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特許7458972成形部品、鋳型、および圧粉体の成形方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】成形部品、鋳型、および圧粉体の成形方法
(51)【国際特許分類】
   B28B 1/26 20060101AFI20240325BHJP
【FI】
B28B1/26 101
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020526067
(86)(22)【出願日】2018-11-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-28
(86)【国際出願番号】 EP2018080440
(87)【国際公開番号】W WO2019092004
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-09-09
(31)【優先権主張番号】17201424.3
(32)【優先日】2017-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】320004515
【氏名又は名称】ドルスト・テクノロジーズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】DORST TECHNOLOGIES GMBH & CO. KG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メンゼル,ローラント
(72)【発明者】
【氏名】バウアー,セバスチャン・レオンハルト
(72)【発明者】
【氏名】ショフマン,ベネディクト
【審査官】永田 史泰
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-286810(JP,A)
【文献】特開平7-256616(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28B1/00-1/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの成形部品(1)を備える鋳型(100)であって、
それぞれの成形部品(1)は、
特にセラミック製品を鋳造するための少なくとも1つのシェル(11)を備え、封止面(13)と、特に第2の成形部品(1)と封止当接するためのフランジ(12)が前記シェル(11)のエッジに配置され、
前記シェル(11)は第1の流体透過率を有し、前記フランジ(12)は前記第1の透過率よりも小さい第2の流体透過率を有し、
前記シェルの空気および/または水についての前記透過率は少なくとも10l/(h*dm*bar)であり、
前記フランジの空気および/または水についての前記透過率は最大でも1l/(h*dm*bar)であることを特徴とする、鋳型(100)
【請求項2】
前記フランジ(12)は前記シェル(11)上に鋳造され、特に前記シェル(11)と一体的に製造される、請求項1に記載の鋳型(100)
【請求項3】
前記成形部品(1)および前記フランジ(12)は、本質的に同一の材料、特にプラスチック、好ましくはPMMAからなる、請求項1または2に記載の鋳型(100)
【請求項4】
好ましくは周方向の封止部(14)を備え、前記封止部(14)は好ましくは前記フランジ(12)内にまたは前記フランジ(12)上に配置される、請求項1から3のいずれか1項に記載の鋳型(100)
【請求項5】
前記フランジ(12)は凹部(32)を有し、前記凹部に前記封止部(14)が挿入され、特に鋳造される、請求項4に記載の鋳型(100)
【請求項6】
前記凹部(32)はアンダーカットを有する、請求項5に記載の鋳型(100)
【請求項7】
前記成形部品(1)は複数の部品で構成され、特に内側層および外側層を有することを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の鋳型(100)
【請求項8】
鋳型(100)のための、特に複数部品からなる鋳型(100)のための成形部品(1)であって、
前記成形部品(1)は、特にセラミック製品を鋳造するための少なくとも1つのシェル(11)を備え、封止面(13)と、特に第2の成形部品(1)と封止当接するためのフランジ(12)が前記シェル(11)のエッジに配置され、前記シェル(11)は第1の流体透過率を有し、前記フランジ(12)は前記第1の透過率よりも小さい第2の流体透過率を有し、前記シェルの空気および/または水についての前記透過率は少なくとも10l/(h*dm *bar)であり、前記フランジの空気および/または水についての前記透過率は最大でも1l/(h*dm *bar)であって、
