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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】浴室暖房乾燥機
(51)【国際特許分類】
   F24D 15/00 20220101AFI20240325BHJP
   F24F 11/39 20180101ALI20240325BHJP
   F26B 9/02 20060101ALI20240325BHJP
   F26B 25/00 20060101ALI20240325BHJP
【FI】
F24D15/00 B
F24F11/39
F26B9/02 A
F26B25/00 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020055402
(22)【出願日】2020-03-26
(65)【公開番号】P2021156469
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】中島 匠
【審査官】古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-020676(JP,A)
【文献】特開2014-156970(JP,A)
【文献】特開2018-128156(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24D 1/00-19/10
F24F 1/00-13/32
F26B 9/02,25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源機の熱により加熱された熱媒が通流する熱交換器と、
浴室の空気の吸入口に装着されるフィルタと、
ファンモータを有し、前記吸入口を介して吸引した空気を前記熱交換器により加熱して浴室内に循環させる循環ファンと、
前記熱交換器の熱媒入口側に設けられ前記熱媒の温度を検出する第一温度センサと、
前記熱交換器の熱媒出口側に設けられ前記熱媒の温度を検出する第二温度センサと、
前記フィルタの目詰まりによるフィルタ異常と、前記熱交換器の目詰まりによる熱交換器異常と、前記フィルタ異常及び前記熱交換器異常ではない正常判定と、のうちいずれに該当するか区別して判定する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第一温度センサで検出された第一温度と前記第二温度センサで検出された第二温度との温度差が、予め設定された第1閾値よりも大きい場合に、前記正常判定に該当すると判定し、前記第一温度と前記第二温度との温度差が予め設定された第1閾値以下である場合に、前記ファンモータの電流値または電力値に基づいて、前記フィルタ異常と、前記熱交換器異常とのうちいずれに該当するかを判定する浴室暖房乾燥機。
【請求項2】
前記循環ファンは、空気の流量が所定の流量になるように回転数を制御するフィードバック制御が実行されるよう構成され、
前記制御部は、前記第一温度と前記第二温度との温度差が、予め設定された第1閾値以下であり、且つ、前記ファンモータの電流値または電力値が、予め設定された第2閾値以上の場合に、前記フィルタ異常と判定し、前記第一温度と前記第二温度との温度差が、予め設定された第1閾値以下であり、且つ、前記ファンモータの電流値または電力値が前記第2閾値よりも低い場合に、前記熱交換器異常と判定する請求項1に記載の浴室暖房乾燥機。
【請求項3】
前記制御部は、前記第一温度と前記第二温度との温度差が、予め設定された第1閾値以下であり、且つ、前記ファンモータの電流値または電力値が前記第2閾値よりも低い状態が所定時間継続した場合に、前記熱交換器異常と判定する請求項2に記載の浴室暖房乾燥機。
【請求項4】
前記循環ファンは、所定の回転数で運転する制御が実行されるよう構成され、
前記制御部は、前記第一温度と前記第二温度との温度差が、予め設定された第1閾値以下であり、且つ、前記ファンモータの電流値又は電力値が、予め設定された第3閾値以下の場合に、前記フィルタ異常と判定し、前記第一温度と前記第二温度との温度差が、予め設定された第1閾値以下であり、且つ、前記ファンモータの電流値または電力値が前記第3閾値よりも高い場合に、前記熱交換器異常と判定する請求項1に記載の浴室暖房乾燥機。
