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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】ショベル
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20240325BHJP
   B60H 1/32 20060101ALI20240325BHJP
   B60K 11/02 20060101ALI20240325BHJP
【FI】
E02F9/00 Z
B60H1/32 626E
B60K11/02
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020048175
(22)【出願日】2020-03-18
(65)【公開番号】P2021147859
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-10-12
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502246528
【氏名又は名称】住友建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】竹尾 実高
【審査官】小林 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-198135(JP,A)
【文献】特開2013-245457(JP,A)
【文献】特開2016-030999(JP,A)
【文献】特開2016-050428(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00-9/18
E02F 9/24-9/28
B60K 11/00-15/10
F01P 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外気との間で熱交換を行う所定の機器に対して送風可能な複数のファンを備え、
前記複数のファンは、前記所定の機器、及び前記所定の機器とは異なる他の機器であって、外気との間で熱交換を行う他の機器のうちの前記所定の機器のみに対して送風可能な第1のファンと、前記所定の機器及び前記他の機器に対して送風可能な第2のファンとを含み、
前記所定の機器に必要な熱交換の度合いが相対的に低い場合、前記複数のファンのうちの前記第1のファンを優先的に稼働させ、前記所定の機器に必要な熱交換の度合いが相対的に高い場合、前記複数のファンのうちの前記第1のファンに加えて、前記第2のファンを稼働させる
ョベル。
【請求項2】
前記第2のファンが稼働している状態で、前記所定の機器に必要な熱交換の度合いに基づく前記第2のファンを停止させる条件が成立している場合であっても、前記他の機器に必要な熱交換の度合いに基づく前記第2のファンを停止させる条件が不成立の場合、前記第2のファンの稼働を継続させる、
請求項に記載のショベル。
【請求項3】
前記複数のファンは、前記第1のファン及び前記第2のファンのうちの前記第2のファンだけが停止状態、又は、前記第1のファンよりも回転速度の低い稼働状態の場合がある、
請求項1又は2に記載のショベル。
【請求項4】
前記所定の機器に必要な熱交換の度合いが相対的に高い場合、相対的に高い回転速度になるように、前記複数のファンを制御し、前記所定の機器に必要な熱交換の度合いが相対的に低い場合に、前記複数のファンのうちの前記第2のファンだけが停止状態、又は、前記第1のファンより回転速度の低い状態になるように、前記複数のファンを制御する、
請求項1乃至の何れか一項に記載のショベル。
【請求項5】
前記所定の機器の内部を通流する被冷却流体、又は該被冷却流体を通じて冷却される被冷却機器の温度が相対的に高い場合、相対的に高い回転速度になるように、前記複数のファンを制御し、前記温度が相対的に低い場合、前記複数のファンのうちの前記第2のファンだけが停止状態、又は、前記第1のファンより回転速度の低い状態になるように、前記複数のファンを制御する、
請求項に記載のショベル。
【請求項6】
前記所定の機器は、複数ある、
請求項1乃至の何れか一項に記載のショベル。
【請求項7】
複数の前記所定の機器には、電気駆動系の機器を冷却する冷却回路のラジエータ、及び油圧アクチュエータに供給される作動油を冷却するオイルクーラを含む、
請求項に記載のショベル。
【請求項8】
入力を受け付ける入力装置を備え、
前記入力装置により所定の入力が受け付けられる場合、前記複数のファンの一部又は全部を停止状態、又は、回転速度が相対的に低い状態に移行させる、
請求項1乃至の何れか一項に記載のショベル。
【請求項9】
油圧アクチュエータと、
前記油圧アクチュエータに作動油を供給するための油圧ポンプと、
前記油圧ポンプを駆動する電動機と、
前記電動機に電力を供給する蓄電装置と、
前記蓄電装置の電力を用いて前記電動機を駆動する駆動装置と、を備え、
前記所定の機器は、前記電動機、前記蓄電装置、及び前記駆動装置を含む電気駆動系の機器を冷却する冷却回路の冷媒を外気との間で熱交換により冷却する、
請求項1乃至の何れか一項に記載のショベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ショベルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外気との間で熱交換を行う機器(例えば、オイルクーラ)の中を通流する流体(例えば、作動油)の温度の変化に応じて、当該機器に向けて送風するファンの回転数を変化させる技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-208568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の技術の場合、一つのファンの回転数を変化させるだけである。そのため、より細かく対象となる機器における熱交換の度合い(冷却度合いや加熱度合い)を調整可能であることが望ましい。
【0005】
そこで、上記課題に鑑み、ショベルにおいて、外気との間で熱交換を行う機器における熱交換の度合いをより適切に調整することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示の一実施形態では、
外気との間で熱交換を行う所定の機器に向けて送風する複数のファンを備え、
前記複数のファンは、前記所定の機器、及び前記所定の機器とは異なる他の機器であって、外気との間で熱交換を行う他の機器のうちの前記所定の機器のみに対して送風可能な第1のファンと、前記所定の機器及び前記他の機器に対して送風可能な第2のファンとを含
前記所定の機器に必要な熱交換の度合いが相対的に低い場合、前記複数のファンのうちの前記第1のファンを優先的に稼働させ、前記所定の機器に必要な熱交換の度合いが相対的に高い場合、前記複数のファンのうちの前記第1のファンに加えて、前記第2のファンを稼働させる、
ショベルが提供される。
【発明の効果】
【0007】
上述の実施形態によれば、ショベルにおいて、外気との間で熱交換を行う機器における熱交換の度合いをより適切に調整することが可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ショベルの側面図である。
図2】ショベルの構成の一例を概略的に示すブロック図である。
図3】電気駆動系の冷却回路の一例を示す図である。
図4】空調装置のヒートポンプサイクルの一例を示す図である。
図5】ラジエータ、オイルクーラ、コンデンサ、及びファンの配置の第1例を示す図である。
図6】ラジエータ、オイルクーラ、コンデンサ、及びファンの配置の第1例を示す図である。
図7】コントローラによるラジエータファンの制御処理の第1例を概略的に示すフローチャートである。
図8】コントローラによるラジエータファンの制御処理の第1例を概略的に示すフローチャートである。
図9】コントローラによるオイルクーラファンの制御処理の第1例を概略的に示すフローチャートである。
図10】コントローラによるオイルクーラファンの制御処理の第1例を概略的に示すフローチャートである。
図11】コントローラによるコンデンサファンの制御処理の第1例を概略的に示すフローチャートである。
図12】ラジエータ、オイルクーラ、コンデンサ、及びファンの配置の第2例を示す図である。
図13】ラジエータ、オイルクーラ、コンデンサ、及びファンの配置の第2例を示す図である。
図14】コントローラによるラジエータファンの制御処理の第2例を概略的に示すフローチャートである。
図15】コントローラによるラジエータファンの制御処理の第2例を概略的に示すフローチャートである。
図16】コントローラによるオイルクーラファンの制御処理の第2例を概略的に示すフローチャートである。
図17】コントローラによるオイルクーラファンの制御処理の第2例を概略的に示すフローチャートである。
図18】コントローラによるコンデンサファンの制御処理の第2例を概略的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。
【0010】
[ショベルの概要]
まず、図1を参照して、作業機械の一例としてのショベルの概要を説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係るショベルの一例を示す側面図である。
【0012】
本実施形態に係るショベルは、下部走行体1と、旋回機構2を介して旋回可能に下部走行体1に搭載される上部旋回体3と、アタッチメントとしてのブーム4、アーム5、及びバケット6と、オペレータが搭乗するキャビン10とを備える。
【0013】
下部走行体1は、例えば、左右一対のクローラを含み、それぞれのクローラが走行油圧モータ1A,1B(図2参照)で油圧駆動されることにより、自走する。
【0014】
上部旋回体3は、旋回機構2を通じて、後述する旋回用電動機21(図2参照)で電気駆動されることにより、下部走行体1に対して旋回する。また、上部旋回体3は、旋回機構2を通じて、旋回用電動機21の代わりに、旋回油圧モータにより油圧駆動されてもよい。この場合、本実施形態のショベルは、エンジンを動力源とするメインポンプ14(図2参照)から供給される作動油で全ての被駆動要素が油圧駆動される、いわゆる油圧ショベルの動力源(エンジン)をポンプ用電動機12に置換した構成に相当する。
【0015】
ブーム4は、上部旋回体3の前部中央に俯仰可能に取り付けられ、ブーム4の先端には、アーム5が上下回動可能に取り付けられ、アーム5の先端には、バケット6が上下回動可能に取り付けられる。ブーム4、アーム5、及びバケット6は、それぞれ、油圧アクチュエータとしてのブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9により油圧駆動される。
【0016】
バケット6は、エンドアタッチメントの一例であり、アーム5の先端には、作業内容等に応じて、バケット6の代わりに、他のエンドアタッチメントが取り付けられてもよい。他のエンドアタッチメントは、例えば、法面用バケット、浚渫用バケット等のバケット6と異なる種類のバケットであってよい。また、他のエンドアタッチメントは、例えば、ブレーカ、攪拌機、グラップラ等のバケットと異なる種類のエンドアタッチメントであってもよい。
【0017】
キャビン10は、上部旋回体3の前部左側に搭載され、その内部には、オペレータが着座する操縦席や後述する操作装置26等が設けられる。
【0018】
ショベルは、キャビン10に搭乗するオペレータの操作に応じて、下部走行体1(左右のクローラ)、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の被駆動要素を動作させる。
【0019】
また、ショベルは、キャビン10に搭乗するオペレータによって操作可能に構成されるのに代えて、或いは、加えて、ショベルの外部から遠隔操作(リモート操作)が可能に構成されてもよい。ショベルが遠隔操作される場合、キャビン10の内部は、無人状態であってもよい。以下、オペレータの操作には、キャビン10のオペレータの操作装置26に対する操作、及び外部のオペレータの遠隔操作の少なくとも一方が含まれる前提で説明を進める。
【0020】
遠隔操作には、例えば、所定の外部装置で行われるショベルのアクチュエータに関する操作入力によって、ショベルが操作される態様が含まれる。この場合、ショベルは、所定の外部装置と通信可能な通信装置を搭載し、例えば、後述の周囲情報取得装置40に含まれる撮像装置が出力する画像情報(撮像画像)を外部装置に送信してよい。そして、外部装置は、外部装置に設けられる表示装置(以下、「遠隔操作用表示装置」)に受信される画像情報(撮像画像)を表示させてよい。また、ショベルのキャビン10の内部の出力装置50(表示装置)に表示される各種の情報画像(情報画面)は、同様に、外部装置の遠隔操作用表示装置にも表示されてよい。これにより、外部装置のオペレータは、例えば、遠隔操作用表示装置に表示されるショベルの周囲の様子を表す撮像画像や情報画面等の表示内容を確認しながら、ショベルを遠隔操作することができる。そして、ショベルは、通信装置により外部装置から受信される、遠隔操作の内容を表す遠隔操作信号に応じて、油圧アクチュエータを動作させ、下部走行体1(左右のクローラ)、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の被駆動要素を駆動してよい。
【0021】
また、遠隔操作には、例えば、ショベルの周囲の人(例えば、作業者)のショベルに対する外部からの音声入力やジェスチャ入力等によって、ショベルが操作される態様が含まれてよい。具体的には、ショベルは、ショベル(自機)に搭載される音声入力装置(例えば、マイクロフォン)やジェスチャ入力装置(例えば、撮像装置)等を通じて、周囲の作業者等により発話される音声や作業者等により行われるジェスチャ等を認識する。そして、ショベルは、認識した音声やジェスチャ等の内容に応じて、アクチュエータを動作させ、下部走行体1(左右のクローラ)、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の被駆動要素を駆動してもよい。
【0022】
また、ショベルは、オペレータの操作の内容に依らず、自動でアクチュエータを動作させてもよい。これにより、ショベルは、下部走行体1(クローラ1CL,1CR)、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の被駆動要素の少なくとも一部を自動で動作させる機能(いわゆる「自動運転機能」或いは「マシンコントロール機能」)を実現する。
【0023】
