(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】車両走行支援方法及び車両走行支援システム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/36 20060101AFI20240325BHJP
G08G 1/133 20060101ALI20240325BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20240325BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20240325BHJP
【FI】
G01C21/36
G08G1/133
G09B29/10 A
G09B29/00 C
(21)【出願番号】P 2020098530
(22)【出願日】2020-06-05
【審査請求日】2023-02-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】池田 旭伸
(72)【発明者】
【氏名】藤田 晋
(72)【発明者】
【氏名】坂倉 玲雄
【審査官】田中 将一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-083446(JP,A)
【文献】国際公開第2018/122973(WO,A1)
【文献】特開2020-020638(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00 - 21/36
G01C 23/00 - 25/00
G08G 1/00 - 99/00
G09B 23/00 - 29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車線の位置及び形状の情報を前記車線毎に含
み、車線を所定距離毎に分割した車線セグメントの位置及び形状の情報を含んだ地図データを読み込み、
前記地図データ上の現在の自車両の自己位置を取得し、
前記地図データと前記自己位置とに基づいて、前記自己位置から前記自車両の進行方向前方の所定距離以内の車線のうち、前記自車両が将来走行する可能性が高い車線を、対象車線として選択し、
前記地図データのうち、前記対象車線の地図データのみを抽出し、
抽出された前記地図データに基づいて前記自車両の走行を支援する
、車両走行支援方法であって、
前記自車両の目的地を設定し、
前記自己位置から前記目的地までの走行経路を演算し、
前記走行経路上の分岐点で前記目的地へ分岐する車線セグメントと、前記目的地への進入口を有する車線セグメントと、をターゲット車線セグメント候補として抽出し、
前記自車両が存在する車線セグメントを始点車線セグメントに設定し、
前記ターゲット車線セグメント候補のうち前記始点車線セグメントに最も近いものを終点車線セグメントに設定し、
前記始点車線セグメントと、前記終点車線セグメントと、前記始点車線セグメントと前記終点車線セグメントとの間の車線セグメントと、をターゲット車線セグメントとして抽出し、
前記終点車線セグメントに設定された車線セグメントを前記始点車線セグメントに再設定し、
未だ前記ターゲット車線セグメントとして抽出されていない前記ターゲット車線セグメント候補のうち前記始点車線セグメントに最も近いものを、前記終点車線セグメントに再設定し、
前記始点車線セグメントと、前記終点車線セグメントと、前記始点車線セグメントと前記終点車線セグメントとの間の車線セグメントと、をさらにターゲット車線セグメントとして抽出し、
前記ターゲット車線セグメントに基づいて前記対象車線を選択する、
ことを特徴とする車両走行支援方法。
【請求項2】
車線幅方向に隣接する複数の前記終点車線セグメントが存在する場合に、最小回数の車線変更で前記始点車線セグメントから到達できる前記終点車線セグメントを選択する、ことを特徴とする請求項
1に記載の車両走行支援方法。
【請求項3】
前記始点車線セグメントと前記終点車線セグメントとの間の区間で車線変更を要する場合に、当該区間内に存在する車線幅方向に隣接する複数の車線セグメントを前記ターゲット車線セグメントとして抽出する、ことを特徴とする請求項
1又は2に記載の車両走行支援方法。
【請求項4】
前記自車両が存在する車線セグメントが変わる度に前記ターゲット車線セグメントを更新する、ことを特徴とする請求項
1~3のいずれか一項に記載の車両走行支援方法。
【請求項5】
車線の位置及び形状の情報を前記車線毎に含
み、車線を所定距離毎に分割した車線セグメントの位置及び形状の情報を含んだ地図データを記憶する地図データベースと、
前記地図データ上の現在の自車両の自己位置を取得する自己位置取得部と、
前記自車両の目的地を設定し、前記自己位置から前記目的地までの走行経路を演算するナビゲーション装置と、
前記地図データと前記自己位置とに基づいて、前記自己位置から前記自車両の進行方向前方の所定距離以内の車線のうち、前記自車両が将来走行する可能性が高い車線を対象車線として選択する対象車線選択部と、
前記地図データのうち前記対象車線の地図データのみを抽出する地図データ抽出部と、
抽出された前記地図データに基づいて前記自車両の走行を支援する走行支援部と、
前記走行経路上の分岐点で前記目的地へ分岐する車線セグメントと、前記目的地への進入口を有する車線セグメントと、をターゲット車線セグメント候補として抽出し、前記自車両が存在する車線セグメントを始点車線セグメントに設定し、前記ターゲット車線セグメント候補のうち前記始点車線セグメントに最も近いものを終点車線セグメントに設定し、前記始点車線セグメントと、前記終点車線セグメントと、前記始点車線セグメントと前記終点車線セグメントとの間の車線セグメントと、をターゲット車線セグメントとして抽出するターゲット車線生成部と、
を備え
、
前記ターゲット車線生成部は、前記終点車線セグメントに設定された車線セグメントを前記始点車線セグメントに再設定し、未だ前記ターゲット車線セグメントとして抽出されていない前記ターゲット車線セグメント候補のうち前記始点車線セグメントに最も近いものを、前記終点車線セグメントに再設定し、前記始点車線セグメントと、前記終点車線セグメントと、前記始点車線セグメントと前記終点車線セグメントとの間の車線セグメントと、をさらにターゲット車線セグメントとして抽出し、
前記対象車線選択部は、前記ターゲット車線セグメントに基づいて前記対象車線を選択する、
ことを特徴とする車両走行支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両走行支援方法及び車両走行支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
地図データを用いて車両の運転を支援する走行支援制御に関する技術が提案されている。このような走行支援制御は、例えば、自車両の周辺の走行環境と地図データに基づいて、運転者が関与せずに自車両を自動で運転する自動運転制御や、運転者による自車両の運転を支援する運転支援制御である。
例えば下記特許文献1には、地図データを予め複数のタイル上の区間に分割し、自車両の位置に応じて、自動運転機能を提供するアプリケーションソフトウェアに提供する地図データの区間を更新する地図データ提供システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の地図データ提供システムは、予め分割された区画単位で地図データを提供する。このため、自車両の走行経路と関係性の低い車線の地図データも提供されてしまい、地図データを授受するための通信量に無駄が生じるおそれがあった。
