IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アーエスカー ケミカルズ ゲーエムベーハーの特許一覧

特許7458982ホルムアルデヒドを減少させたフェノール樹脂バインダー
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】ホルムアルデヒドを減少させたフェノール樹脂バインダー
(51)【国際特許分類】
   C08L 61/10 20060101AFI20240325BHJP
   C08K 5/10 20060101ALI20240325BHJP
   C08G 18/18 20060101ALI20240325BHJP
   C08G 18/54 20060101ALI20240325BHJP
   B22C 1/22 20060101ALI20240325BHJP
【FI】
C08L61/10
C08K5/10
C08G18/18
C08G18/54
B22C1/22 B
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2020537546
(86)(22)【出願日】2019-01-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-04-30
(86)【国際出願番号】 DE2019100024
(87)【国際公開番号】W WO2019137583
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】102018100694.2
(32)【優先日】2018-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516319588
【氏名又は名称】アーエスカー ケミカルズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】ASK CHEMICALS GMBH
【住所又は居所原語表記】Reisholzstrasse 16-18, 40721 Hilden (DE)
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】プリーベ,クリスティアン
【審査官】松元 洋
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/165916(WO,A1)
【文献】特開平11-033670(JP,A)
【文献】特表2011-520615(JP,A)
【文献】特表2009-537685(JP,A)
【文献】特開2013-173937(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0015341(US,A1)
【文献】特開2002-309030(JP,A)
【文献】特開2011-057971(JP,A)
【文献】特開2016-027175(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00 - 101/16
C08K 3/00 - 13/08
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、
ベンジルエーテル型のフェノール樹脂であるポリオール成分と、
ホルムアルデヒドスカベンジャーとして、次式の基
C(=O)-CH-C(=O)-O- (I)
を有し、Rは、H、C1~C12炭化水素、または-CH-Xであり、Xは、水素原子とともに1~11個の炭素原子、および1~3個の酸素原子を含有する基であるβ-ジカルボニル化合物またはそれらのホルムアルデヒドとの変換生成物と、
次式の構造
O-(O=)C-C(=O)-R (III)
を有し、RおよびRは、互いに独立に、それぞれ、HまたはC1~C6炭化水素であるα-カルボニル-カルボキシル化合物またはそれらと前記フェノール樹脂の組成物の少なくとも1種類の追加成分との変換生成物と
を有する
フェノール樹脂組成物。
【請求項2】
遊離ホルムアルデヒドの濃度は、前記フェノール樹脂組成物において、0重量パーセント~0.25重量パーセントである
請求項1に記載のフェノール樹脂組成物。
【請求項3】
前記β-ジカルボニル化合物は、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸イソプロピル、アセト酢酸イソブチル、アセト酢酸t-ブチル、アセト酢酸ベンジル、アセト酢酸ドデシル、ベンゾイル酢酸エチル、アセト酢酸2-メトキシエチル、メタクリル酸2-(アセトアセトキシ)エチル、4-メチル-3-オキソペンタン酸メチル、およびトリメチロールプロパントリスアセトアセテートの群の1種類以上の構成化合物から選択される
請求項1または2に記載のフェノール樹脂組成物。
【請求項4】
前記α-カルボニル-カルボキシル化合物は、グリオキシル酸、グリオキシル酸エチル、2-オキソ酪酸、および2-オキソ酪酸メチルの群の1種類以上の構成化合物から選択される
請求項1~3のいずれか一項に記載のフェノール樹脂組成物。
【請求項5】
前記ベンジルエーテル型のフェノール樹脂の含水率は、0.2~0.9重量パーセントである
請求項1~4のいずれか一項に記載のフェノール樹脂組成物。
【請求項6】
前記β-ジカルボニル化合物またはその変換生成物は、それぞれ、最大1.5重量パーセントの量で前記組成物に含有される
請求項1~5のいずれか一項に記載のフェノール樹脂組成物。
【請求項7】
前記α-カルボニル-カルボキシル化合物は、最大1.0重量パーセントの量で前記組成物に含有される
請求項1~6のいずれか一項に記載のフェノール樹脂組成物。
【請求項8】
前記ベンジルエーテル型のフェノール樹脂のDIN53240によるヒドロキシル価は、500~900mg KOH/gである
請求項1~7のいずれか一項に記載のフェノール樹脂組成物。
【請求項9】
前記ベンジルエーテル型のフェノール樹脂の平均分子量(GPCを用いたDIN 5567-1による重量平均)は、フェノールおよび単量体フェノール/ホルムアルデヒド付加生成物なしで計算して、500~1100g/molである
請求項1~8のいずれか一項に記載のフェノール樹脂組成物。
【請求項10】
前記フェノール樹脂組成物の遊離フェノール濃度は、それぞれの場合に前記ベンジルエーテル型のフェノール樹脂を基準として、12重量パーセント未満である
請求項1~9のいずれか一項に記載のフェノール樹脂組成物。
【請求項11】
サリゲニンを、1:1.1~1:12というサリゲニンに対する遊離フェノールの重量比でさらに含有する
請求項1~10のいずれか一項に記載のフェノール樹脂組成物。
【請求項12】
前記ポリオール成分のための溶媒は、ジカルボン酸エステルおよび/または脂肪酸エステルである
請求項1~11のいずれか一項に記載のフェノール樹脂組成物。
【請求項13】
前記フェノール樹脂組成物は、30~90重量パーセントの前記ベンジルエーテル型のフェノール樹脂を含有する
請求項1~12のいずれか一項に記載のフェノール樹脂組成物。
【請求項14】
前記フェノール樹脂組成物は、
