(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 25/00 20060101AFI20240325BHJP
F25D 11/02 20060101ALI20240325BHJP
F25D 17/08 20060101ALI20240325BHJP
【FI】
F25D25/00 E
F25D11/02 K
F25D17/08 309
F25D25/00 G
F25D17/08 308
(21)【出願番号】P 2020015545
(22)【出願日】2020-01-31
【審査請求日】2022-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】薮上 裕也
【審査官】関口 勇
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-300311(JP,A)
【文献】特開2014-196894(JP,A)
【文献】実開平03-077192(JP,U)
【文献】国際公開第2018/117178(WO,A1)
【文献】特開2004-293990(JP,A)
【文献】特開2019-190825(JP,A)
【文献】特開昭63-070069(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 25/00
F25D 11/02
F25D 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択された冷蔵温度帯で保冷される一以上の貯蔵室と、
前記貯蔵室の外に設置された冷却器と、
前記貯蔵室内に流入する冷気量を調節する温度調節部と、
前記貯蔵室内に設けられ、閉鎖もしくは半閉鎖可能な封止構造を有する容器と、
前記容器が閉鎖もしくは半閉鎖された閉鎖状態と非閉鎖状態とに切り替え可能な切替部と、
を備え、
前記容器の後壁部に前記容器の内外に連通する開口部が形成されており、
前記切替部は、
前記開口部が形成された前記後壁部の裏面側に設けられ、前記後壁部に沿って移動可能に構成された
シャッターと、
前記後壁部に形成された操作溝を通じて前記容器内に突出する操作部と、を備え、
前記容器内に突出した前記操作部を操作することによって前記
シャッターが前記開口部を開閉可能に構成された冷蔵庫。
【請求項2】
前記容器の内外に連通する開口部が前記容器に形成されており、
前記切替部は、非閉鎖状態の時に前記開口部から前記容器内に冷気が流入可能に構成されている請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記温度調節部に前記貯蔵室の内外に連通する連通口を備え、
前記開口部は、前記連通口に相対する位置に設けられ、
前記開口部の下端が前記連通口の上端より下に位置する
請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記温度調節部に前記貯蔵室の内外に連通する連通口を備え、
前記開口部と前記連通口とが相対する位置に設けられ、
前記開口部の開口面は、前記連通口の開口面に対して直交する方向に沿って、
前記開口部が前記連通口の上端より下に位置する
請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記貯蔵室の天面側に設けられた蓋と、
前記蓋を昇降して前記容器を閉鎖もしくは半閉鎖状態と非閉鎖状態とに切替える蓋昇降構造を備え、
前記蓋昇降構造により、前記蓋が下降して前記容器の上部を覆った状態が保持された前記半閉鎖状態と、前記蓋が前記天面側に位置する状態が保持された前記非閉鎖状態とに切り替え可能に構成されている
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記貯蔵室の前部に設けられた扉を備え、
前記貯蔵室が前記閉鎖もしくは前記半閉鎖状態であるとき、前記蓋昇降構造は前記扉の開閉動作に連動し、前記蓋を昇降させる
請求項5に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記切替部は、前記
シャッターと前記操作部とが別体で構成され、
前記切替部は、前記操作部と前記
シャッターとの間に設けられ、前記操作部の移動方向と直交する方向に前記
シャッターの移動させる
ピニオンと、ラックとを備える
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記
シャッターにおける前記容器の内側を向く面には、前記閉鎖状態および前記非閉鎖状態の少なくともいずれか一方を示す
表示が設けられており、
前記容器の前記後壁部には、前記
表示に対応する位置に開口する表示窓が形成され、
前記
シャッターの位置に応じて前記
