(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】溶剤系接着剤組成物および積層体
(51)【国際特許分類】
C09J 123/26 20060101AFI20240325BHJP
B32B 27/10 20060101ALI20240325BHJP
C09J 7/35 20180101ALI20240325BHJP
C09J 151/06 20060101ALI20240325BHJP
D21H 27/00 20060101ALI20240325BHJP
【FI】
C09J123/26
B32B27/10
C09J7/35
C09J151/06
D21H27/00 A
(21)【出願番号】P 2020052606
(22)【出願日】2020-03-24
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】弁理士法人エスエス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内海 樹
(72)【発明者】
【氏名】川端 駿
【審査官】澤村 茂実
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-325223(JP,A)
【文献】特表2003-526697(JP,A)
【文献】特開2018-167465(JP,A)
【文献】国際公開第2015/068385(WO,A1)
【文献】特開昭58-088884(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
B32B 27/00- 27/42
D21H 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン系樹脂(a1)が有機溶媒(a2)に分散した分散液(A)と、熱可塑性エラストマー(b1)が有機溶媒(b2)に溶解した溶液(B)
を混合することによって得られる、溶剤系接着剤組成物であり、
前記ポリオレフィン系樹脂(a1)、及び前記熱可塑性エラストマー(b1)からなる群より選ばれる少なくとも1つの重合体の一部または全部が、不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸無水物からなる群より選ばれる少なくとも1種の極性基含有単量体でグラフト変性された重合体である、
溶剤系接着剤組成物。
【請求項2】
前記ポリオレフィン系樹脂(a1)のJIS K 7122に従って測定した融点が95~180℃である請求項1に記載の溶剤系接着剤組成物。
【請求項3】
前記熱可塑性エラストマー(b1)のJIS K 7122に従って測定した融解熱量が0J/g以上40J/g以下である請求項1又は2記載の溶剤系接着剤組成物。
【請求項4】
前記極性基含有単量体が無水マレイン酸である請求項
1~3のいずれか1項に記載の溶剤系接着剤組成物。
【請求項5】
前記ポリオレフィン系樹脂(a1)と前記熱可塑性エラストマー(b1)の質量比(a1)/(b1)=20/80~95/5である請求項1~
4のいずれか1項に記載の溶剤系接着剤組成物。
【請求項6】
基材と、前記基材の少なくとも一方の表面に積層される接着剤層とを備え、前記基材が紙であり、前記接着剤層が、請求項1~
5のいずれか1項に記載の溶剤系接着剤組成物から得られる層である積層体。
【請求項7】
前記接着剤層がヒートシール接着剤層である請求項
6に記載の積層体。
【請求項8】
請求項
7からなる積層体を含む包装材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は溶剤系接着剤組成物および積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックごみ削減の観点から、包装材料として、紙包装材へのニーズが高まっている。このような包装材料においては、材料同士の貼り合わせが可能な接着剤層、特に熱により接着可能なヒートシール接着剤層を設けることが通常である。
【0003】
このような接着剤層として使用可能な、エチレン/不飽和カルボン酸共重合体を含む水分散体などの水系接着剤組成物が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の水分散体は、接着強度に優れるヒートシール接着剤層が得られ、また該接着剤層含む積層体の耐ブロッキング性に優れるという点で、優れた水分散体である。また、一般に、上述したエチレン/不飽和カルボン酸共重合体、または変性ポリオレフィン系樹脂などを含む水系接着剤組成物は、塗工外観、紙などの基材への塗工性に優れる。
【0006】
しかし、上述した水分散体などからなる水系接着剤組成物の場合、その水系接着剤組成物を使用するための専用設備を設ける必要がある。そのため、このような設備を有さない場合、この水系接着剤組成物を使用することは困難であった。その場合、水系接着剤組成物に替えて、溶剤系接着剤組成物を使用することが考えられる。
【0007】
しかしながら、特に紙基材に対しては、いまだ水系接着剤組成物で達成可能な優れた物性を有する溶剤系接着剤組成物が得られてないのが実情である。
本発明は、ヒートシール性に優れる接着剤層が得られ、塗工後の外観に優れ、紙などの基材への塗工性にも優れる、溶剤系接着剤組成物、該溶剤系接着剤組成物から得られる接着剤層と基材とを備える積層体、該積層体を含む包装材料等を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意検討した結果、下記構成のコーティング剤等によれば、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明の構成例は以下の通りである。
【0009】
[1] ポリオレフィン系樹脂(a1)が有機溶媒(a2)に分散した分散液(A)と、
熱可塑性エラストマー(b1)が有機溶媒(b2)に溶解した溶液(B)とを含む、溶剤系接着剤組成物。
【0010】
[2] 前記ポリオレフィン系樹脂(a1)のJIS K 7122に従って測定した融点が95~180℃である項[1]に記載の溶剤系接着剤組成物。
[3] 前記熱可塑性エラストマー(b1)のJIS K 7122に従って測定した融解熱量が0J/g以上40J/g以下である項[1]又は[2]記載の溶剤系接着剤組成物。
【0011】
[4] 前記ポリオレフィン系樹脂(a1)及び熱可塑性エラストマー(b1)からなる群より選ばれる少なくとも1つの重合体の一部または全部が極性基含有単量体でグラフト変性された重合体である項[1]~[3]のいずれか1項に記載の溶剤系接着剤組成物。
【0012】
[5] 前記極性基含有単量体が無水マレイン酸である項[4]に記載の溶剤系接着剤組成物。
[6] 前記ポリオレフィン系樹脂(a1)と前記熱可塑性エラストマー(b1)の質量比(a1)/(b1)=20/80~95/5である項[1]~[5]のいずれか1項に記載の溶剤系接着剤組成物。
【0013】
[7] 基材と、前記基材の少なくとも一方の表面に積層される接着剤層とを備え、前記基材が紙であり、前記接着剤層が、項[1]~[6]のいずれか1項に記載の溶剤系接着剤組成物から得られる層である積層体。
【0014】
[8] 前記接着剤層がヒートシール接着剤層である項[7]に記載の積層体。
[9] 項[8]からなる積層体を含む包装材料。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ヒートシール性に優れる接着剤層が得られ、塗工後の外観に優れ、紙などの基材への塗工性にも優れる、溶剤系接着剤組成物、該溶剤系接着剤組成物から得られる接着剤層と基材とを備える積層体、該積層体を含む包装材料等が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明について詳細に説明する。
[溶剤系接着剤組成物]
本発明の溶剤系接着剤組成物は、
ポリオレフィン系樹脂(a1)が有機溶媒(a2)に分散した分散液(A)と、
熱可塑性エラストマー(b1)が有機溶媒(b2)に溶解した溶液(B)とを含む。
【0017】
<ポリオレフィン系樹脂(a1)>
前記ポリオレフィン系樹脂(a1)は、有機溶媒(a2)に分散したポリオレフィン系樹脂である。
【0018】
上記ポリオレフィン系樹脂(a1)としては、有機溶媒(a2)に分散することができる限り特に限定されない。ポリオレフィン系樹脂(a1)としては、例えば、エチレン単独重合体、エチレン共重合体、プロピレン単独重合体、プロピレン共重合体などが挙げられる。
【0019】
これらの中でも、エチレン/α-オレフィン共重合体(a1-1)および、プロピレン単独重合体、プロピレン/エチレン共重合体およびプロピレン/α-オレフィン共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種のプロピレン系重合体(a1-2)からなる群より選択される少なくとも1つが好ましい。
【0020】
前記共重合体(a1-1)には、エチレン由来の構成単位と、α-オレフィン由来の構成単位が含まれる。該α-オレフィンとしては、炭素数3以上のα-オレフィンが好ましく、炭素数3~50のα-オレフィンがより好ましい。
【0021】
前記炭素数3~50のα-オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、3,4-ジメチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ペンテン、3-エチル-4-メチル-1-ペンテン、3,4-ジメチル-1-ヘキセン、4-メチル-1-ヘプテン、3,4-ジメチル-1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン、ビニルシクロヘキサン等が挙げられる。
【0022】
前記共重合体(a1-1)に含まれるエチレン由来の構成単位は、50モル%以上97モル%以下であることが好ましく、60モル%以上95モル%以下であることがより好ましい。また、前記共重合体(a1-1)に含まれるα-オレフィン由来の構成単位は、3モル%以上50モル%以下であることが好ましく、5モル%以上40モル%以下であることがより好ましい。
【0023】
前記共重合体(a1-1)は、本発明の効果を損なわない範囲で、エチレンおよびα-オレフィン以外の不飽和単量体(以下「他の不飽和単量体(1)」という。)に由来する構成単位を含むこともできる。他の不飽和単量体(1)としては、例えば、ブタジエン、イソプレンなどの共役ポリエン類;1,4-ヘキサジエン、1,7-オクタジエン、ジシクロペンタジエン、5-エチリデン-2ノルボルネン、5-ビニル-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、2,5-ノルボナジエンなどの非共役ポリエン類が挙げられる。
【0024】
前記共重合体(a1-1)の中でも、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/1-オクテン共重合体が好ましい。
プロピレン系重合体(a1-2)となり得るプロピレン/α-オレフィン共重合体には、プロピレン由来の構成単位と、α-オレフィン由来の構成単位が含まれる。該α-オレフィンとしては、エチレン及び炭素数4以上のα-オレフィンが好ましく、エチレンがより好ましい。炭素数4~50のα-オレフィンとしては、プロピレン以外の、エチレン/α-オレフィン共重合体(a1-1)の構成単位となる炭素数3~50α-オレフィンとして例示したα-オレフィンと同様のα-オレフィンが挙げられる。
【0025】
