とエキソン7のそれぞれにおける充分な数のヌクレオチドにハイブリダイズするように設計することになることが分かる。同様に、転写産物E及びHはそれぞれ、他のすべての転写産物と比べると、エキソン3’を含む。したがって、エキソン3’内の領域、またはエキソン3’とエキソン3もしくはエキソン4との境界に特異的にハイブリダイズするプライマーまたはプローブは、転写産物E及びH(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)の組み合わせを特異的に検出できる。このようなプライマーまたはプローブは、HSD17B13転写産物における他の特徴(例えば、エキソン3とエキソン4の境界)と区別するために、エキソン3とエキソン3’のそれぞれ、またはエキソン3’とエキソン4のそれぞれにおける充分な数のヌクレオチドにハイブリダイズするように設計することになることが分かる。同様に、転写産物B及びGはそれぞれ、エキソン2が欠失している。したがって、エキソン1とエキソン3の境界に広がる領域に特異的にハイブリダイズするプライマーまたはプローブは、転写産物B及びG(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)の組み合わせを特異的に検出できる。プライマーまたはプローブは、HSD17B13転写産物における他の特徴(例えば、エキソン1とエキソン2の境界またはエキソン2とエキソン3の境界)と区別するために、エキソン1とエキソン3のそれぞれにおける充分な数のヌクレオチドにハイブリダイズするように設計することになることが分かる。
【0175】
一具体例においては、この1つ以上のプライマーまたはプローブは、転写産物D(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、転写産物G(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいは転写産物H(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)(すなわち、エキソン6の3’末端に追加のグアニン(他のHSD17B13転写産物のエキソン6には存在しない)を含む)におけるエキソン6とエキソン7の境界に広がる領域に特異的にハイブリダイズする。任意に、この1つ以上のプライマーまたはプローブはさらに、転写産物H(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のエキソン3’内の領域、転写産物H(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のエキソン3とエキソン3’の境界に広がる領域、あるいは転写産物H(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のエキソン3’とエキソン4の境界に広がる領域に特異的にハイブリダイズするか、あるいは、さらに、転写産物G(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のエキソン1とエキソン3の境界に広がる領域に特異的にハイブリダイズする。任意に、この1つ以上のプライマーまたはプローブはさらに、転写産物A~H(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のうちのいずれかのエキソン1内の領域(転写産物A~Hに共通の領域)に特異的にハイブリダイズする。例えば、転写産物A~H(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のうちのいずれかのエキソン1内の領域に特異的にハイブリダイズするプライマーと、転写産物D(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、転写産物G(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいは転写産物H(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のエキソン6とエキソン7の境界に広がる領域に特異的にハイブリダイズするプライマーを用いて、介在配列を増幅して、増幅産物のサイズに基づき、転写産物Dと転写産物Gと転写産物Hとを区別できる。転写産物Gは、転写産物Dと比べると、エキソン2が欠失しており、転写産物Hは、転写産物Dと比べると、エキソン3とエキソン4との間に、追加のエキソンを含むからである。
【0176】
別の具体例では、この1つ以上のプライマーまたはプローブは、転写産物E(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいは転写産物H(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のエキソン3’内の領域か、転写産物E(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいは転写産物H(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のエキソン3とエキソン3’の境界に広がる領域か、転写産物E(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいは転写産物H(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のエキソン3’とエキソン4の境界に広がる領域に特異的にハイブリダイズする。任意に、この1つ以上のプライマーまたはプローブはさらに、転写産物D(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、転写産物G(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいは転写産物H(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のエキソン6とエキソン7の境界に広がる領域に特異的にハイブリダイズできる。あるいは、1つ以上のプライマーまたはプローブはさらに、転写産物E(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のエキソン6とエキソン7の境界に広がる領域に特異的にハイブリダイズできる。例えば、転写産物E(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいは転写産物H(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のエキソン3’内の領域か、転写産物E(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいは転写産物H(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のエキソン3とエキソン3’の境界に広がる領域か、転写産物E(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいは転写産物H(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のエキソン3’とエキソン4の境界に広がる領域に特異的にハイブリダイズするプライマーと、転写産物D(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、転写産物G(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいは転写産物H(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のエキソン6とエキソン7の境界に広がる領域に特異的にハイブリダイズするプライマーを用いて、介在配列を増幅して、転写産物Eと転写産物Hとを区別できる。転写産物Hのみが、エキソン6の3’末端に追加のグアニンを含み、転写産物Eは含まないからである。
【0177】
別の具体例では、この1つ以上のプライマーまたはプローブは、転写産物F(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のイントロン6への読み過ごし部内の領域、あるいは転写産物F(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のイントロン6への読み過ごし部とエキソン6の残部との境界に広がる領域に特異的にハイブリダイズする。このようなプライマーまたはプローブは、この読み過ごし部と、HSD17B13転写産物における他の特徴(例えば、他のHSD17B13転写産物におけるエキソン6とエキソン7の境界)を区別するために、読み過ごし部における充分な数のヌクレオチドにハイブリダイズするように設計することになることが分かる。任意に、その連続するヌクレオチドは、転写産物F(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)に存在する配列であって、転写産物F’(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)に存在しない配列(すなわち、チミンの挿入)を含む。転写産物F’も、転写産物Aと比べると、エキソン6からイントロン6への読み過ごし部を含むが、その読み過ごし部は、HSD17B13 rs72613567バリアント遺伝子に存在するチミンの挿入を含まない。
【0178】
別の具体例では、1つ以上のプライマーまたはプローブは、転写産物F’(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)におけるイントロン6への読み過ごし部内の領域、あるいは転写産物F’(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)におけるイントロン6への読み過ごし部とエキソン6の残部との境界に広がる領域に特異的にハイブリダイズする。このようなプライマーまたはプローブは、この読み過ごし部と、HSD17B13転写産物における他の特徴(例えば、他のHSD17B13転写産物におけるエキソン6とエキソン7の境界)を区別するために、読み過ごし部における充分な数のヌクレオチドにハイブリダイズするように設計することになることが分かる。任意に、その連続するヌクレオチドは、転写産物F’(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)に存在する配列であって、転写産物F(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)に存在しない配列を含む。転写産物Fにおける読み過ごし部は、HSD17B13 rs72613567バリアント遺伝子に存在するチミンの挿入を含むが、転写産物F’における読み過ごし部は、このチミンの挿入を含まない。
【0179】
さらに別の具体例では、1つ以上のプライマーまたはプローブは、転写産物C(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)におけるエキソン5とエキソン7との境界に広がる領域に特異的にハイブリダイズする。このようなプライマーまたはプローブは、HSD17B13転写産物における他の特徴(例えば、他のHSD17B13転写産物におけるエキソン5とエキソン6またはエキソン6とエキソン7の境界)と区別するために、エキソン5とエキソン7における充分な数のヌクレオチドにハイブリダイズするように設計することになることが分かる。
【0180】
特定の方法では、標的DNA配列に結合して、HSD17B13 rs72613567バリアント、あるいは特定のHSD17B13 RNA転写産物もしくはmRNA転写産物、またはそれに由来するcDNAを含むポリヌクレオチドを特異的に検出及び/または特定するのに充分なヌクレオチド長のプローブとプライマー(本明細書の他の箇所で、さらに詳細に説明されている)を使用する。この結果を得るために、ハイブリダイズ条件または反応条件を作業者が定めることができる。上記の長さは、選択した検出方法において有用となるのに充分であるいずれかの長さであってよい。上記のようなプローブとプライマーは、高ストリンジェントなハイブリダイズ条件下で標的配列に特異的にハイブリダイズできる。プローブとプライマーは、標的配列と完全なDNA配列同一性を示す連続するヌクレオチドを有してもよいが、標的DNA配列と異なるプローブであって、標的DNA配列を特異的に検出及び/または特定する能力を保持するプローブを従来の方法によって設計してもよい。したがって、プローブとプライマーは、標的ポリヌクレオチドに対する配列同一性または相補性が、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または100%であることができる。いくつかの実施形態では、プローブとプライマーは、標的ポリヌクレオチドに対する配列同一性または相補性が、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または100%であることができる。いくつかの実施形態では、プローブとプライマーは、標的ポリヌクレオチドに対する配列同一性または相補性が、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または100%であることができる。
【0181】
特異的プライマーを用いて、HSD17B13 rs72613567バリアント遺伝子、及び/または特定のHSD17B13 RNA転写産物もしくはmRNA転写産物を増幅して、「特異的プローブ」として使用できるか、あるいは生体試料において、HSD17B13 rs72613567バリアント遺伝子を特定するか、または特定のHSD17B13 RNAもしくはmRNA転写産物のレベルを判断する目的で、それ自体を検出できるアンプリコンを作製できる。HSD17B13バリアント遺伝子を用いて、配列番号2における12666位の残基に対応する位置を含むゲノム核酸配列(配列番号1に示されている野生型ゲノム遺伝子座に対するチミンの挿入(すなわち、配列番号1における12665位と12666位の間に挿入されている))を示すことができる。プローブを生体試料に結合可能にする条件下で、そのプローブが、その試料のポリヌクレオチドとハイブリダイズすると、この結合を検出でき、すなわち、生体試料におけるHSD17B13 rs72613567バリアント遺伝子の存在、または特定のHSD17B13 RNA転写産物もしくはmRNA転写産物の存在もしくはレベルを示せるようになる。このように、結合したプローブを特定することは、説明されてきている。特異的プローブは、HSD17B13遺伝子、HSD17B13 RNA転写産物もしくはmRNA転写産物、またはそれらに由来するHSD17B13 cDNAの特定の領域と少なくとも約80%、約80%~約85%、約85%~約90%、約90%~約95%及び約95%~約100%同一である(約90%~約95%または約95%~約100%同一である)(または相補的である)配列を含んでよい。
【0182】
生体試料内の核酸分子が、HSD17B13 rs72613567バリアント遺伝子(例えば、配列番号2)における12666位の残基に、チミンの挿入を含むか(すなわち、野生型HSD17B13座位(配列番号1)における12665位と12666位の残基の間にチミンの挿入を含むか)判断するために、チミンの挿入部に隣接する5’フランキング配列に由来する第1のプライマーと、チミンの挿入部に隣接する3’フランキング配列に由来する第2のプライマーとを含むプライマー対を用いて、生体試料に対して、ポリヌクレオチド増幅法を行って、HSD17B13 rs72613567バリアント遺伝子(配列番号2)における12666位の残基でのチミンの挿入(すなわち、野生型HSD17B13遺伝子(配列番号1)における12665位と12666位の残基の間のチミンの挿入)の存在について診断するアンプリコンを作製してよい。いくつかのケースでは、このアンプリコンの長さは、プライマー対の長さを合わせた長さと1ヌクレオチド塩基対を加えた長さから、DNA増幅プロトコールによって作製可能なアンプリコンのいずれかの長さまでの範囲であってよい。この距離は、1ヌクレオチド塩基対から、最大で、増幅反応の限界、すなわち、約2万ヌクレオチド塩基対までの範囲であることができる。任意に、上記のプライマー対は、チミンの挿入を含む領域と、チミンのそれぞれの側における少なくとも1ヌクレオチド、2ヌクレオチド、3ヌクレオチド、4ヌクレオチド、5ヌクレオチド、6ヌクレオチド、7ヌクレオチド、8ヌクレオチド、9ヌクレオチド、10ヌクレオチド、またはこれを上回る数のヌクレオチドを挟む。
【0183】
PCRプライマー対は、例えば、Vector NTIバージョン10(Informax Inc.,Bethesda Md.)におけるPCRプライマー解析ツール、PrimerSelect(DNASTAR Inc.,Madison,Wis.)及びPrimer3(Version 0.4.0.COPYRGT.,1991,Whitehead Institute for Biomedical Research,Cambridge,Mass.)など、プライマー対を得るためのものとして意図されているコンピュータープログラムを用いることによって、既知の配列から得ることができる。加えて、既知のガイドラインを用いて、その配列を目視で調べて、プライマーを手動で特定できる。
【0184】
下にさらに詳細に述べられているように、いずれかの従来の核酸ハイブリダイズ方法、核酸増幅方法、または核酸シークエンシング方法を用いて、HSD17B13 rs72613567バリアント座位の存在、及び/または特定のHSD17B13 RNA転写産物もしくはmRNA転写産物のレベルを特異的に検出できる。「特異的に検出する」とは、HSD17B13ポリヌクレオチドの領域を増幅するためのプライマーのいずれかとして、そのポリヌクレオチドを使用できること、あるいはストリンジェント条件下で、HSD17B13 rs72613567バリアント遺伝子を含むポリヌクレオチド、または特定のHSD17B13転写産物、特に、転写産物C、D、E、F、GもしくはH(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)を含むポリヌクレオチドにハイブリダイズするプローブとして、そのポリヌクレオチドを使用できることが意図されている。
【0185】
当該技術分野では、例えば、核酸シークエンシング、核酸ハイブリダイズ及び核酸増幅を含め、様々な技法が利用可能である。核酸シークエンシング技法の実例的な例としては、チェーンターミネーター(サンガー)シークエンシング及びダイターミネーターシークエンシングが挙げられるが、これらに限らない。
【0186】
他の方法には、精製DNA、増幅DNA及び固定細胞標本に対する標識プライマーまたはプローブの使用(蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH))を含め、シークエンシング以外の核酸ハイブリダイゼーション法が含まれる。いくつかの方法では、標的核酸は、検出の前または検出と同時に増幅してよい。核酸増幅技法の実例的な例としては、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(SDA)及びヌクレオチド配列ベース増幅(NASBA)が挙げられるが、これらに限らない。他の方法としては、リガーゼ連鎖反応、鎖置換増幅及び好熱SDA(tSDA)が挙げられるが、これらに限らない。
【0187】
例えば、ハイブリダイゼーションプロテクションアッセイ(HPA)、リアルタイムでの増幅プロセスの定量的評価を含め、増幅されなかったポリヌクレオチドまたは増幅されたポリヌクレオチドを検出するために、いずれかの方法を用いることができ、また、最初に試料に存在している標的配列の量を判断するためには、いずれかの方法を用いることができる(ただし、これは、リアルタイム増幅ベースではない)。
【0188】
また、核酸分子を特定する方法であって、配列の増幅を必ずしも必要としない方法も提供し、この方法は、例えば、既知の方法である、染色体物質のサザン(DNA:DNA)ブロットハイブリダイゼーション、インサイチュハイブリダイゼーション(ISH)及び蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)に基づくものである。サザンブロット法を用いて、特定のヌクレオチド配列を検出できる。このような方法では、試料から抽出される核酸を断片化し、マトリックスゲル上で電気泳動分離し、メンブレンフィルターに転写する。
【0189】
好適な定量アッセイの例としては、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)、比較ゲノムハイブリダイゼーション、等温DNA増幅、固定プローブ(複数可)への定量ハイブリダイゼーション、INVADER(登録商標)プローブ、TAQMAN(登録商標)Molecular BeaconプローブまたはECLIPSE(商標)プローブの技術が挙げられる。ロングレンジPCR、サザンブロット法またはサンガーシークエンシングなど、標的改変部のスクリーニングを行うための従来のアッセイも用いることができる。次世代シークエンシング(NGS)もスクリーニングに用いることができる。次世代シークエンシングは、「NGS」、「超並列シークエンシング」または「高スループットシークエンシング」ということもできる。
【0190】
ハイブリダイゼーション技法では、ストリンジェント条件を用いて、プローブまたはプライマーが、その標的に特異的にハイブリダイズするようにできる。いくつかの実施形態では、ストリンジェント条件下でのポリヌクレオチドプライマーまたはプローブは、その標的配列(例えばバリアントHSD17B13遺伝子、バリアントHSD17B13 RNAもしくはそのRNAに対応するcDNA、またはバリアントHSD17B13 mRNAもしくはそのmRNAに対応するcDNA)に、他の配列(例えば、対応する野生型HSD17B13遺伝子、野生型HSD17B13 RNAもしくはそのRNAに対応するcDNA、または野生型HSD17B13 mRNAもしくはそのmRNAに対応するcDNA)よりも検出可能に大きい程度(少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍またはバックグランドよりも大きい程度(バックグラウンドの10倍超を含む)など)でハイブリダイズすることになる。いくつかの実施形態では、ストリンジェント条件下でのポリヌクレオチドプライマーまたはプローブは、その標的配列に、他の配列よりも検出可能に大きい程度(少なくとも2倍)でハイブリダイズすることになる。いくつかの実施形態では、ストリンジェント条件下でのポリヌクレオチドプライマーまたはプローブは、その標的配列に、他の配列よりも検出可能に大きい程度(少なくとも3倍)でハイブリダイズすることになる。いくつかの実施形態では、ストリンジェント条件下でのポリヌクレオチドプライマーまたはプローブは、その標的配列に、他の配列よりも検出可能に大きい程度(少なくとも4倍)でハイブリダイズすることになる。いくつかの実施形態では、ストリンジェント条件下でのポリヌクレオチドプライマーまたはプローブは、その標的配列に、他の配列よりも検出可能に大きい程度(バックグランドの10倍超)でハイブリダイズすることになる。ストリンジェント条件は、配列によって決まり、環境によって異なることになる。
【0191】
DNAのハイブリダイゼーションを促す適切なストリンジェント条件、例えば、約45℃で6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)の後、50℃で2×SSCによって洗浄する条件が知られており、あるいは、Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,N.Y.(1989),6.3.1-6.3.6に見ることができる。典型的には、ハイブリダイゼーションと検出のためのストリンジェント条件は、塩濃度が、pH7.0~8.3において約1.5M未満のNaイオン、典型的には約0.01~1.0MのNaイオン濃度(またはその他の塩)であり、温度が、短いプローブ(例えば10~50ヌクレオチド)では少なくとも約30℃、それよりも長いプローブ(例えば50ヌクレオチド超)では少なくとも約60℃である条件となる。ストリンジェント条件は、ホルムアミドのような脱安定化剤を加えることによってもたらしてもよい。例示的な低ストリンジェント条件としては、30~35%のホルムアミド、1MのNaCl、1%のSDS(ドデシル硫酸ナトリウム)の緩衝液での37℃におけるハイブリダイゼーションと、1×SSC~2×SSC(20×SSC=3.0MのNaCl/0.3Mのクエン酸三ナトリウム)での50~55℃における洗浄が挙げられる。例示的な中ストリンジェント条件としては、40~45%のホルムアミド、1.0MのNaCl、1%のSDSでの37℃におけるハイブリダイゼーションと、0.5×SSC~1×SSCでの55~60℃における洗浄が挙げられる。例示的な高ストリンジェント条件としては、50%のホルムアミド、1MのNaCl、1%のSDSでの37℃におけるハイブリダイゼーションと、0.1×SSCでの60~65℃における洗浄が挙げられる。任意に、洗浄緩衝液は、約0.1%~約1%のSDSを含んでよい。ハイブリダイゼーションの持続期間は、概ね約24時間未満、通常約4~約12時間である。洗浄持続期間は、少なくとも、平衡に達するのに十分な長さの時間となる。
【0192】
本開示は、ヒト対象におけるHSD17B13アイソフォームDの存在の検出方法であって、そのヒト対象から採取した生体試料に対してアッセイを行うことを含むかまたはそのことからなり、そのアッセイによって、生体試料におけるHSD17B13アイソフォームDの存在を判断する方法を提供する。いくつかの実施形態では、HSD17B13アイソフォームDは、配列番号42と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%もしくは100%同一であるアミノ酸配列を含むか、またはその配列からなる。いくつかの実施形態では、このアッセイは、シークエンシングを含む。
【0193】
本開示は、生体試料におけるバリアントHSD17B13ポリペプチドの存在を検出するか、またはそのレベルを定量する方法(例えば、タンパク質シークエンシング及びイムノアッセイを含む)を提供する。いくつかの実施形態では、ヒト対象におけるバリアントHSD17B13ポリペプチドの存在の検出方法は、ヒト対象から得た生体試料におけるバリアントHSD17B13ポリペプチドの存在を検出するアッセイを、その生体試料に対して行うことを含む。
【0194】
タンパク質シークエンシング技法の実例的な非限定例としては、質量分析法及びエドマン分解が挙げられるが、これらに限らない。イムノアッセイの実例的な例としては、免疫沈降、ウエスタンブロット、免疫組織化学、ELISA、免疫細胞化学、フローサイトメトリー及びイムノPCRが挙げられるが、これらに限らない。様々な既知の技法を用いて、検出可能に標識した(例えば、熱量測定標識、蛍光標識、化学発光標識または放射性標識した)ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体が、イムノアッセイでの使用に適している。イムノアッセイに関しては、バリアントHSD17B13アイソフォームは、野生型の状態に対応するHSD17B13アイソフォームと比べると、サイズが異なるので、異なる分子量で、タンパク質ゲル上を移動する。したがって、同じ抗体を用いることによって、野生型の状態に対応するHSD17B13HSD17B13アイソフォームは、例えばウエスタンブロットアッセイで、バリアントHSD17B13アイソフォームと区別できる。
【0195】
いくつかの実施形態では、検出されるHSD17B13アイソフォームは、細胞膜から移動していない。いくつかの実施形態では、HSD17B13アイソフォームは、膜結合タンパク質である。このような会合は、特定の生体試料の処理(すなわち、膜調製試料の採取)を助けることができる。
【0196】
本開示は、本開示の組成物を作製するとともに、本明細書に記載されている方法を利用するためのキットも提供する。本明細書に記載されているキットは、対象の試料中の1つ以上の遺伝的バリアントを検出するための1つのアッセイまたは複数のアッセイを含むことができる。
【0197】
いくつかの実施形態では、HSD17B13バリアントをヒトで同定するためのキットにおいて、上記の組成物と方法を用いる。いくつかの実施形態では、基本的なキットは、本明細書に開示されている核酸分子のいずれかにハイブリダイズするためのオリゴヌクレオチドプライマーまたはプローブ(変化部特異的プローブまたは変化部特異的プライマーなど)が少なくとも1対入った容器を含むことができる。キットは、使用説明書も任意に含むことができる。キットは、例えば、増幅される各座位に対するアレリックラダー、充分な量の増幅用酵素、増幅を促す増幅用緩衝液、酵素活性を高める二価陽イオン溶液、増幅の際の鎖伸長用のdNTP、電気泳動用増幅物質を調製するためのローディング溶液、テンプレートコントロールとしてのゲノムDNA、物質が分離媒体において見込みどおりに移動するようにするサイズマーカー、ならびにユーザーに説明するとともに、使用時のエラーを限定的にするプロトコール及びマニュアルのうちの1つ以上など、他の任意のキット成分も含むことができる。
【0198】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されているキットのいずれも、ヌクレオチドラダー、プロトコール、酵素(ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの増幅で使用する酵素など)、dNTP、緩衝液、1つの塩または複数の塩及びコントロール核酸試料のうちのいずれか1つ以上をさらに含んでよい。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されているキットのいずれも、検出可能な標識、アニーリング反応を行うのに必要な生成物及び試薬、ならびに説明書のうちのいずれか1つ以上をさらに含んでよい。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に開示されているプライマーまたはプローブのうちの1つ以上を含むことができる。例えば、キットは、開示されている遺伝的バリアントのうちの1つ以上にハイブリダイズする1つ以上のプローブを含むことができる。いくつかの実施形態では、キットは、開示されている細胞または細胞株のうちの1つを含むことができる。キットは、細胞培養のための培地をさらに含むことができる。
【0199】
本開示は、対象が肝疾患(例えば慢性肝疾患)を発症する感受性もしくはリスクを判断するか、または対象の肝疾患(例えば、脂肪肝疾患、NAFLDもしくは単純性脂肪肝)について、もしくは肝疾患を発症するリスクについて診断する方法を提供する。この対象は、いずれかの生物(例えば、ヒト、ヒト以外の哺乳類動物、齧歯類動物、マウスまたはラットを含む)であることができる。上記のような方法は、例えば、ゲノムDNAを含む生体試料中のHSD17B13 rs72613567バリアント遺伝子の存在を検出すること、RNAもしくはRNAに由来するcDNAを含むか、またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNAを含む生体試料中のHSD17B13転写産物C、D、F、G及びH(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のうちのいずれか1つ、特にD(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)の存在またはレベルを検出すること、あるいはタンパク質を含む生体試料中のHSD17B13アイソフォームC、D、F、GまたはHのうちのいずれか1つ、特にDの存在またはレベルを検出することを含むか、あるいはそのことからなることができる。集団内の遺伝子配列と、その遺伝子によってコードされるRNA、mRNA及びタンパク質は、一塩基多型のような多型により、変動し得ることが分かる。HSD17B13遺伝子と、各HSD17B13転写産物及びHSD17B13アイソフォームに関して本明細書に示されている配列は、HSD17B13遺伝子と、各HSD17B13転写産物及びHSD17B13アイソフォームの例示的な配列に過ぎない。HSD17B13遺伝子、各HSD17B13転写産物及びHSD17B13アイソフォームに関する他の配列も可能である。
【0200】
本明細書に記載されている方法または使用法のいずれにおいても、肝疾患は、慢性肝疾患、脂肪肝疾患、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、アルコール性脂肪肝疾患、肝硬変、ウイルス性肝炎、肝細胞癌、単純性脂肪肝、脂肪肝炎、線維症または非アルコール性脂肪肝炎(NASH)であることができる。いくつかの実施形態では、肝疾患は、脂肪肝疾患、NAFLDまたは単純性脂肪肝である。いくつかの実施形態では、肝疾患は、慢性肝疾患である。いくつかの実施形態では、肝疾患は、脂肪肝疾患である。いくつかの実施形態では、肝疾患は、NAFLDである。いくつかの実施形態では、肝疾患は、アルコール性脂肪肝疾患である。いくつかの実施形態では、肝疾患は、線維症である。いくつかの実施形態では、肝疾患は、肝硬変である。いくつかの実施形態では、肝疾患は、ウイルス性肝炎である。いくつかの実施形態では、肝疾患は、NASHである。いくつかの実施形態では、肝疾患は、肝細胞癌である。いくつかの実施形態では、肝疾患は、単純性脂肪肝である。いくつかの実施形態では、肝疾患は、脂肪肝炎である。いくつかの実施形態では、肝疾患は、線維症、NASHまたは肝硬変である。
【0201】
