(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】表示装置および電子装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20240325BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20240325BHJP
【FI】
G09F9/30 349B
G09F9/30 365
G02B5/20 101
(21)【出願番号】P 2020053143
(22)【出願日】2020-03-24
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石津谷 幸司
【審査官】西田 光宏
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105629596(CN,A)
【文献】特開2013-030315(JP,A)
【文献】国際公開第2011/058596(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/108020(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/199745(WO,A1)
【文献】特開2004-085592(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0182814(US,A1)
【文献】特開2013-015680(JP,A)
【文献】特開2016-029464(JP,A)
【文献】特開2013-073884(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 9/00-9/90
F21S 2/00-45/70
F21V 23/00-99/00
G02B 5/00-5/136
G02B 5/20
G02F 1/1335-1/13363
G02F 1/1343-1/1345
G02F 1/135
G09F 9/00-9/46
H10K 50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1画素
および第2画素が配置された表示領域を有する表示装置であって、
前記
第1画素および前記第2画素の各々は、第1発光素子および第2発光素子を含み
、
前記第1発光素子は、
第1発光領域と、前記第1発光領域の上に配置された第1カラーフィルタを含み、
前記第2発光素子は、第2発光領域と、前記第2発光領域の上に配置された第2カラーフィルタを含み、
前記第1画素の前記第1発光領域の面積に対する前記第1画素の前記第1カラーフィルタにおける光を透過可能な面積の比率が第1比率であり、
前記第1画素の前記第2発光領域の面積に対する前記第1画素の前記第2カラーフィルタにおける光を透過可能な面積の比率が第2比率であり、
前記第2画素の前記第1発光領域の面積に対する前記第2画素の前記第1カラーフィルタにおける光を透過可能な面積の比率が第3比率であり、
前記第2画素の前記第2発光領域の面積に対する前記第2画素の前記第2カラーフィルタにおける光を透過可能な面積の比率が第4比率であり、
前記第1比率と前記第3比率との差分は、前記第2比率と前記第4比率との差分より大きい、
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記第2画素の前記第1カラーフィルタにおける光を透過可能な面積は、前記第1画素の前記第1カラーフィルタにおける光を透過可能な面積より小さい、
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1画素の前記第1カラーフィルタにおける光を透過可能な面積と前記第2画素の前記第1カラーフィルタにおける光を透過可能な面積との差分は、前記第1画素の前記第2カラーフィルタにおける光を透過可能な面積と前記第2画素の前記第2カラーフィルタにおける光を透過可能な面積との差分より大きい、
ことを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1画素の前記第1発光領域の面積は、前記第2画素の前記第2発光領域の面積と等しい、
ことを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1画素の前記第1発光領域の面積は、前記第2画素の前記第1発光領域の面積より小さい、
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第2画素
の前記
第1発光領域の
面積と前記第1画素
の前記
第1発光領域の
面積との差分は、前記第1画素の
前記第1カラーフィルタにおける光を透過可能な面積と前記第2画素の
前記第1カラーフィルタにおける光を透過可能な面積との差分より大きい、
ことを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1画素の
前記第1カラーフィルタにおける光を透過可能な面積は、前記第2画素の
前記第1カラーフィルタにおける光を透過可能な面積と等しい、
ことを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第1画素および前記第2画素の前記第1カラーフィルタにおける光を透過可能な面積は、前記第1カラーフィルタと前記第2カラーフィルタとの重なりによって構成された
第1遮光領域によって規定され、
前記第2画素の前記
第1遮光領域の大きさは、前記第1画素
の前記第1遮光領域の大きさより大きい、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記
第1カラーフィルタ
は、光吸収材料を含み、
前記第1カラーフィルタにおける光を透過可能な面積は、前記第1カラーフィルタと前記光吸収材料との重なりによって構成された
第1遮光領域によって規定され、
前記第2画素の前記
第1遮光領域の大きさは、
前記第1画素の前記第1遮光領域の大きさより大きい、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記第1画素および前記第2画素の各々は、第3発光素子を更に含み、
前記第3発光素子は、第3発光領域と、
前記第3発光領域の上に配置され、前記第1カラーフィルタおよび前記第2カラーフィルタとは異なる分光透過率特性を有する第3カラーフィルタとを含む、
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項11】
前記第1発光素子は、下部電極、発光層および上部電極を含み、
前記第1カラーフィルタの透過率ピーク波長は、以下の式で与えられ、
2L/(m-φ/2π) ×0.85 ≦ λ ≦ 2L/(m-φ/2π) ×1.15
ここで、mは0以上の整数、φは前記下部電極での位相シフト、λは前記第1カラーフィルタの透過率ピーク波長、Lは前記発光層から前記下部電極までの光学距離である、
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項12】
前記第1カラーフィルタは、青色のカラーフィルタである、
ことを特徴とする請求項11に記載の表示装置。
【請求項13】
前記第2画素において、前記
第1発光領域の中心と
前記第1カラーフィルタにおける光を透過可能な面積の中心とが平面視において互いにずれている、
ことを特徴とす
る請求項1乃至12のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項14】
前記第1画素は、前記表示領域の中央部に配置され、
前記第2画素は、前記中央部を取り囲む周辺部に配置されている、
