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特許7458970位置特定システム及びマーカー体設置方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】位置特定システム及びマーカー体設置方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/244 20240101AFI20240325BHJP
【FI】
G05D1/244
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020211579
(22)【出願日】2020-12-21
(65)【公開番号】P2022098184
(43)【公開日】2022-07-01
【審査請求日】2022-12-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 竣也
(72)【発明者】
【氏名】平岡 実
(72)【発明者】
【氏名】石川 淳一
(72)【発明者】
【氏名】井田 裕介
(72)【発明者】
【氏名】江戸 俊介
【審査官】今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-016435(JP,A)
【文献】国際公開第2020/125951(WO,A1)
【文献】特開2018-090084(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/244
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業場で作業を行う作業車の位置を特定する位置特定システムであって、
前記作業場に設置されたマーカー体と、
前記作業車に設けられると共に前記マーカー体を検出する検出部と、
前記検出部による検出結果に基づいて前記作業車の位置を特定する特定部と、を備え、
前記マーカー体は、上下方向に並ぶ複数の帯状部により構成された縞模様を呈する模様部を有しており、
前記模様部は、前記マーカー体の側面の全周または略全周に亘って設けられており、
前記検出部は、前記模様部の前記縞模様を検出し、
前記マーカー体は、ユーザーが持ち運べるように構成され、固定されることなく載置されることにより、設置位置を変更可能に構成されている位置特定システム。
【請求項2】
前記マーカー体は、設置位置を飛行装置により指し示された地点に変更可能に構成されている請求項1に記載の位置特定システム。
【請求項3】
前記マーカー体は互いの離間距離が既知の第1距離である第1マーカー体と第2マーカー体とを含み、
前記検出部が、前記第1マーカー体と前記作業車との距離である第2距離及び前記第2マーカー体と前記作業車との距離である第3距離を算出し、
前記特定部は、前記第1距離、前記第2距離、及び前記第3距離に基づいて、前記作業車の位置を特定する請求項1または2に記載の位置特定システム。
【請求項4】
前記特定部は、前記検出部により検出された前記縞模様における各前記帯状部の色に基づいて前記作業車の位置を特定する請求項1から3の何れか一項に記載の位置特定システム。
【請求項5】
前記特定部は、前記検出部により検出された前記縞模様における各前記帯状部の太さ及び前記帯状部同士の間隔に基づいて前記作業車の位置を特定する請求項1から4の何れか一項に記載の位置特定システム。
【請求項6】
前記マーカー体は、上下方向に延びる円柱状である請求項1から5の何れか一項に記載の位置特定システム。
【請求項7】
各前記マーカー体の前記模様部は、互いに異なる前記縞模様を呈している請求項1から6の何れか一項に記載の位置特定システム。
【請求項8】
作業場で作業を行う作業車の位置を特定する位置特定システムであって、
前記作業場に設置されたマーカー体と、
前記作業車に設けられると共に前記マーカー体を検出する検出部と、
前記検出部による検出結果に基づいて前記作業車の位置を特定する特定部と、を備えた位置特定システムにおける前記マーカー体を設置するための方法であるマーカー体設置方法であって、
衛星測位により自機位置を取得可能であると共に空中で停止飛行を行うことが可能な飛行装置が、停止飛行を行いながら前記作業場における地点を指し示す地点指示工程と、
前記地点指示工程により指し示された前記地点に前記マーカー体を設置する設置工程と、を備えるマーカー体設置方法。
【請求項9】
前記位置特定システムにおいて、
前記マーカー体は、上下方向に並ぶ複数の帯状部により構成された縞模様を呈する模様部を有しており、
前記模様部は、前記マーカー体の側面の全周または略全周に亘って設けられており、
前記検出部は、前記模様部の前記縞模様を検出する請求項8に記載のマーカー体設置方法。
【請求項10】
前記地点指示工程において、前記飛行装置は、レーザー光を下方へ照射することによって前記地点を指し示す請求項8または9に記載のマーカー体設置方法。
【請求項11】
前記地点指示工程において、前記飛行装置は、前記飛行装置から下方へ延びる紐状体によって前記地点を指し示す請求項8または9に記載のマーカー体設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業場で作業を行う作業車の位置を特定する位置特定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
作業場で作業を行う作業車として、例えば、特許文献1に記載のものが既に知られている。この作業車(特許文献1では「不整地移動装置」)は、4つの車輪がそれぞれ、2つの関節を持ち屈伸操作可能に構成されたリンク機構を介して本体部に支持されている。
【0003】
そして、この作業車は、4つの車輪を駆動することにより、作業場(特許文献1では「不整地」)において走行することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-142347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1においては、作業車の位置を特定することについて記載されていない。ここで、特許文献1に記載の作業車に、例えばGPS等の衛星測位システムを利用した測位装置を搭載することが考えられる。この構成であれば、測位装置によって、作業車の位置を特定することが可能となる。