自動運転機能には、オペレータの操作装置26に対する操作や遠隔操作に応じて、操作対象の被駆動要素(油圧アクチュエータ)以外の被駆動要素(油圧アクチュエータ)を自動で動作させる機能(いわゆる「半自動運機能」)が含まれてよい。また、自動運転機能には、オペレータの操作装置26に対する操作や遠隔操作がない前提で、複数の被駆動要素(油圧アクチュエータ)の少なくとも一部を自動で動作させる機能(いわゆる「完全自動運転機能」)が含まれてよい。ショベルにおいて、完全自動運転機能が有効な場合、キャビン10の内部は無人状態であってよい。また、半自動運転機能や完全自動運転機能等には、自動運転の対象の被駆動要素(油圧アクチュエータ)の動作内容が予め規定されるルールに従って自動的に決定される態様が含まれてよい。また、半自動運転機能や完全自動運転機能等には、ショベルが自律的に各種の判断を行い、その判断結果に沿って、自律的に自動運転の対象の被駆動要素(油圧アクチュエータ)の動作内容が決定される態様(いわゆる「自律運転機能」)が含まれてもよい。
【0024】
[ショベルの構成]
次に、図1に加えて、図2図4を参照して、本実施形態に係るショベルの構成について説明する。
【0025】
図2は、本実施形態に係るショベルの構成の一例を概略的に示すブロック図である。図3は、本実施形態に係るショベルに搭載される、電気駆動系の冷却回路60の一例を示す図である。図4は、本実施形態に係るショベルに搭載される空調装置80のヒートポンプサイクル82の一例を示す図である。
【0026】
尚、図中にて、機械的動力ラインは二重線、高圧油圧ラインは太い実線、パイロットラインは破線、電気駆動・制御ラインは細い実線でそれぞれ示される。
【0027】
<油圧駆動系>
本実施形態に係るショベルの油圧駆動系は、下部走行体1、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の被駆動要素のそれぞれを油圧駆動する走行油圧モータ1A,1B、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9等の油圧アクチュエータを含む。また、本実施形態に係るショベルの油圧駆動系は、ポンプ用電動機12と、メインポンプ14と、コントロールバルブ17とを含む。
【0028】
ポンプ用電動機12は、油圧駆動系の動力源である。ポンプ用電動機12は、例えば、IPM(Interior Permanent Magnet)モータである。ポンプ用電動機12は、インバータ18Aを介して蓄電装置19を含む高圧電源や旋回用電動機21と接続される。ポンプ用電動機12は、インバータ18Aを介して蓄電装置19や旋回用電動機21から供給される三相交流電力で力行運転し、メインポンプ14及びパイロットポンプ15を駆動する。ポンプ用電動機12の駆動制御は、後述するコントローラ30Bの制御下で、インバータ18Aにより実行されてよい。
【0029】
メインポンプ14は、作動油タンクTから作動油を吸い込み、高圧油圧ライン16に吐出することにより、高圧油圧ライン16を通じてコントロールバルブ17に作動油を供給する。メインポンプ14は、ポンプ用電動機12により駆動される。メインポンプ14は、例えば、可変容量式油圧ポンプであり、後述するコントローラ30Aの制御下で、レギュレータ(不図示)が斜板の角度(傾転角)を制御する。これにより、メインポンプ14は、ピストンのストローク長を調整し、吐出流量(吐出圧)を制御することができる。
【0030】
コントロールバルブ17は、オペレータの操作や自動運転機能に対応する操作指令に応じて、油圧駆動系の制御を行う油圧制御装置である。コントロールバルブ17は、上述の如く、高圧油圧ライン16を介してメインポンプ14と接続され、メインポンプ14から供給される作動油を、油圧アクチュエータ(走行油圧モータ1A,1B、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9)に選択的に供給可能に構成される。例えば、コントロールバルブ17は、メインポンプ14から油圧アクチュエータのそれぞれに供給される作動油の流量と流れる方向とを制御する複数の制御弁(方向切換弁)を含むバルブユニットである。メインポンプ14から供給され、コントロールバルブ17や油圧アクチュエータを通流した作動油は、コントロールバルブ17から作動油タンクTに排出される。
【0031】
<電気駆動系>
本実施形態に係るショベルの電気駆動系は、ポンプ用電動機12と、センサ12sと、インバータ18Aとを含む。また、本実施形態に係るショベルの電気駆動系は、旋回駆動装置20と、センサ21sと、インバータ18Bとを含む。本実施形態に係るショベルの電気駆動系は、蓄電装置19等により構成される高圧電源を含む。
【0032】
センサ12sは、電流センサ12s1と、電圧センサ12s2と、回転状態センサ12s3とを含む。
【0033】
電流センサ12s1は、ポンプ用電動機12の三相(U相、V相、及びW相)のそれぞれの電流を検出する。電流センサ12s1は、例えば、ポンプ用電動機12とインバータ18Aの間の電力経路に設けられる。電流センサ12s1により検出されるポンプ用電動機12の三相それぞれの電流に対応する検出信号は、通信線を通じて、直接的に、インバータ18Aに取り込まれる。また、当該検出信号は、通信線を通じて、コントローラ30Bに取り込まれ、コントローラ30B経由で、インバータ18Aに入力されてもよい。
【0034】
電圧センサ12s2は、ポンプ用電動機12の三相のそれぞれの印加電圧を検出する。電圧センサ12s2は、例えば、ポンプ用電動機12とインバータ18Aの間の電力経路に設けられる。電圧センサ12s2により検出されるポンプ用電動機12の三相それぞれの印加電圧に対応する検出信号は、通信線を通じて、直接的に、インバータ18Aに取り込まれる。また、当該検出信号は、通信線を通じて、コントローラ30Bに取り込まれ、コントローラ30B経由で、インバータ18Aに入力されてもよい。
【0035】
回転状態センサ12s3は、ポンプ用電動機12の回転状態(例えば、回転位置(回転角)、回転速度等)を検出する。回転状態センサ12s3は、例えば、ロータリエンコーダやレゾルバである。
【0036】
インバータ18Aは、コントローラ30Bの制御下で、ポンプ用電動機12を駆動制御する。インバータ18Aは、例えば、直流電力を三相交流電力に変換したり、三相交流電力を直流電力に変換したりする変換回路と、変換回路をスイッチ駆動する駆動回路と、駆動回路の動作を規定する制御信号(例えば、PWM(Pulse Width Modulation)信号)を出力する制御回路を含む。
【0037】
インバータ18Aの制御回路は、ポンプ用電動機12の動作状態を把握しながら、ポンプ用電動機12の駆動制御を行う。例えば、インバータ18Aの制御回路は、回転状態センサ12s3の検出信号に基づき、ポンプ用電動機12の動作状態を把握する。また、インバータ18Aの制御回路は、電流センサ12s1の検出信号及び電圧センサ12s2の検出信号(或いは制御過程で生成する電圧指令値)に基づき、逐次、ポンプ用電動機12の回転軸の回転角等を推定することにより、ポンプ用電動機12の動作状態を把握してもよい。
【0038】
旋回駆動装置20は、旋回用電動機21と、レゾルバ22と、メカニカルブレーキ23と、旋回減速機24とを含む。旋回用電動機21は、コントローラ30B及びインバータ18Bの制御下で、上部旋回体3を旋回駆動する力行運転、及び回生電力を発生させて上部旋回体3を旋回制動する回生運転を行う。旋回用電動機21は、インバータ18Bを介して高圧電源(即ち、蓄電装置19)に接続され、インバータ18Bを介して蓄電装置19から供給される三相交流電力により駆動される。また、旋回用電動機21は、インバータ18Bを介して、回生電力を蓄電装置19やポンプ用電動機12に供給する。これにより、回生電力で、蓄電装置19を充電したり、ポンプ用電動機12を駆動したりすることができる。旋回用電動機21の力行運転と回生運転との切替制御は、例えば、コントローラ30Bの制御下で、インバータ18Bにより実行されてよい。旋回用電動機21の回転軸21Aには、レゾルバ22、メカニカルブレーキ23、及び旋回減速機24が接続される。
【0039】
レゾルバ22は、旋回用電動機21の回転状態(例えば、回転位置(回転角)や回転速度等)を検出する。レゾルバ22により検出された回転角等に対応する検出信号は、通信線を通じて、直接的に、インバータ18Bに取り込まれてよい。また、当該検出信号は、通信線を通じて、コントローラ30Bに取り込まれ、コントローラ30B経由でインバータ18Bに入力されてもよい。
【0040】
メカニカルブレーキ23は、コントローラ30Bの制御下で、旋回用電動機21の回転軸21Aに対して、機械的に制動力を発生させる。これにより、メカニカルブレーキ23は、上部旋回体3の旋回制動を行ったり、上部旋回体3の停止状態を維持させたりすることができる。
【0041】
旋回減速機24は、旋回用電動機21の回転軸21Aと接続され、旋回用電動機21の出力(トルク)を所定の減速比で減速させることにより、トルクを増大させて、上部旋回体3を旋回駆動する。即ち、力行運転の際、旋回用電動機21は、旋回減速機24を介して、上部旋回体3を旋回駆動する。また、旋回減速機24は、上部旋回体3の慣性回転力を増速させて旋回用電動機21に伝達し、回生電力を発生させる。即ち、回生運転の際、旋回用電動機21は、旋回減速機24を介して伝達される上部旋回体3の慣性回転力により回生発電を行い、上部旋回体3を旋回制動する。
【0042】
センサ21sは、電流センサ21s1と、電圧センサ21s2とを含む。
【0043】
電流センサ21s1は、旋回用電動機21の三相(U相、V相、及びW相)のそれぞれの電流を検出する。電流センサ21s1は、例えば、旋回用電動機21とインバータ18Bの間の電力経路に設けられる。電流センサ21s1により検出される、旋回用電動機21の三相それぞれの電流に対応する検出信号は、通信線を通じて、直接的に、インバータ18Bに取り込まれてよい。また、当該検出信号は、通信線を通じて、コントローラ30Bに取り込まれ、コントローラ30B経由で、インバータ18Bに入力されてもよい。
【0044】
電圧センサ21s2は、旋回用電動機21の三相のそれぞれの印加電圧を検出する。電圧センサ21s2は、例えば、旋回用電動機21とインバータ18Bの間の電力経路に設けられる。電圧センサ21s2により検出される旋回用電動機21の三相それぞれの印加電圧に対応する検出信号は、通信線を通じて、直接的に、インバータ18Bに取り込まれる。また、当該検出信号は、通信線を通じて、コントローラ30Bに取り込まれ、コントローラ30B経由で、インバータ18Bに入力されてもよい。
【0045】
インバータ18Bは、コントローラ30Bの制御下で、旋回用電動機21を駆動制御する。インバータ18Bは、例えば、直流電力を三相交流電力に変換したり、三相交流電力を直流電力に変換したりする変換回路と、変換回路をスイッチ駆動する駆動回路と、駆動回路の動作を規定する制御信号(例えば、PWM信号)を出力する制御回路を含む。
【0046】
例えば、インバータ18Bの制御回路は、電流センサ21s1、電圧センサ21s2、及びレゾルバ22の検出信号に基づき、旋回用電動機21に関する速度フィードバック制御及びトルクフィードバック制御を行う。
【0047】
例えば、図3に示すように、インバータ18A,18Bは、例えば、一つの筐体に収容され、一体として、インバータユニット18を構成してよい。
【0048】
尚、インバータ18Bの駆動回路及び制御回路の少なくとも一方は、インバータ18Bの外部に設けられてもよい。
【0049】
蓄電装置19は、外部の商用電源と所定のケーブルで接続されることにより充電(蓄電)されると共に、充電(蓄電)された電力を、DC(Direct Current)バス110を経由してポンプ用電動機12や旋回用電動機21に供給する。また、蓄電装置19は、旋回用電動機21の発電電力(回生電力)を充電する。蓄電装置19は、例えば、リチウムイオンバッテリであり、相対的に高い出力電圧(例えば、数百ボルト)を有する。
【0050】
尚、蓄電装置19とDCバス110との間には、蓄電装置19の出力電圧を昇圧してポンプ用電動機12や旋回用電動機21に印加するための電力変換装置が設けられてもよい。この場合、電力変換装置は、蓄電装置19の電力を昇圧したり、インバータ18A,18Bを経由してポンプ用電動機12や旋回用電動機21電力を降圧し、蓄電装置19に蓄電させたりする。電力変換装置は、ポンプ用電動機12及び旋回用電動機21の運転状態に応じて、DC(Direct Current)バス110の電圧値が一定の範囲内に収まるように昇圧動作と降圧動作とを切り替えてよい。電力変換装置の昇圧動作と降圧動作との切替制御は、例えば、DCバス110の電圧検出値、蓄電装置19の電圧検出値、及び蓄電装置19の電流検出値に基づき、コントローラ30Bにより実行されてよい。
【0051】
<操作系>
本実施形態に係るショベルの操作系は、パイロットポンプ15と、操作装置26と、圧力制御弁31とを含む。
【0052】
パイロットポンプ15は、パイロットライン25を介してショベルに搭載される各種油圧機器(例えば、圧力制御弁31)にパイロット圧を供給する。これにより、圧力制御弁31は、コントローラ30Aの制御下で、操作装置26の操作内容(例えば、操作量や操作方向)に応じたパイロット圧をコントロールバルブ17に供給することができる。そのため、コントローラ30A及び圧力制御弁31は、オペレータの操作装置26に対する操作内容に応じた被駆動要素(油圧アクチュエータ)の動作を実現することができる。また、圧力制御弁31は、コントローラ30Aの制御下で、遠隔操作信号で指定される遠隔操作の内容に応じたパイロット圧をコントロールバルブ17に供給することができる。パイロットポンプ15は、例えば、固定容量式油圧ポンプであり、上述の如く、ポンプ用電動機12により駆動される。
【0053】
操作装置26は、キャビン10の操縦席のオペレータから手の届く範囲に設けられ、オペレータがそれぞれの被駆動要素(即ち、下部走行体1の左右のクローラ、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等)の操作を行うために用いられる。換言すれば、操作装置26は、オペレータがそれぞれの被駆動要素を駆動する油圧アクチュエータ(例えば、走行油圧モータ1A,1B、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9等)や電動アクチュエータ(旋回用電動機21等)の操作を行うために用いられる。操作装置26は、例えば、電気式であり、オペレータによる操作内容に応じた電気信号(以下、「操作信号」)を出力する。操作装置26から出力される操作信号は、コントローラ30Aに取り込まれる。これにより、コントローラ30Aを含む制御装置30は、圧力制御弁31やインバータ18Bを制御し、オペレータの操作内容や自動運転機能に対応する操作指令等に合わせて、ショベルの被駆動要素(アクチュエータ)の動作を制御することができる。
【0054】
操作装置26は、例えば、レバー26A~26Cを含む。レバー26Aは、例えば、前後方向及び左右方向の操作に応じて、アーム5(アームシリンダ8)及び上部旋回体3(旋回動作)のそれぞれに関する操作を受け付け可能に構成されてよい。レバー26Bは、例えば、前後方向及び左右方向の操作に応じて、ブーム4(ブームシリンダ7)及びバケット6(バケットシリンダ9)のそれぞれに関する操作を受け付け可能に構成されてよい。レバー26Cは、例えば、下部走行体1(クローラ)の操作を受け付け可能に構成されてよい。