95重量パーセントを超える単一の前記ベンジルエーテル型のフェノール樹脂と、
あらゆる希釈剤を含む溶媒と
を含有する
請求項1~13のいずれか一項に記載のフェノール樹脂組成物。
【請求項15】
少なくとも、
請求項1~14のいずれか一項に記載のフェノール樹脂組成物と、
分子あたり2個以上のイソシアネート基を有する1種類以上のイソシアネート化合物で構成されるイソシアネート成分と
を含有する
バインダー組成物。
【請求項16】
前記バインダー組成物は、互いに独立に、
8~70重量パーセントの前記ベンジルエーテル型のフェノール樹脂と、
13~78重量パーセントのイソシアネート化合物と、
2~57重量パーセントの前記ベンジルエーテル型のフェノール樹脂および前記イソシアネート化合物のための溶媒と
を含有する
請求項15に記載のバインダー組成物
【請求項17】
請求項15または16に記載のバインダー組成物の成分と、
耐火性鋳型基材と
を含有し、
前記耐火性鋳型基材は、橄欖石、耐火粘土、ボーキサイト、ケイ酸アルミニウム中空球、ガラスビーズ、ガラス粒状体、合成セラミック鋳型基材、および二酸化ケイ素を有する群の1種類以上の構成材料から選択される
鋳型材料混合物。
【請求項18】
前記バインダー組成物は、
1成分としての前記イソシアナート化合物と、
さらなる成分としての前記ベンジルエーテル型のフェノール樹脂と
を互いに別々に含むキットから得られる
請求項17に記載の鋳型材料混合物。
【請求項19】
(i)請求項17または18に記載の鋳型材料混合物を製造するステップと、
(ii)鋳型中へ前記鋳型材料混合物またはその成分を導入するステップと、
(iii)固化した自立鋳型体を得るために少なくとも一種類の第三アミンを用いて前記鋳型中の前記鋳型材料混合物を固化するステップと、
(iv)その後に前記固化した自立鋳型体を前記鋳型から分離し、必要に応じてさらに固化することによって、硬化した鋳型体を得るステップと
を含む
鋳型、中子または押湯として鋳型体を製造するための方法。
【請求項20】
前記第三アミンは、トリメチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチル-n-プロピルアミン、ジメチルイソプロピルアミン、ジエチルメチルアミン、トリエチルアミン、トリ-n-プロピルアミン、トリス(3-ジメチルアミノプロピル)アミン、N-メチルイミダゾール、N-エチルイミダゾール、および1-メチルベンズイミダゾールの群の1種類以上の構成化合物から選択される
請求項19に記載の方法。
【請求項21】
請求項19または20に記載の方法によって製造された鋳型、中子または押湯。
【請求項22】
金属鋳造のための請求項19または20に記載の方法によって製造された鋳型または中子の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減少したホルムアルデヒド含量を有するベンジルエーテル型フェノール樹脂であって、β-ジカルボニル化合物の形の少なくとも1種類のホルムアルデヒドスカベンジャーを含有し、α-カルボニル-カルボキシル化合物、特にグリオキシル酸をさらに含有するフェノール樹脂と、これらのフェノール樹脂に基づくバインダーと、フェノール樹脂ポリウレタンコールドボックスプロセス(PUCB(polyurethane cold-box)プロセス)および/またはフェノール樹脂ポリウレタンノーベークプロセス(PUNB(polyurethane no-bake)プロセス)において用いられる2個以上のイソシアネート基を含むイソシアネート化合物とに関する。本発明は、さらに、前記バインダーを含有する鋳型材料ブレンドと、中子、鋳型または押湯を製造するための方法とに関する。特に、必須ではないが、鋳型材料混合物を製造するためのポリオール成分は、β-ジカルボニル化合物とα-カルボニル-カルボキシル構造を有する化合物とを既に含有している。
【背景技術】
【0002】
PUCBおよび/またはPUNBプロセスを用いる中子および鋳型の製造は、鋳造工業において非常に重要なものとなっている。ここでは、耐火鋳型基材を結合するために2成分ポリウレタンシステムが用いられる。ポリオール成分は、分子あたり少なくとも2個のOH基を有するポリオールで構成され、イソシアネート成分は、分子あたり少なくとも2個のNCO基を有するイソシアネートで構成される。フェノールホルムアルデヒド樹脂は、用いられるポリオール成分の1種である。PUCBプロセスにおいては、略して鋳型材料混合物とも呼ばれる鋳型基材とバインダーとの混合物の硬化が、成形後に気体の形でまたはエーロゾルとして鋳型材料混合物中を通過する低沸点第三アミンの助けを借りて行われる(特許文献1参照)。通常、これは、少なくとも1種類の第三アミンを計量して混合したキャリアガス、例えば空気、窒素またはCOの助けを借りて行われる。PUNBプロセスにおいては、触媒としての液体第三アミンおよび/または金属化合物の鋳型材料混合物への添加が行われる。
【0003】
レゾールまたはベンジルエーテル型のフェノール樹脂、特にフェノールホルムアルデヒド樹脂のように、遊離ホルムアルデヒドの濃度が0.1重量パーセント未満、特に0.01重量パーセント未満になるまでそのようなフェノールホルムアルデヒド樹脂のホルムアルデヒド含量を低くする試みに不足はなかった。
【0004】
特許文献2は、酸性レゾール水溶液用のホルムアルデヒドスカベンジャーの使用を提案している。ホルムアルデヒドスカベンジャーとして複素環式窒素化合物が用いられ、これらは、酸(好ましくはスルファミン酸)で希釈される。
【0005】
遊離ホルムアルデヒドの濃度を減少させるホルムアルデヒドスカベンジャーの使用は、特許文献3からのフェノールホルムアルデヒド樹脂についても公知である。1,3-シクロヘキサンジオン、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸イソプロピル、アセト酢酸t-ブチルまたはt-ブチルマロン酸メチルなどのβ-ジカルボニル化合物がホルムアルデヒドスカベンジャーとして用いられる。揮発性溶剤が添加物として含まれることがある。
【0006】
特許文献4は、ホルムアルデヒドスカベンジャーの存在でのフェノールホルムアルデヒド樹脂の製造を開示している。ホルムアルデヒドスカベンジャーとしてβ-ジカルボニル化合物が用いられる。フェノールホルムアルデヒド樹脂は、塩基触媒縮合によって製造される。
【0007】
特許文献5は、ポリウレタンコールドボックスおよび/またはノーベークプロセスにおいて用いられるフェノール樹脂組成物を記載している。フェノール樹脂組成物は、エーテル化したメチロール基および/または遊離のメチロール基を有するオルト縮合フェノールレゾールを40~60重量パーセントの合計濃度で、遊離ホルムアルデヒドを0.1重量パーセント未満の濃度で、それぞれフェノール樹脂組成物の合計質量に対して、およびホルムアルデヒドと1種類以上のCH酸化合物との1種類以上の反応生成物を含む。遊離ホルムアルデヒドを減少させるためのCH-酸化合物としてβ-ジカルボニル化合物が開示されている。好ましくは、マロン酸ジメチルおよびマロン酸ジエチルが用いられる。CH-酸出発原料としてマロン酸エステルを用いたときの反応生成物は、特に、マロン酸2-メチレン、マロン酸2,2-ビス(ヒドロキシメチル)、マロン酸2-(ヒドロキシメチル)およびマロン酸2-(3-ヒドロキシ-2-オキソプロピル)を含む。遊離ホルムアルデヒドの割合は、それぞれの場合にフェノール樹脂組成物に対して、0.1重量パーセント未満、好ましくは0.08重量パーセント未満、最も好ましくは0.05重量パーセント未満であると指定されている。遊離ホルムアルデヒドの下限は引用されていない。好ましくは、オルト縮合フェノールレゾールは、次式