前記プロピレン系重合体(a1-2)に含まれるプロピレン由来の構成単位は、80モル%超100モル%以下であることが好ましく、90モル%以上100モル%以下であることがより好ましく、95モル%以上100モル%以下であることがさらに好ましい。また、前記プロピレン系重合体(a1-2)に含まれ得るエチレンまたは炭素数4以上のα-オレフィン由来の構成単位は、0モル%以上20モル%未満であることが好ましく、0モル%以上10モル%以下であることがより好ましく、0モル%以上5モル%以下がさらに好ましい。
【0026】
前記プロピレン系重合体(a1-2)は、本発明の効果を損なわない範囲で、プロピレン、エチレンおよび炭素数4以上のα-オレフィン以外の不飽和単量体(以下「他の不飽和単量体(2)」という。)に由来する構成単位を含むこともできる。
【0027】
他の不飽和単量体(2)としては、エチレン/α-オレフィン共重合体(a1-1)の構成単位となり得る他の不飽和単量体(1)と同様の共役ジエン類、非共役ポリエン類が挙げられる。
【0028】
前記プロピレン系重合体(a1-2)の中でも、プロピレン単独重合体、プロピレン/エチレン共重合体が好ましい。
前記ポリオレフィン系樹脂(a1)は、ポリオレフィン樹脂の製造に通常用いられる公知の固体状Ti触媒やメタロセン触媒などの存在下で、得られる重合体の構成単位に対応する単量体を重合させることにより得られる。メタロセン触媒としては、例えば、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロライドなどのメタロセン化合物と、メチルアルミノキサンなどの有機アルミニウムオキシ化合物と、トリイソブチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物とを含む触媒が挙げられる。前記ポリオレフィン系樹脂(a1)のより具体的な製造方法としては、国際公開第2004/87775号パンフレットに記載されている方法などが挙げられる。
【0029】
前記ポリオレフィン系樹脂(a1)の一部または全部が、極性基含有単量体でグラフト変性された変性ポリオレフィン系樹脂であってもよい。変性ポリオレフィン系樹脂が、溶剤系接着剤組成物に含有されることにより、溶剤系接着剤組成物から得られる接着剤層の基材(例えば、紙など)に対する密着力をより一層向上させることができる。
【0030】
前記極性基としては、活性水素を有する基が挙げられ、具体的には、水酸基、アミノ基
、カルボキシル基、酸無水物基、エステル基、チオール基などが挙げられる。
前記極性基含有単量体は、1種類の極性基を有していてもよく、2種以上の極性基を有していてもよい。また、極性基の個数も、1つでもよく、2つ以上でもよい。
【0031】
前記極性基含有単量体としては、本発明の溶剤系接着剤組成物から得られる接着剤層と基材(例えば、紙)等の被着体に対する親和性を高めて、接着剤層と被着体との接着強度をより一層向上させることができる等の点から、酸無水物基またはカルボキシル基を有する単量体が好ましい。
【0032】
前記極性基含有単量体としては、水酸基含有エチレン性不飽和化合物、アミノ基含有エチレン性不飽和化合物、エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物、不飽和カルボン酸とその無水物、ビニルエステル化合物、塩化ビニル、チオール基含有エチレン性不飽和化合物および、これらの誘導体が挙げられる。
【0033】
水酸基含有エチレン性不飽和化合物としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシ-プロピル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、テトラメチロールエタンモノ(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2-(6-ヒドロヘキサノイルオキシ)エチルアクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル;10-ウンデセン-1-オール、1-オクテン-3-オール、2-メタノールノルボルネン、ヒドロキシスチレン、N-メチロールアクリルアミド、2-(メタ)アクロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、グリセリンモノアリルエーテル、アリルアルコール、アリロキシエタノール、2-ブテン-1,4-ジオール、グリセリンモノアルコールなどが挙げられる。なお、(メタ)アクリルレートとは、アクリレートおよびメタクリレートのことを意味し、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルのことを意味し、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイルおよびメタクリロイルのことを意味する。
【0034】
アミノ基含有エチレン性不飽和化合物としては、下式で表されるようなアミノ基または置換アミノ基を少なくとも1種類有するビニル系単量体を挙げることができる。
-NR1R2
上記式中、R1は、水素原子、メチル基またはエチル基であり、R2は、水素原子、炭素数1~12、好ましくは炭素数1~8のアルキル基、または炭素数8~12、好ましくは6~9のシクロアルキル基である。なお、前記R2としては、該アルキル基およびシクロアルキル基の一部を置換基で置換した基も挙げられる。
【0035】
このようなアミノ基含有エチレン性不飽和化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸アミノメチル、(メタ)アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、メタクリル酸フェニルアミノメチル、メタクリル酸シクロヘキシルアミノエチル等のアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル系化合物;N-ビニルジエチルアミン、N-アセチルビニルアミン等のビニルアミン系化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド等のアクリルアミド系化合物またはメタクリルアミド系化合物;p-アミノヘキシルコハク酸イミド、2-アミノエチルコハク酸イミド等のイミド系化合物が挙げられる。
【0036】
エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物としては、1分子中に重合可能な不飽和結合基及びエポキシ基を少なくとも1個以上有するモノマーが用いられる。
このようなエポキシ基含有エチレン性不飽和化合物としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等の不飽和カルボン酸のグリシジルエステル;不飽和ジカルボン酸(例えば、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、エンド-シス-ビシクロ[2,2,1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸(ナジック酸(登録商標))、エンド-シス-ビシクロ[2,2,1]ヘプト-5-エン-2-メチル-2,3-ジカルボン酸(メチルナジック酸(登録商標)))のモノグリシジルエステル(モノグリシジルエステルの場合のアルキル基の炭素数1~12)、p-スチレンカルボン酸のアルキルグリシジルエステル、アリルグリシジルエーテル、2-メチルアリルグリシジルエーテル、スチレン-p-グリシジルエーテル、3,4-エポキシ-1-ブテン、3,4-エポキシ-3-メチル-1-ブテン、3,4-エポキシ-1-ペンテン、3,4-エポキシ-3-メチル-1-ペンテン、5,6-エポキシ-1-ヘキセン、ビニルシクロヘキセンモノオキシドが挙げられる。
【0037】
不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ノルボルネンジカルボン酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸が挙げられる。
【0038】
不飽和カルボン酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸無水物が挙げられる。
【0039】
ビニルエステル化合物としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、n-酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、パーサチック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニルが挙げられる。
【0040】
チオール基含有エチレン性不飽和化合物としては、例えば、アリルメルカプタン、2-ビニルベンジルメルカプタン、3-ビニルベンジルメルカプタン、4-ビニルベンジルメルカプタン、ビニルチオフェノール等のチオフェノール誘導体が挙げられる。
【0041】
前記化合物の誘導体としては、例えば、不飽和カルボン酸無水物以外の不飽和カルボン酸誘導体が挙げられる。不飽和カルボン酸誘導体としては、例えば、塩化マレニル、マレニルイミド、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジメチル、シトラコン酸ジエチル、テトラヒドロフタル酸ジメチル、ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸ジメチルが挙げられる。
【0042】
前記極性基含有単量体としては、本発明の溶剤系接着剤組成物から得られる接着剤層と基材(例えば、紙)等の被着体に対する親和性を高めて、接着剤層と被着体との接着強度をより一層向上させることができる等の点から、不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸無水物が好ましく、不飽和カルボン酸無水物がより好ましく、無水マレイン酸がさらに好ましい。
【0043】
これらの極性基含有単量体は単独あるいは複数で使用することができる。
ポリオレフィン系樹脂(a1)が極性基含有単量体でグラフト変性される場合、ポリオレフィン系樹脂(a1)は、前記極性基含有単量体に由来する構成単位を、変性されたポリオレフィン系樹脂(a1)の全構成単位100質量%に対して、好ましくは0.1~15質量%、より好ましくは0.2~10質量%、さらに好ましくは0.5~5質量%の量で含む。
【0044】
これらの極性基含有単量体の含有率(変性量)は、例えば、原料となる未変性のポリオレフィン系樹脂と極性基含有単量体とをラジカル開始剤などの存在下に反応させる際の仕込み比で調整できる。
【0045】
また、前記変性量は、1H-NMR測定などの公知の手段で求めることができる。具体的なNMR測定条件としては、以下の様な条件を例示できる。
1H-NMR測定の場合、日本電子(株)製ECX400型核磁気共鳴装置を用い、溶媒は重水素化オルトジクロロベンゼンとし、試料濃度20mg/0.6mL、測定温度は120℃、観測核は1H(400MHz)、シーケンスはシングルパルス、パルス幅は5.12μ秒(45°パルス)、繰り返し時間は7.0秒、積算回数は500回以上とする条件である。基準のケミカルシフトは、テトラメチルシランの水素を0ppmとするが、例えば、重水素化オルトジクロロベンゼンの残存水素由来のピークを7.10ppmとしてケミカルシフトの基準値とすることでも同様の結果を得ることができる。官能基含有化合物由来の1Hなどのピークは、常法によりアサインできる。
【0046】