【0006】
しかしながら、この構成では、作業車の周囲の環境に起因して、位置特定の精度が悪くなる事態が想定される。例えば、作業車が、果樹園等の樹木の比較的多い環境で作業を行う場合、人工衛星から測位装置へ到達する電波が比較的弱くなりがちである。その結果、作業車の位置特定の精度が悪くなる。
【0007】
本発明の目的は、衛星測位システムを利用した測位装置による位置特定の精度が悪くなる作業環境においても、作業車の位置を精度良く特定できる位置特定システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の特徴は、作業場で作業を行う作業車の位置を特定する位置特定システムであって、前記作業場に設置されたマーカー体と、前記作業車に設けられると共に前記マーカー体を検出する検出部と、前記検出部による検出結果に基づいて前記作業車の位置を特定する特定部と、を備え、前記マーカー体は、上下方向に並ぶ複数の帯状部により構成された縞模様を呈する模様部を有しており、前記模様部は、前記マーカー体の側面の全周または略全周に亘って設けられており、前記検出部は、前記模様部の前記縞模様を検出し、前記マーカー体は、ユーザーが持ち運べるように構成され、固定されることなく載置されることにより、設置位置を変更可能に構成されている点にある。
また、前記マーカー体は、設置位置を飛行装置により指し示された地点に変更可能に構成されていると好適である。
【0009】
本発明であれば、模様部は、マーカー体の側面の全周または略全周に亘って設けられている。そのため、作業車がマーカー体に対して何れの方角に位置していても、検出部による検出可能範囲内にマーカー体の側面が捉えられていれば、検出部によって模様部の縞模様を検出できる。そして、例えば作業場における予め決められた位置にマーカー体を設置すること等によって、マーカー体の位置が既知であれば、検出部による検出結果に基づき、特定部によって作業車の位置が特定される。
【0010】
例えば、検出部がカメラである場合、検出部により取得された撮像画像に模様部の縞模様が含まれていれば、撮像画像における縞模様の位置や大きさ等と、既知であるマーカー体の位置と、に基づき、特定部によって作業車の位置が特定される。
【0011】
そして、本発明であれば、衛星測位システムに依存することなく、作業車の位置を特定することができる。そのため、衛星測位システムを利用した測位装置による位置特定の精度が悪くなる作業環境においても、作業車の位置特定の精度が悪くなることはない。即ち、本発明であれば、衛星測位システムを利用した測位装置による位置特定の精度が悪くなる作業環境においても、作業車の位置を精度良く特定できる位置特定システムを実現できる。
【0012】
さらに、本発明において、前記特定部は、前記検出部により検出された前記縞模様における各前記帯状部の色に基づいて前記作業車の位置を特定すると好適である。
【0013】
この構成によれば、特定部が各帯状部の色に基づくことなく作業車の位置を特定する構成に比べて、縞模様により表すことのできる情報の量が多くなる。これにより、例えば作業場内に複数のマーカー体が設置される場合に、マーカー体の設置数が比較的多くても、各マーカー体の模様部が互いに異なる縞模様を呈するような構成を実現しやすい。即ち、比較的多くのマーカー体が作業場に設置されると共に、検出されたマーカー体が何れのマーカー体であるのかを特定部が特定可能な構成を実現しやすい。その結果、作業場に設置可能なマーカー体の個数が比較的少ない場合に比べて、作業車の位置特定の精度が高くなりやすい。
【0014】
また、各帯状部の色を、縞模様が周囲に紛れないような特徴的な色にすれば、検出部あるいは特定部が模様部を精度良く判別することができる。その結果、特定部による作業車の位置特定の精度が高くなりやすい。
【0015】
さらに、本発明において、前記特定部は、前記検出部により検出された前記縞模様における各前記帯状部の太さ及び前記帯状部同士の間隔に基づいて前記作業車の位置を特定すると好適である。
【0016】
この構成によれば、特定部が各帯状部の太さ及び帯状部同士の間隔に基づくことなく作業車の位置を特定する構成に比べて、縞模様により表すことのできる情報の量が多くなる。これにより、例えば作業場内に複数のマーカー体が設置される場合に、マーカー体の設置数が比較的多くても、各マーカー体の模様部が互いに異なる縞模様を呈するような構成を実現しやすい。即ち、比較的多くのマーカー体が作業場に設置されると共に、検出されたマーカー体が何れのマーカー体であるのかを特定部が特定可能な構成を実現しやすい。
その結果、作業場に設置可能なマーカー体の個数が比較的少ない場合に比べて、作業車の位置特定の精度が高くなりやすい。
【0017】
また、各帯状部の太さ及び帯状部同士の間隔を、縞模様が周囲に紛れないような特徴的な太さ及び間隔にすれば、検出部あるいは特定部が模様部を精度良く判別することができる。その結果、特定部による作業車の位置特定の精度が高くなりやすい。
【0018】
さらに、本発明において、前記マーカー体は、上下方向に延びる円柱状であると好適である。
【0019】
マーカー体が円柱状でない場合、マーカー体の形状によっては、作業車とマーカー体との位置関係の変化に伴い、作業車からの縞模様の見え方が変化してしまう事態が想定される。例えば、マーカー体が上下方向に延びる三角柱状である場合、あるいは、マーカー体の側面に凸部や凹部がある場合、作業車とマーカー体との位置関係の変化に伴い、作業車からの縞模様の見え方が変化しがちである。これにより、検出部による検出可能範囲内にマーカー体の側面が捉えられている場合に、作業車とマーカー体との位置関係に応じて、検出部による検出結果が異なるものになりがちである。その結果、特定部による作業車の位置特定の精度が悪くなりがちである。
