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特許7458916溶融塩電解方法、金属マグネシウムの製造方法及び、塩化マグネシウム供給装置
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  • 特許-溶融塩電解方法、金属マグネシウムの製造方法及び、塩化マグネシウム供給装置 図1
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  • 特許-溶融塩電解方法、金属マグネシウムの製造方法及び、塩化マグネシウム供給装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】溶融塩電解方法、金属マグネシウムの製造方法及び、塩化マグネシウム供給装置
(51)【国際特許分類】
   C25C 3/04 20060101AFI20240325BHJP
   C25C 7/00 20060101ALI20240325BHJP
   C25C 7/06 20060101ALI20240325BHJP
   C22B 26/22 20060101ALI20240325BHJP
【FI】
C25C3/04
C25C7/00 302B
C25C7/06 302
C22B26/22
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020112078
(22)【出願日】2020-06-29
(65)【公開番号】P2022011141
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】390007227
【氏名又は名称】東邦チタニウム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小林 純也
【審査官】瀧口 博史
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-214773(JP,A)
【文献】特開昭63-143279(JP,A)
【文献】特開昭58-039789(JP,A)
【文献】特開平02-243789(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25C 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩化マグネシウムを含む溶融塩浴で前記塩化マグネシウムを電気分解し、該電気分解により金属マグネシウムを生成させる溶融塩電解方法であって、
溶融塩浴の温度が670℃以下に維持されるように、溶融塩浴に塩化マグネシウムを複数回にわたって間欠的に供給する間欠供給工程
を含み、
前記間欠供給工程の後、溶融塩浴に塩化マグネシウムを供給することにより溶融塩浴の温度を700℃以上に上昇させた後に、金属マグネシウムを回収する金属回収工程をさらに含む、溶融塩電解方法。
【請求項2】
塩化マグネシウムを含む溶融塩浴で前記塩化マグネシウムを電気分解し、該電気分解により金属マグネシウムを生成させる溶融塩電解方法であって、
溶融塩浴の温度が670℃以下に維持されるように、溶融塩浴に塩化マグネシウムを複数回にわたって間欠的に供給する間欠供給工程
を含み、
前記間欠供給工程で、溶融状態の塩化マグネシウムの間欠的な供給により、溶融塩浴の浴面の高さを、当該間欠供給工程の開始から終了にかけて徐々に増大させる溶融塩電解方法。
【請求項3】
前記間欠供給工程の後、溶融塩浴に塩化マグネシウムを供給することにより溶融塩浴の温度を700℃以上に上昇させた後に、金属マグネシウムを回収する金属回収工程をさらに含む、請求項2に記載の溶融塩電解方法。
【請求項4】
前記金属回収工程での塩化マグネシウムの供給量を、前記間欠供給工程での一回当たりの塩化マグネシウムの供給量に対して、質量比で4倍以上とする請求項1又は3に記載の溶融塩電解方法。
【請求項5】
前記金属回収工程の後、前記電気分解を継続しながら、溶融塩浴に塩化マグネシウムを供給しない供給停止工程をさらに含む請求項1、3、4のいずれか一項に記載の溶融塩電解方法。
【請求項6】
前記間欠供給工程、前記金属回収工程及び前記供給停止工程をこの順序で含む電解過程を繰り返し行う請求項5に記載の溶融塩電解方法。
【請求項7】
前記間欠供給工程で、溶融塩浴中の塩化マグネシウム濃度を17質量%~19質量%の範囲内に維持する請求項1~6のいずれか一項に記載の溶融塩電解方法。
【請求項8】