表示が前記表示窓から視認可能な位置に配置される、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵室内にチルド室を備える冷蔵庫が知られている。このような冷蔵庫は、ユーザの利便性のさらなる向上が期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、利便性の向上を図ることができる冷蔵庫を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の冷蔵庫は、選択された冷蔵温度帯で保冷される一以上の貯蔵室と、前記貯蔵室の外に設置された冷却器と、前記貯蔵室内に流入する冷気量を調節する温度調節部と、前記貯蔵室内に設けられ、閉鎖もしくは半閉鎖可能な封止構造を有する容器と、前記容器が閉鎖もしくは半閉鎖された閉鎖状態と非閉鎖状態とに切り替え可能な切替部と、を持つ。前記容器の壁部に前記容器の内外に連通する開口部が形成されている。前記切替部は、前記開口部が形成された前記後壁部の裏面側に設けられ、前記後壁部に沿って移動可能に構成されたシャッターと、前記後壁部に形成された操作溝を通じて前記容器内に突出する操作部とを持つ。前記容器内に突出した前記操作部を操作することによって前記シャッターが前記開口部を開閉可能に構成される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の冷蔵庫を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。構成の重複する説明は省略する場合がある。本明細書では、冷蔵庫の正面に立つユーザから冷蔵庫を見た方向を基準に、左右を定義している。冷蔵庫から見て冷蔵庫の正面に立つユーザに近い側を「前」、遠い側を「後ろ」と定義している。本明細書において「幅方向」とは、上記定義における左右方向を意味する。本明細書において「奥行方向」とは、上記定義における前後方向を意味する。図中において、+X方向が右方向、-X方向が左方向、+Y方向が後方向、-Y方向が前方向、+Z方向が上方向、-Z方向が下方向である。本願でいう「AまたはB」とは、AとBのうちいずれか一方の場合に限定されず、AとBの両方の場合を含む。
【0008】
図1は、実施形態に係る冷蔵庫1を示す正面図である。
図2は、
図1のA-A線における冷蔵庫の縦断面図である。冷蔵庫1は、例えば、筐体20、回転扉11,12、扉13~16、圧縮機250、第一冷却機構60、および第二冷却機構70を有する。
【0009】
図1および
図2に示すように、筐体20は、上壁21、下壁22、左右の側壁23,24、および後壁25を有する。上壁21および下壁22は、略水平に配置されている。左右の側壁23,24は、下壁22の左右の端部と上壁21の左右の端部との間に略鉛直方向に起立している。後壁25は、下壁22の後端部と上壁21の後端部との間に略鉛直方向に起立している。
【0010】
筐体20は、例えば、内箱と、外箱と、断熱部とを有する。内箱は、筐体20の内面を形成し、外箱は、筐体20の外面を形成している。内箱と外箱との間には、発泡ウレタン等の発泡断熱材を含む断熱部が設けられている。筐体20は、断熱性能を持つ。
【0011】
筐体20の内部には、複数の貯蔵室が設けられている。複数の貯蔵室は、例えば、第一冷蔵室81、第二冷蔵室82、製氷室83、小冷凍室84、および主冷凍室85を含む。実施形態では、最上部に第一冷蔵室81が配置され、第一冷蔵室81の下方に第二冷蔵室82が配置され、第二冷蔵室82の下方に製氷室83および小冷凍室84が配置され、製氷室83および小冷凍室84の下方に小冷凍室84が配置されている。貯蔵室の配置は、上記例に限定されず、例えば第二冷蔵室82と小冷凍室84の配置が逆でもよい。筐体20は、各貯蔵室の前面側に、各貯蔵室に対して食材の出し入れを可能にする開口を有する。
【0012】
左右の回転扉11,12は、冷蔵庫1の正面に立つユーザに対向する表面111,121と、回転扉11,12が閉じた位置において、第一冷蔵室81の内部に対向する裏面112,122とを有する。裏面112,122には、複数の収納ポケット31が設けられている。
【0013】
図2に示すように、筐体20は、第一仕切部28および第二仕切部29を有する。第一仕切部28および第二仕切部29は、左右の側壁23,24間に略水平方向に沿って設けられた断熱仕切部であり、断熱性能を有する。第一仕切部28は、第一冷蔵室81と第二冷蔵室82との間に位置し、第一冷蔵室81と第二冷蔵室82との間を仕切っている。例えば、第一仕切部28は、第一冷蔵室81の底部を形成するとともに、第二冷蔵室82の天井を形成している。第二仕切部29は、第二冷蔵室82と、製氷室83および小冷凍室84との間に位置し、第二冷蔵室82と、製氷室83および小冷凍室84との間を仕切っている。例えば、第二仕切部29は、第二冷蔵室82の底部を形成するとともに、製氷室83および小冷凍室84の天井を形成している。
【0014】
複数の貯蔵室の開口は、複数の扉によって開閉可能に閉じられている。複数の扉は、例えば、第一冷蔵室81の開口を閉じる左右の回転扉11,12、第二冷蔵室82の開口を閉じる第二冷蔵室扉13、製氷室83の開口を閉じる製氷室扉14、小冷凍室84の開口を閉じる小冷凍室扉15、および主冷凍室85の開口を閉じる主冷凍室扉16を含む。
【0015】
第一冷蔵室81に、チルド室86、製氷用給水タンク室(不図示)、および複数の棚30が設けられている。
【0016】
図2に示すように、第一冷蔵室81の下部にチルド室86が設けられている。チルド室86は、冷蔵室と異なる温度帯で保冷可能に構成されている。チルド室の保冷温度であるチルド温度帯は、例えば、0℃~1℃である。チルド室86は、周囲を断熱部材(断熱板および内断熱蓋)により区切られている。チルド室86は、第一冷蔵室81内に設けられている。このため、チルド室86の温度を第一冷蔵室81より低い冷凍温度帯に保つために、断熱部材により断熱される。チルド室86の温度帯は、冷蔵室よりも温度が低く、冷凍室よりも高い。
