(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20240325BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20240325BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20240325BHJP
H01L 23/522 20060101ALI20240325BHJP
H10B 10/00 20230101ALI20240325BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20240325BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20240325BHJP
【FI】
H01L21/66 Y
H01L21/88 S
H01L21/90 D
H10B10/00
H01L27/04 T
(21)【出願番号】P 2020172966
(22)【出願日】2020-10-14
【審査請求日】2023-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】富澤 友博
【審査官】正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-122367(JP,A)
【文献】特開平10-209468(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0133287(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0179673(US,A1)
【文献】特開平06-338549(JP,A)
【文献】特開2010-098111(JP,A)
【文献】米国特許第05889306(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
H01L 21/3205
H01L 21/768
H10B 10/00
H01L 21/822
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)第1領域および第2領域を含む主面を有し、かつ、半導体基板と前記半導体基板上の絶縁層と前記絶縁層上の半導体層との積層構造を有するSOI(Silicon On Insulator)基板を準備する工程、
(b)前記(a)工程後、前記SOI基板の前記半導体層および前記絶縁層を貫通して前記半導体基板に達する溝に埋め込まれた素子分離領域を形成する工程、
(c)前記(b)工程後、前記第1領域の前記半導体層に、ある回路を構成する第1MISFETを形成し、前記第2領域の前記半導体層に、VC(Voltage contrast)検査用のTEG(Test Elemental Group)を構成する第2MISFETを形成する工程、
(d)前記SOI基板の前記主面上に、前記第1MISFETおよび前記第2MISFETを覆うように、第1層間絶縁膜を形成する工程、
(e)前記第1領域に位置する前記第1層間絶縁膜に複数の第1コンタクトホールを形成し、前記第2領域に位置する前記第1層間絶縁膜に複数の第2コンタクトホールを形成する工程、
(f)前記複数の第1コンタクトホールに、前記回路を構成する複数の第1コンタクトプラグをそれぞれ形成し、前記複数の第2コンタクトホールに、前記TEGを構成する複数の第2コンタクトプラグをそれぞれ形成する工程、
を有し、
前記複数の第2コンタクトプラグは、前記第2領域に位置する前記半導体層と、前記第2領域に位置する前記半導体基板との両方に電気的に接続された第3コンタクトプラグを含
み、
前記第3コンタクトプラグは、前記半導体基板に到達し、
前記第3コンタクトプラグは、平面視において、前記半導体層と前記半導体層の周囲を囲む前記素子分離領域との境界に形成される、半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
(g)前記
(f)工程後、VC検査を行う工程、
を更に有する、半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項
1記載の半導体装置の製造方法において、
前記複数の第2コンタクトプラグは、前記第2領域の前記半導体層上に形成されて前記第2領域の前記半導体層に電気的に接続された第4コンタクトプラグを含み、
前記第4コンタクトプラグは前記半導体基板に到達していない、半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項
3記載の半導体装置の製造方法において、
前記複数の第2コンタクトホールのうち、前記第3コンタクトプラグが埋め込まれている前記第2コンタクトホールの平面寸法は、前記第4コンタクトプラグが埋め込まれている前記第2コンタクトホールの平面寸法よりも大きい、半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項
1記載の半導体装置の製造方法において、
前記複数の第2コンタクトホールは、前記第2領域の前記半導体層と前記半導体基板とを露出する第3コンタクトホールを含み、前記第3コンタクトプラグは前記第3コンタクトホールに埋め込まれている、半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項
1記載の半導体装置の製造方法において、
平面視において周囲を前記素子分離領域で囲まれた前記半導体層の四隅に、それぞれ前記第3コンタクトプラグが形成される、半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項
1記載の半導体装置の製造方法において、
平面視において周囲を前記素子分離領域で囲まれた前記半導体層の四辺に、それぞれ前記第3コンタクトプラグが形成される、半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記複数の第1コンタクトプラグは、前記第1領域の前記半導体層と電気的に接続された第5コンタクトプラグを含み、かつ、前記第1領域の前記半導体層と前記半導体基板との両方に電気的に接続されたコンタクトプラグは含まない、半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2領域は、前記SOI基板のスクライブ領域に含まれる、半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1領域は、前記SOI基板のチップ領域に含まれる、半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記
(f)工程後、
(f1)前記
第1層間絶縁膜上に、第1配線層を形成する工程、
(f2)前記第1配線層上に、第2配線層を形成する工程、
を更に有し、
前記
(c)工程では、前記第2領域の前記半導体層上に、前記TEGを構成するダミーの第3MISFETが形成され、
前記第2MISFETは、第1ゲート電極を含み、
前記第3MISFETは、第2ゲート電極を含み、
前記複数の第2コンタクトプラグは、前記第1ゲート電極に電気的に接続された第1のゲート用プラグと、前記第2ゲート電極に電気的に接続された第2のゲート用プラグとを含み、
前記第1配線層は、前記第1のゲート用プラグに電気的に接続された第1のゲート配線と、前記第2のゲート用プラグに電気的に接続された第2のゲート配線とを含み、
前記第1のゲート配線と前記第2のゲート配線とは、互いに分離されており、
前記第2配線層に含まれる第3のゲート配線を介して、前記第1のゲート配線と前記第2のゲート配線とが電気的に接続される、半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項
11記載の半導体装置の製造方法において、
(g)前記
(f2)工程後、前記第2配線層を除去した状態で、VC検査を行う工程、
を更に有する、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、例えば、コンタクトプラグを有する半導体装置の製造技術に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置では高い信頼性を得るため、配線、ビア、コンタクトプラグなどの形成不良の撲滅が課題となっている。プロセス起因の形成不良として確率の高いものには、コンタクトプラグ関連の不良がある。たとえば、コンタクトプラグの底部の埋め込み不良または変質などによる高抵抗起因の不良などである。
【0003】
コンタクトプラグの形成不良を検査する場合には、例えば検査用に形成され、半導体基板にコンタクトプラグを接続した構成を含むTEG(Test Elemental Group)に電子線を照射し、コンタクトプラグと半導体基板との導通を検査する方法が知られている。この方法は、VC(Voltage contrast)検査と呼ばれている。
【0004】
特開2015-122367号公報(特許文献1)には、VC検査に関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
コンタクトプラグを有する半導体装置においても、信頼性を向上させることが望まれる。
【0007】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施の形態によれば、半導体装置の製造方法は、(a)半導体基板と前記半導体基板上の絶縁層と前記絶縁層上の半導体層との積層構造を有するSOI基板を準備する工程、(b)第1領域の前記半導体層に、ある回路を構成する第1MISFETを形成し、第2領域の前記半導体層に、VC検査用のTEGを構成する第2MISFETを形成する工程、を有する。半導体装置の製造方法は、更に、(c)前記SOI基板の主面上に第1層間絶縁膜を形成する工程、(d)前記第1領域に位置する前記第1層間絶縁膜に複数の第1コンタクトホールを形成し、前記第2領域に位置する前記第1層間絶縁膜に複数の第2コンタクトホールを形成する工程、を有する。半導体装置の製造方法は、更に、(e)前記複数の第1コンタクトホールに、前記回路を構成する複数の第1コンタクトプラグをそれぞれ形成し、前記複数の第2コンタクトホールに、前記TEGを構成する複数の第2コンタクトプラグをそれぞれ形成する工程、を有する。前記複数の第2コンタクトプラグは、前記第2領域に位置する前記半導体層と、前記第2領域に位置する前記半導体基板との両方に電気的に接続された第3コンタクトプラグを含む。
【発明の効果】
【0009】
一実施の形態によれば、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施の形態(実施の形態1)の半導体装置の製造工程で用いられるSOI基板の平面図である。