慢性肝疾患のような肝疾患には、6カ月間にわたって継続する肝疾患が含まれ、例えば、肝実質の進行性破壊と再生を伴い、線維症及び肝硬変に至ることのある肝疾患を含めることができる。慢性肝疾患に含まれる肝臓病態としては、例えば、炎症(例えば慢性肝炎)、肝硬変及び肝細胞癌を挙げることができる。慢性肝疾患の種類は、本明細書の他の箇所に開示されており、例えば、脂肪肝疾患、ウイルス性肝炎、非アルコール性脂肪肝疾患、アルコール性脂肪肝疾患、肝硬変及び肝細胞癌が挙げられる。慢性肝疾患の症状と徴候は知られており、例えば、肝臓肥大、疲労感、右上腹部の痛み、腹部膨満(腹水)、表皮すぐ下の血管の拡大、男性における胸部拡大、脾臓の拡大、手掌紅斑、ならびに皮膚及び目の黄変(黄疸)を挙げることができる。慢性肝疾患の検査には、血液検査、肝臓の画像診断及び肝臓の生検が伴うことがある。対象が、既知の危険因子(例えば、病原性変異のような遺伝因子)を少なくとも1つ有する場合には、その個体は、慢性肝疾患のリスクが向上しており、その危険因子を有する個体は、危険因子のない個体よりも、その疾患を発症するリスクが統計的に有意な形で高い者と位置付けられる。慢性肝疾患の危険因子も周知であり、例えば、アルコールの過剰摂取、肥満症、高コレステロール、高レベルの血中トリグリセリド、多嚢胞性卵巣症候群、睡眠時無呼吸、2型糖尿病、甲状腺機能低下(甲状腺機能低下症)、下垂体機能低下(下垂体機能低下症)及びメタボリックシンドローム(血中脂質の増大を含む)を挙げることができる。
【0202】
本開示は、ヒト対象が肝疾患を発症する感受性またはリスクの判断方法であって、a)そのヒト対象から採取した生体試料に対してアッセイを行うことであって、そのアッセイによって、野生型HSD17B13遺伝子の配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間にチミンが挿入されているか、またはバリアントHSD17B13遺伝子の配列番号2の12666位に対応する位置にチミンが存在するかを判断することと、b)野生型HSD17B13遺伝子の配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間にチミンが挿入されている場合、もしくはバリアントHSD17B13遺伝子の配列番号2の12666位に対応する位置にチミンが存在する場合に、肝疾患を発症するリスクが低下している者として、そのヒト対象を分類するか、またはHSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間にチミンが挿入されていない場合、もしくはHSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号2の12666位に対応する位置にチミンが存在しない場合に、肝疾患を発症するリスクが上昇している者として、そのヒト対象を分類することを含むか、あるいはそれらからなる方法を提供する。いくつかの実施形態では、その肝疾患は、慢性肝疾患である。いくつかの実施形態では、その肝疾患は、脂肪肝疾患、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、アルコール性脂肪肝疾患、肝硬変、ウイルス性肝炎、肝細胞癌、単純性脂肪肝、脂肪肝炎、線維症及び非アルコール性脂肪肝炎(NASH)からなる群から選択されている。いくつかの実施形態では、このアッセイは、i)HSD17B13遺伝子の領域であって、HSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号1の12665位と12666位に対応する位置もしくは配列番号2の12666位に対応する位置の50ヌクレオチド以内である領域にハイブリダイズするプライマーと、生体試料とを接触させることと、ii)HSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号1の12665位と12666位に対応する位置もしくは配列番号2の12666位に対応する位置を少なくとも通るように、そのプライマーを伸長させることと、iii)そのプライマーの伸長産物において、野生型HSD17B13遺伝子の配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間にチミンが挿入されているか、もしくはバリアントHSD17B13遺伝子の配列番号2の12666位に対応する位置にチミンが存在するか判断することを含むか、またはこれらからなる。いくつかの実施形態では、このアッセイは、ストリンジェント条件下で、配列番号2の12666位に対応する位置にチミンを有するバリアントHSD17B13遺伝子に特異的にハイブリダイズするとともに、対応する野生型HSD17B13遺伝子にハイブリダイズしないプライマーもしくはプローブと、生体試料とを接触させることと、ハイブリダイズが行われたか判断することを含むか、またはこれらからなる。いくつかの実施形態では、このバリアントHSD17B13遺伝子は、シークエンシングによって検出する。いくつかの実施形態では、この方法は、そのヒト対象が、バリアントHSD17B13遺伝子においてホモ型であるか判断することをさらに含む。
【0203】
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、ゲノムDNAを含む生体試料におけるHSD17B13 rs72613567バリアント遺伝子の存在を検出することを含むかまたはそのことからなる。このような方法は、a)対象から採取した生体試料であって、HSD17B13遺伝子を含む生体試料に対してアッセイを行うことであって、そのアッセイによって、HSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号2の12666位もしくは12666位と12667位に対応する位置を占めているヌクレオチドの種類を判定することと、b)配列番号2の12666位に対応する位置が、チミンによって占められているか、もしくは配列番号2の12666位と12667位が、チミンによって占められている場合に、肝疾患を発症するリスクが低下している者として、その対象を分類することを含むか、またはそれらからなることができる。あるいは、上記の位置がチミンによって占められていない場合、肝疾患を発症するリスクが上昇している者として、その対象を分類できる。同様に、上記のような方法は、HSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号1の12665位と12666位に対応する位置を占めているヌクレオチドの種類を判定するアッセイを生体試料に対して行うことを含むことができる。野生型HSD17B13遺伝子の配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間にチミンが挿入されている場合には、肝疾患を発症するリスクが低下している者として、その対象を分類できる。あるいは、野生型HSD17B13遺伝子の配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間に、チミンの挿入が見られない場合には、慢性肝疾患を発症するリスクが上昇している者として、その対象を分類できる。
【0204】
HSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号2の12666位もしくは12666位と12667位に対応する位置(または配列番号1の12665位と12666位に対応する位置)を占めているヌクレオチドの種類を判定するためのいずれかのアッセイを用いることができる。一例として、このアッセイは、HSD17B13遺伝子の部分のうち、配列番号2の12666位または12666位と12667位に対応する位置を含む部分をシークエンシングすることを含むかまたはそのことからなることができる。シークエンシングは、i)HSD17B13遺伝子のセグメントであって、HSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号2の12666位もしくは12666位と12667位に対応する位置に近接しているセグメントにハイブリダイズするプライマーと、生体試料とを接触させることと、ii)HSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号2の12666位もしくは12666位と12667位に対応する位置を少なくとも通るように、そのプライマーを伸長させることと、iii)そのプライマーの伸長産物において、HSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号2の12666位もしくは12666位と12667位に対応する位置にあるものを判定することを含むか、またはそれらからなることができる。本明細書で使用する場合、「近接している」とは、示されている特定の位置の約50ヌクレオチド以内、約45ヌクレオチド以内、約40ヌクレオチド以内、約35ヌクレオチド以内、約30ヌクレオチド以内、約25ヌクレオチド以内、約20ヌクレオチド以内、約15ヌクレオチド以内、約10ヌクレオチド以内または約5ヌクレオチド以内を意味する。
【0205】
別の例として、上記のアッセイは、ストリンジェント条件下で、バリアントHSD17B13 rs72613567遺伝子に特異的にハイブリダイズするとともに、対応する野生型HSD17B13遺伝子にハイブリダイズしないプライマーもしくはプローブ(変化部特異的プライマーもしくは変化部特異的プローブなど)と、生体試料とを接触させることと、ハイブリダイズが行われたか判断することを含むか、またはそれらからなることができる。
【0206】
本開示は、ヒト対象が肝疾患を発症する感受性またはリスクの判断方法であって、a)そのヒト対象から採取した生体試料に対してアッセイを行うことであって、そのアッセイによって、生体試料中のHSD17B13転写産物D(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)の存在を判断することと、b)HSD17B13転写産物Dが、その生体試料に存在する場合に、肝疾患を発症するリスクが低下している者として、そのヒト対象を分類するか、またはHSD17B13転写産物Dが、その生体試料に存在しない場合に、肝疾患を発症するリスクが上昇している者として、そのヒト対象を分類することを含むか、あるいはそれらからなる方法を提供する。いくつかの実施形態では、HSD17B13転写産物Dは、配列番号6、15、24もしくは33と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%もしくは100%同一である(少なくとも約90%同一である)ヌクレオチド配列を含むか、またはその配列からなる。いくつかの実施形態では、このHSD17B13転写産物Dは、RNAであり、配列番号6を含むかもしくは配列番号6からなるか、または配列番号24を含むかもしくは配列番号24からなるそのcDNAであり、あるいは、このHSD17B13転写産物Dは、mRNAであり、配列番号15を含むかもしくは配列番号15からなるか、または配列番号33を含むかもしくは配列番号33からなるそのcDNAである。いくつかの実施形態では、上記のアッセイによって、生体試料中のHSD17B13転写産物D(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)の発現レベルを判断し、野生型HSD17B13アレルにおいてホモ型であるコントロールのヒト対象から得たコントロール試料と比べて、HSD17B13転写産物Dの発現レベルが上昇していることによって、肝疾患を発症するリスクが低下していることが示され、このコントロール試料と比べて、HSD17B13転写産物Dの発現レベルが同じであるかまたは低下していることによって、肝疾患を発症するリスクが上昇していることが示される。いくつかの実施形態では、その肝疾患は、慢性肝疾患である。いくつかの実施形態では、その肝疾患は、脂肪肝疾患、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、アルコール性脂肪肝疾患、肝硬変、ウイルス性肝炎、肝細胞癌、単純性脂肪肝、脂肪肝炎、線維症及び非アルコール性脂肪肝炎(NASH)からなる群から選択されている。いくつかの実施形態では、上記のアッセイは、HSD17B13転写産物D(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)の核酸配列、あるいはその相補体に特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマーまたはプローブと、生体試料とを接触させることと、ハイブリダイズが行われたか判断することを含むか、あるいはそれらからなる。いくつかの実施形態では、この方法は、i)配列番号6、15、24もしくは33のヌクレオチド配列、またはその相補体と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または100%同一である(すなわち、少なくとも約90%同一である)ヌクレオチド配列、ii)転写産物D(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のエキソン2に特異的にハイブリダイズする核酸分子、及び/またはiii)転写産物D(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のエキソン3とエキソン4を架橋する領域に特異的にハイブリダイズする核酸分子を含むかまたはその配列からなる約5ヌクレオチドから最大で約50ヌクレオチドを含むかまたはそれらからなる核酸分子を用いることによって、転写産物D(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)を特異的に検出することをさらに含む。いくつかの実施形態では、HSD17B13転写産物Dは、配列番号6、15、24もしくは33と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%もしくは100%同一である(すなわち、少なくとも約90%同一である)ヌクレオチド配列を含むか、またはその配列からなる。いくつかの実施形態では、その1つ以上のプライマーまたはプローブは、配列番号6、配列番号15、配列番号24及び/または配列番号33に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、このアッセイは、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)または定量RT-PCR(qRT-PCR)を含む。いくつかの実施形態では、このアッセイは、シークエンシングを含む。
【0207】
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、a)対象から採取した生体試料であって、RNAもしくはRNAに由来するcDNAを含むか、またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNAを含む生体試料に対してアッセイを行うことであって、そのアッセイによって、その生体試料における転写産物C、D、F、GまたはH(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)の存在を判断することと、b)その生体試料に、転写産物C、D、F、GまたはHが存在する場合に、肝疾患を発症するリスクが低下している者として、その対象を分類することを含むか、あるいはそれらからなる。このようなアッセイは、例えば、転写産物C、D、F、G及びH(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のうちの1つ以上に存在する領域または領域の組み合わせであって、転写産物A及びB(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)に存在しないか、転写産物A、B及びE(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)に存在しないか、あるいは転写産物A、B、E及びF’(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)に存在しない領域または領域の組み合わせ(例えば、転写産物C、D、F、G及びHに特有である領域または領域の組み合わせ)を検出できる。このような領域は、転写産物A~Hの配列を比較することによって容易に特定でき、本明細書の他の箇所で、さらに詳細に説明されている。あるいは、その生体試料に、転写産物C、D、F、GまたはHが存在しない場合には、肝疾患を発症するリスクが上昇している者として、その対象を分類できる。具体例では、このアッセイは、生体試料中の転写産物C、D、F、GまたはH(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、特に転写産物D(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)の発現レベルを判断でき、野生型HSD17B13アレルにおいてホモ型であるコントロールの対象から採取したコントロール試料と比べて、生体試料中の転写産物C、D、F、GまたはH、特に転写産物Dの発現レベルが上昇していることによって、肝疾患を発症するリスクが低下していることが示される。あるいは、野生型HSD17B13アレルにおいてホモ型であるコントロールの対象から得たコントロール試料と比べて、生体試料中の転写産物C、D、F、GまたはH、特に転写産物Dの発現レベルが低下しているか、または発現レベルが変わらないことによって、肝疾患を発症するリスクが上昇していることが示される。別の具体例では、上記のアッセイは、生体試料において、転写産物C、D、F、GまたはH(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、特に転写産物D(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)の発現レベルを、転写産物A、BもしくはE(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、または転写産物A、B、EもしくはF’(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、特に転写産物A(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)と比べて判断することを含むことができ、転写産物A、BもしくはE、または転写産物A、B、EもしくはF’、特に転写産物Aの発現に対する転写産物C、D、F、GまたはH、特に転写産物Dの発現の比率が、野生型HSD17B13アレルにおいてホモ型であるコントロールの対象から得たコントロール試料における比率と比べて高いことによって、肝疾患を発症するリスクが低下していることが示される。あるいは、転写産物A、BもしくはE、または転写産物A、B、E及びF’、特に転写産物Aの発現に対する転写産物C、D、F、GまたはH、特に転写産物Dの発現の比率が、野生型HSD17B13アレルにおいてホモ型であるコントロールの対象から得たコントロール試料における比率と比べて低いかまたは変わらないことによって、肝疾患を発症するリスクが上昇していることが示される。
【0208】
転写産物C、D、F、GまたはH(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のうちのいずれか1つ、特にD(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)の存在またはレベルを検出するためのいくつかの方法では、アッセイは、転写産物D(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、転写産物G(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいは転写産物H(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のエキソン6とエキソン7の境界に広がる領域(すなわち、エキソン6の3’末端に追加のグアニンを含む領域(他のHSD17B13転写産物のエキソン6には、追加のグアニンは存在しない))に特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマーまたはプローブ(例えば、変化部特異的プライマーまたは変化部特異的プローブ)と、生体試料とを接触させることと、ハイブリダイズが行われたか判断することを含むか、あるいはそれらからなることができる。加えて、または代わりに、そのアッセイは、転写産物F(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のイントロン6への読み過ごし部内の領域、あるいは転写産物F(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のイントロン6への読み過ごし部とエキソン6の残部との境界に広がる領域に特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマーまたはプローブと、生体試料とを接触させることと、ハイブリダイズが行われたか判断することを含むことができる。加えて、または代わりに、そのアッセイは、転写産物C(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のエキソン5とエキソン7の境界に広がる領域に特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマーまたはプローブと、生体試料とを接触させることと、ハイブリダイズが行われたか判断することを含むことができる。
【0209】
本明細書に開示されている方法で用いることができる他のアッセイとしては、例えば、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)または定量RT-PCR(qRT-PCR)が挙げられる。本明細書に開示されている方法で用いることができるさらに別のアッセイとしては、例えば、RNAシークエンシング(RNA-Seq)の後、生体試料中の転写産物C、D、F、GまたはH、特に転写産物Dの存在と量を判断するものが挙げられる。
【0210】
他の方法は、生体試料中のHSD17B13転写産物A、B及びE(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいは転写産物A、B、E及びF’(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のうちのいずれか1つの存在またはレベルを検出することを含むことができる。このような方法は、a)その対象から採取した生体試料に対してアッセイを行うことであって、そのアッセイによって、その生体試料における転写産物A、BまたはE(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいは転写産物A、B、EまたはF’(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)の存在を判断することと、b)その生体試料に、転写産物A、BもしくはE、または転写産物A、B、EもしくはF’が存在する場合に、肝疾患を発症するリスクが上昇している者として、その対象を分類することを含むか、あるいはそれらからなることができる。このようなアッセイは、例えば、転写産物A、BまたはE(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいは転写産物A、B、EまたはF’(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のうちの1つ以上に存在する領域または領域の組み合わせであって、転写産物C、D、F、G及びH(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)に存在しない領域または領域の組み合わせ(例えば、転写産物A、BもしくはE、または転写産物A、B、EもしくはF’のうちの1つ以上に特有である領域または領域の組み合わせ)を検出できる。このような領域は、転写産物A~Hの配列を比較することによって容易に特定でき、本明細書の他の箇所で、さらに詳細に説明されている。あるいは、生体試料に、転写産物A、BもしくはE、または転写産物A、B、EもしくはF’が存在しない場合には、肝疾患を発症するリスクが低下している者として、その対象を分類できる。具体例では、このアッセイは、生体試料中の転写産物A、BまたはE(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいは転写産物A、B、EまたはF’(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)の発現レベルを判断でき、生体試料中の転写産物A、BもしくはE、または転写産物A、B、EもしくはF’の発現レベルが、HSD17B13 rs72613567バリアントアレルにおいてホモ型であるコントロールの対象から得たコントロール試料と比べて上昇していることによって、肝疾患を発症するリスクが上昇していることが示される。あるいは、生体試料中の転写産物A、BもしくはE、または転写産物A、B、EもしくはF’の発現レベルが、HSD17B13 rs72613567バリアントアレルにおいてホモ型であるコントロールの対象から得たコントロール試料と比べて低下しているかまたは変わらないことによって、肝疾患を発症するリスクが低下していることが示される。別の具体例では、このアッセイは、生体試料において、転写産物A、BまたはE(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいは転写産物A、B、EまたはF’(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)の発現レベルを、転写産物C、D、F、GまたはH(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、特に転写産物D(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)と比べて判断することを含むことができ、転写産物C、D、F、GまたはH、特に転写産物Dの発現に対する転写産物A、BもしくはE、または転写産物A、B、EもしくはF’の発現の比率が、HSD17B13 rs72613567バリアントアレルにおいてホモ型であるコントロールの対象から得たコントロール試料における比率と比べて高いことによって、肝疾患を発症するリスクが上昇していることが示される。あるいは、転写産物C、D、F、GまたはH、特に転写産物Dの発現に対する転写産物A、BもしくはE、または転写産物A、B、EもしくはF’の発現の比率が、HSD17B13 rs72613567バリアントアレルにおいてホモ型であるコントロールの対象から得たコントロール試料における比率と比べて低いかまたは変わらないことによって、肝疾患を発症するリスクが低下していることが示される。
【0211】
転写産物A、BまたはE(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいは転写産物A、B、EまたはF’(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のうちのいずれか1つの存在またはレベルを検出するためのいくつかの方法では、アッセイは、転写産物Eを転写産物A、B、C、D、F及びGと区別するために、転写産物E(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)におけるエキソン3’内の領域、エキソン3とエキソン3’の境界に広がる領域、またはエキソン3’とエキソン4の境界に広がる領域に特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマーまたはプローブ(変化部特異的プライマーまたは変化部特異的プローブなど)と、生体試料とを接触させることと、さらに、転写産物Eを転写産物Hと区別するために、転写産物E(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)におけるエキソン6とエキソン7の境界に広がる領域に特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマー及びプローブ(変化部特異的プライマーまたは変化部特異的プローブなど)と、生体試料とを接触させることと、ハイブリダイズが行われたか判断することを含むか、あるいはそれらからなることができる。加えて、または代わりに、このアッセイは、転写産物Bを転写産物A、C、D、E、F及びHと区別するために、転写産物B(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のエキソン1とエキソン3の境界に広がる領域に特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマーまたはプローブ(変化部特異的プライマーまたは変化部特異的プローブなど)と、生体試料とを接触させることと、さらに、転写産物Bを転写産物Gと区別するために、転写産物B(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)におけるエキソン6とエキソン7の境界に広がる領域に特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマーまたはプローブと、生体試料とを接触させることと、ハイブリダイズが行われたか判断することを含むか、あるいはそれらからなることができる。加えて、または代わりに、このアッセイは、転写産物Aを転写産物D、F、G及びHと区別するために、転写産物A(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)におけるエキソン6とエキソン7の境界に広がる領域に特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマーまたはプローブ(変化部特異的プライマーまたは変化部特異的プローブなど)と、生体試料とを接触させることと、さらに、転写産物Aを転写産物Cと区別するために、転写産物A(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)におけるエキソン6内の領域、エキソン5とエキソン6の境界に広がる領域、またはエキソン6とエキソン7の境界に広がる領域に特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマーまたはプローブ(変化部特異的プライマーまたは変化部特異的プローブなど)と、生体試料とを接触させることと、ハイブリダイズが行われたか判断することを含むか、あるいはそれらからなることができる。任意に、このアッセイは、転写産物Aを転写産物B及びHと区別するために、転写産物A(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)におけるエキソン2内の領域、エキソン1とエキソン2の境界に広がる領域、またはエキソン2とエキソン3の境界に広がる領域に特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマーまたはプローブ(変化部特異的プライマーまたは変化部特異的プローブなど)と、生体試料とを接触させることと、さらに、転写産物Aを転写産物E及びHと区別するために、転写産物A(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)におけるエキソン3とエキソン4の境界に広がる領域に特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマーまたはプローブ(変化部特異的プライマーまたは変化部特異的プローブなど)と、生体試料とを接触させることと、ハイブリダイズが行われたか判断することをさらに含むことができる。
【0212】
本明細書に開示されている方法で用いることができる他のアッセイとしては、例えば、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)または定量RT-PCR(qRT-PCR)が挙げられる。本明細書に開示されている方法で用いることができるさらに別のアッセイとしては、例えば、RNAシークエンシング(RNA-Seq)の後、生体試料中の転写産物A、BもしくはE、または転写産物A、B、EもしくはF’の存在と量を判断するものが挙げられる。
【0213】
本開示は、ヒト対象が肝疾患を発症する感受性またはリスクの判断方法であって、a)HSD17B13アイソフォームDが、そのヒト対象から採取した生体試料に存在するか検出することと、b)HSD17B13アイソフォームDが、その生体試料において検出された場合に、肝疾患を発症するリスクが低下している者として、そのヒト対象を分類するか、もしくはHSD17B13アイソフォームDが、その生体試料において検出されなかった場合に、肝疾患を発症するリスクが低下している者として、そのヒト対象を分類することを含むか、またはそれらからなる方法を提供する。いくつかの実施形態では、HSD17B13アイソフォームDは、配列番号42と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%もしくは100%同一である(すなわち、少なくとも約90%同一である)アミノ酸配列を含むか、またはその配列からなる。いくつかの実施形態では、その肝疾患は、慢性肝疾患である。いくつかの実施形態では、その肝疾患は、脂肪肝疾患、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、アルコール性脂肪肝疾患、肝硬変、ウイルス性肝炎、肝細胞癌、単純性脂肪肝、脂肪肝炎、線維症及び非アルコール性脂肪肝炎(NASH)からなる群から選択されている。いくつかの実施形態では、その検出作業は、シークエンシングを含む。
【0214】
