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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】車両用グリル
(51)【国際特許分類】
   B60R 19/52 20060101AFI20240325BHJP
【FI】
B60R19/52 K
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020033019
(22)【出願日】2020-02-28
(65)【公開番号】P2021133854
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2023-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】504136889
【氏名又は名称】株式会社ファルテック
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 皓平
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-131152(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102016008286(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 19/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダカバーが固定されるレーダカバー固定部が設けられた樹脂製の意匠形成壁を有する車両用グリルであって、
前記意匠形成壁が、前記意匠形成壁の前後方向に直交する水平方向に、前記意匠形成壁の中心を通過して連続して延設された連続壁を有し、
前記連続壁の背面に、後方に向けて突出されると共に前記水平方向に連続して延設された補強リブが設けられ
前記補強リブは、前記連続壁の上下方向における中央位置に配置され、厚み寸法が前記連続壁の高さ寸法よりも小さい
ことを特徴とする車両用グリル。
【請求項2】
前記意匠形成壁は、
前記レーダカバー固定部よりも上方に前記連続壁が設けられ、
前記レーダカバー固定部よりも下方に、前後方向に貫通する空気取込開口を有する
ことを特徴とする請求項1記載の車両用グリル。
【請求項3】
前記意匠形成壁は、
前記レーダカバー固定部の前記水平方向における一方側にて、前記レーダカバー固定部と前記意匠形成壁の端部との間で前記水平方向に連続して延設された第1側方連続壁と、 前記レーダカバー固定部の前記水平方向における他方側にて、前記レーダカバー固定部と前記意匠形成壁の端部との間で前記水平方向に連続して延設された第2側方連続壁と を有し、
前記第1側方連続壁の背面と前記第2側方連続壁の背面との各々に、後方に向けて突出されると共に前記水平方向に連続して延設された側方補強リブが設けられている
ことを特徴とする請求項1または2記載の車両用グリル。
【請求項4】
前記第1側方連続壁の背面に設けられた前記側方補強リブと、前記第2側方連続壁の背面に設けられた前記側方補強リブとが、一直線上に配列されていることを特徴とする請求項3記載の車両用グリル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用グリルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的にエンジンルームの内部にはラジエータが配置されており、ラジエータの前方には異物の侵入を防止すると共に車両の外観印象を形成するグリル(車両用グリル)が配置されている(例えば特許文献1参照)。また、電気自動車等においても、一般的には車両の外観印象等を形成するためにグリルが設置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-199837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年においては、周囲状況を検知するために、ミリ波等を用いたレーダユニットが車両に対して搭載されている。このレーダユニットは、ミリ波等の電波を射出し、この反射波を検出している。このようなレーダユニットの電波の射出方向の前方には、レーダユニットを保護するためのレーダカバーが設置されることが一般的である。レーダカバーは、例えば、車両用グリルに対して固定されている。
【0005】
