(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
B62D 25/06 20060101AFI20240325BHJP
A01D 67/02 20060101ALI20240325BHJP
B62D 33/06 20060101ALI20240325BHJP
B62D 49/00 20060101ALI20240325BHJP
【FI】
B62D25/06 Z
A01D67/02
B62D33/06 A
B62D49/00 D
(21)【出願番号】P 2020215612
(22)【出願日】2020-12-24
【審査請求日】2022-12-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】北 直明
(72)【発明者】
【氏名】迫 和志
(72)【発明者】
【氏名】一二三 慶城
(72)【発明者】
【氏名】中島 和喜
(72)【発明者】
【氏名】荒木 穣
(72)【発明者】
【氏名】串田 吉広
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-072662(JP,U)
【文献】特開平07-156827(JP,A)
【文献】特開2020-199939(JP,A)
【文献】特開平06-144290(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 17/00-25/08
B62D 25/14-29/04
A01D 67/00-67/04,69/00
A01D 41/00-41/16,45/10
B62D 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転部と、前記運転部を覆うキャビンと、が備えられ、
前記キャビンは、キャビン全体を支持するキャビンフレームと、前記運転部の周囲を覆う周壁部と、前記運転部の上部を覆う屋根部と、を備え、
前記屋根部に、外側に位置するアウタールーフと、内側に位置し前記キャビンフレームに固定されたインナールーフと、前記アウタールーフと前記インナールーフとの間に収納され前記インナールーフに固定された空調装置と、が備えられ、
前記アウタールーフが、上面側を形成する上側部と下面側を形成する下側部とが接合されて構成され、
前記キャビンフレームに前記アウタールーフを取り付ける取付部が、前記キャビンの外部に露出する状態で備えられており、
前記取付部が、前記アウタールーフの前記下側部に固定され、かつ、前記アウタールーフの下部から上部にまで延ばされて前記アウタールーフの前記上側部に連結され、
前記アウタールーフを前記取付部から取り外すと前記インナールーフに固定された前記空調装置が露出する作業機。
【請求項2】
前記キャビンフレームに、前記屋根部の周囲に沿って延びるルーフフレームと、複数の上下方向に延びる縦フレームとが備えられ、
前記アウタールーフに、前記ルーフフレームよりも外方に張り出す張り出し部が備えられ、
前記張り出し部の下方に前記取付部が備えられている請求項1に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバイン、サトウキビ収穫機などの作業機に関し、詳しくは、運転部を覆うキャビンが備えられている作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
作業車に使用されるキャビンとして、運転部の周囲が側壁で覆われ、上方がルーフ部によって覆われる構成となっており、ルーフ部に、運転空間側に位置するインナールーフと、外側に位置する中空状のアウタールーフと、が備えられ、インナールーフとアウタールーフとで囲まれた空間に空調装置が備えられたものがある(例えば、特許文献1参照)。
そして、このようなアウタールーフの取付構造として、従来では、キャビンフレームに対してキャビンの内方側の空間から連結される構成となっていた(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-65887号公報
