(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】定着装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20240325BHJP
H05B 3/00 20060101ALI20240325BHJP
【FI】
G03G15/20 555
G03G15/20 510
H05B3/00 310D
(21)【出願番号】P 2020088952
(22)【出願日】2020-05-21
【審査請求日】2023-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123559
【氏名又は名称】梶 俊和
(74)【代理人】
【識別番号】100177437
【氏名又は名称】中村 英子
(72)【発明者】
【氏名】長島 悟
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-266097(JP,A)
【文献】特開2001-326087(JP,A)
【文献】特開2008-140696(JP,A)
【文献】特開2009-181059(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
H05B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒータと、
交流電源の電力を前記ヒータに供給する導通状態又は供給を遮断する非導通状態となるスイッチ素子と、
前記交流電源のゼロクロス点を検知するゼロクロス検知手段と、
前記ゼロクロス検知手段の検知結果に基づいて、前記スイッチ素子の前記導通状態又は前記非導通状態を制御する制御手段と、
前記交流電源により充電され、前記スイッチ素子を前記導通状態に遷移させるための電流を前記スイッチ素子に供給する電源と、
前記制御手段から出力された信号に応じて前記電源から前記スイッチ素子に電流を供給させて前記スイッチ素子を前記導通状態に遷移させる駆動手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記電源に充電されている電荷量が所定値以上である場合には、前記電源から前記スイッチ素子に電流を流す時間が所定時間となるような第1のモードの信号を前記駆動手段に出力し、
前記電荷量が前記所定値未満である場合には、前記電源から前記スイッチ素子に電流を流す時間が前記所定時間よりも短くなるような第2のモードの信号を前記駆動手段に出力することを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記交流電源の1半波において、前記第1のモードでは第1の時間ハイレベルとなる信号を前記駆動手段に出力し、前記第2のモードでは前記第1の時間よりも短い第2の時間ハイレベルとなる信号を前記駆動手段に出力することを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記交流電源の1半波において、前記第1のモードでは第3の時間ハイレベルとなる信号を複数回、前記駆動手段に出力し、前記第2のモードでは前記第3の時間ハイレベルとなる信号を1回、前記駆動手段に出力することを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項4】
前記電源に充電されている電荷量を推定する推定手段を有し、
前記推定手段は、
前記第1のモードで第1の値が加算され、前記第2のモードで第2の値が減算されるカウンタを有し、
前記カウンタが第1の閾値以上となった場合に前記電荷量が不足すると推定し、前記第1の閾値未満となった場合に前記電荷量が不足していないと推定し、
前記電荷量が不足すると推定した場合、前記カウンタが前記第1の閾値よりも低い第2の閾値以下となった場合に前記電荷量が不足していないと推定することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の定着装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記ヒータの目標温度に応じた電力の供給量に基づいて前記駆動手段を制御し、
前記第1の値及び前記第2の値は、前記電力の供給量に応じて決定されることを特徴とする請求項4に記載の定着装置。
【請求項6】
前記第1の値は、前記電力の供給量が大きいほど大きく、
前記第2の値は、前記電力の供給量が大きいほど小さいことを特徴とする請求項5に記載の定着装置。
【請求項7】
前記交流電源の電圧を検知する電圧検知手段を備え、
前記第1の値及び前記第2の値は、前記電圧検知手段による検知結果に基づいて決定されることを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項8】
前記第2の値は、前記電圧検知手段により検知された電圧が大きいほど大きいことを特徴とする請求項7に記載の定着装置。
【請求項9】
前記電源は、前記交流電源の所定の極性の半波において充電されることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項10】
前記スイッチ素子は、双方向サイリスタであり、
前記駆動手段は、前記制御手段から出力された信号に応じて前記電源から前記双方向サイリスタのゲート端子に電流を供給することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項11】
記録材にトナー像を形成する画像形成手段と、
前記記録材に形成された未定着のトナー像を定着する請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の定着装置と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置及び画像形成装置に関し、特に、複写機やレーザプリンタ等の画像形成装置に搭載される定着装置の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
双方向サイリスタ(以下、トライアックという)等のスイッチ素子を制御して、交流電源から負荷へ電力を供給する回路において、交流電源とは別の電源を配置してトライアックのゲート電流を流してトライアックを制御する技術がある。例えば、特許文献1のような提案がなされている。一方、交流電源の交流電圧の歪みや、重畳したノイズにより、トライアックがターンオフしてしまうことが知られている。トライアックがターンオフすることを防いで制御する方法として、例えば、特許文献2のように、トライアックを実質連続的に導通させるために電源に連続してマイナス電位が供給されるように制御する技術がある。また、特許文献3のように、ゲート信号の印加時間を延ばす技術について提案がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-247758号公報
【文献】特開2001-326087号公報
【文献】特許第6152618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のような交流電源とは別に電源を配置してゲート電流を流してトライアックを制御する回路において、トライアックを実質連続的に導通させるために電源に電位を加え続けるためには、トランスやブリッジダイオードのような回路素子が必要になる。また、交流電源とは別に電源を配置してゲート電流を流してトライアックを制御する回路において、ゲート電流を流す時間を延ばして交流電源の歪みやノイズによるトライアックのターンオフへの対策を行おうとすると、大きな電源容量が必要になってしまう。このため、交流電源とは別の電源によりスイッチ素子を制御する回路において、コストアップを抑制しつつ、簡易的な手段で、交流電圧の歪みやノイズによる影響を避け、スイッチ素子を連続して制御することが求められている。
【0005】
本発明は、このような状況のもとでなされたもので、交流電源とは別の電源によりスイッチ素子を制御する回路において、コストアップを抑制しつつ、簡易的な手段で、交流電圧の歪みやノイズによる影響を避け、スイッチ素子を連続して制御することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、以下の構成を備える。
【0007】
(1)ヒータと、交流電源の電力を前記ヒータに供給する導通状態又は供給を遮断する非導通状態となるスイッチ素子と、前記交流電源のゼロクロス点を検知するゼロクロス検知手段と、前記ゼロクロス検知手段の検知結果に基づいて、前記スイッチ素子の前記導通状態又は前記非導通状態を制御する制御手段と、前記交流電源により充電され、前記スイッチ素子を前記導通状態に遷移させるための電流を前記スイッチ素子に供給する電源と、前記制御手段から出力された信号に応じて前記電源から前記スイッチ素子に電流を供給させて前記スイッチ素子を前記導通状態に遷移させる駆動手段と、を備え、前記制御手段は、前記電源に充電されている電荷量が所定値以上である場合には、前記電源から前記スイッチ素子に電流を流す時間が所定時間となるような第1のモードの信号を前記駆動手段に出力し、前記電荷量が前記所定値未満である場合には、前記電源から前記スイッチ素子に電流を流す時間が前記所定時間よりも短くなるような第2のモードの信号を前記駆動手段に出力することを特徴とする定着装置。
【0008】
(2)記録材にトナー像を形成する画像形成手段と、前記記録材に形成された未定着のトナー像を定着する前記(1)に記載の定着装置と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、交流電源とは別の電源によりスイッチ素子を制御する回路において、コストアップを抑制しつつ、簡易的な手段で、交流電圧の歪みやノイズによる影響を避け、スイッチ素子を連続して制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】実施例1~3の画像形成装置の制御ブロック図
