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特許7459000組織状態を区別するためのシステムおよびこれを制御する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】組織状態を区別するためのシステムおよびこれを制御する方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/01 20060101AFI20240325BHJP
【FI】
A61B5/01
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2020568724
(86)(22)【出願日】2019-06-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-14
(86)【国際出願番号】 IL2019050665
(87)【国際公開番号】W WO2019239410
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2022-06-10
(31)【優先権主張番号】62/683,836
(32)【優先日】2018-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520480898
【氏名又は名称】エイチ.ティー バイオイメージング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】トレダノ,シャニ
(72)【発明者】
【氏名】ツヴァ,モシェ
(72)【発明者】
【氏名】ガット,シャロン
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-006337(JP,A)
【文献】特開2007-215809(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0116573(US,A1)
【文献】国際公開第2017/184201(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00 - 5/01
A61B 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織状態を区別するためのシステムを制御する方法であって、前記システムは、
加熱源と、
組織が前記加熱源によって熱的に変化させられている間に、前記組織における少なくとも1つの位置から熱データのシーケンスをサンプリングするように構成された熱センサーと、
プロセッサと、
を備え、
前記方法は、前記プロセッサによって自動的に行われ、前記方法は、
初期基準温度から所定の第1の期間にわたって前記組織の少なくとも一部の少なくとも表面を加熱するように前記加熱源を制御することと、
前記熱センサーから、前記組織に関連する熱データを受信することであって、前記熱データは、前記第1の期間にわたって、および、前記組織が前記基準温度に受動的に戻るようにさせられる第2の期間にわたってサンプリングされることと、
前記熱データから、前記組織内の複数の位置のそれぞれに関連する熱分布関連特徴のセットを導出することであって、前記熱分布関連特徴のセットは、前記第1の期間および前記第2の期間についての計算特徴を含むことと、
前記組織を複数のセグメントにセグメント化することであって、各セグメントは、対応する熱分布関連特徴のセットを有する、前記複数の位置のうちの1つ以上を含むことと、
前記熱分布関連特徴のセットに基づいて前記組織のセグメント内の様々な組織状態を示しかつ/または識別する出力を生成することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記熱データは、熱画像、赤外線(IR)センサー、水銀温度計、抵抗温度計、サーミスタ、熱電対、半導体ベースの温度センサー、高温計、ガス温度計、レーザー温度計、および超音波のうちの少なくとも1つから受信される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記熱データは熱画像によって受信され、前記複数の位置のそれぞれは画像のピクセルまたはボクセルを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記熱分布関連特徴のセットは、組織生物の代謝熱源、血液灌流による熱損失、血液温度、組織密度、比熱、組織熱伝導率(thermal conductivity factor)、組織熱伝導率(thermal conductivity coefficient)、組織熱伝導表面積、組織表面温度、組織と周囲温度の間の時間依存熱勾配、周囲温度、および熱源温度からなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記熱分布関連特徴のセットは、周囲温度および熱源温度のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記状態を熱的に変化させることは、初期温度から最終温度への前記組織の少なくとも一部の温度変化を能動的に生じさせること、特定の期間における前記組織の少なくとも一部の温度変化を能動的に生じさせること、初期温度から最終温度への前記組織の少なくとも一部の温度変化を受動的に許容すること、および特定の期間、前記組織の少なくとも一部の温度変化を受動的に許容すること、のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記方法は、前記熱データおよび熱変数の少なくともいくつかに基づいて特徴のセットを抽出することを含み、前記特徴のセットは、前記熱変数の様々な微分値を表す特徴、前記熱変数におけるノイズを表す特徴、減衰方程式に基づく特徴、フーリエ級数に基づく特徴、および前記特徴の分散に基づく相関特徴、を含む、特徴のグループから選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記セグメント化することは、対応する特徴のセットを有する前記位置にさらに基づく、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記対応は、すべての前記熱変数の分散値および指定された閾値を超えない前記特徴に少なくとも部分的に基づいて決定される、請求項7~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも部分的に、少なくとも1つの熱変数を、複数の組織状態またはタイプに関連する前記熱変数の予め規定された値と相関させることに基づいて、各前記セグメントに関連する組織状態またはタイプを決定することをさらに含む、請求項7~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記相関させることは、前記特徴のセットを相関させることをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記決定することは、トレーニング段階において、
(i)複数の組織が熱的に変化させられている間に、前記複数の組織内の複数の位置のそれぞれにおいてサンプリングされた熱データからそれぞれ導出された複数の特徴のセット、および
(ii)前記複数の位置のそれぞれの状態またはタイプに関連付けられたラベル
を含むトレーニングセットにおいてトレーニングされた機械学習分類器によって行われる、請求項10~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
推論段階で、前記トレーニングされた機械学習分類器を、前記組織が熱的に変化させられている間に、前記組織の位置においてサンプリングされた熱データから導出された特徴のセットに適用して、前記位置の状態またはタイプを決定することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
組織状態を区別するためのシステムであって、
組織が加熱源によって熱的に変化させられている間に、前記組織における少なくとも1つの位置から熱データのシーケンスをサンプリングするように構成された熱センサーと、
プロセッサであって、
初期基準温度から所定の第1の期間にわたって前記組織の少なくとも一部の少なくとも表面を加熱するように前記加熱源を制御することと、
前記熱センサーから、前記組織に関連する熱データを受信することであって、前記熱データは、前記第1の期間にわたって、および、前記組織が前記基準温度に受動的に戻るようにさせられる第2の期間にわたってサンプリングされることと、
前記熱データから、前記組織内の複数の位置のそれぞれに関連する熱分布関連特徴のセットを導出することであって、前記熱分布関連特徴のセットは、前記第1の期間および前記第2の期間についての計算特徴を含むことと、
前記組織を複数のセグメントにセグメント化することであって、前記複数のセグメントは、対応する熱分布関連特徴のセットを有する、前記複数の位置を含むことと、
前記熱分布関連特徴のセットに基づいて前記組織セグメント内の様々な組織状態を示しかつ/または識別する出力を生成することと、
を行うように構成された、プロセッサと、
を含む、システム。
【請求項15】
前記システムは、少なくとも前記組織の表面に向けられ、前記組織を能動的に加熱または冷却するように構成された加熱または冷却源を含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記熱分布関連特徴のセットは、前記組織の状態またはタイプを示す、請求項14~15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記熱データは、熱画像、赤外線(IR)センサー、水銀温度計、抵抗温度計、サーミスタ、熱電対、半導体ベースの温度センサー、高温計、ガス温度計、レーザー温度計、および超音波のうちの少なくとも1つから受信される、請求項14~16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記熱データは熱画像によって受信され、前記位置はピクセルまたはボクセルを含む、請求項14~17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
熱的に変化させられた組織は、初期温度から最終温度への前記組織の少なくとも一部における温度変化を能動的または受動的に生じさせることを含む、請求項14~18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
熱的に変化させられた組織は、少なくとも1つの所定の期間にわたって前記組織の少なくとも一部に温度変化を生じさせることを含む、請求項14~19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記熱分布関連特徴のセットは、細胞の熱挙動に影響を与える少なくとも1つの固有の組織熱パラメータを含む、請求項14~20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記熱データおよび熱変数の少なくともいくつかに基づいて特徴のセットを計算することを含む、請求項14~21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
前記特徴のセットは、前記熱変数の様々な微分値を表す特徴、前記熱変数のノイズを表す特徴、減衰方程式に基づく特徴、フーリエ級数に基づく特徴、および前記特徴の分散に基づく相関特徴を含む特徴のグループから選択される、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記セグメント化することは、対応する特徴のセットを有する前記位置にさらに基づく、請求項22~23のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年6月12日に出願された「SYSTEM, METHOD AND COMPUTER PRODUCT FOR DIFFERENTIAL IDENTIFICATION OF TISSUE TYPES IN SITU」と題された米国仮特許出願第62/683,836号の優先権の利益を主張する。
【0002】
本出願はまた、同じ発明者に「A DEVICE AND METHOD FOR CANCER DETECTION, DIAGNOSIS AND TREATMENT GUIDANCE USING ACTIVE THERMAL IMAGING」と題されたPCT公開番号WO2015/159284として公開された国際特許出願番号PCT/IL2015/050392号に関連している。上記の出願の内容は全て、あたかもその全体が本明細書に完全に記載されているかのように、参照により組み込まれる。
【0003】
本発明は、そのいくつかの実施形態では、熱データ収集システム、方法、およびコンピュータ製品に関する。
【背景技術】
【0004】
サーモグラフィは、対象物から放射される赤外線などの熱放射が、検出された熱放射を画像(サーモグラム)に変換するセンサー(サーモグラフィカメラなど)によって検出される分野である。サーモグラムを使用すると、撮像された対象物の表面のさまざまな領域から放出される熱放射の違いを観察することができる。
【0005】
外部の熱介入なく対象物から放出される熱放射(パッシブサーモグラフィ)は、放出される背景熱放射より高いまたは低い可能性がある。パッシブサーモグラフィには、背景に対する人々の監視や医学的診断(特にサーモロジー)など、多くの用途がある。
【0006】
パッシブサーモグラフィとは異なり、対象物と背景の間に熱コントラストを生成するためにエネルギー源が対象物を能動的に加熱してもよい(アクティブサーモグラフィ)。アクティブサーモグラフィは、検査対象物が周囲と平衡状態にある場合に使用される。
【0007】
関連技術の前述の例およびそれに関連する制限は、例示的であり、排他的ではないことが意図されている。関連技術の他の制限は、明細書を読み、図を検討すれば、当業者には明らかになるであろう。
【発明の概要】
【0008】
以下の実施形態およびその態様は、範囲を限定するものではなく、例示的かつ例証的であることを意味するシステム、ツール、および方法と併せて説明され、図示される。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態による態様によれば、組織の状態が熱的に変化させられている間に組織の少なくとも1つの位置においてサンプリングされた組織の熱データのシーケンスを受信し、熱データから組織の各位置に関連付けられた少なくとも1つの熱変数を導き出し、組織を、対応する少なくとも1つの熱変数を有する位置を含むセグメントに分割し、組織セグメントを示す出力を生成することを含む、組織状態またはタイプを区別する方法が提供される。
【0010】
いくつかの実施形態によれば、熱データは、熱画像、赤外線(IR)センサー、水銀温度計、抵抗温度計、サーミスタ、熱電対、半導体ベースの温度センサー、高温計、ガス温度計、レーザー温度計、および超音波のうちの少なくとも1つから受信される。いくつかの実施形態では、熱データは熱画像によって受信され、その位置は画像のピクセルまたはボクセルを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの熱変数は、組織生物の代謝熱源、血液灌流による熱損失、血液温度、組織密度、比熱、組織熱伝導率(thermal conductivity factor)、組織熱伝導率(thermal conductivity coefficient)、組織熱伝導表面積、組織表面温度、および組織と周囲温度の間の時間依存熱勾配からなる群から選択される。
【0011】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの熱変数は、周囲温度および熱源温度のうちの少なくとも1つをさらに含む。いくつかの実施形態では、状態を熱的に変化させることは、初期温度から最終温度への組織の少なくとも一部の温度変化を能動的に生じさせること、特定の期間、組織の少なくとも一部の温度変化を能動的に生じさせること、初期温度から最終温度への組織の少なくとも一部の温度変化を受動的に許容すること、および特定の期間、組織の少なくとも一部の温度変化を受動的に許容することを含む。
【0012】