前記間欠供給工程で、一回当たりの塩化マグネシウムの供給量を質量比にて、当該間欠供給工程での塩化マグネシウムの総供給量の1%~5%とする請求項1~7のいずれか一項に記載の溶融塩電解方法。
【請求項9】
前記間欠供給工程で、溶融塩浴に、塩化マグネシウム濃度が95質量%以上である溶融塩を送り込むことにより、塩化マグネシウムを供給する請求項1~8のいずれか一項に記載の溶融塩電解方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の溶融塩電解方法を用いて、前記溶融塩浴で塩化マグネシウムを電気分解し、金属マグネシウムを製造する、金属マグネシウムの製造方法。
【請求項11】
塩化マグネシウムの電気分解を行う電解槽内に塩化マグネシウムを供給する塩化マグネシウム供給装置であって、
塩化マグネシウムを貯留する貯留槽と、
前記貯留槽内と前記電解槽内とを連結する供給管と、
前記貯留槽内及び/又は前記供給管内の圧力を調整することが可能な圧力調整器と
を備え、
請求項1~9のいずれか一項に記載の溶融塩電解方法又は請求項10の金属マグネシウムの製造方法に用いられるための塩化マグネシウム供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、溶融塩浴で塩化マグネシウムを電気分解することにより、金属マグネシウムを生成させる溶融塩電解方法、金属マグネシウムの製造方法及び、塩化マグネシウム供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえば、クロール法による金属チタンの製造に際し、副次的に生成される塩化マグネシウムは、電解槽を用いて、電気分解により金属マグネシウムと塩素ガスとに分解されることがある。この場合、金属マグネシウムと塩素ガスはそれぞれ四塩化チタンの還元及びチタン鉱石の塩化に用いて再利用することができる。
【0003】
この種の電気分解では一般に、たとえば隔壁によって回収室と電解室とに区画された電解槽内に、塩化マグネシウム及び支持塩を含む溶融塩を溜めて溶融塩浴を構成する。この溶融塩浴では、電解槽内の溶融塩が回収室から電解室へと流動し、該電解室内にて溶融塩中の塩化マグネシウムが電気分解により金属マグネシウムと塩素とに分解される。電解室で生成された金属マグネシウムは電解槽内で回収室へとさらに循環して、溶融塩との密度差によって溶融塩浴の浴面上に浮上した後に回収される。なお、塩素は電解槽に設けられたガス排出通路等を経て電解槽の外部に排出される。
【0004】
上記の溶融塩電解では膨大な電力を必要とするので、コストの低減の観点から電流効率の低下を極力抑制することが望まれている。
【0005】
このことに関連して、特許文献1には、「浴面レベル維持のために浴面下に設置された容器状の構造物内に不活性ガスを供給し、また前記構造物内から不活性ガスを排出することにより、浴面レベルを調整する浴面調整装置を装備した溶融塩電解槽であって、前記構造物内へ不活性ガスを供給する不活性ガス供給系として、通常操業時に溶融塩の電解消費による浴面レベル低下を補う際に不活性ガス供給量を制御して浴面レベルの変動を抑制する精密制御系と、電解生成金属の汲み出し作業に伴う浴面レベルの異常低下時に不活性ガス供給量を急増させて浴面レベルを回復させる高速制御系とを具備する溶融塩電解槽」が記載されている。
【0006】
ところで、上述したような溶融塩電解では、塩化マグネシウムが電気分解されて金属マグネシウムが生成されると、それに伴って溶融塩浴中の塩化マグネシウムが減少する。それ故に、溶融塩電解を継続して行うには、電気分解で消費される塩化マグネシウムを溶融塩浴に補給することが必要になる。
【0007】
溶融塩浴への塩化マグネシウムの補給は一般に、電気分解により消費された塩化マグネシウムの不足分を補うため、比較的多量の塩化マグネシウムを溶融塩浴中に供給することにより行われる。しかるに、この供給時に電流効率が大きく低下する。
【0008】
特許文献2では、「溶融塩浴の温度上昇を抑制しながら、電気分解の継続に伴って消費される塩化マグネシウムを溶融塩浴に補給する」ことを目的として、「塩化マグネシウム及び支持塩を含む溶融塩の溶融塩浴で、電極への通電に基いて前記塩化マグネシウムを電気分解し、該電気分解により金属マグネシウムを得る溶融塩電解方法であって、溶融塩浴に塩化マグネシウムを補給するに当り、前記溶融塩浴から、塩化マグネシウム及び支持塩を含む溶融塩の一部を抜き取る浴抽出工程と、浴抽出工程で抜き取った溶融塩を補給用塩化マグネシウムと混合し、前記溶融塩と補給用塩化マグネシウムとの混合物とする混合物生成工程と、前記混合物を塩化マグネシウムの融点以下の温度で、前記溶融塩浴に供給する混合物供給工程とを含む溶融塩電解方法」が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2015-140459号公報