【0055】
尚、コントロールバルブ17が電磁パイロット式の油圧制御弁(方向切換弁)で構成される場合、電気式の操作装置26の操作信号は、コントロールバルブ17に直接入力され、それぞれの油圧制御弁が操作装置26の操作内容に応じた動作を行う態様であってもよい。また、操作装置26は、操作内容に応じたパイロット圧を出力する油圧パイロット式であってもよい。この場合、操作内容に応じたパイロット圧は、コントロールバルブ17に供給される。
【0056】
圧力制御弁31は、コントローラ30Aの制御下で、パイロットポンプ15からパイロットライン25を通じて供給される作動油を用いて、所定のパイロット圧を出力する。圧力制御弁31の二次側のパイロットラインは、コントロールバルブ17に接続され、圧力制御弁31から出力されるパイロット圧は、コントロールバルブ17に供給される。
【0057】
<制御系>
本実施形態に係るショベルの制御系は、制御装置30と、周囲情報取得装置40と、出力装置50と、入力装置52と、温度センサ54と、油温センサ56とを含む。
【0058】
制御装置30は、コントローラ30A~30Cを含む。
【0059】
コントローラ30A~30Cは、それぞれの機能が任意のハードウェア、或いは、任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせにより実現されてよい。例えば、コントローラ30A~30Cは、それぞれ、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、RAM(Random Access Memory)等のメモリ装置(主記憶装置)、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性の補助記憶装置、及び外部とのインタフェース装置等を含むコンピュータを中心に構成されてよい。
【0060】
コントローラ30Aは、コントローラ30B,30Cを含む制御装置30を構成する各種コントローラと連携し、ショベルの駆動制御を行う。
【0061】
コントローラ30Aは、例えば、操作装置26から入力される操作信号に応じて、圧力制御弁31に制御指令を出力し、圧力制御弁31から操作装置26の操作内容に応じたパイロット圧を出力させる。これにより、コントローラ30Aは、電気式の操作装置26の操作内容に対応するショベルの被駆動要素(油圧アクチュエータ)の動作を実現させることができる。
【0062】
また、ショベルが遠隔操作される場合、コントローラ30Aは、例えば、遠隔操作に関する制御を行ってもよい。具体的には、コントローラ30Aは、圧力制御弁31に制御指令を出力し、圧力制御弁31から遠隔操作の内容に応じたパイロット圧を出力させてよい。これにより、コントローラ30Aは、遠隔操作の内容に対応するショベル(被駆動要素)の動作を実現させることができる。
【0063】
また、コントローラ30Aは、例えば、自動運転機能に関する制御を行ってもよい。具体的には、コントローラ30Aは、圧力制御弁31に制御指令を出力し、自動運転機能に対応する操作指令に応じたパイロット圧を圧力制御弁31からコントロールバルブ17に作用させてよい。これにより、コントローラ30Aは、自動運転機能に対応するショベルの被駆動要素(油圧アクチュエータ)の動作を実現させることができる。
【0064】
また、コントローラ30Aは、例えば、コントローラ30B,30C等の各種コントローラとの双方向通信に基づき、ショベル全体(ショベルに搭載される各種機器)の動作を統合的に制御してよい。
【0065】
また、コントローラ30Aは、例えば、メインポンプ14を自動で停止させる機能(以下、「ポンプ停止機能」)に関する制御を行ってよい。
【0066】
具体的には、コントローラ30Aは、ショベルの稼働中(運転中)に、オペレータによるショベルの操作(操作装置26に対する操作や遠隔操作)がされていない状態が継続している場合、メインポンプ14を自動で停止させてよい。これにより、コントローラ30Aは、ショベルの非操作時に不要なメインポンプ14、つまり、ポンプ用電動機12の動作を停止させることができる。そのため、ポンプ用電動機12で消費される蓄電装置19の電力を抑制することができる。また、コントローラ30Aは、ショベルの稼働中(運転中)に、入力装置52を通じてメインポンプ14を停止させる意志を表す所定の入力が受け付けられる場合、メインポンプ14を停止させてもよい。これにより、コントローラ30Aは、オペレータの意志を反映させて、メインポンプ14(ポンプ用電動機12)を停止させることができる。そのため、例えば、オペレータは、稼働中のメインポンプ14(ポンプ用電動機12)の作動音によって、周囲の作業者との意思疎通等に支障が生じている状況において、入力装置52を通じて所定の入力を行うことにより、一時的に作動音を低下させ、周囲の作業者との意思疎通を図ることができる。
【0067】
例えば、制御装置30(コントローラ30A,30B)は、ショベルの起動時(例えば、キースイッチがONされたとき)に、操作装置26の操作の有無に依らず、メインポンプ14、つまり、ポンプ用電動機12を始動させる。これにより、制御装置30は、ショベルの起動時に、ポンプ用電動機12を一度始動させ、ポンプ用電動機12を制御可能な状態に移行させることができる。また、制御装置30は、ショベルの起動時に、ポンプ用電動機12を一度始動させ、ポンプ用電動機12の異常の有無等の診断処理を行うことができる。例えば、コントローラ30Bは、インバータ18Aを通じて、ポンプ用電動機12に通電させることにより、異常の有無を診断する。コントローラ30Bは、異常がある場合、出力装置50等を通じて、ポンプ用電動機12に異常があることをオペレータに通知してよい。一方、コントローラ30Bは、ポンプ用電動機12に異常がない場合、その後、操作装置26の操作が開始されない場合、ポンプ停止機能により、ポンプ用電動機12を停止させてよい。そして、コントローラ30Aは、オペレータの操作が開始されると、ポンプ用電動機12を自動始動させ、その後、非操作状態の継続が検出されるたびに、ポンプ用電動機12を自動停止させると共に、オペレータの操作が開始されると、ポンプ用電動機12を自動始動させる処理を繰り返してよい。
【0068】
また、コントローラ30Aは、例えば、ファン90の稼働及び停止に関する制御を行ってよい。詳細は、後述する(図5図18参照)。
【0069】
コントローラ30Bは、コントローラ30Aから入力される各種情報(例えば、操作装置26の操作信号を含む制御指令等)に基づき、電気駆動系の駆動制御を行う。
【0070】
コントローラ30Bは、例えば、操作装置26の操作内容に基づき、インバータ18Bを駆動し、旋回用電動機21の運転状態(力行運転及び回生運転)の切替制御を行ってよい。また、コントローラ30Bは、例えば、ショベルが遠隔操作される場合、遠隔操作の内容に基づき、インバータ18Bを駆動し、旋回用電動機21の運転状態(力行運転及び回生運転)の切替制御を行ってよい。また、コントローラ30Bは、例えば、ショベルの自動運転機能が有効な場合、自動運転機能に対応する操作指令に基づき、インバータ18Bを駆動し、旋回用電動機21の運転状態(力行運転及び回生運転)の切替制御を行ってよい。
【0071】
尚、蓄電装置19とDCバス110との間に上述の電力変換装置が設けられる場合、コントローラ30Bは、例えば、操作装置26の操作状態に基づき、電力変換装置を駆動し、電力変換装置の昇圧運転と降圧運転、換言すれば、蓄電装置19の放電状態と充電状態との切替制御を行ってよい。また、コントローラ30Bは、例えば、ショベルが遠隔操作される場合、遠隔操作の内容に基づき、電力変換装置を駆動し、蓄電装置19の放電状態と充電状態との切替制御を行ってよい。また、コントローラ30Bは、例えば、ショベルの自動運転機能が有効な場合、自動運転機能に対応する操作指令に基づき、電力変換装置を駆動し、蓄電装置19の放電状態と充電状態との切替制御を行ってよい。
【0072】
また、コントローラ30Bは、例えば、コントローラ30Aからのポンプ停止機能に関する制御指令に応じて、ポンプ用電動機12の停止及び始動に関する制御を行ってよい。
【0073】
コントローラ30Cは、ショベルの周辺監視機能に関する制御を行う。
【0074】
コントローラ30Cは、例えば、周囲情報取得装置40から取り込まれる、ショベルの周囲の三次元空間の状況に関する情報(例えば、ショベルの周囲の物体やその位置に関する検出情報)に基づき、ショベルの周辺の所定の物体やその位置(以下、「監視対象」)を検出する。
【0075】
また、コントローラ30Cは、例えば、ショベルに相対的に近接する領域で監視対象を検出した場合、キャビン10の室内の出力装置50(例えば、表示装置や音出力装置等)を通じて、警報を出力してよい。
【0076】
尚、コントローラ30B,30Cの機能は、コントローラ30Aに統合されてもよい。つまり、制御装置30により実現される各種機能は、一つのコントローラにより実現されてもよいし、適宜設定される2以上の数のコントローラにより分散して実現されてもよい。
【0077】
周囲情報取得装置40は、ショベルの周囲の三次元空間の状況に関する情報を出力する。周囲情報取得装置40は、例えば、超音波センサ、ミリ波レーダ、単眼カメラ、ステレオカメラ、デプスカメラ、LIDAR(Light Detection and Ranging)、距離画像センサ、赤外線センサ等を含んでよい。周囲情報取得装置40の出力情報は、コントローラ30Cに取り込まれる。
【0078】
出力装置50は、キャビン10内に設けられ、制御装置30(例えば、コントローラ30A)の制御下で、オペレータに向けて各種情報を出力する。出力装置50は、例えば、視覚的な方法で情報をオペレータに出力(通知)する表示装置を含む。表示装置は、例えば、キャビン10内のオペレータから視認し易い場所に設置され、コントローラ30Aの制御下で、各種情報画像を表示してよい。表示装置は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electroluminescence)ディスプレイである。また、出力装置50は、例えば、オペレータに対して聴覚的な方法で情報を出力する音出力装置を含む。音出力装置は、例えば、ブザーやスピーカ等である。
【0079】
入力装置52は、キャビン10内に設けられ、オペレータからの各種入力を受け付ける。入力装置52は、例えば、オペレータの操作入力を受け付ける操作入力装置を含んでよい。操作入力装置は、例えば、ボタン、トグル、レバー、タッチパネル、タッチパッド等を含む。また、入力装置52は、例えば、オペレータからの音声入力を受け付ける音声入力装置やオペレータからのジェスチャ入力を受け付けるジェスチャ入力装置を含んでもよい。音声入力装置は、例えば、キャビン10内のオペレータの音声を取得するマイクロフォンを含む。また、ジェスチャ入力装置は、例えば、キャビン10内のオペレータのジェスチャの様子を撮像可能な室内カメラを含む。入力装置52で受け付けられるオペレータからの入力に対応する信号は、制御装置30(例えば、コントローラ30A)に取り込まれる。
【0080】
温度センサ54は、後述の冷却回路60の冷却対象の電気駆動系の機器の温度を検出する。温度センサ54は、例えば、ポンプ用電動機12の温度を検出する温度センサを含む。また、温度センサ54は、インバータ18Aの温度を検出する温度センサを含む。また、温度センサ54は、インバータ18Bの温度を検出する温度センサを含む。また、温度センサ54は、例えば、蓄電装置19の温度を検出する温度センサを含む。また、温度センサ54は、例えば、旋回用電動機21の温度を検出する温度センサを含む。また、温度センサ54は、例えば、後述するDC-DCコンバータ44の温度を検出する温度センサを含む。温度センサ54の検出信号は、例えば、コントローラ30Aに取り込まれる。これにより、コントローラ30Aは、電気駆動系の機器の温度状態を把握することができる。
【0081】
尚、蓄電装置19とDCバス110との間に電力変換装置が設けられる場合、温度センサは、当該電力変換装置の温度状態を把握する温度センサを含んでよい。
【0082】
油温センサ56は、油圧アクチュエータを駆動する作動油の温度(以下、「作動油温」)を検出する。油温センサ56は、例えば、作動油タンクTの内部の作動油の温度を検出してよい。油温センサ56の検出信号は、例えば、コントローラ30Aに取り込まれる。これにより、コントローラ30Aは、作動油の温度状態を把握することができる。
【0083】
<その他の構成要素>
本実施形態に係るショベルは、DC-DCコンバータ44と、バッテリ46と、冷却回路60と、オイルクーラ70と、空調装置80と、ファン90とを含む。
【0084】
DC-DCコンバータ44は、例えば、上部旋回体3に設けられ、蓄電装置19から出力される非常に高い電圧の直流電力を所定の電圧(例えば、約24ボルト)に降圧し出力する。DC-DCコンバータ44Aの出力電力は、バッテリ46に供給され、充電(蓄電)されたり、コントローラ30A~30C等、バッテリ46の電力で駆動される電気機器に供給されたりする。
【0085】
尚、DC-DCコンバータ44は、オルタネータに置換されてもよい。この場合、オルタネータは、上部旋回体3に設けられ、ポンプ用電動機12の動力により発電を行ってよい。オルタネータの発電電力は、DC-DCコンバータ44の場合と同様、バッテリ46に供給され、バッテリ46に充電(蓄電)されたり、コントローラ30A~30C等、バッテリ46の電力で駆動される電気機器に供給されたりする。
【0086】
バッテリ46は、上部旋回体3に設けられ、相対的に低い出力電圧(例えば、24ボルト)を有する。バッテリ46は、相対的に高い電力を要する電気駆動系以外の電気機器(例えば、コントローラ30A~30Cや空調装置80等)に電力を供給する。バッテリ46は、例えば、鉛蓄電池やリチウムイオンバッテリ等であり、上述の如く、DC-DCコンバータ44の出力電力で充電される。
【0087】
冷却回路60は、電気駆動系の機器等を冷却する。例えば、図3に示すように、冷却回路60による冷却対象の機器には、ポンプ用電動機12、インバータユニット18、蓄電装置19、旋回駆動装置20、DC-DCコンバータ44等が含まれる。
【0088】
図3に示すように、冷却回路60は、ラジエータ62と、ウォータポンプ64と、冷媒流路66A,66B,66C,66C1,66C2,66D,66D1,66D2,66E,66Fとを含む。
【0089】
ラジエータ62は、冷却回路60内の冷媒(例えば、冷却水)を冷却する。具体的には、ラジエータ62は、周囲の空気と冷媒との間で熱交換を行わせ、冷媒を冷却する。
【0090】
ウォータポンプ64は、冷媒流路66Fから冷媒を吸い込み、冷媒流路66Aに吐出することにより、冷却回路60内の冷媒を循環させる。
【0091】
冷媒流路66Aは、ウォータポンプ64と旋回駆動装置20との間を接続し、ウォータポンプ64から吐出される冷媒を旋回駆動装置20の内部の冷媒流路に流入させる。これにより、旋回駆動装置20内の旋回用電動機21等を冷媒で冷却することができる。旋回駆動装置20の内部を通流した冷媒は、冷媒流路66Bに流出する。