少なくとも1つの排水流路(15)が前記成形部品(1)に設けられており、前記排水流路は少なくとも1つの排水流路端部(151)を有し、これを介して液体が排出管路内に排出され得、
前記成形部品(1a,1b)は、前記排水流路端部(15)を前記排出管に解放可能に接続するための解放可能な結合部(16)を有することを特徴とする、成形部品。
【請求項9】
圧粉体(3)を成形する方法であって、
- 少なくとも1つの排水流路端部(151)を有する少なくとも1つの排水流路(15)を有する成形部品(1a,1b)を設けるステップであって、前記成形部品(1a,1b)は、特にセラミック製品を鋳造するための少なくとも1つのシェル(11)を備え、封止面(13)と、特に第2の成形部品(1)と封止当接するためのフランジ(12)が前記シェル(11)のエッジに配置され、前記シェル(11)は第1の流体透過率を有し、前記フランジ(12)は前記第1の透過率よりも小さい第2の流体透過率を有し、前記シェルの空気および/または水についての前記透過率は少なくとも10l/(h*dm *bar)であり、前記フランジの空気および/または水についての前記透過率は最大でも1l/(h*dm *bar)である、前記ステップと、
- 鋳造される化合物で前記成形部品(1a,1b)を充填するステップと、
- 前記成形部品(1a,1b)に対する圧力を高めてブランク(3)を生成するステップと、
- 前記少なくとも1つの排水流路(15)および排管を通って前記ブランク(3)から液体を排水することによって、前記ブランク(3)を排出して圧粉体(31)を生成するステップと、
- 排出後、前記排水流路端部(151)から前記排出管を分離するステップと、
- 鋳型(100)または前記成形部品(1a,1b)をロボットで把持して前記鋳型(100)を開けるおよび/または前記圧粉体(31)を脱型するステップとを備える、方法。
【請求項10】
型(100)のための成形部品(1a,1b)であって、前記成形部品(1a,1b)は、特にセラミック製品を鋳造するための少なくとも1つのシェル(11)を備え、封止面(13)と、特に第2の成形部品(1)と封止当接するためのフランジ(12)が前記シェル(11)のエッジに配置され、前記シェル(11)は第1の流体透過率を有し、前記フランジ(12)は前記第1の透過率よりも小さい第2の流体透過率を有し、前記シェルの空気および/または水についての前記透過率は少なくとも10l/(h*dm *bar)であり、前記フランジの空気および/または水についての前記透過率は最大でも1l/(h*dm *bar)であって、
前記成形部品(1a,1b)は、特にセラミック製品を成形するための成形部品表面(121)を有するシェル(11)を備え、前記シェル(11)は少なくとも一部が流体透過性であり、媒体、特に空気が前記成形部品表面(121)に作用し得るように、前記シェル(11)に流路(17)が設けられており、前記成形部品(1a,1b)は、前記流路(17)を媒体源に、特に圧縮空気源に接続するための少なくとも1つの媒体接続部(171)を有する、成形部品。
【請求項11】
前記流路(17)は、前記成形部品表面(121)の各点の、少なくとも1つの流路(17)からの距離が、50mm未満、特に30mm未満であるように配置されることを特徴とする、請求項10に記載の成形部品(1a,1b)。
【請求項12】
前記流路(17)は前記シェル(11)の上を側方フランジ(12)まで延在し、前記媒体接続部(171)は前記フランジ(12)上に配置される、請求項10または11に記載の成形部品(1a,1b)。
【請求項13】
前記流路(17)は前記シェル(11)の前記成形部品表面(121)までは延在せず、特に、前記シェル(11)の中心領域から前記フランジ(12)まで実質的に径方向に延在する、請求項10から12のいずれか1項に記載の成形部品(1a,1b)。
【請求項14】
前記フランジ(12)の前記流路(17)は、前記媒体接続部(171)に接続される周方向の収集流路(18)内に開口する、請求項13に記載の成形部品(1a,1b)。
【請求項15】
請求項に記載の方法であって、
求項1から7のいずれか1項に記載の鋳型(100)を設けるステップと、
- 鋳造される化合物で前記鋳型(100)を充填するステップと、
- 前記鋳型(100)に対する圧力を高めてブランク(3)を生成するステップと、
- 前記ブランク(3)を脱水して圧粉体(31)を生成するステップと、
- 成形部品表面(121)と前記圧粉体(31)との間に媒体過圧を印加することによって、前記鋳型(100)から前記圧粉体(31)を取出すステップとを備える、方法。
【請求項16】
