(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0482 20130101AFI20240325BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240325BHJP
【FI】
G06F3/0482
G03G21/00 386
(21)【出願番号】P 2020146922
(22)【出願日】2020-09-01
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】森岡 宏仁
【審査官】安田 明央
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-033553(JP,A)
【文献】特開2004-070734(JP,A)
【文献】特開2013-033499(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0064050(US,A1)
【文献】特開2007-298694(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/048-3/04895
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
数値を入力する数値入力手段を備える情報処理装置であって、
操作画面上に数値入力手段を表示する表示手段と、
前記操作画面に対する前記数値入力手段の物理的な表示サイズに基づき、前記数値入力手段の数値入力方式を選択する数値入力方式制御手段とを備え
、
前記数値入力方式制御手段は、それぞれ異なる表示サイズの操作画面を有する各種の機器の操作画面上における数値入力手段の表示可能なサイズに応じて前記数値入力手段の数値入力方式を選択することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記数値入力方式制御手段は、前記数値入力手段に入力可能な数値の選択肢に制限がある場合、その選択肢の個数に応じて数値の入力方式を選択することを特徴とする請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
数値入力方式制御手段は、操作画面の物理的な表示サイズと選択肢の個数に応じて数値の入力方式を選択することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
数値を入力する数値入力手段を操作画面上に表示する情報処理装置の制御方法であって、
前記操作画面に対する前記数値入力手段の物理的な表示サイズを取得するステップと、
取得した表示サイズに基づき、前記数値入力手段の数値入力方式を選択する数値入力方式制御ステップとを有
し、
前記数値入力方式制御ステップは、それぞれ異なる表示サイズの操作画面を有する各種の機器の操作画面上における数値入力手段の表示可能なサイズに応じて前記数値入力手段の数値入力方式を選択することを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項5】
請求項
4記載の情報処理装置の制御方法の各ステップを実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作部において適切な選択肢から数値を入力する機能を持つ情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置において、出力プリントにはJISのA4やB5等の一般的なサイズ以外の様々なサイズが要求される。
【0003】
そのため、ユーザーが画像形成装置に出力サイズを入力する際には、分数で入力したい、あるいは分数で入力しなければならない場合がある。例えば、一般にインチ系の定形用紙サイズにおいては、小数点以下の値は分数で表現される。
【0004】
利用者はこれらの用紙サイズを分数で記憶しているので、小数点以下を10進数の数値で入力するのは容易ではない。
【0005】
また、分数を小数で直接入力する場合は、指定できない分数に相当する数値を誤って入力してしまう可能性や、無限小数の入力誤差をどのように扱うかに困る等という問題も生じる。
【0006】
このように、サイズを入力する際に分数形式で入力したい場合は少なくない。
一般に分数を入力する場合は”/”記号を使用するが、8.5(inch)であれば「8 1/2」のように整数部と分子を区切る必要があるので間にスペースや"."(ピリオド)等の定められた区切り記号を入力する仕組みにするか、あるいは、整数部と分数部を別々に入力するUI(ユーザーインターフェース)を提供することになる。これらはいずれも操作が煩雑になる。
【0007】
入力可能な分数値の組み合わせが限られている場合は、選択肢から1つを選択するための一般的な手法を用いることができる。
【0008】
図17は、画像形成装置において、入力画面に表示される操作部によって、用紙サイズを整数部と分数部が一体の数値で入力するものの例を示す。
【0009】
図17に示すように、操作部の数値入力パネル部(k101)において、数値設定のための設定値表示部k103には、横サイズ(X)と縦サイズ(Y)の数値が整数と分数値が一体で表示されており、それに隣接して、アップ(上向き三角)とダウン(上向き三角)の操作ボタンk102が配置される。
【0010】
数値設定の一般的な手法の1つは、「アップ/ダウンボタン方式」である。
図17の例で説明すれば、「アップ/ダウンボタン方式」では、アップとダウンの操作ボタンk102を操作して設定値表示部k103内の選択肢の数値を小から大へアップ、又は逆にダウンさせて所望の数値項目を選択する。
【0011】
他に、入力部をタップすると選択肢のリストが表示されて、そこから選択する「ドロップダウンリスト」や「プルダウンメニュー」、「セレクトボックス」などと呼ばれる手法がある。
