IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-パッケージおよび半導体装置 図1
  • 特許-パッケージおよび半導体装置 図2
  • 特許-パッケージおよび半導体装置 図3
  • 特許-パッケージおよび半導体装置 図4
  • 特許-パッケージおよび半導体装置 図5
  • 特許-パッケージおよび半導体装置 図6
  • 特許-パッケージおよび半導体装置 図7
  • 特許-パッケージおよび半導体装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】パッケージおよび半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20240325BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20240325BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20240325BHJP
【FI】
H01L23/12 F
H01L21/60 311S
H01L27/146 D
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020033756
(22)【出願日】2020-02-28
(65)【公開番号】P2021136396
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野津 和也
(72)【発明者】
【氏名】觸澤 綾子
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-066648(JP,A)
【文献】特開2002-009205(JP,A)
【文献】特開2004-247611(JP,A)
【文献】特開2020-017561(JP,A)
【文献】特開2016-219616(JP,A)
【文献】特開2014-232851(JP,A)
【文献】特開2003-046142(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12
H01L 21/60
H01L 27/146
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスを搭載するための基材を備えるパッケージであって、
前記パッケージの第1面には、電極と、前記基材に設けられた凹部と、が配され、
前記基材は、前記第1面とは反対の側の第2面と、第3面と、を有し、
前記第1面は、前記第2面と前記第3面との間に位置し、
前記電極は、前記第2面の側とは反対の側の面である電極表面と、前記第1面と前記第2面との間の仮想的な平面に交差する方向に沿った面である電極側面と、を有し、
前記凹部は、前記平面に交差する方向に沿った面である凹部側面と、前記凹部側面よりも前記第2面の側に位置する凹部底面と、を有し、
前記電子デバイスを搭載する中央上面は、前記凹部底面よりも前記第1面の側に位置し、
前記電極表面は、前記凹部底面よりも前記平面から離れた位置に配され、
前記電極側面が、前記凹部側面に連続しており、
前記凹部は、前記凹部側面に対向するとともに前記第3面に連続する第2の側面をさらに備え、
前記平面から前記凹部側面と前記電極側面との境界までの前記平面と交差する方向の距離が、前記平面から前記第2の側面の一部までの前記平面と交差する方向の距離よりも長いことを特徴とするパッケージ。
【請求項2】
電子デバイスを搭載するためのキャビティが設けられた基材を備えるパッケージであって、
前記パッケージの前記キャビティ内に配された第1面には、電極と、前記基材に設けられた凹部と、前記第1面に対する正射影において前記電極と前記凹部との間に位置する、前記基材で構成された中間部と、が配され、
前記基材は、前記第1面とは反対の側の第2面と、第3面と、第4面と、を有し、
前記第1面は、前記第2面と前記第3面との間に位置し、
前記第3面は、前記第1面と前記第4面との間に位置し、
前記第4面は、前記電子デバイスを覆うカバー部材を配するために、前記キャビティを取り囲むように配され、
前記電極は、前記第2面の側とは反対の側の面である電極表面と、前記第1面と前記第2面との間の仮想的な平面に交差する方向に沿った面である電極側面と、を有し、
前記凹部は、前記平面に交差する方向に沿った面である凹部側面と、前記凹部側面よりも前記第2面の側に位置する凹部底面と、を有し、
前記中間部は、前記第2面の側とは反対の側の面である中間上面を有し、
前記電極表面および前記中間上面は、前記凹部底面よりも前記平面から離れた位置に配され、
前記平面から前記中間上面までの距離が、前記平面から前記電極表面までの距離を超えず、
前記電極から前記凹部までの距離が、前記電極と前記凹部とを結ぶ方向における前記電極の長さよりも小さく、
前記凹部は、前記凹部側面に対向するとともに前記第3面に連続する第2の側面をさらに備えていることを特徴とするパッケージ。
【請求項3】
前記基材が、中央部および周辺部を有し、
前記電極および前記凹部は、前記周辺部に配され、
前記凹部が、前記電極と前記中央部との間に配されることを特徴とする請求項2に記載のパッケージ。
【請求項4】
前記中央部は、前記第2面の側とは反対の側の面である中央上面を有し、
前記平面から前記中央上面までの距離が、前記平面から前記電極表面までの距離よりも大きいことを特徴とする請求項3に記載のパッケージ。
【請求項5】
前記基材が、中央部および周辺部を有し、
前記電極および前記凹部は、前記周辺部に配され、
前記凹部が、前記電極と前記中央部との間に配されることを特徴とする請求項1に記載のパッケージ。
【請求項6】
前記中央部は、前記第2面の側とは反対の側の面である前記中央上面を有し、
前記平面から前記中央上面までの距離が、前記平面から前記電極表面までの距離よりも大きいことを特徴とする請求項に記載のパッケージ。
【請求項7】
前記周辺部のうち前記電極よりも前記中央部とは反対の側の外側部は、前記第2面の側とは反対の側の面である外側上面を有し、
前記外側上面に、前記電子デバイスが備える面のうち前記第1面に対向する面とは反対の面に配される外部端子に電気的に接続するための端子が配され、