前記鋳型(100)から前記圧粉体(31)を取出す間、前記圧粉体(31)に媒体過圧を印加する側の成形部品とは反対側の成形部品に、前記圧粉体(31)負圧によって保持される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
形部品であって、前記成形部品は、特にセラミック製品を鋳造するための少なくとも1つのシェル(11)を備え、封止面(13)と、特に第2の成形部品(1)と封止当接するためのフランジ(12)が前記シェル(11)のエッジに配置され、前記シェル(11)は第1の流体透過率を有し、前記フランジ(12)は前記第1の透過率よりも小さい第2の流体透過率を有し、前記シェルの空気および/または水についての前記透過率は少なくとも10l/(h*dm *bar)であり、前記フランジの空気および/または水についての前記透過率は最大でも1l/(h*dm *bar)であって、前記成形部品は、多孔性シェルと、前記シェルを支持するための充填体とを有し、前記充填体および前記シェルは着脱可能な接続部によって互いに接続されていることを特徴とする、成形部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳型のための成形部品、少なくとも1つの成形部品を有する鋳型、および圧粉体を成形するプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
さまざまな鋳型および鋳型のための成形部品が先行技術から知られている。そのような鋳型は、たとえばEP 3 162 521 A1から知られている。EP 3 162 521 A1は一般的な形態の鋳型を示している。当該鋳型は第1の上側成形部品および第2の下側成形部品を有する。当該成形部品は2つの押圧体同士の間に挿入されて押圧体によって共に動く。当該成形部品同士の間に成形空間が形成される。
【0003】
典型的に、成形部品の各々は、成形キャビティに面する自身の表面上に多孔性または透過性のエッジ層を有する。空気および液体がこのエッジ層を通って排出され得る。鋳型は成形部品を1つしか有さないこと、または3つ以上有することも考えられる。
【0004】
EP 3 162 521 A1製の鋳型の下側成形部品は、水または空気を排出するための出口管を有する。この出口管は多孔性層に接続されている。
【0005】
EP 3 162 521 A1の鋳型および成形部品は比較的大きく重いため、取扱いが比較的困難である。また、成形部品同士の間を充填するスラリーの排出が不均一である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって本発明の課題は、先行技術のこれらおよびその他の不利点に対処することである。特に、ブランクの均一な排出を可能にする鋳型のための成形部品を提供する。また、ブランクおよび/または圧粉体の単純な生成を可能にする成形部品を提供する。特に、対応するプロセスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これらおよびその他の課題は、独立特許請求項に規定されている装置およびプロセスによって解決される。さらなる設計が従属特許請求項からもたらされる。
【0008】
本発明に係る鋳型のための、特に複数部品からなる鋳型のための成形部品は、特にセラミック製品を鋳造するための少なくとも1つのシェルを含む。封止面と封止接触するための、特に第2の成形部品と封止接触するためのフランジが、この成形部品のエッジに配置されている。シェルは第1の流体透過率を有し、フランジは第2の流体透過率を有する。第2の透過率は第1の透過率よりも小さい。
【0009】
透過率は、1時間当たり、1平方デシメートル当たり、かつ圧力:l/(h*dm2*bar)当たりの固体を通過可能な流体の体積と定義される。
【0010】
シェルの透過率とフランジの透過率とが異なるため、成形部品内の流体の流れを特定的に制御することができる。特に、これは、成形キャビティ内の流体が成形部品のシェルを介して排出され、成形部品のフランジを介しては排出されないことを意味する。排出の流れがこのように導かれる。特に、シェルは床領域および壁領域を含む。
【0011】
好ましくは、フランジはシェル上に鋳造され、特にシェルと一体的に製造される。
フランジおよびシェルはこのように成形部品の一体部分であるため、同じ収縮を受ける。生産が単純化され、成形部品は不要な見切り線を有さない。
【0012】
好ましくは、シェルおよびフランジは本質的に同一の材料からなる。特に、シェルの材料およびフランジの材料の材料特性は本質的に同一である。材料は好ましくはプラスチックであり、特にPMMAである。
【0013】
同一材料から製造することによって成形部品の特性が向上する。材料特性は成形部品全体について同一である。
【0014】