【0012】
あるいは、予めすべての選択肢を画面上に表示しておき、いずれかを選択させる「ラジオボタン」と呼ばれる手法や、表示されている選択肢をスライドするノブで選択する「スライダー」と呼ばれる手法などが用いられる。
【0013】
一般的なインチ系サイズを手入力させる操作部においては、以上のいずれかの手法が採用されている。
【0014】
必要な分子/分母の組み合わせが限られている場合は、すべての選択肢を入力画面上に提示してそこから選択させるようにすれば何が選択できるかすぐに理解できるし、選択も容易である。
【0015】
例えば各種情報を表示する表示部と、数値情報を入力するテンキーを備え、分数を伴う設定値をテンキーで入力するようにし、分数の分子に対応する数値情報が入力されると、数値情報に分子の数値として分数記号とともに表示部に表示するようにした画像形成装置が開示されている(特許文献1参照)。
【0016】
また、整数部を一般的な電卓を模した10キー(テンキー)で入力し、分数部のみをスライダーで選択する入力方法が実現されているが、この方法の場合、画面上に表示される操作部が小さいとスライダー操作がしづらいという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
情報処理装置において、操作部を表示する操作画面には様々なサイズが有るが、画面の大きさに応じて数値入力の方法を適切に選択する技術は提案されていなかった。
【0019】
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたものであり、様々なサイズの操作画面において選択肢が見やすく入力操作が容易な入力手法を選択できる情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、数値を入力する数値入力手段を備える情報処理装置であって、操作画面上に数値入力手段を表示する表示手段と、前記操作画面に対する前記数値入力手段の物理的な表示サイズに基づき、前記数値入力手段の数値入力方式を選択する数値入力方式制御手段とを備えたことを特徴とする情報処理装置である。
本発明は、数値を入力する数値入力手段を操作画面上に表示する情報処理装置の制御方法であって、前記操作画面に対する前記数値入力手段の物理的な表示サイズを取得するステップと、取得した表示サイズに基づき、前記数値入力手段の数値入力方式を選択する数値入力方式制御ステップとを有することを特徴とする情報処理装置の制御方法である。
本発明は、前記情報処理装置の制御方法の各ステップを実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0021】
本発明の情報処理装置によれば、数値入力制御手段が操作画面に対する前記数値入力手段の物理的な表示サイズに基づき、前記数値入力手段の数値入力方式を選択するので、様々なサイズの操作画面において、前記数値入力手段の最適な数値入力方式を提供することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施形態に係る情報処理装置を適用した画像形成装置の説明図である。
【
図3】第1実施形態に係る表示部に表示された数値入力パネル部(数値入力手段)の説明図であり、(a)が方式A、(b)が方式Bの初期状態、(c)が方式Bの開状態、(d)が一例の表示部の画面に対する数値入力パネル部、(e)が他例の表示部の画面に対する数値入力パネル部の図である。
【
図4】第1実施形態に係る表示部における方式Aの入力説明図であって、(a)が原稿サイズ入力画面の説明図、(b)が表示された数値入力パネル部の説明図である。
【
図5】
図4に続く入力説明図であって、(a)が分数が選択された数値入力パネル部の表示状態の説明図、(b)が数値入力パネル部の入力値の確定についての説明図である。
【
図6】第1実施形態に係る表示部における方式Bの入力説明図であって、(a)が原稿サイズ入力画面の説明図、(b)が表示された数値入力パネル部の説明図である。
【
図7】
図6に続く入力説明図であって、(a)分数値入力部が選択された数値入力パネル部の表示状態の説明図、(b)が数値入力パネル部の入力値の設定についての説明図である。
【
図8】第1実施形態の入力方式の切り替え手順についてのフローチャートである。
【
図9】第2実施形態に係る表示部における指定範囲消去機能を方式Bで設定する場合の表示部の説明図であり、(a)が指定範囲消去機能を選択した表示部の表示画面、(b)が始点Xの設定部をタップした状態の数値入力パネル部の表示状態を示す。
【
図10】
図9に続く入力説明図であり、(a)が選択肢リストがポップアップした状態、(b)が選択された分数が分数入力部に設定された状態を示す。
【
図11】
図10に続く入力説明図であり、(a)が始点Xの設定状態、(b)が指定範囲消去機能の設定完了の説明図である。
【
図12】設定項目ごとに入力方式を切り替えるアルゴリズムの説明図である。
【
図13】第3実施形態に係る表示部におけるとじしろ設定の説明図であり、(a)設定画面の表示例、(b)が数値入力パネル部の表示状態例である。
【
図14】(a)が
図14に続いて、スライダーで選択した値が設定表示部に表示された状態の説明図、(b)が設定の完了の説明図である。
【
図15】選択肢の数によって設定項目の入力方式を切り替える手順のフローチャートである。
【
図16】セレクトボックス型の選択肢の表示についての他の実施例の説明図である。
【
図17】整数部と分数部が一体の数値で入力する数値入力パネル部の一般的な例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0024】
まず、実施形態に係る画像形成装置10の構成について説明する。