【0017】
本例では、チルド室86の側方に製氷用水タンク室が設けられている。製氷用水タンク室73内に製氷用給水タンクが設けられている。チルド室86と製氷用給水タンク室75とは、チルド側壁92a,92bにより仕切られている。製氷用給水タンク室75は、製氷用の水が貯蔵される。小冷凍室84の後方には不図示の自動製氷装置が設置されている。製氷用給水タンクと自動製氷装置との間には、製氷用給水タンクの水を自動製氷装置の水受け容器へ供給するための給水機構が設けられている。給水機構は、例えばポンプの動作によって製氷用給水タンク内の水を汲み上げ、汲み上げた水を給水パイプにより水受け容器に供給する。水受け容器に供給された水は、別の給水パイプを介して、自動製氷装置の製氷皿へ供給される。自動製氷装置により製氷された氷は、小冷凍室84に自動供給され、貯蔵される。
【0018】
製氷室83は、不図示の自動製氷装置から供給された氷を貯蔵する氷貯蔵室として機能する。
【0019】
製氷用水タンク室および製氷用給水タンクは必須の構成ではない。製氷用水タンク室を備えない場合、第一冷蔵室81の幅方向の略全域にチルド室86が設けられていてもよい。
【0020】
第二冷蔵室82は、野菜室として使用される。第二冷蔵室82は、野菜の貯蔵に適した冷蔵温度帯、例えば、1~5℃で保冷されている。第二冷蔵室82は、野菜に適した貯蔵環境の貯蔵室に限らず、第一冷蔵室81と同等の冷蔵温度帯に設定され、冷蔵機能を備える貯蔵室であってもよい。
【0021】
小冷凍室84および主冷凍室85は、冷凍温度帯、例えば、-10℃以下で保冷されている。第二冷蔵室82、小冷凍室84、および主冷凍室85は、切替室として機能する。切替室は、冷凍温度帯から冷蔵温度帯まで保冷温度が任意に切り替え可能に構成されている。第二冷蔵室82、小冷凍室84、および主冷凍室85は、は、冷凍室としての機能の他、冷蔵室としても機能する。したがって、第二冷蔵室を冷凍室として使用可能であり、小冷凍室84および主冷凍室85を冷蔵室として使用可能である。詳細は後述する。
【0022】
温度センサが貯蔵室内に設置されている。温度センサは、貯蔵室内に露出しており、各貯蔵室内の温度を検出する。温度センサは、公知の温度センサを使用でき、例えばサーミスタが挙げられる。
【0023】
図2に示すように、圧縮機250は、例えば、冷蔵庫1の底部の機械室に設けられている。圧縮機250は、筐体20の内部の貯蔵室の冷却に用いられる冷媒ガスを圧縮する。圧縮機250により圧縮された冷媒ガスは、不図示の放熱パイプなどを経由して、冷却器62,72に送られる。
【0024】
第一冷却機構60は冷蔵温度帯の冷却機構である。第一冷却機構60は、例えば、送風ダクト68、冷気供給ダクト69、冷蔵用冷却器室61、冷蔵用冷却器62、冷蔵用送風ファン64、およびチルド用冷気吹出口65を含む。第二冷蔵室82の後方には、冷蔵用送風ファン64が配設され、冷蔵室吸込口63および送風ダクト68が設けられている。冷蔵用送風ファン64は、冷蔵用冷却器62に風を送る。冷却器62は、貯蔵室の外に設置されている。本明細書において「冷却器に風を送る」とは、空気の流れ方向で冷却器の上流側にファンが配置され、冷却器に向けて風を送る場合に限定されず、空気の流れ方向で冷却器の下流側にファンが配置され、周囲の空気をさらに下流側に送ることで、冷却器の上流側に位置する空気を冷却器に向けて移動させる場合も含む。送風ダクト68は、冷蔵用冷却器室61に連通している。冷蔵室吸込口63は、例えば第二冷蔵室82に開口している。
【0025】
冷蔵用送風ファン64が駆動されると、第二冷蔵室82内の空気が冷蔵室吸込口63から冷蔵用送風ファン64側に吸い込まれ、吸い込まれた空気は、送風ダクト68側へ吹き出される。送風ダクト68側へ吹き出された空気は、冷蔵用冷却器62に接触して熱交換が行われ、冷却される。冷却された空気(冷気)は、冷気供給ダクト69を通り、複数の冷蔵用冷気供給口69aから第一冷蔵室81に吹き出される。冷却された空気(冷気)は、チルド用冷気吹出口65からチルド室86にも吹き出される。第一冷蔵室81内とチルド室86に流入した冷気は、後側通気口66を通じて、第二冷蔵室82に流れ、最終的に冷蔵用送風ファン64に吸い込まれて循環する。
【0026】
この循環過程で、冷蔵用冷却器室61内を通る空気が冷蔵用冷却器62によって冷却されて冷気となる。冷気が第一冷蔵室81に供給されることによって、第一冷蔵室81が冷蔵温度帯の温度に冷却される。冷気がチルド室86に供給されることによって、チルド室86がチルド温度帯の温度に冷却される。チルド室86は、第一冷蔵室81や第二冷蔵室82よりも、冷蔵用冷却器62に近い位置にあるため、チルド室86は、冷蔵温度帯(例えば、1~5℃)よりも低温であるチルド温度帯(例えば、0~1℃)に保たれる。
【0027】
第二冷却機構70は、冷凍温度帯の冷却機構である。第二冷却機構70は、例えば、冷凍用冷却器室71、冷凍用冷却器72、および冷凍用送風ファン76を含む。冷蔵庫1の冷凍温度帯の製氷室83、小冷凍室84、および主冷凍室85の背壁部6には、冷凍用冷却器室71が設けられている。冷凍用冷却器室71には、冷凍用冷却器72や除霜用ヒータ(図示せず)などが配設されている。冷却器72は、貯蔵室の外に設置されている。冷凍用冷却器72の下方には、冷凍用送風ファン76が配設されている。冷凍用冷却器室71の前面の上端部には、冷気吹出口77が設けられ、下端部には、冷凍室吸込口78が設けられている。