また、上記極性基含有単量体として、上記不飽和カルボン酸およびその無水物など酸性官能基を有する単量体を用いた場合、変性オレフィン系重合体に導入された官能基の量の目安となる量として、例えば酸価を用いることも可能である。ここで、酸価の測定方法としては、以下のものが挙げられる。
【0047】
(酸価の測定)
基本操作はJIS K2501-2003に準ずる。
変性されたポリオレフィン系樹脂(a1) 約10gを正確に測り取り、200mLトールビーカーに投入する。そこに滴定溶剤として、キシレンとジメチルホルムアミドとを1:1(体積比)で混合してなる混合溶媒を150mL添加する。指示薬として1w/v%のフェノールフタレインエタノール溶液(和光純薬工業社製)を数滴加え、液温を80℃に加熱して、試料を溶解させる。液温が80℃で一定になった後、0.1mol/Lの水酸化カリウムの2-プロパノール溶液(和光純薬工業社製)を用いて滴定を行い、滴定量から酸価を求める。
【0048】
計算式は
酸価(mgKOH/g)=(EP1-BL1)×FA1×C1/SIZE
である。
【0049】
ここで、上記計算式において、EP1は滴定量(mL)、BL1はブランク値(mL)、FA1は滴定液のファクター(1.00)、C1は濃度換算値(5.611mg/mL:0.1mo1/L KOH 1mLの水酸化カリウム相当量)、SIZEは試料採取量(g)をそれぞれ表す。
【0050】
この測定を3回繰り返して平均値を酸価とする。
変性オレフィン系重合体の酸価は、好ましくは0.1~100mgKOH/g、より好ましくは0.5~60mgKOH/g、さらに好ましくは0.5~30mgKOH/gである。ここで、ポリオレフィン系樹脂(a1)がグラフト変性されたポリオレフィン系樹脂と未変性のポリオレフィン系樹脂との混合物である場合、その混合物全体として上記のような酸価を有することが好ましい。
【0051】
また、上記極性基含有単量体として無水マレイン酸を用いる場合には、赤外分光光度計を用いて1790cm-1付近に検出される無水マレイン酸のカルボニル基の吸収に基づいてグラフト量を求めることもできる。
【0052】
未変性の原料ポリオレフィン系樹脂に、極性基含有単量体をグラフト共重合させる方法として、種々の方法がある。かかる方法としては、例えば、未変性の原料ポリオレフィン系樹脂を有機溶媒に溶解し、極性基含有単量体およびラジカル重合開始剤を添加して加熱、攪拌してグラフト共重合反応させる方法;未変性の原料ポリオレフィン系樹脂を加熱溶融して、得られる溶融物に極性基含有単量体およびラジカル重合開始剤を添加し、攪拌してグラフト共重合反応させる方法;未変性の原料ポリオレフィン系樹脂、極性基含有単量体およびラジカル重合開始剤を予め混合し、得られる混合物を押出機に供給して加熱混練しながらグラフト共重合反応させる方法;未変性の原料ポリオレフィン系樹脂に、極性基含有単量体およびラジカル重合開始剤を有機溶媒に溶解してなる溶液を含浸させた後、未変性の原料ポリオレフィン系樹脂が溶解しない最高の温度まで加熱し、グラフト共重合反応させる方法などが挙げられる。
【0053】
反応温度は、50℃以上、特に80~200℃の範囲が好適であり、反応時間は1分~10時間程度である。
反応方式は、回分式、連続式のいずれでも良いが、グラフト共重合を均一に行うためには回分式が好ましい。
【0054】
使用するラジカル重合開始剤は、未変性のオレフィン重合体と極性基含有単量体との反応を促進するものであれば限定されないが、特に有機ペルオキシド、有機ペルエステルが好ましい。
【0055】
ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルペルオキシド、ジクロルベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ペルオキシベンゾエート)ヘキシン-3、1,4-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ラウロイルペルオキシド、tert-ブチルペルアセテート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、tert-ブチルベンゾエート、tert-ブチルペルフェニルアセテート、tert-ブチルペルイソブチレート、tert-ブチルペル-sec-オクトエート、tert-ブチルペルピバレート、クミルペルピバレートおよびtert-ブチルペルジエチルアセテートなどの有機ペルオキシド;アゾビス-イソブチルニトリル、ジメチルアゾイソブチルニトリルなどのアゾ化合物が挙げられる。
【0056】
これらの中でも、ジクミルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,4-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン等のジアルキルペルオキシドが好ましい。
【0057】
ラジカル重合開始剤は、未変性の原料ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、0.001~10質量部程度の量で使用されることが好ましい。
前記ポリオレフィン系樹脂(a1)の融点(Tm)は、好ましくは95~180℃、より好ましくは100~170℃、さらに好ましくは100~160℃である。融点が上記範囲にあることにより、得られる分散液(A)の安定性に優れ、また、高い接着強度を有する接着剤層が得られる。
【0058】
本発明において、Tmは、JIS K7122に従って、示差走査熱量測定(DSC測定)によって求められ、具体的には、10℃/minで30℃から200℃まで昇温後、3分間その温度で保持し、次いで、10℃/minで0℃まで降温し、3分間その温度で保持し、次いで、再度10℃/minで200℃まで昇温する過程において、2度目の昇温時のサーモグラムより、JIS K7122に準じて求められる。
【0059】
前記ポリオレフィン系樹脂(a1)、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定され、標準ポリスチレンで換算される重量平均分子量(Mw)は、例えば10,000以上1,000,000以下であることが好ましく、分子量分布(分散度)は、例えば1以上3以下である。なお、分子量分布は、重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比(Mw/Mn)である。本発明において、MwおよびMw/Mnは、具体的には、下記実施例に記載の方法で測定できる。
ポリオレフィン系樹脂(a1)は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0060】
<有機溶媒(a2)>
分散液(A)には、ポリオレフィン系樹脂(a1)を分散させる有機溶媒(a2)が含まれる。ポリオレフィン系樹脂(a1)が未変性のポリオレフィン系樹脂である場合には、未変性のポリオレフィン系樹脂を有機溶媒(a2)に分散させることにより分散液(A)を調製できる。
【0061】
また、ポリオレフィン系樹脂(a1)として、少なくともその一部にグラフト変性された重合体が含まれていた場合には、以下のようにして、分散液(A)を調製できる。
グラフト反応は前記の通り、有機溶媒中、または無溶媒で行うことができ、有機溶媒中で反応させた場合は、そのまま、またはさらに同種もしくは他種の有機溶媒を加えて、ポリオレフィン系樹脂(a1)が有機溶媒(a2)に分散した分散液(A)を調製できる。有機溶媒を用いずにグラフト反応を行った場合には、あらためて有機溶媒(a2)を添加して分散液(A)を調製する。また、ポリオレフィン系樹脂(a1)が、グラフト変性されたポリオレフィン系樹脂と未変性のポリオレフィン系樹脂との混合物である場合には、予め用意されたこれら樹脂の混合物と有機溶媒(a2)とを混合して分散液(A)を調製してもよく、有機溶媒(a2)に、グラフト変性されたポリオレフィン系樹脂と未変性のポリオレフィン系樹脂をそれぞれ混合して、分散液(A)を調製してもよい。
【0062】
分散液(A)を調製するために使用する有機溶媒(a2)としては、その有機溶媒中にポリオレフィン系樹脂(a1)を分散状態で維持できる限り、特に制限はない。
かかる有機溶媒(a2)としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタリン等の脂環式炭化水素;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、プロパンジオール、フェノール等のアルコール;アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、ペンタノン、ヘキサノン、イソホロン、アセトフェノン等のケトン系溶媒;メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等のセルソルブ類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、ギ酸ブチル等のエステル類;トリクロルエチレン、ジクロルエチレン、クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ノルマルパラフィン系溶剤、イソパラフィン系溶剤などが挙げられる。
【0063】
ポリオレフィン系樹脂(a1)の分散性に優れた分散液(A)が得られることから、これらの中でも、芳香族炭化水素、ノルマルパラフィン系溶剤、イソパラフィン系溶剤、脂環式炭化水素、脂環式炭化水素/エステル類混合溶媒、脂環式炭化水素/ケトン系溶媒混合溶媒が好ましく、トルエン、メチルシクロヘキサン/酢酸エチル混合溶媒、メチルシクロヘキサン/メチルエチルケトン混合溶剤がより好ましい。
有機溶媒(a2)は、は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0064】
分散液(A)には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、酸化チタン(ルチル型)、酸化亜鉛などの遷移金属化合物、カーボンブラック等の顔料、炭化水素合成油、揺変剤、増粘剤、粘着付与剤、消泡剤、表面調整剤、沈降防止剤、酸化防止剤、耐候剤、熱安定剤、光安定剤、顔料分散剤、帯電防止剤などの添加剤が含まれていてもよい。
【0065】
上述のように、ポリオレフィン系樹脂(a1)は、有機溶媒(a2)に分散している。分散状態については、特に制限はないが、分散液(A)中のポリオレフィン系樹脂(a1)の平均粒径は1~20μmが好ましく、1~18μmがより好ましく、1~15μmがさらに好ましい。なお、ポリオレフィン系樹脂(a1)の平均粒径は、コールターカウンターにより求めることができる。
【0066】
ポリオレフィン系樹脂(a1)のより安定した分散性を考慮すると、分散液(A)中の不揮発分(有機溶媒(a2)以外の成分)は、5~40質量%が好ましく、10~30質量%がより好ましく、15~25質量%がさらに好ましい。
また、分散液(A)中のポリオレフィン系樹脂(a1)の含有量は、分散液(A)中の不揮発分(溶媒以外の成分)100質量%に対し、100質量%であってもよい。
【0067】
<熱可塑性エラストマー(b1)>
前記熱可塑性エラストマー(b1)が有機溶媒(b2)に溶解した熱可塑性エラストマーである。
【0068】
上記熱可塑性エラストマー(b1)としては、有機溶媒(b2)に溶解することができる限り特に限定されない。熱可塑性エラストマー(b1)としては、例えば、オレフィン系エラストマー(b1-1)、スチレン系エラストマー(b1-2)などが挙げられる。また、熱可塑性エラストマー(b1)として、オレフィン系エラストマー(b1-1)とスチレン系エラストマー(b1-2)とを任意の比率で混合した混合物も使用できる。