画像形成装置10は、
図1に示すように、画像形成装置10の上部に原稿読取部112を備えて原稿の画像を読取り、電子写真方式により画像を出力する情報処理装置である。
【0025】
画像形成装置10は、
図2に示すように、主に、制御部100と、画像入力部110と、原稿読取部112と、画像処理部120と、画像形成部130と、操作部140と、表示部150と、記憶部160と、通信部170とを備えている。
【0026】
制御部100は、画像形成装置10の全体を制御するための機能部である。
そして、制御部100は、各種プログラムを読み出して実行することにより各種機能を実現しており、例えば1又は複数の演算装置(例えば、CPU(Central Processing Unit))等により構成されている。
【0027】
画像入力部110は、画像形成装置10に入力される画像データを読み取るための機能部である。そして、画像入力部110は、原稿の画像を読み取る機能部である原稿読取部112と接続され、原稿読取部112から出力される画像データを入力する。
【0028】
また、画像入力部110は、USBメモリや、SDカード等の記憶媒体から画像データを入力してもよい。また、他の端末装置と接続を行う通信部170により、他の端末装置から画像データを入力してもよい。
【0029】
原稿読取部112は、コンタクトガラス(不図示)に載置された原稿を光学的に読み取り、画像形成部130へスキャンデータを渡す機能を有する。
【0030】
画像処理部120は、画像データに基づく出力データを記録媒体(例えば記録用紙)に形成するための機能部である。例えば、
図1に示すように、給紙トレイ122から記録用紙を給紙し、画像処理部120において記録用紙の表面に画像が形成された後に排紙トレイ124から排紙される。画像処理部120は、例えば電子写真方式を利用したレーザプリンタ等により構成されている。
【0031】
画像形成部130は、原稿読取部112で読み込まれた画像データに基づき、設定されたファイル形式(TIFF,GIF,JPEG等)に変換する機能を有する。そして、画像処理が施された画像データに基づき出力画像を形成する。
【0032】
操作部140は、ユーザーによる操作指示を受け付けるための機能部であり、各種キースイッチや、接触による入力を検出する装置等により構成されている。ユーザーは、操作部140を介して、使用する機能や出力条件を入力する。
【0033】
表示部150は、ユーザーに各種情報を表示するための機能部であり、例えばLCD(Liquid crystal display)等により構成されている。
【0034】
すなわち、操作部140は、画像形成装置10を操作するためのユーザーインターフェースを提供し、表示部150には、画像形成装置の各種設定メニュー画面やメッセージが表示される。
【0035】
画像形成装置10において、
図1に示すように、操作部140は、接触による入力を検出する装置として数値を入力する数値入力手段としての数値入力パネル部141を有したものである。
【0036】
画像形成装置10は、操作部140と、表示部150とが一体に構成されているタッチパネルを備えている。表示部150上に操作画面が表示され、操作部140の操作可能領域は表示部150の画面サイズに左右される。
【0037】
この場合において、タッチパネルの入力を検出する方式は、例えば、抵抗膜方式、赤外線方式、電磁誘導方式、静電容量方式といった、一般的な検出方式であればよい。タッチの検出は、押圧、接触あるいは近接いずれかで検出する方式を採用可能である。
【0038】
記憶部160は、画像形成装置10の動作に必要な制御プログラムを含む各種プログラムや、読み取りデータを含む各種データやユーザー情報が記憶されている機能部である。記憶部160は、例えば、不揮発性のROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等により構成されている。また、半導体メモリであるSSD(Solid State Drive)を備えてもよい。
【0039】
通信部170は、外部の装置と通信接続を行う。通信部170としてデータの送受信に用いられる通信インターフェース(通信I/F)が設けられている。通信I/Fにより、画像形成装置10でのユーザーによる操作によって、画像形成装置10の記憶部に格納されるデータを、ネットワークを介して接続される他のコンピュータ装置へ送受信することができる。
【0040】
実施形態の画像形成装置には、表示領域に応じて異なる方式で数値を入力する数値入力手段の数値入力パネル部141を備える情報処理装置を有する。
【0041】
図2に示すように、情報処理装置(A)は、操作部140のうちの数値入力手段の数値入力パネル部141と、画面上に数値入力パネル部141を表示する表示部150と、表示部150の画面に対する数値入力パネル部141の物理的な表示サイズに基づき、数値入力パネル部141の数値入力方式を選択する数値入力方式制御手段180(制御部100)とを備えている。
【0042】
また、情報処理装置は、それぞれ異なる表示サイズの表示部150を有する各種の機器に情報処理装置を適用する場合、数値入力方式制御手段180は、表示部150の画面上において操作部140の数値入力パネル部141を表示可能なサイズに応じて数値入力パネル部141の数値入力方式を選択するものである。
【0043】
以下、実施形態に係る情報処理装置を詳細に説明する。
ここでは、情報処理装置にて入力する数値として、分数値を扱う例としてインチ単位で長さを入力するケースを取り上げる。
【0044】
以下の説明では、帯分数「8と1/2」は「8 1/2」と表記する。
プリンタやスキャナでは用紙のサイズを指定し、あるいは、余白や画像の領域を指定する場合がある。
【0045】
米国のようにインチ単位系を用いている国や地域では、一般に用紙の基本単位や長さの指定もインチ系が用いられる。