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、タンパク質を含む生体試料中のHSD17B13アイソフォームC、D、F、GもしくはHのうちのいずれか1つ、特にDの存在もしくはレベルを検出することを含むか、またはそのことからなる。そのようなエピトープは、アイソフォームA~Hの配列を比較することによって、容易に特定でき、本明細書の他の箇所で、さらに詳細に説明されている。あるいは、生体試料に、アイソフォームC、D、F、GまたはHが存在しない場合には、肝疾患を発症するリスクが上昇している者として、対象を分類できる。
【0215】
いくつかの実施形態では、その検出作業によって、生体試料中のアイソフォームC、D、F、GまたはHの発現レベルを判断し、アイソフォームC、D、F、GまたはHの発現レベルが、野生型HSD17B13アレルにおいてホモ型であるコントロールの対象から得たコントロール試料と比べて上昇していることによって、肝疾患を発症するリスクが低下していることが示される。あるいは、アイソフォームC、D、F、GまたはHの発現レベルが、野生型HSD17B13アレルにおいてホモ型であるコントロールの対象から得たコントロール試料と比べて低下しているかまたは変わらないことによって、肝疾患を発症するリスクが上昇していることが示される。
【0216】
いくつかの実施形態では、この検出作業によって、生体試料中のアイソフォームA、BもしくはE、またはアイソフォームA、B、EもしくはF’の発現レベルを判断し、アイソフォームA、BもしくはE、またはアイソフォームA、B、EもしくはF’の発現レベルが、HSD17B13 rs72613567バリアントアレルにおいてホモ型であるコントロールの対象から得たコントロール試料と比べて上昇していることによって、肝疾患を発症するリスクが上昇していることが示される。あるいは、アイソフォームA、BもしくはE、またはアイソフォームA、B、EもしくはF’の発現レベルが、HSD17B13 rs72613567バリアントアレルにおいてホモ型であるコントロールの対象から得たコントロール試料と比べて低下しているかまたは変わらないことによって、肝疾患を発症するリスクが低下していることが示される。
【0217】
本開示は、ヒト対象の、臨床的にさらに進行した段階の脂肪肝疾患に進行するリスクの判断方法を提供する。
本開示は、ヒト対象の、臨床的にさらに進行した段階の脂肪肝疾患に進行するリスクの判断方法であって、a)そのヒト対象から採取した生体試料に対してアッセイを行うことであって、そのアッセイによって、野生型HSD17B13遺伝子の配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間にチミンが挿入されているか、またはバリアントHSD17B13遺伝子の配列番号2の12666位に対応する位置にチミンが存在するかを判断することと、b)野生型HSD17B13遺伝子の配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間にチミンが挿入されている場合、もしくはバリアントHSD17B13遺伝子の配列番号2の12666位に対応する位置にチミンが存在する場合に、臨床的にさらに進行した段階の脂肪肝疾患に進行するリスクが低下している者として、そのヒト対象を分類するか、またはHSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間にチミンが挿入されていない場合、もしくはHSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号2の12666位に対応する位置にチミンが存在しない場合に、臨床的にさらに進行した段階の脂肪肝疾患に進行するリスクが上昇している者として、そのヒト対象を分類することを含むか、あるいはそれらからなる方法を提供する。いくつかの実施形態では、このアッセイは、i)HSD17B13遺伝子の領域であって、HSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号1の12665位と12666位に対応する位置もしくは配列番号2の12666位に対応する位置の50ヌクレオチド以内である領域にハイブリダイズするプライマーと、生体試料とを接触させることと、ii)HSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号1の12665位と12666位に対応する位置もしくは配列番号2の12666位に対応する位置を少なくとも通るように、そのプライマーを伸長させることと、iii)そのプライマーの伸長産物において、野生型HSD17B13遺伝子の配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間にチミンが挿入されているか、もしくはバリアントHSD17B13遺伝子の配列番号2の12666位に対応する位置にチミンが存在するか判断することを含むか、またはこれらからなる。いくつかの実施形態では、このアッセイは、ストリンジェント条件下で、配列番号2の12666位に対応する位置にチミンを有するバリアントHSD17B13遺伝子に特異的にハイブリダイズするとともに、対応する野生型HSD17B13遺伝子に特異的にハイブリダイズしないプライマーもしくはプローブと、生体試料とを接触させることと、ハイブリダイズが行われたか判断することを含むか、またはこれらからなる。いくつかの実施形態では、このバリアントHSD17B13遺伝子は、シークエンシングによって検出する。いくつかの実施形態では、この方法は、そのヒト対象が、バリアントHSD17B13遺伝子においてホモ型であるか判断することをさらに含む。
【0218】
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、a)対象から採取した、HSD17B13遺伝子を含む生体試料に対してアッセイを行うことであって、そのアッセイによって、HSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号2の12666位もしくは12666位と12667位に対応する位置を占めているヌクレオチドの種類を判定することと、b)配列番号2の12666位に対応する位置がチミンによって占められているか、もしくは配列番号2の12666位と12667位がチミンによって占められている場合に、臨床的にさらに進行した段階の肝疾患に進行するリスク(例えば、単純性脂肪肝から、脂肪肝炎、線維症、肝硬変及び肝細胞癌のうちの1つ以上に進行するリスク)が低下している者として、その対象を分類することを含むか、またはそれらからなる。あるいは、上記の位置がチミンによって占められていない場合には、臨床的にさらに進行した段階の肝疾患に進行するリスク(例えば、病理組織学的に、単純性脂肪肝から、脂肪肝炎、線維症、肝硬変及び肝細胞癌のうちの1つ以上に進行するリスク)が上昇している者として、対象を分類できる。同様に、上記のような方法は、HSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号1の12665位と12666位に対応する位置を占めているヌクレオチドの種類を判定するアッセイを生体試料に対して行うことを含むかまたはそのことからなることができる。野生型HSD17B13遺伝子の配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間にチミンが挿入されている場合には、臨床的にさらに進行した段階の肝疾患に進行するリスク(例えば、病理組織学的に、単純性脂肪肝から、脂肪肝炎、線維症、肝硬変及び肝細胞癌のうちの1つ以上に進行するリスク)が低下している者として、対象を分類できる。あるいは、野生型HSD17B13遺伝子の配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間にチミンの挿入が見られない場合には、臨床的にさらに進行した段階の肝疾患に進行するリスク(例えば、病理組織学的に、単純性脂肪肝から、脂肪肝炎、線維症、肝硬変及び肝細胞癌のうちの1つ以上に進行するリスク)が上昇している者として、対象を分類できる。
【0219】
いくつかの実施形態では、対象が、HSD17B13タンパク質アイソフォームA、B、EもしくはF’、または転写産物A、B、EもしくはF’を有すると判断されている場合、その対象は、後期のNASHとして顕在化し得る線維症を発症するリスクが上昇している。これに対して、対象が、HSD17B13タンパク質アイソフォームC、D、F、GもしくはH、または転写産物C、D、F、GもしくはHを有すると判断されている場合には、その対象は、線維症を発症するリスクが低下している。いくつかの実施形態では、線維症を発症するリスクが上昇しているか、または上昇している疑いのある対象においては、NASHの組織病理学的な特徴(例えば、小葉炎症と肝細胞風船様腫大を含む)も調べることができる。HSD17B13タンパク質アイソフォームC、D、F、GもしくはH、または転写産物C、D、F、GもしくはHを有する対象は、小葉炎症と肝細胞風船様腫大を発現するリスクが低下している。
【0220】
HSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号2の12666位もしくは12666位と12667位に対応する位置(または配列番号1の12665位と12666位に対応する位置)を占めているヌクレオチドの種類を判定するためのいずれかのアッセイ(本明細書に記載されているアッセイなど)を用いることができる。加えて、ストリンジェント条件下で、HSD17B13 rs72613567バリアントに特異的にハイブリダイズするとともに、対応する野生型HSD17B13配列にハイブリダイズしないプライマーもしくはプローブ(変化部特異的プライマーもしくは変化部特異的プローブなど)と、生体試料とを接触させることと、ハイブリダイズが行われたか判断することを含むか、またはそれらからなるいずれかのアッセイ(本明細書に記載されているアッセイなど)。
【0221】
本開示は、ヒト対象の、臨床的にさらに進行した段階の脂肪肝疾患に進行するリスクの判断方法であって、a)そのヒト対象から採取した生体試料に対してアッセイを行うことであって、そのアッセイによって、その生体試料におけるHSD17B13転写産物D(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)の存在を判断することと、b)HSD17B13転写産物Dが、その生体試料に存在する場合に、臨床的にさらに進行した段階の脂肪肝疾患に進行するリスクが低下している者として、そのヒト対象を分類するか、またはHSD17B13転写産物Dが、その生体試料に存在しない場合に、臨床的にさらに進行した段階の脂肪肝疾患に進行するリスクが上昇している者として、そのヒト対象を分類することを含むか、あるいはそれらからなる方法を提供する。いくつかの実施形態では、HSD17B13転写産物Dは、配列番号6、15、24もしくは33と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%もしくは100%同一である(すなわち、少なくとも約90%同一である)ヌクレオチド配列を含むか、またはその配列からなる。いくつかの実施形態では、このHSD17B13転写産物Dは、RNAであり、配列番号6を含むかもしくは配列番号6からなるか、または配列番号24を含むかもしくは配列番号24からなるそのcDNAであり、あるいは、このHSD17B13転写産物Dは、mRNAであり、配列番号15を含むかもしくは配列番号15からなるか、または配列番号33を含むかもしくは配列番号33からなるそのcDNAである。いくつかの実施形態では、そのアッセイによって、生体試料中のHSD17B13転写産物D(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)の発現レベルを判断し、HSD17B13転写産物Dの発現レベルが、野生型HSD17B13アレルにおいてホモ型であるコントロールのヒト対象から得たコントロール試料と比べて上昇していることによって、臨床的にさらに進行した段階の脂肪肝疾患に進行するリスクが低下していることが示され、HSD17B13転写産物Dの発現レベルが、このコントロール試料と比べて同じであるかまたは低下していることによって、臨床的にさらに進行した段階の脂肪肝疾患に進行するリスクが上昇していることが示される。いくつかの実施形態では、上記のアッセイは、HSD17B13転写産物D(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)の核酸配列、あるいはその相補体に特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマーまたはプローブと、生体試料とを接触させることと、ハイブリダイズが行われたか判断することを含むか、あるいはそれらからなる。いくつかの実施形態では、この方法は、i)配列番号6、15、24もしくは33のヌクレオチド配列、またはその相補体と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%もしくは100%同一である(すなわち、少なくとも約90%同一である)ヌクレオチド配列、ii)転写産物D(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のエキソン2に特異的にハイブリダイズする核酸分子、及び/またはiii)転写産物D(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のエキソン3とエキソン4を架橋する領域に特異的にハイブリダイズする核酸分子を含むかまたはそれらからなる約5ヌクレオチドから最大で約50ヌクレオチドを含む核酸分子を用いることによって、転写産物D(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)を特異的に検出することをさらに含む。いくつかの実施形態では、その1つ以上のプライマーまたはプローブは、配列番号6、配列番号15、配列番号24及び/または配列番号33に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、このアッセイは、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)または定量RT-PCR(qRT-PCR)を含む。いくつかの実施形態では、このアッセイは、シークエンシングを含む。
【0222】
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、対象から採取した生体試料に対してアッセイを行うことであって、そのアッセイによって、その生体試料における転写産物C、D、F、GまたはH(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、特に転写産物D(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)の存在を判断することと、b)その生体試料に、転写産物C、D、F、GまたはH、特に転写産物Dが存在する場合に、臨床的にさらに進行した段階の肝疾患に進行するリスク(例えば、病理組織学的に、単純性脂肪肝から、脂肪肝炎、線維症、肝硬変及び肝細胞癌のうちの1つ以上に進行するリスク)が低下している者として、その対象を分類することを含むか、あるいはそれらからなる。あるいは、その生体試料に、転写産物C、D、F、GまたはH、特に転写産物Dが存在しない場合に、臨床的にさらに進行した段階の肝疾患に進行するリスク(例えば、病理組織学的に、単純性脂肪肝から、脂肪肝炎、線維症、肝硬変及び肝細胞癌のうちの1つ以上に進行するリスク)が上昇している者として、その対象を分類できる。具体例では、そのアッセイによって、生体試料中の転写産物C、D、F、GまたはH(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、特に転写産物D(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)の発現レベルを判断でき、生体試料中の転写産物C、D、F、GまたはH、特に転写産物Dの発現レベルが、野生型HSD17B13アレルにおいてホモ型であるコントロールの対象から得たコントロール試料と比べて上昇していることによって、臨床的にさらに進行した段階の肝疾患に進行するリスク(例えば、病理組織学的に、単純性脂肪肝から、脂肪肝炎、線維症、肝硬変及び肝細胞癌のうちの1つ以上に進行するリスク)が低下していることが示される。あるいは、生体試料中の転写産物C、D、F、GまたはH、特に転写産物Dの発現レベルが、野生型HSD17B13アレルにおいてホモ型であるコントロールの対象から得たコントロール試料と比べて低下しているか、または変わらないことによって、臨床的にさらに進行した段階の肝疾患に進行するリスク(例えば、病理組織学的に、単純性脂肪肝から、脂肪肝炎、線維症、肝硬変及び肝細胞癌のうちの1つ以上に進行するリスク)が上昇していることが示される。別の具体例では、本開示のアッセイは、生体試料において、転写産物C、D、F、GまたはH(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、特に転写産物D(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)の発現レベルを、転写産物A、BまたはE(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいは転写産物A、B、EまたはF’(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、特に転写産物A(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)と比べて判断することを含むか、あるいはそのことからなることができ、転写産物A、BもしくはE、または転写産物A、B、EもしくはF’、特に転写産物Aの発現に対する転写産物C、D、F、GまたはH、特に転写産物Dの発現の比率が、野生型HSD17B13アレルにおいてホモ型であるコントロールの対象から得たコントロール試料における比率と比べて高いことによって、臨床的にさらに進行した段階の肝疾患に進行するリスク(例えば、病理組織学的に、単純性脂肪肝から、脂肪肝炎、線維症、肝硬変及び肝細胞癌のうちの1つ以上に進行するリスク)が低下していることが示される。あるいは、転写産物A、BもしくはE、または転写産物A、B、EもしくはF’、特に転写産物Aの発現に対する転写産物C、D、F、GまたはH、特に転写産物Dの発現の比率が、野生型HSD17B13アレルにおいてホモ型であるコントロールの対象から得たコントロール試料における比率と比べて低いかまたは変わらないことによって、臨床的にさらに進行した段階の肝疾患に進行するリスク(例えば、病理組織学的に、単純性脂肪肝から、脂肪肝炎、線維症、肝硬変及び肝細胞癌のうちの1つ以上に進行するリスク)が上昇していることが示される。
【0223】
いくつかの実施形態では、転写産物C、D、F、GまたはH(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のうちのいずれか1つ、特にD(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)の存在またはレベルを検出するために、アッセイは、転写産物D(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、転写産物G(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいは転写産物H(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)におけるエキソン6とエキソン7の境界に広がる領域(すなわち、エキソン6の3’末端に追加のグアニンを含む領域(他のHSD17B13転写産物のエキソン6には、この追加のグアニンは存在しない))に特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマーまたはプローブ(例えば、変化部特異的プライマーまたは変化部特異的プローブ)と、生体試料とを接触させることと、ハイブリダイズが行われたか判断することを含むか、あるいはそれらからなることができる。加えて、または代わりに、このアッセイは、転写産物F(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)におけるイントロン6への読み過ごし部内の領域、あるいは転写産物F(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)におけるイントロン6への読み過ごし部とエキソン6の残部との境界に広がる領域に特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマーまたはプローブと、生体試料とを接触させることと、ハイブリダイズが行われたか判断することを含むか、あるいはそれらからなることができる。加えて、または代わりに、このアッセイは、転写産物C(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)におけるエキソン5とエキソン7の境界に広がる領域に特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマーまたはプローブと、生体試料とを接触させることと、ハイブリダイズが行われたか判断することを含むか、あるいはそれらからなることができる。
【0224】
本明細書に開示されている方法で用いることができる他のアッセイとしては、例えば、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)または定量RT-PCR(qRT-PCR)が挙げられる。本明細書に開示されている方法で用いることができるさらに別のアッセイとしては、例えば、RNAシークエンシング(RNA-Seq)の後、生体試料中の転写産物C、D、F、GまたはH、特に転写産物Dの存在と量を判断するものが挙げられる。
【0225】
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、a)対象から採取した生体試料に対してアッセイを行うことであって、そのアッセイによって、生体試料中の転写産物A、BまたはE(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいは転写産物A、B、EまたはF’(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)の存在を判断することと、b)その生体試料に、転写産物A、BもしくはE、または転写産物A、B、EもしくはF’が存在する場合に、臨床的にさらに進行した段階の肝疾患に進行するリスク(例えば、病理組織学的に、単純性脂肪肝から、脂肪肝炎、線維症、肝硬変及び肝細胞癌のうちの1つ以上に進行するリスク)が上昇している者として、その対象を分類することを含むか、あるいはそれらからなる。あるいは、生体試料に、転写産物A、BもしくはE、または転写産物A、B、EもしくはF’が存在しない場合には、臨床的にさらに進行した段階の肝疾患に進行するリスク(例えば、病理組織学的に、単純性脂肪肝から、脂肪肝炎、線維症、肝硬変及び肝細胞癌のうちの1つ以上に進行するリスク)が低下している者として、その対象を分類できる。具体例では、このアッセイによって、生体試料中の転写産物A、BまたはE(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいは転写産物A、B、EまたはF’(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)の発現レベルを判断でき、生体試料中の転写産物A、BもしくはE、または転写産物A、B、EもしくはF’の発現レベルが、HSD17B13 rs72613567バリアントアレルにおいてホモ型であるコントロールの対象から得たコントロール試料と比べて上昇していることによって、臨床的にさらに進行した段階の肝疾患に進行するリスク(例えば、病理組織学的に、単純性脂肪肝から、脂肪肝炎、線維症、肝硬変及び肝細胞癌のうちの1つ以上に進行するリスク)が上昇していることが示される。あるいは、生体試料中の転写産物A、BもしくはE、または転写産物A、B、EもしくはF’の発現レベルが、HSD17B13 rs72613567バリアントアレルにおいてホモ型であるコントロールの対象から得たコントロール試料と比べて低下しているかまたは変わらないことによって、臨床的にさらに進行した段階の肝疾患に進行するリスク(例えば、病理組織学的に、単純性脂肪肝から、脂肪肝炎、線維症、肝硬変及び肝細胞癌のうちの1つ以上に進行するリスク)が低下していることが示される。別の具体例では、このアッセイは、生体試料において、転写産物A、BまたはE(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいは転写産物A、B、EまたはF’(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)の発現レベルを、転写産物C、D、F、GまたはH(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、特に転写産物D(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)と比べて判断することを含むことができ、転写産物C、D、F、GまたはH、特に転写産物Dの発現に対する転写産物A、BもしくはE、または転写産物A、B、EもしくはF’の発現の比率が、HSD17B13 rs72613567バリアントアレルにおいてホモ型であるコントロールの対象から得たコントロール試料における比率と比べて高いことによって、臨床的にさらに進行した段階の肝疾患に進行するリスク(例えば、病理組織学的に、単純性脂肪肝から、脂肪肝炎、線維症、肝硬変及び肝細胞癌のうちの1つ以上に進行するリスク)が上昇していることが示される。あるいは、C、D、F、GまたはH(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、特に転写産物D(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)の発現に対する転写産物A、BまたはE(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいは転写産物A、B、EまたはF’(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)の発現の比率が、HSD17B13 rs72613567バリアントアレルにおいてホモ型であるコントロールの対象から得たコントロール試料における比率と比べて低いかまたは変わらないことによって、臨床的にさらに進行した段階の肝疾患に進行するリスク(例えば、病理組織学的に、単純性脂肪肝から、脂肪肝炎、線維症、肝硬変及び肝細胞癌のうちの1つ以上に進行するリスク)が低下していることが示される。
【0226】
いくつかの実施形態では、転写産物A、BまたはE(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)、あるいは転写産物A、B、EまたはF’(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のうちのいずれか1つの存在またはレベルを検出するために、本開示のアッセイは、転写産物Eを転写産物A、B、C、D、F及びGと区別するように、転写産物E(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)におけるエキソン3’内の領域、エキソン3とエキソン3’の境界に広がる領域、またはエキソン3’とエキソン4の境界に広がる領域に特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマーまたはプローブ(変化部特異的プライマーまたは変化部特異的プローブなど)と、生体試料とを接触させることと、さらに、転写産物Eを転写産物Hと区別するように、転写産物E(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)におけるエキソン6とエキソン7の境界に広がる領域に特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマー及びプローブ(変化部特異的プライマーまたは変化部特異的プローブなど)と、生体試料とを接触させることと、ハイブリダイズが行われたか判断することを含むか、あるいはそれらからなることができる。加えて、または代わりに、このアッセイは、転写産物Bを転写産物A、C、D、E、F及びHと区別するために、転写産物B(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のエキソン1とエキソン3の境界に広がる領域に特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマーまたはプローブ(変化部特異的プライマーまたは変化部特異的プローブなど)と、生体試料とを接触させることと、さらに、転写産物Bを転写産物Gと区別するために、転写産物B(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)におけるエキソン6とエキソン7の境界に広がる領域に特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマーまたはプローブと、生体試料とを接触させることと、ハイブリダイズが行われたか判断することを含むか、あるいはそれらからなることができる。加えて、または代わりに、このアッセイは、転写産物Aを転写産物D、F、G及びHと区別するために、転写産物A(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)におけるエキソン6とエキソン7の境界に広がる領域に特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマーまたはプローブ(変化部特異的プライマーまたは変化部特異的プローブなど)と、生体試料とを接触させることと、さらに、転写産物Aを転写産物Cと区別するために、転写産物A(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)におけるエキソン6内の領域、エキソン5とエキソン6の境界に広がる領域、またはエキソン6とエキソン7の境界に広がる領域に特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマーまたはプローブ(変化部特異的プライマーまたは変化部特異的プローブなど)と、生体試料とを接触させることと、ハイブリダイズが行われたか判断することを含むか、あるいはそれらからなることができる。任意に、このアッセイは、転写産物Aを転写産物B及びHと区別するために、転写産物A(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)におけるエキソン2内の領域、エキソン1とエキソン2の境界に広がる領域、またはエキソン2とエキソン3の境界に広がる領域に特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマーまたはプローブ(変化部特異的プライマーまたは変化部特異的プローブなど)と、生体試料とを接触させることと、さらに、転写産物Aを転写産物E及びHと区別するために、転写産物A(RNAもしくはRNAに由来するcDNA、及び/またはmRNAもしくはmRNAに由来するcDNA、好ましくはRNAまたはRNAに由来するcDNA)のエキソン3とエキソン4の境界に広がる領域に特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマーまたはプローブ(変化部特異的プライマーまたは変化部特異的プローブなど)と、生体試料とを接触させることと、ハイブリダイズが行われたか判断することをさらに含むか、あるいはそれらからなることができる。
【0227】
本明細書に開示されている方法で用いることができる他のアッセイとしては、例えば、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)または定量RT-PCR(qRT-PCR)が挙げられる。本明細書に開示されている方法で用いることができるさらに別のアッセイとしては、例えば、RNAシークエンシング(RNA-Seq)の後、生体試料中の転写産物A、BもしくはE、または転写産物A、B、EもしくはF’の存在と量を判断するものが挙げられる。
【0228】
本開示は、ヒト対象の、臨床的にさらに進行した段階の脂肪肝疾患に進行するリスクの判断方法であって、a)HSD17B13アイソフォームDが、そのヒト対象から採取した生体試料に存在するか検出すること、b)HSD17B13アイソフォームDが、その生体試料において検出された場合に、臨床的にさらに進行した段階の肝疾患に進行するリスクが低下している者として、そのヒト対象を分類することを含むかまたはそれらからなる方法を提供する。いくつかの実施形態では、このHSD17B13アイソフォームDは、配列番号42と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%もしくは100%同一である(すなわち、少なくとも約90%同一である)アミノ酸配列を含むか、またはその配列からなる。いくつかの実施形態では、その検出作業は、シークエンシングを含む。
【0229】
いくつかの実施形態では、その検出作業によって、生体試料中のアイソフォームC、D、F、GまたはHの発現レベルを判断し、アイソフォームC、D、F、GまたはHの発現レベルが、野生型HSD17B13アレルにおいてホモ型であるコントロールのヒト対象から得たコントロール試料と比べて上昇していることによって、臨床的にさらに進行した段階の肝疾患に進行するリスク(例えば、病理組織学的に、単純性脂肪肝から、脂肪肝炎、線維症、肝硬変及び肝細胞癌のうちの1つ以上に進行するリスク)が低下していることが示される。あるいは、アイソフォームC、D、F、GまたはHの発現レベルが、野生型HSD17B13アレルにおいてホモ型であるコントロールの対象から得たコントロール試料と比べて低下しているかまたは変わらないことによって、臨床的にさらに進行した段階の肝疾患に進行するリスク(例えば、病理組織学的に、単純性脂肪肝から、脂肪肝炎、線維症、肝硬変及び肝細胞癌のうちの1つ以上に進行するリスク)が上昇していることが示される。