いくつかの実施形態によれば、この方法は、熱データおよび熱変数の少なくともいくつかに基づいて特徴のセットを抽出することを含み、特徴は、変数の様々な微分値を表す特徴、変数におけるノイズを表す特徴、減衰方程式に基づく特徴、フーリエ級数に基づく特徴、および特徴の分散に基づく相関特徴を含む、特徴のグループから選択される。いくつかの実施形態では、セグメント化は、対応する特徴のセットを有する位置にさらに基づく。いくつかの実施形態では、対応は、少なくとも部分的に、特定の閾値を超えないすべての変数および特徴の分散値に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、方法は、少なくとも部分的に、少なくとも1つの熱変数を、複数の組織状態またはタイプに関連する熱変数の予め規定された値と少なくとも部分的に相関させることに基づいて、各セグメントに関連する組織状態またはタイプを決定することをさらに含む。いくつかの実施形態では、相関は、特徴を相関させることをさらに含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、導出、セグメント化、抽出、および決定は、機械学習する分類器によって行われる。機械学習する分類器は、トレーニング段階においてトレーニングセットについてトレーニングされる。トレーニングセットは、組織の状態が熱的に変化させられている間に組織の少なくとも1つの位置においてそれぞれがサンプリングされた複数の熱データシーケンス、および少なくとも1つの位置の状態またはタイプに関連したラベルを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、この方法は、組織位置の状態またはタイプを決定するために、推論段階において、トレーニングされた機械学習分類器を、組織の状態が熱的に変化させられている間に組織の位置においてサンプリングされた少なくとも1つの目標熱データシーケンスに適用することをさらに含む。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態による態様によれば、コンピュータプログラム製品であって、コンピュータプログラム製品によって具体化されるプログラムコードを有する非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体を含み、プログラムコードは、組織の状態が熱的に変化させられている間に組織の少なくとも1つの位置においてサンプリングされた組織の熱データのシーケンスを受信し、熱データから、各組織位置に関連した少なくとも1つの組織関連の熱変数を導き出し、組織を、少なくとも1つの熱変数に対応する位置を含むセグメントにセグメント化し、組織セグメントを示す出力を生成するために、少なくとも1つのハードウェアプロセッサによって実行可能である、コンピュータプログラム製品が提供される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの 熱変数は、組織の状態またはタイプを示している。
【0016】
いくつかの実施形態において、熱データは、熱画像、赤外線(IR)センサー、水銀温度計、抵抗温度計、サーミスタ、熱電対、半導体ベースの温度センサー、高温計、ガス温度計、レーザー温度計、および超音波のうちの少なくとも1つから受信される。いくつかの実施形態では、熱データは熱画像によって受信され、その位置はピクセルまたはボクセルを含む。いくつかの実施形態では、状態が熱的に変化させられた組織は、初期温度から最終温度への組織の少なくとも一部における温度変化を能動的または受動的に生じさせることを含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、状態が熱的に変化させられた組織は、少なくとも1つの所定の期間にわたって組織の少なくとも一部に温度変化を生じさせることを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの組織関連熱変数は、細胞の熱挙動に影響を与える少なくとも1つの固有の組織熱パラメータを含む。いくつかの実施形態では、コンピュータプログラム製品は、熱データおよび熱変数の少なくともいくつかに基づいて特徴のセットを計算するように構成されている。
【0018】
いくつかの実施形態では、特徴は、変数の様々な微分値を表す特徴、変数のノイズを表す特徴、減衰方程式に基づく特徴、フーリエ級数に基づく特徴、および特徴の分散に基づく相関特徴を含む特徴のグループから選択される。いくつかの実施形態では、セグメント化は、対応する特徴のセットを有する位置にさらに基づく。
【0019】
いくつかの実施形態では、対応は、すべての変数の分散値および指定された閾値を超えない特徴に少なくとも部分的に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、導出は、少なくとも部分的に、少なくとも1つの熱変数に基づいて、各組織位置の熱特徴のセットを計算することを含む。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態による態様によれば、組織の状態が熱的に変化させられている間に組織における少なくとも1つの位置から熱データのシーケンスをサンプリングするように構成された熱センサーと、熱データから、各組織位置に関連した少なくとも1つの組織関連熱変数を導き出し、組織を、少なくとも1つの熱変数に対応する位置を含むセグメントにセグメント化し、かつ組織セグメントを示す出力を生成するように構成されたプロセッサと、を含むシステムであって、システムは、少なくとも組織の表面に向けられた、組織を能動的に加熱または冷却するように構成された加熱または冷却源を含む、システムが提供される。
【0021】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの 熱変数は、組織の状態またはタイプを示している。いくつかの実施形態において、熱データは、熱画像、赤外線(IR)センサー、水銀温度計、抵抗温度計、サーミスタ、熱電対、半導体ベースの温度センサー、高温計、ガス温度計、レーザー温度計、および超音波のうちの少なくとも1つから受信される。いくつかの実施形態では、熱データは熱画像によって受信され、その位置はピクセルまたはボクセルを含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、状態が熱的に変化させられた組織は、初期温度から最終温度への組織の少なくとも一部における温度変化を能動的または受動的に生じさせることを含む。いくつかの実施形態では、状態が熱的に変化させられた組織は、少なくとも1つの所定の期間にわたって組織の少なくとも一部に温度変化を生じさせることを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの組織関連熱変数は、細胞の熱挙動に影響を与える少なくとも1つの固有の組織熱パラメータを含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、熱データおよび熱変数。いくつかの実施形態では、特徴は、変数の様々な微分値を表す特徴、変数のノイズを表す特徴、減衰方程式に基づく特徴、フーリエ級数に基づく特徴、および特徴の分散に基づく相関特徴を含む特徴のグループから選択される。いくつかの実施形態では、セグメント化は、対応する特徴のセットを有する位置にさらに基づく。
【0024】
上記の例示的な態様および実施形態に加えて、さらなる態様および実施形態は、図を参照することによって、および以下の詳細な説明を検討することによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
例示的な実施形態は、参照図に示されている。図に示されているコンポーネントおよび機構の寸法は、概して、表示の便宜と明確さのために選択されており、必ずしも縮尺どおりに示されていない。図は以下のとおりである。
図1】本発明のいくつかの実施形態による、組織の状態またはタイプの区別および/または識別のための熱画像システムの簡略図である。
図2A-2B】本発明のいくつかの実施形態による、温度変化下での組織細胞の生体熱挙動7に関連する熱曲線のグラフである。
図3】本発明のいくつかの実施形態による、温度変化下での組織細胞の生体熱挙動に関連する熱曲線のグラフである。
図4】本発明のいくつかの実施形態による、温度変化下での組織細胞の生体熱挙動に関連する熱曲線のグラフである。
図5A-5C】本発明のいくつかの実施形態によるピーク温度点を示すグラフである。
図6A-6D】本発明のいくつかの実施形態による熱画像システムディスプレイの例示的なスクリーン画像である。
図7】本発明のいくつかの実施形態による熱画像システムプロセッサの動作を示す例示的な簡略化されたフローチャートである。
図8A-8B】本発明のいくつかの実施形態による、断面点の分散データセットを示す簡略化されたグラフである。
図9A】本発明のいくつかの実施形態による、組織の表面の一部にわたる熱分布の簡略化された平面図である。
図9B】は、本発明のいくつかの実施形態による、組織の表面の部分内の細胞の熱グラフである。
図10A-10C】本発明のいくつかの実施形態による、組織の表面の一部にわたる熱分布の簡略化された平面図である。
図11A-11B】は、本発明のいくつかの実施形態による、組織の表面の一部にわたる熱分布の簡略化された平面図である。
図12】本発明のいくつかの実施形態による、組織の表面の一部にわたる熱分布のグラフおよび簡略化された平面図である。
図13】本発明のいくつかの実施形態による熱画像システムプロセッサの動作を示す例示的な簡略化されたフローチャートである。
図14A-14B】本発明のいくつかの実施形態による、加熱された細胞の生体熱挙動に関連する熱曲線のグラフである。
図15】本発明のいくつかの実施形態による、加熱された細胞の生体熱挙動に関連する熱曲線のグラフである。
図16A-16B】本発明のいくつかの実施形態による、組織の表面の一部の内部の熱分布の簡略化された断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、熱データから計算された1つ以上の組織位置または領域に関連する熱特性に少なくとも部分的に基づいて、これらの位置または領域を区別別する方法が提供される。いくつかの実施形態では、熱データは、組織上の少なくとも1つの位置から収集される。いくつかの実施形態では、この方法は、組織における熱変化を同時にもたらしながら、少なくとも1つの位置の熱データの時間的シーケンスを収集することを含む。
【0027】
本明細書で使用される「組織」という用語は、軟組織、硬組織、ならびに細胞および非細胞物質、例えば筋肉、骨、歯および/または細菌などのあらゆる身体的物質または身体関連物質を含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、本開示は、組織の状態および/またはタイプを区別することを提供する。いくつかの実施形態では、組織タイプには、筋肉、骨、神経組織、血管、腺組織、および/または脂肪組織が含まれるが、これらに限定されない。
【0029】
いくつかの実施形態において、組織状態は、組織臨床状態、例えば、正常組織、炎症組織、組織新生物、組織異形成、粘液嚢胞、線維腫、線維上皮ポリープ、病理組織、前癌性組織、および/または癌性組織を含むが、これらに限定されない。
【0030】
組織の熱データは、赤外線(IR)センサー、水銀温度計、抵抗温度計、サーミスタ、熱電対、半導体ベースの温度センサー、高温計、ガス温度計、レーザー温度計、超音波など、多くの検出装置によってサンプリングすることができるが、明瞭かつ簡略にするために、限定ではなく例として、以下では、1つ以上の組織位置の状態の決定は、熱画像によって受信されたデータから計算された熱特性に基づいて示される。
【0031】
本発明によるいくつかの実施形態の一態様によれば、組織の少なくとも一部の少なくとも表面の温度変化を行うことに少なくとも部分的に基づいて、組織の状態またはタイプに従って組織を区別する方法が提供される。例えば、いくつかの実施形態では、温度変化を生じさせることは、組織の少なくとも一部の少なくとも表面を初期基準温度から所定の第1の期間にわたって加熱し(例えば、tからt)、その後、組織の温度は第2の期間にわたって基準温度へ受動的に戻される(例えば、冷却させられる)(例えば、tからt)。
【0032】
いくつかの実施形態では、時間tからtまでの組み合わされた第1および第2の期間中に、組織の少なくとも表面の一連の熱データ、例えば熱画像(例えば、ビデオストリーム)が、1つ以上の適切な熱画像装置、例えば、赤外線(IR)、近赤外線(NIR)、短波赤外線(SWIR)、および/または別の画像装置を使用して得られる。いくつかの実施形態では、期間tからtの少なくとも一部の間に追加の画像および/または画像ストリームが取得されてもよい。いくつかの実施形態では、追加の画像は、赤-緑-青(RGB)画像、モノクロ画像、紫外線(UV)画像、マルチスペクトル画像、および/またはハイパースペクトル画像を含んでもよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、画像データは、各画像内の少なくともいくつかのピクセルに関連する複数の値を抽出するために処理される。いくつかの実施形態では、値の特定の部分は、ある時点で、および/または期間tからtの一部または全部にわたる時系列として抽出されてもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、1つ以上の値は、複数の時間依存特徴ベクトルを含む1つ以上の特徴ベクトルに変換されてもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の特徴ベクトルは、1つ以上の組織状態またはタイプに関連する所定の特徴または特徴ベクトルと比較されてもよい。いくつかの実施形態では、組織の1つ以上の領域の状態は、少なくとも部分的に、比較に基づいて決定されてもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、各ピクセルの1つ以上の特徴ベクトルは、画像化された組織の組織状態またはタイプの領域としてのグループを示す、1つ以上のグループにグループ化される。
【0036】
いくつかの実施形態では、本開示は、熱画像化された組織の1つ以上の領域の組織状態またはタイプを示す出力を提供する。いくつかの実施形態では、出力は、各領域に関連する識別された組織状態またはタイプに少なくとも部分的に基づいて、1つ以上の領域のグラフィック表現を含む画像を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、各領域の境界が定められてもよい、および/または領域の一部または全体が、1つ以上の配色を使用して表されてもよい。いくつかの実施形態では、グラフィック表現は、熱画像、RGB画像、および/または別のおよび/または異なるタイプの画像として生成されてもよい。いくつかの実施形態では、識別された組織状態またはタイプの境界は、組織状態分布マップ上にマッピングされる。いくつかの実施形態では、識別された組織の状態またはタイプの境界は、例えば、ヒストグラムなどのグラフの形式でマッピングされる。
【0037】
いくつかの実施形態では、機械学習分類器は、複数の対象組織に関連付けられた特徴ベクトルセットを含むデータセットでトレーニングされてもよく、トレーニングデータセットは、対象組織のいくつかの領域に存在する1つ以上の組織状態またはタイプでラベル付けされてもよい。いくつかの実施形態では、次に、本開示のトレーニングされた分類器は、標的組織における1つ以上の生理学的または病理学的パラメータの存在を決定するために、標的対象からの標的特徴セットに適用されてもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、組織の温度を能動的に変化させることは、画像化期間の少なくとも一部の間、組織の部分を能動的に加熱するか、能動的または受動的に冷却することを含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、処理または分析は、得られた画像の各ピクセルに対して実行される。いくつかの実施形態では、分析は、生理学的または病理学的パラメータの定量化を表す、各ピクセルについての複数のピクセルレベル値を抽出することを含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、この方法は、組織の状態が熱的に変化させられている間に組織の1つ以上の位置においてサンプリングされた、組織の熱データのシーケンスを受信し、熱データから、各組織位置に関連した少なくとも1つの組織関連の熱変数を導き出し、組織を、熱変数の1つ以上に対応する位置を含むセグメントにセグメント化し、組織セグメントを示す出力を生成することを含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、この方法は、熱データおよび熱変数の少なくともいくつかに基づいて特徴のセットを計算することを含み、その場合、セグメント化は、対応する特徴のセットを有する位置に基づく。いくつかの実施形態では、対応は、すべての変数の分散値および指定された閾値を超えない特徴に少なくとも部分的に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、方法は、少なくとも部分的に、1つ以上の熱変数に基づいて、各組織位置の熱特徴のセットを計算することを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の熱変数は、組織の状態またはタイプを示す。いくつかの実施形態では、特徴は、変数の様々な微分値を表す特徴、変数のノイズを表す特徴、減衰方程式に基づく特徴、フーリエ級数に基づく特徴、および特徴の分散に基づく相関特徴を含む特徴のグループから選択される。
