(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】改善された光療法システムおよび使用方法
(51)【国際特許分類】
A61N 5/06 20060101AFI20240325BHJP
【FI】
A61N5/06 Z
(21)【出願番号】P 2019543972
(86)(22)【出願日】2018-02-14
(86)【国際出願番号】 US2018018250
(87)【国際公開番号】W WO2018152255
(87)【国際公開日】2018-08-23
【審査請求日】2021-02-15
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-23
(32)【優先日】2017-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of California
(73)【特許権者】
【識別番号】508004247
【氏名又は名称】ダンマークス・テクニスケ・ユニヴェルシテット
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】イェス・ブローング
(72)【発明者】
【氏名】パウル・ミケール・ピーターソン
(72)【発明者】
【氏名】ゴック・マイ・ティ・グエン
(72)【発明者】
【氏名】ランス・クリーグスフェルト
【合議体】
【審判長】佐々木 一浩
【審判官】安井 寿儀
【審判官】栗山 卓也
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-524369(JP,A)
【文献】特表2016-525408(JP,A)
【文献】特表2015-512951(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0058483(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0008568(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経変性疾患を治療するための光線療法用のデバイスであって、
青色スペクトル成分および/または緑色スペクトル成分を含むか、または青色スペクトル成分および/または緑色スペクトル成分からなる光を発生させる第1の光源であって、前記青色スペクトル成分および/または緑色スペクトル成分を含む光が点滅光である、第1の光源と、
青色および/または緑色スペクトル成分を欠いている光を発生させるか、または前記第1の光源が発生させる光の青色スペクトル成分および/または緑色スペクトル成分よりも小さい青色スペクトル成分および/または緑色スペクトル成分の光を発生させる第2の光源であって、前記第2の光源が点滅光源であり、
前記第1の光源と前記第2の光源とのうちの一方の光源がオンになる際に他方の光源がオフになるようにして前記第1の光源の点滅と前記第2の光源の点滅が同期されて、前記第1の光源の強度変化および/または可視光色変化が第2の光源の強度変化および/または可視光色変化によって補償されるように前記第1の光源が発生させた照明光を補う照明光を発生させる第2の光源と、を備え、
人間が前記第1の光源に曝露されたときに前記人間の脳にガンマ振動を含む脳波を刺激または同調させるように前記第1の光源の点滅の周波数が25Hzから最大100Hzまでの範囲内であり且つ前記第1の光源が、10lmから最大10000lmまでの範囲内の光束をもたらす、デバイス。
【請求項2】
前記第1の光源と前記第2の光源との間の色温度の差が50K未満である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第1の光源の点滅の周波数が30Hzから最大50Hzまでの範囲内である、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第1の光源が、青色スペクトル成分を含むか、または青色スペクトル成分からなる光を発生させ、前記第2の光源が、青色スペクトル成分を欠いている光を発生させるか、または前記第1の光源が発生させる光の青色スペクトル成分よりも小さい青色スペクトル成分の光を発生させる、請求項1から3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記第1の光源の前記点滅の持続時間が、1msから最長50msまでの範囲内である、請求項1から4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第1の光源と前記第2の光源との間の色温度の差が、30K未満、または20K未満、または10K未満、または5K未満である、請求項1から5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記第1の光源が、青色スペクトル成分と緑色スペクトル成分とオレンジ色もしくは赤色スペクトル成分とを含むか、または青色スペクトル成分と緑色スペクトル成分とオレンジ色もしくは赤色スペクトル成分とからなる、請求項1から6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記第2の光源が、青色および/もしくは緑色スペクトル成分と、オレンジ色スペクトル成分と、赤色および/もしくは遠赤外スペクトル成分とを含むか、または青色および/もしくは緑色スペクトル成分と、オレンジ色スペクトル成分と、赤色および/もしくは遠赤外スペクトル成分とからなる、請求項1から7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記第2の光源が、青色および/もしくは緑色光を放出するランプと、オレンジ色光を放出するランプと、赤色および/もしくは遠赤外光を放出するランプとを含むか、または、青色および/もしくは緑色光を放出するランプと、オレンジ色光を放出するランプと、赤色および/もしくは遠赤外光を放出するランプとからなる、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記第1の光源が1つまたは複数の発光ダイオードを備え、前記第2の光源が1つまたは複数の発光ダイオードを備える、請求項1から9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記第1の光源が各色スペクトル成分に対して少なくとも1つの発光ダイオードを備え、前記第2の光源が各色スペクトル成分に対して少なくとも1つの発光ダイオードを備える、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記第1の光源および前記第2の光源が、ディフューザ内に配設されている、請求項10又は11に記載のデバイス。
【請求項13】
認知症、軽度認知障害、およびアルツハイマー病からなる群から選択される神経変性状態を有する人間を治療する方法用の請求1から12のいずれか一項に記載のデバイスであって、
前記方法が、前記人間を、25Hzから最大60Hzまでの範囲内の周波数で点滅する青色光に曝露することを含み、前記曝露することが請求項1から12のいずれか一項に記載のデバイスによって行われる、デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、すべての目的に関して全体が参照により本明細書に組み込まれる2017年12月5日に出願した米国特許出願第62/595065号および2017年2月15日に出願した米国特許出願第62/459138号の利益および優先権を主張する。
政府支援の表明
[該当なし]
【背景技術】
【0002】
光強度および光の色/色相が人間の健康に影響を及ぼすことがいくつかの研究によって示されており、照明光に基づく様々な健康関連技術が提案されている(たとえば、特許文献1、特許文献2、およびそれらにおける参照を参照)。近年、青色光源、そのような光源を備えるシステム、ならびに青色光曝露を監視および推奨するウェアラブル機器が関心を集めている(たとえば、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6を参照)。
【0003】
その理由は、眼は青色光に対して高い感度を有する光受容体を含み、これらの光受容体が「睡眠ホルモン」とも呼ばれるメラトニンを調節するので、青色光がサーカディアンリズムに影響を及ぼすことである(たとえば、非特許文献1を参照)。それに加えて、これらの光受容体および青色光へのこれらの曝露は、「幸福」ホルモンとも呼ばれるセロトニンを調節すると考えられている(たとえば、非特許文献2を参照)。さらに、鬱病、認知症、短期記憶および学習などの、他の健康および心理的効果が、青色光を介して影響を受け得るという仮説が立てられている。
【0004】
神経科学における最近の結果(非特許文献3)では、神経障害である、アルツハイマー病は、点滅光に曝露し点滅光が脳の免疫細胞を刺激してこの疾患の原因となる毒性タンパク質を除去することによって、治療され得ることを示している。これらの結果は、齧歯類(ネズミ)が少なくとも1時間持続するストロボ光に曝露する高度に制御された環境により齧歯類を使った実験研究で得られた。ストロボ光は、典型的には、40Hzの周波数で動作し、注意および記憶に関与する、ガンマ振動と呼ばれる、同期脳活動を刺激し、回復するのを助けた。
【0005】
これらの結果はネズミについては有望であるが、人間の研究はない。そして、これらの方法を人間用に変えるためには障壁がある。これらの問題のうちの1つは、現実に生活している人間に対する環境を制御することの困難さに関係する。光の脈動または明滅がニューロン活動を同期させることができ、これは認知症の高齢者またはアルツハイマー病の被検体にとって有益なものとなり得る可能性があるが、それはニューロン活動が人間活動の記憶および協調を改善しよりよいものにするからである。しかしながら、明滅/点滅する光源に治療効果があり得るとしても、これらは視覚的まぶしさ、視覚疲労、眼の不快感、頭痛、てんかん患者の痙攣の可能性、および同様のものなどの、人間(または人間以外の哺乳類被検体)に有意な副作用をもたらすと考えられている。また、60Hz前後の点滅光は、人間および動物にとってストレスになることが知られている。
【0006】
したがって、齧歯類研究に対して行われたように人間をストロボ光に曝露することは問題である。そのようなストロボ光のさらなる不利点は、楕円状態の誘発(provocation of elliptic conditions)、注意散漫、居心地が悪いという感じ(feelings of being uncomfortable)、などを含む。
【0007】
さらに、長時間にわたる(1時間以上)ちらつく光への曝露が必要であるという点は、人間に使用するうえで不利である。これは、多様な人々に対して実用的でない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】国際公開第91/14475号
【文献】米国特許第5447528号明細書
【文献】米国特許出願公開第2013/011891号明細書
【文献】国際公開第2015/200730号
【文献】国際公開第2012/146256号
【文献】米国特許出願公開第2016/027282号明細書
【非特許文献】
【0009】
【文献】Brainard et al. (2001) J. Neurosci. 21: 6405-6412
【文献】Vandewalle et al. (2010) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 107: 19549-19554
【文献】Iaccarino et al. (2016) Nature 540 (7632):230-235
【文献】Hecht and Smith (1936) J. Gen. Physiol. 19 (6): 979-89
【文献】Hughes (2008) Epilepsy Behav. 13(1): 25-31
【文献】Gold (1999) Consciousness and Cognition, 8 (2): 186-195
【文献】Melloni et al. (2007) J. Neurosci. 27 (11): 2858-2865
【文献】Siegel et al. (2008) Neuron, 60 (4): 709-719
【文献】Gregoriou et al. (2009) Science, 324 (5931): 1207-1210
【文献】Baldauf et al. (2014) Science, 344 (6182): 424-427
【文献】Vanderwolf (2000) Brain Res. 855 (2): 217-224
【文献】Sperling et al. (2011) Alzheimer’s & Dementia, 1-13
【文献】Albert et al. (2011) Alzheimer’s and Dementia, 1-10 (doi: 10.1016/j .jalz.2011.03.008)
【文献】Jack et al. (2010) Lancet Neurol, 9: 119-128
【文献】Vemuri et al. (2009) Neurology, 73: 294-301
【文献】Yaffe et al. (2011) JAMA 305: 261-266
【文献】Hardy (1997) Trends. Neurosci., 20: 154-159
【文献】Sleegers et al. (2010) Trends Genet. 26 (2): 84-93
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【文献】Grundman et al. (2004) Arch. Neurol. 61 (1):59-66
【文献】en.wikipedia.org/wiki/Mild_cognitive_impairment - cite_note-Grundman-1
【文献】Petersen et al. (2006) Arch. Neurol. 63 (5):665-72
【文献】Bertram et al. (2010) Neuron, 21: 270-281
【文献】Whitwell et al. (2008) Neurology 70 (7): 512-520
【文献】Jack et al. (2008) Brain 131 (Pt 3): 665-680
【文献】McKhann et al. (1984) Neurology 34 (7): 939-44
【文献】Folstein et al. (1975) J. Psychiatric Research 12 (3): 189-198
【文献】Rosen et al. (1984) Am. J. Psychiatr., 141: 1356-1364
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
像を形成するわれわれの視覚に対する網膜内の受容体の波長感度は、情動、記憶、および学習に関連付けられているわれわれのホルモン系および脳活動を制御する受容体の波長感度と異なる。これらの最近の発見を使用することで、視覚に影響を及ぼすことなく、または視覚に影響をほとんど及ぼすことなく脳の異なる部分(海馬など)におけるニューロン応答を変調する治療用ランプ(光線療法デバイス)を開発することが可能になった。いくつかの実施形態において、このランプは、典型的には、30~60Hzで脳活動を変調する。しかしながら、人間がランプを覗き込むときに、人間にはストロボ効果が見えない。これは、30~60Hzのちらつきを有する通常のランプとは対照的である。光線療法デバイスの目的は、アルツハイマー病の人間に対する脳応答を変調し、それと同時に、点滅光が視覚的に不快であることによる副作用を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、いくつかの実施形態において、アルツハイマー病、鬱病、認知症、短期記憶の治療のための、または学習改善、運動能力改善、もしくは認知能力改善のための、光療法システム(たとえば、光線療法デバイス)が本明細書において開示されている。いくつかの実施形態において、光システムは、20から50Hzの範囲内(好ましくは約40Hz)の周波数で動作する青色光源を備え、これにより、システムは、脳波(人間の脳内のガンマ振動)を刺激するために人間の網膜神経節細胞が曝露されることを可能にする。
【0012】
いくつかの実施形態の態様において、本明細書では人の睡眠中に長時間にわたって動作する光療法システムが開示される。典型的には、この長時間というのは、1時間以上(たとえば、連続的に1時間を超えるか、または一晩に合計で1時間を超える複数の時間区分内)である。いくつかの実施形態において、システムは、20から50Hzの範囲内(好ましくは約40Hz)の周波数で動作するストロボ青色光源を備える安眠マスクを含む。本発明の発明者らは、人がそのようなシステムを使用する方法をさらに実現しており、ストロボ青色光源は、睡眠中の人の眼瞼を照らす。このシステムは、網膜神経節細胞が十分な時間内に十分な強度で放射ストロボ青色光の一部に曝露し脳の所望の部分に陽性の影響を及ぼすか、または刺激することを可能にする。
【0013】
いくつかの実施形態において、天井もしくは置ランプからの、室内に位置決めされたランプもしくは照明器具などの、ランプもしくは照明器具を含む新しい光療法システムが提供される。いくつかの実施形態において、このシステムは、光スペクトルの青色部分(好ましくは約460nm)にピーク強度を有する狭スペクトル光源と、可視光スペクトルの大部分または全部をカバーする広スペクトル光源とを備え、狭スペクトル光源は、20から50Hzの範囲内(好ましくは約40Hz)の周波数で動作するストロボ青色光源である。いくつかの実施形態において、狭スペクトル光源から放出される放射線の放射強度は、1%から10%の範囲など、1%から50%の範囲内などの、広スペクトル光源から放出される放射線の放射強度より小さい。
【0014】
いくつかの実施形態において、異なる波長を備える2つの光源を使用する光療法システムが本明細書で説明されている。
図2は、特定の白色光の色が異なる波長の組合せで生成され得ることがわかる色度図を示している。好ましい一実施形態の一例として、第1の光源が波長460nm、650nm、および570nmを備え、第2の光源が波長490nm、770nm(または670nm)、および600nmを備えるシステムが提供される。システムは、40Hzで50%デューティサイクルなどの、光源の交互組合せを使用する。すなわち、460nmの光を備える第1の光源は40Hzのストロボ光を発生させ、第2の光源(460nmの光を備えない)は40Hzでストロボ光を発生させる(たとえば、点滅する)。これら2つの光源は、第1の光源がオンにされたときに第2の光源がオフにされ、その逆も行われるように、実質的に同期される。したがって、人間が経験するのは、一定の白色光照明であるが、白色光は2つの異なる光源からなり、一方の光源は網膜における非視神経節細胞において440nmから480nmの実質的により多くの光をもたらし、したがって、約460nmのストロボ光を介して脳活動を増大させた。第1の光源の10%のデューティサイクルおよび第2の光源の90%のデューティサイクル(10/90)など、5/95など、25/75など、75/25など、95/5などの、交互デューティサイクルも本発明の範囲内にある。
【0015】
いくつかの実施形態において、前述の不利点を解消して脳の陽性刺激を可能にする光療法システムおよびその使用方法が提供される。特に、アルツハイマー病の患者を助け得る光療法システムが提供される。この光療法システムは、また、運動選手など、健康な人々に対して脳の陽性刺激を提供し、その能力を最適化することもある。
【0016】
本明細書において企図されている様々な実施形態は、限定される必要はないが、次のうちの1つまたは複数を含み得る。
【0017】
実施形態1:光線療法デバイスであって、
青色スペクトル成分および/もしくは緑色スペクトル成分を含むか、またはそれからなる光を発生させる第1の光源であって、前記青色および/または緑色スペクトル成分を含む光は点滅光である、第1の光源と、
青色および/もしくは緑色スペクトル成分を欠いている光を発生させるか、または第2の光源が発生させる青色および/もしくは緑色スペクトル成分は前記第1の光源が発生させる光の青色および/または緑色スペクトル成分より小さい第2の光源であって、前記第1の光源の点滅が前記第2の光源からの光と組み合わされたときに人間の視覚では実質的に検出不可能であるように第1の光源が発生させた照明光を補う照明光を発生させる、第2の光源とを備える、光線療法デバイス。
【0018】
実施形態2:前記第1の光源は青色スペクトル成分を含むか、またはそれからなる光を発生させ、
前記第2の光源は、青色スペクトル成分を欠いている光を発生させるか、または前記第2の光源が発生させる青色スペクトル成分は前記第1の光源が発生させる光の青色スペクトル成分より小さい、実施形態1に記載の光線療法デバイス。
【0019】
実施形態3:前記第1の光源の点滅周波数および強度は、人間が前記光源に曝露されたときに人間の脳における脳波を刺激または同調させるのに十分である、実施形態1~2のいずれか一項に記載のデバイス。
【0020】
実施形態4:前記脳波はガンマ振動を含む、実施形態3に記載のデバイス。
【0021】
実施形態5:前記第1の光源の点滅の周波数は、約20Hzから、または約30Hzから、または約35Hzから、または約40Hzから、最大約100Hzまで、または約80Hzまで、または約60Hzまで、または約50Hzまで、または約45Hzまでの範囲内である、実施形態1~4のいずれか一項に記載のデバイス。
【0022】
実施形態6:前記第1の光源の点滅の周波数は、約20Hzから最大約50Hzまでの範囲内である、実施形態5に記載のデバイス。