前記平面から前記外側上面までの距離が、前記平面から前記電極表面までの距離以上であることを特徴とする請求項4乃至6の何れか1項に記載のパッケージ。
【請求項8】
前記周辺部のうち前記電極よりも前記中央部とは反対の側の外側部は、前記第2面の側とは反対の側の面である外側上面を有し、
前記外側上面に、前記電子デバイスが備える面のうち前記第1面に対向する面とは反対の面に配される外部端子に電気的に接続するための端子が配され、
前記平面から前記外側上面までの距離が、前記平面から前記中央上面までの距離と同じであることを特徴とする請求項4または6に記載のパッケージ。
【請求項9】
前記周辺部のうち前記電極よりも前記中央部とは反対の側の外側部は、前記第2面の側とは反対の側の面である外側上面を有し、
前記外側部は、前記平面から前記第2面の側とは反対の側の面である第1外側上面までの距離が前記平面から前記電極表面までの距離よりも大きい第1外側部と、前記第1外側部よりも前記中央部とは反対の側に配され、前記平面から前記第2面の側とは反対の側の面である第2外側上面までの距離が前記平面から前記第1外側上面までの距離よりも大きい第2外側部と、を備え、
前記第2外側上面に、前記電子デバイスが備える面のうち前記第1面に対向する面とは反対の面に配される外部端子に電気的に接続するための端子が配されることを特徴とする請求項4または6に記載のパッケージ。
【請求項10】
前記平面から前記第1外側上面までの距離が、前記平面から前記中央上面までの距離と同じであることを特徴とする請求項に記載のパッケージ。
【請求項11】
前記第1面に対する正射影において、前記電極の面積が、前記端子の面積よりも大きいことを特徴とする請求項乃至10の何れか1項に記載のパッケージ。
【請求項12】
前記第1面に対する正射影において、前記電極と前記凹部とを結ぶ方向と交差する方向における前記凹部の幅が、前記電極から前記凹部に向かう方向に、同じ、または、連続的または段階的に広くなることを特徴とする請求項1乃至11の何れか1項に記載のパッケージ。
【請求項13】
前記第1面に対する正射影において、前記電極と前記凹部とを結ぶ方向における前記電極の長さが、前記電極と前記凹部とを結ぶ方向における前記凹部の長さよりも長いことを特徴とする請求項1乃至12の何れか1項に記載のパッケージ。
【請求項14】
前記第1面に対する正射影において、
前記第1面が、互いに平行な第1辺および第2辺と、前記第1辺と前記第2辺と交差する方向に延びる第3辺と、を含む矩形状を有し、
前記電極が、前記第1面の角部に配され、前記第1辺および前記第3辺にそれぞれ平行な2辺を含む三角形状を備えることを特徴とする請求項1乃至13の何れか1項に記載のパッケージ。
【請求項15】
前記第1面に対する正射影において、前記凹部が、前記平行な2辺をそれぞれ延長した2つの仮想線と重なる位置にそれぞれ辺を備えることを特徴とする請求項14に記載のパッケージ。
【請求項16】
前記基材には、複数の前記電極および前記凹部の組み合わせが配され、
前記第1面に対する正射影において、
前記第1面が矩形状を有し、
前記第1面の4つの角部のうち少なくとも互いに対向する2つの角部に、前記組み合わせが、それぞれ配され、
前記2つの角部のうち一方の角部に配された前記電極と前記2つの角部のうち他方の角部に配された前記電極との間に、前記2つの角部に配されたそれぞれの前記凹部が配されることを特徴とする請求項1乃至15の何れか1項に記載のパッケージ。
【請求項17】
請求項1乃至16の何れか1項に記載のパッケージと、
前記パッケージの前記第1面に搭載された電子デバイスと、
を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項18】
請求項4または6乃至10の何れか1項に記載のパッケージと、
前記中央上面に搭載された電子デバイスと、
を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項19】
電子デバイスと、前記電子デバイスが搭載された第1面、前記第1面とは反対の側の第2面、および、第3面を備えるパッケージと、前記電子デバイスを覆うカバー部材と、を含む半導体装置であって、
前記第1面には、前記電子デバイスに対向する電極表面を有する電極が配され、
前記第1面は、前記第2面と前記第3面との間に位置し、
前記電極は、前記電子デバイスが備える面のうち前記第1面に対向する面に導電部材を介して電気的に接続され、
前記第1面は、前記電極と凹部とを備え、
前記凹部は、前記第1面と前記第2面との間の仮想的な平面に交差する方向に沿った面である凹部側面と、前記凹部側面よりも前記第2面の側に位置する凹部底面と、前記凹部側面に対向するとともに前記第3面に連続する第2の側面と、を有し、
前記電極表面は、前記凹部底面よりも前記平面から離れた位置に配され、
前記導電部材が、前記凹部に入り込み、
前記カバー部材が、前記第1面の周辺部に設けられた凸部に結合されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項20】
前記電極は、前記周辺部に配され、
前記第1面に対する正射影において、前記周辺部のうち前記電極と前記凸部との間の外側部に、前記電子デバイスが備える面のうち前記第1面に対向する面とは反対の面に配される外部端子にワイヤによって電気的に接続された端子が配され、
前記外側部は、前記第2面の側とは反対の側の面である外側上面を有し、
前記凸部は、前記第2面の側とは反対の側の面である凸部上面を有し、
前記平面から前記外側上面までの距離が、前記平面から前記電極表面までの距離よりも大きく、
前記平面から前記凸部上面までの距離が、前記平面から前記外側上面までの距離よりも大きいことを特徴とする請求項19に記載の半導体装置。
【請求項21】
前記第1面に対する正射影において、前記第1面が、前記電極よりも中央の側に配された中央部を有し、
前記中央部は、前記第2面の側とは反対の側の面である中央上面を有し、
前記平面から前記中央上面までの距離が、前記平面から前記電極表面までの距離よりも大きいことを特徴とする請求項19または20に記載の半導体装置。