【化1】
(式中、m/n≧1)を有するベンジルエーテル樹脂である。
【0008】
このようにして得られる硬化した鋳型材料の強度について詳細は示されていない。α-カルボニル-カルボキシル化合物は、用いられていない。遊離ホルムアルデヒドの濃度は、アセト酢酸エチルなどのβ-ジカルボニル化合物の添加によって減少しているが、残念ながら強度も、現在文献にあるように減少する。本発明は、それを防ぐことを意図する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】米国特許第3409579号
【文献】米国特許第5358748号
【文献】米国特許第5795933号
【文献】米国特許出願公開第2011/0015341号
【文献】国際公開第2016/165916号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
ベンジルエーテル型のフェノール樹脂に基づくフェノール樹脂/ポリウレタンコールドボックス(PUCB)プロセスおよび/またはフェノール樹脂/ポリウレタンノーベーク(PUNB)プロセスにおいて用いられるバインダーを提供することが本発明の目的であり、バインダーの成分として用いられるベンジルエーテル型のフェノール樹脂を含有するフェノール樹脂組成物は、非常に低い遊離ホルムアルデヒドの濃度を有し、バインダーは、高い強度を有する結果となるはずである。
【0011】
上記の目的およびさらなる目的は、独立請求項の主題によって解決される。有利な拡張解決策は、従属クレームの主題であるかまたは下記に記載される。
【0012】
本発明の主題は、好ましくはβ-ジカルボニル化合物およびα-カルボニル-カルボキシル化合物の形のホルムアルデヒドスカベンジャーの使用後に、フェノール樹脂組成物に対して0.01重量パーセント未満の遊離ホルムアルデヒド濃度を有する、ベンジルエーテル型のフェノール樹脂(好ましくは、ポリオール成分中に含有される)を含有するバインダーである。
【0013】
驚くべきことに、そのようなバインダーの出発原料の成分としてのフェノール樹脂組成物中の遊離ホルムアルデヒド含量は、それらを用いて製造された中子および鋳型の強度における欠点を受け入れることなしに一方的に減らすことができないことが見いだされた。
【0014】
ベンジルエーテル樹脂型のフェノール樹脂とともにおそらく溶媒および/または添加剤を含有し、フェノール樹脂組成物中の遊離ホルムアルデヒドの濃度がこのように低い、用いられるフェノール樹脂組成物に依存して、それからそれぞれ製造した硬化されたバインダーまたは硬化された鋳型材料混合物の強度が低下する。これは、受け入れることができない。驚くべきことに、ここで、α-カルボニル-カルボキシル構造を有する化合物を加えると、もっと高い遊離ホルムアルデヒドの含量を有するフェノール樹脂組成物のレベルに強度を(ほとんど)回復させることができることが見いだされた。
【0015】
すなわち、本発明のフェノール樹脂組成物は、
ベンジルエーテル型のフェノール樹脂と、
β-ジカルボニル構造体(1位および3位に少なくとも2個のカルボニル基を有し、そのうち一方の基はカルボニル基(-C=O)、他方はカルボキシル基(-C(=O)(-O)である1種類以上のホルムアルデヒドを減少させる化合物またはそのホルムアルデヒドとの変換生成物と、
α-カルボニル-カルボキシル構造体(カルボキシル基に対して2位に少なくとも1個のカルボニル基を有する)を有する少なくとも1種類以上の化合物、好ましくはグリオキシル酸およびその誘導体またはそれぞれ変換生成物と
を含有し、フェノール樹脂組成物中の遊離ホルムアルデヒドの濃度は、特に0.05重量パーセント未満、おそらく0.0490重量パーセント~0.0050重量パーセント、特に好ましくは0.0099重量パーセント~0.0025重量パーセント、最も好ましくは0.0090重量パーセント~0.0010重量パーセントである。
【0016】
さらに、本発明は、ベンジルエーテル型のフェノール樹脂に基づくバインダーを含有する鋳型材料混合物、耐火鋳型基材およびイソシアネートおよびおそらく触媒ならびに硬化後に鋳型材料混合物から製作された中子、鋳型および押湯に関する。本発明の主題は、金属鋳造、特に鉄およびアルミニウム鋳造のための中子、鋳型および押湯の使用でもある。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ベンジルエーテル型のフェノール樹脂を作るために、従来用いられているすべてのフェノール化合物が適している。非置換フェノールとともに、置換フェノールまたはこれらのものの混合物を用いることができる。フェノール化合物は、好ましくは、両オルト位において置換されていないかまたは一方のオルト位およびパラ位において置換されていない。環の残りの炭素原子は、置換されていてよい。置換基の選択は、フェノールとアルデヒドとの反応に置換基が悪影響を及ぼさない限り特に制限されない。置換フェノールの例は、アルキル置換、アルコキシ置換、アリール置換およびアリールオキシ置換フェノールである。
【0018】
ベンジルエーテル型のフェノール樹脂の基本構造は、-CH-で連結されたフェノール単位とともに-CH-O-CH-で連結されたフェノール単位を有し、例(ホルムアルデヒドだけを用いて実施された生成物を参照)として、次式
【化2】
のように表すことができる。
【0019】
さまざまな単位は、典型的に、統計的に分布する(すなわち、上記に示すもの以外の並び方でも結合される)。フェノール単位は、場合によってはパラ結合も有してよい。ここで、R、R’は、それぞれの場合に、フェノールヒドロキシ基に対してオルト、メタまたはパラ位にある独立の水素(特にm固およびn固の)またはC1~C26炭化水素置換基(飽和または不飽和、直鎖または分岐)である。mとnとの和は、少なくとも2であり、m:nの比は、少なくとも1である。Rは、独立の水素、-CHOHまたは-CHO-R’’であり、R’’=C1~C9炭化水素である。R’’基は、直鎖または分岐、飽和または不飽和であってよい。
【0020】
上記置換基は、例えば、1個~26固、好ましくは1個~15固の炭素原子を有する。好適なフェノールの例は、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、3,5-キシレノール、3,4-キシレノール、3,4,5-トリメチルフェノール、3-エチルフェノール、3,5-ジエチルフェノール、p-ブチルフェノール、3,5-ジブチルフェノール、p-アミルフェノール、シクロヘキシルフェノール、p-オクチルフェノール、p-ノニルフェノール、カルダノール、3,5-ジシクロヘキシルフェノール、p-クロチルフェノール、p-フェニルフェノール、3,5-ジメトキシフェノールおよびp-フェノキシフェノールである。
