(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】テンプレート、テンプレートの製造方法、及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20240325BHJP
B29C 33/42 20060101ALI20240325BHJP
B29C 33/38 20060101ALI20240325BHJP
【FI】
H01L21/30 502D
B29C33/42
B29C33/38
(21)【出願番号】P 2020156094
(22)【出願日】2020-09-17
【審査請求日】2023-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高畑 和宏
【審査官】小林 幹
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-017746(JP,A)
【文献】特開2018-101780(JP,A)
【文献】特表2011-508459(JP,A)
【文献】特開2010-188668(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
B29C 33/42
B29C 33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の第1の面にパターンを有するテンプレートであって、
前記パターンは、
前記第1の面から所定高さに突出し、前記第1の面に沿う第1の方向に
連続して順に延びる
第1の部分、第2の部分、及び第3の部分を有する第1の突出部と、
前記
第2の部分上に配置され、前記
第2の部分の上面から突出する柱状部と、を備え、
前記第1の方向と交差する第2の方向における前記柱状部の幅を第1の幅とし、
前記
第2の部分における前記
第1の突出部の前記第2の方向の幅を第2の幅とし、
前記
第1及び第3の部分における前記
第1の突出部の前記第2の方向の幅を
それぞれ第3の幅とした場合、
前記第2の幅>前記第1の幅>前記第3の幅、となっている、
テンプレート。
【請求項2】
前記第1の面から所定高さに突出し、前記第1の方向に延びる第2の突出部と、
前記第1の面から所定高さに突出し、前記第1の方向に延びる第3の突出部と、を更に備え、
前記第1の突出部、前記第2の突出部、及び前記第3の突出部は、前記第2の方向に前記第2の突出部、前記第1の突出部、及び前記第3の突出部の順に並んで設けられる、
請求項1に記載のテンプレート。
【請求項3】
前記第1の幅は、前記第2の方向における前記柱状部の最大幅を表し、
前記第2の幅は、前記
第2の方向における前記
第1の突出部の最大幅を表す、
請求項1
または請求項2に記載のテンプレート。
【請求項4】
前記柱状部は、実質的に平坦な上面を有する、
請求項1
乃至請求項3のいずれか1項に記載のテンプレート。
【請求項5】
前記柱状部は、前記柱状部の高さ方向と直交する断面が、円形、楕円形、または小判型である、
請求項1乃至請求項
4のいずれか1項に記載のテンプレート。
【請求項6】
基板の第1の面にパターンを有するテンプレートであって、
前記パターンは、
前記第1の面から所定深さに窪み、前記第1の面に沿う第1の方向に
連続して順に延びる
第1の部分、第2の部分、及び第3の部分を有する第1の溝と、
前記
第1の溝
の前記第2の部分内に配置され、前記
第2の部分の底面から前記基板の深さ方向に延びる孔と、を備え、
前記第1の方向と交差する第2の方向における前記孔の幅を第1の幅とし、
前記
第2の部分における前記
第1の溝の前記第2の方向の幅を第2の幅とし、
前記
第1及び第3の部分における前記
第1の溝の前記第2の方向の幅を
それぞれ第3の幅とした場合、
前記第2の幅>前記第1の幅>前記第3の幅、となっている、
テンプレート。
【請求項7】
前記第1の幅は、前記第2の方向における前記孔の最大幅を表し、
前記第2の幅は、前記
第2の方向における前記
第1の溝の最大幅を表す、
請求項
6に記載のテンプレート。
【請求項8】
前記孔は、実質的に平坦な底面を有する、
請求項
6または請求項
7に記載のテンプレート。
【請求項9】
前記孔は、前記孔の高さ方向と直交する断面が、円形、楕円形、または小判型である、
請求項
6乃至請求項
8のいずれか1項に記載のテンプレート。
【請求項10】
基板の第1の面に、第1の幅を有し、前記第1の幅より広い第2の幅を有する部分を介在させて前記第1の面に沿う第1の方向に延びる第1のパターンを有する第1のマスクを形成し、
前記第1のマスクで保護しながら、前記第1の面に前記第1のパターンを転写して
、前記第1の方向に
連続して順に延びる
、前記第1の幅の第1の部分、前記第2の幅の第2の部分、及び前記第1の幅の第3の部分を有する第1の突出部を形成し、
前記
第1の突出部の前記
第2の部分と重なる位置に、少なくとも前記第1の幅より広い第3の幅の第2のパターンを有する第2のマスクを形成し、
前記第2のマスクで保護しながら、前記第1の面に前記第2のパターンを転写して、前記第3の幅を有する柱状部を形成する、
テンプレートの製造方法。
【請求項11】
基板の第1の面に、第1の幅を有し、前記第1の幅より広い第2の幅を有する部分を介在させて前記第1の面に沿う第1の方向に延びる第1のパターンが開口した第1のマスクを形成し、
前記第1のマスクで保護しながら、前記第1の面に前記第1のパターンを転写して、前記第1の幅を有し、前記第2の幅を有する部分を介在させて前記第1の方向に延びる溝を形成し、
前記溝の前記部分と重なる位置に、少なくとも前記第1の幅より広い第3の幅の第2のパターンが開口した第2のマスクを形成し、
前記第2のマスクで保護しながら、前記第1の面に前記第2のパターンを転写して、前記第3の幅を有する孔を形成する、
テンプレートの製造方法。
【請求項12】
請求項1乃至請求項
5のいずれか1項に記載のテンプレートを用意し、
被加工膜が形成された基板の、前記被加工膜上にレジスト膜を形成し、
前記レジスト膜に前記テンプレートの前記パターンを転写させて前記パターンを有するレジスト膜を形成し、
前記レジスト膜の前記パターンを用いて前記被加工膜を加工する、
半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項
6乃至請求項
9のいずれか1項に記載のテンプレートを用いて、前記パターンが転写された他のテンプレートを製造し、
被加工膜が形成された基板の、前記被加工膜上にレジスト膜を形成し、
前記レジスト膜に前記他のテンプレートの前記パターンを転写させて前記パターンを有するレジスト膜を形成し、
前記レジスト膜の前記パターンを用いて前記被加工膜を加工する、
半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記被加工膜は絶縁膜であり、前記被加工膜の加工により形成されたパターンに導電材を充填する、
請求項
12または請求項
13に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、テンプレート、テンプレートの製造方法、及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程において、下層構造に接続されるビアと、ビアに接続される上層配線とを一括して形成するデュアルダマシン法が用いられることがある。
【0003】
また、デュアルダマシン法によるビア及び上層配線の形成に、インプリント法の技術が用いられることがある。インプリント法では、被加工膜上にレジストを形成し、パターンが形成されたテンプレートをレジスト膜に押し当てて、テンプレートのパターンをレジスト膜に転写する。
【0004】
半導体装置の微細化に伴って、配線幅よりも径の大きなビアを形成することが可能なインプリント技術が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-219456号公報
【文献】特開2018-014497号公報