【
図2】一実施の形態(実施の形態1)の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図3】
図2に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図4】
図3に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図5】
図4に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図6】
図5に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図7】
図6に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図8】
図7に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図9】
図8に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図10】
図9に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図11】
図10に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図12】
図11に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図13】
図12に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図14】
図13に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図15】
図14に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図16】
図15に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図17】
図15に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図18】第1検討例の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図19】第2検討例の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図20】一実施の形態(実施の形態1)の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図21】第3検討例の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図22】TEGの平面レイアウトの一例を示す平面図である
【
図23】TEGの平面レイアウトの他の一例を示す平面図である
【
図24】他の実施の形態(実施の形態2)の半導体装置の製造工程中の要部平面図である。
【
図25】他の実施の形態(実施の形態2)の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図26】他の実施の形態(実施の形態2)の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図27】他の実施の形態(実施の形態2)の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図28】第4検討例の半導体装置の製造工程中の要部平面図である。
【
図29】第4検討例の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図30】他の実施の形態(実施の形態2)の変形例を示す半導体装置の製造工程中の要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0012】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0013】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0014】
(実施の形態1)
本実施の形態1の半導体装置の製造工程を、図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態1の半導体装置の製造工程で用いられるSOI基板の平面図であり、
図2~
図17は、本実施の形態1の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【0015】
まず、
図1および
図2に示されるように、SOI(SOI:Silicon On Insulator)基板1を用意(準備)する。
【0016】
図2からも分かるように、SOI基板1は、支持基板としての半導体基板(支持基板)SBと、半導体基板SBの主面上に形成された絶縁層(埋め込み絶縁膜)BXと、絶縁層BXの上面上に形成された半導体層SMと、を有している。
【0017】
半導体基板SBは、絶縁層BXと絶縁層BXよりも上の構造とを支持する支持基板であるが、半導体基板でもある。半導体基板SBは、好ましくは単結晶シリコン基板であり、例えばp型の単結晶シリコンからなる。例えば、1Ωcm~10Ωcm程度の比抵抗を有する単結晶シリコンにより、半導体基板SBを形成することができる。半導体基板SBの厚みは、例えば700μm~750μm程度とすることができる。絶縁層BXは、好ましくは酸化シリコン膜であり、絶縁層BXの厚さは、例えば10nm~20nm程度とすることができる。絶縁層BXが酸化シリコン膜の場合、絶縁層BXは、埋め込み酸化膜、すなわちBOX(Buried Oxide)層とみなすこともできる。半導体層SMは、単結晶シリコンなどからなる。例えば、1Ωcm~10Ωcm程度の比抵抗を有する単結晶シリコンにより、半導体層SMを形成することができる。支持基板である半導体基板SBの厚さに比べて半導体層SMの厚さは薄く、半導体層SMの厚さは、例えば15nm~25nm程度とすることができる。これら半導体基板SB、絶縁層BXおよび半導体層SMにより、SOI基板1が形成されている。
【0018】
SOI基板1の製造方法に制限はないが、例えば、SIMOX(Silicon Implanted Oxide)法、貼り合わせ法またはスマートカットプロセスなどを用いて、SOI基板1を製造することができる。
【0019】
この段階のSOI基板1は、略円盤状のウエハ(半導体ウエハ)の状態である。
【0020】
ここで、
図1に示されるように、SOI基板1は、そこから半導体チップ(半導体装置)が取得される予定の領域であるチップ領域(半導体チップ領域、半導体装置領域)CRと、各チップ領域CRの間のスクライブ領域(切断領域)SRとを有しており、各チップ領域CRは、平面視でスクライブ領域SRに囲まれている。すなわち、SOI基板1においては、複数のチップ領域CRがアレイ状に配列しており、アレイ状に配列するチップ領域CRの間の領域が、スクライブ領域SRに対応している。従って、SOI基板1において、アレイ状に配列する複数のチップ領域CRは、スクライブ領域SRによって区画されている。ダイシング工程(切断工程)において、スクライブ領域SRに沿ってSOI基板1を切断(ダイシング)することにより、各チップ領域CRが個片化されて、半導体チップ(半導体装置)となる。チップ領域CRとスクライブ領域SRとは、同一のSOI基板1の主面における互いに異なる平面領域に対応している。
【0021】
図2~
図17には、SOI基板1において、種々の回路が形成される回路領域Aと、TEGが形成されるTEG領域1Bのぞれぞれの要部断面図が示されている。
【0022】
回路領域1Aには、種々の回路を構成する半導体素子、例えばSRAM(Static Random Access Memory)などが形成され、TEG領域1Bには、例えばVC検査用のTEGが形成される。TEG領域1Bに形成されるVC検査用のTEGは、例えば、SRAM構造を有するTEGとすることができる。回路領域1Aは、チップ領域CRに含まれており、各チップ領域CRが個片化されて半導体チップが製造されると、回路領域1Aは、その半導体チップに含まれることになる。回路領域1Aに形成されるMISFET2は、製品としての半導体チップで使用され得るMISFETである。すなわち、回路領域1Aに形成されるMISFET2は、ある回路(ここでは、SRAM回路)を構成するトランジスタである。TEG領域1Bは、スクライブ領域SRに含まれており、各チップ領域CRが個片化されて半導体チップが製造されると、TEG領域1Bは、その半導体チップには含まれないことになる。TEG領域1Bに形成されるMISFET3は、VC検査用のTEGを構成するMISFET(所謂、ダミートランジスタ)であり、製品としての半導体チップで使用され得るMISFETではない。
【0023】
次に、
図3に示されるように、SOI基板1に素子分離領域STを形成する。
【0024】
素子分離領域STを形成するには、例えば、SOI基板1(半導体層SM)の主面に、半導体層SMおよび絶縁層BXを貫通して底部が基板SBに達する素子分離溝ST1を、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術などを用いて形成する。素子分離溝ST1は、半導体層SMおよび絶縁層BXを貫通し、素子分離溝ST1の底部が基板SBに到達している(基板SBの厚みの途中に素子分離溝ST1の底部が位置している)ため、素子分離溝ST1の底部では、基板SBが露出される。それから、この素子分離溝ST1に、成膜技術およびCMP技術などを用いて絶縁膜を埋め込むことで、素子分離領域STを形成することができる。例えば、SOI基板1の主面上に、素子分離溝ST1を埋めるように絶縁膜を形成してから、素子分離溝ST1の外部のその絶縁膜をCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学機械研磨)法などにより除去することで、素子分離溝ST1に埋め込まれた絶縁膜からなる素子分離領域STを形成することができる。素子分離領域STは、SOI基板1において、回路領域1AとTEG領域1Bの両方に形成される。
【0025】
SOI基板1においては、素子分離領域STを形成したことで、半導体層SMは、複数の区画(すなわち活性領域)に分割され、それぞれの活性領域を構成する半導体層SMは、素子分離領域STにより周囲を囲まれた状態となっている。そして、各活性領域を構成する半導体層SMに、以下の工程によりMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)が形成される。
