(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】固体電解質、HSSE、セパレータ、及び/若しくはコーティングを有する、全固体電池、SSE電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0565 20100101AFI20240325BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20240325BHJP
H01M 4/134 20100101ALI20240325BHJP
H01M 4/136 20100101ALI20240325BHJP
【FI】
H01M10/0565
H01M10/052
H01M4/134
H01M4/136
(21)【出願番号】P 2020554423
(86)(22)【出願日】2019-04-04
(86)【国際出願番号】 US2019025795
(87)【国際公開番号】W WO2019195553
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2022-03-18
(32)【優先日】2018-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598064680
【氏名又は名称】セルガード エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100115679
【氏名又は名称】山田 勇毅
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】チャン,チェンミン
【審査官】渡部 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-502416(JP,A)
【文献】特表2017-529662(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107732297(CN,A)
【文献】特開平04-315775(JP,A)
【文献】特開平09-312162(JP,A)
【文献】国際公開第2017/222658(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/056-10/0569
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池であって:
金属リチウムアノードと;
カソードと;
前記アノードと前記カソードとの間のハイブリッド型固体電解質(HSSE)又は界面であって:
カソード界面層、
固体電解質(SSE)、及び
アノード界面層、
を含む、ハイブリッド型固体電解質(HSSE)又は界面と;
を備え、
前記アノード界面層および前記カソード界面層は、ハロゲン化リチウム、ハロゲン化ナトリウム及びハロゲン化リチウムとハロゲン化ナトリウムの混合物から選択され、前記アノード界面層および前記カソード界面層は、
液体、ゲル、又は液体電解質を有する多孔性ポリマーフィルム;
液体、ゲル、又は液体電解質を有するセラミック層;あるいは、
液体、ゲル、又は液体電解質を有しない非多孔性ポリマーフィルムを含む、電池。
【請求項2】
前記ハイブリッド型固体電解質(HSSE)又は固体電解質(SSE)は、等方性及び/又は弾性Liイオン伝導性材料を含む、請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記SSEは、ポリエチレンオキシド(PEO)を含む、請求項1に記載の電池。
【請求項4】
前記アノード、前記カソード、前記カソード界面、前記アノード界面、及び/又は前記SSEの表面に、ハロゲン化リチウムがコーティング又は堆積されている、請求項1に記載の電池。
【請求項5】
前記カソードは、硫化リチウム化合物を含む、請求項1に記載の電池。
【請求項6】
前記硫化リチウム化合物は、Li
2S
6である、請求項
5に記載の電池。
【請求項7】
前記電池は
、Li電池、Li二次電池、SSE電池、全固体電池、全固体リチウム電池、HSSE電池、ハイブリッド型電解質電池、複合(multiple)電解質電池、金属Li電池、金属Li二次電池、SSE金属Li電池、全固体金属Liアノード電池、全固体金属Liリチウム電池、HSSE金属Li電池、ハイブリッド型電解質金属Li電池、複合電解質金属Li電池、及びこれらの組合せである、請求項1に記載の電池。
【請求項8】
デバイス、製造物、又は車両において、請求項1~
7の何れか一項に記載の電池を備えることを特徴とする、デバイス、製造物、又は車両。
【請求項9】
SSE電池において:
固体電解質(SSE)、及び
カソード界面層及びアノード界面層
を備え、
前記アノード界面層および前記カソード界面層は、ハロゲン化リチウム、ハロゲン化ナトリウム及びハロゲン化リチウムとハロゲン化ナトリウムの混合物から選択され、前記アノード界面層および前記カソード界面層は、
液体、ゲル、又は液体電解質を有する多孔性ポリマーフィルム;
液体、ゲル、又は液体電解質を有するセラミック層;あるいは
液体、ゲル、又は液体電解質を有しない非多孔性ポリマーフィルムを含む、SSE電池。
【請求項10】
SSE電池において:
金属Liアノードと;
Li・コバルト又はLi・硫黄カソードと;
HSSEであって:
固体電解質(SSE)、及び
カソード界面層及びアノード界面層
を含むHSSEと;
を備え、
前記アノード界面層および前記カソード界面層は、ハロゲン化リチウム、ハロゲン化ナトリウム及びハロゲン化リチウムとハロゲン化ナトリウムの混合物から選択され、前記アノード界面層および前記カソード界面層は、
液体、ゲル、又は液体電解質を有する多孔性ポリマーフィルム;
液体、ゲル、又は液体電解質を有するセラミック層;あるいは
液体、ゲル、又は液体電解質を有しない非多孔性ポリマーフィルムを含む、SSE電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願出願は、2018年4月6日に出願された同時係属中の先願である米国仮特許出願第62/653,603号明細書の優先権及び利益を主張するものであり、その内容を参照により本明細書に援用する。
【0002】
分野
本明細書における少なくとも特定の本発明の実施形態によれば、典型的な大型のSSE電池が直面している問題又は課題は、少なくとも、Li又はNaを含むアノードと固体電解質(SSE)との間に界面(interface)層又は境界(interfacial)層を設けることによって解決される。他の一部の実施形態において、境界層は、Li又はNaを含むアノードとSSEとの間に設けることができ、界面層又は境界層はまた、カソードとSSEとの間にも設けることができる。少なくとも選択された実施形態、態様、又は目的において、境界層は、SSE(例えば、硫化物ガラスSSE)とSSEよりも軟質であるアノード材料(例えば、金属Li)との間の衝撃吸収材として作用することができる。他の実施形態において、境界層は、SSEとSSEよりも軟質であるカソード材料との間の衝撃吸収材として作用することができる。少なくとも特定の実施形態において、境界層は、アノードとSSEとの間及び/又はSSEとカソードとの間のイオン伝導性を改善することができる。少なくとも特定の選択された実施形態において、境界層は、アノードとSSEとの間の界面におけるリチウムの沈着(deposition)及びデンドライトの成長を防止又は抑制することができる。アノードとSSEとの間の界面に界面欠陥が存在すると、リチウムの沈着及びデンドライトの成長が起こり得る。デンドライトはSSEの亀裂を通過して成長を続ける可能性があり、安全上問題となる短絡を引き起こす。本発明のアノードとSSEとの間の境界層は、これを防止又は抑制し得る。少なくとも一部の実施形態において、境界層は、液体電解質が充填された多孔性ポリマー層であってもよく、これは、アノードとSSEの間及び/又はSSEとカソードとの間のイオン伝導性を改善し得る。特定の実施形態において、アノード界面層又は境界層は、液体電解質が充填された多孔性ポリマー層であってもよい。一部の実施形態においては、カソード界面層又は境界層は、液体、ゲル、又は高分子電解質が充填された多孔性ポリマー層であってもよい。他の実施形態において、アノード界面層又は境界層は、多孔性ハロゲン化Li層であってもよい。一部の実施形態において、アノード界面層又は境界層は、多孔性ハロゲン化Li又はヨウ化Li層であってもよく、カソード界面層又は境界層は、液体、ゲル、又は高分子電解質が充填された多孔性ポリマー層であってもよい。更なる他の実施形態において、アノード界面層又は境界層は、液体、ゲル、又は高分子電解質が充填された任意選択的な微多孔性ポリマー層を有する多孔性ハロゲン化Li又はヨウ化Li層であってもよく、カソード界面層又は境界層は、液体、ゲル、又は高分子電解質が充填された微多孔性ポリマー層であってもよい。一部の好ましい可能性がある実施形態において、1又は複数の境界層は、衝撃吸収材の役割を果たし得(一方又は両方の電極の体積変化に順応し得る)並びに/又はアノードとSSEとの間及び/若しくはSSEとカソードとの間のイオン伝導度を改善し得る。
【背景技術】
【0003】
背景
動力源(例えば、電池(battery))は、多くの異なるデバイス(例えば、手持ち型電子デバイス、ポータブルコンピュータ、他の電子デバイス/機器(equipment)、ハイブリッド車、及び電気自動車)の発展に重要である。
【0004】
リチウム(Li)電池、特にリチウム二次電池は、軽量且つエネルギー容量が高いため、非常に重要な電池である。この種のLi電池は、概して:アノードとしてのLi挿入グラファイト;カソードとしてのリチウム化された酸化コバルト(例えば、Li2CoO2);液体電解質;及びセパレータとしての微多孔性高分子膜を含む。
【0005】
Li電池(まずLi一次電池、次いでLi二次電池)は約30年間に亘り商業開発が続けられており、その間、Li電池の容量は着実に増加してきた。それにも関わらず、驚くべきことに、最良のアノード、カソード、電解質、及びセパレータの材料は、無被覆の高分子膜セパレータに対するセラミックコートされたセパレータ(特許文献1参照、その内容を参照により本明細書に援用する)を除いて基本的に変わっていない。容量の改善は、主として、Li電池内の不活性物質を減らし、それによって活物質が増加できるようにすることにより達成されてきた。本発明者であるCelgard,LLCのZhengming(John)Zhangがセラミックコートセパレータを導入したことにより、セパレータの厚みを低減すると共にエネルギー密度を増大させることが可能になった。