【0042】
いくつかの実施形態では、この方法は、ある期間にわたって一連の熱画像を取得することを含む。いくつかの実施形態では、各ピクセルおよび/または測定点について、熱画像からピクセル値を抽出し、一定期間にわたる組織細胞の熱特性を表す特徴ベクトルを生成し、同様の特徴を有するピクセルをクラスター化し、ピクセルクラスターを撮像された組織における対応する領域に反映する。いくつかの実施形態では、この方法は、特徴を組織状態またはタイプの既知の特徴セットと比較することに基づいて、領域のうちの少なくとも1つの組織状態またはタイプを決定することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、出力、例えば、1つ以上の領域における組織状態のグラフィック表現を生成することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、各領域における組織の状態を分類するために、トレーニングされた機械学習分類器を使用することを含む。いくつかの実施形態では、特徴ベクトルの生成は選択的であり、この方法は、特徴を組織状態またはタイプの既知の特徴セットと比較することに基づいて、領域のうちの少なくとも1つの組織状態またはタイプを決定することを含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、この方法は、画像化された視野(FOV)内の組織の部分にわたる熱変数および/または熱特徴の分布を表すマップを生成することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、ピクセルレベル値のマップ上の分布を分析し、各クラスターが同じピクセル値範囲内にある、値のクラスターを識別し、識別された値を、特定の組織タイプまたは状態に関連付けることを含む。いくつかの実施形態では、同じ値を共有する熱画像内のピクセルのクラスターが、特定の組織細胞タイプの対応するクラスターに関連付けられる。
【0044】
いくつかの実施形態では、ピクセルレベル値の分布分析は、計算されたピクセルレベル値間の分散の計算に基づく。
【0045】
いくつかの実施形態では、この方法は、それぞれが特定の生理学的または病理学的パラメータに関連付けられた複数のピクセルレベル値分布マップを生成することを含む。いくつかの実施形態では、組織細胞タイプのクラスターの識別を向上させるために、得られたピクセルレベル値から生成された複数のマップが組み合わされるまたは重ね合わされる。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、組織の状態またはタイプを区別する方法が提供される。いくつかの実施形態では、この方法は、熱画像装置の視野(FOV)内の組織の少なくとも一部の熱画像からピクセルレベル値を取得することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、設定された期間にわたって組織の一部の温度を能動的に変化させることを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、温度変化中に組織の熱画像(フレーム)を取得することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、得られたピクセルレベル値の連続フレームを処理し、組織に関連した生理学的または病理学的パラメータを表すピクセルレベル値から導き出された1つ以上の変数または特徴における設定期間内の変化に関するピクセルレベル値を抽出することを含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、この方法は、組織温度変化中の、ピクセルレベル値、熱変数、またはピクセルレベル値から導出された特徴の変化を表す、各ピクセルについてのグラフを生成することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、例えば、グラフ曲線の1つ以上の部分の比較分析を実行し、特定の組織状態またはタイプに関連する類似または同じ曲線パターンを有するピクセルのグループを識別することによって、処理することを含む。いくつかの実施形態では、同じピクセルレベル値、変数、または特徴を共有する識別されたピクセルグループは、組織の特定のタイプまたは状態に関連付けられる。いくつかの実施形態では、ピクセルレベル値、変数、または特徴の分布分析は、各ピクセルから得られた値に基づくグラフ曲線間の分散の計算に基づく。
【0048】
いくつかの実施形態では、この方法は、組織を能動的に加熱し、組織を受動的に冷却させることを含む。いくつかの実施形態では、能動的加熱および受動的冷却の期間中に得られた撮像フレームの処理は、成長部分、ピークおよび減衰部分を有するグラフ曲線によって表される。いくつかの実施形態では、熱画像システムは、得られた曲線の成長部分のみにおいて比較分析を実行するように構成されたプロセッサおよびコンピュータプログラム製品を含む。いくつかの実施形態では、比較分析は、得られた曲線の減衰部分のみにおいて実行される。いくつかの実施形態では、プロセッサのコンピュータプログラム製品は、得られた曲線の成長部分と減衰部分の境界点においてのみ曲線ピーク温度について比較分析を実行するように構成される。
【0049】
これに代えて、選択的にいくつかの実施形態において、例えば、図2Bに示したように、この方法は、組織を能動的に冷却し、組織を受動的に暖めることを含む。いくつかの実施形態では、能動的冷却および受動的加温の期間中に得られた撮像フレームの分析は、減衰部分、トラフ(最小点)、および成長部分を有するグラフ曲線によって表される。いくつかの実施形態では、熱画像システムは、得られた曲線の成長部分のみにおいて比較分析を実行するように構成されたプロセッサおよびコンピュータプログラム製品を含む。いくつかの実施形態では、比較分析は、得られた曲線の減衰部分のみにおいて実行される。いくつかの実施形態では、プロセッサのコンピュータプログラム製品は、得られた曲線の成長部分と減衰部分の境界点においてのみ曲線トラフ(最小温度)について比較分析を実行するように構成される。
【0050】
いくつかの実施形態では、この方法は、各ピクセルからの曲線の季節性ノイズの分散の比較分析を実行し、組織の状態またはタイプに関連する同様の曲線季節性ノイズを有するピクセルのクラスターを識別することによる処理を含む。いくつかの実施形態では、識別されたクラスターは、組織細胞クラスターに関連している。
【0051】
いくつかの実施形態では、この方法は、それぞれが特定の生理学的パラメータに関連する生成されたピクセルレベル値に基づく、複数の分布マップを生成することを含む。いくつかの実施形態では、組織細胞クラスターの状態またはタイプの識別を向上させるために、複数の生成されたマップが組み合わされるまたは重ね合わされる。
【0052】
いくつかの実施形態では、この方法は、組織の部分を徐々に能動的に加熱または冷却することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、設定された期間にわたって熱画像(フレーム)を取得することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、各能動的加熱または冷却増分中に得られた画像の連続フレームを処理し、組織に関連する1つ以上の生理学的または病理学的パラメータの加熱増分内の変化に関するピクセルレベル値を抽出することを含む。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、組織の状態またはタイプを区別する方法が提供される。いくつかの実施形態では、この方法は、組織を能動的に加熱することを含む。いくつかの実施形態では、組織を加熱することは、組織の片側に、組織のストリップを加熱する加熱エネルギー(例えば、赤外線)の線状のビームを適用することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、設定された期間にわたって、熱画像装置のFOV内の組織の部分の熱画像(フレーム)を取得することを含む。
【0054】
これに代えて、選択的にいくつかの実施形態では、組織の状態またはタイプを区別する方法は、組織を能動的に冷却することを含む。いくつかの実施形態では、組織を冷却することは、組織の片側に、組織のストリップを冷却する冷却エネルギーの線状のビーム(例えば、スプレーまたは接触冷却剤)を適用することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、設定された期間にわたって、熱画像装置のFOV内の組織の部分の熱画像(フレーム)を取得することを含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、この方法は、一定期間にわたって取得された画像の連続フレームを処理し、設定された期間の間、ベクトルビームおよび/または組織の加熱されたストリップに対して垂直な方向における熱拡散速度に関するピクセルレベル値を抽出することを含む。いくつかの実施形態では、設定された期間にわたって得られた画像の連続フレームを処理することは、組織内の熱拡散速度に関するピクセルレベルの値を、組織に関連する1つ以上の生理学的または病理学的パラメータと関連付けることを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、組織タイプまたは状態に関連付けられた拡散速度の所与の範囲内の拡散速度に関連付けられたピクセルレベル値に基づいて、ピクセルレベル値または変数または特徴を共有するピクセルのクラスターを識別することを含む。いくつかの実施形態では、識別されたピクセルのクラスターは、画像化された組織のグラフィック表現上の特定の組織タイプまたは状態の細胞の対応するクラスターに関連付けられる。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、組織の状態またはタイプを区別する方法が提供される。いくつかの実施形態では、この方法は、組織を加熱することを含む。いくつかの実施形態では、組織を加熱することは、組織表面の任意の部分に加熱エネルギー(例えば、赤外線)を加えることを含む。これに代えて、選択的にいくつかの実施形態では、この方法は、組織を能動的に冷却することを含む。いくつかの実施形態では、組織を冷却することは、組織表面の任意の部分に冷却エネルギー(例えば、スプレーまたは接触冷却剤)を加えることを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、設定された期間にわたって、熱画像装置のFOV内の組織の部分の熱画像を取得することを含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、この方法は、ある期間にわたって取得された熱画像(フレーム)の連続フレームを処理し、設定された期間中の組織の表面上の熱拡散速度に関するピクセルレベル値を抽出することを含む。いくつかの実施形態では、設定された期間にわたって得られた画像の連続フレームを処理することは、組織内の熱拡散速度に関する情報を、組織に関連する1つ以上の生理学的または病理学的パラメータと関連付けることを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、組織タイプに関連する所与の範囲内で拡散速度を共有するピクセルのクラスターを識別することを含む。いくつかの実施形態では、識別されたクラスターは、画像化された組織のグラフィック表現上の特定の組織タイプの細胞の対応するクラスターに関連付けられる。
【0058】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、組織の状態またはタイプを区別する方法が提供される。いくつかの実施形態では、この方法は、組織を加熱することを含む。いくつかの実施形態では、組織を加熱することは、組織内の所定の深さに加熱エネルギー(例えば、赤外線)を加えることを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、設定された期間にわたって、組織表面と所定の深さとの間の様々な深さにおいて組織の部分の熱画像を取得することを含む。
【0059】
これに代えて、選択的にいくつかの実施形態では、組織の状態またはタイプを区別する方法は、組織を能動的に冷却することを含む。いくつかの実施形態では、組織を冷却することは、組織内の所定の深さに冷却エネルギー(例えば、スプレーまたは接触冷却剤)を加えることを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、設定された期間にわたって、組織表面と所定の深さとの間の様々な深さにおいて組織の部分の熱画像(フレーム)を取得することを含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、この方法は、ある期間にわたってあらゆる特定の深さにおいて得られた熱画像の連続フレームを処理し、設定された期間中の特定の深さにおける組織の層全体の熱拡散速度に関するピクセルレベル値を抽出することを含む。いくつかの実施形態では、設定された期間にわたって得られた画像の連続フレームを処理することは、組織内の熱拡散速度に関連するピクセルレベル値を、組織に関連する1つ以上の生理学的または病理学的パラメータに関連付けることを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、特定の組織タイプまたは状態に関連する所与の範囲内で拡散速度を共有するボクセルのクラスターを識別することを含む。いくつかの実施形態では、識別されたピクセルのクラスターは、撮像された組織のグラフィック表現上の特定の組織タイプまたは状態の細胞の対応するクラスターに関連付けられる。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、コンピュータプログラム製品であって、コンピュータプログラム製品によって具体化されるプログラムコードを有する非一時的コンピュータ読み取り可能媒体を含み、プログラムコードが、熱画像装置の視野(FOV)内の組織の部分の1つ以上の熱画像(フレーム)を処理するために少なくとも1つのハードウェアプロセッサによって実行可能である、コンピュータプログラム製品が提供される。
【0062】
いくつかの実施形態では、コンピュータプログラム製品は、取得された画像の各ピクセルから受信した情報から計算するために実行可能である。いくつかの実施形態では、プログラム製品は、組織の生理学的または病理学的パラメータに関連するピクセルレベル値を計算するために実行可能である。いくつかの実施形態では、プログラム製品は、組織の生理学的または病理学的パラメータに関連する計算値に基づいてマップを生成するために実行可能である。いくつかの実施形態では、プログラム製品は、特定の組織タイプまたは状態に関連付けられたパラメータの所与の範囲内のパラメータに関連付けられた値を有するピクセルのクラスターを示すために実行可能である。
【0063】