【文献】特開2012-009686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態は、配線幅よりも径の大きなビアを形成することが可能なテンプレート、テンプレートの製造方法、及び半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態のテンプレートは、基板の第1の面にパターンを有するテンプレートであって、前記パターンは、前記第1の面から所定高さに突出し、前記第1の面に沿う第1の方向に連続して順に延びる第1の部分、第2の部分、及び第3の部分を有する第1の突出部と、前記第2の部分上に配置され、前記第2の部分の上面から突出する柱状部と、を備え、前記第1の方向と交差する第2の方向における前記柱状部の幅を第1の幅とし、前記第2の部分における前記第1の突出部の前記第2の方向の幅を第2の幅とし、前記第1及び第3の部分における前記第1の突出部の前記第2の方向の幅をそれぞれ第3の幅とした場合、前記第2の幅>前記第1の幅>前記第3の幅、となっている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態1にかかるインプリント技術を用いたデュアルダマシン法による配線およびビアの形成フローの概要を示す模式図である。
【
図2】
図2は、実施形態1にかかるマスタテンプレートの構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態1にかかるマスタテンプレートの製造に用いられるEB描画データの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態1にかかるマスタテンプレートの製造方法の手順の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態1にかかるマスタテンプレートの製造方法の手順の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態1にかかるマスタテンプレートの製造方法の手順の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態1にかかる半導体装置に形成されるデュアルダマシンパターンの構成の一例を示す斜透視図である。
【
図8】
図8は、比較例にかかるマスタテンプレートの製造方法の手順の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、比較例にかかるマスタテンプレートの製造方法の手順の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態1の変形例にかかるマスタテンプレートの製造方法の手順の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、実施形態1の変形例にかかるマスタテンプレートの製造方法の手順の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、実施形態1の変形例にかかるマスタテンプレートの製造方法の手順の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、実施形態2にかかるテンプレートの構成の一例を示す図である。
【
図14】
図14は、実施形態2にかかるテンプレートの製造に用いられるEB描画データの一例を示す図である。
【
図15】
図15は、実施形態2にかかるテンプレートの製造方法の手順の一例を示す図である。
【
図16】
図16は、実施形態2にかかるテンプレートの製造方法の手順の一例を示す図である。
【
図17】
図17は、実施形態2にかかるテンプレートの製造方法の手順の一例を示す図である。
【
図18】
図18は、実施形態2の変形例にかかるテンプレートの製造方法の手順の一例を示す図である。
【
図19】
図19は、実施形態2の変形例にかかるテンプレートの製造方法の手順の一例を示す図である。
【
図20】
図20は、実施形態2の変形例にかかるテンプレートの製造方法の手順の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により、本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
[実施形態1]
以下、図面を参照して実施形態1について詳細に説明する。
【0011】
(インプリント法によるデュアルダマシンの概要)
図1は、実施形態1にかかるインプリント技術を用いたデュアルダマシン法による配線およびビアの形成フローの概要を示す模式図である。実施形態1では、配線の線幅よりも大きな径を有するビアを形成することを目的とする。
【0012】
図1に示すように、実施形態1のインプリント技術では、まず、マスタテンプレート10を製造する。マスタテンプレート10からは、レプリカテンプレート20が量産され、レプリカテンプレート20を用いて、半導体装置40に配線およびビアが形成される。
【0013】
半導体装置40の製造工程において繰り返し使用されるレプリカテンプレート20は消耗品である。したがって、上記のように、マスタテンプレート10を用意しておくことで、安価で簡便にレプリカテンプレート20を量産することができる。
【0014】
図1(a)に示すように、マスタテンプレート10は、石英等の基板11に、溝12及び孔13を含む転写用パターン14を備える。孔13は溝12と重なる位置に配置され、基板11中の溝12よりも深い位置に到達している。また、孔13の径は溝12の幅よりも大きくなるよう形成される。
【0015】
レプリカテンプレート20を製造するための基板21上に、図示しないレジスト膜を形成し、マスタテンプレート10の転写用パターン14をレジスト膜に押し付けて転写した後、レジスト膜のパターンにしたがって基板21を加工することで、レプリカテンプレート20が製造される。
【0016】
図1(b)に示すように、レプリカテンプレート20は、石英等の基板21に、ライン状の突出部22、及び突出部22上に配置された柱状部23を含む転写用パターン24を備える。
【0017】
図1(c)に示すように、半導体装置40は配線およびビアが転写される対象となるSiO
2、SiN,SiON等の被加工膜41を備える。被加工膜41上には、炭素含有膜としてのカーボン(SOC:Spin On Carbon)膜50が形成される。カーボン膜50上にはレジスト膜60が形成される。
【0018】
このレジスト膜60に、レプリカテンプレート20の転写用パターン24を押し付ける。これにより、レジスト膜60には、溝62及び孔63を含むパターン64が形成される。そして、レジスト膜60のパターン64にしたがってカーボン膜50を加工して、カーボン膜50にパターン64を転写する。更に、カーボン膜50の図示しないパターンにしたがって、半導体装置40の被加工膜41を加工する。
【0019】
図1(d)に示すように、レジスト膜60のパターン64が、カーボン膜50を介して転写されることにより、被加工膜41には、溝42及び孔43を含むパターン44が形成される。レジスト膜60のパターン64を踏襲し、孔43は、溝42と重なる位置に、溝42の幅よりも大きな径で形成され、かつ、被加工膜41中の溝42よりも深い位置に到達している。
【0020】
図1(e)に示すように、被加工膜41のパターン44に、Cu、Ru、Co、W等のいずれかの金属単体または合金である導電材を充填する。また、導電材の充填に先駆けて、TiN等のバリアメタル層を形成することで、パターン44内を複数層で充填してもよい。これにより、溝42に導電材が充填された配線92と、孔43に導電材が充填されたビア93とを含むデュアルダマシンパターン94が、被加工膜41に形成される。
【0021】
(マスタテンプレートの構成例)
次に、
図2を用いて、実施形態1のマスタテンプレート10の詳細の構成例について説明する。
【0022】
図2は、実施形態1にかかるマスタテンプレート10の構成の一例を示す図である。
図2(a)はマスタテンプレート10の平面図であり、
図2(b)はマスタテンプレート10のA-A線断面図であり、
図2(c)はマスタテンプレート10の斜視図である。
【0023】
また、
図2においては、説明の便宜上、マスタテンプレート10の主面である面11a,11bに沿う第2の方向としてのX方向、及びX方向に直交し、マスタテンプレート10の面11a,11bに沿う第1の方向としてのY方向を定める。
【0024】
図2に示すように、マスタテンプレート10は、ガラスや石英等の透明部材から構成される平板状の基板11を備える。基板11は、第1の面としての面11aと、第2の面としての面11bとの2つの主面を備える。マスタテンプレート10は、面11aに転写用パターン14を備える。