【0021】
フェノールそのものが特に好ましい。ビスフェノールAなどのもっと高度に縮合したフェノールでも適している。さらに、多官能フェノール、すなわち2個以上のフェノールヒドロキシル基を有するものも適している。
【0022】
好ましい多官能フェノールは、2個~4個のフェノールヒドロキシル基を有する。好適な多官能フェノールの特定の例は、ピロカテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ピロガロール、フロログルシノール、2,5-ジメチルレゾルシノール、4,5-ジメチルレゾルシノール、5-メチルレゾルシノール、カルドールまたは5-エチルレゾルシノールである。さまざまな単および多官能および/または置換および/または縮合フェノール成分の混合物もポリオール成分を作るために用いることができる。
【0023】
一実施形態において、フェノール樹脂成分を作るために一般式I
【化3】
のフェノールが用いられ、A、BおよびCは、互いに独立に、水素原子、例えば、1個~26固、好ましくは1個~15固の炭素原子を有しうる、最大3個の二重結合を有する分岐または非分岐のアルキルまたはアルケニル部分、例えば、1個~26固、好ましくは1個~15固の炭素原子を有してよい分岐または非分岐のアルコキシ部分、例えば、1個~26固、好ましくは1個~15固の炭素原子を有してよい分岐または非分岐のアルケンオキシ部分、およびビスフェニルなどのアリールまたはアルキルアリール部分から選択される。
【0024】
ホルムアルデヒドと並んで、次式
R-CHO
を有し、式中、Rは、1個~3個の炭素原子、好ましくは1個の炭素原子を有する炭素原子部分であるアルデヒドは、さらに、ベンジルエーテル型のフェノール樹脂を作るためのさらなるアルデヒドとして適している。特定の例は、アセトアルデヒドおよびプロピオンアルデヒドである。特に好ましくはホルムアルデヒドが、その液体状態においてパラホルムアルデヒドまたはトリオキサンのいずれとしても用いられる。
【0025】
ベンジルエーテル型のフェノール樹脂を得るために、好ましくは、フェノール化合物のモル数に対して少なくとも等モル量のアルデヒド化合物が用いられる。フェノール化合物に対するアルデヒド化合物のモル比は、好ましくは1.05:1.0~2.5:1、特に好ましくは1.1:1~2.2:1、最も好ましくは1.2:1~2.0:1である。
【0026】
欧州特許第0177871(A2)号によれば、さらなる反応成分として1個~8個の炭素原子、特に1個または2個の炭素原子を有する脂肪族モノアルコールを加えることができる。フェノールホルムアルデヒド樹脂により大きな熱安定性およびより長い砂使用寿命を付与するためにアルコキシル化が企てられる。
【0027】
ベンジルエーテル型のフェノール樹脂の合成は、当業者に馴染みのある方法によって行われる。ここで、フェノールとアルデヒドとは、好ましくは130℃未満の温度で2価金属イオンの存在下に変換される。生成した水は、蒸留して除かれる。これを目的として好適な共沸化合物、例えばトルエンまたはキシレンを反応混合物に加えてよく、あるいは、減圧で蒸留を行う。
【0028】
ベンジルエーテル型のフェノール樹脂を製造するための好適な触媒は、Mn、Zn、Cd、Mg、Co、Ni、Fe、Pb、CaおよびBaなどの金属の2価イオンの塩、特にZn塩である。好ましくは、酢酸亜鉛が用いられる。用いられる量は、重要ではない。金属触媒の典型的な量は、フェノール化合物とアルデヒド化合物との合計量に対して0.02から0.3重量パーセント、好ましくは0.02から0.18重量パーセントである。
【0029】
例えば、米国特許第3485797号および欧州特許第1137500号にそのような樹脂が記載されている。このことによって、ベンジルエーテル型のフェノール樹脂自体とそれらのものの製造との両方に関してこれらの特許の開示を明示的に参照する。
【0030】
ベンジルエーテル型のフェノール樹脂の重量に対する遊離フェノール濃度は、好ましくは12重量パーセント未満、特に好ましくは10重量パーセント未満を含み、または2重量パーセント未満をさらに含む。
【0031】
さらなる実施形態によれば、フェノール樹脂組成物は、遊離サリゲニンを含有してよい。遊離サリゲニンに対する遊離フェノールの重量比は、好ましくは1:1.1~1:12、特に好ましくは1:1.5~1:10、特に1:1.8~1:8である。この意味における「遊離」とは、それが組成物中に存在し、「結合していない」ことを意味する。
【0032】
本発明において用いられるホルムアルデヒドスカベンジャーは、1種類以上の次の基
C(=O)-CH-C(=O)-O- (I)
を有し、 Rは、H、C1~C12炭化水素、好ましくはC1~C7炭化水素または-CH-Xであり、Xは、水素原子とともに1個~11個の炭素原子、好ましくは1個~6個の炭素原子、および1個~3個の酸素原子を含有する基であるβ-ジカルボニル化合物(1,3-ジカルボニル化合物)(I)の形のCH-酸化合物であり、酸素は、例えば、エーテル基中に含まれてよい。Rは、カルボニル基の炭素原子に酸素原子を介して結合されてはならない。Rの例は、H、アルキル、アルケニル、アリール、アルキルアリールまたはアルケニルアリール基である。
【0033】
β-ジカルボニル化合物は、特に、以下の構造
【化4】
を有し、Rは、上記で示した通りの意味を有し、Rは、H、C1~C14炭化水素、好ましくはC1~C7炭化水素であり、必要に応じて、炭化水素中に1個~3個の酸素原子が、例えばエーテル基中に含有されてよい。Rの例は、アルキル、アルケニル、アリール、アルコキシ、アルケニルオキまたはアリールオキシ基である。
【0034】
CH-酸CH基がホルムアルデヒドと反応すると、CHは、例えばC(-H)(-CH-OH)または-C(-CH-OH)基に変換される。国際公開第2016/165916号の15頁および16頁にさらなる変換生成物が言及されている。
【0035】
β-ジカルボニル化合物が、複数、例えば2個~4個のβ-ジカルボニル基(I)を有するもの、特にRを介して連結され、従って分子中に複数のCH酸基を有する式(II)によるもの(例えばCAS 22208-25-9参照)であることが同じように可能である。
【0036】
CH酸性は、炭素原子に結合した水素原子を有する化合物の、水素をプロトンとして供与し、従って形式的に酸として作用する傾向である。非置換アルカンは、高いpKa値(例えばエタンでは大体50)を有する。しかし、炭素原子が、カルボニルなどの強く求電子的な基に、これらの基に対してα-位において結合して(エステル、ケトンまたはアルデヒドにおいて)いれば、特に明白な負の誘導効果が、α炭素原子におけるCH結合がより大きく分極することを確実にし、プロトンは、より容易に開裂することができる。本発明によれば、CH-酸性CH基のpKa値は、好ましくは15未満、特に5~12である。
【0037】
例えば、マロン酸ジエチルまたはマロン酸ジメチルなどのマロン酸エステルは、適性がより低い。β-ケトエステルが好ましい。以下のβ-ケトエステル:
アセト酢酸メチル(アセト酢酸メチルエステル、3-オキソブタン酸メチルエステル-CAS:105-45-2)
【化5】
アセト酢酸エチル(アセト酢酸エチルエステル、3-オキソブタン酸エチルエステル-CAS:141-97-9)
【化6】
アセト酢酸イソプロピル(3-オキソ酪酸イソプロピル-CAS:542-08-5)
【化7】
アセト酢酸イソブチル(CAS:7779-75-1)
【化8】
アセト酢酸t-ブチル(CAS:1694-31-1)
【化9】
アセト酢酸ベンジル(CAS:5396-89-4)
【化10】
アセト酢酸ドデシル(CAS:52406-22-1)
【化11】
ベンゾイル酢酸エチル(CAS:94-02-0)
【化12】
アセト酢酸2-メトキシエチル(CAS:22502-03-0)
【化13】
メタクリル酸2-アセトアセトキシエチル(CAS:21282-97-3)
【化14】
4-メチル-3-オキソペンタン酸メチル(CAS:42558-54-3)
【化15】
および、トリメチロールプロパントリスアセテート(CAS:22208-25-9)
【化16】
が例として示される。
【0038】
アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸ベンジル、アセト酢酸ドデシル、ベンゾイル酢酸エチル、アセト酢酸2-メトキシエチル、メタクリル酸2-(アセトアセトキシ)エチルおよびトリメチロールプロパントリスアセトアセテートが特に好ましい。アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチルおよびトリメチロールプロパントリスアセトアセテートが最も好ましい。
【0039】
窒素を含有するβ-ジカルボニル化合物(II)もホルムアルデヒドスカベンジャーとして適している。β-ジカルボニル化合物(I)が用いられる。本開示の例は、 N-メチルアセトアセトアミド(CAS:20306-75-6)
【化17】
N,N-ジメチルアセトアセトアミド(CAS:2044-64-6)
【化18】
および、N,N-ジエチルアセトアセトアミド(CAS:2235-46-3)
【化19】
である。
【0040】
本発明によって使用可能な他のホルムアルデヒドスカベンジャー(III)は、分子中に窒素を含有する。ここでの使用には尿素、最も好ましくはエチレン尿素および/またはプロピレン尿素が好ましい。これらは、β-ジカルボニル化合物(I)に加えて用いることができる。
【0041】
少なくとも1種類のβ-ジカルボニル化合物(I)が用いられる限り、指定したホルムアルデヒドスカベンジャーのクラス(IからIII)のクラス内および/またはクラス間の組み合せが可能である。
【0042】
ホルムアルデヒドスカベンジャーの添加の前に、ベンジルエーテル型のフェノール樹脂が低濃度の遊離ホルムアルデヒドを既に有すると好ましい。このことは、とりわけ、プロセス制御によって処理することができ、このプロセス制御には、0.01重量パーセントより少ないという制限をフェノール樹脂組成物において確実に実現するために、ホルムアルデヒドスカベンジャーの使用を少なくすること必要である。
【0043】
0.01重量パーセントの限界値は、フェノール樹脂調合物のこの限界値未満ではもはや増感特性(遊離ホルムアルデヒドによって生じる)があるとはされないため、重要である。従って労働安全性の観点で、技術的に可能な限り遊離ホルムアルデヒドの濃度を減少させることが望ましい。
【0044】
フェノール樹脂組成物または単にホルムアルデヒドスカベンジャーの添加の前のそれぞれの場合のベンジルエーテル型のフェノール樹脂だけの中の遊離ホルムアルデヒドの好ましい濃度は、それぞれの場合にベンジルエーテル型のフェノール樹脂(だけ)に対して0.25重量パーセント未満、好ましくは0.18~0.25重量パーセント未満、特に好ましくは0.10~0.20重量パーセントを含む。
【0045】
ベンジルエーテル樹脂の水濃度は、プロセス制御によって実現することができる。ここで、好ましい設定は、0.2~0.9重量パーセント、特に好ましくは0.3~0.9重量パーセント、最も好ましくは0.4~0.9重量パーセントの濃度である。
【0046】
ベンジルエーテル型のフェノール樹脂の合成は、当業者に公知の方法によって行われる。ここで、フェノールとアルデヒドは、好ましくは2価金属イオンの存在下130℃未満の温度で変換される。生成した水は、蒸留によって除かれる。このために反応混合物に好適な共沸剤、例えばトルエンまたはキシレンを加えてよく、あるいは、蒸留を減圧で行う。フェノールの濃度は、共沸剤または水蒸気蒸留によって変える(特に最小にする)ことができる。従って、サリゲニンに対するフェノールの比を変えることもできる。
【0047】
本発明の低い濃度において、遊離ホルムアルデヒドを定量するために滴定法を用いることはできない。HPLC方法は、

アセチルアセトナートおよび酢酸アンモニウム緩衝剤を用いるホルムアルデヒドの誘導体化
検出器:紫外-可視 413nm
カラム温度:50℃
流量:1.5μl/分
サンプル容量:15μl
カラム:逆相カラム、MZ-アナリティカル・スフェリソルブ(Analytical Spherisorb)ODS-2 C18 3μm、マチャレイ-ナゲル(Macherey-Nagel)
低圧グラジエント:さまざまな重量割合の水/アセトニトリル

で行われる。
【0048】
β-ジカルボニル化合物(I)に対するホルムアルデヒドスカベンジャーの量は、重要でなく、例えば、本フェノール樹脂組成物に対して最大1.5重量パーセント、好ましくは0.1~1.0重量パーセント、特に好ましくは0.15~0.9重量パーセントにできる。
【0049】
さらに、α-カルボニル-カルボキシル化合物が用いられる。これは、少なくとも1個のカルボキシル基(-C(=O)-O-)に対してα-位(すなわちカルボキシル基に対して2-位)に少なくとも1個のカルボニル基(C=O)を含有し、従って以下の構造
-(C=O)-C(=O)-O-R (III)
を有し、RおよびRは、互いに独立に、それぞれHまたはC1~C6炭化水素、特にC1~C4炭化水素、例えばアルキル基またはアルケニル基、好ましくは、H、CHまたはCであり、RとRとの少なくとも一方のR、好ましくは両方が、Hであることが最も好ましい、
を有する。
【0050】
アルキル基は、直鎖または分岐であってよい。以下:
グリオキシル酸(CAS 298-12-4)
【化20】
グリオキシル酸エチル(CAS:924-44-7)
【化21】
2-オキソ酪酸(CAS:600-18-0)
【化22】
2-オキソ酪酸メチル(CAS:3952-66-7)
【化23】
は、特に適している。
【0051】
使用にはグリオキシル酸またはオキソ酪酸が好ましく、グリオキシル酸が最も好ましい。複数のα-カルボニル-カルボキシル化合物を互いに混合して用いることもできる。
【0052】
α-カルボニル-カルボキシル化合物の量は、重要でなく、このフェノール樹脂組成物に対して、例えば0.01~1.0重量パーセント、好ましくは0.02~0.5重量パーセント、特に好ましくは0.04~0.0999重量パーセントにできる。
【0053】