本発明は、車両の走行支援のために提供される地図データのデータ量を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様による車両走行支援方法では、車線の位置及び形状の情報を車線毎に含んだ地図データを読み込み、地図データ上の現在の自車両の自己位置を取得し、地図データと自己位置とに基づいて、自己位置から自車両の進行方向前方の所定距離以内の車線のうち、自車両が将来走行する可能性が高い車線を、対象車線として選択し、地図データのうち、対象車線の地図データのみを抽出し、抽出された地図データに基づいて自車両の走行を支援する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、車両の走行支援のために提供される地図データのデータ量を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態の車両走行支援システムの一例の概略構成図である。
【
図2】
図1の走行支援装置の機能構成の一例のブロック図である。
【
図3A】実施形態における地図データの配信方法の一例の説明図である。
【
図4】第1実施形態の地図配信装置の機能構成の一例のブロック図である。
【
図5】ターゲット車線セグメント候補抽出部の機能の一例の説明図である。
【
図6A】分岐点におけるターゲット車線セグメント候補の第1例の説明図である。
【
図6B】分岐点におけるターゲット車線セグメント候補の第2例の説明図である。
【
図6C】分岐点におけるターゲット車線セグメント候補の第3例の説明図である。
【
図7】ターゲット車線セグメント連結部の機能の一例の説明図である。
【
図8】ターゲット車線セグメント連結部の機能の一例の説明図である。
【
図9】ターゲット車線セグメント連結部の機能の一例の説明図である。
【
図10】実施形態の車両走行支援方法の一例のフローチャートである。
【
図11】ターゲット車線セグメント連結処理の一例のフローチャートである。
【
図12】第2実施形態の地図配信装置の機能構成の一例のブロック図である。
【
図13】車線優先度判定部の機能の一例の説明図である。
【
図14】車線優先度判定部の機能の一例の説明図である。
【
図15】車線優先度判定部の機能の一例の説明図である。
【
図16】対象車線を選択する処理の一例のフローチャートである。
【
図17】変形例の車線優先度判定部の機能の一例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面は模式的なものであって、現実のものとは異なる場合がある。また、以下に示す本発明の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の構造、配置等を下記のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0009】
(第1実施形態)
(構成)
図1を参照する。車両走行支援システムは、自車両1に搭載される走行支援装置10と、走行支援装置10へ地図データを配信する地図配信装置20とを備える。
走行支援装置10は、自車両1の車両外部に設けられた地図配信装置20から例えば無線通信によって配信される地図データに基づいて、自車両1の走行を支援する走行支援制御を実行する。
走行支援装置10による走行支援制御の一例は、自車両1の周辺の走行環境と地図データとに基づいて、運転者が関与せずに自車両1を自動で運転する自動運転制御である。本明細書では、走行支援装置10による走行支援制御が自動運転制御である実施形態について説明する。
【0010】
但し、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、例えば走行支援装置10による走行支援制御は、運転者による自車両1の運転を支援する運転支援制御であってもよい。
運転支援制御には、自動操舵、自動ブレーキ、定速走行制御、車線維持制御、合流支援制御などの走行制御のほか、運転者に操舵操作や減速操作を促すメッセージを出力することを含んでよい。
【0011】
また、本明細書では、自車両1の外部装置である地図配信装置20から自車両1に搭載された走行支援装置10へ地図データを配信する実施形態について説明するが、本発明はこのような実施形態に限定されるものではない。
例えば、後述の地図データベース(図面において地
図DBと表記する)23を自車両1に搭載し、後述する地図配信装置20の構成及び機能を走行支援装置10に実装してもよい。
【0012】
走行支援装置10は、物体センサ11と、車両センサ12と、測位装置13と、通信装置14と、ナビゲーション装置15と、コントローラ16と、アクチュエータ17とを備える。
物体センサ11は、自車両1に搭載されたレーザレーダやミリ波レーダ、カメラ、LIDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)など、自車両1の周辺の物体を検出する複数の異なる種類の物体検出センサを備える。
【0013】
車両センサ12は、自車両1に搭載され、自車両1から得られる様々な情報(車両信号)を検出する。車両センサ12には、例えば、自車両1の走行速度(車速)を検出する車速センサ、自車両1が備える各タイヤの回転速度を検出する車輪速センサ、自車両1の3軸方向の加速度(減速度を含む)を検出する3軸加速度センサ(Gセンサ)、操舵角(転舵角を含む)を検出する操舵角センサ、自車両1に生じる角速度を検出するジャイロセンサ、ヨーレートを検出するヨーレートセンサ、自車両のアクセル開度を検出するアクセルセンサと、運転者によるブレーキ操作量を検出するブレーキセンサが含まれる。
【0014】
測位装置13は、全地球型測位システム(GNSS)受信機を備え、複数の航法衛星から電波を受信して自車両1の現在位置を測定する。GNSS受信機は、例えば地球測位システム(GPS)受信機等であってよい。測位装置13は、例えば慣性航法装置であってもよい。
通信装置14は、自車両1の外部の地図配信装置20の通信装置24との間で通信を行う。通信装置14による通信方式は、例えば公衆携帯電話網NTを経由する移動通信や、車車間通信、路車間通信、又は衛星通信であってよい。
【0015】
ナビゲーション装置15は、測位装置13により自車両の現在位置を認識する。また、乗員の操作に応じて自車両1の目的地を設定し、現在位置から目的地までの車線単位の走行経路を演算する。
ナビゲーション装置15は、演算した走行経路の情報をコントローラ16へ出力する。また、ナビゲーション装置15は、演算した走行経路に従って乗員に経路案内を行う。
【0016】
コントローラ16は、自車両1の走行支援制御を行う電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)である。コントローラ16は、プロセッサ18と、記憶装置19等の周辺部品とを含む。プロセッサ18は、例えばCPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-Processing Unit)であってよい。
記憶装置19は、半導体記憶装置や、磁気記憶装置、光学記憶装置等を備えてよい。記憶装置19は、レジスタ、キャッシュメモリ、主記憶装置として使用されるROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等のメモリを含んでよい。
【0017】
以下に説明するコントローラ16の機能は、例えばプロセッサ18が、記憶装置19に格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
なお、コントローラ16を、以下に説明する各情報処理を実行するための専用のハードウエアにより形成してもよい。
例えば、コントローラ16は、汎用の半導体集積回路中に設定される機能的な論理回路を備えてもよい。例えばコントローラ16はフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA:Field-Programmable Gate Array)等のプログラマブル・ロジック・デバイス(PLD:Programmable Logic Device)等を有していてもよい。
【0018】