【請求項22】
前記第1面に対する正射影において、前記第1面が、前記電極よりも中央の側に配された中央部を有し、
前記中央部は、前記第2面の側とは反対の側の面である中央上面を有し、
前記平面から前記外側上面までの距離が、前記平面から前記中央上面までの距離よりも大きく、
前記平面から前記中央上面までの距離が、前記平面から前記電極表面までの距離よりも大きいことを特徴とする請求項20に記載の半導体装置。
【請求項23】
前記電子デバイスが備える面のうち前記第1面に対向する面とは反対の面に、画像を取得するための複数のセンサが配されたセンサ部が配され、
前記第1面に対する正射影において、前記電極および前記凹部が、前記センサ部と重ならない位置に配されていることを特徴とする請求項19乃至22の何れか1項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージおよび半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ICチップを備えるICモジュールがカード基材に搭載されたICカードが示されている。カード基材にICモジュールを搭載する際に、導電ペーストが、ICモジュールの外周部に配される堰部によって塞き止められ、第2の凹部に押し出されることによって、導電ペーストが、ICモジュールとカード基材との間からはみ出すことを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-188040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子デバイスをパッケージに搭載する際に、パッケージと電子デバイスとの互いに対向する面同士を、導電性の結合部材を用いて結合する場合がある。
【0005】
本発明は、パッケージに電子デバイスを搭載する上で有利な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑みて、本発明の実施形態に係るパッケージは、電子デバイスを搭載するための基材を備えるパッケージであって、前記パッケージの第1面には、電極と、前記基材に設けられた凹部と、が配され、前記基材は、前記第1面とは反対の側の第2面と、第3面と、を有し、前記第1面は、前記第2面と前記第3面との間に位置し、前記電極は、前記第2面の側とは反対の側の面である電極表面と、前記第1面と前記第2面との間の仮想的な平面に交差する方向に沿った面である電極側面と、を有し、前記凹部は、前記平面に交差する方向に沿った面である凹部側面と、前記凹部側面よりも前記第2面の側に位置する凹部底面と、を有し、前記電子デバイスを搭載する中央上面は、前記凹部底面よりも前記第1面の側に位置し、前記電極表面は、前記凹部底面よりも前記平面から離れた位置に配され、前記電極側面が、前記凹部側面に連続しており、前記凹部は、前記凹部側面に対向するとともに前記第3面に連続する第2の側面をさらに備え、前記平面から前記凹部側面と前記電極側面との境界までの前記平面と交差する方向の距離は、前記平面から前記第2の側面の一部までの前記平面と交差する方向の距離よりも長いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、パッケージに電子デバイスを搭載する上で有利な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態おけるパッケージの構成例を示す断面図。
図2図1のパッケージの電極付近の構成例を示す断面図および平面図。
図3図1のパッケージの電極付近の構成例を示す断面図および平面図。
図4図1のパッケージの電極付近の構成例を示す断面図および平面図。
図5図1のパッケージの電極付近の構成例を示す断面図および平面図。
図6図1のパッケージの電極付近の構成例を示す断面図および平面図。
図7図1のパッケージの構成例を示す断面図および平面図。
図8図1のパッケージを用いた半導体装置の構成例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
図1~8を参照して、本開示の実施形態によるパッケージおよび半導体装置の構成について説明する。図1は、本実施形態のパッケージ100の構成例を示す断面図である。図2(a)は、図1の電極112付近を拡大した断面図および平面図である。図2(b)は、パッケージ100に電子デバイス200を搭載した際の断面図および平面図である。パッケージ100は、例えば、セラミック、プリント基板、プラスチックなどを用いて作製される。
【0011】
パッケージ100は、電子デバイス200を搭載するためのキャビティ111が設けられた基材150を備える。パッケージ100(基材150)の面151には、電極112と、基材150に設けられた凹部113と、が配される。基材150は、面151とは反対の側の面152を有する。面152は、基材150の裏面ともいえる。電極112は、面152の側とは反対の側の面である表面131(電極表面)と、面151と面152との間の仮想的な平面(以下、基準平面155と記載する場合がある。)に交差する方向に沿った面である側面132(電極側面)と、を有する。詳細は後述するが、電極112は、電子デバイス200に対向し、電子デバイス200が備える面のうち面151に対向する面251に導電部材115を介して電気的に接続される。凹部113は、基準平面155に交差する方向に沿った面である側面134(凹部側面)と、側面134よりも面152の側に位置する底面133(凹部底面)と、を有している。ここで、凹部113の側面134のそれぞれの面と基準平面155とのなす角度は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0012】