【請求項5】
前記制御部は、前記第一温度と前記第二温度との温度差が、予め設定された第1閾値以下であり、且つ、前記ファンモータの電流値または電力値が前記第3閾値よりも高い状態が所定時間継続した場合に、前記熱交換器異常と判定する請求項4に記載の浴室暖房乾燥機。
【請求項6】
前記制御部が前記フィルタ異常又は前記熱交換器異常と判定したときに、前記制御部の判定結果を報知する報知部をさらに備える請求項1から5のいずれか一項に記載の浴室暖房乾燥機。
【請求項7】
前記循環ファンは、前記フィルタ及び前記熱交換器の下流側に配置されている請求項1から6のいずれか一項に記載の浴室暖房乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室暖房乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室の天井壁等に、循環ファン及び換気ファンの送風手段と、熱交換器を備える暖房乾燥機本体を埋設した浴室暖房乾燥機が知られている。この種の浴室暖房乾燥機は、浴室内を冷却するための涼風運転、浴室内を暖房するための暖房運転の他、浴室内の空気を屋外に排気するための換気運転や、さらに浴室内で洗濯物を乾燥させるための乾燥運転など、複数の運転モードを有している。
【0003】
上記のような浴室暖房乾燥機では、浴室の空気が浴室暖房乾燥機の本体内に吸い込まれる際に、空気中の塵埃を除去するため、取り入れ口にフィルタが装着されている。この場合、運転時間の経過に伴って、フィルタに目詰まりが生じ、循環性能あるいは換気性能が低下する。特許文献1に記載の浴室暖房乾燥機では、運転初期電流値と運転時電流値との差が所定の閾値より高くなった場合に、フィルタが目詰まりしたと判定し、その判断に基づいてフィルタ清掃が必要である旨を報知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-164191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
浴室暖房乾燥機では、フィルタの他に、熱媒と空気との間で熱交換して空気を加熱する熱交換器においても塵や埃の付着によって目詰まりが生じることがある。熱交換器に目詰まりが発生すると、熱交換を行う空気の風量が小さくなるため、熱交換効率が低下する。このため、浴室暖房乾燥機は暖房機能を効率よく利用することができない。フィルタの目詰まりは、目視や、特許文献1に記載の技術等を用いることで検知可能である。一方、熱交換器の目詰まりは、浴室暖房乾燥機に内蔵されており目視が困難なうえ、フィルタの目詰まりと区別して検知することは困難であった。
【0006】
上記実情に鑑み、目詰まりによるフィルタの異常と熱交換器の異常とを区別して検知可能な浴室暖房乾燥機が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る浴室暖房乾燥機の特徴構成は、
熱源機の熱により加熱された熱媒が通流する熱交換器と、
浴室の空気の吸入口に装着されるフィルタと、
ファンモータを有し、前記吸入口を介して吸引した空気を前記熱交換器により加熱して浴室内に循環させる循環ファンと、
前記熱交換器の熱媒入口側に設けられ前記熱媒の温度を検出する第一温度センサと、
前記熱交換器の熱媒出口側に設けられ前記熱媒の温度を検出する第二温度センサと、
前記フィルタの目詰まりによるフィルタ異常と、前記熱交換器の目詰まりによる熱交換器異常と、前記フィルタ異常及び前記熱交換器異常ではない正常判定と、のうちいずれに該当するか区別して判定する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第一温度センサで検出された第一温度と前記第二温度センサで検出された第二温度との温度差が、予め設定された第1閾値よりも大きい場合に、前記正常判定に該当すると判定し、前記第一温度と前記第二温度との温度差が予め設定された第1閾値以下である場合に、前記ファンモータの電流値または電力値に基づいて、前記フィルタ異常と、前記熱交換器異常とのうちいずれに該当するかを判定する点にある。