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項15】
前記第2カラーフィルタは、前記第1カラーフィルタとは異なる分光透過率特性を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項16】
被写体を撮像する撮像部と、
前記撮像部から出力されたデータに基づいて生成された画像信号に基づいて画像を表示するように構成された請求項1乃至
15のいずれか1項に記載の
表示装置を含む画像表示部と、
を備えることを特徴とする電子装置。
【請求項17】
被写体を撮像する撮像部と、
前記撮像部から出力されたデータに基づいて生成された画像信号に基づいて画像を表示するように構成された請求項1乃至
15のいずれか1項に記載の
表示装置を含む画像表示部と、
を備えることを特徴とする移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置および電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は、一対の電極と、それらの間に配置された発光層を含む有機化合物層とを有する発光素子である。有機EL素子は、面発光特性、軽量、視認性といった優れた特徴を生かし薄型ディスプレイや照明器具、ヘッドマウントディスプレイ、電子写真方式プリンタのプリントヘッド用光源など発光装置としての実用化が進みつつある。特に有機EL表示装置の高精細化の要求は高まりつつあり、白色有機EL素子とカラーフィルタを使った方式(以後、白+CF方式)が知られている。白+CF方式は、有機EL素子が発する白色光の射出方向に、吸収する光の波長依存性が異なるカラーフィルタを複数設置する方式である。例えば、カラーフィルタ透過後の発光色が赤、緑、青になるように各色カラーフィルタを形成することにより、加法混色によるフルカラー表示が可能となる。白+CF方式は発光画素単位で有機化合物層を成膜しなくてもよいため、発光画素の高精細化が容易である。
【0003】
図9には、有機EL表示装置10が拡大光学系20とともに使用される例が示されている。点線は、有機EL表示装置10の表示領域11から射出され、拡大光学系を介して目30に入射する光線を示している。表示領域11の中央部ついては、表示領域11の法線方向に射出される光線が利用されるのに対して、表示領域11の周辺部については、斜め方向(法線方向に対して傾いた方向)に射出される光線が利用される。
【0004】
ところで、白+CF方式の有機EL表示装置が拡大光学系を通して観察される場合において、表示領域11の中央部と周辺部とで色度が異なる色度ムラが問題となっている。この問題の要因は、有機EL表示装置10の表示領域11の中央部から法線方向に射出される光線の色と、表示領域11の周辺部から斜め方向に射出される光線の色度とが互いに異なることにある。この要因の一つとして、カラーフィルタを透過する前の白色光の赤色、緑色、青色それぞれの成分の強度比が、法線方向と斜め方向とで異なることが挙げられる。このような場合、カラーフィルタを透過した後の赤色、緑色、青色の副画素の発光強度比も変化してしまうため、例えば白色表示のように、赤色画素、緑色画素、青色画素の光から合成される光は、正面方向と斜め方向とで色度が異なってしまう。
【0005】
非特許文献1には、各色のカラーフィルタのサイズを調整しカラーフィルタの実質的な開口率を狭めることにより、斜め方向の色度変化を抑制する有機EL表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】Journal of SID 26/3,2018 p.178
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
非特許文献1に記載の表示装置は、各色のカラーフィルタのサイズを調整することによりカラーフィルタの実質的な開口率を狭める方法を用いている。この方法を用いることで斜め方向における色度と正面方向における色度との差を低減することが可能である。しかしながら、発光を取り出せる、実質的な開口率が減少するため、カラーフィルタのサイズを調整する前に比して、光の取り出し効率が低下し、同じ輝度を得るために必要な消費電力が増大してしまう。
【0008】
本発明は、画素間の色度の差を低減するために有利な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1つの側面は、第1画素および第2画素が配置された表示領域を有する表示装置に係り、前記第1画素および前記第2画素の各々は、第1発光素子および第2発光素子を含み、前記第1発光素子は、第1発光領域と、前記第1発光領域の上に配置された第1カラーフィルタを含み、前記第2発光素子は、第2発光領域と、前記第2発光領域の上に配置された第2カラーフィルタを含み、前記第1画素の前記第1発光領域の面積に対する前記第1画素の前記第1カラーフィルタにおける光を透過可能な面積の比率が第1比率であり、前記第1画素の前記第2発光領域の面積に対する前記第1画素の前記第2カラーフィルタにおける光を透過可能な面積の比率が第2比率であり、前記第2画素の前記第1発光領域の面積に対する前記第2画素の前記第1カラーフィルタにおける光を透過可能な面積の比率が第3比率であり、前記第2画素の前記第2発光領域の面積に対する前記第2画素の前記第2カラーフィルタにおける光を透過可能な面積の比率が第4比率であり、前記第1比率と前記第3比率との差分は、前記第2比率と前記第4比率との差分より大きい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、画素間の色度の差を低減するために有利な技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】表示装置の表示領域における第1画素および第2画素を例示する図。
【
図2】発光領域からの光の射出角と色度との関係を例示する図。
【
図5】赤色、緑色、青色のカラーフィルタの分光透過率特性が例示されている。
【
図6】実施形態の表示装置の表示領域に配置された第1画素および第2画素の断面構造を模式的に示す図。
【
図7】実施形態の表示装置の表示領域に配置された第1画素および第2画素の平面視構造を模式的に示す図。
【
図8】他の実施形態の表示装置の表示領域に配置された第1画素および第2画素の断面構造を模式的に示す図。
【
図9】表示装置が拡大光学系とともに使用される例を示す図。
【
図10】実施形態の電子装置としての表示装置を示す図。
【
図11】実施形態の電子装置としての表示装置を示す図。
【
図12】実施形態の電子装置としての表示装置を示す図。
【
図13】実施形態の照明装置(a)および移動体(b)を示す図。
【
図14】実施形態の電子装置としての表示装置を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0013】
図1には、本実施形態の有機EL表示装置10の表示領域DAの平面図(平面視)が模式的に示されている。表示領域DAには、複数の画素(主画素)が配置され、該複数の画素は、第1画素P1および第2画素P2を含む。第1画素P1は、表示領域DAに中央部に配置された主画素であり、第2画素P2は、第1画素P1と表示領域DAのエッジEDとの間(例えば、周辺部)に配置された主画素である。各画素(主画素)は、複数の副画素(有機EL発光素子)を含む。また、第1画素P1は、主画素部である第1の領域に含まれ、第2画素P2は、第1の領域を囲っている第2の領域に含まれているということもできる。
【0014】
ここで、
図2を参照しながら発光領域からの光の射出角と色度との関係を例示的に説明する。
図2(a)は、第1画素P1の発光領域ERから射出角(θ)=0°(法線方向)で射出される白色光を模式的に示している。