いくつかの実施形態では、コンピュータプログラム製品は、設定された期間にわたって少なくとも1つのピクセルから受信され、組織の生理学的または病理学的パラメータの変化に関連付けられたピクセルレベル値に基づいて、一連の変数および/または特徴を計算するために実行可能である。いくつかの実施形態では、プログラム製品は、設定された期間にわたって取得された複数の画像フレームから変数および/または特徴を計算するために実行可能である。いくつかの実施形態では、プログラム製品は、設定された期間にわたる組織の生理学的または病理学的パラメータの変化に関連する計算された変数および/または特徴に基づいて曲線を生成するように実行可能である。いくつかの実施形態では、プログラム製品は、同様の曲線を有し、特定の組織タイプまたは状態に関連する所与の範囲内または所与の閾値を超えるパラメータの分散に関連するピクセルのクラスターを示すために実行可能である。
【0064】
システム
ここで、図1を参照する。図1は、本発明のいくつかの実施形態による、組織の状態またはタイプの区別および/または識別のための熱画像システムの簡略図である。いくつかの実施形態では、組織の状態またはタイプの区別および/または識別のための熱画像システム100は、組織104が能動的に加熱または冷却されるときに組織104の表面を撮像するサーマルイメージャ108を備える。いくつかの実施形態では、サーマルイメージャ108は、プロセッサ110と通信している。熱画像システム100のプロセッサ110は、サーマルイメージャ108によって取得された熱画像を処理し、例えば、ディスプレイ112上に出力マップを生成するように構成されている。
【0065】
いくつかの実施形態では、出力マップは、計算されたピクセルレベル値のグラフィック表現を含む。いくつかの実施形態では、出力マップは、RGB画像上に重ね合わされた計算されたピクセルレベル値のグラフィック表現または画像化された組織の他のグラフィック表現を含む。いくつかの実施形態では、出力マップは、絶対的基準の値に関する、計算されたピクセルレベル値の計算された分散のグラフィック表現を含む。いくつかの実施形態では、出力マップは、RGB画像または画像化された組織のあらゆる他のグラフィック表現に重ね合わされた、ピクセルレベル値の計算された分散のグラフィック表現を含む。
【0066】
図1に示したように、組織の状態またはタイプの区別および/または識別のための熱画像システム100は、処理される組織104の表面に向けられた加熱/冷却源102を備える。組織104の表面は、身体におけるあらゆる組織または器官、例えば、皮膚、肝臓、脾臓、腎臓、および膀胱の表面であることができる。図1に示した実施形態では、組織104の表面は、異常組織106の細胞のクラスターを含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、能動加熱は、放射、対流、および伝導を含む加熱方法のクラスターから選択される1つ以上の加熱方法を含むことができる。熱源102は、あらゆる適切な熱源、例えば、米国95134カリフォルニア州サンノゼのLED Engin(登録商標)によって製造された高放射束密度400nmバイオレットLEDエミッタLZP-D0UB00-00U5、またはあらゆる赤外線(IR)、無線周波数(RF)、超音波(US)、組織の表面上の流体の流れ、ヒートパイプまたは他のキャリアなどであることができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、能動的冷却は、例えば、蒸発(例えば、アルコール噴霧)、局所冷却剤噴霧(窒素)、組織の表面上の冷却流体の流れ、冷却パイプまたは他のキャリアなどによって適用することができる。
【0069】
いくつかの実施形態では、図1に示したように、システム100のデジタルサーマルイメージャ108は、組織104のセグメントの表面から放出される熱放射150を撮像する。いくつかの実施形態では、イメージャ108は、設定された期間にわたって熱イメージャ108の視野(FOV)155内の組織104の表面から得られる熱画像の連続フレームを生成するように構成されたビデオサーマルイメージャである。いくつかの実施形態では、サーマルイメージャ108は、デジタル顕微鏡サーマルイメージャ108を含む。いくつかの実施形態では、サーマルイメージャ108は、例えば、米国03801ニューハンプシャー州ポーツマスのOptris(登録商標)によるPI 450熱赤外線ビデオカメラなどのあらゆる適切なデジタルイメージャであることができる。いくつかの実施形態では、システム100は、可視光カメラを含む。いくつかの実施形態では、デジタルイメージャ108は、あらゆる適切な熱センサー、例えば、MRI、超音波、熱電対、または温度を測定するあらゆる他のセンサーを含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、本明細書の他の場所でより詳細に説明するように、システム100は、組織を照明し、異常組織の細胞のクラスターを除去するための外科的境界を画定する照明源114を含む。いくつかの実施形態では、本明細書の他の場所でより詳細に説明するように、システム100は、異常組織の細胞の画定されたクラスターを切除するための切除エネルギー源116を含む。いくつかの実施形態では、照明源114および切除エネルギー源116は、単一のソース(例えば、レーザー)から生成される。
【0071】
熱画像(フレーム)における単一ピクセルから取得したデータの処理
説明を簡単にするために、以下の例はIRデジタルイメージャを参照する。しかしながら、本明細書の他の場所で説明するように、あらゆる他の適切なサーマルイメージャまたはセンサーを使用することができる。
【0072】
いくつかの実施形態では、デジタルサーマルイメージャ108は、1つ以上のピクセルアレイを含む。ピクセルアレイは、組織104の画像化された表面から放出されたIR放射に反応する。1つ以上のピクセルは、ピクセルのFOV(FOVp)内の組織104の画像化された表面の対応するセグメント(S)から放出されるIR放射に反応する。いくつかの実施形態では、熱源102は、設定された期間にわたって組織104の表面を徐々に能動的に加熱するように構成されており、その後、能動加熱が停止され、組織が受動的に冷却させられ、その間に組織温度が、能動加熱の開始前の温度に戻る。加熱および冷却期間を通して、サーマルイメージャ108は、組織104の表面の熱画像の一連の連続するフレームを取得する。いくつかの実施形態では、取得された一連の熱画像の各連続熱フレームにはタイムスタンプが付けられ、したがって、ある期間にわたって取得された一連の2つ以上のフレームは、組織の記録された熱パラメータの変化に関する情報を提供する。いくつかの実施形態では、システム100は、記録された熱パラメータを処理し、組織の熱挙動をマッピングするように構成されたプロセッサ110を含む。いくつかの実施形態では、本明細書の他の場所でより詳細に説明するように、プロセッサ110は、撮像された組織の熱挙動マップに基づいて、撮像された組織の組織タイプまたは状態を定義するように構成されている。
【0073】
いくつかの実施形態では、冷却源102は、設定された期間にわたって組織104の表面を徐々に能動的に冷却するように構成されており、その後、能動的冷却が停止され、組織は受動的に暖められ、その間に組織温度は能動的冷却の開始前の温度に戻る。冷却および温め期間を通して、サーマルイメージャ108は、組織104の表面の熱画像の一連の連続するフレームを取得する。
【0074】
いくつかの実施形態では、取得された一連の熱画像の各連続熱フレームにはタイムスタンプが付けられ、したがって、ある期間にわたって取得された一連の2つ以上のフレームは、組織の記録された熱パラメータの変化に関する情報を提供する。いくつかの実施形態では、システム100は、記録された熱パラメータを処理し、組織の熱挙動をマッピングするように構成されたプロセッサ110を含む。いくつかの実施形態では、本明細書の他の場所でより詳細に説明するように、プロセッサ110は、撮像された組織の熱挙動マップに基づいて、撮像された組織の組織タイプまたは状態を定義するように構成されている。
【0075】
いくつかの実施形態では、熱画像システム100のプロセッサ110は、それによって具体化されるプログラム製品を有する非一時的なコンピュータ読み取り可能記憶媒体を備える。プログラム製品は、複数のピクセルのFOV内の組織の少なくとも一部において示された異なるピクセルレベル値間の分散によって表される連続するタイムスタンプ付きフレーム間の差、例えば分散を処理、例えば、比較およびマッピングするために、熱画像システム100のプロセッサ110によって実行可能である。
【0076】
熱画像システム100のプロセッサ110は、各フレームのタイムスタンプに従って連続する各画像フレームの各ピクセルから受信したピクセルレベル値を処理し、設定された期間にわたって組織104の表面上の各位置Sから放出されたIR放射の変化を示すピクセルレベル値から得られたグラフを生成するように構成されている。受信されたデータは、1つ以上の特定の時点における1つ以上の組織の生理学的または病理学的パラメータのラスターグラフィックピクセル値および/または時間依存ベクトルピクセル値を表す。
【0077】
いくつかの実施形態では、1つ以上の組織の生理学的または病理学的パラメータは、細胞の熱挙動に影響を与える外部パラメータのうちの少なくともいずれか1つ、例えば、環境温度、外部熱源、内部および環境と対象物との間の時間依存熱勾配、および/または細胞の熱挙動に影響を与える固有の組織パラメータ(熱パラメータ)、例えば、組織および/または生物の代謝熱源、血液灌流による熱損失、血液温度、組織密度、比熱、熱伝導率(thermal conductivity factor)、熱伝導率(thermal conductivity coefficient)、熱伝導表面積(m2)、対象物表面の温度などである。
【0078】
いくつかの実施形態では、熱画像システム100のプロセッサ110は、様々な数式を使用する1つ以上のアルゴリズムを使用して、得られた結果を、イメージャピクセルのうちの1つ以上から受信された値に近似させ、画像化された組織タイプまたは状態の正確なマップを生成するためにマッピングすることができるピクセルレベル値ベースの変数および/または特徴を生成する。
【0079】
いくつかの実施形態では、例えば、計算されたピクセルレベル値ベースの特徴は、数式によって表される。例示のみの目的で、一例では、ピクセルレベル値(すなわち、所与の時間におけるピクセルにおける温度)は、Pennesの生体伝熱方程式に基づく以下の数式によって表される:
T(t)=a+bect+dt
(dt)は時間で正規化されてもよく、変数(a)、(b)、(c)、および(d)は、生体組織のための広く受け入れられている温度プロファイリング方程式であるPennesの生体伝熱方程式から導き出された変数である。変数(a)、(b)、(c)、および(d)は、本明細書において、明瞭化および簡略化の目的で、限定としてではなく例として使用されており、あらゆる数または組合せの変数を含むことができ、あらゆるタイプであることができる。例えば、変数(a)、(b)、(c)、および(d)は、細胞の熱挙動に影響を与える外部パラメータのうちの少なくともいずれか1つ、例えば、環境温度、外部熱源、内部および環境と対象物との間の時間依存熱勾配、および/または細胞の熱挙動に影響を与える固有の組織パラメータ(熱パラメータ)、例えば、組織および/または生物の代謝熱源、血液灌流による熱損失、血液温度、組織密度、比熱、熱伝導率(thermal conductivity factor)、熱伝導率(thermal conductivity coefficient)、熱伝導表面積(m2)、対象物表面の温度などであることができる。
【0080】
いくつかの実施形態では、複数の特徴は、変数の様々な微分値を表す特徴、変数におけるノイズを表す特徴、減衰方程式に基づく特徴、フーリエ級数に基づく特徴、および特徴の分散に基づく相関特徴を含むがこれらに限定されない変数(例えば、変数a、b、cおよびd)に少なくとも部分的に基づいて計算されてもよい。
【0081】
次の式は、次のように表されるPennesの方程式に基づくこのような導出の例を含む:
【数1】
【0082】
いくつかの実施形態では、以下の仮定がなされる:
a)横方向寄与および/または発熱は無視でき(代謝時間スケールは1分[1]である)、したがって、次の式が得られる:
【数2】
b)
【数3】
Cは面積、(h)は熱伝達率、
Tcは中核体温であり、
c)f(t)は時間とともにゆっくりと変化すると仮定する。
開示された仮定の下で:
【数4】
、式中、
【数5】
【0083】
Analytical Bioheat Transfer:Solution Development of the Pennes’ Model,Sid M.Becker,Chapter 4における方程式(4.65)は、極限4αt=l2;l->0においてこの定式化と一致する。
【0084】
T(t~=0)は、線形関数または高次多項式によって近似されてもよい。
【数6】
【0085】
T(t)は、短期間の指数として表される(例えば、(t)は0~40秒、10~30秒、15~25秒、またはその間のあらゆる数であってよい)。
【0086】
別の例およびいくつかの実施形態では、変数(a)は、画像化された組織の能動的加熱/冷却から受動的冷却または加温への移行点での初期条件を表してもよく、時間に依存しない。いくつかの実施形態では、変数(b)および/または(c)は、例えば、密度(ρ)、比熱(C)および熱伝導率(K)などの組織の生理学的または病理学的パラメータの組み合わせを表す。
【0087】
本明細書の他の場所でより詳細に説明するように、いくつかの実施形態では、抽出された変数(a)、(b)、(c)、(d)および他の寄与変数、同じ変数のクラスターまたは1つ以上の熱画像からの変数のクラスターが、数式のうちの1つまたは組み合わせと一緒に、データマイニングプロセスを使用してプロセッサ110のコンピュータプログラム製品によって処理され、これにより、例えば、データを相互参照し、データクレンジングを実行し、画像化された組織領域内のさまざまな組織状態またはタイプを示すおよび/または識別するマップの形式で出力を生成する。
【0088】
いくつかの実施形態では、以下は、内部熱源を有さない身体のために使用される代替的な例示的な式である。
【数7】
ここで:
Tiは身体の初期温度である。
【数8】
は周囲温度である。
パラメータ
【数9】
【数10】
は対流熱伝導率である。
【数11】
は熱伝導率である。
【数12】
(温度を正規化して)。
【0089】
いくつかの実施形態では、以下は、内部熱源を有する身体に使用される代替的な例示的な式である。
【数13】
(h)は対流係数(例えば、組織から空気への熱伝達)であり、したがって周囲温度に依存する。
【0090】
いくつかの実施形態では、プロセッサ110のコンピュータプログラム製品は、得られた各画像に基づく1つ以上の潜在的な出力マップを絶対的基準と比較し、以下のうちの少なくとも1つ、すなわち、(例えば、選択された変数、選択された数学的計算組み合わせおよび他の数学的および/または統計的操作を変化させることによって)分析プロセスを調整する、得られたデータと絶対的基準のデータとの間の分散を表す出力マップを生成する、または分散が存在しないならば出力マップを生成しない、を選択するように構成されている。
【0091】
図2A、2B、3、4、5A、5B、5C、9B、12、14A、14Bおよび15におけるグラフ曲線は、イメージフレーム毎秒(FPS)で測定された、時間(t)に関する温度(T c)の変化を表す。例えば、画像が25FPSの速度で取得された場合、すべての25のフレームが1秒を表す。
【0092】
ここで、図2Aおよび2Bを参照する。これらの図は、本発明のいくつかの実施形態による、加熱された組織の生体熱挙動に関連する熱曲線のグラフである。いくつかの実施形態では、曲線200は、設定された期間(t0からt1)にわたる、組織104の表面上の各Spから放出されたIR放射に基づく組織のセグメント(Sp)内の基準温度(Tb)からの細胞の温度(T)の変化を示す。いくつかの実施形態では、曲線200は、設定された期間(t0からt1)にわたる加熱に応答する組織の生体熱挙動を表し、加熱に応答する成長部分202、冷却期間(t1~t2)中の減衰部分204、および成長部分202と減衰部分204の合流点(t1)におけるピーク温度206を含む。本明細書の他の場所でより詳細に説明するように、設定された期間(tからt)は、加熱の期間とそれに続く冷却の期間を反映する必要はなく、温度変化の様々な様相を含む期間に分解されてもよい。
【0093】
同じ発明者に対する国際特許出願第PCT/IL2015/050392において説明されているように、様々な状態またはタイプの組織は、特定の成長部分202、特定の減衰部分204、および特定の曲線ピーク温度206のうちの1つ以上によって表される特定の生体熱挙動を示す。いくつかの実施形態では、熱画像システム100は、全期間(t0からt2)にわたって組織を撮像し、各フレームのタイムスタンプに従って、画像の連続した各フレームについてピクセルから受信したデータを処理し、撮像された組織に特有の成長部分202を生成する。