アクチュエータ17は、コントローラ16からの制御信号に応じて、自車両のステアリングホイール、アクセル開度及びブレーキ装置を操作して、自車両の車両挙動を発生させる。アクチュエータ17は、ステアリングアクチュエータと、アクセル開度アクチュエータと、ブレーキ制御アクチュエータを備える。ステアリングアクチュエータは、自車両のステアリングの操舵方向及び操舵量を制御する。
アクセル開度アクチュエータは、自車両のアクセル開度を制御する。ブレーキ制御アクチュエータは、自車両1のブレーキ装置の制動動作を制御する。
【0019】
一方、地図配信装置20は、プロセッサ21と、記憶装置22と、地図データベース23と、通信装置24とを備える。例えば地図配信装置20は、自車両1の外部に設けられた外部サーバ装置であってよい。
プロセッサ21は、例えばCPUやMPUであってよい。記憶装置19は、半導体記憶装置や、磁気記憶装置、光学記憶装置等を備えてよい。記憶装置19は、レジスタ、キャッシュメモリ、主記憶装置として使用されるROM及びRAM等のメモリを含んでよい。
【0020】
以下に説明する地図配信装置20の機能は、例えばプロセッサ21が、記憶装置22に格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
なお、地図配信装置20の機能を、以下に説明する各情報処理を実行するための専用のハードウエアにより実行してもよい。
例えば、地図配信装置20は、汎用の半導体集積回路中に設定される機能的な論理回路を備えてもよい。例えば地図配信装置はフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ等のプログラマブル・ロジック・デバイス等を有していてもよい。
【0021】
地図データベース23は、自動運転用の地図として好適な高精度地図データ(以下、単に「高精度地図」という。)を記憶してよい。高精度地図は、ナビゲーション用の地図データ(以下、単に「ナビ地図」という。)よりも高精度の地図データであり、道路単位の情報よりも詳細な、道路上の車線位置や車線形状等の車線単位の情報を含む。
地図データベース23に含まれる車線の地図データは、各車線を所定距離(例えば数十メートル程度)の単位で分割した車線セグメントの情報を含んでいる。地図データベース23に含まれる車線セグメントの情報は、各車線セグメントの位置及び形状の情報と、車線セグメント間の連結関係が定義された連結情報を含んでいる。
【0022】
通信装置24は、自車両1の通信装置14との間で通信を行う。通信装置24による通信方式は、例えば公衆携帯電話網NTを経由する移動通信や、車車間通信、路車間通信、又は衛星通信であってよい。
【0023】
図2を参照して、走行支援装置10のコントローラ16の機能を詳しく説明する。コントローラ16は、物体検出部30と、自己位置推定部31と、地図取得部32と、検出統合部33と、物体追跡部34と、地図内位置演算部35と、運転行動決定部36と、軌道生成部37と、車両制御部38と、自車両情報送信部39を備える。
走行支援装置10及び自己位置推定部31は、それぞれ特許請求の範囲に記載の「走行支援部」及び「自己位置取得部」の一例である。
【0024】
物体検出部30は、物体センサ11の検出信号に基づいて、自車両1の周辺の物体、例えば車両やバイク、歩行者、障害物などの位置、姿勢、大きさ、速度などを検出する。物体検出部30は、例えば自車両1を空中から眺める天頂図(平面図ともいう)において、物体の2次元位置、姿勢、大きさ、速度などを表現する検出結果を出力する。
【0025】
自己位置推定部31は、測位装置13による測定結果や、車両センサ12からの検出結果を用いたオドメトリに基づいて、自車両1の現在の絶対位置、すなわち地図データ上の自己位置を推定する。
自車両情報送信部39は、自己位置推定部3が推定した自己位置の情報と、ナビゲーション装置15が演算した道路単位の走行経路を、通信装置14を介して地図配信装置20へ送信する。
【0026】
地図取得部32は、地図配信装置20から配信されて通信装置14で受信した地図データを取得する。
検出統合部33は、複数の物体検出センサの各々から物体検出部30が得た複数の検出結果を統合して、各物体に対して一つの検出結果を出力する。
具体的には、物体検出センサの各々から得られた物体の挙動から、各物体検出センサの誤差特性などを考慮した上で最も誤差が少なくなる最も合理的な物体の挙動を算出する。
検出統合部33は、既知のセンサ・フュージョン技術を用いることにより、複数種類のセンサで取得した検出結果を総合的に評価して、より正確な検出結果を得る。
【0027】
物体追跡部34は、物体検出部30によって検出された物体を追跡する。具体的には、検出統合部33により統合された検出結果に基づいて、異なる時刻に出力された物体の挙動から、異なる時刻間における物体の同一性の検証(対応付け)を行い、かつ、その対応付けを基に、物体の速度などの挙動を予測する。
【0028】
地図内位置演算部35は、自己位置推定部31により得られた自車両1の絶対位置、及び地図取得部32により取得された地図データから、地図データ上における自車両1の位置及び姿勢を推定する。
【0029】
運転行動決定部36は、検出統合部33及び物体追跡部34により得られた検出結果と、地図内位置演算部35により特定された自車両1の位置と、地図取得部32により取得された地図データと、ナビゲーション装置15が演算した走行経路に基づいて、走行支援装置10により実行する自車両1の概略的な運転行動を決定する。
運転行動決定部36が決定する運転行動は、例えば、自車両1の停止、一時停止、走行速度、減速、加速、進路変更、右折、左折、直進、合流区間や複数車線における車線変更、車線維持、追越、障害物への対応などの行動が含まれる。
【0030】
運転行動決定部36は、地図内位置演算部35が推定した自車両1の位置及び姿勢と、自車両1の周囲の物体の位置及び姿勢と、地図データとに基づいて、自車両1の周辺の経路や物体の有無を表現する経路空間マップと、走行場の危険度を数値化したリスクマップを生成する。運転行動決定部36は、経路空間マップ及びリスクマップに基づいて、自車両1の運転行動計画を生成する。
【0031】
軌道生成部37は、運転行動決定部36が決定した運転行動、自車両1の運動特性、経路空間マップに基づいて、自車両1を走行させる走行軌道及び速度プロファイルの候補を生成する。
軌道生成部37は、リスクマップに基づいて各候補の将来リスクを評価して、最適な走行軌道及び速度プロファイルを選択し、自車両1に走行させる目標走行軌道及び目標速度プロファイルとして設定する。
車両制御部38は、軌道生成部37が生成した目標速度プロファイルに従う速度で自車両1が目標走行軌道を走行するように、アクチュエータ17を駆動する。
【0032】
次に、地図配信装置20による地図データの配信方法の概要について説明する。
地図配信装置20は、自車両1の自車両情報送信部39から通信装置14を介して送信された自車両1の自己位置と走行経路を、通信装置24で受信して取得する。なお、本実施形態においては、地図配信装置20と自車両1との情報の授受は、全て通信装置24及び通信装置14を介した通信によって行うものとする。
地図配信装置20は、地図データベース23に格納された地図データを読み込んで、地図データと自車両1の自己位置と走行経路とに基づいて、自己位置から自車両1の進行方向前方の所定距離以内の車線のうち、自車両1が将来走行する可能性が高い車線を選択する。
【0033】
地図配信装置20は、地図データのうち、選択した車線の地図データのみを抽出して、自車両1の地図取得部32に配信する。以下、地図配信装置20から自車両1へ地図データを配信する対象となる車線を「対象車線」と表記する。
図3Aを参照して、地図配信装置20による対象車線の選択処理の概要を説明する。
【0034】
ここでは、自車両1が道路5上を走行しており、自車両1の進行方向前方の交差点Cで道路5と道路6とが交差し、ナビゲーション装置15が演算した自車両1の走行経路7が、道路5から道路6へ左折する経路である場合を想定する。