図2(b)は、第2画素P2の発光領域ERから射出角(θ)=40°(斜め方向)に射出される白色光を模式的に示している。
図2(c)は、白色光に含まれる赤色成分(580nmから780nm)のピーク強度および青色成分(400nmから490nm)のピーク強度を緑色成分(490nmから580nm)のピーク強度で規格化した結果を例示している。赤色成分、緑色成分、青色成分の強度比(以下、色成分比)が法線方向と斜め方向とで異なることが分かる。これは、発光領域ERをその法線方向の観察点から観察した場合と、発光領域ERをその斜め方向の観察点から観察した場合とで、互いに異なった色として観察されること、すなわち互いに色度が異なることを示している。発光領域ERから射出される白色光が赤色、緑色、青色のカラーフィルタを透過した透過光(すなわち、赤色成分、緑色成分、青色成分)から合成される光の色度も、法線方向と斜め方向とでは異なる。
図2(c)の例は、法線方向で観察される光が白色であるとすれば、斜め方向で観察される光は、青色成分が強いことを示している。
【0015】
以下、第1比較例および第2比較例を通して課題を説明した後に、該課題を解決するための実施形態を説明する。
図3には、第1比較例の有機EL表示装置10の表示領域DAに配置された第1画素(第1主画素)P1および第2画素(第2主画素)P2の断面構造が模式的に示されている。第1画素P1は、表示領域DAに中央部に配置された主画素であり、第2画素P2は、第1画素P1と表示領域DAのエッジEDとの間(例えば、周辺部)に配置された主画素を示している。主画素P1、P2の各々は、3つの副画素として、第1有機EL発光素子(以下、第1発光素子)100、第2有機EL発光素子(以下、第2発光素子)200および第3有機EL発光素子(以下、第3発光素子)300を含みうる。
【0016】
第1発光素子100は、下部電極2、絶縁層5、有機化合物層3、上部電極4、保護層6、平坦化層7、第1カラーフィルタ101、充填層8、対向基板9を含みうる。第2発光素子200は、下部電極2、絶縁層5、有機化合物層3、上部電極4、保護層6、平坦化層7、第2カラーフィルタ201、充填層8、対向基板9を含みうる。第3発光素子300は、下部電極2、絶縁層5、有機化合物層3、上部電極4、保護層6、平坦化層7、第3カラーフィルタ301、充填層8、対向基板9を含みうる。上部電極4、保護層6、平坦化層7、充填層8、対向基板9は、発光素子100、200、300(あるいは、複数の主画素)によって共有されうる。第1発光素子100は、青色用の発光素子であり、第1カラーフィルタ101は、青色成分を透過する。第2発光素子200は、赤色用の発光素子であり、第2カラーフィルタ201は、赤色成分を透過する。第3発光素子300は、緑色用の発光素子であり、第3カラーフィルタ301は、緑色成分を透過する。カラーフィルタ101、201、301は、互いに分光透過率特性が異なるカラーフィルタである。
【0017】
図3では、便宜的に、第1発光素子100から射出される光のみが点線の矢印で示されている。第1比較例の有機EL表示装置10では、遮光領域が設けられていない。したがって、青色、赤色、緑色のカラーフィルタ101、201、301を透過した後の青色、赤色、緑色の光の間の色成分比は、カラーフィルタ101、201、301を透過する前の白色光における色成分比を維持する。例えば、カラーフィルタ101、201、301を透過する前の白色光が
図2(c)の特性を有し、第1画素P1から法線方向に射出されカラーフィルタ101、201、301を透過した後の赤色、緑色、青色の光から合成される光が白色であるものとする。この場合、第2画素P2から斜め方向に射出されカラーフィルタ101、201、301を透過した後の赤色、緑色、青色の光から合成される光は、青色成分が強い光となる。
【0018】
図4には、第2比較例の有機EL表示装置10の表示領域DAに配置された第1画素(第1主画素)P1および第2画素(第2主画素)P2の断面構造が模式的に示されている。第2比較例は、第1比較例に対して遮光領域104を追加した構成を有する。遮光領域104は、青色用の第1発光素子100の開口103を規定する。換言すると、遮光領域104は、青色用の第1発光素子100から射出された光を通過させる量を制限する。第1画素P1と第2画素P2とは、同一の構成を有する。つまり、第1画素P1と第2画素P2とにおいて、遮光領域104は、同じ大きさを有する。遮光領域104は、第1カラーフィルタ101と第2カラーフィルタ201との重なりによって構成される。また、遮光領域104は、第1カラーフィルタ101と第3カラーフィルタ301との重なりによって構成される。
【0019】
本明細書において、大きさとは、例えば、一次元の寸法でもよいし、二次元の寸法(例えば、面積)でもよい。また、本明細書において、発光素子の開口は、該発光素子の発光領域から射出された光を通過させる量を規定するように機能する部分を意味する。発光素子の開口は、その発光素子に設けられたカラーフィルタと遮光領域とが平面視において重ならない領域でありうる。
【0020】
図5には、カラーフィルタ101、201、301の分光透過率特性が例示されている。第1カラーフィルタ101は、青色のカラーフィルタ、すなわち、青色成分を透過するカラーフィルタである。第2カラーフィルタ201は、赤色のカラーフィルタ、すなわち、赤色成分を透過するカラーフィルタである。第3カラーフィルタ301は、緑色のカラーフィルタ、すなわち、緑色成分を透過するカラーフィルタである。
図5より、第1カラーフィルタ101と第2カラーフィルタ201との重なりによって遮光特性(光吸収による減衰特性)が得られことが分かる。また、
図5より、第1カラーフィルタ101と第3カラーフィルタ301との重なりによって遮光特性(光吸収による減衰特性)が得られることが分かる。
【0021】
第2比較例では、遮光領域104を設けることによって第2画素P2の青色用の第1発光素子100から斜め方向に射出される光における青色成分を低下させることができる。しかしながら、第2比較例では、第1画素P1および第2画素P2の遮光領域104が同一の構成を有するので、第1画素P1の青色用の第1発光素子100から法線方向に射出される光における青色成分も遮光領域104によって低下させられる。したがって、中央部に配置されている第1画素P1の第1発光素子100の効率が低下する。これは、所望の輝度を得るための消費電力が増大することを意味する。
【0022】
以下、実施形態の有機EL表示装置10について説明する。
図6、
図7には、実施形態の有機EL表示装置10の表示領域DAに配置された第1画素(第1主画素)P1および第2画素(第2主画素)P2の断面構造、平面視構造が模式的に示されている。第1画素P1は、表示領域DAに中央部に配置された主画素であり、第2画素P2は、第1画素P1と表示領域DAのエッジEDとの間(例えば、周辺部)に配置された主画素を示している。主画素P1、P2の各々は、3つの副画素として、第1発光素子100、第2発光素子200および第3発光素子300を含みうる。第1発光素子100、第2発光素子200および第3発光素子300の上には、カラーフィルタ材料からなるカラーフィルタ層CFLが配置されている。
【0023】
第1発光素子100は、基板1の上に配置された下部電極2、絶縁層5、有機化合物層3、上部電極4、保護層6、平坦化層7、第1カラーフィルタ101、充填層8、対向基板9を含みうる。第2発光素子200は、基板1の上に配置された下部電極2、絶縁層5、有機化合物層3、上部電極4、保護層6、平坦化層7、第2カラーフィルタ201、充填層8、対向基板9を含みうる。第3発光素子300は、基板1の上に配置された下部電極2、絶縁層5、有機化合物層3、上部電極4、保護層6、平坦化層7、第3カラーフィルタ301、充填層8、対向基板9を含みうる。上部電極4、保護層6、平坦化層7、充填層8、対向基板9は、発光素子100、200、300(あるいは、複数の主画素)によって共有されうる。