【0069】
また、前記熱可塑性エラストマー(b1)は、その一部または全部が極性基含有単量体でグラフト変性された変性熱可塑性エラストマーであることが好ましい一形態である。
さらに、以下その測定条件は詳述するが、熱可塑性エラストマー(b1)の融解熱量は0J/g以上40J/g以下であることが好ましい一形態である。
【0070】
溶液(B)に含まれる熱可塑性エラストマー(b1)は、1種でもよく、2種以上でもよい。
溶液(B)中の熱可塑性エラストマー(b1)の含有量は、溶液(B)中の不揮発分(溶媒以外の成分)100質量%に対し、100質量%であってもよい。この場合、熱可塑性エラストマーとして、オレフィン系エラストマー(b1-1)およびスチレン系エラストマー(b1-2)を用いることが好ましい。また、極性基含有単量体でグラフト変性された変性オレフィン系エラストマーおよび極性基含有単量体でグラフト変性された変性スチレン系エラストマーを用いることも好ましい。
【0071】
極性基含有単量体でグラフト変性された変性スチレン系エラストマーと極性基含有単量体でグラフト変性された変性オレフィン系エラストマーとの混合物を使用する場合、変性オレフィン系エラストマー/変性スチレン系エラストマーの質量比は、60/40以上、より好ましくは55/45以上であり、特に上限はない。
熱可塑性エラストマー(b1)の含有量が前記範囲にあると、本発明の溶剤系接着剤組成物から接着強度に優れる接着剤層を容易に得ることができる。
【0072】
〈オレフィン系エラストマー(b1-1)〉
前記オレフィン系エラストマー(b1-1)としては、例えば、炭素数2~20のα-オレフィン由来の重合体(b1-1a)が挙げられ、未変性の炭素数2~20のα-オレフィン由来の重合体が極性基含有単量体でグラフト変性された変性重合体(b1-1b)であることが好ましい。
【0073】
〔炭素数2~20のα-オレフィン由来の重合体(b1-1a)〕
前記重合体(b1-1a)は、炭素数2~20のα-オレフィンに由来する構成単位を含めば特に制限されず、炭素数4~20のα-オレフィンからなる重合体であってもよく、炭素数4~20のα-オレフィンと炭素数2~3のα-オレフィンとを用いて得られる共重合体であってもよく、必要により、α-オレフィン以外の不飽和単量体(以下「他の不飽和単量体(3)」ともいう。)に由来する構成単位を含む重合体であってもよい。
【0074】
前記重合体(b1-1a)が炭素数4~20のα-オレフィンに由来する構成単位を有する場合、該重合体と有機溶媒(b2)とを含む溶液(B)の長期安定性、また、本発明の溶剤系接着剤組成物から得られる接着剤層の接着強度が優れる点で好ましい。
【0075】
前記重合体(b1-1a)の原料として用いられるα-オレフィンは、1種単独でもよく、2種以上でもよい。つまり、前記重合体(b1-1a)は、炭素数2~20のα-オレフィンの単独重合体であってもよく、該α-オレフィンを用いて得られる共重合体であってもよく、1種以上の炭素数4~20のα-オレフィンと1種以上の炭素数2~3のα-オレフィンとを用いて得られる共重合体(b1-1a1)であってもよい。
【0076】
前記共重合体(b1-1a1)としては、例えば、ランダム共重合体、ブロック共重合体が挙げられるが、ランダム共重合体が好ましい。
前記炭素数4~20のα-オレフィンとしては、例えば、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどの直鎖状または分岐状のα-オレフィンが挙げられる。
【0077】
前記炭素数4~20のα-オレフィンとしては、有機溶媒(b2)への溶解性および強度に優れる重合体を容易に得ることができる等の点から、好ましくは炭素数4~10の直鎖状のオレフィンであり、より好ましくは炭素数4~6の直鎖状のオレフィンであり、前記効果に特に優れる重合体が得られる等の点から、1-ブテンを含むことがさらに好ましく、1-ブテンが特に好ましい。
【0078】
前記炭素数2~3のα-オレフィンとしては、エチレンおよびプロピレンが挙げられ、有機溶媒(b2)への溶解性および強度に優れる重合体を容易に得ることができる等の点から、プロピレンを含むことが好ましく、プロピレンが特に好ましい。
【0079】
前記他の不飽和単量体(3)としては、エチレン/α-オレフィン共重合体(a1-1)の構成単位となり得る他の不飽和単量体(1)と同様の共役ジエン類、非共役ポリエン類が挙げられる。
【0080】
前記重合体(b1-1a)としては、溶剤への溶解性および強度に優れる重合体を容易に得ることができる等の点から、前記共重合体(b1-1a1)が好ましく、プロピレンと炭素数4~20のα-オレフィンとの共重合体がより好ましく、特に、プロピレンに由来する構成単位を除く構成単位が、すべて前記炭素数4~20のα-オレフィンに由来する構成単位である共重合体がより好ましく、前記炭素数4~20のα-オレフィンが1-ブテンを含むことがさらに好ましく、1-ブテンとプロピレンとの共重合体が特に好ましい。
【0081】
前記重合体(b1-1a)において、炭素数4~20のα-オレフィンに由来する構成単位の含有割合は、炭素数2~20のα-オレフィンに由来する構成単位100モル%に対して、好ましくは重合体(b1-1a)を構成する全構成単位100モル%に対して、例えば5モル%以上、好ましくは10モル%以上、より好ましくは20モル%以上であり、また、例えば100モル%以下、好ましくは60モル%以下、より好ましくは50モル%以下、さらに好ましくは40モル%以下、特に好ましくは35モル%以下である。
【0082】
炭素数4~20のα-オレフィンに由来する構成単位の含有割合が、前記上限の規定を満たすと、より強度に優れる重合体を得ることができ、前記下限の規定を満たすと、より有機溶媒(b2)への溶解性に優れる重合体を得ることができる。
【0083】
前記重合体(b1-1a)において、炭素数2~3のα-オレフィン(好ましくはプロピレン)に由来する構成単位の含有割合は、炭素数2~20のα-オレフィンに由来する構成単位100モル%に対して、好ましくは重合体(b1-1a)を構成する全構成単位100モル%に対して、好ましくは40モル%以上、より好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは60モル%以上、特に好ましくは65モル%以上であり、また、好ましくは95モル%以下、より好ましくは90モル%以下、さらに好ましくは80モル%以下である。
【0084】
炭素数2~3のα-オレフィンに由来する構成単位の含有割合が、前記上限の規定を満たすと、得られる重合体の融点(Tm)および融解熱(ΔH)を低下させることができ、前記下限の規定を満たすと、より強度に優れる重合体を得ることができる。
【0085】
前記重合体(b1-1a)の融解熱量(ΔH)は、好ましくは0J/g以上、より好ましくは3J/g以上、特に好ましくは、5J/g以上であり、ま、好ましくは40J/g以下、より好ましくは35J/g以下である。また、ΔHが0J/gであること、すなわちΔHが観測されないことも好ましい一形態である。
【0086】
前記ΔHを有する重合体(b1-1a)は、例えば、該重合体(b1-1a)中の炭素数2~3のα-オレフィンに由来する構成単位の含有割合を適宜調整することで得ることができる。
【0087】
ΔHが前記上限の規定を満たすと、本発明の溶剤系接着剤組成物からなる接着剤層は、熱圧着後の接着強度に優れる。
本発明において、ΔHは、JIS K 7122に従って、示差走査熱量測定(DSC測定)によって求められ、具体的には、10℃/分の昇温過程で得られるサーモグラムのピーク面積から算出される。より具体的には、測定前の熱履歴をキャンセルする目的で、測定前に10℃/分で200℃まで昇温し、その温度で3分保持し、次いで10℃/分で0℃まで降温し、その温度で3分間保持した後に、ΔHを測定する。
【0088】
前記重合体(b1-1a)の融点(Tm)は、好ましくは120℃未満であり、より好ましくは100℃未満である。また、Tmが0℃以上で観測されないことも好ましい一形態である。前記Tmを有する重合体(b1-1a)は、例えば、該重合体(b1-1a)中の炭素数2~3のα-オレフィンに由来する構成単位の含有割合を適宜調整することで得ることができる。
【0089】
Tmが前記条件を満たすと、本発明の溶剤系接着剤組成物から低温養生条件下で接着剤層を形成しても、接着強度に優れる接着剤層を得ることができる。
前記重合体(b1-1a)の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定された、標準ポリスチレンで換算される重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1×104以上であり、また、好ましくは1×107以下であり、分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは1以上であり、また、好ましくは3以下である。
【0090】
MwやMw/Mnが前記下限の規定を満たすと、接着強度が十分に高い接着剤層を得ることができ、また、該接着剤層と例えば紙などの被着体との接着強度が良好となり、前記上限の規定を満たすと、有機溶媒(b2)への溶解性が良好な重合体が得られ、固化および析出が起こりにくい溶剤系接着剤組成物を得ることができる。
【0091】
前記重合体(b1-1a)は、α-オレフィンの重合体の製造に通常用いられる公知の固体状Ti触媒やメタロセン触媒などの存在下で、炭素数2~20のα-オレフィンを重合させることにより得ることができる。メタロセン触媒としては、例えば、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロライドなどのメタロセン化合物と、メチルアルミノキサンなどの有機アルミニウムオキシ化合物と、トリイソブチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物とを含む触媒が挙げられる。より具体的には、前記重合体(a)は、例えば、国際公開第2004/87775号に記載されている方法で得ることができる。
【0092】
〔変性重合体(b1-1b)〕
熱可塑性エラストマー(b1)として、前記未変性の重合体(b1-1a)の一部または全部が、極性基含有単量体でグラフト変性された変性重合体(b1-1b)を使用することも好ましい一形態である。前記変性重合体(b1-1b)は、未変性の炭素数2~20のα-オレフィン由来の重合体が極性基含有単量体でグラフト変性された重合体であれば特に制限されないが、1種以上の極性基含有単量体を有する単量体と1種以上の未変性の前記重合体とを反応させた重合体であることが好ましい。
【0093】
変性重合体(b1-1b)における極性基の具体例およびその形態、ならびに極性基含有単量体の具体例および好適形態の説明については、ポリオレフィン系樹脂(a1)が極性基含有単量体でグラフト変性された変性ポリオレフィン系樹脂である場合の極性基および極性基含有単量体に関する説明と同様である。
【0094】
変性重合体(b1-1b)のΔHは、好ましくは0J/g以上、より好ましくは3J/g以上、特に好ましくは5J/g以上であり、また、好ましくは40J/g以下、より好ましくは35J/g以下、特に好ましくは30J/g以下である。また、ΔHが0J/gであること、すなわちΔHが観測されないことも好ましい一形態である。
【0095】
変性重合体(b1-1b)のΔHが前記上限の規定を満たすと、本発明の溶剤系接着剤組成物からなる接着剤層は、熱圧着後の接着強度に優れる。