【
図3】実施例1の定着装置の回路構成を示す全体概略図
【
図4】実施例1のゼロクロス信号と補正後のゼロクロス信号の関係図
【
図5】実施例1のヒータの制御を示すタイミングチャート
【
図6】実施例1のヒータの制御を示すフローチャート
【
図7】実施例2の1全波のみ拡大したヒータの制御を示すタイミングチャート
【
図8】実施例2のヒータの制御を示すタイミングチャート
【
図9】実施例2のヒータの制御を示すフローチャート
【
図10】実施例3の定着装置の回路構成を示す全体概略図
【
図11】実施例3のヒータの制御を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態を、実施例により図面を参照しながら詳しく説明する。
【実施例1】
【0012】
[画像形成装置]
図1は実施例1の定着装置を搭載した一例の画像形成装置である、インライン方式のカラー画像形成装置を示す構成図である。
図1を用いて電子写真方式のカラー画像形成装置の動作を説明する。なお、第1ステーションをイエロー(Y)色のトナー画像形成用のステーション、第2ステーションをマゼンタ(M)色のトナー画像形成用のステーションとしている。また、第3ステーションをシアン(C)色のトナー画像形成用のステーション、第4ステーションをブラック(K)色のトナー画像形成用のステーションとしている。
【0013】
第1ステーションで、像担持体である感光ドラム1aは、OPC感光ドラムである。感光ドラム1aは金属円筒上に感光して電荷を生成するキャリア生成層、発生した電荷を輸送する電荷輸送層等からなる機能性有機材料が複数層積層されたものであり、最外層は電気的導電性が低く略絶縁である。帯電手段である帯電ローラ2aが感光ドラム1aに当接され、感光ドラム1aの回転に伴い、従動回転しなから感光ドラム1a表面を均一に帯電する。帯電ローラ2aには直流電圧又は交流電圧を重畳した電圧が印加され、帯電ローラ2aと感光ドラム1a表面とのニップ部から、回転方向の上流側及び下流側の微小な空気ギャップにおいて放電が発生することにより感光ドラム1aが帯電される。クリーニングユニット3aは、後述する転写後に感光ドラム1a上に残ったトナーをクリーニングするユニットである。現像手段である現像ユニット8aは、現像ローラ4a、非磁性一成分トナー5a、現像剤塗布ブレード7aからなる。感光ドラム1a、帯電ローラ2a、クリーニングユニット3a、現像ユニット8aは、画像形成装置に対して着脱自在な一体型のプロセスカートリッジ9aとなっている。
【0014】
露光手段である露光装置11aは、レーザー光を多面鏡によって走査させるスキャナユニット又はLED(発光ダイオード)アレイから構成され、画像信号に基づいて変調された走査ビーム12aを感光ドラム1a上に照射する。また、帯電ローラ2aは、帯電ローラ2aへの電圧供給手段である帯電高電圧電源20aに接続されている。現像ローラ4aは、現像ローラ4aへの電圧供給手段である現像高電圧電源21aに接続されている。1次転写ローラ10aは、1次転写ローラ10aへの電圧供給手段である1次転写高電圧電源22aに接続されている。以上が第1ステーションの構成であり、第2、第3、第4ステーションも同様の構成をしている。他のステーションについて、第1ステーションと同一の機能を有する部品は同一の符号を付し、符号の添え字にステーションごとにb、c、dを付している。なお、以下の説明において、特定のステーションについて説明する場合を除き、添え字a、b、c、dを省略する。
【0015】
中間転写ベルト13は、その張架部材として2次転写対向ローラ15、テンションローラ14、補助ローラ19の3本のローラにより支持されている。テンションローラ14のみバネ(不図示)で中間転写ベルト13を張る方向の力が加えられており、中間転写ベルト13に適当なテンション力が維持されるようになっている。2次転写対向ローラ15はメインモータ(不図示)からの回転駆動を受けて回転し、外周に巻かれた中間転写ベルト13が回動する。中間転写ベルト13は感光ドラム1a~1d(例えば、
図1では反時計回り方向に回転)に対して順方向(例えば、
図1では時計回り方向)に略同速度で移動する。また、中間転写ベルト13は、矢印方向(時計回り方向)に回転し、1次転写ローラ10は中間転写ベルト13を挟んで感光ドラム1と反対側に配置されて、中間転写ベルト13の移動に伴い従動回転する。中間転写ベルト13を挟んで感光ドラム1と1次転写ローラ10とが当接している位置を1次転写位置という。補助ローラ19、テンションローラ14及び2次転写対向ローラ15は電気的に接地されている。なお、第2~第4ステーションも1次転写ローラ10b~10dは第1ステーションの1次転写ローラ10aと同様の構成としているので説明を省略する。
【0016】
次に実施例1の画像形成装置の画像形成動作を説明する。画像形成装置は待機状態時に印刷指令を受信すると、画像形成動作をスタートする。感光ドラム1や中間転写ベルト13等はメインモータ99(
図2)によって所定のプロセススピードで矢印方向に回転を始める。感光ドラム1aは、帯電高電圧電源20aにより電圧が印加された帯電ローラ2aによって一様に帯電され、続いて露光装置11aから照射された走査ビーム12aによって画像情報に従った静電潜像が形成される。現像ユニット8a内のトナー5aは、現像剤塗布ブレード7aによって負極性に帯電されて現像ローラ4aに塗布される。そして、現像ローラ4aには、現像高電圧電源21aより所定の現像電圧が供給される。感光ドラム1aが回転して感光ドラム1a上に形成された静電潜像が現像ローラ4aに到達すると、静電潜像は負極性のトナーが付着することによって可視化され、感光ドラム1a上には第1色目(例えば、Y(イエロー))のトナー像が形成される。他の色M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各ステーション(プロセスカートリッジ9b~9d)も同様に動作する。各色の1次転写位置間の距離に応じて、一定のタイミングでコントローラ(不図示)からの書き出し信号を遅らせながら、露光による静電潜像が各感光ドラム1a~1d上に形成される。それぞれの1次転写ローラ10a~10dにはトナーと逆極性の直流高電圧が印加される。以上の工程により、順に中間転写ベルト13にトナー像が転写されて(以下、1次転写という)、中間転写ベルト13上に多重トナー像が形成される。
【0017】
その後、トナー像の作像に合わせて、カセット16に積載されている記録材である用紙Pは、給紙ソレノイド(不図示)によって回転駆動される給紙ローラ17により給送(ピックアップ)される。給送された用紙Pは搬送ローラによりレジストレーションローラ(以下、レジストローラという)18に搬送される。用紙Pは、中間転写ベルト13上のトナー像に同期して、レジストローラ18によって中間転写ベルト13と2次転写ローラ25との当接部である転写ニップ部へ搬送される。2次転写ローラ25には2次転写高電圧電源26により、トナーと逆極性の電圧が印加され、中間転写ベルト13上に担持された4色の多重トナー像が一括して用紙P上(記録材上)に転写される(以下、2次転写という)。用紙P上に未定着のトナー像が形成されるまでに寄与した部材(例えば、感光ドラム1等)は画像形成手段として機能する。一方、2次転写を終えた後、中間転写ベルト13上に残留したトナーは、クリーニングユニット27によって清掃される。定着手段である定着装置50は、2次転写を終えたトナー像を用紙Pに定着させる装置であり、フィルム51、ヒータ54、ヒータ54の温度を検知する定着温度センサ59、加圧回転体としてのローラである加圧ローラ53から構成される。加圧ローラ53は、両端を回転可能に保持されており、定着モータ89(
図2参照)によって回転駆動される。また、加圧ローラ53の回転により、フィルム51は従動回転する。加熱部材であるヒータ54は、ヒータ54の温度を検知する定着温度センサ59の検知結果に基づいて、CPU94(
図2参照)によって所望の温度に制御される。所望の温度に制御されたヒータ54により、フィルム51へ熱が伝わる。このように、2次転写が終了した後の用紙Pは、定着装置50へと搬送され、フィルム51の熱と、加圧ローラ53の圧力によって、トナー像が定着されて、画像形成物(プリント、コピー)として排出トレー30へと排出される。
【0018】
[画像形成装置のブロック図]
図2は画像形成装置の動作を説明するブロック図であり、この図を参照しながら画像形成装置の印刷動作について説明する。ホストコンピュータであるPC90は、画像形成装置の内部にあるビデオコントローラ91に対して印刷指令を出力し、印刷画像の画像データをビデオコントローラ91に転送する役割を担う。ビデオコントローラ91はPC90からの画像データを露光データに変換し、エンジンコントローラ92内にある露光制御装置93に転送する。露光制御装置93はCPU94から制御され、露光データに応じてレーザー光のオンオフを行う露光装置11の制御を行う。制御手段であるCPU94は印刷指令を受信すると画像形成シーケンスをスタートさせる。
【0019】