【0094】
同様に、いくつかの実施形態では、熱画像システム100は、各フレームのタイムスタンプに従って、画像の連続する各フレームについてピクセルから受信したデータを処理し、撮像された組織に特有の減衰部分204を生成する。したがって、熱画像システム100は、特定の成長部分202および減衰部分204を組み合わせ、曲線部分202および204の交点を計算し、生成された曲線200上のピーク温度206の位置を表す各ピクセルの値を生成することができる。
【0095】
本明細書の他の場所に開示するように、いくつかの実施形態では、システム100を介して実行される方法は、撮像期間の少なくとも一部(例えば、t0からt1)の間に組織の温度を能動的に変化させることを含む。いくつかの実施形態では、得られたフレームは、撮像期間にわたって組織の生理学的または病理学的パラメータを変化させることに関する情報を提供する。いくつかの実施形態では、組織の温度を能動的に変化させることは、撮像期間の少なくとも一部の間、組織の部分を能動的に加熱するか、または能動的に冷却することを含む。
【0096】
いくつかの実施形態では、本明細書の他の場所で説明するように、能動的加熱セッションおよび能動的冷却セッションの両方の少なくともいくつかの部分からデータを抽出し、これにより、プロセッサ110のコンピュータプログラム製品によって生成される出力マップの精度を高めることができる。
【0097】
説明を簡単にするために、以下の実施例は、加熱とそれに続く冷却を含む方法の実施形態のみに言及する。しかしながら、開示されたすべての方法の実施形態は、能動的加熱を能動的冷却と入れ替えた同じ形式において、例えば、冷却とそれに続く加熱において実施することができる。
【0098】
いくつかの実施形態では、熱画像システム100のプロセッサ110によって生成される曲線200は、設定された期間にわたって単一の熱画像ピクセルから、例えば、設定された期間にわたって撮影された連続する熱画像のセットから得られた値から生成された曲線である。いくつかの実施形態では、生成された曲線は、特定の撮像された組織タイプまたは状態の熱特性を表す。本発明のいくつかの実施形態による、加熱された組織の生体熱反応に関連した熱曲線のグラフである図3に示された例示的な実施形態において、2つのピクセルP1およびP2から得られた一対の熱応答グラフが、同じT/t座標系に描かれることによって比較されている。
【0099】
図3に示したように、ピクセルP1から得られた曲線300は、ピクセルP2から得られた曲線300’に対して急に成長し、曲線300’のピーク206’よりも早くピーク温度206に到達する。ピーク温度206は、曲線300’のピーク温度206’(例えば、44.90C)に対して、より高い温度(例えば、45.05C)でもある。曲線300と300’との間の分散は、減衰部分204および204’にも示されており、曲線300の減衰部分204は曲線300’の減衰部分204’に対してより急勾配であり、例えば、約1400秒後に約44Cの温度に到達するのに対して、減衰部分204’は、約1750秒後に同じ温度に到達する。説明を簡単にするために、またいかなる例によっても束縛されないために、図面に示されたグラフにおける温度(T)は、連続する自然数でスケーリングされている。
【0100】
様々な組織状態またはタイプの熱挙動曲線間の分散から導き出される熱特性と同様に、ピーク温度206/206’に至り、そこから減衰する熱挙動曲線の形状も、熱挙動曲線間で変化し、特定の組織タイプまたは状態に関連して熱画像システム100のプロセッサ110によって識別することができる。いくつかの実施形態では、熱画像システム100のプロセッサ110は、本明細書の他の場所でより詳細に説明するように、ピクセルのアレイの少なくとも一部から受け取った値を処理し、値を操作して、撮像された組織の組織状態またはタイプの指標を生成する。
【0101】
したがって、いくつかの実施形態では、熱画像システム100は、1つ以上の組織状態またはタイプに固有の熱挙動曲線300および300’を識別することができ、したがって、撮像された組織における異なる組織状態またはタイプを示す出力を生成するために使用することができる。いくつかの実施形態では、熱画像システム100のプロセッサ110からの出力をルックアップテーブルにコンパイルすることができ、このルックアップテーブルは、熱挙動グラフから導き出された熱特性を、組織学的に別個に識別および検証することができる特定の組織タイプまたは状態に関連付けている。
【0102】
本明細書の他の場所に開示するように、分散は、熱挙動曲線全体に沿って示され、したがって、成長部分202のみ、減衰部分204のみ、ピーク温度206のみの位置またはあらゆる部分またはそれらの組み合わせなどの、曲線の可変長さ(時間枠)の部分を処理することを可能にする。
【0103】
ここで、本発明のいくつかの実施形態による、加熱された組織細胞の生体熱挙動に関連する熱曲線のグラフである図4が参照される。図4は、2つのピクセルP3およびP4から得られ、同じT/t座標系上に描かれることによって比較された、ある期間(t)にわたる一対の熱挙動曲線400および400’の例示的な実施形態を示す。曲線400および400’の部分を表す特徴間の分散は、本明細書の他の場所で説明するように、成長部分402/402’、減衰部分404/404’、および/またはピーク温度406/406’の位置に沿って定義することができるだけでなく、部分に沿った季節的ノイズを表す特徴の間でも定義することができる。
【0104】
図4の例示的なセクションAに示したように、曲線の平均中央値に関して測定されかつそれぞれ点線450および450’によって表された、季節性ノイズ410、410’のレベルにおけるそれぞれの曲線404、404’の間の分散が存在する。図4に示した例示的な実施形態では、熱挙動曲線の平均中央値に関する曲線400のノイズ410のレベルは、曲線400’のノイズ410’のレベルよりも大きい。熱挙動曲線の平均中央値に関するノイズのレベルに基づく特徴の間の分散が組織のタイプまたは状態に固有であり、したがって、撮像された組織における異なる組織状態またはタイプの存在を示すために使用できることが、本開示の著者によって見出された。
【0105】
ここで、まとめて図5と呼ばれる図5A、5Bおよび5Cが参照され、図5は、同じT/t座標系上に描かれることによって比較された、本発明のいくつかの実施形態によるピーク温度点206/406のグラフ分析である。本明細書の他の場所で説明するように、ピーク温度点206および206’は、それぞれ、熱挙動曲線200/200’から導き出され、ピーク温度点406および406’は、それぞれ、熱挙動曲線400/400’から導き出される。図5に示した例示的なグラフに示したように、ピーク温度206と206’との間の分散は、温度および/またはピーク温度に到達する時間で表される。しかしながら、ピーク温度406と406’の間の分散は、温度でのみ表され、ピーク温度406と406’に同時に到達したことが示されている。熱画像システム100のプロセッサ110は、ピーク温度206/206’および406/406’の座標の分散を識別するように構成されており、したがって、検査される組織における異なる組織状態またはタイプの存在を示すために使用されるように構成されている。
【0106】
いくつかの実施形態では、2つのピクセルP3およびP4から得られ、同じT/t座標系上に描かれることによって比較された一対の熱挙動曲線400および400’の例示的な実施形態の部分475(図4に示される)である図5Cに示されているように、プロセッサ110のコンピュータプログラム製品は、温度および/またはピーク温度に到達する時間で表されたピーク温度206および206’に基づく特徴間の分散だけでなく、ピークにつながるグラフの少なくとも一部(すなわち、成長部分)および/またはピークに続くグラフの一部(例えば、減衰部分)の形状の分析に基づく特徴間の分散も比較するように構成されている。
【0107】
本明細書の他の場所で説明するように、ピーク形状分析を表す特徴に基づいて、プロセッサ110のコンピュータプログラム製品は、例えば、細胞タイプに固有の熱的挙動パターンを特定することによって、生成された出力マップ上で、ピクセルのFOVp内で撮像された組織タイプまたは状態に固有の熱特性を識別するように構成されている。
【0108】
図3、4および5を参照すると、いくつかの実施形態では、熱画像システム100のプロセッサ110は、イメージャ108の複数のピクセルから値を収集し、加熱に応答する成長部分202のうちの1つ以上、冷却中の減衰部分204、成長部分202と減衰部分204との境界点にあるピーク温度206、および季節性ノイズに基づく特徴をグループ化し、近いまたは類似のプロファイルを示すグループ間のカットオフ直線を規定する。いくつかの実施形態では、同じT/t座標系に描かれることによって比較されたピーク温度点206/406である図5Bに示したように、ピーク温度点206/406に基づく特徴はグループ化され、熱画像システム100のプロセッサ110によって、例えば1000フレーム未満においてピークとなり(例えば、25フレーム毎秒の画像化速度において1000のフレームが4秒間で画像化される)かつ本明細書の他の場所で説明したように熱画像システム100のプロセッサ110によって生成されたルックアップテーブルに基づく通常書式を含有するものとして識別される早期ピークグループ(502-1、502-2、502-3および502-4)と、例えば2000秒を超えて初めてピークとなり、癌性組織を含有するものとしてルックアップテーブルに基づき識別される後期ピークグループ(504-1、504-2、504-3および504-4)として、識別される。
【0109】
図3、4および5に示されるように、いくつかの実施形態では、ピーク温度点206/206’/506および506’などのピーク温度点を表す特徴は、特定の組織状態またはタイプおよびクラスターの熱特性として識別することもでき、熱画像システム100のプロセッサ110によって識別された同様のピーク温度点のクラスターは、本明細書の他の場所でより詳細に説明するように、例えば癌組織などの検査された組織において同じ組織状態を共有する組織細胞のクラスターを示すことができる。
【0110】
いくつかの実施形態では、本明細書の他の場所に開示するように、熱画像システム100のプロセッサ110によって生成されたグラフが示されている。例えば、図3および4では、とりわけ、Pennesの生体熱方程式に基づき、熱勾配変数(a)、(b)、(c)、および(d)は、以下の変数のうちの少なくともいずれか1つであることができ、その変数は、環境温度、外部熱源、組織および/または生物の代謝熱源、血液灌流による熱損失、血液温度、組織密度、比熱、熱伝導率(thermal conductivity factor)、熱伝導率(thermal conductivity coefficient)、熱伝導表面積(m2)、対象物の表面および内部の温度、および環境と対象物間の時間依存を含む。
【0111】
組織の状態および/またはタイプの特性評価
いくつかの実施形態では、イメージャ108のピクセルのアレイは、組織104の表面を撮像する。いくつかの実施形態では、組織104は予熱される。熱画像システム100のプロセッサ110は、各ピクセルから値を受信して処理し、対象物の表面上の見かけの温度分散のマップを作成する。いくつかの実施形態では、各温度値には異なる色が割り当てられる。得られた色のマトリックスは、熱画像システム100のプロセッサ110のメモリへ送られ、組織104の表面の熱マップ(温度分布画像)としてシステムディスプレイへ送られる。
【0112】
ここで、まとめて図6と呼ばれる図6A、6B、6Cおよび6Dを参照する。図6Aは、本発明のいくつかの実施形態によるシステム100のディスプレイ112に示されたマウスの皮膚組織104の一部の例示的な熱画像600である。図6Aおよび6Bに示したように、熱画像600は、熱マップ602を含む。いくつかの実施形態では、対象となる領域は、ピクセルグループFOVインジケータ604を動かすことによって調べることができる。図6Aおよび6Bでは、例えば、ピクセルグループFOVインジケータ604は、組織104の表面上の対象となる領域のピクセルのグループの集合FOVの境界を表す正方形の白いアウトラインによって表されている。いくつかの実施形態では、インジケータ604は、例えば、ジョイスティック、コンピュータマウス、または同様の制御デバイスによって制御される。図6Aおよび6Bに示した例示的な実施形態では、ピクセルグループFOVインジケータ604は、組織104の表面のセグメント上に配置され、例えば、癌性であると疑われる2つの異常組織病巣606を示している。
【0113】
図6Aは、抽出された特徴セット(Fa)、(Fb)、(Fc)、(Fd)、同じ特徴セットのクラスター、または図6Aに示された生成された出力マップのために使用された数式の1つ以上の他の組み合わせを使用する図6Aに示された同じ熱画像からの特徴のクラスターに基づく、プロセッサ110のコンピュータプログラム製品によって生成された出力マップを示す。図6Aでは、例えば、癌性であると疑われる2つの異常組織病巣606が、プロセッサ110のコンピュータプログラム製品によって識別されている。比較すると、図6Bは、図6Aにおいて画像化された同じFOVの白色光画像である。図6Bの画像では、図6Aに示された生成された出力マップにおいて識別された領域606は、それらの周囲の組織と同じに見える。図6Cに示したように、歯肉組織608は、RGB写真において、ほぼ均一な、均一な色の歯肉組織として現れている。対照的に、図6Dの熱拡散マップは、周囲の正常組織612に関して異常な歯肉組織の大きなセグメント610の境界を定めている。この特定の例では、異常な歯肉組織は癌性組織として識別される。
【0114】
いくつかの実施形態では、図6Cおよび6Dに示されるように、これらは、ヒトの歯茎のRGB写真(図6C)および組織のRGB写真に重ね合わされた処理および生成された熱拡散マップ(図6D)である。
【0115】
いくつかの実施形態では、組織の状態またはタイプを区別する方法は、組織の少なくとも一部の表面の温度を、所定の第1の期間(t0からt1)にわたって基準温度(Tb)から能動的に変化させ、続いて温度変化行うことを停止させ、組織の温度が第2の期間(t1からt2)にわたって受動的に基準温度に戻ることを可能にする一方、前記第1および第2の期間(t0からt2)の間に前記組織の画像化された表面の複数の熱画像を取得することを含む
【0116】
いくつかの実施形態では、この方法は、イメージャ108のピクセルから受け取った熱値を処理して、組織の1つ以上の生理学的または病理学的パラメータに関連する1つ以上の値を生成し、値を、データベース、例えば、1つ以上の組織状態またはタイプに関連付けられた特性データのルックアップテーブルと比較し、組織細胞の組織状態またはタイプの取得された画像識別および/または同じ組織状態にある組織細胞の識別された領域の境界の画定を示す出力を生成することを含む。
【0117】
いくつかの実施形態では、組織の状態またはタイプを示しかつ/または識別することは、イメージャピクセルから受信した熱的値の経時的な変化を追跡し、前記変化のパターンを識別し、変化のパターンを分類またはグループに分類またはグループ化することのうちの1つ以上を含む。これに続いて、分類されたパターンを組織の状態またはタイプの特性パターンと比較し、各分類を組織の状態またはタイプの所定の特性パターンのデータベースに関連付け、組織の状態またはタイプを識別し、かつ/または識別された組織の状態またはタイプにおける組織を含む得られた熱画像内の領域を関連付ける。
【0118】
以下は、組織の状態またはタイプを区別する上記の方法の一例である。ここで、本発明のいくつかの実施形態による熱画像システム100のプロセッサ110の動作を示す例示的な簡略化されたフローチャートである図7を参照する。図7に示したように、702において、熱画像システム100のプロセッサ110は、ある期間にわたって組織104の表面の一連の熱画像をイメージャ108から取得するように構成されている。
【0119】