【0020】
ここで、上記の構成によれば、作業車がマーカー体に対して何れの方角に位置していても、作業車からの縞模様の見え方は一定になりやすい。即ち、作業車とマーカー体との位置関係が変化しても、作業車からの縞模様の見え方が変化しにくい。これにより、検出部による検出可能範囲内にマーカー体の側面が捉えられている場合に、作業車とマーカー体との位置関係によらず、検出部による検出結果が一定になりやすい。その結果、特定部による作業車の位置特定の精度が悪くなることを回避しやすい。
【0021】
さらに、本発明において、前記マーカー体は、設置位置を変更可能に構成されていると好適である。
【0022】
この構成によれば、状況の変化に応じて、作業場におけるマーカー体の位置を変更することができる。例えば、作業場が果樹園であれば、果樹の個数や配置等が変化した場合に、マーカー体の設置位置を、ユーザの望む位置に変更することができる。
【0023】
また、例えば、作業車が特定部による特定結果に基づいて自動走行可能に構成されている場合、ユーザがマーカー体の設置位置を変更することにより、作業車による作業内容を容易にコントロールしやすい。例えば、作業車が、マーカー体の近傍において自動的に作業するように構成されている場合、ユーザがマーカー体の設置位置を変更することにより、作業車による作業対象となる領域を容易に変更しやすい。
【0024】
即ち、この構成によれば、作業車による作業内容を、ユーザが容易にコントロールしやすい。
【0025】
さらに、本発明において、前記作業場に複数の前記マーカー体が設置されており、各前記マーカー体の前記模様部は、互いに異なる前記縞模様を呈していると好適である。
【0026】
検出部がマーカー体を1つも検出できない状況においては、特定部が作業車の位置を精度良く特定することができない状態になりがちである。
【0027】
ここで、上記の構成によれば、作業場に複数のマーカー体が設置されている。そのため、作業場に設置されるマーカー体の個数が1つのみである場合に比べて、検出部がマーカー体を1つも検出できない状況が起こりにくい。そのため、特定部が作業車の位置を特定できない状況を回避しやすい。
【0028】
また、検出部による検出可能範囲内に捉えられているマーカー体の個数が複数個である場合は、検出部による検出可能範囲内に捉えられているマーカー体の個数が1つのみである場合に比べて、特定部が作業車の位置を精度良く特定しやすい。そのため、上記の構成によれば、作業場に設置されるマーカー体の個数が1つのみである場合に比べて、特定部が作業車の位置を精度良く特定しやすい。
【0029】
しかも、各マーカー体の模様部は互いに異なる縞模様を呈している。そのため、検出されたマーカー体が何れのマーカー体であるのかを特定部が特定可能な構成を実現できる。
これにより、検出されたマーカー体が何れのマーカー体であるのかを特定部が特定できない場合に比べて、特定部が作業車の位置を精度良く特定しやすい。
【0030】
本発明の別の特徴は、作業場で作業を行う作業車の位置を特定する位置特定システムであって、前記作業場に設置されたマーカー体と、前記作業車に設けられると共に前記マーカー体を検出する検出部と、前記検出部による検出結果に基づいて前記作業車の位置を特定する特定部と、を備えた位置特定システムにおける前記マーカー体を設置するための方法であるマーカー体設置方法であって、衛星測位により自機位置を取得可能であると共に空中で停止飛行を行うことが可能な飛行装置が、停止飛行を行いながら前記作業場における地点を指し示す地点指示工程と、前記地点指示工程により指し示された前記地点に前記マーカー体を設置する設置工程と、を備えることにある。
また、前記位置特定システムにおいて、前記マーカー体は、上下方向に並ぶ複数の帯状部により構成された縞模様を呈する模様部を有しており、前記模様部は、前記マーカー体の側面の全周または略全周に亘って設けられており、前記検出部は、前記模様部の前記縞模様を検出すると好適である。
また、前記マーカー体は互いの離間距離が既知の第1距離である第1マーカー体と第2マーカー体とを含み、前記検出部が、前記第1マーカー体と前記作業車との距離である第2距離及び前記第2マーカー体と前記作業車との距離である第3距離を算出し、
前記特定部は、前記第1距離、前記第2距離、及び前記第3距離に基づいて、前記作業車の位置を特定すると好適である。
【0031】
上記の位置特定システムにおいては、マーカー体と、そのマーカー体の設置位置を示す情報と、が対応付けられていれば、特定部が作業車の位置を精度良く特定しやすい。しかしながら、マーカー体に対応付けられる設置位置を示す情報の精度が比較的低い場合、特定部による作業車の位置特定の精度も比較的低くなりがちである。
【0032】
例えば、衛星測位システムを利用した測位装置をユーザが所持している場合、作業場においてユーザがマーカー体を設置した際に、その設置位置を測位装置によって測定し、その測定の結果をマーカー体に対応付けることが考えられる。しかしながら、この方法では、マーカー体の周囲の環境に起因して、測位装置による測定結果の精度が悪くなる事態が想定される。例えば、マーカー体が、果樹園等の樹木の比較的多い環境において設置される場合、人工衛星から測位装置へ到達する電波が比較的弱くなりがちである。その結果、測位装置による測定結果の精度が悪くなる。これにより、マーカー体に対応付けられる設置位置を示す情報の精度が比較的低くなる。
【0033】
ここで、本発明であれば、飛行装置が衛星測位によって自機位置を取得可能である。そのため、マーカー体が、例えば果樹園等、樹木の比較的多い環境において設置される場合であっても、飛行装置が比較的高い位置で停止飛行を行えば、人工衛星から飛行装置へ到達する電波の強度は、比較的高くなりやすい。これにより、飛行装置は、衛星測位によって精度の良い自機位置を取得できる。
【0034】
そして、設置工程では、飛行装置により指し示された地点にマーカー体が設置される。