【0008】
本特徴構成によれば、熱交換器の熱媒入口側の熱媒の第一温度と熱媒出口側の熱媒の第二温度との温度差と、ファンモータの電流値または電力値に基づいて、フィルタの目詰まりによるフィルタ異常と熱交換器の目詰まりによる熱交換器異常とを容易に区別して検出することができる。フィルタの目詰まりは、例えば使用者がフィルタの交換や清掃を行うことで対応可能である。一方、熱交換器の目詰まりは、使用者では対応が困難であるため、例えば業者に依頼する等の対応が必要になる。したがって、フィルタ異常及び熱交換器異常を個別に検知できることで、目詰まり箇所に応じた対応をスムーズに行うことができる。
【0009】
本発明に係る浴室暖房乾燥機の更なる特徴構成は、
前記循環ファンは、空気の流量が所定の流量になるように回転数を制御するフィードバック制御が実行されるよう構成され、
前記制御部は、前記第一温度と前記第二温度との温度差が、予め設定された第1閾値以下であり、且つ、前記ファンモータの電流値または電力値が、予め設定された第2閾値以上の場合に、前記フィルタ異常と判定し、前記第一温度と前記第二温度との温度差が、予め設定された第1閾値以下であり、且つ、前記ファンモータの電流値または電力値が前記第2閾値よりも低い場合に、前記熱交換器異常と判定する点にある。
【0010】
浴室暖房乾燥機の運転中において、フィルタ及び熱交換器には目詰まりが発生すると、空気の流れが悪くなるため、熱交換器による熱交換効率が悪くなる。そのため、熱交換器の熱媒入口側の熱媒温度である第一温度と熱交換器の熱媒出口側の熱媒温度である第二温度との温度差は、所定の第1閾値以下になる。したがって、第一温度と第二温度との温度差が、予め設定された第1閾値以下の場合に、フィルタ及び熱交換器のいずれかの異常と判定することができる。
【0011】
加えて、フィルタはメッシュが細かいため、フィルタに目詰まりが発生すると、フィルタからの吸気量が大きく低下する。ここで、フィードバック制御される循環ファンでは、低下した吸気量を目標とする吸気量にするために循環ファンの回転数を上昇させる制御が行われる。したがって、フィルタに目詰まりが発生すると、ファンモータの電流値または電力値が上昇する。一方、熱交換器は、例えばフィンチューブを用いて熱交換を行うものであり、フィンチューブのフィンはフィルタに比べてメッシュが粗い。したがって、熱交換器に目詰まりが発生しても循環ファンの回転数への影響は小さく、ファンモータの電流値または電力値の変動が少ない。
【0012】
そこで、本構成では、制御部が、第一温度と第二温度との温度差が、予め設定された第1閾値以下であり、且つ、ファンモータの電流値または電力値が、予め設定された第2閾値以上の場合に、フィルタ異常と判定し、第一温度と第二温度との温度差が、予め設定された第1閾値以下であり、且つ、ファンモータの電流値または電力値が第2閾値よりも低い場合に、熱交換器異常と判定する。これにより、循環ファンがフィードバック制御される場合において、フィルタ異常及び熱交換器異常を確実に区別して検知することができる。
【0013】
本発明に係る浴室暖房乾燥機の更なる特徴構成は、
前記制御部は、前記第一温度と前記第二温度との温度差が、予め設定された第1閾値以下であり、且つ、前記ファンモータの電流値または電力値が前記第2閾値よりも低い状態が所定時間継続した場合に、前記熱交換器異常と判定する点にある。
【0014】
ファンモータの電流値または電力値が第2閾値よりも低い場合には、熱交換器異常の可能性が高い。しかしながら、フィルタは、熱交換器に比べてメッシュが細かいため、熱交換器よりも目詰まりが発生し易い。そのため、短時間後にフィルタが目詰まりしてファンモータの電流値または電力値が第2閾値以上になることがある。そこで、本構成では、制御部は、第一温度と前記第二温度との温度差が、予め設定された第1閾値以下であり、且つ、ファンモータの電流値または電力値が第2閾値よりも低い状態が所定時間継続した場合に、熱交換器異常と判定する。これにより、循環ファンがフィードバック制御される場合に、フィルタ異常及び熱交換器異常をより確実に区別して検知することができる。
