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▶ ハイデルベルガー ドルツクマシーネン アクチエンゲゼルシヤフトの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】回転体の表面の隆起部を測定する装置
(51)【国際特許分類】
   B41F 33/14 20060101AFI20240325BHJP
   B41F 5/24 20060101ALI20240325BHJP
   B41F 5/04 20060101ALI20240325BHJP
   G01B 11/24 20060101ALI20240325BHJP
【FI】
B41F33/14
B41F5/24
B41F5/04
G01B11/24 K
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020082589
(22)【出願日】2020-05-08
(65)【公開番号】P2020185792
(43)【公開日】2020-11-19
【審査請求日】2022-11-01
(31)【優先権主張番号】10 2019 206 705.0
(32)【優先日】2019-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390009232
【氏名又は名称】ハイデルベルガー ドルツクマシーネン アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Heidelberger Druckmaschinen AG
【住所又は居所原語表記】Kurfuersten-Anlage 52-60, D-69115 Heidelberg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルナー シュヴァープ
【審査官】高松 大治
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-057020(JP,A)
【文献】特開2004-170394(JP,A)
【文献】特開2010-214944(JP,A)
【文献】特表2014-532185(JP,A)
【文献】特開平02-009636(JP,A)
【文献】国際公開第2010/060884(WO,A1)
【文献】米国特許第06169290(US,B1)
【文献】独国特許出願公開第102006020957(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 33/14
B41F 5/24
B41F 5/04
G01B 11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷機用胴、ローラ、スリーブまたは版として形成された回転体の面の隆起部を測定する装置であって、回転軸線を中心として前記回転体を回転させる第1のモータと、測定装置とを備える、装置において、
前記測定装置は、非接触式の測定用に、少なくとも1つの放射線源および少なくとも1つのエリアカメラをし、
前記測定装置は、非接触式の測定用に基準物体を有する、ことを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記回転軸線に対する垂直方向における前記測定装置の変位を可能にする第2のモータが設けられていることを特徴とする、請求項記載の装置。
【請求項3】
前記第2のモータは、前記基準物体を前記回転軸線に対して垂直に変位させることを特徴とする、請求項記載の装置。
【請求項4】
移動/変位用の専用のモータが設けられており、当該移動/変位用の専用のモータが、前記基準物体を前記回転軸線に対して垂直に変位させることを特徴とする、請求項記載の装置。
【請求項5】
前記放射線源は、前記表面の少なくとも1つの領域を照射することを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
前記放射線源は、光源であることを特徴とする、請求項記載の装置。
【請求項7】
前記基準物体は、前記回転軸線に対して平行に不動であることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
前記基準物体は、前記回転軸線に対して平行に張設された線状の物体、または刃を備えた物体またはビームであることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
前記基準物体は、張設された弦または張設された線材または張設された炭素繊維であることを特徴とする、請求項記載の装置。
【請求項10】
前記放射線源および前記エリアカメラを前記回転軸線に対して平行に移動させる第3のモータが設けられていることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載の装置。
【請求項11】
前記測定装置は、少なくとも1つのリフレクタを有することを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の装置。
【請求項12】
前記エリアカメラは、前記回転体の輪郭の軸方向の一範囲および前記基準物体または該基準物体の輪郭の同一の軸方向の範囲の少なくとも1つの共通の画像、または共通の一連の画像または共通の映像を撮影することを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の装置。
【請求項13】
前記画像、前記一連の画像または前記映像を評価すると同時に、前記回転軸線からの、前記表面の個々の隆起部の半径方向距離を求めるコンピュータが設けられていることを特徴とする、請求項12記載の装置。
【請求項14】
前記半径方向距離または該半径方向距離から導出された値は、データとしてデジタルメモリに記憶されることを特徴とする、請求項13記載の装置。
【請求項15】
請求項14記載の装置と、
圧胴、少なくとも1つのフレキソ印刷胴および少なくとも1つのアニロックスローラを有し、かつ前記圧胴と前記フレキソ印刷胴との間および/または前記フレキソ印刷胴と前記アニロックスローラとの間の押付け圧力を調整する駆動装置を有する少なくとも1つの印刷ユニットを備えたフレキソ印刷機と、
から成るシステムにおいて、
前記データは、前記フレキソ印刷機のコンピュータに伝送され、前記押付け圧力の調整時に用いられることを特徴とする、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明
本発明は、請求項1の上位概念に記載の特徴を有する装置に関する。
【0002】
発明の技術分野
本発明は、グラフィック工業の技術分野に位置し、その中でも特に、例えば胴、ローラ、スリーブ、好適にはレーザ彫刻されたフレキソ印刷スリーブ、または版、好適にはスリーブに取り付けられたフレキソ印刷版等の回転体の測定の分野に位置する。測定に際しては、回転体の隆起部が検出される。
【0003】
背景技術