【0006】
Li固体電解質(SSE)電池が抱える課題は幾つか知られている。例えば、弾性を有するSSEの殆どは、金属Liアノードと反応してアノードとSSEとの界面に非常に抵抗の高い層を形成する可能性がある。これを次
図8に例示する。
【0007】
結晶又はガラス状SSEが用いられる場合は、カソード-SSE界面でさえも問題が発生し得る。結晶又は結晶性SSEが用いられる場合、特にアノード又はカソードが結晶性SSEよりも軟質の材料から作製されている場合は、より多くの問題が発生する。結晶性又はガラス状SSEはアノード又はカソード材料を損傷する可能性があり、これは、アノードが軟質且つ反応性を有する金属リチウム(Li)である場合は特に問題となる。
【0008】
他の課題は、LiがSSEと金属リチウムとの界面に沈着する可能性があり、それによりデンドライトが生成する可能性があり、電池内で不完全な(soft)又は完全な(hard)短絡を起こす原因となることにある。例示的なSSEを
図9に示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
実用可能な小型のコイン型電池として、金属リチウム全固体電池が幾つか作製されたが、電動自動車(EDV)用の、より大型の高密度なSSE型電池は作製されていない。このような小型コイン型電池の成果に基づく成功を予測する者もいたが、より高密度且つより大型のEDV用SSE電池は実際には作製されていない。小型の単電池(cell)(例えば、コイン型単電池)は大型の単電池よりも優れた性能を示す。その理由は、充放電サイクルにおける電極の体積変化への対処がはるかに容易であるためである。また、より小型の電池にはより多くの伝導体又は電解質を添加することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
概要
少なくとも選択された実施形態又は明細書に記載する発明は、現行の固体電解質を有する金属Li、金属Na、Liイオン、又はNaイオン一次又は二次電池(Li又はNa SSE電池)に付随する問題又は課題の1つ以上に対処又は解決することができる。固体電解質(SSE)とは、Li又はNaイオンを移動させる又は伝導する固体又はガラス状の材料(液体電解質を有しないもの)と当業者に理解されている。本明細書における少なくとも特定の本発明の実施形態によれば、典型的なより大型のSSE電池が直面している問題又は課題は、少なくとも、Li又はNaを含むアノードと固体電解質(SSE)との間に界面層又は境界層を設けることにより解決される。他の一部の実施形態において、境界層は、Li又はNaを含むアノードとSSEとの間に設けることができ、界面層又は境界層はまた、カソードとSSEとの間にも設けることができる。
【0012】
少なくとも選択された実施形態、態様、又は目的において、境界層は、SSE(例えば、硫化物ガラスSSE)と、SSEよりも軟質であるアノード材料(例えば、金属Li)との間の衝撃吸収材として作用し得る。他の実施形態において、境界層は、SSEとSSEよりも軟質であるカソード材料との間の衝撃吸収材として作用し得る。少なくとも特定の実施形態において、境界層は、アノードとSSEとの間及び/又はSSEとカソードとの間のイオン伝導性を改善し得る。少なくとも特定の選択された実施形態において、境界層は、アノードとSSEとの間の界面におけるリチウムの沈着及びデンドライトの成長を防止又は抑制し得る。アノードとSSEとの間の界面に界面欠陥が存在すると、リチウムの沈着及びデンドライトの成長が起こる可能性がある。デンドライトはSSEの亀裂を通過して成長を続ける可能性があり、安全上問題となる短絡を引き起こす。アノードとSSEとの間にある本発明の境界層は、これを防止又は抑制し得る。少なくとも一部の実施形態において、境界層は、液体電解質が充填された多孔性ポリマー層であってもよく、アノードとSSEとの間及び/又はSSEとカソードとの間のイオン伝導性を改善し得る。特定の実施形態において、アノード界面層又は境界層は、液体電解質が充填された多孔性ポリマー層であってもよい。一部の実施形態において、カソード界面層又は境界層は、液体、ゲル、又は高分子電解質が充填された多孔性ポリマー層であってもよい。他の実施形態において、アノード界面層又は境界層は、多孔性ハロゲン化Li層であってもよい。一部の実施形態において、アノード界面層又は境界層は、多孔性ハロゲン化Li又はヨウ化Li層であってもよく、カソード界面層又は境界層は、液体、ゲル又は高分子電解質が充填された多孔性ポリマー層であってもよい。更なる他の実施形態において、アノード界面層又は境界層は、液体、ゲル又は、高分子電解質が充填された任意選択的な微多孔性ポリマー層を有する多孔性ハロゲン化Li又はヨウ化Li層であってもよく、カソード界面層又は境界層は、液体、ゲル、又は高分子電解質が充填された微多孔性ポリマー層であってもよい。一部の好ましい可能性のある実施形態において、1又は複数の境界層は、衝撃吸収材の役割を果し得(一方又は両方の電極の体積変化に順応することができる)、並びに/又はアノードとSSEとの間及び/若しくはSSEとカソードとの間のイオン伝導性を改善し得る。
【0013】
好ましい可能性のある少なくとも1つの態様又は実施形態においては、改良された固体電解質(SSE)電池を開示する。SSE電池は、次に示す順序で:金属リチウム又は金属ナトリウム含有アノード;ハイブリッド型固体電解質(HSSE);及びカソード;を含むことができる。HSSEは、次に示す順序で、アノード界面層、SSE層、及び任意選択的なカソード界面層を含むことができる。
【0014】
一部の実施形態において、金属リチウム含有アノードは、金属リチウム、LiC6、Li22Si5、Li15Si4、Li22Sn5、LiAl、Li22Pb5、Li/グラフェン、Li/Cu、Li/Si、Li/Sn、Li+遷移金属、又はこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種から構成される。金属リチウム又は金属ナトリウム含有アノードは、一部の実施形態においては金属リチウムのみから構成してもよい。他の一部の実施形態において、金属リチウム又は金属ナトリウム含有アノードは、金属ナトリウム及びNa/C6からなる群から選択される少なくとも1種から構成される。更なる他の実施形態において、金属リチウム又は金属ナトリウム含有アノードは合金から構成される。
【0015】
改良された固体電解質電池(Na又はLi SSE電池)のカソードは、硫化リチウム、リチウム・コバルト系合金(lithium cobalt based alloy)、リチウム・鉄系合金(lithium iron based alloy)、Li・硫黄、硫黄、空気、又はO2から構成してもよい。一部の実施形態において、カソードは、Li・硫黄(Li-S)、ナトリウム・硫黄(NaS)、又はNaCoO2から構成される。
【0016】
アノード界面層は、一部の好ましい可能性のある実施形態において、次に示す特性の少なくとも1つを有する:SSEよりも軟質である、イオン、特にナトリウム又はリチウムイオンを伝導する、及び電気絶縁性である。一部の実施形態において、アノード界面層は上述の特性を全て有する。一部の実施形態において、アノードとSSEとの界面層の例としては、ハロゲン化リチウム若しくはハロゲン化ナトリウム(例えば、ヨウ化リチウム)から構成される層;液体、ゲル、若しくは高分子電解質を有する多孔性若しくは微多孔性ポリマーフィルム(film)若しくは膜(membrane);液体、ゲル、若しくは高分子電解質を有するポリマー層(PEO、PI、PAI、PVDF、又はPVDF:HFP等);又は液体、ゲル、若しくは高分子電解質を有するセラミック層(任意選択的なPEO、PVDF、又はPVDF:HFP等の高分子バインダーを有する);が挙げられる。アノード界面層は、次に示す少なくとも1つの上に設けることができる:アノードの表面、SSEの表面、又はSSEの表面及びアノードの表面の両方。
【0017】
本明細書における少なくとも特定の実施形態に記載する改良されたSSE電池において、好ましい可能性のあるSSEは、無機ガラス状又はセラミックSSE、高分子SSE、又は高分子と無機ガラス状又はセラミック材料とを含む複合(combination)SSEからなる群から選択される少なくとも1種である。
【0018】
カソードとSSEとの界面層が存在する実施形態において、カソード界面層は次の少なくとも1つの上に設けることができる:カソードの表面、SSEの表面、又はカソードの表面及びSSEの表面の両方。
【0019】
他の態様又は実施形態においては、本明細書に記載する改良されたSSE電池を備える車両(vehicle)、貯蔵システム、又はデバイスを提供又は記載する。
【0020】
更なる他の態様又は実施形態においては、ハイブリッド型固体電解質(HSSE)を本明細書に開示する。このHSSEを、本明細書に記載する改良されたSSE電池に使用することができる。HSSEは、アノード界面層、固体電解質(SSE)、及び任意選択的に設けられるカソード界面層を備える。一部の実施形態においては、任意選択的なカソード界面層が存在し、他の実施形態においては存在しない。
【0021】
一部の実施形態において、アノード界面層は、SSEの表面に直接設けられる。また、任意選択的なカソード界面層が使用される一部の実施形態において、カソード界面層は、SSEの、アノード界面が設けられている(又は直接設けられている)面と反対側の面に直接設けることができる。
【0022】
本明細書に記載するHSSEのSSEは、無機ガラス状又はセラミックSSE、高分子SSE、又は高分子と無機ガラス状又はセラミック材料とを含む複合SSEからなる群から選択される少なくとも1種であってもよい。
【0023】
HSSEのアノード界面層は、ハロゲン化リチウム若しくはハロゲン化ナトリウムフィルム(例えば、ハロゲン化リチウムフィルム);液体、ゲル、若しくは高分子電解質をその中に有する多孔性若しくは微多孔性ポリマーフィルム若しくは膜;液体、ゲル、若しくは高分子電解質を有するポリマーフィルム;又は液体、ゲル、若しくは高分子電解質を有するセラミック層からなる群から選択される少なくとも1種であってもよい。
【0024】
他の態様においては、本明細書において上に記載したHSSEを備える新規な又は改良された全固体電池(HSSE電池)を提供又は記載する。
【0025】
更なる他の態様においては、本明細書に記載するHSSEを備える全固体電池を備える車両、貯蔵システム、又はデバイスを提供又は記載する。