エンジンコントローラ92にはCPU94、メモリ95等が搭載されており、予めプログラムされた動作を行う。高電圧電源96は上述の帯電高電圧電源20、現像高電圧電源21、1次転写高電圧電源22、2次転写高電圧電源26から構成される。また、電力制御部97は、スイッチ素子である双方向サイリスタ(以下、トライアックという)56から構成される。トライアック56は、交流電源100の電力をヒータ54に供給する導通状態又は供給を遮断する非導通状態となるスイッチ素子である。電力制御部97は、定着装置50内のヒータ54へ供給する電力の供給量を制御する。また、駆動装置98はメインモータ99、定着モータ89等から構成される。定着モータ89により駆動力が伝達されて定着装置50の加圧ローラ53は回転駆動する。センサ87は定着装置50の温度を検知する定着温度センサ59、フラグを有し用紙Pの有無を検知する紙有無センサ88等からなり、センサ87の検知結果はCPU94に送信される。CPU94は画像形成装置内のセンサ87の検知結果を取得し、露光装置11、高電圧電源96、電力制御部97、駆動装置98を制御する。これにより、CPU94は、静電潜像の形成、現像されたトナー像の転写、用紙Pへのトナー像の定着等を行い、露光データがトナー像として用紙P上に印刷される画像形成工程の制御を行う。
【0020】
[ゼロクロス回路部及びヒータの制御回路構成と動作]
図3は、実施例1の電力制御部97の全体概略図である。電力制御部97は、ゼロクロス回路部210と駆動回路部220から構成される。ゼロクロス検知手段であるゼロクロス回路部210は交流電源100に接続され、交流電源100のゼロクロス点を検知する。ゼロクロス回路部210は、フォトカプラ103、トランジスタ106、抵抗101、102、104、105、107を有している。フォトカプラ103は、フォトダイオード103dと受光側トランジスタ103tとを有している。直流電圧源Vcc1は、図示しない手段によって生成された直流電圧源であり、ゼロクロス回路部210、駆動回路部220、CPU94に直流電圧を供給する。駆動手段である駆動回路部220は、トランジスタ113、トライアック56、トライアック56にゲート電流Igを供給する電源である電解コンデンサ(以下、コンデンサという)111を有している。駆動回路部220は、ツェナーダイオード108、フォトカプラ116、ダイオード109、110、トランジスタ118を有している。フォトカプラ116は、フォトダイオード116dと受光側トランジスタ116tとを有している。駆動回路部220は、ヒータ54、抵抗112、114、117、119、120を有している。また、CPU94も駆動回路部220を構成している。トライアック56は、交流電源100とヒータ54との間に接続される。コンデンサ111は、トライアック56のT1端子に正極(+)が接続されている。これにより、トライアック56は、コンデンサ111からゲート電流Igを供給される。すなわち、コンデンサ111は、トライアック56を駆動するための、交流電源100とは別の電源として機能している。
【0021】
(ゼロクロス回路部)
まず、ゼロクロス回路部210について説明する。フォトカプラ103は、抵抗101を介して、交流電源100の一極(ライブ、以下、L極とする)と接続される。交流電源100のL極側から電力が供給され一定値以上の電圧になると、抵抗101を介してフォトカプラ103のフォトダイオード(以下、LEDとする)103dに電流が流れてLED103dが発光する。フォトカプラ103のLED103dが発光すると、抵抗102を介して接続された直流電圧源Vcc1から、フォトカプラ103の受光側トランジスタ103tを介して電流が流れる。すなわち、抵抗102、フォトカプラ103の受光側トランジスタ103tのコレクタ・エミッタ間、抵抗105、抵抗107からグランド(以下、GNDとする)へと電流が流れる。
【0022】
また、このとき、フォトカプラ103の受光電流は、トランジスタ106のベース端子へと流れる。トランジスタ106のベース端子に電流が流れると、直流電圧源Vcc1から抵抗104、トランジスタ106のコレクタ・エミッタ間へと電流が流れる。抵抗104とトランジスタ106のコレクタ端子との接続点はCPU94に接続されており、ゼロクロス信号(ZEROXと図示)としてCPU94に入力される。上述のようにフォトカプラ103の受光電流が流れたとき、CPU94に入力されるゼロクロス信号は、ハイレベルからローレベルへと遷移する。
【0023】
交流電源100のL極の電位が一定値以下に下がると、フォトカプラ103のLED103dは消灯し、トランジスタ106のベース電流が流れなくなる。このため、ゼロクロス信号は、ローレベルからハイレベルへと遷移する。交流電源100の他方の極(ニュートラル、以下、N極とする)側から電力が供給された場合、フォトカプラ103のLED103dは発光しない。このため、トランジスタ106のベース電流は流れないままであり、ゼロクロス信号は、ハイレベル状態のまま変化しない。以降同様に、ゼロクロス回路部210は、交流電源100の動作に合わせて、ゼロクロス信号をCPU94に送信する。
【0024】
(駆動回路部)
次に、駆動回路部220について説明する。CPU94は前述のゼロクロス回路部210から入力されたゼロクロス信号に基づいて、後述するようにFSRD信号を出力するタイミングを決定し、FSRD信号をローレベル状態からハイレベル状態に変化させる。FSRD信号は、CPU94がトライアック56の導通/非導通を制御するために駆動回路部220に出力する信号である。FSRD信号がローレベルからハイレベルに変化すると、抵抗119を介して、トランジスタ118のベース・エミッタ間に電流が流れる。トランジスタ118のベース・エミッタ間に電流が流れると、抵抗117を介して接続された直流電圧源Vcc1から、フォトカプラ116のLED116dとトランジスタ118のコレクタ・エミッタ間に電流が流れる。これにより、フォトカプラ116のLED116dが発光する。
【0025】
フォトカプラ116のLED116dが発光すると、交流電源100のL極側から電力が供給されている場合は、トライアック56のゲート電流Igは、2つの経路で流れる。1つめの電流経路は、コンデンサ111及び交流電源100のL極から、次の経路で電流が流れる。トライアック56のT1端子-ゲート端子(Gと図示)間、抵抗114、フォトカプラ116の受光側トランジスタ116tのコレクタ・エミッタ間、トランジスタ113のベース・エミッタ間、ダイオード109、抵抗120、ダイオード110へと流れる。2つめの電流経路は、トライアック56のT1端子-ゲート端子間、抵抗112、トランジスタ113のコレクタ・エミッタ間を経由して、ダイオード109、抵抗120、ダイオード110へと流れる。一方、交流電源100のN極側から電力が供給されている場合は、トライアック56のゲート電流Igは、コンデンサ111からのみ電荷が供給されて、同様の経路で電流が流れる。
【0026】
つまり、フォトカプラ116が発光しているとき、交流電源100のL極側から電力が供給されている場合は、交流電源100のL極側とコンデンサ111の両方から、トライアック56のT1端子-ゲート端子間に電流が流れる。一方、交流電源100のN極側から電力が供給されている場合は、コンデンサ111からのみトライアック56のT1端子-ゲート端子間に電流が供給される。トライアック56のT1端子-ゲート端子間に電流が流れると、トライアックのT1端子-T2端子間が導通状態(以下、オン状態とする)に遷移し、T1端子-T2端子間に電流が流れ、ヒータ54に電力が供給される。トライアック56のT1端子-T2端子を介してヒータ54に流れる電流をヒータ電流Iとする。
【0027】
FSRD信号がハイレベルからローレベルに遷移すると、フォトカプラ116のLED116dは消灯し、トライアック56のゲート電流Igは流れない。このため、トライアック56のT1端子-T2端子間は非導通状態(以下、オフ状態という)となり、T1端子-T2端子間に電流が流れず、ヒータ54には電力が供給されない。CPU94は、FSRD信号のハイレベル/ローレベルを切り替えることで、ゲート電流Igのオン/オフを制御することでトライアック56を制御して、ヒータ54への電力供給を制御する。このように、トライアック56は、CPU94から出力されたFSRD信号に応じて、交流電源100の交流電圧の1周期の半波ごとにオンとオフを繰り返して、ヒータ54への電力供給を制御する。
【0028】
[コンデンサ111への充放電動作]
(充電動作)
コンデンサ111への充電動作について説明する。交流電源100のL極側から電力を供給されると、コンデンサ111、ダイオード109、抵抗120、ダイオード110を経由した経路で流れる充電電流Icによって、コンデンサ111に電荷が充電される。コンデンサ111の両端にかかる上限電圧は、ツェナーダイオード108のツェナー電圧によって制限される。交流電源100のN極側から電力が供給された場合は、ダイオード110の極性によって電流の向きが制限され、コンデンサ111の充電電流Icは流れない。すなわち、コンデンサ111の充電動作は、交流電圧の1周期における所定の極性の半波(実施例1の場合はL極からN極に流れる半波)において行われる。
【0029】
(放電動作)
次に放電動作について説明する。交流電源100のL極側及びN極側のどちらから電力を供給された場合でも、CPU94がFSRD信号をハイレベル/ローレベルに遷移させる動作に応じて、コンデンサ111は電荷を放電し、トライアックのT1端子-ゲート端子間にゲート電流Igを流す。つまり、交流電源100のL極側から電力を供給されたときに、トライアック56をオンする場合は、コンデンサ111は、交流電源100から充電されつつ、トライアック56のゲート電流Igを流すため電荷を放電する。一方、交流電源100のN極側から電力を供給されたときに、トライアック56をオンする場合は、コンデンサ111は、トライアック56のゲート電流Igを流すため、電荷が放電だけされ充電はされない。
【0030】
[ゼロクロス信号から補正後のゼロクロス信号を生成する動作]