独国特許出願公開第3302798号明細書には、調整時間を短縮するための見当前調整に関連した、面整合もしくは印刷箇所および非印刷箇所の検出が開示されている。
【0004】
独国特許出願公開第102014215648号明細書に開示された輪転印刷機は、所定の回転軸線を中心として回転可能な中心圧胴、少なくとも1つの、好適には中心圧胴の周りに配置された複数の印刷デッキを備えており、この場合、各印刷デッキは、基準マークと、基準マークを検出するための少なくとも1つのセンサとを備えた印刷ローラを有している。この場合、センサは、回転軸線を中心としてセンサを回転させることができる別個の回転装置に配置されている。
【0005】
欧州特許第3251850号明細書に開示された、版および見当マークを備えたフレキソ印刷機のスリーブの見当データを測定する、いわゆるマウンタは、スリーブを固定可能な軸、版の表面プロファイルを走査する検出ユニット、例えば3Dスキャナ、および走査した版の表面プロファイルを記憶された目標プロファイルに対応させ、この対応に応じて見当マークに関する見当データを算出する計算ユニットを有している。
【0006】
独国特許出願公開第102006060464号明細書に開示された輪転印刷機は、複数のインキデッキを有しており、これらのインキデッキのうちの少なくとも1つは、ローラ、例えばフレキソ印刷胴またはアニロックスローラと、印刷機の少なくとも1つの別の構成部材に対して相対的にローラの位置を調整するための調整システムとを有している。この場合、少なくとも1つのインキデッキは、この固有のローラの表面のトポグラフィおよび/または版とローラ上に形成された基準マークとの間の空間的な関係を表すデータを、ローラを介して受信しかつ処理するように構成された制御ユニットを有している。さらに制御ユニットは、調整システムを、調整データに合致させて制御するように形成されており、これにより、廃棄物を出さずにまたは少なくとも減少させて、印刷に最適な位置にローラを調整することができる。胴表面のトポグラフィの測定もしくは走査は、(レーザトライアンギュレーションまたはレーザ干渉法用の)可動のレーザヘッドを用いて行われてよい。前調整(または見当調整)用の目標ライン圧を決定し、これに基づき損紙の産出を回避することが、1つの目的である。このために用いられる調整値は、RFIDチップに記憶させることができる。印刷範囲および非印刷範囲の決定も可能である。同一パテントファミリーの独国実用新案第202007004717号明細書には、トポグラフィ走査の代替手段として、センサとしての転動キーまたは陰影原理に基づいた、センサとしてのレーザマイクロメータによる測定が開示されている。同一パテントファミリーの中国特許出願公開第102381013号明細書には、輪転印刷機に設けられた版胴および彫刻ローラを調整する方法であって、版胴を回転可能に取り付けるステップ;版胴の周面を走査するステップ;版胴の調整に用いられるデータを導出しかつ記憶するステップ;彫刻ローラを回転可能に取り付けるステップ;彫刻ローラの周面を走査するステップ;彫刻ローラの表面の外観から彫刻ローラの調整に用いられるデータを導出しかつ記憶すると共に、調整データをセーブするステップ;印刷機に版胴および彫刻ローラを取り付けるステップ;ならびに調整データに基づき版胴および彫刻ローラを調整するステップを伴う方法が開示されている。
【0007】
Bobst社により「スマートGPS」(登録商標)の名称で販売されている、いわゆる「見当合わせおよび印刷提供」用のシステムは、測定されるべき版に接触する走査ローラと共に働く。しかしながら、版を非接触式にひいてはいずれにしろ、極めて微細な印刷点の場合でも損傷無しで測定する、という顧客の要望が存在する。
【0008】
国際公開第2010146040号に開示された類似のものでは、カメラおよび目標値・実際値比較(理論的な半径対測定された半径)の形態の評価アルゴリズムが使用される。
【0009】
国際公開第2008049510号には、少なくとも1つの版胴の品質を検査する方法および装置が開示されている。版胴を検出装置に送り、検出装置において版胴の表面を自動化された方式で光学式に走査し、自動測定機器により版胴の直径または周および/または版胴の表面の表面粗さを測定することにより、必要な品質保証対策の自動化された実施が可能である。例えば、印刷画像はそのインキ密度に基づき検査される。
【0010】
アニロックスローラによりインキ着けされる、スリーブに取り付けられたフレキソ版または印刷スリーブ(スリーブ)を用いた印刷では、多数の可変の値が周知である。すなわち:アニロックスローラのサイズ、つまりその周における差異;展開時の作業幅にわたる版の厚さにおける差異;同心度における、作業幅にわたるスリーブにおける差異;偏心率;接着テープによる版の取付けにおける差異が周知である。これらの差異に基づき、アニロックスローラと(スリーブ、接着面および版を備えた)印刷胴との間の作業圧および印刷胴と(間に位置する被印刷材を備えた)圧胴との間の作業圧ひいては印刷結果が影響され、特に損なわれることがある。
【0011】
つまり、多様な測定システムが周知である。それでもなお、市場は終始、より高品質の印刷製品をより速く、より廉価に製造可能にするための革新を求めている。周知のシステムは、この要求を常に完全に満たすことはできない。
【0012】
課題
したがって本発明の課題は、特に、回転体の隆起部、例えばフレキソ版のフレキソ印刷点等を迅速に高精度で測定することを可能にする、従来技術に対する改良を提供することにある。
【0013】
本発明による解決手段
この課題は本発明に基づき、請求項1記載の装置により解決される。本発明の有利なひいては好適な改良は、各下位請求項ならびに説明および図面から明らかである。
【0014】
印刷機の胴、ローラ、スリーブまたは版として形成された回転体、例えばスリーブに取り付けられたフレキソ版の表面の隆起部を測定するための、本発明による装置は、回転軸線を中心として回転体を回転させるための第1のモータと、測定装置とを備えており、測定装置が、非接触式の測定用に、少なくとも1つの放射線源および少なくとも1つのエリアカメラを有している、という点において優れている。
【0015】
エリアカメラはラインカメラと、感光式の一次元ラインセンサが設けられている、ということだけでなく、感光式の2次元エリアセンサも設けられている、という点において相違しており、この場合、エリアセンサは、好適には複数のラインセンサを有している。エリアカメラは、例えば互いに隣接する複数のラインカメラから構成されていてよい。
【0016】
エリアカメラは、相並んで配置された複数のエリアカメラであってもよい。エリアカメラは、(胴または支持体胴もしくはその軸線に対して)軸方向に(好適には水平方向に)、位置固定されてまたは可動に配置されていてよくかつ/またはエリアカメラは、軸線に対して垂直に(好適には鉛直方向に)、位置固定されてまたは可動に配置されていてよい。
【0017】
エリアカメラの使用は、極めて迅速にかつ同時に極めて精密に測定することを可能にする。
【0018】