【文献】特開2019-214773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に記載された発明は溶融塩浴の浴面位置を一定に保とうとするものであるが、本発明者が得た知見によれば、溶融塩浴の浴面位置を一定に保っても電流効率の低下抑制には限界があり改善が求められていた。特許文献2に記載された発明のように、電気分解中の溶融塩浴の温度変化を抑制したほうが電流効率の低下抑制には有効である。
但し、特許文献2に記載された発明は、電気分解中の溶融塩浴の温度変化を抑制する点で優れるが、塩化マグネシウムを補給するに当って「浴抽出工程」や「混合物生成工程」を行う必要があることから操業の負荷が大きく、簡易に実施できるとは言い難い。
【0011】
この発明の目的は、電流効率の低下を抑制しながら、溶融塩浴への塩化マグネシウムの補給を比較的容易に行うことができる溶融塩電解方法、金属マグネシウムの製造方法及び、塩化マグネシウム供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
発明者は鋭意検討の結果、操業負荷を軽減するには、塩化マグネシウムを溶融塩浴に補給することが好ましいと考えた。ここで、溶融塩浴に塩化マグネシウムを補給するに当り、溶融状態を維持するべく高温にする塩化マグネシウムをある程度多く溶融塩浴に供給すると、溶融塩浴の温度が短時間のうちに所定の温度を超えて上昇することに発明者は着目した。この際の溶融塩浴の大きな温度上昇は、電気分解の生成物である金属マグネシウムが塩化マグネシウムへと戻る再反応を招き、ひいては電流効率の低下の大きな要因になる。つまり、塩化マグネシウムを、たとえば一回である程度多く溶融塩浴に供給すると一時的とはいえ塩化マグネシウム濃度が比較的過剰になる。このとき、溶融塩浴中に高温の塩化マグネシウムが多く供給されたことで溶融塩浴の温度が上昇し、上記再反応が進行しやすい状態になる。これを抑制するため、電気分解の間に塩化マグネシウムを供給する際に、溶融塩浴を所定の低い温度に維持しつつ、溶融塩浴中の塩化マグネシウム量が急増しないように溶融塩浴に塩化マグネシウムを複数回にわたって間欠的に供給して補給することが、電流効率の低下を抑制する上で有効であると考えた。
【0013】
この発明の溶融塩電解方法は、塩化マグネシウムを含む溶融塩浴で前記塩化マグネシウムを電気分解し、該電気分解により金属マグネシウムを生成させるものであって、溶融塩浴の温度が670℃以下に維持されるように、溶融塩浴に塩化マグネシウムを複数回にわたって間欠的に供給する間欠供給工程を含むものである。
【0014】
上記の溶融塩電解方法は、前記間欠供給工程の後、溶融塩浴に塩化マグネシウムを供給することにより溶融塩浴の温度を700℃以上に上昇させた後に、金属マグネシウムを回収する金属回収工程をさらに含むことが好ましい。
【0015】
上記の溶融塩電解方法では、前記金属回収工程での塩化マグネシウムの供給量を、前記間欠供給工程での一回当たりの塩化マグネシウムの供給量に対して、質量比で4倍以上とすることが好ましい。
【0016】
上記の溶融塩電解方法は、前記金属回収工程の後、前記電気分解を継続しながら、溶融塩浴に塩化マグネシウムを供給しない供給停止工程をさらに含むことが好ましい。
この場合、前記間欠供給工程、前記金属回収工程及び前記供給停止工程をこの順序で含む電解過程を繰り返し行うことができる。
【0017】
また、前記間欠供給工程では、溶融塩浴中の塩化マグネシウム濃度を17質量%~19質量%の範囲内に維持することが好ましい。
【0018】
また、前記間欠供給工程では、一回当たりの塩化マグネシウムの供給量を質量比にて、当該間欠供給工程での塩化マグネシウムの総供給量の1%~5%とすることが好適である。
【0019】
前記間欠供給工程では、塩化マグネシウムの間欠的な供給により、溶融塩浴の浴面の高さを、当該間欠供給工程の開始から終了にかけて徐々に増大させることが好ましい。
【0020】
前記間欠供給工程では、溶融塩浴に、塩化マグネシウム濃度が95質量%以上である溶融塩を送り込むことにより、塩化マグネシウムを供給することができる。
【0021】
この発明の金属マグネシウムの製造方法は、上記のいずれかの溶融塩電解方法を用いて、前記溶融塩浴で塩化マグネシウムを電気分解し、金属マグネシウムを製造するというものである。
【0022】