道路5は、車線50、51及び52を有し、自車両1は現在車線51上を走行している。説明の簡単のため、車線50、51及び52の通行方向は全て自車両1の進行方向と同じである場合を想定する。また、道路6は、道路5から進入可能な車線60と対向車線61を有している。自車両1が将来走行可能な車線は、車線50~52及び60である。
【0035】
地図配信装置20は、自車両1が将来走行可能な車線50~52を通り自車両1の進行方向前方の所定距離の長さの車線L1~L3と、自車両1が将来走行可能な車線60を通り自車両1の進行方向前方の所定距離の長さの車線L4とを、対象車線の候補として抽出する。
図3Bに示すように、車線L4は、道路5の車線50上の区間L4-1と、道路6の車線60上の区間L4-2と、交差点C内の区間L4-3から形成されており、区間L4-1及びL4-3が、車線L2と重複している。
【0036】
地図配信装置20は、これらの車線L1~L4のうちから、自車両1が将来走行する可能性が高い車線を対象車線として選択する。
例えば、地図配信装置20は、自車両1が現在存在する車線L1を、自車両1が将来走行する可能性が高い車線と判定してよい。
また例えば、地図配信装置20は、自車両1が走行経路7に沿って目的地に向かって走行する場合に自車両1が走行する車線L4を、自車両1が将来走行する可能性が高い車線と判定してよい。
【0037】
また例えば、地図配信装置20は、自車両1が現在存在する車線L1に隣接する車線L3を、自車両1が将来走行する可能性が高い車線と判定してよい。
地図配信装置20は、選択した対象車線L1、L3及びL4の地図データのみを抽出して、自車両1の地図取得部32に配信する。すなわち、車線L2のうち車線L4と重複しない部分の地図データは配信しない。
これにより、自車両1が将来走行する可能性が高くない車線の地図データを配信しなくて済むため、自車両1の走行支援のために提供される地図データのデータ量を軽減することができる。この結果、自車両1に地図データを格納するための記憶領域や地図データを配信するための通信量を低減することができる。
【0038】
なお、上記の構成では、ナビゲーション装置15が演算した道路単位の走行経路を自車両1の走行支援装置10から地図配信装置20へ送信した。
これに代えて、ナビゲーション装置15が設定した目的地を地図配信装置20へ送信してもよい。この場合、例えば地図配信装置20は、自車両1の自己位置から目的地までの道路単位の走行経路を演算する。地図配信装置20は、対象車線の地図データとともに道路単位の走行経路を走行支援装置10に送信する。
走行支援装置10の運転行動決定部36は、地図配信装置20が演算した走行経路に基づいて自車両1の運転行動を決定する。
【0039】
続いて
図4を参照して、プロセッサ21の機能を詳しく説明する。プロセッサ21は、車両情報受信部41と、ターゲット車線生成部42と、対象車線選択部43と、地図データ抽出部44を備える。
車両情報受信部41は、自車両1の自車両情報送信部39から通信装置14及び通信装置24を介して受信した自車両1の自己位置と道路単位の走行経路を取得する。
【0040】
図5は、自車両1の自己位置から目的地までの車線の一例を示している。上記のとおり地図データベース23は、車線を所定距離毎に分割した車線セグメントの位置及び形状の情報を含んでいる。参照符号L101~L108、L201~L208、L303~L305が付与された各領域は、それぞれ車線セグメントを表している。
説明の簡単のため、
図5では自車線の対向車線の車線セグメントを省略している。
車線セグメントL201は、自車両1が存在する車線セグメントである「自車線セグメント」であり、車線セグメントL106、L108は目的地への進入口を有する車線セグメントである。自車両情報送信部39から送信される道路単位の走行経路は、車線セグメントL101及びL201から車線セグメントL108及びL208へ至る経路となる。
【0041】
図4を参照する。ターゲット車線生成部42は、道路単位の走行経路に沿って走行する自車両1が通る可能性がある車線を抽出する。
具体的には、ターゲット車線生成部42は、道路単位の走行経路に沿って走行する自車両1が通る可能性がある車線セグメントを、ターゲット車線セグメントとして抽出する。
ターゲット車線生成部42は、ターゲット車線セグメント候補抽出部45と、ターゲット車線セグメント連結部46を備える。
【0042】
ターゲット車線セグメント候補抽出部45は、走行経路に基づいて、目的地に到達するために走行する必要がある車線セグメントをターゲット車線セグメント候補として抽出する。
図5を参照する。具体的には、ターゲット車線セグメント候補抽出部45は、目的地への進入口を有する車線セグメントL106及びL108をターゲット車線セグメント候補として抽出する。
なお、車線形状や交通状況に応じて対向車線側にある目的地に対しても進入可能である場合には、対向車線をまたぐ手前の自車線の車線セグメントをターゲット車線セグメント候補として抽出してもよい。また、目的地は道路外の施設に限らず道路上に設定された地点であっても良く、例えば最終目的地に到達するまでの経由地点等、自車両前方所定距離の道路上に設定された目標となる任意の地点であってよい。
【0043】
また、ターゲット車線セグメント候補抽出部45は、道路単位の走行経路上にある分岐点毎に、目的地へ分岐する車線セグメント(すなわち、目的地側へ進出する出口に位置する車線セグメント)をターゲット車線セグメント候補として抽出する。
図5の例では、車線セグメントL104及びL204をターゲット車線セグメント候補として抽出する。
ターゲット車線セグメント候補抽出部45は、道路単位の走行経路上にある分岐点1つに対し1個以上のターゲット車線セグメント候補を抽出する。このようなターゲット車線セグメント候補を抽出することで、目的地へ向かって分岐する車線を特定できる。
【0044】
分岐点は、例えば走行経路上のジャンクションを含む。
図6Aは、ジャンクションを含んだ道路における車線セグメントを表している。破線は走行経路を示す。説明の簡単のため、
図5と同様に自車線の対向車線の車線セグメントを省略している。
図6B及び
図6Cにおいても同様である。
走行経路に沿ってジャンクション上を右折する場合には、ハッチングが施された車線セグメントを走行する必要があり、これらの車線セグメントをターゲット車線セグメント候補として抽出する。
【0045】
分岐点は、例えば走行経路上の交差点を含む。例えば、
図6Bは単車線の交差点を含んだ道路における車線セグメントを表している。走行経路に沿って交差点を左折するためには、ハッチングが施された車線セグメントを走行する必要があり、これらの車線セグメントをターゲット車線セグメント候補として抽出する。
図6Cは、複数車線の交差点を含んだ道路の車線セグメントを表している。走行経路に沿って交差点を直進するためには、ハッチングが施された車線セグメントを走行すれば良いが、左側に位置する左折する車線セグメントを走行してはいけない。したがって、ハッチングが施された車線セグメントをターゲット車線セグメント候補として抽出する。
【0046】
図4を参照する。ターゲット車線セグメント連結部46は、自車線セグメントと、ターゲット車線セグメント候補と、自車線セグメントとターゲット車線セグメント候補の間にある車線セグメントと、ターゲット車線セグメント候補どうしの間にある車線セグメントを連結し、連結された車線セグメントをターゲット車線セグメントとして抽出する。
図5を参照する。具体的には、ターゲット車線セグメント連結部46は、自車線セグメントL201を始点車線セグメントに設定する。
【0047】
また、ターゲット車線セグメント連結部46は、ターゲット車線セグメント候補L104、L204、L106及びL108のうち、始点車線セグメントL201に最も近いターゲット車線セグメント候補L104及びL204のいずれかを、終点車線セグメントに設定する。
ここで、始点車線セグメントに「最も近い」とは、始点車線セグメントから道路に沿った道程が最も短いことを意味する。
【0048】
例えばターゲット車線セグメント連結部46は、これらのターゲット車線セグメント候補L104及びL204のうち、始点車線セグメントL201から最小回数の車線変更で到達できるターゲット車線セグメント候補L204を、終点車線セグメントとして選択してよい。