本発明による装置は、非接触式の測定を可能にすると共に、測定しようとする物体、特にフレキソ版の軟らかな印刷点に生じ得る損傷を有利に回避する。さらに、放射線、特に電磁放射線、例えば光を用いた測定は、極めて微細な測定を可能にし、このことは、特にフレキソ版の微細な印刷点を測定する場合に有利である。
【0019】
このような装置は、使用時に、例えば取り付けられた版または取り付けられたフレキソ版または印刷スリーブまたはフレキソ印刷スリーブの自動的な測定を可能にし、ひいては印刷プロセスに関与する胴および/またはローラ間、例えばアニロックスローラと、版を備えた印刷胴と、圧胴との間の、それぞれ最適な作業圧力の自動的な前調整を可能にする。最適な作業圧力では、一様な印刷画像が生じる。有利には前調整により、例えば印刷ジョブ変更時の停止時間および刷出し損紙を減じることができるか、またはそれどころか回避することができる。
【0020】
このような装置は、使用時に、最適な作業圧力、最適な印刷速度および/または最適に適合されたドライヤ出力の、製造速度に応じた動的な設定をも可能にする。これにより、工業的(自動化、少ない使用人員および安価)に高価値の印刷製品を製造することができる。
【0021】
データ技術的なネットワークが存在しない場合および/またはプリプレス(例えばフレキソ版の製造)と印刷段階(例えばフレキソ印刷機による印刷)との空間的な隔たりが大きな場合には、本発明による装置をローカルで使用することにより、ローカルの高品質な印刷に必要とされる全ての値(例えば作業圧力、印刷速度および/またはドライヤ出力)が迅速かつ正確に生ぜしめられ、提供されるようにすることができる。
【0022】
発明の改良
本発明の1つの好適な改良は、測定装置が、非接触式の測定用に基準物体を有している、という点において優れていてよい。基準物体は、好適には(回転体に対して軸線平行に)張設された線材であってよい。基準物体は、表面の隆起部を測定する際に、基準として用いられる。基準物体または少なくとも基準物体の(軸線平行な)輪郭は、エリアカメラにより検出され得る。複数の隣り合うエリアカメラの好適な使用において、個々のカメラの画像は、基準物体もしくは基準物体の(カメラ映像における)各画像を用いて、有利には互いに位置調整され得る。カメラの高精度の、したがって時間のかかる位置調整は不要である。基準物体の使用および検出においては、処理されるべきデータ量を大幅に減じることができる、ということに基づき、別の利点が生じている。
【0023】
本発明の1つの好適な改良は、回転軸線に対して垂直方向において測定装置の変位を可能にする第2のモータが設けられている、という点において優れていてよい。
【0024】
本発明の1つの好適な改良は、第2のモータが(好適には測定装置のみならず、好適には)基準物体も、回転軸線に対して垂直方向に変位させる、という点において優れていてよい。
【0025】
本発明の1つの好適な改良は、1つの別の第2のモータが、基準物体を回転軸線に対して垂直方向に変位させる、という点において優れていてよい。この場合、別のモータは前記第2のモータではない、すなわち、2つの別個の第2のモータが存在している。
【0026】
本発明の1つの好適な改良は、放射線源、特に光源が、表面の少なくとも1つの領域を照射、特に照明する、という点において優れていてよい。
【0027】
本発明の1つの好適な改良は、回転軸線に対して平行な基準物体が、特に測定中は不動である、という点において優れていてよい。基準物体は位置固定されて配置されていてよく、例えば線材が、その両端部において位置固定されて張設されていてよい。
【0028】
本発明の1つの好適な改良は、基準物体が、回転軸線に対して平行に張設された線形の物体、または刃を備えた物体またはビームである、という点において優れていてよい。刃を備えた物体は、カッタ状の物体であってよい。この場合、刃またはビームの縁部は、基準物体の基準線として用いられる。
【0029】
本発明の1つの好適な改良は、基準物体は、張設された弦または張設された線材または張設された炭素繊維である、という点において優れていてよい。好適なのは、張設された線材の使用である。張設された線材は広範な調査において、十分に精密かつ有効な技術的手段であることが判った。測定中に生じ得る線材の振動は、計算技術により補償され得る。あまり好適でないブレードまたはビームを使用する場合には、熱的な変化(膨張)を構造的に補償することが必要とされる場合がある。計算技術による補償ひいては線材の利用は低コストであるため、好適である。
【0030】
本発明の1つの好適な改良は、放射線源、特に光源およびカメラを回転軸線に対して平行に移動させる、第3のモータが設けられている、という点において優れていてよい。放射線源、特に光源は、カメラと共に1つの構成ユニットを形成していてよく、特にカメラ内に組み込まれていてよい。
【0031】
本発明の1つの好適な改良は、測定装置が少なくとも1つのリフレクタを有している、という点において優れていてよい。リフレクタは、支持体胴の軸方向長さにわたって延在していてよい。リフレクタは、位置固定されて配置されていてよい。リフレクタは、反射シートまたは散乱光(ホワイトノイズ)を生ぜしめるシートであってよい。
【0032】
本発明の1つの好適な改良は、カメラが、回転体の輪郭の軸方向の範囲および基準物体または基準物体の輪郭、特に回転体の輪郭に面した、基準物体の輪郭の同一の軸方向の範囲の少なくとも1つの共通の画像、または一連の画像または共通の映像を撮影する、という点において優れていてよい。基準物体、好適には基準物体の輪郭の使用および検出においては、処理されるべきデータ量を大幅に減じることができる、ということに基づき、別の利点が生じている。デジタル画像処理に基づく、版の隆起部の(半径方向)高さの計算は、画像において認識可能な、隆起部(または隆起部の輪郭)の、基準物体(または対面する基準物体の輪郭)からの(半径方向)距離を利用することができる。
【0033】
本発明の1つの好適な改良は、画像または一連の画像または映像を評価すると同時に、回転軸線からの、表面の個々の隆起部の半径方向距離を求めるコンピュータが設けられている、という点において優れていてよい。一連の画像または映像には、例えば回転物体の周1mm当たり1つまたは最大10または最大100の画像が含まれていてよい。軸方向における解像度は、10000~100000ピクセル、例えば1280ピクセル×30カメラ、つまり38400ピクセルであってよい。
【0034】
いわゆるAIを使用することが想定されていてもよい。このAIは、例えば大量のデータのデータ評価(大きな測定表面および高い解像度)において、例えばASおよびBSに対する胴入れ用の送り値を求める際に協働してよいか、またはこのことを単独で実施してよい。AIは、既に実施されたデータ評価から学習してもよい。
【0035】
本発明の特徴、本発明の改良および本発明の実施例は、互いに任意に組み合わせられて本発明の有利な改良をも成す。本発明の改良はさらに、-上の「発明の技術分野」の章で開示した-個別の特徴または特徴の組み合わせを有していてよい。