【0092】
冷媒流路66Bは、旋回駆動装置20と蓄電装置19との間を接続し、旋回駆動装置20から流出する冷媒を蓄電装置19の内部の冷媒流路に流入させる。これにより、蓄電装置19を冷媒で冷却することができる。蓄電装置19の内部を通流した冷媒は、冷媒流路66Cに流出する。
【0093】
冷媒流路66C,66C1,66C2は、蓄電装置19と、インバータユニット18及びDC-DCコンバータ44との間を接続し、蓄電装置19から流出する冷媒をインバータユニット18及びDC-DCコンバータ44の内部の冷媒流路に流入させる。具体的には、蓄電装置19にその一端が接続される冷媒流路66Cは、他端で冷媒流路66C1,66C2に分岐し、冷媒流路66C,66C2は、それぞれ、インバータユニット18及びDC-DCコンバータ44に接続される。これにより、インバータユニット18に含まれるインバータ18A,18B、及びDC-DCコンバータ44を冷却することができる。インバータユニット18の内部を通流した冷媒は、冷媒流路66D1に流出する。また、DC-DCコンバータ44の内部を通流した冷媒は、冷媒流路66D2に流出する。
【0094】
冷媒流路66D,66D1,66D2は、インバータユニット18及びDC-DCコンバータ44とポンプ用電動機12との間を接続し、インバータユニット18及びDC-DCコンバータ44から流出する冷媒をポンプ用電動機12の内部の冷媒流路に流入させる。具体的には、一端がそれぞれにインバータユニット18及びDC-DCコンバータ44に接続される冷媒流路66D1,66D2は、冷媒流路66Dの一端に合流し、冷媒流路66Dの他端がポンプ用電動機12に接続される。これにより、ポンプ用電動機12を冷媒で冷却することができる。ポンプ用電動機12の内部を通流した冷媒は、冷媒流路66Eに流出する。
【0095】
尚、蓄電装置19とDCバス110との間に電力変換装置が設けられる場合、当該電力変換装置が冷却回路60により冷却されてもよい。この場合、電力変換装置は、例えば、冷却回路60において、インバータユニット18及びDC-DCコンバータ44と並列に配置され、蓄電装置19から流出する冷媒によって冷却される態様であってよい。また、DC-DCコンバータ44は、空冷されてもよい。この場合、冷媒流路66C2,66D2は省略される。
【0096】
冷媒流路66Eは、ポンプ用電動機12とラジエータ62との間を接続し、ポンプ用電動機12から流出する冷媒をラジエータ62に供給する。これにより、電気駆動系の各種機器を冷却することで、温度が上昇した冷媒をラジエータで冷却し、再度、電気駆動系の各種機器を冷却可能な状態に戻すことができる。
【0097】
冷媒流路66Fは、ラジエータ62とウォータポンプ64との間を接続し、ラジエータ62により冷却された冷媒をウォータポンプ64に供給する。ウォータポンプ64は、ラジエータ62により冷却された冷媒を冷却回路60に循環させることができる。
【0098】
オイルクーラ70は、例えば、コントロールバルブ17と作動油タンクTとの間の戻り油路に設けられ、油圧駆動系の作動油を冷却する。具体的には、オイルクーラ70は、周囲の空気と内部を通流する作動油との間で熱交換を行い、作動油を冷却する。
【0099】
空調装置80は、キャビン10の室内の温度や湿度等を調整する。空調装置80は、例えば、DC-DCコンバータ44やバッテリ46から供給される電力で稼働する。空調装置80は、例えば、冷暖兼用のヒートポンプ式であり、ヒートポンプサイクル82を含む。
【0100】
尚、空調装置80は、例えば、ヒートポンプサイクル82に代えて、冷凍サイクルと、暖房用のヒータとを含んでもよい。暖房用のヒータは、例えば、PTC(Positive Temperature Coefficient)や燃焼式ヒータ等である。
【0101】
ヒートポンプサイクル82は、図4に示すように、コンプレッサ82Aと、コンデンサ82Bと、膨張弁82Cと、エバポレータ82Dとを含む。
【0102】
尚、図4の矢印は、空調装置80の冷房運転時の冷媒の流れを表し、空調装置80の暖房運転時の冷媒の流れは逆向きになる。
【0103】
コンプレッサ82Aは、ヒートポンプサイクル82の冷媒を圧縮する。コンプレッサ82Aは、例えば、内蔵の電動機と、電動機を駆動するインバータ回路等を含み、蓄電装置19から供給される電力により電気駆動される。コンプレッサ82Aで圧縮された冷媒は、空調装置80の冷房運転時において、コンデンサ82Bに送られ、空調装置80の暖房運転時において、エバポレータ82Dに送られる。
【0104】
尚、コンプレッサ82Aは、ポンプ用電動機12により機械的に駆動される構成であってもよい。
【0105】
コンデンサ82Bは、空調装置80の冷房運転時において、コンプレッサ82Aにより圧縮され、相対的に高い温度の上昇した気体状態の冷媒を冷却する。具体的には、コンデンサ82Bは、内部を通流する冷媒と外気との間の熱交換によって、冷媒の熱を外気に放熱し、冷媒を冷却する。コンデンサ82Bで冷却された冷媒は、液体状態に変化する。
【0106】
また、コンデンサ82Bは、空調装置80の暖房運転時において、内部を通流する冷媒と外気との間の熱交換によって、外気から熱を奪い、膨張弁82Cを通じて減圧され相対的に低い温度に低下した冷媒の温度を上昇させる。
【0107】
膨張弁82Cは、通流する冷媒の圧力を急激に低下させ、冷媒の温度を低下させる。膨張弁82Cは、空調装置80の冷房運転時において、コンデンサ82Bから送られる液体状態且つ高圧状態の冷媒の圧力を急激に低下させ、温度を低下させる。また、膨張弁82Cは、空調装置80の暖房運転時において、エバポレータ82Dから送られる液体状態且つ高圧状態の冷媒の圧力を急激に低下させ、温度を低下させる。
【0108】
エバポレータ82Dは、内部に通流する冷媒と、空調装置80からキャビン10内に送出される空気との間で熱交換を行う。エバポレータ82Dは、空調装置80の冷房運転時において、膨張弁82Cから送られる相対的に低い温度の冷媒(気液混合状態)が空気から熱を奪う形で、キャビン10内に送出される空気を冷やす。また、エバポレータ82Dは、空調装置80の暖房運転時において、コンプレッサ82Aから送られる相対的に高い温度の冷媒(気体状態)から空気が熱を奪う形で、キャビン10内に送出される空気を温める。
【0109】
ファン90は、制御装置30(例えば、コントローラ30A)の制御下で稼働し、外気との間で熱交換を行う所定の機器(以下、「熱交換機器」)に向けて送風する。ファン90は、例えば、DC-DCコンバータ44やバッテリ46から供給される電力で稼働する。
【0110】
ファン90は、例えば、図3に示すように、ラジエータ62に向けて送風し、ラジエータ62を冷却してよい。これにより、ラジエータ62の周囲には、内部を通流する冷媒との間で熱交換を行うことが可能な空気が逐次供給されることになり、ラジエータ62による冷媒の冷却度合いを高めることができる。
【0111】
また、ファン90は、例えば、図2に示すように、オイルクーラ70に向けて送風し、オイルクーラ70を冷却してよい。これにより、オイルクーラ70の周囲には、内部を通流する作動油との間で熱交換を行うことが可能な空気が逐次供給されることになり、オイルクーラ70による作動油の冷却度合いを高めることができる。
【0112】
また、ファン90は、例えば、図4に示すように、コンデンサ82Bに向けて送風し、コンデンサ82Bを冷却したり加熱したりしてよい。これにより、コンデンサ82Bの周囲には、内部を通流する冷媒との間で熱交換を行うことが可能な空気が逐次供給されることになり、コンデンサ82Bによる冷媒の冷却度合いや加熱度合いを高めることができる。
【0113】
[ファンの制御方法の第1例]
次に、図5図11を参照して、ファン90の制御方法の第1例について説明する。
【0114】
<熱交換機器及びファンの配置>
まず、本例に係る熱交換機器及びファン90の配置について説明する。
【0115】
図5図6は、ラジエータ62、オイルクーラ70、コンデンサ82B、及びファン90の配置の第1例を示す正面図、及び側面図である。以下、便宜的に、図中の方向(上、下、左、右、前、及び後)を用いて配置関係を説明する。
【0116】
ラジエータ62、オイルクーラ70、コンデンサ82B、及びファン90は、例えば、上部旋回体3の後部左側に設けられる。
【0117】
図5図6に示すように、ラジエータ62及びオイルクーラ70は、それぞれ、ダウンフロー式であり、上下方向の両端にタンクが配置される。ラジエータ62及びオイルクーラ70は、左右方向よりも上下方向に長い縦長の矩形形状を有し、左右に並べて配置される。
【0118】
コンデンサ82Bは、上下方向よりも左右方向に長い横長の矩形形状を有し、ラジエータ62及びオイルクーラ70の下に隣接して配置される。
【0119】
ファン90は、ファン90A~90Fを含む。
【0120】
ファン90A,90Bは、ラジエータ62の後方に配置され、空気を前から後に向けて吸い込むことにより、ラジエータ62に送風を行う。ファン90A,90Bは、ファン90Aが上側になり、ファン90Bが下側になるように、上下に並べて配置される。以下、ファン90A,90Bを包括的に或いは個別に「ラジエータファン」と称する場合がある。
【0121】
ファン90C,90Dは、オイルクーラ70の後方に配置され、空気を前から後に向けて吸い込むことにより、オイルクーラ70に送風を行う。ファン90C,90Dは、ファン90C,ファン90Cが上側になり、ファン90Dが下側になるように、上下に並べて配置される。以下、ファン90C,90Dを包括的に或いは個別に「オイルクーラファン」と称する場合がある。
【0122】
ファン90E,90Fは、コンデンサ82Bの後方に配置され、空気を前から後に向けて吸い込むことにより、コンデンサ82Bに送風を行う。ファン90E,90Fは、ファン90Eが右側になり、ファン90Fが左側になるように、左右に並べて配置される。
【0123】
このように、本例では、一つの熱交換機器(所定の機器の一例)に対して送風可能な複数(本例では、2つ)のファン90が設置される。
【0124】
これにより、制御装置30は、後述の如く、熱交換機器に必要な熱交換の度合い(冷却度合いや加熱度合い)の高低に合わせて、一部のファン90だけ停止させたり、回転速度が相対的に低い状態で稼働させたりすることができる。そのため、制御装置30は、熱交換器の熱交換の度合いをより細かく調整することができる。
【0125】
特に、本実施形態の電気駆動系の発熱量は、エンジンを搭載するショベルにおけるエンジンの発熱量に比して小さく、ラジエータ62に必要な冷却度合いは、相対的に低くなる場合がある。そのため、一つのラジエータファンを相対的に高い回転速度で回転させて、ラジエータ62の冷却を行うと、ラジエータ62の冷却度合いが必要以上に高くなり、過冷却や消費電流の無駄が生じ易くなる可能性がある。
【0126】
これに対して、本例では、制御装置30は、ラジエータ62に対して送風可能な複数のファン90A,90Bを制御し、後述の如く、ラジエータ62の冷却度合いをより適切に制御することができる。
【0127】
尚、一つの熱交換器(ラジエータ62、オイルクーラ70、コンデンサ82B)に対して送風可能な3以上のファン90が設置されてもよい。以下、後述の第2例の場合も同様である。
【0128】
また、本例では、複数の熱交換機器ごとに、熱交換器に対して送風可能な専用のファン90が設置される。
【0129】
これにより、一つのファン90で複数の熱交換機器に送風を行う場合に比して、熱交換に関する効率(冷却効率や加熱効率)を向上させることができる。
【0130】
また、本例では、複数の熱交換機器ごとに、熱交換機器に対して送風可能な複数のファン90が設置される。
【0131】
これにより、制御装置30は、複数の熱交換機器ごとに、熱交換機器に必要な熱交換の度合いの高低に合わせて、一部のファン90だけ停止させたり、回転速度が相対的に低い状態で稼働させたりすることができる。
【0132】
尚、ラジエータファンの数は、一つであってもよい。オイルクーラファンやコンデンサファンについても同様であってよい。
【0133】
<制御装置のラジエータファンに関する制御処理>
続いて、図7図8を参照して、制御装置30のラジエータファンに関する制御処理について説明する。本例では、ラジエータファンが稼働する場合、相対的に高い回転速度(例えば、許容最大の回転速度)で回転する前提で説明を進める。以下、後述の第2例(図14図15)についても同様である。
【0134】
図7図8は、制御装置30(コントローラ30A)によるラジエータファンに関する制御処理の第1例を概略的に示すフローチャートである。本フローチャートは、例えば、ショベルの起動(例えば、キースイッチのON)から停止(例えば、キースイッチのOFF)までの間の運転中において、所定の制御周期ごとに繰り返し実行される。以下、図9図10のフローチャート、図11のフローチャート、図14図15のフローチャート、図16図17のフローチャート、及び図18のフローチャートについても同様であってよい。
【0135】
図7に示すように、ステップS102にて、コントローラ30Aは、ラジエータファン(ファン90A,90Bの少なくとも一方)が稼働中か否かを判定する。コントローラ30Aは、ラジエータファン(ファン90A,90Bの両方)が稼働中でない場合、ステップS104に進み、ラジエータファンが稼働中である場合、ステップS110に進む。
【0136】
ステップS104にて、コントローラ30Aは、温度センサ54の検出信号に基づき、冷却回路60の冷却対象の電気駆動系の機器の少なくとも一つの温度が閾値TDth11を超えたか否かを判定する。閾値TDth11は、例えば、冷却回路60の冷却対象の電気駆動系の機器ごとに予め規定される適合値である。つまり、冷却回路60の任意の二つの冷却対象の機器に対する閾値TDth11は互いに異なっていてよく、コントローラ30Aは、冷却回路60の冷却対象の機器ごとに、その機器に適合する閾値TDth11の値を用いて、本ステップの判定を行う。以下、後述の閾値TDth12,TDth21,TDth22の場合についても同様である。コントローラ30Aは、冷却回路60の冷却対象の電気駆動系の機器の少なくとも一つの温度が閾値TDth11を超えている場合、ステップS106に進み、閾値TDth11を超えていない場合、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0137】
ステップS106にて、コントローラ30Aは、温度センサ54の検出信号に基づき、冷却回路60の冷却対象の電気駆動系の機器の少なくとも一つの温度が閾値TDth12(>TDth11)を超えたか否かを判定する。コントローラ30Aは、冷却回路60の冷却対象の電気駆動系の機器の少なくとも一つの温度が閾値TDth12を超えていない場合、ステップS108に進み、閾値TDth12を超えている場合、ステップS114に進む。
【0138】