幾つかの実施形態では、本明細書の別の場所で説明するように、熱画像システム100のプロセッサ110は、703においてPennesの生体伝熱方程式から導き出された1つ以上の変数(a)、(b)、(c)および(d)を抽出するおよび/または細胞の熱挙動に異教する外部パラメータのうちの少なくともいずれか1つから1つ以上の変数(a)、(b)、(c)および(d)を導き出すように構成されており、外部パラメータは、例えば、環境温度、外部熱源、内部および環境と対象物との間の時間依存熱勾配、および/または細胞の熱挙動に影響を与える固有の組織パラメータ(熱パラメータ)、例えば、組織および/または生物の代謝熱源、血液灌流による熱損失、血液温度、組織密度、比熱、熱伝導率(thermal conductivity factor)、熱伝導率(thermal conductivity coefficient)、熱伝導表面積(m2)、対象物表面の温度である。
【0120】
いくつかの実施形態では、熱画像システム100のプロセッサ110は、704において、組織を、対応する1つ以上の熱変数を有する位置を含むセグメントにセグメント化し、選択的に、組織セグメントを示す出力を生成するように構成されている。
【0121】
選択的に、705において、熱画像システム100のプロセッサ110は、1つ以上の抽出された変数(a)、(b)、(c)および/または(d)に基づき、各ピクセルについて1つ以上の特徴、例えば、(Fa)、(Fb)、(Fc)、(Fd)を計算するように構成されている。いくつかの実施形態では、および本明細書の他の場所で説明するように、計算された特徴(Fa)、(Fb)、(Fc)および(Fd)は、本明細書の他の場所に列挙されているように、少なくとも部分的に熱パラメータによって影響を受ける撮像された組織細胞の熱挙動を表す。いくつかの実施形態では、図6に示すように、熱画像システム100のプロセッサ110は、少なくとも特徴(Fa)、(Fb)、(Fc)および(Fd)の計算された特徴を、例えばリスト608または撮像された領域における計算された特徴(Fa)、(Fb)、(Fc)および(Fd)の分布を示すマップの形式で、ディスプレイ600に表示する。
【0122】
706において、熱画像システム100のプロセッサ110は、イメージャ108のFOV内の各ピクセルから、ステップ705において計算された特徴の1つ以上のセットをコンパイルし、1つ以上の特徴(Fa)、(Fb)、(Fc)、および(Fd)の各セットを処理し、706においてコンパイルされたセットまたはグループ(VFa、VFb、VFc、およびVFd)のそれぞれの分散マップを708において生成する。
【0123】
本明細書の他の場所で説明するように、計算された特徴(Fa)、(Fb)、(Fc)、(Fd)および他の寄与特徴、同じ特徴のグループまたは1つ以上の熱画像からの特徴のグループは、例えば、データを相互参照し、データクレンジングを実行し、撮像された組織領域内の様々な組織状態またはタイプを示しかつ/または識別するマップの形式の出力を生成するために、データマイニングプロセスを使用してプロセッサ110のコンピュータプログラム製品によって処理される。
【0124】
図6に示した例示的な実施形態では、熱画像システム100のプロセッサ110は、ディスプレイ600において、リスト610として少なくとも特徴(Fa)、(Fb)、(Fc)および(Fd)の値の計算された分散を示す、プロセッサ110のコンピュータプログラム製品によって生成された出力マップを表示する。
【0125】
いくつかの実施形態では、選択的に、図7に示したように、710において、イメージャ108のFOVにおける少なくとも特徴(Fa)、(Fb)、(Fc)および(Fd)の706におけるコンパイルされた各セット(VFa、VFb、VFcおよびVFd)についての分散マップが、例えば、ディスプレイ600に、710における連続で、または712におけるあらゆる組み合わせ(例えば、互いに重ね合わされた1つ以上)で、または714におけるイメージャ108のFOVのRGBイメージ上に重ね合わされたあらゆる組み合わせで表示され、これにより、所定の絶対的基準ベンチマークに基づきルックアップテーブルに従って異常組織(例えば、癌性組織)を識別し、これは、熱画像分析プロセスの精度を高める。
【0126】
いくつかの実施形態では、選択的に、熱画像システム100のプロセッサ110は、716において、1つ以上のデータセットの断面点、例えば、708において生成された特徴セット(VFa、VFb、VFcおよびVFd)の間の分散を計算し、718において、近いまたは類似の計算された断面点を有するピクセルの1つ以上のグループを識別する。720において、熱画像システム100のプロセッサ110は、識別されたピクセルグループの位置に対応するマップを生成し、このマップから、得られた値の分析は、所定の絶対的基準ベンチマークによって規定された値、変数および/または特徴に最も近い断面点を生じ、722および724において、熱画像システム100のプロセッサ110は、720において生成されたマップを、イメージャ108のFOV上に重ね合わせ、これにより、医療従事者が組織104の表面における疑わしい細胞クラスターの位置を識別することを補助する。
【0127】
いくつかの実施形態では、熱画像システム100のプロセッサ110によって識別された1つ以上のデータセット、例えば、変数データセット(VFa、VFb、VFcおよびVFd)の断面点は、変数データセット(VFa、VFb、VFcおよびVFd)の重なり合うマップにおける合同領域に対応する。いくつかの実施形態では、本明細書の他の場所で説明するように、システム100は、組織を照明し、異常組織を除去するための外科的境界を画定する照明源114を含む。これに代えて、またはこれに加えてかつ選択的に、いくつかの実施形態では、システム100は、画定された異常組織を切除するための切除エネルギー源116を含む。いくつかの実施形態では、選択的に724において、熱画像システム100のプロセッサ110は、組織104の表面上の疑わしい細胞クラスターの位置を識別し、疑わしい細胞クラスターの輪郭座標を、異常組織の除去のために外科的境界を画定する照明源114、および/または画定された異常組織を切除するために切除エネルギー116を加える切除エネルギー116の供給源に提供する。
【0128】
図6に示した例示的な実施形態に戻ると、システム100のディスプレイ112のスクリーン画像600は、正方形の白い輪郭604内に表示された特定の座標のセット(位置:141、270)におけるピクセルグループFOVを表示している。いくつかの実施形態では、フレーム604は、疑わしい異常組織塊608を、例えば癌性または非癌性として識別するために(位置:141、270)に位置決めされている。
【0129】
いくつかの実施形態では、この方法は、広い領域にわたる迅速な表面熱スキャンと、疑わしい病巣の識別に続く、領域の少なくとも一部を正方形の白い輪郭604内に持ってくることによる疑わしい病巣または細胞の領域の綿密かつ細心の撮像を含む。
【0130】
いくつかの実施形態では、スクリーン画像ピクセルクラスター606/608は、本明細書の他の場所で説明したように1つ以上の変数(a)、(b)、(c)および(d)に基づき熱画像システム100のプロセッサ110によって計算された周囲のピクセル(およびしたがって撮像された組織)に関する分散を含む1つ以上の特徴を共有するピクセルクラスター(およびしたがって撮像された組織細胞クラスター)を表している。
【0131】
いくつかの実施形態では、本明細書の他の場所で説明したように、イメージャFOV内の所定の特徴(Fa)、(Fb)、(Fc)および(Fd)のそれぞれの隔離された値またはそれらの組み合わせのための生成された分散マップが、疑わしい細胞クラスターを裸眼に認識可能にするために、撮像された組織のRGB画像に重ね合わされる。
【0132】
いくつかの実施形態では、本開示は、例えば、組織状態を決定するための機械学習アルゴリズムおよび/または技術を実行することを提供してもよい。いくつかの実施形態では、トレーニング段階において、本開示の例示的な機械学習分類器は、複数の被験者に関連する複数の組織熱パラメータ、特徴および/または変数を含むデータセットを受信する、取得するおよび/またはさもなければ受信しているまたは取得しているように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、これらの熱パラメータ、特徴および/または変数は、本明細書の他の場所で完全に詳細に説明されているものと同じまたは実質的に類似している。
【0133】
いくつかの実施形態では、前処理段階は、データ準備を含んでもよい。データの準備は、データのクリーニング、データの変換および/または記録のサブセットの選択を含んでもよい。いくつかの実施形態では、データ準備は、データに対して前処理操作を実行することを含むことができる。例えば、欠測データのための値を生成するためにインピュテーションアルゴリズムを実行することができる。データにおけるクラスの不均衡や非正規性に対応するために、アップサンプリングおよび/または予測子ランク変換を(例えば、変数選択のために)実行することができる。いくつかの実施形態では、インピュテーションアルゴリズムの実行は、欠測データを有する臨床パラメータの利用可能なデータの分布を生成することなどによって、欠測データの値を補間または推定すること、および分布に基づいて欠測データの値を補間することを含む。
【0134】
いくつかの実施形態では、時間処理ステップは、例えば、フーリエ変換、多項式調整、減衰方程式、および/または様々な統計ツールを使用して、1つ以上のパラメータ、特徴および/または変数の時間依存表現を生成するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、時間処理ステップは、時間の経過における複数の測定の変化のパターンおよび/または時系列変数を表してもよい少なくとも1つの組み合わされたパラメータおよび/または特徴を決定および/または生成するために、一連の期間にわたって被験者から取り出された複数の測定を自動的におよび/または手動で組み合わせることを含んでもよい。
【0135】
いくつかの実施形態では、特徴抽出ステップは、例えば、データセット内の既存の特徴間の関係に基づいて、追加の特徴を生成し、データセットに追加の特徴を追加するように構成されてもよい。
【0136】
いくつかの実施形態では、変数選択は、例えば、得られたパラメータのセットから最も関連性のある変数および予測子を識別するために実行されてもよい。いくつかの実施形態では、変数および/または変数の選択は、制約ベースアルゴリズム、制約ベース構造学習アルゴリズムおよび/または制約ベース局所発見学習アルゴリズムなどの、教師あり機械学習アルゴリズムの実行を含むことができる。いくつかの実施形態では、変数選択を実行して、トレーニングデータ内の残りの変数と比較して所望の予測能力を有するトレーニングデータ内の変数のサブセットを識別し、選択された変数に基づいて生成されたモデルを使用してより効率的かつ正確な予測を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、変数選択は、機械学習アルゴリズム、例えば、分散分析(ANOVA)、XGBoostなどのブースティングアンサンブル、Grow-Shrink(「gs」)、Incremental Association Markov Blanket(「iamb」)、Fast Incremental Association(「fast,iamb」)、Max-Min Parents & ChildrenまたはSemi-Interleaved Hiton-PC(「si.hiton.pc」)アルゴリズムを使用して行われる。しかしながら、本明細書に記載されている変数選択および他のプロセスを行うために、そのような機械学習アルゴリズムの様々な他の実装が使用されてもよい。いくつかの実施形態では、変数選択は、変数の完全なセットの基礎となる分布を表すことを試みる変数のより小さな次元のセットを検索することができ、同じ分布から他のデータセットへの一般化可能性を高めようとする。
【0137】
いくつかの実施形態では、変数選択は、高度に相関している変数を削除することによって実行されてもよい。いくつかのアルゴリズムを使用して、ランク付けされた予測子を使用して入力データセットを検索し、感染性合併症の結果に関するすべての変数の基礎となる分布を最も良く表した縮約変数セットを見つけることができる。変数選択フィルターアルゴリズムを使用して、縮約変数セットを選択することができる。例えば、いくつかの実施形態では、Maximum Minimum Parents Children(mmpc)および/またはinter-iambアルゴリズムのうちの1つ以上を使用して、対応するベイジアンネットワークのノードを縮約変数セットとして選択することができる。
【0138】
いくつかの実施形態では、変数選択は、ベイジアンネットワークのノードとして使用される変数のサブセットについてトレーニングデータを検索するために実行される。ベイジアンネットワーク(例えば、belief network、Bayesian belief network)は、有向非巡回グラフを使用して、変数のセットとそれらの条件付き依存関係を表す確率モデルである。例えば、診断予測の観点から、ベイジアンネットワークのノードとして使用されるトレーニングデータから変数を選択するために、変数選択を使用することができる。特定の被験者のためのノードに値が与えられると、被験者のための診断の予測を生成することができる。
【0139】
いくつかの実施形態では、本開示の機械学習分類モデルのためのトレーニングデータセットは、少なくとも部分的に、収集されたパラメータおよび上記のように実行される変数選択プロセスに基づいて作成される。いくつかの実施形態では、トレーニングデータセットは、被験者の様々な組織状態またはタイプに関連するパラメータ、特徴、および/または変数セットを含む。パラメータの値は、複数の各被験者のために受信および保存することができる。トレーニングデータセットは、複数のパラメータ、特徴、および/または変数の値を、複数の各被験者の対応する組織状態に関連付けることができる。いくつかの実施形態では、パラメータ、特徴、および/または変数セットは、対応する組織状態でラベル付けされてもよい。
【0140】
いくつかの実施形態では、本開示の機械学習分類器は、分類モデルを生成するためにトレーニングデータセットでトレーニングされる。例えば、機械学習分類器は、組織状態の予測を生成するために、モデルパラメータのサブセットのための分類アルゴリズム(例えば、バイナリ分類アルゴリズム)を実行することができる。いくつかの実施形態では、分類アルゴリズムは、線形判別分析(LDA)、分類および回帰木(CART)、k近傍法(KNN)、サポートベクターマシン(SVM)、ガウスサポートベクターマシン(GSVM)、ロジスティック回帰(GLM)、ランダムフォレスト(RF)、一般化線形モデル(GLMNET)、および/またはナイーブベイズ(NB)を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、分類は、新しいデータに適用される既知の構造を一般化するタスクとして定義されてもよい。分類アルゴリズムは、線形判別分析、分類および回帰木/決定木学習/ランダムフォレストモデリング、最近傍、サポートベクターマシン、ロジスティック回帰、一般化線形モデル、ナイーブベイジアン分類、ニューラルネットワークなどを含むことができる。いくつかの実施形態では、本開示のトレーニングされた機械学習分類モデルは、とりわけ、例えば、クラスター分析、回帰(例えば、線形および非線形)、分類、決定分析、および/または時系列分析を含むことができる。ランダムフォレストモデルを生成する前に変数選択が実行されるいくつかの実施形態では、トレーニングデータは、(すべての変数に基づくサンプリングとは対照的に)変数選択からの変数の縮約されたセットに基づいてサンプリングされる。
【0141】
いくつかの実施形態では、トレーニング段階の後、本開示のトレーニングされた機械学習分類器は、例えば、交差検証を含んでもよい第1の評価を通じて検証プロセスを実施するように構成されてもよい。交差検証は、トレーニングセットをランダムに例えば10分割に分割するように構成されてもよい。したがって、10分割検証は、例えば、機械学習モデリングのためのトレーニングセットの9の異なる分割と、検証のための10番目の分割を使用して、10回行われてもよい。結果は、統計的尺度の計算、例えば、10の異なる評価分割のための、受信者動作特性曲線下面積(AUROC)の平均および信頼区間を通じて、評価することができる。いくつかの実施形態では、第2の評価は、検証セット、例えば、元のデータの10%を含んでもよい検証のための10番目の分割における、機械学習モデルの評価を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第3の評価は、統計分析を含んでもよく、統計分析は例えば、例えばブートストラップ技術を使用して、歪んだデータの中央値および四分位範囲(IQR)と、正規分布したデータのための標準偏差を有する平均とによって、母集団特性を表すことを含む。いくつかの実施形態では、機械学習モデルの交差検証プロセスは、例えば、機械学習モデルをトレーニングする時に使用されなかったデータについて予測を行うために使用されるときに機械学習モデルがどのように実行されると予想されるかを推定するために、限られたデータサンプルについて機械学習モデルのスキルを推定するように構成された統計的方法を実行してもよい。いくつかの実施形態では、機械学習モデルの交差検証プロセスは、所与のデータサンプルを複数のグループおよび/またはフォールド、例えば、10のグループおよび/またはフォールドに分割することを含んでもよい。