この発明の塩化マグネシウム供給装置は、塩化マグネシウムの電気分解を行う電解槽内に塩化マグネシウムを供給するものであって、塩化マグネシウムを貯留する貯留槽と、前記貯留槽内と前記電解槽内とを連結する供給管と、前記貯留槽内及び/又は前記供給管内の圧力を調整することが可能な圧力調整器とを備えるものである。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、電流効率の低下を抑制しながら、溶融塩浴への塩化マグネシウムの補給を比較的容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】この発明の一の実施形態の溶融塩電解方法を実施することのできる電解槽の一例を、一の実施形態の塩化マグネシウム供給装置とともに示す、電解槽内の溶融塩浴の深さ方向に沿う断面図である。
図2図1のII-II線に沿う断面図である。
図3図1の電解槽を、他の実施形態の塩化マグネシウム供給装置とともに示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に図面を参照しながら、この発明の実施の形態について詳細に説明する。
ここで対象とする溶融塩電解は、図1に断面図で例示するような電解槽1等を用いて、塩化マグネシウムを含む溶融塩浴で塩化マグネシウムを電気分解し、その電気分解により金属マグネシウムを生成させるために行われる。この発明の一の実施形態の溶融塩電解方法は、溶融塩浴の温度が670℃以下に維持されるように、溶融塩浴に塩化マグネシウムを複数回にわたって間欠的に供給する間欠供給工程を含む。金属マグネシウムを回収する金属回収工程は前記間欠供給工程の後に行うことが好ましい。
【0026】
(溶融塩電解)
電解槽1は、たとえば主としてAl23等の耐火煉瓦その他の適切な材料からなる容器形状を有する。電解槽1の内部には、塩化マグネシウム及び支持塩を含む溶融塩を貯留させ、これにより溶融塩浴を構成する。
【0027】
ここで、図示の電解槽1は内部に、実質的に深さ方向に沿って配置された隔壁4を備えるものである。かかる隔壁4により、電解槽1の内部は、図1の右側に位置して電極3が配置された電解室2aと、図1の左側に位置し、電解室2aでの電気分解により得られた金属マグネシウムが流れ込んで該金属マグネシウムが溶融塩との密度差により上方側に溜まる回収室2bとに区画されている。この隔壁4は具体的には、電解槽1の上方側開口を覆蓋するための図示しない蓋部材に近接させて配置されている。これにより、電解槽1の下方側の底部との間に、回収室2bから電解室2aへの溶融塩浴の移動を可能にする溶融塩循環路4aを形成する。また、隔壁4の上方側の部分に設けた溶融金属流路4bにより、電解室2aから回収室2bへの金属マグネシウムの流入が可能になる。図1では隔壁4が左右2か所に分かれて設置されているが、溶融塩循環路4aと溶融金属流路4bとを設けることができれば、その形状や個数等の構成は適宜変更され得る。
【0028】
またここで、この電解槽1は内部の電解室2aに、溶融塩浴の深さ方向と平行に並べて配置した部分を有する電極3を備える。電極3には、図示しない電源等に接続された陽極3a及び陰極3bが含まれる。
電極3は、少なくとも陽極3a及び陰極3bを有するものであれば、溶融塩中の塩化マグネシウムの電気分解を行うことができる。他方、電気分解の金属マグネシウム生成効率向上等の観点からは、図2に示すところから解かるように、陽極3aと陰極3bとの間に、電源に接続されておらず陽極3a及び陰極3b間への電圧の印加によって分極する一枚以上、たとえば二枚のバイポーラ電極3cをさらに有することが好ましい。但し、このようなバイポーラ電極3cは必ずしも必要ではない。なお、陽極3a及び陰極3bのそれぞれの下部には、必要に応じて、耐火煉瓦等の絶縁部材3dを設けることができる。
【0029】
なお、電解槽1はさらに、図示しないが、回収室2b等に配置されて、溶融塩浴の温度調整を行う熱交換器としての温度調整管等を備えることがある。
【0030】
溶融塩浴を構成する溶融塩には、上記の塩化マグネシウム(MgCl2)の他、支持塩が含まれ得る。この支持塩は、塩化マグネシウムと混合した際に晶出温度を低下させ、かつ、粘度を低下させる電解質を意味する。支持塩は具体的には、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カルシウム(CaCl2)、塩化カリウム(KCl)、フッ化マグネシウム(MgF2)及びフッ化カルシウム(CaF2)からなる群から選択される少なくとも一種とすることができる。晶出温度とは、二種類以上の電解質からなる溶融塩を液体の状態から温度を下げたときに、ある一種類の電解質成分が固体として析出し始める晶出という現象が起きる温度をいう。溶融塩が一種類だけである場合、液体の状態から温度を下げたときに、凝固点で全体が固体となるため、晶出温度は凝固点、すなわち融点に相当する。なお、電気分解で塩化マグネシウムを優先的に分解させるため、支持塩としては、塩化マグネシウムより分解電圧が高い電解質を用いることが一般的である。