【0026】
他の態様においては、ハイブリッド型固体電解質(HSSE)の作製方法を本明細書に記載する。この方法は、固体電解質の少なくとも1つの面にアノード界面層を形成する工程を少なくとも含む。場合によっては、アノード界面層は、SSEの表面上に直接設けてもよく、場合によっては、そうではない。一部の実施形態において、この方法は、SSEの、アノード層がその上に形成されているか又は形成される予定の面と反対側の面にカソード界面層を形成する追加の工程を含む。場合によっては、カソード界面層は、SSE上に直接形成されており、場合によっては、そうではない。アノード界面層及びカソード界面層並びにSSEがそれぞれ裁断された断片である場合、これらはHSSE製造時又は単電池(cell)若しくは組電池(battery)製造時に積み重ね(stack)てもよい。アノード界面層及びカソード界面層並びにSSEがそれぞれ巻回体形態にある場合、これらは、HSSE製造時又は単電池若しくは組電池製造時に重ね合わせ(laminate)てもよい。
【0027】
この方法のアノード界面層は:ハロゲン化リチウム若しくはハロゲン化ナトリウムフィルム(例えば、ヨウ化リチウムフィルム);液体、ゲル、若しくは高分子電解質を有するポリマーフィルム;液体、ゲル、若しくは高分子電解質をその中に有する多孔性若しくは微多孔性ポリマーフィルム若しくは膜;又は液体、ゲル、若しくは高分子電解質を有するセラミック層からなる群から選択される少なくとも1種であってもよい。
【0028】
この方法のSSEは、無機ガラス状若しくはセラミックSSE、高分子SSE、又は高分子と無機ガラス状若しくはセラミック材料と含む複合SSEからなる群から選択される少なくとも1種であってもよい。
【0029】
一部の好ましい実施形態において、SSEは、無機ガラス状若しくはセラミックSSEであり、アノード界面フィルムは、ハロゲン化リチウム若しくはハロゲン化ナトリウムフィルム(例えば、ヨウ化リチウムフィルム);液体、ゲル、若しくは高分子電解質を有するポリマーフィルム;液体、ゲル、若しくは高分子電解質をその中に有する薄肉の微多孔性ポリマーフィルム若しくは膜(好ましくは、良好な若しくは改善されたイオン伝導性、良好な若しくは改善された復元性(resilience)、及び良好な若しくは改善されたデンドライト防止性を得るための、液体電解質を有するCelgard(登録商標)乾式ポリオレフィン微多孔性ポリマーフィルム若しくは膜);又は液体、ゲル、若しくは高分子電解質を有するセラミック層からなる群から選択される少なくとも1種である。
【0030】
他の態様においては、改良された全固体電池の作製方法を本明細書に記載する。この方法は、アノード界面層を、次に示す少なくとも1つの上に形成する工程を少なくとも含む:固体電解質(SSE)の面;アノードの、全固体電池内でSSEと対面することになる面;並びにSSEの面及びアノードの面の両方(該SSEの面及び該アノードの面は全固体電池内で互いに対面する)。一部の実施形態において、アノード界面層は、アノード上に直接形成されるか又はSSE上に直接形成される。
【0031】
他の態様においては、改良された全固体電池の作製方法を本明細書に記載する。この方法は、カソード界面層を、次に示す少なくとも1つの上に形成する工程を少なくとも含む:固体電解質(SSE)の面;カソードの、全固体電池内でSSEと対面することになる面;並びにSSEの面及びカソードの面の両方(該SSEの面及び該カソードの面は全固体電池内で互いに対面する)。一部の実施形態において、カソード界面層は、カソード上に直接形成されるか又はSSE上に直接形成される。
【0032】
他の態様においては、改良された全固体電池の作製方法を本明細書に記載する。この方法は、アノード界面層を形成する工程を含み、この改良された全固体電池の作製方法に、カソード界面層を形成する追加の工程が含まれる。この種の実施形態において、カソード界面層は次の少なくとも1つの上に形成される:SSEの、アノード界面層が形成されているか又は形成されることになる面と反対側の面;カソードの、全固体電池内でSSEと対面することになる面;並びに、SSEの、アノード界面層が形成されているか又は形成されることになる面と反対側の面、及びカソードの、全固体電池内でSSEと対面することになる面の両方。一部の実施形態において、カソード界面層は、SSE上に直接形成されるか又はカソード上に直接形成される。
【0033】
この方法に使用されるアノード界面層は:ハロゲン化リチウム又はハロゲン化ナトリウムフィルム(例えば、ヨウ化リチウム)、液体、ゲル、又は高分子電解質を有するポリマーフィルム、液体、ゲル、又は高分子電解質をその中に有する多孔性又は微多孔性ポリマーフィルム又は膜(好ましくは、良好な又は改善されたイオン伝導性、良好な又は改善された復元性、及び良好な又は改善されたデンドライト防止性を得るための、液体電解質を有するCelgard(登録商標)乾式ポリオレフィン微多孔性ポリマーフィルム又は膜)、及び液体、ゲル、又は高分子電解質を有するセラミック層からなる群から選択される少なくとも1種であってもよい。
【0034】
この方法に使用されるSSEは、一部の実施形態において、無機ガラス状又はセラミックSSE、高分子SSE、又はポリマー及び無機ガラス状又はセラミック材料を含む複合SSEからなる群から選択される少なくとも1種であってもよい。
【0035】
一部の好ましい実施形態において、SSEは、無機ガラス状又はセラミックSSEであり、アノード界面層は:ハロゲン化リチウム又はハロゲン化ナトリウムフィルム(例えば、ヨウ化リチウム)、液体、ゲル、又は高分子電解質を有するポリマーフィルム又は層、液体、ゲル、又は高分子電解質をその中に有する多孔性又は微多孔性ポリマーフィルム又は膜(好ましくは、良好な又は改善されたイオン伝導性、良好な又は改善された復元性、及び良好な又は改善されたデンドライト防止性を得るための、液体電解質を有するCelgard(登録商標)乾式ポリオレフィン微多孔性ポリマーフィルム又は膜)、及び液体、ゲル、又は高分子電解質を有するセラミック層からなる群から選択される少なくとも1種である。
【0036】
他の一部の好ましい実施形態において、SSEは、無機ガラス状又はセラミックSSEであり、カソード界面層は:ハロゲン化リチウム又はハロゲン化ナトリウムフィルム(例えば、ヨウ化リチウム)、液体、ゲル、又は高分子電解質を有するポリマーフィルム又は層、液体、ゲル、又は高分子電解質をその中に有する多孔性又は微多孔性ポリマーフィルム又は膜(好ましくは、良好な又は改善されたイオン伝導性、良好な又は改善された復元性、及び良好な又は改善されたデンドライト防止性を得るための、液体電解質を有するCelgard(登録商標)乾式ポリオレフィン微多孔性ポリマーフィルム又は膜)、及び液体、ゲル、又は高分子電解質を有するセラミック層からなる群から選択される少なくとも1種である。
【0037】
更なる他の好ましい実施形態において、SSEは、無機ガラス状又はセラミックSSEであり、アノード界面層及びカソード界面層は、それぞれ:ハロゲン化リチウム又はハロゲン化ナトリウムフィルム(例えば、ヨウ化リチウム)、液体、ゲル、又は高分子電解質を有するポリマーフィルム又は層、液体、ゲル、又は高分子電解質をその中に有する多孔性又は微多孔性ポリマーフィルム又は膜(好ましくは、良好な又は改善されたイオン伝導性、良好な又は改善された復元性、及び良好な又は改善されたデンドライト防止性を得るための、液体電解質を有するCelgard(登録商標)乾式ポリオレフィン微多孔性ポリマーフィルム又は膜)、及び液体、ゲル、又は高分子電解質を有するセラミック層からなる群から選択される少なくとも1種である。
【0038】
より好ましい可能性のある実施形態において、SSEは、無機ガラス状又はセラミックSSEであり、1又は複数のアノード界面層は、それぞれ:ハロゲン化リチウム又はハロゲン化ナトリウムフィルム(例えば、ヨウ化リチウム)、及び液体、ゲル、又は高分子電解質をその中に有する多孔性又は微多孔性ポリマーフィルム又は膜(好ましくは、良好な又は改善されたイオン伝導性、良好な又は改善された復元性、及び良好な又は改善されたデンドライト防止性を得るための、液体電解質を有するCelgard(登録商標)乾式ポリオレフィン微多孔性ポリマーフィルム又は膜)からなる群から選択される少なくとも1種である。
【0039】
より好ましい可能性のある実施形態において、SSEは、無機ガラス状又はセラミックSSEであり、アノード界面層及び任意選択的なカソード界面層は、それぞれ:ハロゲン化リチウム又はハロゲン化ナトリウムフィルム(例えば、ヨウ化リチウム)、及び液体、ゲル、又は高分子電解質をその中に有する多孔性又は微多孔性ポリマーフィルム又は膜(好ましくは、良好な又は改善されたイオン伝導性、良好な又は改善された復元性、及び良好な又は改善されたデンドライト防止性を得るための、液体電解質を有するCelgard(登録商標)乾式ポリオレフィン微多孔性ポリマーフィルム又は膜)からなる群から選択される少なくとも1種である。
【0040】
好ましい可能性のある実施形態において、SSEは、無機ガラス状又はセラミックSSEであり、アノード界面層及び/又はカソード界面層は、それぞれ:液体、ゲル、又は高分子電解質をその中に有する多孔性又は微多孔性ポリマーフィルム又は膜(好ましくは、良好な又は改善されたイオン伝導性、良好な又は改善された復元性、及び良好な又は改善されたデンドライト防止性を得るための、液体電解質を有するCelgard(登録商標)乾式ポリオレフィン微多孔性ポリマーフィルム又は膜)、及び液体、ゲル、又は高分子電解質を有するセラミック又は高分子層からなる群から選択される少なくとも1種である。
【0041】
したがって、次に示す新規な又は改良された電池が提案される:
したがって、次に示す新規な又は改良された金属Li電池が提案される:
金属リチウムアノードと;
カソードと;
アノードとカソードとの間のハイブリッド型固体電解質(HSSE)であって:
カソード界面層、
固体電解質(SSE)層、及び
アノード界面層、
を含む、ハイブリッド型固体電解質(HSSE)と;
を備える電池。
【0042】
これらの構成要素を以下により詳細に説明する。
したがって、次に示す新規な又は改良された金属Li全固体電池が提案される:
金属リチウムアノードと;
カソードと;
アノードとカソードとの間のハイブリッド型固体電解質(HSSE)であって:
カソード界面層、
固体電解質(SSE)、及び
アノード界面層、
を含む、ハイブリッド型固体電解質(HSSE)と;
を備える電池。
【0043】
これらの構成要素を以下により詳細に説明する。