【文献】特開平11-11347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成のキャビンにおいて、例えば、空調装置のメンテナンスを行う場合には、アウタールーフを取り外す必要があり、アウタールーフとキャビンフレームとの連結を解除する作業をキャビンの内方側の空間にて行うことになる。アウタールーフとキャビンフレームとの連結が解除されるとアウタールーフが自由状態となる。しかし、そのとき、作業者はキャビンの内部に居るので、アウタールーフを支持することができず、アウタールーフの姿勢が不安定になり外方に向けて落下する等のおそれがある。また、アウタールーフを装着するときには、アウタールーフの位置合わせ作業と連結作業とを同時に行うことができない等、作業が行い難くなる不利な面があった。
【0005】
そこで、アウタールーフの着脱作業が行い易くなるようにすることが要望されていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るコンバインの特徴構成は、運転部と、前記運転部を覆うキャビンと、が備えられ、前記キャビンは、キャビン全体を支持するキャビンフレームと、前記運転部の周囲を覆う周壁部と、前記運転部の上部を覆う屋根部と、を備え、前記屋根部に、外側に位置するアウタールーフと、内側に位置し前記キャビンフレームに固定されたインナールーフと、前記アウタールーフと前記インナールーフとの間に収納され前記インナールーフに固定された空調装置と、が備えられ、前記アウタールーフが、上面側を形成する上側部と下面側を形成する下側部とが接合されて構成され、前記キャビンフレームに前記アウタールーフを取り付ける取付部が、前記キャビンの外部に露出する状態で備えられており、前記取付部が、前記アウタールーフの前記下側部に固定され、かつ、前記アウタールーフの下部から上部にまで延ばされて前記アウタールーフの前記上側部に連結され、前記アウタールーフを前記取付部から取り外すと前記インナールーフに固定された前記空調装置が露出する点にある。
【0007】
本発明によれば、アウタールーフを取り付ける取付部がキャビンの外部に露出しているので、作業者がアウタールーフを取り外したり、再度、装着したりするときには、外方側から取付部に対する着脱作業を行える。そのとき、アウタールーフが自由状態になっていても、作業者は手で押さえながら支持することができるので作業が行い易い。
【0008】
従って、キャビンにおいてアウタールーフを取り外す必要がある場合であっても、アウタールーフの着脱作業が行い易くなるようにすることが可能となる。
又、本発明によれば、アウタールーフが上側部と下側部とが接合されて構成されるので、上側部と下側部との間に中空部を設けることができ、キャビンの内部と外部との間の断熱効果を向上できるものとなる。そして、このような構成のアウタールーフでは、上側部と下側部との接合箇所が弱くなるおそれがあり、例えば、機体振動や強風等が原因で上側部と下側部との接合箇所が分離することが考えられる。そこで、本発明では、取付部をアウタールーフの下部から上部にまで延ばして、アウタールーフの上側部に連結する構成とした。このように構成することにより、何等かの要因で上側部と下側部との接合箇所が分離することがあっても、上側部が分離して外方に抜け外れる等の不利を未然に防止できる。
【0009】
本発明においては、前記キャビンフレームに、前記屋根部の周囲に沿って延びるルーフフレームと、複数の上下方向に延びる縦フレームとが備えられ、前記アウタールーフに、前記ルーフフレームよりも外方に張り出す張り出し部が備えられ、前記張り出し部の下方に前記取付部が備えられていると好適である。
【0010】
本構成によれば、アウタールーフに張り出し部が備えられ、その張り出し部の下方に、ルーフフレーム及び取付部が備えられる。その結果、ルーフフレーム及び取付部に対して雨が降りかかることを回避でき、取付部の早期の腐食を防止して耐久性の向上を図れる。
【0011】
【0012】
【0013】
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図4】アウタールーフの取り外し状態と示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るサトウキビ収穫機の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
〔全体構成〕
図1、