【0230】
いくつかの実施形態では、その検出作業によって、生体試料中のアイソフォームA、BもしくはE、またはアイソフォームA、B、EもしくはF’の発現レベルを判断し、アイソフォームA、BもしくはE、またはアイソフォームA、B、EもしくはF’の発現レベルが、HSD17B13 rs72613567バリアントアレルにおいてホモ型であるコントロールのヒト対象から得たコントロール試料と比べて上昇していることによって、臨床的にさらに進行した段階の肝疾患に進行するリスク(例えば、病理組織学的に、単純性脂肪肝から、脂肪肝炎、線維症、肝硬変及び肝細胞癌のうちの1つ以上に進行するリスク)が上昇していることが示される。あるいは、アイソフォームA、BもしくはE、またはアイソフォームA、B、EもしくはF’の発現レベルが、HSD17B13 rs72613567バリアントアレルにおいてホモ型であるコントロールの対象から得たコントロール試料と比べて低下しているかまたは変わらないことによって、臨床的にさらに進行した段階の肝疾患に進行するリスク(例えば、病理組織学的に、単純性脂肪肝から、脂肪肝炎、線維症、肝硬変及び肝細胞癌のうちの1つ以上に進行するリスク)が低下していることが示される。
【0231】
本明細書に記載されている方法のうちのいずれか1つ以上は、インビトロで行うことができる。
本明細書に開示されている方法のいずれにおいても、プライマーまたはプローブは、意図されているその標的核酸分子にハイブリダイズするか、意図されているその標的核酸分子に特異的にハイブリダイズするかのいずれかであってよい。いくつかの実施形態では、特定の標的に特異的にハイブリダイズするプライマーまたはプローブは、野生型核酸分子(例えば、配列番号1、または野生型HSD17B13と関連する機能活性を有する転写産物など)にはハイブリダイズしない。
【0232】
本明細書に開示されている方法のうち、臨床的にさらに進行した段階の肝疾患に進行するリスク(例えば、病理組織学的に、単純性脂肪肝から、脂肪肝炎、線維症、肝硬変及び肝細胞癌のうちの1つ以上に進行するリスク)が上昇している者として、または肝疾患(例えば慢性肝疾患)を発症するリスクが上昇している者として、対象を分類する方法のいずれにおいても、その方法は、治療方法または予防方法をさらに含むことができる。あるいは、本開示の方法は、治療剤を投与して、臨床的にさらに進行した段階の肝疾患への進行(例えば、単純性脂肪肝から、臨床的にさらに進行した段階の肝疾患への進行、または単純性脂肪肝から、脂肪肝炎、線維症、肝硬変及び肝細胞癌のうちの1つ以上への進行)と関連する1つ以上の症状を予防または緩和することをさらに含むことができる。例えば、このような治療では、炎症の予防もしくは軽減、または線維症の予防もしくは軽減に重点を置くことができる。開発中であるこのような治療剤の例としては、オベチコール酸、GS-9674、Simtuzumab、GS-4997、NDI-010976、GFT505/Elafibranor、Aramchol、Cenicriviroc、GR-MD-02、TD139、SHP626、PXS4728A及びRP103-システアミン酒石酸塩が挙げられるが、これらに限らない。本開示は、上に開示されている治療剤からなる群から選択した治療剤であって、HSD17B13バリアント遺伝子のキャリアではないヒト対象の肝疾患の治療、予防または緩和で用いるための治療剤を提供する。一態様では、そのヒト対象は、バリアントHSD17B13遺伝子について陰性と判定されている。一態様では、この治療は、そのヒト対象がバリアントHSD17B13遺伝子のキャリアであるか否か判断する工程を含む。一態様では、そのヒト患者は、本明細書に記載されている方法のいずれかに従って、バリアントHSD17B13遺伝子を有すると判断されている。本開示は、上に開示されている治療剤からなる群から選択した治療剤であって、本開示の方法のいずれかに従って、臨床的にさらに進行した段階の脂肪肝疾患に進行するリスクがあると判断されているヒト対象の脂肪肝疾患の治療、予防または緩和で用いるための治療剤も提供する。
【0233】
アンチセンス分子(アンチセンスRNA、siRNA及びshRNAなど)と、HSD17B13タンパク質またはその断片と、組み換えHSD17B13遺伝子またはHSD17B13タンパク質をコードする核酸を発現させるための発現ベクターをいずれかに組み合わせたものの使用を通じて、細胞を改変する方法は、様々なものが提供されている。その方法は、インビトロ、エキソビボまたはインビボで行うことができる。アンチセンスRNA、siRNA及びshRNAなどのアンチセンス分子と、HSD17B13タンパク質またはその断片と、発現ベクターは、いずれかの形態の細胞に、本明細書の他の箇所に記載されているようないずれかの手段によって導入でき、すべてまたは一部を、いずれかの組み合わせで同時または順次に導入できる。
【0234】
アンチセンス分子を用いて、HSD17B13遺伝子またはHSD17B13アイソフォームタンパク質をコードする核酸の発現を改変できる。アンチセンス分子の例としては、アンチセンスRNA、低分子干渉RNA(siRNA)及びショートヘアピンRNA(shRNA)が挙げられる。このようなアンチセンスRNA、siRNAまたはshRNAは、mRNAのいずれかの領域をターゲティングするように設計できる。例えば、アンチセンスRNA、siRNAまたはshRNAは、本明細書に開示されているHSD17B13転写産物のうちの1つ以上に特有である領域、または本明細書に開示されているHSD17B13転写産物のうちの1つ以上に共通の領域をターゲティングするように設計できる。
【0235】
対象は、例えば、HSD17B13 rs72613567バリアントのキャリアではない(または、HSD17B13 rs72613567バリアントのヘテロ接合体キャリアに過ぎない)とともに、肝疾患を発症しているか、または発症しやすい対象(例えばヒト)であることができる。
【0236】
以下に、代表的な実施形態を示す。
実施形態1.HSD17B13遺伝子の少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含むかまたはそれらからなるとともに、配列番号1の12665位と12666位に対応する位置のヌクレオチド間にチミンが挿入されている核酸分子。
【0237】
実施形態2.その連続するヌクレオチドが、配列番号2における対応配列であって、配列番号2の12666位に対応する位置を含む配列と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一である、実施形態1に記載の核酸分子。
【0238】
実施形態3.そのHSD17B13遺伝子が、ヒトHSD17B13遺伝子である、実施形態1または2に記載の核酸分子。
実施形態4.その単離核酸分子が、配列番号2の連続するヌクレオチドに対応する少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個、少なくとも60個、少なくとも70個、少なくとも80個、少なくとも90個、少なくとも100個、少なくとも200個、少なくとも300個、少なくとも400個、少なくとも500個、少なくとも600個、少なくとも700個、少なくとも800個、少なくとも900個、少なくとも1000個、少なくとも2000個、少なくとも3000個、少なくとも4000個、少なくとも5000個、少なくとも6000個、少なくとも7000個、少なくとも8000個、少なくとも9000個、少なくとも10000個、少なくとも11000個、少なくとも12000個、少なくとも13000個、少なくとも14000個、少なくとも15000個、少なくとも16000個、少なくとも17000個、少なくとも18000個もしくは少なくとも19000個のヌクレオチドを含むか、またはそれらからなる、実施形態1~3のいずれか1つに記載の核酸分子。
【0239】
実施形態5.その単離核酸分子が、対応する野生型HSD17B13遺伝子と比べると、その遺伝子の1つ以上の非必須セグメントが欠失しているHSD17B13ミニ遺伝子を含むかまたはその遺伝子からなる、実施形態1~4のいずれか1つに記載の核酸分子。
【0240】
実施形態6.その欠失セグメントが、1つ以上のイントロン配列を含む、実施形態5に記載の核酸分子。
実施形態7.その単離核酸分子が、配列番号2のイントロン6に対応するイントロンをさらに含む、実施形態5または6に記載の核酸分子。
【0241】
実施形態8.そのイントロンが、配列番号2のイントロン6である、実施形態7に記載の核酸分子。
実施形態9.HSD17B13タンパク質のすべてまたは一部をコードする少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含むかまたはそれらからなる核酸分子であって、その連続する核酸分子が、i)配列番号6、配列番号15、配列番号24もしくは配列番号33(転写産物D)、ii)配列番号10、配列番号19、配列番号28もしくは配列番号37(転写産物G)、またはiii)配列番号11、配列番号20、配列番号29もしくは配列番号38(転写産物H)に存在する対応セグメントであって、配列番号3、配列番号12、配列番号21または配列番号30(転写産物A)に存在しないセグメントと少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または100%同一であるセグメントを含む核酸分子。
【0242】
実施形態10.その連続するヌクレオチドが、配列番号6、配列番号15、配列番号24または配列番号33(転写産物D)に存在する対応セグメントであって、配列番号11、配列番号20、配列番号29または配列番号38(転写産物H)に存在しないセグメントと少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または100%同一であるセグメントをさらに含むかまたはそのセグメントからなり、その連続するヌクレオチドが、配列番号6、配列番号15、配列番号24または配列番号33(転写産物D)に存在する対応セグメントであって、配列番号10、配列番号19、配列番号28または配列番号37(転写産物G)に存在しないセグメントと少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または100%同一であるセグメントをさらに含むかまたはそのセグメントからなる、実施形態9に記載の核酸分子。
【0243】
実施形態11.その連続するヌクレオチドが、配列番号11、配列番号20、配列番号29または配列番号38(転写産物H)に存在する対応セグメントであって、配列番号6、配列番号15、配列番号24または配列番号33(転写産物D)に存在しないセグメントと少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または100%同一であるセグメントをさらに含むかまたはそのセグメントからなる、実施形態9に記載の核酸分子。
【0244】
実施形態12.その連続するヌクレオチドがさらに、配列番号10、配列番号19、配列番号28もしくは配列番号37(転写産物G)に存在する対応セグメントであって、配列番号6、配列番号15、配列番号24もしくは配列番号33(転写産物D)に存在しないセグメントと少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%もしくは100%同一であるセグメントを含むか、またはそのセグメントからなる、実施形態9に記載の核酸分子。
【0245】
実施形態13.HSD17B13タンパク質のすべてまたは一部をコードする少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含む核酸分子であって、その連続するヌクレオチドが、配列番号7、配列番号16、配列番号25もしくは配列番号34(転写産物E)に存在する対応セグメントであって、配列番号3、配列番号12、配列番号21もしくは配列番号30(転写産物A)に存在しないセグメントと少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%もしくは100%同一であるセグメントを含むか、またはそのセグメントからなり、任意に、その連続するヌクレオチドがさらに、配列番号7、配列番号16、配列番号25もしくは配列番号34(転写産物E)に存在する対応セグメントであって、配列番号11、配列番号20、配列番号29もしくは配列番号38(転写産物H)に存在しないセグメントと少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%もしくは100%同一であるセグメントを含むか、またはそのセグメントからなる核酸分子。
【0246】
実施形態14.HSD17B13タンパク質のすべてまたは一部をコードする少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含むかまたはそれらからなる核酸分子であって、その連続するヌクレオチドが、配列番号8、配列番号17、配列番号26もしくは配列番号35(転写産物F)に存在する対応セグメントであって、配列番号3、配列番号12、配列番号21もしくは配列番号30(転写産物A)に存在しないセグメントと少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%もしくは100%同一であるセグメントを含むか、またはそのセグメントからなる核酸分子。
【0247】
実施形態15.HSD17B13タンパク質のすべてまたは一部をコードする少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含むかまたはそれらからなる核酸分子であって、その連続するヌクレオチドが、配列番号5、配列番号14、配列番号23もしくは配列番号32(転写産物C)に存在する対応セグメントであって、配列番号3、配列番号12、配列番号21もしくは配列番号30(転写産物A)に存在しないセグメントと少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%もしくは100%同一であるセグメントを含むか、またはそのセグメントからなる核酸分子。
【0248】
実施形態16.そのHSD17B13タンパク質が、ヒトHSD17B13タンパク質である、実施形態9~15のいずれか1つに記載の核酸分子。
実施形態17.その単離核酸分子が、HSD17B13タンパク質のすべてもしくは一部をコードする少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個、少なくとも60個、少なくとも70個、少なくとも80個、少なくとも90個、少なくとも100個、少なくとも200個、少なくとも300個、少なくとも400個、少なくとも500個、少なくとも600個、少なくとも700個、少なくとも800個、少なくとも900個、少なくとも1000個もしくは少なくとも2000個の連続するヌクレオチドを含むか、またはそれらからなる、実施形態9~16のいずれか1つに記載の核酸分子。
【0249】
実施形態18.i)配列番号5、配列番号14、配列番号23もしくは配列番号32(転写産物C)、ii)配列番号6、配列番号15、配列番号24もしくは配列番号33(転写産物D)、iii)配列番号7、配列番号16、配列番号25もしくは配列番号34(転写産物E)、iv)配列番号8、配列番号17、配列番号26もしくは配列番号35(転写産物F)、v)配列番号10、配列番号19、配列番号28もしくは配列番号37(転写産物G)、またはvi)配列番号11、配列番号20、配列番号29もしくは配列番号38(転写産物H)に示されている配列と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または100%同一である配列を含むか、あるいはその配列からなるとともに、配列番号41(アイソフォームC)、配列番号42(アイソフォームD)、配列番号43(アイソフォームE)、配列番号44(アイソフォームF)、配列番号46(アイソフォームG)もしくは配列番号47(アイソフォームH)に示されている配列を含むか、またはその配列からなるHSD17B13タンパク質をコードする核酸分子。
【0250】
実施形態19.その連続するヌクレオチドが、介在イントロンなしに、HSD17B13遺伝子の少なくとも2つの異なるエキソンの配列を含むかまたはその配列からなる、実施形態9~18のいずれか1つに記載の核酸分子。
【0251】
実施形態20.実施形態1~19のいずれか1つに記載の核酸分子によってコードされるポリペプチド。
実施形態21.配列番号2の12666位に対応する位置の1000ヌクレオチド、500ヌクレオチド、400ヌクレオチド、300ヌクレオチド、200ヌクレオチド、100ヌクレオチド、50ヌクレオチド、45ヌクレオチド、40ヌクレオチド、35ヌクレオチド、30ヌクレオチド、25ヌクレオチド、20ヌクレオチド、15ヌクレオチド、10ヌクレオチドもしくは5ヌクレオチドを含むか、またはその数のヌクレオチド以内であるセグメントにおいて、HSD17B13遺伝子にハイブリダイズする少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含むかまたはそれらからなる核酸分子。
【0252】
実施形態22.そのセグメントが、配列番号2における対応配列と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であるとともに、配列番号2の12666位に対応する位置にチミンを有する、実施形態21に記載の核酸分子。
【0253】
実施形態23.そのセグメントが、配列番号2の少なくとも20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、60個、70個、80個、90個、100個、200個、300個、400個、500個、600個、700個、800個、900個、1000個もしくは2000個の連続するヌクレオチドを含むか、またはそれらからなる、実施形態21または22に記載の核酸分子。
【0254】
実施形態24.そのセグメントが、配列番号2の12666位に対応する位置を含む、実施形態21~23のいずれか1つに記載の核酸分子。
実施形態25.そのHSD17B13遺伝子が、ヒトHSD17B13遺伝子である、実施形態21~24のいずれか1つに記載の核酸分子。
【0255】
実施形態26.HSD17B13タンパク質をコードする核酸の少なくとも15個の連続するヌクレオチドにハイブリダイズする核酸分子であって、その連続するヌクレオチドが、i)配列番号6、配列番号15、配列番号24もしくは配列番号33(転写産物D)、ii)配列番号10、配列番号19、配列番号28もしくは配列番号37(転写産物G)、またはiii)配列番号11、配列番号20、配列番号29もしくは配列番号38(転写産物H)に存在する対応セグメントであって、配列番号3、配列番号12、配列番号21または配列番号30(転写産物A)に存在しないセグメントと少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または100%同一であるセグメントを含むか、あるいはそのセグメントからなる核酸分子。
【0256】
実施形態27.HSD17B13タンパク質をコードする核酸の少なくとも15個の連続するヌクレオチドにハイブリダイズする核酸分子であって、その連続するヌクレオチドが、配列番号7、配列番号16、配列番号25もしくは配列番号34(転写産物E)、または配列番号11、配列番号20、配列番号29もしくは配列番号38(転写産物H)に存在する対応セグメントであって、配列番号3、配列番号12、配列番号21または配列番号30(転写産物A)に存在しないセグメントと少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であるセグメントを含むか、あるいはそのセグメントからなる核酸分子。
【0257】
実施形態28.HSD17B13タンパク質をコードする核酸の少なくとも15個の連続するヌクレオチドにハイブリダイズする核酸分子であって、その連続するヌクレオチドが、配列番号8、配列番号17、配列番号26または配列番号35(転写産物F)における対応セグメントであって、配列番号3、配列番号12、配列番号21または配列番号30(転写産物A)に存在しないセグメントと少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であるセグメントを含むか、あるいはそのセグメントからなる核酸分子。
【0258】
実施形態29.HSD17B13タンパク質をコードする核酸の少なくとも15個の連続するヌクレオチドにハイブリダイズする核酸分子であって、その連続するヌクレオチドが、配列番号5、配列番号14、配列番号23もしくは配列番号32(転写産物C)に存在する対応セグメントであって、配列番号3、配列番号12、配列番号21もしくは配列番号30(転写産物A)に存在しないセグメントと少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%同一であるセグメントを含むか、またはそのセグメントからなる核酸分子。
【0259】
実施形態30.そのHSD17B13タンパク質が、ヒトHSD17B13タンパク質である、実施形態26~29のいずれか1つに記載の核酸分子。
実施形態31.その単離核酸が、アンチセンスRNA、ショートヘアピンRNAまたは低分子干渉RNAである、実施形態26~29のいずれか1つに記載の核酸分子。
【0260】
実施形態32.その単離核酸が、5ヌクレオチド長から、最大で約30ヌクレオチド長、40ヌクレオチド長、50ヌクレオチド長、100ヌクレオチド長、200ヌクレオチド長、300ヌクレオチド長、400ヌクレオチド長、500ヌクレオチド長、600ヌクレオチド長、700ヌクレオチド長、800ヌクレオチド長、900ヌクレオチド長もしくは1000ヌクレオチド長を含むか、またはそれらからなる、実施形態21~31のいずれか1つに記載の核酸分子。
【0261】
実施形態33.DNAを含むかまたはDNAからなる、実施形態1~19、21~30及び32のいずれか1つに記載の核酸分子。
実施形態34.RNAを含むかまたはRNAからなる、実施形態1~19及び21~32のいずれか1つに記載の核酸分子。
【0262】
実施形態35.異種核酸に連結されているか、または異種標識を含む、実施形態1~19及び21~34のいずれか1つに記載の核酸分子。
実施形態36.その異種標識が蛍光標識である、実施形態35に記載の核酸分子。
【0263】
実施形態37.実施形態1~19及び21~36のいずれか1つに記載の核酸分子と、異種核酸分子とを含むベクターまたは外来ドナー配列。
実施形態38.非天然ヌクレオチドを含む、実施形態1~19及び21~36のいずれか1つに記載の核酸分子。
【0264】
実施形態39.対象におけるHSD17B13 rs72613567バリアントの検出方法、対象におけるHSD17B13核酸分子(転写産物C、D、E、F、GもしくはH)の存在の検出方法、対象が肝疾患を発症する感受性の判断方法、または対象の肝疾患もしくは肝疾患の発症リスクの診断方法において、実施形態1~19及び21~38のいずれか1つに記載の核酸分子の使用。
【0265】
実施形態40.HSD17B13タンパク質の少なくとも8個の連続するアミノ酸を含むかまたはそれからなるポリペプチドであって、その連続するアミノ酸が、配列番号42(アイソフォームD)、配列番号46(アイソフォームG)もしくは配列番号47(アイソフォームH)に存在する対応セグメントであって、配列番号39(アイソフォームA)に存在しないセグメントと少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%もしくは100%と同一であるセグメントを含むか、またはそのセグメントからなるポリペプチド。
【0266】
実施形態41.その連続するアミノ酸がさらに、配列番号42(アイソフォームD)に存在する対応セグメントであって、配列番号47(アイソフォームH)に存在しないセグメントと少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%もしくは100%同一であるセグメントを含むか、またはそのセグメントからなり、その連続するアミノ酸がさらに、配列番号42(アイソフォームD)に存在する対応セグメントであって、配列番号46(アイソフォームG)に存在しないセグメントと少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%もしくは100%同一であるセグメントを含むか、またはそのセグメントからなる、実施形態40に記載のポリペプチド。
【0267】
実施形態42.その連続するアミノ酸がさらに、配列番号47(アイソフォームH)に存在する対応セグメントであって、配列番号42(アイソフォームD)に存在しないセグメントと少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%もしくは100%同一であるセグメントを含むか、またはそのセグメントからなる、実施形態40に記載のポリペプチド。
【0268】
実施形態43.その連続するアミノ酸がさらに、配列番号46(アイソフォームG)に存在する対応セグメントであって、配列番号42(アイソフォームD)に存在しないセグメントと少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%もしくは100%同一であるセグメントを含むか、またはそのセグメントからなる、実施形態40に記載のポリペプチド。
【0269】
実施形態44.HSD17B13タンパク質の少なくとも8個の連続するアミノ酸を含むかまたはそれからなるポリペプチドであって、その連続するアミノ酸が、配列番号43(アイソフォームE)に存在する対応セグメントであって、配列番号39(アイソフォームA)に存在しないセグメントと少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%もしくは100%同一であるセグメントを含むか、またはそのセグメントからなり、任意に、その連続するアミノ酸がさらに、配列番号43(アイソフォームE)に存在する対応セグメントであって、配列番号47(アイソフォームH)に存在しないセグメントと少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%もしくは100%同一であるセグメントを含むか、またはそのセグメントからなるポリペプチド。
【0270】
実施形態45.HSD17B13タンパク質の少なくとも8個の連続するアミノ酸を含むかまたはそれからなるポリペプチドであって、その連続するアミノ酸が、配列番号44(HSD17B13)に存在する対応セグメントであって、配列番号39(アイソフォームA)に存在しないセグメントと少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%もしくは100%同一であるセグメントを含むか、またはそのセグメントからなるポリペプチド。
【0271】
実施形態46.HSD17B13タンパク質の少なくとも8個の連続するアミノ酸を含むかまたはそれからなるポリペプチドであって、その連続するアミノ酸が、配列番号41(アイソフォームC)に存在する対応セグメントであって、配列番号39(アイソフォームA)に存在しないセグメントと少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%もしくは100%同一であるセグメントを含むか、またはそのセグメントからなるポリペプチド。
【0272】
実施形態47.配列番号41(アイソフォームC)、配列番号42(アイソフォームD)、配列番号43(アイソフォームE)、配列番号44(アイソフォームF)、配列番号46(アイソフォームG)または配列番号47(アイソフォームH)と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%もしくは100%同一である配列を含むか、またはその配列からなるポリペプチド。
【0273】
実施形態48.異種分子に連結されている、実施形態53~60のいずれか1つに記載のポリペプチド。
実施形態49.その異種分子が、免疫グロブリンFcドメイン、ペプチドタグ、トランスダクションドメイン、ポリ(エチレングリコール)、ポリシアル酸またはグリコール酸である、実施形態48に記載のポリペプチド。
【0274】
実施形態50.実施形態53~62のいずれか1つに記載のポリペプチドをコードする核酸分子。
実施形態51.実施形態50に記載の核酸分子を含む宿主細胞であって、その宿主細胞において活性な異種プロモーターに、その核酸分子が機能的に連結されている宿主細胞。
【0275】
実施形態52.細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞または哺乳動物細胞である、実施形態51に記載の宿主細胞。
実施形態53.実施形態53~62のいずれか1つに記載の単離ポリペプチドの作製方法であって、実施形態51または52に記載の宿主細胞を培養することによって、その核酸分子を発現させることと、そのポリペプチドを回収することを含む方法。
【0276】
実施形態54.実施形態20及び40~49のいずれか1つに記載のポリペプチド、実施形態1~19、21~36、38及び50のいずれか1つに記載の核酸分子、実施形態37に記載のベクター、または実施形態51及び52に記載の宿主細胞と、担体とを含む組成物。
【0277】
実施形態55.その担体が、ポリ(乳酸)(PLA)マイクロスフィア、ポリ(D,L-乳酸-コグリコール酸)(PLGA)マイクロスフィア、リポソーム、ミセル、逆ミセル、脂質コクリエートまたは脂質微小管を含む、実施形態54に記載の組成物。
【0278】
実施形態56.実施形態20及び40~49のいずれか1つに記載のポリペプチド、実施形態1~19、21~36、38及び50のいずれか1つに記載の核酸、または実施形態37に記載のベクターを含む細胞。
【0279】
実施形態57.ヒト細胞である、実施形態56に記載の細胞。
実施形態58.肝細胞である、実施形態56または57に記載の細胞。
実施形態59.齧歯類動物細胞、マウス細胞またはラット細胞である、実施形態56に記載の細胞。
【0280】
実施形態60.多能性細胞である、実施形態59に記載の細胞。
実施形態61.ヒト対象におけるHSD17B13 rs72613567バリアントの検出方法であって、そのヒト対象から採取した、HSD17B13遺伝子を含む生体試料に対してアッセイを行うことを含み、そのアッセイによって、野生型HSD17B13遺伝子の配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間にチミンが挿入されているか判断する方法。
【0281】
実施形態62.そのアッセイが、HSD17B13遺伝子の部分のうち、配列番号1の12665位と12666位に対応する位置を含む部分をシークエンシングすることを含むかまたはそのことからなる、実施形態61に記載の方法。
【0282】
実施形態63.そのアッセイが、i)HSD17B13遺伝子のセグメントのうち、配列番号1の12665位と12666位に対応するHSD17B13遺伝子の位置の約50ヌクレオチド以内であるセグメントにハイブリダイズするプライマーと、その生体試料とを接触させることと、ii)HSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号1の12665位と12666位に対応する位置を少なくとも通るように、そのプライマーを伸長させることと、iii)そのプライマーの伸長産物において、野生型HSD17B13遺伝子の配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間に、チミンが挿入されているか判断することを含むかまたはそれらからなる、実施形態62に記載の方法。
【0283】
実施形態64.そのアッセイが、ストリンジェント条件下で、HSD17B13 rs72613567バリアントに特異的にハイブリダイズするとともに、対応する野生型HSD17B13配列にハイブリダイズしないプライマーもしくはプローブと、その生体試料とを接触させることと、ハイブリダイズが行われたか判断することを含むか、またはそれらからなる、実施形態61に記載の方法。
【0284】
実施形態65.ヒト対象におけるHSD17B13転写産物C、D、E、F、G及びHのうちの1つ以上の存在の検出方法であって、その対象から採取した、mRNAまたはcDNAを含む生体試料に対してアッセイを行うことを含むかまたはそのことからなり、そのアッセイによって、その生体試料におけるHSD17B13転写産物C、D、E、F、G及びHのうちの1つ以上の存在を判断する方法。
【0285】
実施形態66.そのアッセイが、1つ以上の配列であって、その配列の組み合わせが、i)配列番号5、配列番号14、配列番号23もしくは配列番号32(転写産物C)、ii)配列番号6、配列番号15、配列番号24もしくは配列番号33(転写産物D)、iii)配列番号7、配列番号16、配列番号25もしくは配列番号34(転写産物E)、iv)配列番号8、配列番号17、配列番号26もしくは配列番号35(転写産物F)、v)配列番号10、配列番号19、配列番号28もしくは配列番号37(転写産物G)及びvi)配列番号11、配列番号20、配列番号29もしくは配列番号38(転写産物H)のうちの1つ以上に特有である配列に特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマーもしくはプローブと、その生体試料とを接触させることと、ハイブリダイズが行われたか判断することを含むか、またはそれらからなる、実施形態65に記載の方法。
【0286】
実施形態67.そのアッセイが、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)を含む、実施形態66に記載の方法。