図4は、CPU94に入力されたゼロクロス信号と、CPU94内部で補正したゼロクロス信号との関係を示したタイミングチャートである。(i)は交流電源100の交流電圧の波形を示すグラフであり、L極からN極への電力供給時をプラス、N極からL極への電力供給時をマイナスとしている。また、フォトカプラ103のLED103dが発光する電圧を発光電圧Vzとし、破線で示している。(ii)はゼロクロス回路部210からCPU94に出力されるゼロクロス信号を示している。(iii)は、ゼロクロス回路部210から入力されたゼロクロス信号に基づいて、CPU94がゼロクロス信号を補正した後(補正後)のゼロクロス信号を示している。横軸はいずれも時間(s(秒))を示す。
【0031】
交流電源100のN極から電力が供給された場合、前述のようにゼロクロス信号はハイレベル状態のままである。交流電源100のL極から電力が供給されたとき、交流電源100から電力がゼロクロス回路部210に供給される。そして、交流電源100の交流電圧の値がフォトカプラ103のLED103の発光電圧Vzを上回ると、ゼロクロス回路部210が動作して、ゼロクロス信号がハイレベル状態からローレベル状態に遷移する。交流電源100から供給される電圧が下がり、フォトカプラ103のLED103dが消灯すると、ゼロクロス信号はローレベル状態からハイレベル状態に遷移する。CPU94は、ゼロクロス信号の立ち下がりを検知するたびに、直前の立ち下がりのタイミングからの経過時間を周期Tとして算出する。
【0032】
周期Tを算出した後、CPU94は、入力されたゼロクロス信号と算出した周期Tとに基づいて、周期Tのハイレベル/ローレベルを繰り返すクロック信号を生成する。具体的には、ゼロクロス信号の立ち下がりでハイレベルからローレベルに遷移し、ゼロクロス信号の立ち下がりから周期T/2のタイミングでローレベルからハイレベルに遷移するようなクロック信号である。さらに、CPU94は、生成したクロック信号の位相を、予め定めた△tだけ早めた信号を生成する。以下、CPU94の内部で、このように生成されたクロック信号を、補正後のゼロクロス信号という。位相をΔt早めることで、ゼロクロス信号の立ち下がりを交流電源100のゼロクロス点と合わせている。実施例1において、ゼロクロス信号の立ち下がりの、交流電源100のゼロクロス点からのずれは、例えば1.0ms(ミリ秒)であり、Δtは1.0msである。CPU94は、後述するように補正後のゼロクロス信号の立ち下がりと立ち上がりを基準に、FSRD信号を出力して、トライアック56のオンオフ制御を行う。
【0033】
[タイミングチャート]
図5は、各波形や各信号のタイミングチャートである。(i)~(iii)は
図4(i)~(iii)の波形と同様の波形である。(iv)はCPU94が出力するFSRD信号の波形を示し、実施例1の制御を実施しない場合を破線で示す。(v)はコンデンサ111の充電電流Icの波形を示す。(vi)は充放電カウンタpを示し、後述する第1の閾値である動作モード切り替え閾値Pth1と第2の閾値である動作モード切り替え閾値Pth2を細い実線で示す。(vii)はコンデンサ111の電荷残量を示し、ゲート電流Igを流すために必要なコンデンサ111の電荷量を必要電荷量Vthとして細い実線で示す。また、実施例1の制御を実施しない場合の電荷残量を破線で示す。(viii)は実施例1の制御を実施しない場合のヒータ電流Iを破線で示し、(ix)は実施例1の制御を実施した場合のヒータ電流Iを示す。横軸はいずれも時間(s)を示す。実施例1では、交流電圧の1半波ごとにA区間からG区間に分けて、動作を説明する。
【0034】
交流電源100は、実施例1において周波数が50Hzであり、周期T=20msの正弦波である。交流電源100の正弦波が、A区間からG区間までの間、周期T(s)で、電力制御部97に供給される。ゼロクロス信号は、交流電源100のN極側から電力が供給された場合、前述の動作で示すようにハイレベル状態のままとなる。
図4に示すように、交流電源100のL極側から電力が供給されて発光電圧Vz以上になると、ゼロクロス信号はハイレベル状態からローレベル状態に遷移する(ii)。以降、周期T(s)毎に同様の動作を繰り返す。CPU94による補正後のゼロクロス信号は、前述の
図4に示すようにゼロクロス信号を基に生成される(iii)。
【0035】
(実施例1の制御を実施しない場合)
まず、実施例1の制御を実施しない場合の動作について説明する。FSRD信号(iv)と、コンデンサ111の電荷残量(vii)について、
図5のA~D区間とG区間は実線で、E区間及びF区間は破線で示す。実施例1の制御を行わない場合、FSRD信号は同一の電力制御対象の半波内で、極力長時間ハイレベル状態で出力され続ける。コンデンサ111の電荷残量は、FSRD信号がハイレベル状態で出力されるごとに減少し続ける。コンデンサ111の電荷残量が減少し続けると、E区間の時刻tm(s)において、コンデンサ111の電荷残量が、トライアック56をオンするために必要な必要電荷量Vthを下回ってしまう。以降、F、G区間においても、コンデンサ111の電荷残量は、FSRD信号がハイレベル状態で出力されるごとに減少し続けるため、E区間の時刻tm(s)以降は、必要電荷量Vthを下回ったままとなる。
【0036】
実施例1の制御を実施しない場合のヒータ電流Iの動作を
図5(viii)に破線で示す。実施例1の制御を行わない場合、A~D区間において、FSRD信号がハイレベル状態で出力されたときに、前述の動作によってトライアック56がオンされてヒータ電流Iがヒータ54に流れる。しかしながら、E区間において、時刻tm(s)のタイミングで、コンデンサ111の電荷残量が、トライアック56をオンするのに必要な必要電荷量Vthを下回ってしまうため、時刻tm(s)以降、トライアック56はオンできない。トライアック56がオンできないため、ヒータ電流Iは流れない。時刻tm(s)以降も、コンデンサ111の電荷残量は、FSRD信号がハイレベル状態で出力されるごとに減少し続けるため、F区間、G区間でも、トライアック56がオンできず、ヒータ電流Iは流れないままである。つまり、実施例1の制御を実施しない場合は、コンデンサ111の電荷残量が減少して必要電荷量Vthを下回ると、それ以降は、トライアック56をオンすることができなくなる。そして、実質連続的にトライアック56のオンオフ制御ができなくなってしまう。
【0037】
(充放電カウンタp)
次に、充放電カウンタp(vi)について説明する。充放電カウンタpは、コンデンサ111の電荷残量を推定するために設けられたCPU94の内部の演算カウンタであり、周期T毎に、つまり交流電源100の1全波毎に値が更新される。CPU94は推定手段としても機能する。充放電カウンタpは、FSRD信号がハイレベル状態で出力されると、交流電源100の1全波毎に値が加算される。また、充放電カウンタpは、後述するように、同一の電力制御対象の半波内でFSRD信号をハイレベル状態で出力する時間を減らした場合には1全波毎に値が減算される。また、充放電カウンタpは、FSRD信号がローレベル状態で出力されない状態で交流電源100の1全波が駆動回路部220に供給された場合にも1全波毎に値が減算される。
【0038】
(vi)に示す動作モード切り替え閾値Pth1と、動作モード切り替え閾値Pth2は、充放電カウンタpに対して設定された閾値である。充放電カウンタpの値が動作モード切り替え閾値Pth1以上(第1の閾値以上、所定値以上)になった場合、後述するように同一の電力制御対象の半波内でのFSRD信号をハイレベル状態で出力する時間を減らす。また、充放電カウンタpの値が動作モード切り替え閾値Pth2以下になった場合、後述するように同一の電力制御対象の半波内でFSRD信号をハイレベル状態で出力する時間を元に戻す。動作モード切り替え閾値Pth1は、予め定められた値であり、トライアック56のゲート電流Igを流すのに必要なコンデンサ111の電荷残量が最低限維持されるような値に設定される。実施例1では動作モード切り替え閾値Pth1は、プラス30である。CPU94は、充放電カウンタpが動作モード切り替え閾値Pth1以上になった場合、コンデンサ111の電荷残量が必要電荷量Vthを下回るおそれがあると推定する。また、動作モード切り替え閾値Pth2は予め定められた値であり、トライアック56を複数回連続してオンできる十分なコンデンサ111の電荷残量となるような値に設定される。CPU94は、充放電カウンタpが動作モード切り替え閾値Pth2以下(第2の閾値以下)になった場合、コンデンサ111が十分充電されたと推定する。実施例1において、動作モード切り替え閾値Pth2はプラス2である。
【0039】
実施例1では、CPU94は、充放電カウンタpの値に基づいて、コンデンサ111の電荷残量を推定する。CPU94は、コンデンサ111の電荷残量がトライアック56のゲート電流Igの必要電荷量Vthを下回りそうになったら、後述するように同一の電力制御対象の半波内でのFSRD信号をハイレベル状態で出力する時間を減らす。CPU94は、ハイレベル状態の時間を減らしてFSRD信号を制御している状態で充放電カウンタpの値に基づきコンデンサ111の電荷残量が十分あると推定したら、同一の電力制御対象の半波内でのFSRD信号をハイレベル状態で出力する時間を元に戻す。
【0040】
[充放電カウンタの動作]
実施例1における、充放電カウンタpの動作について説明する。充放電カウンタpは、FSRD信号がハイレベル状態で所定時間及び第1の時間であるt3秒(<1/2T)間出力された場合、プラス2が加算される。FSRD信号がt3秒間ハイレベルとなるように出力されている状態を、第1のモードとする。また、FSRD信号がハイレベル状態で第2の時間であるt4秒間出力された場合、マイナス30加算(30減算)される。FSRD信号がt4秒間ハイレベルとなるように出力されている状態を、第2のモードとする。ここで、t3>t4である。また、図示しない以前の状態によって、充放電カウンタpは、初期状態では、プラス27とする(p=+27)。
【0041】