図2は、サトウキビ収穫機の全体を示す図であり、
図1は側面図、
図2は平面図である。この実施形態では、
図1,2に符号(F)で示す方向が機体前側、符号(B)で示す方向が機体後側である。
図2に符号(L)で示す方向が機体左側、
図2に符号(R)で示す方向が機体右側である。
【0017】
サトウキビ収穫機は、操向操作可能な左右の前部走行装置としての前車輪1と、操向不能で且つ回転駆動される左右の後部走行装置としての後車輪2とを備えて、後車輪2を駆動することで走行可能な車輪走行式に構成されている。
【0018】
機体には、運転部3と、植立している作物を刈り取る刈取部4と、サトウキビの上部の葉部分を切断するトッパ5と、刈取部4にて刈り取られた作物を後上方に搬送する搬送装置としてのフィーダ6と、フィーダ6によって搬送される作物(サトウキビ)と夾雑物とを分離する分離装置7と、夾雑物と分離された作物(収穫物)を機体外方側に斜め上方に向けて搬送して排出する排出コンベア8と、機体各部に動力を供給するエンジン9と、が備えられている。
【0019】
運転部3は、機体前部の高い位置に備えられ、キャビン10によって周囲が覆われている。図示はしていないが、キャビン10内部には、運転座席、ステアリングハンドル、操作パネル等が備えられている。キャビン10の左右両側の側面部は夫々、開閉可能なドア部として形成されている。キャビン10については後で説明する。
【0020】
刈取部4は、機体の前下部に備えられている。刈取部4には、植立作物のうち収穫対象を分草して案内する左右の分草装置11と、圃場に植立する作物を刈り取って後方に送り込む刈取ヘッダ12と、が備えられている。
【0021】
左右の分草装置11は、回転駆動される縦向き姿勢の分草回転体13が備えられている。左右の分草装置11は、リンク機構14を介して機体フレーム15に昇降可能に支持されている。
【0022】
刈取ヘッダ12は、左右の分草装置11の後方に連なるように設けられた左右の側壁17(
図2参照)と、その左右の側壁17にて挟まれた領域内に作物を前倒れ姿勢になるように押し倒しながら後方に掻き込むローラ(図示せず)、作物の株元を切断する切断装置18等、が備えられている。切断装置18は、左右の分草装置11の後方に位置して、上下軸芯周りで回転する左右一対の回転式カッターを備えている。
【0023】
フィーダ6は、
図2に示すように、刈取ヘッダ12の左右の側壁17の間隔と略同じ搬送幅を有し、搬送始端部が切断装置18の後方に連なる低い位置に設けられている。フィーダ6は、機体後上方に向けて作物を搬送するように、後上がり傾斜姿勢に設けられている。フィーダ6は、全体として、略矩形筒状の搬送経路を形成する剛性の高い構造体が形成されている。
【0024】
フィーダ6の内部には、図示していないが、左右両側の側壁17の間において、搬送方向に沿って適宜間隔をあけて掻き出し回転体が作物の移送経路の上下両側に備えられ、上下両側の掻き出し回転体が互いに逆方向に回転駆動され、それらの間に収穫物を挟み込んで後方に搬送するように構成されている。
【0025】
フィーダ6は搬送終端部において、搬送されてくる長尺状の作物を、運搬トラックへ排出するときに取扱いが容易な長さになるように細断する構成となっている。
【0026】
分離装置7は、図示はしないが、上下軸芯周りで回転するファンが内装され、ファンの通風作用によって、フィーダ6の搬送終端部から排出される作物に含まれる細かな茎稈屑や葉切れ等の夾雑物を分離して外方に排出する。すなわち、フィーダ6の後端部から排出される作物は、排出される途中でファンによる吸引作用を受けて、細かな茎稈屑や葉切れ等の比較的軽い夾雑物が上方に吸引され、外方に排出される。夾雑物に比べて重い作物(サトウキビ)は、ファンにより吸引されることなく、そのまま下方に落下する。
【0027】
分離装置7の直下方側であって且つフィーダ6の後端部よりも後下方側に、フィーダ6から下方に排出された作物を受止め回収する受止めホッパー19が備えられている。受止めホッパー19にて受止められた作物は排出コンベア8の搬送始端部に排出される。
【0028】
排出コンベア8は、機体フレーム15の後部に設けられたコンベア支持フレーム20によって全体が支持されており、機体の後下部から機体外方上方に向けて延びている。排出コンベア8は図示しない油圧モータにより駆動され、作物を係止搬送して搬送終端部から運搬用トラックの荷台に落下排出する。