【0028】
この構成において、冷凍用送風ファン76が駆動されると、冷凍用冷却器72により生成された冷気が、冷気吹出口77から製氷室83、小冷凍室84、主冷凍室85内に供給された後、冷凍室吸込口78から冷凍用冷却器室71内に戻されて循環する。これにより、製氷室83、小冷凍室84、主冷凍室85が冷却される。
【0029】
図2に示すように、第一冷蔵室81には、第二冷蔵室82にも連通する後側通気口66が形成されている。チルド室86は、チルド室86よりも温度が高い他の冷蔵室81,82と連通する。後側通気口66は、開閉可能に構成されている。後側通気口66を閉じれば、チルド室86を第一冷蔵室81と同等の保冷温度で使用できる。
【0030】
図2に示すように、チルド用冷気吹出口65および冷気吹出口77には、ダンパ5が設けられている。ダンパ5は、貯蔵室と冷却器とを隔てる後断熱壁67に、接続軸55(
図3参照)により軸支されている。ダンパ5はチルド用冷気吹出口65および冷気吹出口77の開口面積をそれぞれ調整可能に設けられている。例えば、ダンパ5が接続軸55回りに回動してチルド用冷気吹出口65および冷気吹出口77を全閉状態から全開状態まで変更できる。ダンパ5により、チルド用冷気吹出口65または冷気吹出口77を経由して貯蔵室内に流入する冷気の流入量である冷気量を調節できる。その結果、貯蔵室内の温度を調節できる。ダンパ5は、温度調節部の一例である。チルド用冷気吹出口65および冷気吹出口77は連通口の一例である。
【0031】
図2に示すように、チルド室86、第二冷蔵室82、製氷室83、小冷凍室84、および主冷凍室85の内部には、それぞれ容器3が設けられ、引出し式の収納部を有する。各容器3は、第二冷蔵室扉13、製氷室扉14、小冷凍室扉15および主冷凍室扉16に取り付けられている。製氷室83の引出し容器は図示を省略している。第二冷蔵室扉13、製氷室扉14、小冷凍室扉15および主冷凍室扉16を筐体20の前後方向に移動させると、各引出し容器3が追従して移動し、容器内の収納物を出し入れできる。各引出し容器3は、例えば、清掃時等、各貯蔵室から取り外すことができる。
【0032】
容器3は、矩形の容器本体と、前扉とが一体に形成されている。前扉には、前方に突出する把手が形成されている。容器3は、全体が各貯蔵室に収納された収納位置から、前方に引き出されて物品を出し入れ可能な引出し位置まで奥行方向に移動可能に設けられている。容器3は、例えば、光透過性を有する合成樹脂、ガラス等の部材で形成されており、不図示の断熱シートが接着されている。
【0033】
図3は、
図2における第二冷蔵室82を拡大した縦断面図である。複数の容器3には、閉鎖もしくは半閉鎖可能な封止構造を有する容器を含む。封止構造を備える容器は、野菜等の食材の鮮度保持機能を備える容器である。以下の説明において、封止構造を備える容器を「野菜用容器」と記載する場合がある。
【0034】
野菜用容器は、切換構造を備え、容器内を閉鎖状態と非閉鎖状態とに切り替えることができる。閉鎖状態とは、容器の内部から水分が放出されるのを防ぎ、容器内部の乾燥を防止可能な程度に容器を閉じた状態をいう。閉鎖状態には、密閉状態の他、容器の内外の通気性を有する半閉鎖状態を含む。非閉鎖状態とは、容器の一部が内外に連通して開放された状態をいう。
【0035】
ユーザは所望の冷蔵温度帯に選択可能である。例えば、貯蔵室を野菜室として使用する際は、野菜用容器を閉鎖状態に切り替えて保持する。この結果、容器内の湿度低下を防ぎ、野菜用容器内を野菜の保存に適した湿度に保持できる。貯蔵室を冷凍温度帯やチルド温度帯で保冷する場合は、野菜用容器を非閉鎖状態にして、冷気を導入し易くし、低温の温度帯を保持可能である。したがって、ユーザのニーズに応じて、貯蔵室を野菜貯蔵温度帯、冷凍温度帯、チルド温度帯等、任意の保冷温度帯に設定して使用できる。このとき、設定した保冷温度帯に応じて野菜用容器内の環境を切り替え可能であるため、容器内を好適な環境に保持できる。この他、野菜用容器を、野菜の保存に適した容器として、あるいは、冷凍温度帯や冷蔵温度帯に適した容器として兼用できる。
【0036】
第二冷蔵室82には、上下二段の野菜用容器32,33が設けられている。第二冷蔵室82の下部に大容量の下野菜用容器33が設けられ、下野菜用容器33の上方に上野菜用容器32が設けられている。下野菜用容器33は、略矩形の収納部を備え、前部分に、収納部を前後に仕切る隔壁331が設けられている。下野菜用容器33では、隔壁331よりも後側の収納部が封止可能であり、隔壁331よりも前側の収納部は、上部の開口が常時開いている。隔壁331は、各野菜用容器32,33が第二冷蔵室82内に収納された状態において、上野菜用容器32の前端部と略等しい位置に設けられている。
【0037】
上野菜用容器32は、下野菜用容器33の上端と、第一仕切部28との間に設けられている。上野菜用容器32は、第二冷蔵室扉13を開けた時に、下野菜用容器33の進退に追従して進退可能である。上野菜用容器32は、下野菜用容器33に対して手動で進退可能に設けられている。したがって、第二冷蔵室扉13を前方に引き出したとき、上野菜用容器32を奥側に移動させれば、下野菜用容器33の上部が開放され、収納部に野菜等の収納物を出し入れできる。
【0038】