【0046】
整数値で表現できない定形紙の例としては次のような用紙がある。
エグゼクティブ Executive(EXEC) 7 1/4 × 10 1/2、
メキシカンリーガル 8 1/2x13 2/5 (8.5 × 13.4)。
【0047】
新聞判型には、
タブロイド判(Tabloid) 11 1/4 × 15 3/4、
ベルリナー判(Berliner)12 3/8 × 18 1/2 のように
3/4、3/8 で表現するサイズも存在する。
3/8 は小数で表すと 0.375 となるので、明らかに分数のほうが直観的で分かりやすい。
【0048】
これらのよくある分数値を候補から選択する形式とする場合は、1/8単位で8つの値
「0, 1/8, 1/4, 3/8, 1/2, 5/8, 3/4, 7/8」
を入力できるようにすれば、大抵の値を簡便に入力することができる。
【0049】
もちろん、用途や目的に応じて、1/10単位や1/4単位で選択できるようにしてもよいし、各数値が等間隔でなくてもよい。例えば、メキシカンリーガルの「2/5」が必要であれば、これを追加すればよい。
【0050】
なお、ここでは用紙の長さに関する例で説明しているが、実施形態は、用紙サイズに限定したものではない。小数以下の値の入力を分数で行いたい場合であれば、他の種類の長さや長さ以外の単位に対しても適用できる。
【0051】
以下では具体的なサイズ入力方法について例を挙げて説明する。
【0052】
分数値を入力する例として、長さや幅あるいは座標位置をインチ単位系で入力する際に小数以下の値を入力する機能で説明する。
【0053】
2つの数値入力パネル入力方式(方式A、方式B)を切り替えて使い分ける具体的な例として、次の3つの実施形態を挙げる。
【0054】
・第1実施形態:画面サイズの大小による使い分け
画面大(10(inch))→方式A(スライダー型):原稿サイズ入力 (
図4、
図5)
画面小(7(inch))→方式B(セレクトボックス型):原稿サイズ入力 (
図6、
図7)
【0055】
・第2実施形態:各機能において入力操作に利用できるスペースの大小による使い分け
表示領域の広い機能→方式A:原稿サイズ入力 (
図4、
図5)
表示領域の狭い機能→方式B:指定範囲消去 (
図9~
図11)
【0056】
・第3実施形態:設定項目の選択肢数の多少による使い分け
選択肢が少ない→方式A:とじしろ (
図13、
図14)
選択肢が多い →方式B:指定範囲消去 (
図9~
図11)
【0057】
まず、分数値入力の2つの方式(方式A、方式B)についてそれぞれの特徴を説明する。
【0058】
〔方式A〕:スライダー型(
図3(a)等参照)を例とする。
方式Aは、最初からすべての選択肢が一覧できるように操作部に表示されており、ワンタッチで所望の値が選択できる入力方式である。
【0059】
一般には、方式Aには、スライダー、ラジオボタン、リストボックスなどと呼ばれる形式が含まれる。この形式では、選択肢が多いほど大きな表示領域が必要になる。
【0060】
実施形態では、方式Aについて、この形式の中から、一例として
図3(a)に示すように、「スライダー型」で説明する。「スライダー型」は、以下のメリットがある。
・直接ワンタッチで操作できる(後述する方式Bだと、選択肢リストを表示させるためのタッチ操作が1回余分に必要になる。)。
・どのような選択肢があるか最初から把握できる(リストがポップアップする方式だとリストを表示するまで内容が分からない。)
【0061】
〔方式B〕:セレクトボックス型 (
図3(b)、
図3(c)等参照)を例とする。
方式Bは、現在の値が表示されており、タップ等で入力状態に遷移すると、入力用の選択肢が一時的に画面に出現する入力方式である。
【0062】
方式Bは、出現する入力部のサイズとエリアは元の入力部の表示エリアのサイズと位置の制約は受けない。
一般には、方式Bには、プルダウンメニュー、ドロップダウンリスト、セレクトボックスなどと呼ばれる方式が含まれる。実施形態では、方式Bを「セレクトボックス」と呼ぶことにする。
【0063】
方式Bには、操作画面に最小限の表示領域があれば配置できるメリットがある。
・操作時以外は場所を占有しないので狭い操作画面に対応できるメリットもある。
【0064】
〔実施形態に係る数値入力パネル部141の方式A、方式Bの特徴について〕
図3(a)は、方式Aとして、スライダー型を採用した数値入力パネル部141の一例である。
【0065】
小数値の入力は、スライダー部(a101)のノブ(a102)をドラッグして移動させることで値の選択を行う。
【0066】
このような分数値スライダー部を組み込んだ数値入力パネル部141を構成するためには、数値入力パネル部141に十分なスペースが必要になる。
【0067】
図3(b)、(c)は、方式Bとして、セレクトボックス型を採用した数値入力パネル部141の一例である。
【0068】
数値入力パネル部141の初期状態は
図3(b)に示すように、分数値設定項目(b101)が表示されておりセレクトボックス部(b102)は表示されていない。
【0069】
小数値の入力は、
図3(b)に示す分数値設定項目(b101)をタップすることで、
図3(c)に示すセレクトボックス部(b102)を画面上に呼び出し(ポップアップし)、セレクトボックス部(b102)内のいずれかの値をタップして分数を選択することで行う。
【0070】
図3(c)に示すように、セレクトボックス部(b102)の分数値の選択肢が操作画面上にポップアップする方式であれば、数値入力パネル部141内に分数値入力の選択肢を確保しなくてよいので、数値入力パネル部141のサイズを小さくすることができる。あるいは逆に、数値入力パネル部141のサイズに因われずにポップアップ部を操作しやすい十分な大きさにすることもできる。