【0029】
〔キャビン〕
キャビン10について説明する。
図2に示すように、キャビン10は、キャビン10全体を支持するキャビンフレーム21と、運転部3の周囲を覆う周壁部22と、運転部3の上部を覆う屋根部23と、を備えている。周壁部22は、前部に位置するフロントガラス24、左右のドア部25、及び、後面部26を備えている。
図4及び
図8に示すように、キャビンフレーム21は、上下に延びる縦フレームとしての左右のフロントピラー27及び左右のリアピラー28と、屋根部23の周囲に位置する四角枠状のルーフフレーム29と、を備えている。
【0030】
ドア部25は前部側に設けられたヒンジによりフロントピラー27に対して揺動可能に支持されている。左右のドア部25は、外周部が支持枠にて囲われたガラスにて構成されている。
【0031】
図1に示すように、ドア部25のガラスのうち下側の領域には、外部からの太陽の日差しを和らげるための減光用のマスキング部31が印刷により施されている。図示はしていないが、このマスキング部31の上部側は、刈取状況を目視し易いように透視可能な領域の割合が多めに設定されている。マスキング部31の下部側は透視可能な領域の割合が少なく減光率を高めている。
【0032】
キャビン10の前面に位置するフロントガラス24は、屋根部23の下面から運転部3の床面に近い位置まで延びている。フロントガラス24は、側面視において前倒れ状態に傾斜している。フロントガラス24は、左右のフロントピラー27に亘って設けられ、平面視において、キャビン10の左側端部及び右側端部に対してキャビン10の左右中央部が前方に膨出するように湾曲する形状となっている。
【0033】
左右のフロントピラー27は角パイプ材を用いて構成されている。
図11に示すように、フロントピラー27の側面は機体前後方向に沿う平面であり、フロントピラー27の前面は機体左右方向に沿う平面となるように設けられている。このように構成することで、ヒンジ、あるいは、ドア部25に対するウエザーストリップ30等を、ドア部25の向きに対して適正な姿勢でフロントピラー27に取り付け易いものとなる。
【0034】
フロントガラス24は、上述したように、左右中央部が前方に膨出するように湾曲する形状であるから、フロントピラー27の前面にそのまま接着させることができない。そこで、
図11に示すように、フロントガラス24の湾曲面に沿う傾斜姿勢の受け面を有する中継支持部材32が設けられ、フロントガラス24は中継支持部材32の受け面32aに接着固定されている。中継支持部材32はフロントピラー27に溶接固定されている。
【0035】
図3に示すように、キャビン10のフロントガラス24の前方には、サトウキビを収穫するときに、植立しているサトウキビが勢いよく接当してもフロントガラス24等が損傷しないように保護する保護部材33が設けられている。保護部材33は上下方向に間隔をあけて複数設けられている。保護部材33は、運転者の視界を遮らないように金属製の棒状体にて構成されている。
【0036】
複数の保護部材33は、左右のフロントピラー27にわたって延びており、左右のフロントピラー27にボルト連結にて固定されている。屋根部23の前部には左右の作業灯34が備えられている。最も上に位置する保護部材33は、左右の作業灯34を保護するように作業灯34の前方側に位置している。保護部材33のフロントピラー27に対する連結位置は、ボルト挿通孔を長孔にすることで、上下に所定範囲で位置変更可能に構成されている。
【0037】
左右のフロントピラー27における上部側の左右外側箇所には、バックミラー35と、バックミラー35を植立しているサトウキビから保護する金属製のミラーカバー36とが備えられている。バックミラー35は、正面視で略C字状に延びる棒状のミラーフレーム37に位置固定状態で支持されている。フロントピラー27の外側面に、上下方向に沿って長く延びかつ上下端部がフロントピラー27に連結された支持フレーム38が備えられている。ミラーフレーム37は、縦軸芯周りで揺動可能に支持フレーム38に支持されている。ミラーカバー36は、バックミラー35の前方領域を広く覆う板状に形成され、ミラーフレーム37に位置固定状態で支持されている。