上野菜用容器32の上部には蓋4が設けられている。蓋4により、上野菜用容器32の上部の開口が塞がれる。上野菜用容器32の蓋42は、第二冷蔵室82の天面に取り付けられている。蓋42は、上野菜用容器32の上部の開口を塞ぐ構成であればよい。例えば、第二冷蔵室82の天面に、収納時の上野菜用容器32の上縁に対応する位置にパッキンを取り付けた例や、上野菜用容器32の上部の開口面積以上の面積を有する板状部材であってもよい。蓋4は、上野菜用容器32に対して着脱可能に設けられている。
【0039】
図3に示すように、上野菜用容器32および下野菜用容器33には、開口部52,53が形成されている。開口部52,53は、容器の内外に連通する開口である。開口部52は、上野菜用容器32の後壁321に形成されている。開口部53は、下野菜用容器33の後壁332に形成されている。各開口部52,53は、冷気吹出口77の近傍に配置されている。具体的には、上野菜用容器32の開口部52は、冷気吹出口77と同じ前後方向に開口し、対向している。下野菜用容器33の開口部52は、冷気吹出口77に近接した位置で、冷気吹出口77と同じ前後方向に開口している。各開口部52,53の下端522、533が冷気吹出口77の上端771より下に位置する。
【0040】
下野菜用容器33の後端部に幅方向に沿って上板43が設けられている。上板43には、開口部50が形成されている。開口部50は、冷気吹出口77に相対する位置に設けられている。開口部50の開口面は、冷気吹出口77の開口面に対して直交する方向に沿って開口している。開口部50は、冷気吹出口77の上端771より下に位置する。
【0041】
下野菜用容器33の上板43の前端と隔壁331との間の開口面積は、上野菜用容器32の底部の面積以下である。第二冷蔵室扉13が閉じ、第二冷蔵室82内で各野菜用容器32,33が収納位置に配置されたとき、下野菜用容器33の上部の開口は、上野菜用容器32の底部により塞がれる。上板43は、下野菜用容器33の蓋の一部を構成する。
【0042】
開口部50,52,53は、容器32,33の内部に冷気が流入可能な開口面積を備えれば、一つの開口でも複数の開口でもよい。一例として、
図4から6に示す複数の開口部を有する例を示す。
図3では、一つの開口部50,52,53を示している。
図4および
図5は、容器32,33の後壁321,332を前方から見た図である。
図6は、容器32,33の後壁321,332を後方から見た図である。
図4および
図5に示すように、容器32,33の後壁321,332には、複数の開口部52,53が形成されている。各開口部52,53の形状は適宜変更可能である。各開口部が全て同じ形状である例や、複数の形状の開口部が形成されている例であってもよい。開口面積が小さい複数の開口部52,53を採用すると、容器内の塵が容器外に落ち難いため好ましい。
【0043】
複数の開口部52,53は、シャッター9により開閉可能である。
図4は、開口部52,53が開いた状態を示し、
図5は、開口部52,53が閉じた状態を示している。
図4および
図5に示すように、後壁321,332には、操作部90が設けられている。操作部90の操作方向と、シャッター9の移動方向とが平行である。シャッター9は、後壁321,332の背面に設けられたガイド溝93内に挿入された板材である。シャッター9は、ガイド溝93に沿って、
図6に矢印Bで示す幅方向に移動可能に設けられている。シャッター9には、開口部52,53の形状に対応する複数の開口94が形成されている。シャッター9には操作部90が突出して設けられている。操作部90は、後壁321,332に開口する操作溝91内に挿入され、容器32,33内に突出している。ユーザが操作部90を把持して幅方向に移動させると、シャッター9が後壁321,332に対して相対移動し、開口部52,53が開閉される。後壁321,332には、表示窓92が形成されている。シャッター9に、開口部52,53の開閉状態を示す「OPEN」、「CLOSE」の表示が付されている。シャッター9が開口部52,53を塞ぐ位置に配置されたとき、表示窓92に「CLOSE」が表示される。シャッター9の開口94が開口部52,53と同じ位置に配置され、シャッター9が開口部52,53を開く位置に配置されたとき、表示窓92に「OPEN」が表示されるように構成されている。シャッター9、ガイド溝93、操作部90は、野菜用容器32,33が閉鎖状態と非閉鎖状態とに切り替え可能な切替部の一例である。上板43の開口部50にも上記と同様の構成の切替部を備える。
【0044】
開閉状態を示す「OPEN」、「CLOSE」の表示および表示窓92は必須の構成ではない。例えば、後壁321,332の色と対称的な色のシャッター9を用いると、開口部52,53の開閉状態が目視し易い。この場合、表示および表示窓92を設けなくてもよい。
【0045】
図3に示すように、容器3の底部301に排出口302と排出口302を塞ぐ蓋304が設けられている。排出口302により、容器3内のゴミや汚れを容易に除去できる。排出口302は蓋304により塞がれるため、使用時の容器内の環境に影響を与えない。
【0046】
切替部の構成は、
図4から
図6に示す構成に限定されない。例えば、
図7から
図10に示す変形例の構成であってもよい。
図7に示す変形例では、シャッター9Aおよびガイド溝93Aが後壁321,332の内側に設けられ、シャッター9Aが幅方向に移動して、開口部52,53を開閉する構成を有する。