【0024】
第1発光素子100は、第1発光領域102を有する。ここで、必要に応じて、第1画素P1の第1発光素子100の第1発光領域102を第1発光領域102aとし、第2画素P2の第1発光素子100の第1発光領域102を第1発光領域102bとして、互いに区別して説明する。第1発光領域102は、第1発光素子100が発光する領域を基板1の上面に投射した領域でありうる。第2発光素子200は、第2発光領域202を有する。第2発光領域202は、第2発光素子200が発光する領域を基板1の上面に投射した領域でありうる。第3発光素子300は、第3発光領域302を有する。第3発光領域302は、第3発光素子300が発光する領域を基板1の上面に投射した領域でありうる。
【0025】
第1カラーフィルタ101、第2カラーフィルタ201および第3カラーフィルタ301は、カラーフィルタ層CFLに配置される。他の観点において、第1カラーフィルタ101、第2カラーフィルタ201および第3カラーフィルタ301は、カラーフィルタ層CFLを構成する。カラーフィルタ層CFLは、金属膜などの反射膜を含まないように構成されうる。また、カラーフィルタ層CFLは、金属膜などの反射膜と接しないように構成されうる。このような反射膜は、色度のずれを発生させうるので、カラーフィルタ層CFLに配置されること、あるいは、カラーフィルタ層CFLに接触するように配置されることは、好ましくない。
【0026】
第1発光素子100は、青色用の発光素子であり、第1カラーフィルタ101は、青色成分を透過する。第2発光素子200は、赤色用の発光素子であり、第2カラーフィルタ201は、赤色成分を透過する。第3発光素子300は、緑色用の発光素子であり、第3カラーフィルタ301は、緑色成分を透過する。カラーフィルタ101、201、301は、互いに分光透過率特性が異なるカラーフィルタであり、例えば、
図5に示されたような分光透過率を有しうる。
【0027】
本実施形態では、第1画素P1は第1遮光領域104aを有し、第2画素P2は第2遮光領域104bを有しうる。第1遮光領域104aは、第1画素P1の第1発光素子100の開口103aを規定し、第2遮光領域104bは、第2画素P2の第1発光素子100の開口103bを規定しうる。第1遮光領域104aは、第1画素P1の第1発光素子100から射出された光を通過させる量を制限し、第2遮光領域104bは、第2画素P2の第1発光素子100から射出された光を通過させる量を制限しうる。第2画素P2において、第1発光素子100の発光領域102bの中心と開口103bの中心とは、平面視において互いにずれていてもよい。
【0028】
第1遮光領域104aおよび第2遮光領域104bは、第1遮光領域104aの大きさが第2遮光領域104bの大きさより小さいように規定されうる。したがって、第1画素P1と第2画素P2とは、互いに異なる構成を有する。第1遮光領域104aは、第1画素P1における第1カラーフィルタ101と第2カラーフィルタ201との重なり、および、第1画素P1における第1カラーフィルタ101と第3カラーフィルタ301との重なりによって構成されうる。第2遮光領域104bは、第2画素P2における第1カラーフィルタ101と第2カラーフィルタ201との重なり、および、第2画素P2における第1カラーフィルタ101と第3カラーフィルタ301との重なりによって構成されうる。
【0029】
本実施形態では、第1発光領域102a、102bの大きさに対する開口103a、103bの大きさの比率は、第1画素P1よりも第2画素P2が小さい。つまり、第2画素P2の第1発光領域102bの大きさに対する第2画素P2の開口103bの大きさの比率は、第1画素P1の第1発光領域102の大きさに対する第1画素P1の開口103aの大きさの比率より小さい。なお、第2画素P2の第1発光領域102bの大きさに対する第2画素P2の開口103bの大きさの比率は、(第2画素P2の開口103bの大きさ)/(第2画素P2の第1発光領域102bの大きさ)で与えられる。また、第1画素P1の第1発光領域102の大きさに対する第1画素P1の開口103aの大きさの比率は、(第1画素P1の開口103aの大きさ)/(第1画素P1の第1発光領域102aの大きさ)で与えられる。
【0030】
本実施形態によれば、第2画素P2に遮光領域104bを設けることによって、第2比較例と同様に、第2画素P2の青色用の第1発光素子100から斜め方向に射出される光における青色成分を低下させることができる。更に、本実施形態によれば、第1発光領域102a、102bの大きさに対する開口103a、開口103bの大きさの比率が第1画素P1よりも第2画素P2が小さい構成が採用される。これによって、第1画素P1の青色用の第1発光素子100から法線方向に射出される光の減衰を抑えることができる。これにより、所望の輝度を得るための消費電力を比較例2よりも抑えることができる。つまり、本実施形態によれば、画素間の色度の差を低減することができる他、消費電力を低減することができる。
【0031】
第1発光領域の大きさに対する発光素子の開口の大きさの比率が第1画素P1よりも第2画素P2が小さい構成は、第1画素P1の開口103aの大きさよりも第2画素P2の開口103bの大きさより小さくすることによって実現されうる。例えば、第2画素P2の遮光領域104bが第1画素P1の遮光領域104aより大きくされうる。このような構成は、
図6、
図7に例示されている。第1画素P1の第1発光素子100の開口103aの大きさと第2画素P2の第1発光素子100の開口103bの大きさとの差分は、第1画素P1の第1発光領域102aの大きさと第2画素P2の第1発光領域102bの大きさとの差分より大きくされうる。あるいは、第1画素P1の第1発光領域102aの大きさは、第2画素P2の第1発光領域102bの大きさと等しくされうる。
【0032】
第1発光領域の大きさに対する発光素子の開口の大きさの比率が第1画素P1よりも第2画素P2が小さい構成は、第2画素の第1発光素子の発光領域102bの大きさが第1画素の第1発光素子の発光領域102aの大きさより大きい構成で実現されてもよい。このような構成は、
図8に例示されている。第2画素P2の第1発光素子100の発光領域102bの大きさと第1画素P1の第1発光素子100の発光領域102aの大きさとの差分は、第1画素P1の開口103aの大きさと第2画素P2の開口103bの大きさとの差分より大きくされうる。あるいは、第1画素P1の開口103aの大きさは、第2画素P2の開口103bの大きさと等しくされうる。
【0033】
上記の実施形態では、遮光領域104a、104bが互いに異なる分光透過率特性を有するカラーフィルタの重なりによって構成される例が説明された。しかしながら、これは一実施形態に過ぎず、遮光領域104a、104bは、カラーフィルタ101とブラックマトリックスなどの光吸収材料との重なりによって構成されてもよい。該光吸収材料は、少なくとも青色成分を吸収する材料でありうる。
【0034】
上記の実施形態では、斜め方向における青色成分を抑制することを中心として説明されたが、本発明は、これに限定されず、他の周波数成分を抑制するように表示領域内の画素の位置に応じて、上記の説明に基づいて画像の構成が調整されてもよい。
【0035】
上記の実施形態は、第1画素および第2画素という2種類の画素を例示して説明されたが、より多くの種類の画素が設けられうる。例えば、上記の比率が表示領域の中央部からエッジに向かって徐々に又は段階的に変化するように各画素の構造が調整されうる。
【0036】