したがって、次に示す新規な又は改良された全固体電池が提案される:
アノード、例えば、金属リチウム又は金属ナトリウムアノード、好ましくは金属リチウムアノードと;
カソード、例えば、Li・硫黄、ナトリウム・硫黄、又はLi・コバルトカソードと;
アノードとカソードとの間のハイブリッド型固体電解質(HSSE)であって:
任意選択的なカソード界面層、
固体電解質(SSE)、及び
任意選択的なアノード界面層、
を含む、ハイブリッド型固体電解質(HSSE)と;
を備える電池。
【0044】
これらの構成要素を以下により詳細に説明する。
したがって、次に示す 新規な又は改良された全固体電池が提案される:
アノード、好ましくは金属リチウムアノードと;
カソード、例えば、Li・硫黄、ナトリウム・硫黄、又はLi・コバルトカソードと;
アノードとカソードとの間のハイブリッド型固体電解質(HSSE)であって:
任意選択的なカソード界面層、
固体電解質(SSE)、及び
アノード界面層、
を含む、ハイブリッド型固体電解質(HSSE)と;
を備える電池。
【0045】
これらの構成要素を以下により詳細に説明する。
したがって、次に示す 新規な又は改良された全固体電池が提案される:
アノード、好ましくは金属リチウムアノードと;
カソード、例えば、Li・硫黄、ナトリウム・硫黄、又はLi・コバルトカソードと;
アノードとカソードとの間のハイブリッド型固体電解質(HSSE)であって:
カソード界面層、
固体電解質(SSE)、及び
任意選択的なアノード界面層、
を含む、ハイブリッド型固体電解質(HSSE)と;
を備える電池。
【0046】
これらの構成要素を以下により詳細に説明する。
リチウム電池又は全固体Li電池のアノードに金属Liを使用することは1つの好ましい選択肢である。金属Liの使用は新規なことではないが、金属Liには歴史的な課題及びその使用に関する懸念があるため使用されていない。
【0047】
電池内でLi・硫黄カソードを使用することは1つの好ましい選択肢である。カソードからコバルトを除くことは、現在コバルト需要が高まり価格が上昇し続けていることや、硫黄はより高いエネルギーを提供することから、歓迎されるであろう。
【0048】
したがって、次に示す新規な電池の選択肢が提案される:
アノード、好ましくは金属リチウムアノードと;
カソード、好ましくはLi・コバルト又はLi・硫黄カソードと;
アノードとカソードとの間のハイブリッド型固体電解質(HSSE)であって:
任意選択的な1又は複数のカソード界面層、
固体電解質(SSE)、及び
任意選択的な1又は複数のアノード界面層、
を含む、ハイブリッド型固体電解質(HSSE)と;
を備える電池。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】HSSE(IL/SSE/IL)を有する改良されたSSE電池の断面図を示す。
【
図2】HSSE(IL/SSE)を有する他の改良されたSSE電池の断面図を示す。
【
図3】HSSE(SSE/IL)を有する他の改良されたSSE電池の断面図を示す。
【
図4】ILが液体、ゲル、又は高分子電解質をその中に有する微多孔性ポリマーフィルム又は膜である、HSSE(IL/SSE/IL)を有する改良されたSSE電池の断面図を示す。
【
図5】ILが液体、ゲル、又は高分子電解質をその中に有する微多孔性ポリマーフィルム又は膜である、HSSE(IL/SSE/IL)を有する改良されたSSE電池の断面図を示す。
【
図6】HSSE(IL/SSE/IL)の断面図を示す。
【
図7】コーティング組成物中の耐熱性粒子対高分子バインダーの比の影響を示す。
【
図8】Li固体電解質(SSE)電池において、SSEと金属Liアノードとの反応によりアノードとSSEとの界面に生成物ができる様子を模式的に示す。
【
図9】界面欠陥で発生し得るLi沈着を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
詳細な説明
本明細書に記載する実施形態は、以下に示す詳細な説明、実施例、及び図面を参照することによって一層容易に理解することができる。しかしながら、本明細書に記載する構成要素、装置、及び方法は、詳細な説明、実施例、及び図面に示す特定の実施形態に限定されない。これらの実施形態は単に本発明の原理を例示するものであると認識すべきである。本発明の主旨及び範囲から逸脱しない多くの修正及び適応が当業者には容易に理解されるであろう。
【0051】
更に、本明細書に開示する範囲は全て、その中に含まれるあらゆる部分範囲を包含すると理解されたい。例えば、「1.0~10.0」という範囲を述べた場合、1.0以上の最小値から開始し、10.0以下の最大値で終了するあらゆる部分範囲、例えば、1.0~5.3又は4.7~10.0又は3.6~7.9を包含するとみなすべきである。
【0052】
更に、特段の指定がない限り、本明細書に開示する範囲は全て、範囲の端点を包含するとみなすべきである。例えば、「5及び10の間」、「5から10まで」、又は「5~10」は、概して、端点である5及び10を含むとみなすべきである。
【0053】
更に、量(amount、quantity)に関連して、「まで(up to)」という句を使用する場合、この量は、少なくとも検出可能な量であることを理解すべきである。例えば、ある物質が指定された量「まで」の量で存在する場合、これは、検出可能な量から指定された量まで(指定された量を含む)で存在することができる。
【0054】
本明細書においては、ハイブリッド型固体電解質(HSSE)を備える改良された固体電解質(SSE)電池(例えば、リチウム又はナトリウムSSE電池)、HSSE自体、改良された固体電解質電池及びHSSEを備える車両、貯蔵システム、及びデバイス、HSSEを備える電池、HSSEの製造方法、並びにHSSEを備える改良された固体電解質電池の製造方法を開示する。
【0055】
本開示の一部の目的は、全固体電池及び/若しくはSSEの過去の課題に対処すること;SSE、アノード、及び/若しくはカソードを保護すること;実用的であり、サイクル寿命が長く、及び/若しくは充電量が安定している電池、例えば、金属Li電池、金属Li全固体電池、SSE電池、若しくはHSSE電池を提供すること;並びに/又は新規な若しくは改良された、アノード、SSE、アノード+SSE、改変された(modified)アノード、アノード+ヨウ化Li層、SSE+ヨウ化Li層、HSSE、及び/若しくは同種のもの、及び/若しくはこれらの組合せを提供することにあり、SSEと適切な電極との間にイオン伝導性カソード界面層及び/又はイオン伝導性アノード界面層を含むこと;SSE、アノード、及び/又はカソードを保護すること;イオン伝導性を向上すること;デンドライトの成長を防止若しくは阻止すること;電池の安全性を改善すること;及びこれらの組合せによって有利となり得る。概して、界面層は、次に示す少なくとも1種であってもよい:なし(即ち、SSEは電極の一方又は両方と直接接している);並びに/又は液体、ゲル、若しくは高分子電解質を有する若しくは有しないポリマー外皮(skin)(例えば、コーティング)又はフィルム(ポリオレフィン(PO)膜又は層等);並びに/又はベースフィルム(film base)を有する若しくは有しないセラミック層。コーティング又はフィルム(ベースフィルムを含む)は、ポリマーをベースとする材料であってもよい。この種のポリマーとしては、例えば、ポリオレフィン(例えば、PE、PP)、ポリアミジエス(polyamdies)(例えば、ナイロン)、又はポリエステル(例えば、PET)が挙げられる。ポリマー外皮及びフィルム(ベースフィルムを含む)は、非多孔性、多孔性、又は微多孔性であってもよい。電解質はポリマー外皮又はフィルム(ベースフィルムを含む)全体に含浸させてもよい。一実施形態において、セラミックは、酸化アルミニウム(Al2O3)、ヨウ化Li、ハロゲン化Li、及び/又はこれらに類するものを含んでいてもよい。界面層は、SSE及び/又は電極のいずれかに任意の従来法で(SSE及び界面層の性質に応じて、例えば、数例を挙げると、積み重ね、重ね合わせ、コーティング、又は蒸着等で)適用することができる。
【0056】
更に、ハロゲン化リチウムを、電極、SSE、HSSE、及び/又はこれらの組合せの一方又は両方の表面にコーティングしてもよい。一実施形態において、ハロゲン化リチウムは好ましくはヨウ化リチウム(LiI)である。
【0057】
固体電解質(SSE)電池
本明細書に記載する固体電解質電池は特に限定されず、次に示す順序で、アノード、本明細書に記載するハイブリッド型固体電解質(HSSE)、及びカソードを、備えるか、これらからなるか、又はこれらから基本的になるものとすることができる。一部の実施形態において、本明細書に記載する固体電解質電池は、次に示す順序で、集電体、アノード、HSSE(任意選択的に、好ましくは1以上の界面層内に液体(liguid)、ゲル、又は高分子電解質を有する)、カソード、及び集電体を、備えるか、これらからなるか、又はこれらから基本的になるものとすることができる。更に固体電解質電池は、上述の構成要素及び任意の追加の構成要素を、備えるか、これらからなるか、又はこれらから基本的になるものとすることができる。固体電解質電池は、円筒形組電池若しくは単電池、コイン型組電池若しくは単電池、ボタン型組電池若しくは単電池、角形組電池若しくは単電池、積層型組電池若しくは単電池、又はパウチ型組電池若しくは単電池であってもよい。一部の好ましい実施形態において、固体電解質電池は、大型(large)又は大判(big format)単電池とすることができる、即ち、ボタン型組電池又は単電池でもコイン型組電池又は単電池でもない。有効な小型(small format)金属リチウム電池は創成されたが、安全且つ安定な大判単電池(例えば、EDV、ESS、又は同種のもの)の形成はなかなか達成できていない。
【0058】
本明細書に記載する幾つかの実施形態による電池を下記とおり
図1~5に示す。
【0059】
(
図1)HSSE(IL/SSE/IL)を有する改良されたSSE電池の断面図
【0060】
本明細書に記載する他の幾つかの実施形態による電池を下記に示す。
【0061】
(
図2)HSSE(IL/SSE)を有する他の改良されたSSE電池の断面図
【0062】
本明細書に記載する他の一部の実施形態による電池を下記に示す。
【0063】
(
図3)HSSE(SSE/IL)を有する他の改良されたSSE電池の断面図
【0064】
本明細書に記載する他の一部の実施形態による電池を下記に示す。
【0065】
(
図4)アノードに面するハロゲン化リチウムの薄層を有するSSEを有する改良されたSSE電池の断面図