図7に示す例では、シャッター9の幅方向の端部に前方に突出する操作バー90Aが設けられている。後壁321,332には、開口部52,53の近傍であって、シャッター9の移動終端となる位置に、ストッパ900が設けられている。ユーザが操作バー90Aを把持して、シャッター9Aを移動させると、開口部52,53が開閉される。
【0047】
図8に示す変形例は、シャッター9に代えて、後壁321,332に対して回動可能な回動板9Bにより、開口部53,54を開閉する構成を有する。回動板9Bは、後壁321,332に軸支部93Bにより回動可能に取り付けられている。回動板9Bには、回動端部に係止孔901が形成されている。後壁321,322には、2つのストッパ900Bが突出して設けられている。ストッパ900Bは、係止孔901が挿入可能な大きさを有し、回動板9Bが後壁321,332に面接触した状態で、係止孔901が外嵌可能な位置に形成されている。ユーザは、回動板9Bを回動させて開口部52,53を全開位置または全閉位置に切り替える。回動板9Bはシャッターの一例である。
【0048】
上記実施形態および変形例では、切替部が容器32,33の後壁321,332に設けられる例を示したが、切替部を設ける位置は後壁321,332に限定されない。上述の上板43や、容器32,33の幅方向の側壁の後部に切替部を設けてもよい。
【0049】
図9および
図10に示す変形例は、操作部90Cの移動方向と、シャッター9Cの移動方向とが異なる例である。本変形例のように、シャッター9Cの移動方向と、操作部90の切り替え操作方向とが異なる方向であってもよい。
図9は、本変形例の野菜用容器32,33の後壁321,332を後方から見た背面図である。
図10は、
図9に示す切替部の前後方向に沿う縦断面図である。本変形例では、操作部90を有する操作バー903が後壁321,332の後方に配置されている。操作バー903には、ラック904が形成されている。
図9に示すように、操作溝91は上下方向に延びている。操作バー903の操作部90は、後壁321,332の操作溝91から内部に突出している。操作バー903は、操作溝91に沿って上下方向に移動可能に係止されている。後壁321,332の背面には、水平方向に一対のガイド溝93Cが設けられている。シャッター9Cは、ガイド溝93Cに沿って移動可能に、ガイド溝93Cに支持されている。シャッター9Cの下端辺には、ラック906が設けられている。ピニオン905が後壁321,332に回転可能に取り付けられている。ピニオン905は、操作バー903のラック904と、シャッター9Cのラック906とに噛み合っている。操作部90を上下方向に移動させると、ピニオン905が回転し、シャッター9Cが水平方向に移動し、
図4から
図6に示すシャッター9と同様に、開口部52,53を開閉する。
【0050】
本変形例によれば、シャッター9Cの移動方向と、シャッター9Cの操作部90の操作方向が直交している。すなわち、シャッター9Cは幅方向に移動し、操作部90は上下方向に移動する。したがって、シャッター9Cの開閉時の操作性が高い。
【0051】
次に、野菜用容器の蓋の自閉構造について説明する。野菜用容器3は、容器の開口を蓋で閉じて閉鎖状態とすることにより、収納部内の湿度の低下を防止する。蓋は、貯蔵室の扉の開閉移動により自動的に容器の開口を塞ぐ。
図11は、小冷凍室84に野菜用容器3を設けた例を模式的に示す断面図である。
図11では、
図2と同様の縦断面を示している。
【0052】
図11に示すように、第二冷蔵室82の幅方向の両側の一対の側壁841の内面には、一対のガイド部921が設けられている。
図11では、一対の側壁841の内面の一方のみを示している。ガイド部921は、側壁841に奥行方向に延びて形成されている。ガイド部921は、後述する容器のガイドレール内に挿入される。
【0053】
ガイド部231は、前側から順に、第一部231a、第二部231b、第三部231cを持つ。第一部231aおよび第三部231cは略水平に伸びている。第三部231cは、第一部231aより高さが高い。第一部231aと第三部231cとの間の第二部231bは後方に向かって上側に傾斜して、第一部231aと第三部231cとに接続されている。ガイド部231は、各野菜用容器3の移動範囲に対応する位置に形成されている。各野菜用容器3は、幅方向の両端部の外面にガイドレール310を備える。各野菜用容器3は、ガイドレール310がガイド部231に支持され、ガイド部231に沿って移動可能に設けられる。
【0054】
ガイド部231は、第三部231cが高いため、野菜用容器3を収納位置に配置すると、野菜用容器3が引き出した状態よりも高い位置に案内される。収納位置では、野菜用容器3の上端部が蓋に接触し、閉鎖状態となる。野菜用容器3を引き出した時は、ガイド部に沿って野菜用容器3が下降した位置で開放され非閉鎖状態になる。
【0055】
上記態様の他、各貯蔵室と、各容器3との間は自閉構造を備えてもよい。
図12は、自閉構造を備える小冷凍室84Dの例である。床部の上面の奥行方向の奥側が下降して形成されている。野菜用容器3の下面300を底部の上面の形状に対応させ、野菜用容器3の下面300の奥行方向の奥側が下降する構成を有する。自閉構造により、前方に引き出された野菜用容器3をユーザが奥側へ向かって少し押すと、収納位置まで自動的に移動するように構成されている。
【0056】