【0036】
発明の実施例
以下に、本発明および本発明の好適な改良を、図面を参照し、好適な実施例に基づいて、より詳細に説明する。互いに対応する特徴には、図中、同一の符号を付してある。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明による装置の好適な実施例を示す詳細図である。
図2A】本発明による装置の好適な実施例を示す詳細図である。
図2B】本発明による装置の好適な実施例を示す詳細図である。
図2C】本発明による装置の好適な実施例を示す詳細図である。
図3A】本発明による装置の好適な実施例を示す詳細図である。
図3B】本発明による装置の好適な実施例を示す詳細図である。
図4A】本発明による装置の好適な実施例を示す詳細図である。
図4B】本発明による装置の好適な実施例を示す詳細図である。
図5】本発明による装置の好適な実施例を示す詳細図である。
【0038】
図1には、測定ステーション2の回転可能な支持体胴1、支持体胴に支持されたスリーブ3およびスリーブに支持された、好適には接着テープ4により(または択一的にはスリーブの接着コーティングにより)スリーブに固定(いわゆる「マウント」)された、少なくともそのトポグラフィに関して測定されるべき回転体6としての版5の横断面が示されている。択一的に、支持体胴において、好適にはレーザ彫刻された印刷スリーブが測定されてもよい。
【0039】
測定中に支持体胴を回転させるために、測定ステーションにはモータ7が設けられていてよい。測定ステーションは、(版が支持体スリーブに取り付けられる)いわゆる「マウンタ」の一部であってよい、または「マウンタ」とは別個に設けられていてよい。測定ステーションは、-版5のための少なくとも1つの印刷ユニット9および好適にはウェブ状の被印刷材11に印刷しかつ乾燥させるためのドライヤ10を備えた-印刷機8とは別個に設けられていてよい。印刷機は、好適にはフレキソ印刷機であり、したがって版は、好適には例えば106mm~340mmの直径を有するフレキソ版である。ドライヤは、好適には高温空気ドライヤおよび/またはUVドライヤおよび/または電子線ドライヤおよび/またはIRドライヤである。スリーブは、側方から支持体胴に被せ嵌められてよい。支持体胴は、その周面に複数の開口を有していてよく、これらの開口からは-被せ嵌めの際にスリーブを広げてエアクッションを生ぜしめるための-圧縮空気が放出され得る。版を備えたスリーブは、測定後に測定装置から取り出され、印刷機において印刷ユニットの印刷胴に被せ嵌められてよい。空圧式の緊締システムに対して択一的に、液圧式の緊締システムが用いられてもよい。
【0040】
測定ステーション2のキャリブレーションは、支持体胴1に設けられた測定リング12を用いて行われてよい。択一的に、キャリブレーションには測定スリーブまたは支持体胴自体が用いられてもよい。
【0041】
以下の各図面には、印刷機8の胴、ローラ、スリーブまたは版として形成された回転体6(図2C参照)の表面14の隆起部13を非接触式に測定するための、本発明による装置の好適な実施の形態が示されている。隆起部は、フレキソ版の例えば(ラスタにおける)フレキソ印刷点または(全面における)フレキソ印刷面であってよい。以下の実施例では、版5の測定を例示的に説明する。版を測定することにより、印刷プロセスに関与する各胴、例えばアニロックス胴15と、版5を備えた印刷胴16と、圧胴17との間の、それぞれ最適な作業圧の自動的な前調整が可能になる。
【0042】
図2A図2Cには、版5のトポグラフィを測定するための本発明による装置の1つの好適な実施の形態が、図2Aでは横断面図で、図2Bでは平面図で、図2Cでは図2Aの部分拡大図で示されている。この実施の形態では、トポグラフィが好適には複数の装置18により、任意の基準線を用いた3D半径検出の枠内で検出される。
【0043】
この実施の形態および以下の実施の形態では、「2D」は、版5の1つの区分(例えば環状の高さプロファイル)を走査することを意味し、「3D」は、版5全体(例えば複数の環状の高さプロファイルから構成される円筒状の高さプロファイル)を走査することを意味する。
【0044】
前記装置は、複数の放射線源19、特に光源19、好適にはLED光源、少なくとも1つのリフレクタ20および少なくとも1つの受光器21、好適にはエリアカメラ、特に好適には高速カメラを有している。以下、例示的に放射線源としての光源から出発する。すなわち、可視光線が送出される。択一的に、放射線源は別の電磁放射線、例えば赤外線を送出してもよい。光源は、好適には支持体胴1の回転軸線22に対して垂直に1列に配置されていて、ライトカーテン23をもたらし、この場合、スリーブ3および版5を備えた支持体胴1、すなわち輪郭が、陰24をもたらす。トポグラフィ13の陰になる光24を含まない、反射され、次いで受信される光25、つまり実質的に送出された光23は、測定されるべきトポグラフィ13に関する情報を運ぶ。リフレクタ20は、反射シートとして形成されていてよい。
【0045】
光源19は、面状(エリアカメラ)である。光源は、好適には可視光線を送出する。好適には、光源19および受光器21は、作業幅26、すなわち版5の軸線22の方向における版5の延在長さ(例えば1650mm)をカバーしている。好適にはn個の光源19および受光器21が設けられていてよく、この場合、例えば2>n>69である。比較的小型のカメラを使用した場合には、69よりも高い上限が必要とされることがある。作業幅26全体がカバーされる場合には、支持体胴1が1回転する間に版5を測定することができる。
【0046】
そうでない場合には、光源および受光器を、版に沿って軸方向27に移動または周期的に作動させる必要がある。
【0047】
好適には、安価でありながら迅速に作動するカメラ21、例えば白黒カメラが使用される。これらのカメラは、版5の回転中に複数の個別の画像または1つの映像を撮影することができる。
【0048】
光源19、リフレクタ20および受光器21から成る装置は、好適には支持体胴1の軸線22に対して垂直な方向28に移動可能であり、これにより、もたらされた光条23を、測定されるべきトポグラフィ13の方に向けることができる。このためには、モータ29が設けられていてよい。リフレクタを位置固定して形成し、光源および/または受光器のみを移動させる、例えばモータにより変位させる、ということが想定されていてもよい。
【0049】
図面とは異なり、トポグラフィ13の測定は、水平方向においてではなく、好適には垂直方向において(例えばカメラを「下側」にかつリフレクタを「上側」にして)行われる。それというのも、この場合には支持体胴1および基準物体30に生じ得る撓みを考慮しないままでよいからである。この好適な構成の場合には、図2Aを時計回り方向に90°だけ回動させたものを思い浮かべる必要がある。
【0050】