半導体装置において、凹部113には、電子デバイス200を搭載する際に、電極112の上に導電部材115を塗布し、電子デバイス200を上方から圧着する際に、はみ出した導電部材115が流れ込む。また、面151には、電子デバイス200が備える面のうち面151に対向する面251とは反対の面252に配される外部端子223(図8参照)に電気的に接続するための端子114が配される。端子114と電子デバイス200の外部端子223とは、金、銀、銅、アルミニウムやこれらの合金などを用いたワイヤによって電気的に接続される。電極112、端子114は、基材150の面152に配されるパッケージ100の外部端子106に電気的に接続されている。電極112、端子114は導電性材料、例えば、タングステン、モリブデン、ニッケル、金などの金属などが用いられ、めっき法などを用いて形成されうる。ここで、基準平面155は、面151と面152との間の基材150の中を通る仮想線でありうる。基準平面155は、例えば、凹部113の底面133と平行な面であってもよい。また、基材150の面152が平らである場合、基準平面155は、面152と平行な面であってもよい。
【0013】
キャビティ111、凹部113、電極112の具体的な形成方法を、セラミックパッケージを例にとって説明する。セラミック材料とバインダーを混錬したグリーンシートを、金型などを使用して、電極112、端子114と電気的に接続されるビア(孔)やキャビティ111を形成し、ビアにはタングステン、モリブデンなどの導電性材料を用いた導電性の部材107を充填する。その後、配線パターン(不図示)を印刷し、積層することによって、電極112、端子114は、導電性の部材107を介して外部端子106と電気的に接続される。その後、切断、焼成を経た後、電解めっき、無電解めっきなどを用いて、電極112、端子114にめっきを施す。プラスチックパッケージの場合、凹部113は、モールド成型、切削加工によって形成される。また、プリント基板を使用する場合、凹部113は、プリント基板上にプラスチックなどで作製された枠材を接着剤で貼り付けることで形成可能である。外部端子106は、パッケージ100の外部と電気的に接続するための電極であり、一般的な形態としては、LCC(Leadless Chip Carrier)、LGA(Land Grid Array)、PGA(Pin Grid Array)などがある。
【0014】
電極112の表面131は、凹部113の底面133よりも基準平面155から離れた位置に配されている。換言すると、基準平面155から電極112の表面131までの距離d1は、基準平面155から凹部113の底面133までの距離d2よりも大きい。ここで、面151と面152とを結ぶ方向、つまり、図1、2(a)、2(b)に示される断面図における上下方向、図2(a)、2(b)に示される平面図における紙面と交差する(直交する)方向を、厚さ方向とする。このとき、電極112の表面131は、凹部113の厚さ方向と交差する方向に沿った底面133よりも面152から離れた位置に配されていてもよい。電極112の表面131は、厚み方向において、凹部113の底面133よりも浅い位置に配されているともいえる。また、電極112の厚さ方向に沿った側面のうち凹部113の側の側面132と、凹部113の厚さ方向に沿った側面のうち電極112の側の側面134と、が1つの平面を構成している。換言すると、厚さ方向に露出する電極112の端面と凹部113の端面とが、平面的に接する位置に形成され、電極112の側面132が、凹部113の側面134に連続している。
【0015】
電極112と電子デバイス200の面251とを接続する際に、まず、導電性の接着剤などを用いた導電部材115が電極112上に塗布される。その後、面151の上方から、電子デバイス200を圧着することによって、電極112と電子デバイス200とが接続される。電子デバイス200を圧着する際に、電極112の表面131からはみ出した導電部材115は、電極112に隣接する凹部113に流れ込む。これによって、導電部材115が、広範囲に濡れ広がることを抑制できる。つまり、パッケージ100に電子デバイス200を搭載する際に、パッケージ100と電子デバイス200とを結合する導電性の導電部材115の広がりをコントロールしやすくなる。結果として、導電部材115が、必要以上に広がってしまうことによるショートの低減による歩留まりの向上や、導電部材115の濡れ広がりに対するマージンを削減によるパッケージ100の小型化などが実現できる。
【0016】
ここで、図1に示されるように、面151のうち電極112や凹部113が配される部分を周辺部162、周辺部よりも内側の部分を中央部161と呼ぶ。中央部161は、周辺部162よりも面151の中心に近い部分といえる。凹部113は、電極112と中央部161との間に配されている。また、図2(a)に示されるように、凹部113は、電極の中心121と面151の中心122との間に配されていてもよい。ここで、面151の中心とは、面151に対する正射影において、パッケージ100の中心であってもよいし、パッケージ100のうち電子デバイス200が載置されるキャビティ111の中心であってもよい。図1に示される構成において、パッケージ100の中心とキャビティ111の中心とは、同じ位置でありうる。また、中心とは、対象物が矩形の場合、対角線が交差する部分であってもよいし、幾何学的重心の位置であってもよい。
【0017】
また、面151に対する正射影において、電極112と凹部113とを結ぶ方向と交差する方向における凹部113の幅が、電極112から凹部113に向かう方向に、同じ、または、連続的または段階的に広くなっていてもよい。このとき、面151に対する正射影において、電極112の中心121と面151の中心122とを結ぶ方向と交差する方向における凹部113の幅が、電極112から面151の中心122に向かう方向に、同じ、または、連続的または段階的に広くなっていてもよい。例えば、図2(a)に示されるように、電極112と凹部113とを結ぶ方向である電極112の中心121と面151の中心122とを結ぶ方向と交差する方向における凹部113の電極112の側の幅をa、面151の中心122の側(中央部161の側)の幅をbとする。このとき、a≦bの関係になるよう凹部113を形成することによって、同じ面積の凹部113で比較した場合、電極112から凹部113に向かう方向にの長さcを、より短くすることができる。これによって、パッケージ100の中心122方向への導電部材115のはみ出しを、より小さい範囲に抑えることができる。図2(a)には、凹部113の幅が、電極112から凹部113に向かう(パッケージ100の中心122に向かう)につれて連続的に広くなる場合が示されている。