図7を参照する。ターゲット車線セグメント連結部46は、始点車線セグメントL201と、終点車線セグメントL204と、始点車線セグメントL201と終点車線セグメントL204との間の車線セグメントL202及びL203とを連結し、ターゲット車線セグメントとして抽出する。また、終点車線セグメントL204に車線幅方向に隣接するターゲット車線セグメント候補L104を、ターゲット車線セグメント候補から除外する。
【0049】
ターゲット車線セグメント連結部46は、終点車線セグメントL204が、目的地への進入口を有する車線セグメントであるか否かを判定する。ここでは、車線セグメントL204は、目的地への進入口を有する車線セグメントL106、L108ではないため、ターゲット車線セグメント連結部46はターゲット車線セグメントの抽出を続行する。
終点車線セグメントが目的地への進入口を有する車線セグメントでない場合、ターゲット車線セグメント連結部46は、終点車線セグメントに設定されていた車線セグメントL204を始点車線セグメントに再設定する。
【0050】
また、ターゲット車線セグメント連結部46は、ターゲット車線セグメント候補L106及びL108のうち、始点車線セグメントL204に最も近いターゲット車線セグメント候補L106を、終点車線セグメントに設定する。
図8を参照する。ターゲット車線セグメント連結部46は、始点車線セグメントL204と、終点車線セグメントL106と、始点車線セグメントL204と終点車線セグメントL106との間の車線セグメントL104、L105及びL205とを連結し、ターゲット車線セグメントとして抽出する。
【0051】
なお、始点車線セグメントL204から終点車線セグメントL106へ到達するためには車線変更を要する。すなわち、始点車線セグメントL204と終点車線セグメントL106との間の区間では車線変更を要する。
このため、この区間では、車線幅方向に隣接する複数の車線セグメントの組合せであるL104及びL204と、L105及びL205を、ターゲット車線セグメントとして抽出している。
これにより、車線セグメントL104及びL204との間で車線変更を行う場合、及び車線セグメントL105及びL205との間で車線変更を行う場合のいずれの場合であっても、自車両1が通る可能性がある車線セグメントをターゲット車線セグメントとして抽出できる。
【0052】
ターゲット車線セグメント連結部46は、終点車線セグメントL106が、目的地への進入口を有する車線セグメントであるか否かを判定する。ここでは、車線セグメントL106は、目的地への進入口を有する車線セグメントであるため、ターゲット車線セグメント連結部46はターゲット車線セグメントの抽出を終了する。
ターゲット車線セグメント連結部46は、自車両1が存在する自車線セグメントが替わる度に、ターゲット車線セグメントを再抽出して更新する。
【0053】
なお、自車両1の自己位置、車線セグメントL202とL302の重複部分に位置する場合には、車線セグメントL202とL302を各々始点車線セグメントに設定してよい。そして、これらの始点車線セグメントL202とL302に対して、終点車線セグメントを選択し、始点車線セグメントと終点車線セグメントとの距離がより短い組合せを選択してよい。
【0054】
ターゲット車線生成部42は、抽出するターゲット車線セグメントの全長を所定の経路長に制限してもよい。
また、ターゲット車線セグメント連結部46は、交通止めや渋滞情報など自車両1の走行を制限する交通規制の情報が存在する場合、連結するターゲット車線セグメントを限定してもよい。
【0055】
図9を参照する。例えば、始点車線セグメントLsと終点車線セグメントLeとの間の車線セグメントLi1~Li4のうち、車線セグメントLi3での走行を制限する交通規制の情報が存在する場合、ターゲット車線セグメント連結部46は、車線セグメントLi3をターゲット車線セグメントとして抽出しない。
この場合、ターゲット車線セグメント連結部46は、車線セグメントLi3を迂回する隣接車線の車線セグメントLc1~Lc3を連結し、ターゲット車線セグメントとして抽出してもよい。
【0056】
図4を参照する。対象車線選択部43は、ターゲット車線生成部42が抽出したターゲット車線セグメントに基づいて対象車線を選択する。地図データ抽出部44は、対象車線選択部43が選択した対象車線の地図データのみを抽出して、走行支援装置10の地図取得部32に配信する。
例えば、対象車線選択部43は、ターゲット車線セグメントを含む車線を対象車線として選択してよい。これにより、自車両1が走行経路に沿って走行する場合に通る可能性が高い車線の地図データを地図取得部32に配信できる。
【0057】
また、例えば対象車線選択部43は、自車両1が存在する自車線セグメントを含んだ車線を対象車線として選択してもよい。これにより、現に自車両1が走行している車線の地図データを地図取得部32に配信できる。
また、例えば対象車線選択部43は、自車線セグメントに車線幅方向に隣接する車線を対象車線として選択してもよい。
特に、対象車線選択部43は、自車線セグメントに車線幅方向に隣接する車線のうちでターゲット車線セグメントと重複しない車線を対象車線として選択してもよい。これにより、隣接車線の地図データを地図取得部32に配信し、隣接車線へ車線変更する走行支援制御が可能になる。
【0058】
(動作)
次に、
図10を参照して、実施形態の車両走行支援方法の一例を説明する。
ステップS1において自車両1の走行支援装置10の自己位置推定部31は、地図データ上における自車両1の現在の自己位置を取得する。
ステップS2においてナビゲーション装置15は、自己位置から目的地までの道路単位の走行経路を演算する。自車両情報送信部39は、自己位置推定部3が推定した自己位置の情報と、ナビゲーション装置15が演算した道路単位の走行経路を、地図配信装置20へ送信する。
【0059】
ステップS3において地図配信装置20のターゲット車線セグメント候補抽出部45は、走行経路に基づいて、目的地に到達するために走行する必要がある車線セグメントをターゲット車線セグメント候補として抽出する。
ステップS4においてターゲット車線セグメント連結部46は、ターゲット車線セグメント連結処理を実行する。
【0060】
図11は、ターゲット車線セグメント連結処理の一例のフローチャートである。
ステップS10においてターゲット車線セグメント連結部46は、自車線セグメントを始点車線セグメントに設定する。
ステップS11においてターゲット車線セグメント連結部46は、ターゲット車線セグメント候補のうち、始点車線セグメントから最小回数の車線変更で到達でき、かつ、始点車線セグメントに最も近いターゲット車線セグメント候補を、終点車線セグメントに設定する。
【0061】
ステップS12においてターゲット車線セグメント連結部46は、始点車線セグメントと、終点車線セグメントと、始点車線セグメントと終点車線セグメントとの間の車線セグメントとを連結し、ターゲット車線セグメントとして抽出する。
ステップS13においてターゲット車線セグメント連結部46は、終点車線セグメントが、目的地への進入口を有する車線セグメントであるか否かを判定する。
【0062】
終点車線セグメントが目的地への進入口を有する場合(ステップS13:Y)に、ターゲット車線セグメント連結処理は終了する。終点車線セグメントが目的地への進入口を有さない場合(ステップS13:N)に、処理はステップS14へ進む。
ステップS14においてターゲット車線セグメント連結部46は、終点車線セグメントに設定されていた車線セグメントを始点車線セグメントに再設定する。
ステップS15においてターゲット車線セグメント連結部46は、終点車線セグメントに設定されていた車線セグメントに隣接するターゲット車線セグメント候補を、ターゲット車線セグメント候補から除外する。その後に処理はステップS11へ戻る。
【0063】