そのため、自機位置に基づいて定まる設置位置を、そのマーカー体に対応付けることにより、マーカー体に対応付けられる設置位置を示す情報の精度が比較的高くなりやすい。例えば、地点指示工程において、飛行装置が、飛行装置の真下に位置する地点を指し示すのであれば、自機位置により示される座標を、設置工程により設置されたマーカー体に対応付けることにより、マーカー体に対応付けられる設置位置を示す情報の精度が比較的高くなる。
【0035】
即ち、本発明であれば、マーカー体に、そのマーカー体の設置位置を示す情報が対応付けられる場合、設置位置を示す情報の精度が比較的高くなりやすい。
【0036】
さらに、本発明において、前記地点指示工程において、前記飛行装置は、レーザー光を下方へ照射することによって前記地点を指し示すと好適である。
【0037】
この構成によれば、地点指示工程において、レーザー光により、地点が明確且つ確実に指し示される。これにより、設置工程を適切に行いやすい。
【0038】
さらに、本発明において、前記地点指示工程において、前記飛行装置は、前記飛行装置から下方へ延びる紐状体によって前記地点を指し示すと好適である。
【0039】
この構成によれば、地点指示工程において、紐状体により、地点が明確且つ確実に指し示される。これにより、設置工程を適切に行いやすい。
【0040】
また、本発明の別の特徴は、作業場で作業を行う作業車の位置を特定する位置特定システムであって、前記作業場に設置されたマーカー体と、前記作業車に設けられると共に前記マーカー体を検出する検出部と、前記検出部による検出結果に基づいて前記作業車の位置を特定する特定部と、を備え、前記マーカー体は、前記作業場における樹木に設置されていることにある。
【0041】
本発明であれば、マーカー体は樹木に設置されている。一般に、樹木は、風や雨等によって位置が変化しにくい。そのため、本発明であれば、マーカー体の位置が風や雨等によって変化してしまう事態を回避しやすい。
【0042】
また、作業車が樹木の近傍で作業を行う場合は、マーカー体の近傍で作業を行うこととなる。これにより、特定部による作業車の位置特定の精度が良好になりやすい。
【0043】
さらに、本発明において、前記作業場は、果樹園であり、前記樹木は、果樹であり、前記マーカー体は、前記果樹の生産管理用の二次元コードを有しており、前記検出部は、前記二次元コードを検出すると好適である。
【0044】
この構成によれば、果樹の生産管理用の二次元コードを利用して、作業車の位置が特定される。これにより、果樹の生産管理用の二次元コードが果樹に付与されている果樹園において、作業車の位置特定のためのマーカー体を新たに設置することなく、位置特定システムを構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】作業車及びマーカー体の構成を示す側面図である。
図2】作業場における2つのマーカー体と作業車との位置関係の一例を示す平面図である。
図3】模様部の構成を示す側面図である。
図4】模様部の構成を示す側面図である。
図5】位置特定システムの構成を示すブロック図である。
図6】マーカー体設置方法における地点指示工程を示す側面図である。
図7】マーカー体設置方法における設置工程を示す側面図である。
図8】第1別実施形態における作業車及びマーカー体の構成を示す側面図である。
図9】第1別実施形態におけるマーカー体の構成を示す図である。
図10】第1別実施形態におけるマーカー体の検出を説明する図である。
図11】その他の実施形態(1)におけるマーカー体の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
〔位置特定システムの全体構成〕
作業場Wで作業を行う作業車1の位置を特定する位置特定システムAの全体構成について説明する。
【0047】
図1に示すように、位置特定システムAは、作業車1と、マーカー体2と、を備えている。作業車1は、作業場Wで作業を行う。本実施形態において、作業場Wは、果樹園である。作業場Wには、複数の樹木Tが植えられている。本実施形態において、樹木Tは、果樹である。
【0048】
マーカー体2は、作業場Wに設置されている。
【0049】
即ち、位置特定システムAは、作業場Wに設置されたマーカー体2を備えている。
【0050】
図1に示すように、作業車1は、車両本体3、複数の屈折リンク機構4、複数の走行車輪5、複数の補助車輪6を備えている。
【0051】
車両本体3は、箱状の外形を有している。複数の走行車輪5は、車両本体3の左右両側における前後それぞれに位置している。
【0052】
尚、本実施形態において、走行車輪5の設けられる個数は4つである。しかしながら、本発明はこれに限定されない。例えば、走行車輪5の設けられる個数は5つでも良いし、6つでも良い。
【0053】
各走行車輪5は、それぞれ、屈折リンク機構4を介して、各別に昇降自在に車両本体3に支持されている。屈折リンク機構4は、油圧駆動式の姿勢変更機構(図示せず)を有している。詳述はしないが、姿勢変更機構が駆動することにより、各屈折リンク機構4の姿勢が変化するように構成されている。
【0054】
各走行車輪5には、それぞれ、油圧モータ(図示せず)が取り付けられている。油圧モータの駆動力が走行車輪5に伝達されることにより、走行車輪5が駆動する。そして、各走行車輪5が駆動することにより、作業車1は走行可能である。
【0055】
また、各屈折リンク機構4の中途部に位置する関節部分に、補助車輪6が設けられている。補助車輪6は、横軸芯周りで回動自在に構成されている。
【0056】
〔マーカー体について〕
図2に示すように、本実施形態においては、作業場Wに複数のマーカー体2が設置されている。図1及び図3に示すように、マーカー体2は、上下方向に延びる円柱状である。
【0057】
図3に示すように、マーカー体2は、模様部20を有している。模様部20は、マーカー体2における上部に位置している。模様部20は、マーカー体2の側面の全周または略全周に亘って設けられている。
【0058】