【0018】
また、中央部161は、面152の側とは反対の側の面である上面135(中央上面)を有し、基準平面155から中央部161の上面135までの距離d3が、基準平面155から周辺部162のうち電極112が配される部分の上面137までの距離d4と同じであってもよい。換言すると、中央部161にさらなる凹部が配されていなくてもよい。これによって、パッケージ100を作製する際の加工が、中央部161に追加の凹部を作製する場合よりも容易になり、パッケージ100の製造の歩留まり向上が期待できる。
【0019】
図3(a)、3(b)は、図2(a)、2(b)の変形例を示す断面図および平面図である。周辺部162のうち電極112よりも中央部161とは反対の側の外側部105は、周辺部162のうち電極112が配される部分の上面137よりも高い位置に配される、面152の側とは反対の側の面である上面136(外側上面)を有する。ここで、基準平面155から外側部105の上面136までの距離d5が、基準平面155から電極112の表面131までの距離d1以上である。基材150の面152から外側部105の上面136から面152までの距離が、面152から電極112の表面131までの距離以上であってもよい。また、図3(a)、3(b)に示されるように、基準平面155から外側部105の上面136までの距離d5が、基準平面155から中央部161の上面135までの距離d3と同じであってもよい。同様に、基材150の面152から外側部105の上面136までの距離が、面152から中央部161の上面135までの距離と同じであってもよい。外側部105の上面136と中央部161の上面135とを同じ高さにすることによって、パッケージ100を作製する際の工程数を抑制することができる。外側部105の上面136には、電子デバイス200が備える面のうち面151に対向する面251とは反対の面251に配される外部端子223に電気的に接続するための端子114が配されていてもよい(図6参照)。
【0020】
図3(a)、3(b)に示される構成は、図2(a)、2(b)に示される構成と比較して、基準平面155から中央部161の上面135までの距離d3が、基準平面155から電極112の表面131までの距離d1よりも大きくなっている。つまり、中央部161の上面135が、電極112の表面131よりも高い位置に配される。これによって、電極112から面151の中心122の方向への導電部材115のはみ出しの抑制効果は、図2(a)、2(b)に示される構成と同等かそれ以上となる。また、電極112の表面131よりも高い位置に外側部105の上面136が配されるため、電極112から面151の外側への導電部材115のはみ出しも抑制することができる。結果として、導電部材115がはみ出してしまう面積をより小さく抑えることができるようになる。これによって、パッケージ100に電子デバイス200を搭載する際の歩留まりの向上や、パッケージ100の小型化が実現できる。
【0021】
図4(a)、4(b)は、電極112付近のさらなる変形例を示す断面図および平面図である。図4(a)、4(b)に示される構成は、図2(a)、2(b)に示される構成と比較して、面151は、電極112に隣接して配される凹部113に加えて、電極112と凹部113との間に配される中間部117を備えている。換言すると、パッケージ100の面151には、電極112と、基材150に設けられた凹部113と、面151に対する正射影において電極112と凹部113との間に位置する、基材150で構成された中間部117と、が配される。このとき、中間部117は、面152の側とは反対の側の面である上面138(中間上面)を有し、中間部117の上面138は、凹部113の底面133よりも基準平面155から離れた位置に配される。また、基準平面155から中間部117の上面138までの距離d6が、基準平面155から電極112の表面131までの距離を超えない。また、基材150の面152から中間部117の上面138までの距離が、面152から電極112の表面131までの距離以下、かつ、面152から凹部113の底面133までの距離よりも大きくなっていてもよい。つまり、中間部117の上面138は、電極112の表面131と凹部113の底面133との間の高さに配されている。このとき、面151に対する正射影において、電極112から凹部113までの距離eが、電極112と凹部113とを結ぶ方向(例えば、電極112の中心と凹部113の中心とを結ぶ方向)における電極112の長さよりも小さくてもよい。
【0022】
基準平面155から中間部117の上面138までの距離d6が、基準平面155から中央部161の上面135までの距離d3と同じであってもよい。また、基材150の面152から中間部117の上面138までの距離が、基材150の面152から中央部161の上面135までの距離と同じであってもよい。つまり、中間部117の上面138と中央部161の上面135とが、同じ高さであってもよい。また、基準平面155から中間部117の上面138までの距離d6が、基準平面155から周辺部162のうち電極112が配される部分の上面137までの距離d5と同じであってもよい。つまり、中間部117と周辺部162のうち電極112が配される部分とが同じ高さであってもよい。さらに、周辺部162のうち電極112が配される部分の上面137と中央部161の上面135と中間部117の上面138とが、同じ高さに配されていてもよい。これによって、パッケージ100を作製する際の工程数を抑制することができる。
【0023】
特許文献1には、電極112と凹部113との間に、電極112の表面131よりも高い位置まで部材が配され、はみ出した導電部材115が凹部113に流れ込み難くなっている。一方、図4(a)、4(b)に示される構成において、中間部117は、電極112の表面131を超えず、電極112の表面131と同じ高さ、または、より低い位置に配されているため、はみ出した導電部材115がより凹部113に流れ込みやすく、導電部材115のはみ出しをより容易にコントロールできる。また、上述と同様に、電極112と凹部113とを結ぶ方向と交差する方向における凹部113の幅が、電極112から離れるにつれて、同じ、または、連続的または段階的に広くなっていてもよい(a≦b)。