【0031】
電解槽1を用いて行う溶融塩電解では、電解室2aでの塩化マグネシウムの電気分解により、MgCl2→Mg+Cl2の反応に基づいて、陰極3bの表面で還元反応により溶融金属である金属マグネシウム(Mg)が生成されるとともに、陽極3aの表面で酸化反応により塩素(Cl2)ガスが発生する。
【0032】
より詳細には、溶融塩浴の対流により、図1に示すように、溶融塩が回収室2bから底部側の溶融塩循環路4aを経て電解室2aに流動する。電解室2aでは、溶融塩中の塩化マグネシウムが電気分解され、金属マグネシウムが生成される。そして、この金属マグネシウムは、隔壁4の浴面Lb側の溶融金属流路4bを通って回収室2bに流入する。その後、溶融塩に対する比重の小さい金属マグネシウムは、回収室2bの浅い箇所に浮上してそこに溜まることになる。回収室2bで浮上した金属マグネシウムは、図示しないポンプ等により回収することができる。したがって、これによれば、溶融塩から金属マグネシウムを製造することができる。また、それとともに塩素ガスが得られる。
【0033】
溶融塩電解で生成された金属マグネシウムは、金属チタンを製造するクロール法における四塩化チタンの還元に、また塩素ガスは、チタン鉱石の塩化にそれぞれ用いることができる。この電気分解の原料とする塩化マグネシウムとしては、クロール法で副次的に生成されるものを使用可能である。
【0034】
(間欠供給工程)
上述したような溶融塩電解を行うと、溶融塩浴中の塩化マグネシウムが、金属マグネシウムの生成に消費されるので次第に減少する。それ故に、溶融塩電解を継続するには、溶融塩浴に塩化マグネシウムを補給することを要する。
【0035】
溶融塩浴に塩化マグネシウムを補給するに当り、たとえば塩化マグネシウムのみを溶融塩浴に送り込んで供給する場合、供給される塩化マグネシウムは溶融状態、すなわち融点以上の高温である。ここで、このような高温の塩化マグネシウムを一度にある程度多い量で溶融塩浴に供給すると、高温の塩化マグネシウムの多量の供給に起因して、溶融塩浴の温度が短時間のうちに大きく上昇する。このことは、溶融塩浴中で塩化マグネシウムの電気分解によって一旦生成した金属マグネシウムが、塩化マグネシウムに戻る再反応を引き起こしやすくするので、それにより電流効率を低下させると考えられる。
【0036】
これに対処するため、この実施形態では、溶融塩浴の温度が670℃以下に維持されるように、溶融塩浴に塩化マグネシウムを複数回にわたって間欠的に供給する間欠供給工程を行い、溶融塩浴に塩化マグネシウムを供給する。この明細書及び特許請求の範囲で「溶融塩浴の温度」というときは、図示のような回収室2bを有する電解槽1を用いた場合、回収室2b内における溶融塩浴の温度を意味する。塩化マグネシウムは、多くの場合、回収室2b内に供給する。
【0037】
このように比較的少量の塩化マグネシウムを複数回に分けて間欠的に供給することにより、一度に多量の塩化マグネシウムを供給する場合に比して、溶融塩浴の温度が大きく上昇することを防止することができる。他方、溶融塩浴中の塩化マグネシウム不足も回避できるので、金属マグネシウムの生成効率低下を抑制できる。そして、溶融塩浴の温度が670℃以下に維持されるようにすれば、上述した再反応が抑えられて、電流効率の低下を抑制することができる。その結果として、金属マグネシウムの製造コストの低減を実現することが可能になる。
またここでは、先述の特許文献2のような「浴抽出工程」や「混合物生成工程」を行うことを要しないので、溶融塩浴に塩化マグネシウムを容易に補給することができる。
【0038】
間欠供給工程で溶融塩浴の温度が670℃を超えると、その際に金属マグネシウムが塩化マグネシウムになる再反応が起こりやすくなり、所期したように電流効率の低下を抑制することが困難になる。一方、溶融塩浴中の金属マグネシウムの凝固を防止するため、多くの場合、溶融塩浴の温度は、金属マグネシウムの融点である651℃以上に設定される。このため、間欠供給工程では、溶融塩浴の温度を651℃~670℃の範囲内に維持することが好ましい。特に間欠供給工程で溶融塩浴の温度を665℃以下に維持することが好適である。この場合、電流効率の低下をさらに良好に抑制することができる。