模様部20は、上下方向に並ぶ複数の帯状部Bを有している。本実施形態において、模様部20は、第1帯状部21、第2帯状部22、第3帯状部23、第4帯状部24を有している。第1帯状部21、第2帯状部22、第3帯状部23、第4帯状部24は、何れも、帯状部Bである。即ち、模様部20の有する帯状部Bの個数は、4つである。しかしながら、本発明はこれに限定されず、帯状部Bの個数は、2つ以上であれば、いかなる個数であっても良い。
【0059】
そして、模様部20は、これらの帯状部Bにより構成された縞模様を呈している。
【0060】
即ち、マーカー体2は、上下方向に並ぶ複数の帯状部Bにより構成された縞模様を呈する模様部20を有している。
【0061】
図3及び図4には、第1太さW1、第2太さW2、第3太さW3、第4太さW4が示されている。第1太さW1は、第1帯状部21の太さである。第2太さW2は、第2帯状部22の太さである。第3太さW3は、第3帯状部23の太さである。第4太さW4は、第4帯状部24の太さである。
【0062】
また、図3及び図4には、第1間隔D1、第2間隔D2、第3間隔D3が示されている。第1間隔D1は、第1帯状部21と第2帯状部22との間隔である。第2間隔D2は、第2帯状部22と第3帯状部23との間隔である。第3間隔D3は、第3帯状部23と第4帯状部24との間隔である。
【0063】
図3及び図4に示すように、各マーカー体2の模様部20は、互いに異なる縞模様を呈している。より具体的には、各マーカー体2の模様部20は、それぞれ、各帯状部Bの色と、各帯状部Bの太さ及び帯状部B同士の間隔と、により規定される、固有の縞模様を呈している。
【0064】
例えば、図3には、第1マーカー体2a及び第2マーカー体2bが示されている。第1マーカー体2a及び第2マーカー体2bは、何れも、マーカー体2である。
【0065】
第1マーカー体2aにおける第1太さW1、第2太さW2、第3太さW3、第4太さW4は、互いに等しい。第1マーカー体2aにおける第1間隔D1、第2間隔D2、第3間隔D3は、互いに等しい。
【0066】
また、第2マーカー体2bにおける第1太さW1、第2太さW2、第3太さW3、第4太さW4は、互いに等しい。第2マーカー体2bにおける第1間隔D1、第2間隔D2、第3間隔D3は、互いに等しい。
【0067】
そして、第1マーカー体2aにおける第1太さW1、第2太さW2、第3太さW3、第4太さW4は、それぞれ、第2マーカー体2bにおける第1太さW1、第2太さW2、第3太さW3、第4太さW4に等しい。また、第1マーカー体2aにおける第1間隔D1、第2間隔D2、第3間隔D3は、それぞれ、第2マーカー体2bにおける第1間隔D1、第2間隔D2、第3間隔D3に等しい。
【0068】
即ち、第1マーカー体2aの模様部20における各帯状部Bの太さ及び帯状部B同士の間隔と、第2マーカー体2bの模様部20における各帯状部Bの太さ及び帯状部B同士の間隔と、は一致している。
【0069】
しかしながら、第1マーカー体2aの模様部20における各帯状部Bの色と、第2マーカー体2bの模様部20における各帯状部Bの色と、は互いに異なっている。
【0070】
詳述すると、第1マーカー体2aにおける第1帯状部21、第2帯状部22、第3帯状部23、第4帯状部24の色は、それぞれ、黄色、青色、赤色、橙色である。一方で、第2マーカー体2bにおける第1帯状部21、第2帯状部22、第3帯状部23、第4帯状部24の色は、それぞれ、青色、黄色、赤色、橙色である。
【0071】
即ち、第1マーカー体2aにおける第1帯状部21の色と、第2マーカー体2bにおける第1帯状部21の色と、は互いに異なっている。また、第1マーカー体2aにおける第2帯状部22の色と、第2マーカー体2bにおける第2帯状部22の色と、は互いに異なっている。これにより、第1マーカー体2aの模様部20と、第2マーカー体2bの模様部20と、は互いに異なる縞模様を呈している。
【0072】
また、図4には、第3マーカー体2c及び第4マーカー体2dが示されている。第3マーカー体2c及び第4マーカー体2dは、何れも、マーカー体2である。
【0073】
第3マーカー体2cにおける第1帯状部21、第2帯状部22、第3帯状部23、第4帯状部24の色は、それぞれ、黄色、青色、赤色、橙色である。第4マーカー体2dにおける第1帯状部21、第2帯状部22、第3帯状部23、第4帯状部24の色も、それぞれ、黄色、青色、赤色、橙色である。
【0074】
即ち、第3マーカー体2cの模様部20における各帯状部Bの色と、第4マーカー体2dの模様部20における各帯状部Bの色と、は一致している。
【0075】
しかしながら、第3マーカー体2cの模様部20における各帯状部Bの太さ及び帯状部B同士の間隔と、第4マーカー体2dの模様部20における各帯状部Bの太さ及び帯状部B同士の間隔と、は互いに異なっている。
【0076】
詳述すると、第3マーカー体2cにおける第1太さW1は、第4マーカー体2dにおける第1太さW1よりも太い。また、第3マーカー体2cにおける第2太さW2は、第4マーカー体2dにおける第2太さW2よりも太い。また、第3マーカー体2cにおける第1間隔D1は、第4マーカー体2dにおける第1間隔D1よりも狭い。
【0077】
即ち、第3マーカー体2cにおける第1太さW1と、第4マーカー体2dにおける第1太さW1と、は互いに異なっている。また、第3マーカー体2cにおける第2太さW2と、第4マーカー体2dにおける第2太さW2と、は互いに異なっている。また、第3マーカー体2cにおける第1間隔D1と、第4マーカー体2dにおける第1間隔D1と、は互いに異なっている。これにより、第3マーカー体2cの模様部20と、第4マーカー体2dの模様部20と、は互いに異なる縞模様を呈している。
【0078】
尚、第3マーカー体2cにおける第3太さW3、第4太さW4は、それぞれ、第4マーカー体2dにおける第3太さW3、第4太さW4に等しい。また、第3マーカー体2cにおける第2間隔D2、第3間隔D3は、それぞれ、第4マーカー体2dにおける第2間隔D2、第3間隔D3に等しい。
【0079】
また、図3及び図4に示すように、第1マーカー体2aの模様部20における各帯状部Bの太さ及び帯状部B同士の間隔と、第3マーカー体2cの模様部20における各帯状部Bの太さ及び帯状部B同士の間隔と、は互いに異なっている。
【0080】