実施形態68.その1つ以上のプライマーまたはプローブが、i)配列番号6、配列番号15、配列番号24もしくは配列番号33(転写産物D)、ii)配列番号10、配列番号19、配列番号28もしくは配列番号37(転写産物G)、またはiii)配列番号11、配列番号20、配列番号29もしくは配列番号38(転写産物H)に存在する領域であって、配列番号3、配列番号12、配列番号21または配列番号30(転写産物A)に存在しない領域に対応する領域に特異的にハイブリダイズする、実施形態65または66に記載の方法。
【0287】
実施形態69.その1つ以上のプライマーまたはプローブがさらに、配列番号6、配列番号15、配列番号24または配列番号33(転写産物D)に存在する領域であって、配列番号11、配列番号20、配列番号29または配列番号38(転写産物H)に存在しない領域と、配列番号6、配列番号15、配列番号24または配列番号33(転写産物D)に存在する領域であって、配列番号10、配列番号19、配列番号28または配列番号37(転写産物G)に存在しない領域に対応する領域に特異的にハイブリダイズする、実施形態68に記載の方法。
【0288】
実施形態70.その1つ以上のプライマーまたはプローブがさらに、配列番号11、配列番号20、配列番号29または配列番号38(転写産物H)に存在する領域であって、配列番号6、配列番号15、配列番号24または配列番号33(転写産物D)に存在しない領域に対応する領域に特異的にハイブリダイズする、実施形態68に記載の方法。
【0289】
実施形態71.その1つ以上のプライマーまたはプローブがさらに、配列番号10、配列番号19、配列番号28または配列番号37(転写産物G)に存在する領域であって、配列番号6、配列番号15、配列番号24または配列番号33(転写産物D)に存在しない領域に対応する領域に特異的にハイブリダイズする、実施形態68に記載の方法。
【0290】
実施形態72.その1つ以上のプライマーまたはプローブが、配列番号7、配列番号16、配列番号25または配列番号34(転写産物E)に存在する領域であって、配列番号3、配列番号12、配列番号21または配列番号30(転写産物A)に存在しない領域に対応する領域に特異的にハイブリダイズし、任意に、その1つ以上のプライマーまたはプローブがさらに、配列番号7、配列番号16、配列番号25または配列番号34(転写産物E)に存在する領域であって、配列番号11、配列番号20、配列番号29または配列番号38(転写産物H)に存在しない領域に対応する領域に特異的にハイブリダイズする、実施形態65または66に記載の方法。
【0291】
実施形態73.その1つ以上のプライマーまたはプローブが、配列番号8、配列番号17、配列番号26または配列番号35(転写産物F)に存在する領域であって、配列番号3、配列番号12、配列番号21または配列番号30(転写産物A)に存在しない領域に対応する領域に特異的にハイブリダイズする、実施形態65または66に記載の方法。
【0292】
実施形態74.その1つ以上のプライマーまたはプローブが、配列番号5、配列番号14、配列番号23または配列番号32(転写産物C)に存在する領域であって、配列番号3、配列番号12、配列番号21または配列番号30(転写産物A)に存在しない領域に対応する領域に特異的にハイブリダイズする、実施形態65または66に記載の方法。
【0293】
実施形態75.そのアッセイが、RNAシークエンシング(RNA-Seq)を含む、実施形態65に記載の方法。
実施形態76.ヒト対象におけるHSD17B13アイソフォームC、D、E、F、GまたはHのうちの1つ以上の存在の検出方法であって、そのヒト対象から採取した、mRNAもしくはcDNAを含む生体試料に対してアッセイを行うことを含むかまたはそのことからなり、そのアッセイによって、その生体試料におけるHSD17B13アイソフォームC、D、E、F、GまたはHのうちの1つ以上の存在を判断する方法。
【0294】
実施形態77.ヒト対象が肝疾患を発症する感受性の判断方法であって、a)そのヒト対象から採取した、HSD17B13遺伝子を含む生体試料に対してアッセイを行うことであって、そのアッセイによって、野生型HSD17B13遺伝子の配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間にチミンが挿入されているか判断することと、b)野生型HSD17B13遺伝子の配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間にチミンが挿入されている場合に、肝疾患を発症するリスクが低下している者として、そのヒト対象を分類するか、もしくは野生型HSD17B13遺伝子の配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間にチミンが挿入されていない場合に、肝疾患を発症するリスクが上昇している者として、そのヒト対象を分類することを含むか、またはそれらからなる方法。
【0295】
実施形態78.その肝疾患が、脂肪肝疾患、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、アルコール性脂肪肝疾患、肝硬変、ウイルス性肝炎、肝細胞癌、単純性脂肪肝、脂肪肝炎、線維症及び非アルコール性脂肪肝炎(NASH)からなる群から選択されている、実施形態77に記載の方法。
【0296】
実施形態79.脂肪肝疾患であるヒト対象の診断方法であって、a)そのヒト対象から採取した、HSD17B13遺伝子を含む生体試料に対してアッセイを行うことであって、そのアッセイによって、野生型HSD17B13遺伝子の配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間にチミンが挿入されているか判断することと、b)野生型HSD17B13遺伝子の配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間にチミンが挿入されている場合に、臨床的にさらに進行した段階の脂肪肝疾患に進行するリスクが低下している者として、そのヒト対象を分類するか、または野生型HSD17B13遺伝子の配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間にチミンが挿入されていない場合に、臨床的にさらに進行した段階の脂肪肝疾患に進行するリスクが上昇している者として、そのヒト対象を分類することを含むかまはたそれらからなる方法。
【0297】
実施形態80.そのアッセイが、HSD17B13遺伝子の部分のうち、配列番号1の12665位と12666位に対応する位置を含む部分をシークエンシングすることを含む、実施形態79に記載の方法。
【0298】
実施形態81.そのアッセイが、i)HSD17B13遺伝子のセグメントであって、HSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の約50ヌクレオチド以内であるセグメントにハイブリダイズするプライマーと、その生体試料とを接触させることと、ii)HSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号1の12665位と12666位に対応する位置を少なくとも通るように、そのプライマーを伸長させることと、iii)そのプライマーの伸長産物において、野生型HSD17B13遺伝子の配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間にチミンが挿入されているか判断することを含むかまたはそれらからなる、実施形態77~80のいずれか1つに記載の方法。
【0299】
実施形態82.そのアッセイが、ストリンジェント条件下で、HSD17B13 rs72613567バリアントに特異的にハイブリダイズするとともに、対応する野生型HSD17B13配列にハイブリダイズしないプライマーもしくはプローブと、その生体試料とを接触させることと、ハイブリダイズが行われたか判断することを含むか、またはそれらからなる、実施形態77~80のいずれか1つに記載の方法。
【0300】
実施形態83.ヒト対象が肝疾患を発症する感受性の判断方法であって、a)そのヒト対象から採取した、HSD17B13 mRNAまたはcDNAを含む生体試料に対してアッセイを行うことであって、そのアッセイによって、その生体試料におけるHSD17B13転写産物C、D、F、G及びHのうちの1つ以上の存在を判断することと、b)その生体試料に、HSD17B13転写産物C、D、F、GもしくはHが存在する場合に、肝疾患を発症するリスクが低下している者として、そのヒト対象を分類するか、またはその生体試料に、HSD17B13転写産物C、D、F、GもしくはHが存在しない場合に、肝疾患を発症するリスクが上昇している者として、そのヒト対象を分類することを含むか、あるいはそれらからなる方法。
【0301】
実施形態84.工程a)におけるアッセイによって、HSD17B13転写産物Dの存在を判断する、実施形態83に記載の方法。
実施形態85.工程a)におけるアッセイによって、その生体試料におけるHSD17B13転写産物C、D、F、G及びHのうちの1つ以上の発現レベルを判断し、HSD17B13転写産物C、D、F、GまたはHの発現レベルが、野生型HSD17B13アレルにおいてホモ型であるコントロールのヒト対象から得たコントロール試料と比べて上昇していることによって、肝疾患を発症するリスクが低下していることが示され、HSD17B13転写産物C、D、F、GまたはHの発現レベルが、このコントロール試料と比べて同じであるかまたは低下していることによって、肝疾患を発症するリスクが上昇していることが示される、実施形態83に記載の方法。
【0302】
実施形態86.工程a)におけるアッセイによって、その生体試料におけるHSD17B13転写産物A、BまたはEに対するHSD17B13転写産物C、D、F、G及びHのうちの1つ以上の発現レベルを判断し、HSD17B13転写産物A、BもしくはEの発現に対するHSD17B13転写産物C、D、F、GもしくはHの発現の比率が、野生型HSD17B13アレルにおいてホモ型であるコントロールのヒト対象から得たコントロール試料における比率と比べて高いことによって、肝疾患を発症するリスクが低下していることが示され、またはHSD17B13転写産物A、BもしくはEの発現に対するHSD17B13転写産物C、D、F、GもしくはHの発現の比率が、このコントロール試料における比率と比べて同じであるかもしくは低いことによって、肝疾患を発症するリスクが上昇していることが示される、実施形態83に記載の方法。
【0303】
実施形態87.工程a)におけるアッセイによって、その生体試料において、HSD17B13転写産物Aの発現レベルに対するHSD17B13転写産物Dの発現レベルを判断する、実施形態86に記載の方法。
【0304】
実施形態88.その肝疾患が、脂肪肝疾患、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、アルコール性脂肪肝疾患、肝硬変、ウイルス性肝炎、肝細胞癌、単純性脂肪肝、脂肪肝炎、線維症及び非アルコール性脂肪肝炎(NASH)からなる群から選択されている、実施形態82~87のいずれか1つに記載の方法。
【0305】
実施形態89.脂肪肝疾患であるヒト対象の診断方法であって、a)そのヒト対象から採取した、HSD17B13 mRNAまたはcDNAを含む生体試料に対してアッセイを行うことであって、そのアッセイによって、その生体試料におけるHSD17B13転写産物C、D、F、G及びHのうちの1つ以上の存在を判断することと、b)その生体試料に、HSD17B13転写産物C、D、F、GもしくはHが存在する場合に、臨床的にさらに進行した段階の脂肪肝疾患に進行するリスクが低下している者として、そのヒト対象を分類するか、またはその生体試料に、HSD17B13転写産物C、D、F、GもしくはHが存在しない場合に、臨床的にさらに進行した段階の脂肪肝疾患に進行するリスクが上昇している者として、そのヒト対象を分類することを含むか、あるいはそれらからなる方法。
【0306】
実施形態90.工程a)におけるアッセイによって、HSD17B13転写産物Dの存在を判断する、実施形態89に記載の方法。
実施形態91.工程a)におけるアッセイによって、その生体試料におけるHSD17B13転写産物C、D、F、G及びHのうちの1つ以上の発現レベルを判断し、HSD17B13転写産物C、D、F、GもしくはHの発現レベルが、野生型HSD17B13アレルにおいてホモ型であるコントロールのヒト対象から得たコントロール試料と比べて上昇していることによって、臨床的にさらに進行した段階の肝疾患に進行するリスクが低下していることが示されるか、またはHSD17B13転写産物C、D、F、GもしくはHの発現レベルが、このコントロール試料と比べて同じであるかもしくは低下していることによって、臨床的にさらに進行した段階の肝疾患に進行するリスクが上昇していることが示される、実施形態89に記載の方法。
【0307】
実施形態92.工程a)におけるアッセイによって、その生体試料におけるHSD17B13転写産物A、BまたはEに対するHSD17B13転写産物C、D、F、G及びHのうちの1つ以上の発現レベルを判断し、HSD17B13転写産物A、BもしくはEの発現に対するHSD17B13転写産物C、D、F、GもしくはHの発現の比率が、野生型HSD17B13アレルにおいてホモ型であるコントロールのヒト対象から得たコントロール試料における比率と比べて高いことによって、臨床的にさらに進行した段階の肝疾患に進行するリスクが低下していることが示されるか、またはHSD17B13転写産物A、BもしくはEの発現に対するHSD17B13転写産物C、D、F、GもしくはHの発現の比率が、このコントロール試料における比率と比べて同じであるかまたは低いことによって、臨床的にさらに進行した段階の肝疾患に進行するリスクが上昇していることが示される、実施形態89に記載の方法。
【0308】
実施形態93.工程a)におけるアッセイによって、その生体試料において、HSD17B13転写産物Aの発現レベルに対するHSD17B13転写産物Dの発現レベルを判断する、実施形態92に記載の方法。
【0309】
実施形態94.工程a)におけるアッセイが、i)配列番号6、配列番号15、配列番号24もしくは配列番号33(転写産物D)、ii)配列番号10、配列番号19、配列番号28もしくは配列番号37(転写産物G)、または配列番号11、配列番号20、配列番号29もしくは配列番号38(転写産物H)に存在するセグメントであって、配列番号3、配列番号12、配列番号21または配列番号30(転写産物A)に存在しないセグメントに対応するセグメントに特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマーまたはプローブと、その生体試料とを接触させることと、ハイブリダイズが行われたか判断することを含むか、あるいはそれらからなる、実施形態83~93のいずれか1つに記載の方法。
【0310】
実施形態95.工程a)におけるアッセイが、配列番号8、配列番号17、配列番号26もしくは配列番号35(転写産物F)に存在するセグメントであって、配列番号3、配列番号12、配列番号21もしくは配列番号30(転写産物A)に存在しないセグメントに対応するセグメントに特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマーもしくはプローブと、その生体試料とを接触させることと、ハイブリダイズが行われたか判断することを含むか、またはそれらからなる、実施形態82~93のいずれか1つに記載の方法。
【0311】
実施形態96.工程a)におけるアッセイが、配列番号5、配列番号14、配列番号23もしくは配列番号32(転写産物C)に存在するセグメントであって、配列番号3、配列番号12、配列番号21もしくは配列番号30(転写産物A)に存在しないセグメントに対応するセグメントに特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマーもしくはプローブと、その生体試料とを接触させることと、ハイブリダイズが行われたか判断することを含むかまたはそれらからなる、実施形態82~93のいずれか1つに記載の方法。
【0312】
実施形態97.工程a)におけるアッセイが、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)または定量RT-PCR(qRT-PCR)を含む、実施形態82~96のいずれか1つに記載の方法。
【0313】
実施形態98.工程a)におけるアッセイが、RNAシークエンシング(RNA-Seq)の後、その生体試料におけるHSD17B13転写産物C、D、F、G及びHのうちの1つ以上の存在と量を判断することを含む、実施形態85~96のいずれか1つに記載の方法。
【0314】
実施形態99.ヒト対象が肝疾患を発症する感受性の判断方法であって、a)HSD17B13アイソフォームC、D、F、G及びHのうちの1つ以上が、そのヒト対象から採取した、タンパク質を含む生体試料に存在するか検出することと、b)その生体試料において、HSD17B13アイソフォームC、D、F、GもしくはHが検出された場合に、肝疾患を発症するリスクが低下している者として、そのヒト対象を分類することを含むか、またはそれらからなる方法。
【0315】
実施形態100.その肝疾患が、脂肪肝疾患、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、アルコール性脂肪肝疾患、肝硬変、ウイルス性肝炎、肝細胞癌、単純性脂肪肝、脂肪肝炎、線維症及び非アルコール性脂肪肝炎(NASH)からなる群から選択されている、実施形態99に記載の方法。
【0316】
実施形態101.工程a)における検出作業によって、その生体試料におけるHSD17B13アイソフォームC、D、F、G及びHのうちの1つ以上の発現レベルを判断し、HSD17B13アイソフォームC、D、F、GまたはHの発現レベルが、野生型HSD17B13アレルにおいてホモ型であるコントロールのヒト対象から得たコントロール試料と比べて上昇していることによって、肝疾患を発症するリスクが低下していることが示される、実施形態99または100に記載の方法。
【0317】
実施形態102.脂肪肝疾患であるヒト対象の診断方法であって、a)そのヒト対象から採取した、タンパク質を含む生体試料に、HSD17B13アイソフォームC、D、F、GもしくはHのうちの1つ以上が存在するか検出することと、b)その生体試料において、HSD17B13アイソフォームC、D、F、GもしくはHが検出された場合に、臨床的にさらに進行した段階の肝疾患に進行するリスクが低下している者として、そのヒト対象を分類することを含むか、またはそれらからなる方法。
【0318】
実施形態103.工程a)における検出作業によって、その生体試料におけるHSD17B13アイソフォームC、D、F、G及びHのうちの1つ以上の発現レベルを判断し、HSD17B13アイソフォームC、D、F、GまたはHの発現レベルが、野生型HSD17B13アレルにおいてホモ型であるコントロールのヒト対象から得たコントロール試料と比べて上昇していることによって、臨床的にさらに進行した段階の肝疾患に進行するリスクが低下していることが示される、実施形態102に記載の方法。
【0319】
実施形態104.単純性脂肪肝から、脂肪肝炎、線維症、肝硬変及び肝細胞癌のうちの1つ以上への進行と関連のある症状を予防または緩和する治療剤を投与することをさらに含むかまたはそのことからなる、実施形態77~103のいずれか1つに記載の方法。
【0320】
実施形態105.HSD17B13遺伝子の少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含むとともに、配列番号1と最適にアラインメントしたときに、配列番号1の12665位と12666位に対応するヌクレオチドの間にチミンが挿入されている単離核酸。
【0321】
実施形態106.その連続するヌクレオチドが、配列番号2と最適にアラインメントしたときに、配列番号2における対応配列であって、配列番号2の12666位を含む対応配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である、実施形態105に記載の単離核酸。
【0322】
実施形態107.そのHSD17B13遺伝子が、ヒトHSD17B13遺伝子である、実施形態105または106に記載の単離核酸。
実施形態108.配列番号2の少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個、少なくとも60個、少なくとも70個、少なくとも80個、少なくとも90個、少なくとも100個、少なくとも200個、少なくとも300個、少なくとも400個、少なくとも500個、少なくとも600個、少なくとも700個、少なくとも800個、少なくとも900個、少なくとも1000個、少なくとも2000個、少なくとも3000個、少なくとも4000個、少なくとも5000個、少なくとも6000個、少なくとも7000個、少なくとも8000個、少なくとも9000個、少なくとも10000個、少なくとも11000個、少なくとも12000個、少なくとも13000個、少なくとも14000個、少なくとも15000個、少なくとも16000個、少なくとも17000個、少なくとも18000個または少なくとも19000個の連続するヌクレオチドを含む、いずれかの先行実施形態に記載の単離核酸。
【0323】
実施形態109.対応する野生型HSD17B13遺伝子と比べると、その遺伝子の1つ以上の非必須セグメントが欠失しているHSD17B13ミニ遺伝子を含む、いずれかの先行実施形態に記載の単離核酸。
【0324】
実施形態110.その欠失セグメントが、1つ以上のイントロン配列を含む、実施形態109に記載の単離核酸。
実施形態111.配列番号2と最適にアラインメントしたときに、配列番号2のイントロン6に対応するイントロンをさらに含む、実施形態109または110に記載の単離核酸。
【0325】
実施形態112.そのイントロンが、配列番号2のイントロン6である、実施形態111に記載の単離核酸。
実施形態113.HSD17B13タンパク質のすべてまたは一部をコードする少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含む単離核酸であって、その連続する核酸が、配列番号24(HSD17B13転写産物D)、配列番号28(HSD17B13転写産物G)及び配列番号29(HSD17B13転写産物H)に存在するセグメントのうち、配列番号21(HSD17B13転写産物A)に存在しないセグメントと少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一であるセグメントを含む単離核酸。
【0326】
実施形態114.その連続するヌクレオチドが、配列番号24(HSD17B13転写産物D)に存在するセグメントであって、配列番号29(HSD17B13転写産物H)に存在しないセグメントと少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一であるセグメントをさらに含み、その連続するヌクレオチドが、配列番号24(HSD17B13転写産物D)に存在するセグメントであって、配列番号28(HSD17B13転写産物G)に存在しないセグメントと少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一であるセグメントをさらに含む、実施形態113に記載の単離核酸。
【0327】
実施形態115.その連続するヌクレオチドが、配列番号29(HSD17B13転写産物H)に存在するセグメントであって、配列番号24(HSD17B13転写産物D)に存在しないセグメントと少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一であるセグメントをさらに含む、実施形態113に記載の単離核酸。
【0328】
実施形態116.その連続するヌクレオチドが、配列番号28(HSD17B13転写産物G)に存在するセグメントであって、配列番号24(HSD17B13転写産物D)に存在しないセグメントと少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一であるセグメントをさらに含む、実施形態113に記載の単離核酸。
【0329】
実施形態117.HSD17B13タンパク質のすべてまたは一部をコードする少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含む単離核酸であって、その連続するヌクレオチドが、配列番号25(HSD17B13転写産物E)に存在するセグメントのうち、配列番号21(HSD17B13転写産物A)に存在しないセグメントと少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一であるセグメントを含み、任意に、その連続するヌクレオチドが、配列番号25(HSD17B13転写産物E)に存在するセグメントのうち、配列番号29(HSD17B13転写産物H)に存在しないセグメントと少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一であるセグメントをさらに含む単離核酸。
【0330】
実施形態118.HSD17B13タンパク質のすべてまたは一部をコードする少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含む単離核酸であって、その連続するヌクレオチドが、配列番号26(HSD17B13転写産物F)に存在するセグメントのうち、配列番号21(HSD17B13転写産物A)に存在しないセグメントと少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一であるセグメントを含む単離核酸。
【0331】
実施形態119.HSD17B13タンパク質のすべてまたは一部をコードする少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含む単離核酸であって、その連続するヌクレオチドが、配列番号23(HSD17B13転写産物C)に存在するセグメントのうち、配列番号21(HSD17B13転写産物A)に存在しないセグメントと少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一であるセグメントを含む単離核酸。
【0332】
実施形態120.そのHSD17B13タンパク質が、ヒトHSD17B13タンパク質である、実施形態113~119のいずれか1つに記載の単離核酸。
実施形態121.HSD17B13タンパク質のすべてまたは一部をコードする少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個、少なくとも60個、少なくとも70個、少なくとも80個、少なくとも90個、少なくとも100個、少なくとも200個、少なくとも300個、少なくとも400個、少なくとも500個、少なくとも600個、少なくとも700個、少なくとも800個、少なくとも900個、少なくとも1000個または少なくとも2000個の連続するヌクレオチドを含む、実施形態113~120のいずれか1つに記載の単離核酸。
【0333】
実施形態122.配列番号23(HSD17B13転写産物C)、24(HSD17B13転写産物D)、25(HSD17B13転写産物E)、26(HSD17B13転写産物F)、28(HSD17B13転写産物G)または29(HSD17B13転写産物H))に示されている配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%と同一である配列を含むとともに、配列番号41(HSD17B13アイソフォームC)、配列番号42(HSD17B13アイソフォームD)、配列番号43(HSD17B13アイソフォームE)、配列番号44(HSD17B13アイソフォームF)、配列番号46(HSD17B13アイソフォームG)または配列番号47(HSD17B13アイソフォームH)に示されている配列を含むHSD17B13タンパク質をコードする単離核酸。
【0334】
実施形態123.その連続するヌクレオチドが、介在イントロンなしに、HSD17B13遺伝子の少なくとも2つの異なるエキソン由来の配列を含む、実施形態113~122のいずれか1つに記載の単離核酸。
【0335】
実施形態124.いずれかの先行実施形態に記載の単離核酸によってコードされるタンパク質。
実施形態125.配列番号2と最適にアラインメントしたときに、配列番号2における12666位に対応する位置の1000個、500個、400個、300個、200個、100個、50個、45個、40個、35個、30個、25個、20個、15個、10個もしくは5個のヌクレオチドを含むか、または配列番号2の12666位に対応する位置の1000ヌクレオチド以内、500ヌクレオチド以内、400ヌクレオチド以内、300ヌクレオチド以内、200ヌクレオチド以内、100ヌクレオチド以内、50ヌクレオチド以内、45ヌクレオチド以内、40ヌクレオチド以内、35ヌクレオチド以内、30ヌクレオチド以内、25ヌクレオチド以内、20ヌクレオチド以内、15ヌクレオチド以内、10ヌクレオチド以内もしくは5ヌクレオチド以内であるセグメントにおいて、HSD17B13遺伝子にハイブリダイズする少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含む単離核酸。
【0336】
実施形態126.そのセグメントが、配列番号2と最適にアラインメントしたときに、配列番号2における対応配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である、実施形態125に記載の単離核酸。
【0337】
実施形態127.そのセグメントが、配列番号2の少なくとも20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、60個、70個、80個、90個、100個、200個、300個、400個、500個、600個、700個、800個、900個、1000個または2000個の連続するヌクレオチドを含む、実施形態125または126に記載の単離核酸。
【0338】
実施形態128.そのセグメントが、配列番号2と最適にアラインメントしたときに、配列番号2における12666位または配列番号2の12666位に対応する位置を含む、実施形態125~127のいずれか1つに記載の単離核酸。
【0339】
実施形態129.そのHSD17B13遺伝子が、ヒトHSD17B13遺伝子である、実施形態125~128のいずれか1つに記載の単離核酸。
実施形態130.HSD17B13タンパク質をコードする核酸の少なくとも15個の連続するヌクレオチドにハイブリダイズする単離核酸であって、その連続するヌクレオチドが、配列番号24(HSD17B13転写産物D)、配列番号28(HSD17B13転写産物G)及び配列番号29(HSD17B13転写産物H)に存在するセグメントのうち、配列番号21(HSD17B13転写産物A)に存在しないセグメントと少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一であるセグメントを含む単離核酸。
【0340】
実施形態131.HSD17B13タンパク質をコードする核酸の少なくとも15個の連続するヌクレオチドにハイブリダイズする単離核酸であって、その連続するヌクレオチドが、配列番号25(HSD17B13転写産物E)及び配列番号29(HSD17B13転写産物H)に存在するセグメントのうち、配列番号21(HSD17B13転写産物A)に存在しないセグメントと少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一であるセグメントを含む単離核酸。
【0341】
実施形態132.HSD17B13タンパク質をコードする核酸の少なくとも15個の連続するヌクレオチドにハイブリダイズする単離核酸であって、その連続するヌクレオチドが、配列番号26(HSD17B13転写産物F)におけるセグメントのうち、配列番号21(HSD17B13転写産物A)に存在しないセグメントと少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一であるセグメントを含む単離核酸。
【0342】
実施形態133.HSD17B13タンパク質をコードする核酸の少なくとも15個の連続するヌクレオチドにハイブリダイズする単離核酸であって、その連続するヌクレオチドが、配列番号23(HSD17B13転写産物C)に存在するセグメントのうち、配列番号21(HSD17B13転写産物A)に存在しないセグメントと少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一であるセグメントを含む単離核酸。
【0343】
実施形態134.そのHSD17B13タンパク質が、ヒトHSD17B13タンパク質である、実施形態130~133のいずれか1つに記載の単離核酸。
実施形態135.アンチセンスRNA、ショートヘアピンRNAまたは低分子干渉RNAである、実施形態130~133のいずれか1つに記載の単離核酸。
【0344】
実施形態136.最長で約30ヌクレオチド長、40ヌクレオチド長、50ヌクレオチド長、100ヌクレオチド長、200ヌクレオチド長、300ヌクレオチド長、400ヌクレオチド長、500ヌクレオチド長、600ヌクレオチド長、700ヌクレオチド長、800ヌクレオチド長、900ヌクレオチド長または1000ヌクレオチド長である、実施形態125~135のいずれか1つに記載の単離核酸。
【0345】
実施形態137.DNAを含む、実施形態105~123、125~134及び136のいずれか1つに記載の単離核酸。
実施形態138.RNAを含む、実施形態105~123及び125~136のいずれか1つに記載の単離核酸。
【0346】
実施形態139.異種核酸に連結されているか、または異種標識を含む、実施形態105~123及び125~138のいずれか1つに記載の単離核酸。
実施形態140.その異種標識が蛍光標識である、実施形態139に記載の単離核酸。
【0347】
実施形態141.実施形態105~123及び125~140のいずれか1つに記載の単離核酸と、異種核酸配列とを含むベクター。