図2に示すように、ミラーカバー36は、前部側の面が横外方側ほど後部に位置するように傾斜姿勢に設けられている。また、
図3に示すように、ミラーカバー36の下側縁は横外方側が高い位置にあり、横内方側ほど低い位置になるように傾斜姿勢に設けられている。
【0038】
バックミラー35及びミラーカバー36は、運転者が手動操作にてミラーフレーム37を縦軸芯周りで揺動させることによって、横側外方に張り出す使用姿勢(
図3参照)と、機体内方側に引退する格納姿勢(図示せず)とにわたり一体的に位置変更可能である。
【0039】
図8に示すように、キャビン10の後面部26は、上部は透視可能なガラスを有する窓部39にて構成され、下部は2層構造の壁部40にて構成されている。壁部40は、前側に壁部全面にわたって延びる前板41が備えられ、後側に上下2分割された後板42が備えられている。
図10に示すように、前板41と後板42とが複数のスペーサ部材43を介して前後方向に間隔を形成する状態で連結されている。前板41と後板42との間には、エンジン9の熱気が運転部3に伝わるのを防止する断熱材44が収納されている。後板42には適宜箇所に補強用の折り曲げ部45が形成されている。
【0040】
図8に示すように、屋根部23には、外側に位置するアウタールーフ46と、内側に位置するインナールーフ47と、アウタールーフ46とインナールーフ47との間に収納された空調装置48と、が備えられている。
【0041】
アウタールーフ46は、樹脂材を用いてブロー成型等により作製されている。アウタールーフ46の上側部46Aは緩やかな上膨らみ形状であり、アウタールーフ46の下側部46Bは中央部が上方に向けて凹入するような形状となっている。インナールーフ47は、中央部が上方に向けて凹入部する中凹み形状となっている。
【0042】
インナールーフ47とアウタールーフ46とで囲まれる領域のうちインナールーフ47よりも前側に大きな空間が形成されており、この空間に空調装置48が配備されている。
図示はしていないが、インナールーフ47とアウタールーフ46とで囲まれる領域のうちインナールーフ47の左右両側に位置する領域には、空調装置48から運転部3の室内への通気を行う通気ダクトが設けられている。
【0043】
インナールーフ47は、前部側ルーフ部47Aと後部側ルーフ部47Bとに前後に2分割されている。
図9に示すように、前部側ルーフ部47Aaと後部側ルーフ部47Bとは、前後中間の分割部47Cにて分割される構成となっており、接合部分では、前部側ルーフ部47Aの一部と後部側ルーフ部47Bの一部とが上下に重なり合う状態で接続されている。重なり合う箇所には気密性を良くするためにシール材が介装されている。インナールーフ47は、外周部の複数箇所がルーフフレーム29にボルト連結されるとともに、前部側ルーフ部47Aと後部側ルーフ部47Bとが上下に重なり合う箇所がルーフフレーム29に亘って架設される支持フレーム38にボルト連結されている(
図4参照)。
【0044】
アウタールーフ46は、上面側を形成する上側部46Aと下面側を形成する下側部46Bとが接合されて構成されている。このような構成のアウタールーフ46は、上側部46Aと下側部46Bとの接合箇所において、接合強度が少し低くなっているような場合に機体振動や強風等の影響で剥がれることがある。
【0045】
空調装置48のメンテナンス作業を行う場合等において、キャビン10からアウタールーフ46だけを取り外したり、再度取り付けたりすることができるように構成されている。そのとき、アウタールーフ46をキャビン10の外側から取り外し作業や取付作業が行えるようになっている。
【0046】
すなわち、キャビンフレーム21にアウタールーフ46を取り付ける取付部49が、キャビン10の外部に露出する状態で備えられている。アウタールーフ46には、前後両側部並びに左右両側部において、ルーフフレーム29よりも外方に張り出す張り出し部50が備えられている。張り出し部50の下方に取付部49が備えられている。
【0047】
ルーフフレーム29に対するアウタールーフ46の取付部49として、張り出し部50の下方において、アウタールーフ46の下側部46Bをルーフフレーム29の上部箇所に連結する第一取付部51と、張り出し部50の下方において、アウタールーフ46の下側部46Bをルーフフレーム29の上部箇所に連結するとともに、アウタールーフ46の下部から上部にまで延ばされ、かつ、アウタールーフ46の上側部46Aを連結する第二取付部52とが備えられている。