【0142】
いくつかの実施形態では、本開示のトレーニングされた機械学習分類器は、推論段階で、組織の受信された熱ビデオストリームに適用され、組織内の領域の状態に関する1つ以上の予測を生成することができる。
【0143】
いくつかの実施形態では、例えば、組織の熱画像ストリームから教師なしの方法でパラメータ、特徴、および/または変数を抽出するために、教師なし分類モデルが使用されてもよい。いくつかの実施形態では、そのような抽出されたパラメータ、特徴、および/または変数は、次に、上記のトレーニングされた機械学習分類器への入力として使用されてもよい。
【0144】
ここで、本発明のいくつかの実施形態による、分散データセットまたは断面点のグループを示す簡略化されたグラフである図8Aおよび8Bを参照する。いくつかの実施形態では、プロセッサ110は、所定の絶対的基準ベンチマークによって定義されたピクセルレベル値、熱変数、または特徴の値に最も近い図8Aおよび8Bに示されたセットなどのピクセルレベル値に基づき、ピクセルレベル値または熱変数のセットにおける分散を選択および処理するように構成されている。図8に示した例示的なグラフに示したように、断面点802および804は、1つ以上のクラスター(例えば、802-1、802-2、802-3および802-4、および/または804-1、804-2、804-3および804-4)にクラスター化される。
【0145】
本明細書の他の場所で説明するように、熱画像システム100のプロセッサ100は、生成された断面点802および804を有する関連ピクセルを識別し、組織104の表面上のセクション855における断面点802に関連する第1のタイプと、組織104の表面上のセクション860における断面点804に関連する第2のタイプの組織との間に境界850を描くように構成されている。組織学的に識別された組織802および804の状態またはタイプは、将来の参照のために、熱画像システム100のプロセッサ110のメモリに格納されたルックアップテーブルに登録される。
【0146】
これに代えておよび選択的に、いくつかの実施形態では、熱画像システム100のプロセッサ100は、クラスター802/804を事前にコンパイルされたルックアップテーブルと比較し、組織状態またはタイプ802を組織セクション855における第1のタイプの組織(例えば、健康な組織)と、組織状態またはタイプ804を組織セクション860における第2のタイプの組織(例えば、癌性組織)として識別し、組織セクション855と860との間に境界850を描くように構成されている。これに代えておよび選択的に、いくつかの実施形態では、熱画像システム100のプロセッサ110は、識別された組織状態またはタイプ802および804をマッピングし、図8Bに示すように、イメージャ108のFOVのRGB画像に重ね合わせて、ディスプレイ112上にマップを表示するように構成される。
【0147】
熱適用技術
ベクトル加熱
本明細書で使用される「ベクトル」加熱という用語は、必ずしも直線に沿ってではなく、あらゆるパターンに従ってもよい経路に沿って加熱することに関する。
【0148】
ここで、本発明のいくつかの実施形態による、表面の一部にわたる熱分布の簡略化された平面図である図9A、および本発明のいくつかの実施形態による組織の表面の部分内の組織の熱グラフである9Bを参照する。
【0149】
図9Aに示した例示的な実施形態に示したように、組織の表面は、疑わしい異常組織904の片側に配置された線902に沿って加熱される。説明を明確にするために、疑わしい異常組織から離れる方向への線902からの熱分布は無視されている。
【0150】
いくつかの実施形態では、熱画像システム100は、設定された期間(t)にわたってイメージャ108のFOVの複数の熱画像を取得し、設定された期間にわたって組織細胞の熱パラメータの変動に関する情報を抽出するために複数の画像の連続フレームを処理するように構成されている。
【0151】
いくつかの実施形態では、熱画像システム100は、熱適用時間(t0)から測定された1つ以上の期間(例えば、t1、t2、t3、t4)にわたる、矢印906によって示された方向における、イメージャ108のFOV内の組織細胞を通る熱拡散速度を比較する。いくつかの実施形態では、期間(t1)、(t2)、(t3)、および(t4)における温度測定は、加熱ライン902に対して平行なライン(例えば、L1、L2、L3およびL4)に沿って行われる。
【0152】
図9Aに示した実施形態に示したように、期間(t3)の間、線902によって生成される熱の分布は、イメージャ108のFOV内の組織104の表面の大部分にわたって均一である。しかしながら、破線の円によって描かれた領域970内の測定は、領域970の両側に描かれた領域950および960を含む組織104の表面の領域の大部分と比較して、その領域内の組織細胞を通る熱のより遅い拡散を示している。熱画像システム100のプロセッサ110は、領域970内の組織細胞を通る拡散速度の分散を、領域900内の組織および周囲の組織に関連する1つ以上の生理学的または病理学的/熱的パラメータの分散に関連するものであると識別し、領域970を、異常(例えば、癌性)であると疑われる組織を含むものとしてマークするように構成されている。
【0153】
さらに、選択的に、いくつかの実施形態では、本明細書の他の場所でより詳細に説明するように、熱画像システム100のプロセッサ110は、イメージャ108のFOV内の組織の熱グラフを処理するように構成されている。本発明のいくつかの実施形態による加熱組織の生体熱挙動に関連する熱曲線のグラフである図9Bに示した例示的な実施形態に示したように、曲線955/965は、領域970内の疑わしい組織を取り囲む組織、例えば、領域950および/または960内の組織の熱曲線を表し、曲線975は、領域970内の組織から得られた熱曲線を表す。
【0154】
熱画像システム100のプロセッサ110によって表示されたグラフは、組織細胞の全体的な熱挙動、すなわち、領域970内の加熱に対する応答が、組織細胞の熱挙動、すなわち、領域970を取り囲む領域、例えば、領域950/960内の加熱に対する応答よりも遅いことを示している。これは、例えば、曲線955/965のより急な成長部分952/962に対する、加熱に応答した曲線975の緩やかな成長部分972によって示されている。さらに、選択的に、曲線975は、曲線955/96よりも遅くピーク温度976に到達し、これは、領域970内の組織の熱挙動がより遅いことを示している。減衰部分974は、緩やかな成長部分972と同様に、曲線955/965の減衰部分954/964に対して緩やかな曲線によって示された、領域970内の組織のより遅い熱挙動を示している。
【0155】
いくつかの実施形態では、本明細書の他の場所でより詳細に説明するように、熱画像システムの熱画像システム100のプロセッサ110は、グラフ全体を処理しかつ比較することによってまたは成長部分972および952/962のみ、減衰部分974および954/964のみ、ピーク温度976および956/966の位置のみ、またはそれらの任意の組み合わせなどの曲線の部分を処理することによって熱挙動曲線975および955/965に沿って示される分散を処理し、ピーク温度に至り、そこから減衰する熱挙動曲線の形状によって示される挙動曲線975および955/965間の分散から導き出される熱特性を生成し、熱特性に関連する特定の組織状態またはタイプを識別するように構成されている。いくつかの実施形態では、熱画像システム100のプロセッサ110は、本明細書でより詳細に説明されるように、ピクセルのアレイの少なくとも一部から受信した情報を処理し、その情報を使用して、検査された組織における異なる組織状態またはタイプの存在を示す(正常組織対癌性組織)。
【0156】
いくつかの実施形態では、組織タイプまたは状態の識別の精度と特異性は、疑わしい異常組織904の片側に配置された1つ以上の線902に沿って組織104の表面を加熱することによって高めることができる。本発明のいくつかの実施形態による組織の表面の一部にわたる熱分布の簡略化された平面図である図10A、10Bおよび10Cに示した例示的な実施形態では、組織104の表面は、疑わしい異常組織904の片側に配置された線902/1002に沿って加熱される。いくつかの実施形態では、線902(図10A)および1002(図10B)は、互いに垂直である。
【0157】
図10Cに示されるように、熱画像システム100のプロセッサ110は、対応する図10Aおよび10Bに示した熱画像1004および1006から得られた熱挙動データをコンパイルし、熱画像1004および1006の両方において、主に領域1008内で、異常組織細胞として識別される細胞に関連する1つ以上の生理学的または病理学的熱パラメータに関する情報を抽出し、少なくとも疑わしい異常組織904の輪郭を生成するように構成されている。
【0158】
いくつかの実施形態では、熱画像システム100のプロセッサ110によって得られた値の少なくとも一部の重複、および画像1004から得られた値と画像1006から得られた値との比較により、組織タイプまたは状態の識別および位置の精度および特異性が向上する。これにより、熱画像システム100のプロセッサ110は、図10Cに示した領域1008を拡大(すなわち、ズームイン)し、疑わしい異常組織904の輪郭1012をより正確に描くことができる。いくつかの実施形態では、熱画像システム100のプロセッサ110は、疑わしい異常組織904の輪郭を組織104の表面のRGB画像に重ね合わせて、医療専門家が組織104の表面上の疑わしい細胞クラスター904の境界を明確かつ正確に識別するのを支援するように構成されている。
【0159】
ベクトル加熱の使用の一例は、本発明のいくつかの実施形態による組織の表面の一部にわたる熱分布の簡略化された平面図である図11Aおよび11Bに示したように、組織境界分析におけるものである。図11Aに示した例示的な実施形態では、組織104の表面は、境界線1106によって分離され、異なる組織状態、例えば、1つ以上の損傷1108または組織タイプを含むように見える2つの境界領域1102および1104を含む。
【0160】
図11Aに示した例示的な実施形態に示したように、組織104の表面は、疑わしい損傷1112の片側においてほぼ領域1102と1104との間の境界1106上に配置された線1110に沿って加熱される。説明を明確にするために、疑わしい損傷から離れる方向へのライン902からの熱分布は無視されている。
【0161】
異常な細胞識別の解像度および精度を高めるために、イメージャ108のFOVは、組織104の表面の領域1114に制限されている。熱画像システム100のプロセッサ110は、イメージャ108のFOVを撮像するピクセルアレイから熱値を取得し、本明細書の他の場所で説明されるように、取得された値を処理するように構成されている。いくつかの実施形態では、図11Bに示した例示的な実施形態に示したように、熱画像システム100のプロセッサ110は、正常としての領域1102および1104に隣接する、組織104の表面内の識別色または輪郭によって組織セグメント1112をマークすることによって、組織セグメント1112を異常組織(例えば、癌性組織)として識別するマップ1150を生成する。
【0162】
ランダムスポット加熱
ここで、本発明のいくつかの実施形態による、組織の表面の一部にわたる熱分布のグラフおよび簡略化された平面図である図12を参照する。いくつかの実施形態では、図12に示したように、熱源102は、組織104の表面のランダムなサイズの部分1202を加熱する。いくつかの実施形態では、ランダムなサイズの部分1202は、例えば、等しい期間中に同じレベルの熱(例えば、ジュール)を加えることによって、同時にかつ均一に加熱され、所与の時間間隔の連続する熱画像が熱画像システム100のイメージャ108によって撮影される。
【0163】
いくつかの実施形態では、本明細書の他の場所で説明するように、熱画像システム100のプロセッサ110は、得られた画像を処理して、組織セグメント1212を識別しかつ描く。例えば、いくつかの実施形態では、プロセッサ110は、組織104の表面の大部分(Mc%)が同じ温度であるように撮像される温度均一性(t)終点までの時間を処理および識別するように構成されている。いくつかの実施形態では、組織104の表面の組織の大部分(Mc%)は、イメージャ108のFOV内の組織104の表面積のパーセンテージによって定義され、例えば、(Mc%)は、50%より大きい、50%~99%、60%~90%および70%~80%である。いくつかの実施形態では、プロセッサ110は、異常組織セグメント1212を識別する終点(t)で熱マップ1250を生成する。
【0164】
図12に示される例示的なグラフは、組織104の表面上の任意の線Q-Qに沿った(t)での温度レベルの曲線1204を示している。図12に示したように、グラフ1204は、温度がより低いL1とL2との間の長さを除いて、線Q-Qに沿って組織のほぼ均一な温度を示している。いくつかの実施形態では、線Q-Qの部分L1-L2に沿った組織によって達成されるより低い温度は、組織が異常細胞であることを識別する、本明細書の他の場所で詳細に説明したような熱曲線のより遅い成長部分を組織が含むことを示していることがある。いくつかの実施形態では、本明細書の他の場所で説明したように、熱画像装置100のプロセッサ110は、線Q-Qの部分L1-L2における異常組織の連続する熱画像を処理し、熱グラフの成長部分を処理し、異常組織のタイプ(例えば、癌細胞)を識別する。
【0165】
本発明のいくつかの実施形態による熱画像システム100のプロセッサ110の動作を示す例示的な簡略化されたフローチャートである図13に示したように、プロセッサ110は、1302において、(t)から(t)までの期間にわたって撮影された、イメージャ108からの熱画像を取得し、1304において、組織104の表面の組織の大部分(Mc%)よりも(t)においてより低い温度を有する細胞クラスター(例えば、組織セグメント1212)を識別するように構成されている。1306において、プロセッサは、異常な組織セグメント1212のクラスターを識別するまたは描くイメージャ108のFOV内の組織104の表面の熱マップを生成する。いくつかの実施形態では、選択的に、1308において、プロセッサ110は、1306において生成されたマップを組織104の表面のRGB画像に重ね合わせ、1310において、異常な組織112を画定または切除する。
【0166】
いくつかの実施形態および1312において、プロセッサ110は、1304において識別された細胞クラスターの熱曲線の成長部分を処理するように構成されており、1314において、組織104の表面の大部分(Mc%)より、(t)におけるより低い温度を有する組織セグメント1212の組織タイプまたは状態(例えば、癌性)を識別する。
【0167】
パルス熱の提供
いくつかの実施形態では、本発明のいくつかの実施形態による、加熱された組織の生体熱挙動に関連する熱曲線のグラフである図14Aおよび14Bに示したように、組織104の表面は、一定の期間にわたって熱の複数のパルスによって加熱される。いくつかの実施形態では、熱パルスは、例えば、加熱パルス間の等しい間隔で、等しい期間中に同じレベルの熱(例えば、ジュール)を加えることによって、連続的かつ均一に加えられる。熱画像システム100のプロセッサ110は、イメージャ108から複数の連続する熱画像を取得し、加熱パルスに応答して組織104の表面の組織の熱挙動を処理するように構成されている。
【0168】
図14Aおよび14Bに示され、本明細書の他の場所でより詳細に説明されるいくつかの実施形態では、異なる状態またはタイプの組織は、加えられたパルス熱に応答して異なる熱挙動を示し、これは、熱挙動に関連する熱グラフの分散によって表される。図14Aに示した一例では、一定期間にわたってパルス熱に曝され、熱画像システムプロセッサ110によって処理された、撮像された組織から得られた熱パラメータは、1つ以上の成長部分1404を含み、各成長部分1404の後に、1つ以上の減衰部分1406および複数の温度ピーク点1408が続く曲線1402を示す。