【0015】
本発明に係る浴室暖房乾燥機の更なる特徴構成は、
前記循環ファンは、所定の回転数で運転する制御が実行されるよう構成され、
前記制御部は、前記第一温度と前記第二温度との温度差が、予め設定された第1閾値以下であり、且つ、前記ファンモータの電流値又は電力値が、予め設定された第3閾値以下の場合に、前記フィルタ異常と判定し、前記第一温度と前記第二温度との温度差が、予め設定された第1閾値以下であり、且つ、前記ファンモータの電流値または電力値が前記第3閾値よりも高い場合に、前記熱交換器異常と判定する点にある。
【0016】
浴室暖房乾燥機の運転中において、フィルタ及び熱交換器には目詰まりが発生すると、空気の流れが悪くなるため、熱交換器による熱交換効率が悪くなる。そのため、熱交換器の熱媒入口側の熱媒温度である第一温度と熱交換器の熱媒出口側の熱媒温度である第二温度との温度差は、所定の第1閾値以下になる。したがって、第一温度と第二温度との温度差が、予め設定された第1閾値以下の場合に、フィルタ及び熱交換器のいずれかの異常と判定することができる。
【0017】
加えて、循環ファンにおいて所定の回転数で運転する制御が実行される場合には、フィルタに目詰まりによる異常が発生すると、メッシュが細かいことから顕著に吸気量が低下し、それに付随して循環ファンの仕事量が低下する。したがって、フィルタに目詰まりが発生すると、ファンモータの電流値または電力値が低下する。一方、熱交換器に目詰まりが発生しても循環ファンの回転数への影響は小さく、ファンモータの電流値または電力値の変動が少ない。
【0018】
そのため、本構成では、制御部が、第一温度と第二温度との温度差が、予め設定された第1閾値以下であり、且つ、ファンモータの電流値または電力値が、予め設定された第3閾値以下のときに、フィルタ異常と判定し、ファンモータの電流値または電力値が第3閾値よりも高い状態が所定時間継続したときに、熱交換器異常と判定する。これにより、循環ファンが所定の回転数で運転する制御が実行される場合に、フィルタ異常と熱交換器異常とを確実に区別して検知することができる。
【0019】
本発明に係る浴室暖房乾燥機の更なる特徴構成は、
前記制御部は、前記第一温度と前記第二温度との温度差が、予め設定された第1閾値以下であり、且つ、前記ファンモータの電流値または電力値が前記第3閾値よりも高い状態が所定時間継続した場合に、前記熱交換器異常と判定する点にある。
【0020】
ファンモータの電流値または電力値が第3閾値よりも高い場合には、熱交換器異常の可能性が高い。しかしながら、フィルタは、熱交換器に比べてメッシュが細かいため、熱交換器よりも目詰まりが発生し易い。そのため、短時間後にフィルタが目詰まりしてファンモータの電流値または電力値が第3閾値以下になることがある。そこで、本構成では、制御部は、第一温度と前記第二温度との温度差が、予め設定された第1閾値以下であり、且つ、ファンモータの電流値または電力値が第3閾値よりも高い状態が所定時間継続した場合に、熱交換器異常と判定する。これにより、循環ファンがフィードバック制御される場合において、フィルタ異常及び熱交換器異常をより確実に区別して検知することができる。
【0021】
本発明に係る浴室暖房乾燥機の更なる特徴構成は、
前記制御部が前記フィルタ異常または前記熱交換器異常を判定したときに、前記制御部の判定結果を報知する報知部をさらに備える点にある。
【0022】
本特徴構成によれば、報知部によって報知される判定結果によって、目詰まりによるフィルタ異常及び熱交換器異常を確実に認識することができ、異常箇所に応じた対応をスムーズに行うことができる。
【0023】
本発明に係る浴室暖房乾燥機の更なる特徴構成は、
前記循環ファンは、前記フィルタ及び前記熱交換器の下流側に配置されている点にある。
【0024】