また、第1マーカー体2aの模様部20における各帯状部Bの太さ及び帯状部B同士の間隔と、第4マーカー体2dの模様部20における各帯状部Bの太さ及び帯状部B同士の間隔と、は互いに異なっている。
【0081】
また、第2マーカー体2bの模様部20における各帯状部Bの太さ及び帯状部B同士の間隔と、第3マーカー体2cの模様部20における各帯状部Bの太さ及び帯状部B同士の間隔と、は互いに異なっている。
【0082】
また、第2マーカー体2bの模様部20における各帯状部Bの太さ及び帯状部B同士の間隔と、第4マーカー体2dの模様部20における各帯状部Bの太さ及び帯状部B同士の間隔と、は互いに異なっている。
【0083】
このように、第1マーカー体2aの模様部20と、第2マーカー体2bの模様部20と、第3マーカー体2cの模様部20と、第4マーカー体2dの模様部20と、は互いに異なる縞模様を呈している。
【0084】
〔検出部及び特定部について〕
図1及び図5に示すように、作業車1には、検出部7が設けられている。本実施形態において、検出部7は、カメラにより構成されている。検出部7は、マーカー体2を撮像することにより、マーカー体2を検出する。
【0085】
より具体的には、検出部7は、マーカー体2のうち、特に、模様部20の縞模様を撮像可能に構成されている。これにより、検出部7は、模様部20の縞模様を検出する。
【0086】
即ち、位置特定システムAは、作業車1に設けられると共にマーカー体2を検出する検出部7を備えている。
【0087】
図5に示すように、作業車1は、特定部8を備えている。尚、特定部8は、マイクロコンピュータ等の物理的な装置であっても良いし、ソフトウェアにおける機能部であっても良い。
【0088】
また、本実施形態における位置特定システムAには、管理サーバ9が含まれている。管理サーバ9は、作業車1と通信可能に構成されている。
【0089】
本実施形態において、各マーカー体2は、それぞれ、予め決められた位置に設置されている。また、各マーカー体2には、それぞれ、固有のナンバーが割り当てられている。管理サーバ9は、各マーカー体2のナンバーと、各マーカー体2の設置位置と、の対応関係を記憶している。尚、この記憶された対応関係において、各マーカー体2の設置位置は、例えば緯度及び経度により表されていても良い。
【0090】
検出部7による検出結果は、特定部8へ送られる。本実施形態において、検出部7による検出結果は、具体的には撮像画像である。また、管理サーバ9は、各マーカー体2のナンバーと、各マーカー体2の設置位置と、の対応関係を示す情報を、特定部8へ送る。特定部8は、検出部7による検出結果と、管理サーバ9から受け取った情報と、に基づいて、作業車1の位置を特定する。
【0091】
詳述すると、特定部8は、検出部7による検出結果に含まれるマーカー体2の模様部20の縞模様における各帯状部Bの色と、各帯状部Bの太さと、帯状部B同士の間隔と、に基づいて、そのマーカー体2に割り当てられているナンバーを特定する。また、このとき、検出部7による検出結果に、複数のマーカー体2の模様部20が含まれていれば、特定部8は、それら全てのマーカー体2について、それぞれのナンバーを特定する。
【0092】
尚、特定部8は、例えば、検出部7による検出結果である撮像画像に対して、機械学習されたニューラルネットワークを利用した画像認識を行うことによって、模様部20の判別や、ナンバーの特定等を行うように構成されていても良い。また、特定部8は、機械学習を利用しないプログラムによって、模様部20の判別や、ナンバーの特定等を行うように構成されていても良い。模様部20のように、人物や樹木のような形状変化のない物体の認識については機械学習を用いない方が精度が確保できる場合があり、そのような場合は機械学習を利用しないプログラムによって判別を行うようにするとよい。
【0093】
特定部8は、このように特定したナンバーと、管理サーバ9から受け取った情報と、に基づいて、検出部7による検出結果に含まれる1つまたは複数のマーカー体2の設置位置を特定する。そして、特定部8は、検出部7による検出結果に含まれる1つまたは複数のマーカー体2の設置位置に基づいて、作業車1の位置を特定する。
【0094】
即ち、特定部8は、検出部7により検出された縞模様における各帯状部Bの色に基づいて作業車1の位置を特定する。また、特定部8は、検出部7により検出された縞模様における各帯状部Bの太さ及び帯状部B同士の間隔に基づいて作業車1の位置を特定する。
【0095】
〔作業車の位置の特定について〕
本実施形態において、各マーカー体2の横幅(太さ)は互いに等しい。そのため、特定部8は、検出部7による検出結果である撮像画像に基づいて、その撮像画像に含まれる各マーカー体2と、作業車1と、の距離を算出することができる。
【0096】
本実施形態において、特定部8は、検出部7による検出結果である撮像画像に2つ以上のマーカー体2の模様部20が含まれている場合に、作業車1の位置を特定するように構成されている。
【0097】
例えば、図2に示す例では、検出部7による検出可能範囲7a内に、第1マーカー体2aと、第2マーカー体2bと、が位置している。上述の通り、各マーカー体2は、それぞれ、予め決められた位置に設置されている。即ち、第1マーカー体2aの位置と、第2マーカー体2bの位置と、は既知である。そのため、第1マーカー体2aと第2マーカー体2bとの間の距離である第1距離L1も既知である。
【0098】
この場合、特定部8は、検出部7による検出結果に基づいて、第1マーカー体2aと作業車1との間の距離である第2距離L2を算出する。また、特定部8は、検出部7による検出結果に基づいて、第2マーカー体2bと作業車1との間の距離である第3距離L3を算出する。
【0099】
そして、第1マーカー体2a及び第2マーカー体2bの位置や、第2距離L2及び第3距離L3等の情報に基づいて、作業車1、第1マーカー体2a、第2マーカー体2bを頂点とする三角形が一通りに定まることとなる。その結果、特定部8は、作業車1の位置を特定することができる。
【0100】