【0024】
図5(a)、5(b)は、図4(a)、4(b)の変形例を示す断面図および平面図である。図2(a)、2(b)に示される構成に対する図3(a)、3(b)に示される構成と同様に、周辺部162のうち電極112よりも中央部161とは反対の側の外側部105は、周辺部162のうち電極112が配される部分の上面137よりも高い位置に配される、面152の側とは反対の側の面である上面136を有していてもよい。図5(a)、5(b)に示されるように、基準平面155から外側部105の上面136までの距離d5が、基準平面155から中央部161の上面135までの距離d3と同じであってもよい。また、基材150の面152から外側部105の上面136までの距離が、面152から中央部161の上面135までの距離と同じであってもよい。外側部105の上面136と中央部161の上面135とを同じ高さにすることによって、パッケージ100を作製する際の工程数を抑制することができる。外側部105の上面136には、電子デバイス200が備える面のうち面151に対向する面251とは反対の側の面251に配される外部端子223に電気的に接続するための端子114が配されていてもよい。
【0025】
図5(a)、5(b)に示される構成は、図4(a)、4(b)に示される構成と比較して、中央部161の上面135が、電極112の表面131よりも高い位置に配される。これによって、電極112から面151の中心122の方向への導電部材115のはみ出しの抑制効果は、図4(a)、4(b)に示される構成と同等かそれ以上となる。また、電極112の表面131よりも高い位置に外側部105の上面136が配されるため、電極112から面151の外側への導電部材115のはみ出しも抑制することができる。結果として、導電部材115がはみ出してしまう面積をより小さく抑えることができるようになる。これによって、パッケージ100に電子デバイス200を搭載する際の歩留まりの向上や、パッケージ100の小型化が実現できる。
【0026】
また、外側部105は、図3(a)、3(b)、5(a)、5(b)に示されるように、1つの段を構成しているだけに限られない。図6(a)、6(b)は、図3(a)、3(b)の変形例を示す断面図および平面図である。周辺部162のうち電極112よりも中央部161とは反対の側の外側部105は、面152の側とは反対の側の面である上面136(外側上面)を有する。外側部105は、基準平面155から面152の側とは反対の側の面である上面136aまでの距離d5aが基準平面155から電極112の表面131までの距離d1よりも大きい外側部105aと、外側部105aよりも中央部161とは反対の側に配され、基準平面155から面152の側とは反対の側の面である上面136bまでの距離d5bが基準平面155から上面136aまでの距離d5aよりも大きい外側部105bと、を備えていてもよい。このとき、外側部105aは、基材150の面152から上面136aまでの距離が面152から電極112の表面131までの距離よりも大きくてもよい。また、外側部105bは、面152から上面136bまでの距離が面152から外側部105aの上面136aまでの距離よりも大きくてもよい。
【0027】
このとき、図6(a)、6(b)に示されるように、外側部105bの上面136bに、電子デバイス200が備える面のうち面151に対向する面251とは反対の面252に配される外部端子223に電気的に接続するための端子114が配されていてもよい。パッケージ100の端子114と電子デバイス200の外部端子223とは、金線などのワイヤ601によって接続されうる。
【0028】
また、図6(a)、6(b)に示されるように、基準平面155から外側部105aの上面136aまでの距離d5aが、基準平面155から中央部161の上面135までの距離d3と同じであってもよい。外側部105を2段以上の構成にした場合であっても、外側部105aの上面136aと中央部161の上面135とを同じ高さにすることによって、パッケージ100を作製する際の工程数の増加を抑制することが可能となる。
【0029】
図6(a)、6(b)に示される構成においても、電極112の表面131よりも高い位置に外側部105aの上面136aおよび外側部105bの上面136bが配される。このため、電極112から面151の外側への導電部材115のはみ出しも抑制することができる。
【0030】
以上、電極112および凹部113を中心に、パッケージ100の構成を説明したが、次いで、図7(a)、7(b)を用いてパッケージ100の全体の構成について説明する。図7(a)は、パッケージ100の平面図、図7(b)は、図7(a)におけるF―F’線における断面図である。
【0031】
図7(a)に示されるように、電極112および凹部113は、電極112上に導電部材115の材料を塗布し、余剰な導電部材115を凹部113に向かって流れやすくするために、面151の中央に向かって幅が単調増加する形状であってもよい。具体的には、電極112、凹部113は、三角形状であってもよい。つまり、面151に対する正射影において、面151(キャビティ111)が、互いに平行な辺701および辺702と、辺701と辺702と交差する方向に延びる辺703と、を含む矩形状を有している。このとき、電極112が、面151(キャビティ111)の角部に配され、辺701および辺703にそれぞれ平行な2辺を含む三角形状を備えていてもよい。さらに、面151に対する正射影において、凹部113が、辺701および辺703にそれぞれ平行な電極112の2辺をそれぞれ延長した2つの仮想線と重なる位置にそれぞれ辺を備える。これによって、図7(a)に示されるように、三角形状を有する電極112および凹部113が配される。電極112および凹部113の角は、図7(a)に示されるように、面取りされていてもよい。また、面151(キャビティ111)の角部が、面取りされていてもよい。つまり、辺701と辺703との交差部が、丸められていてもよいし、辺702と辺703との交差部が丸められていてもよい。
【0032】