成形部品のシェルは好ましくは、少なくとも10l/(h*dm2*bar)の透過率を有する。これに代えて、またはこれに加えて、フランジの透過率は最大で1l/(h*dm2*bar)である。
【0015】
成形部品は封止部を有してもよく、当該封止部は好ましくは周方向のシールとして設計される。このシールは好ましくはフランジ内にまたはフランジ上に配置される。
【0016】
これによって、設置時に成形部品を封止面上に封止して、特に成形空間を環境から閉じるおよび/または封止することができる。
【0017】
封止部によって、フランジをより大きい公差で製造することもできる。封止効果はフランジによってではなく封止部によって提供され得るからである。
【0018】
フランジは好ましくは凹部を有し得、当該凹部に封止部が挿入される。封止部は好ましくはフランジ内に鋳造される。
【0019】
これによって封止部がフランジ内に固定されて損失から保護される。
凹部はアンダーカットを有し得る。
【0020】
こうして損失からの保護が向上する。
当該成形部品はいくつかの部品からなり、特に内側層および外側層を有し得る。
【0021】
この場合、内側層とは、それが成形キャビティに、したがって後の圧粉体に面することを意味する。
【0022】
本発明のさらなる局面は、上述のような少なくとも1つの好ましくは2つの成形部品を有する鋳型に関する。そのような鋳型によって、特にセラミック製品の生産、および所望の形状の連続生産が可能になる。
【0023】
本発明のさらなる局面は、成形部品、特に本明細書に記載されるような成形部品に関し、少なくとも1つの排水流路が成形部品に設けられている。排水流路は少なくとも1つの排水流路端部を有し、これを介して液体が排水管によって排水され得る。成形部品は、排水流路の端部を排出管に着脱可能に接続するための着脱可能な結合部を有する。
【0024】
これによって、排出管の個別の結合および分離が可能になる。特に、排水流路端部が結合部として設計され、押圧シリンダとの対応する結合部と相互に作用することが考えられる。
【0025】
これによって、押圧シリンダが成形部品に付けられると排出管路を直接結合することができる。排出管路を別個に結合することは不要となり、2つのステップが組合されて1つのステップになる。
【0026】
たとえば水などの媒体を移動させるための別個の充填体が成形部品と押圧シリンダとの間に設けられてもよく、充填体は鋳型を充填し、結合部または排水流路端部は充填体を通って押圧シリンダまで延在する。
【0027】
着脱可能な結合部は、成形部品の中心領域内に、特に成形部品の質量中心におけるまたは質量中心に隣接した領域内に、配置され得る。
【0028】
この領域は好ましくは、結合部の軸の周りの慣性モーメントを最小限にすることができるように選択される。
【0029】
着脱可能な結合部は好ましくは、ロボットによって把持され得るように設計される。
これによって、付加的な要素を成形部品に取り付けなくても成形部品を鋳型の中から持ち上げることができる。結合部は、排水する機能だけでなく、成形部品を把持して取扱うための要素を提供する機能も引継ぐ。
【0030】
成形部品がロボットの把持アームのうちの一方において捻じれないようにする、結合部または場合によっては第2の非貫通結合部上に形成される付加的な把持輪郭が設けられてもよい。
【0031】
本発明のさらなる局面は、圧粉体を形成するプロセスであって、
- 少なくとも1つの排水流路端部を有する少なくとも1つの排水流路を有する成形部品、特に上述の成形部品を設けるステップと、
- 鋳造される化合物で成形部品を充填するステップと、
- 成形部品に対する圧力を高めてブランクを生成するステップと、
- 少なくとも1つの排水流路および排出管路を通ってブランクから液体を排水して、排水によって圧粉体を生成するステップと、
- 脱水後、排水流路の端部から排出管路を分離するステップと、
- 鋳型または成形部品をロボットで把持して鋳型を開けるおよび/または圧粉体を脱型するステップとを備えるプロセスに関する。
【0032】
好ましくは、ロボットは上述のように結合部において鋳型を把持する。
結合部は、ロボットが結合部を把持すると、充填体などの鋳型の少なくとも一部が成形部品と共に持ち上げられるように、たとえば成形部品から充填体を通って延在し得る。しかし、まず充填体を取出してからロボットを用いて結合部において成形部品を把持して取出すことも考えられる。
【0033】
これによって圧粉体の容易な生産および整形が可能になる。
本発明のさらなる局面は、鋳型のための成形部品、特に本願に記載されるような成形部品に関し、成形部品は、製品、特にセラミック製品を成形するための成形部品表面を有するシェルを含む。シェルは少なくとも一部が流体透過性である。媒体、特に空気および/または水が成形部品表面に作用し得るように、シェルに流路が設けられている。成形部品は、流路を媒体源に、特に圧縮空気源に接続するための少なくとも1つの媒体接続部を有する。