【0066】
本明細書に記載する他の一部の実施形態による電池を下記に示す。
【0067】
(
図5)ILが液体、ゲル、又は高分子電解質をその中に有する微多孔性ポリマーフィルム又は膜である、HSSE(IL/SSE/IL)を有する改良されたSSE電池の断面図
【0068】
アノード
本明細書に記載するアノードは特に限定されず、アノード材料としての使用が許容されていることが知られているか又は後に見出される任意の材料から作製することができる。
【0069】
本明細書に記載する一部の好ましい実施形態において、アノードは、金属リチウム含有又は金属ナトリウム含有材料から作製してもよい。アノードは、金属リチウム含有又は金属ナトリウム含有材料を、含むか、これらからなるか、又はこれらから基本的になる。金属リチウム含有材料は、金属リチウム単独であってもよいし、或いはリチウムを含む任意の合金であってもよい。金属リチウムとは、金属Liを指し、挿入(intercalated)化合物のアノードではない。リチウムを含む合金の例として、これらに限定されるものではないが、LiC6、Li22Si5、Li15Si4、Li22Sn5、LiAl、Li22Pb5、Li/グラフェン、Li/Cu、Li/Si、Li/Sn、及びLi+遷移金属が挙げられる。アノードはまた、金属リチウム合金の混合物又は金属リチウムと1種以上の金属リチウム合金との混合物を、含むか、これらからなるか、又はこれらから基本的になるものであってもよい。ナトリウム含有金属材料は、ナトリウム単独であってもよいし、或いはナトリウムを含む合金であってもよい。ナトリウムを含む合金の例として、これらに限定されるものではないが、Na/C6が挙げられる。アノードは、金属ナトリウム単独、金属ナトリウムと1種以上のナトリウム含有合金との組合せ、ナトリウム含有合金単独、又は2種以上のナトリウム含有合金の混合物を、含むか、これらからなるか、又はこれらから基本的になるものであってもよい。
【0070】
他の一部の好ましい実施形態において、アノードは、軟質材料から構成されるか、又はこれらを含むか、これらからなるか、若しくはこれらから基本的になる。本明細書における「軟質材料」という語は、金属リチウム又は金属ナトリウムと同程度に軟質であるか又はそれよりも軟質である材料を意味すると理解される。軟質材料は、本明細書に記載する1又は複数のアノード界面層を含まない典型的な固体電解質電池において、軟質のアノードと直接接するように配置した場合に、固体電解質、特に無機ガラス状又はセラミックSSEにより損傷され得るものである。リチウムと同程度に又はそれよりも軟質である金属リチウム及び他の材料は、典型的なSSE電池においてSSEと相互作用することにより損傷を受ける可能性がある。この損傷としては、SSEによってアノード片が除去されることを挙げることができ、これは、リチウムの反応性が高いことから危険な可能性がある。金属リチウム片がより小さくなることは、反応が起こり得る表面積が増加することを意味する。他の軟質のアルカリ金属もリチウムと同様に反応性が高い。
【0071】
他の可能なアノード合金を次に記載する。
【0072】
【0073】
カソード
本明細書に記載するカソードも限定されない。これは、許容されるカソード材料であることが知られているか又は後に見出される任意の材料から作製することができる。一部の実施形態において、カソードは、硫化リチウム、リチウム・コバルト系合金、リチウム・鉄系合金、Li・硫黄、Na・硫黄、硫黄、空気、O2、又はこれらの組合せ含むか、これらからなるか、又はこれらから基本的になるものとすることができる。
【0074】
カソードは任意のカソード材料とすることができる。一実施形態において、カソード材料は、リチウム・コバルト系のカソード活物質(例えば、NCA、CSG、LMO、LFP、LCO、NMC)であってもよい。好ましい一実施形態において、カソード材料は、リチウム・硫黄又は硫化物系(コバルトを含む又は含まない)であってもよい。他の実施形態において、硫化リチウム系はLi2S6を含むものであってもよい。
【0075】
次にリチウム及びナトリウムアノード及びカソード系の一部を開示する:
【0076】
【0077】
ハイブリッド型固体電解質
本明細書に記載するハイブリッド型固体電解質(HSSE)は特に限定されない。一部の好ましい実施形態において、HSSEは、アノード界面層及び固体電解質(SSE)層を、この順序で備えるか、これらからなるか、又はこれらから基本的になるものとすることができる。他の実施形態において、HSSEは、固体電解質(SSE)層及びカソード界面層を、この順序で備えるか、これらからなるか、又はこれらから基本的になるものとすることができる。他の実施形態において、HSSEは、アノード界面層、SSE層、及びカソード界面層を、この順序で備えるか、これらからなるか、又はこれらから基本的になるものとすることができる。電池内において、アノード界面層はアノードとSSEとの間に配置され、カソード界面層はカソードとSSEとの間に配置される。
【0078】
ハイブリッド型固体電解質(HSSE)が果たすことができる機能の一部として、アノードとカソードとの間のハイブリッド又は複合(composite)セパレータの機能が挙げられる。例えば、HSSEは、イオンの伝導及び輸送(例えば、リチウムイオンの)を可能にする一方で、電極を物理的に分離する。一部の実施形態において、HSSEはまた、デンドライトの成長を妨害、回避(eliminating)、防止、及び/又は低減することによって電気的短絡を防止し得る。デンドライトの成長は、通常、電池の充放電サイクル(cycling)時に発生する。HSSE構造はまた、一部の実施形態において、アノード、カソード、又は両者を、SSE、特にアノード又はカソードよりも硬質であるSSEによる損傷から保護し得る。一部の実施形態において、HSSEは、電池の充放電サイクルの間、電極が膨張及び収縮(Liの移動に起因する体積変化)しても電極と良好な表面接触を維持する(イオン伝導を容易にする)ことができるように、アノード、特に平滑な金属Liアノードと、少なくとも隣接、当接、又は接触する、平滑な及び/又は展性(又は弾性)を有する面を有するべきである。HSSEは、電池環境で安定(例えば、化学的に安定)であるべきである。HSSEは電極と反応すべきではない。
【0079】
本明細書における一部の実施形態によるHSSEを下記に示す。
【0080】
(
図6)は、HSSE(IL/SSE/IL)の断面図を示す。
【0081】
固体電解質
固体電解質(SSE)は特に限定されず、固体電解質の形成に許容されることが知られているか又は見出される任意の材料から構成することができる。具体的には、固体電解質は、金属リチウム、リチウムイオン、金属ナトリウム、又はナトリウムイオン一次又は二次電池用として許容される固体電解質であることが知られている又は見出される任意の材料から構成することができる。
【0082】
一部の好ましい実施形態において、固体電解質は高分子SSEであってもよい。例えば、高分子SSEは、その内容を参照により本明細書に援用する文献である、Agrawal et al.,Solid Polymer Electrolytes Materials Designing and All Solid-State Battery Applications:An Overview,Journal of Physics D.Applied Physics,October 2008に記載されているいずれかであってもよい。Agrawalらの文献に記載されているように、高分子SSEは、従来の高分子-塩錯体又は乾燥固体高分子電解質(SPE)、可塑化高分子-塩錯体、高分子ゲル電解質、ゴム状高分子電解質、又は従来のSPEホスト中に分散されたマイクロサイズ又はナノサイズの無機(セラミック)/有機フィラー粒子を含む複合高分子電解質であってもよい。固体高分子電解質は、その内容を参照により本明細書に援用するSun et al.,Recent Advances in All-Solid-State Rechargable Lithium Batteries, Nano Energy 33(2017)363-386にも開示されている。
【0083】
高分子電解質は室温下でのイオン伝導性が低いという問題が知られており、これは、室温で使用されるであろう市場性のある電池を製造するために必要である。一方、高分子電解質は、可撓性及び安全性を有することから、概して好ましい。
【0084】
本明細書に記載する一部の実施形態によれば、界面層は、高分子固体電解質又はSPEのイオン伝導性の改善を助け得る。他の一部の実施形態において、本明細書に記載する界面層(特にアノード界面層)は、高分子固体電解質が、デンドライトの成長を妨害、回避、防止、及び/又は低減する能力を向上し得る。
【0085】
他の一部の好ましい実施形態において、固体電解質は、無機ガラス状又はセラミック固体電解質である。無機ガラス状又はセラミック固体電解質の一部の例が、その内容を参照により本明細書に援用する文献である、Sun et al.,Recent Advances in All-Solid-State Rechargable Lithium Batteries,Nano Energy 33(2017)363-386に記載されている。無機ガラス又はセラミック固体電解質材料の一部の例としては、Li3N、LiPON、Li2S系ガラス、NaSICON型酸化物、Li0.05-3xLa0.5+xTiO3、及びLi7La3Zr2O12が挙げられる。
【0086】
概して、無機ガラス状又はセラミック固体電解質は、イオン伝導性が高分子固体電解質よりも高く、且つデンドライトの通過をより良好に阻むことができる。しかしながら、このようなガラス状又は結晶性SSEはまた、高分子固体電解質よりも剛性が高いか又は可撓性が低い。無機ガラス状又はセラミック固体電解質を、特により軟質のアノード又はカソード材料と一緒に使用した場合の問題として知られているのが、無機ガラス状又はセラミックSSEがアノード又はカソード材料を損傷して安全上の問題を引き起こすことになるというものである。他の一部の実施形態において、本明細書に記載する界面層は、軟質のアノード又はカソード材料(例えば、金属リチウム)を無機ガラス状又はセラミックSSEと一緒に使用して形成される電池の安全性を向上し得る。
【0087】