【0169】
いくつかの実施形態では、プロセッサ110は、曲線1402においてトップ分析を実行するように構成されており、分析に基づいて、ピクセルのFOVp内で撮像された組織タイプまたは状態に固有の熱特性を、例えば、所与の時間、例えば、t1、t2、t3およびt4における連続する熱パルスに応答する連続する曲線の温度ピーク、例えば、P1、P2、P3、P4を識別し、ピーク間の関係、例えば、ピーク間の時間間隔、例えば、i1、i2、i3およびi4、または計算されたピークの成長する線形回帰1450を処理することによって、識別するように構成されている。
【0170】
いくつかの実施形態では、熱画像システム100のプロセッサ110は、熱曲線の選択された部分、例えば、成長部分、減衰部分、および/または例えば成長部分と減衰部分との境界点におけるピーク温度のみについて、比較分析を実行するように構成されており、図14Bに示した例示的なグラフは、連続的な熱パルスに応答した、曲線1412、1414および1416の、t1とt1’の間の成長減衰期間d1、t2とt2’の間のd2、およびt3とt3’の間のd3を示している。いくつかの実施形態では、プロセッサ110は、例えば、組織タイプまたは状態に固有の熱挙動パターンを識別することによって、ピクセルのFOVp内で撮像された組織タイプまたは状態に固有の熱特性を識別するための分析に基づいて構成されている。
【0171】
部分加熱
いくつかの実施形態では、本発明のいくつかの実施形態による加熱された組織の生体熱挙動に関連する熱曲線のグラフである図15に示したように、組織104の表面は部分的に加熱される。いくつかの実施形態では、熱は、所定の間隔で、例えば、等しいまたは異なる長さで複数のパルスセット(例えば、同じレベルの熱またはジュール)によって加えられ、熱画像システム100のイメージャ108は、得られた熱曲線1500の成長部分1502全体にわたって、連続した熱画像を取得する。
【0172】
図15に示した例示的な実施形態では、3つの熱パルスが3つの時点tP1、tP2およびtP3において加えられ、その結果、3つの部分ΔT1、ΔT2およびΔT3を有する曲線1500の段階的成長部分1502を生じる。部分加熱の潜在的な利点は、分析が、成長部分1500全体ではなく、成長部分の一部1502について行われ、異常細胞識別の解像度および精度の向上を可能にすることである。いくつかの実施形態では、組織状態またはタイプ間の分散は、部分ΔT1、ΔT2、およびΔT3のうちの1つの部分のみにおける分散で表され、組織タイプ特性パターンのより高い解像度を提供し、組織タイプまたは状態識別の精度および特異性を高める。
【0173】
3D加熱
ここで、本発明のいくつかの実施形態による組織の表面の一部における熱分布の簡略化された断面図である図16Aおよび16Bを参照する。いくつかの実施形態では、組織104の表面下の組織1602の体積は、矢印1675によって示された、表面からより深い組織内への方向において、疑わしい異常組織1606の片側に配置された線1650に沿って様々な周波数で加えられる超音波、レーザー、IRまたはRF放射などの三次元加熱システムを使用して、平面1604に沿って加熱される。
【0174】
図16Aおよび16Bに示したように、組織104の表面下の部分1602内の熱分布は、線1608に沿って生じる。説明を明確にするために、疑わしい組織セグメント1606から離れる方向への平面1604からの熱分布は無視されている。
【0175】
いくつかの実施形態では、画像化システム100のプロセッサ110は、3D熱画像化システム、例えば、MRI、CTスキャナー、超音波トランシーバー、RFトランシーバーなどによって撮影された複数の熱画像を1つ以上の平面に沿って組織104の表面に関して様々な空間的向きで同時にまたは連続して処理および処理するように構成されている。図16に示した例示的な実施形態では、3D熱画像システムによって同時にまたは連続して撮影される複数の熱画像は、組織104の表面に対して空間的に平行に向けられた複数の平面(平面1608)および/または垂直に向けられた複数の平面(平面1610)に沿って撮影される。
【0176】
図16Bに示したように、いくつかの実施形態において、熱画像システム100のプロセッサ110は、複数の平面1608および/または平面1610に沿って撮影された熱画像から得られた熱挙動値をコンパイルし、本明細書の他の場所でより詳細に説明するように、1つ以上の得られた熱画像において異常組織細胞1606として識別される組織に関連する1つ以上の生理学的または病理学的熱パラメータに関する情報を抽出し、疑わしい異常組織1606の少なくとも3次元輪郭を生成するように構成されている。
【0177】
いくつかの実施形態では、熱画像システム100のプロセッサ110によって得られた値の少なくとも一部の重複、および得られた画像から得られた値どうしの比較は、組織タイプ識別および組織104の表面下の組織内の位置の精度および特異性を高める。いくつかの実施形態では、熱画像システム100のプロセッサ110は、医療従事者が、組織内の疑わしい細胞クラスター904の境界を明確かつ正確に識別することを補助するために、組織104の表面下の組織のRGB 3D画像に、疑わしい異常組織1606の3D輪郭を重ね合わせるように構成されている。
【0178】
本願全体を通して、本発明の様々な実施形態は、範囲形式で提示され得る。範囲形式での説明は、単に便宜性および簡潔性のためであり、本発明の範囲に関する確固たる限定として解釈するべきではないことを理解すべきである。したがって、範囲の説明は、すべての可能な部分範囲ならびにその範囲内の個々の値を具体的に開示していると見なされるべきである。例えば、1~6などの範囲の説明は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの部分範囲、ならびに、例えば、その範囲内の個々の数、例えば、1、2、3、4、5、および6を具体的に開示していると考えるべきである。これは、範囲の幅に関係なく適用される。
【0179】
本明細書で数値範囲が示される場合は常に、表示範囲内の任意の引用数字(分数または整数)を含むことを意味している。第1の表示数~第2の表示数の「間の範囲にある/範囲」および第1の表示数「~」第2の表示数の「範囲にある/範囲」という表現は、本明細書では互換的に使用され、第1および第2の表示数ならびにそれらの間のすべての分数と整数の数字を含むことを意味する。
【0180】
本出願の説明および特許請求の範囲において、「備える(comprise)」、「含む(include)」および「有する(have)」という語、ならびにそれらの形態のそれぞれは、必ずしも、その語が関連付けられ得るリスト内のメンバーに限定されない。さらに、本出願と参照により組み込まれる任意の文書との間に不一致がある場合、本出願が支配することがここに意図されている。
【0181】
考慮中のトピック(TUC)が与えられた関連する請求項および裏付けとなる証拠のリストを自動的に(すなわち、人間の介入なしに)構築することができる方法およびコンピュータプログラム製品が本明細書に開示されている。したがって、例えば、自らの見解を支持する説得力のある主張を抽出するだけでなく、TUCについて議論している間に反対側が提起する可能性のある反対の主張に備えてもよい。
【0182】
本発明は、システム、方法、および/またはコンピュータプログラム製品であってもよい。コンピュータプログラム製品は、プロセッサに本発明の態様を実行させるためのコンピュータ可読プログラム命令をその上に有するコンピュータ可読記憶媒体(または複数の媒体)を含み得る。
【0183】
コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行デバイスによる使用のために命令を保持および記憶することができる有形デバイスであり得る。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電子記憶装置、磁気記憶装置、光学記憶装置、電磁記憶装置、半導体記憶装置、または上記の任意の適切な組み合わせであってもよいが、これらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例の非網羅的なリストには、以下が含まれる:ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能なプログラマブル読み取り専用メモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ポータブルコンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、メモリスティック、フロッピーディスク、パンチカードまたは命令が記録された溝の隆起構造等の機械的にコード化されたデバイス、および上記の任意の適切な組み合わせ。本明細書で使用される際、コンピュータ可読記憶媒体は、それ自体が、電波もしくは他の自由に伝播する電磁波、導波管もしくは他の伝送媒体を介して伝播する電磁波(例えば、光ファイバケーブルを通過する光パルス)、またはワイヤを介して伝送される電気信号などの、一時的な信号であると解釈されるべきではない。
【0184】
本明細書で説明するコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体からそれぞれのコンピューティング/処理デバイスに、またはネットワーク、例えば、インターネット、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、および/もしくはワイヤレスネットワークを介して、外部コンピュータもしくは外部記憶デバイスにダウンロードできる。ネットワークは、銅伝送ケーブル、光伝送ファイバ、無線伝送、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイコンピュータ、および/またはエッジサーバを含んでもよい。各コンピューティング/処理デバイス内のネットワークアダプタカードまたはネットワークインターフェースは、ネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受信し、それぞれのコンピューティング/処理デバイス内のコンピュータ可読記憶媒体に記憶するためにコンピュータ可読プログラム命令を転送する。
【0185】
本発明の動作を実行するためのコンピュータ読み取り可能プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、機械命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk、C++等の対象物指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語等の従来の手続き型プログラミング言語、もしくは同様のプログラミング言語を含む1つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードもしくは対象物コードのいずれかであってもよい。コンピュータ可読プログラム命令は、完全にユーザのコンピュータで、一部はユーザのコンピュータで、スタンドアロンのソフトウェアパッケージとして、一部はユーザのコンピュータおよび一部はリモートコンピュータで、または完全にリモートコンピュータもしくはサーバで実行され得る。後者のシナリオでは、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)もしくはワイドエリアネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを介してユーザのコンピュータに接続でき、または、接続は、外部コンピュータに(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用したインターネット経由で)なされ得る。いくつかの実施形態では、例えば、プログラマブルロジック回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、またはプログラマブルロジックアレイ(PLA)を含む電子回路は、本発明の態様を実行するために、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用して電子回路をパーソナライズすることにより、コンピュータ可読プログラム命令を実行することができる。
【0186】
本発明の態様は、本発明の実施形態による方法、装置(システム)、およびコンピュータプログラム製品のフローチャート図および/またはブロック図を参照して本明細書で説明される。フローチャート図および/またはブロック図の各ブロック、ならびにフローチャート図および/またはブロック図のブロックの組み合わせは、コンピュータ可読プログラム命令によって実装できることが理解されよう。
【0187】
これらのコンピュータ可読プログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサに提供されて、命令がコンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサを介して実行されるように機械を生成し、フローチャートおよび/またはブロック図のブロック(複数可)で指定された機能/動作を実装するための手段を形成する。これらのコンピュータ可読プログラム命令はまた、コンピュータ、プログラマブルデータ処理装置、および/または他のデバイスが特定の手法で機能するように命令することができるコンピュータ可読記憶媒体内に記憶され得、命令をその中に記憶したコンピュータ可読記憶媒体が、フローチャートおよび/またはブロック図のブロックもしくは複数のブロックで指定された機能/動作の態様を実装する命令を含む製品を備えるようにする。
【0188】
コンピュータ可読プログラム命令はまた、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、または他のデバイスにロードされ得、コンピュータ、他のプログラマブル装置または他のデバイス上で一連の動作ステップを実行させて、コンピュータ実装プロセスを生成することができ、コンピュータ、他のプログラマブル装置、または他のデバイス上で実行される命令が、フローチャートおよび/またはブロック図のブロックもしくは複数のブロックで指定された機能/動作を実装するようにする。
【0189】
図中のフローチャートおよびブロック図は、本発明の様々な実施形態によるシステム、方法、およびコンピュータプログラム製品の可能な実装のアーキテクチャ、機能、および動作を示している。これに関して、フローチャートまたはブロック図の各ブロックは、指定された論理機能を実装するための1つ以上の実行可能な命令を含む命令のモジュール、セグメント、または部分を表し得る。一部の代替実装では、ブロックに記載されている機能が、図に記載されている順序とは異なる順序で発生する場合がある。例えば、連続して示されている2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行される場合があり、またはそのブラックは、関与する機能に応じて逆の順序で実行される場合があってもよい。ブロック図および/またはフローチャート図の各ブロック、およびブロック図および/またはフローチャート図のブロックの組み合わせは、指定された機能または動作を実行するか、または専用ハードウェアとコンピュータ命令の組み合わせを実行する特定目的のハードウェアベースのシステムによって実装できることにも注意されたい。
【0190】
本発明の様々な実施形態の説明は、例示の目的で提示されたが、網羅的であること、または開示された実施形態に限定されることを意図したものではない。説明された実施形態の範囲および趣旨から逸脱することなく、多くの修正および変形が当業者には明らかであろう。本明細書で使用される用語は、実施形態の原理、実際の応用、もしくは市場で見られる技術に対する技術的改善を最もよく説明するために、または当業者以外の人が本明細書で開示される実施形態を理解できるように選択されたものである。

図1
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図6D
図7-1】
図7-2】
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16A
図16B