【0026】
次に、
図4に示されるように、SOI基板1の主面上に、すなわち半導体層SMの主面上に、ゲート絶縁膜GFを介してゲート電極GEを形成する。ゲート電極GEの上部には、ゲート電極GEと同じ平面形状の絶縁膜CPが形成されていてもよい。
【0027】
ゲート絶縁膜GFおよびゲート電極GE形成工程の具体例について説明する。まず、SOI基板1の主面上に、すなわち半導体層SMの主面上に、ゲート絶縁膜GF用の絶縁膜を形成してから、この絶縁膜上にゲート電極GE用の導電膜(例えばポリシリコン膜)を形成し、この導電膜上に絶縁膜(後で絶縁膜CPとなる絶縁膜)を形成する。それから、ゲート電極GE用の導電膜とその上の絶縁膜との積層膜を、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いてパターニングすることにより、パターニングされた導電膜からなるゲート電極GEを形成することができる。ゲート電極GEと半導体層SMとの間には、ゲート絶縁膜GF用の絶縁膜が残存し、これがゲート絶縁膜GFとなる。また、ゲート電極GE上には、ゲート電極GEとほぼ同じ平面形状にパターニングされた絶縁膜CPが形成されている状態となる。また、ゲート絶縁膜GF用の絶縁膜のうち、ゲート電極GEで覆われた部分以外は、ゲート電極GE用の導電膜のパターニング工程で行うドライエッチングや、あるいはそのドライエッチング後にウェットエッチングを行うことによって除去され得る。
【0028】
ゲート絶縁膜GFおよびゲート電極GEは、SOI基板1において、回路領域1AとTEG領域1Bの両方に形成される。回路領域1Aに形成されたゲート絶縁膜GFおよびゲート電極GEは、種々の回路を構成するMISFET2のゲート絶縁膜およびゲート電極に対応し、TEG領域1Bに形成されたゲート絶縁膜GFおよびゲート電極GEは、TEGを構成するMISFET3のゲート絶縁膜およびゲート電極に対応する。
【0029】
次に、
図5に示されるように、回路領域1AおよびTEG領域1Bのそれぞれにおいて、ゲート電極GEの側壁上に、側壁絶縁膜としてサイドウォールスペーサ(サイドウォール、側壁絶縁膜)SW1を形成する。サイドウォールスペーサSW1は、酸化シリコン膜などからなる絶縁膜IL1と、窒化シリコン膜などからなる絶縁膜IL2との積層膜からなる。サイドウォールスペーサSW1は、例えば、SOI基板1(具体的には、半導体層SM)の主面上に、ゲート電極GEを覆うように、絶縁膜IL1とその上の絶縁膜IL2とからなる積層膜を形成した後、その積層膜を異方性エッチング技術によりエッチバックすることにより、形成することができる。
【0030】
次に、
図6に示されるように、回路領域1AおよびTEG領域1Bのそれぞれにおいて、半導体層SMのうちのゲート電極GEおよびサイドウォールスペーサSW1で覆われない部分上に(すなわち半導体層SMの露出面上に)、エピタキシャル成長法により半導体層(エピタキシャル層)EPを形成する。このため、半導体層EPは、半導体層SMのうち、ゲート電極GEとサイドウォールスペーサSW1とからなる構造体の両側に位置する領域上に形成される。半導体層EPは、例えばシリコン(単結晶シリコン)からなる。
【0031】
なお、半導体層SMとその半導体層SM上に形成された半導体層EPとを合わせたものを、以下では、半導体層SM1と称することとする。他の形態として、半導体層EP形成工程を省略した場合は、サイドウォールスペーサSW1形成工程も省略することができ、また、以下の説明において、「半導体層SM1」を「半導体層SM」と読み替えることができる。
【0032】
次に、
図7に示されるように、サイドウォールスペーサSW1を構成する絶縁膜IL2を、エッチングにより除去する。このエッチングの際、サイドウォールスペーサSW1を構成していた絶縁膜IL1は、エッチングストッパ膜として機能させて、残存させる。この際、ゲート電極GE上の絶縁膜CPを除去することもできる。他の形態として、サイドウォールスペーサSW1全体を除去することもできる。
【0033】
次に、
図8に示されるように、回路領域1AおよびTEG領域1Bのそれぞれにおいて、半導体層SM1におけるゲート電極GEの両側の領域に、リン(P)またはヒ素(As)などのn型の不純物をイオン注入することにより、n
-型半導体領域(エクステンション領域、LDD領域)EXを形成する。このイオン注入では、ゲート電極GEがマスク(イオン注入阻止マスク)として機能することができる。
【0034】
次に、
図9に示されるように、ゲート電極GEの側壁上に、側壁絶縁膜としてサイドウォールスペーサSW2を形成する。サイドウォールスペーサSW2は、例えば、SOI基板1の主面(主面全面)上に、ゲート電極GEおよび半導体層EPを覆うように、サイドウォールスペーサSW2形成用の絶縁膜を形成してから、その絶縁膜を異方性エッチング技術によりエッチバックすることにより、形成することができる。サイドウォールスペーサSW2は、SOI基板1において、回路領域1AとTEG領域1Bの両方に形成される。絶縁膜IL1が残存していた場合は、ゲート電極GEの側壁上に、絶縁膜IL1を介してサイドウォールスペーサSW2が形成されるが、絶縁膜IL1とサイドウォールスペーサSW2とを合わせたものを、サイドウォールスペーサ(側壁絶縁膜)とみなすこともできる。
【0035】
次に、
図10に示されるように、回路領域1AおよびTEG領域1Bのそれぞれにおいて、半導体層SM1におけるゲート電極GEおよびサイドウォールスペーサSW2の両側の領域に、リン(P)またはヒ素(As)などのn型の不純物をイオン注入することにより、n
+型半導体領域(ソース・ドレイン領域)SDを形成する。このイオン注入では、ゲート電極GEおよびサイドウォールスペーサSW2がマスク(イオン注入阻止マスク)として機能することができる。なお、ゲート電極GEおよびサイドウォールスペーサSW2の両側に形成された2つ(一対)のn
+型半導体領域SDのうち、一方はMISFETを構成するソース領域であり、他方はMISFETを構成するドレイン領域である。
【0036】
n-型半導体領域EX形成用のイオン注入では、ゲート電極GEで覆われていない部分の半導体層SM1にn型不純物が注入され、n+型半導体領域SD形成用のイオン注入では、ゲート電極GEおよびサイドウォールスペーサSW2で覆われない部分の半導体層SM1にn型不純物が注入される。n+型半導体領域SDは、n-型半導体領域EXよりも、n型不純物濃度が高い。n-型半導体領域EXおよびn+型半導体領域SDにより、MISFETのソースまたはドレイン用の半導体領域が形成される。
【0037】
回路領域1Aに形成されたn-型半導体領域EXおよびn+型半導体領域SDは、種々の回路を構成するMISFET2のソース・ドレイン領域に対応し、TEG領域1Bに形成されたn-型半導体領域EXおよびn+型半導体領域SDは、TEGを構成するMISFET3のソース・ドレイン領域に対応する。
【0038】
次に、必要に応じて、n+型半導体領域SDおよびn-型半導体領域EXなどに導入された不純物を活性化するための熱処理である活性化アニールを行う。
【0039】
次に、
図11に示されるように、サリサイド(Salicide:Self Aligned Silicide)技術により、n
+型半導体領域SDの表面(上層部)、すなわち半導体層EPの表面(上層部)と、ゲート電極GEの表面(上層部)とに、低抵抗の金属シリサイド層(金属化合物層)MSを形成する。
【0040】
金属シリサイド層MS形成工程は、例えば次のようにして行うことができる。すなわち、まず、ゲート電極GE、サイドウォールスペーサSW2およびn+型半導体領域SDを覆うように、SOI基板1の主面(全面)上に、金属膜を形成してから、熱処理を行うことにより、金属(金属膜)と半導体(ゲート電極および半導体層EP)との反応層(化合物層)である金属シリサイド層MSが形成される。その後、未反応の金属膜は除去する。金属シリサイド層MSは、SOI基板1において、回路領域1AとTEG領域1Bの両方に形成される。
【0041】
このようにして、回路領域1Aに、種々の回路を構成するMISFET2が形成され、TEG領域1Bには、VC検査用のTEGを構成するダミーのMISFET3が形成される。
【0042】
次に、
図12に示されるように、SOI基板1の主面(主面全面)上に、ゲート電極GE、半導体層SM1、サイドウォールスペーサSW2および金属シリサイド層MSを覆うように、層間絶縁膜として絶縁膜(層間絶縁膜)L1を形成する。絶縁膜L1は、SOI基板1の主面全面に形成されるため、回路領域1AとTEG領域1Bの両方に形成される。
【0043】
絶縁膜L1は、例えば、窒化シリコン膜とその窒化シリコン膜上の酸化シリコン膜(窒化シリコン膜よりも厚い酸化シリコン膜)との積層膜、あるいは、酸化シリコン膜の単体膜などを用いることができる。
【0044】
絶縁膜L1の形成後、必要に応じて、絶縁膜L1の上面をCMP法で研磨するなどして絶縁膜L1の上面の平坦性を高めることもできる。
【0045】
次に、
図13に示されるように、絶縁膜L1上に形成したフォトレジストパターン(図示せず)をエッチングマスクとして用いて、絶縁膜L1をエッチング(好ましくはドライエッチング)することにより、絶縁膜L1にコンタクトホール(貫通孔、孔)CTを形成する。コンタクトホールCTは、絶縁膜L1を貫通するように形成される。コンタクトホールCTは、SOI基板1において、回路領域1AとTEG領域1Bの両方に形成される。回路領域1Aにおいて、コンタクトホールCTは、ゲート電極GE上やn
+型半導体領域SD上に形成され、また、TEG領域1Bにおいて、コンタクトホールCTは、ゲート電極GE上やn
+型半導体領域SD上に形成される。
【0046】
ここで、コンタクトホールCTのうち、回路領域1Aにおいて、n+型半導体領域SD上に形成されたコンタクトホールCTを、符号C1sを付してコンタクトホールC1sと称し、回路領域1Aにおいて、ゲート電極GE上に形成されたコンタクトホールCTを、符号C1gを付してコンタクトホールC1gと称することとする。また、コンタクトホールCTのうち、TEG領域1Bにおいて、n+型半導体領域SD上に形成されたコンタクトホールCTを、符号C2sを付してコンタクトホールC2sと称し、TEG領域1Bにおいて、ゲート電極GE上に形成されたコンタクトホールCTを、符号C2gを付してコンタクトホールC2gと称することとする。
【0047】
TEG領域1Bに形成されたコンタクトホールCTは、半導体基板SBに到達するコンタクトホールCTを含んでいる。以下では、TEG領域1Bにおいて、半導体基板SBに到達するコンタクトホールCTを、符号C2aを付して、コンタクトホールC2aと称することとする。コンタクトホールC2aは、半導体基板SBに到達しており、コンタクトホールC2aの底部では、半導体基板SBの一部が露出されているが、コンタクトホールC1g,C1s,C2g,C2sは、半導体基板SBには到達しておらず、コンタクトホールC1g,C1s,C2g,C2sでは、半導体基板SBは露出されていない。