【0023】
実施形態7:前記第1の光源の点滅の周波数は、約40Hzである、実施形態5に記載のデバイス。
【0024】
実施形態8:前記第1の光源の点滅の持続時間は、約1msから、または約5msから最長約50msまで、または約40msまで、または約30msまで、または約20msまで、または約15msまで、または約10msまでの範囲内である、実施形態1~7のいずれか一項に記載のデバイス。
【0025】
実施形態9:前記第1の光源の点滅の持続時間は、約5msから最長約20msまで、または約8msから最長約15msまでの範囲内である、実施形態1~8のいずれか一項に記載のデバイス。
【0026】
実施形態10:前記第1の光源の色温度は、約2700Kから、または約2800Kから、または約2900Kから最大約6500Kまで、または約5000Kまで、または約4000Kまで、または約3500Kまでの範囲内である、実施形態1~9のいずれか一項に記載のデバイス。
【0027】
実施形態11:前記第1の光源の色温度は、約2900Kから最大約3100Kまでの範囲内である、実施形態10に記載のデバイス。
【0028】
実施形態12:前記第1の光源の色温度は、約3000Kである、実施形態11に記載のデバイス。
【0029】
実施形態13:前記第1の光源は、約10lmから、または約25lmから、または約50lmから、または約100lmから、または約500lmから最大約10,000lmまで、または約5,000lmまで、または約1000lmまでの範囲内である光度をもたらす、実施形態1~12のいずれか一項に記載のデバイス。
【0030】
実施形態14:前記第1の光源は、約440nmから最大約500nmまで、または約450nmから最大約490nmまで、または約450nmから最大約480nmまで、または約450nmから最大約470nmまで、または約455nmから最大約465nmまでの波長範囲内で5mW/nm/m2より大きい放射照度をもたらす、実施形態1~13のいずれか一項に記載のデバイス。
【0031】
実施形態15:前記第1の光源は、少なくとも約10ルクス、もしくは少なくとも約20ルクス、もしくは少なくとも約30ルクス、もしくは少なくとも約40ルクス、もしくは少なくとも約50ルクス、もしくは少なくとも約60ルクス、もしくは少なくとも約70ルクス、もしくは少なくとも約80ルクス、もしくは少なくとも約90ルクス、もしくは少なくとも約100ルクス、もしくは少なくとも約120ルクス、もしくは少なくとも約130ルクス、もしくは少なくとも約140ルクス、もしくは少なくとも約150ルクス、もしくは少なくとも約160ルクス、もしくは少なくとも約170ルクス、もしくは少なくとも約180ルクス、もしくは少なくとも約190ルクス、もしくは少なくとも約200ルクス、もしくは少なくとも約300ルクス、もしくは少なくとも約400ルクス、もしくは少なくとも約500ルクス、もしくは少なくとも約600ルクス、もしくは少なくとも約700ルクス、もしくは少なくとも約800ルクス、もしくは少なくとも約900ルクス、もしくは少なくとも約1000ルクスの全照度および/または前記青色スペクトル成分の照度を有する光をもたらす、実施形態1~13のいずれか一項に記載のデバイス。
【0032】
実施形態16:前記第2の光源は、点滅光源である、実施形態1~13のいずれか一項に記載のデバイス。
【0033】
実施形態17:前記第2の光源の点滅の周波数は、約20Hzから、または約30Hzから、または約35Hzから、または約40Hzから最大約100Hzまで、または約80Hzまで、または約60Hzまで、または約50Hzまで、または約45Hzまでの範囲内である、実施形態16に記載のデバイス。
【0034】
実施形態18:前記第2の光源の点滅の周波数は、約20Hzから最大約50Hzまでの範囲内である、実施形態16に記載のデバイス。
【0035】
実施形態19:前記第2の光源の点滅の周波数は、約40Hzである、実施形態16に記載のデバイス。
【0036】
実施形態20:前記第2の光源の点滅の持続時間は、約1msから、または約5msから最長約50msまで、または約40msまで、または約30msまで、または約20msまで、または約15msまで、または約10msまでの範囲内である、実施形態16~19のいずれか一項に記載のデバイス。
【0037】
実施形態21:前記第2の光源の点滅の持続時間は、約5msから最長約20msまで、または約8msから最長約15msまでの範囲内である、実施形態16~19のいずれか一項に記載のデバイス。
【0038】
実施形態22:前記第2の光源の色温度は、約2700Kから、または約2800Kから、または約2900Kから最大約6500Kまで、または約5000Kまで、または約4000Kまで、または約3500Kまでの範囲内である、実施形態1~21のいずれか一項に記載のデバイス。
【0039】
実施形態23:前記第2の光源の色温度は、約2900Kから最大約3100Kまでの範囲内である、実施形態22に記載のデバイス。
【0040】
実施形態24:前記第2の光源の色温度は、約3000Kである、実施形態23に記載のデバイス。
【0041】
実施形態25:前記第2の光源は、約10lmから、または約25lmから、または約50lmから、または約100lmから、または約500lmから最大約10,000lmまで、または約5,000lmまで、または約1000lmまでの範囲内である光度をもたらす、実施形態1~24のいずれか一項に記載のデバイス。
【0042】
実施形態26:前記第1の光源と前記第2の光源との間の色温度の差は、約30K未満、または約20K未満、または約10K未満、または約5K未満である、実施形態1~25のいずれか一項に記載のデバイス。
【0043】
実施形態27:前記第1の光源と前記第2の光源との間の色温度の差は、約5Kから最大約10Kまでの範囲内である、実施形態26に記載のデバイス。
【0044】
実施形態28:前記第1の光源および前記第2の光源に対する黒体軌跡への距離DUVは、約0.001未満、または約0.0001未満である、実施形態1~27のいずれか一項に記載のデバイス。
【0045】
実施形態29:前記第1の光源および前記第2の光源に対する黒体軌跡への距離DUVは、約0.0001以下である、実施形態28に記載のデバイス。
【0046】
実施形態30:前記第1の光源と前記第2の光源との間の強度の差は、約100ルクス未満、または約75ルクス未満、または約50ルクス未満、または約40ルクス未満、または約30ルクス未満、または約20ルクス未満、または約10ルクス未満、または約5ルクス未満、または約2ルクス未満である実施形態1~29のいずれか一項に記載のデバイス。
【0047】
実施形態31:第1の光源および第2の光源は、実質的に同じ方向に光を放出する、実施形態1~30のいずれか一項に記載のデバイス。
【0048】
実施形態32:前記第1の光源と前記第2の光源との間の照明光角度の差は、約30度未満、または約25度未満、または約20度未満、または約15度未満、または約10度未満、または約5度未満である、実施形態31に記載のデバイス。
【0049】
実施形態33:前記デバイスは、前記第2の光源と位相がずれている前記第1の光源を動作させるように構成される、実施形態1~32のいずれか一項に記載のデバイス。
【0050】
実施形態34:前記第1の光源と前記第2の光源との間の位相差は、約90度から約180度までの範囲内である、実施形態33に記載のデバイス。
【0051】
実施形態35:前記第1の光源と前記第2の光源との間の位相差は、前記第1の光源がオンになったときに前記第2の光源がオフになり、また逆もまた同様になるように約180度である、実施形態34に記載のデバイス。
【0052】
実施形態36:前記第1の光源および/または前記第2の光源のデューティサイクルは、約5%以上、または約10%から、または約15%から、または約20%から、または約25%から、または約30%から、または約35%から、または約40%から最大約90%まで、または約85%まで、または約80%まで、または約75%まで、または約70%まで、または約65%まで、または約60%までの範囲内である、実施形態1~35のいずれか一項に記載のデバイス。
【0053】
実施形態37:前記第1の光源および/または前記第2の光源のデューティサイクルは、約50%である、実施形態36に記載のデバイス。
【0054】
実施形態38:前記第1の光源と前記第2の光源のデューティサイクルの比は、約1:10から約10:1まで、または約1:5から約5:1まで、または約1:2から約2:1までの範囲内である、実施形態1~37のいずれか一項に記載のデバイス。
【0055】
実施形態39:前記第1の光源および/または前記第2の光源のデューティサイクルの比は、約1:1である、実施形態38に記載のデバイス。
【0056】
実施形態40:前記第1の光源は、青色スペクトル成分、緑色スペクトル成分、およびオレンジ色もしくは赤色スペクトル成分を含むか、またはそれらからなる、実施形態1~39のいずれか一項に記載のデバイス。
【0057】
実施形態41:前記第1の光源は、もっぱら青色光を放出するランプ、もっぱら緑色光を放出するランプ、ならびにもっぱらオレンジ色および/もしくは赤色光を放出するランプを含むか、またはそれらからなる、実施形態40に記載のデバイス。
【0058】
実施形態42:前記第1の光源の青色光、または前記第1の光源の青色スペクトル成分、またはランプによって放出される青色光は、約440nmから最大約495nmまで、または約440nmから最大約480nmまで、または約450nmから最大約480nmまで、または約450nmから最大約470nmまでの波長範囲内にある、実施形態1~41のいずれか一項に記載のデバイス。
【0059】
実施形態43:前記第1の光源の青色光、または前記第1の光源の青色スペクトル成分、またはランプによって放出される青色光は、約460nmで最大放出を有する、実施形態42に記載のデバイス。
【0060】
実施形態44:前記第1の光源の緑色光、または前記第1の光源の緑色スペクトル成分、または前記第2の光源が含むランプによって放出される緑色光は、もっぱら、約495nmから最大約570nmまで、または約500nmから、または約510nmから、または約520nmから、または約530nmから、または約540nmから、または約550nmから最大約570nmまでの波長範囲内にある、実施形態1~43のいずれか一項に記載のデバイス。
【0061】
実施形態45:前記第1の光源の緑色光、または前記第1の光源の緑色スペクトル成分、またはランプによって放出される緑色光は、もっぱら、約550nmから最大約570nmまでの波長範囲内にある、実施形態44に記載のデバイス。
【0062】
実施形態46:前記第1の光源の緑色光、または前記第1の光源の緑色スペクトル成分、またはランプによって放出される緑色光は、約550nmまたは約570nmで最大放出を有する、実施形態45に記載のデバイス。
【0063】
実施形態47:前記第1の光源のオレンジ色/赤色光、または前記第1の光源のオレンジ色/赤色スペクトル成分、または前記第2の光源が含むランプによって放出されるオレンジ色/赤色光は、もっぱら、約590nmから最大約750nmまで、または約600nmから最大約700nmまで、または最大約650nmまでの波長範囲内にある、実施形態1~46のいずれか一項に記載のデバイス。
【0064】
実施形態48:前記第1の光源のオレンジ色/赤色光、または前記第1の光源のオレンジ色/赤色スペクトル成分、またはランプによって放出されるオレンジ色/赤色光は、もっぱら、約600nmから最大約650nmまでの波長範囲内にある、実施形態47に記載のデバイス。
【0065】
実施形態49:前記第1の光源のオレンジ色/赤色光、または前記第1の光源のオレンジ色/赤色スペクトル成分、またはランプによって放出されるオレンジ色/赤色光は、約600nmまたは約650nmで最大放出を有する、実施形態48に記載のデバイス。
【0066】
実施形態50:前記第2の光源は、青色/緑色スペクトル成分、オレンジ色スペクトル成分、および赤色/遠赤外スペクトル成分を含むか、もしくはそれらからなるか、または
前記第2の光源は、緑色スペクトル成分、およびオレンジ色/赤色スペクトル成分を含むか、またはそれらからなる、実施形態1~49のいずれか一項に記載のデバイス。
【0067】
実施形態51:前記第2の光源は、もっぱら青色/緑色光を放出するランプ、もっぱらオレンジ色光を放出するランプ、ならびにもっぱら赤色/遠赤外光を放出するランプを含むか、もしくはそれらからなるか、または
前記第2の光源は、もっぱら緑色光を放出するランプともっぱらオレンジ色/赤色光を放出するランプとを含むか、もしくはそれらからなる、実施形態50に記載のデバイス。
【0068】
実施形態52:前記第2の光源は、もっぱら青色/緑色光を放出するランプ、もっぱらオレンジ色光を放出するランプ、ならびにもっぱら赤色/遠赤外光を放出するランプを含むか、またはそれらからなる、実施形態51に記載のデバイス。
【0069】
実施形態53:前記第2の光源の青色/緑色光、または前記第2の光源の青色/緑色スペクトル成分、または前記第2の光源が含むランプによって放出される青色/緑色光は、もっぱら、約490nmから最大約570nmまで、または約500nmから、または約510nmから、または約520nmから、または約530nmから、または約540nmから、または約550nmから最大約570nmまでの波長範囲内にある、実施形態52に記載のデバイス。
【0070】
実施形態54:前記第2の光源の青色光、または前記第2の光源の青色スペクトル成分、またはランプによって放出される青色光は、約490nmで最大放出を有する、実施形態53に記載のデバイス。
【0071】
実施形態55:前記第2の光源のオレンジ色光、または前記第2の光源のオレンジ色スペクトル成分、または前記第2の光源が含むランプによって放出されるオレンジ色光は、もっぱら、約590nmから最大約620nmまで、または約590nmから最大約610nmまでの波長範囲内にある、実施形態52~54のいずれか一項に記載のデバイス。
【0072】
実施形態56:前記第2の光源のオレンジ色光、または前記第2の光源のオレンジ色スペクトル成分、または前記第2の光源が含むランプによって放出されるオレンジ色光は、約600nmで最大放出を有する、実施形態55に記載のデバイス。
【0073】
実施形態57:前記第2の光源の赤色/遠赤外光、または前記第2の光源の赤色/遠赤外スペクトル成分、または前記第2の光源が含むランプによって放出される赤色/遠赤外光は、もっぱら、約620nmから最大約770nmまで、または約650nmから最大約750nmまで、または約670nmから最大約700nmまでの波長範囲内にある、実施形態52~56のいずれか一項に記載のデバイス。
【0074】
実施形態58:前記第2の光源の赤色/遠赤外光、または前記第2の光源の赤色/遠赤外スペクトル成分、または前記第2の光源が含むランプによって放出される赤色/遠赤外光は、もっぱら、約670nmまたは約770nmである、実施形態57に記載のデバイス。
【0075】
実施形態59:前記第2の光源は、もっぱら緑色光を放出するランプともっぱらオレンジ色/赤色光を放出するランプとを含むか、もしくはそれらからなる、実施形態51に記載のデバイス。
【0076】
実施形態60:前記第2の光源の緑色光、または前記第2の光源の緑色スペクトル成分、または前記第2の光源が含むランプによって放出される緑色光は、もっぱら、約495nmから最大約570nmまで、または約500nmから、または約510nmから、または約520nmから、または約530nmから、または約540nmから、または約550nmから最大約570nmまでの波長範囲内にある、実施形態59に記載のデバイス。
【0077】
実施形態61:前記第2の光源の緑色光、または前記第2の光源の緑色スペクトル成分、またはランプによって放出される緑色光は、もっぱら、約500nmから最大約550nmまでの波長範囲内にある、実施形態60に記載のデバイス。
【0078】
実施形態62:前記第2の光源の緑色光、または前記第2の光源の緑色スペクトル成分、またはランプによって放出される緑色光は、約500nmで最大放出を有する、実施形態61に記載のデバイス。
【0079】
実施形態63:前記第2の光源のオレンジ色/赤色光、または前記第2の光源のオレンジ色/赤色スペクトル成分、または前記第2の光源が含むランプによって放出されるオレンジ色/赤色光は、もっぱら、約590nmから最大約750nmまで、または約600nmから最大約700nmまで、または最大約650nmまでの波長範囲内にある、実施形態59~62のいずれか一項に記載のデバイス。
【0080】
実施形態64:前記第2の光源のオレンジ色/赤色光、または前記第2の光源のオレンジ色/赤色スペクトル成分、またはランプによって放出されるオレンジ色/赤色光は、もっぱら、約600nmから最大約650nmまでの波長範囲内にある、実施形態63に記載のデバイス。
【0081】
実施形態65:前記第2の光源のオレンジ色/赤色光、または前記第2の光源のオレンジ色/赤色スペクトル成分、またはランプによって放出されるオレンジ色/赤色光は、約600nmまたは約610nmで最大放出を有する、実施形態64に記載のデバイス。
【0082】
実施形態66:前記光線療法デバイスは、白色以外の色として知覚される光を発生させる、実施形態1~65のいずれか一項に記載のデバイス。
【0083】
実施形態67:前記第1の光源は緑色スペクトル成分および赤色スペクトル成分を含むか、もしくはそれらからなり、前記第2の光源は黄色スペクトル成分を含む、実施形態66に記載のデバイス。
【0084】
実施形態68:第1の光源は、約530nmで最大放出を有する緑色スペクトル成分を含む、実施形態66~67のいずれか一項に記載のデバイス。
【0085】
実施形態69:前記第1の光源は、約630nmで最大放出を有する赤色スペクトル成分を含む、実施形態66~68のいずれか一項に記載のデバイス。
【0086】
実施形態70:前記第2の光源は、黄色スペクトル成分を含むか、またはそれからなる、実施形態66~69のいずれか一項に記載のデバイス。
【0087】
実施形態71:前記第2の光源は、約580nmで最大放出を有する黄色スペクトル成分を含む、実施形態70に記載のデバイス。
【0088】
実施形態72:前記第1の光源は、青色スペクトル成分および黄色スペクトル成分を含むか、またはそれらからなる、実施形態66に記載のデバイス。
【0089】
実施形態73:前記第1の光源は、約480nmで最大放出を有する青色スペクトル成分を含む、実施形態72に記載のデバイス。
【0090】
実施形態74:前記第1の光源は、約575nmで最大放出を有する黄色スペクトル成分を含む、実施形態72~73のいずれか一項に記載のデバイス。
【0091】
実施形態75:前記第2の光源は、緑色スペクトル成分および赤色スペクトル成分を含むか、またはそれらからなる、実施形態72~74のいずれか一項に記載のデバイス。
【0092】
実施形態76:前記第2の光源は、約510nmで最大放出を有する緑色スペクトル成分を含む、実施形態72~75のいずれか一項に記載のデバイス。
【0093】
実施形態77:前記第2の光源は、約600nmで最大放出を有する赤色スペクトル成分を含む、実施形態72~76のいずれか一項に記載のデバイス。
【0094】
実施形態78:前記第1の光源は、1つまたは複数の発光ダイオード(LED)を備える、実施形態1~77のいずれか一項に記載のデバイス。
【0095】
実施形態79:第1の光源は、各スペクトル成分に対する少なくとも1つの異なるLEDを備える、実施形態78に記載のデバイス。
【0096】
実施形態80:前記第2の光源は、1つまたは複数の発光ダイオードを備える、実施形態1~79のいずれか一項に記載のデバイス。
【0097】
実施形態81:第2の光源は、各スペクトル成分に対する少なくとも1つの異なるLEDを備える、実施形態80に記載のデバイス。
【0098】
実施形態82:前記第1の光源および前記第2の光源は、ディフューザ内に配設される、実施形態1~81のいずれか一項に記載のデバイス。
【0099】
実施形態83:前記デバイスは照明器具を含む、実施形態1~82のいずれか一項に記載のデバイス。
【0100】
実施形態84:前記デバイスは卓上ランプまたは頭上ランプを含む、実施形態1~82のいずれか一項に記載のデバイス。
【0101】
実施形態85:前記デバイスは、窓のフレームの近くに、窓のフレームのところに、および/または窓のフレームに付着して、取り付けるように構成される、実施形態1~82のいずれか一項に記載のデバイス。
【0102】
実施形態86:前記デバイスはフェイスマスクまたはアイマスクを含む、実施形態1~82のいずれか一項に記載のデバイス。
【0103】
実施形態87:前記第1の光源および前記第2の光源は、単一ユニットまたはハウジング内にある、実施形態1~85のいずれか一項に記載のデバイス。
【0104】
実施形態88:前記第1の光源および前記第2の光源は、異なるユニットまたはハウジング内にある、実施形態1~85のいずれか一項に記載のデバイス。
【0105】
実施形態89:前記デバイスは、前記第1の光源および/または前記第2の光源の強度、前記第1の光源および/または前記第2の光源の点滅速度、前記第1の光源および/または前記第2の光源の位相、前記第1の光源および/または前記第2の光源のスペクトル組成、ならびに前記第1の光源および/または前記第2の光源の強度のうちの1つまたは複数を制御するコントローラを備える、実施形態1~88のいずれか一項に記載のデバイス。
【0106】
実施形態90:前記コントローラは、前記第1の光源および/または前記第2の光源を時刻に応じて制御するように構成される、実施形態89に記載のデバイス。
【0107】
実施形態91:前記コントローラは、室内での移動に応答するように構成される、実施形態89~90のいずれか一項に記載のデバイス。