車両用グリルに対してレーダカバーが取り付けられる場合には、車両用グリルにレーダカバーを固定するためのレーダカバー固定部が設けられる。レーダカバーの設置姿勢は、レーダの透過性に影響を与え、レーダユニットの検知精度に影響を与える。車両用グリルは、一般的に射出成形によって形成される。ところが、溶融樹脂の冷却の際にレーダカバー固定部の周囲が意図せずに変形すると、レーダカバーの設置姿勢に影響を与える恐れがある。
【0006】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、射出成形によって形成される樹脂製の車両用グリルにおいて、製造時の収縮によってレーダカバー固定部やその周囲が意図せずに変形することを抑止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0008】
第1の発明は、レーダカバーが固定されるレーダカバー固定部が設けられた樹脂製の意匠形成壁を有する車両用グリルであって、上記意匠形成壁が、上記意匠形成壁の前後方向に直交する水平方向に、上記意匠形成壁の中心を通過して連続して延設された連続壁を有し、上記連続壁の背面に、後方に向けて突出されると共に上記水平方向に連続して延設された補強リブが設けられているという構成を採用する。
【0009】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記意匠形成壁が、上記レーダカバー固定部よりも上方に上記連続壁が設けられ、上記レーダカバー固定部よりも下方に、前後方向に貫通する空気取込開口を有するという構成を採用する。
【0010】
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、上記意匠形成壁が、上記レーダカバー固定部の上記水平方向における一方側にて、上記レーダカバー固定部と上記意匠形成壁の端部との間で上記水平方向に連続して延設された第1側方連続壁と、上記レーダカバー固定部の上記水平方向における他方側にて、上記レーダカバー固定部と上記意匠形成壁の端部との間で上記水平方向に連続して延設された第2側方連続壁とを有し、上記第1側方連続壁の背面と上記第2側方連続壁の背面との各々に、後方に向けて突出されると共に上記水平方向に連続して延設された側方補強リブが設けられているという構成を採用する。
【0011】
第4の発明は、上記第3の発明において、上記第1側方連続壁の背面に設けられた上記側方補強リブと、上記第2側方連続壁の背面に設けられた上記側方補強リブとが、一直線上に配列されているという構成を採用する。
【発明の効果】
【0012】
本発明においては、意匠形成壁に対して、水平方向に意匠形成壁の中心を通過して連続して延設された連続壁が設けられている。さらに、本発明においては、連続壁の背面に、水平方向に連続して延設された補強リブが設けられている。つまり、本発明においては、水平方向に意匠形成壁の中心を通過して連続して延設された連続壁を設けることにより、水平方向に意匠形成壁の中心を通過して連続する補強リブを設けることが可能となっている。このような本発明によれば、水平方向に長い補強リブを設けることが可能となり、レーダカバー固定部やその周囲の剛性を高めることが可能となる。したがって、本発明によれば、射出成形によって形成される樹脂製の車両用グリルにおいて、製造時の収縮によってレーダカバー固定部やその周囲が意図せずに変形することを抑止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態におけるラジエータグリルを備える車両の前部拡大斜視図である。
図2】本発明の一実施形態におけるラジエータグリルが備える意匠部の一部を前方から見た正面拡大図である。
図3】本発明の一実施形態におけるラジエータグリルの前後方向に沿った鉛直断面図であり、(a)が図2のA-A断面図であり、(b)が図2のB-B断面図である。
図4図2のレーダカバー取付部よりも上方を示す要部拡大図である。
図5】本発明の一実施形態におけるラジエータグリルが備える下方中間壁部の断面図である。
図6】本発明の一実施形態におけるラジエータグリルが備える取付板の左右方向に沿った鉛直断面図であり、(a)が図3のC-C断面図であり、(b)が図3のD-D断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明に係る車両用グリルの一実施形態について説明する。
【0015】
図1は、本実施形態のラジエータグリル1(車両用グリル)を備える車両の前部拡大斜視図であり、僅かにフードHが開けられた状態を示している。なお、以下の説明においては、ラジエータグリル1が備えられる車両を基準として方向を規定する。つまり、車両の前後方向をラジエータグリル1の前後方向とし、車両の車幅方向をラジエータグリル1の左右方向とする。