本特徴構成によれば、循環ファンが吸入口からフィルタを通して浴室から吸引する空気は、熱交換器の近くを通過して加熱されるようになる。これにより、循環ファンは、熱交換器によって加熱された空気を浴室内に適正に循環させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本実施形態の浴室暖房乾燥機の概略構成を示す図である。
図2】浴室暖房乾燥機の装置本体の断面図である。
図3】循環ファンがフィードバック制御される場合において、フィルタ異常及び熱交換器異常を判定するフローチャートである。
図4】循環ファンが所定の回転数で運転する制御が実行される場合において、フィルタ異常及び熱交換器異常を判定するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面に基づいて、本発明に係る浴室暖房乾燥機の実施形態を説明する。
【0027】
[第1実施形態]
図1及び図2に示すように、浴室暖房乾燥機100は、装置本体Mと、装置本体Mに加熱した熱媒を循環供給する熱源機Gと、浴室暖房乾燥機100の運転を制御する制御部としての運転制御部Cと、運転制御部Cに各種制御指令を指令する浴室リモコンR1及び脱衣室リモコンR2とを備えて構成されている。浴室リモコンR1(報知部の一例)は、浴室B内に備えられ、脱衣室リモコンR2(報知部の一例)は、浴室Bに隣接する脱衣室に備えられる。
【0028】
装置本体Mは、本体ケーシング1(本体の一例)と、その下方に設けられたグリル板2とで構成されている。そして、本体ケーシング1が浴室Bの天井裏に配置され、グリル板2が天井板10の浴室側の天井面に配設されている。尚、装置本体Mは、吊り金具11にて、天井スラブ等に吊り下げ支持される。また、ダクト接続部E(排気導風ボックス14)に接続された排気ダクト5は、浴室Bの天井裏を這わして先端を外壁等から屋外に臨ませるように施工される。
【0029】
本体ケーシング1は、下方が略全体にわたって開口した概ね直方体形状の箱状に構成されている。本体ケーシング1内には、循環ファン6、排気ファン7、熱交換器9等が装備されている。循環ファン6は、吸入口3から吸い込んだ空気を吹出口4から吹き出すように通風作用する。排気ファン7は、吸入口3から吸い込んだ空気を本体ケーシング1外に排出する。熱交換器9は、循環ファン6により通風される空気を熱源機Gから熱媒循環路8を通して循環供給される熱媒にて加熱する。
【0030】
グリル板2には、空気の吸入口3及び吹出口4が形成され、本体ケーシング1の下方の開口を塞ぐ状態で装備されている。吸入口3にはフィルタ20が着脱自在に設けられている。また、吸入口3には格子状に形成された吸入口フィン3cが設けられている。
【0031】
図2に示すように、本体ケーシング1の内部に、中抜き矢印にて示す如く吸入口3を通して浴室B内の空気を吸い込んで吹出口4を通して吹き出すための循環通風路18が、導風板16により区画形成されている。循環通風路18は、導風板16により、本体ケーシング1の内部における排気口13が臨む空間部分と区画されている。循環通風路18内に、循環ファン6が、吸入口3に吸込み作用すると共に、吸入口3から吸い込んだ空気を吹出口4に向けて吐出するように通風作用する状態で設けられている。循環ファン6は、駆動源としてファンモータ6aを有する。また、ファンモータ6aの電流値Aは運転制御部Cに出力可能に構成されている。
【0032】
熱交換器9が、循環通風路18内における循環ファン6よりも通風方向上流側に設けられて、熱源機Gから熱媒循環路8を通して循環供給される熱媒との熱交換により、循環通風路18内を通風する空気を加熱するよう構成されている。ちなみに、熱交換器9は、一対の熱交換器部分にて構成され、これら一対の熱交換部分が正面視でL字状に配設されている。つまり、循環ファン6の通風作用により、吸入口3及びフィルタ20を通して吸い込まれた浴室B内の空気が、熱交換器9にて加熱された後、吹出口4を通して浴室B内に吹き出されるように構成されており、これにより、浴室B内が暖房される暖房運転及び乾燥運転が行われる。浴室暖房運転は浴室リモコンR1及び脱衣室リモコンR2からの指令により実施される。
【0033】