【0108】
実施形態92:前記コントローラは、コンピュータ、携帯電話、またはタブレットとインターフェースするように構成される、実施形態89~90のいずれか一項に記載のデバイス。
【0109】
実施形態93:システムであって、
実施形態1~92のいずれか一項に記載のデバイスと、
人間に身に着けられるように構成されている個人健康センサ、個人環境センサ、前記デバイスとインターフェースするためのアプリケーションを備えるように構成されている携帯電話、前記デバイスとインターフェースしないアプリケーションを備えるように構成されているコンピュータ、および前記デバイスとインターフェースするように構成されているタブレットのうちの1つまたは複数とを備える、システム。
【0110】
実施形態94:前記システムは、スマートフォン、スマートウォッチ、活動量計、周辺光センサ、GPS、加速度計、および時計からなる群から選択される1つまたは複数のデバイスを備える、実施形態93に記載のシステム。
【0111】
実施形態95:認知症、軽度認知障害、およびアルツハイマー病からなる群から選択される神経変性状態を有する被検体を治療する方法であって、
前記被検体を、約20Hzから最大約60Hzまで、または約30Hzから最大約50Hzまで、または約35Hzから最大約45Hzまでの範囲、または約40Hzの周波数の青色光を、症状を軽減するか、または前記神経変性状態の進行を遅くするかもしくは停止させる十分な強度および持続時間で点滅させることに曝露することを含む、方法。
【0112】
実施形態96:前記青色光は、約440nmから最大約495nmまで、または約440nmから最大約480nmまで、または約450nmから最大約480nmまで、または約450nmから最大約470nmまでの波長範囲内にある青色光もしくは光の青色スペクトル成分を含む、実施形態95に記載の方法。
【0113】
実施形態97:青色光または光の青色スペクトル成分は、約460nmで最大値を有する、実施形態96に記載の方法。
【0114】
実施形態98:前記点滅する青色光は、実施形態1~92のいずれか一項に記載のデバイス、または実施形態93~94のいずれか一項に記載のシステムによって施される、実施形態96~97のいずれか一項に記載の方法。
【0115】
実施形態99:前記方法は、アルツハイマー病の1つまたは複数の症状を寛解すること、および/またはアルツハイマー病を回復に向かわせること、および/またはアルツハイマー病の進行速度を遅くすることを含む、実施形態95~98のいずれか一項に記載の方法。
【0116】
実施形態100:前記方法は、アルツハイマー病前段階状態および/もしくは認知機能障害の発症を防止もしくは遅延すること、ならびに/またはアルツハイマー病前段階状態および/もしくは認知機能障害の1つもしくは複数の症状を寛解すること、またはアルツハイマー病前段階状態および/もしくは認知機能障害の、アルツハイマー病への進行を防止もしくは遅延することを含む、実施形態95~98のいずれか一項に記載の方法。
【0117】
実施形態101:前記方法は、認知機能に関して無症候性のアルツハイマー病前段階状態からアルツハイマー病前段階認知機能障害への移行を防止または遅延する方法である、実施形態100に記載の方法。
【0118】
実施形態102:前記方法は、アルツハイマー病前段階認知機能障害の発症を防止もしくは遅延するか、またはアルツハイマー病前段階認知機能障害の1つもしくは複数の症状を寛解する方法である、実施形態100に記載の方法。
【0119】
実施形態103:前記方法は、アルツハイマー病前段階認知機能障害(たとえば、MCI)からアルツハイマー病への進行を防止もしくは遅延することを含む、実施形態100に記載の方法。
【0120】
実施形態104:前記被検体は、人間である、実施形態99~103のいずれか一項に記載の方法。
【0121】
実施形態105:前記被検体は、50歳以上の臨床的に正常な人間被検体におけるAβのバイオマーカー陽性を示す、実施形態99~104のいずれか一項に記載の方法。
【0122】
実施形態106:前記被検体は、無症候性脳アミロイド沈着症を示す、実施形態99~104のいずれか一項に記載の方法。
【0123】
実施形態107:前記被検体は、下流神経変性と組み合わさった脳アミロイド沈着症を示す、実施形態99~106のいずれか一項に記載の方法。
【0124】
実施形態108:前記被検体は、下流神経変性および軽微な認知行動減退と組み合わさった脳アミロイド沈着症を示す、実施形態99~107のいずれか一項に記載の方法。
【0125】
実施形態109:前記下流神経変性は、タウ、およびFDG摂取からなる群から選択されるニューロン損傷の1つまたは複数の高いマーカーによって決定される、実施形態107~108のいずれか一項に記載の方法。
【0126】
実施形態110:前記脳アミロイド沈着症は、PET、またはCSF分析、および構造MRI(sMRI)によって決定される、実施形態106~109のいずれか1つによる方法。
【0127】
実施形態111:前記被検体は、軽度認知障害と診断された被検体である、実施形態100~110のいずれか一項に記載の方法。
【0128】
実施形態112:前記被検体は、ゼロより高く、約1.5より低い臨床的認知症尺度を示す、実施形態100~111のいずれか一項に記載の方法。
【0129】
実施形態113:前記被検体に、アルツハイマー病を発症する危険性がある、実施形態99~112のいずれか一項に記載の方法。
【0130】
実施形態114:前記被検体は、アルツハイマー病を有することに対する家族性の危険性を有する、実施形態99~113のいずれか一項に記載の方法。
【0131】
実施形態115:前記被検体は、家族性アルツハイマー病(FAD)突然変異を有する、実施形態99~113のいずれか一項に記載の方法。
【0132】
実施形態116:被検体は、APOEε4対立遺伝子を有する、実施形態99~113のいずれか一項に記載の方法。
【0133】
実施形態117:前記化合物の投与は、MCIからアルツハイマー病への進行を遅延または防止する、実施形態100~116のいずれか一項に記載の方法。
【0134】
実施形態118:前記方法は、Aβ42、sAPPβ、全タウ(tタウ)、リン酸化タウ(pタウ)、APPneo、可溶性Aβ40、pタウ/Aβ42比およびtタウ/Aβ42比からなる群から選択される1つもしくは複数の成分のレベルのCSFの減少、ならびに/またはAβ42/Aβ40比、Aβ42/Αβ38比、sAPPα、sAPPα/sAPPβ比、sAPPα/Aβ40比、およびsAPPα/Aβ42比からなる群から選択される1つもしくは複数の成分のレベルのCSFの増大を引き起こす、実施形態95~117のいずれか一項に記載の方法。
【0135】
実施形態119:前記方法は、被検体の脳内のプラーク負荷の減少を引き起こす、実施形態95~118のいずれか一項に記載の方法。
【0136】
実施形態120:前記方法は、被検体の脳内のプラーク形成速度の低下を引き起こす、実施形態95~119のいずれか一項に記載の方法。
【0137】
実施形態121:前記方法は、被検体の認知能力の改善を引き起こす、実施形態95~120のいずれか一項に記載の方法。
【0138】
実施形態122:前記方法は、被検体の臨床的認知症尺度(CDR)の減少速度の改善、安定化、または低下を引き起こす、実施形態95~121のいずれか一項に記載の方法。
【0139】
実施形態123:前記被検体は人間であり、前記方法は人間による生活の質の知覚される改善を引き起こす、実施形態95~122のいずれか一項に記載の方法。
【0140】
実施形態124:前記方法は、前記被検体に認知障害および/またはアルツハイマー病の治療のための薬物を投与することをさらに含む、実施形態95~123のいずれか一項に記載の方法。
【0141】
実施形態125:前記薬物は、コリンエステラーゼ阻害薬を含む、実施形態124に記載の方法。
【0142】
実施形態126:前記薬物は、ドネペジル、ガランタミン、メマンチン、リバスチグミン、およびメマンチン+ドネペジルからなる群から選択される薬物を含む、実施形態124に記載の方法。
【0143】
実施形態127:被検体の鬱病、短期記憶喪失を治療する、記憶力を改善する、認知機能を改善する、睡眠を改善する、および/または運動能力を改善する方法であって、
前記被検体を、約20Hzから最大約60Hzまで、または約30Hzから最大約50Hzまで、または約35Hzから最大約45Hzまでの範囲、または約40Hzの周波数の青色光を、症状を軽減するか、または前記神経変性状態の進行を遅くするかもしくは停止させる十分な強度および持続時間で点滅させることに曝露することを含む、方法。
【0144】
実施形態128:前記青色光は、約440nmから最大約495nmまで、または約440nmから最大約480nmまで、または約450nmから最大約480nmまで、または約450nmから最大約470nmまでの波長範囲内にある青色光もしくは光の青色スペクトル成分を含む、実施形態127に記載の方法。
【0145】
実施形態129:青色光または光の青色スペクトル成分は、約460nmで最大値を有する、実施形態128に記載の方法。
【0146】
実施形態130:前記点滅する青色光は、実施形態1~92のいずれか一項に記載のデバイス、または実施形態93~94のいずれか一項に記載のシステムによって施される、実施形態128~129のいずれか一項に記載の方法。
【0147】
実施形態131:アルツハイマー病、鬱病、認知症、短期記憶の治療、または学習改善、運動能力改善、もしくは認知能力改善などのための、光療法システムであって、前記光システムは20から50Hzの範囲内(好ましくは約40Hz)の周波数で動作する青色光源を備え、これにより、システムは、脳波(人間の脳内のガンマ振動)を刺激するために人間の網膜神経節細胞が曝露されることを可能にする、光療法システム。
【0148】
実施形態132:アルツハイマー病、鬱病、認知症、短期記憶の治療、または学習改善、運動能力改善、もしくは認知能力改善などのための、光療法システムであって、光システムは人間の眼瞼を照射するための青色光源を備える安眠マスクを含み、前記青色光は20から50Hzの範囲内(好ましくは約40Hz)の周波数で動作し、それによって、脳波(人間の脳内のガンマ振動)を刺激するためにシステムはマスクを着用する人間の網膜神経節細胞を1時間を超える全時間期間にわたって放出青色光の一部(眼瞼を透過する部分)に曝露することを可能にする、光療法システム。
【0149】
実施形態133:アルツハイマー病、鬱病、認知症、短期記憶の治療、または学習改善、運動能力改善、もしくは認知能力改善などのための、光療法システムであって、この光システムは約460nmなどの光スペクトルの青色部分にピーク強度を有する狭スペクトル光源と、可視光スペクトルの大部分または全部をカバーする広スペクトル光源とを備え、狭スペクトル光源は、20から60Hzの範囲内(好ましくは約40Hz)の周波数で動作するストロボ青色光源であり、440nmから480nmの波長範囲内でその出力の大部分を有し、広スペクトル光源は、440nmから480nmの波長範囲の外での出力の大部分を有する連続光源であり、それによって、2つの光源は組み合わされて、実質的に白色の光の照明光を発する、光療法システム。
【0150】
実施形態134:アルツハイマー病、鬱病、認知症、短期記憶の治療、または学習改善、運動能力改善、もしくは認知能力改善などのための、光療法システムであって、光システムは第1の光源と第2の光源とを備え、光源は、20から60Hzの範囲内(好ましくは約40Hz)の周波数で動作し、光源からの組み合わされた光が出力に関して実質的に一定にするように同期される、光療法システム。
【0151】
実施形態135:前記第1の光源は、前記第2の光源の約460nmのスペクトル成分より大きい約460nmのスペクトル成分を有する、実施形態134に記載の光療法システム。
【0152】
実施形態136:前記光源は、LEDベースの光源を備える、実施形態131~135のいずれか一項に記載の光療法システム。
【0153】
実施形態137:前記第1の光源は波長460nm、650nm、および570nmを備え、第2の光源は波長490nm、770nm、および600nmを備える、実施形態131~136のいずれか一項に記載の光療法システム。
【0154】
実施形態138:哺乳類におけるアルツハイマー病、鬱病、認知症を治療する、および/または短期記憶を改善する、および/または学習を改善する、および/または運動能力を改善する、および/または認知能力を改善する方法であって、
前記哺乳類を、約20Hzから約50Hzまでの範囲内の周波数で動作する振動青色光を含む光源に曝露することを含む、方法。
【0155】
実施形態139:システムは、リハビリテーション、回復、理学療法、練習、訓練、および/または競技における遂行能力を最適化するために個人(たとえば、患者、囚人、学生、自宅にいる高齢者、または運動選手)によって使用される、実施形態131~137のいずれか一項に記載の光療法システムを使用する方法。
【0156】
定義
「被検体」、「個人」、および「患者」という語は、本明細書では入れ換え可能に使用されてよく、典型的には哺乳類、いくつかの実施形態では、人間または人間以外の霊長類を指す。本明細書で説明されている光線療法デバイスおよびシステムは、人間に使用することに関して説明されているが、これらは動物、たとえば、家畜への使用も適している。したがって、いくつかの例示的な生物は、限定はしないが、人間、人間以外の霊長類、イヌ科の動物、ウマ科の動物、ネコ科の動物、ブタ、有蹄類、ウサギ目の動物、および同様のものを含む。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書で説明されている光線療法デバイスおよびシステムを家畜哺乳類(たとえば、イヌ科の動物、ネコ科の動物、ウマ科の動物)、実験用哺乳類(たとえば、ハツカネズミ、ネズミ、ウサギ、ハムスター、テンジクネズミ)、および農業用動物(たとえば、ウマ科の動物、ウシ科の動物、ブタ、ヒツジ)、および同様のものに使用することを企図している。「被検体」という語は、病院、クリニック、または研究所に関して特定の状況にあるもの(たとえば、入院患者、研究参加者、または同様のもの)であることを要求しない。したがって、様々な実施形態において、被検者は、外来患者など病院、精神科医療で医師もしくは他の医療従事者の治療を受けている、または他の臨床状況にある、人間(たとえば、成人男性、成人女性、青年期男性、青年期女性、男児、女児)とすることができる。いくつかの実施形態において、被検体は、医師、または他の医療従事者の治療を受けていなくてもよい。いくつかの実施形態において、被検体は、医師または医療従事者の治療を受けていなくてもよく、いくつかの実施形態において、たとえば、本明細書において説明されているデバイスおよび/またはシステムを使用して、光線療法計画を自己処方および/または自己管理するものとしてよい。
【0157】
本明細書で使用されている「治療」、「治療すること」、または「治療する」という語は、疾患もしくは状態の症状もしくは病状、特に、本明細書において説明されている光線療法デバイスおよび光線療法計画を利用して遂行され得るものに対して望ましい効果を生じる活動を指し、限定はしないが、治療されている疾患もしくは状態の1つもしくは複数の測定可能なマーカーにおける最小の変化もしくは改善であってすら含み得る。治療は、この語が適用される疾患もしくは状態のいずれか、またはそのような疾患もしくは状態の1つもしくは複数の症状の発症を遅らせること、もしくは進行を遅らせるかもしくは逆転して回復に向かわせること、重症度を低くすること、または軽減もしくは防止することも指す。「治療」、「治療すること」、または「治療する」は、必ずしも、疾患もしくは状態、またはその関連する症状の完全な撲滅または治癒を示さない。一実施形態において、治療は、治療されている疾患の少なくとも1つの症状の改善を含む。この改善は、部分的な改善または完全な改善であるものとしてよい。この治療を受ける被検体は、それを必要としている被検体である。臨床的改善の例示的なマーカーは、当業者にとって明白であろう。
【0158】
「完全放射体軌跡」または「黒体軌跡」または「Duv」は、入れ換え可能に使用され、白熱黒体の色が黒体温度が変化するときに特定の色度空間内で取る経路または軌跡を指す。これは、低温での深紅から、オレンジ色、黄色がかった白色、白色、そして最終的に非常に高い温度における青みがかった白色へ移って行く。
【0159】
色空間は3次元空間である、すなわち、色は、特定の均一な視覚刺激の色および明るさを指定する3つの数の集まり(CIE座標X、Y、およびZ、たとえば、色相、彩度、および輝度などの他の値)によって指定される。色度は、明るさを無視した2次元空間内に投影される色である。たとえば、標準的なCIE XYZ色空間は、xおよびyとして知られる2つの色度座標によって指定された対応する色度空間に直接投影するが、おなじみの色度図を図に示す。完全放射体軌跡、すなわち、黒体温度が変化するときに黒体の色が取る経路は、この標準的な色度空間内に示されることが多い。
【0160】
光源の「色温度」は、光源の色に相当する色の光を放射する理想的黒体放射体の温度である。色温度は、従来から、絶対温度に対する測定単位である、記号Kを使用する、ケルビンで表されている。
【0161】
光源の「スペクトル成分」は、光源が発生させる光が特定の参照波長範囲内の光を含むことを示す。様々な色に対する近似的な波長および周波数の範囲が表1に示されており、色またはスペクトル成分が色に関して参照されるときに、光は引用されている範囲内の照明光からなるか、または含む。
【0162】
【0163】
したがって、たとえば、青色スペクトル成分を有するか、または含む光源は、少なくとも一部が450nmから495nmの波長範囲内にある照明光を放出する。青色スペクトル成分からなる光源は、すべてが450nmから495nmの波長範囲内にある照明光を放出する。
【0164】
光源または光源の成分に関して本明細書において使用されるときの「ちらつくこと」もしくは「点滅すること」、または「ストロボ」という語は、光源または光源の成分が少なくとも1つのスペクトル成分において2つの異なる明るさ状態(たとえば、高状態と低状態)の間で交互することを示す。いくつかの実施形態において、光源は、その光が放出するすべてのスペクトル成分において高状態と低状態との間で交互するが、高状態および低状態の明るさ/強度は、異なるスペクトル成分では異なり得る。いくつかの実施形態において、光源は、光源のすべての可視光スペクトル成分において2つの異なる明るさ状態の間で交互する。いくつかの状態において、光源は、オン状態とオフ状態との間で交互する。いくつかの実施形態において、光源、またはそのスペクトル成分は、「高」照明光状態(たとえば、完全オン/明るさ)とより低い照明光状態との間で交互する。いくつかの実施形態において、より低い状態は少なくとも1つのスペクトル成分において高状態の、約75%以下、または約70%以下、または約60%以下、または約50%以下、または約40%以下、または約30%以下、または約20%以下、または約10%以下、または約5%以下、または約3%以下、または約1%以下である明るさを有する。
【0165】
「点滅の持続時間」は、最低照明光状態と続く次に低い照明光状態との間の持続時間を指す。
【0166】
第2の光源が発生させるスペクトル成分が第1の光源が発生させるスペクトル成分より小さいということは、第2の光源における参照スペクトル成分が発生させる輝度が第1の光源におけるスペクトル成分が発生させる輝度より小さいということを示す。いくつかの実施形態において、これは、そのスペクトル成分を提供するランプが発生させる最大強度の波長における輝度として測定される。いくつかの実施形態において、これは、注目しているスペクトル成分の全波長範囲にわたって積分される輝度として測定される。いくつかの実施形態において、注目しているスペクトル成分における第2の光源の輝度は、約60%未満、または約50%未満、または約40%未満、または約30%未満、または約20%未満、または約10%未満、または約5%未満、または約3%未満、または約2%未満、または約1%未満である。いくつかの実施形態において、第2の光源は、注目しているスペクトル成分における照明光をもたらさない。
【0167】
「臨界フリッカー融合周波数」、「フリッカー融合閾値」、または「フリッカー融合速度」は、視覚の精神物理学における一概念を指す。これは、間欠的(たとえば、点滅する)光刺激が平均的な人間観察者にとって完全に一様であるように見える周波数として定義される。フリッカー融合閾値は、視覚の残像性に関係する。
【0168】
ちらつく、または点滅する光に関して使用されたときに「源は人間の視覚では実質的に検出不可能である」という言い回しは、照明光で照らされた、または照明光を観察している人間は、点滅する光/光成分の周波数がフリッカー融合閾値未満である場合であっても、光の点滅成分を見ることはできず、その代わりに、その照明光を実質的に一定であると知覚することを意味する。臨界融合周波数は、刺激の輝度およびそのサイズに依存する(たとえば、非特許文献4を参照)。CRT上の全画面白色場のような、中心窩を覆う大きな高輝度刺激については、フリッカー融合は約60Hzで生じる。
【0169】
「光源」および「照明光源」という語は、入れ換え可能に使用され、人間に対して典型的には可視スペクトル範囲内の光を提供するデバイスを指す。光源は1つもしくは複数のランプを含むことができ、特定のスペクトル成分を含む、またはそれらからなる光を送出することができる。
【0170】
「ランプ」または「電球」という語は、入れ換え可能に使用され、典型的には電力の印加によって光を発生させるデバイスを指す。ランプは、限定はしないが、発光ダイオード(LED)、レーザー、タングステン電球(特定のスペクトル成分を提供するようにフィルタがかけられ得る)、ハロゲン電球(特定のスペクトル成分を提供するようにフィルタがかけられ得る)、キセノン電球(特定のスペクトル成分を提供するようにフィルタがかけられ得る)、および同様のものを含む。