【0034】
ここにおいておよび以下において、流路とは、別個に形成された流路を意味し、気孔によって形成されたシェル内の流体接続部を意味しない。流路は典型的に管状の接続部として設計される。
【0035】
シェル内の接続されていない別個の流路システムによって、媒体、特に空気を、成形部品および特にシェルの特定の場所に運ぶことができる。これによって、たとえば、空気を特定的にかつ独立して成形部品に導入することができる。
【0036】
空気は成形部品表面の気孔を通って成形部品内のブランクまで流れ、ブランクを変形させることなく成形部品表面から均一に取外すことができる。
【0037】
流路は好ましくは、成形部品表面の各点の、少なくとも1つの流路までの距離が50mm未満であり、特に30mm未満であるように配置される。
【0038】
成形部品表面は、成形空間に面する表面、すなわちブランクの成形時に化合物またはスラリーと接触している表面である。
【0039】
これらの最大に規定された距離によって、成形部品表面の各領域が確実に空気に晒される。
【0040】
好ましくは、流路はシェルの上を側方フランジまで延在する。媒体接続部は好ましくはフランジに位置している。
【0041】
媒体接続部がフランジに配置されているため、給気管路からの、すなわち媒体源からの分離が容易になる。
【0042】
また、媒体出口がフランジに配置されているため、媒体は成形部品を通って排水流路の端部まで流れることができる。
【0043】
流路をシェルの中心領域からフランジまで本質的に径方向に延ばすことが有利であり得る。
【0044】
流路は成形部品表面に達しないように配置され得る。つまり、流路は成形部品の内部に位置しており、閉じた断面を有する。
【0045】
これによって、シェル全体の上に延在する、かつ成形部品表面から離間した、流路のネットワークを形成することができる。
【0046】
これに代えて、流路を表面の窪みとして形成し、閉じた断面が形成されるのは成形部品を鋳型に入れたときのみであるようにすることも考えられる。その場合、流路の閉じた壁が鋳型および成形部品からもたらされる。
【0047】
好ましくは、フランジの流路は、媒体接続部に接続される周方向の収集流路内で終端する。
【0048】
これによって、たとえば圧縮空気などの1つの媒体源をすべての流路に同時に供給することができる。
【0049】
成形部品内のブランクはこうして圧縮空気で均一に加圧されるため、ブランクを成形部品から均一に離型することができる。
【0050】
本発明のさらなる局面は、圧粉体を成形するプロセス、特に上述のようなプロセスに関する。当該プロセスは、
- 好ましくは上述のような少なくとも1つの成形部品を有する鋳型を設けるステップと、
- 鋳造される質量で鋳型を充填するステップと、
- 鋳型に対する圧力を高めてブランクを生成するステップと、
- ブランクを排出して圧粉体を生成するステップと、
- 成形部品表面と圧粉体との間に媒体過圧を印加することによって、鋳型から圧粉体を取出すステップとを含む。
【0051】
これによって、上述のように圧粉体を均一に取外すことができる。
鋳型から圧粉体を離型している間、圧粉体を負圧によって圧粉体の過圧とは反対側に保持することが有利である。これによって圧粉体の脱型が容易になる。
【0052】
本発明の別の局面は、成形部品、好ましくは上述のような成形部品に関する。当該成形部品は、不要なキャビティを移動させるための多孔性シェルおよび充填体を有する。充填体およびシェルは着脱可能な接続部によって互いに接続されている。
【0053】
これによって、成形部品および充填体を別個に製造することができる。また、たとえば、鋳造後に充填体を別個に取出して成形部品の取扱いを容易にすることもできる。
【0054】
以下の図面を参照して本発明を一例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1】鋳型の断面図である。
図2図1に係る鋳型の上面図である。
図3a】成形部品およびブランクを生産するプロセス工程の図である。
図3b】成形部品およびブランクを生産するプロセス工程の図である。
図3c】成形部品およびブランクを生産するプロセス工程の図である。
図3d】成形部品およびブランクを生産するプロセス工程の図である。
図3e】成形部品およびブランクを生産するプロセス工程の図である。
図3f】成形部品およびブランクを生産するプロセス工程の図である。
図3g】成形部品およびブランクを生産するプロセス工程の図である。
図3h】成形部品およびブランクを生産するプロセス工程の図である。
図3i】成形部品およびブランクを生産するプロセス工程の図である。