上記の実施形態では、1つの画素(主画素)が3つの副画素で構成されているが、目的とする色再現範囲に応じて1つの画素を構成する副画素の数を変更することができる。1つの画素は、少なくとも2つの副画素で構成されうる。また、1つの画素は、4つの副画素で構成されてもよい。この場合は、4つの副画素は、赤成分、緑成分、青成分、白色成分の副画素とされうる。また、1つの画素は、5以上の副画素で構成されてもよい。
【0037】
各画素(主画素)における副画素の配置は、特定の形式に限定されるものではないが、例えば、ストライプ構造、デルタ配列またはベイヤー配列が好ましい。
図7には、ストライプ構造の平面図が例示されている。
【0038】
図2を参照しながら法線方向と斜め方向との間での色成分比の違いについて例示された。法線方向よりも斜め方向の光強度が低下しにくい波長は、特に、発光層から下部電極までの光学距離、および、下部電極での位相シフトによって発光強度が強められる波長である。したがって、第1カラーフィルタの透過率ピーク波長は、以下の式で与えられるλの波長範囲内であることが好ましい。更に、発光層に含まれる発光材料のPLスペクトルピークも、以下の式で与えられるλの波長範囲内であることが好ましい。
【0039】
2L/(m-φ/2π) ×0.85 ≦ λ ≦ 2L/(m-φ/2π) ×1.15
ここで、mは0以上の整数、φは下部電極での位相シフト、λは波長、Lは発光層から下部電極までの光学距離である。
【0040】
また、特に発光層から下部電極までの光学距離、および、下部電極での位相シフトによって発光強度が強められる波長と、第1カラーフィルタの透過率ピーク波長は、青色成分であることが好ましい。青色成分は、色再現範囲を拡大するために有利であり、第1カラーフィルタの透過率ピーク波長は、400nmから490nmの範囲であることが好ましい。すなわち、第1カラーフィルタは、青色のカラーフィルタであることが好ましい。
【0041】
表示領域の中央部において、第1発光領域の中心と第1カラーフィルタの開口の中心とが平面視において一致し、周辺部において、第1発光領域の中心と第1カラーフィルタの開口の中心とが平面視において一致しない構成が採用されてもよい。
【0042】
以下、本実施形態の有機EL表示装置10の構成要素に関して具体例を説明する。
【0043】
基板1の材料は、下部電極2、有機化合物層3、上部電極4等を支持できる材料であれば、限定されない。基板1の材料としては、例えば、石英、ガラス、プラスチック、シリコン、樹脂、金属などが好適である。基板1には、トランジスタ等のスイッチング素子、配線、層間絶縁膜(不図示)などが形成されうる。
【0044】
第1発光素子100、第2発光素子200および第3発光素子300の下部電極2は、相互に電気的に分離されている。下部電極2は、発光効率の観点から可視光の反射率が50%以上の金属材料で構成されうる。具体的には、下部電極2は、AlまたはAgなどの金属、それらにSi、Cu、Ni、Nd、Tiなどを添加した合金で構成されうる。また、下部電極2は、光射出側の表面にバリア層を有してもよい。バリア層の材料としては、Ti、W、Mo、Auの金属またはその合金、またはITO、IZOなどの透明導電酸化物を挙げることができる。光学干渉の最適化のため、透明導電酸化物の膜厚は、第1発光素子100、第2発光素子200および第3発光素子300において相互に異なっていてもよい。
【0045】
有機化合物層3は、表示領域DAに配置された全ての画素の全部または一部にまたがって、すなわち、それらにおいて共通に配置されうる。各画素に注目すれば、有機化合物層3は、第1発光素子100、第2発光素子200および第3発光素子300にまたがって、すなわち、それらにおいて共通に配置されうる。有機化合物層3は、例えば、蒸着法、スピンコートなど公知の技術により形成されうる。有機化合物層3は、表示領域DAの全域において連続して配置されうる。各画素に注目すれば、有機化合物層3は、第1発光素子100、第2発光素子200および第3発光素子300が配置された領域において連続的に配置されうる。
【0046】
有機化合物層3は、少なくとも発光層を含む層であり、複数の層から構成されてもよい。複数の層としては、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、発光層、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層を挙げることができる。これらの層は、有機化合物のみからなるものに限られず、無機化合物を有してもよい。主たる発光が有機化合物で起こることで、有機EL素子と呼ぶことができる。
【0047】
有機化合物層3は、陽極から注入された正孔と陰極から注入された電子が発光層において再結合することで、発光層から白色光を射出する。発光層は、複数の層で構成されてよく、各発光層のいずれかに赤色発光材料、緑色発光材料、青色発光材料を有することができ、各発光色を混合することで、白色光が得られる。また、各発光層のいずれかに、青色発光材料と黄色発光材料などの補色同士の関係を有する光を発生する発光材料を有していてもよい。
【0048】
電子注入層(不図示)が有機化合物層3と上部電極4の間に配置されてもよい。電子注入層は、電子供与性の高い化合物で構成されうる。電子供与性が高い化合物は、例えば、リチウム、セシウム等のアルカリ金属、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属などの電子供与性の高い金属またはその化合物を含みうる。電子供与性が高い化合物は、それら金属と有機化合物とが結合した有機金属錯体であってもよい。これらの材料は、単一層であってもよいし、電子輸送層の有機化合物との混合層であってもよい。
【0049】
上部電極4は、表示領域DAに配置された全ての画素の全部または一部にまたがって、すなわち、それらにおいて共通に配置されうる。各画素に注目すれば、上部電極4は、第1発光素子100、第2発光素子200および第3発光素子300にまたがって、すなわち、それらにおいて共通に配置されうる。上部電極4は、光透光性を有する。上部電極4は、その表面に到達した光の一部を透過するとともに該光の他の一部を反射する性質(すなわち半透過反射性)を持った半透過材料であってもよい。上部電極4は、透明導電酸化物等の透明材料、アルミニウム、銀、金等の単体金属、リチウム、セシウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属、又は、これらの金属材料を含んだ合金材料からなる半透過材料で構成されうる。半透過材料は特にマグネシウムまたは銀を主成分とする合金でありうる。上部電極4は。好ましい透過率を有するならば、上記材料の積層構成であってもよい。一例において、下部電極2は陽極であり、上部電極4は陰極でありうるが、他の例において、下部電極2は陰極であり、上部電極4が陽極でありうる。
【0050】
第1発光素子100、第2発光素子200および第3発光素子300の下部電極2の間には、絶縁層5が配置されうる。絶縁層5は、例えば、第1発光素子100、第2発光素子200および第3発光素子300の下部電極2の端部を覆うように配置され、下部電極2の端部の内側の領域を露出させる開口を有しうる。絶縁層5は、第1発光素子100、第2発光素子200および第3発光素子300の各発光領域を規定しうる。絶縁層5を設けない場合には、下部電極2自体の形状によって第1発光領域102、第2発光領域202、第3発光領域302が規定されうる。絶縁層5は、シリコン窒化物(SiN)、シリコン酸窒化物(SiON)、またはシリコン酸化物(SiO)など無機材料で構成されうる。絶縁層5は、スパッタリング法または化学気相堆積法(CVD法)など公知の技術を用いて形成されうる。絶縁層5は、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂のような有機材料で構成されてもよい。
【0051】