また、電極112を確実に電子デバイス200の面251と電気的に接続するために、電極112および凹部113を複数箇所に配してもよい。つまり、面151(キャビティ111)には、複数の電極112および凹部113の組み合わせが配される。例えば、矩形状の面151(キャビティ111)の4つの角部のうち少なくとも互いに対向する2つの角部に、電極112と凹部113との組み合わせが、それぞれ配されていてもよい。このとき、2つの角部のうち一方の角部に配された電極112と2つの角部のうち他方の角部に配された電極112との間に、2つの角部に配されたそれぞれの凹部113が配されうる。また、図7(a)、7(b)に示されるように、面151(キャビティ111)のそれぞれの角部4箇所(四隅)に、電極112および凹部113を設けてもよい。これによって、電極112と電子デバイス200とが電気的に接続されないリスクを減らすことができる。このとき、図7(a)に示されるように、面151に対する正射影において、電極112の面積が、電子デバイス200の外部端子223と接続するための端子114の面積よりも大きくてもよい。
【0033】
一方、電極112および凹部113は、面151に対する正射影におけるサイズが大き過ぎると、例えば、セラミックパッケージの場合、焼成時の収縮バランスが悪化し、電子デバイスを搭載する面151の平面性が悪化することがある。また、電極112および凹部113は、面151に対する正射影におけるサイズが小さ過ぎると、グリーンシートの孔あけ加工時に、孔が塞がることがある。このため、電極112および凹部113は、適当な大きさにする必要がある。具体的には、電極112の辺701、703にそれぞれ沿った長さは、1辺1mmから10mm程度、凹部113の辺701、703にそれぞれ沿った長さは、0.5mmから3mm程度であってもよい。このとき、図7(a)に示されるように、面151に対する正射影において、電極112と凹部113とを結ぶ方向(例えば、電極112の中心と面151の中心とを結ぶ方向)における電極112の長さが、凹部113の長さよりも長くてもよい。
【0034】
また、図7(b)に示されるように、電極112の外側(外側部105)には、電子デバイス200上の外部端子223と金線などのワイヤを使用し、電気的に接続するための端子114が設けられる。端子114に、導電部材115が回りこんだ場合、ワイヤボンディング工程で、端子114にワイヤを接続することがでない、また、ワイヤを接続できたとしても、ワイヤの接続信頼性を悪化させる可能性があるため、導電部材115のはみ出しを抑制することが重要である。このため、電極112は、電子デバイス200を載置する面より0.01mmから0.5mm程度、基準平面155(面152)に近い位置に設けられていてもよい。つまり、例えば、上述の図3(b)、5(b)、6(b)の位置に、電極112の表面131が配されていてもよい。図3(b)、5(b)、6(b)に示される構成において、電子デバイス200は、中央部161の上面135に電子デバイス200を固定するための固定部材を介して載置されうる。
【0035】
さらに、端子114への導電部材115の回り込みを防ぐために、端子114は、電子デバイス200が載置される表面より0.1mmから2mm程度、基準平面155(面152)から離されていてもよい。つまり、図7(b)に示される構成のように、中央部161の上面135に電子デバイス200が載置され、中央部161の上面135と同じ高さの外側部105aよりも高い位置に配された外側部105bの上面136bに、端子114が配されていてもよい。
【0036】
また、凹部113の底面133は、電極112の表面131よりも0.1mmから1mm程度、基準平面155(面152)に近い位置にあれば、余剰な導電部材115を凹部113に収容することができる。これらの構成によって、導電部材115の広がりを容易にコントロールすることが可能となる。
【0037】
次いで、図8を用いて、上述のパッケージ100と、パッケージ100の面151に搭載された電子デバイス200と、を含む半導体装置を説明する。図8において、パッケージ100は、図3(a)、3(b)に示される構成を用いているが、上述した他の構成を用いてもよい。
【0038】
本実施形態において、半導体装置800は、電子デバイス200と、電子デバイス200が搭載された面151および面151とは反対の側の面152を備えるパッケージと、電子デバイス200を覆うカバー部材400と、を含む。電子デバイス200は、固定部材300によって、パッケージ100の面151の中央部161に固定される。電子デバイス200とパッケージ100の電極112とは、導電性接着剤を用いた導電部材115によって電気的に接続される。また、カバー部材400は、電子デバイス200を機械的な衝撃や、パッケージ100のキャビティ111へのダストなど異物の侵入を防ぐための透光性の部材である。カバー部材400は、面151の周辺部162に設けられた凸部181に接着剤などを用いた固定部材600によって結合されている。基準平面155から凸部181の面152の側とは反対の側の面である上面139(凸部上面)までの距離d7は、基準平面155から周辺部162のうち端子114が配される外側部105の上面136までの距離d5よりも大きくなっている。これによって、カバー部材400によって、キャビティ111を封止することができる。
【0039】
ここで、電子デバイス200は、センサチップであってもよい。電子デバイス200が、センサチップの場合、電子デバイス200が備える面のうちパッケージ100に対向する面251とは反対の面252に、画像を取得するための複数のセンサが配されたセンサ部210が配される。センサは、画素とも呼ばれうる。センサ部210に配されたセンサは、赤外線を検知するためのセンサであってもよい。センサ部210に配されたセンサで生成された画像信号は、電子デバイス200の外部端子223、ワイヤ601、パッケージ100の端子114、導電性の部材107を介して外部端子106に送られ、半導体装置800の外部へ出力される。
【0040】