【0025】
転写用パターン14は、X方向に並んでY方向に延びる溝12と、溝12と重なる位置に配置される孔13とを有する。
【0026】
溝12は、互いに対向する略平坦な側面と、略平坦な底面とを有し、孔13が配置される部分12gと、それ以外の部分12sとを備える。X方向において、部分12gの幅は部分12sの幅よりも広い。
【0027】
溝12の部分12gと重なる位置に配置される孔13は、基板11内における到達深さが溝12の底面よりも深い底面13bを有する。孔13の底面13bは実質的に平坦である。ここで、実質的に平坦であるとは、後述するマスタテンプレート10の製造工程において生じ得る加工公差の範囲内に収まる程度に平坦であることを意味する。
【0028】
孔13の深さ方向と直交する断面は、例えば円形、楕円形、または小判型であり、X方向において、孔13の径は、溝12の部分12sの幅よりも広く、溝12の部分12gよりも狭い。
【0029】
すなわち、孔13の断面形状は、例えば溝12の部分12gと相似形をなして部分12gよりも一回り小さく構成されており、孔13は、溝12の部分12gの略中心部に配置されている。これにより、孔13と溝12との境界部分にあたる孔13の周囲には、段差13sが形成されている。
【0030】
上記の説明によれば、部分12gのX方向の幅と、孔13の径またはX方向の幅と、部分12sのX方向の幅とは、これらの記載順に小さくなっていく(部分12gの幅>孔13の径>部分12sの幅)。このとき、それぞれの構成の最大幅を比較するものとしてよい。
【0031】
(マスタテンプレートの製造方法)
次に、
図3~
図6を用いて、実施形態1のマスタテンプレート10の製造方法について説明する。
図3~
図6においても、上述の
図2と一致するX方向およびY方向を便宜的に定める。なお、実施形態1のマスタテンプレート10の製造方法は、マスタテンプレート10の基板11に転写用パターン14を形成するパターン形成方法でもある。
【0032】
図3は、実施形態1にかかるマスタテンプレート10の製造に用いられるEB(Electron Beam)描画データ74w,74vの一例を示す図面である。EB描画データ74w,74vは、電子線を用いたパターンの描画に用いられるデータであって、これらのEB描画データ74w,74vにしたがって、電子線が描画対象物に照射される。
【0033】
図3(a)に示すように、EB描画データ74wはパターン72a,72bを有する。パターン72a,72bは互いにX方向に並んで配置され、共にY方向に延びている。パターン72aは、矩形のサブパターン72gを有する。X方向において、サブパターン72gの幅は、パターン72aのそれ以外の部分72sの幅よりも広い。パターン72bは、X方向において、いずれの部分72sの幅も、パターン72aの部分72sの幅と等しい。
【0034】
図3(b)に示すように、EB描画データ74vは、矩形のパターン73を備える。パターン73は、EB描画データ74wのサブパターン72gと重なる位置に配置され、X方向およびY方向において、サブパターン72gよりも若干小さな幅を有する。
【0035】
すなわち、EB描画データ74vのパターン73は、例えばEB描画データ74wのサブパターン72gと相似形をなしてサブパターン72gよりも一回り小さく構成されている。
【0036】
電子線を用いたパターン描画の際には、これらのEB描画データ74w,74vのパターン72a,72b,73の領域に電子線が照射される。
【0037】
図4~
図6は、実施形態1にかかるマスタテンプレート10の製造方法の手順の一例を示す図である。
図4~
図6の(A)~(C)は、順次、処理が進んでいく様子を示している。
図4~
図6の(A)~(C)にaが付された図は、その処理におけるマスタテンプレート10の面11a側の平面図である。
図4~
図6の(A)~(C)にbが付された図は、その処理におけるマスタテンプレート10のA-A線断面図である。
【0038】
図4(A)に示すように、ガラスや石英等の基板11の面11a上に、Cr等から構成されるハードマスク膜210を形成し、ハードマスク膜210上にEB描画用のレジスト膜110を形成する。そして、上述のEB描画データ74wのパターン72a,72bをレジスト膜110に転写する。
図4(A
0)は、上述の
図3(a)のEB描画データ74wの再掲である。
【0039】
より具体的には、EB描画データ74wのパターン72a,72bの位置に相当するレジスト膜110の領域に電子線を照射する。これにより、電子線を照射された領域のレジスト膜110が除去されて、EB描画データ74wのパターン72a,72bがレジスト膜110に転写される。
【0040】
EB描画データ74wのサブパターン72gを含むパターン72aが転写されることで、サブパターン112gを含むパターン112aがレジスト膜110に形成される。このとき、矩形であったサブパターン72gは、EB描画の強度分布および現像の影響により略円形のサブパターン110gとしてレジスト膜110に転写される。パターン112aのその他の部分112sは、転写元のパターン72a同様、X方向において略一定の幅を有する。
【0041】
EB描画データ74wのパターン72bが転写されることで、X方向の幅が略一定の部分112sからなるパターン112bがレジスト膜110に形成される。
【0042】
レジスト膜110が一部除去されて形成されたパターン112a,112bの底部には、下層のハードマスク膜210が露出する。
【0043】
図4(B)に示すように、レジスト膜110から露出したハードマスク膜210を除去することにより、レジスト膜110のパターン112a,112bをハードマスク膜210に転写する。
【0044】
レジスト膜110のサブパターン110gを含むパターン112aが転写されることで、略円形のサブパターン212gを含むパターン212aがハードマスク膜210に形成される。パターン212aのサブパターン210g以外の部分212sは、転写元のパターン112a同様、X方向において略一定の幅を有する。
【0045】
レジスト膜110のパターン112bが転写されることで、X方向の幅が略一定の部分212sからなるパターン212bがハードマスク膜210に形成される。
【0046】
ハードマスク膜210が一部除去されて形成されたパターン212a,212bの底部には、下層の基板11の面11aが露出する。
【0047】
図4(C)に示すように、ハードマスク膜210から露出した基板11を厚さ方向の所定深さまで加工することにより、ハードマスク膜210のパターン212a,212bを基板11の面11aに転写する。
【0048】
ハードマスク膜210のサブパターン210gを含むパターン212aが転写されることで、X方向における幅が他の部分12sよりも広い部分12gを含む溝12が基板11に形成される。
【0049】
ハードマスク膜210のパターン212bが転写されることで、X方向の幅が略一定の部分12sからなる溝12が基板11に形成される。
【0050】
図5(A)に示すように、基板11の面11aからハードマスク膜210を除去する。
【0051】
図5(B)に示すように、基板11の面11aに、新たにハードマスク膜220を形成する。ハードマスク膜220は、基板11の面11a及び各々の溝12の底面に形成される。
【0052】
図5(C)に示すように、ハードマスク膜220上にEB描画用のレジスト膜120を形成する。そして、上述のEB描画データ74vのパターン73をレジスト膜120に転写する。
図5(C
0)は、上述の
図3(b)のEB描画データ74vの再掲である。
【0053】
より具体的には、EB描画データ74vのパターン73の位置に相当するレジスト膜120の領域に電子線を照射する。これにより、電子線を照射された領域のレジスト膜120が除去されて、EB描画データ74vのパターン73がレジスト膜120に転写される。このとき、矩形であったパターン73は、EB描画の強度分布および現像の影響により略円形のパターン123としてレジスト膜120に転写される。
【0054】
また、上述のように、EB描画データ74vのパターン73は、EB描画データ74wのサブパターン72gより一回り小さく、サブパターン72gと重なる位置に配置される。したがって、レジスト膜120のパターン123は、レジスト膜110のサブパターン112gが転写されることで形成された基板11の溝12の部分12gよりも一回り小さく、溝12の部分12gと重なる位置に形成される。