熱媒循環路8には、第一温度センサ21及び第二温度センサ22が備えられている。第一温度センサ21は、熱交換器9の熱媒入口側に設けられて熱媒循環路8を流れる熱媒の入口温度(第一温度T1)を検出する。第二温度センサ22は、熱交換器9の熱媒出口側に設けられて熱媒循環路8を流れる熱媒の出口温度(第二温度T2)を検出する。第一温度T1及び第二温度T2は運転制御部Cに出力可能に構成されている。
【0034】
また、吹出口4には、電動モータ(図示省略)により揺動駆動される可動ルーバ19が設けられ、可動ルーバ19により、吹出口4から浴室B内に吹き出される空気の風向が変更可能なように構成されている。
【0035】
排気ファン7が、本体ケーシング1の内部において、排気口13が形成された内側面と導風板16との間の部分に設けられたファンケース7a内に設けられている。また、排気ファン7を回転駆動する電動モータ7bがファンケース7aの上面に配置されている。また、図示を省略するが、排気口13が形成された内側面と導風板16との間の排気ファン7が配設された空間部分は、循環通風路18内における熱交換器9よりも通風方向下流側の部分に連通するように構成されている。
【0036】
浴室暖房乾燥機100は、運転モードとして、暖房運転モード及び乾燥運転モードの他に、換気運転モードと涼風運転モードとを有しており、各運転モードで送風量が変更可能に構成されている。換気運転は、暖房運転または乾燥運転時に循環ファン6を作動させつつ排気ファン7を作動させて浴室Bの空気の一部を屋外に排出する、または、循環ファン6が停止した状態で排気ファン7を作動させて浴室Bの空気を排出する。涼風運転は、熱交換器9による空気の加熱がされない状態で循環ファン6を作動させて浴室B内に涼風を供給しつつ排気ファン7を作動させて浴室Bの空気を換気する。リモコンR1、R2は、各運転モード、目標温度、運転時間等の運転条件を設定することができる。
【0037】
図1及び図2に示す浴室暖房乾燥機100の使用期間が長くなるにつれて、フィルタ20や熱交換器9のフィン(図示せず)に塵や埃が付着し、フィルタ20や熱交換器9に目詰まりが生じることがある。フィルタ20または熱交換器9に目詰まりが生じると、通風抵抗が増加して空気の通風が抑制されるため、熱交換効率が低下する。
【0038】
ここで、循環ファン6は、空気の流量が所定の流量になるように回転数を制御するフィードバック制御が実行されるように構成されている。したがって、フィルタ20や熱交換器9に目詰まりが生じた場合には、循環ファン6は所定の流量を維持するためにファンモータ6aの電流値を高めることになる。
【0039】
浴室暖房乾燥機100は、運転制御部Cにおいて、フィルタ20の目詰まりによるフィルタ異常と、熱交換器9の目詰まりによる熱交換器異常とを判定するよう構成されている。運転制御部Cによる判定制御について図3を参照して説明する。本判定制御は、熱交換器9において熱交換が行われる暖房運転及び乾燥運転の実行時に行われれる。
【0040】
運転制御部Cは、図3に示すフローチャートの判定動作を行う。ステップ#1において、暖房運転または乾燥運転が開始される。このとき、循環ファン6が回転駆動し、熱源機Gから熱媒が熱媒循環路8を通して循環供給される。また、熱交換器9によって加熱された空気が循環ファン6によって浴室B内に供給される。ステップ#2において、熱媒循環路8の熱交換器9への導入前の第一温度T1と導入後の第二温度T2との温度差ΔTと、予め設定された閾値α1(第1閾値の一例)とが比較される。温度差ΔTが閾値α1よりも大きいときは(ステップ#2、Yes)、熱交換器9において適正に熱交換が行われているため、ステップ#4において正常判定されて暖房運転または乾燥運転が継続される。
【0041】
温度差ΔTが閾値α1以下のときは(ステップ#2、No)、熱交換器9において適正に熱交換が行われていないため、ステップ#3において、循環ファン6のファンモータ6aの電流値Aと予め設定された閾値α2(第2閾値の一例)とが比較される。電流値Aが閾値α2以上のときは(ステップ#3、Yes)、ステップ#5においてフィルタ20の目詰まりによるフィルタ異常と判定し、ステップ#6においてリモコンR1、R2へのエラー表示(当該判定結果の表示)を実行する。
【0042】