任意の基準物体30としては、複数の受光器21に対する基準線31を形成する線状の物体30、好適には張設された糸30または張設された弦30、例えば金属線材または炭素繊維またはブレード(またはブレード状の物体または刃を備えた物体)またはビームが設けられている。線状の物体は、好適には支持体胴1の軸線に対して平行に延在しており、支持体胴1の周面33もしくは支持体胴1に配置された版5に対して例えば2mm~10mm(最大20mm)の小さな距離32をあけて配置されている。受信光25には、基準物体30に関する評価可能な情報、例えば基準物体30の場所および/または版5の(好適にはエッチングされた、したがって隆起部13よりも低く位置する)表面14までの距離も含まれている。基準線により、基準物体30に面したトポグラフィ13もしくは輪郭または輪郭隆起部の半径方向距離Rを、好適にはデジタル画像処理を用いて測定することができる。支持体胴1の軸線22からの基準物体30の距離は、基準物体30(と任意には光源19および受光器21および場合によりリフレクタ20と一緒)の配置および/またはモータによる変位に基づき既知である。よって輪郭隆起部の半径方向距離、すなわち印刷点の半径Rは、計算技術的に求めることができる。基準物体30の使用ひいては基準物体30により惹起される陰もしくは陰に対応する、各カメラ21の(撮像におけるもしくは受信光からの)基準線31の存在に基づき、例えばカメラ同士の正確な、例えばピクセル精度位置調整は、必ずしも必要とされない。さらに、基準物体30は、測定システムのキャリブレーションに利用され得る。
【0051】
基準物体30は、方向28における移動もしくは変位のために、光源19および/またはモータ29と接続されていてよい。択一的に、基準物体は、移動/変位用の専用のモータ29bを有していてもよい。
【0052】
装置の最初の基準化のためには、好適には(「空の」)支持体胴またはその上に配置された測定スリーブを用いて測定が実施される(基準物体から、表面AS~BSまでの距離の測定)。
【0053】
測定過程前に装置を引き続き初期設定するためには、好適にはまず、エリアカメラ21が支持体胴1に向かって方向28に移動させられる。この移動は、カメラが好適には第1の隆起部を検出すると直ちに、好適には停止させられる。その後、基準物体30も好適には同様に支持体胴1に向かって、例えば2mmの所定の設定距離を除いて、方向28に移動させられる。
【0054】
光源19と受光器21とは、択一的には支持体胴1の互いに反対の側に配置されていてもよい。この場合にはリフレクタ20を省くこともできる。
【0055】
好適には、光源19、(実施の形態により設けられている場合には)リフレクタ20、受光器21および任意の基準物体30は、(支持体胴の軸線22に対して垂直に)可動の、特にモータにより変位可能または移動可能なユニット34を形成している。
【0056】
測定中、支持体胴1は、その上に位置する版5と共に回転するため、好適には全ての隆起部13が、周方向35において検出され得る。これに基づき、支持体胴1の角度位置に応じて、トポグラフィ画像および軸線22までの個々の隆起部13、例えばフレキソ印刷点の半径Rまたは(互いに反対の側に位置する各隆起部の間で測定された)直径Dを求めることができる。
【0057】
図2Cの拡大図には、版5のトポグラフィ13の一部が示されており、トポグラフィの陰24および基準物体30の陰36が認められる。トポグラフィ隆起部13は、2μm~20mmの範囲内であってよい。
【0058】
さらに、スリーブ3および/または版5を確認目印38(図2B参照)に基づき検出するセンサ37が設けられていてよい。この目印は、例えばバーコード、2Dコード(例えばQRコードまたはデータマトリックスコード)、RFIDチップまたはNFCチップであってよい。
【0059】
受光器21により生ぜしめられた、測定された表面14のトポグラフィ13および基準物体30に関する情報を含む信号および/またはデータは、好適には線路または無線接続手段を介してコンピュータ39に伝送され、そこで引き続き処理される。コンピュータは、印刷機8に接続されている。コンピュータ39は、情報を評価する。
【0060】
評価の結果は、コンピュータのデジタルメモリ40、印刷機のメモリ40またはクラウドを基礎としたメモリに保存される。結果は、好適には各確認目印38に対応させて記憶される。印刷機8において、スリーブに取り付けられた版5(または印刷スリーブ/フレキソ版)を後で使用する際に、版5(または印刷スリーブ/フレキソ版)の確認目印38は再読込みされ得る。次いで、確認目印38に関して記憶された値が、例えば前調整のために呼び出されてよい。例えば、印刷機が必要とする印刷ジョブ用データを、クラウドを基礎としたメモリから入手する、ということが想定されていてもよい。
【0061】
評価の結果には、好適には最大4つの値が含まれていてよい。すなわち:圧胴17または被印刷材搬送胴17に対する、印刷胴16、すなわち測定される版5を支持する胴の両側41もしくはAS(駆動側)および42もしくはBS(作業側)において運転上必要とされる胴入れ値および測定される版5にインキ着けするアニロックスローラ15の両側41もしくはAS(駆動側)および42もしくはBS(作業側)において運転上必要とされる、印刷胴16に対する胴入れ値である。
【0062】
さらに、例えば光学走査手段を介して点密度を検出するための装置43、好適にはレーザトライアンギュレーション装置、CISスキャナ条片(接触イメージセンサ)またはラインカメラが設けられていてよい。択一的に装置43は、光源19,21と共に点密度の測定に利用され得るように旋回可能なまたは可動のミラーであってもよい。この装置は、好適には画像処理および/または画像評価装置に接続されており、画像処理および/または画像評価装置は、好適にはコンピュータ39-もしくは相応のプログラムを有するコンピュータ39-であるか、または別のコンピュータ39bであってもよい。
【0063】
CISスキャナ条片は、胴に対して軸線平行に配置されていてよい。CISスキャナ条片は、好適には照明用LEDおよび(市販のコピー機に設けられたスキャナ条片と類似の)画像撮影用センサを有している。条片は、好適には表面に対して1~2cmの間隔をあけて配置されているか、またはこの間隔になるように位置決めされる。測定されるべき表面、例えば版を備えた胴は、条片の下側で回転し、このとき表面の画像が生成され、点密度評価のための画像評価手段に提供される。点密度の検出から得られたデータは、例えば用意された多数のアニロックスローラから-検出された版による印刷に最適な-1つのアニロックスローラを計算技術により選択するもしくは推奨するためにも使用され得る。
【0064】
図3Aおよび図3Bには、版5のトポグラフィを測定するための本発明による装置の1つの好適な実施の形態が、図3Aでは横断面図で、かつ図3Bでは平面図で示されている。この実施の形態では、トポグラフィが好適にはレーザマイクロメータ44により、2D直径検出の枠内で検出される。
【0065】