実施形態142.非天然ヌクレオチドを含む、実施形態105~123及び125~140のいずれか1つに記載の単離核酸。
【0348】
実施形態143.対象におけるHSD17B13 rs72613567バリアントの検出方法、対象におけるHSD17B13転写産物C、D、E、F、GもしくはHの存在の検出方法、対象が慢性肝疾患を発症する感受性の判断方法、脂肪肝疾患である対象の診断方法、細胞中のHSD17B13遺伝子の改変方法、または細胞におけるHSD17B13遺伝子の発現の改変方法で、実施形態105~123及び125~142のいずれか1つに記載の単離核酸の使用。
【0349】
実施形態144.HSD17B13タンパク質の少なくとも8個の連続するアミノ酸を含む単離ポリペプチドであって、その連続するアミノ酸が、配列番号42(HSD17B13アイソフォームD)、配列番号46(HSD17B13アイソフォームG)及び配列番号47(HSD17B13アイソフォームH)に存在するセグメントのうち、配列番号39(HSD17B13アイソフォームA)に存在しないセグメントと少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一であるセグメントを含む単離ポリペプチド。
【0350】
実施形態145.その連続するアミノ酸がさらに、配列番号42(HSD17B13アイソフォームD)に存在するセグメントであって、配列番号47(HSD17B13アイソフォームH)に存在しないセグメントと少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一であるセグメントを含むとともに、その連続するアミノ酸がさらに、配列番号42(HSD17B13アイソフォームD)に存在するセグメントであって、配列番号46(HSD17B13アイソフォームG)に存在しないセグメントと少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一であるセグメントを含む、実施形態144に記載の単離ポリペプチド。
【0351】
実施形態146.その連続するアミノ酸がさらに、配列番号47(HSD17B13アイソフォームH)に存在するセグメントであって、配列番号42(HSD17B13アイソフォームD)に存在しないセグメントと少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一であるセグメントを含む、実施形態144に記載の単離ポリペプチド。
【0352】
実施形態147.その連続するアミノ酸がさらに、配列番号46(HSD17B13アイソフォームG)に存在するセグメントであって、配列番号42(HSD17B13アイソフォームD)に存在しないセグメントと少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一であるセグメントを含む、実施形態144に記載の単離ポリペプチド。
【0353】
実施形態148.HSD17B13タンパク質の少なくとも8個の連続するアミノ酸を含む単離ポリペプチドであって、その連続するアミノ酸が、配列番号43(HSD17B13アイソフォームE)に存在するセグメントのうち、配列番号39(HSD17B13アイソフォームA)に存在しないセグメントと少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一であるセグメントを含み、任意に、その連続するアミノ酸がさらに、配列番号43(HSD17B13アイソフォームE)に存在するセグメントのうち、配列番号47(HSD17B13アイソフォームH)に存在しないセグメントと少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一であるセグメントを含む単離ポリペプチド。
【0354】
実施形態149.HSD17B13タンパク質の少なくとも8個の連続するアミノ酸を含む単離ポリペプチドであって、その連続するアミノ酸が、配列番号44(HSD17B13アイソフォームF)に存在するセグメントのうち、配列番号39(HSD17B13アイソフォームA)に存在しないセグメントと少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%と同一であるセグメントを含む単離ポリペプチド。
【0355】
実施形態150.HSD17B13タンパク質の少なくとも8個の連続するアミノ酸を含む単離ポリペプチドであって、その連続するアミノ酸が、配列番号41(HSD17B13アイソフォームC)に存在するセグメントのうち、配列番号39(HSD17B13アイソフォームA)に存在しないセグメントと少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一であるセグメントを含む単離ポリペプチド。
【0356】
実施形態151.配列番号41(HSD17B13アイソフォームC)、配列番号42(HSD17B13アイソフォームD)、配列番号43(HSD17B13アイソフォームE)、配列番号44(HSD17B13アイソフォームF)、配列番号46(HSD17B13アイソフォームG)または配列番号47(HSD17B13アイソフォームH)と最適にアラインメントしたときに、配列番号41(HSD17B13アイソフォームC)、配列番号42(HSD17B13アイソフォームD)、配列番号43(HSD17B13アイソフォームE)、配列番号44(HSD17B13アイソフォームF)、配列番号46(HSD17B13アイソフォームG)または配列番号47(HSD17B13アイソフォームH)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%と同一である配列を含む単離ポリペプチド。
【0357】
実施形態152.異種分子に連結されている、実施形態144~151のいずれか1つに記載の単離ポリペプチド。
実施形態153.その異種分子が、免疫グロブリンFcドメイン、ペプチドタグ、トランスダクションドメイン、ポリ(エチレングリコール)、ポリシアル酸またはグリコール酸である、実施形態152に記載の単離ポリペプチド。
【0358】
実施形態154.実施形態144~153のいずれか1つに記載の単離ポリペプチドをコードする単離核酸。
実施形態155.実施形態154に記載の単離核酸を含む宿主細胞であって、その単離核酸が、その宿主細胞において活性な異種プロモーターに機能的に連結されている宿主細胞。
【0359】
実施形態156.細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞または哺乳動物細胞である、実施形態155に記載の宿主細胞。
実施形態157.実施形態144~153のいずれか1つに記載の単離ポリペプチドの作製方法であって、実施形態155または156に記載の宿主細胞を培養することによって、その核酸を発現させることと、その単離ポリペプチドを回収することを含む方法。
【0360】
実施形態158.実施形態124及び144~153のいずれか1つに記載の単離ポリペプチドまたは実施形態105~123、125~140、142及び154のいずれか1つに記載の単離核酸、実施形態141に記載のベクター、ならびにその単離ポリペプチド、その単離核酸またはそのベクターの安定性を向上させる担体を含む組成物。
【0361】
実施形態159.その担体が、ポリ(乳酸)(PLA)マイクロスフィア、ポリ(D,L-乳酸-コグリコール酸)(PLGA)マイクロスフィア、リポソーム、ミセル、逆ミセル、脂質コクリエートまたは脂質微小管を含む、実施形態158に記載の組成物。
【0362】
実施形態160.実施形態124及び144~153のいずれか1つに記載の単離ポリペプチドもしくは実施形態105~123、125~140、142及び154のいずれか1つに記載の単離核酸、または実施形態141に記載のベクターを含む細胞。
【0363】
実施形態161.ヒト細胞である、実施形態160に記載の細胞。
実施形態162.肝細胞である、実施形態160または161に記載の細胞。
実施形態163.齧歯類動物細胞、マウス細胞またはラット細胞である、実施形態160に記載の細胞。
【0364】
実施形態164.多能性細胞である、実施形態163に記載の細胞。
実施形態165.ヒト対象におけるHSD17B13 rs72613567バリアントの検出方法であって、(a)HSD17B13遺伝子を含む生体試料をそのヒト対象から採取することと、(b)そのHSD17B13遺伝子と配列番号1を最適にアラインメントしたときに、そのHSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間にチミンが挿入されていることを判断するアッセイをその生体試料に対して行うことを含む方法。
【0365】
実施形態166.そのアッセイが、HSD17B13遺伝子の部分のうち、HSD17B13遺伝子と配列番号1を最適にアラインメントしたときに、配列番号1の12665位と12666位に対応する位置を含む部分をシークエンシングすることを含む、実施形態165に記載の方法。
【0366】
実施形態167.そのアッセイが、(i)HSD17B13遺伝子のセグメントであって、HSD17B13遺伝子の位置のうち、HSD17B13遺伝子と配列番号1を最適にアラインメントしたときに、配列番号1の12665位と12666位に対応する位置に近接しているセグメントにハイブリダイズするプライマーと、その生体試料とを接触させることと、(ii)HSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号1の12665位と12666位に対応する位置を少なくとも通るように、そのプライマーを伸長させることと、(iii)そのプライマーの伸長産物において、HSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間にチミンが挿入されているか判断することを含む、実施形態166に記載の方法。
【0367】
実施形態168.そのアッセイが、ストリンジェント条件下で、HSD17B13 rs72613567バリアントに特異的にハイブリダイズするとともに、対応する野生型HSD17B13配列にハイブリダイズしないプライマーまたはプローブと、その生体試料とを接触させることと、ハイブリダイズが行われたか判断することを含む、実施形態165に記載の方法。
【0368】
実施形態169.ヒト対象におけるHSD17B13転写産物C、D、E、F、G及びHのうちの1つ以上の存在の検出方法であって、(a)mRNAまたはcDNAを含む生体試料をそのヒト対象から採取することと、(b)その生体試料におけるHSD17B13転写産物C、D、E、F、G及びHのうちの1つ以上の存在を判断するアッセイをその生体試料に対して行うことを含む方法。
【0369】
実施形態170.そのアッセイが、1つ以上の配列に特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマーまたはプローブと、その生体試料とを接触させることであって、その配列の組み合わせが、配列番号21、22、23、24、25、26、28及び29(HSD17B13転写産物A~H)の中でも、配列番号23、24、25、26、28及び29(HSD17B13転写産物C~H)のうちの1つ以上に特有であることと、ハイブリダイズが行われたか判断することを含む、実施形態169に記載の方法。
【0370】
実施形態171.そのアッセイが、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)を含む、実施形態170に記載の方法。
実施形態172.その1つ以上のプライマーまたはプローブが、配列番号24(HSD17B13転写産物D)、配列番号28(HSD17B13転写産物G)及び配列番号29(HSD17B13転写産物H)に存在する領域であって、配列番号21(HSD17B13転写産物A)に存在しない領域に特異的にハイブリダイズする、実施形態169または170に記載の方法。
【0371】
実施形態173.その1つ以上のプライマーまたはプローブがさらに、配列番号24(HSD17B13転写産物D)に存在する領域であって、配列番号29(HSD17B13転写産物H)に存在しない領域と、配列番号24(HSD17B13転写産物D)に存在する領域であって、配列番号28(HSD17B13転写産物G)に存在しない領域に特異的にハイブリダイズする、実施形態172に記載の方法。
【0372】
実施形態174.その1つ以上のプライマーまたはプローブがさらに、配列番号29(HSD17B13転写産物H)に存在する領域であって、配列番号24(HSD17B13転写産物D)に存在しない領域に特異的にハイブリダイズする、実施形態172に記載の方法。
【0373】
実施形態175.その1つ以上のプライマーまたはプローブがさらに、配列番号28(HSD17B13転写産物G)に存在する領域であって、配列番号24(HSD17B13転写産物D)に存在しない領域に特異的にハイブリダイズする、実施形態172に記載の方法。
【0374】
実施形態176.その1つ以上のプライマーまたはプローブが、配列番号25(HSD17B13転写産物E)に存在する領域であって、配列番号21(HSD17B13転写産物A)に存在しない領域に特異的にハイブリダイズし、任意に、その1つ以上のプライマーまたはプローブがさらに、配列番号25(HSD17B13転写産物E)に存在する領域であって、配列番号29(HSD17B13転写産物H)に存在しない領域に特異的にハイブリダイズする、実施形態169または170に記載の方法。
【0375】
実施形態177.その1つ以上のプライマーまたはプローブが、配列番号26(HSD17B13転写産物F)に存在する領域であって、配列番号21(HSD17B13転写産物A)に存在しない領域に特異的にハイブリダイズする、実施形態169または170に記載の方法。
【0376】
実施形態178.その1つ以上のプライマーまたはプローブが、配列番号23(HSD17B13転写産物C)に存在する領域であって、配列番号21(HSD17B13転写産物A)に存在しない領域に特異的にハイブリダイズする、実施形態169または170に記載の方法。
【0377】
実施形態179.そのアッセイが、RNAシークエンシング(RNA-Seq)を含む、実施形態169に記載の方法。
実施形態180.ヒト対象におけるHSD17B13アイソフォームC、D、E、F、GまたはHのうちの1つ以上の存在の検出方法であって、(a)mRNAまたはcDNAを含む生体試料をそのヒト対象から採取することと、(b)その生体試料におけるHSD17B13アイソフォームC、D、E、F、GまたはHのうちの1つ以上の存在を判断するアッセイをその生体試料に対して行うことを含む方法。
【0378】
実施形態181.ヒト対象が慢性肝疾患を発症する感受性の判断方法であって、(a)HSD17B13遺伝子を含む生体試料をそのヒト対象から採取することと、(b)そのHSD17B13遺伝子と配列番号1を最適にアラインメントしたときに、そのHSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間にチミンが挿入されているか判断するアッセイをその生体試料に対して行うことと、(c)そのHSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間にチミンが挿入されている場合に、慢性肝疾患を発症するリスクが低下している者として、そのヒト対象を分類するか、またはそのHSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間にチミンが挿入されていない場合に、慢性肝疾患を発症するリスクが上昇している者として、そのヒト対象を分類することを含む方法。
【0379】
実施形態182.その慢性肝疾患が、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、アルコール性脂肪肝疾患、肝硬変及び肝細胞癌からなる群から選択されている、実施形態181に記載の方法。
【0380】
実施形態183.脂肪肝疾患であるヒト対象の診断方法であって、(a)HSD17B13遺伝子を含む生体試料をそのヒト対象から採取することと、(b)そのHSD17B13遺伝子と配列番号1を最適にアラインメントしたときに、そのHSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間にチミンが挿入されているか判断するアッセイをその生体試料に対して行うことと、(c)そのHSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間にチミンが挿入されている場合に、臨床的にさらに進行した段階の慢性肝疾患に進行するリスクが低下している者として、そのヒト対象を分類するか、またはそのHSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間にチミンが挿入されていない場合に、臨床的にさらに進行した段階の慢性肝疾患に進行するリスクが上昇している者として、そのヒト対象を分類することを含む方法。
【0381】
実施形態184.そのアッセイが、そのHSD17B13遺伝子の部分のうち、そのHSD17B13遺伝子と配列番号1を最適にアラインメントしたときに、配列番号1の12665位と12666位に対応する位置を含む部分をシークエンシングすることを含む、実施形態183に記載の方法。
【0382】
実施形態185.そのアッセイが、(i)そのHSD17B13遺伝子のセグメントであって、そのHSD17B13遺伝子の位置のうち、そのHSD17B13遺伝子と配列番号1を最適にアラインメントしたときに、配列番号1の12665位と12666位に対応する位置に近接しているセグメントにハイブリダイズするプライマーと、その生体試料とを接触させることと、(ii)そのHSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号1の12665位と12666位に対応する位置を少なくとも通るように、そのプライマーを伸長させることと、(iii)そのプライマーの伸長産物において、そのHSD17B13遺伝子の位置のうち、配列番号1の12665位と12666位に対応する位置の間にチミンが挿入されているか判断することを含む、実施形態181~184のいずれか1つに記載の方法。
【0383】
実施形態186.そのアッセイが、ストリンジェント条件下で、HSD17B13 rs72613567バリアントに特異的にハイブリダイズするとともに、対応する野生型HSD17B13配列にハイブリダイズしないプライマーまたはプローブと、その生体試料とを接触させることと、ハイブリダイズが行われたか判断することを含む、実施形態181~184のいずれか1つに記載の方法。
【0384】
実施形態187.ヒト対象が慢性肝疾患を発症する感受性の判断方法であって、(a)mRNAまたはcDNAを含む生体試料をそのヒト対象から採取することと、(b)その生体試料におけるHSD17B13転写産物C、D、F、G及びHのうちの1つ以上の存在を判断するアッセイをその生体試料に対して行うことと、(c)その生体試料に、HSD17B13転写産物C、D、F、GもしくはHが存在する場合に、慢性肝疾患を発症するリスクが低下している者として、そのヒト対象を分類するか、またはその生体試料に、HSD17B13転写産物C、D、F、GもしくはHが存在しない場合に、慢性肝疾患を発症するリスクが上昇している者として、そのヒト対象を分類することを含む方法。
【0385】
実施形態188.その工程(b)におけるアッセイによって、HSD17B13転写産物Dの存在を判断する、実施形態187に記載の方法。
実施形態189.その工程(b)におけるアッセイによって、その生体試料におけるHSD17B13転写産物C、D、F、G及びHのうちの1つ以上の発現レベルを判断し、HSD17B13転写産物C、D、F、GまたはHの発現レベルが、野生型HSD17B13アレルにおいてホモ型であるコントロールのヒト対象から得たコントロール試料と比べて上昇していることによって、慢性肝疾患を発症するリスクが低下していることが示され、HSD17B13転写産物C、D、F、GまたはHの発現レベルが、このコントロール試料と比べて同じであるかまたは低下していることによって、慢性肝疾患を発症するリスクが上昇していることが示される、実施形態187に記載の方法。
【0386】
実施形態190.その工程(b)におけるアッセイによって、その生体試料におけるHSD17B13転写産物A、BまたはEに対するHSD17B13転写産物C、D、F、G及びHのうちの1つ以上の発現レベルを判断し、HSD17B13転写産物A、BもしくはEの発現に対するHSD17B13転写産物C、D、F、GもしくはHの発現の比率が、野生型HSD17B13アレルにおいてホモ型であるコントロールのヒト対象から得たコントロール試料における比率と比べて高いことによって、慢性肝疾患を発症するリスクが低下していることが示されるか、またはHSD17B13転写産物A、BもしくはEの発現に対するHSD17B13転写産物C、D、F、GもしくはHの発現の比率が、このコントロール試料における比率と比べて同じであるかまたは低いことによって、慢性肝疾患を発症するリスクが上昇していることが示される、実施形態187に記載の方法。
【0387】
実施形態191.その工程(b)におけるアッセイによって、その生体試料において、HSD17B13転写産物Aの発現レベルに対するHSD17B13転写産物Dの発現レベルを判断する、実施形態190に記載の方法。
【0388】
実施形態192.その慢性肝疾患が、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、アルコール性脂肪肝疾患、肝硬変及び肝細胞癌からなる群から選択されている、実施形態187~191のいずれか1つに記載の方法。
【0389】
実施形態193.脂肪肝疾患であるヒト対象の診断方法であって、(a)mRNAまたはcDNAを含む生体試料をそのヒト対象から採取することと、(b)その生体試料におけるHSD17B13転写産物C、D、F、G及びHのうちの1つ以上の存在を判断するアッセイをその生体試料に対して行うことと、(c)その生体試料に、HSD17B13転写産物C、D、F、GもしくはHが存在する場合に、臨床的にさらに進行した段階の慢性肝疾患に進行するリスクが低下している者として、そのヒト対象を分類するか、またはその生体試料に、HSD17B13転写産物C、D、F、GもしくはHが存在しない場合に、臨床的にさらに進行した段階の慢性肝疾患に進行するリスクが上昇している者として、そのヒト対象を分類することを含む方法。
【0390】
実施形態194.その工程(b)におけるアッセイによって、HSD17B13転写産物Dの存在を判断する、実施形態193に記載の方法。
実施形態195.その工程(b)におけるアッセイによって、その生体試料におけるHSD17B13転写産物C、D、F、G及びHのうちの1つ以上の発現レベルを判断し、HSD17B13転写産物C、D、F、GもしくはHの発現レベルが、野生型HSD17B13アレルにおいてホモ型であるコントロールのヒト対象から得たコントロール試料と比べて上昇していることによって、臨床的にさらに進行した段階の慢性肝疾患に進行するリスクが低下していることが示されるか、またはHSD17B13転写産物C、D、F、GもしくはHの発現レベルが、このコントロール試料と比べて同じであるかもしくは低下していることによって、臨床的にさらに進行した段階の慢性肝疾患に進行するリスクが上昇していることが示される、実施形態193に記載の方法。
【0391】
実施形態196.その工程(b)におけるアッセイによって、その生体試料におけるHSD17B13転写産物A、BまたはEに対するHSD17B13転写産物C、D、F、G及びHのうちの1つ以上の発現レベルを判断し、HSD17B13転写産物A、BもしくはEの発現に対するHSD17B13転写産物C、D、F、GもしくはHの発現の比率が、野生型HSD17B13アレルにおいてホモ型であるコントロールのヒト対象から得たコントロール試料における比率と比べて高いことによって、臨床的にさらに進行した段階の慢性肝疾患に進行するリスクが低下していることが示されるか、またはHSD17B13転写産物A、BもしくはEの発現に対するHSD17B13転写産物C、D、F、GもしくはHの発現の比率が、このコントロール試料における比率と比べて同じであるかまたは低いことによって、臨床的にさらに進行した段階の慢性肝疾患に進行するリスクが上昇していることが示される、実施形態193に記載の方法。
【0392】
実施形態197.その工程(b)におけるアッセイによって、その生体試料において、HSD17B13転写産物Aの発現レベルに対するHSD17B13転写産物Dの発現レベルを判断する、実施形態196に記載の方法。
【0393】
実施形態198.その工程(b)におけるアッセイが、配列番号24(HSD17B13転写産物D)、配列番号28(HSD17B13転写産物G)及び配列番号29(HSD17B13転写産物H)に存在するセグメントであって、配列番号21(HSD17B13転写産物A)に存在しないセグメントに特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマーまたはプローブと、その生体試料とを接触させることと、ハイブリダイズが行われたか判断することを含む、実施形態187~197のいずれか1つに記載の方法。
【0394】
実施形態199.その工程(b)におけるアッセイが、配列番号26(HSD17B13転写産物F)に存在するセグメントであって、配列番号21(HSD17B13転写産物A)に存在しないセグメントに特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマーまたはプローブと、その生体試料とを接触させることと、ハイブリダイズが行われたか判断することを含む、実施形態187~197のいずれか1つに記載の方法。
【0395】
実施形態200.その工程(b)におけるアッセイが、配列番号23(HSD17B13転写産物C)に存在するセグメントであって、配列番号21(HSD17B13転写産物A)に存在しないセグメントに特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマーまたはプローブと、その生体試料とを接触させることと、ハイブリダイズが行われたか判断することを含む、実施形態187~197のいずれか1つに記載の方法。
【0396】
実施形態201.その工程(b)におけるアッセイが、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)または定量RT-PCR(qRT-PCR)を含む、実施形態187~200のいずれか1つに記載の方法。
【0397】
実施形態202.その工程(b)におけるアッセイが、RNAシークエンシング(RNA-Seq)の後、その生体試料におけるHSD17B13転写産物C、D、F、G及びHのうちの1つ以上の存在と量を判断することを含む、実施形態187~200のいずれか1つに記載の方法。
【0398】
実施形態203.ヒト対象が慢性肝疾患を発症する感受性の判断方法であって、(a)タンパク質を含む生体試料をそのヒト対象から採取することと、(b)その生体試料に、HSD17B13アイソフォームC、D、F、G及びHのうちの1つ以上が存在するか検出することと、(c)その生体試料において、HSD17B13アイソフォームC、D、F、GまたはHが検出された場合に、慢性肝疾患を発症するリスクが低下している者として、そのヒト対象を分類することを含む方法。
【0399】
実施形態204.その慢性肝疾患が、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、アルコール性脂肪肝疾患、肝硬変及び肝細胞癌からなる群から選択されている、実施形態203に記載の方法。
【0400】
実施形態205.その工程(b)における検出作業によって、その生体試料におけるHSD17B13アイソフォームC、D、F、G及びHのうちの1つ以上の発現レベルを判断し、HSD17B13アイソフォームC、D、F、GまたはHの発現レベルが、野生型HSD17B13アレルにおいてホモ型であるコントロールのヒト対象から得たコントロール試料と比べて上昇していることによって、慢性肝疾患を発症するリスクが低下していることが示される、実施形態203または204のいずれか1つに記載の方法。
【0401】
実施形態206.脂肪肝疾患であるヒト対象の診断方法であって、(a)タンパク質を含む生体試料をそのヒト対象から採取することと、(b)その生体試料に、HSD17B13アイソフォームC、D、F、GまたはHのうちの1つ以上が存在するか検出することと、(c)その生体試料において、HSD17B13アイソフォームC、D、F、GまたはHが検出された場合に、臨床的にさらに進行した段階の慢性肝疾患に進行するリスクが低下している者として、そのヒト対象を分類することを含む方法。
【0402】
実施形態207.その工程(b)における検出作業によって、その生体試料におけるHSD17B13アイソフォームC、D、F、G及びHのうちの1つ以上の発現レベルを判断し、HSD17B13アイソフォームC、D、F、GまたはHの発現レベルが、野生型HSD17B13アレルにおいてホモ型であるコントロールのヒト対象から得たコントロール試料と比べて上昇していることによって、臨床的にさらに進行した段階の慢性肝疾患に進行するリスクが低下していることが示される、実施形態206に記載の方法。
【0403】
実施形態208.(d)単純性脂肪肝から、脂肪肝炎、線維症、肝硬変及び肝細胞癌のうちの1つ以上への進行と関連のある症状を予防もしくは緩和する治療剤を投与すること、または実施形態233~237のいずれか1つに記載の方法を行うことをさらに含む、実施形態181~207のいずれか1つに記載の方法。
【0404】
実施形態209.細胞におけるHSD17B13遺伝子の発現の減少方法であって、配列番号21(HSD17B13転写産物A)のエキソン7内の配列にハイブリダイズするアンチセンスRNA、siRNAまたはshRNAと、その細胞のゲノムとを接触させて、HSD17B13転写産物Aの発現を減少させることを含む方法。
【0405】
実施形態210.発現ベクターをその細胞に導入することをさらに含み、その発現ベクターが、組み換えHSD17B13遺伝子を含み、その組み換えHSD17B13遺伝子が、配列番号1と最適にアラインメントしたときに、配列番号1の12665位と12666位に対応するヌクレオチドの間にチミンの挿入を含む、実施形態209に記載の方法。
【0406】
実施形態211.その組み換えHSD17B13遺伝子が、ヒト遺伝子である、実施形態210に記載の方法。
実施形態212.その組み換えHSD17B13遺伝子が、対応する野生型HSD17B13遺伝子と比べると、その遺伝子の1つ以上の非必須セグメントが欠失しているHSD17B13ミニ遺伝子である、実施形態210または211に記載の方法。
【0407】
実施形態213.その欠失セグメントが、1つ以上のイントロン配列を含む、実施形態212に記載の方法。
実施形態214.そのHSD17B13ミニ遺伝子が、配列番号2と最適にアラインメントしたときに、配列番号2のイントロン6に対応するイントロンを含む、実施形態212または213に記載の方法。
【0408】
実施形態215.発現ベクターをその細胞に導入することをさらに含み、その発現ベクターが、配列番号42(HSD17B13アイソフォームD)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%と同一であるHSD17B13タンパク質をコードする核酸を含む、実施形態209に記載の方法。
【0409】
実施形態216.そのHSD17B13タンパク質をコードするその核酸が、配列番号24と最適にアラインメントしたときに、配列番号24(HSD17B13転写産物D)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%と同一である、実施形態215に記載の方法。
【0410】
実施形態217.HSD17B13タンパク質またはその断片をその細胞に導入することをさらに含む、実施形態209に記載の方法。
実施形態218.そのHSD17B13タンパク質またはその断片が、配列番号42(HSD17B13アイソフォームD)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一である、実施形態217に記載の方法。
【0411】
実施形態219.細胞の改変方法であって、発現ベクターをその細胞に導入することを含み、その発現ベクターが、組み換えHSD17B13遺伝子を含み、その組み換えHSD17B13遺伝子が、配列番号1と最適にアラインメントしたときに、配列番号1の12665位と12666位に対応するヌクレオチドの間にチミンの挿入を含む方法。
【0412】
実施形態220.その組み換えHSD17B13遺伝子が、ヒト遺伝子である、実施形態219に記載の方法。
実施形態221.その組み換えHSD17B13遺伝子が、対応する野生型HSD17B13遺伝子と比べると、その遺伝子の1つ以上の非必須セグメントが欠失しているHSD17B13ミニ遺伝子である、実施形態219または220に記載の方法。
【0413】
実施形態222.実施その欠失セグメントが、1つ以上のイントロン配列を含む、実施形態221に記載の方法。
実施形態223.そのHSD17B13ミニ遺伝子が、配列番号2と最適にアラインメントしたときに、配列番号2のイントロン6に対応するイントロンを含む、実施形態221または222に記載の方法。
【0414】
実施形態224.細胞の改変方法であって、発現ベクターをその細胞に導入することを含み、その発現ベクターが、配列番号42(HSD17B13アイソフォームD)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一であるHSD17B13タンパク質をコードする核酸を含む方法。
【0415】
実施形態225.そのHSD17B13タンパク質をコードするその核酸が、配列番号24(HSD17B13転写産物D)と最適にアラインメントしたときに、配列番号24と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一である、実施形態224に記載の方法。