【0016】
図1に示すように、ラジエータグリル1は、車両の前面の中央部に設けられており、エンジンルームの内部に設けられたラジエータの前方に配置され、不図示の車体フレームに対して固定されている。本実施形態においては、ラジエータグリル1の全体が、塗装及びめっき処理が施されておらず表面が露出された樹脂部材によって形成されている。なお、ラジエータグリル1の表層に塗装やめっき処理を施すことも可能である。
【0017】
本実施形態のラジエータグリル1は、エンジンルームの開閉を行うフードHの前縁の下方に配置されており、フードHが閉じられた状態にて外部から視認可能な意匠部2(意匠形成壁)と、フードHが閉じられた状態で外部から視認されない部位とを有している。本実施形態において、ラジエータグリル1は、フードHが閉じられた状態で外部から視認されない部位として、意匠部2の背面から車両後方に向けて延出する取付板3(取付部)と、上方突部4と、上方補強リブ5(補強リブ)と、側方補強リブ6とを有している。
【0018】
図2は、前方から見た意匠部2の正面拡大図である。また、図3は、意匠部2の前後方向に沿ったラジエータグリル1の鉛直断面図であり、(a)が図2のA-A断面図であり、(b)が図2のB-B断面図である。また、図4は、図2のレーダカバー取付部よりも上方を示す要部拡大図である。図2図4に示すように、意匠部2は、左右方向に沿って延設された突設部2aを有している。この突設部2aは、前後方向に複数配列されて設けられている。また、図3に示すように、意匠部2は、突設部2a同士を上下方向に接続する中間壁部2bを有している。これらの中間壁部2bは、表裏面が前後方向に向けられた板状の壁部とされている。
【0019】
図2に示すように、意匠部2の中央には、レーダカバーL(図1参照)を固定するためのレーダカバー固定部20が設けられている。このレーダカバー固定部20は、レーダカバーLを係止するための突起部や意匠部2を前後方向に貫通する貫通孔を有している。中間壁部2bは、図2に示すように、上下方向に複数設けられている。本実施形態においては、中間壁部2bとして、レーダカバー固定部20よりも上方に配置された上方中間壁部2b1と、レーダカバー固定部20の側方に配置された側方中間壁部2b2と、レーダカバー固定部20の下方に配置された下方中間壁部2b3とを有している。
【0020】
上方中間壁部2b1(連続壁)は、意匠部2の前後方向に直交する水平方向(車幅方向)に連続して、意匠部2の一方の端部から他方の端部に至るまで連続して延設されている。また、側方中間壁部2b2は、上下方向において上方中間壁部2b1と下方中間壁部2b3との間に配置されており、レーダカバー固定部20の左側と右側との各々にて、レーダカバー固定部20から意匠部2の端部に至るまで連続して延設されている。つまり、本実施形態においては、車幅方向にて、側方中間壁部2b2がレーダカバー固定部20を挟んでレーダカバー固定部20の左右両側に設けられている。
【0021】
レーダカバー固定部20の左側に配置された側方中間壁部2b2を左側方中間壁2b4(第1側方連続壁)と称し、レーダカバー固定部20の右側に配置された側方中間壁部2b2を右側方中間壁2b5(第2側方連続壁)と称する。このように、本実施形態においては、レーダカバー固定部20の水平方向における一方側(左側)にて、レーダカバー固定部20と意匠部2との間で水平方向に連続して延設された左側方中間壁2b4と、レーダカバー固定部20の水平方向における他方側(右側)にて、レーダカバー固定部20と意匠部2の端部との間で水平方向に連続して延設された右側方中間壁2b5とを有している。
【0022】
下方中間壁部2b3は、意匠部2の前後方向に直交する水平方向(車幅方向)に連続して、意匠部2の一方の端部から他方の端部に至るまで連続して延設されている。図5は、下方中間壁部2b3の断面図である。図2及び図5に示すように、この下方中間壁部2b3には、前後方向に貫通する空気取込口2b6が設けられている。この空気取込口2b6を介して外気がエンジンルーム内に流入する。なお、本実施形態においては、空気取込口2b6は、レーダカバー固定部20の下方に配置された下方中間壁部2b3のみに形成されている。つまり、本実施形態のラジエータグリル1においては、上方中間壁部2b1及び側方中間壁部2b2には前後方向に貫通する空気取込口が設けられておらず、レーダカバー固定部20の下方に集中的に空気取込口2b6が設けられている。
【0023】