図10を参照する。ステップS5において対象車線選択部43は、ターゲット車線生成部42が抽出したターゲット車線セグメントに基づいて対象車線を選択する。
ステップS6において地図データ抽出部44は、対象車線選択部43が選択した対象車線の地図データのみを抽出して、走行支援装置10の地図取得部32に配信する。
ステップS7において走行支援装置10は、地図データ抽出部44が抽出した地図データに基づいて、自車両1の走行支援制御を実行する。
その後に処理は終了する。
【0064】
(第1実施形態の効果)
(1)地図配信装置20は、車線の位置及び形状の情報を車線毎に含んだ地図データを読み込む。自己位置推定部31は、地図データ上の現在の自車両1の自己位置を取得する。対象車線選択部43は、地図データと自己位置とに基づいて、自己位置から自車両1の進行方向前方の所定距離以内の車線のうち、自車両1が将来走行する可能性が高い車線を、対象車線として選択する。地図データ抽出部44は、地図データのうち、対象車線の地図データのみを抽出する。走行支援装置10は、抽出された地図データに基づいて自車両1の走行を支援する。
【0065】
これにより、自車両1が将来走行する可能性が高くない車線の地図データの提供を省略できる。このため、自車両1の走行支援のために提供される地図データのデータ量を軽減することができる。この結果、自車両1に地図データを格納するための記憶領域や地図データを配信するための通信量を低減することができる。
【0066】
(2)地図データは、車線を所定距離毎に分割した車線セグメントの位置及び形状の情報を含んでよい。対象車線選択部43は、自車両1が存在する車線セグメントである自車線セグメントに車線幅方向に隣接する車線を対象車線として選択してよい。これにより、隣接車線の地図データを走行支援装置10に提供することができる。走行支援装置10は隣接車線へ車線変更する走行支援制御が可能になる。
【0067】
(3)ナビゲーション装置15は、自車両1の目的地を設定する。ターゲット車線生成部42は、自己位置から目的地までに通る可能性がある車線セグメントをターゲット車線セグメントとして抽出してよい。対象車線選択部43は、自車線セグメントに車線幅方向に隣接する車線のうちでターゲット車線セグメントと重複しない車線を対象車線として選択してよい。
これにより、走行支援装置10は、隣接車線にターゲット車線セグメントが含まれない場合であっても、隣接車線へ車線変更する走行支援制御が可能になる。
【0068】
(4)ナビゲーション装置15は、自己位置から目的地までの走行経路を演算する。ターゲット車線セグメント候補抽出部45は、走行経路上の分岐点で目的地へ分岐する車線セグメントと、目的地への進入口を有する車線セグメントと、をターゲット車線セグメント候補として抽出してよい。ターゲット車線セグメント連結部46は、自車線セグメントを始点車線セグメントに設定し、ターゲット車線セグメント候補のうち始点車線セグメントに最も近いものを終点車線セグメントに設定してよい。
【0069】
ターゲット車線セグメント連結部46は、始点車線セグメントと、終点車線セグメントと、始点車線セグメントと終点車線セグメントとの間の車線セグメントと、をターゲット車線セグメントとして抽出してよい。対象車線選択部43は、ターゲット車線セグメントに基づいて対象車線を選択してよい。
これにより、自車線セグメントを始点とする自車両1が将来走行する可能性が高い車線セグメントを連結して、ターゲット車線セグメントとして抽出することができる。
【0070】
(5)ターゲット車線セグメント連結部46は、終点車線セグメントに設定された車線セグメントを始点車線セグメントに再設定し、未だターゲット車線セグメントとして抽出されていないターゲット車線セグメント候補のうち始点車線セグメントに最も近いものを、終点車線セグメントに再設定してよい。ターゲット車線セグメント連結部46は、始点車線セグメントと、終点車線セグメントと、始点車線セグメントと終点車線セグメントとの間の車線セグメントと、をさらにターゲット車線セグメントとして抽出してよい。
これにより、自車両1が将来走行する可能性が高いターゲット車線セグメント候補の間を連結して、ターゲット車線セグメントとして抽出することができる。
【0071】
(6)車線幅方向に隣接する複数の終点車線セグメントが存在する場合に、最小回数の車線変更で始点車線セグメントから到達できる終点車線セグメントを選択してよい。
これにより、より少ない車線変更で目的地まで到達できる経路が通る車線セグメントをターゲット車線セグメントとして抽出できる。
【0072】
(7)始点車線セグメントと終点車線セグメントとの間の区間で車線変更を要する場合に、当該区間内に存在する車線幅方向に隣接する複数の車線セグメントをターゲット車線セグメントとして抽出してよい。
これにより、車線変更を行う場合に自車両1が通る可能性がある車線セグメントをターゲット車線セグメントとして抽出できる。
【0073】
(8)ターゲット車線生成部42は、自車両1が存在する車線セグメントが変わる度にターゲット車線セグメントを更新してよい。
これにより、自車両1が存在する車線セグメントに応じた適切なターゲット車線セグメントに基づいて、地図データを配信する対象車線を選択できる。
【0074】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を説明する。
図12を参照する。第2実施形態の対象車線選択部43は、ターゲット車線セグメントと関連度の高い車線に加えて、自車両1が走行する車線の選択肢(例えば車両の追い抜きや障害物を回避するための車線など)を増やし、これらの車線の中から優先度の高いものから順に複数個、対象車線として選択する。
【0075】
このため、第2実施形態の対象車線選択部43は、対象車線候補生成部47と、車線優先度判定部48を備える。
対象車線候補生成部47は、自車両1が存在する自車線セグメントを始点車線セグメントとして設定する。対象車線候補生成部47は、始点車線セグメントから、自車両1の進行方向に沿って所定距離(または所定車線セグメント数)だけ進んだ車線セグメントまでを連結することにより対象車線候補を生成する。
【0076】
対象車線候補生成部47は、さらに自車線セグメントの側方に存在する車線セグメント(すなわち、自車線セグメントと進行方向位置が等しく車線幅方向が異なる車線セグメント)を始点車線セグメントとして設定する。対象車線候補生成部47は、始点車線セグメントから、道路の進行方向に沿って所定距離(または所定車線セグメント数)だけ進んだ車線セグメントまでを連結することにより対象車線候補を生成する。
【0077】
図13を参照する。この例では、車線L1~L4を対象車線候補として生成する。車線L1は、車線セグメントL11、L12及びL13を連結して生成されている。車線L2は、車線セグメントL21、L22及びL23を連結して生成されている。車線L3は、車線セグメントL31、L32及びL33を連結して生成されている。車線L4は、車線セグメントL41、L42、L43及びL44を連結して生成されている。
【0078】
なお、車線セグメントL21とL41とは同じ車線セグメントであり、車線セグメントL22とL42も同じ車線セグメントである。ハッチングが施された車線セグメントL11、L12、L21(L41)、L22(L42)、L43及びL44は、ターゲット車線セグメントである。
【0079】
図12を参照する。車線優先度判定部48は、対象車線の候補として生成された車線のうち、優先度の高い車線から順に複数車線を対象車線として選択する。
例えば、車線優先度判定部48は、複数の判定条件に基づいて車線の優先度を判定する。車線優先度判定部48が優先度の判定に用いる複数の判定条件を「優先度判定条件」と表記する。
優先度判定条件の一例を下記表1に示す。
【0080】
【0081】
表1に示すように、優先度判定条件にはそれぞれ判定順序が定められており、車線優先度判定部48は、判定順序にしたがって各条件を判定し、条件を満たさない車線をフィルタリング(除外)していく。車線優先度判定部48は、フィルタリングされずに残った車線が1つになった時点で、残りの車線を対象車線として選択する。