【0048】
コンタクトホールCT形成工程では、絶縁膜L1がエッチングされてコンタクトホールCTが絶縁膜L1を貫通すると、コンタクトホールCTの底部では、金属シリサイド層MSが露出される。コンタクトホールCT形成工程では、絶縁膜L1に比べて金属シリサイド層MSおよび半導体層EP,SMがエッチングされにくい条件で、エッチングを行うため、コンタクトホールCTの底部で金属シリサイド層MS、半導体層EPまたは半導体層SMが露出されても、それら(金属シリサイド層MS、半導体層EP、半導体層SM)はほとんどエッチングされずに残存する。
【0049】
しかしながら、コンタクトホールC2aは、平面視において、素子分離領域STと半導体層SM(活性領域)との境界に重なる位置に形成される。別の見方をすると、コンタクトホールC2aは、平面視において、一部が半導体層SM(活性領域)と重なり、他の一部が素子分離領域STと重なる位置に形成される。このため、コンタクトホールCT形成工程では、絶縁膜L1がエッチングされてコンタクトホールC2aが絶縁膜L1を貫通すると、コンタクトホールC2aの底部では、金属シリサイド層MSだけでなく、素子分離領域STも露出されることになるが、この露出した素子分離領域STもエッチングされ得る。なぜなら、コンタクトホールCT形成工程では、金属シリサイド層MSおよび半導体層EP,SMに比べて素子分離領域STがエッチングされやすい条件で、エッチングが行われるためである。このため、コンタクトホールC2aの底部で露出した素子分離領域STもエッチングされることで、コンタクトホールC2aの底部の深さ位置は、半導体基板SBと絶縁層BXとの境界の高さ位置よりも深くなり、コンタクトホールC2aの底部付近では、半導体基板SBの一部が露出した状態になる。
【0050】
なお、回路領域1Aに形成されるコンタクトホールCTは、いずれも、平面視で素子分離領域STとは重ならない位置に形成される。このため、上述したコンタクトホールC1g,C1sの底部では、金属シリサイド層MSが露出されるが、半導体基板SBは露出されない。また、TEG領域1Bに形成されたコンタクトホールCTのうち、コンタクトホールC2a以外のコンタクトホールCTは、平面視で素子分離領域STとは重ならない位置に形成される。このため、上述したコンタクトホールC2g,C2sの底部では、金属シリサイド層MSが露出されるが、半導体基板SBは露出されない。一方、TEG領域1Bに形成されたコンタクトホールCTのうち、コンタクトホールC2aは、平面視で素子分離領域STと部分的に重なる位置に形成されるため、コンタクトホールC2aから半導体基板SBの一部が露出される。このため、コンタクトホールC2aからは、金属シリサイド層MSと半導体層SMと半導体基板SBとが露出される。
【0051】
次に、
図14に示されるように、コンタクトホールCT内に、接続用の導電体部として、タングステン(W)などからなる導電性のプラグ(コンタクトプラグ)PGを形成する(埋め込む)。プラグPGは、次のようにして形成することができる。
【0052】
プラグPGを形成するには、まず、コンタクトホールCTの内部(底部および側壁上)を含む絶縁膜L1上に、スパッタリング法またはプラズマCVD法などによりバリア導体膜(例えばチタン膜、窒化チタン膜、あるいはそれらの積層膜)を形成する。それから、タングステン膜などからなる主導体膜を、CVD法などによってバリア導体膜上にコンタクトホールCTを埋めるように形成する。その後、コンタクトホールCTの外部(絶縁膜L1上)の不要な主導体膜およびバリア導体膜をCMP法またはエッチバック法などによって除去する。これにより、絶縁膜L1の上面が露出し、コンタクトホールCT内に埋め込まれて残存するバリア導体膜および主導体膜により、プラグPGが形成される。なお、図面の簡略化のために、
図14では、プラグPGを構成するバリア導体膜と主導体膜とを一体化して示してある。
【0053】
ここで、コンタクトホールC1gに埋め込まれたプラグPGを、符号P1gを付してプラグP1gと称し、コンタクトホールC1sに埋め込まれたプラグPGを、符号P1sを付してプラグP1sと称することとする。また、コンタクトホールC2gに埋め込まれたプラグPGを、符号P2gを付してプラグP2gと称し、コンタクトホールC2sに埋め込まれたプラグPGを、符号P2sを付してプラグP2sと称することとする。また、コンタクトホールC2aに埋め込まれたプラグPGを、符号P2aを付してプラグP2aと称することとする。TEG領域1Bに形成されたプラグPG(P2a,P2g,P2s)は、VC検査用のTEGを構成するプラグ(コンタクトプラグ)である。
【0054】
回路領域1Aにおいて、n+型半導体領域SD上に形成されたコンタクトホールC1sに埋め込まれたプラグP1sは、その底部でn+型半導体領域SDの表面上の金属シリサイド層MSに接して電気的に接続される。このため、回路領域1Aにおいて、プラグP1sは、n+型半導体領域SDの表面上の金属シリサイド層MSを介して、n+型半導体領域SD(半導体層SM1)と電気的に接続される。また、回路領域1Aにおいて、ゲート電極GE上に形成されたコンタクトホールC1gに埋め込まれたプラグP1gは、その底部でゲート電極GEの表面上の金属シリサイド層MSに接して電気的に接続される。このため、回路領域1Aにおいて、プラグP1gは、ゲート電極GEの表面上の金属シリサイド層MSを介して、ゲート電極GEと電気的に接続される。
【0055】
TEG領域1Bにおいて、n+型半導体領域SD上に形成されたコンタクトホールC2sに埋め込まれたプラグP2sは、その底部でn+型半導体領域SDの表面上の金属シリサイド層MSに接して電気的に接続される。このため、TEG領域1Bにおいて、プラグP2sは、n+型半導体領域SDの表面上の金属シリサイド層MSを介して、n+型半導体領域SD(半導体層SM1)と電気的に接続される。また、TEG領域1Bにおいて、ゲート電極GE上に形成されたコンタクトホールC2gに埋め込まれたプラグP2gは、その底部でゲート電極GEの表面上の金属シリサイド層MSに接して電気的に接続される。このため、回路領域1Aにおいて、プラグP2gは、ゲート電極GEの表面上の金属シリサイド層MSを介して、ゲート電極GEと電気的に接続される。また、TEG領域1Bにおいて、コンタクトホールC2aに埋め込まれたプラグP2aは、n+型半導体領域SDの表面上の金属シリサイド層MSに接して電気的に接続されるとともに、半導体基板SBにも接して電気的に接続される。このため、TEG領域1Bにおいて、プラグP2aは、n+型半導体領域SDの表面上の金属シリサイド層MSを介して、n+型半導体領域SD(半導体層SM1)と電気的に接続されるとともに、半導体基板SBにも電気的に接続される。また、コンタクトホールC2aでは、半導体層SMの側面(n+型半導体領域SDを構成する半導体層SMの側面)も露出されるため、コンタクトホールC2aに埋め込まれたプラグP2aは、半導体層SMの側面と接して半導体層SMと電気的に接続される。従って、プラグP2aは、n+型半導体領域SD(半導体層SM1)と半導体基板SBの両方に電気的に接続される。このため、TEG領域1Bにおいて、半導体基板SBと半導体層SM1(n+型半導体領域SD)とは、プラグP2aを介して電気的に接続(短絡)されることになる。
【0056】
TEG領域1Bに形成されたプラグP2g,P2sは、半導体基板SBには到達していないが、TEG領域1Bに形成されたプラグP2aは、半導体基板SBに到達しており、このプラグP2aは、TEG領域1Bの半導体層SM(SM1)と半導体基板SBとを電気的に接続(短絡)させている。回路領域1Aに形成されたプラグP1g,P1sは、半導体基板SBには到達していない。回路領域1Aにおいては、SOI基板1の半導体層SM(SM1)と半導体基板SBとを電気的に接続(短絡)させるプラグPGは形成されておらず、すなわち、プラグP2aに相当するプラグPGは形成されていない。
【0057】
次に、
図15に示されるように、プラグPGが埋め込まれた絶縁膜L1上に、配線形成用の絶縁膜L2を形成する。絶縁膜L2は、単体膜(単体絶縁膜)または積層膜(積層絶縁膜)とすることができる。
【0058】
次に、シングルダマシン法により第1層目の配線を形成する。まず、フォトレジストパターン(図示せず)をマスクとしたドライエッチングによって絶縁膜L2の所定の領域に配線溝(配線M1を埋め込むための溝)を形成した後、SOI基板1の主面上(すなわち配線溝の底部および側壁上を含む絶縁膜L2上)にバリア導体膜(バリアメタル膜)を形成する。バリア導体膜は、例えば窒化チタン膜、タンタル膜または窒化タンタル膜などを用いることができる。続いて、CVD法またはスパッタリング法などによりバリア導体膜上に銅のシード層を形成し、さらに電解めっき法などを用いてシード層上に銅めっき膜(主導体膜)を形成する。銅めっき膜により配線溝の内部を埋め込む。それから、配線溝以外の領域の銅めっき膜、シード層およびバリアメタル膜をCMP法により除去して、配線溝内に、銅を主導電材料とする第1層目の配線M1を形成する。なお、図面の簡略化のために、
図15では、配線M1を構成する銅めっき膜、シード層およびバリアメタル膜を一体化して示してある。配線M1は、プラグPGに接続され、プラグPGを介して、n
+型半導体領域SDまたはゲート電極GEなどと電気的に接続される。プラグP2aに接続される配線M1は、プラグP2aを介して、半導体層SM1(n
+型半導体領域SD)と半導体基板SBの両方に電気的に接続される。
【0059】
次に、
図16および
図17に示されるように、層間絶縁膜の形成工程と配線の形成工程とを必要に応じて繰り返す。これにより、複数の配線層を含む多層配線構造が形成される。
図16および
図17の場合は、絶縁膜(層間絶縁膜)L3,L4,L5と、2層目の配線(第2配線層)M2と、3層目の配線(第3配線層)M3と、4層目の配線(第4配線層)M4とが形成される。この場合、絶縁膜L3形成工程と、配線M2形成工程と、絶縁膜L4形成工程と、配線M3形成工程と、絶縁膜L5形成工程と、配線M4形成工程とを、順に行えばよい。4層目の配線M4が、最上層の配線に対応し、ボンディングパッドも、この配線M4によって形成することができる。
【0060】
次に、
図16および
図17に示されるように、絶縁膜L5上に、配線M4を覆うように、パッシベーション膜(保護膜)としての絶縁膜L6を形成する。それから、絶縁膜L6にボンディングパッド用の開口部(図示せず)を形成する。これにより、前処理工程(ウエハプロセス)が完了する。
【0061】