ステップS108にて、コントローラ30Aは、一方のラジエータファンだけが稼働する状態にする。具体的には、コントローラ30Aは、ファン90A,90Bのうちの何れか一方を稼働開始させる。稼働開始させる一方は、ファン90Aであってもよいし、ファン90Bであってもよい。これにより、コントローラ30Aは、冷却回路60の冷却対象の電気駆動系の機器の温度が相対的に高くなっている状況で、一方のラジエータファンの稼働を開始させ、ラジエータ62の冷却度合いを高めることができる。そのため、コントローラ30Aは、ラジエータ62を通流し冷却される冷媒の冷却度合いを高め、電気駆動系の機器の温度を低下させることができる。
【0139】
コントローラ30Aは、ステップS108の処理が完了すると、今回のフローチャートの処理を完了する。
【0140】
一方、ステップS110にて、コントローラ30Aは、稼働中のラジエータファンが一つだけか否かを判定する。コントローラ30Aは、稼働中のラジエータファンが一つである場合、ステップS112に進み、稼働中のラジエータファンが一つでない(即ち、両方である)場合、ステップS120に進む。
【0141】
ステップS112にて、コントローラ30Aは、温度センサ54の検出信号に基づき、冷却回路60の冷却対象の電気駆動系の機器の少なくとも一つの温度が閾値TDth12を超えたか否かを判定する。コントローラ30Aは、冷却回路60の冷却対象の電気駆動系の機器の少なくとも一つの温度が閾値TDth12を超えている場合、ステップS114に進み、閾値TDth12を超えていない場合、ステップS116に進む。
【0142】
ステップS114にて、コントローラ30Aは、両方のラジエータファンが稼働する状態にする。コントローラ30Aは、例えば、ステップS106の判定条件が成立した場合(ステップS106のYES)、ファン90A,90Bの両方に制御指令を出力し、稼働開始させる。また、コントローラ30Aは、例えば、ステップS112の判定条件が成立した場合(ステップS112のYES)、ファン90A,90Bのうちの稼働中の一方と異なる他方に制御指令を出力し稼働開始させる。これにより、コントローラ30Aは、冷却回路60の冷却対象の電気駆動系の機器の温度が非常に高くなっている状況で、両方のラジエータファンを駆動させ、ラジエータ62の冷却度合いを更に高めることができる。そのため、コントローラ30Aは、ラジエータ62を通流し冷却される冷媒の冷却度合いをさらに高め、電気駆動系の機器の温度を低下させることができる。
【0143】
コントローラ30Aは、ステップS114の処理が完了すると、今回のフローチャートの処理を完了する。
【0144】
一方、ステップS116にて、コントローラ30Aは、温度センサ54の検出信号に基づき、冷却回路60の冷却対象の全ての電気駆動系の機器の温度が閾値TDth21(≦TDth11)以下であるか否かを判定する。コントローラ30Aは、冷却回路60の冷却対象の全ての電気駆動系の機器の温度が閾値TDth21以下である場合、ステップS118に進み、閾値TDth21以下でない場合、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0145】
ステップS118にて、コントローラ30Aは、稼働中の一方のラジエータファンに制御指令を出力し、停止させる。即ち、コントローラ30Aは、両方のラジエータファンを停止状態にする。これにより、コントローラ30Aは、冷却回路60の冷却対象の電気駆動系の機器の温度が非常に低い状態まで低下した状況に合わせて、両方のラジエータファンを停止させることができる。そのため、コントローラ30Aは、ラジエータ62の過剰な冷却を抑制させることができると共に、ラジエータファンの不要な稼働継続を抑制し、消費電力を抑制させることができる。
【0146】
コントローラ30Aは、ステップS118の処理が完了すると、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0147】
一方、図8に示すように、ステップS120にて、コントローラ30Aは、温度センサ54の検出信号に基づき、冷却回路60の冷却対象の全ての電気駆動系の機器の温度が閾値TDth22以下であるか以下を判定する(TDth11<TDth22≦TDth12)。コントローラ30Aは、冷却回路60の冷却対象の全ての電気駆動系の機器の温度が閾値TDth22以下である場合、ステップS122に進み、閾値TDth22以下でない場合、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0148】
ステップS122にて、コントローラ30Aは、温度センサ54の検出信号に基づき、冷却回路60の冷却対象の全ての電気駆動系の機器の温度が閾値TDth21以下であるか以下を判定する。コントローラ30Aは、冷却回路60の冷却対象の全ての電気駆動系の機器の温度が閾値TDth21以下である場合、ステップS124に進み、TDth21以下でない場合、ステップS126に進む。
【0149】
ステップS124にて、コントローラ30Aは、両方のラジエータファンに制御指令を出力し、停止させる。即ち、コントローラ30Aは、両方のラジエータファンを停止状態にする。これにより、ステップS120の場合と同様の効果を奏する。
【0150】
コントローラ30Aは、ステップS124の処理が完了すると、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0151】
一方、ステップS126にて、コントローラ30Aは、何れか一方のラジエータファンに制御指令を出力し、停止させる。即ち、コントローラ30Aは、何れか一方のファンだけが稼働する状態にする。これにより、コントローラ30Aは、冷却回路60の冷却対象の電気駆動系の機器の温度が相対的に低い状態まで低下した状況に合わせて、何れか一方のラジエータファンを停止させることができる。そのため、コントローラ30Aは、ラジエータ62の過剰な冷却を抑制させることができると共に、ラジエータファンの不要な稼働継続を抑制し、消費電力を抑制させることができる。
【0152】
尚、コントローラ30Aは、冷却回路60の冷却対象の電気駆動系の機器の温度の高低に合わせて、ラジエータファンの回転速度を相対的に低い回転速度から相対的に高い回転速度までの間で可変させてもよい。例えば、コントローラ30Aは、冷却回路60の冷却対象の電気駆動系の機器の少なくとも一つの温度が閾値TDth11を超えている場合、ある一定の範囲で、その超えている量が大きくなるほど回転速度が高くなるように、一方のラジエータファンを制御してよい。そして、コントローラ30Aは、冷却回路60の冷却対象の電気駆動系の機器の少なくとも一つの温度が閾値TDth11を超えており、且つ、その超えている量が一定の範囲を超えている場合、その超えている量に依らず、一方のラジエータファンを許容最大の回転速度で回転させてよい。また、例えば、コントローラ30Aは、冷却回路60の冷却対象の電気駆動系の機器の少なくとも一つの温度が閾値TDth12を超えている場合、ある一定の範囲で、その超えている量が大きくなるほど回転速度が高くなるように、他方のラジエータファンを制御してよい。そして、コントローラ30Aは、冷却回路60の冷却対象の電気駆動系の機器の少なくとも一つの温度が閾値TDth12を超えており、且つ、その超えている量が一定の範囲を超えている場合、その超えている量に依らず、他方のラジエータファンを許容最大の回転速度で回転させてよい。
【0153】
このように、本例では、複数のラジエータファン(ファン90A,90B)は、コントローラ30Aの制御下で、その一部のラジエータファンだけが停止状態、或いは、他のラジエータファンよりも回転速度が相対的に低い稼働状態の場合がある。
【0154】
これにより、コントローラ30Aは、ラジエータ62に必要な冷却度合いに合わせて、一部のラジエータファンを停止させたり、相対的に低い回転速度で稼働させたりすることができる。そのため、コントローラ30Aは、ラジエータ62の過剰な冷却を抑制することができると共に、ラジエータファンの稼働による消費電力を抑制することができる。
【0155】
また、本例では、コントローラ30Aは、ラジエータ62に必要な冷却度合いが相対的に高い場合、全てのラジエータファンが相対的に高い回転速度で稼働するように、複数のラジエータファンを制御する。一方、コントローラ30Aは、ラジエータ62に必要な冷却度合いが相対的に低い場合、一部のラジエータファンだけが停止状態、或いは、他のファンより回転速度の低い状態になるように、複数のラジエータファンを制御する。
【0156】
具体的には、コントローラ30Aは、ラジエータ62の内部を通流する冷媒(被冷却流体の一例)を通じて冷却される電気駆動系の機器(被冷却機器の一例)の温度が相対的に高い場合、全てが相対的に高い回転速度で稼働するように、複数のラジエータファンを制御する。一方、コントローラ30Aは、ラジエータ62の内部を通流する冷媒を通じて冷却される電気駆動系の機器の温度が相対的に低い場合、一部のラジエータファンだけが停止状態、或いは、他のラジエータファンより回転速度が相対的に低い状態になるように、複数のラジエータファンを制御する。
【0157】
これにより、コントローラ30Aは、ラジエータ62に必要な冷却度合いの高低に合わせて、具体的に、複数のラジエータファンの一部を停止させたり、相対的に回転速度が低い状態稼働させたりすることができる。
【0158】
<制御装置のオイルクーラファンに関する制御処理>
続いて、図9図10を参照して、制御装置30のオイルクーラファンに関する制御処理について説明する。本例では、オイルクーラファンが稼働する場合、相対的に高い回転速度(例えば、許容最大の回転速度)で回転する前提で説明を進める。以下、後述の第2例(図16図17)についても同様である。
【0159】
図9図10は、制御装置30(コントローラ30A)によるオイルクーラファンに関する制御処理の第1例を概略的に示すフローチャートである。
【0160】
図9に示すように、ステップS202にて、コントローラ30Aは、オイルクーラファン(ファン90C,90Dの少なくとも一方)が稼働中か否かを判定する。コントローラ30Aは、オイルクーラファン(ファン90C,90Dの両方)が稼働中でない場合、ステップS204に進み、オイルクーラファンが稼働中である場合、ステップS210に進む。
【0161】
ステップS204にて、コントローラ30Aは、油温センサ56の検出信号に基づき、作動油温が閾値TOLth11を超えたか否かを判定する。閾値TOLth11は、例えば、予め規定される適合値である。以下、後述の閾値TOLth12,TOLth21,TOLth22についても同様である。コントローラ30Aは、作動油温が閾値TOLth11を超えている場合、ステップS206に進み、閾値TOLth11を超えていない場合、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0162】
ステップS206にて、コントローラ30Aは、油温センサ56の検出信号に基づき、作動油温が閾値TOLth12(>TOLth11)を超えたか否かを判定する。コントローラ30Aは、作動油温が閾値TOLth12を超えていない場合、ステップS208に進み、閾値TOLth12を超えている場合、ステップS214に進む。
【0163】
ステップS208にて、コントローラ30Aは、一方のオイルクーラファンだけが稼働する状態にする。具体的には、コントローラ30Aは、ファン90C,90Dのうちの何れか一方を稼働開始させる。稼働開始させる一方は、ファン90Cであってもよいし、ファン90Dであってもよい。これにより、コントローラ30Aは、作動油温が相対的に高くなっている状況で、一方のオイルクーラファンの稼働を開始させ、オイルクーラ70の冷却度合いを高めることができる。そのため、コントローラ30Aは、オイルクーラ70を通流し冷却される作動油の冷却度合いを高め、作動油の温度を低下させることができる。
【0164】
コントローラ30Aは、ステップS208の処理が完了すると、今回のフローチャートの処理を完了する。
【0165】
一方、ステップS210にて、コントローラ30Aは、稼働中のオイルクーラファンが一つだけか否かを判定する。コントローラ30Aは、稼働中のオイルクーラファンが一つである場合、ステップS212に進み、稼働中のオイルクーラファンが一つでない(即ち、両方である)場合、ステップS220に進む。
【0166】
ステップS212にて、コントローラ30Aは、油温センサ56の検出信号に基づき、作動油温が閾値TOLth12を超えたか否かを判定する。コントローラ30Aは、作動油温が閾値TOLth12を超えている場合、ステップS214に進み、閾値TOLth12を超えていない場合、ステップS216に進む。
【0167】
ステップS214にて、コントローラ30Aは、両方のオイルクーラファンが稼働する状態にする。コントローラ30Aは、例えば、ステップS206の判定条件が成立した場合(ステップS206のYES)、ファン90C,90Dの両方に制御指令を出力し、稼働開始させる。また、コントローラ30Aは、例えば、ステップS212の判定条件が成立した場合(ステップS212のYES)、ファン90C,90Dのうちの稼働中の一方と異なる他方に制御指令を出力し稼働開始させる。これにより、コントローラ30Aは、作動油温が非常に高くなっている状況で、両方のオイルクーラファンを駆動させ、オイルクーラ70の冷却度合いを更に高めることができる。そのため、コントローラ30Aは、オイルクーラ70を通流し冷却される作動油の冷却度合いを更に高め、作動油温を低下させることができる。
【0168】
コントローラ30Aは、ステップS214の処理が完了すると、今回のフローチャートの処理を完了する。
【0169】
一方、ステップS216にて、コントローラ30Aは、油温センサ56の検出信号に基づき、作動油温が閾値TOLth21(≦TOLth11)以下であるか否かを判定する。コントローラ30Aは、作動油温が閾値TOLth21以下である場合、ステップS218に進み、閾値TOLth21以下でない場合、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0170】
ステップS218にて、コントローラ30Aは、稼働中の一方のオイルクーラファンに制御指令を出力し、停止させる。即ち、コントローラ30Aは、両方のオイルクーラファンを停止状態にする。これにより、コントローラ30Aは、作動油温が非常に低い状態まで低下した状況に合わせて、両方のオイルクーラファンを停止させることができる。そのため、コントローラ30Aは、オイルクーラ70の過剰な冷却を抑制させることができると共に、オイルクーラファンの不要な稼働継続を抑制し、消費電力を抑制させることができる。
【0171】
コントローラ30Aは、ステップS218の処理が完了すると、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0172】
一方、図10に示すように、ステップS220にて、コントローラ30Aは、油温センサ56の検出信号に基づき、作動油温が閾値TOLth22以下であるか以下を判定する(TOLth11<TOLth22≦TOLth12)。コントローラ30Aは、作動油温が閾値TOLth22以下である場合、ステップS222に進み、閾値TOLth22以下でない場合、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0173】