なお、判定順序3の条件「選択済みの対象車線に含まれないターゲット車線セグメントをより多く含む」及び判定順序4の条件「選択済みの対象車線に含まれない車線セグメントをより多く含む」において、車線セグメントの数に代えて、車線セグメントの長さの合計がより長い車線や面積の合計がより広い車線を選択してもよい。
【0082】
図13の車線L1~L4の例を用いて、車線優先度判定部48の判定処理を説明する。ここでは、優先度の高い車線から順に3つの車線を対象車線として選択する場合を想定する。
1番目に優先される車線を選択する際には、選択済みの対象車線がまだ存在しないため、判定順序1の条件では、各車線L1~L4の始点となる車線セグメントL11~L41のいずれもが、選択済みの対象車線に含まれない。したがって、全ての車線L1~L4が条件を満足する。
判定順序2の条件では、自車両1が存在する自車線セグメントが車線L1の始点L11であるため始点L11が自車線セグメントに最も近い。このため、車線L1が該当して他の車線L2~L4が除外される。この結果、車線L1が1番目に優先されて対象車線として選択される。
【0083】
次に、2番目に優先される車線を選択する際には、判定順序1の条件において、車線L1の始点L11が選択済みの対象車線L1に含まれている。このため、車線L1が除外されて他の車線L2~L4が残る。
判定順序2の条件では、車線L2~L4の始点L21~L41はいずれも自車線セグメントの1つ隣りの車線セグメントであるため、車線L2~L4の全てが条件を満足する。
判定順序3の条件では、車線L4に含まれるターゲット車線セグメント数が4であり最も多い。このため、車線L4が該当して他の車線L2~L3が除外される。この結果、車線L4が2番目に優先されて対象車線として選択される。
【0084】
次に、3番目に優先される車線を選択する際には、判定順序1の条件において、車線L2の始点L21(L41)が選択済みの対象車線L4に含まれている。このため、車線L2が除外され他の車線L3が残る。この結果、車線L3が3番目に優先されて対象車線として選択される。
以上の判定処理により、車線優先度判定部48は、優先度の高い順に、車線L1、L4及びL3を対象車線として選択する。
【0085】
他の車線の例を参照して、車線優先度判定部48における優先度の判定方法をさらに説明する。
図14を参照する。
実線の矩形、平行四辺形又は扇型で囲われた領域がそれぞれ車線セグメントを示す。車線L1~L7は、それぞれ破線L1~L7に沿って並ぶ6個の車線セグメントを連結して生成されている。
また、ハッチングはターゲット車線セグメントを示している。
【0086】
1番目に優先される車線を決定する際には、選択済みの対象車線がまだ存在しないため、全ての車線L1~L7が判定順序1の条件を満足する。
判定順序2の条件では、自車両1が存在する自車線セグメントが車線L1及びL4の始点となる車線セグメントであるため、車線L1及びL4が該当して他の車線L2~L3、L5~L7が除外される。
【0087】
判定順序3の条件では、車線L1及びL4に含まれるターゲット車線セグメントの数が等しいため、車線L1及びL4のいずれも条件を満足する。
判定順序4の条件では、選択済みの対象車線がまだないため、車線L1及びL4のいずれも条件を満足する。
判定順序5の条件では、車線L1の方が直線に近く曲率が小さいため、車線L1が条件を満足する。
この結果、1番目に優先される車線は、車線L1となる。
【0088】
2番目に優先される車線を決定する際には、判定順序1の条件によって車線L4が除外される。
判定順序2の条件では、残りの車線L2、L3、L5~L7は、いずれも自車線セグメントの1つ隣りの車線セグメントであるため、全ての車線が条件を満足する。
判定順序3の条件では、車線L2に含まれるターゲット車線セグメントが最も大きいため、車線L2が条件を満足する。
この結果、2番目に優先される車線は、車線L2となる。
【0089】
3番目に優先される車線を決定する際には、判定順序1の条件において、選択済みの対象車線に含まれない車線セグメントを始点に有する車線は車線L3のみである。
この結果、3番目に優先される車線は、車線L3となる。
4番目に優先される車線を決定する際には、判定順序1の条件において、残りの車線L4~L7の始点となる車線セグメントは既に選択済みの対象車線に含まれている。
【0090】
したがって、車線L4~L7の全てが条件を満たさない。この場合には、車線L4~L7をフィルタリングせずに、次の判定順序の条件を判断する。
判定順序2の条件では、車線L4の始点となるセグメントが自車線セグメントであり、最も自車線セグメントに近いため、車線L4が条件を満足する。
この結果、4番目に優先される車線は、車線L4となる。
【0091】
5番目に優先される車線を決定する際には、判定順序2の条件において、残りの車線L5~L7は、いずれも自車線セグメントの1つ隣りの車線セグメントであるため、全ての車線が条件を満足する。
判定順序3の条件では、全てのターゲット車線セグメントが、選択済みの対象車線L1及びL2に含まれているため条件を満たす車線がない。この場合、車線L5~L7をフィルタリングせずに、次の判定順序の条件を判断する。
判定順序4の条件では、選択済みの対象車線L1~L4に含まれていない車線セグメントを最も多く含む車線L5が条件を満足する。
この結果、5番目に優先される車線は、車線L5となる。
【0092】
6番目に優先される車線を決定する際には、5番目に優先される車線を決定した場合と同様に、判定順序1~3の条件ではフィルタリングされない。
判定順序4の条件では、選択済みの対象車線L1~L5に含まれず車線L6に含まれる車線セグメントの数と、対象車線L1~L5に含まれず車線L7に含まれる車線セグメントの数は同じである。
この結果、判定順序5の条件を満たす車線L6が、6番目に優先される車線となる。
以上のようにして、車線優先度判定部48は、車線L1、L2、L3、L4、L5、L6及びL7の順で優先度が高いと判定する。
【0093】
なお、ターゲット車線セグメントの場合と同様に、対象車線選択部43は、自車両1が存在する自車線セグメントが替わる度に、対象車線を再選択して更新してもよい。
また、交通止めや渋滞情報など自車両1の走行を制限する交通規制の情報が存在する場合、対象車線を限定してもよい。
【0094】
図15を参照する。例えば、車線セグメントL11~L16を有する車線L1が対象車線として選択され、そのうち車線セグメントL14での走行を制限する交通規制の情報が存在する場合、対象車線選択部43は、車線セグメントL14を対象車線として選択しない。
この場合、対象車線選択部43は、車線セグメントL14を迂回する隣接車線L2の車線セグメントL23~L25を対象車線として選択してもよい。
【0095】
次に
図16を参照して、第2実施形態の対象車線選択部43による対象車線の選択処理について説明する。
ステップS20において対象車線候補生成部47は、対象車線の全候補を生成する。
ステップS21において変数iを1に初期化する。
ステップS22において車線優先度判定部48は、第i番目の判定順序の条件を判定する。
【0096】
ステップS23において車線優先度判定部48は、ステップS22の判定において条件を満足する車線が存在するか否かを判定する。条件を満足する車線が存在する場合(ステップS23:Y)に、処理はステップS24へ進む。
ステップS24において車線優先度判定部48は、条件を満足しない車線をフィルタリング(除外)する。その後に処理はステップS25へ進む。
ステップS25において車線優先度判定部48は、フィルタリングされずに残った残り候補が1つであるか否かを判定する。
【0097】
残り候補が1つである場合(ステップS25:Y)に処理はステップS26に進む。残り候補が複数ある場合(ステップS25:N)に処理はステップS27に進む。
一方で、ステップS23において条件を満足する車線が存在しない場合(ステップS23:N)、条件を満たさない車線をフィルタリングせずに処理はステップS27に進む。