【0048】
図4に示すように、ルーフフレーム29の左右両側には、第一取付部51が2箇所、第二取付部52が1箇所備えられている。前側には第一取付部51が2箇所備えられ、後側には、第一取付部51が2箇所、第二取付部52が1箇所備えられている。尚、第一取付部51及び第二取付部52の取付箇所は、これらの個数に限定されるものではなく、適宜、変更して実施することができる。
【0049】
図5に示すように、第一取付部51は、帯状の板体を略L字状に曲げて形成される第一連結部材53が備えられている。第一連結部材53の下部53aがルーフフレーム29の外周面に溶接固定されている。第一連結部材53の上部53bが、アウタールーフ46における下側部46Bの底面部に下側から当て付けられた状態でボルト連結されている。ボルト54は、第一連結部材53の下方側から上向きに装着される。アウタールーフ46におけるボルト54が装着される箇所には、ナット55が埋め込まれている。ボルト54とナット55とを締結することにより第一連結部材53とアウタールーフ46とが連結される。
【0050】
図6に示すように、第二取付部52は、帯状の板体が略Z字状に曲げられて形成される第二連結部材56が備えられている。第二連結部材56は、縦向き姿勢の下端側箇所56Aがルーフフレーム29の外周面に溶接固定されている。下端側箇所56Aに連なるように略L字状に曲げられた横向き姿勢の中間側箇所56Bが、第一連結部材53と同様に、上向きに装着されるボルト54と埋め込まれたナット55とによりアウタールーフ46に連結される。
【0051】
第二連結部材56は、中間側箇所56Bから上方に向けて延びている。第二連結部材56は、アウタールーフ46における上側部46Aと下側部46bとの接合箇所であってかつ水平姿勢に設けられる水平面部分46Cまで延ばされている。第二連結部材56の上端側箇所56Cは、略L字状に曲げられ、横向き姿勢に設けられている。第二連結部材56の上端側箇所56Cには、上向きに突出する軸部材60が固定状態で設けられている。軸部材60は、アウタールーフ46における水平面部分46Cに形成された挿通孔61を上方に向けて挿通する。水平面部分46Cを挿通して上方に突出している軸部材60に対して横方向に貫通する抜け止めピン62が備えられている。
【0052】
図7に示すように、キャビン10の後側箇所における第二取付部52の近傍箇所には、ルーフフレーム29に固定されているブラケット63に横向き姿勢の軸部材64が備えられ、ブラケット63の横側には、アウタールーフ46における下側部46Bから一体的に延設された係止部65が設けられている。軸部材64が係止部65を挿通し、係止部65を挿通して横方に突出している軸部材64に対して貫通する抜け止めピン66が備えられている。
【0053】
このように構成することで、例えば、空調装置48のメンテナンス作業を行う場合には、複数の第一取付部51及び複数の第二取付部52のボルト連結を解除することにより、アウタールーフ46を機体外側から取り外すことができる。
【0054】
そして、機体が移動しているときに、アウタールーフ46における上側部46Aと下側部46Bとが接合箇所において剥がれることがあっても、縦向きの軸部材60の係止作用によって上側部46Aが外れることを防止できる。また、機体が移動しているときに、第一取付部51及び第二取付部52のボルト54が緩んで外れることがあっても、横向きの軸部材64の係止作用によってアウタールーフ46全体が外れることを防止できる。
【0055】
【0056】
【0057】
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、サトウキビ収穫機に限らず、コンバイン、トラクタなど他の作業機にも適用することができる。
【符号の説明】
【0059】
3 運転部
10 キャビン
21 キャビンフレーム
22 周壁部
23 屋根部
27,28 縦フレーム
29 ルーフフレーム
46 アウタールーフ
46A 上側部
46B 下側部
47 インナールーフ
48 空調装置
49 取付部
50 張り出し部