なお、実際の操業においては溶融塩浴の温度はある程度変動し得るので、仮に一時的に上記の温度の下限値を下回ったり又は上限値を上回ったりすることがあったとしても、そのときから10分以内に当該下限値以上又は上限値以下の温度に戻っていれば、当該下限値以上又は上限値以下の温度に維持されているとみなすものとする。
【0039】
また、間欠供給工程では、溶融塩浴での塩化マグネシウムの電気分解や、溶融塩浴への塩化マグネシウムの供給等により、溶融塩浴中の塩化マグネシウム濃度が変動し得る。これに対し、電流効率の低下を抑制するとの観点からは、間欠供給工程での塩化マグネシウム濃度の変動をできる限り小さく抑えることが望ましい。より詳細には、間欠供給工程では、溶融塩浴中の塩化マグネシウム濃度を、好ましくは14質量%~24質量%の範囲内、より好ましくは17質量%~19質量%に維持する。溶融塩浴中の塩化マグネシウム濃度が上昇しすぎないようにすることにより、溶融塩浴で塩化マグネシウム中に溶解した金属マグネシウムと塩素との再反応を抑制することができる。また、溶融塩浴中の塩化マグネシウム濃度が低下しすぎないようにすることにより、単位時間あたりの金属マグネシウムの生成量低下を抑制できる。
【0040】
間欠供給工程では、具体的には、一回当たりの塩化マグネシウムの供給量を質量比で、当該間欠供給工程での塩化マグネシウムの総供給量の1%~5%とすることが好ましい。また、塩化マグネシウムを間欠的に供給する際における時間間隔は、5分~60分とすることが好適である。このように供給量及び時間間隔を調整することにより、溶融塩浴の温度を上述したような低温に維持しやすくなり、また塩化マグネシウム濃度の急な変動も抑えられる。なお、一回当たりの塩化マグネシウムの供給量をある程度多くし、また時間間隔を比較的短くすると、金属マグネシウムの生産性を高めることができる。
【0041】
間欠供給工程では、塩化マグネシウムを供給するに当って、溶融塩浴に、塩化マグネシウム濃度が95質量%以上である溶融塩を送り込むことが好ましい。これにより、作業負荷の大きい追加操作なくして塩化マグネシウムの濃度変動を精度よくコントロールできる。溶融塩浴に供給しようとする溶融塩中の塩化マグネシウム濃度は、典型的には97質量%以上、さらに99質量%以上、特に100質量%である場合がある。ここでいう塩化マグネシウム濃度は、溶融塩中に不可避的に混入する不純物を含めずに求められる濃度である。
【0042】
なお、間欠供給工程では、塩化マグネシウムの供給等に伴って溶融塩浴の浴面Lbの高さが変動し得るが、上述したような塩化マグネシウムの間欠的な供給により、溶融塩浴の浴面Lbの高さを、当該間欠供給工程の開始から終了にかけて徐々に増大させることができる。たとえば、時間の経過に伴う浴面高さの変化を表すグラフで、塩化マグネシウムの各供給の直後の浴面高さの点(極大点)を結んだ直線が右上がりであれば、浴面Lbの高さが徐々に増大しているといえる。
【0043】
(金属回収工程)
間欠供給工程の後は、電解室2aでの塩化マグネシウムの電気分解により生成されて回収室2bで浴面Lb側に浮上した金属マグネシウムを回収する金属回収工程を行うことができる。
【0044】
金属回収工程では、ポンプ等で電解槽1から回収される金属マグネシウムの流動性を高めるため、金属マグネシウムを回収する前に、たとえば一回である程度多量の塩化マグネシウムを溶融塩浴に供給することにより、溶融塩浴の温度を700℃以上に上昇させることが好適である。金属マグネシウムを回収している間に、溶融塩浴の温度が、このような700℃以上の高温になっていればよい。これにより、金属マグネシウムの回収に用いるパイプでの金属マグネシウムの詰まりを良好に抑制することができる。溶融塩浴の温度を700℃以上の高温とすると電流効率は低下することがあるが、上述したように間欠供給工程で溶融塩浴が低温に維持されながら塩化マグネシウムが供給されたことにより、電解過程の全体として電流効率の低下が抑えられることになる。なお、金属マグネシウムを回収するに先立つ溶融塩浴への塩化マグネシウムの供給で、溶融塩浴の温度は、たとえば720℃以下、典型的には710℃以下にする場合がある。この溶融塩浴の温度は、先述したように、図示の電解槽1では回収室2b内の溶融塩浴の温度である。
【0045】
金属回収工程で金属マグネシウムを回収するに先立って、溶融塩浴に塩化マグネシウムを供給する場合、金属回収工程での当該塩化マグネシウムの供給量Seの、上述した間欠供給工程での一回当たりの塩化マグネシウムの供給量Srに対する質量比(Se/Sr)は、4倍以上とすることが好ましい。塩化マグネシウムの供給時には低温に維持して電流効率の低下を抑制する一方で、金属マグネシウムの回収時には一時的に高温にしてその流動性を高めるためである。このような観点から、上述した質量比(Se/Sr)は、8倍以上、4倍~15倍、さらに8倍~15倍とすることがより一層好ましい。