【0071】
〔第1実施形態〕
第1実施形態について説明する。
表示部150の画面サイズの大小による数値入力パネル部141の方式A、方式Bの使い分け(10(inch)、7(inch)の操作画面における原稿サイズ入力)を説明する。
【0072】
例えば、
図3(d)に示すように、10(inch)の操作画面(表示部150)を具えた機器と、
図3(e)に示すように7(inch)の操作画面(表示部150)を具えた2種類の機器で同じ機能の操作を同じレイアウトの画面(数値入力パネル部141)で提供する場合を考える。
【0073】
10(inch)の操作画面に表示する数値入力パネル部141のデザインを、7(inch)の操作画面に縮小して表示すると、7(inch)画面上で数値入力パネル部141のボタンが小さくなって操作性が落ちる。
【0074】
図3(a)のスライダー部(a101)は他のボタンよりもタッチ領域が小さい。10(inch)の操作画面で最低限の操作性が確保できるサイズだとすれば、7(inch)の操作画面でのタッチ領域の物理的なサイズは正確な操作が困難なサイズになってしまう。
【0075】
そこで、
図3(d)に示すように、10(inch)の操作画面では,数値入力パネル部141には、操作性のよいスライダー型の入力方式(方式A)(スライダー部(a101))を提供するが、
図3(e)に示すように、7(inch)の操作画面では、数値入力パネル部141には、セレクトボックス型(方式B)(b102)の入力方式を提供し、ポップアップする選択肢の個々のボタンサイズを十分操作可能な大きさにすることで正確な操作を可能とする。
【0076】
〔方式A(スライダー型)の設定操作手順例(
図4~
図5)〕
「原稿サイズ入力」(Original - Direct Entry)のために設定画面(原稿サイズ入力画面151)を例にあげて基本的な操作を説明する。
【0077】
「原稿サイズ入力」はコピー原稿のサイズを手動で設定するための機能である。
【0078】
横(X)と縦(Y)の2つの長さをミリメートル(mm)やインチ(inch)単位で指定する。
【0079】
横(X)と縦(Y)の設定方法は同じであるので、ここでは横(X)の長さとして、初期値「11(inch)」を「11 3/4(inch)」に変更する場合の手順を
図4~
図5を用いて説明する。
【0080】
図4(a)に示すように、表示部150に表示される、原稿サイズ入力画面151において、横(X)の設定項目(c101)をタップすると、
図4(b)に示すように、設定画面上に数値入力パネル部141(c102)が表示される。
【0081】
図4(b)に示すように、現在の設定値は数値入力パネル部141上部の設定値表示部(c103)に表示される。この例では初期値として整数部に「11」が設定されている。
【0082】
整数値の入力が必要な場合は10キー(テンキー)部(c104)で入力するが、この例では整数部の変更は不要なので操作しない。なお、整数部と分数部はどちらから操作してもよい。
【0083】
分数部は数値入力パネル部141内の右側にあるスライダー部(c105)のノブ(c106)を、値がゼロであることを表す「---」からドラッグして「3/4」の位置で離す。あるいはドラッグ操作の代わりに直接「3/4」の位置をタップしてもよい。
【0084】
すると、スライダー上で「3/4」が選択されるとともに、上部の設定値表示部(c103)の分数部に「3/4」が表示される(
図5(a))。数値入力パネル部141の「OK」ボタン(c107)を押下してその数値入力パネル部141を閉じて入力値を確定させる。これで原稿の横(X)サイズとして「11 3/4」が横(X)の設定項目(c101)に設定できた(
図5(b))。
スライダー型(方式A)での分数値の指定方法の説明は以上である。
【0085】
そして、原稿サイズ入力画面151の(
図5(b)右上の「OK」ボタン(c108)を押下すれば原稿サイズの設定が完了する。
【0086】
〔方式B(セレクトボックス型)の設定操作手順例(
図6~
図7)〕
前述の方式Aと同様に横(X)の長さとして、初期値「11(inch)」を「11 3/4(inch)」に変更する場合の手順について図面を参照して説明する。
【0087】
原稿サイズ入力画面151(
図6(a))において、横(X)の設定項目(d101)をタップすると設定画面上に数値入力パネル部141(d102)が表示される(
図6(b))。整数部(d1021)については前述の
図4(b)で示した方式Aと同様の設定(テンキー(d1022)による入力)によるので説明は省略する。
【0088】
分数部は、数値入力パネル部141(d102)内の右側にある分数値入力部(d103)で行う。分数値入力部(d103)をタップすると、選択肢リスト(d104)が操作画面上にポップアップする(
図7(a))。
【0089】
初期状態では分数値は設定されていないので、値がゼロであることを表す「---」が選択された状態である。
【0090】
ポップアップされた選択肢リスト(d104)から所望の分数値「3/4」をタップすると、ポップアップした選択肢リストが自動的に閉じて、タップした値(ここでは「3/4」)が分数値入力部(d103)に設定される(
図7(b))。数値入力パネル部141(d102)の「OK」ボタンを押下してその数値入力パネル部141を閉じて入力値を確定させると、原稿の横(X)サイズとして「11 3/4」が横(X)の設定項目(
図6(a)のd101 )に設定できる。
【0091】
方式Bのセレクトボックス型での分数値の指定方法の説明は以上である。
【0092】
〔方式Aと方式Bの切り替え方法の説明〕
プログラムやサービスの構成としては次のa.又はb.どちらの方法でも実現できる。
【0093】
a.両方の方式を同一のプログラムやサービスに内蔵しておき、表示対象画面のサイズを検出して切り替える。