図3j】成形部品およびブランクを生産するプロセス工程の図である。
図3k】成形部品およびブランクを生産するプロセス工程の図である。
図3l】成形部品およびブランクを生産するプロセス工程の図である。
図3m】成形部品およびブランクを生産するプロセス工程の図である。
図3n】成形部品およびブランクを生産するプロセス工程の図である。
図3o】成形部品およびブランクを生産するプロセス工程の図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図1は鋳型100の断面を示しており、鋳型100は、具体的な設計例では互いの上に配置されている2つの成形部品1aおよび1bを有する。封止部14が、この図では上部の成形部品1a内に配置されている。封止部14は成形部品1aのフランジ12内に位置している。成形部品1aは、フランジ12に接続されるシェル11も有する。第2の成形部品1bは第1の成形部品1aと同様に設計されており、違いは第2の成形部品1bは封止部を有していないことである。したがって、以下では成形部品1aまたは1bの一方の構造のみを説明する。上述のように、成形部品1aはシェル11およびフランジ12を有し、フランジ12内に封止部14がある。シェル12内には排水流路15があり、排水流路15は排水流路端部151に接続されている。排水流路端部151は結合部16としても設計されている。成形部品1同士の間の成形空間の内部にはブランク3があり、ブランク3は、排水流路15を介して排出されるとすぐに圧粉体31になる。シェル12は多孔性であり、ブランク3に面する成形部品表面121を有する。
【0057】
したがって、水はブランク3から多孔性シェルを通って排水流路15内に拡散することができる。水は排水流路15にたまり、その後結合部16を介して取除くことができる。このプロセスを加速するために、結合部16において、すなわち排水流路151の端部において、負圧を発生させることができる。
【0058】
排水流路15は星形であり、中心は結合部16にある(図2参照)。排水流路15は、フランジ12の周方向の環状流路として設計されている収集流路18内にともに開口する。この場合、収集ダクト18および排水ダクト15は共に空気ダクト17を形成する。
【0059】
フランジに別個の媒体接続部、すなわち別個の給気管または排気管を設けることを意図してもよい。これはフランジ12を通って環状ダクト18内に延在し得る。また、排水ダクト15とは別個の媒体ダクトネットワークを設けることも考えられる。これは排水流路ネットワークに従って設計され得、たとえば、排水流路15に隣接してまたは排水流路15と平行な平面内に位置し得る。媒体接続部171および排水流路端部151は別個に設計され得る。
【0060】
成形部品1a、1bはフレーム4内に配置される。フレーム4と成形部品1a、1bとの間に形成されるキャビティの各々は充填体41で充填される。
【0061】
充填体41の各々が別個の要素として形成されることも考えられる。この場合、充填体41は、着脱可能な接続部によってそれぞれの成形部品1aまたは1bに接続され得る。
【0062】
図2図1の成形部品1aの概略上面図を示す。成形部品1aは、本質的に中心に結合部16を有する。排水流路15は成形部品1aのシェル11内に位置している。これらの排水流路15は結合部16から成形部品1aのフランジ12まで延在する。排水流路15は本質的に星形に配置されているため、排水流路15は分岐して結合部16からさらに離れる。これによって個々の排水流路同士の間の最大距離が制限される。言い換えれば、成形部品の内側、すなわち成形部品表面121(図1参照)は、表面の各点が最大距離(この場合は50mm)を置いて排水流路15から離間している。
【0063】
明確にするために、流路はシェルの約4分の1でしか示していない。当然のことながら、その他の排水流路15もシェル11の残りの4分の3内に延在している。排水流路15は、成形部品1aのフランジ12内に位置する周方向の収集流路18内に開口する(図1および図3kも参照)。
【0064】
少なくとも2つのセンタリング要素(具体的な設計例では6個)19が成形部品1aの周囲に配置されており、これらは穴として設計され、組立てた状態ではたとえば締付けねじが当該穴を通り得る。
【0065】
図3aから図3oは、成形部品1a、1b(図1参照)と、ブランクおよび圧粉体31(図1および図3o参照)とを生産するプロセスを示す。
【0066】
図3aから図3oでは、概要が保証されるように参照符号は1回しか記載していない。
図3aは1つの鋳造部20および1つの鋳造部20′の各々を示しており、これらはたとえば石膏からなる。鋳造装置20および20′は成形部品を生産する基礎となる。
【0067】