充放電カウンタpは、上述したように1全波毎に更新される。A、B区間の1全波において、t3秒間ハイレベルのFSRD信号が出力されるため、CPU94は充放電カウンタpにプラス2を加算する(p=27+2=29)。また、C、D区間の1全波において、t3秒間ハイレベルのFSRD信号が出力されるため、CPU94は充放電カウンタpにプラス2を加算する(p=29+2=31)。A~D区間を経て、充放電カウンタpはプラス31まで上昇する。そうすると、C区間において、充放電カウンタpは、動作モード切り替え閾値Pth1(=30)を超えている(p>Pth1)。CPU94は、コンデンサ111の電荷残量が必要電荷量Vthを下回ると推定する。このため、CPU94は、E区間において、FSRD信号をハイレベル状態で出力する時間をt3秒間からt4秒間に変更して出力する。言い換えればCPU94は、動作モードを第1のモードから第2のモードに切り替える。E区間において、CPU94は、FSRD信号をハイレベル状態でt4秒間とする。このとき、充放電カウンタpは、前述の動作によって、プラス31から、マイナス30加算されて1となる(p=31-30=1)。これにより、充放電カウンタpは動作モード切り替え閾値Pth2のプラス2を下回る(p<Pth2)。CPU94は、コンデンサ111の電荷残量が十分であると推定する。G区間において、CPU94は、再びFSRD信号をハイレベル状態でt3秒間出力する。言い換えればCPU94は、動作モードを第2のモードから第1のモードに切り替える。G区間と続く半波の区間の1全波において、t3秒間ハイレベルのFSRD信号が出力されるため、CPU94は充放電カウンタpにプラス2を加算する(p=1+2=3)。これにより、充放電カウンタpは、プラス3となる。以降同様の動作を繰り返す。
【0042】
[FSRD信号の動作]
次に、実施例1における、FSRD信号の動作概要について説明する。実施例1において、FSRD信号は、同一の電力制御対象の半波内で、ハイレベル状態で出力される時間が長時間の場合と、短時間の場合の2種類の状態で出力される。1つは、同一の電力制御対象の半波内で、極力長時間ハイレベル状態で出力される。もう1つは、同一の電力制御対象の半波内で、短時間ハイレベル状態で出力される。実施例1において、同一の電力制御対象の半波内において極力長時間ハイレベル状態で出力される場合は、CPU94による補正後のゼロクロス信号の立ち上がり又は立ち下がりからt3(s)間、FSRD信号がハイレベル状態で出力される。同一の電力制御対象の半波内においてハイレベル状態で出力される時間が短い場合は、CPU94による補正後のゼロクロス信号の立ち上がり又は立ち下がりからt4(s)間、FSRD信号がハイレベル状態で出力される。
【0043】
t3は予め定められた時間であり、同一の電力制御対象の半波の、次の半波でトライアック56をノイズ等で誤点灯させないように、同一の電力制御対象の半波内で極力長時間となるような値である。例えば1/2T(=10ms)に近い時間である。実施例1において、t3は例えば8.5msである。また、t4は予め定められた時間であり、コンデンサ111の電荷が、交流電源100の1全波で最大値まで充電されるような値である。実施例1において、t4は例えば2.0msである。実施例1において、FSRD信号は、同一の電力制御対象の半波内で、通常はCPU94による補正後のゼロクロス信号を基準にt3秒間ハイレベル状態で出力される。そして、前述のように充放電カウンタpの値が動作モード切り替え閾値Pth1以上になると、CPU94は、FSRD信号を同一の電力制御対象の半波内におけるハイレベル状態で出力する時間をt3からt4に変更する。その後、充放電カウンタpの値が動作モード切り替え閾値Pth2以下になると、FSRD信号は、同一の電力制御対象の半波内で、ハイレベル状態で出力する時間がt4からt3に変更される。
【0044】
実施例1のFSRD信号の具体的な動作について説明する。FSRD信号は、A、C、G区間において、CPU94による補正後のゼロクロス信号の立ち上がりタイミングで、CPU94によりt3秒間ハイレベル状態で出力された後、ローレベルに遷移する。また、B、及びD区間において、FSRD信号は、CPU94による補正後のゼロクロス信号の立ち下がりタイミングから、CPU94によりt3秒間ハイレベル状態で出力された後、ローレベルに遷移する。
【0045】
E、F区間においては、前述の充放電カウンタpが動作モード切り替え閾値Pth1以上になる。このため、FSRD信号は、前述のように同一の電力制御対象の半波内で、ハイレベル状態で出力する時間がt4に減らされて制御される。E区間において、FSRD信号は、CPU94による補正後のゼロクロス信号の立ち上がりタイミングから、t4秒間ハイレベル状態で出力された後、ローレベルに遷移する。F区間において、FSRD信号は、CPU94による補正後のゼロクロス信号の立ち下がりタイミングから、t4秒間ハイレベル状態で出力された後、ローレベルに遷移する。
【0046】
[充電電流Icの動作]
次に、コンデンサ111の充電電流Icの動作について説明する。前述のように、コンデンサ111の充電電流Icは、交流電源100のL極側から電力が供給された際に、つまり、B、D、F区間において、コンデンサ111の電荷が充電されるように流れる電流である。交流電源100のL極側から電力が供給されたとき、半波毎にコンデンサ111に前述の経路で充電電流Icが流れる。
【0047】
[コンデンサ111の電荷量]
次に、コンデンサ111の電荷量の変動について説明する。タイミングチャートの初期状態では、コンデンサ111は一定程度に充電されている。FSRD信号がハイレベル状態で出力されると、コンデンサ111からトライアック56のゲート端子に電流が流れ、電荷が減少する。まず、A、C、E、G区間のように、交流電源100のN極側から電力が供給される場合は、コンデンサ111への電荷が充電されない。交流電源100のN極側から電力が供給されているときに、CPU94からFSRD信号が出力されてトライアック56のゲート電流Igがコンデンサ111から流れた場合に、最もコンデンサ111の電荷が減少する。交流電源100のN極側から電力が供給されているときに、CPU94からFSRD信号が出力されている間、コンデンサ111の電荷は減少し続ける。FSRD信号が出力されなくなると、コンデンサ111の電荷は一定となる。
【0048】
次に、B、D、F区間のように、交流電源100のL極側から電力が供給されているとき、CPU94からFSRD信号が出力されてトライアック56のゲート電流Igがコンデンサ111から流れた場合は、電荷が減少する。同時に、交流電源100のL極側から充電電流Icが流れ、コンデンサ111に電荷が充電される。つまり、交流電源100のL極側から電力が供給されているとき、CPU94からFSRD信号が出力されている間、コンデンサ111の電荷は放電されながら、交流電源100のL極側から充電電流Icが流れて充電される。このため、コンデンサ111の電荷はA、C、E、G区間に比較して緩やかに減少し続ける。交流電源100のL極側から電力が供給されているとき、FSRD信号が出力されなくなると、コンデンサ111の電荷は充電されて上昇する。
【0049】
実施例1のE、F区間において、実施例1の制御を行う場合のコンデンサ111の電荷残量を実線で示す。実施例1の制御を行う場合、E区間とF区間において、前述の通り、充放電カウンタpの値が、動作モード切り替え閾値Pth1の値を上回り、FSRD信号がハイレベル状態で出力される時間がt3(s)からt4(s)に減る。CPU94は、FSRD信号をハイレベル状態でt4(s)間出力した後、FSRD信号をローレベルに遷移させる。FSRD信号がローレベルに遷移した後、F区間ではコンデンサ111の充電電流Icによって充電されて、コンデンサ111の電荷が上昇する。以降、前述のような動作を繰り返す。
【0050】
[ヒータ電流Iの動作]
最後に、ヒータ54に流れるヒータ電流Iの動作について説明する。(ix)の実線は、実施例1の制御を行った場合のヒータ54へのヒータ電流Iの動作を示している。ヒータ電流Iは、前述の
図4で説明したように、交流電源100から電力が供給されているときに、FSRD信号がハイレベル状態で出力されたタイミングで流れ始めて、次の交流電源100のゼロクロス点まで流れ続ける。実施例1の制御を行う場合、前述のようにコンデンサ111の電荷残量がトライアック56のゲート電流Igを流すために必要な電荷残量である必要電荷量Vthを下回ることがない。このため、A区間からG区間までの全ての半波区間で、FSRD信号がハイレベル状態で出力されたタイミングから次の交流電源100のゼロクロス点まで、ヒータ電流Iは流れ続ける。
【0051】
以上説明したように、実施例1の制御を行う場合、E区間において、CPU94が、FSRD信号をハイレベル状態でt4(s)間出力し、FSRD信号をローレベルに遷移させる。その後、同一の電力制御対象の半波内での放電量が減って、コンデンサ111の電荷が維持又は充電されて上昇する。すると、コンデンサ111の電荷量は、トライアック56をオンするために必要なゲート電流Igの必要電荷量Vthを下回ることなく、維持することができる。このためF、G区間においても、コンデンサ111からトライアック56をオンするために必要なゲート電流Igを供給し続けることができる。このため、トライアック56を実質的に連続してオンオフ制御し続けて、ヒータ電流Iを連続して流すことができる。
【0052】
[フローチャート]