フェノール樹脂組成物へのグリオキシル酸などのさらなる酸成分の添加が、ポリオール成分の安定性を低下させないこと、および、特に、遊離ホルムアルデヒドが時間の経過とともに安定かつ低い値のままであることは、特に驚くべきことである。
【0054】
バインダーシステムのイソシアネート成分は、好ましくは分子あたり平均2個から5個のイソシアナート基を有する、脂肪族、脂環式または芳香族単量体または高分子イソシアネートを含む。所望の特性に応じてイソシアネートの混合物も用いてよい。
【0055】
好適なイソシアネートは、脂肪族イソシアネート、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアナートなどの脂環式イソシアネートならびにそれらのジメチル誘導体を含む。好適な芳香族イソシアネートの例は、トルエン-2,4-ジイソシアナート、トルエン-2,6-ジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、キシレンジイソシアネートおよびそれらのメチル誘導体、ならびにポリメチレンポリフェニルイソシアネートである。好ましいイソシアネートは、芳香族イソシアネートであり、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、例えばテクニカルグレードの4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、すなわち一部の異性体および高級同族体を有する4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートが特に好ましい。
【0056】
ポリイソシアネートは、互いに結合を形成することができる2価イソシアネートを、それらのイソシアネート基の一部がイソシアヌレート、ビウレット、アロファナト、ウレトジオンまたはカルボジイミド基を形成するように誘導体化されるような方法で変換することによって誘導体化してもよい。例えば、MDIまたはTDIなどの二量体化生成物を有するウレトジオン基が重要である。しかし、そのような誘導体化されたポリイソシアネートは、好ましくは、誘導体化されていない上記のポリイソシアネートとともに1種類の成分としてだけ用いられる。
【0057】
好ましくは、イソシアネートは、イソシアナート基の数が樹脂の遊離ヒドロキシル基の数に対して80から120%になる量で用いられる。
【0058】
バインダーシステムのフェノール樹脂成分またはイソシアネート成分は、それぞれ、好ましくは有機溶媒または有機溶媒の組み合せ中の溶液として用いられる。従って、例えば、バインダーの成分を十分に低い粘度の状態に維持するために溶媒が必要になることがある。このことは、とりわけ耐火鋳型材料の均一な架橋を取得し、その自由流動特性を維持するために必要である。
【0059】
公知の芳香族溶媒は、例えばナフサとして指定される溶媒とともにフェノール樹脂組成物用の溶媒として用いることができる。ベンゼンから出発して芳香環のアルキル基および/またはアルケニル基が置換され、これらは、C1~C30、好ましくはC1~C20の鎖長を有し、C1~C16が特に好ましい。互いに独立に、ベンゼン環の1個~6個の水素原子がアルキルおよび/またはアルケニル基によって置換されてよい。好ましくは、環の1個~4個、特に好ましくは1個~3個の水素が置換される。このことに関わりなく、アルキル鎖またはアルケニル鎖は、直鎖または分岐であってよい。
【0060】
さらに、酸素を多く含む極性有機溶媒を用いることができる。ジカルボン酸エステル、グリコールエーテルエステル、グリコールジエステル、グリコールジエーテル、環状ケトン、環状エステル(ラクトン)、環状カーボネートもしくはケイ酸エステルまたはそれらの混合物が特に適している。好ましくは、ジカルボン酸エステル、環状ケトンおよび環状カーボネートが用いられる。
【0061】
典型的なジカルボン酸エステルは、式ROOC-RII-COORIIIを有し、ここで、RIIおよびRIIIは、それぞれの場合に互いに独立であり、1個~12個、好ましくは1個~6個の炭素原子を有するアルキル基であり、RIIは、1個~7個の炭素原子を有する直鎖または分岐の炭化水素基である。例は、例えばデュポン(DuPont)から入手可能である、「二塩基酸エステル」と呼ばれる、4個から6個の炭素原子を有するカルボン酸のジメチルエステルである。
【0062】
典型的なグリコールエーテルエステルは、式RIV-O-R-OOCRVIを有する化合物であり、ここで、RIVは、1個~4個の炭素原子を有するアルキル基であり、Rは、2個~4個の炭素原子を有する炭化水素基であり、RVIは、1個~3個の炭素原子を有するアルキル基であり、例えば酢酸グリコールブチルである。酢酸グリコールエーテルが好ましい。
【0063】
典型的なグリコールジエステルは、対応して、一般式RIVCOO-R-OOCRVIを有し、ここで、RIV~RVIは、上記の通りに定義され、基は、それぞれの場合に互いに独立に選ばれる(プロピレングリコールジアセテートなど)。グリコールジアセテートが好ましい。グリコールジエーテルは、式RIV-O-R-O-Rを特徴とすることができ、ここで、R~Rは、上記の通りに定義され、基は、それぞれの場合に互いに独立に選択される(ジプロピレングリコールジメチルエーテルなど)。
【0064】
4個~5個の炭素原子を有する典型的な環状ケトン、環状エステルおよび環状カーボネート(炭酸プロピレンなど)も適している。炭素は、分岐型または非分枝型で結合されてよく、飽和または不飽和であってよい。
【0065】
脂肪酸エステル(RVII-OOCRVIII)も適しており、RVIIIは、C8~C32炭化水素であり、RVIIは、C1~C9炭化水素であり、特に1個~4個、例えば菜種油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸ブチルエステルおよびさまざまな脂肪酸のイソプロピルエステルである。
【0066】
国際公開第2009/130335A2号から公知であるように、ケイ酸エステルも、その単量体の形でまたはオリゴマーとして、適している。好適なアルキル/アルコキシシランまたはアルキル/アルコキシシロキサンは、例えば、1個、2個または3個のアルコール基が置換または非置換炭化水素部分によって置換されているオルトケイ酸のエステル、式RIX Si(OR4-nの化合物であり、式中、n=1、2または3、各R基は、有機基を指し、あらゆるさらなるRX基とは独立であり、好ましくは第1の側面に関連して定義したと同じく分岐または非分岐のC1~C30アルキルまたはアリールである。ここで、RIXは、置換または非置換、分岐または非分岐炭化水素基であり、RIX基は、n=2または3の場合、同じまたは異なる。RIX基が、置換または非置換、分岐または非分岐C1~C30アルキルあるいは置換または非置換アリール、特に好ましくは置換または非置換、分岐または非分岐C1~C6アルキルあるいは置換または非置換C6~C10アリールであると好ましい。非置換、分岐または非分岐C1~C6アルキルまたは非置換フェニールが最も好ましい。ここで、メチルおよびエチルが今度は特に好ましい。
【0067】