ステップ#3において電流値Aが閾値α2未満のときは(ステップ#3、No)、時間経過により電流値Aが閾値α2以上になる可能性があるため、ステップ#7において所定時間t1(例えば5分)経過後に電流値Aと閾値α2とを再度比較する。電流値Aが閾値α2以上のときは(ステップ#7、Yes)、ステップ#5においてフィルタ異常と判定し、ステップ#6においてリモコンR1、R2へのエラー表示(当該判定結果の表示)を実行する。電流値Aが閾値α2未満のときは(ステップ#7、No)、ステップ#8において所定時間t2(例えば5分)経過後に電流値Aと閾値α2とを再度比較する。なお、所定時間t1と所定時間t2とは異なる時間であってもよい。
【0043】
電流値Aが閾値α2以上のときは(ステップ#8、Yes)、ステップ#5においてフィルタ異常と判定し、ステップ#6においてリモコンR1、R2へのエラー表示を実行する。電流値Aが閾値α2未満のときは(ステップ#8、No)、ステップ#9において熱交換器異常と判定し、ステップ#10においてリモコンR1、R2へのエラー表示(当該判定結果の表示)を実行する。
【0044】
上記のフィルタ異常及び熱交換器異常の判定制御は、暖房運転または乾燥運転が終了するまで行われる(ステップ#11)。
【0045】
運転制御部Cによる上記判定制御により、循環ファン6が空気の流量が所定の流量になるように回転数を制御するフィードバック制御が実行される場合において、フィルタ20の目詰まりによるフィルタ異常と熱交換器9の目詰まりによる熱交換器異常とを確実に区別して検出することができる。フィルタ20の目詰まりは、例えば使用者がフィルタ20の交換や清掃を行うことで対応可能である。一方、熱交換器9の目詰まりは、使用者では対応が困難であるため、例えば業者に依頼する等の対応が必要になる。したがって、フィルタ異常と熱交換器異常とを個別に検知できることで、目詰まり箇所に応じた対応をスムーズに行うことができる。
【0046】
[第2実施形態]
上記の第1実施形態では、循環ファン6は、空気の流量が所定の流量になるように回転数を制御するフィードバック制御が実行されるように構成される例を示した。本実施形態では、循環ファン6は、上記のフィードバック制御は実行されずに、所定の回転数で運転する制御が実行されるように構成されている。この場合には、フィルタ20に目詰まりが生じると、循環ファン6は通風抵抗を受けて回転数が低下し、ファンモータ6aの電流値Aも低下する。したがって、運転制御部Cによる判定制御は上記の実施形態とは一部が異なることになる。
【0047】
運転制御部Cは、図4に示すフローチャートの判定動作を行う。ステップ#21において、暖房運転または乾燥運転が開始される。このとき、循環ファン6が回転駆動し、熱源機Gから熱媒が熱媒循環路8を通して循環供給される。また、熱交換器9によって加熱された空気が循環ファン6によって浴室B内に供給される。ステップ#22において、熱媒循環路8の熱交換器9への導入前の第一温度T1と導入後の第二温度T2との温度差ΔTと、予め設定された閾値α1とが比較される。温度差ΔTが閾値α1よりも大きいときは(ステップ#22、Yes)、熱交換器9において適正に熱交換が行われているため、ステップ#24において正常判定されて暖房運転または乾燥運転が継続される。
【0048】
温度差ΔTが閾値α1以下のときは(ステップ#22、No)、熱交換器9において適正に熱交換が行われていないため、ステップ#23において、循環ファン6のファンモータ6aの電流値Aと予め設定された閾値α3(第3閾値の一例)とが比較される。電流値Aが閾値α3以下のときは(ステップ#23、Yes)、ステップ#25においてフィルタ異常と判定し、ステップ#26においてリモコンR1、R2へのエラー表示(当該判定結果の表示)を実行する。
【0049】
ステップ#23において電流値Aが閾値α3超のときは(ステップ#23、No)、時間経過により電流値Aが閾値α3以下になる可能性があるため、ステップ#27において所定時間t1(例えば5分)経過後に電流値Aと閾値α3とを再度比較する。電流値Aが閾値α3以下のときは(ステップ#27、Yes)、ステップ#25においてフィルタ異常と判定し、ステップ#26においてリモコンR1、R2へのエラー表示(当該判定結果の表示)を実行する。電流値Aが閾値α3超のときは(ステップ#27、No)、ステップ#28において所定時間t2(例えば5分)経過後に電流値Aと閾値α3とを再度比較する。なお、所定時間t1と所定時間t2とは異なる時間であってもよい。