他の一部の好ましい実施形態において、SSEは、高分子材料及び無機ガラス状又はセラミック材料を含む複合SSEである。例示的な材料が、Sun et al.,Recent Advances in All-Solid-State Rechargable Lithium Batteries,Nano Energy 33(2017)363-386及びAgrawal et al.,Solid Polymer Electrolytes Materials Designing and All Solid-State Battery Applications:An Overview, Journal of Physics D.Applied Physics, October 2008に開示されている。本発明の他の一部の実施形態において、本明細書に記載する界面層(特にアノード界面層)は、高分子固体電解質がデンドライトの成長を妨害、回避、防止、及び/又は低減する能力を向上し得る。
【0088】
複合SSEは、概して、高分子SSEよりも伝導性が高いが、依然として、一部の無機ガラス状又はセラミックSSEよりも伝導性が低い。しかしながら、複合SSEは、概して、無機ガラス状又はセラミックSSEよりも剛性が低い。一部の実施形態において、本明細書に記載する界面層は、軟質のアノード又はカソード材料(例えば、金属リチウム)をSSEと組み合わせて使用して形成される電池の安全性を向上し得る。他の一部の実施形態において、この界面層は、複合SSEの、特にSSEとアノードとの界面又はSSEとカソードとの界面における伝導性を向上し得る。他の一部の実施形態において、本明細書に記載する界面層(特にアノード界面層)は、高分子固体電解質がデンドライトの成長を妨害、回避、防止、及び/又は低減する能力を向上し得る。
【0089】
一部の実施形態においては、硫化物ガラス(過冷却液体)等の高弾性SSEがSSEとして好ましい。他の好ましい実施形態において、好ましいSSEは、等方性SSE(三次元的な伝導性を有する)である。他の実施形態において、好ましいSSEは等方性、高強度、及び弾性を有するSSEである。
【0090】
本明細書における使用に許容される他の一部のSSEは、その内容を参照により本明細書に援用する、次に示すKerman et al.JES 167(7)A1731-A174A(2017)からの表に記載されている。
【0091】
【0092】
【0093】
*非晶性
+活性カソード粒子の保護被覆を利用
PEO: ポリ(エチレンオキシド); PVdF ポリ(二フッ化ビニリデン); SPEEK: スル
ホン化ポリ(エーテルエーテルケトン); NCA: LiNixCoyAl(1-x-y)O2;LFP: LiFePO4;L
CO: LiCoO2; NMC: LiNixMnyCo(1-x-y)O2;LTO: Li4Ti5O12; LMO: LiNixMn2-xO4; LFMO: L
i2FeMn3O8; 活物質比率100%は薄膜電極であることを示していることに留意された
い。
【0094】
他の実施形態において、SSEは任意の材料とすることができるが、一部の実施形態においては、好ましくは、高分子又はゲル電解質ではない(当業者に理解されているもの、例えば、Wikipedia-Electrolyte/solid electrolyte、Linden(ed),Handbook of Batteries,2nd edition,McGraw-Hill,Inc.1995,page 36.20以下参照;Besenhard(editor),Handbook of Battery Materials,Wiley-VCH,1999,pages 557以下参照;Arora/Zhang,Battery Separators,Chem.Rev,104,pages 4441-4442;Zhang,S,A Review of the Separators of Liquid Electrolyte Li-ion Batteries,J.Power Sources 164(2007)page 361を参照されたい)。SSEは、乾燥電解質(又は乾燥高分子電解質)及び/又は固体セラミック電解質及び/又は有機イオン性柔粘性結晶であってもよい。この種の乾燥電解質は、通常、高い比誘電率を有する。乾燥電解質としては、例えば:ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリホスファゼン、及びシロキサンを挙げることができる。好ましい一実施形態において、乾燥電解質はPEOであってもよい。固体セラミック電解質(又はガラス状-セラミック電解質)を用いると、イオンが格子内の空孔又は格子間空間又は空隙を介してセラミック相内に移行することができる。有機イオン性柔粘性結晶は、運動可能なイオンが配向的又は回転的に無秩序な状態にあるが、それらの中心は結晶構造内の秩序化された位置にある、メソフェーズ(即ち、液体及び固体の中間の物質状態)を呈する種類の有機塩となり得る。このような結晶は、融点未満で1以上の固体-固体相転移が起こることに起因して様々な無秩序形態をとり、したがって、柔粘性及び良好な機械的柔軟性を有することに加えて、電極-電解質界面の接触も向上している。特に、ブレンステッド酸からブレンステッド塩基へのプロトン移動により形成される固体プロトン性有機塩であるプロトン性有機イオン性柔粘性結晶(POIPC)は、実質的に溶融状態にあるプロトン性イオン性液体である。このような結晶の例としては、1,2,4-トリアゾリウムパーフルオロブタンスルホネート及びイミダゾリウムメタンスルホネートを挙げることができる。
【0095】
アノード界面層
本明細書に記載するアノード界面層は特に限定されない。一部の実施形態において、アノード界面層は、高分子SSEのイオン伝導性の低さや、金属リチウム又は金属ナトリウム等の軟質のアノード材料を損傷する可能性のある無機ガラス状又はセラミックSSEの硬度等の上に述べた従来のSSEの問題の一部に対処することができる。
【0096】
一部の実施形態において、アノード界面層は、次に示す特性の少なくとも一部を有する:抵抗が低い、衝撃吸収材として作用することができる、イオン伝導性を示す、電気絶縁性を示す、SSEよりも軟質である等。
【0097】
一部の実施形態において、アノード界面層は、次に示すもの:ハロゲン化リチウム又はハロゲン化ナトリウムフィルム;液体、ゲル、又は高分子電解質を有する多孔性ポリマーフィルム又は膜;液体、ゲル、又は高分子電解質を有するセラミック層;液体、ゲル、又は高分子電解質を有しないポリマーフィルム;及びこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種であってもよい。一部の実施形態において、界面層は、2以上の層、例えば、電解質を有しないポリマーフィルム(又はベースフィルム)及び液体、ゲル、又は高分子電解質を有するセラミック層を備えていてもよい。
【0098】
一部の実施形態において、アノード界面層は、アノードの表面、SSEの表面、又はアノードの表面及びSSEの表面の両方、の少なくとも1つの上に形成される。一部の実施形態において、アノード界面層は、アノード又はSSEの表面に直接形成してもよく、他の実施形態においては、アノード表面又はSSE表面とアノード界面層の表面との間に形成される1以上の介在層が存在してもよい。界面層がどのように形成されたかに関わらず、結果として得られる電池において、アノード界面層は、アノードとSSEとの間にある。
【0099】
一部の実施形態において、アノード界面層は、ハロゲン化リチウム又はハロゲン化ナトリウムを含むか、これらからなるか、又はこれらから基本的になるフィルムであってもよいし、或いは少なくとも1つの該フィルムを備えていてもよい。例えば、一部の好ましい実施形態において、アノード界面層は、ハロゲン化リチウム(ヨウ化リチウム等)を含むか、これらからなるか、又はこれらから基本的になるフィルムであってもよいし、或いは少なくとも1つの該フィルムを備えていてもよい。ハロゲン化リチウムは、イオン伝導性及び電気絶縁性の両方を有することから、好ましい材料である。したがって、アノード界面層は、ヨウ化リチウム等(この材料がハロゲン化ナトリウム又はハロゲン化リチウムであるかに関わらず)の、イオン伝導性(例えば、リチウムイオンに対し)及び電気絶縁性の両方を有する任意の材料を含むか、これらからなるか、又はこれらから基本的になるフィルムであってもよいし、或いは少なくとも1つの該フィルムを備えていてもよい。
【0100】
一部の好ましい実施形態において、ハロゲン化リチウム又はハロゲン化ナトリウムを含むアノード界面層は、本明細書に記載するHSSEにおいて、無機ガラス状又はセラミックSSEと対で用いられる。ハロゲン化リチウム又はハロゲン化ナトリウムを含有するアノード界面層は、軟質のアノード材料(例えば、リチウム)の、無機ガラス状又はセラミックSSEによる損傷を防ぐ衝撃吸収材として作用し得る。
【0101】
一部の実施形態において、アノード界面層は、ポリマーフィルムであるか又はポリマーフィルムを含む。一部の実施形態において、ポリマーフィルムは、非多孔性、多孔性、微多孔性、マクロ多孔性、又はナノ多孔性である。ポリマーフィルムが非多孔性である実施形態において、フィルムは好ましくはイオン伝導性である。例えば、ポリマーフィルムは、PVDFポリマー又はPVDF:HFPコポリマーから作製されているか、これらを含むか、これらからなるか、又はこれらから基本的になるものであってもよい。他の好ましい実施形態において、ポリマーフィルムは微多孔性であり、ポリオレフィン(例えば、PE、PP)、ポリアミジエス(polyamdies)(例えば、ナイロン)、又はポリエステル(例えば、PET)、及びこれらの組合せ等のポリマーから作製されている。一部の好ましい実施形態において、ポリマーフィルムは、良好な圧縮性及び回復性(多数回のサイクルに亘る良好な復元性)を有する、ノースカロライナ州シャーロット(Charlotte,NC)のCelgard,LLCにより製造されているCelgard(登録商標)乾式ポリオレフィンフィルム又は膜、特に、ポリプロピレン(PP)フィルム又は多層PP及び/若しくはPEフィルムである。
【0102】
一部のより好ましい実施形態において、本明細書に記載するポリマーフィルムを含むアノード界面層は、本明細書に記載するHSSEにおいて、無機ガラス状又はセラミックSSEと対で用いられる。ポリマーフィルムを含む界面層は、軟質のアノード材料(例えば、リチウム)の、無機ガラス状又はセラミックSSEによる損傷を防ぐ衝撃吸収材として作用することも、電解質貯留器として作用し、コンダクタンスを向上することも、軟質のアノードを保護することにより安全性を向上することも、又はこれらの組合せも可能である。ポリマーフィルムを含む界面層はまた、デンドライトを低減、防止、又は妨害し得る。
【0103】