電子デバイス200とパッケージ100の電極112とを接続する目的は、電子デバイス200に溜まった電荷を半導体装置800の外部に逃がすためである。具体的には、センサ部210における暗電流を抑制するために、電子デバイス200の基板と電極112とを電気的に接続し、外部端子106から電圧を印可することによってノイズを低減する。したがって、電子デバイス200の面251は、基板(半導体)が露出していてもよい。また、銀ペーストなどの導電性の接着剤を用いた導電部材115が、センサ部210の下に広がってしまった場合、導電部材115の抵抗によって、局所的に温度が上がってしまい、得られる画像に局所的なノイズが発生する可能性がある。このため、図8に示されるように、パッケージ100の面151に対する正射影において、電極112および凹部113が、センサ部210と重ならない位置に配されているようにしてもよい。これによって、導電部材115が、センサ部210の下に広がることを抑制できる。
【0041】
また、上述のように、基準平面155からパッケージ100の面151のうち端子114が配された外側部105の上面136までの距離d5が、基準平面155から電極112が配された部分までの距離d4よりも大きくてもよい。これによって、導電部材115が、電子デバイス200の外側にはみ出すことが抑制される。
【0042】
上述のように、電子デバイス200は、シリコンなどの半導体によって構成され、ダイサーなどによって所望の大きさに切断されたCMOSセンサやCCDセンサなどの撮像素子を含むセンサチップでありうる。電子デバイス200の裏面は、電子デバイス200を製造するための成膜工程や酸化工程を経ているため、窒化膜、酸化膜などの絶縁膜が形成されており、電気的に高抵抗となっている。そのため、電子デバイス200をパッケージ100に搭載する際に、電子デバイス200の面251をバックグラインドなどによって研削処理、または、フッ酸などの薬液によってエッチング処理などが施されてもよい。これによって、電子デバイス200の面251に形成された高抵抗部が除去され、電子デバイス200の面251とパッケージ100の電極112とを電気的に接続することができる。
【0043】
また、電子デバイス200をパッケージ100に固定する固定部材300は、半導体基板を用いた電子デバイス200の線膨張係数(シリコンの場合、およそ3ppm/℃。)とパッケージ100の線膨張係数(セラミックの場合、およそ7ppm/℃。)との差に起因する、電子デバイス200の反りを抑制するために、シリコーン接着剤など、ゴム弾性を有するものを選択してもよい。この場合、固定部材300は、スクリーン印刷方式、ディスペンス方式などによって、パッケージ100の所定の位置に塗布され、電子デバイス200を搭載した後、熱硬化などの処理によって、パッケージ100に電子デバイス200を固定する。
【0044】
導電部材115には、エポキシ樹脂やアクリル樹脂、ウレタン樹脂の中に導電性フィラーを分散させ、接着後にフィラーが導電パスを形成することによって導電接合する導電性接着剤が用いられうる。導電性フィラーとして、銅、ニッケル、銀、金などの金属粉や、グラファイト、カーボンナノチューブなどの炭素系材料が用いられうる。導電部材115は、スクリーン印刷方式、ディスペンス方式などによって、パッケージ100の電極上112に塗布され、電子デバイス200を搭載した後、熱硬化などの処理を経て、電極112と電子デバイス200の面251とを結合する。導電部材115として、ゴム弾性を有する接着剤であれば、導電部材115は、電子デバイス200とパッケージ100とを固定する固定部材としても兼用できる。導電部材115が所望のゴム弾性を備えていない場合、電子デバイス200とパッケージ100とを固定する固定部材300と導電部材115とを、電極112と電子デバイス200との結合に用いてもよい。このとき、導電部材115の厚みが薄い場合や、導電部材115の濡れ広がりが大きく、電子デバイス200とパッケージ100との線膨張係数差が大きい場合を考える。これらの場合、導電部材115が、電子デバイス200とパッケージ100との線膨張係数差を吸収できず、熱硬化時などにおいて、電子デバイス200とパッケージ100が剥がれ、導電性が失われてしまう可能性がある。しかしながら、上述の実施形態の各構成を使用することによって、導電部材115の厚みや、濡れ広がりをよりコントロールすることができ、半導体装置800の信頼性が向上しうる。
【0045】
電子デバイス200をパッケージ100に固定した後、電子デバイス200の面252に配された外部端子223とパッケージ100の端子114とを、ワイヤ601を介して電気的に接続する。これによって、電子デバイス200の外部端子223は、パッケージ100の導電性の部材107や内部配線パターンを経由して外部端子106と電気的に接続される。ワイヤ601には金属線が用いられ、金属線には、金線、銀線、銅線、アルミ線などが使用されうる。ワイヤ601による外部端子223と端子114との接続は、公知のワイヤーボンダを使用した超音波熱圧着などが用いられる。
【0046】
その後、電子デバイス200やワイヤ601に対する機械的な衝撃や、パッケージ100の内部へのダストなどの異物の侵入を防ぐため、カバー部材400を用いてパッケージ100の電子デバイス200が載置されたキャビティ111が封止される。カバー部材400には、上述のように電子デバイス200がセンサチップである場合、光学的に高い透過率の材料が用いられる。例えば、カバー部材400として、ガラス、水晶、サファイアなどが使用される。カバー部材400の表面には、光の透過率をより向上させるため、ARコートなどが施されていてもよい。また、カバー部材400をパッケージ100に固定する固定部材600には、エポキシ、アクリルなどの接着剤が用いられてもよい。これらの材料を固定部材600として用いた場合、UV硬化、熱硬化、または、UVと熱を併用することによって、カバー部材400が、パッケージ100に固定される。
【0047】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0048】
100:パッケージ、112:電極、113:凹部、117:中間部、150:基材、200:電子デバイス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8