その後、ダイシング工程を行って、TEG領域1Bを含む上記スクライブ領域SRに沿ってSOI基板1をダイシングソーなどを用いて切断またはダイシングする。これにより、SOI基板1は個々のチップ領域CRに切断、分離される。個片化された各チップ領域CRが、それぞれ半導体装置(半導体チップ)となる。スクライブ領域SRでSOI基板1およびSOI基板1上の積層構造が切断されるため、TEG領域1Bを含むスクライブ領域SRは切断されて除去される。ダイシングによる切断面が、半導体装置(半導体チップ)の側面になる。回路領域1Aは、チップ領域CRに含まれているため、製造された半導体装置(半導体チップ)内に含まれる。
【0062】
TEG領域1BのTEG(Test Elemental Group)は、VC検査によりプラグPGの接続不良を検査するために設けられたものである。ダイシング工程後も半導体チップに残る回路領域1Aにおいて生じる虞のある不良(プラグPGの接続不良)を検出するため、TEG領域1Bにも回路領域1Aと同様にMISFETを形成し、このMISFETに対してプラグPGを接続している。
【0063】
本実施の形態1では、TEG領域1Bに形成しているTEGを用いて、VC(Voltage contrast)検査を行うことができる。VC検査により、プラグPGの形成不良を検査(検出)することができる。
【0064】
VC検査でプラグPGの不良を発見した場合、検査結果を製造工程にフィードバックすることで、不良の発生を防ぐことができる。また、VC検査でプラグPGの不良を発見した場合、不良が発見されたSOI基板を用いた製造を中止することで、不良を有する製品を製造することを防ぐことができる。これにより、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0065】
VC検査は、プラグPG形成工程の後で、ダイシング工程の前の、任意のタイミングで行うことができる。例えば、前処理工程(ウエハプロセス)を終了した後で、ダイシング工程を行う前にVC検査を行うことができる。他の形態として、プラグPG形成後で、プラグPGを覆う絶縁膜L2を形成する前にVC検査を行うこともでき、あるいは、配線M1形成後で配線M1を覆う絶縁膜L3を形成する前にVC検査を行うこともできる。また、VC検査を行ったSOI基板1については、VC検査以降の製造工程(例えばダイシング工程)を行わなくともよい。
【0066】
<検討の経緯について>
図18は、本発明者が検討した第1検討例の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【0067】
第1検討例の場合は、
図18からも分かるように、SOI基板ではなく、通常の半導体基板(シリコン単結晶基板)SB11を用いている。
図18に示されるように、TEG領域11Bにおいて、半導体基板SB11上にゲート絶縁膜GF11を介してゲート電極GE11が形成され、半導体基板SB11におけるゲート電極GE11の両側の領域に、ソース・ドレイン用のn
+型半導体領域SD11が形成されている。ゲート電極GE11およびn
+型半導体領域SD11の表面には、金属シリサイド層MS11が形成されている。半導体基板SB11上に、ゲート電極GE11を覆うように層間絶縁膜L1が形成されている。層間絶縁膜L11には、コンタクトホールが形成され、コンタクトホール内に、導電性のプラグ(コンタクトプラグ)P11g,P11s1,P11s2が埋め込まれている。プラグP11s1,P11s2は、n
+型半導体領域SD11と電気的に接続するためにn
+型半導体領域SD11上に形成され、プラグP11gは、ゲート電極GE11と電気的に接続するためにゲート電極GE11上に形成されている。
【0068】
ここで、
図18に示されるプラグP11s1は、適正に形成されており、n
+型半導体領域SD11上の金属シリサイド層MS11に接しているため、n
+型半導体領域SD(半導体基板SB11)と的確に電気的に接続されている。すなわち、プラグP11s1は、半導体基板SB11(n
+型半導体領域SD11)に対して正常に接続されている。一方、
図18に示されるプラグP11s2は、形成不良が生じているため、n
+型半導体領域SD11上の金属シリサイド層MS11とは接しておらず、半導体基板SB11(n
+型半導体領域SD11)とは電気的に接続されていない。すなわち、プラグP11s2は、半導体基板SB11(n
+型半導体領域SD11)との接続が十分ではない。プラグの形成不良は、例えば、コンタクトホールの形成不良や、あるいは、導電膜(プラグ形成用の導電膜)によるコンタクトホールの埋め込み不良などにより、生じ得る。
【0069】
VC検査においては、対象となるTEG(TEG領域11Bに形成されたTEG)に対して電子線が照射される。第1検討例の場合、VC検査において電子線を照射すると、半導体基板SB11(n+型半導体領域SD11)に対して正常に接続されたプラグP11s1には、正の電荷が帯電するため、半導体基板SB11内の電子がプラグP11s1を介して放出される。このときプラグP11s1は光を発するため、この光を検知することで、プラグP11s1が半導体基板SB11(n+型半導体領域SD11)基板に対して正常に接続されていることが確認できる。これに対し、半導体基板SB11(n+型半導体領域SD11)との接続が十分ではないプラグP11s2には電子が流れず発光しないため、プラグP11s2を形成した箇所が発光していないことを確認することで、プラグP11s2の異常を検出することができる。これにより、プラグP11s1,P11s2が正常に形成されているか否かを、VC検査で確認することができる。
【0070】
また、ゲート電極GE11は、ゲート絶縁膜GF11を介して半導体基板SB11と絶縁されている。このため、ゲート電極GE11に接続されたプラグP11gは、本来は、半導体基板SB11とは電気的に接続されないため、VC検査で電子線を照射しても、プラグP11gは発光しない。しかしながら、ゲート絶縁膜GF11の形成不良などに起因して、ゲート電極GE11が半導体基板SB11と短絡してした場合には、ゲート電極GE11に接続されたプラグP11gは、半導体基板SB11と電気的に接続された状態になるため、VC検査で電子線を照射すると、プラグP11gは発光することになる。これにより、VC検査において、ゲート電極GE11に接続されたプラグP11gの発光を確認することにより、ゲート電極GE11が半導体基板SB11と短絡しているか否かを確認することができる。
【0071】
図19は、本発明者が検討した第2検討例の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【0072】
第2検討例の場合は、
図19からも分かるように、SOI基板21を用いている。
図19に示されるように、TEG領域21Bにおいて、SOI基板21上にゲート絶縁膜GF21を介してゲート電極GE21が形成され、SOI基板21の半導体層SM21におけるゲート電極GE21の両側の領域に、ソース・ドレイン用のn
+型半導体領域SD21が形成されている。ゲート電極GE21およびn
+型半導体領域SD21の表面には、金属シリサイド層MS21が形成されている。SOI基板21上に、ゲート電極GE21を覆うように層間絶縁膜L21が形成されている。層間絶縁膜L21には、コンタクトホールが形成され、コンタクトホール内に、導電性のプラグ(コンタクトプラグ)P21g,P21s1,P21s2が埋め込まれている。プラグP21s1,P21s2は、n
+型半導体領域SD21と電気的に接続するためにn
+型半導体領域SD21上に形成され、プラグP21gは、ゲート電極GE21と電気的に接続するためにゲート電極GE21上に形成されている。
【0073】
ここで、
図19に示されるプラグP21s1は、適正に形成されており、n
+型半導体領域SD21上の金属シリサイド層MS21に接しているため、n
+型半導体領域SD21(SOI基板21の半導体層SM21)と的確に電気的に接続されている。すなわち、プラグP21s1は、SOI基板21の半導体層SM21(n
+型半導体領域SD21)に対して正常に接続されている。一方、
図19に示されるプラグP21s2は、形成不良が生じているため、n
+型半導体領域SD21上の金属シリサイド層MS21とは接しておらず、SOI基板21の半導体層SM21(n
+型半導体領域SD21)とは電気的に接続されていない。すなわち、プラグP21s2は、SOI基板21の半導体層SM21(n
+型半導体領域SD21)との接続が十分ではない。
【0074】
VC検査においては、対象となるTEG(TEG領域21Bに形成されたTEG)に対して電子線が照射される。第2検討例の場合、VC検査において電子線を照射しても、SOI基板21の半導体層SM21から正常なプラグP21s1に流れる電流は少なく、プラグP21s1はほとんど発光しない。これは、SOI基板21の半導体層SM21と半導体基板SB21とは絶縁層BX21によって絶縁されており、半導体層SM21内の電子量が限られていることから、プラグP21s1がSOI基板21の半導体層SM21に正常に接続されていたとしても、電子線が照射されたプラグP21s1に半導体層SM21から流れ込む電流量は少なくなるためである。また、第2検討例の場合、VC検査において電子線を照射しても、SOI基板21の半導体層SM21との接続が十分ではないプラグP21s2には電子が流れず発光しない。このため、第2検討例の場合は、SOI基板上に形成したTEGに対してVC検査を行っても、正常なプラグP21s1と異常を有するプラグP21s2とを判別することが難しく、VC検査の精度が低下してしまう。これは、半導体装置の信頼性を低下させる虞がある。
【0075】
また、第2検討例の場合、ゲート電極GE21に接続されたプラグP21gについても、ゲート電極GE21がSOI基板21の半導体層SM21と短絡しているか否かにかかわらず、VC検査で電子線を照射してもプラグP21gは発光しないことになる。このため、VC検査において、ゲート電極GE21がSOI基板21の半導体層SM21と短絡しているか否かを確認することは困難となる。これは、半導体装置の信頼性を低下させる虞がある。
【0076】
<本実施の形態1の主要な特徴と効果について>
次に、本実施の形態1におけるVC検査について、
図20を参照して説明する。
図20は、本実施の形態1の半導体装置の製造工程中の要部断面図であり、上記
図14のTEG領域1Bの断面に対応する断面が示されているが、以下の点が上記
図14と相違している。
【0077】
図20には、上記
図14のプラグP2sに対応するプラグP2s1,P2s2が示されている。このうち、プラグP2s1は、適正に形成されており、n
+型半導体領域SD上の金属シリサイド層MSに接しているため、n
+型半導体領域SD(SOI基板1の半導体層SM1)と的確に電気的に接続されている。すなわち、プラグP2s1は、SOI基板1の半導体層SM1(n