前記ΔHを有する変性重合体(b1-1b)は、例えば、該変性重合体(b1-1b)中の炭素数2~3のα-オレフィンに由来する構成単位の含有割合を適宜調整することで得ることができる。
【0096】
変性重合体(b1-1b)のTmは、好ましくは120℃未満、より好ましくは100℃未満、さらに好ましくは90℃以下、特に好ましくは87℃以下であり、また、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上である。また、Tmが0℃以上で観測されないことも好ましい一形態である。
【0097】
変性重合体(b1-1b)のTmが前記上限の規定または融点が0℃以上で観測されない条件を満たすと、本発明の溶剤系接着剤組成物からなる接着剤層は、低温での熱圧着後の接着強度に優れる。
【0098】
前記Tmを有する変性重合体(b1-1b)は、例えば、該変性重合体(b1-1b)中の炭素数2~3のα-オレフィンに由来する構成単位の含有割合を適宜調整することで得ることができる。
【0099】
変性重合体(b1-1b)の50℃における半結晶化時間は、好ましくは100秒以上、より好ましくは150秒以上、さらに好ましくは200秒以上である。また、前記半結晶化時間には、実質的に結晶化が起こらない、または、半結晶化時間の値が大きすぎて求められない、すなわち半結晶化時間が無限大となるような場合も含まれる。
【0100】
変性重合体(b1-1b)の半結晶化時間が前記下限の規定を満たすと、本発明の溶剤系接着剤組成物の変性重合体(b1-1b)を含む成分が被着体の表面の凹凸に浸入し、アンカー効果によって、得られる接着剤層の接着強度をより一層向上させることができる。
【0101】
前記半結晶化時間は、示差走査熱量計による等温結晶化測定によって求めることができる。
変性重合体(b1-1b)の、GPCによって測定され、標準ポリスチレンで換算されたMwは、好ましくは1×104以上、より好ましくは2×104以上、特に好ましくは3×104以上であり、また、好ましくは1×107以下、より好ましくは1×106以下、特に好ましくは5×105以下である。
【0102】
変性重合体(b1-1b)のMwが、前記下限の規定を満たすと、本発明の溶剤系接着剤組成物から接着強度が十分高く、また、被着体との接着強度に優れる接着剤層を容易に得ることができ、前記上限の規定を満たすと、有機溶媒(b2)への溶解性が良好であり、固化および析出が起こりにくい変性重合体(b1-1b)を得ることができる。特に、変性重合体(b1-1b)のMwが5×105以下であると、被着体との接着強度により優れる接着剤層を得ることができる。
【0103】
変性重合体(b1-1b)の、Mw/Mnは、好ましくは1以上、より好ましくは1.5以上であり、好ましくは3以下、より好ましくは2.5以下である。
Mw/Mnが前記下限の規定を満たすと、有機溶媒(b2)への溶解性が良好であり、固化および析出が起こりにくい変性重合体(b1-1b)を得ることができ、前記上限の規定を満たすと、本発明の溶剤系接着剤組成物から接着強度が十分高く、また、被着体との接着強度に優れる接着剤層を容易に得ることができる。
【0104】
変性重合体(b1-1b)の40℃における動粘度は、500,000cStを超えることが好ましい。ここで、動粘度が500,000cStを超える場合には、流動性が低く動粘度が測定できないような場合が含まれる。
【0105】
本発明において、40℃における動粘度は、ASTM D 445に基づいて測定する。
変性重合体(b1-1b)における、極性基含有単量体に由来する構成単位の含有割合(変性量)は、変性重合体(b1-1b)の全構成単位100質量%に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上であり、また、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下、特に好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下である。
【0106】
変性量が前記範囲にあると、本発明の溶剤系接着剤組成物から得られる接着剤層の被着体に対する親和性を高めて、接着剤層と被着体との接着強度をより一層向上させることができる。
【0107】
未変性の炭素数2~20のα-オレフィン由来の重合体に、極性基含有単量体をグラフト共重合させて、変性重合体(b1-1b)を製造する方法としては、ポリオレフィン系樹脂(a1)において、未変性の原料ポリオレフィン系樹脂に、極性基含有単量体をグラフト共重合させる方法と同様の方法が挙げられる。また、変性重合体(b1-1b)は、例えば、国際公開第2017/126520号に開示されているような、常法に従って合成してもよい。
【0108】
〈スチレン系エラストマー(b1-2)〉
前記スチレン系エラストマー(b1-2)の種類および製造方法に特に制限はなく、例えば、スチレン等のモノビニル芳香族炭化水素由来の構成単位を含む共重合体が挙げられる。
【0109】
前記スチレン系エラストマー(b1-2)としては、例えば、モノビニル置換芳香族炭化水素(スチレン系芳香族炭化水素)を共重合成分とした共重合体が挙げられ、具体例としては、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン-ブチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBBS)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、スチレン-イソプレンゴム(SIR)、スチレン-エチレン共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレン共重合体(SIS)、ポリ(α-メチルスチレン)-ポリブタジエン-ポリ(α-メチルスチレン)(α-MeSBα-MeS)、ポリ(α-メチルスチレン)-ポリイソプレン-ポリ(α-メチルスチレン)(α-MeSIα-MeS)が挙げられる。さらには、これらの共重合体を構成する共役ジエン部分、具体的にはブタジレンやイソプレン由来の構成単位が水添された共重合体が挙げられる。これらの中でも、SEBS、SEPSが好ましい。
【0110】
スチレン系エラストマー(b1-2)として、極性基含有単量体でグラフト変性された変性スチレン系エラストマーを使用することは好ましい一形態である。該変性は、従来公知の方法で行うことができる。変性スチレン系エラストマーにおける極性基の具体例およびその形態については、上述した変性重合体(b1-1b)の極性基および極性基含有単量体に関する説明と同様である。
【0111】
スチレン系エラストマーをグラフト変性する極性基含有単量体としては、例えば、変性重合体(b1-1b)に関して記載した極性基含有単量体が挙げられる。これらの中でも、不飽和カルボン酸または不飽和カルボン酸無水物が好ましく、不飽和カルボン酸無水物がより好ましく、無水マレイン酸がさらに好ましい。
【0112】
変性スチレン系エラストマーにおける、極性基含有単量体に由来する構成単位の含有割合(変性量)は、変性スチレン系エラストマーの全構成単位100質量%に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上であり、また、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下、特に好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。
【0113】
変性スチレン系エラストマーとしては市販品を使用することもできる。該市販品の具体例としては、ダイナロン 8630P(JSR(例)製)、タフテック M1913(旭化成(株)製)が挙げられる。
【0114】
スチレン系エラストマー(b1-2)のΔHは、好ましくは0J/g以上、40J/g以下であるが、ΔHは0J/g(すなわちΔHが観測されない)であることが好ましい一形態である。
【0115】
スチレン系エラストマー(b1-2)のΔHが前記条件を満たすと、本発明の溶剤系接着剤組成物から低温養生条件下で接着剤層を形成しても、接着強度に優れる接着剤層を得ることができ、接着強度に優れる接着剤層を容易に得ることができる。
【0116】
スチレン系エラストマー(b1-2)のTmは、0℃以上で観測されないことが好ましい。
スチレン系エラストマー(b1-2)のTmが前記条件を満たすと、本発明の溶剤系接着剤組成物から低温養生条件下で接着剤層を形成しても、接着強度の低下を防止することができ、接着強度および耐久性に優れる接着剤層を得ることができる。
【0117】
スチレン系エラストマー(b1-2)の、GPCによって測定され、標準ポリスチレンで換算されたMwは、好ましくは1×104以上、より好ましくは2×104以上、特に好ましくは3×104以上であり、また、好ましくは1×107以下、より好ましくは1×106以下、特に好ましくは5×105以下である。
【0118】
スチレン系エラストマー(b1-2)のMwが、前記下限の規定を満たすと、本発明の溶剤系接着剤組成物から接着強度が十分高く、また、被着体との接着強度に優れる接着剤層を容易に得ることができ、前記上限の規定を満たすと、有機溶媒(b2)への溶解性が良好であり、固化および析出が起こりにくいスチレン系エラストマー(b1-2)を得ることができる。特に、スチレン系エラストマー(b1-2)のMwが5×105以下であると、被着体との接着強度により優れる接着剤層を得ることができる。
【0119】
スチレン系エラストマー(b1-2)の、Mw/Mnは、好ましくは1以上、より好ましくは1.5以上であり、好ましくは3以下、より好ましくは2.5以下である。
Mw/Mnが前記下限の規定を満たすと、有機溶媒(b2)への溶解性が良好であり、固化および析出が起こりにくいスチレン系エラストマー(b1-2)を得ることができ、前記上限の規定を満たすと、本発明の溶剤系接着剤組成物から接着強度が十分高く、また、被着体との接着強度に優れる接着剤層を容易に得ることができる。
【0120】
<有機溶媒(b2)>
溶液(B)には、熱可塑性エラストマー(b1)を溶解させる有機溶媒(b2)が含まれる。有機溶媒(b2)としては、熱可塑性エラストマー(b1)を溶解できる有機溶媒である限り特に制限はない。
【0121】
好適な有機溶媒(b2)としては、例えば、トルエン、キシレン、メチルシクロヘキサン/メチルイソブチルケトン混合溶媒、メチルシクロヘキサン/メチルエチルケトン混合溶媒、メチルシクロヘキサン/酢酸エチル混合溶媒、メチルシクロヘキサン/酢酸n-プロピル混合溶媒、シクロヘキサン/メチルエチルケトン混合溶媒、シクロヘキサン/酢酸エチル混合溶媒、セロソルブ/シクロヘキサノン混合溶媒が挙げられる。これらの中でも、メチルシクロヘキサン/メチルエチルケトン混合溶媒、メチルシクロヘキサン/酢酸エチル混合溶媒、トルエン、キシレンが好ましい。
【0122】
<炭化水素系合成油>
溶液(B)は、本発明の溶剤系接着剤組成物から接着強度の高い接着剤層を容易に得ることができる等の点から、熱可塑性エラストマー(b1)に加えて、さらに、炭化水素系合成油を含んでもよい。なお、該炭化水素系合成油は、前記熱可塑性エラストマー以外の成分である。
【0123】
炭化水素系合成油は、1種単独で使用してもよく、2種以上を使用してもよい。
前記炭化水素系合成油としては、例えば、炭素数2~20のオレフィンの重合体が挙げられる。その中でも、炭素数2~20のオレフィンを単独重合させて得られるオリゴマー、および、2種以上のこれらのオレフィンを共重合させて得られるオリゴマーが好ましい。
【0124】