有機EL表示装置10は、保護層6を有してよい。保護層6は、第1発光素子100、第2発光素子200および第3発光素子300を覆うように配置されうる。保護層6は、光透過性を有し、かつ、外部からの酸素および水分の透過性が極めて低い無機材料を含むことが好ましい。保護層6は、特に、シリコン窒化物(SiN)、シリコン酸窒化物(SiON)、シリコン酸化物(SiOx)、アルミニウム酸化物(Al2O3)、チタン酸化物(TiO2)などが好ましい。保護層6は、スパッタリング法、化学気相堆積法(CVD法)、原子層堆積法(ALD法)により形成されうる。保護層6は、十分な水分遮断性能があれば、単層及び上記材料の積層のどちらの形態をとってもよく、さらに上記の無機材料と有機材料の積層構成であってもよい。有機材料としては、公知の有機化合物(樹脂/高分子化合物)が適用されうる。保護層6には、保護層6よりも先に形成されていた構造体の形状にならった凹凸があってよい。保護層6は、封止層と呼ぶこともできる。封止層と呼ばれる場合であっても、有機EL表示装置10を封止する性能は、完全でなくてもよい。
【0052】
有機EL表示装置10は、保護層6とカラーフィルタ層CFLとの間に平坦化層7を有してもよい。平坦化層7は、光透過性を有する材料で形成され、該材料は、無機材料および有機材料のどちらでもよい。平坦化層7を樹脂材料で形成した場合、平坦化層7の光射出側は保護層6よりも凹凸形状が小さくなることから、保護層6の凹凸による散乱光が低減されうる。平坦化層7は、コート層と呼ぶこともできる。平坦化層7は、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂などの有機材料で構成されうる。平坦化層7は、塗布法、重合蒸着等、公知の方法で形成されうる。
【0053】
カラーフィルタ層CFLは、保護層6または平坦化層7の上に直接形成されてもよいし、カラーフィルタ層CFLが形成された対向基板が、発光素子100、200、300が形成された基板に貼り合わされてもよい。後者においては、発光素子100、200、300とカラーフィルタ層CFLとの間に空隙が生じないように、樹脂を介して貼り合わせが行われうる。
【0054】
第1カラーフィルタ101、第2カラーフィルタ201および第3カラーフィルタ301は、平坦化層7等の下地の上にカラーレジストを塗布した後、それをリソグラフィによってパターニングすることによって形成されうる。カラーレジストは、例えば、光硬化性樹脂で構成され、紫外線等が照射された部位を硬化させることによりパターンを形成する。
【0055】
カラーフィルタ層CFLの光射出側には、充填層8が配置されてもよい。充填層8は、光透過性を有し、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂などの有機材料により構成され、充填層8の光射出側の面は平坦であることが好ましい。特に、後述の対向基板を設けない場合には、充填層8の光射出側の面が平坦であることが好ましい。カラーフィルタ層CFLと充填層8との間には、平坦化層が配置されてもよい。このような平坦化層と、充填層8とカラーフィルタ層CFLとの間に配置されうる平坦化層7とは、同じ材料で構成されうる。カラーフィルタ層CFLと充填層8との間に配置される平坦化層と充填層8は、表示領域DAの外、すなわち、表示装置10の端部で接してよい。カラーフィルタ層CFLと充填層8との間に配置される平坦化層と、充填層8とカラーフィルタ層CFLとの間に配置される平坦化層7とが同じ材料で構成されることは、それらの間に高い密着性を得ることができる点で優れている。
【0056】
充填層8の光射出側には、対向基板9が配置されうる。対向基板9は、光透過性の材料で構成される。対向基板9は、例えば、ガラス基板、プラスチック基板等で構成され、対向基板9の光射出側の面は、平坦であることが好ましい。
【0057】
有機EL表示装置10は、電子装置の構成部品として使用されうる。そのような電子装置は、例えば、被写体を撮像する撮像部と、該撮像部から出力されたデータに基づいて生成された画像信号に基づいて画像を表示する画像表示部とを備え、該画像表示部として有機EL表示装置10が使用されうる。該撮像部は、CMOSイメージセンサまたはCCDイメージセンサ等のイメージセンサを含みうる。該撮像部は、該イメージセンサの撮像面に被写体の光学像を形成する光学系を更に含みうる。
【0058】
図10は、実施形態の電子装置としての表示装置の一例を表す模式図である。表示装置1000は、上部カバー1001と下部カバー1009との間に、タッチパネル1003、表示パネル1005、フレーム1006、回路基板1007、バッテリー1008を有しうる。表示パネル1005として、上記の有機EL表示装置10を使用することができる。タッチパネル1003および表示パネル1005は、フレキシブルプリント回路FPC1002、1004が接続されている。回路基板1007には、トランジスタがプリントされている。バッテリー1008は、表示装置1000が携帯機器でなければ、設けなくてもよいし、携帯機器であっても、別の位置に設けてもよい。
【0059】
有機EL表示装置10は、携帯端末の表示部に用いられてもよい。その際には、表示機能と操作機能との双方を有してもよい。携帯端末としては、スマートフォン等の携帯電話、タブレット、ヘッドマウントディスプレイ等が挙げられる。
【0060】
有機EL表示装置10は、複数のレンズを有する光学部と、当該光学部によって形成される光学像を撮像する撮像素子とを有する撮像装置の表示部として用いられてよい。撮像装置は、撮像素子が取得した情報を表示する表示部を有してよい。また、表示部は、撮像装置の外部に露出した表示部であっても、ファインダ内に配置された表示部であってもよい。撮像装置は、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラであってよい。
【0061】
図11(a)は、実施形態の電子装置としての撮像装置の一例を表す模式図である。撮像装置1100は、ビューファインダ1101、背面ディスプレイ1102、操作部1103、筐体1104を有しうる。ビューファインダ1101は、有機EL表示装置10を表示部として含みうる。その場合、有機EL表示装置10は、撮像された画像のみならず、環境情報、撮像指示等を表示してよい。環境情報には、外光の強度、外光の向き、被写体の動く速度、被写体が遮蔽物に遮蔽される可能性等であってよい。
【0062】
撮像装置1100は、不図示の光学部を有する。光学部は複数のレンズを有し、筐体1104内に収容されている撮像素子に結像する。複数のレンズは、その相対位置を調整することで、焦点を調整することができる。この操作を自動で行うこともできる。撮像装置は光電変換装置と呼ばれてもよい。光電変換装置は逐次撮像するのではなく、前画像からの差分を検出する方法、常に記録されている画像から切り出す方法等を撮像の方法として含むことができる。
【0063】
図11(b)は、実施形態の電子装置としての携帯端末の一例を表す模式図である。携帯端末1200は、表示部1201と、操作部1202と、筐体1203を有する。筐体1203には、回路、当該回路を有するプリント基板、バッテリー、通信部、を有してよい。操作部1202は、ボタンであってもよいし、タッチパネル方式の反応部であってもよい。操作部は、指紋を認識してロックの解除等を行う、生体認識部であってもよい。通信部を有する携帯端末は、通信機器ということもできる。携帯端末は、レンズと、撮像素子とを備えることでカメラ機能をさらに有してよい。カメラ機能により撮像された画像が表示部に映される。電子機器としては、スマートフォン、ノートパソコン等があげられる。
【0064】
図12は、実施形態の電子装置の一例としての表示装置の一例を表す模式図である。
図12(a)は、テレビモニタ、PCモニタ等として利用されうる表示装置を示している。表示装置1300は、額縁1301と、表示部1302とを有する。表示部1302としては、有機EL表示装置10が使用されうる。