【0055】
これにより、溝12の部分12gにおいて、レジスト膜120のパターン123端部が溝12内に配置されることとなる。換言すれば、溝12の部分12gの外周部の側面がレジスト膜120で覆われる。また、溝12の部分12gの底面の中央付近に下層のハードマスク膜220が露出する。
【0056】
ここで、EB描画データ74vのパターン73をレジスト膜120に転写する際、EB描画データ74wに基づき基板11に形成された溝12との位置ずれが生じ得る。またパターン123及び溝12の部分12gには製造上の寸法ばらつきが生じ得る。EB描画データ74vのパターン73は、EB描画データ74wのサブパターン72gよりも小さく設計されているので、このような位置ずれや寸法ばらつきが生じた場合でも、レジスト膜120のパターン123は、基板11の溝12の部分12gの範囲内に収まるように形成される。
【0057】
換言すれば、EB描画データ74vのパターン73は、EB描画データ74wのサブパターン72gに対し、レジスト膜120のパターン123の端部(エッジ)と基板11の溝12の部分12gの端部(エッジ)とに生じ得る最大エッジ位置ずれ量の分だけ小さく設計されている。
【0058】
図6(A)に示すように、レジスト膜120から露出したハードマスク膜220を除去することにより、レジスト膜120のパターン123をハードマスク膜220に転写する。
【0059】
レジスト膜120のパターン123が転写されることにより、溝12の部分12gの底面に形成されたハードマスク膜220の一部が除去されて、ハードマスク膜220にパターン223が形成される。このとき、溝12の部分12gの側面にはハードマスク膜220が円環状に残る。溝12の部分12gの中央部分の底面は、ハードマスク膜220のパターン223から露出する。
【0060】
図6(B)に示すように、ハードマスク膜220から露出した基板11の溝12の部分12gの底面を、基板11の厚さ方向の所定深さまで加工する。これにより、ハードマスク膜220のパターン223を基板11に転写する。
【0061】
ハードマスク膜220のパターン223が転写されることで、X方向における幅が溝12の部分12sよりも広く、部分12gよりも狭い孔13が基板11に形成される。溝12の底面から更に掘り込まれることで、孔13の底面は、基板11の厚さ方向において、溝12の底面よりも深い位置まで到達している。このとき、孔13の底面は、孔13を形成する際の加工公差の範囲内に凹凸が抑制された実質的な平坦面となっている。また、溝12の部分12gの側壁に円環状に残ったハードマスク膜220にカバーされた部分が、孔13の周囲を巡る段差13sとなって残る。
【0062】
図6(C)に示すように、基板11の面11a及び溝12の底面から、残ったハードマスク膜220を除去する。
【0063】
以上により、面11aに転写用パターン14を備える実施形態1のマスタテンプレート10が製造される。
【0064】
上述のように、これ以降、マスタテンプレート10の転写用パターン14がレプリカテンプレート20に転写される、また、レプリカテンプレート20の転写用パターン24が半導体装置40の被加工膜41に転写される。また、被加工膜41のパターン44に導電材が充填される。以上により、半導体装置40の被加工膜41に、配線92及びビア93を備えるデュアルダマシンパターン94が形成される。
【0065】
(デュアルダマシンパターンの構成例)
次に、
図7を用いて、実施形態1の半導体装置40に形成されるデュアルダマシンパターン94の構成例について説明する。
【0066】
図7は、実施形態1にかかる半導体装置40に形成されるデュアルダマシンパターン94の構成の一例を示す斜透視図である。より具体的には、
図7は、半導体装置40のデュアルダマシンパターン94を、被加工膜41の下方から見上げた状態を表している。
図7においては、被加工膜41の上面のみが示されている。
図7においては、上述の
図2と一致するX方向およびY方向を便宜的に定めるとともに、被加工膜41の深さ方向であるZ方向を示した。
【0067】
図7に示すように、半導体層40の被加工膜41には、デュアルダマシンパターン94が形成されている。デュアルダマシンパターン94は、X方向に並んでY方向に延びる配線92と、配線92と重なる位置で配線92の下方に延びるビア93とを含む。
【0068】
配線92は、互いに対向する略平坦な側面と、略平坦な上面および底面とを有する。配線92の底面は、被加工膜41の所定深さに位置している。また、配線92は、ビア93が配置される部分92gと、それ以外の部分92sとを備える。X方向において、部分92gの幅は部分92sの幅よりも広い。
【0069】
配線92の部分92gと重なる位置に配置されるビア93は、被加工膜41内における到達深さが配線92の底面よりも深く、例えば被加工膜41を貫通している。ビア93の底面93bは実質的に平坦である。これは、マスタテンプレート10の平坦な底面を有する孔13からレプリカテンプレート20を介して、ビア93の形状が形成されていることに由来する。
【0070】
ビア93の深さ方向と直交する断面は、マスタテンプレート10の孔13の断面形状と同様、例えば円形、楕円形、または小判型であり、X方向において、ビア93の幅は、配線92の部分92gの幅よりも狭く、部分92sの幅よりも広い。
【0071】
すなわち、ビア93の断面形状は、例えば配線92の部分92gと相似形をなして部分92gよりも一回り小さく構成されており、ビア93は、配線92の部分92gの領域内に収まるように配置されている。これは、マスタテンプレート10の製造工程における最大エッジ位置ずれ量を考慮して、マスタテンプレート10の孔13が溝12の部分12gの領域内に収まるサイズに設定されていることに基づく。上記により、配線92とビア93との境界部分にあたるビア93の周囲には、段差93sが形成されている。
【0072】
(比較例)
次に、
図8及び
図9を用いて、比較例のマスタテンプレート10’の製造方法について説明する。
図8及び
図9は、比較例にかかるマスタテンプレート10’の製造方法の手順の一例を示す図である。
【0073】
比較例のマスタテンプレート10’の製造方法においても、例えば2種類のEB描画データが用いられる。
【0074】
図8(A
0)に示すように、1つめのEB描画データ74w’は、X方向に並んでY方向に延びるパターン72’を有する。X方向のパターン72’の幅は、いずれも一定である。
【0075】
図8(Aa)(Ab)に示すように、マスタテンプレート10’を製造するための基板11’上にハードマスク膜210’を形成し、ハードマスク膜210’上にレジスト膜110’を形成する。EB描画データ74w’を用いて、X方向に並んでY方向に延びるパターン112’をレジスト膜110’に形成する。X方向のパターン112’の幅はいずれも略一定である。
【0076】
図8(B)に示すように、レジスト膜110’のパターン112’を転写して、X方向に並んでY方向に延びるパターン212’をハードマスク膜210’に形成する。X方向のパターン212’の幅はいずれも略一定である。
【0077】
ハードマスク膜210’ のパターン212’を転写して、X方向に並んでY方向に延びる溝12’を基板11’に形成する。X方向の溝12’の幅はいずれも略一定である。
【0078】
図8(C)に示すように、ハードマスク膜210’を除去し、新たにハードマスク膜220’を基板11’の全面に形成する。
【0079】
図9(A
0)に示すように、2つめのEB描画データ74v’は、EB描画データ74w’のパターン72’と重なる位置に矩形のパターン73’を有する。
【0080】
図9(Aa)(Ab)に示すように、新たに形成したハードマスク膜220’上にレジスト膜120’を形成し、EB描画データ74v’のパターン73’を転写する。レジスト膜120’には略円形のパターン123’が、基板11’の溝12’と重なる位置に形成される。レジスト膜120’のパターン123’の底部には、基板11’の表面と基板11’の溝12’の底面とに形成されたハードマスク膜220’が露出する。
【0081】
ただし、EB描画データ74v’のパターン73’をレジスト膜120’に転写する際、EB描画データ74w’に基づき基板11’に形成された溝12’との位置ずれ及び寸法のばらつきが生じ得る。
【0082】