【0046】
(供給停止工程)
金属回収工程で金属マグネシウムを回収した後、電気分解は継続したまま、溶融塩浴に塩化マグネシウムを供給しない供給停止工程を行うことが好適である。
【0047】
供給停止工程を行うと、溶融塩浴に塩化マグネシウムを供給されない状態で、電気分解により塩化マグネシウムが消費される。そのため、上記の金属回収工程で金属マグネシウムの回収前に塩化マグネシウムを比較的多く供給したことによって高くなった溶融塩浴中の塩化マグネシウム濃度を、供給停止工程で緩やかに低下させて上記再反応が起こりにくい塩化マグネシウム濃度に戻すことができる。これにより、溶融塩浴中の塩化マグネシウムが高濃度であることに起因して電流効率が低下する期間を短くすることができる。その結果として、電流効率の更なる向上を図ることができる。
【0048】
供給停止工程は、溶融塩浴中の塩化マグネシウム濃度を17質量%~19質量%の範囲内になるまで継続する(つまり塩化マグネシウムの供給を停止する)ことが好適である。供給停止工程での溶融塩浴中の塩化マグネシウム濃度の目標値は、好ましくは17質量%~19質量%、特に好ましくは18%程度である。溶融塩浴中の塩化マグネシウム濃度がこのように低下した後、供給停止工程を終了することができる。
【0049】
(電解過程)
電解過程は、電解槽1内の溶融塩浴にて塩化マグネシウムの電気分解を継続しながら、上述した間欠供給工程を行うことが含まれ得る。電解過程は一例として、当該電気分解を継続しながら、間欠供給工程、金属回収工程及び供給停止工程をこの順序で行うことが含まれてよい。電解過程は、間欠供給工程、金属回収工程及び供給停止工程の少なくとも三つの工程を1サイクルとして繰り返し行うことができる。
【0050】
(塩化マグネシウム供給装置)
以上に述べた溶融塩電解における間欠供給工程や金属回収工程では、図1に例示するような塩化マグネシウム供給装置11を用いて、溶融塩浴に塩化マグネシウムを供給することが好ましい。
【0051】
塩化マグネシウム供給装置11は、塩化マグネシウムの電気分解を行う電解槽1内に塩化マグネシウムを供給するものである。図1に示す塩化マグネシウム供給装置11は、塩化マグネシウムを貯留する貯留槽12と、貯留槽12内と電解槽1内とを連結する供給管13と、貯留槽12内の圧力を調整することが可能な圧力調整器14とを備える。貯留槽12は、塩化マグネシウムが、たとえば間欠供給工程で電解槽1内の溶融塩浴に供給される程度の量以上で貯留され得る密閉可能な密閉容器形状を有するものとすることができる。
【0052】
ここで、図1の塩化マグネシウム供給装置11では、供給管13の一端部13aは、貯留槽12内の塩化マグネシウムに浸漬して位置させているが、その他端部13bは、電解槽1内の溶融塩浴の浴面Lbよりも上方側に位置させている。この場合において、圧力調整器14により貯留槽12の内部空間を加圧すると、当該内部空間での圧力の上昇に応じて、貯留槽12内の所定の量の塩化マグネシウムが供給管13を経て、電解槽1内の溶融塩浴に送られる。ここでは、圧力調整器14によって電解槽1内の溶融塩浴への塩化マグネシウムの供給量を調整することができる。
【0053】
あるいは、供給管13の他端部13bは、図3に示すように、電解槽1内の溶融塩浴中に浸漬させて配置することもできる。この場合、貯留槽12内の塩化マグネシウムの液面が、電解槽1内の溶融塩浴の浴面Lbよりも高い位置にあり、供給管13内が塩化マグネシウムで満たされているときは、圧力調整器14による加圧をしなくても、いわゆるサイホンの原理に基づいて塩化マグネシウムが貯留槽12から電解槽1へと送られて供給される。当該供給量の調整や当該供給の停止をするには、たとえば、図3に示すように供給管13に接続されて供給管13内の圧力を調整可能な圧力調整器15を用いることができる。この圧力調整器15は、供給管13に対するアルゴンガス等の気体の供給・吸引により、供給管13の圧力を調整するものである。溶融塩浴に塩化マグネシウムを供給しないときは、アルゴンガス等を供給管13に充填しておくことにより、塩化マグネシウムの融点よりも低い温度に維持されることが多い溶融塩浴の温度で、塩化マグネシウムが供給管13内で固化することを抑制することができる。なお、常にサイホンの原理に基づいて塩化マグネシウムを供給する場合、貯留槽12内の圧力を調整するための圧力調整器14は省略してもよい。