図12(a)の表示装置は、額縁1301および表示部1302を支える土台1303を有しうる。土台1303は、
図2(a)の形態に限られず、額縁1301の下辺が土台を兼ねてもよい。また、額縁1301および表示部1302は、曲面を構成してもよく、その曲率半径は、例えば、5000mm以上6000mm以下でありうる。
【0065】
図12(b)は、実施形態の電子装置としての表示装置の他の例を表す模式図である。
図12(b)の表示装置1310は、折り曲げ可能に構成され、いわゆるフォルダブルな表示装置である。表示装置1310は、第一表示部1311、第二表示部1312、筐体1313、屈曲点1314を有する。第一表示部1311および第二表示部1312として、有機EL表示装置10を使用することができる。第一表示部1311と第二表示部1312とは、つなぎ目のない1枚の表示装置であってよい。第一表示部1311と第二表示部1312とは、屈曲点で分けることができる。第一表示部1311、第二表示部1312は、それぞれ異なる画像を表示してもよいし、第一および第二表示部とで一つの画像を表示してもよい。
【0066】
図13(a)は、実施形態の電子装置としての照明装置の一例を表す模式図である。照明装置1400は、筐体1401と、光源1402と、回路基板1403と、光学フィルム1404と、光拡散部1405と、を有してよい。光源としては、有機EL表示装置10を使用することができる。光学フィルタは、光源の演色性を向上させるフィルタであってよい。光拡散部は、ライトアップ等、光源の光を効果的に拡散し、広い範囲に光を届けることができる。光学フィルタ、光拡散部は、照明の光射出側に設けられてよい。必要に応じて、最外部にカバーを設けてもよい。
【0067】
照明装置は、例えば室内を照明する装置である。照明装置は、白色、昼白色、その他青から赤のいずれの色を発光するものであってよい。それらを調光する調光回路を有してよい。照明装置は本発明の有機発光素子とそれに接続される電源回路を有してよい。電源回路は、交流電圧を直流電圧に変換する回路である。また、白とは色温度が4200Kで昼白色とは色温度が5000Kである。照明装置はカラーフィルタを有してもよい。また、照明装置は、放熱部を有していてもよい。放熱部は、装置内の熱を装置外へ放出するものであり、比熱の高い金属、液体シリコン等が挙げられる。
【0068】
図13(b)は、実施形態の移動体の一例である自動車の模式図である。当該自動車は灯具の一例であるテールランプを有する。自動車1500は、テールランプ1501を有し、ブレーキ操作等を行った際に、テールランプを点灯する形態であってよい。テールランプ1501としては、有機EL表示装置10を使用することができる。テールランプは、有機EL素子を保護する保護部材を有してよい。保護部材はある程度高い強度を有し、透明であれば材料は問わないが、ポリカーボネート等で構成されることが好ましい。ポリカーボネートにフランジカルボン酸誘導体、アクリロニトリル誘導体等を混ぜてよい。
【0069】
自動車1500は、車体1503、それに取り付けられている窓1502を有してよい。窓は、自動車の前後を確認するための窓でなければ、透明なディスプレイであってもよい。当該透明なディスプレイとしては、有機EL表示装置10を使用することができる。この場合、有機EL表示装置10が有する電極等の構成材料は透明な部材で構成される。
【0070】
移動体は、船舶、航空機、ドローン等であってよい。移動体は、機体と当該機体に設けられた灯具を有してよい。灯具は、機体の位置を知らせるための発光をしてよい。灯具は本実施形態に係る有機発光素子を有する。
【0071】
図14を参照して、実施形態の電子装置の例を説明する。電子装置は、例えば、スマートグラス、HMD、スマートコンタクトのようなウェアラブルデバイスでありうる。このような電子装置の表示部として有機EL表示装置10を使用することができる。
【0072】
図14(A)には、電子装置としての眼鏡1400(スマートグラス)の一例が示されている。眼鏡1400のレンズ1401の表面側に、CMOSセンサまたはSPADのような撮像装置1402が設けられている。また、レンズ1401の裏面側には、表示部が設けられている。該表示部としては、有機EL表示装置10を使用することができる。
【0073】
眼鏡1400は、制御装置1403をさらに備えうる。制御装置1403は、撮像装置1402と各実施形態に係る表示装置に電力を供給する電源として機能する。また、制御装置1403は、撮像装置1402と表示装置の動作を制御する。レンズ1401には、撮像装置1402に光を集光するための光学系が形成されている。
【0074】
図14(B)には、電子装置としての眼鏡1400(スマートグラス)の他の例が示されている。眼鏡1410は、制御装置1412を有しており、制御装置1412に、撮像装置と、表示装置とが搭載される。該表示装置としては、有機EL表示装置10を使用することができる。レンズ1411には、制御装置4312内の撮像装置と、表示装置からの発光を投影するための光学系が形成されており、レンズ1411には画像が投影される。制御装置1412は、撮像装置および表示装置に電力を供給する電源として機能するとともに、撮像装置および表示装置の動作を制御する。制御装置1412は、装着者の視線を検知する視線検知部を有してもよい。視線の検知は赤外線を用いてよい。赤外発光部は、表示画像を注視しているユーザーの眼球に対して、赤外光を発する。発せられた赤外光の眼球からの反射光を、受光素子を有する撮像部が検出することで眼球の撮像画像が得られる。平面視における赤外発光部から表示部への光を低減する低減手段を有することで、画像品位の低下を低減する。
【0075】
赤外光の撮像により得られた眼球の撮像画像から表示画像に対するユーザーの視線を検出する。眼球の撮像画像を用いた視線検出には任意の公知の手法が適用できる。一例として、角膜での照射光の反射によるプルキニエ像に基づく視線検出方法を用いることができる。より具体的には、瞳孔角膜反射法に基づく視線検出処理が行われる。瞳孔角膜反射法を用いて、眼球の撮像画像に含まれる瞳孔の像とプルキニエ像とに基づいて、眼球の向き(回転角度)を表す視線ベクトルが算出されることにより、ユーザーの視線が検出される。
【0076】
実施形態の表示装置は、受光素子を有する撮像装置を有し、撮像装置からのユーザーの視線情報に基づいて表示画像を制御してよい。具体的には、表示装置は、視線情報に基づいて、ユーザーが注視する第一の視界領域と、第一の視界領域以外の第二の視界領域とを決定しうる。第一の視界領域、第二の視界領域は、表示装置の制御装置が決定してもよいし、外部の制御装置が決定したものを受信してもよい。表示装置の表示領域において、第一の視界領域の表示解像度を第二の視界領域の表示解像度よりも高く制御してよい。つまり、第二の視界領域の解像度を第一の視界領域よりも低くしてよい。
【0077】
また、表示領域は、第一の表示領域、第一の表示領域とは異なる第二の表示領域とを有し、視線情報に基づいて、第一の表示領域および第二の表示領域から優先度が高い領域を決定される。第一の視界領域、第二の視界領域は、表示装置の制御装置が決定してもよいし、外部の制御装置が決定したものを受信してもよい。優先度の高い領域の解像度を、優先度が高い領域以外の領域の解像度よりも高く制御してよい。つまり優先度が相対的に低い領域の解像度を低くしてよい。
【0078】
なお、第一の視界領域や優先度が高い領域の決定には、AIを用いてもよい。AIは、眼球の画像と当該画像の眼球が実際に視ていた方向とを教師データとして、眼球の画像から視線の角度、視線の先の目的物までの距離を推定するよう構成されたモデルであってよい。AIプログラムは、表示装置が有しても、撮像装置が有しても、外部装置が有してもよい。外部装置が有する場合は、通信を介して、表示装置に伝えられる。