尚、検出部7による検出結果である撮像画像に3つ以上のマーカー体2の模様部20が含まれている場合は、各マーカー体2の横幅(太さ)が互いに異なっていても、特定部8は、作業車1の位置を特定することができる。
【0101】
図6及び図7に示すように、マーカー体2は、ユーザが持ち運べるように構成されている。即ち、マーカー体2は、設置位置を変更可能に構成されている。
【0102】
以下では、上述の位置特定システムAにおけるマーカー体2を設置するための方法であるマーカー体設置方法について説明する。
【0103】
〔マーカー体設置方法について〕
図6では、マーカー体設置方法に含まれる地点指示工程が示されている。地点指示工程においては、飛行装置10によって、作業場Wにおける地点が指し示される。飛行装置10は、空中で停止飛行を行うことが可能であるように構成されている。尚、本実施形態において、飛行装置10は、具体的にはマルチコプターである。
【0104】
また、飛行装置10は、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)で用いられる人工衛星GSからのGPS信号を受信する。そして、飛行装置10は、受信したGPS信号に基づいて、自機位置を算出する。これにより、飛行装置10は、自機位置を取得可能である。即ち、飛行装置10は、衛星測位により自機位置を取得可能である。
【0105】
尚、本発明はこれに限定されない。飛行装置10は、GPSを利用するものでなくても良い。例えば、飛行装置10は、GPS以外のGNSS(GLONASS、Galileo、みちびき、BeiDou等)を利用するものであっても良い。
【0106】
そして、飛行装置10は、地点指示工程において、マーカー体2を設置すべき地点の上方で停止飛行を行う。そして、飛行装置10は、停止飛行を行いながら作業場Wにおける地点を指し示す。
【0107】
即ち、マーカー体設置方法は、衛星測位により自機位置を取得可能であると共に空中で停止飛行を行うことが可能な飛行装置10が、停止飛行を行いながら作業場Wにおける地点を指し示す地点指示工程を備えている。
【0108】
図6に示すように、地点指示工程において、飛行装置10は、レーザー光11を下方へ照射することによって地点を指し示す。しかしながら、本発明はこれに限定されない。例えば、地点指示工程において、飛行装置10は、飛行装置10から下方へ延びる紐状体(図示せず)によって地点を指し示してもよい。
【0109】
図7では、マーカー体設置方法に含まれる設置工程が示されている。尚、設置工程は、地点指示工程の後に行われる。図7に示すように、設置工程においては、地点指示工程により指し示された地点に、ユーザがマーカー体2を設置する。
【0110】
即ち、マーカー体設置方法は、地点指示工程により指し示された地点にマーカー体2を設置する設置工程を備えている。
【0111】
以上で説明した構成であれば、模様部20は、マーカー体2の側面の全周または略全周に亘って設けられている。そのため、作業車1がマーカー体2に対して何れの方角に位置していても、検出部7による検出可能範囲7a内にマーカー体2の側面が捉えられていれば、検出部7によって模様部20の縞模様を検出できる。そして、例えば作業場Wにおける予め決められた位置にマーカー体2を設置すること等によって、マーカー体2の位置が既知であれば、検出部7による検出結果に基づき、特定部8によって作業車1の位置が特定される。
【0112】
例えば、検出部7がカメラである場合、検出部7により取得された撮像画像に模様部20の縞模様が含まれていれば、撮像画像における縞模様の位置や大きさ等と、既知であるマーカー体2の位置と、に基づき、特定部8によって作業車1の位置が特定される。
【0113】
そして、以上で説明した構成であれば、衛星測位システムに依存することなく、作業車1の位置を特定することができる。そのため、衛星測位システムを利用した測位装置による位置特定の精度が悪くなる作業環境においても、作業車1の位置特定の精度が悪くなることはない。即ち、以上で説明した構成であれば、衛星測位システムを利用した測位装置による位置特定の精度が悪くなる作業環境においても、作業車1の位置を精度良く特定できる位置特定システムAを実現できる。
【0114】
〔第1別実施形態〕
上記実施形態においては、マーカー体2は、上下方向に並ぶ複数の帯状部Bにより構成された縞模様を呈する模様部20を有している。
【0115】
しかしながら、本発明はこれに限定されない。以下では、本発明に係る第1別実施形態について、上記実施形態とは異なる点を中心に説明する。以下で説明している部分以外の構成は、上記実施形態と同様である。また、上記実施形態と同様の構成については、同じ符号を付している。
【0116】
図8に示すように、第1別実施形態における位置特定システムAは、マーカー体30を備えている。マーカー体30は、作業場Wに設置されている。尚、以下の説明では、作業場Wに、複数のマーカー体30が設置されているものとする。
【0117】
即ち、第1別実施形態における位置特定システムAは、作業場Wに設置されたマーカー体30を備えている。
【0118】
また、作業車1が検出部7及び特定部8を備えていることについては、上記実施形態と同様である。即ち、第1別実施形態における位置特定システムAは、作業車1に設けられると共にマーカー体30を検出する検出部7を備えている。また、第1別実施形態における位置特定システムAは、検出部7による検出結果に基づいて作業車1の位置を特定する特定部8を備えている。
【0119】
第1別実施形態において、作業場Wは、果樹園である。作業場Wには、1つまたは複数の樹木Tが植えられている。樹木Tは、果樹である。
【0120】
図8及び図9に示すように、マーカー体30は、矩形の板状である。マーカー体30は、複数の釘31により、樹木Tに固定されている。
【0121】
即ち、マーカー体30は、作業場Wにおける樹木Tに設置されている。
【0122】
図9に示すように、マーカー体30は、二次元コード32を有している。二次元コード32は、果樹である樹木Tの生産管理に用いられるものである。
【0123】