該炭素数2~20のオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-オクテン、1-デセンおよび1-ドデセンが挙げられる。
前記炭化水素系合成油としては、エチレンに由来する構成単位と炭素数3~20のα-オレフィンに由来する構成単位とを含むエチレン系共重合体が好ましい。該エチレン系共重合体の、エチレンに由来する構成単位の含有量は、エチレンに由来する構成単位と炭素数3~20のα-オレフィンに由来する構成単位との合計100モル%に対し、好ましくは30モル%以上、より好ましくは40モル%以上であり、好ましくは70モル%以下、より好ましくは60モル%以下である。
【0125】
炭化水素系合成油は、40℃における動粘度が、好ましくは30cSt以上、より好ましくは300cSt以上、より好ましくは5,000cSt以上であり、好ましくは500,000cSt以下、より好ましくは400,000cSt以下、さらに好ましくは300,000cSt以下である。
【0126】
また、炭化水素系合成油は、200℃における動粘度が、好ましくは10cSt以上、より好ましくは20cSt以上、より好ましくは30cSt以上であり、好ましくは100,000cSt以下、より好ましくは80,000cSt以下、さらに好ましくは60,000cSt以下である。
【0127】
炭化水素系合成油の40℃または200℃における動粘度が前記範囲にあると、本発明の溶剤系接着剤組成物から接着強度の高い接着剤層を容易に得ることができる。
溶液(B)が炭化水素系合成油を含有する場合、該炭化水素系合成油の含有量は、熱可塑性エラストマー(b1)100質量部に対し、好ましくは1質量部以上であり、好ましくは80質量部以下である。炭化水素系合成油の配合量が前記範囲にあると、本発明の溶剤系接着剤組成物から強度および接着強度に優れる接着剤層を容易に得ることができる。
【0128】
溶液(B)には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、極性樹脂、硬化剤、硬化触媒、レベリング剤、消泡剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤などの光安定剤、可塑剤、界面活性剤、酸化チタン(ルチル型)、酸化亜鉛、カーボンブラックなどの顔料、揺変剤、増粘剤、ロジン樹脂、テルペン樹脂などの粘着付与剤、表面調整剤、沈降防止剤、耐候剤、顔料分散剤、帯電防止剤、充填剤、有機または無機微粒子、防黴剤、シランカップリング剤などの添加剤が含まれていてもよい。
【0129】
前記溶液(B)は、熱可塑性エラストマー(b1)と、必要に応じて含まれる、炭化水素系合成油およびその他の添加剤とを混合して溶液とすることにより調製できる。
溶液(B)中の不揮発分(有機溶媒(b2)以外の成分)の含有割合は、例えば5質量%以上、好ましくは10質量%以上であり、また、例えば50質量%以下、好ましくは40質量%以下である。
【0130】
本発明の溶剤系接着剤組成物は、前記分散液(A)および溶液(B)を混合することによって得られる。また、溶剤系接着剤組成物を作製する際には、分散液(A)または溶液(B)に含まれ得る添加剤として例示した物質、および、溶液(B)に含まれ得ると例示した炭化水素系合成油をさらに添加してもよい。
【0131】
本発明の溶剤系接着剤組成物に含まれる、ポリオレフィン系樹脂(a1)、及び熱可塑性エラストマー(b1)からなる群より選ばれる少なくとも1つの重合体の一部または全部が極性基含有単量体でグラフト変性された重合体であることは好ましい一形態である。この形態においては、一方が極性基含有単量体でグラフト変性された重合体であり他方が未変性の重合体(極性基含有単量体でグラフト変性されたポリオレフィン系樹脂(a1)と未変性の熱可塑性エラストマー(b1)の組み合わせまたは、未変性のポリオレフィン系樹脂(a1)と極性基含有単量体でグラフト変性された熱可塑性エラストマー(b1)の組み合わせ)であってもよい。また、ポリオレフィン系樹脂(a1)、及び熱可塑性エラストマー(b1)のそれぞれが、極性基含有単量体でグラフト変性された重合体と未変性の重合体の混合物であってもよい。さらに、ポリオレフィン系樹脂(a1)、及び熱可塑性エラストマー(b1)の両方が、極性基含有単量体でグラフト変性された重合体であってもよい。
【0132】
本発明で得られる溶剤系接着剤組成物では、前記ポリオレフィン系樹脂(a1)と前記熱可塑性エラストマー(b1)の質量比(a1)/(b1)は、好ましくは20/80~95/5、より好ましくは30/70~90/10、さらに好ましくは40/60~85/15である。ポリオレフィン系樹脂(a1)と熱可塑性エラストマー(b1)の質量比が前記範囲にあることにより、紙基材に塗工した際に外観不良なく均一な塗膜を得ることができる。
【0133】
本発明で得られる溶剤系接着剤組成物中の不揮発分(有機溶媒(a2)及び(a2)以外の成分、固形分ともいう)は、15~20質量%が好ましく、15.5~19.5質量%がより好ましく、15.8~19質量%がさらに好ましい。不揮発分が上記範囲にあることにより、前記溶剤系接着剤組成物のハンドリング性が良好となり、塗工がしやすくなる。
【0134】
本発明で得られる溶剤系接着剤組成物のB型粘度(測定温度:25 ℃)は、65~400mPa・sが好ましく、66~350mPa・sがより好ましく、70~310mPa・sがさらに好ましい。B型粘度が上記範囲にあることにより、前記溶剤系接着剤組成物のハンドリング性が良好となり、塗工がしやすくなる。本発明のB型粘度とはB型粘度計で測定した値である。
【0135】
[積層体]
本発明の一実施形態における積層体(以下「本発明の積層体」ともいう。)は、基材と、前記基材の少なくとも一方の表面に積層される接着剤層とを備え、前記接着剤層が、本発明の溶剤系接着剤組成物から得られる層であることを特徴とする。上記積層体は、基材と本発明の溶剤系接着剤組成物から得られる接着剤層とを有すれば特に制限されず、これら以外の層を有していてもよい。
【0136】
本発明の積層体において、前記接着剤層は、基材の片面に存在していてもよく、両面に存在していてもよい。また、前記接着剤層は、基材の全面に存在していてもよく、一部に存在していてもよい。
【0137】
本発明の積層体の製造方法としては、特に制限されないが、基材上に本発明で得られる溶剤系接着剤組成物から接着剤層(塗膜)を形成する塗膜形成工程を含む方法が好ましい。
【0138】
本発明の積層体の製造方法は、その全ての工程を220℃以下、好ましくは200℃以下)で行うことが、基材等が有する特性を損なうことなく積層体を得ることができる点から好ましい。
【0139】
前記塗膜形成工程としては、基材上に本発明で得られる溶剤系接着剤組成物を塗布して塗膜を形成し、必要により塗膜の揮発分除去することにより塗膜を形成する方法、および、前記溶剤系接着剤組成物に基材を浸漬し、基材を取り出し、必要により基材に付着した溶剤系接着剤組成物からなる塗膜から揮発分を除去することで塗膜を形成する方法が好ましい。
【0140】
前記塗布の方法としては、特に制限されず、例えば、ダイコート法、フローコート法、スプレーコート法、バーコート法、グラビアコート法、グラビアリバースコート法、キスリバースコート法、マイクログラビアコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ロッドコート法、ロールドクターコート法、エアナイフコート法、コンマロールコート法、リバースロールコート法、トランスファーロールコート法、キスロールコート法、カーテンコート法、印刷法などが挙げられる。
【0141】
前記基材上に設けられた塗膜から揮発分を除去する方法としては、例えば、塗膜を有する基材を常温(約20℃)常圧下で放置する方法、減圧下に塗膜を有する基材を置き、塗膜に含まれる揮発分を除去する方法、塗膜を有する基材を加熱する方法が挙げられる。この加熱は、一段階で行っても、二段階以上で行ってもよい。
【0142】
該加熱の条件としては、溶剤系接着剤組成物に含まれる有機溶媒等の揮発分が揮発する条件である限り特に制限されないが、加熱温度は、例えば220℃以下、好ましくは200℃以下で、例えば40℃以上で、加熱時間は、例えば3秒間以上、好ましくは1分間以上、また、例えば1時間以下である。
【0143】
前記接着剤層の厚みは、所望の用途等に応じ適宜設定すればよいが、例えば0.2μm以上、好ましくは1μm以上であり、また、例えば100μm以下、好ましくは20μm以下である。
【0144】
前記基材としては、例えば、プラスチック基材、金属蒸着膜を有するプラスチック基材金属箔、紙、不織布などが挙げられる。これらの中でも、紙が好ましい。
本発明の積層体の好適な基材となる紙については、特に制限はなく、パルプを主成分とする公知の紙を用いることができる。紙の主成分となるパルプとしては、例えば、LBKP(広葉樹さらしクラフトパルプ)、NBKP(針葉樹さらしクラフトパルプ)等の化学パルプ;GP(砕木パルプ)、PGW(加圧式砕木パルプ)、RMP(リファイナーメカニカルパルプ)、TMP(サーモメカニカルパルプ)、CTMP(ケミサーモメカニカルパルプ)、CMP(ケミメカニカルパルプ)、CGP(ケミグランドパルプ)等の機械パルプ;DIP(脱インキパルプ)等の木材パルプ;ケナフ、バガス、竹、コットン等の非木材パルプ;などが挙げられる。
【0145】
これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上混合して使用してもよい。例えば、パルプとして、LBKP(広葉樹さらしクラフトパルプ)を90~100質量%含むパルプが使用できる。
【0146】
また、本発明の効果を損なわない範囲で、パルプには合成繊維が含まれていてもよい。
環境保全の観点から、パルプの中でも、ECF(Elemental Chlorine Free)パルプ、TCF(Total Chlorine Free)パルプ、古紙パルプ、植林木から得られるパルプが好ましい。
【0147】
上記パルプの叩解度は、カナダ標準ろ水度(フリーネス)(JIS P 8121:1995「パルプのろ水度試験方法」)で、例えば、200~700mlCSF、好ましくは、450~620mlCSFである。
【0148】
基材となる紙として、填料を含有する紙も使用できる。填料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリン、焼成クレー、二酸化チタン、水酸化アルミニウムが挙げられる。紙中の填料含有量は、パルプの乾燥質量100質量部に対して、例えば、1~30質量部である。填料として軽質炭酸カルシウムを含む場合は、パルプの乾燥質量100質量部に対して、軽質炭酸カルシウムを、例えば1~10質量部含むとよい。
【0149】
また、前記紙には、パルプ以外に、各種公知の製紙用添加剤が含まれていてもよい。製紙用添加剤としては、例えば、サイズ剤、湿潤紙力増強剤等の内添紙力増強剤;嵩高剤、歩留り向上剤、濾水性向上剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、蛍光消色剤、ピッチコントロール剤が挙げられる。
【0150】
また、基材となる紙は、澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミドなどの水溶性高分子が塗布された紙であってもよい。
基材となる紙の抄紙方法は特に制限はなく、例えば、長網抄紙機、長網多層抄紙機、円網抄紙機、円網多層抄紙機、長網円網コンビ多層抄紙機、ツインワイヤー抄紙機などの各種抄紙機により紙を製造できる。また、本発明の積層体で用いる紙は単層抄きでも多層抄きでもよく、あるいは複数層の貼合品であってもよい。
【0151】