【0079】
視認検知に基づいて表示制御する場合、外部を撮像する撮像装置を更に有するスマートグラスに好ましく適用できる。スマートグラスは、撮像した外部情報をリアルタイムで表示することができる。
【0080】
以上説明した通り、本実施形態に係る有機発光素子を用いた装置を用いることにより、良好な画質で、長時間表示にも安定な表示が可能になる。
【0081】
以下、いくつかの実施例を説明する。
(実施例1)
図6に示される構成を有する表示装置を以下のように作製した。まず、基板1上にアルミニウムを形成し、これをパターニングすることによって第1発光素子、第2発光素子、第3発光素子の下部電極2を形成した。次に、下部電極2間に絶縁層5を形成した。絶縁層5は酸化シリコンで形成した。絶縁層5の層厚は65nmとした。各発光素子の絶縁層5に開口部を設け、第1発光領域、第2発光領域、第3発光領域とした。表示領域の中央部および外周部における第1発光領域、第2発光領域、第3発光領域の開口の幅をすべて3.8umとした。
【0082】
次に、下部電極2上に有機化合物層を形成した。具体的には、正孔注入層として下記の化合物1を3nmの厚さで形成した。次に、正孔輸送層として、下記化合物2を15nm、電子ブロック層として下記化合物3を10nmの厚さで形成した。
【0083】
第1発光層は、ホスト材料として下記化合物4を重量比97%、発光ドーパントとして下記化合物5を重量比3%となるように、10nmの厚さで形成した。第2発光層は、ホスト材料として下記化合物4を重量比98%、発光ドーパントとして下記化合物56と下記化合物67をそれぞれ重量比1%となるように、10nmの厚さで形成した。電子輸送層は、下記化合物8を110nmの厚さで形成した。電子注入層はフッ化リチウムを1nmの厚さで形成した。
【0084】
【0085】
次に、上部電極4としてMgAg合金を10nmの厚さで形成した。MgとAgとの比率は1:1とした。その後、保護層6としてCVD法にてSiN膜を2μmの厚さで形成した。さらにSiN膜上に平坦化層7をスピンコートにより300nmの厚さで形成した。
【0086】
次に、カラーフィルタ層CFLを平坦化層7の上に形成した。第1カラーフィルタは青成分を透過するカラーフィルタ、第2カラーフィルタは赤成分を透過するカラーフィルタ、第3カラーフィルタは緑成分を透過するカラーフィルタとした。
【0087】
表示領域の中央部の第1画素においては、第1遮光領域として、第1カラーフィルタと第2カラーフィルタを平面視で重なるように形成し、重なり量を0.1μmとした。さらに第1遮光領域として、第1カラーフィルタと第3カラーフィルタを平面視で重なるように形成し、重なり量を0.1μmとした。表示領域の中央部の第1画素における第1カラーフィルタの開口(第1発光素子の開口)の大きさは5.0μmとなり、中央部の第1画素の第1発光領域の大きさに対する第1カラーフィルタの開口の大きさの比率は1.32であった。
【0088】
表示領域の周辺部の第2画素においては、第1遮光領域として、第1カラーフィルタの端部と第2カラーフィルタの端部を平面視で重なるように形成し、重なり量は0.4μmとした。更に、第1遮光領域として、第1カラーフィルタの端部と第3カラーフィルタの端部を平面視で重なるように形成し、重なり量は0.4μmとした。
【0089】
表示領域の周辺部の第2画素における第1カラーフィルタの開口(第1発光素子の開口)の大きさは4.4μmとなり、周辺部の第2画素の第1発光領域の大きさに対する第1遮光領域の開口の大きさの比率は1.16であった。
【0090】
以上より、実施例1では、第1発光素子の発光領域の大きさに対する第1カラーフィルタの開口(第1発光素子の開口)の大きさの比率が中央部に配置された第1画素よりも周辺部に配置された第2画素が小さい表示装置が作製された。この構成により、画素間の色度の差が低減される効果が確認された。加えて、この構成により、消費電力が低減されることが確認された。
(実施例2)
実施例2では、カラーフィルタおよび第1遮光領域の他は、実施例1と同様にして表示装置を作製した。
【0091】
第1遮光領域として、平坦化層上に黒色樹脂材料を形成した。黒色樹脂材料は、第1発光素子と第2発光素子との境界、および、第1発光素子と第3発光素子の境界の双方における第1発光素子側に形成した。表示領域の中央部の第1画素においては、黒色樹脂材料の幅(大きさ)を0.1umとした。これにより、表示領域の中央部の第1画素では、後に形成される第1カラーフィルタの開口の大きさが5.0μmに設定され、第1発光領域の大きさに対する第1カラーフィルタの開口(第1発光素子の開口)の大きさの比率は1.32に設定された。
【0092】
表示領域の周辺部の第2画素では、黒色樹脂材料の幅(大きさ)を0.4umとした。これにより、表示領域の周辺部の第2画素では、後に形成される第1カラーフィルタの開口(第1発光素子の開口)の大きさが4.4μmに設定され、第1発光領域の大きさに対する第1カラーフィルタの開口の大きさの比率が1.16に設定された。
【0093】
黒色樹脂材料の上に第1カラーフィルタ、第2カラーフィルタおよび第3カラーフィルタを形成した。表示領域の中央部および周辺部において、第1カラーフィルタと第2カラーフィルタを平面視で重なるように形成し、重なり量を0.1μmとした。更に、第1カラーフィルタと第3カラーフィルタを平面視で重なるように形成し、重なり量を0.1μmとした。
【0094】
以上より、実施例2では、第1発光素子の発光領域の大きさに対する第1カラーフィルタの開口(第1発光素子の開口)の大きさの比率が中央部に配置された第1画素よりも周辺部に配置された第2画素が小さい表示装置が作製された。この構成により、画素間の色度の差が低減される効果が確認された。加えて、この構成により、消費電力が低減されることが確認された。
(実施例3)
実施例3では、第1発光領域および第1遮光領域の他は、実施例1と同様にして表示装置を作製した。
【0095】
表示領域は中央部の第1画素では、第1発光領域の開口幅(大きさ)を3.5μmとした。中央部の第2発光領域、3発光領域の開口幅をすべて3.8umとした。表示領域の周辺部の第2画素における第1発光領域、第2発光領域、第3発光領域の開口幅をすべて3.8umとした。
【0096】
カラーフィルタについては、表示領域の中央部および周辺部において、第1カラーフィルタと第2カラーフィルタを平面視で重なるように形成し、重なり量を0.1μmとした。更に、第1カラーフィルタと第3カラーフィルタを平面視で重なるように形成し、重なり量を0.1μmとした。表示領域の中央部および周辺部における第1カラーフィルタの開口の大きさを4.4μmとした。
【0097】
表示領域の中央部の第1画素では、第1発光領域の大きさに対する第1カラーフィルタの開口(第1発光素子の開口)の大きさの比率は1.26であった。表示領域の周辺部の第2画素では、第1発光領域の大きさに対する第1カラーフィルタの開口(第1発光素子の開口)の大きさの比率は1.16であった。
【0098】
以上より、実施例3では、第1発光素子の発光領域の大きさに対する第1カラーフィルタの開口の大きさ(第1発光素子の開口)の比率が中央部に配置された第1画素よりも周辺部に配置された第2画素が小さい表示装置が作製された。この構成により、画素間の色度の差が低減される効果が確認された。加えて、この構成により、消費電力が低減されることが確認された。
【0099】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0100】
DA:表示領域、P1:第1画素、P3:第2画素、CFL:カラーフィルタ層、103a:開口、103b:開口、104a:遮光領域、104b:遮光領域、101、カラーフィルタ、201:カラーフィルタ、301:カラーフィルタ