b.表示対象画面のサイズを検出し、適した方式の入力画面のみを提供する。
【0094】
ここではa.の方法で制御する場合の制御方法の一例を説明する。
【0095】
〔画面サイズの切り替えの制御アルゴリズム〕
図8は方式Aと方式Bの切り替えのアルゴリズムのフローチャートである。
【0096】
方式Aの数値入力パネル部を表示するために必要となる画面領域高さをHpA(:Height Panel type A)とする(
図3(a)参照)。
【0097】
方式Bの数値入力パネル部を表示するために必要となる画面領域高さをHpB(:Height Panel type B)とする(
図3(b)参照)。
【0098】
ここで、数値入力パネル部は、HpA>HpBとなるよう予めデザインされている。
【0099】
図8に示すように、制御部100において数値入力方式制御手段180(数値入力パネル表示制御部)(
図2参照)は、対象機器(実施形態では画像形成装置)のシステムから表示に使用可能な領域の高さ情報Hs(:Height Screen)を取得する(ステップ(以下「S」と略記)101)。
【0100】
Hs≧HpAか否かを判定し(S102)、判定結果が正(Yes:Hs≧HpA)であれば、方式Aの数値入力パネル部(c102)(
図4(b)参照)を呼び出す(S103)。
【0101】
一方、S102の判定結果が否(No:Hs<HpA)であれば、方式Bの数値入力パネル部(d102)(
図6(b)参照)を呼び出す(S104)。
【0102】
ここでの高さ(HpA,HpB)の処理単位は、表示部150に採用した表示デバイスのピクセル数ではなく、実際に表示される操作画面上での物理サイズである。
【0103】
ただし、物理サイズが画素数に比例すると考えられる場合は、画素数を単位としてもよい。
【0104】
〔画面サイズの判定について〕
・対象となる表示デバイスが予め決まっている場合は、デバイスのサイズではなく、その種別に関連付けて入力方式を選択するようにしてもよい。
・表示対象となるデバイスが限定されていない場合は、それぞれのシステムから表示デバイスの仕様情報を取得して判定する。その場合、数値入力パネルが占有するピクセル数と画素密度から実際に表示される物理サイズが算出できるので、予め各数値入力方式を切り替える閾値を物理サイズで規定しておけば画面サイズに応じて適切な数値入力方式を選択して表示することができる。
なお、物理サイズは、下式のように、画素数に画素ピッチを乗じることによっても算出することができる。
物理サイズ=画素数×画素ピッチ
【0105】
・切り替えの判定基準について
ここでは高さのみで判定しているが、必要に応じて、画面と数値入力パネルの幅で判定したり、高さと幅の両方で判定したりしてもよい。
・表示エリアの判定は2段階でなく、多段階の表示を使い分けてもよい。
【0106】
・選択肢の配置について
実施形態の数値入力パネル部141では選択肢を縦に並べた例を示したが、選択肢を横に並べたり、あるいは縦横の2次元に配置したりしてもよい。
【0107】
以上のように、第1実施形態では、表示部150の画面に対する操作部140の物理的な表示サイズに基づき、操作部140の数値入力方式を選択する数値入力方式制御手段180を備えたので、表示部150の画面サイズに応じて適切な数値入力方式を選択して表示することができる。
【0108】
また、それぞれ異なる表示サイズの表示部150を有する各種の機器に情報処理装置を適用する場合、数値入力方式制御手段180は、表示部の画面上において操作部を表示可能なサイズに応じて操作部の入力方式を選択することによって、機器に応じて適切で使いやすい操作部を設定できる。
図3に示すように各種のサイズの表示部に使いやすい操作部を設定できる。
【0109】
〔第2実施形態〕
次に、第2の実施形態を説明する。
【0110】
各機能において入力操作に利用できるスペースの大小による使い分け(原稿サイズ入力、指定範囲消去)
【0111】
表示エリアが大きく取れない設定画面例として「指定範囲消去」(Erase Specified Range)を説明する。
【0112】
「指定範囲消去」とは、印刷対象の画像を、用紙へ印刷する前に画面にプレビュー表示し、印刷したくない画像範囲を画面上で指定して消去する機能である。
【0113】
範囲の指定として必要なのは、消去したい矩形領域の始点(左上)の座標(XとY)、および、高さと幅の入力である。
【0114】
それぞれの値を入力する際、消去したい部分を正確に指定できているかを指定しながら確認できないと効率が悪いので、数値入力パネルはプレビュー画像に重ならないように同時に表示する必要がある。
【0115】
図9(a)は指定範囲消去の設定画面の一例である。この例では設定画面152の中央部に画像(原稿画像001)を表示し、右上部に現在の設定値、右下部に数値入力パネル部141を固定的に表示するようにしている。
【0116】
このように、数値入力パネル部141に大きな領域を割り当てることができない場合に方式Bの表示形態は有益である。
【0117】
〔方式B(セレクトボックス型)の設定操作手順〕(
図9~
図11)
指定範囲消去機能を選択すると表示部150に
図9(a)に示すような設定画面(消去範囲設定画面)152が表示される。
【0118】
ここでは、始点X(Start Point X)として「1 1/2」を入力する場合の例を説明する。
【0119】
まず、始点Xの設定部(S101)をタップすると画面右下に数値入力パネル部141(S102)が表示される(
図9(b))。
【0120】
この際に、整数と分数はどちらから入力してもよいが、ここではまず、整数「1」を10キー部(S103)で入力する。具体的には「1」のボタンをタップする。
【0121】
分数部の入力は、数値入力パネル部141の右下の分数値入力部(S104)で行う。