突設部2aは、中間壁部2bから前方に向けて突出されており、図3に示すように、前後延伸部2cと、縦壁部2dとを有している。前後延伸部2cは、突設部2aの上部と下部との各々に設けられており、表裏面を上下方向に向けると共に、前後方向に沿うように縦壁部2dから後方に向けて延伸されている。
【0024】
このように突設部2aに対して、上下に離間して2つの前後延伸部2cが設けられている。上部に位置する前後延伸部2cを上側前後延伸部2eと称し、下部に位置する前後延伸部2cと下側前後延伸部2fと称する。本実施形態においては、図3に示すように、上側前後延伸部2eの前後方向の寸法が、下側前後延伸部2fの前後方向の寸法よりも短く、これらの上側前後延伸部2eと下側前後延伸部2fとを接続する縦壁部2dが傾斜されている。なお、上側前後延伸部2eの前後方向の寸法と、下側前後延伸部2fの前後方向の寸法とは、同一であっても良い。また、上側前後延伸部2eの前後方向の寸法が、下側前後延伸部2fの前後方向の寸法よりも長くても良い。
【0025】
また、図4に示すように、上側前後延伸部2eは、上部に位置する上方延設部2e1と、下部に位置する下方延設部2e2と、上方延設部2e1と下方延設部2e2とを接続する中間延設部2e3とを有している。つまり、上側前後延伸部2eでは、相対的に上部に位置する上方延設部2e1と、相対的に下部に位置する下方延設部2e2とが前後方向から見て水平方向に配列されて設けられている。このような上側前後延伸部2eは、前方から見て、上下に波打った形状で、水平方向に延設されている。一方で、下側前後延伸部2fは、水平方向に直線状に延設されている。
【0026】
縦壁部2dは、上側前後延伸部2eの先端(前側の端部)と下側前後延伸部2fの先端(前側の端部)とを接続する壁部である。図3に示すように、縦壁部2dは、前後方向と交差する方向に沿って延伸されており、前面を斜め上方に向けた状態とされている。
【0027】
このような突設部2aは、前後延伸部2cと縦壁部2dとが接続されてなるコーナ部2gを有している。具体的には、突設部2aは、上側前後延伸部2eと縦壁部2dとが接続されて形成された上コーナ部2hと、下側前後延伸部2fと縦壁部2dとが接続された形成された下コーナ部2iとを有している。このようなコーナ部2gは、図3に示すように、外壁面が湾曲されており、前後延伸部2cの表面と縦壁部2dとの表面とを円滑に接続している。
【0028】
取付板3は、意匠部2の背面から意匠部2の後方に延出されると共にカバー部材10と固定される板状かつ樹脂製の部位である。この取付板3は、車幅方向(前後方向から見て水平方向)に延びて設けられている。図6は、取付板3の左右方向に沿った鉛直断面図であり、(a)が図3のC-C断面図であり、(b)が図3のD-D断面図である。これらの図に示すように、取付板3は、上部に位置する上方板部3aと、下部に位置する下方板部3bと、上方板部3aと下方板部3bとを接続する中間板部3cとを有している。これらの上方板部3a、下方板部3b及び中間板部3cは、水平方向に配列されている。なお、取付板3は、上側前後延伸部2eと同一の厚さ寸法とされている。また、上方板部3aの水平方向の長さ寸法は、上側前後延伸部2eの上方延設部2e1の水平方向の長さ寸法と同一とされている。また、下方板部3bの水平方向の長さ寸法は、上側前後延伸部2eの下方延設部2e2の水平方向の長さ寸法と同一とされている。
【0029】
さらに、取付板3の上方板部3aと下方板部3bとの水平方向における配列ピッチは、上側前後延伸部2eの上方延設部2e1と下方延設部2e2の水平方向における配列ピッチと同一とされている。このような取付板3は、上コーナ部2hの後方に配置されており、前方から見て上側前後延伸部2eと重なるように配置されている。つまり、前後方向にて、上方板部3aが上側前後延伸部2eの上方延設部2e1と重ねて配置されており、下方板部3bが上側前後延伸部2eの下方延設部2e2と重ねて配置されており、中間板部3cが上側前後延伸部2eの中間延設部2e3と重ねて配置されている。
【0030】
このような取付板3の上方板部3aには、図3(a)に示すように、上下方向に貫通する挿通孔3a1が設けられている。このような挿通孔3a1に不図示のビス等が挿入されて取付板3とカバー部材10とが固定される。なお、カバー部材10は、平板状とされている。このため、図6(b)に示すように、取付板3の下方板部3bとカバー部材10との間には一定の隙間が形成される。例えば、このような隙間によって、雨水等をカバー部材10の下方に排出することができる。
【0031】