図9(B)に示すように、レジスト膜120’から露出したハードマスク膜220’を除去して、レジスト膜120’のパターン123’が転写されたパターン223’をハードマスク膜220’に形成する。パターン223’の底部には、基板11’の表面および基板11’の溝12’の底面が露出する。
【0083】
図9(C)に示すように、ハードマスク膜220’から露出した基板11’を所定深さまで加工して、溝12’の底面から下方に延びる孔13’を形成する。ハードマスク膜220’から露出した基板11’は段差を有するため、孔13’の底面には、孔13’の底面をY方向に跨る凹部13r’が形成されてしまう。このような凹部13r’が、半導体装置に形成されるビアにも転写されてしまうことで、ビアの底面に凹凸が生じ、下層配線との接続不良等を起こしてしまう恐れがある。
【0084】
また、上述のように、レジスト膜120’のパターン123’が形成される際に、基板11’に形成された溝12’との位置ずれや寸法ばらつきが生じていた場合、1つの溝12’と重なる位置に形成された孔13’と隣の溝12’との距離が近づきすぎてしまう恐れがある。このような転写用パターンを有するマスタテンプレート10’を用いることで、半導体装置に形成されるビアと隣接配線との間でショートが発生してしまう恐れがある。
【0085】
実施形態1のマスタテンプレート10の製造方法によれば、基板11の面11aに、X方向に略一定の幅を有し、X方向に上記の幅より広い幅を有する部分112gを介在させてY方向に延びるパターン112aをレジスト膜110に形成する。このレジスト膜110にしたがって、部分12gを有する溝12を基板11に形成することで、実質的に平坦な底面13bを有する孔13を有するマスタテンプレート10を製造することができる。
【0086】
これにより、マスタテンプレート10及びレプリカテンプレート20を用いて、実質的に平坦な底面93bを有するビア93を半導体装置40の被加工膜41に形成することができる。よって、例えばビア93と下層配線との接続不良を抑制することができる。
【0087】
実施形態1のマスタテンプレート10の製造方法によれば、溝12の部分12gと重なる位置に、溝12の部分12sの幅より広く、部分12gの幅より狭い幅のパターン123をレジスト膜120に形成する。このレジスト膜120にしたがって、基板11に孔13を形成することで、溝12の部分12gの領域内に収まるように孔13を形成することができる。
【0088】
これにより、マスタテンプレート10及びレプリカテンプレート20を用いて、所望の配線92間隔を有するデュアルダマシンパターン94を半導体装置40の被加工膜41に形成することができる。よって、1つの配線92と重なる位置に配置されるビア93と、隣接する配線92とのショートを抑制しつつ、配線92の幅よりも径の大きなビア93を形成することができる。
【0089】
(変形例)
上述の実施形態1では、2種類のEB描画データ74w,74vのうち、EB描画データ74wを先に用いて基板11に溝12を形成し、その後、EB描画データ74vを用いて基板11に孔13を形成することとした。しかし、この工程順は入れ替え可能である。変形例のマスタテンプレート10は、製造方法の工程順が上述の実施形態1とは異なる。
【0090】
図10~
図12は、実施形態1の変形例にかかるマスタテンプレート10の製造方法の手順の一例を示す図である。
図10~
図12においても、上述の
図2と一致するX方向およびY方向を便宜的に定める。なお、変形例のマスタテンプレート10の製造方法は、マスタテンプレート10の基板11に転写用パターン14を形成するパターン形成方法でもある。
【0091】
また、
図10~
図12の(A)~(C)は、順次、処理が進んでいく様子を示している。
図10~
図12の(A)~(C)にaが付された図は、その処理におけるマスタテンプレート10の面11a側の平面図である。
図10~
図12の(A)~(C)にbが付された図は、その処理におけるマスタテンプレート10のA-A線断面図である。
【0092】
図10(A)に示すように、ガラスや石英等の基板11の面11a上に、Cr等から構成されるハードマスク膜220を形成し、ハードマスク膜220上にEB描画用のレジスト膜120を形成する。
【0093】
また、上述のEB描画データ74vのパターン73をレジスト膜120に転写する。これにより、矩形であったパターン73は、EB描画の強度分布および現像の影響により略円形のパターン123としてレジスト膜120に転写される。
図10(A
0)は、上述の
図3(b)のEB描画データ74vの再掲である。
【0094】
図10(B)に示すように、レジスト膜120から露出したハードマスク膜220を除去することにより、レジスト膜110のパターン123をハードマスク膜220に転写してパターン223を形成する。
【0095】
図10(C)に示すように、ハードマスク膜220から露出した基板11を厚さ方向の所定深さまで加工することにより、ハードマスク膜220のパターン223を基板11の面11aに転写して、所定深さを有する孔13uを形成する。孔13uは、マスタテンプレート10の完成形において形成される孔13よりも到達深さの浅い孔である。
【0096】
図11(A)に示すように、基板11の面11aからハードマスク膜220を除去する。
【0097】
図11(B)に示すように、基板11の面11aに、新たにハードマスク膜210を形成する。ハードマスク膜210は、基板11の面11a及び孔13uの底面に形成される。
【0098】
図11(C)に示すように、ハードマスク膜210上にEB描画用のレジスト膜110を形成する。そして、上述のEB描画データ74wのパターン72a,72bをレジスト膜110に転写する。
図11(C
0)は、上述の
図3(a)のEB描画データ74wの再掲である。
【0099】
EB描画データ74wのパターン72a,72bが転写されることで、パターン112a,112bがレジスト膜110に形成される。このとき、矩形であったサブパターン72gは、EB描画の強度分布および現像の影響により略円形のサブパターン112gとしてレジスト膜110に転写される。
【0100】
また、上述のように、EB描画データ74wのサブパターン72gは、EB描画データ74vのパターン73より一回り大きく、パターン73と重なる位置に配置される。したがって、レジスト膜110のサブパターン112gは、レジスト膜120のパターン123が転写されることで形成された基板11の孔13uよりも一回り大きく、孔13uと重なる位置に形成される。
【0101】
これにより、レジスト膜110のサブパターン112g端部が、ハードマスク膜210に覆われた孔13uの縁部外周を取り囲むように配置されることとなる。換言すれば、レジスト膜110のサブパターン112gの内側に、ハードマスク膜210に覆われた孔13uの縁部が突出することとなる。
【0102】
ここで、EB描画データ74wのサブパターン72gをレジスト膜110に転写する際、EB描画データ74vのパターン73に基づき基板11に形成された孔13uとの位置ずれ及び寸法のばらつきが生じ得る。EB描画データ74wのサブパターン72gは、EB描画データ74vのパターン73よりも大きく設計されているので、このような位置ずれ及び寸法のばらつきが生じた場合でも、レジスト膜110のサブパターン112gは、基板11の孔13uが内側に収まるように形成される。
【0103】
換言すれば、EB描画データ74wのサブパターン72gは、EB描画データ74vのパターン73に対し、レジスト膜110のサブパターン112gの端部(エッジ)と基板11の孔13uの端部(エッジ)とに生じ得る最大エッジ位置ずれ量の分だけ大きく設計されている。
【0104】
図12(A)に示すように、レジスト膜110から露出したハードマスク膜210を除去することにより、レジスト膜110のパターン112a,112bをハードマスク膜210に転写して、パターン212a,212bを形成する。このとき、ハードマスク膜210のパターン212aが有するサブパターン212gの内側には、基板11の孔13uの縁部が露出する。
【0105】
図12(B)に示すように、ハードマスク膜210から露出した基板11の面11a並びに孔13uの縁部および底面を、基板11の厚さ方向の所定深さまで加工する。これにより、基板11の面11aから所定深さに掘り込まれた溝12が形成される。また、孔13uが更に掘り込まれた孔13が形成される。このとき、孔13の底面13bは、孔13を形成する際の加工公差の範囲内に凹凸が抑制された実質的な平坦面となっている。また、ハードマスク膜210のサブパターン212gの内側に突出していた孔13uの縁部が加工されることで、孔13の周囲を巡る段差13sが形成される。