モノアルキルトリアルコキシシラン、ジアルキルジアルコキシシラン、トリアルキルモノアルコキシシラン、モノアリールトリアルコキシシラン、ジアリールジアルコキシシラン、およびトリアリールモノアルコキシシランで構成される群から選択される修飾エステルが好ましく、ここで、アルキル基は、好ましくはC1~C6アルキル基である。これらは、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3-グリジドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリジドキシプロピルトリトキシシラン、3,4-エポキシシクロヘキシルトリメトキシシラン、ジメトキシジメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジエチルジメトキシシランおよびジエチルジエトキシシランで構成される群から選択された修飾エステルであると好ましい。テトラエチルオルトシリケート、テトラプロピルオルトシリケートおよびそれらの混合物およびそれらのオリゴマーあるいはオリゴマーの混合物が特に好ましい。テトラエチルオルトシリケートおよびテトラプロピルオルトシリケートまたはそれらの混合物が特に好ましい。
【0068】
芳香族溶媒、上記極性溶媒またはそれらの混合物のいずれもがイソシアネート用の溶媒として用いられる。脂肪酸エステルおよびケイ酸エステルも適している。
【0069】
バインダー(フェノール樹脂プラスイソシアネート成分)中の溶媒の割合は、最大50重量パーセントを含んでよい。
【0070】
すでに言及した成分とともに、バインダーシステムは、さらなる添加剤、例えばシラン(例えば欧州特許第1137500号による)、脂肪族アルコールなどの内部離型剤(例えば米国特許第4602069号による)、乾性油(例えば米国特許第4268425号による)、錯化剤(例えば米国特許第5447968号による)およびプロセス時間を延長するための添加剤(例えば米国特許第4540724号による)あるいはそれらの混合物を含有してよい。
【0071】
耐火鋳型基材(下記では簡潔さのために「鋳型基材」とも呼ばれる)として、注型鋳型を製造するための従来材料および公知材料ならびにそれらの混合物を用いてよい。好適な材料の例は、ケイ砂、ジルコン砂、クロム鉱石砂、橄欖石、蛭石、ボーキサイト、耐火粘土およびいわゆる人工鋳型基材、すなわち工業的な成形プロセスによって球形またはほぼ球形(例えば楕円体)にされた鋳型基材である。
【0072】
これの例は、ガラスビーズ、ガラス粒状体または人工の球状セラミック砂―いわゆるセラビーズ(Cerabeads)(登録商標)だけでなくスフェリクローム(Spherichrome)(登録商標)、スフェロックス(SpherOX)(登録商標)または「カルボアキュキャスト(Carboaccucast)」―ならびに、とりわけフライアッシュの成分として分離することができるときの中空マイクロスフェア、例えばアルミニウムシリケート中空球体(マイクロスフェア)である。言及した耐火材料の混合物も可能である。
【0073】
鋳型基材に対して50重量パーセント超のケイ砂を含有する耐火材料が特に好ましい。耐火鋳型基材とは、高い融点(融解温度)を有するものであると理解される。好ましくは、耐火鋳型基材の融点は、600℃より大きく、より好ましくは900℃より大きく、特に好ましくは1200℃より大きく、最も好ましくは1500℃より大きい。
【0074】
耐火鋳型基材は、好ましくは、鋳型材料混合物の80重量パーセントより多く、特に90重量パーセントより多く、特に好ましくは95重量パーセントより多くを含む。
【0075】
耐火鋳型基材の平均直径は、一般的に、100μm~600μmの間、好ましくは120μm~550μmの間、特に好ましくは150μm~500μmの間の範囲にある。粒径は、例えば、DIN ISO 3310に従ってふるいを通すことによって決定することができる。最も大きな長さが最も小さな長さに対して(互いに直角でそれぞれの場合にすべての空間方向について)1:1~1:5または1:1~1:3の比を有する粒子形状、すなわち、例えば繊維形でないものが特に好ましい。
【0076】
耐火基材は、好ましくは、特に従来のコアシューター中で本発明の鋳型材料混合物を加工することができるように自由流動状態にある。
【0077】
第三アミンが好適な触媒である。PUCBプロセスのために揮発性の第三アミン、例えばトリメチルアミン(「TMA」、CAS RN 75-50-3)、ジメチルエチルアミン(「DMEA」、CAS 75-64-9)、ジメチルイソプロピルアミン(「DMIPA」、CAS 996-35-0)、ジメチルプロピルアミン(「DMPA」、CAS 926-63-6)およびトリエチルアミン(「TEA」、CAS RN 121-44-8)が用いられる。
【0078】
PUNBプロセスのためには液体第三アミンが用いられる。室温(25℃)において、これは、液体第三アミンならびに例えば40℃に加熱した後に液体になるものまたは好適な溶媒に溶解するものを含む。例は、4-(C1~C4アルキル)ピリジン、トリス(3-ジメチルアミノ)プロピルアミン、イソキノリン、フェニルピリジンなどのアリールピリジン、ピリジン、アクリジン、2-メトキシピリジン、ピリダジン、3-クロロピリジン、キノリン、N-メチルイミダゾール、N-エチルイミダゾール、4,4’-ジピリジン、4-フェニルプロピルピリジン、1-メチルベンズイミダゾールおよび1,4-チアジンである。
【0079】
さらに、本発明は、
(a)鋳型材料混合物を得るために耐火鋳型基材を、耐火鋳型基材の量に対して0.2~5重量パーセント、好ましくは0.3~4重量パーセント、特に好ましくは0.4~3.5重量パーセントの量の本発明のバインダー(少なくともフェノール樹脂組成物およびイソシアネート成分で構成される)および同時に(PUNBプロセスにおいて)または後で別に(PUCBプロセスにおいて)添加される触媒と混合するステップと、
(b)ステップ(a)において得られる鋳型材料混合物を鋳型中に配置するステップと、
(c)必要に応じて後で別に添加された触媒(PUCB)を添加し、中子または注型鋳型を得るために本発明の触媒を用いて鋳型中で鋳型材料混合物を固化するステップと、
(d)その後、ツールから中子または注型鋳型を分離し、必要に応じてさらに固化させるステップと
を含む、鋳型材料混合物を製造するための方法に関する。
【0080】
鋳型材料混合物の製造のために、バインダーシステムの成分が、最初に組み合わされ、次に耐火鋳型基材に加えられる。しかし、バインダーの成分を耐火鋳型基材に同時にまたはあらゆる順序で順次加えることも可能である。
【0081】
鋳型材料混合物中の成分の均一な混合物を実現するために従来の方法を用いてよい。鋳型材料混合物は、他の従来の成分、例えば酸化鉄、粉砕亜麻繊維、オガクズ粒状体、ピッチおよび耐火金属も含有してよい。
【0082】