【0171】
第1の光源と第2の光源との間の照明光角度の差を参照するときに、光源が発生させる中心光線に関して決定される。いくつかの実施形態において、照明光角度の差は、光が第1または第2の光源からではなく光線療法デバイスから通るときの光の照明光角度を指す。したがって、光線療法デバイスがディフューザまたはコリメータを備える場合、第1の光源と第2の光源との間の照明光角度の差は、同一である。
【0172】
「デューティサイクル」は、信号またはシステムがアクティブである1つの周期の数分の一である。デューティサイクルは、一般に、パーセンテージまたは比として表される。60%のデューティサイクルは、信号(たとえば、光源)がその時間の60%でオン、その時間の40%でオフであることを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0173】
【
図1】本明細書で説明されている光線療法デバイスの例示的な、ただし非限定的な実施形態を示す概略図である。例示されているように、デバイス100は、ランプ103、104、および105を備える第1の光源101と、ランプ106および107を備える第2の光源102と、ディフューザ108と、オン/オフおよび/または明るさ112、点滅周波数113、位相および/またはデューティサイクル114、色温度および/または色相115などのうちの1つもしくは複数に対する制御装置を備えるコントローラ110とを具備得する。
【
図2】青色光療法システムを、脳内のアミロイドプラーク形成を減少させる神経活動を刺激する青色ストロボ光とともに使用することを例示する概略図である。
【
図3】特定の白色光の色が異なる波長の組合せでどのように生成され得るかを例示する色度図である。
【
図4A】光が完全オンとオフ状態との間で変調される本明細書で説明されている光療法デバイスに対する2つの光源の変調の一実施形態を例示する概略図である。
【
図4B】光が高状態(たとえば、完全オン)と低いがゼロではない(オフでない)状態との間で変調される本明細書で説明されている光療法デバイスに対する2つの光源の変調の一実施形態を例示する概略図である。
【
図5】正弦波パターンで交互する2つの光源の変調を例示する別の概略図である。
【
図6】パネルAは、第1の光源(たとえば、LED1)に対する例示的な、ただし非限定的な色度図を示す図である。この図では、光源は波長460nm、550nm、および600nmを有する色からなる。パネルBは、第2の光源(たとえば、LED2)に対する例示的な、ただし非限定的な色度図を示す図である。
【
図7】2つの光源(第1の光源および第2の光源)に対する電源電圧の一実施形態を例示する図である。この例示的な、ただし非限定的な実施形態では、電圧は位相が180度ずれている。第1の光源および第2の光源が発生させる光の組合せの結果、連続的な実質的に一定の照明光が得られる。
【
図8】本明細書で説明されている光線療法デバイスを含む光源を駆動することができる回路の例示的な、ただし非限定的な一実施形態を示す図である。
【
図9】本明細書で説明されている光線療法デバイスの一実施形態のプロトタイプを示す図である。
【
図10】光源が含むLEDの上に装着されている例示的なディフューザを示す図である。
【
図11】光線療法デバイスにおける着色(たとえば、黄色)光の生成に対する例示的な、ただし非限定的な色度図を示す図である。
【
図12】本明細書で説明されている光線療法デバイスにおいて有用なArduinoマイクロコントローラを例示する図である。
【
図13】マウント、ドライバ電子機器、およびマイクロコントローラがすべて配線済みのLEDを例示する図である。
【
図14】本明細書で説明されているデバイスの一実施形態におけるLEDの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0174】
40ヘルツでちらつく光は、視覚野内の脳波活動(たとえば、ガンマ振動)を刺激することによってアルツハイマー病(AD)マウスモデルのベータアミロイドプラーク形成(アルツハイマー病の初期臨床的兆候)を低減することができる(たとえば、非特許文献3を参照)ことを新たな研究が示している。しかしながら、マウスでの試験は、ちらつく光のマイナスの副作用のせいで人間には再現され得ず、本質的に、臨床試験においてこの方法を追求する機会を阻んでいる。
【0175】
特に、人間に施されるちらつく光は、痙攣(たとえば、てんかん患者、またはてんかんを起こしやすい傾向のある被検体における)を誘発すること、頭痛を誘発すること、視覚疲労の原因になること、ピント合わせおよび/または注意力を阻害すること、眼の不快感および/または情動面の不快感を引き起こすこと、望ましくないぎらつきをもたらすことが観察されている。また、いくつかの周波数における点滅光は人間および人間以外の哺乳類にストレスを生じることも知られている。これらの悪影響は、たぶん非常に短い時間間隔では被検体によっては耐えられるが、長い時間間隔(たとえば、約10分を超える、または約15分を超える、または約30分を超える、または約45分を超える、または約1時間を超える、または約1.5時間を超える、または約2時間を超える、または約2.5時間を超える、または約3時間を超える)にわたって人間にちらつく光を施す計画の治療応用を妨げると考えられている。
【0176】
様々な実施形態において、脳振動(たとえば、ガンマ振動)を誘発するか、または同調させ(entrain)、それによって、限定はしないが、アルツハイマー病、軽度認知障害(MCI)、認知症、および同様のものを含む様々な神経変性状態を軽減するか、または防止する効果のある点滅照明光を送出する光線療法デバイスが提供される。光線療法デバイスは、点滅光が被検体(たとえば、人間)によって一般的に知覚不可能であるが、脳振動を誘発し、および/または同調させる効果は残るように設計される。点滅は、被検体によって観察され得ないので、上で参照されている点滅光の悪影響は、実質的に回避され、有効な長時間光線療法治療を可能にし得ると考えられている。
【0177】
特定の理論に束縛されることなく、本明細書で説明されている光線療法システムおよびデバイスは、限定はしないが、アルツハイマー病(AD)、認知症、軽度認知障害(MCI)、および同様のものを含む様々な神経変性状態の予防および/または治療に有用であると考えられている。これは、公衆衛生に対して重要な意味を有する。
【0178】
欧州および米国における最大の人口統計学上の課題の1つは、アルツハイマー病および認知症の人々が急速に増えていることである(世界の人口の約30%が神経変性病であるか、またはこれから患うことになる)。認知症は、60歳以上の人々の主な死亡原因のうちの1つである。認知症に耐えて生活している欧州人および米国人の数の増加は、すでに、保健制度および経済社会システムに重大な問題を引き起こしており、米国では2500億ドルを超える保健医療費を負担することになる。大半の人々にとって、認知機能低下は、記憶が衰え、知覚および注意力を欠くことから始まる。
【0179】
今日アルツハイマー病および認知症が事実上治療不可能であることに気付くことが重要である。数十年にわたって科学的および薬学的研究がなされてきたにもかかわらず、患者はこの疾患の回復および好転の望みもないまま放置され、せいぜい、現在の利用可能な治療は、症状を緩和し、疾患の進行をわずかに遅らせることしかできない。
【0180】
本明細書で説明されている光線療法デバイスおよびシステムは、アルツハイマー病に似た症状に関連付けられており、繰り返し頭部外傷(一連の脳震盪)を受けた運動選手が経験する神経変性脳疾患慢性外傷性脳障害(CTE)の治療および/または予防に使用できると考えられている。近年、米国のフットボール選手に対するスポーツ分野における重大な問題が明らかにされており、記憶喪失、錯乱、攻撃性、怒り、およびときに自殺行動を伴うポストキャリアの問題が広範囲に及んでいる。
【0181】
上記に関連して、ストレスの多い生活、夜勤の仕事、およびホルモン擾乱物質など、睡眠不足の生活は、神経疾患の増加にさらに関わる。科学研究は、睡眠不足とアルツハイマー病および認知症の発症との間に明確な関係があることを示している。一例として、外科医(24時間交替制勤務)は、一般住民に比べて約10年早くアルツハイマー病を患う。交代勤務の労働者および時差ぼけに頻繁に曝されている人々について類似の結果が知られており、懸念は忙しいビジネスピープルにまで及んでいる。これの根本的原因は、睡眠中に、放っておけばプラークになり、再びアルツハイマー病および認知症に至るニューロンの死の原因となる毒性タンパク質を脳が自然に減らすことである。
【0182】
したがって、本明細書では、脳振動(たとえば、ガンマ振動)を誘発し、および/または同調し、それによって様々な神経疾患の予防および/または治療において機能する効果があると考えられる光線療法システムおよびデバイスが提供される。それに加えて、これらのデバイスおよびシステムの使用の方法も提供される。
【0183】
光線療法デバイス
被検体の視覚に実質的影響を及ぼすことなく脳の異なる部分(海馬など)におけるニューロン応答を変調する治療用ランプ(またはランプシステム)(光線療法デバイス)を提供することが可能であることが発見された(たとえば、
図1を参照)。特定の実施形態において、光線療法デバイスは、脳振動(たとえば、ガンマ振動)を誘発するか、または同調し、それによって、認知を改善し、および/または神経変性疾患を予防もしくは軽減する効果のある点滅光をもたらす。機能的核磁気共鳴映像法を使用して青色および緑色の光源への脳応答を調べる研究において、海馬の活動が緑色光に比べて青色光に応答して著しく高まることが発見された(たとえば、非特許文献2、および同様のものを参照)。
【0184】
この発見を利用して、照明光の複数の波長を利用する光線療法デバイスが開発された。いくつかの実施形態において、特定の波長(たとえば、スペクトル成分)が、時間的に変化する強度(たとえば、点滅)で施すことによって脳活動を刺激するか、または同調させるように選択され、他の波長は時間的に変化する刺激の悪影響を軽減するために利用される。とりわけ、デバイスにおいて複数の波長を使用する一利点は、脳応答が特定の波長に依存し、この波長の依存は、視覚の波長感度と異なることである。人間(および他の哺乳類)の視覚の網膜内の受容体の波長感度は、ホルモン活動および脳(たとえば、海馬)内の活動を制御する受容体(非視覚的な神経節細胞)の波長感度と異なる。
【0185】
本発明の発明者らは、したがって、脳内のニューロン反応の変調が視覚に実質的影響を及ぼすことなく得られる光線療法デバイスを開発することが可能であることを理解している。したがって、システムは、変調される人間(または他の哺乳類)の脳活動による経験を提供するが、被検体は、点滅/ストロボ効果に気付かない。
【0186】
いくつかの実施形態において、これは、2つの光源を提供する少なくとも2つを備える光線療法デバイスによって達成される。第1の光源は、青色光成分を含み、光源は哺乳類に脳振動を誘発するか、または同調させる周波数および強度で点滅する。青色成分tを欠くか、または青色成分が第1の光源であるより実質的に低いレベルの青色成分を含む第2の光源が提供される。第1の光源および第2の光源のスペクトル組成が異なるにもかかわらず、スペクトル成分は、第1の光源および第2の光源が発生させる照明光が人間(または他の哺乳類被検体)の視覚には(たとえば、色について)実質的に区別できないように選択される。
図3および
図6は、特定の光の色(たとえば、白色光)が異なる波長の組合せでどのように生成され得るかを例示する典型的な色度図を示している。典型的には、第1の光源および第2の光源は両方とも、「白色」に見えるが、光源は他の色を提供するように動作させることが可能であることは理解され、それは色度図から明白である。
【0187】
第1の光源の少なくとも青色成分は点滅しており、典型的には、第1の光源全体が点滅しているので、点滅を実質的に検出不可能にするために、第2の光源は点滅モードで動作され、したがって第1の光源における強度変化を補正する。したがって、たとえば、第1の光源が強度を減じたときに、第2の光源はそれに対応して強度の増大をもたらす。逆に、第1の光源が強度を高めたときに、第2の光源はそれに対応して強度の減少をもたらす。その結果、点滅する青色スペクトル成分が生成され、組み合わされた照明光(第1および第2の光源)はその強度および色が実質的に一定しているように見える。
【0188】
したがって、様々な実施形態において、点滅周波数がフリッカー融合閾値より低い場合でも点滅が人間の視覚では実質的に検出不可能である治療強度および波長の点滅する(ちらつく)照明光(たとえば、青色光成分)を送出する光線療法デバイスが提供される。他のそのようなデバイスは、
図1に概略として示されている。そこに例示されているように、光線療法デバイス100は、少なくとも青色スペクトル成分(および第1の光源が発生させるすべての照明光)が点滅光としてもたらされる青色スペクトル成分を含むか、それからなる光を発生させる第1の光源101を備える。光線療法デバイスは、また、典型的には、青色スペクトル成分を実質的に欠いている(たとえば、約450nmから約495nmまでの範囲内の光成分を実質的に欠いている)光を発生させる第2の光源102を備えるか、または第2の光源が青色スペクトル成分を発生させる場合に、第2の光源が発生させる青色スペクトル成分は第1の光源が発生させる光の青色スペクトル成分より小さい。典型的には、第2の光源が発生させる照明光は、点滅周波数がフリッカー融合速度未満(たとえば、約60Hz未満)である場合であっても、第1の光源の点滅が前記第2の光源からの光と組み合わされたときに人間の視覚では実質的に検出不可能であるように第1の光源が発生させた照明光を補う。
【0189】
いくつかの実施形態において、第1の光源の点滅周波数および強度は、人間が前記光源に曝露されたときに人間の脳における脳波を刺激するか、または同調させるのに十分である。いくつかの実施形態において、刺激されるか、または同調される脳波はガンマ振動を含む。
【0190】
「ガンマ波」または「ガンマ振動」は、約25から約100Hzの間の周波数の人間における神経振動のパターンであるが(非特許文献5)、40Hzが標準的である(非特許文献6)。ガンマ波は、意識および閾下刺激の両方における視覚的手がかりからの神経活動同期性として観察され得る(たとえば、非特許文献7、非特許文献8、非特許文献9、非特許文献10、および同様のものを参照)。ガンマ波は、また、視覚化を伴う、レム睡眠および麻酔時にかかわる(たとえば、非特許文献11を参照)。
【0191】
特定の理論に束縛されることなく、適切な点滅光を用意することでニューロン活動を同期させることができ、これは認知症またはアルツハイマー病の人々にとって有益であると考えられているが、それはニューロン活動が人間活動の記憶および協調を改善しよりよいものにするからである。より具体的には、ガンマ振動の誘発または同調しに対する点滅照明光の使用は、アミロイド負荷を減衰させ、および/または哺乳類の脳内の小グリア細胞を修正することができると考えられている。したがって、本明細書で説明されている光線療法デバイスが発生させる点滅光は、アルツハイマー病、認知症、軽度認知障害(MCI)、および関係する状態の治療/または防止に有用であると考えられている。この点で、
図2は、光線療法デバイスまたはシステムが、本明細書において説明されているように、点滅光源を使用して神経活動を刺激し、脳内のアミロイドプラーク形成をどのように減少させることができるかを概略として示している。光療法システムは、患者の眼の中の神経節細胞への光曝露を行い、人がストロボ光効果によってたいていは乱されないように、脳波、いわゆるガンマ振動を刺激する。
【0192】
上で指摘されているように、いくつかの実施形態において、光線療法デバイスは、異なる波長を備える2つ(またはそれ以上)の光源を使用し、第1の光源はストロボ(点滅)青色光または青色光成分を介して脳を刺激する働きをし、第2の光源は2つの光源からの組み合わされた光に曝露されている人間がストロボ(点滅)光効果による視覚的に不利な作用を受けないように第1の光源を補う働きをする。上で指摘されているように、いくつかの実施形態において、第2の光源が発生させる照明光は、点滅周波数がフリッカー融合速度未満(たとえば、約60Hz未満)である場合であっても、第1の光源の点滅が前記第2の光源からの光と組み合わされたときに人間の視覚では実質的に検出不可能であるように第1の光源が発生させた照明光を補う。
【0193】
より具体的には、いくつかの実施形態において、光線療法デバイスは、ほとんど同じ色温度を有する、2つの光源(たとえば、2つのLEDシステム)、すなわち、第1の光源と第2の光源(それぞれ光源1および2)とを備える。典型的には、第1の光源は、たとえば、青色ランプ(
図1の103)が発生させる青色スペクトル成分を含むか、またはそれからなり、少なくとも青色スペクトル成分は点滅成分である。いくつかの実施形態において、第1の光源が発生させるすべての照明光は、点滅照明光である。
【0194】
いくつかの実施形態において、第1の光源は、青色スペクトル成分、緑色スペクトル成分、およびオレンジ色および/または赤色スペクトル成分を含むか、またはそれらからなる光を発生させる。いくつかの実施形態において、第1の光源は、もっぱら青色光を放出するランプ(
図1に例示されている実施形態における103)、もっぱら緑色光を放出するランプ(
図1に例示されている実施形態における104)、ならびにもっぱらオレンジ色および/もしくは赤色光を放出するランプ(
図1に例示されている実施形態における105)を備えるか、またはそれらからなる。ランプの数はいくつでも適しているが、いくつかの実施形態では、ランプは1つまたは複数のLEDを備える。
【0195】
図6のパネルAは、第1の光源に対する例示的な実施形態の色度図を示している。図示されているように、第1の光源は、460nm、550nm、および600nmの波長(たとえば、波長最大値)を有する3つの色を有する。色座標は、
図6のパネルAの色度図に示されている。そこに例示されているように、3つの色の色混合により、約3000Kの色温度を有する黒体放射体に類似する白色光源が得られる。これは
図6のパネルAの黒色矢印で示されている。例示的であるが、非限定的な一実施形態(たとえば、
図1を参照)において、これは、第1の光源で3つの異なるランプ(たとえば、LED)を提供することによって達成され得る。青色スペクトル成分を発生させる1つのランプ103、緑色スペクトル成分を発生させる1つのランプ104、ならびに赤色および/またはオレンジ色スペクトル成分を発生させる1つのランプ105である。第1の光源101は、
図1において、3つのランプを含むものとして示されているが、第1の光源はより多くのまたはより少ないランプを含むか、またはそれらからなると理解されることに留意されたい。たとえば、複数の(たとえば、2、3、4、またはそれ以上)のランプ103が、青色スペクトル成分を生成するために使用されてよく、および/または複数の(たとえば、2、3、4、またはそれ以上)のランプ104が、緑色スペクトル成分を生成するために使用されてよく、および/または複数の(たとえば、2、3、4、またはそれ以上)のランプ105が、オレンジ色/赤色スペクトル成分を生成するために使用されてよい。したがって、望ましい場合に、いくつかの実施形態において、特定のスペクトル成分の強度を高めるために複数のランプが使用され得る。いくつかの実施形態において、2つ(またはそれ以上)のスペクトル成分は、単一のランプによって、または単一のランプの複数の複製体によって生成され得る。
【0196】
第2の光源は、青色スペクトル成分を欠く光を発生させるか、または第1の光源が発生させる光の青色スペクトル成分より小さい青色スペクトル成分を発生させる。いくつかの実施形態において、第2の光源は、青色/緑色スペクトル成分、オレンジ色スペクトル成分、および赤色/遠赤外スペクトル成分を含むか、またはそれらからなる光を発生させるか、または第2の光源は、青色スペクトル成分を完全に欠く(たとえば、本質的に、緑色スペクトル成分、およびオレンジ色/赤色スペクトル成分からなる)光を発生させる。
【0197】
いくつかの実施形態において、
図6のパネルBに例示されているように、第2の光源は、青色スペクトル成分を実質的に欠いている光をもたらすことができる。
図1、および
図6のパネルBに例示されている実施形態において、第2の光源は、緑色スペクトル成分およびオレンジ色/赤色スペクトル成分からなる(または本質的にそれらからなる)光を発生させる。
【0198】
いくつかの実施形態において、第2の光源は、もっぱら緑色光を放出する(たとえば、もっぱら緑色スペクトル成分を発生させる)ランプ(たとえば、
図1の106)、ならびにもっぱらオレンジ色または赤色光を放出するランプ(たとえば、
図1の107)を含むか、またはそれらからなる。第2の光源102は、
図1において、2つのランプを含むものとして示されているが、第2の光源はより多くのまたはより少ないランプを含むか、またはそれらからなり得ると理解されることに留意されたい。たとえば、複数の(たとえば、2、3、4、またはそれ以上)のランプ106が、緑色スペクトル成分を生成するために使用されてよく、および/または複数の(たとえば、2、3、4、またはそれ以上)のランプ107が、オレンジ色および/または赤色スペクトル成分を生成するために使用されてよい。したがって、望ましい場合に、いくつかの実施形態において、特定のスペクトル成分の強度を高めるために複数のランプが使用され得る。いくつかの実施形態において、2つ(またはそれ以上)のスペクトル成分は、単一のランプによって、または単一のランプの複数の複製体によって生成され得る。
【0199】
第1の光源および/または第2の光源において使用するランプの数はいくつでも適している。しかしながら、様々な典型的な実施形態において、ランプは1つまたは複数のLEDを備える。