【0106】
図6(C)に示すように、基板11の面11aから、残ったハードマスク膜210を除去する。
【0107】
以上により、面11aに転写用パターン14を備える変形例のマスタテンプレート10が製造される。
【0108】
このように、EB描画データ74w,74vの使用順を変えて工程を入れ替えても、上述の実施形態1と同一の構成を備える変形例のマスタテンプレート10を製造することができる。
【0109】
ただし、2つのレジスト膜110,120を用いるマスタテンプレート10の製造工程においては、2番目のレジスト膜が形成されるまで、基板11上の凹凸が小さく抑えられていることが好ましい。2番目のレジスト膜の基板11上における膜厚差を小さく抑えられるからである。実施形態1の製造方法によれば、2番目のレジスト膜120を形成するまで深掘りの孔13が形成されることなく、基板11の凹凸が小さいまま維持されるため、より理想的である。
【0110】
なお、上述の実施形態1及び変形例では、EB描画データ74vのパターン73をEB描画データ74wのサブパターン72gよりも小さく設定することで、溝12の部分12gよりも一回り小さな断面の孔13を形成することとした。
【0111】
しかし、2回目のレジスト膜に所定のパターンを形成する際、基板11にすでに形成済みのパターンとの位置合わせ精度および寸法制御の精度が充分に高い場合には、EB描画データ74vのパターン73をEB描画データ74wのサブパターン72gと等しいサイズに設定し、溝12の部分12gと略等しい大きさの断面を有する孔13を形成してもよい。
【0112】
このような手法によっても、実質的に平坦な底面13bを有する孔13を備えるマスタテンプレート10を製造することができる。なお、溝12の部分12gと略等しい大きさの断面を有する孔13を形成した場合には、孔13の周囲に段差13sは形成されない。
【0113】
また、上述の実施形態1及び変形例で示したマスタテンプレート10の転写用パターン14はあくまで一例であり、半導体装置40に形成する所望のデュアルダマシンパターン94に応じて、転写用パターンを種々のデザインとすることができる。例えば、マスタテンプレートの1つの溝に対して複数の孔が配置されていてもよい。
【0114】
[実施形態2]
以下、図面を参照して実施形態2について詳細に説明する。実施形態2においては、マスタテンプレート10を介さず、半導体装置40にデュアルダマシンパターン94を転写するテンプレートを製造する点が、上述の実施形態1のテンプレート20とは異なる。
【0115】
(テンプレートの構成例)
図13は、実施形態2にかかるテンプレート30の構成の一例を示す図である。
図13(a)はテンプレート30の平面図であり、
図13(b)はテンプレート30のA-A線断面図であり、
図13(c)はテンプレート30の斜視図である。
【0116】
また、
図13においては、説明の便宜上、テンプレート30の主面である面31a,31bに沿う第2の方向としてのX方向、及びX方向に直交し、テンプレート30の面31a,31bに沿う第1の方向としてのY方向を定める。
【0117】
図13に示すように、テンプレート30は、ガラスや石英等の透明部材から構成される平板状の基板31を備える。基板31は、第1の面としての面31aと、第2の面としての面31bとの2つの主面を備える。テンプレート30は、面31aに転写用パターン34を備える。
【0118】
転写用パターン34は、X方向に並んでY方向に延びる突出部32と、突出部32と重なる位置に配置される柱状部33とを有する。
【0119】
突出部32は、略平坦な上面と、上面のX方向両側に配置される側面とを有し、柱状部33が配置される部分32gと、それ以外の部分32sとを備える。X方向において、部分22gの幅は部分32sの幅よりも広い。
【0120】
突出部32の部分32gと重なる位置に配置される柱状部33は、基板31の面31aからの突出高さが突出部32の上面よりも高い上面33tを有する。柱状部33の上面33tは実質的に平坦である。ここで、実質的に平坦であるとは、後述するテンプレート30の製造工程において生じ得る加工公差の範囲内に収まる程度に平坦であることを意味する。
【0121】
柱状部33の高さ方向と直交する断面は、例えば円形、楕円形、または小判型であり、X方向において、柱状部33の径は、突出部32の部分32sの幅よりも広く、突出部32の部分32gよりも狭い。
【0122】
すなわち、柱状部33の断面形状は、例えば突出部32の部分32gと相似形をなして部分32gよりも一回り小さく構成されており、柱状部33は、突出部32の部分32gの略中心部に配置されている。これにより、柱状部33と突出部32との境界部分にあたる柱状部33の周囲には、段差33sが形成されている。
【0123】
上記の説明によれば、部分32gのX方向の幅と、柱状部33の径またはX方向の幅と、部分32sのX方向の幅とは、これらの記載順に小さくなっていく(部分の幅32g>柱状部33の径>部分32sの幅)。このとき、それぞれの構成の最大幅を比較するものとしてよい。
【0124】
(テンプレートの製造方法)
次に、
図14~
図17を用いて、実施形態2のテンプレート30の製造方法について説明する。
図14~
図17においても、上述の
図13と一致するX方向およびY方向を便宜的に定める。なお、実施形態2のテンプレート30の製造方法は、テンプレート30の基板31に転写用パターン34を形成するパターン形成方法でもある。
【0125】
図14は、実施形態2にかかるテンプレート30の製造に用いられるEB描画データ84w,84vの一例を示す図面である。
【0126】
図14(a)に示すように、EB描画データ84wはパターン82a,82bを有する。パターン82a,82bは互いにX方向に並んで配置され、共にY方向に延びている。パターン82aは、矩形のサブパターン82gを有する。X方向において、サブパターン82gの幅は、パターン82aのそれ以外の部分82sの幅よりも広い。パターン82bは、X方向において、いずれの部分82sの幅も、パターン82aの部分82sの幅と等しい。
【0127】
図14(b)に示すように、EB描画データ84vは、矩形のパターン83を備える。パターン83は、EB描画データ84wのサブパターン82gと重なる位置に配置され、X方向およびY方向において、サブパターン82gよりも若干小さな幅を有する。
【0128】
すなわち、EB描画データ84vのパターン83は、例えばEB描画データ84wのサブパターン82gと相似形をなしてサブパターン82gよりも一回り小さく構成されている。
【0129】
以上のように、EB描画データ84w,84vは、上述の実施形態1のEB描画データ74w,74vの反転パターンとなっており、EB描画データ84w,84vのそれぞれが備えるパターン82a,82b,83を除く領域に電子線が照射される。
【0130】
図15~
図17は、実施形態2にかかるテンプレート30の製造方法の手順の一例を示す図である。
図15~
図17の(A)~(C)は、順次、処理が進んでいく様子を示している。
図15~
図17の(A)~(C)にaが付された図は、その処理におけるテンプレート30の面31a側の平面図である。
図15~
図17の(A)~(C)にbが付された図は、その処理におけるテンプレート30のA-A線断面図である。
【0131】
図15(A)に示すように、ガラスや石英等の基板31の面31a’上に、Cr等から構成されるハードマスク膜230を形成し、ハードマスク膜230上にEB描画用のレジスト膜130を形成する。基板31の面31a’は、基板31を平板状に削り出し、または圧延した際の初期状態の主面であって、後に掘り下げられて略消失する面である。
【0132】
次に、上述のEB描画データ84wのパターン82a,82bをレジスト膜130に転写して、サブパターン132gを含むパターン132a、及びパターン132bを形成する。
図15(A
0)は、上述の
図14(a)のEB描画データ84wの再掲である。
【0133】