ステップS222にて、コントローラ30Aは、油温センサ56の検出信号に基づき、冷却回路60の冷却対象の全ての電気駆動系の機器の温度が閾値TOLth21以下であるか以下を判定する。コントローラ30Aは、作動油温が閾値TOLth21以下である場合、ステップS224に進み、TOLth21以下でない場合、ステップS226に進む。
【0174】
ステップS224にて、コントローラ30Aは、両方のオイルクーラファンに制御指令を出力し、停止させる。即ち、コントローラ30Aは、両方のオイルクーラファンを停止状態にする。これにより、ステップS220の場合と同様の効果を奏する。
【0175】
コントローラ30Aは、ステップS224の処理が完了すると、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0176】
一方、ステップS226にて、コントローラ30Aは、何れか一方のオイルクーラファンに制御指令を出力し、停止させる。即ち、コントローラ30Aは、何れか一方のファンだけが稼働する状態にする。これにより、コントローラ30Aは、作動油温が相対的に低い状態まで低下した状況に合わせて、何れか一方のオイルクーラファンを停止させることができる。そのため、コントローラ30Aは、オイルクーラ70の過剰な冷却を抑制させることができると共に、オイルクーラファンの不要な稼働継続を抑制し、消費電力を抑制させることができる。
【0177】
尚、コントローラ30Aは、作動油温の高低に合わせて、オイルクーラファンの回転速度を相対的に低い回転速度から相対的に高い回転速度までの間で可変させてもよい。例えば、コントローラ30Aは、作動油温が閾値TOLth11を超えている場合、ある一定の範囲で、その超えている量が大きくなるほど回転速度が高くなるように、一方のオイルクーラファンを制御してよい。そして、コントローラ30Aは、作動油温が閾値TOLth11を超えており、且つ、その超えている量が一定の範囲を超えている場合、その超えている量に依らず、一方のオイルクーラファンを許容最大の回転速度で回転させてよい。また、例えば、コントローラ30Aは、作動油温が閾値TOLth12を超えている場合、ある一定の範囲で、その超えている量が大きくなるほど回転速度が高くなるように、他方のオイルクーラファンを制御してよい。そして、コントローラ30Aは、作動油温が閾値TOLth12を超えており、且つ、その超えている量が一定の範囲を超えている場合、その超えている量に依らず、他方のオイルクーラファンを許容最大の回転速度で回転させてよい。
【0178】
このように、本例では、複数のオイルクーラファン(ファン90C,90D)は、コントローラ30Aの制御下で、その一部のオイルクーラファンだけが停止状態、或いは、他のオイルクーラファンよりも回転速度が相対的に低い状態の場合がある。
【0179】
これにより、コントローラ30Aは、オイルクーラ70に必要な冷却度合いに合わせて、一部のオイルクーラファンを停止させたり、相対的に低い回転速度で稼働させたりすることができる。そのため、コントローラ30Aは、オイルクーラ70の過剰な冷却を抑制することができると共に、オイルクーラファンの稼働による消費電力を抑制することができる。
【0180】
また、本例では、コントローラ30Aは、オイルクーラ70に必要な冷却度合いが相対的に高い場合、全てのオイルクーラファンが相対的に高い回転速度で稼働するように、複数のオイルクーラファンを制御する。一方、コントローラ30Aは、オイルクーラ70に必要な冷却度合いが相対的に低い場合、一部のオイルクーラファンだけが停止状態、或いは、他のファンより回転速度の低い状態になるように、複数のオイルクーラファンを制御する。
【0181】
具体的には、コントローラ30Aは、オイルクーラ70の内部を通流する作動油(被冷却流体の一例)の温度(作動油温)が相対的に高い場合、全てが相対的に高い回転速度で稼働するように、複数のオイルクーラファンを制御する。一方、コントローラ30Aは、オイルクーラ70の内部を通流する作動油温が相対的に低い場合、一部のオイルクーラファンだけが停止状態、或いは、他のオイルクーラファンより回転速度が相対的に低い状態になるように、複数のオイルクーラファンを制御する。
【0182】
これにより、コントローラ30Aは、オイルクーラ70に必要な冷却度合いの高低に合わせて、具体的に、複数のオイルクーラファンの一部を停止させたり、相対的に回転速度が低い状態稼働させたりすることができる。
【0183】
<制御装置のコンデンサファンに関する制御処理>
続いて、図11を参照して、制御装置30のコンデンサファンに関する制御処理について説明する。本例では、ラジエータファンが稼働する場合、相対的に高い回転速度(例えば、許容最大の回転速度)で回転する前提で説明を進める。以下、後述の第2例(図18)についても同様である。
【0184】
図11は、制御装置30(コントローラ30A)によるコンデンサファンに関する制御処理の第1例を概略的に示すフローチャートである。
【0185】
図11に示すように、ステップS302にて、コントローラ30Aは、コンデンサファン(ファン90E,90F)が稼働中か否かを判定する。コントローラ30Aはコンデンサファンが稼働中でない場合、ステップS304に進み、稼働中である場合、ステップS308に進む。
【0186】
ステップS304にて、コントローラ30Aは、コンプレッサ82Aが稼働開始したか否かを判定する。コントローラ30Aは、コンプレッサ82Aが稼働開始した場合、ステップS306に進み、コンプレッサ82Aが稼働していない場合、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0187】
ステップS306にて、コントローラ30Aは、両方のコンデンサファンに制御指令を出力し、両方のコンデンサファンを稼働開始させる。
【0188】
コントローラ30Aは、ステップS306の処理が完了すると、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0189】
一方、ステップS308にて、コントローラ30Aは、コンプレッサ82Aが停止したか否かを判定する。コントローラ30Aは、コンプレッサ82Aが停止している場合、ステップS310に進み、停止していない場合、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0190】
ステップS310にて、コントローラ30Aは、両方のコンデンサファンに制御指令を出力し、両方のコンデンサファンを停止させる。
【0191】
コントローラ30Aは、ステップS310の処理が完了すると、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0192】
このように、本例では、コントローラ30Aは、コンプレッサ82Aが稼働している場合、コンデンサファンを稼働させ、コンプレッサ82Aが稼働していない場合、コンデンサファンを停止させる。
【0193】
これにより、コントローラ30Aは、コンデンサ82Bでの熱交換が必要な場合に、コンデンサファンを稼働させ、コンデンサ82Bでの熱交換が必要ない場合に、コンデンサファンを停止させることができる。そのため、コンデンサファンの稼働による消費電力を抑制することができる。
【0194】
[ファンの制御方法の第2例]
次に、図12図18を参照して、ファン90の制御方法の第2例について説明する。
【0195】
<熱交換機器及びファンの配置>
まず、本例に係る熱交換機器及びファン90の配置について説明する。
【0196】
図12図13は、ラジエータ62、オイルクーラ70、コンデンサ82B、及びファン90の配置の第2例を示す正面図、及び側面図である。以下、便宜的に、図中の方向(上、下、左、右、前、及び後)を用いて配置関係を説明する。
【0197】
図12図13に示すように、ラジエータ62及びオイルクーラ70は、それぞれ、上述の第1例(図5図6)の場合と同様、ダウンフロー式であり、上下方向の両端にタンクが配置される。ラジエータ62及びオイルクーラ70は、左右方向よりも上下方向に長い縦長の矩形形状を有し、左右に並べて配置される。
【0198】
コンデンサ82Bは、上述の第1例の場合と同様、上下方向よりも左右方向に長い横長の矩形形状を有する。コンデンサ82Bは、上述の第1例の場合と異なり、ラジエータ62及びオイルクーラ70の前方に隣接して配置される。具体的には、コンデンサ82Bは、その略左半分がラジエータ62の熱交換部の略上半分の前方を覆うように配置され、その略右半分がオイルクーラ70の熱交換部の略上半分の前方を覆うように配置される。
【0199】
ファン90は、ファン90G~90Jを含む。
【0200】
ファン90G,90Hは、ラジエータ62の後方に配置され、空気を前から後に向けて吸い込むことにより、ラジエータ62に送風を行う。ファン90G,90Hは、ファン90Gが上側になり、ファン90Hが下側になるように、上下に並べて配置される。以下、ファン90G,90Hを包括的に或いは個別に「ラジエータファン」と称する場合がある。
【0201】
ファン90I,90Jは、オイルクーラ70の後方に配置され、空気を前から後に向けて吸い込むことにより、オイルクーラ70に送風を行う。ファン90I,90Jは、ファン90C,ファン90Cが上側になり、ファン90Dが下側になるように、上下に並べて配置される。以下、ファン90C,90Dを包括的に或いは個別に「オイルクーラファン」と称する場合がある。
【0202】
ファン90Gは、上述の如く、ラジエータ62の熱交換部の略上半分の部分、即ち、ラジエータ62の熱交換部のうちの前方をコンデンサ82Bが覆っている部分の後方に配置される。そのため、ファン90Gは、空気を前から後に向けて吸い込むことにより、コンデンサ82B及びラジエータ62の双方に送風を行うことができる。
【0203】
ファン90Iは、上述の如く、オイルクーラ70の熱交換部の略上半分の部分、即ち、オイルクーラ70の熱交換部のうちの前方をコンデンサ82Bが覆っている部分の後方に配置される。そのため、ファン90Iは、空気を前から後に向けて吸い込むことにより、コンデンサ82B及びラジエータ62の双方に送風を行うことができる。
【0204】
以下、ファン90G,90Iを包括的に或いは個別に「コンデンサファン」と称する場合がある。また、ファン90Gを「共用ラジエータファン」と称し、ファン90Iを「共用オイルクーラファン」と称する場合がある。また、ファン90Hを「非共用ラジエータファン」と称し、ファン90Jを「非共用オイルクーラファン」と称する場合がある。
【0205】
このように、本例では、上述の第1例の場合と同様、一つの熱交換機器に対して送風可能な複数(本例では、2つ)のファン90が設置される。また、本例では、上述の第1例の場合と同様、複数の熱交換機器ごとに、熱交換機器に対して送風可能な複数のファン90が設置される。これにより、上述の第1例の場合と同様の作用・効果を奏する。
【0206】
また、本例では、コンデンサ82Bとラジエータ62及びオイルクーラ70のそれぞれとの間で、ファン90G,90Iを共用する。これにより、ファン90の設置数を相対的に少なくすることができる。
【0207】
<制御装置のラジエータファンに関する制御処理>
続いて、図14図15を参照して、制御装置30のラジエータファンに関する制御処理について説明する。
【0208】
図14図15は、制御装置30(コントローラ30A)によるラジエータファンに関する制御処理の第2例を概略的に示すフローチャートである。以下、フラグF1は、ラジエータ62に必要な冷却度合いに関する共用ラジエータファン(ファン90G)の稼働条件の成立の有無を表す。フラグF1は、初期状態が"0"であり、ショベルの起動時に"0"に初期化されている前提で説明を進める。
【0209】
図14に示すように、ステップS402にて、コントローラ30Aは、非共用ラジエータファン(ファン90H)が稼働中か否かを判定する。コントローラ30Aは、非共用ラジエータファンが稼働中でない場合、ステップS404に進み、非共用ラジエータファンが稼働中である場合、ステップS410に進む。
【0210】
ステップS404は、図7のステップS104の処理と同じである。コントローラ30Aは、判定条件が成立する場合、ステップS406に進み、判定条件が成立しない場合、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0211】
ステップS406は、図7のステップS106の処理と同じである。コントローラ30Aは、判定条件が成立しない場合、ステップS408に進み、成立する場合、ステップS414に進む。
【0212】
ステップS408にて、コントローラ30Aは、非共用ラジエータファンに制御指令を出力し、非共用オイルクーラファンだけを稼働開始させる。これにより、コントローラ30Aは、例えば、コンデンサ82Bに必要な冷却度合いに依らず、共用ラジエータファンを優先的に稼働させ、コンデンサ82Bが過冷却されたり、過加熱されたりしまうような事態を抑制することができる。また、コントローラ30Aは、共用ラジエータファンを優先的に稼働させることで、コンデンサ82Bを通過後の空気がラジエータ62に送風され、結果として、ラジエータ62の冷却度合いが相対的に低下してしまう事態を抑制することができる。
【0213】
コントローラ30Aは、ステップS408の処理が完了すると、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0214】
一方、ステップS410にて、コントローラ30Aは、フラグF1が"1"であるか否か、即ち、ラジエータ62に必要な冷却度合いに関する共用ラジエータファンの稼働条件が成立しているか否かを判定する。コントローラ30Aは、フラグF1が"1"でない場合、ステップS412に進み、フラグF1が"1"である場合、ステップS420に進む。
【0215】
ステップS412は、図7のステップS112の処理と同じである。コントローラ30Aは、判定条件が成立する場合、ステップS414に進み、成立しない場合、ステップS416に進む。
【0216】