【0200】
図1、および
図6のパネルBに例示されている実施形態において、第2の光源は2つのランプ(たとえば、2個のLED)を備え、2つのスペクトル成分をもたらす。したがって、第2の光源は、それぞれ、500nmおよび610nmの光を放出するLEDを備えることができ、ランプは、300K+ΔTの色温度を有する白色光を放出する(たとえば、
図6のパネルBを参照)。人間の眼で2つのランプを直接見ると、2つのランプLED1およびLED2は、次の4つの条件が満たされた場合に、同一であるか、またはほとんど同一であるように見える。
【0201】
1)第1の光源と第2の光源との間の相関色温度の差ΔTが小さい(たとえば、約50K以下、もしくは約30K以下、もしくは約20K以下、もしくは約10K以下、もしくは約5K以下、またはいくつかの実施形態では、約0.5Kから、もしくは約1Kから、もしくは約5Kから約10Kまでの範囲内)。
【0202】
2)各光源(光源1および光源2)について、黒体軌跡までの距離Duvが小さい(たとえば、約0.01未満、または約0.001未満、または約0.0001未満)。
【0203】
3)第1の光源および第2の光源は、おおよそ同じルクスレベルの照明光をもたらす(たとえば、第1の光源と第2の光源との間の強度の差は、約100ルクス未満、または約75ルクス未満、または約50ルクス未満、または約40ルクス未満、または約30ルクス未満、または約20ルクス未満、または約10ルクス未満、または約5ルクス未満、または約2ルクス未満である)。
【0204】
4)第1の光源および第2の光源は、実質的に同じ方向に光を放出する(たとえば、第1の光源と第2の光源との間の照射光角度の差は、約30度未満、または約25度未満、または約20度未満、または約15度未満、または約10度未満、または約5度未満、約1度以下である)。
【0205】
図6に例示されている例において、光源1(第1の光源)および光源2(第2の光源)は、3つの色および2つの色からなる。しかしながら、一般に両方の光源ランプは多数の(3または2より多い)色からなることがある。しかしながら、効果を最大にするために、ΔTが小さく保たれること、および各ランプに対するD
uvが小さいことが望ましい。
【0206】
別の例示的な、ただし非限定的な実施形態において、第1の光源は、波長460nm(青色スペクトル成分)、570nm(緑色スペクトル成分)、および650nm(赤色スペクトル成分)を備えるLEDベースの光源(たとえば、ランプ)であり、第2の光源(たとえば、ランプ)は、波長490nm(青色スペクトル成分)、770nm(遠赤外スペクトル成分)(または670nm(赤色スペクトル成分))、および600nm(オレンジ色スペクトル成分)を備えるLEDベースの光源である。
【0207】
上で指摘されているように、第1および/または第2の光源において様々なスペクトル成分をもたらすランプは、特定のスペクトル成分に寄与する複数のランプを含み得る。いくつかの実施形態において、異なる波長プロファイルを有する複数のランプが「単一の」スペクトル成分に寄与し得ることは理解される。したがって、たとえば、青色スペクトル成分は、460nmの波長の最大の放出を有する1つのランプと480nmの波長の最大の放出を有する第2のランプとの組合せによって生成され得る。これは、例示的で非限定的である。本明細書に提示されている教示を使用することによって、当業者であれば、ごく普通に1つまたは複数のランプを利用して、本明細書において説明されている光線療法デバイスに使用するのに適している光源をもたらすことができる。
【0208】
2つの光源(第1の光源および第2の光源)の強度(および/またはスペクトル組成)の変化は、第1の光源における強度変化(および/または可視光色変化)が第2の光源における強度変化(および/または可視光色変化)によって補償され、実質的に一定である(たとえば、ちらつきのない)組合せ照明光をもたらすように実質的に同期/協調させられる。したがって、2つの光源の交互する組合せの概略図を示す、
図4Aに例示されているように、光源は、第1の光源がオンになったときに第2の光源がオフになるように位相が180度ずれてオン/オフ変調される。これは、2つの光源、たとえば
図7に示されているLED1およびLED2に対する電源電圧によっても例示される。ここでもまた、2つの電圧は位相が180度ずれており、したがって、光源のうちの一方が「オン」であるときに他方の光源は「オフ」である。上記の4つの条件が満たされたときに、2つの光源は同じ外観を有し、ランプが互いの点滅を、たとえば上で説明されているように補償するときに、点滅は、光線療法デバイスによって照らされるか、または光線療法デバイスを覗き込んだときに人間の眼には見えない。
【0209】
したがって、いくつかの実施形態において、光源(第1の光源および第2の光源)は、第2の光源によってもたらされる照明光が第1の光源によってもたらされる照明光の変化を補正し、それによって被検体に対してフリッカー融合周波数より低い点滅速度であっても被検体にとって(たとえば、人間または人間以外の哺乳類にとって)実質的に一定であるように見える照明光をもたらすように位相をずらして動作される、
【0210】
図4A、
図4B、および
図6に示されている図解例では、光源はオンオフ(または高低)変調され、本質的に方形波電圧源によって駆動される。しかしながら、第1の光源および第2の光源は、段階的線形または非線形方式で増大および減少させることができることは理解される。したがって、たとえば、
図5は、交互する光源の別の概略図を示しており、光源は正弦波形で変調される。したがって、光源が同時に放射線を放出している期間があるが、それぞれのレベルにおいて(任意の所与の時刻において)一定の全照射光を発生させる。両方の例において、光源の組合せから放出される全出力は時間が経過する中で実質的に均一である。したがって、人間が経験するのは、一定の白色光照明であるが、白色光は2つの異なる光源からなり、一方の光源は網膜における非視神経節細胞に、たとえば440nmから480nmの実質的により多くの光をもたらし、したがって、約460nmのストロボ光を介して脳活動を増大させた。照明光に対する他の波形も使用できることも理解される。そのような波形は、限定はしないが、三角波、鋸波、様々な非線形波形、および同様の波形を含む。
【0211】
特に第1および第2の光源に使用され得る様々な可能な波形に関して、これら2つの光源は、必ずしも、位相が180度ずれて動作する必要はない。したがって、いくつかの実施形態において、第1の光源と第2の光源との間の位相差は、約45度から、または約60度から、または約75度から、または約90度から最大約180度まで、または約165度まで、または約150度まで、または約135度までの範囲内である。いくつかの実施形態において、第1の光源と前記第2の光源との間の位相差は、第1の光源がオンになったときに第2の光源がオフになり、また逆もまた同様になるように約180度である。
【0212】
図4A、
図4B、および
図6は、約50%のデューティサイクルで動作している第1の光源および第2の光源を例示している。したがって、たとえば、例示的な、ただし非限定的な一実施形態において、光線療法デバイスは、光源の交互組合せを40Hzで50%のデューティサイクルにおいて使用する。したがって、青色スペクトル成分(たとえば、460nmの光)を備える第1の光源は40Hzのストロボ光を発生させ、第2の光源(たとえば、460nmの光を備えない)は40Hzでストロボ光を発生させる。これら2つの光源は、第1の光源がオンにされたときに第2の光源がオフにされ、その逆も行われるように、実質的に同期される。
【0213】
しかしながら、交互デューティサイクルも企図されている。いくつかの実施形態において、第1の光源および/または第2の光源のデューティサイクルは、約5%以上、または約10%から、または約15%から、または約20%から、または約25%から、または約30%から、または約35%から、または約40%から最大約90%まで、または約85%まで、または約80%まで、または約75%まで、または約70%まで、または約65%まで、または約60%までの範囲内である。いくつかの実施形態において、第1の光源および第2の光源のデューティサイクルは同じである(たとえば、いくつかの実施形態において、両方の光源は50%デューティサイクルまたは上記の他のデューティサイクルのうちの1つで動作する)。しかしながら、他の実施形態において、第1の光源および第2の光源は、異なるデューティサイクルを有する。したがって、たとえば、いくつかの実施形態において、第1の光源のデューティサイクルは10%であり、第2の光源のデューティサイクルは90%である(たとえば、10:90のデューティサイクル比)。企図されている他のデューティサイクル比は、限定はしないが5:95、25:75、75:25、95:5、および同様の比を含む。いくつかの実施形態において、第1の光源と第2の光源とのデューティサイクルの比は、約1:10から約10:1まで、または約1:5から約5:1まで、または約1:2から約2:1までの範囲内であるか、または約1:1である。
【0214】
上で指摘されているように、様々な実施形態において、第2の光源の青色スペクトル成分は、第1の光源の青色スペクトル成分より低い。いくつかの実施形態において、これは、約450nmから約495nmまでの波長範囲内の最大強度の波長における輝度として測定される。いくつかの実施形態において、これは、約450nmから約495nmまでの波長範囲にわたって積分される輝度として測定される。いくつかの実施形態において、青色スペクトル成分における第2の光源の輝度は、第1の光源が発生させる青色スペクトル成分における輝度に比べて約60%未満、または約50%未満、または約40%未満、または約30%未満、または約20%未満、または約10%未満、または約5%未満、または約3%未満、または約2%未満、または約1%未満である。いくつかの実施形態において、第2の光源は、青色スペクトル成分(たとえば、約450nmから約495nm)における照明光をもたらさない。
【0215】
当業者であれば、光のスペクトル成分の点滅または光源全体の点滅は、全オンと全オフの状態の間の交互切り替えである必要はないことを理解するであろう。それとは反対に、たとえば
図4Bに例示されているように、そのような点滅は、単純に、高状態(たとえば、明るい光)と低状態(たとえば、薄暗い光)との間の変化であってもよい。
【0216】
いくつかの実施形態において、第1の光源(もしくはそのスペクトル成分)および/または第2の光源(もしくはそのスペクトル成分)の点滅の周波数は、約20Hzから、または約30Hzから、または約35Hzから、または約40Hzから、最大約100Hzまで、または約80Hzまで、または約60Hzまで、または約50Hzまで、または約45Hzまでの範囲内である。いくつかの実施形態において、第1の光源(もしくはそのスペクトル成分)および/または第2の光源(もしくはそのスペクトル成分)の点滅の周波数は約20Hzから約50Hzまでの範囲内である。いくつかの実施形態において、第1の光源(もしくはそのスペクトル成分)および/または第2の光源(もしくはそのスペクトル成分)の点滅の周波数は約40Hzである。
【0217】
いくつかの実施形態において、第1の光源(もしくはそのスペクトル成分)および/または第2の光源(もしくはそのスペクトル成分)の点滅の持続時間は、約1msから、または約5msから最長約50msまで、または約40msまで、または約30msまで、または約20msまで、または約15msまで、または約10msまでの範囲内である。いくつかの実施形態において、第1の光源(もしくはそのスペクトル成分)および/または第2の光源(もしくはそのスペクトル成分)の点滅の持続時間は約5msから最長約20msまで、または約8msから最長約15msまでの範囲内である。
【0218】
いくつかの実施形態において、第1の光源および/または第2の光源の色温度は、約2700Kから、または約2800Kから、または約2900Kから最大約6500Kまで、または約5000Kまで、または約4000Kまで、または約3500Kまでの範囲内である。いくつかの実施形態において、第1の光源および/または第2の光源の色温度は、約2900Kから最大約3100Kまでの範囲内である。いくつかの実施形態において、第1の光源および/または第2の光源の色温度は、約3000Kである。上で示されているように、様々な実施形態において、第1の光源と第2の光源との間の相関色温度の差ΔTを小さい値(たとえば、約50K以下、もしくは約30K、もしくは約20K以下、もしくは約10K以下、もしくは約5K以下に保持するか、またはいくつかの実施形態では、約0.5Kから、もしくは約1Kから、もしくは約5Kから最大約10Kまでの範囲内)に保持することが望ましい。
【0219】
いくつかの実施形態において、第1の光源および/または第2の光源は、約10lmから、または約25lmから、または約50lmから、または約100lmから、または約500lmから最大約10,000lmまで、または約5,000lmまで、または約1000lmまでの範囲内である光度をもたらす。
【0220】
いくつかの実施形態において、第1の光源は、約440nmから最大約500nmまで、または約450nmから最大約490nmまで、または約450nmから最大約480nmまで、または約450nmから最大約470nmまで、または約455nmから最大約465nmまでの波長範囲内で約5mW/nm/m2より大きい放射照度をもたらす。
【0221】
いくつかの実施形態において、第1の光源の光は、少なくとも約10ルクス、もしくは少なくとも約20ルクス、もしくは少なくとも約30ルクス、もしくは少なくとも約40ルクス、もしくは少なくとも約50ルクス、もしくは少なくとも約60ルクス、もしくは少なくとも約70ルクス、もしくは少なくとも約80ルクス、もしくは少なくとも約90ルクス、もしくは少なくとも約100ルクス、もしくは少なくとも約120ルクス、もしくは少なくとも約130ルクス、もしくは少なくとも約140ルクス、もしくは少なくとも約150ルクス、もしくは少なくとも約160ルクス、もしくは少なくとも約170ルクス、もしくは少なくとも約180ルクス、もしくは少なくとも約190ルクス、もしくは少なくとも約200ルクス、もしくは少なくとも約300ルクス、もしくは少なくとも約400ルクス、もしくは少なくとも約500ルクス、もしくは少なくとも約600ルクス、もしくは少なくとも約700ルクス、もしくは少なくとも約800ルクス、もしくは少なくとも約900ルクス、もしくは少なくとも約1000ルクスの全照度および/または青色スペクトル成分の照度を有する。
【0222】
いくつかの実施形態において、第2の光源の光は、少なくとも約10ルクス、もしくは少なくとも約20ルクス、もしくは少なくとも約30ルクス、もしくは少なくとも約40ルクス、もしくは少なくとも約50ルクス、もしくは少なくとも約60ルクス、もしくは少なくとも約70ルクス、もしくは少なくとも約80ルクス、もしくは少なくとも約90ルクス、もしくは少なくとも約100ルクス、もしくは少なくとも約120ルクス、もしくは少なくとも約130ルクス、もしくは少なくとも約140ルクス、もしくは少なくとも約150ルクス、もしくは少なくとも約160ルクス、もしくは少なくとも約170ルクス、もしくは少なくとも約180ルクス、もしくは少なくとも約190ルクス、もしくは少なくとも約200ルクス、もしくは少なくとも約300ルクス、もしくは少なくとも約400ルクス、もしくは少なくとも約500ルクス、もしくは少なくとも約600ルクス、もしくは少なくとも約700ルクス、もしくは少なくとも約800ルクス、もしくは少なくとも約900ルクス、もしくは少なくとも約1000ルクスの全照度を有する。
【0223】
いくつかの実施形態において、第1の光源および第2の光源に対する黒体軌跡までの距離DUVは約0.01未満、または約0.001未満、または約0.0001未満である。いくつかの実施形態において、第1の光源および第2の光源に対する黒体軌跡への距離DUVは、約0.0001以下である。
【0224】
いくつかの実施形態において、第1の光源と第2の光源との間の強度の差は、約100ルクス未満、または約75ルクス未満、または約50ルクス未満、または約40ルクス未満、または約30ルクス未満、または約20ルクス未満、または約10ルクス未満、または約5ルクス未満、または約2ルクス未満である。
【0225】
様々な実施形態、例示的な、ただし非限定的な実施形態において、第1の光源および第2の光源は、実質的に同じ方向に光を放出する。いくつかの実施形態において、第1の光源と第2の光源との間の照明光角度の差は、約30度未満、または約25度未満、または約20度未満、または約15度未満、または約10度未満、または約5度未満、または約3度未満、または約1度未満である。いくつかの実施形態において、照明光方向の同時整列は、光線療法デバイスにディフューザ(たとえば、
図1の108および
図10の画像を参照)および/またはコリメータを備えることによって達成される。
【0226】
いくつかの実施形態において、光源は、青色スペクトル成分、緑色スペクトル成分、およびオレンジ色または赤色スペクトル成分を含むか、またはそれらからなる。これは、とりわけ、第1の光源にもっぱら青色光を放出するランプ、もっぱら緑色光を放出するランプ、ならびにもっぱらオレンジ色および/もしくは赤色光を放出するランプを備えることによって達成され得る。いくつかの実施形態において、第1の光源の青色光、または第1の光源の青色スペクトル成分、またはランプによって放出される青色光は、約440nmから最大約495nmまで、または約440nmから最大約480nmまで、または約450nmから最大約480nmまで、または約450nmから最大約470nmまでの波長範囲内にある。いくつかの実施形態において、第1の光源の青色光、または第1の光源の青色スペクトル成分、またはランプによって放出される青色光は、約460nmで最大放出を有する。
【0227】
いくつかの実施形態において、第1の光源の緑色光、または第1の光源の緑色スペクトル成分、または第2の光源が含むランプによって放出される緑色光は、もっぱら、約495nmから最大約570nmまで、または約500nmから、または約510nmから、または約520nmから、または約530nmから、または約540nmから、または約550nmから最大約570nmまでの波長範囲内にある。これは、とりわけ、もっぱら第1の光源に約550nmから最大約570nmまでの波長範囲内の光を放出するランプを備えることによって達成され得る。いくつかの実施形態において、第1の光源の緑色光、または第1の光源の緑色スペクトル成分、またはランプによって放出される緑色光は、約550nmまたは約570nmで最大放出を有する。
【0228】
いくつかの実施形態において、第1の光源のオレンジ色/赤色光、または第1の光源のオレンジ色/赤色スペクトル成分、または第2の光源が含むランプによって放出されるオレンジ色/赤色光は、もっぱら、約590nmから最大約750nmまで、または約600nmから最大約700nmまで、または最大約650nmまでの波長範囲内にある。いくつかの実施形態において、第1の光源のオレンジ色/赤色光、または第1の光源のオレンジ色/赤色スペクトル成分、またはランプによって放出されるオレンジ色/赤色光は、もっぱら、約600nmから最大約650nmまでの波長範囲内にある。いくつかの実施形態において、第1の光源のオレンジ色/赤色光、または第1の光源のオレンジ色/赤色光スペクトル成分、またはランプによって放出されるオレンジ色/赤色光は、約600nmまたは約650nmで最大放出を有する。
【0229】
いくつかの実施形態において、第2の光源は、青色/緑色スペクトル成分、オレンジ色スペクトル成分、および赤色/遠赤外スペクトル成分を含むか、もしくはそれらからなるか、または第2の光源は、緑色スペクトル成分およびオレンジ色/赤色光成分を含むか、もしくはそれらからなる。いくつかの実施形態において、第2の光源は、もっぱら青色/緑色光を放出するランプ、もっぱらオレンジ色光を放出するランプ、ならびにもっぱら赤色/遠赤外光を放出するランプを含むか、もしくはそれらからなるか、または第2の光源は、もっぱら緑色光を放出するランプともっぱらオレンジ色/赤色光を放出するランプとを含むか、もしくはそれらからなる。
【0230】
いくつかの実施形態において、第2の光源は、もっぱら青色/緑色光を放出するランプ、もっぱらオレンジ色光を放出するランプ、ならびにもっぱら赤色/遠赤外光を放出するランプを含むか、もしくはそれらからなる。
【0231】
いくつかの実施形態において、第2の光源の青色/緑色光、または第2の光源の青色/緑色スペクトル成分、または第2の光源が含むランプによって放出される青色/緑色光は、もっぱら、約490nmから最大約570nmまで、または約500nmから、または約510nmから、または約520nmから、または約530nmから、または約540nmから、または約550nmから最大約570nmまでの波長範囲内にある。いくつかの実施形態において、第2の光源の青色光、または第2の光源の青色スペクトル成分、またはランプによって放出される青色光は、約490nmで最大放出を有する。
【0232】
いくつかの実施形態において、第2の光源のオレンジ色光、または第2の光源のオレンジ色スペクトル成分、または第2の光源が含むランプによって放出されるオレンジ色光は、もっぱら、約590nmから最大約620nmまで、または約590nmから最大約610nmまでの波長範囲内にある。いくつかの実施形態において、第2の光源のオレンジ色光、または第2の光源のオレンジ色スペクトル成分、または第2の光源が含むランプによって放出されるオレンジ色光は、約600nmで最大放出を有する。
【0233】