図6は、CPU94によるヒータ54の電力制御処理を示すフローチャートである。ステップ(以下、Sとする)101でCPU94は、ゼロクロス回路部210から出力されたゼロクロス信号を、前述したように、CPU94内部で補正し、補正後のゼロクロス信号を生成する。S102でCPU94は、定着温度センサ59により検知した値に基づいて、ヒータ54の目標温度(温度制御目標値)に対して、次の交流電圧の全波でヒータ54への電力制御を継続するか否かを判断する。S102でCPU94は、ヒータ54への電力制御を継続しないと判断した場合は、処理をS103に進め、電力制御を継続すると判断した場合は、処理をS104に進める。S103でCPU94は、FSRD信号の出力をローレベルに遷移させて、制御を停止して終了する。
【0053】
S104でCPU94は、充放電カウンタpを参照し、充放電カウンタpの値が動作モード切り替え閾値Pth1以上か否かを判断する。S104でCPU94は、充放電カウンタpの値が動作モード切り替え閾値Pth1以上である(p≧Pth1)と判断した場合、処理をS107に進める。一方CPU94は、動作モード切り替え閾値Pth1未満(第1の閾値未満、所定値未満)である(p<Pth1)と判断した場合、処理をS105に進める。S105でCPU94は、S101で生成した補正後のゼロクロス信号の立ち上がり又は立ち下がりを基準にして、FSRD信号をt3秒間ハイレベル状態に遷移させて出力する。これによりCPU94は、トライアック56をオン状態にしてヒータ54にヒータ電流Iを流して電力を供給する。S106でCPU94は、FSRD信号をt3秒間ハイレベル状態に遷移して出力したため、充放電カウンタpの値を予め定めた所定値だけ加算し、処理をS102に戻す。例えば、CPU94は、充放電カウンタpの値に2を加算する(p=p+2)。
【0054】
S107でCPU94は、前述のように同一の電力制御対象の半波内で、S101で生成した補正後のゼロクロス信号の立ち上がり又は立ち下がりを基準にして、FSRD信号をt4秒間ハイレベル状態に遷移させて出力する。これによりCPU94は、トライアック56をオン状態にしてヒータ54にヒータ電流Iを流して電力を供給する。S108でCPU94は、FSRD信号をt4秒間ハイレベル状態に遷移して出力したため、充放電カウンタpの値を予め定めた所定値だけ減算する。例えば、CPU94は、充放電カウンタpの値から30減算する(p=p-30)。
【0055】
S109でCPU94は、次の交流電圧の全波でヒータ54への電力制御を継続するか否かを判断する。S109でCPU94は、ヒータ54への電力制御を継続しないと判断した場合は、処理をS103に進め、ヒータ54への電力制御を継続すると判断した場合は、処理をS110に進める。S110でCPU94は、充放電カウンタpを参照し、充放電カウンタpの値が動作モード切り替え閾値Pth2以下か否かを判断する。S110でCPU94は、充放電カウンタpの値が動作モード切り替え閾値Pth2以下であると判断した場合、処理をS105に進め、充放電カウンタpの値が動作モード切り替え閾値Pth2より大きいと判断した場合、処理をS107に戻す。以降、同様の制御を繰り返す。
【0056】
以上のような制御を行うことで、十分な電荷がコンデンサ111に蓄えられている場合は、同一の電力制御対象の半波内で極力長時間(例えばt3)FSRD信号をハイレベル状態で出力する。一方、コンデンサ111に蓄えられている電荷が不足している場合は、同一の電力制御対象の半波内で短時間(例えばt4(<t3))のFSRD信号を出力して、コンデンサ111の電荷残量を維持又は充電するようにすることができる。以上説明したように、同一の電力制御対象の半波内で極力長時間連続してトライアック56のゲート電流Igを流し続け、交流電源100のノイズや歪みによってトライアック56がオフすることを防ぐ。同一の電力制御対象の半波内でFSRD信号を長時間ハイレベルで出力した累積時間(充放電カウンタpに相当)が所定時間(動作モード切り替え閾値Pth1に相当)以上になった場合、コンデンサ111の電荷が減少したと推定する。そして、同一の電力制御対象の半波内でのFSRD信号をハイレベル状態で出力する時間を減らし、電源であるコンデンサ111の電荷量を維持又は充電する。このようにすることで、コスト増加要因となる回路部品を追加することなく、簡易的な手段で、交流電源の歪みやノイズによる影響を避けつつ、トライアック56を実質連続的に電力制御し続けることができる。
【0057】
以上、実施例1によれば、交流電源とは別の電源によりスイッチ素子を制御する回路において、コストアップを抑制しつつ、簡易的な手段で、交流電圧の歪みやノイズによる影響を避け、スイッチ素子を連続して制御することができる。
【実施例2】
【0058】
実施例1では、交流電源100に重畳したノイズの影響によってトライアック56がオフするのを避けるため、同一の電力制御対象の半波内で極力長時間連続してトライアック56のゲート電流Igを流し続ける構成とした。このような構成において、所定回数以上累積してゲート電流Igを流してコンデンサ111の電荷が減少した場合は、ゲート電流Igを流す時間を、t3秒間からt4(<t3)秒間に減らし、コンデンサ111の電荷量を維持するように制御した。実施例2では、交流電源100に重畳したノイズの影響によってトライアック56がオフするのを避けるため、同一の電力制御対象の半波内で複数回に分けてトライアック56のゲート電流Igを流す構成とする。このような構成において、所定回数以上累積してゲート電流Igを流してコンデンサ111の電荷が減少した場合は、同一の電力制御対象の半波内でのゲート電流Igを流す回数を減らし、コンデンサ111の電荷量を維持する構成とする。また、交流電圧の半波の所定数を一制御単位としてヒータ54への電力供給を制御する場合、その一制御単位における電荷の減少を推定する構成について説明する。なお、実施例1では一制御単位は2半波又は1全波といえる。回路構成は実施例1と同様であり、実施例2では説明を省略する。
【0059】
[電力制御テーブルと充放電カウンタの関係]
表1は、ヒータ54に供給する電力を電力供給レベル0~16の17段階に区切り、交流電圧の所定の半波、例えば16半波の波数単位で制御する、すなわち16半波を一制御単位とする場合の、電力制御テーブルと充放電カウンタpとの関係を示した表である。ここで、電力供給レベルは、一制御単位内においてヒータ54に供給される電力量であり、例えばヒータ54の目標温度と定着温度センサ59の検知結果とに基づいて決定される。
【0060】
【表1】
表1(a)は、1列目に電力供給レベル(0~16)を示し、2列目に電力の供給比率(%)を示す。3列目にFSRD信号の第1の値である変更前の充放電カウンタpの加算値と、第2の値である変更後の充放電カウンタpのマイナスの加算値(減算する値)を示し、4列目に半波制御周期(n半波)を示す。半波制御周期は、一制御単位中の半波を示しており、実施例2では一制御単位を16半波としているため、1から16までの半波に対して、1、0、-1のいずれかの値が記載されている。
【0061】
前述のように、CPU94は、トライアック56のオンオフを制御して、ヒータ54に供給する電力を半波単位で制御する。表1(a)4列目の1、0、-1といった数字は、表1(b)に示すように、ヒータ54に供給される電流波形に対応している。例えば、表1(a)4列目の所定の半波における数字(表中の記載値)が「1」となっている場合、1全波の最初の半波が正で次の半波が負となるような波形の電流がヒータ54に供給されることを示している。表1は、例えば、電力供給レベル16の場合は、供給比率100%であり、16半波連続でトライアック56をオンして、ヒータ54に連続16半波の電流を供給することを示す。なお、充放電カウンタpについては、加算値、減算値のみ実施例1と異なるが、それ以外は実施例1と同様である。
【0062】
表1の電力供給レベル10から電力供給レベル16において、通常のFSRD信号が出力された場合、CPU94は充放電カウンタpの値をプラス3加算する。一方、後述するFSRD信号の出力方法が変更された場合、CPU94は充放電カウンタpの値をマイナス40加算(すなわち40減算)する。表1の電力供給レベル5から電力供給レベル9において、通常のFSRD信号が出力された場合、CPU94は充放電カウンタpの値をプラス2加算する。一方、後述するFSRD信号の出力方法が変更された場合、CPU94は充放電カウンタpの値をマイナス45加算(すなわち45減算)する。電力供給レベル1から電力供給レベル4において、通常のFSRD信号が出力された場合、CPU94は充放電カウンタpの値をプラス1加算する。一方、後述するFSRD信号の出力方法が変更された場合、CPU94は充放電カウンタpの値をマイナス50加算(すなわち50減算)する。電力供給レベル0において、FSRD信号は出力されず、コンデンサ111の充電のみなされるため、CPU94は充放電カウンタpの値をマイナス50加算(すなわち50減算)する。このように、実施例2では、充放電カウンタpの加算値及び減算値が、電力供給レベルに基づいて変更される(切り替えられる)。コンデンサ111の電荷残量が不足していないと判断されFSRD信号が変更される前の充放電カウンタpの加算値は、電力供給レベルが大きいほど大きい値としている。コンデンサ111の電荷残量が不足すると判断されFSRD信号が変更された後の充放電カウンタpの減算値は、電力供給レベルが大きいほど小さい値としている。
【0063】
[実施例2のモードAとモードBについて]
図7は、実施例2のタイミングチャートである。
図7で(i)は交流電源100の交流電圧の波形を示し、(ii)は補正後のゼロクロス信号の波形を示す。(iii)は、後述するモードAのFSRD信号の波形、(iv)は後述するモードBのFSRD信号の波形を示す。(v)はヒータ電流Iの波形を示す。実施例2において、FSRD信号と、充放電カウンタp、コンデンサ111の電荷残量以外の動作は実施例1と同様であるため、説明は省略する。
【0064】
(FSRD信号の動作)