この装置は、光源19、好適にはライン形のLED光源19またはライン形のレーザ19、および受光器21、好適にはラインカメラ21を有している。レーザと受光器とは、共に1つのレーザマイクロメータ44を形成している。光源19はライトカーテン23をもたらし、スリーブ3および版5を備えた支持体胴1は、陰24をもたらす。光源19のライン長さおよび受光器21は、好適には、スリーブおよび版を含む支持体胴の直径Dよりも大きくなっており、これにより装置44の、支持体胴の軸線22に対して垂直な移動無しで、トポグラフィを可能にすることができる。換言すると、支持体胴の横断面は、完全にライトカーテン内に位置している。
【0066】
光源19および受光器21から成る装置44は、作業幅26全体を検出するために、支持体胴の軸線22に対して平行に(方向27に)可動である。このためには、モータ45が設けられていてよい。
【0067】
スリーブ3および/または版5を確認目印38に基づき検出するセンサ37が設けられていてよい(図2B参照)。
【0068】
受光器21により形成された信号および/またはデータは、好適には線路または無線接続手段を介してコンピュータ39に伝送され、そこで引き続き処理される。コンピュータは、印刷機8に接続されている。
【0069】
光源19と受光器21とは、択一的には支持体胴1の同じ側に配置されていてもよい。この場合には図2A図2Cの場合と同様に、反対側にリフレクタ20が配置される。
【0070】
1つの択一的な実施の形態では、トポグラフィは、好適にはレーザマイクロメータ44により2D直径検出の枠内で検出され、この場合、単一の測定ライン46だけではなく、複数の測定ライン48(破線で図示)から成る、より広幅の測定帯47(破線で図示)が検出される。光源19および受光器21は、この実施例では好適には面状に形成されており、単にライン形に形成されているだけではない。光源19は、それぞれ約0.1mmの幅および約5mmの相互間隔の複数の光ライン48を有していてよい。この例では、カメラは好適にはエリアカメラとして形成されている。
【0071】
図4Aおよび図4Bには、版5のトポグラフィを測定するための本発明による装置の1つの好適な実施の形態が、図4Aでは横断面図で、かつ図4Bでは平面図で示されている。この実施の形態では、トポグラフィが好適にはレーザマイクロメータにより、2D半径検出の枠内で検出される。
【0072】
この装置は、光源19、好適にはLED光源19および受光器21、好適にはライン形のLED光源21またはライン形のレーザ21を有している。光源19はライトカーテン23を生ぜしめ、スリーブ3および版5を備えた支持体胴1は、陰24を生ぜしめる。
【0073】
光源19および受光器21から成る装置は、好適には支持体胴1の軸線22に対して垂直な方向28に移動可能であり、これにより、ライトカーテン23を、測定されるべきトポグラフィ13の方に向けることができる。このためには、モータ29が設けられていてよい。ライトカーテン23の幅が十分でありひいては測定範囲をカバーしている場合に関しては、モータ29を省くことができる。
【0074】
受光器21により生ぜしめられた信号および/またはデータは、好適には線路または無線接続手段を介してコンピュータ39に伝送され、そこで引き続き処理される。コンピュータは、印刷機8に接続されている。
【0075】
光源19と受光器21とは、択一的には支持体胴の同じ側に配置されていてもよい。この場合には図2A図2Cの場合と同様に、反対側にリフレクタ20が配置される。
【0076】
1つの択一的な実施の形態では、トポグラフィ13は、好適にはレーザマイクロメータ44により3D半径検出の枠内で検出され、この場合、1つの測定ライン46だけではなく、より広幅の測定帯47(破線で図示)、すなわち複数の測定ライン48が同時に検出される。光源19および受光器21は、この実施例では単にライン形に形成されているだけではなく、面状に形成されている。
【0077】
1つの別の択一的な実施の形態では、トポグラフィ13は、好適にはレーザマイクロメータ44により3D半径検出の枠内で検出され、この場合、光源19および受光器21から成る装置は、好適には支持体胴1の軸線に対して垂直な方向28に移動可能であり、これにより、ライトカーテン23を、測定されるべきトポグラフィ13の方に向けることができる。このためには、モータ29(破線で図示)が設けられていてよい。
【0078】
1つの択一的な実施の形態では、トポグラフィ13は、好適にはレーザマイクロメータ44により3D半径検出の枠内で検出され、この場合、前記2つの択一的な実施の形態が組み合わされる。
【0079】
図5には、2つの印刷領域50と2つの非印刷領域51とを備えた版5の、大幅に拡大されて図示されたトポグラフィ測定結果が例示的に示されている。(支持体胴の軸線に関する)1つの軸方向箇所における360°の半径方向測定結果が示されている。非印刷領域は、例えばエッチングにより形成されていてよく、ひいては印刷領域よりも小さな半径を有していてよい。
【0080】
この図面には、最大半径、すなわち前記軸方向箇所におけるトポグラフィ13の最高隆起部を有する版5の点の包絡半径52もしくは包絡線52も示されている。
【0081】
版5の点53は印刷点である。それというのも、この点53は印刷運転中、版5と被印刷材11もしくは搬送胴17との間の押付け力もしくは胴入れ値が標準に設定されていると、被印刷材と、インキ着けするアニロックスローラとに十分に接触することになるからである。標準に設定された押付け力は、版が被印刷材にまともに接触し、フレキソ印刷点が大幅に押し付けられることがない、いわゆるキスプリントを生ぜしめる。
【0082】
点54は、印刷運転中、押付け力が標準に設定されている場合に辛うじて印刷することになる点である。それというのも、点54は被印刷材に辛うじて接触することになるからである。
【0083】
2つの点55は、印刷することがない点である。それというのも、点55は印刷運転中、押付け力が標準に設定されている場合に被印刷材に全く接触することがなく、アニロックスローラにも全く接触することがないからである。
【0084】
コンピュータ39において作動するコンピュータプログラムは、印刷領域50において例えばデジタル画像処理を用いて計算技術により、半径方向における最深点56と、最深点56の、包絡線52までの半径方向距離57とを求める。この計算は、軸方向において規則的な間隔で、例えばASからBSにかけて全ての測定点において実施され、ASから中心までおよび中心からBSまでの、最深点の最大値(すなわち深さの最大値)を求める。2つの最大値またはこれらから計算技術により求められた送り値または設定値は、例えばそれぞれ印刷時のASおよびBSに対する送り値/設定値として選択され得る、すなわち、印刷に関与する各胴間の胴間隔は、ASおよびBSに対して送られた分だけ、減少する。このためにはASおよびBSに対して、それぞれモータ式のねじ山付きスピンドルが使用されてよい。
【0085】
以下は具体的な数値の一例である。
【0086】
一方ではΔR=65μmが間隔として生じかつ他方ではΔR=55μmが間隔として生じる。版の全ての点53~55を印刷するためには、65μm送る必要がある。
【0087】