分数値入力部(S104)タップすると選択肢リスト(S105)が操作画面上にポップアップする(
図10(a))。
【0122】
初期状態では分数値は設定されていないのでゼロを表す「---」が選択された状態である。所望の分数値「1/2」をタップすると、ポップアップした選択肢リスト(S105)が自動的に閉じて、タップした値(ここでは「1/2」)が分数値入力部(S104)に設定される(
図10(b))。
【0123】
そして、入力値を確定させて数値入力パネルを閉じるために数値入力パネルの「OK」ボタン(S106)を押下する。これで始点X(S101)に「1 1/2」が設定できた(
図11(a))。
【0124】
始点Xの指定方法の説明は以上である。
【0125】
引き続き、始点Xと同じ手順で、始点Y(Start Point Y)、高さ(height)、幅(width)を入力した後、指定範囲消去設定画面の右上の「閉じる」(Exit)(S107)ボタンを押下すれば指定範囲消去機能の設定が完了する(
図11(b))。設定された指定範囲は原稿中に網掛けで示す範囲になる。
【0126】
〔設定項目ごとに方式Aと方式Bを使い分ける制御アルゴリズム〕
第1の実施形態のように、数値入力パネル部を表示するたびに、表示対象の領域サイズHsをシステムから取得して方式Aと方式Bを切り替える仕組みにすることもできるが、ここでは、予め設定項目ごとに表示するべき入力方式種別を定義しておく場合の制御について説明する。
【0127】
図12は、具体的な定義の一例を示す入力方式定義テーブルである。
【0128】
予め、設定画面の設定項目ごとに呼び出す数値入力パネル部の入力方式、および、表示領域内の表示位置を操作画面における相対位置によって定義している。
【0129】
入力方式としては前述の方式Aと方式Bがある。
【0130】
表示位置には、操作画面の中央、左上、右上、左下、右下が指定できるものとする。
【0131】
図12では、3つの機能の設定画面(原稿サイズ入力、指定範囲消去、とじしろ)の入力項目に対する定義を示した。
【0132】
原稿サイズ入力設定画面では、設定項目の高さと幅の入力方式として方式Aを、表示位置として中央をそれぞれ指定している(
図4、
図5参照)。
【0133】
指定範囲消去設定画面では、各設定項目(始点X、始点Y、高さ、幅)には、入力方式として方式Bを、表示位置として右下をそれぞれ指定している(
図9~
図11)。
【0134】
とじしろ設定画面では、設定項目のとじしろ幅の入力方式として方式Aを、表示位置として中央をそれぞれ指定している。
【0135】
例えば、原稿の高さを設定する場合は、原稿サイズ入力設定画面において、高さの項目をタップして数値入力パネル部を表示する。
図12から当該入力項目の表示指定情報「方式A、中央」を取得し、方式Aの入力パネルを表示領域の中央へ表示するよう制御する。
【0136】
指定範囲消去の始点Xを設定する場合は、始点Xの入力項目をタップして選択することで数値入力パネル部を表示する。
図12から当該入力項目の表示指定情報「方式B、右下」を取得し、方式Bの数値入力パネル部141を表示領域の右下へ表示するよう制御する。
・入力方式定義の単位
ここでは設定項目ごとに定義する例を示したが、入力方式の使い分けの分類は必要に応じて画面単位や機能単位などのように他の基準で実施してもよい。
【0137】
・定義内容
最低限必要な要素は入力方式である。表示位置やサイズが固定であれば定義は不要であるし、他の方法で制御してもよい。
【0138】
また、表示位置やサイズは別の方法で指定してもよい。例えば表示位置を全体に対する比率で指定したり、画面ではなく他の表示要素の相対位置で指定したりしてもよい。
【0139】
〔第3実施形態〕
第3実施形態について説明する。
【0140】
第3実施形態は、設定項目の選択肢数の多少による使い分け(とじしろ、指定範囲消去)を行うものである。
【0141】
第3実施形態に係る情報処理装置において、数値入力方式制御手段180は、操作部に入力可能な数値の選択肢に制限がある場合、その選択肢の個数に応じて数値の入力方式を選択する。
【0142】
選択肢の多少による使い分けの思想について説明する。
【0143】
方式Aではすべての選択肢を同時に画面上に配置する必要があるので、狭い領域に多数の項目を表示しようとすると1つ1つのサイズが小さくなって表示が見づらくなったり、タッチ操作が困難になったりする。同じ表示領域であっても、選択肢が少なければ、個々の選択肢は大きく表示することができる。
【0144】
つまり、対象となる表示領域に対して入力項目の選択肢の数が少なければ方式A、選択肢が多くて操作が困難になるようであれば方式Bの数値入力パネル部を提供するという使い分け方も有益である。
【0145】
例えば、定型用紙サイズに準じたサイズを指定するのが目的であれば、一般のインチ系定形用紙サイズに存在する 0, 1/4, 1/2 の3つの値が入力できればほとんどの場合で十分と考えられる。
【0146】
この第3実施形態では、入力対象項目の選択肢の数によって入力方式を切り替える例を示す。
【0147】
設定項目の選択肢が少ない例として、とじしろ機能、選択肢が多い例として指定範囲消去を取り上げる。
【0148】
〔とじしろ(Margin Shift)機能〕
とじしろ機能は、ステープルやパンチなどの印刷物を綴る(とじる)ための余白(とじしろ)を確保する機能である。余白を確保するためには画像全体を綴る位置と反対方向に画像全体をずらして印刷する必要があるので、余白をつける辺と余白の量を指定する必要がある。
【0149】
余白幅としては、1/4(inch)単位で0から2(inch)まで指定できればよいとした場合を考える。この場合に必要となる分数の選択肢は、0, 1/4, 1/2, 3/4 の4つとなる。
【0150】
〔指定範囲消去〕