他の実施形態において、アノード界面層は、液体、ゲル、又は高分子電解質を有する本明細書に記載するポリマーフィルムであるか、又は該ポリマーフィルムを含む。電解質は、ポリマーフィルムにコーティングするか、浸漬するか、又は含浸させてもよい。ポリマーフィルムが多孔性である実施形態において、電解質は、細孔を充填、被覆、又は充填及び被覆の両方を行うことができる。
【0104】
一部の実施形態において、高分子、ゲル、又は液体電解質を有するポリマーフィルムの使用は、SSEのイオン伝導性がより低い場合に、電解質がイオン伝導性を改善することになるため、好ましい。
【0105】
他の一部の好ましい実施形態において、アノード界面層は、セラミック層であるか又はセラミック層を備える。セラミック層は、バインダー中に分散されたマイクロサイズ又はナノサイズの粒子を含むか、これらからなるか、又はこれらから基本的になるものであってもよい。粒子は耐熱性粒子であってもよく、バインダーは高分子バインダーであってもよい。
【0106】
一部の実施形態において、セラミック層は、単独でアノード界面層として使用してもよく、他の実施形態において、セラミック層は、固体、ゲル、又は高分子電解質でコーティングするか、又は浸漬するか、又は含浸してもよい。他の実施形態において、セラミック層は、本明細書に記載するようにポリマーフィルムにコーティングしてもよく、他の実施形態においては、ポリマーフィルムでコーティングしたセラミックを、電解質に浸漬するか、又は含浸させるか、又はコーティングしてもよく、この電解質が充填された複合体をアノード界面層として使用してもよい。
【0107】
一部の実施形態においては、ポリマーフィルムを有する又は有しない、及び電解質を有する又は有しないセラミック層を界面層として使用することにより、デンドライトが低減、防止、又は妨害され得る。一部の実施形態においては、電解質を添加することによりイオン伝導性が向上する。電解質を有するセラミック層は、好ましくは、イオン伝導性がより低い、高分子SSE等のSSEと一緒に使用される。
【0108】
セラミック層のバインダー及び粒子について以下に更に詳細に述べる。
【0109】
高分子バインダーは、ポリマー、オリゴマー、又はエラストマー材料の少なくとも1種を含むか、これらからなるか、又はこれらから基本的になり、これらは特に限定されない。本開示と矛盾しない任意のポリマー、オリゴマー、又はエラストマー材料を使用することができる。バインダーは、イオン伝導性、半伝導性、又は非伝導性であってもよい。リチウムポリマー電池又は固体電解質電池に使用することが提案されている任意のゲル形成性ポリマーを使用することができる。例えば、高分子バインダーは、ポリラクタムポリマー、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、イソブチレンポリマー、アクリル樹脂、ラテックス、アラミド、又はこれらの材料の任意の組合せから選択される少なくとも1種、又は2種、又は3種等を含んでいてもよい。
【0110】
一部の好ましい実施形態において、高分子バインダーは、ポリラクタムポリマーを含むか、これらからなるか、又はこれらから基本的になる、ラクタムから誘導されたホモポリマー、コポリマー、ブロックポリマー、又はブロックコポリマーである。一部の実施形態において、高分子材料は、式(1):
【0111】
【0112】
に従うホモポリマー、コポリマー、ブロックポリマー、又はブロックコポリマーを含む。
【0113】
(式中、R1、R2、R3、及びR4は、アルキル又は芳香族置換基であってもよく、R5は、アルキル置換基、アリール置換基、又は縮合環を含む置換基であってもよく;好ましいポリラクタムは、ホモポリマー又はコポリマーとすることができ、共重合している基Xは、ビニル、置換若しくは無置換のアルキルビニル、ビニルアルコール、酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸アルキル、アクリロニトリル、無水マレイン酸、マレイン酸イミド、スチレン、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルバレロラクタム、ポリビニルカプロラクタム(PVCap)、ポリアミド、又はポリイミドから誘導されたものであってもよく;mは、1~10の間、好ましくは2~4の間の整数であってもよく、l対nの比は、0≦l:n≦10又は0≦l:n≦1となるものである)。一部の好ましい実施形態において、ラクタムから誘導されたホモポリマー、コポリマー、ブロックポリマー、又はブロックコポリマーは、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルカプロラクタム(PVCap)、及びポリビニル-バレロラクタムからなる群から選択される少なくとも1種、少なくとも2種、又は少なくとも3種である。
【0114】
好ましい実施形態において、ラクタムから誘導されたコポリマーブロックコポリマーは、その主鎖内に、少なくとも2本のコポリマー鎖又はブロックコポリマー鎖の間に架橋を生成することができる基を含む。例えば、この基は、エポキシド基又はアルキルアミンとであってもよい。少なくとも2本のコポリマー鎖又はブロックコポリマー鎖の間に架橋を生成することができる基がエポキシドである場合、エポキシドは、エポキシド化反応により架橋を生成する。一部の実施形態においては触媒の添加が必要である。例えば、少なくとも2本のコポリマー鎖又はブロックコポリマー鎖の間に架橋を生成することができる基がエポキシドである場合、アルキルアミン基を含む触媒を添加してもよく、この基がアルキルアミンである場合は、エポキシドを含む触媒を添加してもよい。本段落に記載するコポリマー又はブロックコポリマーは、上の図(1)に示す構造を有することができ、式中、Xは、少なくとも2本のコポリマー鎖又はブロックコポリマー鎖の間に架橋を生成することができる基、例えば、エポキシド又はアルキルアミン含有基である。本段落に記載するラクタムから誘導されたコポリマーブロックコポリマーの一実施形態を次に示す:
【0115】
【0116】
上述のラクタムから誘導されたコポリマーブロックコポリマーにより生成する少なくとも2本のコポリマー鎖又はブロックコポリマー鎖の間の架橋の例を次に示す。
【0117】
【0118】
直前に示した略図において、高分子鎖はPVP鎖であり、したがって、直前に示した略図のR1、R2、R3、R4、及びR5は水素であり、Yは2である。少なくとも2本のコポリマー鎖又はブロックコポリマー鎖の間に架橋を生成することができる基をその主鎖内に含む、ラクタムから誘導されたコポリマー又はブロックコポリマーを使用することにより、結果として得られるコーティング層の熱安定性を向上させ、電解質の安定性を向上させ、濡れ性を向上させ、CV性能を向上させることができる。
【0119】
他の好ましい実施形態において、高分子バインダーは、ポリビニルアルコール(PVA)を含むか、これらからなるか、又はこれらから基本的になる。PVAを使用することにより、低反り性コーティング層が生成し得、これは、このコーティング層が適用される基材が安定且つ平坦なままにするのを助け、例えば、基材の反り防止を助ける。特に低反り性が所望される場合は、PVAを、本明細書に記載する他の任意のポリマー、オリゴマー、又はエラストマー材料と組み合わせて添加してもよい。
【0120】
他の好ましい実施形態において、高分子バインダーは、アクリル樹脂を含むか、これらからなるか、又はこれらから基本的になるものであってもよい。アクリル樹脂の種類は特に限定されず、本明細書に述べる目標、例えば、安全性が向上した電池セパレータの作製に使用することができる新規な及び改良されたコーティング組成物を提供するという目標に対し不利にならないであろう任意のアクリル樹脂とすることができる。例えば、アクリル樹脂は、ポリアクリル酸(PAA)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、及びポリアクリル酸メチル(PMA)からなる群から選択される少なくとも1種又は2種又は3種又は4種とすることができる。
【0121】
他の好ましい実施形態において、高分子バインダーは、カルボキシメチルセルロース(CMC)、イソブチレンポリマー、ラテックス、又はこれらの任意の組合せを含むか、これらからなるか、又はこれらから基本的になるものであってもよい。これらは単独で添加してもよいし、或いは他の任意の好適なオリゴマー、ポリマー、又はエラストマー材料と一緒に添加してもよい。
【0122】
一部の実施形態において、高分子バインダーは、水のみ、水性(aqueous)若しくは水系(water-based)溶媒、又は非水性溶媒である溶媒を含んでいてもよい。溶媒が水である場合、一部の実施形態において、他の溶媒は存在しない。水性又は水系溶媒は、水を大半部分(50%超)、水を60%超、水を70%超、水を80%超、水を90%超、水を95%超、又は水を99%超であるが100%未満含んでいてもよい。水性又は水系溶媒は、水に加えて、極性又は無極性有機溶媒を含んでいてもよい。非水性溶媒は特に限定されず、本出願に述べた目標に適合する任意の極性又は無極性有機溶媒とすることができる。一部の実施形態において、高分子バインダーは、溶媒を微量のみ含み、他の実施形態においては、溶媒を50%以上、場合によっては60%以上、場合によっては70%以上、場合によっては80%以上等で含む。
【0123】
コーティング組成物中の耐熱性粒子対高分子バインダーの比は、一部の実施形態において、50:50~99:1であり、他の実施形態において、70:30~99:1又は90:10~98:2であり、更なる実施形態において、90:10~99:1である。この比は、耐熱性粒子の高分子バインダーによる被覆率に影響する。例えば、耐熱性粒子対高分子バインダーの比がより低ければ、耐熱性粒子のバインダーによる被覆率がより高くなり(例えば、
図7の右側に示すように)、耐熱性粒子対高分子バインダーの比がより高ければ、耐熱性粒子の被覆率は、例えば、図の左側に示すようにより低くなる。
【0124】
好ましい実施形態において、耐熱性粒子の少なくとも1種は、高分子バインダーで被覆されているか又は部分的に被覆されている。例えば、一部の実施形態において、耐熱性粒子の少なくとも1種の表面積の(又は耐熱性粒子全体の表面積の)0.01~99.99%がバインダーにより被覆されている。一部の実施形態において、組成物中の耐熱性粒子の総表面積の0.01~99.99%が高分子バインダーにより被覆されている。
【0125】