上述のように、EB描画データ84wのパターン82a,82bを除く位置に相当するレジスト膜130の領域に電子線が照射され、電子線を照射された領域のレジスト膜130が除去されて、残った部分のレジスト膜130がパターン132a,132bとなる。また、このとき、矩形であったサブパターン82gは、EB描画の強度分布および現像の影響により略円形のサブパターン132gとしてレジスト膜130に転写される。
【0134】
図15(B)に示すように、レジスト膜130のパターン132a,132bで保護された領域以外のハードマスク膜230を除去することにより、レジスト膜130のパターン132a,132bをハードマスク膜230に転写して、パターン232a,232bを形成する。
【0135】
図15(C)に示すように、ハードマスク膜230のパターン232a,232bで保護された領域以外の基板31を厚さ方向の所定深さまで加工することにより、ハードマスク膜230のパターン232a,232bを基板31に転写して、基板31の面31a’ ’から突出した突出部32’を形成する。基板31の面31a’ ’は、上述の面31a’が所定深さまで掘り下げられて、基板31の新たな主面となった面である。突出部32’は、X方向における幅が他の部分32s’よりも広い部分32g’を含む。
【0136】
図16(A)に示すように、基板31の面31a’ ’からハードマスク膜230を除去する。
【0137】
図16(B)に示すように、基板31の面31a’ ’に、新たにハードマスク膜240を形成する。ハードマスク膜240は、基板31の面31a’ ’及び各々の突出部32 ’の上面に形成される。
【0138】
図16(C)に示すように、ハードマスク膜240上にEB描画用のレジスト膜140を形成する。そして、上述のEB描画データ84vのパターン83をレジスト膜140に転写して、パターン143を形成する。
図16(C
0)は、上述の
図14(b)のEB描画データ84vの再掲である。
【0139】
上述のように、EB描画データ84vのパターン83を除く位置に相当するレジスト膜140の領域に電子線が照射され、電子線を照射された領域のレジスト膜140が除去されて、残った部分のレジスト膜140がパターン143となる。また、このとき、矩形であったパターン83は、EB描画の強度分布および現像の影響により略円形のパターン143としてレジスト膜140に転写される。
【0140】
また、上述のように、EB描画データ84vのパターン83は、EB描画データ84wのサブパターン82gより一回り小さく、サブパターン82gと重なる位置に配置される。したがって、レジスト膜140のパターン143は、レジスト膜130のサブパターン132gが転写されることで形成された基板31の突出部32の部分32gよりも一回り小さく、突出部32の部分32gと重なる位置に形成される。
【0141】
これにより、レジスト膜140のパターン143端部が、ハードマスク膜240で覆われた突出部32の部分32gの内側の領域に収まるように配置されることとなる。換言すれば、レジスト膜140のパターン143端部から、ハードマスク膜240で覆われた突出部32の部分32gの縁部がはみ出した状態となる。
【0142】
ここで、EB描画データ84vのパターン83をレジスト膜140に転写する際、EB描画データ84wに基づき基板31に形成された突出部32との位置ずれ及び寸法のばらつきが生じ得る。EB描画データ84vのパターン83は、EB描画データ84wのサブパターン82gよりも小さく設計されているので、このような位置ずれ及び寸法のばらつきが生じた場合でも、レジスト膜140のパターン143は、基板31の突出部32の部分32gの範囲内に収まるように形成される。
【0143】
換言すれば、EB描画データ84vのパターン83は、EB描画データ84wのサブパターン82gに対し、レジスト膜140のパターン143の端部(エッジ)と基板31の突出部32の部分32gの端部(エッジ)とに生じ得る最大エッジ位置ずれ量の分だけ小さく設計されている。
【0144】
図17(A)に示すように、レジスト膜140のパターン143で保護された領域以外のハードマスク膜240を除去することにより、レジスト膜140のパターン143をハードマスク膜240に転写してパターン243を形成する。
【0145】
これにより、ハードマスク膜240のパターン243を除く基板31の面31a’ ’及び突出部32’の上面が露出する。このとき、ハードマスク膜240のパターン243の周囲に、基板31の突出部32’の部分32g’の縁部が円環状に露出する。
【0146】
図17(B)に示すように、ハードマスク膜240のパターン243で保護された領域以外の基基板31の面31a’ ’及び突出部32’を、基板31の厚さ方向の所定深さまで加工する。これにより、ハードマスク膜240のパターン243を基板31に転写する。
【0147】
ハードマスク膜240のパターン243が転写されることで、基板31の面31a’ ’及び突出部32’が略均等に掘り下げられて、面31aから突出する突出部32が形成される。また、ハードマスク膜240のパターン243で保護された領域は柱状部33となる。柱状部33の基部の周囲は、突出部32の部分32gで取り囲まれており、これにより、段差33sが形成される。
【0148】
図17(C)に示すように、基板31の柱状部33の上面33tから、ハードマスク膜240を除去する。ここで、柱状部33の上面33tは、当初の基板31における初期状態のままの面31a’が維持された面である。したがって、柱状部33の上面33tは、当初の基板31の面31a’を削り出し、または、圧延した際の加工公差の範囲内に凹凸が抑制された実質的な平坦面となっている。
【0149】
以上により、面31aに転写用パターン34を備える実施形態2のテンプレート30が製造される。
【0150】
これ以降、テンプレート30の転写用パターン34が半導体装置40の被加工膜41に転写される。また、被加工膜41のパターン44に導電材が充填される。以上により、上述の
図7に示したように、半導体装置40の被加工膜41に、配線92及びビア93を備えるデュアルダマシンパターン94が形成される。
【0151】
(比較例)
半導体装置40に直接的にデュアルダマシンパターン94を転写する比較例のテンプレートは、例えば上述の実施形態1の比較例のマスタテンプレート10’の製造に用いたEB描画データ74w’,74v’の反転パターンを用いて製造することができる。
【0152】
しかしながら、この場合においても、比較例のテンプレートに形成される柱状部の上面は平坦な面とはならない。上述の比較例のマスタテンプレート10’において、孔13’の底面に凹部13r’が形成されてしまったように、比較例のテンプレートの柱状部の上面には、その反転パターンとなる突起部が形成されてしまう。
【0153】
また、比較例のテンプレートの製造方法においても、2回目のレジスト膜のパターンと、既にテンプレートの基板に形成されたパターンとの位置ずれ及び寸法ばらつきが生じる可能性があり、1つの突出部上に形成された柱状部が、隣の突出部と近づきすぎてしまう恐れがある。
【0154】
実施形態2のテンプレート30の製造方法によれば、基板31の面31a’に、X方向に略一定の幅を有し、X方向に上記の幅より広い幅を有する部分132gを介在させてY方向に延びるパターン132aをレジスト膜130に形成する。このレジスト膜130にしたがって、部分32g’を有する突出部32’を基板31に形成することで、実質的に平坦な上面33tを有する柱状部33を有するテンプレート30を製造することができる。
【0155】
これにより、テンプレート30を用いて、実質的に平坦な底面93bを有するビア93を半導体装置40の被加工膜41に形成することができる。よって、例えばビア93と下層配線との接続不良を抑制することができる。
【0156】
実施形態2のテンプレート30の製造方法によれば、突出部32の部分32gと重なる位置のレジスト膜140に、突出部32の部分32sの幅より広く、部分32gの幅より狭い幅のパターン143を形成する。このレジスト膜140にしたがって、基板31に柱状部33を形成することで、突出部32の部分32gの領域内に収まるように柱状部33を形成することができる。
【0157】
これにより、テンプレート30を用いて、所望の配線92間隔を有するデュアルダマシンパターン94を半導体装置40の被加工膜41に形成することができる。よって、1つの配線92と重なる位置に配置されるビア93と、隣接する配線92とのショートを抑制しつつ、配線92の幅よりも径の大きなビア93を形成することができる。