図3bに示されるように、これらの鋳造部20および20′の各々は、たとえばプラスチシンなどの中間層21で覆われている。この層の厚みは典型的に5から30mmである。
【0068】
図3cはシェルコア23および23′の生産を示す。典型的に、図3bの鋳型の周りにボックスが構築され、キャビティは石膏で充填される。これらのシェルコア23および23′は硬化し、図3dに示されるように硬化後に脱型され得る。次のステップ(図3e)において、シェルコア23および23′に離型剤25,25′が塗布される。
【0069】
次のステップ(図3f)において、シェルコアは適切な鋳造器具20,20′で再び封止される(図3a参照)。これは、まずシェルコア23および23′にスプルー27,27′および通気口26,26′を作ることを伴う。それぞれのシェルコア23および23′はそれぞれの鋳造器具20および20′に堅固に接続される。
【0070】
多孔性成形材料がスプルー開口部27,27′を通って導入される(図3g)。シェルコア23および23′とそれぞれの鋳造装置20,20′との間のキャビティ内に、後の成形部品1aおよび1bのシェル11,11′が成形される。
【0071】
硬化後、これらのシェル11,11′は脱型される(図3h参照)。
図3kでは、図3aのシェル11,11′は排水および/または通気流路15,17がシェル内に見えるようにハッチングなしで示されている。図3kは排水/通気流路15,17の断面も示す。これらのダクトはこの場合は本質的にU字型である。これらの流路15,17をフライス加工した後、それらは凹部材料28で充填される。
【0072】
次のステップ(図3l)において、シェル11,11′の各々がベース29,29′に付けられる。そして、対応するフランジ12,12′がシェル11,11′の各々の上に鋳造される。フランジ12,12′が硬化した後、流路15,17(図3k参照)を閉じるように、シェル11,11′の後の裏側(すなわち圧粉体と反対方向を向く側)が最大で1l/(h*dm2*bar)の透過率を有する材料で封止される。さらに、結合部16が、排水流路端部151としておよび/または媒体接続部171として、封止層内に装着されて流路に接続される。
【0073】
さらなるステップ(図3m参照)において、封止溝32が、本質的にここで終端するシェル1aまたは1b(図3f参照)の少なくとも一方の内部にフライス加工される。封止溝32は図3mでは詳細な切欠きとして示されている。実際の設計例では、この封止溝はアンダーカットを有しており、すなわち溝の開放端よりも底部の方が幅広である。その後、シリコーンからなる封止部14がこの封止溝32内に鋳造され、封止溝32のアンダーカットによって固定される。
【0074】
封止部を設置すると、成形部品1aおよび1bは互いに分離し(図3n参照)、必要な場合は適切なボックスに入れられる。結果として生じる空間は5kg/dm3未満の密度で充填要素で充填され、これが充填体41を形成する。充填体は、それぞれの成形部品1aおよび1bに着脱可能に接続されるかまたは接続可能であるように設計され得る。ねじ接続および/またはスナップ接続が提供され得る。
【0075】
この充填要素が硬化した後、成形部品1aおよび1bが鋳型100内に組立てられ得る(図3o、および図1も参照)。成形部品がプレスで強固に締付けられた後、鋳造される材料が、結合部を通って、成形部品1aと1bとの間に形成されるキャビティに導入され得る。このキャビティの内部で、ブランクまたは圧粉体が作成される。
【0076】
スラリーがスラリー圧力下で結合部を通って成形キャビティに導入されると、その固体部分が成形キャビティの壁上で止まる。しかし、スリップの液体および場合によっては空気が多孔性シェルを貫通する可能性があるため、固体が、後で焼結されるブランクとして成形キャビティの壁に形成される。プレスによって及ぼされる閉じる力はスラリー圧力に対する反力となり、したがってスラリー圧力pよりも大きい。
【0077】
ブランクを排出した後、鋳型100の一部としての成形部品1a(図3oおよび図3n参照)は結合部16においてロボットによって把持され得る(図3l)。同時に、図3oにおける成形部品1bの底部に位置する16′結合部を通して空気を吹込むことができ、成形部品1aの頂部に位置する16′結合部上に真空を形成することができる。負圧によってブランク31は成形部品1a上の所定位置に保持されるが、16′結合部における空気の導入によってブランク31は成形部品1bから離型される。そしてブランクは成形部品1aから離型され得る。このために、成形部品1aにおいて過圧を発生させる必要がある。
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図3d
図3e
図3f
図3g
図3h
図3k
図3l
図3m
図3n
図3o