即ち、マーカー体30は、果樹の生産管理用の二次元コード32を有している。
【0124】
図10に示すように、検出部7は、二次元コード32を検出する。上記実施形態と同様に、図5に示すように、検出部7による検出結果は、特定部8へ送られる。
【0125】
また、上記実施形態と同様に、各マーカー体30には、それぞれ、固有のナンバーが割り当てられている。管理サーバ9は、各マーカー体30のナンバーと、各マーカー体30の設置位置及び向きと、の対応関係を記憶している。尚、この記憶された対応関係において、各マーカー体30の設置位置は、例えば緯度及び経度により表されていても良い。また、この記憶された対応関係において、各マーカー体30の向きは、例えば、東西南北を基準とした形式(例えば、「北」や「北27度東」等)であっても良いし、座標系における単位ベクトルであっても良い。
【0126】
管理サーバ9は、各マーカー体30のナンバーと、各マーカー体30の設置位置及び向きと、の対応関係を示す情報を、特定部8へ送る。特定部8は、検出部7による検出結果と、管理サーバ9から受け取った情報と、に基づいて、作業車1の位置を特定する。
【0127】
詳述すると、特定部8は、検出部7による検出結果に含まれるマーカー体30の二次元コード32に基づいて、そのマーカー体30に割り当てられているナンバーを特定する。
【0128】
尚、特定部8は、例えば、検出部7による検出結果である撮像画像に対して、機械学習されたニューラルネットワークを利用した画像認識を行うことによって、二次元コード32の判別や、ナンバーの特定等を行うように構成されていても良い。また、特定部8は、機械学習を利用しないプログラムによって、二次元コード32の判別や、ナンバーの特定等を行うように構成されていても良い。二次元コード32のように、人物や樹木のような形状変化のない物体の認識については機械学習を用いない方が精度が確保できる場合があり、そのような場合は機械学習を利用しないプログラムによって判別を行うようにするとよい。
【0129】
特定部8は、このように特定したナンバーと、管理サーバ9から受け取った情報と、に基づいて、検出部7による検出結果に含まれるマーカー体30の設置位置及び向きを特定する。
【0130】
そして、特定部8は、特定したマーカー体30の向きと、検出部7による検出結果である撮像画像におけるマーカー体30(または二次元コード32)の向きと、に基づいて、マーカー体30に対して作業車1が何れの方角に位置しているかを特定する。言い換えれば、特定部8は、マーカー体30の設置されている向きを示す既知の情報と、検出部7(作業車1)に対するマーカー体30(または二次元コード32)の傾きと、に基づいて、マーカー体30に対して作業車1が何れの方角に位置しているかを特定する。
【0131】
例えば、図10に示す例では、検出部7による検出結果である撮像画像におけるマーカー体30の向きは、作業車1から見て、左手前側である。このマーカー体30が北向きに設置されている場合、作業車1がこのマーカー体30に対して北西に位置していることが、特定部8によって特定されることとなる。
【0132】
また、第1別実施形態において、二次元コード32の大きさは、予め定められている。
そのため、特定部8は、検出部7による検出結果である撮像画像に基づいて、その撮像画像に含まれる二次元コード32と、作業車1と、の間の距離を算出することができる。
【0133】
そして、特定部8は、マーカー体30に対して作業車1の位置する方角と、二次元コード32と作業車1との間の距離と、に基づいて、作業車1の位置を特定する。
【0134】
以上で説明した構成であれば、マーカー体30は樹木Tに設置されている。一般に、樹木Tは、風や雨等によって位置が変化しにくい。そのため、以上で説明した構成であれば、マーカー体30の位置が風や雨等によって変化してしまう事態を回避しやすい。
【0135】
また、作業車1が樹木Tの近傍で作業を行う場合は、マーカー体30の近傍で作業を行うこととなる。これにより、特定部8による作業車1の位置特定の精度が良好になりやすい。
【0136】
〔その他の実施形態〕
(1)マーカー体2は、上下方向に延びる円柱状でなくても良い。例えば、図11に示すように、マーカー体2は、三角コーンであっても良い。このマーカー体2も、上記実施形態と同様に、模様部20を有している。また、模様部20は、マーカー体2の側面の全周または略全周に亘って設けられている。また、模様部20は、上下方向に並ぶ複数の帯状部Bを有している。
【0137】
(2)特定部8が各帯状部Bの色に基づくことなく作業車1の位置を特定するように構成されていても良い。
【0138】
(3)特定部8が各帯状部Bの太さ及び帯状部B同士の間隔に基づくことなく作業車1の位置を特定するように構成されていても良い。
【0139】
(4)マーカー体2は、ユーザが持ち運べないように構成されていても良い。例えば、マーカー体2は、作業場Wの地面に打ち付けられた杭等であっても良い。即ち、マーカー体2は、設置位置を変更不能に構成されていても良い。
【0140】
(5)作業場Wは、果樹園でなくても良い。例えば、作業場Wは、圃場や工場、物流倉庫等であっても良い。
【0141】
(6)作業車1の構成は、上記実施形態における構成に限定されない。例えば、作業車1は、走行車輪5及び補助車輪6に代えて、クローラ式の走行装置を備えていても良い。
また、作業車1は、屈折リンク機構4を備えていなくても良い。また、作業車1は、作業対象物を把持可能なアーム等を備えていても良い。
【0142】
尚、上述の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0143】
本発明は、作業場で作業を行う作業車の位置を特定する位置特定システムに適用できる。
【符号の説明】
【0144】
1 作業車
2、30 マーカー体
7 検出部
8 特定部
10 飛行装置
11 レーザー光
20 模様部
32 二次元コード
A 位置特定システム
B 帯状部
T 樹木
W 作業場
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11