【0054】
回収室2bの浴面Lb付近に溜まる金属マグネシウムが、貯留槽12からの塩化マグネシウムの供給によって攪拌されてしまうことを抑制するとの観点からは、図3に示すように、供給管13の他端部13bを、電解槽1内の溶融塩浴中に浸漬させて位置させることが好適である。
【0055】
このような塩化マグネシウム供給装置11を用いることにより、特に間欠供給工程における溶融塩浴への塩化マグネシウムの間欠的な供給を極めて容易に行い得るようになる。そのため、塩化マグネシウムの供給の作業性を飛躍的に向上させることができる。
【実施例
【0056】
次に、この発明の溶融塩電解方法を試験的に実施し、その効果を確認したので以下に説明する。但し、ここでの説明は単なる例示を目的とするものであり、それに限定されることを意図するものではない。
【0057】
図1に示すような電解槽を用いて、当該電解槽内の溶融塩浴で塩化マグネシウムの電気分解を行い、金属マグネシウムの生成を行った。この電解槽としては、内壁がAl23の含有率が95%以上の煉瓦からなり、電解室が2m3、回収室が1m3であるものを用いた。電解室には、黒鉛製の陽極及び陰極を設置し、前記陽極と陰極の間には二枚のバイポーラ電極を配置した。その結果、図2に示すような断面視にて陽極となる面と陰極となる面がそれぞれ3であり、すなわち電気分解回数NはN=3とした。溶融塩浴の浴組成については、MgCl2、CaCl2、NaCl、MgF2がそれぞれ質量比で20%、30%、49%、1%からなる溶融塩とし、電流密度0.48A/cm2で通電し、1週間の期間にわたって運転を行った。理論金属マグネシウム生産量は21.8kg/h、理論塩化マグネシウム消費量は85.4kg/hである。
【0058】
実施例1~4では、表1に示すように、溶融塩浴に塩化マグネシウムを供給する際に、溶融塩浴が670℃以下に維持されるように、塩化マグネシウムを複数回にわたって所定の時間をおいて間欠的に供給した。一方、比較例1~3では、供給時に塩化マグネシウムを複数回に分けて供給したものの、670℃を超えることがあった。比較例1および3は実施例1~4および比較例2に対して間欠供給工程においては電解槽の溶融塩浴温度が変化しやすい条件とし、他方、金属回収工程では実施例1~4および比較例2と同等の溶融塩浴温度制御条件とした。
なお、いずれの実施例1~4及び比較例1~3でも、塩化マグネシウムの供給工程の後、金属マグネシウムの回収工程及び供給停止工程を順次に行った。金属マグネシウムの回収工程では、表1に示すように、回収直前に塩化マグネシウムを供給して溶融塩浴の温度を上昇させた。これにより、実施例1~4及び比較例1~3では金属マグネシウムの回収作業において金属マグネシウムの固化に基づく作業中断は発生しなかった。塩化マグネシウムの供給工程及び金属マグネシウムの回収工程では、塩化マグネシウム濃度が100質量%(不可避的不純物の含有量は含まない。)である溶融塩を送り込んで、溶融塩浴に塩化マグネシウムを供給した。供給停止工程では、溶融塩浴中の塩化マグネシウム濃度が18質量%になるまで一定の期間、塩化マグネシウムを供給しなかった。
【0059】
【表1】
【0060】
その結果、実施例1~4では、塩化マグネシウムの供給時に溶融塩浴の温度が比較的低温に維持されたことにより、表1に示すように、比較例1~3に比して電流効率が向上した。なかでも実施例2及び3は、塩化マグネシウムを供給する際に溶融塩浴中の塩化マグネシウム濃度が所定の範囲内であったことから、特に電流効率が向上したことが解かる。
【0061】
なお表1中、電流効率は、以下の式により算出したものであり、比較例1の電流効率を100とし、実施例1~4並びに比較例2及び3を比較例1の電流効率に対する相対値で示したものである。
電流効率=電解槽から回収した金属マグネシウム質量/理論金属マグネシウム生産量
理論金属マグネシウム生産量は、ファラデーの法則から求める金属の理論生成量であり、以下の式により算出する。
理論金属マグネシウム生産量=((電流(A)×通電時間(秒))/(マグネシウムイオンの電荷数n×ファラデー定数F))×(電気分解回数N)×マグネシウムの原子量
【0062】
以上より、この発明によれば、電流効率の低下を良好に抑制できることが解かった。
【符号の説明】
【0063】
1 電解槽
2a 電解室
2b 回収室
3 電極
3a 陽極
3b 陰極
3c バイポーラ電極
3d 絶縁部材
4 隔壁
4a 溶融塩循環路
4b 溶融金属流路
11 塩化マグネシウム供給装置
12 貯留槽
13 供給管
13a 一端部
13b 他端部
14、15 圧力調整器
Lb 溶融塩浴の浴面
図1
図2
図3