自閉構造はこの例に限定されない。例えば野菜用容器3の側面が貯蔵室の側壁に、ガイドレールとガイド部とを介して支持される構成であってもよい。この場合、自閉構造のガイド部は、奥側が下降している。野菜用容器3が小冷凍室84に配置されると、野菜用容器3のガイドレール310がガイド部に当接する。ガイド部は奥側が下降している。野菜用容器3が後方に押されると、被ガイド部の後端部が奥側に進み、ガイド部の下降部に到達すると、野菜用容器3および収納物の自重により、野菜用容器3がガイド部の傾斜面に沿って奥側に移動する。
【0057】
自閉構造を備える場合、野菜用容器3は、前方に引き出された時より、収納位置の方が低い。蓋は、前方に引き出された時の野菜用容器3の上縁部よりも低い位置となるように、第一仕切部28の天面に固定されている。蓋は、天面から下方に突出して設けられている。自閉構造により野菜用容器3が収納されると、野菜用容器3が下方に下がり、上端部の開口は蓋と密接して閉鎖状態となる。野菜用容器3が前方に引き出されると、上端部の開口は蓋から離れて開放される。
【0058】
次に、蓋昇降構造400について説明する。
図13は、蓋昇降構造400を備える野菜用容器3の一例を示す側面図である。蓋昇降構造400は、貯蔵室の扉を閉めたときに野菜用容器32の蓋4が自閉し、野菜用容器3を貯蔵室から引き出すと蓋4が自動で開く構造を備える。
図13に示すように、野菜用容器3の前端部の上部に傾斜面303が形成されている。傾斜面303は、野菜用容器3の前端から後方に向かって高さが高くなるように傾斜している。蓋4は、前部の下端に下垂部41が形成されている。蓋4の下垂部41は、前端部が後部よりも下垂するように傾斜している。この結果、野菜用容器3が貯蔵室から引き出されると、蓋4の下垂部41が野菜用容器3の傾斜面303に沿って相対移動し、蓋4が上昇する。野菜用容器3が収納位置に押されると、蓋4の下垂部41が野菜用容器3の傾斜面303に沿って移動し、蓋4が降下する。このように、蓋昇降構造400は、野菜用容器3の移動に連動して蓋4が昇降する構造を備え、蓋4が自閉する構成であってもよい。
【0059】
図14は、蓋昇降構造400Aを備える第二冷蔵室82を模式的に示した正面図である。
図14では、第二冷蔵室扉13を省略している。蓋昇降構造400Aは、蓋4と、第一仕切部28との間に設けられている。蓋昇降構造400Aは、操作部401と回動部402とを有する。回動部402は、第二冷蔵室82の天面に回動可能に取り付けられている。回動部402の上端部が第二冷蔵室82の天面に軸支され、下端部が蓋4に軸支されている。回動部402は、複数設けられている。操作部401は、第二冷蔵室82の幅方向に移動可能に設けられている。操作部401と回動部402とは不図示の歯車構造で連結されている。操作部401を幅方向の第一方向に移動させると、回動部402の下端部が天面側に回動し、蓋4が第一方向と同じ方向に移動しながら上昇する。操作部401を、第一方向とは反対方向である幅方向の第二方向に移動させると、回動部402の下端部が野菜用容器3側に回動し、蓋4が下降する。操作部401は、第一方向の移動終端および第二方向の移動終端で係止されるロック機構を備える。
【0060】
例えば、第二冷蔵室82を冷凍室として使用する場合、ダンパ5を開放し、ユーザが操作部401を第一方向に移動させると、蓋4が上昇する。操作部401がロックされると、蓋4が野菜用容器3から離間させた状態で保持される。第二冷蔵室82を野菜室として使用する場合、ダンパ5を閉じ、ユーザが操作部401を第二方向に移動させると、蓋4が下降する。操作部401がロックされると、野菜用容器3が収納されたときに、蓋4が野菜用容器3の上部を覆う状態が保持される。
【0061】
蓋昇降構造400Aを備えると、野菜用容器3と貯蔵室との間に蓋昇降構造を備えると、蓋4を使用時と非使用時とに切り替えて使用できる。すなわち、貯蔵室を野菜室として使用する場合は、野菜用容器3により、容器内の環境が野菜の保存に適した環境に保たれる。一方、封止構造を備える野菜用容器3が設けられた貯蔵室を冷凍温度帯で使用する場合は、野菜用容器3の蓋4を使用せず、野菜用容器3を冷凍保存に適した容器として使用できる。
【0062】
蓋昇降構造400を設ける貯蔵室は第二冷蔵室82に限定されない。小冷凍室84や主冷凍室85に蓋昇降構造400を設けてもよい。第二冷蔵室82、小冷凍室84および主冷凍室85にそれぞれ蓋昇降構造400および野菜用容器3を設ける構成であってもよい。
【0063】
上記実施形態では、複数の貯蔵室にそれぞれ野菜用容器3を設けた例を示したが、本開示はこの態様に限定されない。複数の貯蔵室のいずれにも設置可能な容器を備え、各貯蔵室には、容器を引出し可能に支持する構造を備えてもよい。この他、野菜用容器3が各貯蔵室に、同様の態様で設置できるように構成してもよい。例えば、閉鎖状態と非閉鎖状態とに切り替え可能な野菜用容器3を、複数の貯蔵室の中から、野菜室として使用する貯蔵室をユーザが任意に貯蔵室に選定する。選定した貯蔵室を温度調節部により冷気量を抑え、かつ、野菜用容器3を取り付けて使用する態様であっても、上述のような野菜の鮮度保持能力の高い貯蔵室を提供できる。この場合、例えば、野菜用容器3の下部に車輪や、摺動構造を備え、貯蔵室の床面に対して円滑に出し入れ可能に配置してもよい。
【0064】