いくつかの実施形態において、第2の光源の赤色/遠赤外光、または第2の光源の赤色/遠赤外スペクトル成分、または第2の光源が含むランプによって放出される赤色/遠赤外光は、もっぱら、約620nmから最大約770nmまで、または約650nmから最大約750nmまで、または約670nmから最大約700nmまでの波長範囲内にある。いくつかの実施形態において、第2の光源の赤色/遠赤外光、または第2の光源の赤色/遠赤外スペクトル成分、または第2の光源が含むランプによって放出される赤色/遠赤外光は、もっぱら、約670nmまたは約770nmである。
【0234】
いくつかの実施形態において、第2の光源は、もっぱら緑色光を放出するランプともっぱらオレンジ色/赤色光を放出するランプとを含むか、もしくはそれらからなる。いくつかの実施形態において、第2の光源が放出する光を含む緑色光、または第2の光源の緑色スペクトル成分、または第2の光源が含むランプによって放出される緑色光は、もっぱら、約495nmから最大約570nmまで、または約500nmから、または約510nmから、または約520nmから、または約530nmから、または約540nmから、または約550nmから最大約570nmまでの波長範囲内にある。いくつかの実施形態において、第2の光源、または第2の光源の緑色スペクトル成分、またはランプによって放出される緑色光は、もっぱら、約500nmから最大約550nmまでの波長範囲内にある。いくつかの実施形態において、第2の光源の緑色光、または第2の光源の緑色スペクトル成分、またはランプによって放出される緑色光は、約500nmで最大放出を有する。いくつかの実施形態において、第2の光源のオレンジ色/赤色光、または第2の光源のオレンジ色/赤色スペクトル成分、または第2の光源が含むランプによって放出されるオレンジ色/赤色光は、もっぱら、約590nmから最大約750nmまで、または約600nmから最大約700nmまで、または最大約650nmまでの波長範囲内にある。いくつかの実施形態において、第2の光源のオレンジ色/赤色光、または第2の光源のオレンジ色/赤色スペクトル成分、またはランプによって放出されるオレンジ色/赤色光は、もっぱら、約600nmから最大約650nmまでの波長範囲内にある。いくつかの実施形態において、第2の光源のオレンジ色/赤色光、または第2の光源のオレンジ色/赤色光スペクトル成分、またはランプによって放出されるオレンジ色/赤色光は、約600nmまたは約610nmで最大放出を有する。
【0235】
いくつかの実施形態において、本明細書において説明されている光線療法デバイスは、着色モードで動作され得る。異なる色の混合によって特定の色が生成され得る。たとえば、赤色光たとえば630nmの光と、530nmの緑色光とを混合することによって黄色を生成することが可能である(たとえば、
図11を参照)。脳内の視覚野は、赤色と緑色とを組み合わせて黄色を生み出すが、これは人間にとって580nmの純黄色と同じように見える(530nmから630nmのちょうど中間にある)。したがって、たとえば、約630nm(赤色)のスペクトル成分と約530nm(緑色)のスペクトル成分とを含む第1の光源と、約580nm(黄色)のスペクトル成分を含む第2の光源との間で振動する黄色治療用ランプを提供することが可能である。海馬刺激は青色光を使用して容易に達成されるが、海馬刺激は、点滅する緑色光(または点滅する青色および/または緑色光の組合せ)を使用しても達成され得ると考えられている。第1の光源および第2の光源が位相をずらして点滅されるときに、たとえば、40Hzの光の点滅は知覚可能でないが、530nmは580nmの光に比べて海馬内に大きい変調を与えるので脳を変調する。この原理は、たとえば、約470nmから約480nmの青色光を組み込むようにさらに拡張されるものとしてよく、この波長範囲はアルツハイマー病の治療に関連する脳変調に対して非常に有効である。したがって、たとえば、
図11に示されている色度図において、作られた同じ黄色が約480nmの青色および約575nmの黄色を含む第1の光源を約510nmの緑色および約600nmの赤色の色混合を行う第2の光源とともに使用することでどのように作られ得るかが示されている。これらの組合せは、例示的であり、非限定的である。本明細書に提示されている教示を使用することで、第1の光源(青色および/または緑色点滅成分をもたらす)と前記第1の光源からの光と組み合わされたときに点滅が実質的に人間の視覚では検出不可能である照明光をもたらす第2の「補完的」光源とを備える光線療法デバイスが当業者に容易に利用可能であり、様々な色の照明光を出すことができる。
【0236】
いくつかの実施形態において、光線療法デバイスは、放出された光を所望の方向に向けるために第1および/または第2の光源によって放出される光のそれぞれの伝搬経路内に位置決めされるディフューザ、レンズ、レンズアレイ、マイクロレンズ、マイクロレンズアレイ、反射体、回折光学素子などの1つまたは複数の光学素子を備え得る。
【0237】
制御機構
いくつかの実施形態において、本明細書において説明されている光療法デバイスは、第1の光源および/または第2の光源(たとえば、狭および/または広スペクトル光源)からの発光スペクトルを制御する制御機構(コントローラ、たとえば、
図1の110を参照)を備えることができる。いくつかの実施形態において、コントローラと組み合わせたおよび/またはたとえば以下で説明されているような個人情報デバイスと組み合わせた光線療法デバイスは、光療法(光線療法)システムを備え得る。
【0238】
いくつかの実施形態において、コントローラは、オン/オフおよび/または明るさ制御を単純に行うものであってよい(たとえば、
図1に示されている例示的な、ただし非限定的な実施形態の112を参照)。しかしながら、いくつかの実施形態では、多数の他の機能も制御され得る。いくつかの実施形態において、例示的な制御は、オン/オフおよび/または明るさ(
図1の112)、点滅周波数制御(
図1の113)、位相および/またはデューティサイクル制御(
図1の114)、色温度および/または色相制御(
図1の115)、ならびに同様のもののうちの1つまたは複数を含み得る。
【0239】
いくつかの実施形態において、点滅青色光成分(たとえば、狭スペクトル光源および/または第1の光源)は、広スペクトル光源より短い時間期間の間発光する。そのような実施形態において、脳は、昼または夜間の特定の時刻に刺激され振動(たとえば、ガンマ振動)を誘発する。これが人のサーカディアンリズムを変え得るので、昼または夜間の他の時刻に一定照明光(振動成分を有しない)をもたらしながら昼間の特定の時刻にのみ脳を刺激することが望ましい場合がある。
【0240】
コントローラは、また、周辺照明条件の変化に応答して光線療法デバイスの明るさおよび/または色温度を調整し得る。したがって、たとえば、日中には、光線療法デバイスは、夜間に比べて高い強度(明るさ)で動作し得る。
【0241】
本明細書で説明されている光線療法デバイスを含む光源を動作させるための制御回路の例示的な、ただし非限定的な一実施形態は、
図8に示されており、これは本明細書で説明されている光線療法デバイスを含む光源を駆動することができる回路の例示的な、ただし非限定的な一実施形態を示している。例示的な、ただし非限定的な一実施形態において、光線療法デバイスは、2つの異なる光源を形成する5個のLEDを備える(たとえば、
図1を参照)。いくつかの実施形態において、ドライバ電子機器は各LEDについて同一であってよい。マイクロコントローラは、信号を「Dim」および「Enable」ポートに供給して、2つの光源の間の所望のちらつきおよび位相差(たとえば、180度の位相差)を有効にすることができる。マイクロコントローラの一例として、いくつかの実施形態において、LEDに対するタイミング信号を生成するためにArduino MEGA2560マイクロコントローラ(たとえば、
図12を参照)が使用され得るが、他のマイクロコントローラまたはコンピュータも使用され得る。
図13は、マウント、ドライバ電子機器、およびマイクロコントローラがすべて配線済みのLEDを例示している。
図14は、LEDの拡大図を提示している。これらの実施形態は、例示的であり、非限定的であることは理解される。本明細書で提示されている教示を使用することで、コントローラ、制御回路、光源、およびランプの多くの変更形態が、当業者に利用可能である。
【0242】
この点に関して、いくつかの実施形態においてコントローラはデバイスと一体である(たとえば、デバイスのハウジング内に組み込まれている)が、他の実施形態では、コントローラはデバイスから離れた場所にあってよく、1つまたは複数の制御ケーブルによって結合され得ることに留意されたい(たとえば、
図1に示されている例示的な、ただし非限定的な実施形態における109を参照)。他の実施形態において、コントローラは、無線リンク、光(たとえば、赤外線リンク)を通じて、Bluetooth(登録商標)リンクを介して、およびWiFiリンクを介して光線療法デバイスを制御し得る。いくつかの実施形態において、コントローラは、携帯電話、タブレット、またはコンピュータ上でアプリを備える。したがって、いくつかの実施形態において、コントローラは、光線療法デバイスハウジングから分離しているハウジング内に収容され得る。たとえば、コントローラは、複数の部屋を備える建物の別の部屋に置かれてもよく、各部屋は、たとえば、上で説明されているような1つまたは複数の光センサによってたとえば感知されるような、周辺光強度に応答して、および/または場合によっては、または時刻に応じて、コントローラによって制御される光線療法デバイスを収める。
【0243】
いくつかの実施形態において、コントローラは、コントローラから光線療法デバイスに制御信号を供給するために信号線(たとえば、
図1の109を参照)を収めてある1つまたは複数の光線療法デバイスケーブルにより相互接続され得る。
【0244】
いくつかの実施形態において、コントローラは、コントロールからそれぞれのデバイスに制御信号をワイヤレス方式で伝送するために1つまたは複数の光線療法デバイスとワイヤレス方式で相互接続されてよい。たとえば、光コントローラおよび光線療法デバイスは、有線ローカルエリアネットワーク(LAN)および/またはワイヤレスLAN(Bluetooth(登録商標)、WiFi)、および/または携帯電話ネットワーク、および/またはインターネットなどの別のワイドエリアネットワーク(WAN)とのインターフェースを備え得る。このようにして、すでに存在しているネットワークが、光線療法デバイスの制御に利用され得る。
【0245】
さらに、LANまたはインターネットなどのWANを利用することで、時間管理ユニットおよび光センサおよび他のセンサおよびユーザインターフェースならびに光線療法デバイス/システムのコントローラおよび他の部分を場合によっては大きな距離で隔てられている別個の場所に置くことが可能になる。たとえば、コントローラソフトウェアはサーバ上に置かれ得るか、または複数のサーバ間に分散され、インターネットに接続され、したがって世界中のどのような場所であってもインターネットアクセスができる場所であれば置かれ得る。
【0246】
いくつかの実施形態において、光線療法デバイス/システムは、光線療法デバイスに接続するように構成されているハンドヘルドユニットを備えるものとしてよく、ユーザデータのユーザ入力用に構成されているユーザインターフェースを有し、ハンドヘルドユニットはユーザデータをコントローラに伝送するように構成され、光コントローラはユーザデータに応答して光線療法デバイスを制御するように構成されている。
【0247】
いくつかの実施形態において、ハンドヘルドユニットは、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、スマートフォン、タブレット、スマートウォッチ、活動量計などのウェアラブルコンピュータ、などであってよく、有線ローカルエリアネットワーク(LAN)および/またはワイヤレスLAN(Bluetooth(登録商標)、WiFi)、および/または携帯電話ネットワーク、および/またはインターネットなどのワイドエリアネットワーク(WAN)へのインターフェースを有するものとしてよく、たとえば、ハンドヘルドユニットのセンサからのデータを記憶する、ユーザデータを入力するなどのために、ネットワークを通じてリモートサーバと相互接続されるように構成され得る。
【0248】
ワイドエリアネットワーク、たとえば、インターネットを通じて、コントローラは、光線療法デバイスの1人または複数のユーザに関係し、そのユーザによって使用される通信ツールによって提供される個人健康データおよび/または電子時間管理および/またはデータなどの、データにアクセスし得る。いくつかの実施形態において、ツールおよび記憶されている情報は、典型的には、ワイドエリアネットワークを通じてアクセスされる1つまたは複数のリモートサーバ上に置かれる。いくつかの実施形態において、ワイドエリアネットワークとのインターフェースを有する複数のデバイス、たとえば、ユーザのスマートフォンは、ワイドエリアネットワークを通じて1つまたは複数のリモートサーバにアクセスするものとしてよく、ユーザに関係する情報を入力するために使用され得る。
【0249】
これらのツールは、約束および他の毎日の活動および通信の管理のためのよく知られている、電子カレンダシステム、Microsoft Outlook、Windows Mail、Mozilla Thunderbird、Apple Mail、Opera Mail、Hotmail、Gmail、などの電子システム、Facebook(登録商標)、LinkedIn(登録商標)、Google+、Twitter、などのソーシャルネットワーク、プロフェッショナルネットワークを含み得る。他のツールは、限定はしないが、ヘルスケア事業者(たとえば、保険会社、HMO、など)によってホストされるウェブベースの健康管理システム、または商用インターネット健康管理サービス(たとえば、Nokia/Withings、Internet Health Mgmt(@iHealthMgmt)、など)を含む。
【0250】
いくつかの実施形態において、コントローラ、またはコントローラの一部は、ハンドヘルドユニット上に置かれ得る。光線療法デバイスのユーザインターフェースは、スマートフォン上に置かれてよく、スマートフォンは、ユーザが、たとえば、上で説明されているような、たとえば1つまたは複数のパラメータの調整のために光線療法デバイスを制御することを可能にするアプリを実行し得る。
【0251】
いくつかの実施形態において、制御(コントローラ)ソフトウェアは、個人の個人データ、好ましくは個別のセンサおよび/またはトラッカからの定量化された自己データを考慮する手段を備える。いくつかの実施形態において、制御ソフトウェアは、運動選手の旅行、訓練、および競技プログラムを考慮し、訓練および/またはレースイベントにおける遂行能力を最適化する手段を備える。いくつかの実施形態において、制御ソフトウェアは、個人/ユーザからのインタラクションがほとんどまたは全くない状態で半自動または全自動で稼動する。他の実施形態では、個人に関連する様々なパラメータのデータ収集は、たとえば、ウェアラブルセンサの形態で1つまたは複数のセンサを使用してなされる。
【0252】
いくつかの実施形態において、システムは、アプリベースのインターフェースと、クラウドベースのデータベースと、個別データを分析するための手段とを備える。さらに好ましい実施形態において、システムは、個人訓練アドバイス/ガイダンスを提供するための手段を備える。いくつかの実施形態において、本明細書において説明されているシステムおよびデバイスは、訓練期間中および/または競技のために運動選手によって使用される。本明細書において説明されているシステムおよびデバイスが、激しい訓練および/または競技プログラムにおいて運動選手が睡眠を最適化することを可能にすることは一利点である。これは、睡眠が回復、運動選手の反応速度、最高レベルでの遂行能力に対するクリティカルなパラメータであるので重要である。
【0253】
さらに、いくつかの実施形態において、システムは、ストロボ効果のある追加の光源を使用して、人間をその頭部の上から照らすことで、脳活動を高める。
【0254】
光線療法デバイスの構成
いくつかの実施形態において、本明細書において説明されている光線療法デバイスは、多数の構成のうちのいずれも採用できる。したがって、たとえば、いくつかの実施形態において、本明細書において説明されている光線療法デバイスは、室内に位置決めされているランプまたは照明器具、天井からのランプまたは照明器具、置(固定)ランプ、卓上ランプ、壁掛けランプ(たとえば、読書ランプ)などの、ランプまたは照明器具を含む。
【0255】
いくつかの実施形態において、本明細書で説明されている光線療法デバイスは、人の睡眠中に長時間にわたって動作する。いくつかの実施形態において、この長時間は、1/2時間以上、または約1時間以上、または約1.5時間以上、または約2時間以上(たとえば、連続的に約1/2時間以上、または約1時間以上、または約1.5時間以上、または約2時間以上、または約1時間以上、または一晩に全体で約1/2時間以上、もしくは1時間以上、もしくは1.5時間以上、もしくは2時間以上の複数の時間区分で)である。いくつかの実施形態において、光線療法デバイスは、たとえば、上で説明されているような、点滅青色スペクトル成分をもたらす安眠マスクを含む。本発明の発明者らは、人がそのようなシステムを使用しており、点滅青色光源が睡眠中の人の眼瞼を照らす、方法をさらに理解している。このシステムは、網膜神経節細胞が十分な時間内に十分な強度で放射ストロボ青色光の一部に曝露し脳の所望の部分に陽性の影響を及ぼすか、または刺激することを可能にする。
【0256】
いくつかの実施形態において、光線療法デバイスまたは本明細書で説明されている光線療法デバイスを含む第1および/もしくは第2の光源は、窓のフレームの近くに、または窓のフレームに装着し、および/または窓のフレームに取り付けられるように構成されるものとしてよく、たとえば、窓のフレームに取り付けられ、窓は窓ガラスを通して部屋の昼光照明のために部屋の壁に装着される。
【0257】
いくつかの実施形態において、窓に嵌合する光線療法デバイスまたは光線療法デバイスを含む第1および/もしくは第2の光源の近さ、好ましくは距離は、50cm未満、好ましくは25cm未満、より好ましくは10cm未満、最も好ましくは5cm未満であり、これは光線療法デバイスによって放出される光を窓ガラスを通して部屋を照らす自然昼光の一部として知覚させる。特に、高齢者または精神的に困難な状況にある個人については、疎外または侵入技術の知覚は、マイナスの、または最適状態に届かない効果を有し得る。
【0258】
いくつかの実施形態において、光線療法デバイスまたは本明細書で説明されている光線療法デバイスを含む第1および/もしくは第2の光源は、窓のフレームが光線療法デバイスまたは本明細書で説明されている光線療法デバイスを含む第1および/もしくは第2の光源によって照らされ、部屋が光線療法デバイスまたは本明細書で説明されている光線療法デバイスを含む第1および/もしくは第2の光源からの、窓のフレームによって部屋の中に反射された、たとえば、拡散反射された、光で照らされるように装着され得る。
【0259】
たとえば、光線療法デバイスまたは本明細書で説明されている光線療法デバイスを含む第1および/もしくは第2の光源は、光源によって放出された光が、光線療法デバイスが使用のため意図された位置に装着されたときにフレームの一部の方へ向けられ、それによって光線療法デバイスによって放出された光が窓のフレームによって反射され、窓ガラスを通して部屋の中に入る日光と組み合わさって部屋を照らすように装着される。フレームの照らされる部分は、部屋の照明を改善する反射材料でコーティングされ得る。
【0260】
このようにして、部屋は、本明細書で説明されているように予防または治療光計画を控えめに施され得る。
【0261】
いくつかの実施形態において、光線療法デバイスは、1つまたは複数のLEDベースの照明器具を有するハードウェア部分を備える。任意選択で、システムは、天井および/またはテーブルトップ照明器具も含む。いくつかの実施形態において、システムは頭部装着型照明器具、たとえば安眠マスクおよび/または眼鏡内に一体化された光源を備え得る。
【0262】
いくつかの実施形態において、システムは、リハビリテーション、回復、理学療法、練習、訓練、および/または競技における遂行能力を最適化するために個人(たとえば、患者、囚人、学生、自宅にいる高齢者、または運動選手)によって使用されるように構成される。
【0263】
いくつかの実施形態において、本明細書で説明されている光線療法デバイスは、午前6時から午前11時までなどの朝の時間、または朝の時間内のより短い時間期間においてストロボ(点滅)光を放出するように適合される。いくつかの実施形態において、青色光源は、使用者によって定められたおよび/またはアルゴリズムによって定められた所定の時間期間に光を放出している。いくつかの実施形態において、事前定義されたアルゴリズムは、人間のサーカディアンリズムを安定させるように設計され得る。このアルゴリズムは、追跡デバイスから収集されたデータおよび/またはたとえばDNA塩基配列決定法からの個人化人間データを介してその安定化を手直しする機械学習に基づくものとしてよい。
【0264】
光療法システムをたとえば以下で説明されているような活動、温度、光曝露、および他のパラメータの非侵襲的監視と組み合わせることは本発明の範囲内にある。そのような実施形態を唾液中ホルモン濃度の測定、ならびに/またはアミロイド形成性病変のマーカー、ならびに/または認知および行動機能と組み合わせて、サーカディアンおよび精神的健康に対する光曝露の結果を分析することもさらに範囲内にある。
【0265】
また本発明の範囲内にあるのは、本明細書で説明されているようなストロボ光(点滅光)と音波との組合せである。脳活動増大に関する音波と光との組合せの例は、非特許文献2で説明されている。音響システムの当業者であれば、本発明のシステムに音波を組み合わせることができるであろう。