【0416】
実施形態226.細胞の改変方法であって、HSD17B13タンパク質またはその断片をその細胞に導入することを含む方法。
実施形態227.そのHSD17B13タンパク質またはその断片が、配列番号42(HSD17B13アイソフォームD)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一である、実施形態226に記載の方法。
【0417】
実施形態228.その細胞が、齧歯類動物細胞、マウス細胞またはラット細胞である、実施形態209~227のいずれか1つに記載の方法。
実施形態229.その細胞が、ヒト細胞である、実施形態209~227のいずれか1つに記載の方法。
【0418】
実施形態230.その細胞が、多能性細胞である、実施形態209~228のいずれか1つに記載の方法。
実施形態231.その細胞が、分化細胞である、実施形態209~229のいずれか1つに記載の方法。
【0419】
実施形態232.その細胞が、肝細胞である、実施形態231に記載の方法。
実施形態233.HSD17B13 rs72613567バリアントのキャリアではなく、慢性肝疾患であるか、または慢性肝疾患を発症しやすい対象の治療方法であって、配列番号21(HSD17B13転写産物A)のエキソン7内の配列またはエキソン6とエキソン7の境界に広がる配列にハイブリダイズするアンチセンスRNA、siRNAまたはshRNAをその対象に導入して、その対象の肝細胞において、HSD17B13転写産物Aの発現を減少させることを含む方法。
【0420】
実施形態234.発現ベクターをその対象に導入することをさらに含み、その発現ベクターが、組み換えHSD17B13遺伝子を含み、その組み換えHSD17B13遺伝子が、配列番号1と最適にアラインメントしたときに、配列番号1の12665位と12666位に対応するヌクレオチドの間にチミンの挿入を含み、その発現ベクターが、その対象の肝細胞において、その組み換えHSD17B13遺伝子を発現させる、実施形態233に記載の方法。
【0421】
実施形態235.発現ベクターをその対象に導入することをさらに含み、その発現ベクターが、配列番号42(HSD17B13アイソフォームD)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一であるHSD17B13タンパク質をコードする核酸を含み、その発現ベクターが、その対象の肝細胞において、そのHSD17B13タンパク質をコードするその核酸を発現させる、実施形態233に記載の方法。
【0422】
実施形態236.そのHSD17B13タンパク質をコードするその核酸が、配列番号24と最適にアラインメントしたときに、配列番号24(HSD17B13転写産物D)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%と同一である、実施形態235に記載の方法。
【0423】
実施形態237.メッセンジャーRNAをその対象に導入することをさらに含み、そのメッセンジャーRNAが、配列番号42(HSD17B13アイソフォームD)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一であるHSD17B13タンパク質をコードし、そのmRNAが、その対象の肝細胞において、そのHSD17B13タンパク質を発現させる、実施形態233に記載の方法。
【0424】
実施形態238.そのメッセンジャーRNAから逆転写される相補的DNAが、配列番号24(HSD17B13転写産物D)と最適にアラインメントしたときに、配列番号24と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一である、実施形態237に記載の方法。
【0425】
実施形態239.HSD17B13タンパク質またはその断片をその対象に導入することをさらに含む、実施形態233に記載の方法。
実施形態240.そのHSD17B13タンパク質またはその断片が、配列番号42(HSD17B13アイソフォームD)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%と同一である、実施形態239に記載の方法。
【0426】
実施形態241.HSD17B13 rs72613567バリアントのキャリアではなく、慢性肝疾患であるか、または慢性肝疾患を発症しやすい対象の治療方法であって、発現ベクターをその対象に導入することを含み、その発現ベクターが、組み換えHSD17B13遺伝子を含み、その組み換えHSD17B13遺伝子が、配列番号1と最適にアラインメントしたときに、配列番号1の12665位と12666位に対応するヌクレオチドの間にチミンの挿入を含み、その発現ベクターが、その対象の肝細胞において、その組み換えHSD17B13遺伝子を発現させる方法。
【0427】
実施形態242.その組み換えHSD17B13遺伝子が、ヒト遺伝子である、実施形態234及び241のいずれか1つに記載の方法。
実施形態243.その組み換えHSD17B13遺伝子が、配列番号2と最適にアラインメントしたときに、配列番号2と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である、実施形態234、241及び242のいずれか1つに記載の方法。
【0428】
実施形態244.その組み換えHSD17B13遺伝子が、対応する野生型HSD17B13遺伝子と比べると、その遺伝子の1つ以上の非必須セグメントが欠失しているHSD17B13ミニ遺伝子である、実施形態234、241及び242のいずれか1つに記載の方法。
【0429】
実施形態245.その欠失セグメントが、1つ以上のイントロン配列を含む、実施形態244に記載の方法。
実施形態246.そのHSD17B13ミニ遺伝子が、配列番号2と最適にアラインメントしたときに、配列番号2のイントロン6に対応するイントロンを含む、実施形態244または245に記載の方法。
【0430】
実施形態247.HSD17B13 rs72613567バリアントのキャリアではなく、慢性肝疾患であるか、または慢性肝疾患を発症しやすい対象の治療方法であって、発現ベクターをその対象に導入することを含み、その発現ベクターが、配列番号42(HSD17B13アイソフォームD)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一であるHSD17B13タンパク質をコードする核酸を含み、その発現ベクターが、その対象の肝細胞において、そのHSD17B13タンパク質をコードするその核酸を発現させる方法。
【0431】
実施形態248.そのHSD17B13タンパク質をコードするその核酸が、配列番号24(HSD17B13転写産物D)と最適にアラインメントしたときに、配列番号24と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一である、実施形態247に記載の方法。
【0432】
実施形態249.HSD17B13 rs72613567バリアントのキャリアではなく、慢性肝疾患であるか、または慢性肝疾患を発症しやすい対象の治療方法であって、メッセンジャーRNAをその対象に導入することを含み、そのメッセンジャーRNAが、配列番号42(HSD17B13アイソフォームD)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一であるHSD17B13タンパク質をコードし、そのmRNAが、その対象の肝細胞において、そのHSD17B13タンパク質を発現させる方法。
【0433】
実施形態250.そのメッセンジャーRNAから逆転写される相補的DNAが、配列番号24(HSD17B13転写産物D)と最適にアラインメントしたときに、配列番号24と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一である、実施形態249に記載の方法。
【0434】
実施形態251.HSD17B13 rs72613567バリアントのキャリアではなく、慢性肝疾患であるか、または慢性肝疾患を発症しやすい対象の治療方法であって、HSD17B13タンパク質またはその断片をその対象の肝臓に導入する方法。
【0435】
実施形態252.そのHSD17B13タンパク質またはその断片が、配列番号42(HSD17B13アイソフォームD)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一である、実施形態251に記載の方法。
【0436】
実施形態253.その対象がヒトである、実施形態233~252のいずれか1つに記載の方法。
実施形態254.その慢性肝疾患が、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、アルコール性脂肪肝疾患、肝硬変または肝細胞癌である、実施形態233~253のいずれか1つに記載の方法。
【0437】
実施形態255.その対象へのその導入作業が、ハイドロダイナミック送達、ウイルス媒介送達、脂質ナノ粒子媒介送達または静脈内注入である、実施形態233~254のいずれか1つに記載の方法。
【0438】
上記または下記で引用されているすべての特許出願、ウェブサイト、その他の刊行物、アクセッション番号などは、参照により、その全体が、あらゆる目的で、個々の項目がそれぞれ参照により援用されることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に援用される。あるアクセッション番号と関連付けられている配列のバージョンが、時期によって異なる場合には、本願の有効出願日に、そのアクセッション番号に関連付けられているバージョンを意味する。有効出願日とは、該当する場合、そのアクセッション番号について言及している実際の出願日と、優先権主張出願の出願日のうちの早い方を意味する。同様に、時期によって、刊行物、ウェブサイトなどの異なるバージョンが刊行されている場合には、別段に示されていない限り、本願の有効出願日における最新刊行バージョンを意味する。本発明のいずれの特徴、工程、要素、実施形態または態様も、特に別段に示されていない限り、いずれかの他のものと組み合わせて使用できる。本発明の実施形態について、明確化と理解のために、実例と実施例によって、ある程度詳細に説明してきたが、添付の請求項の範囲内で、特定の変更と修正を行ってよいことは明らかであろう。
【0439】
本明細書に示されているヌクレオチド配列とアミノ酸配列は、ヌクレオチド塩基の標準的な略記と、アミノ酸の1文字表記を用いて示されている。ヌクレオチド配列では、配列の5’末端から3’末端の方に(すなわち、各配列において左から右に)進むという標準的なしきたりに従っている。各ヌクレオチド配列の一本鎖のみが示されているが、いずれも、示されている鎖を参照することによって、相補鎖が含まれていることが分かるはずである。アミノ酸配列では、配列のアミノ末端からカルボキシ末端まで(すなわち、各配列において左から右に)進む標準的なしきたりに従っている。
【実施例】
【0440】
下記の実施例は、実施形態をさらに詳細に説明する目的で示されている。これらの実施例は、例示するためのものとして意図されており、請求されている実施形態を限定するためのものではない。
【0441】
以下の実施例は、本開示で特許請求する化合物、組成物、物品、装置及び/または方法がどのように作製され評価されるかについての完全な開示及び説明を当業者に行うために示されるものであり、単に例示的なものであるように意図されており、本発明者が本発明としてみなす範囲を限定するようには意図されていない。数字(例えば、量、温度など)については、精度を確保するように努めてあるが、ある程度の誤差と偏差は考慮されたい。別段に示されていない限り、部は、重量部であり、温度は、℃または周囲温度であり、圧力は、大気圧または大気圧近傍である。実施例に定められている疾患が好ましい。
【0442】
実施例1:バリアント17β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ13は、慢性肝疾患から保護する。
慢性肝疾患に寄与する遺伝因子を特定するために、我々は、DiscovEHRという人類遺伝学研究の参加者46,544人から得たエキソーム配列データと電子的な健康記録を利用した。我々は、確立されている肝傷害バイオマーカー(血清中のアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)及びアスパルテートアミノトランスフェラーゼ(AST))と関連のある遺伝的バリアントを特定して、慢性肝疾患と関連し得る候補を定めた。続いて、3つの追加コホート(12,527人の個体)で再現したバリアント候補について、DiscovEHRと2つの独立コホート(合わせて37,892人の個体)における慢性肝疾患の臨床診断との関連性を評価した。我々は、独立肥満外科手術コホート(n=2,391個のヒト肝臓試料)において、肝疾患の病理組織学的な重症度との関連性も調べた。
【0443】
肝臓脂肪滴タンパク質17-βヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ13をコードするHSD17B13のスプライスバリアント(rs72613567:TA)は、ALTレベルの低下と再現可能に関連付けられた(P=4.2×10-12)とともに、ASTレベルの低下と再現可能に関連付けられた(P=6.2×10-10)。DiscovEHRにおいて、このバリアントは、アレル量依存的に、アルコール性肝疾患及び非アルコール性肝疾患のリスクの低下と関連付けられたとともに(それぞれのrs72613567:TAアレルに関連して、アルコール性肝疾患は38%低下(95%信頼区間(CI):19%~52%)、非アルコール性肝疾患は16%低下(95%CI:9%~22%))、肝硬変のリスクの低下と関連付けられ(それぞれのrs72613567:TAアレルに関連して、アルコール性肝硬変は44%低下(95%CI:22~59%)、非アルコール性肝硬変は26%低下(95%CI:12%~38%)、2つの独立コホートにおいて、関連性が確認された。rs72613567:TAは、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の組織学的な特徴の重症度の低下と関連付けられた(それぞれのrs72613567:TAアレルに関連して、脂肪肝疾患の個体間で、23%低下(95%CI:10%~34%))。rs72613567:TAにより、ステロイド基質に対する酵素活性の低下した不安定なトランケート型タンパク質が産生される。
【0444】
HSD17B13の機能欠損バリアントは、アルコール性肝疾患、非アルコール性肝疾患、及び脂肪肝からNASHへの進行のリスクの低下と関連付けられた。
試験設計と参加者
ヒト遺伝子研究は、DiscovEHR collaboration of the Regeneron Genetics Center and Geisinger Health System(GHS)の一環として行った。2つのDiscovEHR試験集団(発見コホートと肥満外科手術コホート)は、GHSのMyCode(登録商標)Community Health Initiativeから得た18歳以上の同意した最初の参加者50,726人に由来していた。GHS発見コホートは、2007~2016年に外来のプライマリーケア外来と専門外来から採用した欧州人個体から、肥満外科手術コホートに採用した全員を除いた欧州人個体46,544人から構成されていた。GHS肥満外科手術コホートは、肥満外科手術のために受診した欧州人個体2,644人から構成されていた。
【0445】
肝臓トランスアミナーゼとの関連性に関する再現試験には、Dallas Heart Studyから得た欧州人個体1,357人と、Penn Medicine Biobankから得た欧州人個体8,527人を含めた。Dallas Heart Studyは、30~65歳のDallas County在住者からなる確率ベースの集団コホート研究である(Victor et al.,Am.J.Cardiol.,2004;93,1473-80)。Penn Medicine Biobankには、University of Pennsylvania Health Systemから採用した参加者であって、生物試料の保管、EHRデータへのアクセス及び再度連絡することへの許可に同意した参加者が含まれる。
【0446】
慢性肝疾患との関連性の再現試験には、Dallas Liver Study(DLS)から得た個体517人と、Dallas Pediatric Liver Study(DPLS)から得た個体447人を含めた。DLSは、ウイルス以外の病因の肝疾患である患者のバイオバンクである。採用は、2015年に1月に開始し、継続中である。参加者は、UT Southwestern and Parkland Health and Hospital System,Dallasの肝臓外来から採用した。参加者は、民族/人種背景、病歴、生活様式因子、ならびに肝疾患及びその他の疾患の家族歴に関する質問書に記入した。追加の臨床情報は、熟練技術者による医療記録から得た。我々は、今回の試験時にDNAを入手可能なアフリカ系アメリカ人患者、ヨーロッパ系アメリカ人患者及びヒスパニック系アメリカ人患者の全員(n=517人)と、Dallas Heart Studyから得たコントロールを含めた。DPLSは、UT Southwestern and Parkland Health and Hospital System,Dallasの小児肝臓外来と、Children’s Medical Center,Dallasの肥満症外来から採用したヒスパニック系小児のバイオバンクである。臨床情報は、熟練技術者による医療記録から得た。患者の95%超がヒスパニック系アメリカ人であったので、我々は、ヒスパニック系アメリカ人患者とコントロールのみを今回の試験に含めた(n=患者205人、コントロール234人)。
【0447】
発見コホートにおける臨床測定値と慢性肝疾患の定義
ALTとASTに関する臨床上のラボ測定値は、GHS発見コホートと肥満外科手術コホートの参加者のEHRから得た。参加者全員において、2つ以上の測定値で、ALT値とAST値の中央値を算出し、関連性解析の前に、log10変換して、分布を正規化した。
【0448】
International Classification of Diseases,Ninth Revision(ICD-9)疾病診断コードをEHRから抽出し、非ウイルス性非アルコール性肝疾患の症状定義の臨床疾患カテゴリー(ICD-9 571.40、571.41、571.49、571.5、571.8、571.9)またはアルコール性肝疾患の症状定義の臨床疾患カテゴリー(ICD-9 571.0、571.1、571.2、571.3)に分類した。1つの診断コードに基づく追加の症状定義には、アルコール性肝硬変(ICD-9 571.2)、非アルコール性肝硬変(ICD-9 571.5)及びHCC(ICD-9 155.0)を含めた。これらの症状定義では、肝疾患ではない共通のコントロール群(「肝疾患非罹患群」)は、症状基準が見られないか、または単回診察もしくはプロブレムリストの診断コードによって、いずれのタイプの肝疾患も示されていない参加者として定義した。
【0449】
肥満外科手術コホートにおける肝臓組織病理学的な表現型の定義
GHS肥満外科手術コホートは、ヨーロッパ民族の個体2,644人から構成させた。これらの個体の2,391人から、肥満外科手術中に、肝臓の楔状生検標本を採取した。これらの生検標本は一貫して、肝圧排または腹部の手術のいずれかの前に、鎌状間膜の左側10cmから採取した。これらの生検標本は、切片に分け、主な切片は、肝臓組織診断のために臨床病理医に送り(10%中性緩衝ホルマリン中で固定し、常法の組織診断のために、ヘマトキシリン及びエオシンで染色し、線維症の評価のために、マッソントリクロームで染色した)、残りの切片は、研究用バイオバンクに保管した(RNAlater及び/または液体窒素中で凍結した)。肝臓組織診断は、脂肪肝グレード0(実質性病変が5%未満)、脂肪肝グレード1(実質性病変が5%~33%未満)、脂肪肝グレード2(実質性病変が34%~66%未満)及び脂肪肝グレード3(実質性病変が67%未満)、小葉炎症グレード0(病巣なし)、小葉炎症グレード1(軽度、200倍視野で病巣が2個未満)、小葉炎症グレード2(中度、200倍視野で病巣が2~4個)、小葉炎症グレード3(重度、200倍視野で病巣が4個超)、線維症ステージ0(線維化なし)、線維症ステージ1(類洞周囲または門脈周囲の線維化)、線維症ステージ2(類洞周囲及び門脈周囲の線維化)、線維症ステージ3(架橋線維化)及び線維症ステージ4(肝硬変)という、NASH Clinical Research Networkのスコア化システム(Kleiner et al.,Hepatology,2005,41,1313-21)を用いて、熟練の病理医が行い、その後、2人目の熟練の病理医が再検討した。これらの組織学的診断を用いて、1)正常:脂肪肝、NASHまたは線維症のエビデンスなし、2)単純性脂肪肝:NASHまたは線維症のエビデンスのない脂肪症(グレードにかかわらない)、3)NASH:小葉炎症もしくは肝細胞風船様腫大(グレードにかかわらない)のいずれかの存在、または線維症(ステージにかかわらない)のいずれかの存在、4)線維症:線維症(ステージにかかわらない)のいずれかの存在という表現型を定義した。
【0450】
試料の調製、シークエンシング及びジェノタイピング
DiscovEHR研究、Dallas Heart Study及びPenn Medicine Biobankの参加者のDNA試料の調製と全エキソームのシークエンシングは、Regeneron Geneticsで行った(Dewey et al.,Science In Press,2016)。Dallas Liver Study及びDallas Pediatric Liver Studyにおいて、HSD17B13 rs72613567をTaqmanアッセイによってジェノタイピングした(そして、5個体の各遺伝子型で、サンガーシークエンシングによって検証した)。
【0451】
具体的には、NimbleGenのプローブをメーカー推奨のプロトコール(Roche NimbleGen)に従って用いて、エキソームキャプチャーを行った。キャプチャーしたDNAをPCRで増幅し、qRT-PCR(Kapa Biosystems)によって定量した。その多重化した試料は、Illumina v4 HiSeq 2500で、75bpペアエンドシークエンシングを用いて、試料の96%における標的塩基の85%超の半数体リード深度を20×超とするのに充分なカバレッジ深度までシークエンシングした(標的塩基の平均半数体リード深度は約80×であった)。Illumina Hiseq2500での各ランから得たシーケンス生データを、配列リードのアラインメントとバリアントの同定のために、DNAnexusプラットフォーム(Reid et al.,BMC Bioinformatics,2014,15,30)にアップロードした。簡潔に述べると、シーケンス生データをBCLファイルから試料固有のFASTQファイルに変換し、BWA-MEMを用いて、このファイルをヒトリファレンスビルドGRCh37.p13にアラインメントした(Li et al.,Bioinformatics,2009,25,1754-60)。Genome Analysis Toolkitを用いて、シングルヌクレオチドバリアント(SNV)及び挿入/欠失(インデル)配列バリアントを特定した(McKenna et al.,Genome Res.,2010,20,1297-303)。
【0452】
肝臓酵素及び慢性肝疾患の表現型のエキソームワイド関連性解析
我々は、線形混合モデルを用いて、欠落データ率が1%未満であり、P値>1.0×10-6でハーディー・ワインバーグ平衡が成立しており、マイナーアレル頻度が0.1%超である502,219個のバイアレルバリアントにおいて、トランスアミナーゼレベルとの関連性を調べた。GHS発見コホートにおいて、トランスアミナーゼとエキソームワイドに有意な関連性を持つバリアントについて(p<1×10-7)、我々は、上記のヨーロッパ系祖先の再現試験において、関連性解析とメタ解析を行った。我々は、試験を行うバリアントの数によって決定したボンフェローニの有意性閾値を用いて、関連性の再現性を定義した。発見試験と再現試験のメタ解析も行った。本明細書の文に報告されているP値はすべて、アレルモデルに対応している。
【0453】
続いて、我々は、トランスアミナーゼと関連付けられたシングルヌクレオチドバリアントにおいて、慢性肝疾患の表現型との関連性を調べた。我々は、バリアントの数と、広範な慢性肝疾患カテゴリーによって決定したボンフェローニの有意性閾値を用いて、関連性の有意性を決定した。さらに、我々は、再現された新規バリアントにおいて、GHS肥満外科手術コホートから病理組織学的に定義した肝臓表現型との関連性を調べた。我々は、再現された新規バリアントと、405個の定量的臨床測定値及び3,168件の臨床診断との関連性の現象ワイドな解析も行った。
【0454】
具体的には、我々は、欠落データ率が1%未満であり、1.0×10-6超のP値でハーディー・ワインバーグ平衡が成立し、マイナーアレル頻度が0.1%超であるバイアレルバリアント502,219個において、トランスアミナーゼレベルとの関連性を調べた。log10変換したALTとASTの中央値を年齢、年齢の二乗、性別、BMI及び祖先系統の第1~第4主成分で調整した。また、我々は、試験参加者間の類縁性を考慮するために、遺伝的類縁性マトリックスを変量効果共変量として適合させた。主成分と遺伝的類縁性マトリックスのいずれも、概ね連鎖平衡な状態であるとともに、マイナーアレル頻度が0.1%超である39,858個の非MHCマーカーから構築した。我々は、GCTAパッケージ(Yang et al.,Am.J.Hum.Genet.,2011,88,76-82)に実装されているような線形混合モデルを用いて、形質残差とシングルヌクレオチドバリアントとの関連性を調べた。本明細書の文に報告されているP値はすべて、アレルモデルに対応している。
【0455】
我々は、GHS肥満外科手術コホート、Dallas Heart Study及びPenn Medicine Biobank(上記)という3つの別々のヨーロッパ系祖先のコホートにおいて、GHS発見コホートにおける関連性を再現しようと努めた。GHS肥満外科手術コホートとPenn Medicine Biobankから得たALTとASTの測定値をlog10変換し、年齢、年齢の二乗、性別、BMI及び祖先系統の第1~第4主成分で調整した。遺伝的類縁性マトリックスを変量効果共変量として含め、GCTAの線形混合モデルを用いて、解析を行った。Dallas Heart Studyでは、log10変換したALTとASTの測定値を年齢、年齢の二乗、性別、BMI及び祖先系統の第1~第10主成分で調整し、PLINKに実装されている線形回帰を用いて、解析を行った。METALを用いて、3つの再現コホートの要約統計をメタ解析した(Willer et al.,Bioinformatics,2010,26,2190-1)(再現メタ解析)。発見コホートと3つの再現コホートの要約統計を同様にメタ解析した(共同メタ解析)。
【0456】
慢性肝疾患の表現型との関連性解析
我々は、肝臓酵素のExWASに由来するシングルヌクレオチドバリアントのうち、有意かつ再現された13個のシングルヌクレオチドバリアントにおいて、上記のようにGHS発見コホートから定義した慢性肝疾患の表現型との関連性を解析した。我々は、P<0.05/26(P<1.92×10-3)というボンフェローニの有意性閾値を用いて、試験した13個のバリアントと、2つの広範な慢性肝疾患カテゴリー(アルコール性慢性肝疾患及び非アルコール性慢性肝疾患)について検討した。HSD17B13 rs72613567バリアントにおいて、上記のようにGHS肥満外科手術コホートから病理組織学的に定義した肝臓表現型との関連性をさらに調べた。年齢、年齢の二乗、性別、BMI及び祖先系統の第1~第4主成分で調整後、ロジスティック回帰のファースのペナルティ付き尤度の方法を用いて、オッズ比を推定した。同じ共変量を用いて、HSD17B13 rs72613567に関して、遺伝子型のオッズ比を推定した。
【0457】
ロジスティック回帰によって、DLSにおける肝疾患のオッズ比を推定し、年齢、年齢の二乗、性別、肥満度指数及び自己申告の民族性で調整した。Dallas Heart Studyからの参加者で、rs72613567の遺伝子型が利用可能な参加者を正常なコントロールとして使用した(n=4,279)。DPLSにおけるオッズ比をロジスティック回帰によって推定した。
【0458】
HSD17B13 rs72613567の現象ワイド関連性解析
我々は、405個の定量的なEHR由来の身体測定値、バイタルサイン測定値、ラボ測定値、心電測定値、心エコー測定値及び骨密度測定値と、さらに3,168件のEHR由来の臨床診断によって、HSD17B13 rs72613567の現象ワイドな関連性解析を行った。誤っている可能性の高い値(個体内中央値から3標準偏差超の値)を除外した後に、外来での連続的な測定値がある個体のラボ値の中央値を算出し、最大値と最小値も算出した。我々は続いて、年齢、年齢の二乗、性別及び祖先系統の第1~第10主成分で調整後、すべての実験用形質の形質残差を算出し、関連性解析の前に、適切な変換を適用した。Dennyらの提案したグループ化(Denny et al.,Nature Biotechnology,2013,31,1102-10及びDenny et al.,Bioinformatics,2010,26,1205-10)の修正版を用いて、ICD-9ベースの診断コードを階層的な臨床疾患群と、対応するコントロールに分類した。ICD-9ベースの診断には、診断コードのプロブレムリストへの記載、または別の暦日における2回の別々の臨床診察で記録した診察診断コードのうちの1つ以上を必要とした。
【0459】
線形回帰を用いて、変換した定量的臨床測定値残差との関連性の解析を行い、ロジスティック回帰を用いて、臨床診断との関連性の解析を行い、年齢、年齢の二乗、性別及び第1~第4主成分で調整した。相加モデル(参照アレルのホモ型では0、ヘテロ型では1、非参照アレルのホモ型では2)と、劣性モデル(参照アレルのホモ型とヘテロ型では0、非参照アレルのホモ型では1)の両方を用いて、アレルをコード化した。
【0460】
ソフトウェア
遺伝子関連性解析は、GCTAソフトウェア(バージョン1.25.07)とPLINK(バージョン1.9.0)を用いて行った。分位点-分位点プロットとマンハッタンプロットは、Rソフトウェアバージョン3.2.1(R Project for Statistical Computing)を用いて作成した。領域関連プロットは、LocusZoom(Pruim et al.,Bioinformatics,2010,26,2336-7)を用いて作成した。
【0461】
RNAシークエンシング試験
全RNAをAgilent RNA Nano Bioanalyzerのチップにかけることによって、RNAの品質と濃度を評価したところ、すべての試料のRNA integrity number(RIN)は8超であった。オリゴ(dT)25ビーズ(Thermo Fisher Scientific)を用いた濃縮を2ラウンド用いて、ポリアデニル化RNA転写産物を単離した。試料を精製し、RNAclean XPビーズ(Beckman Coulter)で濃縮し、熱によって、およそ140塩基対まで断片化した。ランダムヘキサマーを用いて、逆転写酵素SuperScript III(Thermo Fisher Scientific)によって第一鎖合成を完了させ、第二鎖合成の際に、dTTPをdUTPに置き換えた。エキソームのために、上で言及した我々の標準的なDNAライブラリー調製方法に従うとともに、ウラシル-DNAグリコシラーゼ工程を加えて、試料を処理して、鎖特異的なシークエンシングライブラリーを作製した。
【0462】
新規HSD17B13転写産物の同定と検証
ArrayStudio(登録商標)というソフトウェア(OmicSoft(登録商標),Cary,NC)を用いて、リードをHuman.B38にマッピングしたところ、2つのミスマッチが認められた。2つのアプローチを用いて、新規HSD17B13転写産物を特定した。ArrayStudioを用いて、Gencode v24に基づき、新規エキソンジャンクションを発見した。Trinity(v2.2.0)をデフォルト設定で用いて、転写産物のデノボアセンブルを行った。カスタム遺伝子モデルを構築して、HSD17B13の新規転写産物を組み込み、そのカスタム遺伝子モデルにリードをアラインメントすることによって、転写産物の量を推定した。同定したすべてのHSD17B13アイソフォームのタンパク質配列アラインメントが、
図7A及び7Bに示されている。SuperScript(商標)One-Step RT-PCR SystemをPlatinum(商標)Taq DNA Polymerase(Thermo Fisher)とともに用いて、ヒト肝臓試料由来の全RNAに対して、RT-PCRを行った。RT-PCR反応液50μLにはそれぞれ、1×Reaction Mixと、フォワードプライマー及びリバースプライマー(PST516:ATGAACATCATCCTAGAAATCCTTC(配列番号48)及びPST517:ATCATGCATACATCTCTGGCTGGAG(配列番号49))をそれぞれ500nMと、RT/Platinum Taqを1μLと、RNAを75ng含めた。サイクリング条件は、45℃で30分を1サイクル、94℃で2分を1サイクル、94℃で20秒、53℃で30秒及び72℃で90秒を40サイクル、72℃で5分を1サイクル行った後、10℃で静置するものであった。QIAquick PCR Purification Kit(Qiagen)を用いて産物を精製し、プライマーのDE002(ATCAGAACTTC AGGCCTTGG(配列番号50))を用いた直接サンガーシークエンシングのために提出した。転写産物B及びCを同定するために、SYBR GoldSYBR(登録商標)Gold Nucleic Acid Gel Stain(ThermoFisher)で染色した2%アガロースゲルにRT-PCR産物を流し、予想される分子量のバンドを切り出し、QIAquick Gel Extraction Kit(Qiagen)を用いて精製してから、TOPO(登録商標)TA Cloning Kit(ThermoFisher)によるクローニングを行った。M13F及びM13Rというシークエンシングプライマーを用いて、TOPOクローンのシークエンシングを行った。Sequencher DNAという解析ソフトウェア(Gene Codes Corporation)を用いて、配列解析を行った。