図示の全ての実施の形態およびそれらの択一的な前記実施の形態では、追加的に、製造および/または運転に起因する(摩耗に起因する)スリーブ3の偏心度が測定されてよく、測定結果および評価結果に基づき、印刷時に、作成される印刷製品の品質改良が考慮され得る。所定の偏心度許容範囲を超過すると、警告が発せられてよい。測定は、平滑で多孔質のスリーブにおいて実施され得る。
【0088】
図示の全ての実施の形態およびそれらの択一的な実施の形態では、追加的に、製造に起因する、版5、特に版5のポリマ材料の厚さ変動、および/または特にスリーブへの取付けに基づく版5の歪み、および/または(スリーブと取り付けられた版との間における)埃および/または毛髪または空気の封入および/または接着面4に基づき存在する隆起部および/または温度の影響(熱膨張)が測定され得る。埃粒および埃粒の位置は、トポグラフィ検出により個別に測定され得る。個々の埃粒は、例えば版5に投影されたレーザスポット/投影されたレーザ十字によりオペレータに示されて除去され得る。択一的に、埃除去装置を埃粒の位置へ移動させ、例えば空気噴射によりまたはローラを用いて埃粒を除去してもよい。
【0089】
光源19もしくは(可視光線を放射する)光放射体19に代えて、本発明の枠内ではレーダ放射体19が(適宜に適合された受信器と共に)使用されてもよい。
【0090】
図示の全ての実施の形態およびそれらの択一的な実施の形態では、動的な胴入れに関するパラメータを求めて印刷機に引き渡すこともできる。この場合は例えば、ポリマ材料から成る変形可能かつ/または圧縮可能な印刷点53~55の、周知の-(例えば予め測定され)かつコンピュータ39に提供された-遅延膨張が考慮され得る。または予めデュロメータにより検出された版の硬度が用いられてもよい。前記膨張は、特に運転により生じる印刷速度に依存し得る、もしくはこの印刷速度依存が考慮され得る。例えば比較的高い印刷速度では、より大きな胴入れ値が選択されてよい。
【0091】
この場合、版5の印刷面積または点密度、すなわち版5上の印刷点の転位可能な密度が(印刷速度に対して択一的または追加的に)考慮されてもよい。例えば点密度が比較的高い場合には、比較的大きな胴入れ値が選択され得かつ/または点密度は、動的な胴入れの設定に使用され得る。このためには、版、例えばフレキソ版上の点密度、すなわち点密度の局所値を検出もしくは測定するための装置43、好適にはCISスキャナ条片またはラインカメラが設けられていてよい。例えば、点密度検出から得られた/算出されたデータに基づき、AS(印刷機の駆動側)およびBS(印刷機の作業側)に対する、それぞれ異なる胴入れのための設定値を提供する、ということが想定されていてよい。
【0092】
版5および/またはインキ着けするアニロックスローラ15および/またはラスタスリーブ15の点密度を知ることで、供給された被印刷材11に版でもって印刷する際に予測されるインキ消費量を、計算技術により求めることができる。インキ消費量から、被印刷材上のインキを乾燥させるために必要とされるドライヤ10のドライヤ出力を、計算技術により求めることができる。算出された予測インキ消費量を起点として、準備されるべきインキ貯蔵量を算出することもできる。
【0093】
図示の全ての実施の形態およびそれらの択一的な実施の形態では、いわゆる溝ショックパターンも考慮され得る。溝ショックパターンは、運転による版5の回転に際して周期的に生じる欠陥であり、この欠陥は、印刷画像中の-大抵は軸方向に延在する-ページ幅のまたは少なくとも欠陥を生じる幅のギャップもしくは溝、すなわち印刷点無しの、欠陥を生じる大きさの領域、またはその他の軸方向の溝により惹起される。このような溝またはそれらの溝ショックパターンにより、印刷クオリティが損なわれる恐れがある。それというのも、印刷に関与する各胴は、回転すると戻ってくる溝の領域でのキスプリント式の胴入れに基づき、つまり周期的に接近しかつ離反するからである。このことは、不都合なケースでは望ましくない密度変動またはそれどころか印刷中断部をもたらす恐れがある。既存の溝ショックパターンは、好適にはCIS測定装置43を(例えば上述した旋回可能なまたは可動のミラーをエリアカメラと共に)用いてまたはエリアカメラを用いて検出され得、計算技術により評価され得、かつ運転上必要とされる胴入れに際して補償され得る。例えば、検出した溝ショックパターンに基づき、振動が発生することになる印刷機の速度もしくは回転周期が予め算出され得る。この場合、これらの速度もしくは回転周期が製造中に使用されることはなく、例えば機械の高速運転時には省かれる。
【0094】
全ての版5は、個々の溝ショックパターンを有し得る。版における溝は、印刷結果にネガティブな影響を及ぼすか、またはそれどころか印刷中断部をもたらす恐れがある。溝ショックを軽減するかまたはそれどころか解消するためには、版の溝が展開方向において検査される。印刷ユニット9の既知の共振周波数において、供給された版において特に不都合な製造速度が算出され得る。この印刷速度(いわゆる「ノーゴースピード」)を回避することが重要である。
【0095】
図示の全ての実施の形態およびそれらの択一的な実施の形態では、版上の見当マーク(または複数の見当マーク、例えば楔、二重楔、点または十字線)も、例えばカメラ21または43および後置されたデジタル画像処理手段を用いて検出され得、その位置が測定され、記憶されかつ保存され得る。これにより、見当マークまたは軸方向位置に合わせた、見当制御装置または見当制御装置の見当センサの自動的な設定が可能になる。そうでない場合に慣例の、センサの手動設定による欠陥を有利に防ぐことができる。択一的に、モデルを検出して、見当制御装置の設定に用いてもよい。モータにより移動可能な見当センサを、特に軸方向において自動的に位置決めする、ということが想定されていてもよい。印刷胴および/または印刷胴上に配置された印刷スリーブの角度位置の予め設定されたゼロ点を、(例えば手で接着された)印刷画像の実際の場所の角度値に、特に周方向(もしくは胴/スリーブの周方向)において補正する、ということが想定されていてもよい。この補正に基づき、胴/スリーブの角度位置に関する最適なスタート値を得ることができる。このようにして、見当ずれを減らして印刷製造を開始することができる。同じことが、横方向(もしくは胴/スリーブの横方向)にも当てはまる。
【0096】
図示の全ての実施の形態およびそれらの択一的な実施の形態では、印刷機8のドライヤ10の出力も制御または調整され得る。例えばLEDドライヤセグメントが、被印刷材に印刷インキが転写されなかった領域では停止されてよく、これにより、LEDの有利なエネルギ節約および耐用年数延長が可能になる。
【0097】
さらに有利には、低い点密度を有する版上の複数の印刷領域に対するドライヤ10の出力もしくはドライヤの個々のセグメントの出力が低下され得る。これにより、エネルギが節約されかつ/またはドライヤまたは個々のセグメントの耐用年数が延長され得る。前記停止または低下は、一方では部分的に、かつ他方では版の軸方向もしくは版を用いて処理されるべき被印刷材の横方向に対して平行な方向および/または横方向において行われてよい。例えば、ドライヤのセグメントまたはモジュールは、(互いに間隔をあけて配置され、特に手で接着された)複数の版の間のギャップに対応する領域では停止されてよい。