本発明によれば、PUCB法またはPUNB法によって硬化は起こることができる。PUCBプロセスの場合、固化のために、不活性キャリアガスを気体の形でまたはエーロゾルとして用いて成形された鋳型材料混合物中に低沸点第三アミンを通す。別途の触媒の添加はない。公知のすべてのコールドボックスアミン触媒を用いてよい。PUCBプロセスの場合、アミン触媒または金属触媒は、すでにバインダー中に溶解しておくかまたは別々の成分として耐火材料と混合してよく、加えられる量は、鋳型材料混合物に対して大体0.1重量パーセントから5重量パーセントを含む。
【0083】
この方法によって製造された鋳型体は、鋳造工場において使用されるあらゆる従来の形を有することができる。好ましい一実施形態において、鋳型体は、鋳込型、中子または押湯の形で存在する。これらは、高い機械的安定性によって優れている。
【0084】
本発明は、さらに、金属鋳造、特に鉄およびアルミニウムの鋳造のためのこの鋳型体の使用に関する。
【0085】
本発明は、それぞれ好ましい実施形態または実験実施例に基づいて下記にさらに詳細に記載されるが、これらに限定されない。
【実施例
【0086】
用いられる成分(すべての百分率情報は、重量パーセントである)。
【0087】
ベンジルエーテル1型のフェノール樹脂―o-クレゾール/フェノール/カルダノール共重合体であり、以下の分析数値:
分子量(M) 約900g/モル、
ヒドロキシル価 約560ミリグラムKOH/g、
遊離フェノール濃度 1.8%、
サリゲニン濃度 3.8%、
遊離ホルムアルデヒド含量 0.17重量パーセント
によって特徴づけられる。
【0088】
イソシアネート成分1 ― サゾル(Sasol)社によって供給される、80%のLupranat M 20 Sと20%の直鎖C10~13アルキルベンゼン(CAS 67774-74-7)との均一混合物。
イソシアネート成分2 ― サゾル社によって供給される、80%のLupranat M 20 Sと15%の直鎖C10~13アルキルベンゼン(CAS 67774-74-7)と5%のアセト酢酸エチルとの均一混合物。
KATALYSATOR 706 ― ASKケミカルズ(Chemicals)社によって供給されるジメチルプロピルアミン。
Quartz sand 32 ― クバルツベルケ(Quarzwerke)社によって供給される。
MIRATEC DC 3 ― ASK-ケミカルズ(Chemicals)GmbHによって供給される水性サイズ剤、流動時間12秒/4mmカップ。
LUPRANAT M 20 S:BASF SEによって供給される高分子MDI、官能性2.6。
DBE ― デュポン(DuPont)社によって供給されるC~Cジカルボン酸のジメチルエステル混合物。
FSE ― オレオン(OLEON)社によって供給される、蒸留されたなたね油脂肪酸メチルエステルまたは98%のラウリン酸イソプロピルなどの脂肪酸エステル。
Silan 2201 EQ―エボニクインダストリーズ(Evonik Industries)によって供給されるメタノール中50%ウレイドシラン。
シグマオールドリッチ(Sigma Aldrich)社によって供給されるマロン酸ジエチル。
シグマオールドリッチ社によって供給されるアセト酢酸エチル(EAA)。
シグマオールドリッチ社によって供給されるトリメチロールプロパントリスアセトアセテート。
シグマオールドリッチ社によって供給される、水中50%のグリオキシル酸。
Synthro Stab TF 501 ― プロテックスインターナショナル(Protex International)によって供給される水中50%のエチレン尿素溶液。
シグマオールドリッチによって供給される40%のフッ化水素酸。
アプリヘム(AppliChem)社によって供給されるオキソ酪酸。
Palmer 1500-1:パーマーインターナショナル(Palmer International)によって供給されるカルダノールとカルドールとの混合物。
【0089】
ベンジルエーテル樹脂2
698.4gのフェノール(99%)、302.6gのパラホルムアルデヒド(91%)および0.35gの酢酸亜鉛2水和物をスターラー、還流コンデンサーおよび温度計を備えた反応器に入れた。撹拌しながら温度を一定の速度で60分の間に105~115℃に増し、1.5590の屈折率(25℃において)が実現されるまで維持した。50gのPalmer 1500-1を加え、コンデンサーを大気圧での蒸留用に構成し直し、1時間かけて温度を124~126℃に増した。1.5940(25℃において)の屈折率に到達するまでこの温度で蒸留を続けた。その後で、真空を適用し、大体1.600(25℃において)の屈折率まで減圧で蒸留を続けた。次に、10重量部のn-ブタノールを、それぞれ90重量部の得られた樹脂と混合し、還流下122~124℃に60分間維持した。次に、未変換のブタノールを真空下で除去した。樹脂は、大体1.5970(25℃において)の屈折率、9.8%の遊離フェノール濃度および0.2重量パーセントの遊離ホルムアルデヒド濃度を有した。
【0090】
表1および2は、ベンジルエーテル型のフェノール樹脂を利用して製造されたフェノール樹脂組成物を示す(重量部)。遊離ホルムアルデヒドは、上記で指定されたHPLC方法によって定量された。
【0091】
ホバート(Hobart)ミキサー中で、Quartz sand 32と0.60%の上記バインダー組成物(実施例A1からB6についてそれぞれの場合において個別に)および0.60%のイソシアネート成分とで構成される砂混合物を均一になるまで2分間混合した。この砂混合物をレーパー(Roeper)H1コアシューターに移し、それぞれの場合に圧縮空気を用いて4バールの型締圧で220mm×22.4mm×22.4mmの寸法(L×W×H)を有する2つの中子を鋳型の中に入れた。触媒706(0.5ml、ガス処理時間20バールのパージ圧力で10秒)を用いて砂を固化させた。固化後、中子を取り出し、15秒後、マルチセルブ(Multiserw)L Ru-2e曲げ装置を用いて強度を決定した。
【0092】
サイズ剤の安定性を決定するために、10分間の古い中子を水系サイジングのMIRATEC DC 3中に4秒間浸漬し、周囲温度(20℃)において30分の滞留時間後に破壊した(湿式値)。別の対の中子を30分間のサイジング後に循環式空気乾燥機中150℃で乾燥した。150℃において30分後に中子を取り出し、室温に冷却した後にマルチセルブユニットを用いて曲げ強度を決定した。
【0093】
表3は、ベンジルエーテル樹脂1から製造した混合物について強度(N/cm)を示す。98%という値は、湿度を表す。
【0094】
表1から3は、β-ケトエステルの添加によって0.01重量パーセントの遊離ホルムアルデヒドの限界値に到達していることを示す。これは、特に24時間強度を減少させるが、24時間強度は、驚くべきことに、グリオキシル酸またはオキソ酪酸の添加によって再び増加させることができる。表1および3は、使用可能な強度を実はマロン酸ジエチルによって実現することができる(実施例A2)が、遊離ホルムアルデヒド濃度を0.01重量パーセントより低い所望の限界値に低下させることができないことも示す。
【0095】
実施例A1からA4およびB1からB6についてイソシアネート成分1の代りにイソシアネート成分2を用いると、強度の測定について表3に示すものと同じ傾向の結果となる。
【0096】
【表1】
【0097】
【表2】
【0098】
【表3】