【0158】
(変形例)
上述の実施形態2のテンプレート30の製造方法においても、2種類のEB描画データ84w,84vの使用順を変更し、製造工程の順序を入れ替えることが可能である。変形例のテンプレート30は、製造方法の工程順が上述の実施形態2とは異なる。
【0159】
図18~
図20は、実施形態2の変形例にかかるテンプレート30の製造方法の手順の一例を示す図である。
図18~
図20においても、上述の
図13と一致するX方向およびY方向を便宜的に定める。なお、変形例のテンプレート30の製造方法は、テンプレート30の基板31に転写用パターン34を形成するパターン形成方法でもある。
【0160】
また、
図18~
図20の(A)~(C)は、順次、処理が進んでいく様子を示している。
図18~
図20の(A)~(C)にaが付された図は、その処理におけるテンプレート30の面31a側の平面図である。
図18~
図20の(A)~(C)にbが付された図は、その処理におけるテンプレート30のA-A線断面図である。
【0161】
図18(A)に示すように、ガラスや石英等の基板31の面31a’上に、Cr等から構成されるハードマスク膜240を形成し、ハードマスク膜240上にEB描画用のレジスト膜140を形成する。
【0162】
また、上述のEB描画データ84vのパターン83をレジスト膜140に転写する。これにより、矩形であったパターン83は、EB描画の強度分布および現像の影響により略円形のパターン143としてレジスト膜140に転写される。
図18(A
0)は、上述の
図14(b)のEB描画データ84vの再掲である。
【0163】
図18(B)に示すように、レジスト膜140のパターン143で保護された領域以外のハードマスク膜240を除去することにより、レジスト膜140のパターン143をハードマスク膜240に転写する。
【0164】
図18(C)に示すように、ハードマスク膜240のパターン243で保護された領域以外の基板31を厚さ方向の所定深さまで加工することにより、基板31の面31a’を掘り下げて面31a’ ’とし、面31a’ ’から所定高さに突出する柱状部33’を形成する。柱状部33’は、テンプレート30の完成形において形成される柱状部33よりも高さの低い柱状部である。
【0165】
図19(A)に示すように、基板31の柱状部33’の上面からハードマスク膜240を除去する。
【0166】
図19(B)に示すように、基板31の面31a’ ’及び柱状部33’の上面に、新たにハードマスク膜230を形成する。
【0167】
図19(C)に示すように、ハードマスク膜230上にEB描画用のレジスト膜130を形成する。そして、上述のEB描画データ84wのパターン82a,82bをレジスト膜130に転写する。
図19(C
0)は、上述の
図14(a)のEB描画データ84wの再掲である。
【0168】
EB描画データ84wのパターン82a,82bが転写されることで、パターン132a,132bがレジスト膜130に形成される。このとき、矩形であったサブパターン82gは、EB描画の強度分布および現像の影響により略円形のサブパターン132gとしてレジスト膜130に転写される。
【0169】
また、上述のように、EB描画データ84wのサブパターン82gは、EB描画データ84vのパターン83より一回り大きく、パターン83と重なる位置に配置される。したがって、レジスト膜130のサブパターン132gは、レジスト膜140のパターン143が転写されることで形成された基板31の柱状部33’よりも一回り大きく、柱状部33’と重なる位置に形成される。
【0170】
これにより、レジスト膜130のサブパターン132gの端部が、柱状部33’の側面外周を覆うように配置されることとなる。
【0171】
ここで、EB描画データ84wのサブパターン82gをレジスト膜130に転写する際、EB描画データ84vのパターン83に基づき基板31に形成された柱状部33’との位置ずれ及び寸法のばらつきが生じ得る。EB描画データ84wのサブパターン82gは、EB描画データ84vのパターン83よりも大きく設計されているので、このような位置ずれ及び寸法のばらつきが生じた場合でも、レジスト膜130のサブパターン132gは、基板31の柱状部33’が内側に収まるように形成される。
【0172】
換言すれば、EB描画データ84wのサブパターン82gは、EB描画データ84vのパターン83に対し、レジスト膜130のサブパターン132gの端部(エッジ)と基板31の柱状部33’の端部(エッジ)とに生じ得る最大エッジ位置ずれ量の分だけ大きく設計されている。
【0173】
図20(A)に示すように、レジスト膜130のパターン132a,132bで保護された領域以外のハードマスク膜230を除去することにより、レジスト膜130のパターン132a,132bをハードマスク膜230に転写して、パターン232a,232bを形成する。このとき、ハードマスク膜230のパターン232aが有するサブパターン232gは、基板31の柱状部33’の基部を取り囲むように円環状に形成される。
【0174】
図20(B)に示すように、ハードマスク膜230のパターン232a,232bで保護された領域以外の基板31の面31a’ ’を更に掘り下げる。これにより、基板31の面11aから所定高さに突出した突出部32及び柱状部33が形成される。また、柱状部33’の基部を円環状に取り囲んでいたハードマスク膜230のサブパターン232gにより、柱状部33の周囲を巡る段差33sが形成される。
【0175】
図20(C)に示すように、基板31の突出部32の上面および柱状部33の上面33t等から、残ったハードマスク膜230を除去する。ここで、柱状部33の上面33tは、当初の基板31における初期状態のままの面31a’が維持された面である。したがって、柱状部33の上面33tは、当初の基板31の面31a’を削り出し、または圧延した際の加工公差の範囲内に凹凸が抑制された実質的な平坦面となっている。
【0176】
以上により、面31aに転写用パターン34を備える変形例のテンプレート30が製造される。
【0177】
このように、EB描画データ84w,84vの使用順を変えて工程を入れ替えても、上述の実施形態2と同一の構成を備える変形例のテンプレート30を製造することができる。ただし、実施形態2の製造方法によれば、2番目のレジスト膜140を形成するまで基板31上に高く突出した柱状部33が形成されることなく、基板31の凹凸が小さいまま維持されるため、2番目のレジスト膜140の膜厚差が抑制されることとなり、より理想的である。
【0178】
なお、上述の実施形態2及び変形例では、EB描画データ84vのパターン83をEB描画データ84wのサブパターン82gよりも小さく設定することで、突出部32の部分32gよりも一回り小さな断面の柱状部33を形成することとした。
【0179】
しかし、2回目のレジスト膜に所定のパターンを形成する際、基板31にすでに形成済みのパターンとの位置合わせ精度および寸法制御の精度が充分に高い場合には、EB描画データ84vのパターン83をEB描画データ84wのサブパターン82gと等しいサイズに設定し、突出部32の部分32gと略等しい大きさの断面を有する柱状部33を形成してもよい。
【0180】
このような手法によっても、実質的に平坦な上面33tを有する柱状部33を有するテンプレート30を製造することができる。なお、突出部32の部分32gと略等しい大きさの断面を有する柱状部33を形成した場合には、柱状部33の周囲に段差33sは形成されない。
【0181】
また、上述の実施形態2及び変形例で示したテンプレート30の転写用パターン34はあくまで一例であり、半導体装置40に形成する所望のデュアルダマシンパターン94に応じて、転写用パターンを種々のデザインとすることができる。例えば、テンプレートの1つの突出部に対して複数の柱状部が配置されていてもよい。
【0182】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0183】
10…マスタテンプレート、11,21,31…基板、11a,31a…面、12…溝、13…孔、13s,33s…段差、14,24,34…転写用パターン、20…レプリカテンプレート、30…テンプレート、32…突出部、33…柱状部、40…半導体装置、74v,74w,84v,84w…EB描画データ、92…配線、93…ビア、94…デュアルダマシンパターン。