+型半導体領域SD)に対して正常に接続されている。一方、
図20に示されるプラグP2s2は、形成不良が生じているため、n
+型半導体領域SD上の金属シリサイド層MSとは接しておらず、SOI基板1の半導体層SM1(n
+型半導体領域SD)とは電気的に接続されていない。すなわち、プラグP2s2は、SOI基板1の半導体層SM1(n
+型半導体領域SD)との接続が十分ではない。
【0078】
VC検査においては、対象となるTEG(TEG領域1Bに形成されたTEG)に対して電子線が照射される。VC検査において電子線を照射すると、SOI基板1の半導体層SM1(n+型半導体領域SD)に対して正常に接続されたプラグP2s1には、正の電荷が帯電するため、電子が半導体層SM1からプラグP2s1を介して放出される。本実施の形態1の場合は、TEG領域1Bにおいて、半導体基板SBと半導体層SM1(n+型半導体領域SD)とが、プラグP2aを介して、互いに、かつ、電気的に接続されているため、VC検査において電子線を照射すると、半導体層SM1内の電子だけでなく、半導体基板SB内の電子も、このプラグP2s1を介して放出されることになる。このときプラグP2s1は光を発するため、この光を検知することで、プラグP2s1が半導体層SM1(n+型半導体領域SD)に対して正常に接続されていることが確認できる。本実施の形態1では、TEG領域1Bにおいて、半導体基板SBと半導体層SM1(n+型半導体領域SD)とをプラグP2aを介して、互いに、かつ、電気的に接続したことにより、VC検査において電子線を照射したときに、SOI基板1の半導体層SM1から正常なプラグP2s1に流れ込む電流量を十分に確保することができる。これにより、VC検査において、正常なプラグP2s1の発光量(発光強度)を十分に確保することができる。これに対し、SOI基板1の半導体層SM1(n+型半導体領域SD)との接続が十分ではないプラグP2s2には電子が流れず発光しないため、プラグP2s2を形成した箇所が発光していないことを確認することで、プラグP2s2の異常を検出することができる。これにより、プラグP2s1,P2s2が正常に形成されているか否かを、VC検査で確認することができる。
【0079】
すなわち、上述した第2検討例の場合、TEG領域21Bにおいて、半導体層SM21と半導体基板SB21とは絶縁層BX21によって絶縁されていることから、VC検査において、正常なプラグP21s1に半導体層SM21から流れ込む電流量が少なくなり、正常なプラグP21s1の発光量(発光強度)を十分に確保することができない。それに対して、本実施の形態1では、TEG領域1Bにおいて、半導体層SM1と半導体基板SBとはプラグP2aを介して電気的に接続されていることから、VC検査において、正常なプラグP2s1に半導体層SM1から流れ込む電流量を十分に確保することができ、それゆえ、正常なプラグP2s1の発光量(発光強度)を十分に確保することができる。このため、プラグP2s(P2s1,P2s2)が正常に形成されているか否かを、VC検査で、より的確に確認することができる。
【0080】
プラグP2sが正常に形成されているか否か(すなわちプラグP2sが半導体層SM1と正常に接続されているか否か)の判別は、例えば、VC検査時のプラグP2sを撮影した画像を視認し、発光している正常なプラグの発光(明部)と、発光していない非導通のプラグ(暗部)とのコントラストを見て行うことができる。
【0081】
このように、TEG領域1BにおけるプラグP2sの接続不良の有無を検知することで、回路領域1AのプラグP1sにおける接続不良の発生の有無を推認することができる。従って、TEG領域に形成したTEGを用いてVC検査を的確に行うことができるため、VC検査に用いるTEGを含む半導体装置の信頼性を向上させることができる。また、VC検査の結果を製造工程にフィードバックすることで、以降に製造される半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0082】
また、ゲート電極GEは、ゲート絶縁膜GFを介して半導体層SMと絶縁されている。このため、TEG領域1Bにおいて、ゲート電極GEに接続されたプラグP1gは、本来は、半導体層SMとは電気的に接続されないため、VC検査で電子線を照射しても、プラグP1gは発光しない。しかしながら、ゲート絶縁膜GFの形成不良などに起因して、ゲート電極GEが半導体層SMと短絡してした場合には、そのゲート電極GEに接続されたプラグP1gは、半導体層SMと電気的に接続された状態(短絡した状態)になるため、VC検査で電子線を照射すると、プラグP1gは発光することになる。そして、本実施の形態1では、TEG領域1Bにおいて、半導体層SMと半導体基板SBとをプラグP2aを介して電気的に接続していることから、半導体層SMと短絡したプラグP1gについては、VC検査における発光量(発光強度)を十分に確保することができる。これにより、VC検査において、ゲート電極GEに接続されたプラグP1gの発光を確認することにより、ゲート電極GEが半導体層SMと短絡しているか否かを、より的確に確認することができる。
【0083】
ここで、本実施の形態1とは異なり、TEG領域1Bにおいて半導体層SMおよび絶縁層BXを除去し、その除去領域にTEGを形成した場合を仮定し、この場合を第3検討例と称することとする。
図21は、第3検討例を示す断面図である。
【0084】
第3検討例の場合は、
図21に示されるように、TEG領域1Bにおいて、TEGを構成するMISFETは、半導体基板SBに形成される。すなわち、
図21に示されるように、TEG領域1Bにおいて、半導体層SMおよび絶縁層BXは除去されており、ゲート電極GEは、半導体基板SB上にゲート絶縁膜GFを介して形成され、n
+型半導体領域SDは、半導体基板SBに形成される。このため、第3検討例(
図21)の場合は、TEG領域1Bの構造は、上記第1検討例(
図18)の構造とほぼ同様となり、プラグP2gに相当するプラグP31gはゲート電極GEに接続され、プラグP2sに相当するプラグPG31sは、半導体層SMではなく半導体基板SBに接続されることになるため、VC検査時の発光量(発光強度)を確保することができる。
【0085】
しかしながら、第3検討例の場合は、回路領域1Aでは、上記
図14の回路領域1Aのように、SOI構造を維持した領域にMISFETなどの半導体素子が形成され、一方、TEG領域1Bでは、
図21のように、半導体層SMおよび絶縁層BXを除去した領域にTEGを形成することになる。このため、第3検討例の場合は、回路領域1Aにおいては、上記
図14のように、プラグP1sは半導体層SMに接続され、一方、TEG領域1Bにおいては、
図21のように、プラグP31sは、半導体層SMではなく半導体基板SBに接続されるため、回路領域1AのプラグP1sとTEG領域1BのプラグP31sとは、接続する対象が相違する。従って、TEG領域1BのプラグP31s(
図21参照)が正常に形成されたか否かをVC検査で確認できたとしても、その結果によって、回路領域1AのプラグP1s(
図14参照)が正常に形成される否かを的確に推定することは難しく、その信頼度には限界がある。VC検査の対象となるプラグ(TEGを構成するプラグ)は、回路領域1Aの回路を構成するプラグと類似した構成を有することが、本来は好ましい。
【0086】
それに対して、本実施の形態1では、回路領域1Aでは、SOI基板1のSOI構造を維持した領域にMISFETなどの半導体素子が形成され、一方、TEG領域1Bでは、SOI基板1のSOI構造を維持した領域に、TEGを形成している。すなわち、本実施の形態1では、回路領域1Aにおいて、半導体基板SBとその上の絶縁層BXとその上の半導体層SMとが存在している領域に、MISFETなどの半導体素子が形成され、また、TEG領域1Bにおいて、半導体基板SBとその上の絶縁層BXとその上の半導体層SMとが存在している領域に、TEG(TEGを構成するMISFET)を形成している。このため、本実施の形態1の場合は、回路領域1Aにおいて、プラグP1s(
図14参照)は半導体層SMに接続され、TEG領域1Bにおいて、プラグP2s(
図14および
図20参照)は半導体層SMに接続されるため、回路領域1AのプラグP1sとTEG領域1BのプラグP2sとは、接続する対象がいずれもSOI基板1の半導体層SM(SM1)となる。つまり、VC検査の対象となるプラグP2sは、回路領域1Aの回路を構成するプラグP1sと類似した構成を有している。従って、TEG領域1Bに形成されたTEGを検査し、TEG領域1BのプラグP2sが正常に形成されたか否かをVC検査で確認することにより、回路領域1AのプラグP1sが正常に形成されるか否かを的確に推定することができ、その推定の信頼度を高めることができる。これにより、VC検査の信頼性を、より向上させることができる。従って、VC検査に用いるTEGを含む半導体装置の信頼性を向上させることができ、また、以降に製造される半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0087】
<プラグP2aの形成位置について>
次に、TEG領域1Bにおいて、半導体基板SBと半導体層SMとを電気的に接続するためのプラグP2aの形成位置について説明する。
図22は、TEG領域1Bに形成されたTEGの平面レイアウトの一例を示す平面図である。
図22において、X方向とY方向とは、互いに直交する方向である。なお、プラグP2aは、コンタクトホールC2aに埋め込まれているため、プラグP2aの形成位置は、コンタクトホールC2aの形成位置と実質的に同じである。
【0088】
図22および後述の
図23にも示されるように、TEG領域1Bでは、コンタクトホールC2aおよびそれに埋め込まれたプラグP2aは、平面視において、半導体層SM(SM1)とその半導体層SM(SM1)の周囲を囲む素子分離領域STとの境界に重なる位置に形成されている。これにより、コンタクトホールC2aから半導体層SM(SM1)と半導体基板SBの両方が露出されることになるため(上記
図13および
図14参照)、コンタクトホールC2aに埋め込まれたプラグP2aは、半導体層SM(SM1)と半導体基板SBとの両方に電気的に接続され、その結果、半導体層SM(SM1)と半導体基板SBとがプラグP2aを介して、互いに、かつ、電気的に接続(短絡)される。
【0089】