まず、FSRD信号の動作概要について説明する。実施例2において、FSRD信号は、同一の電力制御対象の半波内での出力動作が2種類ある。1つは、同一の電力制御対象の半波内で、ハイレベル状態で出力される回数が複数回ある動作であり、以下この出力動作を第1のモードであるモードAという。もう1つは、同一の電力制御対象の半波内で、1回のみ出力される動作であり、この出力動作を第2のモードであるモードBという。なお、モードAでもモードBでも、1つのハイレベル状態のFSRD信号が出力される時間は同一の時間t5(<1/2T)である。
【0065】
(モードA)
まず、モードAの動作について説明する。ハイレベル状態で複数回出力されるFSRD信号は、次のような信号となる。CPU94による補正後のゼロクロス信号の立ち下がり又は立ち上がりを基準に、1回目は、t5秒間、ハイレベル状態のFSRD信号が出力される。また、補正後のゼロクロス信号の立ち下がり又は立ち上がりからt6(ここで、t5<t6<1/2T)秒が経過した後に、2回目のFSRD信号がハイレベル状態でt5秒間出力される。第3の時間であるt5は予め定められた値であり、トライアック56のゲート電流Igを流すのに最低限必要な時間幅以上の時間に設定される。実施例2において、時間t5は、例えば2.0msである。
【0066】
t6は、CPU94による補正後のゼロクロス信号の立ち下がり又は立ち上がりから、FSRD信号が同一の電力制御対象の半波内で2回目にハイレベル状態で出力され始めるまでの時間である。t6は、予め定められた時間であり、同一の電力制御対象の半波内で、FSRD信号が1回目にハイレベル状態で出力されたタイミングから、十分な位相差が確保できる時間に設定される。実施例2において、時間t6は、例えば5.0msである。以上のように設定することで、実施例2のモードAでは、1半波内に、ハイレベル状態の時間がt5のFSRD信号が複数回、例えば2回出力され、1半波内のゲート電流Igが流れる累積の時間はt5×2となる。t5秒間ハイレベルとなるように複数回出力されたFSRD信号は、第1のモードの信号である。
【0067】
(モードB)
次に、モードBのFSRD信号の動作について説明する。同一の電力制御対象の半波内で、ハイレベル状態で出力される回数が1回のみのFSRD信号は、補正後のゼロクロス信号の立ち下がり又は立ち上がりを基準にt5秒間出力される。すなわち、モードAの1回目のFSRD信号と同様の状態にある。以上のように設定することで、実施例2のモードBでは、1半波内に、ハイレベル状態の時間がt5のFSRD信号が1回出力され、1半波内のゲート電流Igが流れる累積の時間はt5×1となる。t5秒間ハイレベルとなるように1回出力されたFSRD信号は、第2のモードの信号である。モードBでは、1半波内において、ゲート電流Igが流れる累積の時間がt5となり、モードAにおけるゲート電流Igが流れる累積の時間t5×2よりも短い(t5<t5×2)。通常は、モードAで制御されるが、実施例2では、充放電カウンタpが動作モード切り替え閾値Pth1以上になると、FSRD信号はモードBに変更される。
【0068】
(ヒータ電流)
図7において、ヒータ電流Iは、モードAの場合、補正後のゼロクロス信号と連動してFSRD信号がt5=2.0ms間ハイレベル状態で出力されたタイミングで流れ始める。トライアック56がオンしてヒータ電流Iが流れ始めた後、次の交流電源100のゼロクロス点まで、ヒータ電流Iは流れ続ける。また、モードBのFSRD信号が出力された場合も、ヒータ電流Iは、モードAのFSRD信号が出力された場合と同様の流れ方をする。
【0069】
[タイミングチャート]
図8は、全体の制御のタイミングチャートを示す。また、
図8の(i)から(ix)は、
図5の(i)から(ix)と同様の波形であり、説明を省略する。
図8において、A区間~D区間は、CPU94がトライアック56をオンオフしてヒータ電流Iを制御している状態を示しており、各区間は一制御単位(16半波)に相当する。A区間~D区間において、表1に記載の電力供給レベルは、16(供給比率100%)としている。CPU94は、一制御単位を16半波として制御しており、連続して各区間で16半波分、FSRD信号を制御してトライアック56をオンにし、ヒータ54にヒータ電流Iを供給している。
【0070】
(実施例2の制御を実施しない場合)
実施例2の制御を実施しない場合の、FSRD信号(iv)、コンデンサ111の電荷残量(vii)、及びヒータ電流I(viii)の動作を、
図8の破線に示す。実施例2の制御を実施しない場合、すなわちモードの切り替えを行わず常にモードAとする場合、FSRD信号は、表1の制御テーブルに応じて、同一の電力制御対象の半波内で2回、t5秒間ハイレベル状態で出力され続ける。この場合、コンデンサ111の電荷残量は、A区間、B区間でFSRD信号がハイレベル状態で出力されている間、減少し続ける。C区間において、A区間、B区間と同様にFSRD信号が出力され続けると、コンデンサ111の電荷残量は、時刻tnのタイミングでゲート電流Igを流すのに必要な必要電荷量Vthを下回ってしまう。このため時刻tn以降は、FSRD信号が出力されても、必要なゲート電流Igが流れず、トライアック56をオンすることができない。トライアック56をオンすることができないと、ヒータ電流Iも流れなくなる。
【0071】
(実施例2の制御を実施する場合)
実施例2の制御を実施する場合の、FSRD信号(iv)、コンデンサ111の電荷残量(vii)、及びヒータ電流I(ix)の動作を、
図8の実線に示す。実施例2では、実施例1の制御と同様に、CPU94は、充放電カウンタpを用いて、コンデンサ111の電荷残量を推定する。CPU94は、充放電カウンタpの値が、動作モード切り替え閾値Pth1以上となった場合、コンデンサ111の電荷残量が少ないと判断し、モードAからモードBに切り替えて同一の電力制御対象の半波内のFSRD信号の出力回数を2回から1回に減らす。そして、コンデンサ111の電荷残量が充電されて増加し、充放電カウンタpの値が、動作モード切り替え閾値pth2以下になった場合、CPU94は、コンデンサ111の電荷残量が十分に増加したと推定する。CPU94は、モードBからモードAに切り替えて再び同一の電力制御対象の半波内のFSRD信号の出力回数を2回に戻す。
【0072】
[充放電カウンタp]
実施例2の充放電カウンタpの具体的な動作ついて説明する。ここで、電力供給レベルを16としているため、表1より、モードAの場合の加算値は+3、モードBの場合の加算値は-40である。充放電カウンタpは、
図8に示す例では、A区間開始時の初期状態で45とする。前述の表1に示すように、電力供給レベル16で加算値は3であり、充放電カウンタpの値はA区間とB区間で3ずつ、合計で6加算されて51となる。動作モード切り替え閾値Pth1と動作モード切り替え閾値Pth2は、実施例1と同様に予め定められた値であって、実施例2において、Pth1=50、Pth2=15とする。
【0073】
B区間で、充放電カウンタpの値は51となり、動作モード切り替え閾値Pth1=50を超える(p>Pth1)。動作モード切り替え閾値Pth1の値を充放電カウンタpの値が超えると、CPU94はモードBに切り替えて、同一の電力制御対象の半波内で1回のみFSRD信号をハイレベル状態で出力する。すると、C区間で充放電カウンタpの値は、表1に示す値であるマイナス40が加算(40が減算)されて11(=51-40)となり、動作モード切り替え閾値Pth2=15の値を下回る。充放電カウンタpの値が、動作モード切り替え閾値Pth2の値を下回ると、CPU94は、D区間においてモードAの状態に戻す。これにより、D区間においては、A区間、B区間と同様に、CPU94は、同一の電力制御対象の半波内で2回、ハイレベル状態でt5=2.0ms間FSRD信号を出力し、充放電カウンタpはプラス3加算される。以降、前述同様の動作を繰り返す。
【0074】
[コンデンサの電荷残量]
次に、実施例2の制御を行う場合のコンデンサ111の電荷残量の動作について説明する。コンデンサ111の電荷残量は、モードAの状態にあるA区間とB区間において、実施例1と同様に、FSRD信号が出力されている間減少し続ける。C区間では、充放電カウンタpが動作モード切り替え閾値Pth1を上回っているため、モードAからモードBに変更される。FSRD信号は、同一の電力制御対象の半波内で、補正後のゼロクロス信号の立ち下がり又は立ち上がりから1回だけt5秒間ハイレベル状態で出力される。モードBに変更されると、同一の電力制御対象の半波でのコンデンサ111の放電量が減る。そうすると、C区間において、コンデンサ111に充電電流Ic(v)が流れて充電されることにより、コンデンサ111の電荷残量が上昇する。また、C区間において、充放電カウンタpの値がマイナス40加算(40減算)されて、動作モード切り替え閾値Pth2(=15)を下回り、モードBからモードAに変更される。そしてD区間では、FSRD信号の出力方法が、モードAの状態に戻る。以降、同様の動作を繰り返す。
【0075】
[ヒータ電流]
最後に、実施例2の制御を行った場合のヒータ電流Iの変位を
図8(ix)に実線で示す。A区間とB区間では、FSRD信号がハイレベル状態で出力された後、次の交流電源100のゼロクロス点までヒータ電流Iが流れる。また、前述のように、C区間においても、コンデンサ111の電荷残量がトライアック56のゲート電流Igを流すのに必要な必要電荷量Vthを下回ることがなく、電荷残量を維持することができる。このため、C区間、D区間でもFSRD信号がハイレベル状態で出力された後、次の交流電源100のゼロクロス点までヒータ電流Iが流れる。それ以降も同様の制御を行うことによって、実質連続的にトライアック56をオンオフ制御しながら動作を継続することができる。
【0076】
[フローチャート]