ステップS26において車線優先度判定部48は、残り候補の車線を対象車線として選択する。その後に処理はステップS30へ進む。
【0098】
ステップS27において車線優先度判定部48は、優先度判定条件を全て判定したか否かを判定する。優先度判定条件を全て判定した場合(ステップS27:Y)に処理はステップS29に進む。まだ判定していない優先度判定条件がある場合(ステップS27:N)に処理はステップS28に進む。
ステップS28において変数iを1つ増加して処理はステップS22に戻る。
ステップS29において車線優先度判定部48は、フィルタリングされずに残った複数の車線のいずれかを対象車線として選択する。その後に処理はステップS30へ進む。
【0099】
ステップS30において車線優先度判定部48は、選択済みの対象車線の数が予め定めた所定数に到達したか否かを判定する。選択済みの対象車線の数が所定数に到達していない場合(ステップS30:N)、処理はステップS21に戻り、対象車線として選択されていない車線を候補に設定し直して処理を繰り返す。
選択済みの対象車線の数が所定数に到達した場合(ステップS30:Y)に処理は終了する。
【0100】
(変形例)
優先度判定条件において、自車線又は隣接車線を優先的に選択する条件を、最初に判定する条件(すなわち判定順序1の条件)として追加してもよい。このような優先度判定条件の例を下記表2に示す。判定順序2~6の条件は、上記の表1の判定順序1~5の条件と同じである。
【0101】
【0102】
図17の車線L1~L4の例を用いて、表1の優先度判定条件による判定結果と表2の優先度判定条件による判定結果の違いを説明する。なお、
図17の車線L1~L4は表13の車線L1~L4と同じであるが、自車線セグメントが車線セグメントL11から、車線セグメントL21(L41)に変更されている。
図13の例と同様に、優先度の高い車線から順に3つの車線を対象車線として選択する場合を想定する。
【0103】
まず、表1の優先度判定条件にしたがって選択する場合を説明する。
1番目に優先される車線を選択する際には、全ての車線L1~L4が判定順序1の条件を満足する。
判定順序2の条件では、車線L2の始点L21と車線L4の始点L41が自車線セグメントであり、自車線セグメントに最も近い。このため車線L2及びL4が条件を満たし、車線L1及びL3が除外される。
判定順序3の条件では、車線L4に含まれるターゲット車線セグメント数が最も多いため条件を満たす。この結果、車線L4が1番目に優先されて対象車線として選択される。
【0104】
2番目に優先される車線を選択する際には、判定順序1の条件において、車線L2の始点L21(L41)が選択済みの対象車線L4に含まれている。このため、車線L2が除外されて他の車線L1、L3が残る。
判定順序2の条件では、車線L1の始点L11が車線L3の始点L31よりも自車線セグメントに近い。したがって、車線L1が条件を満たす。この結果、車線L1が2番目に優先されて対象車線として選択される。
【0105】
2番目に優先される車線を選択する際には、判定順序1の条件を車線L3が満足する。この結果、車線L3が2番目に優先されて対象車線として選択される。
以上の判定処理により、車線優先度判定部48は、優先度の高い順に、車線L4、L1及びL3を対象車線として選択する。
【0106】
次に、表2の優先度判定条件にしたがって選択する場合を説明する。
1番目に優先される車線を選択する際には、判定順序1の条件において、車線L2及びL4が自車線であり、車線L1が隣接車線である。したがって、このため車線L1、L2及びL4が条件を満たし、車線L3が除外される。
車線L1、L2及びL4は、判定順序2の条件を満たす。
判定順序3の条件では、車線L2の始点L21と車線L4の始点L41が自車線セグメントであり、自車線セグメントに最も近い。このため車線L2及びL4が条件を満たし、車線L1が除外される。
判定順序4の条件では、車線L4に含まれるターゲット車線セグメント数が最も多いため条件を満たす。この結果、車線L4が1番目に優先されて対象車線として選択される。
【0107】
2番目に優先される車線を選択する際には、判定順序1の条件を車線L1及びL2が満たし、車線L3が除外される。
判定順序2の条件において、車線L2の始点L21(L41)が選択済みの対象車線L4に含まれている。このため、車線L2が除外されて他の車線L1が残る。この結果、車線L1が2番目に優先されて対象車線として選択される。
【0108】
2番目に優先される車線を選択する際には、判定順序1の条件を車線L2が満たし、車線L3が除外される。この結果、車線L1が2番目に優先されて対象車線として選択される。
以上の判定処理により、車線優先度判定部48は、優先度の高い順に、車線L4、L1及びL2を対象車線として選択する。
このように、表1の優先度判定条件が始点となる車線セグメントが異なる車線を優先して対象車線として選択するのに対し、表2の優先度判定条件が自車線セグメントに隣接する車線を優先して選択する。
【0109】
このため、表1の優先度判定条件を用いることにより、より多くの車線セグメントを含むように対象車線を選択することができる。
一方で、表2の優先度判定条件を用いることにより、自車線セグメントに隣接する車線を優先して対象車線として選択することができる。
【0110】
(第2実施形態の効果)
(1)車線優先度判定部48は、優先度の高い車線から順に複数車線を対象車線として選択する。
これにより、所望の観点に応じてより優先度の高い車線を優先して地図データを提供することができる。
【0111】
(2)地図データは、車線を所定距離毎に分割した車線セグメントの位置及び形状の情報を含んでよい。ナビゲーション装置15は、自車両1の目的地を設定する。ターゲット車線生成部42は、自己位置から目的地までに通る可能性がある車線セグメントをターゲット車線セグメントとして抽出してよい。車線優先度判定部48は、ターゲット車線セグメントをより多く含む車線を優先して対象車線として選択する。
これにより、自車両1が走行する可能性が高い車線を優先して地図データを提供することができる。
【0112】
(3)車線優先度判定部48は、自車両1が存在する車線セグメントにより近い車線を優先して対象車線として選択してよい。
これにより、少ない車線変更で走行することができる車線を優先して地図データを提供することができる。
【0113】
(4)車線優先度判定部48は、曲率がより小さい車線を優先して対象車線として選択してよい。
これにより、走行が容易な車線を優先して地図データを提供することができる。
【0114】
(5)車線優先度判定部48は、対象車線として選択された車線に含まれていない車線セグメントである未選択車線セグメントをより多く含む車線を優先して対象車線として選択してよい。
これにより、走行支援装置10によって走行支援できる車線の選択肢を増やすように地図データを提供することができる。
【0115】
(6)対象車線選択部43は、自車両1が存在する車線セグメントが変わる度に対象車線を更新してもよい。
これにより、自車両1が存在する車線セグメントに応じた適切な対象車線の地図データを提供できる。
【符号の説明】
【0116】
1…自車両、10…走行支援装置、11…物体センサ、12…車両センサ、13…測位装置、14…通信装置、15…ナビゲーション装置、16…コントローラ、17…アクチュエータ、18…プロセッサ、19…記憶装置、20…地図配信装置、21…プロセッサ、22…記憶装置、23…地図データベース、24…通信装置、30…物体検出部、31…自己位置推定部、32…地図取得部、33…検出統合部、34…物体追跡部、35…地図内位置演算部、36…運転行動決定部、37…軌道生成部、38…車両制御部、39…自車両情報送信部、41…車両情報受信部、42…ターゲット車線生成部、43…対象車線選択部、44…地図データ抽出部、45…ターゲット車線セグメント候補抽出部、46…ターゲット車線セグメント連結部、47…対象車線候補生成部、48…車線優先度判定部