【0050】
電流値Aが閾値α3以下のときは(ステップ#28、Yes)、ステップ#25においてフィルタ異常と判定し、ステップ#26においてリモコンR1、R2へのエラー表示(当該判定結果の表示)を実行する。電流値Aが閾値α3超のときは(ステップ#28、No)、ステップ#29において熱交換器異常と判定し、ステップ#30においてリモコンR1、R2へのエラー表示(当該判定結果の表示)を実行する。
【0051】
上記のフィルタ異常及び熱交換器異常の判定制御は、暖房運転または乾燥運転が終了するまで行われる(ステップ#31)。
【0052】
運転制御部Cによる上記判定制御により、循環ファン6において所定の回転数で運転する制御が実行される場合に、フィルタ20の目詰まりによるフィルタ異常と熱交換器9の目詰まりによる熱交換器異常とを確実に区別して検出することができる。
【0053】
[別実施形態]
(1)上記の第1実施形態では、運転制御部Cは、熱媒の入口温度(第一温度T1)と熱媒の出口温度(第二温度T2)との温度差ΔTが、予め設定された閾値α1以下であり、且つ、ファンモータ6aの電流値Aが閾値α2よりも低い状態が所定時間継続した場合に、熱交換器異常と判定する例を示した。これに代えて、運転制御部Cは、第一温度T1と第二温度T2との温度差ΔTが、予め設定された閾値α1以下であり、且つ、ファンモータ6aの電流値Aが閾値α2よりも低い場合に、即座に熱交換器異常と判定してもよい。
【0054】
(2)上記の第2実施形態では、運転制御部Cは、熱媒の入口温度(第一温度T1)と熱媒の出口温度(第二温度T2)との温度差ΔTが、予め設定された閾値α1以下であり、且つ、ファンモータ6aの電流値Aが閾値α3よりも高い状態が所定時間継続した場合に、熱交換器異常と判定する例を示した。これに代えて、運転制御部Cは、第一温度T1と第二温度T2との温度差ΔTが、予め設定された閾値α1以下であり、且つ、ファンモータ6aの電流値Aが閾値α3よりも高い場合に、即座に熱交換器異常と判定してもよい。
【0055】
(3)上記の実施形態では、ファンモータ6aの電流値Aに基づいて、フィルタ異常及び熱交換器異常が判定される例について説明したが、これに限らない。すなわち、ファンモータ6aの電力値に基づいて、運転制御部Cが、フィルタ異常及び熱交換器異常を判定するようにしてもよい。ファンモータ6aに印加される電圧は略一定であることが多く、電流値(実効値)と電力値とが比例関係になるからである。
【0056】
(4)上記の実施形態においては、浴室リモコンR1及び脱衣室リモコンR2を介して運転制御部Cに入力する構成の一例を示したが、熱源機Gや台所に設けられる台所リモコン(不図示)を介して運転制御部Cに入力する構成でもよい。運転制御部Cの判定結果は、リモコンR1,R2以外にスマートフォン等の携帯端末に報知してもよい。
【0057】
尚、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、フィルタ及び熱交換器を備える各種の浴室暖房乾燥機に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0059】
3 :吸入口
4 :吹出口
6 :循環ファン
6a :ファンモータ
8 :熱媒循環路
9 :熱交換器
18 :循環通風路
20 :フィルタ
21 :第一温度センサ
22 :第二温度センサ
100 :浴室暖房乾燥機
A :電流値
B :浴室
C :運転制御部
E :ダクト接続部
G :熱源機
M :装置本体
R1 :浴室リモコン
R2 :脱衣室リモコン
T1 :入口温度(第一温度)
T2 :出口温度(第二温度)
t1,t2:所定時間
ΔT :温度差
α1 :閾値(第1閾値)
α2 :閾値(第2閾値)
α3 :閾値(第3閾値)
図1
図2
図3
図4