【0266】
他の好ましい実施形態において、本発明によるシステムは、白内障の治療時に使用される。そのような治療は、網膜の非視覚神経節細胞に440nmから540nmの光を多く当て、したがってストロボ光を介して脳活動を高めることができる。
【0267】
個人情報/追跡
いくつかの実施形態において、本明細書で説明されている光線療法デバイスおよび/またはコントローラは、光線療法システムに個人情報デバイスを入れるように構成される。したがって、いくつかの実施形態において、システムは、個人の体温、活動、移動、心拍数、血圧、および/またはUV光への曝露を含むパラメータを記録する個人追跡デバイスをさらに備える。
【0268】
したがって、いくつかの実施形態において、光線療法システムは、たとえば、加速度計、ジャイロスコープ、コンパス、周辺光センサ、UVセンサ、GPSユニット、および気圧計からなる群から選択される、人間が着用するように構成されている1つまたは複数の個人環境センサを備えるものとしてよく、光線療法デバイスコントローラは、1つまたは複数の個人環境センサによって出力されたパラメータ値に応答して光線療法デバイスを制御するように構成される。
【0269】
いくつかの実施形態において、光線療法デバイスは、たとえば、典型的には周辺光センサ、GPS、加速度計、時計などを備える、センサからのデータを利用する、スマートフォン、Apple Watch、Samsung Gear、Pebble Watchなどのスマートウォッチ、FitbitによるFitbit Flexおよび他の製品、GarminによるGarmin Vivofitまたは他の製品、SonyによるSony Smartbandまたは他の製品などの活動量計など、人間によって使用されるウェアラブル機器と相互接続され得る。
【0270】
いくつかの実施形態において、測定/記録されたパラメータは、機械学習を使用してその日1日の人のサーカディアンリズムを分析し、活動を追跡し、個人のサーカディアンリズムを個人的に最適化し、および/または被検体の認知能力を最適化するために使用される。いくつかの実施形態において、個人追跡デバイスは、さらに、サーカディアンリズムおよび/または認知能力における途絶を検出するためにその後利用され得る中央集中クラウドシステムに情報を伝送することができる。いくつかの実施形態において、クラウドシステムは、また、個人デバイスと通信し、個人に合わせた医療のためのツールとして照明システムを自動的に制御するためにも利用され得る。
【0271】
いくつかの実施形態において、追跡デバイスは、Bluetooth(登録商標)および/またはWiFi接続などの、ワイヤレス接続を使用する。
【0272】
いくつかの実施形態において、光線療法デバイスおよび/またはコントローラはネットワークへのインターフェースを有しており、ネットワークを通じてリモートサーバと相互接続されるように構成され、リモートサーバのコンピューティングリソースを利用して光源を制御すること、システムを使用する人間に関係する個人データにアクセスすること、システムの環境に関係するデータにアクセスすることからなる群から選択される操作のうちの少なくとも1つを実行する。
【0273】
様々な好ましい実施形態において、システムは、高齢者のヘルスケアおよび/または生活の質の改善、運動選手(広い意味でプロさらにはアマチュア)の遂行能力の改善、囚人などの目覚めている時間の大半を屋内で過ごす人々のヘルスケアおよび/または生活の質の改善、子供、さらには人々の多数の他のグループの睡眠パターンの改善に使用される。
【0274】
複数のデバイスおよび組合せ療法
いくつかの実施形態において、本明細書で説明されている複数の光線療法デバイスの使用が企図されている。たとえば、複数のデバイス(家庭、事務所、病室などで)を使用することが可能であり、個別のデバイスは同期され得る(第1および第2の光源の点滅が実質的に同じタイミングになるように制御されるように)。これの一利点は、複数のデバイスが照明システム(たとえば、一般照明用の)として働くものとしてよく、それと同時に、人は複数のデバイスからの光で治療され、および/または曝露され得る(複数のデバイスが部分的にまたは完全に互いに無効にし合うという危険を冒さずに)ことである。別の利点は、複数のデバイスが人を治療/曝露するために使用され、たとえば、しばらくの間1つの場所にいようと苦労している、またはデバイスの取り扱いに苦労している、またはデバイスを操作することができないAD患者を治療することを容易にすることができる。したがって、いくつかの実施形態において、人がどのように動き回るかに関係なく光療法を受けることを確実にする複数のデバイスを備える自動化システムが企図されている。
【0275】
加えて、本明細書で説明されている光線療法デバイスは、神経性刺激の他の方法と、および/または様々な医薬品(たとえば、認知症および/またはアルツハイマー病の治療に使用する医薬品)と組み合わせて使用され得ることは理解される。したがって、たとえば、いくつかの実施形態において、本明細書で説明されている光線療法デバイスおよび/またはシステムは、音、物理的振動、電気、経頭蓋磁気刺激、および同様のものなどの、神経刺激のための他の手段と組み合わせて使用される。
【0276】
いくつかの実施形態において、本明細書において説明されている光線療法デバイスは、様々な神経薬剤を使用する治療と組み合わせて使用される。そのような神経薬剤は、限定はしないが、ドネペジル(ARICEPT(登録商標))、ガランタミン(RAZADYNE(登録商標))、リバスチグミン(EXELON(登録商標))、および同様のものなどのコリンエステラーゼ阻害剤を含む。他の神経薬剤は、限定はしないが、幻覚、妄想、攻撃、興奮、敵愾心、および/または非協調性に対する抗精神病薬を含む。そのような薬剤は、限定はしないが、アリピプラゾール(ABILIFY(登録商標))、クロザピン(CLOZARIL(登録商標))、ハロペリドール(HALDOL(登録商標))、オランザピン(ZYPREXA(登録商標))、クエチアピン(SEROQUEL(登録商標))、リスペリドン(RISPERDAL(登録商標))、ジプラシドン(GEODON(登録商標))、および同様のものを含む。
【0277】
光線療法デバイスおよびシステムの使用
本明細書で説明されている光線療法デバイスおよびシステムは、高齢者のヘルスケアおよび/または生活の質の改善、運動選手(広い意味でプロさらにはアマチュア)の遂行能力の改善、囚人などの目覚めている時間の大半を屋内で過ごす人々のヘルスケアおよび/または生活の質の改善、子供、さらには人々の多数の他のグループの睡眠パターンの改善に使用される。本明細書で説明されている光線療法デバイスおよび/またはシステムは、個人のヘルスケアおよび/または生活の質を改善するための照明システムを提供し、ミーティング、遂行能力、スポーツ活動、競技などの、精神的および/または肉体的に厳しい状況における個人の遂行能力を最適化するために使用され得る。
【0278】
様々な実施形態において、本明細書で説明されている光線療法デバイスは、限定はしないが、アルツハイマー病、軽度認知障害(MCI)、鬱病、認知症、短期記憶を含む神経変性疾患の予防もしくは治療に、または学習改善、運動能力改善、もしくは認知能力改善のために有用であると考えられている。
【0279】
年齢が進むにつれ生じる生物学的過程の劣化と組み合わさる形で、平均余命を延ばすことは、健康的な老化を押し進める技術の開発を必要とする。年齢関係の認知および身体的疾患に顕著に関わる、見逃されることの多い一変数は、律動的生物学的機能の低下である。神経活動および生理学的機能の正確な律動的パターンが、最適な健康および疾患予防に必要である。年齢が進むにつれサーカディアン(毎日の)リズムが低下し、脳体内時計が局所時間に同期する能力が減退する。
【0280】
その結果、老齢者は、老化過程を加速し、年齢関係の疾患および認知能力減退に関わる中央および末梢系の間の時間整合の喪失を経験する。青色光に敏感である特殊な網膜神経節細胞は、脳の主体内時計と直接通信し、これらの細胞を年齢関連のサーカディアンリズムの低下を改善する理想的なターゲットにする。それに加えて、最近の研究結果は、光の適切な周波数(たとえば、40Hz)がマウスモデルにおいてアルツハイマー病の結果生じる神経損傷を回復方向に向かわせることができることを示している(たとえば、非特許文献3を参照)。
【0281】
本明細書で説明されている光線療法デバイスおよび/またはシステムの使用は、アルツハイマー病の患者の老人介護を含む。本明細書で説明されている光線療法デバイスおよび/またはシステムは、高齢者ホームにおいて実装され得る。本発明は、ヘルスケア産業にとっての利点を増やすとともに、特にアルツハイマー病患者への対処を行う。
【0282】
いくつかの実施形態、他の実施形態において、本明細書で説明されている光線療法デバイスおよび/またはシステムは、白内障の治療時に使用される。
【0283】
本明細書で説明されている光線療法デバイスおよび/またはシステムの使用は、スポーツおよび運動選手を対象とする領域を含む。たとえば、スポーツチームは、チームが一組の光線療法システム(チームの各個人運動選手に1つ)を取得するように本明細書で説明されている光線療法デバイスおよび/またはシステムを使用し得る。本発明は、個人運動選手に対する最適化された照明に対する照明を制御するサービスを含む。本発明は、チームが潜在的神経非同期症候群(時差ぼけなど)を定量化して予測し、遂行能力に関して回復および睡眠を最適化することをさらに可能にする。
【0284】
プロスポーツチームは、サーカディアンリズムを乱されると遂行能力の低下を被り、本発明は、運動選手に対して睡眠および回復を最適化する技術およびサービスを提供する。本明細書で説明されている光線療法デバイスおよび/またはシステムは、潜在的に長期にわたる有害な頭部外傷(軽度または重度脳震盪など)の予測をさらに可能にし、運動選手の最適な回復を補助する。したがって、本明細書で説明されている光線療法デバイスおよび/またはシステムは、水泳、バドミントン、バスケットボール、野球、サッカー選手などの、運動選手によって使用できる。
【0285】
治療および予防方法
様々な実施形態において、本明細書で説明されている光線療法デバイスおよび/またはシステム利用する治療または予防方法が提供される。典型的には、これらの方法は、Aβを減少させることが示されている振動脳活動(たとえば、ガンマ振動)を誘発するか、または同調させるのに十分な持続時間および強度について本明細書で説明されている光処方計画に被検体を曝すことを伴う。
【0286】
予防
いくつかの実施形態において、本明細書で説明されている光線療法デバイスおよび/またはシステムは、様々な予防の状況において利用される。したがって、たとえば、いくつかの実施形態において、本明細書で説明されている光線療法デバイスおよび/またはシステムは、アルツハイマー病前段階認知機能障害の発症を防止もしくは遅延する、ならびに/またはアルツハイマー病前段階状態および/もしくは認知機能障害の1つもしくは複数の症状を寛解する、かつ/あるいはアルツハイマー病前段階状態および/もしくは認知機能障害の、アルツハイマー病への進行を防止もしくは遅延するために使用できる。
【0287】
したがって、いくつかの実施形態において、本明細書で説明されている予防方法は、初期アルツハイマー病(AD)の病理学的変化の「危険性がある」および/または兆候を有すると識別されるが、MCIまたは認知症に対する臨床基準を満たさない被検体について企図されている。特定の理論に束縛されることなく、疾患のこの「臨床前」段階であってもAD認知症への進行の危険性のあるAD病態生理学的過程(AD-Pと略記される。たとえば、非特許文献12を参照)を示唆するバイオマーカー兆候を有する完全に無症候性の個人からすでに非常に軽微な減少を示しているがまだMCIに対する標準化された基準を満たしていないバイオマーカー陽性の個人への連続性を表すと考えられている(たとえば、非特許文献13を参照)。
【0288】
個人のこの後者のグループは、「正常でなく、MCIでない」と分類され得るが、「症状を示す前」または「臨床前」または「無症候性」または「発症前」と指定されてよい。様々な実施形態において、症状を示す前のADのこの連続性は、必ずしも限定はしないが、(1)AD-Pバイオマーカー陽性である時点に、AD認知症を発症する危険性が高いことが知られているか、または考えられている1つまたは複数のアポリポタンパク質E(APOE)ε4対立遺伝子を持つ個人、および(2)その病気の症状を示す前のバイオマーカー陽性段階にある、ほとんど確実に臨床症状を発現し、認知症に進行する、常染色体優性突然変異遺伝子の保因者も包含する。
【0289】
AD-Pの最も広く検証されているバイオマーカーが異常になり、同様に、秩序正しく頭打ちになるバイオマーカーモデルが提案されている(たとえば、非特許文献14を参照)。このバイオマーカーモデルは、(AD前/AD)の提案されている病態生理学的順序に平行しており、ADの臨床前(無症候性)段階を追跡することに関連している(たとえば、非特許文献12の
図3を参照)。脳アミロイド沈着症のバイオマーカーは、限定はしないが、CSF Aβ
42の減少および陽電子放出断層撮影(PET)画像上でのアミロイドトレーサ保持の増大を含む。CSFタウの上昇は、ADに特有のものでなく、ニューロン損傷のバイオマーカーであると考えられる。代謝低下の側頭頭頂パターンによるPET上のフルデオキシグルコース18F(EDG)摂取の減少は、AD関係シナプス機能不全のバイオマーカーである。側頭葉内側部、傍辺縁系および側頭頭頂皮質を伴う特徴的パターンにおける構造核磁気共鳴画像(MRI)上の脳萎縮は、AD関係神経変性のバイオマーカーである。他のマーカーは、限定はしないが、容積測定MRI、FDG-PET、またはプラズマバイオマーカーを含む(たとえば、非特許文献15、非特許文献16を参照)。
【0290】
いくつかの実施形態において、本明細書において企図されている予防方法に適している被検体は、限定はしないが、無症候性脳アミロイド沈着症を有するものとして特徴付けられる被検体を含む。様々な実施形態において、これらの個人は、PETアミロイド画像上の高いトレーサ保持によるAβ蓄積および/またはCSFアッセイにおける低いAβ42のバイオマーカー兆候を有するが、典型的には、神経変性または軽微な認知および/もしくは行動症候を示唆する追加の脳変化の検出可能な兆候を有さない。
【0291】
Aβの現在利用可能なCSFおよびPET撮像バイオマーカーはアミロイド蓄積およびアミロイドの線維状形態の沈着の兆候をもっぱら提供することに留意されたい。データは、Aβの可溶性またはオリゴマー形態はプラークと平衡状態になる可能性が高く、貯蔵槽として機能し得ることを示唆している。いくつかの実施形態において、Aβの可溶性形態のみが存在する識別可能な前プラーク段階があることが企図される。いくつかの実施形態において、アミロイドのオリゴマー形態は病理学的カスケードにおいてクリティカルであり、有用なマーカーを提供し得ることが企図される。それに加えて、初期シナプス変化は、アミロイド蓄積の兆候の前に存在し得る。
【0292】
いくつかの実施形態において、本明細書において企図されている予防方法に適している被検体は、限定はしないが、シナプス機能不全および/または初期神経変性の兆候によりアミロイド陽性であるものとして特徴付けられる被検体を含む。様々な実施形態において、これらの被検体はアミロイド陽性および「下流」AD-P関係ニューロン損傷の1つまたは複数のマーカーの存在の兆候を有する。ニューロン損傷の例示的な、ただし非限定的なマーカーは、限定はしないが、(1)CSFタウまたはリン酸化タウの上昇、(2)FDG-PETにおけるAD類似のパターン(すなわち、後帯状皮質、楔前部、および/または側頭頭頂皮質)における代謝低下、および(3)容積測定MRI上の特定の解剖学的分布(すなわち、頭頂葉外側および内側、後帯状皮質、および外側側頭葉)における皮質菲薄化/皮質灰白質喪失および/または海馬萎縮を含む。他のマーカーは、限定はしないが、既定のネットワーク接続性のfMRI尺度を含む。いくつかの実施形態において、FDG-PETおよびfMRIなどの機能的撮像技術によって評価されるような、初期シナプス機能不全は、容積測定喪失の前に検出可能であり得る。特定の理論に束縛されることなく、初期神経変性の兆候を有するアミロイド陽性の個人は、軌跡をさらに下り得る(すなわち、臨床前(無症候性)ADの後の段階にある)と考えられている。
【0293】
いくつかの実施形態において、本明細書において企図されている予防方法に適している被検体は、限定はしないが、神経変性および軽微な認知機能低下の兆候によりアミロイド陽性であるものとして特徴付けられる被検体を含む。特定の理論に束縛されることなく、アミロイド蓄積、初期神経変性のバイオマーカー兆候および軽微な認知機能低下の兆候を有する個人は、臨床前(無症候性)ADの最後の段階にあり、軽度認知障害(MCI)に対する臨床基準を有するボーダーゾーンに接近しつつあることが考えられる。これらの個人は、標準認知尺度で「正常」範囲内で依然として遂行している場合でも、自ベースラインからの低下の兆候を示し得る(特に認知予備能の代用が考慮されている場合)。特定の理論に束縛されることなく、より敏感な認知尺度は、特に問題のあるエピソード記憶尺度とともに、アミロイド陽性の個人における非常に軽微な認知機能障害を検出し得ることが考えられている。いくつかの実施形態において、基準は、限定はしないが、記憶能力低下または他の軽微な神経行動変化の自己不満を含む。
【0294】
上で示されているように、本明細書で説明されている予防方法に適している被検体/患者は、疾患(たとえば、MCIなどのアミロイドプラーク形成を特徴とする病状)の危険性があるが症状を示さない個人、さらにはいくつかの症状またはマーカーを現在示している被検体を含む。MCIおよび後期アルツハイマー病の危険性は、一般的に年齢とともに増加することが知られている。したがって、他の知られている危険因子を持たない無症候性被検体では、いくつかの実施形態において、予防適用は、特に、軽度認知機能障害(MCI)の発症を防止するか、または最終的な重症への進行を遅らせるおよび/またはMCIから初期段階アルツハイマー病(AD)への進行を遅くするか、または防止するために、50歳を超える被検体、または55歳を超える被検体、または60歳を超える被検体、または65歳を超える被検体、または70歳を超える被検体、または75歳を超える被検体、または80歳を超える被検体に対して企図される。
【0295】
いくつかの実施形態において、本明細書で説明されている方法は、それが無症候性であるか、疾患の症状を示しているかに関係なく、アルツハイマー病(または他のアミロイド形成病変)の知られている遺伝的な危険性を有する個人に対して特に有用である。そのような個人は、MCIまたはADを経験している身内(たとえば、親、祖父母、兄弟姉妹)を有する人々、および遺伝的もしくは生物化学的マーカーの分析によって危険性が決定される人々を含む。アルツハイマー病に向かう危険性の遺伝的マーカーは、たとえば、APP遺伝子における突然変異、特にそれぞれHardyおよびSwedish突然変異と称される位置717ならびに位置670および671の突然変異を含む(たとえば、非特許文献17を参照)。危険性の他のマーカーは、プレセニリン遺伝子(PS1およびPS2)における突然変異、家族性アルツハイマー病(FAD)突然変異を有する、ADの家族歴、APOEε4対立遺伝子、高コレステロール血症、またはアテローム性動脈硬化症を含む。アルツハイマー病の発症のさらなる感受性遺伝子は、たとえば、非特許文献18において検討されている。
【0296】
いくつかの実施形態において、被検体は無症候性であるが、MCIまたはアルツハイマー病を発症することに関する家族性および/または遺伝的危険因子を有する。無症候性患者では、治療は任意の年齢(たとえば、約20歳、約30歳、約40歳、約50歳)から始まり得る。しかしながら、通常は、患者が少なくとも約40歳、または少なくとも約50歳、または少なくとも約55歳、または少なくとも約60歳、または少なくとも約65歳、または少なくとも約70歳に達するまで治療を開始する必要はない。
【0297】
いくつかの実施形態において、被検体は、たとえば、軽度認知障害(MCI)またはアルツハイマー病(AD)の症状を示す。アルツハイマー病を現在患っている個人は、特徴的な認知症、さらには上で説明されている危険因子の存在から認識され得る。それに加えて、ADを有している個人を識別するために多数の診断テストが利用可能である。これらは、CSFタウ、リン酸化タウ(pタウ)、Aβ42レベル、およびC末端切断APP断片(APPneo)の測定を含む。上昇する全タウ(tタウ)、リン酸化タウ(pタウ)、APPneo、可溶性Aβ40、pタウ/Aβ42比およびtタウ/Aβ42比、ならびに減少Aβ42レベル、Aβ42/Aβ40比、Aβ42/Aβ38比、sAPPαレベル、sAPPα/sAPPβ比、sAPPα/Aβ40比、ならびにsAPPα/Aβ42比はADの存在を示す。いくつかの実施形態において、被検体または患者は、MCIを有するものとして診断される。尿中の神経糸タンパク質(NTP)の高いレベルおよび/または血漿中のα2-マクログロブリン(α2M)および/または補体因子H(CFH)の高いレベルも、MCIおよび/またはADのバイオマーカーである(たとえば、非特許文献19を参照)。
【0298】
いくつかの実施形態において、治療に適している被検体は、年齢関連する記憶障害(AAMI)、または軽度認知障害(MCI)を有し得る。本明細書で説明されている方法は、特に、MCIの予防および/または治療によく適している。そのような事例において、これらの方法は、MCIの発症を遅延させるか、もしくは防止し、および/またはMCIの1つもしくは複数の症状特性を低減し、および/またはMCIから初期、中期、もしくは後期段階アルツハイマー病への進行を遅延させるか、もしくは防止し、または疾患の最終的重症度を低減することができる。