図9は、CPU94によるヒータ54の電力制御処理を示すフローチャートである。実施例1との違いは、次の点である。まず、前述の表1に示した16半波周期の電力供給テーブルの中から、電力供給レベルを選択してヒータ54への電力供給制御を決定する点である。また、選択した電力供給レベルに応じて、充放電カウンタpの加算値及び減算値が決定される点である。更に、FSRD信号の出力方法が、モードAとモードBの2種類ある点である。それ以外は実施例1と同様である。なお、
図9のS201~S203、S205、S207、S209、S210、S212は、
図6のS101~S104、S106、S108~S110の処理と同様であり、説明を省略する。
【0077】
S202でヒータ54への電力制御を継続すると判断した場合、S204でCPU94は、表1で説明した電力供給レベルを選択する。S205で充放電カウンタpの値が動作モード切り替え閾値Pth1未満であると判断した場合、S206でCPU94は、モードAに切り替える。CPU94は、補正後のゼロクロス信号の立ち下がり又は立ち上がりを基準にして、モードAでFSRD信号をハイレベル状態で出力し、トライアック56をオン状態にしてヒータ54に電力を供給する。
【0078】
S205で充放電カウンタpの値が動作モード切り替え閾値Pth1以上であると判断した場合、S208でCPU94は、モードBに切り替える。CPU94は、補正後のゼロクロス信号の立ち下がり又は立ち上がりを基準にして、モードBでFSRD信号をハイレベル状態で出力し、トライアック56をオン状態にしてヒータ54に電力を供給する。S210でヒータ54への電力制御を継続すると判断した場合、S211でCPU94は、表1で説明した電力供給レベルを選択する。
【0079】
以上のような制御を行うことで、十分な電荷がコンデンサ111に蓄えられている場合は、同一の電力制御対象の半波内で所定の時間FSRD信号をハイレベル状態で複数回出力する。一方、コンデンサ111に蓄えられている電荷が不足している場合は、同一の電力制御対象の半波内で所定の時間FSRD信号をハイレベル状態で出力する回数を減らして、1回のみ出力し、コンデンサ111の電荷残量を維持又は充電するようにする。
【0080】
以上説明したように、CPU94は、同一の電力制御対象の半波内でFSRD信号を複数回ハイレベル状態で出力しながらトライアック56をオンしてゲート電流Igを流す。そして、交流電源100のノイズや歪みによってトライアック56がオフしても再びオンできるようにする。そして、所定回数以上累積してトライアック56のゲート電流Igを同一の電力制御対象の半波内で複数回流した場合、コンデンサ111の電荷が減少していると推定する。そしてCPU94は、FSRD信号をハイレベル状態で出力する回数を1回に変更する。同一の電力制御対象の半波内でのトライアック56のゲート電流Igが流れる合計時間を減らして、コンデンサ111の電荷量を維持しながら、トライアック56をオンオフ制御し続ける。このようにすることで、コスト増加要因となる回路部品を追加することなく、簡易的な手段で、交流電圧の歪みやノイズによる影響を避けつつ、トライアック56を実質連続的に制御し続けることができる。なお、電力供給レベルに応じて加算値、減算値を決定する構成を、実施例1(ハイレベル状態とする時間をt3とt4で切り替える構成)に適用してもよい。
【0081】
以上、実施例2によれば、交流電源とは別の電源によりスイッチ素子を制御する回路において、コストアップを抑制しつつ、簡易的な手段で、交流電圧の歪みやノイズによる影響を避け、スイッチ素子を連続して制御することができる。
【実施例3】
【0082】
実施例1では、交流電源100に重畳したノイズの影響によってトライアック56がオフするのを避けるため、同一の電力制御対象の半波内で極力長時間連続してトライアック56のゲート電流Igを流した。ここで、所定回数以上累積してトライアック56のゲート電流Igを流してコンデンサ111の電荷が減少した場合は、ゲート電流Igを流す時間を減らし、コンデンサ111の電荷量を維持する構成とした。実施例3では、交流電源100の入力電圧検知手段を備えて、交流電源100の交流電圧を検知することにより、コンデンサ111への充電電荷量の推定精度を上げる構成とする。これにより、コンデンサ111の電荷残量をより精度良く推定しながらトライアック56をオンオフ制御する。タイミングチャート及び動作は、前述の実施例1と同様であり、実施例3では説明を省略する。
【0083】
[回路構成と動作]
図10は、実施例3の電力制御部97の全体概略図である。電圧検知手段である入力電圧検知部121を有する点以外は、実施例1と同様であり、同じ構成には同じ符号を付し実施例3では説明を省略する。入力電圧検知部121は、交流電源100の電圧実効値を検知する。入力電圧検知部121は、交流電源100から電力制御部97に入力された入力電圧を検知し、検知結果である入力電圧実効値をVac_in(rms)信号としてCPU94に出力する。CPU94は、入力されたVac_in(rms)信号に基づいて後述する制御を行う。
【0084】
[入力電圧値と充放電カウンタとの関係]
【表2】
表2は、入力電圧検知部121による検知結果である交流電源100の入力電圧実効値Vac_in(rms)に対して、CPU94が、充放電カウンタpの加算減算を行う値を示した表である。1列目は入力電圧検知部121により検知した入力電圧実効値Vac_in(rms)の値を示し、2列目には充放電カウンタpのFSRD信号変更前の加算値(プラス)とFSRD信号変更後の加算値(マイナス)を示す。
【0085】
動作保証範囲を85~140Vrmsとすると、入力電圧実効値Vac_inの値が、85Vrms以上140Vrms未満までは、実施例1のようにt3秒間ハイレベル状態でFSRD信号をオンした場合、充放電カウンタpの値をプラス1加算する。実施例1のようにt4秒間ハイレベル状態でFSRD信号をオンした場合、入力電圧実効値Vac_in(rms)が120Vrms以上140Vrms未満の場合は、充放電カウンタpの値をマイナス40加算(40減算)する。また、入力電圧実効値Vac_in(rms)が110Vrms以上120Vrms未満の場合は、充放電カウンタpの値をマイナス30加算(30減算)する。また、入力電圧実効値Vac_in(rms)が100Vrms以上110Vrms未満の場合は、充放電カウンタpの値をマイナス20加算(20減算)する。更に、入力電圧実効値Vac_in(rms)が85Vrms以上100Vrms未満の場合は、充放電カウンタpの値をマイナス10加算(10減算)する。このように、コンデンサ111の電荷残量が不足すると判断されFSRD信号が変更された後の充放電カウンタpの減算値を、入力電圧実効値Vac_in(rms)が低いほど小さい値(高いほど大きい値)としている。交流電源100の入力電圧実効値Vac_inが85Vrms未満又は140Vrms以上の場合は動作保証範囲外となるため、CPU94は、入力電圧異常と判断し、前述の各種制御を停止する。
【0086】
[フローチャート]
図11は、CPU94によるヒータ54の電力制御処理を示すフローチャートである。なお、S302~S311の処理は、
図5のS101~S110の処理と同様であるため、説明を省略する。S301でCPU94は、入力電圧検知部121により検知した交流電源100の入力電圧実効値Vac_in(rms)を受信し、表2に基づいて充放電カウンタpの加算値及び減算値を決定する。なお、S307で充放電カウンタpに所定値を加算する際の所定値は、S301で検知した入力電圧実効値Vac_in(rms)と表2とに基づき決定した加算値である。また、S309で充放電カウンタpから所定値を減算する際の所定値は、S301で検知した入力電圧実効値Vac_in(rms)と表2とに基づき決定した減算値である。
【0087】
実施例3の制御を行うことで、十分な電荷がコンデンサ111に蓄えられている場合は、同一の電力制御対象の半波内で極力長時間FSRD信号をハイレベル状態で出力する。一方、コンデンサ111に蓄えられている電荷が不足している場合は、同一の電力制御対象の半波内でFSRD信号をハイレベル状態で出力する時間を減らして、コンデンサ111の電荷残量を維持又は充電して増やすようにする。
【0088】
以上説明したように、交流電源100の交流電圧の歪みやノイズによって、トライアック56がオフするのを防ぐため、同一の電力制御対象の半波内で極力長時間連続してトライアック56のゲート電流Igを流し続ける。そして、交流電源100のノイズや歪みによってトライアック56がオフするのを防ぐ。所定回数以上累積して、同一の電力制御対象の半波内で極力長時間連続してトライアック56のゲート電流Igを流した場合、CPU94は、コンデンサ111の電荷が減少したと推定する。そしてCPU94は、ゲート電流Igを流す時間を減らし、電源であるコンデンサ111の電荷残量を維持又は充電して増やす。更に、CPU94は、交流電源100の入力電圧を検知し、検知した入力電圧に応じて、コンデンサ111の電荷が減少する量、又は充電された電荷量をより正確に推定しながら、前述の制御を行う。このようにすることで、コスト増加要因となる回路部品を追加することなく、簡易的な手段で、交流電源の交流電圧の歪みやノイズによる影響を避けつつ、トライアックを実質連続的に制御し続けることができる。なお、実施例2の電力供給レベルに応じて充放電カウンタpの加算値、減算値を決定する構成に、更に実施例3の入力電圧実効値Vac_in(rms)に応じて加算値、減算値を決定する構成を適用してもよい。
【0089】
以上、実施例3によれば、交流電源とは別の電源によりスイッチ素子を制御する回路において、コストアップを抑制しつつ、簡易的な手段で、交流電圧の歪みやノイズによる影響を避け、スイッチ素子を連続して制御することができる。
【符号の説明】
【0090】
54 ヒータ
56 トライアック
94 CPU
111 コンデンサ
210 ゼロクロス回路部
220 駆動回路部