図22の場合、平面視において周囲を素子分離領域STで囲まれた半導体層SM(SM1)の平面形状は、X方向に平行な2辺とY方向に平行な2辺とを有する長方形状であり、その長方形の4つの辺(の途中)に、それぞれコンタクトホールC2a(プラグP2a)が配置されている。その長方形の各辺は、平面視において、コンタクトホールC2a(プラグP2a)を横切っている。平面視において周囲を素子分離領域STで囲まれた半導体層SM(SM1)の各辺にコンタクトホールC2a(プラグP2a)を配置したことにより、半導体層SM(SM1)と半導体基板SBとをプラグP2aを介して低抵抗で接続することができる。これにより、VC検査において電子線を照射したときに、半導体層SM(SM1)に正常に接続されたプラグPG(P2s1)に対して、半導体基板SBからプラグP2aおよび半導体層SM(SM1)を経由して流れ込む電流量を、確保しやすくなる。これにより、VC検査において、半導体層SM(SM1)に正常に接続されたプラグPG(P2s1)の発光量(発光強度)を確保しやすくなる。
【0090】
図23は、TEG領域1Bに形成されたTEGの平面レイアウトの他の一例を示す平面図である。
【0091】
図23の場合、平面視において周囲を素子分離領域STで囲まれた半導体層SM(SM1)の平面形状は、X方向に平行な2辺とY方向に平行な2辺とを有する長方形状であり、その長方形の四隅(4つの角部)に、それぞれコンタクトホールC2a(プラグP2a)が配置されている。平面視において周囲を素子分離領域STで囲まれた半導体層SM(SM1)の四隅にコンタクトホールC2a(プラグP2a)を配置したことにより、半導体層SM(SM1)と半導体基板SBとをプラグP2aを介して低抵抗で接続することができる。これにより、VC検査において電子線を照射したときに、半導体層SM(SM1)に正常に接続されたプラグPG(P2s1)に対して、半導体基板SBからプラグP2aおよび半導体層SM(SM1)を経由して流れ込む電流量を、確保しやすくなる。これにより、VC検査において、半導体層SM(SM1)に正常に接続されたプラグPG(P2s1)の発光量(発光強度)を確保しやすくなる。
【0092】
また、コンタクトホールCTを形成する際のフォトリソグラフィ工程におけるフォトマスクの合わせずれなどに起因して、コンタクトホールCTの形成位置が、設計位置からずれる場合がある。その場合、
図23において、半導体層SMの四隅に配置された合計4つのコンタクトホールC2aが、同じ方向にずれることになる。このため、
図23の場合は、コンタクトホールC2aの形成位置が設計位置からずれた場合でも、半導体層SMの四隅に配置された合計4つのコンタクトホールC2aの全てが半導体層SMと平面視で重ならない位置になることを防止でき、4つのコンタクトホールC2aのうちの少なくとも一つは、半導体層SMと半導体基板SBとを接続することができる。このため、
図23の場合は、コンタクトホールC2aの位置ずれに対する許容量(マージン)が大きくなり、コンタクトホールCT形成工程を行いやすくなる。
【0093】
また、コンタクトホールC2aの平面寸法(平面積)はコンタクトホールC2sの平面寸法(平面積)と同じ大きさであることを説明したが、コンタクトホールC2aの平面寸法(平面積)を、コンタクトホールC2sの平面寸法(平面積)よりも大きくすると、より好ましい。すなわち、プラグP2aの平面寸法(平面積)は、プラグP2sの平面寸法(平面積)よりも大きくすれば、より好ましい。言い換えると、コンタクトホールC2a(プラグP2a)の直径は、コンタクトホールC2s(プラグP2s)直径よりも大きくすれば、より好ましい。
【0094】
コンタクトホールC2aの平面寸法(平面積)を大きくしたことで、コンタクトホールC2aの位置ずれに対する許容量(マージン)が大きくなる。また、コンタクトホールC2aの平面寸法(平面積)を大きくしたことで、コンタクトホールC2a形成時のエッチングが生じやすくなり、コンタクトホールC2aから半導体層SMと半導体基板SBとをより確実に露出させることができるようになる。また、コンタクトホールC2aは半導体基板SBに到達する必要があるため、コンタクトホールC2aの深さは、コンタクトホールC2sの深さよりも深い。コンタクトホールは、深さが深くなるほどエッチングが行いにくくなり、また、平面寸法(平面積)が大きくなるほどエッチングが行いやすくなる。このため、コンタクトホールC2sよりも深さが深いコンタクトホールC2aの平面寸法(平面積)を大きくしたことにより、半導体基板SBに到達するコンタクトホールC2aを、より的確に形成することができるようになる。
【0095】
一例をあげると、ゲート電極GEのゲート長が55nm程度の場合は、コンタクトホールC2sの直径は、例えば0.08μm程度とすることができ、コンタクトホールC2aの直径は、コンタクトホールC2sの直径の約2倍の0.16μm程度とすることができる。
【0096】
また、本実施の形態1では、VC検査の対象となるTEGを、スクライブ領域SRに形成しており、この場合は、TEG領域1Bはスクライブ領域SRに含まれることになる。他の形態として、VC検査の対象となるTEGを、スクライブ領域SRではなくチップ領域CRに形成することもでき、この場合は、TEG領域1Bはチップ領域CRに含まれることになる。しかしながら、VC検査の対象となるTEGは、製品として使用する回路ではないため、スクライブ領域SRに形成することが好ましい。VC検査の対象となるTEGをスクライブ領域SRに形成することにより、製造された半導体チップには、VC検査の対象となるTEGが含まれなくなるため、半導体チップの面積の縮小を図ることができる。また、1枚のSOI基板1から取得できる半導体チップの数を増やすことができる。
【0097】
(実施の形態2)
図24は、本実施の形態2の半導体装置の製造工程中の要部平面図であり、
図25~
図27は、本実施の形態2の半導体装置の製造工程中の要部平面図である。
図24~
図27には、TEG領域1Bの一部が示されている。
図24のA1-A1線の位置での断面図が、
図25にほぼ対応し、
図24のA2-A2の位置での断面図が、
図26にほぼ対応し、
図24のA3-A3の位置での断面図が、
図27にほぼ対応している。なお、
図24~
図27の場合は、平面視において周囲を素子分離領域で囲まれた半導体層SM(SM1)にそれぞれ1つのMISFETが形成されている場合が示されているが、周囲を素子分離領域で囲まれた半導体層SM(SM1)に形成されるMISFETの数は、2つ以上であってもよい。
【0098】
図24~
図27に示されるように、TEG領域1Bにおいて、TEGを構成するMISFET3として、MISFET3a,3bが形成されている。
【0099】
MISFET3aのゲート電極GEとMISFET3bのゲート電極GEとには、それぞれ、コンタクトホールC2gに埋め込まれたプラグP2gが接続されている。MISFET3aのn+型半導体領域SDとMISFET3bのn+型半導体領域SDとには、それぞれ、コンタクトホールC2sに埋め込まれたプラグP2sが接続されている。ここで、MISFET3aのゲート電極GEに接続されたプラグP2gを、プラグ(ゲート用プラグ)P2gaと称し、MISFET3bのゲート電極GEに接続されたプラグP2gを、プラグ(ゲート用プラグ)P2gbと称することとする。また、MISFET3aのn+型半導体領域SDに接続されたプラグP2sを、プラグP2saと称し、MISFET3bのn+型半導体領域SDに接続されたプラグP2sを、プラグP2sbと称することとする。
【0100】
MISFET3aが形成された半導体層SM(SM1)に対しても、プラグP2aが形成されており、そのプラグP2aを介して、MISFET3aが形成された半導体層SM(SM1)は半導体基板SBと電気的に接続されている。また、MISFET3bが形成された半導体層SM(SM1)に対しても、プラグP2aが形成されており、そのプラグP2aを介して、MISFET3bが形成された半導体層SM(SM1)は半導体基板SBと電気的に接続されている。
【0101】
プラグP2gaには、配線M1として配線M1gaが接続され、プラグP2gbには、配線M1として配線M1gbが接続されているが、配線M1gaと配線M1gbとは、一体的に形成されてはおらず、互いに分離されている。配線M1gaと配線M1gbとは、2層目の配線M2に含まれる共通の配線M2gに接続されている。
【0102】
1層目の配線M1に含まれる配線M1gaと配線M1gbとは、互いに分離されているが、配線M1gaと配線M1gbとが共通の配線M2gに接続されているため、配線M1gaと配線M1gbとは、配線M2gを介して電気的に接続される。このため、MISFET3aのゲート電極GEは、プラグP2gaおよび配線M1gaを介して配線M2gと電気的に接続され、また、MISFET3bのゲート電極GEは、プラグP2gbおよび配線M1gbを介して配線M2gと電気的に接続される。従って、配線M2gは、MISFET3aのゲート電極GEとMISFET3bのゲート電極GEの両方に電気的に接続される。
【0103】
MISFET3aの一方のn+型半導体領域SD(ソース)に接続されたプラグP2saと、MISFET3bの一方のn+型半導体領域SD(ソース)に接続されたプラグP2sbとは、1層目の配線M1に含まれる共通の配線M1s1に接続されている。また、MISFET3aの他方のn+型半導体領域SD(ドレイン)に接続されたプラグP2saと、MISFET3bの他方のn+型半導体領域SD(ドレイン)に接続されたプラグP2sbとは、1層目の配線M1に含まれる共通の配線M1s2に接続されている。
【0104】
図28および
図29は、本発明者が検討した第4検討例の半導体装置の製造工程中の要部平面図(
図28)および要部断面図(
図29)であり、それぞれ上記
図24および
図27に対応するものである。
図28のB3-B3線の位置での断面図が、
図29にほぼ対応している。
図28のB1-B1線の位置での断面図は、上記
図25とほぼ同様であり、
図28のB2-B2線の位置での断面図は、上記
図26とほぼ同様であるので、ここではその繰り返しの図示は省略する。
【0105】
【0106】
すなわち、
図28および
図29に示される第4検討例の場合は、プラグP2gaとプラグP2gaとは、配線M1に含まれる共通の配線M1gと電気的に接続されている。このため、
図28および
図29に示される第4検討例の場合は、配線M1ga,M1gb,M2gは形成されていない。
図28および
図29に示される第4検討例の場合は、MISFET3aのゲート電極GEは、プラグP2gaを介して配線M1gと電気的に接続され、また、MISFET3bのゲート電極GEは、プラグP2gbを介して配線M1gと電気的に接続されており、従って、配線M1gは、MISFET3aのゲート電極GEとMISFET3bのゲート電極GEの両方に電気的に接続される。
【0107】
ここで、
図28および
図29に示される第4検討例において、VC検査を行って、MISFET3a,3bのゲート電極GEが半導体層SMと短絡していないか確認する場合を考える。この場合、上記絶縁膜L3,L4,L5,L6と配線M2,M3,M4を研磨などにより除去し、配線M1(M1g,M1s1,M1s2)を残した状態、例えば配線M1(M1g,M1s1,M1s2)の上面を露出させた状態で、VC検査を行うことができる。