【0299】
軽度認知障害(MCI)
軽度認知障害(MCI、初期認知症または孤立性記憶障害としても知られる)は年齢や教育に対して予期されるものを超えるが、典型的に日常活動の著しい妨げにはならない認知機能障害を有する個人に与えられる診断である(たとえば、非特許文献20を参照)。これは多くの事例において正常な加齢と認知症との間の境界あるいは移行段階であると考えられている。MCIは様々な症状を示し得るが、記憶喪失が主症状である場合、これは「健忘症MCI」と呼ばれ、度々アルツハイマー病の危険性要素であるとみなされる(たとえば、非特許文献21、およびインターネット上の非特許文献22を参照)。個人が記憶以外の領域における障害を有する場合、それは非健忘症単一または多数領域MCIであると分類されることが多く、これらの個人は他の認知症に(たとえば、レビー小体を伴う認知症)転換する可能性がより高いと考えられている。健忘症MCI患者はアルツハイマー病の神経病理学的基準に達しない場合があるが、患者はアルツハイマー病進展の移行段階にある可能性があり、この仮説的移行段階にある患者は新皮質における拡散アミロイドおよび側頭葉内側部における頻繁な神経原線維変化を示す(たとえば、非特許文献23を参照)ことを示唆する証拠がある。
【0300】
MCIの診断は、典型的には、臨床観察、神経画像検査、血液検査および神経心理学検査を含む包括的臨床評価を伴う。いくつかの実施形態において、MCIの診断基準は、限定はしないが、非特許文献13によって説明されているものを含む。その中で説明されているように、診断基準は、(1)高度撮像技術もしくは脳脊髄液分析を利用できないヘルスケア事業者によって使用され得る主要臨床基準および(2)臨床試験を含む臨床研究状況において使用され得る研究基準を含む。第2の基準セットは、撮像および脳脊髄液測定に基づくバイオマーカーの使用を組み込むものである。ADによる軽度認知障害の最後の基準セットは、バイオマーカーの研究結果の存在および性質に応じて、4レベルの確実性を有する。
【0301】
いくつかの実施形態において、MCIの臨床評価/診断は、(1)患者または情報提供者または臨床医によって報告される認知の変化(すなわち、長期にわたる減退の歴史的または観察的兆候)を反映する懸念、(2)典型的に記憶を含む1つまたは複数の認知領域における障害の客観的兆候(すなわち、複数領域における認知機能レベルを確立するための形式または臨床検査)、(3)機能的能力における独立性の保持、(4)認知症ではない、およびいくつかの実施形態において(5)AD病態生理学的過程に一致するMCI病因を伴う。可能ならば、典型的に認知減退の血管、外傷性、医学的原因は除外される。いくつかの実施形態において、可能ならば、認知における長期的な減退の兆候が識別される。関連する場合、診断は、AD遺伝因子と一致する病歴によって強化される。
【0302】
認知領域における障害に関して、人の以前のレベルと比較して、認知の変化に関する懸念の兆候があるであろう。患者の年齢および教育的背景に期待されるものより大きい1つまたは複数の認知領域における低い遂行能力の兆候があるであろう。繰り返される評価が利用可能な場合、遂行能力における減退は時間とともに明らかになるであろう。この変化は記憶、実行機能、注意、言語、および空間視覚能力を含む様々な認知領域において起こり得る。エピソード記憶(すなわち、新情報を学習し保持する能力)における障害は、その後AD認知症の診断へと進行するMCI患者において最も一般的に見られる。
【0303】
機能的能力における独立性の保持に関して、MCIの人は買い物をするために使用する複雑な機能課題を遂行することに軽度な問題を一般的に有することに留意されたい。彼らはそのような活動を遂行するにあたり過去に比べ、より時間をかけ、より非効率的になり、より多くの間違いをする可能性がある。それにもかかわらず、彼らは一般的に最小の支援または援助で日常生活における機能の独立性を維持する。
【0304】
認知症に関して、認知的変化は、十分に軽度であり、社会的または職業的機能における重大な障害の兆候はない。個人が一度しか評価されていない場合、変化は、病歴からおよび/またはその個人に期待される以上に認知能力に障害があるという兆候から推論される。
【0305】
認知テストは、個人の認知障害の程度を客観的に評価するうえで最適である。MCIを有する個人の認知テストにおけるスコアは、典型的には、文化的に適切な基準データにおける、個人と同等の年齢および教育に対する平均を、1から1.5標準偏差で下回る(すなわち、利用可能な場合に、障害領域に対して)。
【0306】
エピソード記憶(すなわち、新情報を学習し保持する能力)は、その後AD認知症の診断へと進行するMCI患者において最も一般的に見られる。数年以内にAD認知症へと進行する可能性が非常に高いMCI患者を識別するのに有益である、様々なエピソード記憶テストがある。これらのテストは、典型的には、即時および遅延想起の両者を評価し、遅延にわたる保持を決定することが可能である。すべてではないが、この点において有益と証明されているテストの多くは複数の試験を有する単語リスト学習テストである。そのようなテストは、時間が経過したときの学習速度、さらには学習試験の過程で獲得される最大量を明らかにする。それらは、個人が、実際には、即時想起で課題に注意を払っているということを示すのに有益でもあり、この場合、これは遅延想起で保持されている内容の相対量を評価する基準として使用することができる。そのようなテストの例は、限定はしないが、フリーアンドキュー選択連想テスト、Ray聴覚言語学習テスト、およびカリフォルニア言語学習テストを含む。他のエピソード記憶測定は、限定はしないが、改定ウェクスラー記憶テスト(または他の版)の論理的記憶IおよびII項の段落の即時および遅延想起、ならびに改定ウェクスラー記憶テストIおよびIIの視覚再現サブテストのような非言語的な内容の即時および遅延想起を含む。
【0307】
他の認知領域がMCIを有する個人において障害を受け得るので、記憶に加え領域を調査することが望ましい。これらは、限定はしないが、実行機能(たとえば、集合移動、論理的思考、問題解決、計画立案)、言語(たとえば、命名、流暢性、表現的発話、理解)、空間視覚能力、および注意制御(たとえば、単純および分割された注意)を含む。多くの臨床神経心理学的測定が、限定はしないが、トレイルメーキングテスト(実行機能)、ボストン命名テスト、文字およびカテゴリ流暢性(言語)、形状模写(空間能力)、およびディジットスパンフォワードテスト(注意)を含む、これらの認知領域を評価するために利用可能である。
【0308】
上に示されているように、遺伝因子がMCIの診断に組み込まれ得る。ADの常染色体優性型が存在していることが知られている場合(すなわち、APP、PS1、PS2における突然変異)、MCIの進行はAD認知症への前兆である可能性が最も高い。これらの場合の大多数は、早期のAD発症に発展し得る(すなわち、65歳未満での発症)。
【0309】
それに加えて、後期のAD認知症発症の発展における遺伝子影響がある。たとえば、アポリポタンパク質E(APOE)遺伝子における1つまたは2つのε4対立遺伝子の存在は、AD認知症後期発症の危険性を増やすとして広く認められている遺伝的変異である。兆候は、MCIの臨床的、認知的、および病因学的基準を満たし、APOEε4陽性でもある個人が、数年以内にAD認知症に進行する可能性が、この遺伝子特徴を有しない個人に比べて高いということを示唆している。追加の遺伝子がAPOEよりは小さいが重要な役割を果たし、またAD認知症への進行の危険性の変化をもたらすと考えられている(たとえば、非特許文献24を参照)。
【0310】
いくつかの実施形態において、本明細書で説明されている予防方法に適している被検体は、限定はしないが、上で説明されている主要な臨床基準のうちの1つまたは複数を有すると識別されている被検体、および/またはたとえば、以下で説明されているようなMCIに対する1つまたは複数の「研究基準」により識別されている被検体を含む。
【0311】
MCIの識別/予後判定の「研究基準」は、限定はしないが、MCI症候群がADの病態生理学的過程によるものであるという可能性を増加させるバイオマーカーを含む。特定の理論に束縛されることなく、臨床基準およびバイオマーカーの共同適用は、結果として、MCI症候群がAD病態生理学的過程によるものであるということの様々なレベルの確実性をもたらすと考えられる。いくつかの実施形態において、最も研究され、臨床転帰に適用される2つのカテゴリのバイオマーカーが企図されている。これらは、「Aβ」(CSF Aβ42、および/またはPETアミロイド撮像を含む)および「ニューロン損傷のバイオマーカー」(限定はしないが、MRI上でのCSFタウ/pタウ、海馬、または側頭葉内側部萎縮、およびPETまたはSPECT上での側頭頭頂/楔前部の代謝低下もしくは低循環を含む)を含む。
【0312】
特定の理論に束縛されることなく、Aβおよびニューロン損傷(タウ/pタウの増加またはADに特徴的なトポグラフィカルパターンにおける撮像バイオマーカーのいずれか)の兆候は共にAD病態生理学的過程が存在する最も高い確率を与えると考えられている。逆に、これらのバイオマーカーが陰性である場合、これは、代替的診断の可能性に関する情報を提供し得る。バイオマーカーに関する研究成果は相反する可能性があり、したがって、いかなるバイオマーカーの組合せも鑑別診断状況における使用において指示的(指示尺度)であり、それ自体は解決の手がかりをもたらすものではないことは理解される。異常性の様々な重症度は異なる可能性または予後をもたらす可能性があり、それらは広範囲の適用には正確に定量化するのが困難であることが理解される。
【0313】
臨床的および認知的MCI症候群が病因学としてのADに一致する潜在的MCI被検体にとって、バイオマーカー分析の追加は診断におけるいくつかのレベルの確実性をもたらす。エピソード記憶障害および推定変性病因の兆候を含む、MCIの臨床的および認知的症候群が確立された最も典型的な例において、最も可能性の高い原因はADの神経変性過程である。しかしながら、最終的な結果の確実性の程度はなおも変動し得る。AD認知症への進行の可能性は、認知減退の重症度およびAD病態生理が根底の原因であると示唆する兆候の性質によって異なる。特定の理論に束縛されることなく、ニューロン損傷を反映する陽性バイオマーカーは、認知症への進行が数年以内に起こる可能性を増加させ、Aβ蓄積およびニューロン損傷の両方を反映する陽性の研究成果は共にその診断がADによるMCIである最も高い可能性をもたらすと考えられている。
【0314】
陽性Aβバイオマーカーおよびニューロン損傷の陽性バイオマーカーは、MCI症候群がAD過程によるものであるという指示をもたらし、被検体は本明細書で説明されている方法によく適している。
【0315】
ニューロン損傷バイオマーカーがテストされていない、またはテストされ得ない状況における陽性Aβバイオマーカー、またはAβバイオマーカーがテストされていないか、またはテストされ得ない状況におけるニューロン損傷の陽性バイオマーカーは、MCI症候群がADによるものである中程度の可能性を示す。そのような被検体は、本明細書で説明されている方法によく適していると考えられる。
【0316】
Aβおよびニューロン損傷の両方に対する陰性バイオマーカーは、MCI症候群がADによるものではないということを示唆する。そのような事例において、被検体は、本明細書で説明されている方法によく適さない場合がある。
【0317】
磁気共鳴映像法が軽度認知障害から本格的アルツハイマー病への脳における灰白質の進行性消失を含む、劣化を観察することができるという証拠がある(たとえば、非特許文献25を参照)。PiB PET撮像として知られる技術は、そのような沈着に選択的に結合するC11トレーサを使用して生体被検体におけるベータアミロイド沈着の部位および形状を明確に示すために使用される(たとえば、非特許文献26を参照)。
【0318】
いくつかの実施形態において、MCIは、典型的には、1)記憶障害の兆候、2)一般的認知的および機能的能力の保存、3)診断された認知症の非存在があるときにに診断される。
【0319】
いくつかの実施形態において、MCIおよびアルツハイマー病の段階は、一部は臨床的認知症尺度(CDR)のスコアによって識別/分類され得る。CDRは、アルツハイマー病および関係する認知症に適用可能な認知的および機能遂行能力の6つの領域、すなわち、記憶、見当識、判断力および問題解決、社会適応、家庭および趣味、ならびに身の回りの世話を特徴付けるために使用される5点尺度である。各評価を行うための情報は、患者および信頼できる情報提供者または副次的情報源(たとえば、家族)の半構造化面接を通して獲得され得る。
【0320】
CDR表は、面接データおよび臨床判断に基づき適切な評価を行う際に臨床医を導く説明的アンカーを提供する。各領域に対する評価に加えて、CDRスコア全体がアルゴリズムの使用を通じて算出され得る。このスコアは、患者の障害/認知症のレベルを特徴付け、追跡するために有用であり、これは0=通常、0.5=非常に軽度な認知症、1=軽度認知症、2=中度認知症、および3=重度認知症である。例示的なCDR表が、表2に示されている。
【0321】
【0322】
約0.5または約0.5から1.0のCDR評価は、多くの場合に、臨床的に関連するMCIと考えられる。高いCDR評価は、アルツハイマー病への進行を示すものとしてよい。
【0323】
いくつかの実施形態において、本明細書で説明されている光線療法デバイスおよび/またはシステムの使用は、タウ、リン酸化タウ(pタウ)、APPneo、可溶性Aβ40、可溶性Aβ42、および/もしくはAβ42/Aβ40比からなる群から選択される1つもしくは複数の成分のレベルのCSFにおける減少があるとき、ならびに/または被検体の脳におけるプラーク負荷の減少があるとき、ならびに/または被検体の脳内のプラーク形成の速度の減少があるとき、ならびに/または被検体の認知能力における改善があるとき、ならびに/または被検体による生活の質の知覚された改善があるとき、ならびに/または臨床的認知症尺度(CDR)における著しい減少があるとき、ならびに/または臨床的認知症尺度の増加の速度が遅くなるか、もしくは停止したとき、ならびに/またはMCIから初期段階ADへの進行が遅くなるか、もしくは停止したときに効果的であるとみなされる。
【0324】
いくつかの実施形態において、MCIの診断は、いくつかの臨床テストの結果を考慮して決定され得る。たとえば、非特許文献21では、客観的記憶障害を確定するための単純な記憶テスト(段落の想起)、記憶力を超えるより広い認知障害を除外するための一般認知の測定(以下でより詳しく説明されている、ミニメンタルステートテスト(MMSE))、および患者の記憶に関する不満および記憶喪失を確認して患者が認知症を患っていないことを保証するための、患者と介護者との構造化臨床面談(CDR)使用することでMCIの診断が臨床的に効率的に確定され得ることを報告している。MCIの患者は、平均して、この一連のテストに含まれる非記憶認知測定で、標準から下、1より低い標準偏差(SD)で遂行する。学習、注意、認知速度、カテゴリ流暢性、および実行機能のテストは、MCIの患者においてうまくいかない可能性があるが、これらは記憶障害に比べ圧倒的に顕著ではない。
【0325】
アルツハイマー病(AD)
いくつかの実施形態において、本明細書で説明されている光線療法デバイスおよび/またはシステムは、アルツハイマー病の治療について企図される。そのような事例において、本明細書で説明されている方法は、アルツハイマー病(AD)の発症を防止するか、もしくは遅くする、被検体が臨床AD診断へ移行したときにADの重症度を低減する、および/またはアルツハイマー病の1もしくは複数の症状を軽減するのに有用である。
【0326】
特に、アルツハイマー病が初期段階である場合、これらの方法は、ADに特徴的な1つもしくは複数の症状を低減するか、もしくは除去する、および/またはMCIから初期段階もしくは後期段階アルツハイマー病への進行を遅延させるか、もしくは防止することができる。
【0327】
アルツハイマー病を現在患っている個人は、特徴的な認知症、さらには上で説明されている危険因子の存在から認識され得る。それに加えて、ADを有している個人を識別するために多数の診断テストが利用可能である。アルツハイマー病を現在患っている個人は、特徴的な認知症、さらには上で説明されている危険因子の存在から認識され得る。それに加えて、ADを有している個人を識別するために多数の診断テストが利用可能である。これらは、CSFタウ、リン酸化タウ(pタウ)、sAPPα、sAPPβ、Aβ40、Aβ42レベル、および/またはC末端切断APP断片(APPneo)の測定を含む。増加したタウ、pタウ、sAPPβ、および/またはAPPneo、および/または減少したsAPPα、可溶性Aβ40および/または可溶性Aβ42レベルは、特に鑑別診断状況において、ADの存在を示す。
【0328】
いくつかの実施形態において、治療に適している被検体は、アルツハイマー病を有するものとしてよい。アルツハイマー病の個人は、Alzheimer’s disease and Related Disorders Association(ADRDA)基準によっても診断され得る。NINCDS-ADRDAアルツハイマー病基準は、1984年にNational Institute of Neurological and Communicative Disorders and StrokeおよびAlzheimer’s Disease and Related Disorders Association(現在はアルツハイマー協会として知られる)によって提言され、アルツハイマー病(AD)の診断に最も使用されているものの1つである(非特許文献27)。これらの基準によると、認知障害および疑わしい認知症の症候群の存在は、可能なまたはあり得そうなADの臨床診断のための神経心理学的テストによって確認されるべきである。しかしながら、組織病理学的確認(脳組織の顕微鏡検査)は、一般に、解決の手がかりとなる診断に使用される。NINCDS-ADRDAアルツハイマー病基準は、ADにおいて損なわれ得る8つの認知領域、すなわち記憶、言語、知覚能力、注意、構成能力、見当識、問題解決および機能的能力を指定している。これらの基準は、適切な信頼性および妥当性を示している。
【0329】
患者機能のベースライン評価は、ミニメンタルステート検査(MMSE)などの古典的な精神測定法(非特許文献28)、およびアルツハイマー病を有する患者の状態と機能を評価する包括的尺度であるアルツハイマー病評価尺度(ADAS)を使用して行える(たとえば、非特許文献29を参照)。これらの精神測定尺度は、アルツハイマー病の状態の進行の測定基準を提供する。好適な定性的生活尺度は、治療を監視するためにも使用できる。疾患進行の程度は、ミニメンタルステート検査(MMSE)を使用して決定され得る(たとえば、上記非特許文献28を参照)。25点(30点中)以上のスコアは、事実上正常(損なわれていない)である。これより低い場合、スコアは、重度(≦9点)、中度(10~20点)、または軽度(21~24点)のアルツハイマー病を示し得る。
【0330】
アルツハイマー病は、表3に示されているように、1)中度認知低下(軽度または初期段階アルツハイマー病)、2)中程度に重い認知低下(中度または中期段階アルツハイマー病)、3)重度認知低下(中度重度または中期段階アルツハイマー病)、および4)極めて重度の認知低下(重度または後期段階アルツハイマー病)を含む様々な段階に分類され得る。
【0331】
【0332】
様々な実施形態において、本明細書で説明されている光線療法デバイスおよび/またはシステムの使用は、タウ、リン酸化タウ(pタウ)、APPneo、可溶性Aβ40、可溶性Aβ42、および/もしくはAβ42/Aβ40比からなる群から選択される1つもしくは複数の成分のレベルのCSFにおける減少があるとき、ならびに/または被検体の脳におけるプラーク負荷の減少があるとき、ならびに/または被検体の脳内のプラーク形成の速度の減少があるとき、ならびに/または被検体の認知能力における改善があるとき、ならびに/または被検体による生活の質の知覚された改善があるとき、ならびに/または被検体の臨床的認知症尺度(CDR)における著しい減少があるとき、ならびに/または臨床的認知症尺度の増加の速度が遅くなるか、もしくは停止したとき、ならびに/またはADの進行が遅くなるか、もしくは停止したとき(たとえば、表3にリストされているような一方の段階から別の段階への移行が遅くなるか、もしくは停止したとき)に効果的であるとみなされる。
【0333】
いくつかの実施形態において、本発明の方法に適している被検体は、一般的に、アルツハイマー病以外の神経系の病気または疾患を有しない。たとえば、いくつかの実施形態において、被検体は、パーキンソン病、および/または統合失調症、および/または精神病などの神経系の病気または疾患を有せず、発症する危険がない。
【0334】
前述の使用は、例示的であり、非限定的である。本明細書で提示されている教示を使用することで、本明細書で説明されている光線療法デバイスおよび/またはシステムの多数の他の用途は、当業者に利用可能になる。
【0335】
本明細書で説明されている例および実施形態は、例示することのみを目的としており、このことを考慮して様々な修正形態または変更形態が、当業者に示唆され、また本出願の精神および範囲ならびに付属の請求項の範囲の中に含まれるものであることは理解される。本明細書で引用されているすべての公開、特許、および特許出願は、全体がすべての目的に関して参照により本明細書に組み込まれる。
【符号の説明】
【0336】
100 デバイス
101 第1の光源
102 第2の光源
103、104、105 ランプ
106、107 ランプ
108 ディフューザ
110 コントローラ
112 オン/オフ、明るさ
113 点滅周波数
114 位相、デューティサイクル
115 色温度、色相