ステップS414にて、コントローラ30Aは、両方のラジエータファンが稼働する状態にすると共に、フラグF1を"1"に設定する。コントローラ30Aは、例えば、両方のラジエータファンが停止されている場合、両方のラジエータファンに制御指令を出力し、稼働開始させると共に、フラグF1を"1"に設定する。両方のラジエータファンが停止されている場合は、コンデンサ82Bに必要な熱交換の度合いに関する共用オイルクーラファンの稼働条件が不成立(即ち、後述のフラグF3が"0")で、且つ、ステップS406の判定条件が成立した場合に相当する。また、コントローラ30Aは、例えば、共用ラジエータファンだけが稼働中の場合、非共用ラジエータファンに制御指令を出力し、稼働開始させると共に、フラグF1を"1"に設定する。共用ラジエータファンだけが稼働中の場合は、コンデンサ82Bに必要な熱交換の度合いに関する共用オイルクーラファンの稼働条件が成立し(即ち、フラグF3が"1"であり)、且つ、ステップS406の判定条件が成立した場合に相当する。また、コントローラ30Aは、例えば、非共用ラジエータファンだけが稼働中の場合、共用ラジエータファンに制御指令を出力し、稼働開始させる。非共用ラジエータファンだけが稼働中の場合は、コンデンサ82Bに必要な熱交換の度合いに関する共用オイルクーラファンの稼働条件が不成立(即ち、後述のフラグF3が"0")で、且つ、ステップS412の判定条件が成立した場合に相当する。また、コントローラ30Aは、両方のラジエータファンが既に稼働中である場合、フラグF1を"1"に設定処理だけを行う。両方のラジエータファンが既に稼働中である場合は、コンデンサ82Bに必要な熱交換の度合いに関する共用オイルクーラファンの稼働条件が成立し(即ち、フラグF3が"1"であり)、且つ、ステップS412の判定条件が成立した場合に相当する。
【0217】
コントローラ30Aは、ステップS414の処理が完了すると、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0218】
ステップS416は、図7のステップS116の処理と同じである。コントローラ30Aは、判定条件が成立する場合、ステップS418に進み、成立しない場合、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0219】
ステップS418にて、コントローラ30Aは、非共用ラジエータファンに制御指令を出力し、非共用ラジエータファンを停止させる。
【0220】
コントローラ30Aは、ステップS418の処理が完了すると、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0221】
一方、図15に示すように、ステップS420は、図8のステップS120の処理と同じである。コントローラ30Aは、判定条件が成立する場合、ステップS422に進み、成立しない場合、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0222】
ステップS422は、図8のステップS122の処理と同じである。コントローラ30Aは、判定条件が成立する場合、ステップS424に進み、成立しない場合、ステップS430に進む。
【0223】
ステップS424にて、コントローラ30Aは、フラグF3が"1"であるか否か、即ち、コンデンサ82Bに必要な熱交換の度合いに関する共用オイルクーラファンの稼働条件の成立の有無を判定する。コントローラ30Aは、フラグF3が"1"でない場合、ステップS426に進み、フラグF3が"1"である場合、ステップS428に進む。
【0224】
ステップS426にて、コントローラ30Aは、両方のラジエータファンに制御指令を出力し、停止させると共に、フラグF1を"0"に設定する。
【0225】
コントローラ30Aは、ステップS426の処理が完了すると、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0226】
一方、ステップS428にて、コントローラ30Aは、非共用ラジエータファンに制御指令を出力し、停止させると共に、フラグF1を"0"に設定する。これにより、コントローラ30Aは、コンデンサ82Bに必要な熱交換の度合いが相対的に高い状況において、ラジエータ62に必要な冷却度合いが非常に低い場合であっても、共用ラジエータファンの稼働を継続させることができる。そのため、コンデンサ82Bに必要な熱交換の度合いが不足し、空調装置80による冷房性能や暖房性能が低下してしまうような事態を抑制することができる。
【0227】
コントローラ30Aは、ステップS428の処理が完了すると、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0228】
一方、ステップS430にて、コントローラ30Aは、フラグF3が"1"であるか否か、即ち、コンデンサ82Bに必要な熱交換の度合いに関する共用オイルクーラファンの稼働条件の成立の有無を判定する。コントローラ30Aは、フラグF3が"1"でない場合、ステップS432に進み、フラグF3が"1"である場合、ステップS434に進む。
【0229】
ステップS432にて、コントローラ30Aは、共用ラジエータファンに制御指令を出力し、停止させると共に、フラグF1を"0"に設定する。
【0230】
コントローラ30Aは、ステップS432の処理が完了すると、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0231】
一方、ステップS434にて、コントローラ30Aは、フラグF3を"1"に設定する処理だけを行う。これにより、コントローラ30Aは、コンデンサ82Bに必要な熱交換の度合いが相対的に高い状況において、ラジエータ62に必要な冷却度合いが相対的に低い場合であっても、共用ラジエータファンの稼働を継続させることができる。そのため、コンデンサ82Bに必要な熱交換の度合いが不足し、空調装置80による冷房性能や暖房性能が低下してしまうような事態を抑制することができる。
【0232】
コントローラ30Aは、ステップS434の処理が完了すると、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0233】
このように、本例では、複数のラジエータファンは、その一部に、複数のコンデンサファンの一部として共用される共用ラジエータファン(共用ファンの一例)を含む。そして、コントローラ30Aは、ラジエータ62(第1の機器の一例)に必要な熱交換の度合いが相対的に低い場合、複数のラジエータファンのうちの共用ラジエータファン以外の非共用ラジエータファンを優先的に稼働させる。一方、コントローラ30Aは、ラジエータ62に必要な熱交換の度合いが相対的に高い場合、非共用ラジエータファンに加えて、共用ラジエータファンを稼働させる。
【0234】
これにより、コントローラ30Aは、ラジエータ62に必要な冷却度合いに基づき、ラジエータファンを稼働させる際に生じうる、コンデンサ82Bの熱交換の度合いへの影響を抑制することができる。
【0235】
また、本例では、コントローラ30Aは、共用ラジエータファンが稼働している状態で、ラジエータ62に必要な熱交換の度合い(冷却度合い)に基づく共用ラジエータファンを停止させる条件が成立している場合であっても、コンデンサ82B(第2の機器の一例)に必要な熱交換の度合いに基づく共用ファンを停止させる条件が不成立の場合、共用ラジエータファンの稼働を継続させる。
【0236】
これにより、コントローラ30Aは、コンデンサ82Bにおける熱交換の度合いが不足し、空調装置80の空調性能に影響が生じるような事態を抑制することができる。
【0237】
尚、複数のコンデンサファンの全部が共用ラジエータファンになるように、ラジエータ62、コンデンサ82B、及びファン90が配置されてもよい。この場合についても、コントローラ30Aは、同様の制御方法を採用することで、同様の作用・効果を奏する。
【0238】
<制御装置のオイルクーラファンに関する制御処理>
続いて、図16図17を参照して、制御装置30のオイルクーラファンに関する制御処理について説明する。
【0239】
図16図17は、制御装置30(コントローラ30A)によるオイルクーラファンに関する制御処理の第2例を概略的に示すフローチャートである。以下、フラグF2は、オイルクーラ70に必要な冷却度合いに関する共用オイルクーラファン(ファン90I)の稼働条件の成立の有無を表す。フラグF2は、初期状態が"0"であり、ショベルの起動時に"0"に初期化されている前提で説明を進める。
【0240】
図16に示すように、ステップS502にて、コントローラ30Aは、非共用オイルクーラファン(ファン90J)が稼働中か否かを判定する。コントローラ30Aは、非共用オイルクーラファンが稼働中でない場合、ステップS504に進み、非共用オイルクーラファンが稼働中である場合、ステップS510に進む。
【0241】
ステップS504は、図9のステップS204の処理と同じである。コントローラ30Aは、判定条件が成立する場合、ステップS506に進み、判定条件が成立しない場合、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0242】
ステップS506は、図9のステップS206の処理と同じである。コントローラ30Aは、判定条件が成立しない場合、ステップS508に進み、成立する場合、ステップS514に進む。
【0243】
ステップS508にて、コントローラ30Aは、非共用オイルクーラファンに制御指令を出力し、非共用オイルクーラファンだけを稼働開始させる。これにより、コントローラ30Aは、例えば、コンデンサ82Bに必要な冷却度合いに依らず、共用オイルクーラファンを優先的に稼働させ、コンデンサ82Bが過冷却されたり、過加熱されたりしまうような事態を抑制することができる。また、コントローラ30Aは、共用オイルクーラファンを優先的に稼働させることで、コンデンサ82Bを通過後の空気がオイルクーラ70Aに送風され、結果として、オイルクーラ70Aの冷却度合いが相対的に低下してしまう事態を抑制することができる。
【0244】
コントローラ30Aは、ステップS508の処理が完了すると、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0245】
一方、ステップS510にて、コントローラ30Aは、フラグF2が"1"であるか否か、即ち、オイルクーラ70に必要な冷却度合いに関する共用オイルクーラファンの稼働条件が成立しているか否かを判定する。コントローラ30Aは、フラグF2が"1"でない場合、ステップS512に進み、フラグF2が"1"である場合、ステップS520に進む。
【0246】
ステップS512は、図9のステップS212の処理と同じである。コントローラ30Aは、判定条件が成立する場合、ステップS514に進み、成立しない場合、ステップS516に進む。
【0247】
ステップS514にて、コントローラ30Aは、両方のオイルクーラファンが稼働する状態にすると共に、フラグF2を"1"に設定する。コントローラ30Aは、例えば、両方のオイルクーラファンが停止されている場合、両方のオイルクーラファンに制御指令を出力し、稼働開始させると共に、フラグF2を"1"に設定する。両方のオイルクーラファンが停止されている場合は、コンデンサ82Bに必要な熱交換の度合いに関する共用オイルクーラファンの稼働条件が不成立(即ち、後述のフラグF3が"0")で、且つ、ステップS506の判定条件が成立した場合に相当する。また、コントローラ30Aは、例えば、共用オイルクーラファンだけが稼働中の場合、非共用オイルクーラファンに制御指令を出力し、稼働開始させると共に、フラグF2を"1"に設定する。共用オイルクーラファンだけが稼働中の場合は、コンデンサ82Bに必要な熱交換の度合いに関する共用オイルクーラファンの稼働条件が成立し(即ち、フラグF3が"1"であり)、且つ、ステップS506の判定条件が成立した場合に相当する。また、コントローラ30Aは、例えば、非共用オイルクーラファンだけが稼働中の場合、共用オイルクーラファンに制御指令を出力し、稼働開始させる。非共用オイルクーラファンだけが稼働中の場合は、コンデンサ82Bに必要な熱交換の度合いに関する共用オイルクーラファンの稼働条件が不成立(即ち、後述のフラグF3が"0")で、且つ、ステップS512の判定条件が成立した場合に相当する。また、コントローラ30Aは、両方のオイルクーラファンが既に稼働中である場合、フラグF2を"1"に設定処理だけを行う。両方のオイルクーラファンが既に稼働中である場合は、コンデンサ82Bに必要な熱交換の度合いに関する共用オイルクーラファンの稼働条件が成立し(即ち、フラグF3が"1"であり)、且つ、ステップS512の判定条件が成立した場合に相当する。
【0248】
コントローラ30Aは、ステップS514の処理が完了すると、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0249】
ステップS516は、図9のステップS216の処理と同じである。コントローラ30Aは、判定条件が成立する場合、ステップS518に進み、成立しない場合、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0250】
ステップS518にて、コントローラ30Aは、非共用オイルクーラファンに制御指令を出力し、非共用オイルクーラファンを停止させる。
【0251】
コントローラ30Aは、ステップS518の処理が完了すると、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0252】
一方、図17に示すように、ステップS520は、図10のステップS220の処理と同じである。コントローラ30Aは、判定条件が成立する場合、ステップS522に進み、成立しない場合、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0253】
ステップS522は、図10のステップS222の処理と同じである。コントローラ30Aは、判定条件が成立する場合、ステップS524に進み、成立しない場合、ステップS530に進む。
【0254】
ステップS524にて、コントローラ30Aは、フラグF3が"1"であるか否か、即ち、コンデンサ82Bに必要な熱交換の度合いに関する共用オイルクーラファンの稼働条件の成立の有無を判定する。コントローラ30Aは、フラグF3が"1"でない場合、ステップS526に進み、フラグF3が"1"である場合、ステップS528に進む。
【0255】
ステップS526にて、コントローラ30Aは、両方のオイルクーラファンに制御指令を出力し、停止させると共に、フラグF2を"0"に設定する。
【0256】
コントローラ30Aは、ステップS526の処理が完了すると、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0257】
一方、ステップS528にて、コントローラ30Aは、非共用オイルクーラファンに制御指令を出力し、停止させると共に、フラグF2を"0"に設定する。これにより、コントローラ30Aは、コンデンサ82Bに必要な熱交換の度合いが相対的に高い状況において、オイルクーラ70に必要な冷却度合いが非常に低い場合であっても、共用オイルクーラファンの稼働を継続させることができる。そのため、コンデンサ82Bに必要な熱交換の度合いが不足し、空調装置80による冷房性能や暖房性能が低下してしまうような事態を抑制することができる。
【0258】
コントローラ30Aは、ステップS528の処理が完了すると、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0259】
一方、ステップS530にて、コントローラ30Aは、フラグF3が"1"であるか否か、即ち、コンデンサ82Bに必要な熱交換の度合いに関する共用オイルクーラファンの稼働条件の成立の有無を判定する。コントローラ30Aは、フラグF3が"1"でない場合、ステップS532に進み、フラグF3が"1"である場合、ステップS534に進む。