【0098】
図示の全ての実施の形態およびそれらの択一的な実施の形態では、印刷検査システムの複数の測定フィールドの(版5における)各場所も検出され得、引き続く利用のために、例えば印刷検査システムの場所設定のために提供され得る。
【0099】
図示の全ての実施の形態およびそれらの択一的な実施の形態では、インラインインキ測定システムも位置決めされ得る。インラインインキ測定手段の場所ひいては位置を測定するためには、画像認識および/またはパターン認識が実施され、画像認識および/またはパターン認識に基づき測定システムの軸方向位置が測定される。被印刷材に対するキャリブレーション用の空所を可能にするために、インラインインキ測定システムに、空いている印刷位置を通知することができる。
【0100】
次に、本発明による装置でもって1つの適当な実施の形態で実施し得る、1つの例示的な全体プロセスを説明する。
【0101】
測定プロセス:
ステップ1:版5を備えたまたは備えていないスリーブ3を、測定ステーション2の、空気供給式の支持体胴1に、エアクッションを介して被せ嵌め、係止する。
【0102】
ステップ2:スリーブを、単一の目印列38でもって確認する。これは、バーコード、2Dコード(例えばQRコードまたはデータマトリックスコード)、RFIDコードまたはNFCを用いて行うことができる。
【0103】
ステップ3:カメラ21および任意には基準物体30を、(版を備えたまたは備えていないスリーブの)直径に基づき位置決めする。
【0104】
ステップ4:軸線6もしくは支持体胴の軸線中心点22に対する基準点を備えた版のトポグラフィ13、すなわち隆起部/印刷点53~55の半径を求める。このとき、測定装置18の光源19およびカメラ21は、場合により軸方向に移動し、支持体胴は回転する(支持体胴の角度位置は、エンコーダを介して知られている)。
【0105】
ステップ5:点密度、空いている印刷箇所、印刷する面、見当マークおよび/またはインラインインキ測定用の測定フィールドを検出するために、エリアスキャンを実施する。
【0106】
ステップ6:コンピュータ39上で作動するトポグラフィアルゴリズムを使用しかつエリアスキャンを介して溝ショックパターンおよび見当マークフィールド構成もしくはインラインインキ測定手段を検出することにより、エリアを評価する。
【0107】
ステップ7:版の硬度を(単位ショアで)任意に求める。
【0108】
ステップ8:埃検出器および/または細毛検出器を使用する。
【0109】
ステップ9:測定結果のデータをデジタルメモリ40に記憶させる。
【0110】
ステップ10:測定結果を示して埃/細毛もしくは封入された気泡を示唆しかつ/または例えば同心度、偏心率および/または凸度等の限界値を表示する。
【0111】
ステップ11:可能な場合には測定を繰り返す、または別のスリーブを測定するために印刷スリーブを取り外す。
【0112】
装備プロセス:
ステップ1:版5を備えたスリーブ3を、印刷機8の空気供給式の印刷胴16に、エアクッションを介して被せ嵌め、係止する。
【0113】
ステップ2:スリーブを、その単一の目印列38でもって、各印刷ユニット9もしくは各印刷ユニット9に設けられたセンサにより確認する。これは、バーコード、2Dコード(例えばQRコードまたはデータマトリックスコード)、RFIDコードまたはNFCを用いて行うことができる。
【0114】
ステップ3:印刷ユニットもしくは印刷機が、確認された、付属する印刷スリーブ/版に関して記憶されたデータを受け取る。
【0115】
設定プロセス:
ステップ1:例えば最適な印刷点のためのトポグラフィ、同心度および被印刷材データに基づき、印刷胴16およびアニロックス胴15に関していわゆる「キスプリント」式の胴入れ(押付け力もしくは作業圧力の設定)を行う。直径もしくは半径を求める。直径もしくは半径は、測定に基づき既知である。
【0116】
ステップ2:版上の見当マークデータもしくはスリーブ基準点に基づき、前見当を算出する。
【0117】
ステップ3:求めた点密度値および被印刷面積および速度および任意には被印刷材に基づき、動的な胴入れを設定する。任意には、(単位ショアの)版の硬度を考慮する。
【0118】
ステップ4:例えば溝ショックパターン検出により求められる、版に対する印刷ユニットの共振周波数の算出に基づき、最適な材料ウェブ速度を設定する。
【0119】
ステップ5:点密度値および被印刷面積、ならびにウェブ製品速度に対して任意に動的に適合されたアニロックス胴データ(浸漬容積等)に基づき、最適な乾燥出力(UVまたは高温空気)を設定する。
【0120】
ステップ6:点密度値および被印刷面積、ならびにアニロックス胴データ(浸漬容積等)に基づき、インキ消費量を算出する。
【0121】
ステップ7:エネルギを節約すると共に、LEDランプの耐用年数を向上させるために、版上に位置する点密度が低い箇所もしくは乾燥が全く必要とされない箇所において、LED-UVドライヤ区間を減少または停止させる。
【0122】
ステップ8:得られた見当マークデータ、例えばマーク構成および見当センサの自動的な軸方向位置決めに基づき、見当制御装置の全自動設定を行う。
【0123】
ステップ9:分光インライン測定用の測定位置、印刷インキの印刷検査、場所もしくは測定位置に関する情報を設定する。
【符号の説明】
【0124】
1 支持体胴
2 測定ステーション
3 スリーブ
4 接着テープ
5 版
6 回転体、特に版
7 第1のモータ
8 印刷機、特にフレキソ印刷機
9 印刷ユニット
10 ドライヤ
11 被印刷材
12 測定リング
13 隆起部/トポグラフィ
14 表面
15 アニロックスローラ/アニロックス胴
16 印刷胴
17 圧胴/被印刷材搬送胴
18 測定装置
19 放射線源、特に光源
20 リフレクタ
21 放射線受信器、特に受光器、例えばカメラ
22 回転軸線
23 ライトカーテン/送出された光
24 陰
25 反射された光
26 作業幅
27 軸方向
28 移動方向
29 第2のモータ
30 基準物体/線形の物体、特に糸/弦/カッタ/ビーム
31 基準線
32 距離
33 周面
34 ユニット
35 周方向
36 陰
37 センサ
38 確認目印
39 デジタルコンピュータ
40 デジタルメモリ
41 駆動側(AS)
42 作業側(BS)
43 点密度を検出するための装置
44 レーザマイクロメータ
45 第3のモータ
46 測定ライン
47 測定帯
48 複数の測定ライン
50 印刷領域
51 非印刷領域
52 包絡半径/包絡線
53 版の印刷点
54 版の、辛うじて印刷する点
55 版の、印刷しない点
56 最深点
57 半径方向距離
29b 別の第2のモータ
39b 別のデジタルコンピュータ
R 半径方向距離
D 直径
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図5