選択肢の多い機能としては、第2実施形態で説明した指定範囲消去がある。
【0151】
指定範囲消去においては消去したい画像部分だけを正確に覆う必要があるので、細かい精度が必要になる。1/8(inch)単位で指定できるようにする場合の選択肢は、0, 1/8, 1/4, 3/8, 1/2, 5/8, 3/4, 7/8 の8つとなる。
【0152】
〔選択肢の少ない設定項目を方式A(スライダー型)で設定する操作手順例(とじしろ設定
)〕(
図13~
図14)
図に従い、とじしろ設定画面の操作を説明する。
【0153】
ここでは左とじのシフト量として「3/4(inch)」を入力する手順を示す。
【0154】
まず、表示部150に表示のとじしろ設定画面(
図13(a))において、シフト量の設定項目(e101)をタップすると設定画面上に数値入力パネル部141(e102)が表示される(
図13(b))。現在の設定値は数値入力パネル上部の設定値表示部(e103)に表示される。この例では初期値として「1/2」が設定されている。
【0155】
設定値表示部(e103)では、整数値の入力が必要な場合は10キー部(e104)で入力するが、この例では整数部はゼロなので操作は不要である。
【0156】
設定値表示部(e103)で、分数部は数値入力パネル内の右側にあるスライダー部(e105)のノブ(e106)を「1/2」からドラッグして「3/4」の位置で離す。あるいはドラッグ操作の代わりに直接「3/4」の位置をタップしてもよい。
【0157】
すると、スライダー上で「3/4」が選択されるとともに、上部の設定値表示部(e103)に「3/4」が表示される(
図14(a))。
【0158】
数値入力パネル部141(e102)の「OK」ボタン(e107)を押下してその数値入力パネル部を閉じて入力値を確定させる。これでとじしろのシフト量として「3/4」が設定できた(
図14(b))。
【0159】
分数値の指定方法の説明は以上である。
【0160】
とじしろ設定画面(
図14(b)右上の「OK」ボタン(e108)を押下すれば、とじしろの設定が完了する。
【0161】
〔制御アルゴリズム〕
方式Aと方式Bを選択するアルゴリズムのフローチャートを
図15に示す。
【0162】
方式Aと方式Bのどちらを使うかの選択肢数の閾値をNsとする。
【0163】
閾値Nsには予め画面サイズや数値入力パネルのデザインに応じた最適な値を定義しておく。
【0164】
選択肢の数を取得し(S301)、選択肢の数を閾値Nsと比較する(S302)。
【0165】
対象となる設定項目の分数値入力の選択肢数がNs以下であれば(S302:Yes)、数値入力パネルとして方式Aを提供し(S303)、一方、選択肢数が閾値Nsを超えるのであれば方式Bを提供するように制御する(S304)。
【0166】
例えば、Ns=5と定義したシステムの場合、各機能の設定項目の制御は次のようになる。
【0167】
とじしろの選択肢数は4個なので、閾値Ns以下を満たし、方式Aを表示すると判定される。
【0168】
指定範囲消去の選択肢数は8個であり、閾値Nsより大きいので方式Bを表示すると判定される。
【0169】
このように、数値入力パネルの表示可能領域に対して、どの入力方式で表示するかを設定項目の選択肢の必要個数に基づいて判断して使い分けることで最適な操作性を提供することが可能となる。
【0170】
〔画面サイズによる閾値の変更〕
数値入力方式制御手段180は、操作部の物理的な表示サイズと選択肢の個数に応じて数値の入力方式を選択することとしてもよい。
【0171】
選択肢の数で入力方式を切り替える制御方法は、第1の実施形態で取り上げたような操作部140の操作パネルの画面サイズが異なる場合にも適用できる。
【0172】
画面サイズが異なれば、方式Aで操作性を維持できる最大の選択肢数も変化する。
【0173】
画面が大きいほど方式Aで一度に表示できる選択肢の数は増やすことができる。
【0174】
したがって、それぞれの画面サイズごとに閾値Hsの定義を使い分ければ、画面サイズごとに方式Aを適用できる対象が広がり操作性を向上させることができる。
【0175】
例えば、10(inch)の場合はHs=5、7(inch)の場合は Hs=3、のように定義を変更すれば、7(inch)の画面であっても操作性が確保できる入力項目では方式Aを利用できるようになるので、利便性が高まる。
【0176】
以上の実施形態の他に、数値入力パネル部の各種の表示は種々な形式にできる。
図7に示したセレクトボックスで示された分数の選択肢リスト(d104)は縦長に表示していたが、その他、
図16の他の実施例に示すように、セレクトボックスの選択肢リスト(g101)の表示方式を横長かつ複数行で表示することができる。つまり一列の1次元的配置・表示ではなく、複数行の2次元的に配置・表示することによって、表示部150の数値入力パネル部141が横長に対応してより多くの選択肢を小面積で表示できる。また横長にすれば数字の桁方向の並びと同方向になるので、見やすい表示形態とすることができる。
【0177】
また、情報処理装置は、数値入力手段(数値入力パネル部)で入力する数値は整数、分数の他、小数、102等の指数、log 等の対数、さらには、I、IV、X等のローマ数字等様々な数値を入力することもできる。
【0178】
また、情報処理装置は画像形成装置に採用する他、他の機器の情報処理装置として利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0179】
本発明の情報処理装置は、画像形成装置の他に、数値入力手段を有する各種機器に利用することができる。
【符号の説明】
【0180】
100 制御部
140 操作部
141 数値入力パネル部(数値入力手段)
150 表示部(操作画面)
151 原稿サイズ入力画面
152 消去範囲設定画面
180 数値入力方式制御手段