【0260】
ステップS532にて、コントローラ30Aは、共用オイルクーラファンに制御指令を出力し、停止させると共に、フラグF2を"0"に設定する。
【0261】
コントローラ30Aは、ステップS532の処理が完了すると、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0262】
一方、ステップS534にて、コントローラ30Aは、フラグF3を"1"に設定する処理だけを行う。これにより、コントローラ30Aは、コンデンサ82Bに必要な熱交換の度合いが相対的に高い状況において、オイルクーラ70に必要な冷却度合いが相対的に低い場合であっても、共用オイルクーラファンの稼働を継続させることができる。そのため、コンデンサ82Bに必要な熱交換の度合いが不足し、空調装置80による冷房性能や暖房性能が低下してしまうような事態を抑制することができる。
【0263】
コントローラ30Aは、ステップS534の処理が完了すると、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0264】
このように、本例では、複数のオイルクーラファンは、その一部に、複数のコンデンサファンの一部として共用される共用オイルクーラファン(共用ファンの一例)を含む。そして、コントローラ30Aは、オイルクーラ70(第1の機器の一例)に必要な熱交換の度合いが相対的に低い場合、複数のオイルクーラファンのうちの共用オイルクーラファン以外の非共用オイルクーラファンを優先的に稼働させる。一方、コントローラ30Aは、オイルクーラ70に必要な熱交換の度合いが相対的に高い場合、非共用オイルクーラファンに加えて、共用オイルクーラファンを稼働させる。
【0265】
これにより、コントローラ30Aは、オイルクーラ70に必要な冷却度合いに基づき、オイルクーラファンを稼働させる際に生じうる、コンデンサ82Bの熱交換の度合いへの影響を抑制することができる。
【0266】
また、本例では、コントローラ30Aは、共用オイルクーラファンが稼働している状態で、オイルクーラ70に必要な熱交換の度合い(冷却度合い)に基づく共用オイルクーラファンを停止させる条件が成立している場合であっても、コンデンサ82Bに必要な熱交換の度合いに基づく共用オイルクーラファンを停止させる条件が不成立の場合、共用オイルクーラファンの稼働を継続させる。
【0267】
これにより、コントローラ30Aは、コンデンサ82Bにおける熱交換の度合いが不足し、空調装置80の空調性能に影響が生じるような事態を抑制することができる。
【0268】
尚、複数のコンデンサファンの全部が共用オイルクーラファンになるように、オイルクーラ70、コンデンサ82B、及びファン90が配置されてもよい。この場合についても、コントローラ30Aは、同様の制御方法を採用することで、同様の作用・効果を奏する。
【0269】
<制御装置のコンデンサに関する制御処理>
続いて、図18を参照して、制御装置30のコンデンサファンに関する制御処理について説明する。
【0270】
図18は、制御装置30(コントローラ30A)によるコンデンサファンに関する制御処理の第2例を概略的に示すフローチャートである。以下、フラグF3は、コンデンサ82Bに必要な熱交換の度合いに関するコンデンサファン(ファン90G,ファン90I)の稼働条件の成立の有無を表す。フラグF3は、初期状態が"0"であり、ショベルの起動時に"0"に初期化されている前提で説明を進める。
【0271】
図18に示すように、ステップS602にて、コントローラ30Aは、フラグF3が"1"であるか否か、即ち、コンデンサ82Bに必要な熱交換の度合いに基づくコンデンサファンの稼働条件の成立の有無を判定する。コントローラ30Aは、フラグF3が"1"でない場合、ステップS604に進み、フラグF3が"1"である場合、ステップS608に進む。
【0272】
ステップS604は、図11のステップS304と同じ処理である。コントローラ30Aは、判定条件が成立する場合、ステップS606に進み、判定条件が成立しない場合、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0273】
ステップS606にて、コントローラ30Aは、両方のコンデンサファンが稼働する状態にすると共に、フラグF3を"1"に設定する。コントローラ30Aは、例えば、両方のコンデンサファンが停止している場合、両方のコンデンサファンに制御指令を出力し、稼働開始させると共に、フラグF3を"1"に設定する。両方のコンデンサファンが停止している場合は、ラジエータ62に必要な冷却度合いに基づく共用ラジエータファンの稼働条件、及びオイルクーラ70に必要な冷却度合いに基づく共用オイルクーラの稼働条件の双方が不成立(即ち、フラグF1,F2が共に"0")の場合に相当する。また、コントローラ30Aは、例えば、共用ラジエータファンだけが稼働中の場合、共用オイルクーラファンに制御指令を出力し、稼働開始させると共に、フラグF3を"1"に設定する。共用ラジエータファンだけが稼働中の場合は、ラジエータ62に必要な冷却度合いに基づく共用ラジエータファンの稼働条件が成立(即ち、フラグF1が"1")で、且つオイルクーラ70に必要な冷却度合いに基づく共用オイルクーラの稼働条件が不成立(即ち、フラグF2が共に"0")の場合に相当する。また、コントローラ30Aは、例えば、共用オイルクーラファンだけが稼働中の場合、共用ラジエータファンに制御指令を出力し、稼働開始させると共に、フラグF3を"1"に設定する。共用オイルクーラファンだけが稼働中の場合は、ラジエータ62に必要な冷却度合いに基づく共用ラジエータファンの稼働条件が不成立(即ち、フラグF1が"0")で、且つオイルクーラ70に必要な冷却度合いに基づく共用オイルクーラの稼働条件が成立(即ち、フラグF2が"1")の場合に相当する。また、コントローラ30Aは、例えば、両方のコンデンサファンが既に稼働中である場合、フラグF3を"1"に設定する処理だけを行う。両方のコンデンサファンが既に稼働中である場合は、ラジエータ62に必要な冷却度合いに基づく共用ラジエータファンの稼働条件、及びオイルクーラ70に必要な冷却度合いに基づく共用オイルクーラの稼働条件の双方が成立(即ち、フラグF1,F2が共に"0")の場合に相当する。
【0274】
コントローラ30Aは、ステップS606の処理が完了すると、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0275】
一方、ステップS608は、図11のステップS308と同じ処理である。コントローラ30Aは、判定条件が成立する場合、ステップS610に進み、判定条件が成立しない場合、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0276】
ステップS610にて、コントローラ30Aは、フラグF1,F2が共に"0"であるか否かを判定する。即ち、コントローラ30Aは、ラジエータ62に必要な冷却度合いに基づく共用ラジエータファンの稼働条件、及びオイルクーラ70に必要な冷却度合いに基づく共用オイルクーラの稼働条件の双方が不成立の状態であるか否かを判定する。コントローラ30Aは、フラグF1,F2が共に"0"である場合、ステップS612に進み、フラグF1,F2の少なくとも一方が"0"でない(即ち、"1"である)場合、ステップS614に進む。
【0277】
ステップS612にて、コントローラ30Aは、両方のコンデンサファンに制御指令を出力し、停止させると共に、フラグF3を"0"に設定する。
【0278】
コントローラ30Aは、ステップS612の処理が終了すると、今回のフローチャートを終了する。
【0279】
一方、ステップS614にて、コントローラ30Aは、フラグF1が"0"であるか否かを判定する。コントローラ30Aは、フラグF1が"0"である場合、ステップS616に進み、フラグF1が"0"でない(即ち、"1"である)場合、ステップS618に進む。
【0280】
ステップS616にて、コントローラ30Aは、共用ラジエータファンに制御指令を出力し、停止させると共に、フラグF3を"0"に設定する。これにより、コントローラ30Aは、コンデンサ82Bに必要な熱交換の度合いが相対的に低い状況であっても、オイルクーラ70に必要な冷却度合いが非常に高い状況下では、共用オイルクーラファンの稼働を継続させることができる。
【0281】
コントローラ30Aは、ステップS616の処理が完了すると、今回のフローチャートを終了する。
【0282】
一方、ステップS618にて、コントローラ30Aは、フラグF2が"0"であるか否かを判定する。コントローラ30Aは、フラグF2が"0"である場合、ステップS620に進み、フラグF2が"0"でない(即ち、フラグF1,F2が共に"1"である)場合、ステップS622に進む。
【0283】
ステップS620にて、コントローラ30Aは、共用オイルクーラファンに制御指令を出力し、停止させると共に、フラグF3を"0"に設定する。これにより、コントローラ30Aは、コンデンサ82Bに必要な熱交換の度合いが相対的に低い状況であっても、ラジエータ62に必要な冷却度合いが非常に高い状況下では、共用ラジエータファンの稼働を継続させることができる。
【0284】
コントローラ30Aは、ステップS620の処理が完了すると、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0285】
一方、ステップS622にて、コントローラ30Aは、フラグF3を"0"に設定する処理だけを行う。これにより、コントローラ30Aは、コンデンサ82Bに必要な熱交換の度合いが相対的に低い状況であっても、ラジエータ62及びオイルクーラ70に必要な冷却度合いが非常に高い状況下では、共用ラジエータファン及び共用オイルクーラファンの稼働を継続させることができる。
【0286】
コントローラ30Aは、ステップS622の処理が完了すると、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0287】
このように、本例では、コントローラ30Aは、共用ラジエータファンが稼働している状態で、コンデンサ82Bに必要な熱交換の度合いに基づく共用ラジエータファンを停止させる条件が成立している場合であっても、ラジエータ62に必要な熱交換の度合い(冷却度合い)に基づく共用ラジエータファンを停止させる条件が不成立の場合、共用ラジエータファンの稼働を継続させる。
【0288】
これにより、コントローラ30Aは、ラジエータ62における冷却度合いが不足し、冷却回路60の冷却性能に影響が生じるような事態を抑制することができる。
【0289】
また、本例では、コントローラ30Aは、共用オイルクーラファンが稼働している状態で、コンデンサ82Bに必要な熱交換の度合いに基づく共用オイルクーラファンを停止させる条件が成立している場合であっても、オイルクーラ70に必要な熱交換の度合い(冷却度合い)に基づく共用オイルクーラファンを停止させる条件が不成立の場合、共用オイルクーラファンの稼働を継続させる。
【0290】
これにより、コントローラ30Aは、オイルクーラ70における冷却度合いが不足し、作動油の冷却性能に影響が生じるような事態を抑制することができる。
【0291】
[ファンの制御方法の第3例]
次に、ファンの制御方法の第3例について説明する。
【0292】
本例では、制御装置30(コントローラ30A)は、ファン90の稼働中において、オペレータの意図に沿って、稼働中のファン90の動作を制限する。
【0293】
コントローラ30Aは、例えば、ファン90の稼働中において、入力装置52を通じて所定の入力が行われる場合、他の条件に依らず、稼働中のファン90を一時的に(例えば、予め規定される一定時間だけ)停止させてよい。
【0294】
また、コントローラ30Aは、ファン90の稼働中において、入力装置52を通じて所定の入力が行われる場合、他の条件に依らず、稼働中のファン90を一時的に回転速度が相対的に低い状態に制限してもよい。
【0295】
また、コントローラ30Aは、一つの熱交換機器に対して送風可能な複数のファン90の全てを停止状態にしたり、回転速度が低い状態にしたりしてもよいし、その一部だけを停止状態にしたり、回転速度が低い状態にしたりしてもよい。
【0296】
このように、本例では、コントローラ30Aは、入力装置52により所定の入力が受け付けられる場合、複数のファンの一部又は全部を停止状態、又は、回転速度が相対的に低い状態に移行させる。
【0297】
これにより、オペレータは、例えば、稼働中のファン90の作動音によって、周囲の作業者との意思疎通等に支障が生じている状況において、入力装置52を通じて所定の入力を行うことで、作動音を低下させ、周囲の作業者との意思疎通を図ることができる。
【0298】
[変形・変更]
以上、実施形態について詳述したが、本開示はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0299】
例えば、上述した実施形態では、エンジンを搭載しないショベルに搭載される熱交換機器及びファンの構成、並びにファンの制御方法について説明したが、同様の構成や制御方法は、エンジンが搭載されるショベルに適用されてもよい。具体的には、エンジンを冷却する冷却回路のラジエータ及び当該ラジエータを冷却するファンの構成、並びに当該ファンの制御方法に対して、上述の実施形態と同様の構成や制御方法が適用されてもよい。
【0300】
また、上述した実施形態及び変形例では、ショベルに搭載される熱交換機器及びファンの構成、並びにファンの制御方法について説明したが、同様の構成や制御方法は、熱交換器及びファンが搭載される他の作業機械に適用されてもよい。他の作業機械は、例えば、産業用車両、フォークリフト、クレーン、ブルドーザ等を含む。
【符号の説明】
【0301】
1 下部走行体
1A,1B 走行油圧モータ(油圧アクチュエータ)
3 上部旋回体
4 ブーム
5 アーム
6 バケット
7 ブームシリンダ(油圧アクチュエータ)
8 アームシリンダ(油圧アクチュエータ)
9 バケットシリンダ(油圧アクチュエータ)
12 ポンプ用電動機(電動機)
14 メインポンプ(油圧ポンプ)
15 パイロットポンプ
18 インバータユニット
18A インバータ
18B インバータ
19 蓄電装置
26 操作装置
30 制御装置
30A~30C コントローラ
44 DC-DCコンバータ
46 バッテリ
50 出力装置
52 入力装置
54 温度センサ
56 油温センサ
60 冷却回路
62 ラジエータ(所定の機器、第1の機器)
64 ウォータポンプ
70 オイルクーラ(所定の機器、第1の機器)
80 空調装置
82 ヒートポンプサイクル
82A コンプレッサ
82B コンデンサ(所定の機器、第2の機器)
82C 膨張弁
82D エバポレータ
90,90A~90J ファン
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
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