【0463】
Platinum Taq High Fidelity(ThermoFisher Scientific)とともに、SuperScript III One-step RT-PCR Systemによって、第一エキソン(GCAAAGCCATGAACATCATCC(配列番号51))と最後のエキソン(TCTTGATGTAGTGGGAGTCGGATT(配列番号52))において遺伝子特異的プライマーを用いて、50ngの全RNAから完全長HSD17B13転写産物を直接増幅して、約2.2kbのアンプリコン(最大予想サイズの転写産物)を作製した。
【0464】
アンプリコンをAgilent Bioanalyzerで検証した。PacBio適合性のバーコード付きアダプターをアンプリコンにライゲーションして、PacBio PBビーズ(Pacific Biosciences)で洗浄した。ライブラリーを等量でプールし、1つのSMRTセルで180分、PacBio RSIIプラットフォームでシークエンシングした。PacBioのソフトウェアsmrtanalysis v2.3のツールlabelzmwを用いて、そのデータをデマルチプレックス化してから、ConsensusTools AmpliconAnalysisによって解析した。得られたアンプリコンをHSD17B13 RefSeq遺伝子と比較して、アイソフォームと遺伝子型の状態を判定した。
【0465】
HSD17B13アイソフォームの細胞内局在
10%ウシ胎仔血清を添加したイーグル最小必須培地で、HepG2細胞を培養した。HSD17B13転写産物A及びDをMyc-DDK骨格レンチウイルスコンストラクトにサブクローニングし、レンチウイルスを作製した。HepG2細胞に、HSD17B13転写産物を担持しているレンチウイルスを感染させた。各HSD17B13転写産物を発現する安定な細胞株を2週間、完全培養培地中で1~3mg/mlのジェネティシンG-418サルフェートによって選択した。固定後、HSD17B13アイソフォームをマウス抗Myc抗体で検出した。脂肪滴をBODIPY FL色素(Sigma)で標識した。免疫蛍光用の二次抗体は、Alexa Fluor488ロバ抗ウサギIgGとAlexa Fluor594ロバ抗マウスIgG(Jackson ImmunoResearch)であった。
【0466】
ヒト肝臓生検組織と安定な細胞株におけるHSD171B3タンパク質の発現の定量
氷冷した1×RIPA溶解緩衝液(EMD Millipore)において、プロテアーゼとホスファターゼインヒビター混合物(ThermoFisher)の存在下で、ヒト肝臓と細胞ペレット試料をホモジナイズした。上清を回収し、BCAタンパク質アッセイ(ThermoFisher)を用いたタンパク質濃縮に用いた。ヒト組織と細胞溶解液をSDS/PAGEゲル(Bio-Rad)に流して分離し、PVDF膜(Bio-Rad)に転写した。0.1%Tween20(Bio-Rad)を添加した1×TBS中の5%(wt/vol)ミルクで、その膜を1時間ブロックした。HSD17B13(1:200、Thermo-Fisher)及びB-アクチン(1:500、Cell Signaling Technology)に対する抗体とともに、4℃で一晩、膜をインキュベートした。HRPコンジュゲート抗ウサギ抗体(1:10,000、Jackson ImmunoResearch)を用いて、結合した抗体を検出し、化学発光試薬(ThermoFisher)を用いて増強した。Image Jというソフトウェアを用いて、バンド強度を定量した。
【0467】
リアルタイム半定量PCR
TRIzol(登録商標)(Invitrogen,Carlsbad,CA)を用いて、細胞からRNAを抽出した。SuperScript III RT(Invitrogen)を用いて、第1鎖cDNAを合成し、イントロンスパニングプライマーに基づく半定量PCRに用いた。QuantStudio 6 Flex Real-Time PCR Systemを用いて、転写産物の発現レベルを測定した。HSD17B13とTBPのプライマーは、IDT(Integrated DNA Technologies)から取り寄せた。ΔΔCt法によって、相対的な遺伝子発現量を解析して、ハウスキーピング遺伝子TBPに対して正規化した、発現の倍数変化(ΔCt)を求めた。
【0468】
脂肪滴の単離とウエスタンブロットによる特徴付け
以前報告されたようにして(Brasaemle DL,Wolins NE.Isolation of lipid droplets from cells by density gradient centrifugation,Current protocols in cell biology 2006;Chapter 3:Unit 3 15及びDing et al.,Nature Protocols,2013,8,43-51)、HSD17B13転写産物A(IsoA)または転写産物D(IsoD)を安定的に発現するHepG2細胞から、脂肪滴を調製した。簡潔に述べると、HSD17B13 IsoA、IsoDまたは親系統を安定的に発現するHepG2細胞を一晩、1mMのオレイン酸とともにインキュベートした。脂質負荷後、細胞をかきとり、1×Halt(商標)プロテアーゼ/ホスファターゼインヒビター(Thermo)を添加した低張性溶解緩衝液(20mMのトリス、pH7.5、1mMのEDTA)に再懸濁し、50バールで8分キャビテーションをもたらすことによって溶解させた。溶解液を1000g/4℃で10分遠心分離し、その核除去後上清(PNS)を超遠心チューブにおいてスクロースと混合して、終体積2mL及び濃度20%にした。続いて、その溶解液の上に、5%スクロースを1.5mLと、低張性溶解緩衝液をさらに1.5mL重層した。チューブを182,000g/4℃で40分遠心分離し、脂肪滴(LD)層を新しいチューブに移した。チューブの残部を吸引除去し、ペレット状部分(全膜画分、TM)を0.5mLの低張性溶解緩衝液に再懸濁した。PNS画分、LD画分及びTM画分を1×放射性免疫沈降(RIPA)緩衝液(EMD)+NuPAGE(商標)LDS Sample Buffer(Thermo)及びβ-メルカプトエタノールと混合し、3時間、37℃で超音波処理した。TM溶解液は、2.5倍に希釈して、PNSに合わせた。溶解液を4~20%のSDS-PAGEゲル(Biorad)に流し、Trans-Blot(Biorad)を用いて低蛍光PVDF膜に転写し、Odyssey TBS Blocking Bufferにおいて1時間ブロックした。膜を一晩、α-HSD17B13(Abgent、カタログ番号AP5729a、1:500)、LDマーカー:α-ADRP(Proteintech、152-94-1-AP、1:2500)、LDマーカー:α-TIP47(Proteintech、10694、1:2000)、リソソームマーカー:α-LAMP1(Novus、NBP2-25183、1:1000)、細胞質マーカー:α-GAPDH(Proteintech、60004-1-Ig、1:2000)、小胞体マーカー:α-カルレティキュリン(Abcam、ab92516、1:1000)、ミトコンドリアマーカー:α-COX IV(Abcam、ab33985、1:500)、細胞骨格マーカー:α-アクチン(Sigma、A5441、1:4000)という抗体とともにインキュベートした。翌日、膜をトリス緩衝食塩液+0.1%Tweenで4回洗浄してから、IRDye(登録商標)α-ウサギ(800CW)(希釈倍率1:5,000)とα-マウス(680RD)二次抗体(Li-Cor)(希釈倍率1:10,000)を含むブロッキング緩衝液とともに、1時間、室温でインキュベートした。ゲルをTBSTで再度洗浄し、Odysseyを用いてイメージングした。
【0469】
細胞内トリグリセリド量の定量
トリグリセリド定量キット(Abcam)を用いて、安定な細胞から得られたTG量を割り出した。このアッセイでは、TGを遊離脂肪酸とグリセロールに変換する。続いて、そのグリセロールを酸化して、生成物を作製し、それを定量する(λ=570nMでの分光測光法)。
【0470】
精製組み換えHSD17B13に対するステロイド及び生物活性脂質ライブラリーの基質スクリーニング
500μMのNAD+、5μMの生物活性脂質または50μMのステロイド(すべて、終濃度5%のDMSO中)及び100ngの組み換えヒトHSD17B13を含む終体積40μlのアッセイ緩衝液(0.2Mのトリス-HCl、pH7.5)において、反応を行った。反応物を3時間、23℃でインキュベートした後、等体積のNADH-Glo検出試薬(Promega)を加えた。1時間、23℃でインキュベート後、Envision Plate Reader(Perkin Elmer)で相対発光値(RLU)を測定した。コントロールに対する割合(POC)(%)=100×(試料(RLU)-ネガティブコントロール平均)/(ポジティブコントロール平均-ネガティブコントロール平均)という式を用いて、ネガティブコントロール(5%DMSO)を減じた後のコントロール(50μMのエストラジオール)に対する割合(%)として、生RLU値を正規化した。
【0471】
HSD17B13酵素活性のインビトロ及び細胞での特徴付け
HSD17B13転写産物Aまたは転写産物Dを保有するプラスミドDNAによってトランスフォーメーションしたE.coli(Genscript)から、組み換えヒトHSD17B13タンパク質を精製した。そのHSD17B13バリアントには、C末端に10xHisタグを含め、可溶性画分から、Ni2+アフィニティー精製を用いて、HSD17B13バリアントを精製した。NAD(P)H-Glo Detection System(Promega)を用いてNADHの産生を測定することを通じて、酵素活性を割り出した。反応は、3時間、25℃で、0.2Mのトリス-HCl(pH7.5)、0.5mMのNAD+、75μMの基質(Sigma)及び500ngの精製酵素において、終体積100μLで行った。インキュベート後、20μLの反応液を20μLのルシフェラーゼ試薬(Promega)と合わせ、室温で1時間インキュベートし、Envision Plate Reader(Perkin Elmer)で測定した。
【0472】
HSD17B13転写産物A、転写産物Dまたは緑色蛍光タンパク質(GFP、コントロール)を過剰発現するHEK293細胞を用いて、細胞ベースのアッセイにおいて、エストラジオールに対するHSD17B13の活性を調べた。エストラジオール(1μM)を各タイプの細胞に供給した。48時間後、培地を回収し、エストラジオールとその変換生成物のエストロンの濃度を特定し、LC-MSによって定量した。
【0473】
エキソンバリアントと、アスパルテートアミノトランスフェラーゼ及びアラニンアミノトランスフェラーゼとの関連性
我々は、DiscovEHR研究から得たヨーロッパ民族の46,544人の個体(「GHS発見コホート」、表1の基本的デモグラフィック)における502,219個のバイアレル単一遺伝子バリアントと、血清中ALTレベルまたは血清中ASTレベルとの関連性を調べた。19個の遺伝子における合計35個のバリアントが、P<1.0×10
-7で、ALTまたはASTと関連することが分かった(
図1A及び1B、ならびに表2)。我々は、1)DiscovEHRから得た肥満外科手術患者(n=2,644)(「GHS肥満外科手術コホート」)、2)Dallas Heart Studyから得た1,357人の個体及び3)Penn Medicine Biobankから得た8,526人の個体という、ヨーロッパ系祖先の個体の3つのコホートで再現試験を行った。この再現コホートのメタ解析では、9個の遺伝子における13個のバリアントが、ALTまたはASTの血清中レベルと有意に関連付けられた(調べた35個のバリアントにおけるボンフェローニの有意性閾値:P<1.43×10
-3、表3)。これらのバリアントには、トランスアミナーゼレベルの上昇と関連があると以前報告されたバリアント(PNPLA37、TM6SF211、SERPINA122、SAMM5023及びERLIN124など)が含まれていた。SERPINA1は、α-1-アンチトリプシン(その機能欠損は、肝疾患の原因となる)をコードし、SAMM50との関連性は、PNPLA3のバリエーションとの連鎖不均衡を介して媒介され、ERLIN1は、肝脂肪沈着に関与している。我々は、肝疾患と関連があることがこれまで報告されなかったバリアントも同定した。これらのバリアントには、GPT(ALTをコードする遺伝子)、GOT1(ASTをコードする遺伝子)及びSLC39A12(溶質キャリアファミリー39メンバー12をコードする)のいくつかのバリアントが含まれた。
【0474】
我々は、HSD17B13(ヒドロキシステロイド17-βデヒドロゲナーゼ13(17-βヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼファミリーのうちの特徴付けられていないメンバー)をコードする遺伝子)のバリアントと、ALTレベルの低下との再現性のある関連性(発見時のP=4.2×10
-12、再現時のP=1.7×10
-4)及びHSD17B13のバリアントと、ASTレベルの低下との再現性のある関連性(発見時のP=6.2×10
-10、再現時のP=1.7×10
-4、表3)も特定した。関連付けられたバリアント(rs72613567)は、エキソン6のドナースプライス部位に隣接してアデニンが挿入されたもの(TAアレル)であり、そのアレル頻度は、GHS発見コホートにおいて26.0%であった。以前、Chambersらは、4q22において、ALTレベルと関連のある、近い座位(rs6834314)を同定し(Chambers et al.,Nat.Genet.,2011,43,1131-1138,doi:10.1038/ng.970)、これまで、rs72613567は、トランスアミナーゼレベルと関連のあることが報告されたことはない。HSD17B13は、同じ遺伝子ファミリーの別のメンバーであるHSD17B11の30kb上流にある。我々は、発見コホート(
図5A及び5B)において、または発見コホートと3つの再現コホートとの共同メタ解析において、HSD17B11のコーディングバリアントまたはスプライスバリアントと、トランスアミナーゼレベルとのエキソームワイドに有意な関連性を観察しなかった。さらに、HSD17B11のバリアントと、rs72613567の連鎖不均衡は、すべての祖先系統群にわたって中程度であった(すべての祖先系統群において、確認されたすべてのHSD17B11バリアントとのr
2は0.4未満であった)。勘案すると、これらの所見によって、HSD17B13は、トランスアミナーゼレベルに機能的に関連している可能性が非常に高いゲノム領域の遺伝子として示唆されている。
【0475】
表1.発見コホートと再現コホートから得たヨーロッパ系祖先の個体のうち、シークエンシングした個体のデモグラフィック及び臨床特徴
【0476】
【0477】
表2.発見コホートにおいて、P<1.0×10-7で、血清中トランスアミナーゼレベルと関連付けられたシングルヌクレオチドバリアント
【0478】
【0479】
【0480】
*ALTとASTの両方とエキソームワイドに有意な関連性のあるバリアントを示している。
略記:AAF:バリアントアレル頻度、Alt:バリアントアレル、ALT:アラニンアミノトランスフェラーゼ、AST:アスパルテートアミノトランスフェラーゼ、Ref:参照アレル、SE:標準誤差
表3.3つの別々のヨーロッパ系祖先のコホートにおける発見コホートから得たエキソームワイドに有意なシングルヌクレオチドバリアント35個の再現及び共同メタ解析
【0481】
【0482】
【0483】
【0484】
*P<1.43×10-3というボンフェローニの有意性閾値をP値が満たしていることを示している。
**再現メタ解析には、GHS肥満外科手術コホート、Dallas Heart Study及びPenn Medicine Biobankという3つの再現コホートが含まれる。
【0485】
***共同メタ解析には、GHS発見コホート、GHS肥満外科手術コホート、Dallas Heart Study及びPenn Medicine Biobankという発見コホート及び3つの再現コホートが含まれる。
【0486】
略記:AAF:バリアントアレル頻度、Alt:バリアントアレル、ALT:アラニンアミノトランスフェラーゼ、AST:アスパルテートアミノトランスフェラーゼ、Ref:参照アレル、SE:標準誤差、ann:アノテーション、mis:ミスセンス、syn:同義、spl:スプライスドナー、stop:停止コドンの生成、fs:フレームシフト、inf:インフレームインデル
エキソンバリアントと、慢性肝疾患の臨床診断との関連性
次に、我々は、発見コホートと再現コホートで明らかになった9個の遺伝子においてトランスアミナーゼと関連づけられたバリアント13個と、慢性肝疾患(アルコール性肝疾患及び非アルコール性(非ウイルス性)肝疾患を含む)と、最も進行した形の慢性肝疾患(アルコール性肝硬変、非アルコール性肝硬変及び肝細胞癌(HCC))との関係を解析した。我々は、試験した13個のバリアントにおいて、P<1.92×10
-3というボンフェローニの有意性閾値を用いて、5個の遺伝子(HSD17B13、SERPINA1、TM6SF2、PNPLA3及びSAMM50)における6個のバリアントと、慢性肝疾患の表現型との間に、有意な関連性を見出した(表4)。SERPINA1、TM6SF2、PNPLA3及びSAMM50の関連性によって、以前報告された関連性が確認される。発見コホートでは、HSD17B13 rs72613567:TAは、アレル量依存的に、EHR由来の全カテゴリーのアルコール性肝疾患と非アルコール性肝疾患の両方のオッズ比の低下と関連付けられた(
図2A)(全カテゴリーのアルコール性肝疾患:ヘテロ型のオッズ比(OR
het)(95%信頼区間):0.58(0.42-0.80)、ホモ型のOR(OR
hom):0.47(0.23-0.97)、アレルのOR(OR
allelic):0.62(0.48-0.81)、P=1.8×10
-4、全カテゴリーの非アルコール性肝疾患:OR
het:0.83(0.75-0.92)、OR
hom:0.70(0.57-0.87)、OR
allelic:0.84(0.78-0.91)、P=1.3×10
-5)。HSD17B13 rs72613567:TAは、アルコール性肝硬変と非アルコール性肝硬変のオッズ比の低下とも関連付けられ、アルコール性肝硬変のオッズ比は、ヘテロ型では42%低下し、ホモ型では73%低下し(OR
het:0.58(0.39-0.86)、OR
hom:0.27(0.09-0.85)、OR
allelic:0.56(0.41-0.78)、P=3.4×10
-4)、非アルコール性肝硬変のオッズ比は、ヘテロ型では26%低下し、ホモ型では49%低下した(OR
het:0.74(0.60-0.93)、OR
hom:0.51(0.31-0.85)、OR
allelic:0.74(0.62-0.88)、P=4.5×10
-4)。HSD17B13 rs72613567:TAは名目上、HCCのオッズ比の低下とも関連付けられた。
【0487】
我々は、これらの所見を多民族のDallas Liver Study(DLS)とDallas Pediatric Liver Study(DPLS、表5)において確認及び拡張しようとした。DLSにおいて、TAアレルは、アレル量依存的に、すべての肝疾患のオッズ比の低下と関連付けられた(OR
het:0.74(0.57-0.97)、OR
hom:0.41(0.21-0.83)、OR
allelic:0.70(0.5-0.88)、P=1.8×10
-3、
図2B)。同様の作用は、進行性の肝硬変型のアルコール性肝疾患との保護的関連性(OR
allelic:0.72(0.53-0.99)、P=4.4×10
-2)と、非アルコール性肝疾患との保護的関連性(OR
allelic:0.65(0.40-1.07)、P=9.0×10
-2)を含め、EHR由来の肝疾患のサブタイプの全体にわたって観察された。自己申告の民族性によってグループ化した個体のサブセット解析では、肝疾患との関連性は、ヒスパニック系アメリカ人において有意であった(n=ケース326、コントロール722、OR
allelic:0.51(0.35-0.74)、P=4.0×10
-4)とともに、同様の数値的傾向(統計的有意性は得られなかった)が、アフリカ系アメリカ人のDLSサブセットにおいても(n=ケース33、コントロール2,291、OR
allelic:0.74(0.25-2.47)、P=0.67)、ヨーロッパ系アメリカ人のDLSサブセットにおいても(n=ケース158、コントロール1,266、OR
allelic:0.87(0.65-1.15)、P=0.32)見られた。DPLS(ヒスパニック系アメリカ人の小児の肝疾患患者と肥満のコントロールの別の試験)でも、TAアレルが、肝疾患のオッズ比の低下と関連付けられた(OR
allelic:0.61(0.37-0.99)、P=4.6×10
-2)。したがって、HSD17B13 rs72613567:TAは、3つの独立集団の成人と小児において、複数の形態の慢性肝疾患(肝硬変を含む)のオッズ比の低下と関連付けられた。
【0488】
表4.発見コホートにおける、エキソームワイドで有意な再現性のシングルヌクレオチドバリアント12個と、肝疾患表現型との関連性
【0489】
【0490】
*P<2.08×10-3というボンフェローニの有意性閾値をP値が満たしていることを示している。
表4(続き)
【0491】
【0492】
表5.Dallas Liver Study及びPediatric Liver Studyから得た多民族のケースとコントロールのうち、ジェノタイピングしたケースとコントロールのデモグラフィックと臨床特徴
【0493】
【0494】
HSD17B13 rs72613567:TAと肝臓病態との関連性
NAFLDは、顕著な炎症のエビデンスのない肝脂肪蓄積(単純性脂肪肝)から、より臨床的影響の大きいNASHまでに及ぶ疾患スペクトラムを示す。我々は、HSD17B13 rs72613567:TAとEHR由来の肝疾患診断コードとの関連性を確認するとともに、NASHへの脂肪肝の病理組織学的進行との関連性をさらに理解するために、GHS肥満外科手術コホートにおいて、関連性の試験を行った。全エキソームシークエンシングした個体のうち、肥満外科手術時に肝生検によって評価した2,391人のこのコホートにおいては、合計555人(23%)の個体で、脂肪肝、脂肪肝炎または線維症のエビデンスが見られず(「正常」)、830人(35%)で単純性脂肪肝が見られ、1006人(42%)でNASHが見られた。遺伝子型による、正常な肝臓、単純性脂肪肝及びNASHの存在率を比較したところ、正常な肝臓の存在率には、遺伝子型による違いがないようであったが(T/Tキャリアでは23%、T/TAキャリアでは24%及びTA/TAキャリアでは23%、比率のトレンドに関するカイ二乗検定によるP=0.5)、各TAアレルでは、NASHの存在率は低下し(T/Tキャリアでは45%、T/TAキャリアでは40%及びTA/TAキャリアでは31%、P=1.6×10
-4)、単純性脂肪肝の存在率は向上した(T/Tキャリアでは33%、T/TAキャリアでは35%、TA/TAキャリアでは47%、P=1.1×10
-3)(
図3A)ことが観察された。脂肪肝の個体間では、TAアレルは、NASHと線維症の両方のオッズ比が、単純性脂肪肝と比べて、アレル量依存的に、統計的に有意に低下することと関連付けられた(NASHのOR
allelic:0.77(0.66-0.90)、P=6.5×10
-4、線維症のOR
allelic:0.74(0.62-0.88)、P=4.15×10
-4、
図3B)。勘案すると、これらのデータによって、NAFLDが単純性脂肪肝から、より進行したステージのNASH及び線維症に進行するのを媒介する際のHSD17B13の役割が示唆されている。
【0495】
HSD17B13 rs72613567:TAと、臨床定量形質及び診断との関連性
我々は、このHSD17B13スプライスバリアントの臨床的帰結をさらに総合的に調べるために、HSD17B13 rs72613567:TAと、405個の定量的なEHR由来の身体測定値、バイタルサイン測定値、ラボ測定値、心電測定値、心エコー測定値及び骨密度測定値、ならびに、3,168個のEHR由来の臨床診断との現象ワイドな関連性解析を行った。我々は、定量的臨床測定値との関連性では1.23×10-4、臨床診断との関連性では1.58×10-5というボンフェローニの有意性閾値を用いて、肝トランスアミナーゼとの関連性に加えて、HSD17B13 rs72613567:TAアレルと血小板数の上昇との統計的に有意な関連性を特定した(表6)。慢性肝疾患以外の臨床診断との統計的に有意な関連性は見られなかった(OR(95%CI)=0.88(0.84-0.93)、P=9.14×10-6、AAF=0.263、ケース合計数=4031、T/T=2331、T/TA=1449、TA/TA=251、コントロール合計数=35701、T/T=19238、T/TA=13984、TA/TA=2479)。
【0496】
表6.HSD17B13 rs72613567:TAと定量的臨床測定値との現象ワイドな関連性解析
【0497】
【0498】
HSD17B13 mRNA及びHSD17B13タンパク質の発現に対するHSD17B13 rs72613567:TAの作用
我々は次に、HSD17B13遺伝子の既知及び新規の転写産物の発現に対するHSD17B13 rs72613567:TAアレルの作用を調べた。我々は、RNAシークエンシングを用いて、HSD17B13 rs72613567スプライスバリアントのT/Tホモ型キャリア22人、T/TAヘテロ型キャリア30人及びTA/TAホモ型キャリア17人から得た組織学的に正常な肝臓試料におけるHSD17B13 mRNAの発現を評価した。2つの既知のHSD17B13転写産物A及びBに加えて、2つの新規な転写産物(エキソン6が欠損している転写産物Cと、エキソン6の3’末端にグアニンヌクレオチドの挿入を含む転写産物D(タンパク質の早期トランケーションをもたらすと予想される))を特定した。4つの追加的な転写産物(E~H)が非常に低レベルで発現した(
図6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G及び6H)。これらの転写産物をRT-PCR及びサンガーシークエンシングによって検証した。ロングリードcDNAシークエンシングを用いて、D転写産物も検証した。同定されたすべてのHSD17B13アイソフォーム(A~H)のタンパク質配列アラインメントは、
図7A及び7Bに示されている。これらの転写産物の発現レベルは、HSD17B13 rs72613567の遺伝子型によって異なり、各TAアレルでは、転写産物A及びBのレベルは低下したのに対し、転写産物C及びDのレベルは、アレル量依存的に上昇した(
図4A)。T/Tホモ型では、300個のアミノ酸の完全長タンパク質をコードする転写産物Aが主な転写産物であったのに対して、TA/TAホモ型では、早期トランケート型タンパク質をコードする転写産物Dが主な転写産物であった。ヒト肝臓生検組織では、トランケート型アイソフォームDタンパク質は、ヘテロ型とTA/TAホモ型には最小限しか存在せず、アイソフォームAタンパク質の存在量は、アレル量依存的に減少した(
図4B~4C)。HEK293細胞におけるアイソフォームA及びDの異種発現によって、mRNAの発現量に対するアイソフォームDの存在量が少ないことが示され、アイソフォームAと比べると、Dアイソフォームが不安定なことが示唆されている(
図8)。これらのデータは、mRNAスプライシングを改変して、その結果、ヒト肝臓において、トランケート型タンパク質を実質的に減少した発現量で合成させるHSD17B13 rs72613567と整合している。
【0499】
ヒト肝細胞におけるHSD17B13の発現
HSD17B13は主に肝臓で発現し(Liu et al.,Acta Biochim.Pol.2007,54,213-218)、肝臓においては、HSD17B13は脂肪滴に局在し(Su et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,2014,111,11437-11442,doi:10.1073/pnas.1410741111)、脂肪肝疾患の発症機序における役割と整合している。我々は、HSD17B13転写産物AまたはDを発現するレンチウイルスで安定的にトランスダクションした不死化ヒト肝細胞株において、HSD17B13の発現と、その局在を評価した。HSD17B13アイソフォームAは主に、BODIPY標識脂肪滴を取り囲んでいる膜上で検出された(
図4D)。HSD17B13アイソフォームDについても、同様の細胞内局在が脂肪滴表面で観察された(
図4D及び
図9)。GFPコントロール、またはHSD17B13アイソフォームAもしくはDを過剰発現する細胞株のオレイン酸処置では、細胞内トリグリセリド量の差は観察されなかった(
図10)。
【0500】
インビトロ及び細胞モデルにおける、HSD17B13活性に対するrs72613567:TAの作用
我々は、rs72613567:TAによる、HSD17B13タンパク質の早期トランケーションの機能的帰結を理解するために、組み換えタンパク質及びニコチンアミドアデノシンジヌクレオチドを補因子として用いて、インビトロでのアイソフォームA及びDの酵素活性を評価した。我々は、265個の特有の推定基質を試験し、HS17B13の酵素基質として、ステロイド基質と生物活性脂質(例えばロイコトリエンB4)を特定した。続いて、エストラジオールの酵素変換(ヒドロキシルをケトン基に酸化させる)におけるHSD17B13の酵素活性を特徴付けることに重点を置いた(
図11におけるV
max及びK
m値)。HSD17B13アイソフォームDでは、インビトロの酵素変換アッセイ(
図4E)及び細胞ベースの酵素変換アッセイ(
図4F)において、HSD17B13アイソフォームAと比べて、エストラジオールに対する活性の大幅な低下が見られた。
【0501】
我々は、大規模なエキソームシークエンシングをEHR由来の臨床表現型に結び付けることによって、HSD17B13のスプライスバリアントと、血清中トランスアミナーゼレベルの低下、ならびに非アルコール性型及びアルコール性型の肝疾患リスクの低下との新規な関連性を特定した。これらの関連性は、4つの独立コホートにおいて、かつ数種類の肝疾患カテゴリー(進行性肝硬変型の肝疾患及びHCCを含む)にわたって一貫して観察された。HSD17B13 rs72613567:TAアレルは、単純性脂肪肝とは関連付けられなかったが、NASH及び線維症のリスクの低下と関連付けられたことから、このバリアントアレルは、臨床的にさらに進行した段階の慢性肝疾患への進行から保護されることが示唆されている。現象ワイド関連性解析において、HSD17B13 rs72613567:TAは、慢性肝疾患以外の臨床診断または測定値と、関連臨床測定値(肝トランスアミナーゼ及び血小板数)とは有意に関連付けられなかったことから、このバリアントアレルの臨床的作用は、慢性肝疾患に特異的である可能性が示唆されている。
【0502】
他のヒドロキシステロイド17-βデヒドロゲナーゼファミリーメンバーは、性ステロイド及び脂肪酸の代謝に関わっている(Moeller,Mol.Cell.Endocrinol.,2009,301,7-19,doi:10.1016/j.mce.2008.10.040)が、HSD17B13の機能については、ほとんど分かっていない。以前、HSD17B13の過剰発現によって、マウス肝臓における脂質生成が増大し、培養肝細胞における脂肪滴の数が増大し、そのサイズが拡大することが示された(Su et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,2014,111,11437-11442,doi:10.1073/pnas.1410741111)。過去の2つの研究によって、脂肪肝の患者において、HSD17B13タンパク質の肝発現が増加することも示された(Su et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,2014,111,11437-11442,doi:10.1073/pnas.1410741111、Kampf et al.,FASEB J.,2014,28,2901-2914,doi:10.1096/fj.14-250555)。我々のデータによって、HSD17B13アイソフォームのいずれも、脂肪滴膜上で発現するが、細胞内中性脂肪量を調節しないようであることが示唆されており、これは、ヒトにおいて、HSD17B13 rs72613567:TAと単純性脂肪肝との関連性がないことを映し出す所見である。HSD17B13の生理的基質は分かっていないが、酵素試験によって、HSD17B13 rs72613567:TAアレルによってコードされるHSD17B13アイソフォームが、エストラジオールに対して触媒的に作用しないことが示されている。現時点では、試験したいずれかの基質が肝疾患にとって重要であるかは不明であるが、以前(Li et al.,Nature Medicine,2015,21,239-247,doi:10.1038/nm.3800)、脂質の媒介による炎症に結び付けられたいくつかの生物活性脂質種(例えばロイコトリエンB4)に対する酵素活性が、HSD17B13にあることは興味深い。
【0503】
他の領域における新たな治療剤の実現へと導いてきた遺伝的バリアントと同様に、このHSD17B13バリアントは、慢性肝疾患を標的とする新たな治療策の実現への道筋を示し得る。我々のデータによって、肝疾患が脂肪肝から後期のNASH、線維症及び肝硬変(これらは、重大な病的状態と死亡と関連付けられているとともに、現在、これらに対する有効な治療法は存在しない)に進行するのをHSD17B13が調節することが示されている。
【配列表】