本発明の積層体では、好適な基材となる紙には、本発明の溶剤系接着剤組成物から得られる接着剤層以外の塗工層が1層以上設けられていてもよい。かかる塗工層としては、例えば、顔料と接着剤とを含有する塗工液から得られる顔料塗工層が挙げられる。
【0152】
顔料塗工層に含まれる顔料としては、一般の印刷用塗工紙の塗工層に使用される公知の顔料を用いることができ、例えば、炭酸カルシウム(重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム等)、カオリン(クレーを含む)、焼成クレー、タルク、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、炭酸亜鉛、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪藻土、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機顔料;アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ナイロン、これら樹脂を構成する単量体を共重合して得られる樹脂等の有機顔料(いわゆるプラスチックピグメント);が挙げられる。
【0153】
顔料塗工層に用いる顔料としては、例えば、20~40質量部のカオリンと60~80質量部の重質炭酸カルシウムとの組み合わせが使用できる。
また、顔料塗工層に用いる接着剤としても、一般の印刷用塗工紙の塗工層に使用される公知の接着剤を用いることができ、例えば、ブタジエン系共重合ラテックス、架橋剤変性澱粉、酸化澱粉、酵素変性澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉、カチオン性澱粉、両性澱粉等の澱粉類;ゼラチン、カゼイン、大豆タンパク、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子;酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、の合成樹脂類;が挙げられる。
【0154】
顔料塗工層中の顔料と接着剤との配合割合は特に限定されるものではないが、顔料100質量部に対し、好ましくは接着剤5~50質量部である。例えば、顔料100質量部に対して、1~5質量部のリン酸エステル化澱粉および5~15質量部のスチレンブタジエンラテックスの接着剤の組み合わせを使用できる。
【0155】
顔料塗工層には、本発明の効果を損なわない限り、各種助剤が含まれていてもよく、例えば、粘度調節剤、柔軟剤、光沢付与剤、耐水化剤、分散剤、流動変性剤、紫外線吸収剤、安定化剤、帯電防止剤、架橋剤、サイズ剤、蛍光増白剤、着色剤、pH調節剤、消泡剤、可塑剤、防腐剤が含まれていてもよい。
【0156】
また、このような顔料塗工層を作製する塗工液の塗工量としては、例えば、基紙の片面あたり、固形分換算で、2~40g/m2である。
本発明の紙を基材とする積層体(例えば包装用紙)の実施形態の一つとして、本発明の溶剤系接着剤組成物から得られる接着剤層は紙の上に設けられた前記顔料塗工層の上に設けられてもよく、別の実施形態として、紙の一方の面のみに顔料塗工層が設けられており、他方の顔料塗工層が設けられていない面に前記接着剤層が設けられていてもよい。
【0157】
本発明の溶剤系接着剤組成物から得られる接着剤層は、熱により溶着可能なヒートシール接着剤層として好適に使用できる。
例えば、本発明の積層体が、本発明の溶剤系接着剤組成物から得られるヒートシール接着剤層を有する積層体である場合、この積層体と被着体と熱圧着する方法は特に制限はなく、例えば、従来公知の方法により熱圧着できる。例えば、本発明の積層体に含まれる接着剤層(ヒートシール接着剤層)に、被着体を重ね合わせ、その後、加熱および加圧することにより熱圧着(ヒートシール)できる。
【0158】
また、本発明の積層体同士を熱圧着してもよい。かかる場合、本発明の積層体に含まれるの接着剤層(ヒートシール接着剤層)同士を重ね合わせ、その後加熱および加圧すればよい。
【0159】
熱圧着する際の加熱温度は、例えば、80℃以上、好ましくは、100℃以上であり、例えば、250℃以下、好ましくは、200℃以下である。また、熱圧着する際の圧力は、例えば、50kPa以上、好ましくは、100kPa以上であり、例えば、500kPa以下、好ましくは、300kPa以下である。
【0160】
これにより、本発明の積層体がヒートシール接着剤層を有する場合、積層体が熱圧着(ヒートシール)される。
なお、このようにして本発明の積層体に含まれる接着剤層一方の表面に被着体層が積層された積層体(換言すれば、前記接着剤層の一方の表面に重ねられた被着体層を備える積層体)は、その熱圧着状態(すなわちヒートシールの前後)に関わらず、本発明の積層体に含まれる。
【0161】
本発明の積層体は、本発明の溶剤系接着剤組成物から得られるヒートシール性に優れ、しかも塗工後の外観に優れる接着剤層を有する。そのため、各種産業分野において、包装材料として好適に用いられる。
【0162】
本発明の積層体を含む包装材料により包装される被包装物としては、特に制限されず、例えば、菓子、茶葉、香辛料などの食品類;煙草、香木などの芳香物;医薬品、紙類などの種々の産業製品が挙げられる。
【実施例】
【0163】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
1.重合体の物性
製造例1-1~1-6で合成したポリオレフィン系樹脂および熱可塑性エラストマー、ならびに製造例2-1で合成した炭化水素系合成油(C-1)の物性は以下のようにして測定した。
【0164】
<プロピレン、エチレンおよび1-ブテンに由来する構成単位の含有割合>
下記製造例で得られた重合体中のプロピレン、エチレンおよび1-ブテンそれぞれに由来する構成単位の含有割合を、13C-NMRを利用して求めた。結果を表1に示す。
【0165】
<融点、融解熱量の測定>
示差走査熱量計(TA Instruments製;DSC-Q1000)を用いて、融点および融解熱量を求めた。10℃/minで30℃から200℃まで昇温後、200℃で3分間保持し、10℃/minで0℃まで降温し、再度10℃/minで200℃まで昇温する過程において、2度目の昇温時のサーモグラムより、JIS K 7122に准じて融点と融解熱量を求めた。結果を表1に示す。
【0166】
<極性基含有単量体の変性量(極性基含有単量体に由来する構成単位の含有量)の測定>
1H-NMRによる測定から求めた。具体的な方法は前述したとおりである。結果を表1に示す。
【0167】
<重量平均分子量(Mw)の測定>
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(島津製作所社製;LC-10series)を用いて、以下の条件で重量平均分子量(Mw)を測定した。
【0168】
・検出器:島津製作所社製;C-R4A
・カラム:TSKG 6000H-TSKG 4000H-TSKG 3000H-TSKG 2000H(東ソー社製)
・移動相:テトラヒドロフラン
・温度:40℃
・流量:0.8ml/min
単分散標準ポリスチレンより作成した検量線を用いて、Mwを算出した。結果を表1に示す。
【0169】
<動粘度の測定>
ASTM D 445に基づいて、40℃および200℃での動粘度を求めた。結果を表1に示す。
【0170】
2.重合体の合成
[製造例1-1] ポリオレフィン系樹脂(a1-1)の合成
撹拌機が付設された内容積1.5Lのオートクレーブに、エチレン単位78モル%及び1-オクテン単位22モル%のエチレン/1-オクテン共重合体100質量部と、トルエン435質量部を入れ、撹拌下、140℃に昇温し、エチレン/1-オクテン共重合体をトルエンに完全に溶解させ、エチレン/1-オクテン共重合体のトルエン溶液を得た。この溶液を140℃に保ったまま、撹拌下、無水マレイン酸16質量部及びジクミルペルオキシド1.5質量部を4時間かけて同時に滴下した。滴下終了後、さらに140℃で1時間撹拌して、後反応を行い、ポリオレフィン系樹脂(a1-1)含有溶液を得た。次いで、このポリオレフィン系樹脂(a1-1)含有溶液を室温まで冷却し、溶液にアセトンを加えることによってポリオレフィン系樹脂(a1-1)を析出させた。析出したポリオレフィン系樹脂(a1-1)を繰り返しアセトンで洗浄した後、乾燥を行ってポリオレフィン系樹脂(a1-1)を回収した。ポリオレフィン系樹脂(a1-1)の融点は105℃であり、ポリオレフィン系樹脂(a1-1)における無水マレイン酸の変性量(無水マレイン酸に由来する構成単位の含有量)は0.9質量%、Mwは100,000であった。
【0171】
[製造例1-2] 熱可塑性エラストマー(b1-1)の合成
クレイトンG1652M(SEBS)3kgを10Lのトルエンに加え、窒素雰囲気下で145℃に昇温し、該共重合体をトルエンに溶解させた。さらに、攪拌下で無水マレイン酸382g、ジ-tert-ブチルペルオキシド175gを4時間かけて系に供給し、続けて145℃で2時間攪拌を行った。冷却後、多量のアセトンを投入し変性された共重合体を沈殿させ、ろ過し、アセトンで洗浄した後、真空乾燥した。
【0172】
得られた無水マレイン酸変性SEBS(熱可塑性エラストマー(b1-1))の融点、融解熱量は観察されず、Mwは100,000であった。熱可塑性エラストマー(b1-1)における無水マレイン酸の変性量(無水マレイン酸に由来する構成単位の含有量)は2質量%であった。
【0173】
[製造例1-3] 熱可塑性エラストマー(b1-2)の合成
充分に窒素置換した2リットルのオートクレーブに、ヘキサンを900ml、1-ブテンを90g仕込み、トリイソブチルアルミニウムを1ミリモル加え、70℃に昇温した後、プロピレンを供給して全圧7kg/cm2Gにし、メチルアルミノキサン0.30ミリモル、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロライドをZr原子に換算して0.001ミリモル加え、プロピレンを連続的に供給して全圧を7kg/cm2Gに保ちながら30分間重合を行った。重合後、脱気して大量のメタノール中でポリマーを回収し、110℃で12時間減圧乾燥した。得られたプロピレン/1-ブテン共重合体(熱可塑性エラストマー(b1-2))の融点は78.3℃、融解熱量は29.2J/g、Mwは330,000、プロピレン単位含量は67.2モル%、1-ブテン単位含量は32.8モル%であった。
【0174】
[製造例1-4] 熱可塑性エラストマー(b1-3)の合成
上記プロピレン/1-ブテン共重合体(熱可塑性エラストマー(b1-2))3kgを10Lのトルエンに加え、窒素雰囲気下で145℃に昇温し、該共重合体をトルエンに溶解させた。さらに、攪拌下で無水マレイン酸382g、ジ-tert-ブチルパーオキシド175gを4時間かけて系に供給し、続けて145℃で2時間攪拌を行った。冷却後、多量のアセトンを投入し変性された共重合体を沈殿させ、ろ過し、アセトンで洗浄した後、真空乾燥した。
【0175】
得られた無水マレイン酸変性プロピレン/1-ブテン共重合体(熱可塑性エラストマー(b1-3))の融点は75.8℃、融解熱量は28.6J/g、Mwは110,000、無水マレイン酸の変性量(無水マレイン酸に由来する構成単位の含有量)は、1質量%であった。
【0176】
[製造例1-5] ポリオレフィン系樹脂(a1-2)の合成