上記実施形態によれば、貯蔵室の保冷温度に応じて、容器内を閉鎖状態と非閉鎖状態とに切り替えることができる。したがって、例えば、貯蔵室を野菜室として使用する際は、容器を閉鎖状態に保持し、容器内の湿度低下を防ぎ、貯蔵室を冷凍温度帯やチルド温度帯で保冷する場合は、容器を非閉鎖状態にして低温の温度帯を保持可能である。したがって、ユーザの使用態様に応じて、貯蔵室を野菜貯蔵温度帯、冷凍温度帯、チルド温度帯等、任意の保冷温度帯に設定して使用できる。このとき、設定した保冷温度帯に応じて容器内の環境を切り替え可能であるため、容器内を好適な環境に保持できる。
【0065】
上記実施形態によれば、切替部は、シャッターを備え、シャッターを移動させて開口を開閉できる。したがって、簡易な構成で容器内の環境を切り替えられる。
【0066】
上記実施形態によれば、シャッターの移動方向と、シャッターの操作部の操作方向が平行である。この結果、ユーザがシャッターの開閉動作を直感的に認識可能であり、ユーザが操作しやすい。
【0067】
上記実施形態によれば、容器に封止構造を備えるため、貯蔵室を野菜室として好適な環境に保持できる。この結果、貯蔵室を野菜室として使用する際、野菜を鮮度が高い状態で保存できる。
【0068】
上記実施形態によれば、容器が閉鎖状態と非閉鎖状態とに切り替えられるため、貯蔵室を野菜室として使用する際は、容器内の閉鎖状態に保持して、容器内を野菜の保存に好適な環境に保持できる。一方、貯蔵室を冷凍室やチルド室として使用する場合は、容器を非閉鎖状態に保持して、容器内の温度を冷凍温度帯やチルド温度帯に保持できる。この結果、ユーザは、使用状況に応じて、貯蔵室を任意の保冷温度帯に設定でき、設定された保冷温度に応じて、容器内の環境を好適な状態に保持できる。
【0069】
上記実施形態によれば、容器3の開口部52,53が冷気吹出口77の近傍に配置されているため、貯蔵室の外部から冷気吹出口77を経由して流入する冷気を効率良く容器3内に導入できる。この結果、冷蔵効率を向上させることができる。
【0070】
上記実施形態によれば、容器3の開口部52,53が冷気吹出口77の上端771よりも下に位置するため、非閉鎖状態の時に、容器3内に効率良く冷気を導入できる。この結果、冷蔵効率を向上させることができる。
【0071】
上記実施形態によれば、容器3の開口部52,53の開口面は、冷気吹出口77の開口面に対して直交方向に設置され、容器3の開口部52,53は、冷気吹出口77の上端771よりも下に位置するため、非閉鎖状態の時に、容器3内に効率良く冷気を導入できる。この結果、冷蔵効率を向上させることができる。
【0072】
上記実施形態によれば、容器の開口部が、背面もしくは天面側に形成されているため、非閉鎖状態の時に、容器内に効率良く冷気を導入できる。この結果、冷蔵効率を向上させることができる。
【0073】
上記実施形態によれば、上板43には、ダンパ5が設けられている冷気吹出口77の開口面に対し垂直方向に位置する開口部50が設置され、開口部50の開口面が冷気吹出口77の開口部の上端771より下に位置する。この結果、非密閉時に冷気が容器3内に流入しやすく、冷蔵効率を高めることができる。
【0074】
上記実施形態によれば、扉の開閉動作に応じて、蓋が昇降し、容器が閉鎖状態と非閉鎖状態とに切り替えられる。この結果、ユーザが蓋を開ける必要がなく、扉を開けると容器内が開放され、野菜等の保存物を収納または取出し可能となる。ユーザが扉を閉めると蓋が容器を覆い、容器内を閉鎖状態に保持される。したがって、ユーザの利便性に優れた冷蔵庫を提供できる。
【0075】
上記実施形態によれば、複数の貯蔵室の保冷温度を任意の温度帯に設定可能であり、かつ、容器内を閉鎖状態と非閉鎖状態とに切り替え可能である。この結果、ユーザは、複数の貯蔵室のうち、所望の貯蔵室を鮮度保持能力の高い野菜室として使用できる。
【0076】
上記実施形態によれば、貯蔵室を冷蔵温度帯モードと急速冷蔵モードとに切り替え可能であるため、食品の保存性能を向上させることができる。具体的には、ダンパ5を全閉すると冷却器からの冷凍温度帯の冷気が貯蔵室内に流入せず、冷蔵温度帯で保持される。冷蔵温度帯で保持された状態で、開き量を全開ではない一定量でダンパ5を開き、一定時間保持することにより、冷凍温度帯の冷気が貯蔵室内に流入し、貯蔵室内の温度を急速に低下できる。したがって、例えば、冷めていない食品を貯蔵室に入れて急速冷蔵可能であり、食品の保存性能を向上させることができる。
【0077】
上記実施形態では、第二冷蔵室82に上野菜用容器32および下野菜用容器33を設ける例を示したが、第二冷蔵室82内に上下二段の野菜用容器32,33を設ける構成は必須の構成ではない。例えば、上野菜用容器32および下野菜用容器33のいずれか一方が設けられる構成であってもよい。
【0078】
上記実施形態では、複数の貯蔵室の各容器に備える切替構造が異なる例を示したが、複数の貯蔵室に設けられる容器の切換構造は、上記実施形態に限定されない。例えば、蓋および蓋昇降構造を備える容器を、全ての貯蔵室に設けてもよい。この場合、ユーザは、貯蔵室の扉を開閉する動作のみで貯蔵室の蓋が開閉可能であり、ユーザが容易に操作できる。他の例として、全ての貯蔵室に、スライダーを有する切替構造を備える容器を設置してもよい。
【0079】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0080】
1・・・冷蔵庫、3・・・容器、4・・・蓋、9,9A,9B,9C・・・シャッター、400・・・蓋昇降構造、4,42・・・蓋、50,52,53・・・開口部、62,72・・・冷却器、82,84,85・・・冷蔵室(貯蔵室)