【0108】
VC検査で電子線を照射すると、MISFET3aのゲート電極GEとMISFET3bのゲート電極GEのどちらも半導体層SMと短絡していなければ、配線M1gは発光せず、一方、MISFET3aのゲート電極GEとMISFET3bのゲート電極GEの少なくとも一方が半導体層SMと短絡していれば、配線M1gは発光することになる。このため、配線M1gの発光の有無を確認することにより、MISFET3aのゲート電極GEとMISFET3bのゲート電極GEのどちらも半導体層SMと短絡していないか、あるいは、MISFET3aのゲート電極GEとMISFET3bのゲート電極GEの少なくとも一方が半導体層SMと短絡しているかを、判別することができる。しかしながら、配線M1gが発光した場合には、MISFET3aのゲート電極GEとMISFET3bのゲート電極GEの少なくとも一方が半導体層SMと短絡していることは判別することができるが、MISFET3aのゲート電極GEとMISFET3bのゲート電極GEのどちらが半導体層SMと短絡しているかを判別することはできない。このため、ゲート絶縁膜GFの形成不良などに起因してゲート電極GEと半導体層SMとの短絡が発生している箇所を特定することは困難である。すなわち、TEG領域1Bに形成したTEG用の複数のMISFET3(3a,3b)のうち、どのMISFET3においてゲート電極GEと半導体層SMとの短絡が発生しているかを判別することは困難である。
【0109】
次に、
図24~
図27に示される本実施の形態2おいて、VC検査を行って、MISFET3a,3bのゲート電極GEが半導体層SMと短絡していないか確認する場合を考える。この場合も、上記絶縁膜L3,L4,L5,L6と配線M2,M3,M4を研磨などにより除去し、配線M1(M1ga,M1gb,M1s1,M1s2)を残した状態、例えば配線M1(M1ga,M1gb,M1s1,M1s2)の上面を露出させた状態で、VC検査を行うことができる。この状態では、配線M1gaと配線M1gbとは、互いに分離されており、電気的に接続されていない。すなわち、配線M2gが存在している状態では、配線M1gaと配線M1gbとは、その配線M2gを介して電気的に接続されているが、配線M2gを除去すると、配線M1gaと配線M1gbとは、電気的に接続されていない状態となり、その状態でVC検査が行われる。
【0110】
VC検査で電子線を照射すると、MISFET3aのゲート電極GEが半導体層SMと短絡していなければ、配線M1gaは発光せず、一方、MISFET3aのゲート電極GEが半導体層SMと短絡していれば、配線M1gaは発光する。また、VC検査で電子線を照射すると、MISFET3bのゲート電極GEが半導体層SMと短絡していなければ、配線M1gbは発光せず、一方、MISFET3bのゲート電極GEが半導体層SMと短絡していれば、配線M1gbは発光する。このため、配線M1gaの発光の有無を確認することにより、MISFET3aのゲート電極GEが半導体層SMと短絡しているか否かを判別することができ、また、配線M1gbの発光の有無を確認することにより、MISFET3bのゲート電極GEが半導体層SMと短絡しているか否かを判別することができる。例えば、MISFET3aのゲート電極GEは、ゲート絶縁膜GFを介して半導体層SMと絶縁されているが、MISFET3bのゲート電極GEが、ゲート絶縁膜GFの形成不良などに起因して、半導体層SMと短絡してしている場合であれば、配線M1gaは発光しないが、配線M1gbは発光することになる。また、例えば、MISFET3bのゲート電極GEは、ゲート絶縁膜GFを介して半導体層SMと絶縁されているが、MISFET3aのゲート電極GEが、ゲート絶縁膜GFの形成不良などに起因して、半導体層SMと短絡してしている場合であれば、配線M1gbは発光しないが、配線M1gaは発光することになる。これにより、MISFET3a,3bのそれぞれについて、ゲート電極GEと半導体層SMとの短絡の有無を確認することができる。このため、ゲート絶縁膜GFの形成不良などに起因してゲート電極GEと半導体層SMとの短絡が発生している箇所を特定することができる。すなわち、TEG領域1Bに形成したTEG用の複数のMISFET3(3a,3b)のうち、どのMISFET3においてゲート電極GEと半導体層SMとの短絡が発生しているかを判別することができる。
【0111】
また、
図24~
図27に示される本実施の形態2の場合は、VC検査において、配線M1ga,M1gbのそれぞれの発光の有無を確認することにより、配線M1ga,M1gbのそれぞれが配線M1s1または配線M1s2と短絡していないかも確認することができる。
【0112】
また、
図24~
図27に示される本実施の形態2の場合は、上述したように、研磨などにより配線M2を除去して、配線M1(M1ga,M1gb,M1s1,M1s2)の上面を露出させた状態で、VC検査を行うことができるが、他の形態として、配線M2の配線部は除去するが、配線M2のビア部を残した状態で、VC検査を行うこともできる。なお、配線M2のビア部とは、配線M2の配線部と配線M1とを接続する部分であり、配線M2の配線部と配線M1との間のビアホール内に埋め込まれた導体部(接続部、プラグ部)である。この場合は、配線M1ga,M1gbのそれぞれ上に配線M2gのビア部が残存するが、配線M2gの配線部は除去されているため、配線M1gaと配線M1gbとは電気的に接続されていない状態で、VC検査が行われる。VC検査において、配線M1ga上に残存する配線M2gのビア部が発光すれば、MISFET3aのゲート電極GEが半導体層SMと短絡してしていると判別でき、配線M1ga上に残存する配線M2gのビア部が発光しなければ、MISFET3aのゲート電極GEは、半導体層SMと短絡していないと判別できる。また、VC検査において、配線M1gb上に残存する配線M2gのビア部が発光すれば、MISFET3bのゲート電極GEが半導体層SMと短絡してしていると判別でき、配線M1gb上に残存する配線M2gのビア部が発光しなければ、MISFET3bのゲート電極GEは、半導体層SMと短絡していないと判別できる。このため、ゲート絶縁膜GFの形成不良などに起因してゲート電極GEと半導体層SMとの短絡が発生している箇所を特定することができる。
【0113】
また、
図24~
図27の場合は、TEG領域1Bにおいて、MISFET3aのゲート電極GEに接続されるプラグP2gに接続される配線M1g1(ゲート用の配線M1)と、MISFET3bのゲート電極GEに接続されるプラグP2gに接続される配線M1g2(ゲート用の配線M1)とを分離し、その分離された配線M1g1,M1g2同士を上層の配線M2g(ゲート用の配線M2)で接続している。これを、ソース用の配線やドレイン用の配線に応用することもでき、その場合が
図30に示されている。
図30は、本実施の形態2の変形例を示す平面図であり、上記
図24に対応するものである。
【0114】
すなわち、
図30に示されるように、TEG領域1Bにおいて、MISFET3aのソース領域(n
+型半導体領域SD)に接続するプラグP2sに接続される配線M1s1(ソース用の配線M1)と、MISFET3bのソース領域(n
+型半導体領域SD)に接続するプラグP2sに接続される配線M1s1(ソース用の配線M1)とを分離し、その分離された配線M1s1(ソース用の配線M1)同士を上層の配線M2s(ソース用の配線M2)で接続することもできる。この場合も、本実施の形態2と同様に、上記絶縁膜L3,L4,L5,L6と配線M2,M3,M4を研磨などにより除去し、配線M1を残した状態で、VC検査を行うことができる。これにより、TEG領域1Bにおいて、MISFET3aのソース領域(n
+型半導体領域SD)とプラグP2sとが的確に接続されているか否かと、MISFET3bのソース領域(n
+型半導体領域SD)とプラグP2sとが的確に接続されているか否かとを、それぞれ判別することができ、プラグP2sの形成不良の発生個所を特定することができる。なお、この場合、上記実施の形態1で説明したように、プラグP2sまたはそのプラグP2sに接続された配線M1s1が発光しなければ、そのプラグP2sで形成不良が発生したと判断することができる。
【0115】
また、
図30に示されるように、TEG領域1Bにおいて、MISFET3aのドレイン領域(n
+型半導体領域SD)に接続するプラグP2sに接続される配線M1s2(ドレイン用の配線M1)と、MISFET3bのドレイン領域(n
+型半導体領域SD)に接続するプラグP2sに接続される配線M1s2(ドレイン用の配線M1)とを分離し、その分離された配線M1s2(ドレイン用の配線M1)同士を上層の配線M2d(ドレイン用の配線M2)で接続することもできる。この場合も、本実施の形態2と同様に、上記絶縁膜L3,L4,L5,L6と配線M2,M3,M4を研磨などにより除去し、配線M1を残した状態で、VC検査を行うことができる。これにより、TEG領域1Bにおいて、MISFET3aのドレイン領域(n
+型半導体領域SD)とプラグP2sとが的確に接続されているか否かと、MISFET3bのドレイン領域(n
+型半導体領域SD)とプラグP2sとが的確に接続されているか否かとを、それぞれ判別することができ、プラグP2sの形成不良の発生個所を特定することができる。なお、この場合、上記実施の形態1で説明したように、プラグP2sまたはそのプラグP2sに接続された配線M1s2が発光しなければ、そのプラグP2sで形成不良が発生したと判断することができる。
【0116】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0117】
1 SOI基板
1A 回路領域
1B TEG領域
2,3,3a,3b MISFET
BX,BX21 絶縁層
C1g,C1s,C2a,C2g,C2s コンタクトホール
CP 絶縁膜
CR チップ領域
CT コンタクトホール
EP 半導体層
EX n-型半導体領域
GE,GE11,GE22 ゲート電極
GF,GF11,GF21 ゲート絶縁膜
IL1,IL2 絶縁膜
L1,L2,L3,L4,L5,L6,L11,L21 絶縁膜
M1,M2,M3,M4 配線
M1g,M1g1,M1g2,M1s1,M1s2,M2g 配線
MS,MS11,MS21 金属シリサイド層
P1g,P1s,P2a,P2g,P2ga,P2gb,P2s,P2s1,P2s2,P2sa,P2sb,P11g,P11s1,P11s2,P21g,P21s1,P21s2,P31g,P31s プラグ
PG プラグ
SB 半導体基板
SD,SD11,SD21 n+型半導体領域
SM,SM1,SM21 半導体層
SR スクライブ領域
ST 素子分離領域
ST1 素子分離溝
SW1,SW2 サイドウォールスペーサ