撹拌機が付設された内容積1.5Lのオートクレーブに、プロピレン単位99.25モル%およびエチレン単位0.75モル%のプロピレン/エチレン共重合体100質量部及びトルエン435質量部を入れ、撹拌下、140℃に昇温し、プロピレン/エチレン共重合体をトルエンに完全に溶解させた。この溶液を140℃に保ったまま、撹拌下、無水マレイン酸16質量部及びジクミルパーオキサイド1.5質量部を4時間かけて同時に滴下した。滴下終了後、さらに140℃で1時間撹拌して、後反応を行い、ポリオレフィン系樹脂(a1-2)含有溶液を得た。次いで、このポリオレフィン系樹脂(a1-2)含有溶液を室温まで冷却し、溶液にアセトンを加えることによってポリオレフィン系樹脂(a1-2)を析出させた。析出したポリオレフィン系樹脂(a1-2)を繰り返しアセトンで洗浄した後、乾燥を行ってポリオレフィン系樹脂(a1-2)を回収した。ポリオレフィン系樹脂(a1-2)の融点は157℃であり、ポリオレフィン系樹脂(a1-2)における無水マレイン酸の変性量(無水マレイン酸に由来する構成単位の含有量)は1.1質量%、Mwは90,000であった。
【0177】
[製造例1-6] ポリオレフィン系樹脂(a1-3)の合成
プロピレン単位99.25モル%およびエチレン単位0.75モル%のプロピレン/エチレン共重合体100質量部を、プロピレン単位96.5モル%およびエチレン単位3.5モル%のプロピレン/エチレン共重合体100質量部に変えたこと、ならびに、無水マレイン酸16質量部を30質量部に変えたこと以外は、製造例1-5と同様にしてポリオレフィン系樹脂(a1-3)を得た。ポリオレフィン系樹脂(a1-3)の融点は141℃であり、ポリオレフィン系樹脂(a1-3)における無水マレイン酸の変性量(無水マレイン酸に由来する構成単位の含有量)は2.1質量%、Mwは95,000であった。
【0178】
[製造例2-1] 炭化水素系合成油(C-1)の合成
充分窒素置換した攪拌翼付連続重合反応器に、脱水精製したヘキサン1リットルを加え、96mmol/Lに調整したエチルアルミニウムセスキクロリド(Al(C2H5)1.5・Cl1.5)のヘキサン溶液を500ml/hの量で連続的に1時間供給した後、更に触媒として16mmol/lに調整したVO(OC2H5)Cl2のヘキサン溶液を500ml/h、ヘキサンを500ml/h連続的に供給した。一方重合器上部から、重合器内の重合液が常に1リットルになるように重合液を連続的に抜き出した。次にバブリング管を用いてエチレンガスを47l/h、プロピレンガスを47l/h、水素ガスを20l/hの量で供給した。共重合反応は、重合器外部に取り付けられたジャケットに冷媒を循環させることにより35℃で行った。得られた重合溶液は、塩酸で脱灰した後に、大量のメタノールに投入して析出させた後、130℃で24時間減圧乾燥を行った。
【0179】
得られたエチレン/プロピレン共重合体(炭化水素系合成油(C-1))のエチレン単位含量は55.9モル%、プロピレン単位含量は44.1モル%、Mwは14,000、40℃動粘度は37,500cSt、200℃動粘度は132cStであった。
【0180】
【0181】
3.塗材の調製
[実施例1]
撹拌機付きオートクレーブに、製造例1-1で得られたポリオレフィン系樹脂(a1-1)15g及び酢酸エチル/メチルシクロヘキサン=5.5/4.5(質量比)混合溶媒85gを入れ、130℃に加熱してポリオレフィン系樹脂(a1-1)を完全に溶解させた。その後、撹拌しながら徐々に冷却し、不揮発分(固形分)15質量%、均一な乳白色である、平均粒径12μmのポリオレフィン系樹脂が溶媒に分散した塗材K(分散液(A-1))を得た。平均粒径はコールターカウンターで測定した。
【0182】
ついで、製造例1-2で得られた熱可塑性エラストマー(b1-1)20gをメチルシクロヘキサン/メチルエチルケトン=6/4(質量比)の混合溶媒80gに加熱溶解し、熱可塑性エラストマーが溶媒に溶解した塗材J(溶液(B-1))を調製した。
【0183】
最後に、塗材K(分散液(A-1))30gと塗材J(溶液(B-1))70gを混合し、塗材A(溶剤系接着剤組成物(1))を調製した。得られた塗材A(溶剤系接着剤組成物(1))の不揮発分(固形分)は18.5質量%、B型粘度(測定温度:25℃)は270mPa・sであった。
【0184】
[実施例2]
実施例1で得た塗材K(分散液(A-1))50gと塗材J(溶液(B-1))50gを混合し、塗材B(溶剤系接着剤組成物(2))を調整した。得られた塗材B(溶剤系接着剤組成物(2))の不揮発分(固形分)は17.5質量%、B型粘度(測定温度:25℃)は170mPa・sであった。
【0185】
[実施例3]
実施例1で得た塗材K(分散液(A-1))70gと塗材J(溶液(B-1))30gを混合し、塗材C(溶剤系接着剤組成物(3))を調整した。得られた塗材C(溶剤系接着剤組成物(3))の不揮発分(固形分)は16.5質量%、B型粘度(測定温度:25℃)は100mPa・sであった。
【0186】
[実施例4]
製造例1-4で得た熱可塑性エラストマー(b1-3)16gと製造例2-1で得た炭化水素系合成油(C-1)4gをメチルシクロヘキサン/酢酸エチル=8/2(質量比)の混合溶媒80gに加熱溶解し、塗材I(溶液(B-2))を調製した。
【0187】
つぎに、実施例1で得た塗材K(分散液(A-1))70gと、塗材I(溶液(B-2))30gとを混合し、塗材D(溶剤系接着剤組成物(4))を調整した。得られた塗材D(溶剤系接着剤組成物(4))の不揮発分(固形分)は16.5質量%、B型粘度(測定温度:25℃)は70mPa・sであった。
【0188】
[実施例5]
製造例1-3で得た熱可塑性エラストマー(b1-2)20gをメチルシクロヘキサン/酢酸エチル=8/2の混合溶媒80gに加熱溶解し、塗材X(溶液(B-3))を調製した。
【0189】
つぎに、実施例1で得た塗材K(分散液(A-1))70gと、塗材X(溶液(B-3))30gを混合し、塗材E(溶剤系接着剤組成物(5))を調整した。得られた塗材E(溶剤系接着剤組成物(5))の不揮発分(固形分)は16.5質量%、B型粘度(測定温度:25℃)は300mPa・sであった。
【0190】
[実施例6]
撹拌機付きオートクレーブに、製造例1-5で得たポリオレフィン系樹脂(a1-2)5.5g、製造例1-6で得たポリオレフィン系樹脂(a1-3)12.5g及びトルエン82gを入れ、130℃に加熱して熱可塑性樹脂を完全に溶解させた。その後、撹拌しながら徐々に冷却し、不揮発分(固形分)18質量%の均一な乳白色である、平均粒径10μmのポリオレフィン系樹脂が溶媒に分散した塗材Y(分散液(A-2))を得た。
【0191】
次に、塗材Y(分散液(A-2))70gと、実施例1で得た塗材J(溶液(B-1))30gを混合し、塗材F(溶剤系接着剤組成物(6))を調製した。得られた塗材F(溶剤系接着剤組成物(6))の不揮発分(固形分)は18.6質量%、B型粘度(測定温度:25℃)は120mPa・sであった。
【0192】
[実施例7]
実施例1で得た塗材K(分散液(A-1))85gと塗材J(溶液(B-1))15gを混合し、塗材G(溶剤系接着剤組成物(7))を調製した。得られた塗材G(溶剤系接着剤組成物(7))の不揮発分(固形分)は15.8質量%、B型粘度(測定温度:25℃)は75mPa・sであった。
【0193】
[比較例1]
製造例1-4で得た熱可塑性エラストマー(b1-3)28gと製造例2-1で得た炭化水素系合成油(C-1)7gをメチルシクロヘキサン/酢酸エチル=8/2(質量比)の混合溶媒65gに加熱溶解し、塗材H(接着剤組成物(1’))を調製した。得られた塗材H(接着剤組成物(1’))の不揮発分(固形分)は35.0質量%、B型粘度(測定温度:25℃)は1000mPa・sであった。
【0194】
[比較例2]
実施例4で得た塗材I(溶液(B-2))をそのまま接着剤組成物(2’)として用いた。塗材I(接着剤組成物(2’))の不揮発分(固形分)は20.0質量%、B型粘度(測定温度:25℃)は120mPa・sであった。
【0195】
[比較例3]
実施例1で得た塗材J(溶液(B-1))をそのまま接着剤組成物(3’)として用いた。塗材J(接着剤組成物(3’))の不揮発分(固形分)は20.0質量%、B型粘度(測定温度:25℃)は420mPa・sであった。
【0196】
[比較例4]
実施例1で得た塗材K(分散液A-1)をそのまま接着剤組成物(4’)として用いた。塗材K(接着剤組成物(4’))の不揮発分(固形分)は15.0質量%、B型粘度(測定温度:25℃)は65mPa・sであった。
【0197】
[B型粘度]
実施例で使用した塗材(接着剤組成物)のB型粘度(ブルックフィールド粘度)は、塗材を25℃に調温した水浴に3時間入れておいた後に、東機産業(株)社製、B型粘度計(型式BL)を用いて測定温度25℃で測定した。粘度の計測を開始してから1分後の値を試料のブルックフィールド粘度とした。
【0198】
[平均粒径]
実施例で使用した塗材(接着剤組成物)の平均粒径は、塗材を100μの濾紙で濾過後、濾過残渣を塩化ナトリウム0.9g、蒸留水100ml、イソプロパノール140mlの混合液中で2分間超音波分散させた後、ベックマン・コールター(株)社製、Multisizer4を用いて測定した。得られた体積統計値の中位径を平均粒径とした。
【0199】
[紙/紙接着強度の測定]
紙基材に実施例1~7及び比較例1~4の塗材(接着剤組成物)をそれぞれ塗工し、100℃で1分間加熱して塗膜から揮発分を除去して、ヒートシール接着剤層を有する紙を作製した(加熱後の接着剤層の厚さ約3μm)。ヒートシール接着剤層同士を重ね合わせ、貼り合せ温度120℃、140℃、160℃の3条件で、0.15MPa、1秒で熱圧着(ヒートシール)を行った。そして、幅15mmの大きさに切り出して試験片を作製し、この試験片について、万能引張測定装置を用いて、クロスヘッド速度50mm/分の条件で、90°剥離試験を実施して、紙/紙の接着強度を測定した。測定は3回行い、その平均値を算出し、これを接着強度とした。
【0200】
[接着性]
紙/紙接着強度を、貼り合せ温度120℃、140℃、160℃の3条件にて測定した結果について、下記基準で判断した。
◎: 全て表層破壊
〇: 接着強度の平均が2N/15mm以上
△: 接着強度の平均が2N/15mm未満、0N/15mmより大きい
×: 接着強度の平均が0N/15mm、または塗材を均一に塗工できない
【0201】
[塗工外観]
紙に実施例1~7及び比較例1~4の塗材(接着剤組成物)をそれぞれ塗工し、100℃で1分間加熱して塗膜から揮発分を除去し、ヒートシール接着剤層を有する紙を作製した(加熱後の接着剤層の厚さ約3μm)。その塗工面と非塗工面の境界、及び裏面を目視で評価し、下記基準で判断した。
◎: 塗工面、非塗工面の境界がほぼわからず、裏面への染み込みが全くない
〇: 塗工面、非塗工面の境界が確認できるが、裏面への染み込みはほとんどない
△: 塗工面、非塗工面の境界がはっきりと確認でき、裏面への染み込みがある
×: 塗材を均一に塗工できない
【0202】
[紙塗工性]
実施例1~7及び比較例1~4の塗材(接着剤組成物)の粘度及びそれらの塗材を紙に塗工した際の塗材の濡れ広がりの速さを評価し、下記基準で判断した。
◎: 粘度が低く、紙に塗工した際に塗材が均一に濡れ広がる速さが速い
〇: 粘度が中程度で、紙に塗工した際に塗材が均一に濡れ広がる速さがやや速い
△: 粘度が高く、紙に塗工した際に塗材が均一に濡れ広がる速さが遅い
×: 塗材を均一に塗工できない
【0203】
【0204】
表2中有機溶媒のカラム中、混合溶媒の場合の括弧内の数値は各溶媒の質量比を示す。
【0205】
【0206】
表3中の各記号は以下の略記である。
EOR:エチレン/1-オクテン共重合体
SEBS:スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体
PER:プロピレン/エチレン共重合体
PBR:プロピレン/1-ブテン共重合体
EPR:エチレン/プロピレン共重合体