他の態様においては、本明細書に記載するコーティング組成物に耐熱性粒子が添加される。これらの耐熱性粒子のサイズ、形状、化学組成は特に限定されない。耐熱性粒子は有機材料、無機材料、例えばセラミック材料、又は無機及び有機材料の両方を含む複合材料、2種以上の有機材料、及び/又は2種以上の無機材料を含むものであってもよい。
【0126】
一部の実施形態において、耐熱性とは、粒子を構成する材料(これは、2種以上の異なる材料から構成される複合材料を含んでいてもよい)が、例えば、200℃の温度で物理的変化、例えば変形が実質的に起こらないことを意味する。例示的な材料として、酸化アルミニウム(Al2O3)、二酸化ケイ素(SiO2)、グラファイト等が挙げられる。
【0127】
本明細書に開示する耐熱性粒子を形成するために使用することができる無機材料の非限定的な例は次に示す通りである:酸化鉄、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、ベーマイト(Al(O)OH)、二酸化ジルコニウム(ZrO2)、二酸化チタン(TiO2)、硫酸バリウム(BaSO4)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、ゼオライト、アパタイト、カオリン(kaoline)、ムライト、スピネル、橄欖石、雲母、二酸化スズ(SnO2)、酸化インジウムスズ、遷移金属の酸化物、及びこれらの任意の組合せ。
【0128】
本明細書に開示する耐熱性粒子の形成に使用することができる有機材料の非限定的な例は次に示す通りである:ポリイミド樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリジビニルベンゼン(PDVB)樹脂、カーボンブラック、グラファイト、及びこれらの任意の組合せ。
【0129】
耐熱性粒子は、円形、不規則形状、薄片等であってもよい。耐熱性材料の平均粒子径は、0.01~5ミクロン、0.03~3ミクロン、0.01~2ミクロン等の範囲にある。
【0130】
上に述べたように、好ましい実施形態において、本明細書に記載するコーティング組成物に添加される耐熱性粒子の少なくとも1種は高分子バインダーで被覆又は部分的に被覆されている。他の実施形態において、耐熱性粒子は(高分子バインダーで被覆又は部分的に被覆されていることに加えて、又はそれに替えて)、相溶化剤、例えば、粒子の高分子バインダーとの相溶性をより高くする材料で被覆又は部分的に被覆されている。概して、耐熱性粒子は、本明細書に述べた目標と矛盾しない任意の形で被覆されていてもよいし、或いは無被覆であってもよい。
【0131】
コーティング組成物は、(a)架橋剤、(b)低温シャットダウン剤(shutdown agent)、(c)接着剤、(d)増粘剤、(e)摩擦低減剤、及び(f)高温シャットダウン剤の少なくとも1種、又は2種、又は3種等を含む。
【0132】
カソード界面層
任意選択的に提供されるカソード界面層は特に限定されない。任意選択的に提供されるカソード界面層の選択肢はアノード界面層の選択肢と同一であり、カソード界面層は、アノード界面層と同一の機能の多く、例えば、衝撃吸収材としての作用及びイオン伝導性の向上を提供することができる。
【0133】
アノード界面層と同様に、カソード界面層は、カソードの表面、SSEの表面、又はカソードの表面及びSSEの表面の両方、の少なくとも1つの上に形成することができる。一部の実施形態において、カソード界面層は、表面に直接形成され、他の実施形態においては、カソード又はSSEの表面と界面層との間に形成される介在層が存在する。界面層がどのように形成されるかに関わらず、最終電池において、カソード界面層は必ずSSEとカソードとの間にある。
【0134】
ハイブリッド型固体電解質
本発明のハイブリッド型固体電解質(HSSE)は特に限定されない。HSSEは本明細書に記載する通りである。HSSEは、SSEの表面に少なくともアノード界面層を設けることによって、電池の残部とは別個に製造してもよい。アノード界面層は本明細書に記載する通りである。好ましい一部の実施形態においては、アノード界面をSSEの表面に直接設けてもよく、他の実施形態においては、SSEとアノード界面層との間に介在層を設けてもよい。可能性のある介在層の一例は、接着層である。
【0135】
組み立てを行った後、別個に作製され販売されているHSSEを、電池、例えば、アノードに面しているアノード界面及びカソードに面しているカソード界面層を有する本明細書に記載する電池内に配置してもよい。一部の実施形態においては、カソード界面層及びアノード界面層を、それぞれ、カソード表面及びアノード表面にも適用してもよい。HSSEのアノード及びカソード材料に使用されるものと同一の材料を使用してアノード及びカソード上に層を形成することにより、アノードとHSSEとの間及びカソードとHSSEとの間の接着性を向上することができる。
【0136】
車両、貯蔵システム、又はデバイス
本明細書に記載する電池及びHSSEは、電気自動車、トラック、オートバイ、スクーター等を含む任意の電池ムジュール(mudule)又は電池パック、車両、貯蔵システム、又はデバイスに搭載することができる。これらの電池及びHSSEの使用は特に限定されない。
【0137】
HSSEの作製方法
本明細書に記載するHSSEを形成するための方法は特に限定されない。一部の実施形態において、この方法は、アノード界面層をSSEの表面に形成することを含むか、これらからなるか、又はこれらから基本的になるものであってもよい。アノード界面層及びSSEは特に限定されず、本明細書に記載する任意のSSE又はアノード界面層とすることができる。一部の好ましい実施形態において、アノード界面層はSSEの表面に直接形成される、即ち、それらの間に介在層は形成されない。他の実施形態において、この方法は、SSEとアノード界面層との間に介在層を形成する工程を含んでいてもよい。
【0138】
他の好ましい実施形態においては、カソード界面層もSSEの表面に形成される。カソード界面層は特に限定されず、本明細書に記載する任意のカソード界面層とすることができる。アノード界面層及びカソード界面層はSSE上に任意の順序で形成することができる。アノード界面層及びカソード界面層は、SSEの相対する面に形成されるので、アノード界面層が最初に形成される場合、カソード界面層はその反対側に形成される。カソード界面層が最初に形成される場合、アノード界面層はその反対側に形成される。一部の好ましい実施形態において、カソード界面層はSSEの表面に直接形成されるが、他の実施形態においては、SSEの表面とカソード界面層との間に介在層を形成してもよい。
【0139】
HSSEは、例えば、改良された全固体電池に使用するために製造及び販売してもよい。例えば、これは、本明細書に記載する改良された全固体電池に使用することができる。電池内では、HSSEのアノード界面層はアノードに面することができ、カソード界面層はカソードに面することができる。
【0140】
HSSEの作製方法は追加の工程を含んでもよい。例えば、HSSEが使用前に輸送又は保管される場合は、HSSEを保護する追加の工程。
【0141】
改良された全固体電池の作製方法
改良された全固体電池を形成するための方法は特に限定されない。一部の実施形態において、形成される改良された全固体電池は、本明細書に記載する改良された全固体電池である。
【0142】
一部の実施形態において、改良された全固体電池を形成するための方法は、アノード、カソード、及びSSEを準備することと、次いでアノード界面層を、アノード表面、SSE表面、又はアノード表面及びSSE表面の両方の少なくとも1つに形成することとを、含むか、これらからなるか、又はこれらから基本的になるものであってもよい。一部の好ましい実施形態において、アノード界面層は、アノード表面、SSE表面、又はアノード表面及びSSE表面の両方に直接形成される。他の実施形態においては、介在層が、界面層と、アノード、SSE、又はアノード及びSSEの両方の少なくとも1つの表面との間に形成される。
【0143】
一部の実施形態において、この方法は、カソード界面層を、カソード表面、SSE表面、又はカソード表面及びSSE表面の少なくとも1つの上に形成する更なる工程を含む。一部の好ましい実施形態において、カソード界面層は、カソード表面、SSE表面、又は両方に直接形成される。他の実施形態においては、介在層が設けられる。
【0144】
カソード界面層が設けられる場合、アノード界面層及びカソード界面層を形成する順序は必ずしも重要ではない。アノード界面層及びカソード界面層が両方共SSE上に形成される場合、これらはその相対する面に形成される。唯一重要な事項は、最終電池において、アノード界面層はアノードとSSEとの間に形成され、カソード界面層はカソードとSSEとの間に形成されることである。
【0145】
電池を形成するための方法は、機能する(functioning)電池を形成するために必要な任意の追加の工程に加えて、上述の工程のいずれか又は全てを含むか、これらからなるか、又はこれらから基本的になるものであってもよい。機能する電池とは、任意の長さの時間に亘り電力を提供するものである。
【0146】
自己修復(Self-healing)SSE/In-situ HSSE
少なくとも1つの実施形態において、ガラス状SSEは、LiIを含む自己修復SSE(Li及びIはガラス状SSE中でそのイオン形態であるL+、I-で含まれるため)となり得る。I-は、金属Liアノードと反応して表面でLiIを形成するであろう。LiIはSSEよりも軟質であり、電気絶縁性及びイオン伝導性を有する。このin-situ Lilにより、HSSEが形成される(Lil/SSE)。
【0147】
HSSE/電解質抑制(Electrolyte Suppressing)技術/HSSE+電解質抑制技術
上述のHSSE性能及び改良されたSSE電池の性能は、デンドライト形成を更に阻止するための電解質抑制技術(例えば、Vを0.02に変化させる電解質添加剤)を追加することにより、更に向上させることができる。
【0148】
本発明の様々な目的を果たすための本発明の様々な実施形態を説明してきた。これらの実施形態は本発明の原理を単に例示するものであることを認識すべきである。本発明の主旨及び範囲から逸脱しない多くの修正及び適合が当業者に容易に明らかになるであろう。
【0149】
本発明は、本発明の主旨及び必須の属性から逸脱することなく他の形態で実施することができ、したがって、本発明の範囲を示すものとして、上記明細書ではなく、添付の特許請求の範囲を参照すべきである。改良されたセパレータ、改良されたセラミックコーティング、改良されたアノード、及び同種のものも想定されている。