なお、カバー部材10との締結位置が前後方向にて決まっている場合に、前方に位置するコーナ部2gからよりも後方に位置するコーナ部2gからの方が、カバー部材10の締結位置まで短い距離で到達することができる。本実施形態においては、突設部2aにて上コーナ部2hが下コーナ部2iよりも後方に配置されており、取付板3は上コーナ部2hの後方に配置されると共に上コーナ部2hに上側前後延伸部2eを介して接続されている。このため、下コーナ部2iの後方に取付板3を配置し、下コーナ部2iに取付板3を接続する場合と比較して、取付板3あるいは前後延伸部2cの前後方向の寸法を抑制することができる。
【0032】
上方突部4は、取付板3の上面から上方に向けて突出された部位である。この上方突部4は、車両のフードHが閉じられた場合に、フードHの先端に対向配置される部位であり、フードHとラジエータグリル1との間の隙間を小さくする。この上方突部4は、上方板部3a、下方板部3b及び中間板部3cが水平方向に配列された取付板3の上面に、左右方向に延設されている。このため、上方突部4の下端は、取付板3と接続する箇所において高さ位置が異なる。つまり、図6(a)に示すように、取付板3の下端の上下方向における位置は、上方板部3aに接続される箇所において高く、下方板部3bに接続される箇所において低い。一方で、上方突部4の先端は、水平方向に同一高さとされている。つまり、上方突部4の高さ寸法は、水平方向において異なり、取付板3の上方板部3aに接続される箇所において小さく、取付板3の下方板部3bに接続される箇所において大きい。
【0033】
上方補強リブ5は、図2及び図3に示すように、上方中間壁部2b1の背面に設けられたリブである。この上方補強リブ5は、上方中間壁部2b1の背面から後方に向けて突出されると共に水平方向(車幅方向)に連続して延設されている。このような上方補強リブ5は、本実施形態においては、水平方向に意匠部の中心を通過して連続して直線状に延設されており、図2に示すように、意匠部2の一方の端部から他方の端部に至るまで形成されている。このような水平方向に長い上方補強リブ5を設けることにより、レーダカバー固定部20やその周囲の剛性を高まり、製造時の収縮によってレーダカバー固定部20やその周囲が意図せずに変形することを抑止することができる。
【0034】
また、上方補強リブ5は、上方中間壁部2b1の上下方向における中央位置に配置され、厚み寸法が上方中間壁部2b1の高さ寸法よりも小さい。つまり、本実施形態においては、上方中間壁部2b1の背面は、上方補強リブ5によって全面が覆われているものではなく、上方補強リブ5の上方及び下方にて露出されている。このように、上方中間壁部2b1の背面が上方補強リブ5の上方及び下方にて露出されるように、上方補強リブ5が上下方向における上方中間壁部2b1の中間位置に配置されているため、上方補強リブ5の上方及び下方における上方中間壁部2b1の変形量を均一とすることができ、上方中間壁部2b1の捩じれる等の意図しない変形を抑制することができる。
【0035】
側方補強リブ6は、図2に示すように、左側方中間壁2b4と右側方中間壁2b5との各々に設けられている。左側方中間壁2b4に設けられた側方補強リブ6は、左側方中間壁2b4の背面から後方と突出して設けられると共に水平方向(車幅方向)に連続して延設されている。また、右側方中間壁2b5に設けられた側方補強リブ6は、左側方中間壁2b4の背面から後方と突出して設けられると共に水平方向(車幅方向)に連続して延設されている。これらの、左側方中間壁2b4に設けられた側方補強リブ6と右側方中間壁2b5に設けられた側方補強リブ6とは、図2に示すように、一直線上に配列されている。
【0036】
このような本実施形態のラジエータグリル1は、樹脂の射出成形によって一体的に形成される。つまり、意匠部2、取付板3、上方突部4、上方補強リブ5及び側方補強リブ6に応じた内部形状を有する金型の内部に溶融樹脂を流し込み、その後冷却することによって、意匠部2、取付板3、上方突部4、上方補強リブ5及び側方補強リブ6を有するラジエータグリル1が一体的に形成される。
【0037】
以上のような本実施形態のラジエータグリル1は、レーダカバーLが固定されるレーダカバー固定部20が設けられた樹脂製の意匠部2を有する。また、ラジエータグリル1においては、意匠部2が、水平方向に意匠部2の中心を通過して連続して延設された上方中間壁部2b1を有し、上方中間壁部2b1の背面に、後方に向けて突出されると共に水平方向に連続して延設された上方補強リブ5が設けられている。
【0038】
このような本実施形態のラジエータグリル1においては、意匠部2に対して、水平方向に意匠部2の中心を通過して連続して延設された上方中間壁部2b1が設けられている。さらに、本実施形態のラジエータグリル1においては、上方中間壁部2b1の背面に、水平方向に連続して延設された上方補強リブ5が設けられている。つまり、本実施形態のラジエータグリル1においては、水平方向に意匠部2の中心を通過して連続して延設された上方中間壁部2b1を設けることにより、水平方向に意匠部2の中心を通過して連続する上方補強リブ5を設けることが可能となっている。このような本実施形態のラジエータグリル1によれば、水平方向に長い上方補強リブ5を設けることが可能となり、レーダカバー固定部20やその周囲の剛性を高めることが可能となる。したがって、本実施形態のラジエータグリル1によれば、射出成形によって形成される樹脂製のラジエータグリル1において、製造時の収縮によってレーダカバー固定部20やその周囲が意図せずに変形することを抑止することが可能となる。
【0039】
また、本実施形態のラジエータグリル1においては、意匠部2が、レーダカバー固定部20よりも上方に上方中間壁部2b1が設けられ、レーダカバー固定部20よりも下方に、前後方向に貫通する空気取込口2b6を有している。このような本実施形態のラジエータグリル1によれば、意匠部2の強度を維持しつつ、意匠部2の下部に空気取込口2b6を集中的に配置することができる。このため、ラジエータグリル1の後方へ空気を纏めて流すことができ、例えばラジエータにおける冷却効率を向上させることができる。
【0040】
また、本実施形態のラジエータグリル1においては、意匠部2が、レーダカバー固定部20の水平方向における左側にて、レーダカバー固定部20と意匠部2の端部との間で水平方向に連続して延設された左側方中間壁2b4と、レーダカバー固定部20の水平方向における右側にて、レーダカバー固定部20と意匠部2の端部との間で水平方向に連続して延設された右側方中間壁2b5とを有し、左側方中間壁2b4の背面と右側方中間壁2b5の背面との各々に、後方に向けて突出されると共に水平方向に連続して延設された側方補強リブ6が設けられている。このため、レーダカバー固定部20の側方の強度をさらに向上させることができる。
【0041】
また、本実施形態のラジエータグリル1においては、左側方中間壁2b4の背面に設けられた側方補強リブ6と、右側方中間壁2b5の背面に設けられた側方補強リブ6とが、一直線上に配列されている。このため、意匠部2の左右の強度のバランスが均一化され、2つの側方補強リブ6の間に配置されたレーダカバー固定部20の形状バランスが、製造時の収縮によって損なわれることを抑止することができる。
【0042】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0043】
例えば、上記実施形態においては、レーダカバー固定部20の上方に1本の上方補強リブが設置された構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、レーダカバー固定部20の上方に複数本の上方補強リブを設置する構成を採用することも可能である。
【0044】
また、上記実施形態においては、レーダカバー固定部20の下方に補強リブを設置しない構成を採用した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、レーダカバー固定部20の上方に加えて下方にも補強リブを設置する構成、あるいは、レーダカバー固定部20の下方にのみ補強リブを設置する構成を採用することも可能である。
【0045】
また、上記実施形態においては、側方補強リブ6を備える構成を採用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、側方補強リブ6を設置しない構成を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0046】
1……ラジエータグリル(車両用グリル)、2……意匠部(意匠形成壁)、2a……突設部、2b……中間壁部、2b1……上方中間壁部(連続壁)、2b2……側方中間壁部、2b3……下方中間壁部、2b4……左側方中間壁(第1側方連続壁)、2b5……右側方中間壁(第2側方連続壁)、2b6……空気取込口、2c……前後延伸部、2d……縦壁部、2e……上側前後延伸部、2e1……上方延設部、2e2……下方延設部、2e3……中間延設部、2f……下側前後延伸部、2g……コーナ部、2h……上コーナ部、2i……下コーナ部、3……取付板(取付部)、3a……上方板部、3b……下方板部、3c……中間板部、4……上方突部、5……上方補強リブ(補強リブ)、6……側方補強リブ、10……カバー部材、H……フード
図1
図2
図3
図4
図5
図6